(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】アクティブ把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
B25J15/08 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018230878
(22)【出願日】2018-12-10
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】10 2017 129 506.2
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランドラー ブルーノ
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0175819(US,A1)
【文献】特表2016-517833(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02716593(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2653436(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/169717(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102005014838(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3181496(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2138434(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0939044(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02143674(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器処理装置において容器
を保持するアクティブ把持装置(1)であって、
保持対象である前記容器を保持する保持部(11)、および当該保持部(11)を
回動軸(12)を中心として能動的に変位させる制御カム(3)と相互作用する制御部(13)を各々が有している二つの把持腕(10)と、
前記保持部(11)が所定の位置にあるようにプリテンションを付与するプリテンション要素(14)と、
を備えており、
前記把持腕(10)と前記プリテンション要素(14)は、ワンピース品として形成されて
おり、
前記二つの把持腕(10)の各々は、前記回動軸(12)に対する傾きに抗して自身の位置を支持する第一支持要素(15)と第二支持要素(15’)を有しており、
前記第一支持要素(15)は、前記回動軸(12)が設けられた領域に形成されており、
前記第二支持要素(15’)は、前記回動軸(12)から離れた前記制御部(13)の端部に形成されている、
アクティブ把持装置(1)。
【請求項2】
前記容器処理装置において飲料容器の首部を保持するように構成されている、
請求項1に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項3】
前記プリテンション要素(14)は、前記保持部(11)が開位置にあるように前記把持腕(10)にプリテンションを付与しており、
前記制御部(13)は、前記保持部(11)を閉位置へ能動的に変位させるべく前記制御カム(3)と相互作用するように構成されている、
請求項1に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項4】
前記プリテンション要素(14)は、前記保持部(11)が閉位置にあるように前記把持腕(10)にプリテンションを付与しており、
前記制御部(13)は、前記保持部(11)を開位置へ能動的に変位させるべく前記制御カム(3)と相互作用するように構成されている、
請求項1に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項5】
前記二つの把持腕(10)の少なくとも一方は、回動軸(12)を中心として回動可能である、
請求項1から
4のいずれか一項に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項6】
前記制御部(13)は、レバー腕(130)の形態で前記把持腕(10)に形成されている、
請求項1から
5のいずれか一項に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項7】
前記プリテンション要素(14)は、弓形ばねとして構成され
ている、
請求項1から
6のいずれか一項に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項8】
前記プリテンション要素(14)は、前記二つの把持腕(10)の一方から他方へ延びる弓状要素(140)の形態に構成されている、
請求項7に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項9】
前記制御部(13)と前記プリテンション要素(14)は、前記把持腕(10)において前記保持部(11)とは反対側に配置され
ている、
