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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】基板処理装置、および、基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230515BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H01L21/304 648L
H01L21/304 643A
H01L21/306 R
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019055429
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020155735
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 直子
(72)【発明者】
【氏名】樋口 鮎美
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恵理
(72)【発明者】
【氏名】岩畑 翔太
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/047541(WO,A1)
【文献】特開2006-112507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理を行うための処理液を供給するための複数の配管と、
複数の前記配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて前記基板を処理するための基板処理部と、
複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備え、
前記配管配置部は、複数のうちの少なくとも1つの前記配管を他の前記配管と隔離し、かつ、隔離されたそれぞれの区画における雰囲気を密閉する少なくとも1つの内壁を備える、
基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であり、
前記配管配置部は、前記基板処理部に隣接する流体ボックスである、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であり、
少なくとも1つの前記区画内には、複数の前記配管が配置され、
同じ前記区画内における複数の前記配管は、同種の前記処理液を供給するための前記配管である、
基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記区画内に気体を供給する気体供給部をさらに備える、
基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置であり、
前記気体供給部によって前記区画内に供給される前記気体は、ドライエアーまたは不活性ガスである、
基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記区画内における圧力を制御する圧力制御部をさらに備え、
前記圧力制御部が、前記区画内における圧力を、前記配管内における圧力以下に制御する、
基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置であり、
前記圧力制御部が、前記区画内における圧力を、前記配管内における圧力と等しくなるように制御する、
基板処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記内壁は、
第1の内壁層と、
前記第1の内壁層とは異なる材料からなり、かつ、前記第1の内壁層に積層される第2の内壁層とを備え、
前記第1の内壁層と前記第2の内壁層とは、互いに隔離される区画間を結ぶ方向に積層される、
基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であり、
前記第2の内壁層は、金属またはフッ素樹脂からなる、
基板処理装置。
【請求項10】
請求項1から7のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記内壁は、
第1の内壁層と、
前記第1の内壁層との間に隙間が形成される第2の内壁層とを備え、
前記第1の内壁層と前記第2の内壁層とは、互いに隔離される区画間を結ぶ方向に積層される、
基板処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理装置であり、
前記内壁は、前記隙間に形成される第3の内壁層をさらに備え、
前記第3の内壁層は、金属またはフッ素樹脂からなる、
基板処理装置。
【請求項12】
基板を洗浄処理またはエッチング処理するための処理液を供給するための複数の配管と、
複数の前記配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて前記基板を洗浄処理またはエッチング処理するための基板処理部と
複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備え、
前記配管配置部内の前記配管は、
前記処理液が流れる流路を囲む筒状の第1の配管材と、
前記第1の配管材を囲む筒状の第2の配管材とを備え、
前記第1の配管材と前記第2の配管材との間に密閉された隙間が形成される、
