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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】バルブアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20230515BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20230515BHJP
   G10L 15/00 20130101ALN20230515BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
G06F3/16 630
G06F3/16 650
G10L15/00 200R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018145069
(22)【出願日】2018-08-01
(65)【公開番号】P2020020406
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-05-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000228419
【氏名又は名称】日本ギア工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松谷 雄平
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-145680(JP,A)
【文献】特開2015-49897(JP,A)
【文献】特開昭57-109997(JP,A)
【文献】特開2011-220451(JP,A)
【文献】特開2011-20588(JP,A)
【文献】特開平3-199783(JP,A)
【文献】実開昭62-200762(JP,U)
【文献】特表2009-543004(JP,A)
【文献】特表2008-501300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
G06F 3/16
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータの回転を減速してバルブを駆動する歯車列を収納した機構部品収 納部と、前記バルブを制御する制御回路基板を収納した電気電子部品収納部と、操作スイッチおよび/または表示器を有するコントロールパネルと、を備えるバルブアクチュエータにおいて、短距離通信手段と音声認識手段とを有する音声認識制御基板を前記電気電子部品収納部に備え、音声入力手段と短距離通信手段とを有する制御情報設定装置、との間で機側から略10m以内で短距離通信を行って各種プラントに使用されるバルブアクチュエータの操作に必要な制御情報である、弁体の上限位置リミット値、弁体の下限位置リミット値、弁体の上限トルクリミット値、弁体の下限トルクリミット値、およびトルクバイパスにおけるタイムアウト値を音声により設定変更することを特徴とするバルブアクチュエータ。
【請求項2】
前記音声認識制御基板には、特徴抽出手段と、マッチング手段と、指示内容解析手段と、動作・設定・画面移行手段と、記憶手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項3】
前記記憶手段には、制御情報と、辞書情報と、文法情報とが記憶されることを特徴とする請求項2に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項4】
前記通信手段がBluetooth(登録商標)に応じたプロトコルであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項5】
前記制御情報設定装置がイヤホンマイクであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のバルブアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電所や石油化学工場等の各種プラントに使用されるバルブアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所や石油化学工場等のプラントでは、配管内を流れる水や蒸気など流体の流れを制御するため、数多くのバルブアクチュエータ(以下、単にアクチュエータともいう。)が使用される。そのような数多くのアクチュエータは、通常の運転状態においては、予め設定された制御情報に基づき、中央制御室から制御信号を送ってリモートモードで操作される。
【0003】
