(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】耳鼻咽喉(ENT)ツール用の、位置追跡を可能にするコネクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20230515BHJP
A61F 11/00 20220101ALI20230515BHJP
A61B 17/24 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
A61B34/20
A61F11/00 350
A61B17/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018200644
(22)【出願日】2018-10-25
【審査請求日】2021-09-08
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アロン・ボウメンディル
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/074977(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0275997(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0161421(US,A1)
【文献】特表2016-501632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0119473(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
A61F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器と、位置追跡コネクタと、を備えた耳鼻咽喉(ENT)治療システムであって、
前記医療機器は、
患者の体内に挿入するためのシャフトと、
前記シャフトの遠位端に取り付けられている1つ以上の位置センサと、
前記位置追跡コネクタの接合コネクタを受けるように構成されているコネクタと、
前記接合コネクタが前記コネクタに接続されているか否かを検出し、接続されていない場合、前記1つ以上の位置センサを使用した、前記体内における前記シャフトの前記遠位端の位置の追跡を阻止するように構成されている、調査回路と、を含み、
前記位置追跡コネクタは、
ケースと、
前記位置追跡コネクタを前記医療機器に接続するように構成されている、前記ケース上の前記接合コネクタと、
前記ケースに含有され、前記医療機器に接続した際に、前記体内において前記シャフトの前記遠位端の前記位置の追跡を可能にするように構成されている、イネーブル回路と、
前記医療機器の事前設定した最大数の使用回数に到達したか否かを前記イネーブル回路に示すように構成されている計数回路と、を含み、
前記イネーブル回路は、前記計数回路から、前記事前設定した最大数の使用回数に到達した指標を受信すると、前記シャフトの前記遠位端の前記位置の追跡を阻止するように構成されている、耳鼻咽喉(ENT)治療システム。
【請求項2】
前記医療機器は、前記シャフトの前記遠位端に結合され、ENT処置を実施するように構成されているツールを含む、請求項1に記載の耳鼻咽喉(ENT)治療システム。
【請求項3】
プロセッサを更に含み、
前記1つ以上の位置センサは、
前記体内における前記シャフトの前記遠位端の前記位置を示す位置信号を
前記プロセッサに送信するように構成されて
おり、ディスプレイは、前記プロセッサから前記ディスプレイに送信された位置座標データを表示するように構成されている、請求項1に記載の耳鼻咽喉(ENT)治療システム。
【請求項4】
前記イネーブル回路は、前記位置追跡コネクタが前記医療機器に接続されているか否かに関する位置追跡使用条件を認証し、前記位置追跡コネクタが前記医療機器に接続されていることで前記位置追跡使用条件が有効である場合にのみ、前記シャフトの前記遠位端の前記位置の追跡を可能にするように構成されている、無線周波数識別(RFID)回路を含む、請求項1に記載の耳鼻咽喉(ENT)治療システム。
【請求項5】
前記イネーブル回路及び前記計数回路は共に、1つの回路基板に組み込まれている、請求項1に記載の耳鼻咽喉(ENT)治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、侵襲性医療機器に関連する方法及び装置に関し、特に、侵襲性医療機器を用いた位置追跡能力を可能にするための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の侵襲性処置では、体内における、医療機器の遠位端の位置の追跡を必要とする。例えば、米国特許第8,961,398号は、耳、鼻、喉、又は副鼻腔の疾患を治療するための方法及び装置について記載している。実施形態は、イメージガイドと共に用いるためのナビゲーションシステム、又は識別モジュールを有するナビゲーションシステム及びハンドヘルドデバイスを含む。識別モジュールにより、ナビゲーションローカライザが、ナビゲーションローカライザに接続されているナビゲーションアダプタの種類を識別することが可能になる。これにより、ナビゲーションアダプタの遠位端の位置及び配置の登録が可能となる。