基板処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の基板処理装置であり、
前記配管配置部は、複数のうちの少なくとも1つの前記配管を他の前記配管と隔離し、かつ、隔離されたそれぞれの区画における雰囲気を密閉する少なくとも1つの内壁を備える、
基板処理装置。
【請求項14】
請求項12に記載の基板処理装置であり、
前記隙間内に気体を供給する気体供給部をさらに備える、
基板処理装置。
【請求項15】
基板を処理するための処理液を供給するための複数の配管と、
複数の前記配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて前記基板を処理するための基板処理部と
複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備え、
前記配管配置部内の前記配管は、
前記処理液が流れる流路を囲む筒状の第1の配管材と、
前記第1の配管材とは異なる材料からなり、かつ、前記第1の配管材を囲む筒状の第2の配管材と
前記第2の配管材とは異なる材料からなり、かつ、前記第2の配管材を囲む筒状の第3の配管材とを備え
板処理装置。
【請求項16】
請求項15に記載の基板処理装置であり、
前記第1の配管材および前記第3の配管材は、PFAからなり、
前記第2の配管材は、SUSを含む金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFを含むフッ素樹脂からなる、
基板処理装置。
【請求項17】
処理液を供給するための複数の配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて基板を処理するための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備える基板処理装置を用いて前記基板を処理する基板処理方法であり、
前記基板処理部が、前記処理液を用いて前記基板を処理する工程を備え、
前記配管配置部は、複数のうちの少なくとも1つの前記配管を他の前記配管と隔離し、かつ、隔離されたそれぞれの区画における雰囲気を密閉する少なくとも1つの内壁を備える、
基板処理方法。
【請求項18】
請求項17に記載の基板処理方法であり、
前記区画内に気体を供給する工程をさらに備える、
基板処理方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載の基板処理方法であり、
前記区画内における圧力を、前記配管内における圧力以下にする工程をさらに備える、
基板処理方法。
【請求項20】
請求項17から19のうちのいずれか1つに記載の基板処理方法であり、
前記区画内における圧力を、前記配管内における圧力と等しくする工程をさらに備える、
基板処理方法。
【請求項21】
処理液を供給するための複数の配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて基板の洗浄処理またはエッチング処理を行うための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備える基板処理装置を用いて前記基板の洗浄処理またはエッチング処理を行う基板処理方法であり、
前記基板処理部が、前記処理液を用いて前記基板を洗浄処理またはエッチング処理する工程を備え、
前記配管配置部内の前記配管は、
前記処理液が流れる流路を囲む筒状の第1の配管材と、
前記第1の配管材を囲む筒状の第2の配管材とを備え、
前記第1の配管材と前記第2の配管材との間に密閉された隙間が形成される、
基板処理方法。
【請求項22】
請求項21に記載の基板処理方法であり、
前記隙間内に気体を供給する工程をさらに備える、
基板処理方法。
【請求項23】
処理液を供給するための複数の配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて基板の処理を行うための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備える基板処理装置を用いて前記基板の処理を行う基板処理方法であり、
前記基板処理部が、前記処理液を用いて前記基板を処理する工程を備え、
前記配管配置部内の前記配管は、
前記処理液が流れる流路を囲む筒状の第1の配管材と、
前記第1の配管材とは異なる材料からなり、かつ、前記第1の配管材を囲む筒状の第2の配管材と
前記第2の配管材とは異なる材料からなり、かつ、前記第2の配管材を囲む筒状の第3の配管材とを備え
板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理装置、および、基板処理方法に関するものである。なお、処理対象となる基板には、たとえば、半導体基板、液晶表示装置または有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、プリント基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板(以下、単に「基板」と称する)の製造工程では、基板処理装置を用いて基板に対して様々な処理が行われている。当該処理には、当該基板の上面を処理するための処理液が用いられる。
【0003】
基板の処理には一般に複数の処理液が用いられるため、基板処理装置においては、これらの処理液を基板へ供給するための複数の配管が用いられる(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-163977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管内の処理液には、外部の雰囲気の成分が浸透する場合がある。逆に、配管内の処理液の成分が、外部の雰囲気へ浸透する場合もある。