請求項1から
8のいずれか一項に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項10】
前記保持部(11)は、前記把持腕(10)において前記回動軸(12)の一方の側に配置されており、前記制御部(13)と前記プリテンション要素(14)の少なくとも一方は、前記把持腕(10)において前記回動軸(12)の他方の側に配置されている、
請求項9に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項11】
前記二つの把持腕(10)の少なくとも一方は、その上側面に流体を流し去るための傾斜面(16)を有している、
請求項1から
10のいずれか一項に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項12】
前記
第二支持要
素(15’)は、レバー腕(130)として構成された前記制御部(13)の自由端(132)と前記プリテンション要素(14)の少なくとも一方に配置されている、
請求項
1に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項13】
前記制御部(13)は、弾性を有するように構成され
ている、
請求項1から
12のいずれか一項に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項14】
前記制御部(13)を形成している各レバー腕(130)に弾性要素が形成されているか、前記制御部(13)が弾性を有する形状とされているかの少なくとも一方である、
請求項13に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項15】
前記レバー腕(130)は、少なくとも所定の領域において弾性変形が可能となるような長さと断面形状を有している、
請求項14に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項16】
前記把持腕(10)と前記プリテンション要素(14)は、3Dプリンタまたは射出成形によりワンピース品として形成され
ている、
請求項1から
15のいずれか一項に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項17】
前記把持腕(10)と前記プリテンション要素(14)は、プラスチックから形成されている、
請求項16に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項18】
前記把持腕(10)と前記プリテンション要素(14)は、工業プラスチックまたは高性能プラスチックから形成されている、
請求項17に記載のアクティブ把持装置(1)。
【請求項19】
前記把持腕(10)と前記プリテンション要素(14)は、PEEKから形成されている、
請求項18に記載のアクティブ把持装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器処理装置において容器を保持するためのアクティブ把持装置、および容器処理装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
飲料充填プラントにおいては、被充填容器と充填済み容器の少なくとも一方を搬送する把持装置の使用が周知である。容器の充填は、容器処理装置における各処理ステーションを通じてなされる。これを目的とする様々な把持装置が知られている。これらは、処理対象の容器の保持の仕方が相違する。
【0003】
例えば、容器の挿入のみによって弾性的なプリテンションが得られ、当該容器を保持するパッシブ把持装置が知られている。そのように容器を把持するクランプは、独国特許出願公開第102015218204号明細書によって公知である。このクランプは、位置が固定されている。この場合、容器を把持するためには当該容器をクランプ内に押し込む必要がある。これにより、硬い把持腕が拡開される。すなわち、容器は、クランプの拡開により生じる把持腕の閉じ力に抗いつつ変位されることを要する。これにより、大きな力が挿入時の容器に加わる。したがって、このような保持装置は、破損または変形しやすい容器あるいは薄肉の容器には適当でない。少なくとも、把持される容器の表面は擦られる傾向にあるので、容器の品質低下に繋がる。
【0004】
保持部がアクチュエータによって能動的に開閉されるアクティブ把持装置も知られている。当該装置は、特に容器を前段の把持装置から安全かつ優しく受容することを可能にするために、あるいは容器を後段の把持装置へ同じく安全かつ優しく引き渡すことを確実にするために用いられる。具体的には、各把持装置の能動的な開閉が、把持される容器に対する摩擦の増加(容器上の擦れに繋がりうる)の回避を可能にする。加えて、所定の保持力あるいは把持力の設定が可能である。これにより、容器の寸法が所定の公差範囲内に収められうる。このような把持装置は、把持腕、ブッシュ、ばね要素、プリテンション要素、およびこれらの要素の接続を確保するための接続要素といった多数の独立したコンポーネントを備えている。したがって、このように構成された把持装置は、清掃が複雑であり、製品コストも高い。
【0005】
欧州特許出願公開第0939044号明細書により、把持装置が設けられたボトルグリッパが公知である。当該装置は、制御カムによって保持位置または解放位置をとりうる二つの把持腕を備えている。制御カムは、各把持腕に形成された接触面と係合する。接触面は、各把持腕上に配置された弾性パッドの一部として形成されている。