【0003】
別の例として、米国特許公開公報第2014/0066944号は、協同して制御されるロボット用の、手術中にツールを交換するためのシステム及び方法について記載している。このシステムは、ロボット及び外科医により保持されるように適合された手術装置を受けるための、ツールホルダを備える。このシステムは、手術ツールがツールホルダ内にドッキングされているかどうかを検出するためのセンサと、センサにより検出される情報に基づき実施される、ツールホルダの異なる動き又は作用を自動的に選択するためのセレクタとを備える。
【0004】
米国特許第7,796,040号は、手術用機械の面に配置される機械コネクタと、機械コネクタ及び手術用機械の面に極めて接近して配置されるRFIDリーダアンテナと、機械コネクタと結合するように適合したアクセサリコネクタと、を含むスマートコネクタシステムについて記載している。アクセサリコネクタはRFIDタグアンテナを有し、ツールを手術用機械に取り付けることができる。アクセサリコネクタが機械コネクタに極めて接近してもたらされる場合、通信接続がRFIDタグアンテナとRFIDリーダアンテナとの間で確立される。
【0005】
米国特許第8,035,487号は、制御コンソールと、電動手術デバイスと、手術デバイスに取り外し可能に接続された中間付属品と、中間付属品に取り外し可能に接続された切断アクセサリと、を含む手術ツールシステムについて記載している。切断アクセサリの内部には、アクセサリの操作に対して特異的なデータを含有する識別デバイスが存在する。電動手術デバイス及び中間付属品を経由する信号の移動により、制御コンソールは切断アクセサリ内のデータを読み取る。これらのデータに基づき、制御コンソールは電動手術デバイスを選択的に作動させる。本発明のいくつかの変型において、識別デバイスはRFIDチップであってよい。中間付属品の内部にある識別デバイスは制御コンソールに、中間付属品を記述するデータを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、シャフトと、1つ以上の位置センサと、コネクタと、調査回路と、を含む医療機器を提供する。シャフトは、患者の体内に挿入するように構成されている。1つ以上の位置センサは、シャフトの遠位端に取り付けられている。コネクタは、接合コネクタを受けるように構成されている。調査回路は、接合コネクタがコネクタに接続しているか否かを検出し、検出されない場合、1つ以上の位置センサを使用した、体内における遠位端の位置の追跡を阻止するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、医療機器は、シャフトの遠位端部に結合され、耳鼻咽喉(ENT)処置を実行するように構成されているツールを更に含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、1つ以上の位置センサは、位置信号を位置追跡システムに送信するように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に従うと、ケースと、ケース上の接合コネクタと、イネーブル回路とを含むENTの位置追跡を可能にするコネクタが更に提供される。接合コネクタは、ENTの位置追跡を可能にするコネクタを医療機器に接続するように構成される。ケースに含有されるイネーブル回路は、医療機器に接続した際に、患者の体内において、医療機器の遠位端の位置の追跡を可能にするように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、イネーブル回路は、位置追跡の利用条件を認証するように構成され、利用条件が有効である場合にのみ遠位端の位置の追跡を可能にする、無線周波数識別(RFID)回路を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、ENTの位置追跡を可能にするコネクタは更に、事前設定した最大数の、医療機器の使用セッションでコードされており、イネーブル回路に、事前設定した最大数の使用セッションに到達したか否かを示すように構成されている計数回路を含む。
【0012】
一実施形態では、イネーブル回路は、計数回路から、事前設定した最大数の使用セッション値に到達した指標を受信すると、遠位端の位置の追跡を阻止するように構成される。
【0013】
別の実施形態では、イネーブル回路及び計数回路は共に、1つの回路基板に組み込まれている。
【0014】
本発明の一実施形態に従うと、患者の体内に挿入するためのシャフトと、シャフトの遠位端に取り付けられている1つ以上の位置センサと、コネクタと、を含む医療機器に関して、接合コネクタがコネクタに接続しているか否かを確認することを含む方法が更に提供される。接合コネクタが接続されていない場合、1つ以上の位置センサを使用した体内における遠位端の位置の追跡は行われない。
【0015】