【0006】
そうすると、処理液内に外部の雰囲気の成分(外部の雰囲気へ浸透した他の処理液を含む)が浸透することによって混合が生じ、さらに、処理液中にパーティクルが発生する場合がある。
【0007】
処理液の混合は処理液の均一性を低下させるため、当該処理液を用いる基板処理の均一性を低下させる原因となる。また、処理液中にパーティクルが発生すると、当該パーティクルが基板への付着物となる場合がある。
【0008】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、処理液の混合およびそれに伴うパーティクルの発生を抑制するための技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、基板の処理を行うための処理液を供給するための複数の配管と、複数の前記配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて前記基板を処理するための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備え、前記配管配置部は、複数のうちの少なくとも1つの前記配管を他の前記配管と隔離し、かつ、隔離されたそれぞれの区画における雰囲気を密閉する少なくとも1つの内壁を備える。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第2の態様は、第1の態様に関連し、前記配管配置部は、前記基板処理部に隣接する流体ボックスである。
【0011】
本願明細書に開示される技術の第3の態様は、第1または2の態様に関連し、少なくとも1つの前記区画内には、複数の前記配管が配置され、同じ前記区画内における複数の前記配管は、同種の前記処理液を供給するための前記配管である。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第4の態様は、第1から3のうちのいずれか1つの態様に関連し、前記区画内に気体を供給する気体供給部をさらに備える。
【0013】
本願明細書に開示される技術の第5の態様は、第4の態様に関連し、前記気体供給部によって前記区画内に供給される前記気体は、ドライエアーまたは不活性ガスである。
【0014】
本願明細書に開示される技術の第6の態様は、第1から5のうちのいずれか1つの態様に関連し、前記区画内における圧力を制御する圧力制御部をさらに備え、前記圧力制御部が、前記区画内における圧力を、前記配管内における圧力以下に制御する。
【0015】
本願明細書に開示される技術の第7の態様は、第6の態様に関連し、前記圧力制御部が、前記区画内における圧力を、前記配管内における圧力と等しくなるように制御する。
【0016】
本願明細書に開示される技術の第8の態様は、第1から7のうちのいずれか1つの態様に関連し、前記内壁は、第1の内壁層と、前記第1の内壁層とは異なる材料からなり、かつ、前記第1の内壁層に積層される第2の内壁層とを備え、前記第1の内壁層と前記第2の内壁層とは、互いに隔離される区画間を結ぶ方向に積層される。
【0017】
本願明細書に開示される技術の第9の態様は、第8の態様に関連し、前記第2の内壁層は、金属またはフッ素樹脂からなる。
【0018】
本願明細書に開示される技術の第10の態様は、第1から7のうちのいずれか1つの態様に関連し、前記内壁は、第1の内壁層と、前記第1の内壁層との間に隙間が形成される第2の内壁層とを備え、前記第1の内壁層と前記第2の内壁層とは、互いに隔離される区画間を結ぶ方向に積層される。
【0019】
本願明細書に開示される技術の第11の態様は、第10の態様に関連し、前記内壁は、前記隙間に形成される第3の内壁層をさらに備え、前記第3の内壁層は、金属またはフッ素樹脂からなる。
【0020】
本願明細書に開示される技術の第12の態様は、基板を洗浄処理またはエッチング処理するための処理液を供給するための複数の配管と、複数の前記配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて前記基板を洗浄処理またはエッチング処理するための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備え、前記配管配置部内の前記配管は、前記処理液が流れる流路を囲む筒状の第1の配管材と、前記第1の配管材を囲む筒状の第2の配管材とを備え、前記第1の配管材と前記第2の配管材との間に密閉された隙間が形成される。
本願明細書に開示される技術の第13の態様は、第12の態様に関連し、前記配管配置部は、複数のうちの少なくとも1つの前記配管を他の前記配管と隔離し、かつ、隔離されたそれぞれの区画における雰囲気を密閉する少なくとも1つの内壁を備える。
【0021】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、第12の態様に関連し、前記隙間内に気体を供給する気体供給部をさらに備える。