【0006】
欧州特許出願公開第2143674号明細書により、容器を保持するためのアクティブ把持装置が公知である。当該装置においては、別に配置された磁石により二つの把持腕が開位置に保持されている。把持腕は、閉じレバーを有している。閉じレバーは、二つの把持腕の間に配置された閉じカムと協働して把持腕を開位置から閉位置にする。
【0007】
独国特許出願公開第102005014838号明細書は、容器を保持するためのアクティブ把持装置を開示している。当該装置は、開閉のために相対変位が可能な二つの把持腕を備えている。容器の確実な保持を可能にするために、クランプの一方の把持腕の形状は不変であり、他方の把持腕の形状把持腕の弾性変形可能である。二つの把持腕に配置された磁石により、両者には開位置へのプリテンションが付与される。二つの把持腕は、制御カムによって閉位置へ回動される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に鑑み、本発明は、容器処理装置において容器を保持するための改善された把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有するアクティブ把持装置により達成される。当該アクティブ把持装置は、容器処理装置において容器を、好ましくは飲料容器の首部を保持する装置である。さらなる有利な構成は、従属請求項、明細書、および添付図面に記載の特徴により得られる。
【0010】
したがって、容器処理装置において容器を、好ましくは飲料容器の首部を保持するアクティブ把持装置が提供される。当該アクティブ把持装置は、保持対象である前記容器を保持する保持部、および当該保持部を能動的に変位させる制御カムと相互作用する制御部を各々が有している二つの把持腕と、前記保持部が所定の位置にあるようにプリテンションを付与するプリテンション要素とを備えており、前記把持腕と前記プリテンション要素は、ワンピース品として形成されている。
【0011】
これにより、把持腕同士は、プリテンション要素によって接続される。また、把持腕とプリテンション要素がワンピース品として形成されている。
【0012】
把持腕同士がプリテンション要素によって接続されており、把持腕とプリテンション要素がワンピース品として形成されているので、非常に簡易な構成のアクティブ把持装置が提供されうる。
【0013】
ワンピース構成により、従来のアクティブ把持装置と比べて部品点数が顕著に削減される。従来のように個々の部品(把持腕、プリテンション要素、およびこれらの部品の接続に必要とされる接続要素など)を複数用意する必要がない。従来の構成の場合、部品同士の組み付けが複雑になるとともに、部品同士の間に隙間が生じるので清掃に高い労力を要する。このような従来の構成に代えて、単一の部品を提供できる。
【0014】
したがって、組み付けに係る労力も不要であるだけでなく、ワンピース品として形成された部品は、清掃も非常に容易である。よって、上記のアクティブ把持装置は、厳しい衛生条件下のプラントでの使用に特に適している。さらに、請求項1に記載された特徴を有するアクティブ把持装置は、容器処理装置への取り付けが非常に容易である。複数個の部品同士の位置合わせを考慮する必要がないからである。
【0015】
好ましい実施形態においては、前記プリテンション要素は、前記保持部が開位置にあるように前記把持腕にプリテンションを付与しており、前記制御部は、前記保持部を閉位置へ能動的に変位させるべく前記制御カムと相互作用するように構成されている。
【0016】
これにより、把持腕が常に開位置に保持され、制御カムによって制御部が能動的に変位された場合(例えば制御カムの回転によって制御部が初期位置から変位された場合)のみ閉位置をとるべく把持腕が回動する構成が得られる。制御カムが逆回転すると、把持腕は開位置へと戻り、プリテンション要素の力により当該位置に保持される。よって、把持装置は、静止時において常に開位置をとり、制御部が能動的に操作された場合のみ閉じる。結果として、把持装置は、能動的に操作された場合のみ把持を行なう。制御カムによる把持腕の変位は、確実に容器が保持されることも可能にする。
【0017】
別の好ましい実施形態においては、前記プリテンション要素は、前記保持部が閉位置にあるように前記把持腕にプリテンションを付与しており、前記制御部は、前記保持部を開位置へ能動的に変位させるべく前記制御カムと相互作用するように構成されている。
【0018】
これにより、把持腕が常に閉位置に保持され、制御カムによって制御部が能動的に変位された場合(例えば制御カムの回転によって制御部が初期位置から変位された場合)のみ開位置をとるべく把持腕が回動する構成が得られる。制御カムが逆回転すると、把持腕は閉位置へと戻り、プリテンション要素の力により当該位置に保持される。
【0019】
よって、把持装置は、静止時において常に閉位置をとり、制御部が能動的に操作された場合のみ開く。すなわち、把持装置が容器を掴むようにプリテンションが付与される。容器処理プラントにおける移動領域の大半において、処理対象の容器は、当該プラントに搭載された把持装置によって常に保持される。したがって、把持装置を閉位置に保持するための別部品を不要にできる。よって、把持装置を能動的に開くために必要な制御カムは、保持部が開位置をとることを要する領域(容器の受け付けや受け渡しなどがなされる領域)にのみ設けられればよい。