本発明の一実施形態に従うと、ケースと、ケース上のコネクタと、を備える位置追跡を可能にするデバイスにおいて、コネクタが医療機器内で接合コネクタに接続しているか否かを確認することを含む、位置追跡を可能にする方法もまた提供される。コネクタが医療機器に接続されている場合、患者の体内において、医療機器の遠位端の位置の追跡が可能となる。
【0016】
本発明は、以下の発明を実施するための形態を図面と併せて考慮すると、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に従った、位置追跡を可能にするコネクタを含むENT治療システムの概略描画図である。
【
図2】耳、及び、本発明の一実施形態に従った、ハンドルにて受口に差し込まれる、位置追跡を可能にするコネクタを有するENT侵襲性機器の側面断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に従った、位置追跡を可能にするコネクタを概略的に示すブロック図である。
【
図4A】本発明の実施形態に従った、計数回路の操作原理を示す回路図である。
【
図4B】本発明の実施形態に従った、計数回路の操作原理を示す回路図である。
【
図5】本発明の一実施形態に従った、位置追跡を可能にするコネクタを使用して位置センサの操作を可能にし、制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概略
ENTの位置追跡能力によって、ENT医師が、複数の開口部、並びに狭隘かつ/又は螺旋状の管を含む複雑な構造にもかかわらず、可撓性の侵襲性医療機器を上手くナビゲートすることが可能になる。しかし、多くの臨床事例においては、これらのコストのかかる位置追跡能力は、医療上必要ではない。コストのかかる位置追跡能力を管理されないまま導入することにより、医療処置のコストが不必要に増加する可能性がある。
【0019】
本明細書の以下で記載する本発明の実施形態は、医師が位置追跡能力を選択的に、例えば医学的に必要に応じて、かつ/又は財政的に認められて適用することを可能にする、位置追跡を可能にするコネクタを提供する。いくつかの実施形態において、医師が医療処置で発生したコストの管理することを可能にする柔軟な操作モードで、ENT医療機器を、位置追跡を用いて、又は用いずに操作することができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、ENT侵襲性機器はその遠位端にて位置センサと共に取り付けられ、その近位端に取り付けられる受口の中にENTの位置追跡を可能にするコネクタを受け入れるように構成される。位置センサは、患者のENTシステム内で、ENT侵襲性機器の遠位端の位置を示す位置信号を生成するように構成される。位置追跡を可能にするコネクタは、使用条件(場合により、位置追跡を可能にするコネクタにコードされる)が有効である、例えば、有効な使用期限及び/又は1つ以上の使用セッションが利用可能である場合にのみ、このような能力を使用可能にするように構成される。一実施形態では、位置追跡を可能にするコネクタは医師に、事前設定した最大数の使用セッションに到達した際にアラートを出す。
【0021】
開示された技術は、医師及びヘルスケアシステムがケアコストを制御し、必要な場合にのみ高価な位置追跡能力を、そして節約志向の方法で実装することを補助する。更に、開示された技術により、医師が高価な関連ツール、例えば、位置センサを備えた高級で高品質な多目的挿入管ツールを、装置及び処置のコストを柔軟に計画及び管理することを可能にしながら使用することが可能となる。
【0022】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態に従った、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55を含むENT治療システム20の概略描画図である。いくつかの実施形態において、ENT位置追跡及び治療システム20は、ENTの医学的状態、例えば患者22のエウスタキオ管50内での感染症を診断及び/又は治療するように構成されている、医療機器、例えばENT挿入管28を備える。
【0023】
ENT挿入管28は、その遠位端に取り付けられたツール、例えば、医師24が患者22の鼻26に挿入する、ENTツール38を備える。ディスプレイ36に見られるように、ENTツール38は位置センサ60を備える。ENT挿入管28は、ENTツール38の近位端に結合され、医師24が鼻26を通してエウスタキオ管50内へツール38を操作し、治療を適用することを補助するように構成されている、ハンドヘルドENT装置30を更に備える。ENT装置30は、ハンドル53に位置し得る受口と共に構成される。受口は、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55を受けることができる。
【0024】
一実施形態では、位置センサ60は位置信号を位置追跡システムに送信する。ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55からの有効化がなければ、位置センサ60は機能しない。一実施形態では、位置追跡システムは、システム20の一部である磁気位置追跡システム、例えばCARTO(商標)位置追跡を含む。CARTO(商標)位置追跡システムは、患者22の頭部内にある1つ以上の位置センサの位置を追跡するように構成される。