【0022】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、基板を処理するための処理液を供給するための複数の配管と、複数の前記配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて前記基板を処理するための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備え、前記配管配置部内の前記配管は、前記処理液が流れる流路を囲む筒状の第1の配管材と、前記第1の配管材とは異なる材料からなり、かつ、前記第1の配管材を囲む筒状の第2の配管材と、前記第2の配管材とは異なる材料からなり、かつ、前記第2の配管材を囲む筒状の第3の配管材とを備え
【0023】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、第1の態様に関連し、前記第1の配管材および前記第3の配管材は、PFAからなり、前記第2の配管材は、SUSを含む金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFを含むフッ素樹脂からなる
【0024】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、処理液を供給するための複数の配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて基板を処理するための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備える基板処理装置を用いて前記基板を処理する基板処理方法であり、前記基板処理部が、前記処理液を用いて前記基板を処理する工程を備え、前記配管配置部は、複数のうちの少なくとも1つの前記配管を他の前記配管と隔離し、かつ、隔離されたそれぞれの区画における雰囲気を密閉する少なくとも1つの内壁を備える。
【0025】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、第1の態様に関連し、前記区画内に気体を供給する工程をさらに備える。
【0026】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、第17または18の態様に関連し、前記区画内における圧力を、前記配管内における圧力以下にする工程をさらに備える。
【0027】
本願明細書に開示される技術の第20の態様は、第17から19のうちのいずれか1つの態様に関連し、前記区画内における圧力を、前記配管内における圧力と等しくする工程をさらに備える。
【0028】
本願明細書に開示される技術の第2の態様は、処理液を供給するための複数の配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて基板の洗浄処理またはエッチング処理を行うための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備える基板処理装置を用いて前記基板の洗浄処理またはエッチング処理を行う基板処理方法であり、前記基板処理部が、前記処理液を用いて前記基板を洗浄処理またはエッチング処理する工程を備え、前記配管配置部内の前記配管は、前記処理液が流れる流路を囲む筒状の第1の配管材と、前記第1の配管材を囲む筒状の第2の配管材とを備え、前記第1の配管材と前記第2の配管材との間に密閉された隙間が形成される。
【0029】
本願明細書に開示される技術の第2の態様は、第2の態様に関連し、前記隙間内に気体を供給する工程をさらに備える。
【0030】
本願明細書に開示される技術の第2の態様は、処理液を供給するための複数の配管が接続され、かつ、前記処理液を用いて基板の処理を行うための基板処理部と、複数の前記配管が互いに近接して配置される配管配置部とを備える基板処理装置を用いて前記基板の処理を行う基板処理方法であり、前記基板処理部が、前記処理液を用いて前記基板を処理する工程を備え、前記配管配置部内の前記配管は、前記処理液が流れる流路を囲む筒状の第1の配管材と、前記第1の配管材とは異なる材料からなり、かつ、前記第1の配管材を囲む筒状の第2の配管材と、前記第2の配管材とは異なる材料からなり、かつ、前記第2の配管材を囲む筒状の第3の配管材とを備え
【発明の効果】
【0031】
本願明細書に開示される技術の第1から11の態様によれば、内壁によってそれぞれの区画の雰囲気が隔離されているため、近接して配置された配管から当該配管外の雰囲気へ浸透した処理液が、隣接する区画における配管内へ浸透することが抑制される。よって、処理液の混合およびそれに伴うパーティクルの発生を抑制することができる。
【0032】
また、本願明細書に開示される技術の第12から14の態様によれば、第1の配管材と第2の配管材との間の密閉された隙間が配管内外の浸透を効果的に抑制するため、外部の雰囲気の成分が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0033】
また、本願明細書に開示される技術の第1または1の態様によれば、第2の配管材が配管内外の浸透を効果的に抑制するため、外部の雰囲気の成分が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0034】
また、本願明細書に開示される技術の第1から20の態様によれば、内壁によってそれぞれの区画の雰囲気が隔離されているため、近接して配置された配管から当該配管外の雰囲気へ浸透した処理液が、隣接する区画における配管内へ浸透することが抑制される。よって、処理液の混合およびそれに伴うパーティクルの発生を抑制することができる。
【0035】
また、本願明細書に開示される技術の第2または2の態様によれば、第1の配管材と第2の配管材との間の密閉された隙間が配管内外の浸透を効果的に抑制するため、外部の雰囲気の成分が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0036】