しかし、アクチュエータが設置された現場において、アクチュエータをローカルモードで操作して制御情報を変更または再設定したい場合がある。たとえば仕切弁や玉型弁の締め切り操作において、バルブ開度が全閉状態まで操作されたにも拘わらず、実際には締め切りが不完全で若干の流体リークが認められる場合がある。そのような状況下にあっては、弁体の下限位置設定値を少し追い込んだ値にするか、締め切りトルク値を少し増加させるなどして流体リークを無くすよう試みることがある。すなわち、弁体の下限位置設定値や締め切りトルク値を変更または再設定する操作が必要となる。
【0004】
従来、このような弁体の下限位置設定値や締め切りトルク値の変更または再設定を行う際には、電気部品収納部のカバーを取り外して設定値を調整していた。例外的に防爆エリアに設置され、電気部品収納部のカバーを取り外すことができない用途では、赤外線放射などの電磁放射を通すインターフェースを設け、非接触式の専用設定器を用いて弁体の下限位置設定値や締め切りトルク値の変更または再設定を行っているものがある(特許文献1参照)。
【0005】
また、近年のバルブアクチュエータの制御は電子化される傾向にあり、アクチュエータの制御回路基板には必ずといってよいほどCPUやメモリーデバイスが搭載されている。このような背景から、弁体の下限位置設定値や締め切りトルク値の変更または再設定用に開発したプログラムをメモリーに収納しているものがある。かかる仕様のアクチュエータにおいては、現場で設定モードを選択し、コントロールパネルに設けられた複数の操作スイッチやセレクタノブの操作を組み合わせることで、コントロールパネルやカバー類を取り外すことなく、下限位置設定値や締め切りトルク値の変更または再設定を可能としているものがある(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、特許文献1のアクチュエータにおいて制御情報を変更または再設定するためには、専用設定器を用いて至近距離から操作する必要があった。また、特許文献2のアクチュエータにおいて制御情報を変更または再設定する場合、限られた数の操作スイッチやセレクタノブの組み合わせ操作によって、表示器に表示される制御情報を確認する必要がある。したがって、制御情報の変更または再設定には、一定の時間を要していた。また、アクチュエータの電子化に伴い、設定すべき制御情報も多くなってきた。複数の操作スイッチやセレクタノブを操作し、表示器に表示される制御情報を確認しながら、変更操作を行う従来の方法では、変更したい項目に到達するまでの遷移操作が多くなり煩雑化していた。その結果、表示器に表示される遷移表示の内容をよく理解していなければ、制御情報の変更操作をすることは事実上困難になっている。また、変更操作マニュアルを参照しながらの操作では、操作に多くの時間を費やすことになるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭63-81511号公報
【文献】特開2015-145680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したようにアクチュエータが電子制御化されることに伴って、制御対象となる制御情報の項目も増加してきている。電子制御化される以前のアクチュエータにあっては、弁体の上限位置リミット値と下限位置リミット値、および過負荷制限トルク値が制御対象となる制御情報であった。しかし、電子制御化されたアクチュエータにあっては、これらの制御情報に限らず、中間開度位置での一時停止情報やトルクバイパス情報等についても制御対象とされるようになってきた。
【0009】
そこで、本発明は上記の問題を解消すべく、制御情報の設定変更に不慣れな者であっても、短時間で、確実かつ簡単に制御情報の設定変更ができるアクチュエータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、モータと、前記モータの回転を減速してバルブを駆動する歯車列を収納した機構部品収納部と、前記バルブを制御する制御回路基板を収納した電気電子部品収納部と、操作スイッチおよび/または表示器を有するコントロールパネルと、を備えるバルブアクチュエータにおいて、短距離通信手段と音声認識手段とを有する音声認識制御基板を前記電気電子部品収納部に備え、音声入力手段と短距離通信手段とを有する制御情報設定装置、との間で機側から略10m以内で短距離通信を行って各種プラントに使用されるバルブアクチュエータの操作に必要な制御情報である、弁体の上限位置リミット値、弁体の下限位置リミット値、弁体の上限トルクリミット値、弁体の下限トルクリミット値、およびトルクバイパスにおけるタイムアウト値を音声により設定変更することを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