【0025】
システム20は、フレーム46に固定された磁場発生器44を含む位置パッド40を備える。位置センサ60は、磁場発生器からの感知された外部磁場に応答して位置信号を生成し、その結果、プロセッサ34は、システム20の座標系において、センサ60の位置をマッピングすることができる。位置パッド40は、センサ60の位置がマッピングされる固定された座標系を画定する。
図1に示す例示的な構成では、パッド40は、5つの磁場発生器44を備えるが、任意の他の好適な数の発生器44を備えてもよい。パッド40は、発生器44が患者22外部の固定された既知の位置に位置決めされるように、患者22の頭部41の下に配置された枕(図示せず)を更に備える。
【0026】
いくつかの実施形態において、システム20はコンソール33を含み、コンソール33は、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ34を含み、プロセッサ34は、磁気型の位置センサ60がその上に取り付けられたツール28から、ケーブル32を介して信号を受信するために、そして、本明細書に記載するシステム20のその他の部品を制御するために、好適な前面端及びインターフェース回路を備える。
【0027】
コンソール33は、入力デバイス39とユーザディスプレイ36とを更に備え、ユーザディスプレイ36は、プロセッサ34から受信された関連するデータ(例えば位置座標)、又は医師24によって挿入された入力を表示するように構成されている。コンソール33は駆動回路(図示せず)を備え、駆動回路は、頭部41の回りの予め定義された作業範囲内に磁場を発生させるように、好適な信号で磁場発生器44を駆動するように構成されている。
【0028】
磁場を使用して位置感知をする本方法は、様々な医療応用、例えばBiosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)により製造されたCARTO(商標)システムに実装され、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに、米国特許公開公報第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、これらの開示は全て、参照により本明細書に組み込まれている。
【0029】
図1は、簡潔性かつ明瞭性のため、開示技法に関連する要素のみを示す。システム20は、典型的に、開示技法に直接には関連せず、したがって
図1及び対応する説明から意図的に省略されている付加的なモジュール及び要素を備える。
【0030】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行するように、かつソフトウェアによって処理されるか、又は別様に使用されるデータをメモリ(図示せず)に記憶するようにプログラムされ得る。このソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子的形態でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的、若しくは電子的メモリ媒体など、持続性の有形媒体上に提供されてもよい。代替的に、プロセッサ34の機能の一部又は全ては、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0031】
ENTツール用の、位置追跡を可能にするコネクタ
図2は、耳48、及び、本発明の一実施形態に従った、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55がハンドル53にて受口54に差し込まれた挿入管28などの、ENT侵襲性機器の側面断面図である。
【0032】
医療処置の間、医師24は挿入管28を操作して、ENTツール38を患者のENTシステムの中(本実施例ではエウスタキオ管50の中)に挿入する。ENTツール38は、患者22の外部に位置するENT装置30と結合され、鼻から、耳48のエウスタキオ管50にENTツール38をナビゲートするために、医師24により使用されてよい。更に、又は代替的に、ENTツール38のナビゲートのために、任意の他の好適な装置が医師により使用されてよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、ENTツール38は、上の
図1で記載したように、位置追跡システムに接続された位置センサ60を更に備える。ENT装置30は、そのハンドル53に受口54が備え付けられている。ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55は受口54内に差し込むことが可能であり、これにより、エウスタキオ管50内での位置センサ60によるENTツール38の位置の追跡が可能となる。
【0034】