また、本願明細書に開示される技術の第2の態様によれば、第2の配管材が配管内外の浸透を効果的に抑制するため、外部の雰囲気の成分が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0037】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施の形態に関する、基板処理装置の構成の例を概略的に示す図である。
図2】実施の形態に関する基板処理装置における、液処理ユニットおよび関連する構成の例を概略的に示す図である。
図3】基板処理装置の各要素と制御部との接続関係の例を示す機能ブロック図である。
図4】流体ボックスの構成の変形例を示す図である。
図5】流体ボックスの構成の他の変形例を示す図である。
図6】流体ボックスの構成の他の変形例を示す図である。
図7】流体ボックスの一部の構成の変形例を示す断面図である。
図8】流体ボックスの一部の構成の他の変形例を示す断面図である。
図9】流体ボックスの一部の構成の他の変形例を示す断面図である。
図10】二重配管の構成の例を示す断面図である。
図11】二重配管の構成の他の例を示す断面図である。
図12】二重配管の構成の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0040】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0041】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0042】
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0043】
また、以下に記載される説明において、「第1の」、または、「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0044】
また、以下に記載される説明における、相対的または絶対的な位置関係を示す表現、たとえば、「平行」「中心」などは、特に断らない限りは、その位置関係を厳密に示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において角度または距離が変位している場合を含むものとする。
【0045】
また、以下に記載される説明において、等しい状態であることを示す表現、たとえば、「同一」「等しい」「均一」などは、特に断らない限りは、厳密に等しい状態であることを示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において差が生じている場合を含むものとする。
【0046】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
【0047】
また、以下に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体に加えて、対象となる構成要素の上面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「甲の上面に設けられる乙」と記載される場合、甲と乙との間に別の構成要素「丙」が介在することを妨げるものではない。
【0048】
また、以下に記載される説明において、形状を示す表現、たとえば、「四角形状」または「円筒形状」などは、特に断らない限りは、厳密にその形状であることを示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において凹凸または面取りなどが形成されている場合を含むものとする。
【0049】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置、および、基板処理方法について説明する。
【0050】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を概略的に示す図である。なお、構成を理解しやすくする観点から、当該図面においては、一部の構成要素が省略、または、簡略化されて示される場合がある。
【0051】
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置である。基板処理装置1は、基板Wに対して洗浄処理またはエッチング処理などの各種処理を行う。
【0052】
図1に例が示されるように、基板処理装置1は、X軸正方向に向かって順に、インデクサセクション2と、処理セクション3とを備える。
【0053】
また、処理セクション3は、X軸正方向に向かって順に、搬送領域30と、処理モジュール31と、処理モジュール32と、処理モジュール33とを備える。
【0054】
<インデクサセクション>
インデクサセクション2は、複数枚の基板Wを積層状態で収容可能な基板収容器21と、基板収容器21を支持するステージ22と、基板収容器21から未処理の基板Wを受け取り、また、処理セクション3において処理が完了した基板Wを基板収容器21へ渡すインデクサロボット23とを備える。
【0055】
なお、ステージ22の数は、図1の例では簡単のため1つとされたが、それ以上の数がY軸方向に並べられていてもよい。
【0056】
基板収容器21は、基板Wを密閉状態で収納するfront opening unified pod(FOUP)であってもよいし、standard mechanical inter face(SMIF)ポッド、または、open cassette(OC)などであってもよい。