載のバルブアクチュエータにおいて、前記音声認識制御基板には、特徴抽出手段と、マッチング手段と、指示内容解析手段と、動作・設定・画面移行手段と、記憶手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2記載のバルブアクチュエータにおいて、前記記憶手段には、制御情報と、辞書情報と、文法情報とが記憶されることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1~3の何れか1項に記載のバルブアクチュエータにおいて、前記通信手段がBluetooth(登録商標)に応じたプロトコルであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1~3の何れか1項に記載のバルブアクチュエータにおいて、前記制御情報設定装置がイヤホンマイクであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、バルブアクチュエータの制御情報の設定変更を音声入力で行うことができることから、設定変更の操作に不慣れな者であっても制御情報の設定変更を容易に行うことができる。また、設定変更を短時間で行うことができるとともに、設定ミスの発生を防止できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるアクチュエータの一部断面を含む外観斜視図である。
図2】本発明によるアクチュエータの音声認識制御基板のブロック図である。
図3】本発明による制御情報の変更例を示す遷移図である。
図4】従来技術による制御情報の変更例を示す遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
アクチュエータの駆動対象であるバルブには種々の形式があり、サイズも多様であるが、実施例として仕切弁を駆動するアクチュエータについて、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すようにアクチュエータ1の主要部は、モータ2と、このモータ2の回転を減速する歯車列3を内蔵した機構部品収納部4とで構成されている。モータ2は、その軸をバルブステム(図示省略)と直交する姿勢で、機構部品収納部4の側面に取り付けられている。多くの場合、モータ2には耐久性など信頼性に優れる三相誘導モータが用いられる。
【0019】
機構部品収納部4には、モータ軸に連結されたウォーム軸5と、該ウォーム軸5に噛み合うウォームホイール6と、該ウォームホイール6の回転をバルブステムの往復動作に変換するスラストユニット7が収納されている。このような構成により、モータ軸の回転でバルブステムを往復動作させることができる。
【0020】
また、機構部品収納部4にはウォームホイール6の回転量からバルブステムの移動量を検出するアブソリュート形のエンコーダ8が設けられると共に、ウォーム軸5に作用するスラストを検出するスラストセンサ9が設けられている。このスラストセンサ9は、直接的にはウォーム軸5に作用するスラストを検出するものであるが、ウォーム軸5のスラストはウォーム軸5と噛み合うウォームホイール6の回転トルクに対応することから、バルブステムに作用する負荷情報として用いられる。
【0021】
さらに、機構部品収納部4には、バルブを手動操作するための手動ハンドル11と、電動操作から手動操作に切り替えるためのクラッチ機構12が設けられている。
【0022】
モータ2が取り付けられた機構部品収納部4の反対側の側面には、制御回路基板13などを収納する電気電子部品収納部14が設けられている。図1に示す実施例では機構部品収納部4と電気電子部品収納部14とが一部品として構成されているが、これらを別々の部品として構成することもできる。
【0023】
電気電子部品収納部14にはCPUが搭載された制御回路基板13のほか、制御電源としての直流電源装置やモータ2への供給電源を開閉する電磁開閉器15が収納される。制御回路基板13には前述したエンコーダ8とスラストセンサ9の信号線が接続され、バルブステムの位置情報(開度情報)およびバルブステムに作用する負荷情報として入力される。
【0024】
電気電子部品収納部14の開口部にはコントロールパネル16が取り付けられ、このコントロールパネル16の外面にはアクチュエータ1をローカルモードで操作するための操作スイッチ17が設けられている。また、バルブの開度情報のほか制御情報の設定値や簡単なステートメントを表示するための液晶表示器18が備えられている。これらの操作スイッチ17、液晶表示器18は、制御回路基板13に接続され、入出力信号として用いられる。
【0025】