いくつかの実施形態において、位置追跡を可能にするコネクタ55が受口54の中に差し込まれていない間、センサ60は安全な方法で、電気的に切断されている、又は無効化されている。例えば、一実施形態では、ハンドル53の中の調査回路57は受口54にワイヤ接続されており、位置追跡を可能にするコネクタ55内に位置するイネーブル回路により接続され得る、又は接続され得ないパッシブ回路(例えば、はんだ付けされた相互接続)を含む(
図3を参照)。決定は、位置追跡を可能にするコネクタ55にコードされた使用条件に応じて、イネーブル回路により行われる。
【0035】
開示された実施例では、それ故、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55が受口54の中に差し込まれた場合、そして位置追跡を可能にするコネクタ55にコードされた使用条件が有効である場合、コネクタ55内のイネーブル回路が調査回路57と共に連続して回路を閉じ、位置センサ60が制御コンソール(例えば
図1に示すもの)で利用可能となり、これを行うことにより、位置追跡が可能となる。
【0036】
図1及び
図2に記載するENT挿入管28、及び特にENTの位置追跡を可能にするコネクタ55の構成は、単に例として示されている。代替実施形態において、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55は、任意の好適な寸法及び形状を有し、2つ以上のENTツール、例えば、アブレーションカテーテル及び吸引ツール用に位置合わせの機能性を可能にし得るように配置された、任意の好適な構成を含んでよい。受口54の代わりに、任意の種類、形状、及び形態のコネクタ、例えば、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55に含まれる受口に適合するプラグを使用してよい。別の例として、
図1及び
図2に記載される実施形態では磁気センサである位置センサ60は、位置信号を生成するように構成されている、1つのコイル、又は任意の他の好適な数のコイルを含んでよい。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に従った、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55を概略的に示すブロック図である。外側から見えるように、位置追跡を可能にするコネクタ55は、ケース62及びプラグ56を備える。ケース62の中において、位置追跡を可能にするコネクタ55はイネーブル回路64及び計数回路66を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55は、コードされる使用条件(例えば、以下で説明するとおり、所与の使用セッション及び/又は使用期限)の元でのみ、位置センサ60の操作を可能にする。
図3の例において、イネーブル回路64及び/又は計数回路66は、コードされた使用条件を保持して、それに対応して、位置センサ60がコンソール33に位置信号を送信することを選択的に可能にするように構成される。コードされた使用条件が、所与の最大数の使用セッションを含む場合において、計数回路66は、事前設定した最大数の使用セッションに到達したか否かをイネーブル回路64に示すように構成され、イネーブル回路64は、使用セッションが事前設定した最大数に到達した際に、位置センサの通信を不可能にする(例えば非活性化する)ように構成される。
【0039】
一実施形態では、位置追跡を可能にするコネクタ55は、無線周波数識別(RFID)回路を含む。位置追跡を可能にするコネクタ55がENT挿入管28に差し込まれると、コードされた使用条件が、RFID回路を用いて認証され、コードされた使用条件が有効である場合、位置追跡を可能にするコネクタ55は、位置センサ60がコンソール33に位置信号を送信することを可能にする。
【0040】
図4A及び4Bは、本発明の実施形態に従った、それぞれ計数回路88A及び88Bの操作原理を示す、詳細な回路図である。
【0041】
一実施形態では、
図4Aに示す、計数回路66に含まれる回路88Aは、ENT医療機器の使用セッションをカウントするように構成されている、使用セッションカウンタ90Aを含む。誘導コイル91Aは、ENTツール38(そして、故にセンサ60)が、磁場発生器44により生成される磁場に曝された際に、コンデンサ92Aを帯電させる。ダイオード93Aにより、電流が直流(DC)であることが確実となる。ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55がコネクタ54の中に差し込まれた場合、コネクタ54は、回路88A内のスイッチ94Aを短絡(閉鎖)する。次に、電圧供給が、小型不揮発性メモリを含むカウンタ90Aにもたらされる。
【0042】
ENTコネクタ55がコネクタ54の中に差し込まれたときにいつでも、カウンタ90Aは電圧供給を受け、使用セッションの回数を、そのメモリに記憶された最後の値から1ずつ増やす。次に、カウンタ90Aは、線101を介してカウンタ90Aにより指令されるように、中継器96のスイッチを切り替えることにより、自ら接続を切る。任意の実施形態において、以前に保持された使用セッションの数、及び/又は残っている使用セッションの数はカウンタ90Aのピン100Aから読み取られ、例えば、英数字表記で医師に示される。