【0020】
特に有利な把持装置の構成を提供するために、各把持腕は、回動軸を中心として回動可能とされうる。所定の回動軸を中心とする回動により、開位置と閉位置が正確にとられうる。
【0021】
別の好ましい実施形態として、前記制御部がレバー腕の形態で前記把持腕に形成されている場合、制御カムとの相互作用を簡易に行なうことができる。
【0022】
レバー腕の変位により、回動軸を中心として把持腕が回動する。これにより、制御カムは、把持腕に対する位置が固定されたピボット点を有しうる。制御カムに求められるのは回転のみである。
【0023】
別の好ましい実施形態においては、前記プリテンション要素は、弓形ばねとして構成されており、好ましくは、前記二つの把持腕の一方から他方へ延びる弓状要素の形態に構成されている。
【0024】
そのように構成されたプリテンション要素は、清掃が容易かつ簡易な製造が可能な形状を有する。加えて、プリテンションとして把持腕に付与される力が正確に特定されうる。これに加えてあるいは代えて、個々の用途に合わせて弓形ばね又は弓状要素の長さと断面積を設定することにより、当該力が調整される。
【0025】
別の好ましい実施形態として、前記制御部と前記プリテンション要素が前記把持腕において前記保持部とは反対側に配置されている場合、保持部の領域において容器の保持に干渉する部品をなくせる。加えて、処理媒体(容器に充填される、あるいは充填された充填物など)が制御部とプリテンション要素に接触する可能性を低減できる。
【0026】
好ましくは、前記保持部は、前記把持部において前記回動軸の一方の側に配置されており、前記制御部と前記プリテンション要素の少なくとも一方は、前記把持部において前記回動軸の他方の側に配置されている。
【0027】
厳しい衛生条件(無菌など)のプラントでの用途に特に適するようにアクティブ把持装置を構成するために、前記二つの把持腕の少なくとも一方は、その上側面に流体を流し去るための傾斜面を有しうる。
【0028】
これにより、傾斜面に付着した粒子や流体は、重力によって当該傾斜面を滑り落ちる。よって、微生物膜のような取れにくい汚れの形成が抑制あるいは防止される。
【0029】
当該傾斜面は、回動軸と直交する向きに延びる平面に対して少なくとも3°傾いていることが好ましい。これに加えてあるいは代えて、容器処理装置に対する把持装置の取り付け位置に関し、当該傾斜面は、重力加速度方向と直交する向きに延びる平面に対して少なくとも3°傾いていることが好ましい。
【0030】
より好ましくは、当該傾斜面は、粒子が外側へ(すなわち、把持装置の中央または中央面から離れるように)滑り落ちるような向きに延びている。換言すると、少なくとも一方の把持腕は、外方へ傾斜している。
【0031】
別の好ましい実施形態においては、前記把持腕は、離間している複数の支持要素を有している。前記複数の支持要素は、前記把持装置の取付位置に対する傾きに抗して、好ましくは前記回動軸に対する前記把持腕の位置を支持している。好ましくは、前記複数の支持要素の一つは、前記回動軸の領域に形成されている。これに加えてあるいは代えて、前記複数の支持要素の別の一つは、前記回動軸から離間している。より好ましくは、前記複数の支持要素の別の一つは、レバー腕として構成された前記制御部の自由端と前記プリテンション要素の少なくとも一方に配置されている。
【0032】
好ましくは、複数の支持要素は、容器処理装置において対応する支持領域または支持面と協働して自身を支持し、ひいては回動軸に対する傾きに抗して把持装置を支持する。回動軸における把持装置の軸受に生じるがたつきは、これによりほぼあるいは完全に防止されうる。
【0033】
別の好ましい実施形態においては、前記制御部は、弾性を有するように構成されている。好ましくは、前記制御部を形成している各レバー腕に弾性要素が形成されている。これに加えてあるいは代えて、前記制御部が弾性を有する形状とされている。好ましくは、前記レバー腕は、少なくとも所定の領域において弾性変形が可能となるような長さと断面形状を有している。
【0034】
これにより、制御カムにより印加される力を制御部が吸収でき、プリテンションによる力は、把持腕を介して優しく保持部へ加えられうる。これにより、容器を優しく確実に保持できる。加えて、制御カムによって把持装置の優しい動作が得られるだけでなく、制御部の弾性変形可能性によって容器の寸法公差を補いうる。これにより、特定の公差範囲内にある容器を安全に保持できる。制限はあるものの、正常に掴まれなかった容器も、安全に保持されうる。
【0035】
前記プリテンション要素が前記把持腕(好ましくは保持部と制御部)とともに3Dプリンタまたは射出成形によりワンピース品として形成されている場合、簡易で低コストな製造が可能であるとともに高い形成自由度が得られる。よって、把持腕とプリテンション要素の形状がワンピース品として設計可能でありながらも、特定の用途における条件への適合が可能である。
【0036】
別の好ましい実施形態においては、前記プリテンション要素は、前記把持腕(好ましくは保持部と制御部)とともにプラスチックからワンピース品として形成されており、より好ましくは工業プラスチックまたは高性能プラスチックから形成されており、最も好ましくはPEEKから形成されている。
【0037】
プラスチックの良好な加工性により、簡易な製造が可能である。加えて、アクティブ把持装置が、要求される機械的特性を持ちうる。例えば、プラスチック(好ましくはPA、より好ましくはPA6、PA66、あるいはPEEK)を選ぶことにより、長期にわたる耐機械的故障性と十分なプリテンションの付与性を提供できる。