電気電子部品収納部14の開口部へのコントロールパネル16の取り付けは密封構造とされる。さらに、コントロールパネル16と操作スイッチ17や液晶表示器18の取り付けも密封構造とされる。例えば操作スイッチとしてのロータリースイッチ17には、スイッチ軸をコントロールパネル16に貫通させる必要のない磁気感知式のものを用いて密封構造を実現している。ここで、液晶表示器18の表面は透明なアクリル樹脂等で覆われており、外気や雨水などに対して密封構造となっているが、電波は障害なく伝搬するよう構成されている。
【0026】
制御回路基板13には前述した入出力信号のほか、アクチュエータをリモートモードで操作するための遠隔入力信号が接続されている。また、CPUが搭載された制御回路基板13はバルブの開度情報である全開や全閉状態をリレー出力信号として生成し、中央制御室など外部へも送信可能とされている。これらの遠隔入力信号やリレー出力信号は、制御回路基板13から端子台収納部19に設けられた外部端子台20を経由して外部と接続されるようになっている。
【0027】
電磁開閉器15はモータ2への電力供給を開閉するための汎用部品であり、制御回路基板13からの制御信号によってモータ2への電力供給を制御する。電磁開閉器15の出力側は端子台21を経由してモータに接続され、入力側は電源端子台22に接続される。かかる構成は従来のバルブアクチュエータと同じである。
【0028】
つぎに、本発明の特徴的構成について説明する。本発明に係るアクチュエータ1では、図2に示すように通信手段32と音声認識手段31とを有する音声認識制御基板30が電気電子部品収納部14に備えられている。
【0029】
音声認識制御基板30は、通信手段32と、アンプ部33と、A/D変換部34と、特徴抽出部35と、マッチング部36と、指示内容解析部37と、動作・設定・画面移行部38と、記憶手段41と、を備え、マイクロホン39と通信手段32を有する制御情報設定装置40との間で短距離無線通信を行うことができるよう構成されている。
【0030】
通信手段32には短距離無線通信規格であるBluetooth(登録商標)プロトコルに対応した市販部品が用いられる。アンプ部33は通信手段32で受信した微弱信号を増幅するものであり、A/D変換器34は増幅されたアナログ信号である音声信号をサンプリングして量子化し、デジタル信号である音声データに変換するものである。アンプ部33やA/D変換器34は本発明の特徴的構成ではなく、公知・慣用技術にすぎない。
【0031】
音声認識手段31は、特徴抽出部35と、マッチング部36と、指示内容分析部37と、記憶手段41とを含み、さらに具体的にはCPUを備えて構成されている。
【0032】
特徴抽出部35は、入力信号である音声データについて適切なタイミングで区切り、キーワード分析を行う。
【0033】
マッチング部36は、特徴抽出部35からの出力を用いて、記憶手段41に記憶された辞書情報42、文法情報43および制御情報44を必要に応じて参照しながら入力音声を認識する。
【0034】
指示内容解析部37は、マッチング部36にて認識したデータを基に指示内容を解析する。マッチング部36で認識した結果に問題があれば、エラーと判断して再度の音声入力を促す。
【0035】
動作・設定・画面移行部38では、指示内容解析部37で解析された指示内容に従って制御情報44を記憶しているメモリーを指示内容に沿って書き換え保存し、液晶表示器18に指示内容の結果を表示する。
【0036】
記憶手段41としてのメモリーには、アクチュエータの制御に必要な制御情報44と、音声入力された単語の理解に必要な辞書情報42と、単語を含む音声情報の連鎖から意味内容を理解するに必要な文法情報43とが記憶されている。
【0037】
ここで、制御情報44はアクチュエータの操作に必要な情報であり、個々のアクチュエータごとに異なものである。具体的には弁体の上限位置リミット値、弁体の下限位置リミット値、弁体の上限トルクリミット値、弁体の下限トルクリミット値、トルクバイパスにおけるタイムアウト値などである。これらが主要な制御情報であるが、これらの値に限定されるものではない。そして、これらの制御情報は、アクチュエータを設置した後で、変更や再設定することが必要になる場合がある。本発明に係るアクチュエータの音声入力機能が活用される場面である。
【0038】
辞書情報42は、音声認識の対象となる各単語について、その発音に関する音韻情報が記述された単語辞書からなる。ただし、一般的な音声認識に必要な単語辞書とは異なり、バルブを駆動するアクチュエータの制御に必要な単語だけで足りるため、きわめて小規模な辞書でよい。
【0039】
文法情報43は、単語辞書に登録されている各単語がどのように連鎖するかを記述した文法規則からなる。この文法規則についても、一般的な音声認識に必要な文法規則とは異なり、バルブを駆動するアクチュエータの制御に必要な文法規則だけで足りるため、きわめて小規模なものでよい。