【0043】
別の実施形態では、
図4Bに示す、計数回路66に含まれる回路88Bは、回路88Aのコイル91A、コンデンサ92A、ダイオード93A及びスイッチ94Aに類似した機能を有するコイル91B、コンデンサ92B、ダイオード93B及びスイッチ94Bと、を含む。しかし、カウンタ90Bは、日付により使用の瞬間をカウントする(例えば、個々の使用日数をカウントする)ように構成される。この目的のために、回路88Bは一定の電源供給を受けるため、常にオンとなっている。回路88Bは、コネクタ54への/からの、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55の差し込み及び/又は取り外しの日付を記録する。故に、もしも、例えば、医師が同じ日に複数回、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55の接続を外して、また接続を行った場合、これらの複数のセッションでは、カウントされる使用セッションの数(例えば、既に使用された日数)は増加しない。
【0044】
一実施形態では、カウンタ90Bは、それぞれ、電圧を受ける、又は電圧を受けることを停止する線102により、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55の差し込み及び/又は取り外しを記録し、毎回(即ち、各々ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55を差し込む、又は取り外すことにより)スイッチ94Bは開閉される。任意の実施形態において、過去の使用日数及び/又は残っている使用日数のカウントはカウンタ90Bのピン100Bから読み取られ、例えば、英数字表記で医師に表示される。
【0045】
一実施形態では、識別回路64及び計数回路66は共に、1つのプリント配線基板に組み込まれている。位置追跡を可能にするコネクタ55の様々な要素が、例えば、1つ以上の個別の構成部品である現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)又は用途特異的な集積回路(ASIC)を使用して、ハードウェアに実装されてよい。いくつかの実施形態において、位置追跡を可能にするコネクタ55のいくつかの要素、例えば計数回路66は、ソフトウェアで実装してよいか、又はソフトウェアとハードウェア要素の組み合わせを使用して実装することができる。
図3に示す、位置追跡を可能にするコネクタ55の構成は例としての構成であり、単に概念を明確化するために示される。代替実施形態において、位置追跡を可能にするコネクタ55は、任意の他の好適な構成部品又は構成を使用して実装することができる。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態に従った、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55を使用した位置センサの操作を可能にし、制御する方法を概略的に示すフローチャートである。確認されるように、位置追跡機能性(例えば位置センサ60によりもたらされる)は当初、無効化ステップ72にて無効化されている。この段階では、
図1及び
図2に開示する実施例において、ENT侵襲性機器28のハンドル53内の調査回路57はまだ、位置追跡を可能にするコネクタ55内のイネーブル回路64を介して相互接続されていない。活性化ステップ74において、医師24は位置追跡を可能にするコネクタ55を受口54の中に差し込む。次に、調査回路57はイネーブル回路64を介して相互接続される(即ち、医療機器が、位置追跡を可能にするコネクタ55の存在を「検出する」)。
【0047】
確認ステップ75において、イネーブル回路64は、位置追跡を可能にするコネクタ55回路の1つにコードされた使用条件(例えば、計数回路66によりカウントされる、残っている使用セッションの数(即ち、最大数の使用セッション値に到達したか否か))が有効であるか否かを確認する。有効である場合、イネーブル回路64は有効化ステップ76において、位置センサ60の操作を可能にする。そうでない場合、即ち、位置追跡を可能にするコネクタ55にコードされた使用条件が無効であることをイネーブル回路64が検出する場合、イネーブル回路64は位置センサ60を無効のまま維持し、無効化ステップ72に折り返す。
【0048】
任意の実施形態において、位置追跡を可能にするコネクタ55のケース62に含有される英数字表記は、例えば、通知ステップ78にて、残っている使用セッションをカウンタ90Aから受信することにより、医師24に残っている使用セッションを表示する。
【0049】