【0038】
さらに、金属把持腕の軸受に一般的に使用されており、従来の把持装置においては必要な軸受ブッシュを不要にできる。選択されたプラスチック(特にPEEKの場合)の耐摩擦性により、把持腕における軸受穴について要求される公差と耐摩擦性が簡易な手法で得られる。
【0039】
プラスチックを用いた把持腕のプリテンション要素のワンピース構成により、簡易に製造でき取り付けと取り外しが容易な交換可能部品を提供できる。磨耗した古い部品は、粉砕されうる。再生された材料は、新たな部品の製造に再利用されうる。これにより、使用材料が低減される。加えて、把持腕とプリテンション要素にプラスチックを使用することにより、上記のアクティブ把持装置は、特に金属製の把持腕とプリテンション要素の少なくとも一方を備える従来の把持装置に比べて軽量である。
【0040】
上記の目的は、請求項12に記載の特徴を有する容器を保持する把持装置の把持腕によっても達成される。さらなる有利な構成は、従属請求項、明細書、および添付図面に記載の特徴により得られる。
【0041】
したがって、容器を保持する把持装置の把持腕が提供される。当該把持腕は、保持対象である前記容器を保持する保持部と、前記保持部を能動的に変位させる制御カムと相互作用する制御部と、前記把持装置の取付位置に対する傾きに抗して前記把持腕の回動軸に対する前記把持腕の位置を支持する離間した複数の支持要素と、を備えている。
【0042】
好ましくは、複数の支持要素は、容器処理装置において対応する支持領域または支持面と協働して自身を支持し、ひいては回動軸に対する傾きに抗して上記把持腕を備えた把持装置を支持する。回動軸における把持装置の軸受に生じるがたつきは、これによりほぼあるいは完全に防止されうる。
【0043】
把持装置の取付位置に対する傾きに抗して把持腕の回動軸に対する把持腕の位置を支持する離間した複数の支持要素を備えていることにより、非常に簡易な構成のアクティブ把持装置が提供されうる。
【0044】
把持装置自身が離間した複数の支持要素を備えているので、従来の把持装置と比べて部品数が削減されうる。これにより、把持装置において把持腕と被保持容器の少なくとも一方を支持するために従来は必要とされていたユニットや装置を不要にできる。したがって、把持装置や容器処理装置の組立てに係る労力が減る。また、部品間の隙間の数が減ることにより、把持装置や容器処理装置の清掃に係る労力が減る。
【0045】
加えて、請求項12に記載の特徴を有する把持腕は、把持装置や容器処理装置に対して簡易に搭載されうる。把持腕と別の支持装置が正しく位置合わせされていることの確認が不要だからである。別の好ましい実施形態に係る把持腕においては、前記複数の支持要素の一つは、前記回動軸の領域に形成されており、前記複数の支持要素の別の一つは、好ましくは制御部の端に、より好ましくはレバー腕として構成された前記制御部の自由端に配置されて前記回動軸から離間している。これにより、有効な(特に傾きを有効に防止できる)把持腕の軸受が提供される。
【0046】
回動軸の領域にある支持要素と当該支持要素から離間した位置にある支持要素との距離が増すにつれて、把持腕の軸受に生じうるがたつきは徐々に小さくなる。当該距離(すなわち二つの支持要素の間隔)が増すにつれて、回動軸から離間した位置にある支持要素の回動軸に沿う方向における変位に対応する傾き角が小さくなる。
【0047】
好ましくは、前記制御部は、弾性を有するように構成されている。この場合、前記制御部を形成している各レバー腕に弾性要素が形成されていることが好ましい。これに加えてあるいは代えて、前記制御部が弾性を有する形状とされている。前記レバー腕は、少なくとも所定の領域において弾性変形が可能となるような長さと断面形状を有していることが好ましい。これにより、制御カムにより印加される力を制御部が吸収でき、プリテンションによる力は、把持腕を介して優しく保持部へ加えられうる。これにより、容器を優しく確実に保持できる。加えて、制御カムによって把持装置の優しい動作が得られるだけでなく、制御部の弾性変形可能性によって容器の寸法公差を補いうる。これにより、特定の公差範囲内にある容器を安全に保持できる。制限はあるものの、正常に掴まれなかった容器も、安全に保持されうる。
【0048】
把持腕と少なくとも一つの支持要素がワンピース品として構成されている場合、簡易で低コストの製造が可能であるだけでなく、形成自由度が高まる。
【0049】
別の好ましい実施形態においては、前記把持腕と前記複数の支持要素の少なくとも一つは、3Dプリンタまたは射出成形によりワンピース品として形成されている。好ましくは、前記把持腕と前記複数の支持要素の少なくとも一つは、プラスチックから形成されており、より好ましくは工業プラスチックまたは高性能プラスチックから形成されており、最も好ましくはPEEKから形成されている。
【0050】
プラスチックの良好な加工性により、簡易な製造が可能である。加えて、アクティブ把持装置が、要求される機械的特性を持ちうる。例えば、プラスチック(好ましくはPA、より好ましくはPA6、PA66、あるいはPEEK)を選ぶことにより、長期にわたる耐機械的故障性と十分なプリテンションの付与性を提供できる。
【0051】
さらに、金属把持腕の軸受に一般的に使用されており、従来の把持装置においては必要な軸受ブッシュを不要にできる。選択されたプラスチック(特にPEEKの場合)の耐摩擦性により、把持腕における軸受穴について要求される公差と耐摩擦性が簡易な手法で得られる。