【0040】
制御情報設定装置40は、アクチュエータの制御情報44について変更する権限を有する操作者が携帯し、短距離無線通信が可能な距離であるアクチュエータの機側から概ね10メートル以内において音声入力できる入力装置である。マイクロホン39と通信手段32および電池を備えており、通信手段32には短距離無線通信規格であるBluetooth(登録商標)プロトコルに対応した市販部品が用いられる。現場における操作者の安全性と操作性を高めるため、制御情報設定装置40はハンズフリー形式とされている。さらに、騒音環境条件が悪い現場にも対応可能とするため、マイクロホン39には、ノイズキャンセリング機能を有するイヤホンマイクロホンまたは咽喉マイクロホンが使用される。
【0041】
つぎに、制御情報を設定変更する場合の手順について説明するが、本発明に係るアクチュエータの設定変更操作はきわめて簡単であることから、比較の意味で、従来技術である特許文献2に記載されたアクチュエータにおける設定変更操作例を先に説明する。
【0042】
図4は、特許文献2に記載されたアクチュエータにおける設定変更操作例を示す表示器画面の遷移図である。この例では、トルクバイパスでのタイムアウト値を設定変更する操作を示している。先ず、ステップS1として操作スイッチ17やセレクタノブを操作して表示器18にSELECT MENUを表示させる。つぎに、ステップS2としてSELECT MENUの中からFULL SETTING を選択する。以下、つぎのように操作する。ステップS3として表示器に表示されたFULL SETTINGの中からSETTINGを選択する。ステップS4として表示器に表示された SETTINGの中からSEATING TYPE を選択する。ステップS5として表示器に表示された SETTINGの中からLIMIT POSITION を選択する。ステップS6として表示器に表示された SETTINGの中からSET TORQUE を選択する。ステップS7として表示器に表示されたSETTINGの中から TORQUE BYPASS を選択する。ステップS8として表示器に表示されたSETTINGの中から TIME OUT を選択する。ステップS9として表示器に表示された数値を見ながら操作スイッチとセレクタノブを何回か操作してTIME OUTの数値 ### を入力する。
【0043】
各ステップの操作自体は複雑なものではなく、2つの操作スイッチ17とセレクタノブを組み合わせ操作するだけであるが、表示器18に表示される制御情報の遷移を理解していないと設定変更に多くの時間を費やす結果となる。上記のTIME OUT値の設定変更例では遷移が9ステップにもなり、操作に不慣れな者では操作マニュアルを見ながら操作しなければならず、けっして使い勝手がよいとは言えなかった。
【0044】
他方、本発明によるアクチュエータでは、音声入力だけで制御情報の設定変更を行うことができるので、制御情報設定装置40を用いて、図3に示すようにTIME OUT と発声し、つぎに変更したいタイムアウト時間 ### を発声するだけで足りる。もっとも、プラントの安全・セキュリティ確保のため、制御情報の設定変更を行う者は権限を有する者に限定される。制御情報を変更できる権限を有する者だけが制御情報設定装置40を使用することができ、それらの者の発声する音声については、予め声紋認識情報が登録・記憶されている。したがって、仮に制御情報の設定変更を行う権限を有さない者が、制御情報設定装置40を使用して音声操作を試みたとしても、制御情報44を変更することはできない。
【0045】
上記実施例では、本発明に係るアクチュエータを仕切弁に適用した場合について説明したが、駆動対象となるバルブは仕切弁に限定されるものではない。また、ボールバルブなど90度回転型のバルブを駆動する場合のように、補助減速機と組み合わせて使用するアクチュエータにも適用できる。さらに、空気圧駆動など他の駆動形式のアクチュエータについても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るアクチュエータは、各種プラントの配管等に設けられるバルブの駆動装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 バルブアクチュエータ(アクチュエータ)
2 モータ
3 歯車列
4 機構部品収納部
13 制御回路基板
14 電気電子部品収納部
16 コントロールパネル
17 操作スイッチ
18 表示器(液晶表示器)
30 音声認識制御基板
31 音声認識手段
32 通信手段(通信部)
39 音声入力手段(マイクロホン)
40 制御情報設定装置
41 記憶手段
図1
図2
図3
図4