図に示す、ENT侵襲性機器28及び位置追跡を可能にするコネクタ55の例示的構成は、単に概念を明確化するために選択されている。代替実施形態において、例えば、位置追跡及びアブレーションシステムに接続されたアブレーションカテーテルのような、他のENTツール及びENTシステムを含む、他の好適な構成を使用して、開示された技術を実装することができる。位置追跡を可能にするコネクタの構造及び機能性は、例えば、その回路、及び接続された医療機器とのコードされた使用条件の詳細、及びこれらの条件のコード方法などによって変化し得る。代替の実施態様において、侵襲性機器28は、活性の調査回路、及び活性のイネーブル回路の両方を含んでよい。ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55は、ひいては、コードされたパッシブ回路を含んでよい。任意の実施形態において、電子的に消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、及び/又はフラッシュメモリが、機能性の少なくとも一部、例えば調査及び有効化を実施することができるように、ENTの位置追跡を可能にするコネクタ55の様々な回路に取り付けられてよい。
【0050】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) 医療機器であって、
患者の体内に挿入するためのシャフトと、
前記シャフトの遠位端に取り付けられている1つ以上の位置センサと、
接合コネクタを受けるように構成されているコネクタと、
前記接合コネクタが前記コネクタに接続されているか否かを検出し、接続されていない場合、前記1つ以上の位置センサを使用した、前記体内における前記遠位端の位置の追跡を阻止するように構成されている、調査回路と、を含む医療機器。
(2) 前記シャフトの前記遠位端に結合され、耳鼻咽喉(ENT)処置を実施するように構成されているツールを含む、実施態様1に記載の医療機器。
(3) 前記1つ以上の位置センサは、位置信号を位置追跡システムに送信するように構成されている、実施態様1に記載の医療機器。
(4) ENTの位置追跡を可能にするコネクタであって、
ケースと、
前記ENTの位置追跡を可能にするコネクタを医療機器に接続するように構成されている、前記ケース上の接合コネクタと、
前記ケースに含有され、前記医療機器に接続した際に、患者の体内において前記医療機器の遠位端の位置の追跡を可能にするように構成されている、イネーブル回路と、を含む、コネクタ。
(5) 前記イネーブル回路は、位置追跡使用条件を認証し、前記使用条件が有効である場合にのみ、前記遠位端の前記位置の追跡を可能にするように構成されている、無線周波数識別(RFID)回路を含む、実施態様4に記載のENTの位置追跡を可能にするコネクタ。
【0052】
(6) 前記医療機器の使用セッションの事前設定した最大数でコードされ、前記事前設定した最大数の使用セッションに到達したか否かを前記イネーブル回路に示すように構成されている計数回路を含む、実施態様4に記載のENTの位置追跡を可能にするコネクタ。
(7) 前記イネーブル回路は、前記計数回路から、事前設定した最大数の使用セッション値に到達した指標を受信すると、前記遠位端の前記位置の追跡を阻止するように構成されている、実施態様6に記載のENTの位置追跡を可能にするコネクタ。
(8) 前記イネーブル回路及び前記計数回路は共に、1つの回路基板に組み込まれている、実施態様6に記載のENTの位置追跡を可能にするコネクタ。
(9) 方法であって、
患者の体内に挿入するためのシャフトと、前記シャフトの遠位端に取り付けられている1つ以上の位置センサと、コネクタと、を含む医療機器に関して、接合コネクタが前記コネクタに接続しているか否かを確認することと、
前記接合コネクタが接続されていない場合、前記1つ以上の位置センサを使用した前記体内における前記遠位端の位置の追跡を阻止することと、を含む方法。
(10) 前記医療機器は、耳鼻咽喉(ENT)臨床応用にて使用するために構成されている、実施態様9に記載の方法。
【0053】
(11) 前記遠位端の前記位置を追跡することは、位置信号を前記1つ以上の位置センサから位置追跡システムに送信することを含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 位置追跡を可能にする方法であって、
ケースと、前記ケース上のコネクタと、を含む位置追跡を可能にするデバイスにおいて、前記コネクタが、医療機器内で接合コネクタに接続しているか否かを確認することと、
前記コネクタが前記医療機器に接続されている場合、患者の体内において、前記医療機器の遠位端の位置の追跡を可能にすることと、を含む、方法。
(13) 前記追跡を可能にすることは、前記位置追跡を可能にするデバイスに結合した無線周波数識別(RFID)回路を使用して、位置追跡使用条件を認証することと、前記使用条件が有効である場合にのみ、前記追跡を可能にすることと、を含む、実施態様12に記載の位置追跡を可能にする方法。
(14) 前記追跡を可能にすることは、前記位置追跡を可能にするデバイスにおいて、前記医療機器の使用セッションの数をカウントすることと、事前設定した最大数の使用セッションに到達した場合に、前記遠位端の前記位置の追跡を阻止することと、を含む、実施態様12に記載の位置追跡を可能にする方法。