【0052】
プラスチックを用いた把持腕のプリテンション要素のワンピース構成により、簡易に製造でき取り付けと取り外しが容易な交換可能部品を提供できる。磨耗した古い部品は、粉砕されうる。再生された材料は、新たな部品の製造に再利用されうる。これにより、使用材料が低減される。加えて、把持腕とプリテンション要素にプラスチックを使用することにより、上記のアクティブ把持装置は、特に金属製の把持腕とプリテンション要素の少なくとも一方を備える従来の把持装置に比べて軽量である。
【0053】
これに加えてあるいは代えて、別の好ましい実施形態においては、前記複数の支持要素の少なくとも一つは、前記把持腕とは異なる材料、好ましくは金属または金属合金から形成されうる。これに加えてあるいは代えて、前記複数の支持要素の少なくとも一つは、別部品として、好ましくは軸受ブッシュとして提供されうる。これにより、要求される機械的特性(特に変形や摩耗に対する耐性)を有する支持要素を提供できる。他方、ストレスに曝される度合いが低い把持腕の他の領域は、例えば軽量や安価である別材料で形成されうる。
【0054】
好ましくは、前記把持腕とは異なる材料からなる前記複数の支持要素の少なくとも一つは、当該把持腕に挿入されるか、インサート品として射出成型または3D印刷されるかの少なくとも一方である。
【0055】
厳しい衛生条件(無菌など)のプラントでの用途に特に適するようにアクティブ把持装置を構成するために、前記把持腕の上側面は、流体を流し去るための傾斜面を少なくとも一つ有しうる。
【0056】
これにより、傾斜面に付着した粒子や流体は、重力によって当該傾斜面を滑り落ちる。よって、微生物膜のような取れにくい汚れの形成が抑制あるいは防止される。
【0057】
当該傾斜面は、回動軸と直交する向きに延びる平面に対して少なくとも3°傾いていることが好ましい。これに加えてあるいは代えて、容器処理装置に対する把持装置の取り付け位置に関し、当該傾斜面は、重力加速度方向と直交する向きに延びる平面に対して少なくとも3°傾いていることが好ましい。
【0058】
より好ましくは、当該傾斜面は、粒子が外側へ(すなわち、把持装置の中央または中央面から離れるように)滑り落ちるような向きに延びている。換言すると、少なくとも一方の把持腕は、外方へ傾斜している。
【0059】
上記の目的は、容器を処理する容器処理装置によっても達成される。当該容器処理装置は、クランプキャリアを備えている。当該クランプキャリア上には、上記の実施形態のいずれかに係る少なくとも一つのアクティブ把持装置と上記の実施形態のいずれかに係る少なくとも一つの把持腕を備えた把持装置の少なくとも一方が配置される。さらなる有利な構成は、明細書と図面に記載の特徴により得られる。
【0060】
あるいは、上記の実施形態に係る複数の把持腕とプリテンション要素は、別部品として提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明のさらなる好適な実施形態と態様は、以下に列挙する図面と以降の記載を通じてより詳細に説明される。
【0062】
【
図1】容器を保持するためのアクティブ把持装置を斜め上方から見た図である。
【
図2】
図1のアクティブ把持装置を正面視した図である。
【
図3】制御カムと協働する
図1のアクティブ把持装置を平面視した図である。
【
図4】
図1のアクティブ把持装置を備えた容器処理装置の一部を斜め下方から見た図である。
【
図5】
図4の容器処理装置の一部を斜め上方から見た図である。
【
図6】
図4の容器処理装置の一部を側面視した図である。
【
図7】別実施形態に係るアクティブ把持装置を備えた容器処理装置を平面視した図である。
【
図8】
図7のアクティブ把持装置を斜視した図である。
【
図9】
図8のアクティブ把持装置を側面視した図である。
【
図10】別実施形態に係るアクティブ把持装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図面の補助を得つつ、好適な実施形態の例が以下に記載される。各図においては、同一または同様の要素、あるいは同一の効果を奏する要素は、同一の参照符号により指示される。これらの要素について繰り返しとなる説明の一部は、冗長性を避けるために省略される。
【0064】
図1は、容器(ここでは不図示)を保持するためのアクティブ把持装置1を斜め上方から見た外観を模式的に示している。
【0065】
アクティブ把持装置1は、二つの把持腕10を備えている。各把持腕は、被保持容器を保持するための保持部11を有している。保持部11は、普通は被保持容器の首部(支持リングの直下など)を掴む。すなわち、アクティブ把持装置1は、容器処理装置において容器を「ネックハンドリング」するために有利に設けられうる。
【0066】
各把持腕10は、制御部13をさらに有している。制御部13は、把持腕10を(ひいては保持部11を)能動的に変位させるために制御カム(不図示)と相互作用する。
【0067】
保持部11と制御部13の間において、各把持部10は、回動軸12が通過する穴120を有している。したがって、把持腕10が回動可能に容器処理装置に搭載される場合、例えばボルトが各穴120に挿通されることにより、回動軸12を中心とする回動が可能とされる。
【0068】
把持腕10の各制御部13は、レバー腕130の形態とされる。レバー腕130は、回動軸12の領域から後方(すなわち回動軸12を挟んで保持部11とは反対側)へ延びている。