【0057】
インデクサロボット23は、たとえば、基台部23Aと、多関節アーム23Bと、互いに鉛直方向に間隔をあけて設けられる2つのハンド23Cおよびハンド23Dとを備える。
【0058】
基台部23Aは、たとえば、基板処理装置1のインデクサセクション2の外形を規定するフレームに固定されている。
【0059】
多関節アーム23Bは、水平面に沿って回動可能な複数本のアーム部が互いに回動可能に結合されて構成されており、当該アーム部の結合箇所である関節部でアーム部間の角度を変更することによって、当該アーム部が屈伸可能に構成されている。
【0060】
また、多関節アーム23Bの基端部は、基台部23Aに対して、鉛直軸回りに回動可能に結合されている。さらに、多関節アーム23Bは、基台部23Aに対して昇降可能に結合されている。
【0061】
ハンド23Cおよびハンド23Dは、1枚の基板Wをそれぞれ保持可能に構成されている。
【0062】
インデクサロボット23は、ステージ22に保持された基板収容器21から1枚の未処理の基板Wを、たとえばハンド23Cを用いて搬出する。そして、インデクサロボット23は、X軸負方向から、搬送機構(ここでは、図示せず)に当該基板Wを渡す。なお、当該搬送機構には、直線状のレール上を移動するスライド機構、または、任意の方向および高さに基板Wを搬送する搬送ロボットなどが含まれる。
【0063】
さらに、インデクサロボット23は、搬送機構から1枚の処理済みの基板Wを、たとえばハンド23Dを用いて受け取る。そして、インデクサロボット23は、ステージ22に保持された基板収容器21に当該基板Wを収容する。
【0064】
<処理セクション>
搬送機構によって、基板Wは、インデクサセクション2に近いX軸負方向の位置と、それぞれの液処理ユニットとの間で搬送される。搬送領域30は、搬送機構によって基板Wが移動する空間である。
【0065】
処理セクション3における処理モジュール31は、搬送機構から供給される未処理の基板Wに規定処理を行う複数の液処理ユニット31Aと、液処理ユニット31Aに処理液を供給する流体ボックス41Aと、液処理ユニット31Bと、液処理ユニット31Bに処理液を供給する流体ボックス41Bと、液処理ユニット31Cと、液処理ユニット31Cに処理液を供給する流体ボックス41Cと、流体ボックス41A、流体ボックス41Bおよび流体ボックス41Cそれぞれに処理液を供給するための複数の配管が近接して配置される配管部51とを備える。
【0066】
同様に、処理セクション3における処理モジュール32は、搬送機構から供給される未処理の基板Wに規定処理を行う複数の液処理ユニット32Aと、液処理ユニット32Aに処理液を供給する流体ボックス42Aと、液処理ユニット32Bと、液処理ユニット32Bに処理液を供給する流体ボックス42Bと、液処理ユニット32Cと、液処理ユニット32Cに処理液を供給する流体ボックス42Cと、流体ボックス42A、流体ボックス42Bおよび流体ボックス42Cそれぞれに処理液を供給するための複数の配管が近接して配置される配管部52とを備える。
【0067】
同様に、処理セクション3における処理モジュール33は、搬送機構から供給される未処理の基板Wに規定処理を行う複数の液処理ユニット33Aと、液処理ユニット33Aに処理液を供給する流体ボックス43Aと、液処理ユニット33Bと、液処理ユニット33Bに処理液を供給する流体ボックス43Bと、液処理ユニット33Cと、液処理ユニット33Cに処理液を供給する流体ボックス43Cと、流体ボックス43A、流体ボックス43Bおよび流体ボックス43Cそれぞれに処理液を供給するための複数の配管が近接して配置される配管部53を備える。
【0068】
液処理ユニット31A、液処理ユニット31Bおよび液処理ユニット31Cは、Z軸正方向に順に重ねられており、処理タワーTW31を構成する。
【0069】
同様に、液処理ユニット32A、液処理ユニット32Bおよび液処理ユニット32Cは、Z軸正方向に順に重ねられており、処理タワーTW32を構成する。
【0070】
同様に、液処理ユニット33A、液処理ユニット33Bおよび液処理ユニット33Cは、Z軸正方向に順に重ねられており、処理タワーTW33を構成する。
【0071】
なお、液処理ユニットの数は、図1の例では簡単のため9つとされたが、液処理ユニットの数は図1の例の場合に限られるものではない。
【0072】
また、それぞれの液処理ユニットにおいて基板Wに対して行われる規定処理には、たとえば、処理用の液体(すなわち、処理液)またはガスを用いる流体処理、紫外線などの電磁波を用いる処理、または、物理洗浄処理(たとえば、ブラシ洗浄またはスプレーノズル洗浄など)などの各種の処理が含まれる。
【0073】
配管部51には、互いに同一または異なる処理液が流れる配管51A、配管51Bおよび配管51Cと、液処理ユニット31A、液処理ユニット31Bおよび液処理ユニット31Cからの排液が流れる排液用配管51Dとが近接して(たとえば、1cm程度の距離に)配置される。
【0074】
同様に、配管部52には、互いに同一または異なる処理液が流れる配管52A、配管52Bおよび配管52Cと、液処理ユニット32A、液処理ユニット32Bおよび液処理ユニット32Cからの排液が流れる排液用配管52Dとが近接して(たとえば、1cm程度の距離に)配置される。
【0075】
同様に、配管部53には、互いに同一または異なる処理液が流れる配管53A、配管53Bおよび配管53Cと、液処理ユニット33A、液処理ユニット33Bおよび液処理ユニット33Cからの排液が流れる排液用配管53Dとが近接して(たとえば、1cm程度の距離に)配置される。