【0069】
把持腕10同士は、プリテンション要素14を介して接続されている。プリテンション要素14は、一方の把持腕10から他の把持腕10へ延びる弓状要素140の形態をとる。これにより、二つの把持腕10とプリテンション要素14は、ワンピースに形成されている。弓状要素140は、回動軸12の領域から後方へ延びているとともに、レバー腕130を包囲している。
【0070】
プリテンション要素14は、把持腕10にプリテンションを付与する。把持腕10は、
図1に示される開位置を保持部11がとる位置に、プリテンション要素14によって保持される。
【0071】
各穴120の周囲には、環状の支持要素15が設けられている。別の支持要素15’が各レバー腕130の自由端132に設けられている。支持要素15、15’は、
図6を参照して後述するように、容器処理装置の把持装置1における取付位置に対する把持腕10の位置を安定させる。
【0072】
把持腕10は、その上側に流体を流し去るための傾斜面16を有している。これにより、傾斜面16に付着した粒子や流体は、重力によって傾斜面を滑り落ちる。よって、微生物膜のような取れにくい汚れの形成が抑制あるいは防止される。傾斜面16は、少なくともアクティブ把持装置1における容器処理装置の処理領域に突出する部分にわたって延びている。一般的には、少なくとも保持部11と回動軸12の間の領域がこれに該当する。傾斜面16は、
図4から
図6において再び示される。
【0073】
より好ましい構成においては、当該傾斜面は、把持腕10の上側のほぼ全体にわたって(弓状要素140として構成されたプリテンション要素14にまで)延びる。
【0074】
図2は、
図1に示されたアクティブ把持装置1を前方から見た外観を模式的に示している。把持腕10の上側に傾斜面16が明瞭に確認できる。
【0075】
傾斜面16は、粒子が把持装置1の長手正中面または中央軸2に対して外方へ(すなわち長手正中面または中央軸2から離れる方向へ)滑り落ちるような向きに延びている。換言すると、少なくとも把持腕10の上側は、外方へ向かって傾斜している。支持要素15、15’は、傾斜領域を形成しない。それらの上面は、容器処理装置に固定される領域(不図示)に対して安定的に接触できるように、回動軸12と直交する向きに延びている。
【0076】
図3は、
図1と
図2に示されたアクティブ把持装置1が制御カム3と協働している様子を模式的に示す平面図である。
図3において、制御カム3の最長部は、アクティブ把持装置1の中央長手軸20と平行に延びている。この状態において、プリテンション要素14は、保持部11が開位置にある把持腕10にプリテンションを付与している。制御カム3が回転軸32を中心として回転すると、制御カム3は、レバー腕130を初期位置から外方へ付勢する。これにより、把持腕10は、回動軸12を中心とする回動に供される。把持腕10は、プリテンション要素14の力に抗しつつ、保持部11の閉位置まで回動する。制御カム3の回転により、保持部11は、閉位置まで能動的に変位する。すなわち、制御カム3との相互作用により、被保持容器が能動的に掴まれる。
【0077】
把持装置1を開くために、あるいは保持部11を開位置へ戻すためには、制御カム3は、
図3に示される位置まで逆回転されることを要する。把持腕10の回動に伴ってプリテンション要素14によって生成された力により、把持腕10は、
図3の示される位置へ戻るように回動する。これにより、保持部11は、開位置へと戻る。
【0078】
保持部11と制御部13を有する把持腕10は、プリテンション要素14ともに、プラスチック(本例ではPEEK)からワンピース品として形成されている。PEEKの弾性とレバー腕130の形状(すなわち長さと断面形状)により、制御部13は、弾性変形可能である。換言すると、レバー腕130は、PEEKの弾性に基づいて曲がり梁として構成される。制御部13は、制御カム3に加えられた力(すなわちプリテンション)を吸収可能であるので、当該力は把持腕10を介して優しく保持部11へ加えられうる。これにより、容器を優しく確実に保持できる。加えて、制御カム3によって把持装置1の優しい動作が得られるだけでなく、制御部13の弾性変形可能性によって容器の寸法公差を補いうる。これにより、特定の公差範囲内にある容器を安全に保持できる。制限はあるものの、正常に掴まれなかった容器や正常でない姿勢で供給された容器も、安全かつ損傷なく保持されうる。
【0079】
保持部11および制御部13を有する把持腕10とともにプリテンション要素14を備えているワンピース部は、本例の場合、3D印刷プロセスによって形成される。あるいは、射出成形によって形成されてもよい。
【0080】
図4は、
図1のアクティブ把持装置1を備えた容器処理装置6の一部を斜め下方から見た様子を模式的に示している。容器処理装置6は、例えば、洗浄カルーセル、充填カルーセル、装蓋カルーセル、搬送カルーセルなどでありうる。
【0081】
容器処理装置6は、ここでは不図示の軸を中心として回転可能なクランプキャリア4を備えている。クランプキャリア4の下側面40には、
図1から
図3に示されたアクティブ把持装置1が複数配置されている。ここでは、その一つが例示されている。アクティブ把持装置1は、下側面40とカウンタープレート5の間に配置されている。カウンタープレート5は、不図示の固定要素を介して、クランプキャリア4に装着および固定されている。把持腕10をクランプキャリア4に対して回動可能に配置するために、把持腕10の穴120にボルト(不図示)が挿通され、クランプキャリア4上の対応する取付穴とカウンタープレート5上の対応する取付穴52に装着される。これにより、把持腕10は、回動軸12を中心として回動可能とされる。
【0082】
カウンタープレート5の下方において、制御カム3は、レバー要素30を有している。レバー要素30は、容器処理装置6のアクチュエータ(ここでは不図示)との相互作用により、90°まで回転されうる。これにより、制御カム3は、
図3に示される位置と当該位置から90°回転した位置との間で変位されうる。あるいは、制御カム3は、制御部13と制御カム3の相互作用によって把持腕10を保持部11の閉位置に変位させるために、90°以外の回転角度(例えば30°、45°、50°、66°)をとりうるような輪郭形状とされうる。
【0083】
図5は、
図4に示された容器処理装置6の一部を斜め上方から見た様子を模式的に示している。把持腕10の一部のみがクランプキャリア4から外方へ突出していることがわかる。突出方向は、回動軸12から見て保持部11が延びる方向である。制御部13とプリテンション要素14は、レバー要素30を有する制御カム3とともに、クランプキャリア4の下方に配置されている。これにより、制御部13とプリテンション要素14は、レバー要素30を有する制御カム3とともに汚染から保護される一方、容器の受容と保持に干渉しうる部品は、保持部11の下方の領域に突出していない。
【0084】
図6は、
図4に示された容器処理装置6の一部を側方から見た様子を模式的に示している。回動軸12の周囲に支持要素15を有する把持腕10がクランプキャリア40の下側面40とカウンタープレート5の上側面50に当接していることがわかる。さらに、回動軸12から離れたアクティブ把持装置1の後部に位置する支持要素15’によって、把持腕10は、クランプキャリア40の下側面40とカウンタープレート5の上側面50に当接している。これにより、取り付け時にボルトと穴120によって生じる把持腕10の遊動が抑制される。特に、支持要素15’による支持は、回動軸12に対する把持腕10の傾きの回避を可能にする。
【0085】
図7は、別実施形態に係るアクティブ把持装置1を備えた容器処理装置6の模式平面図である。本実施形態に係るアクティブ把持装置1は、
図1に示されたものと実質的に同一である。本実施携帯では、支持要素15’は回動軸12から離れた位置にあるが、中央長手軸20の両側においてプリテンション要素14上に配置されている。これにより、制御カムのリングインサートが滑ることによる損傷のような、協働による損傷を回避できる。
【0086】
図8は、
図7に示されたアクティブ把持装置1の模式斜視図である。ワンピース品として支持要素15、15’を形成する隆起部が確認できる。
【0087】
図9は、
図8に示されたアクティブ把持装置1の模式側面図である。回動軸12の領域にある支持要素15と当該領域から離れて位置する支持要素15’の間隔17によって、回動軸12と平行な向きに沿う支持要素15’の変位がもたらす傾きは僅かである(傾き角は参照符号18で示されている)。
図6に示された実施形態における支持要素15’の配置は、容器処理装置6において対応する支持領域あるいは支持面との間に遊動を伴いうる。間隔17によって生じる支持要素15’と支持領域あるいは支持面との間に生じる回動軸12に沿う向きの遊動は僅かであり、生じうる傾き角18は十分小さいので、簡易な手法によって把持腕10の傾きをほぼ完全に防止できる。よって、把持腕10と把持装置1の構成は簡易でありながらも、ほぼ傾きのない装着を可能にできる。
【0088】
図10と
図11は、さらに別の実施形態に係るアクティブ把持装置1を模式的に示している。本実施形態の構成は、プリテンション要素14の弓形状が直線状部を有している以外は、
図1に示されたものと実質的に対応している。加えて、支持要素15、15’が金属製の別部品とされている。本例の場合、回動軸12の領域における支持要素15は、軸受ブッシュの形態であり、把持腕10に設けられた受け部または穴に押し込まれている。支持要素15の外径は、把持腕10が当該軸受ブッシュを中心として回動できるように定められている。すなわち、軸受ブッシュは、容器処理装置6への装着時に固定されうる。
【0089】
回動軸12から離れている同じく金属製の支持要素15’は、制御部13の端部において制御部13の材料によってオーバーモールドされている。換言すると、支持要素15’は、インサート成形品とされている。支持要素15’の端面は、制御部13の材料によって覆われておらず、耐磨耗性の摺動面とされている。
【0090】
上記の実施形態における把持腕10とプリテンション要素14は、別部品とされてもよい。
【0091】
発明の範囲から逸脱することなく可能な限りにおいて、各実施形態例について記載された各特徴は、組合せと交換の少なくとも一方が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1:把持装置、10:把持腕、11:保持部、12:回動軸、120:穴、13:制御部、130:レバー腕、132:自由端、14:プリテンション要素、140:弓状要素、15、15’:支持要素、16:傾斜面、17:間隔、18:傾斜角、2:中央軸、20:中央長手軸、3:制御カム、30:レバー要素、32:回転軸、4:クランプキャリア、40:下側面、5:カウンタープレート、50:上側面、52:取付穴、6:容器処理装置