【0076】
配管部51、配管部52および配管部53それぞれのZ軸負方向の下部には、複数の配管が接続される複数の開口が設けられている。また、配管部51、配管部52および配管部53それぞれの側面には、流体ボックスに連通する複数の開口が設けられている。
【0077】
そして、配管部51、配管部52および配管部53それぞれにおける処理液を供給するためのそれぞれの配管は、Z軸負方向の下部における開口に一端および他端が接続され、かつ、それぞれの配管の対応する液処理ユニットに延びる分岐配管が、流体ボックスに連通する開口に接続される。
【0078】
また、配管部51、配管部52および配管部53それぞれにおける排液用配管は、Z軸負方向の下部における開口に一端が接続され、かつ、分岐する他端が、流体ボックスに連通する開口に接続される。
【0079】
図2は、本実施の形態に関する基板処理装置における、液処理ユニット31Aおよび関連する構成の例を概略的に示す図である。なお、他の液処理ユニットの構成も、図2に例が示される場合と同様である。
【0080】
図2に例が示されるように、液処理ユニット31Aは、内部空間を有する箱形の処理室250と、処理室250内で1枚の基板Wを水平姿勢で保持しつつ基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線Z1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック251と、基板Wの回転軸線Z1まわりにスピンチャック251を取り囲む筒状の処理カップ511とを備える。
【0081】
処理室250は、箱状の壁250Aによって囲まれている。壁250Aには、処理室250内に基板Wを搬出入するための開口部250Bが形成されている。
【0082】
開口部250Bは、シャッタ250Cによって開閉される。シャッタ250Cは、シャッタ昇降機構(ここでは、図示せず)によって、開口部250Bを覆う閉位置(図2において二点鎖線で示される)と、開口部250Bを開放する開位置(図2において実線で示される)との間で昇降させられる。
【0083】
図2に例が示されるように、スピンチャック251は、水平姿勢の基板Wの下面を真空吸着する円板状のスピンベース251Aと、スピンベース251Aの中央部から下方に延びる回転軸251Cと、回転軸251Cを回転させることにより、スピンベース251Aに吸着されている基板Wを回転させるスピンモータ251Dとを備える。
【0084】
なお、スピンチャック251は、図2に例が示された真空吸着式のチャックである場合に限られず、たとえば、スピンベースの上面外周部から上方に突出する複数のチャックピンを備え、当該チャックピンによって基板Wの周縁部を挟持する挟持式のチャックであってもよい。
【0085】
図2に例が示されるように、液処理ユニット31Aには、隣接する流体ボックス41Aから延びる複数の配管が接続されている。
【0086】
ここで、流体ボックス41Aは、互いに隔離され、かつ、それぞれが密閉された区画である密閉区画160、密閉区画164、密閉区画152および密閉区画154と、それぞれの区画間を隔離し、かつ、それぞれの区画を密閉させる内壁141A、内壁141Bおよび内壁141Cとを備える。
【0087】
図2の例では、密閉区画160には、液処理ユニット31Aにリンス液を供給するための配管51Bおよびリンス液バルブ62が配置されている。また、密閉区画164には、液処理ユニット31Aに洗浄液を供給するための配管51Aおよび洗浄液バルブ66が配置されている。また、密閉区画152には、液処理ユニット31Aに薬液を供給するための配管51Cおよび薬液バルブ256が配置されている。また、密閉区画154には、液処理ユニット31Aからの排液が流れる排液用配管51Dが配置されている。
【0088】
それぞれの密閉区画内の雰囲気は、当該密閉区画外の雰囲気からは隔離されて密閉されている。なお、本実施の形態における「密閉」には、厳密な密閉だけでなく、たとえば、それぞれの密閉区画内に配管を通すために必要となる開口部(ここでは、図示せず)などによって微小な隙間が生じて、当該隙間によって厳密な密閉が保たれていない場合であっても、外部の雰囲気と隔離され混ざり合わない程度の状態も含まれるものとする。
【0089】
内壁によってそれぞれの密閉区画の雰囲気が隔離されているため、近接して配置された配管(たとえば、1cm程度の距離に配置された配管)から当該配管外の雰囲気へ浸透した処理液が、隣接する密閉区画内の配管内へ浸透することは十分に抑制される。
【0090】
ここで、浸透とは、処理液などに含まれるいずれかの成分が浸透することを含むものとする。
【0091】
揮発性が高い処理液は配管から浸透しやすく、また、配管内へ浸透しやすいため、基板処理の際に加熱される処理液(たとえば、基板処理の際に70℃に加熱される場合)などでは、上記の内壁が設けられることによって区画間の処理液の混合を抑制することは特に有効である。
【0092】
なお、他の液処理ユニットに対応する流体ボックスの構成も、流体ボックス41Aと同様である。
【0093】
流体ボックス41Aにおける密閉区画152を通る配管51Cは、液処理ユニット31Aに接続されている。そして、配管51Cの先端には、薬液ノズル252が接続されている。薬液ノズル252は、スピンチャック251に保持されている基板Wの上面に向けて薬液を吐出する。薬液としては、たとえば、IPA(イソプロピルアルコール)などの有機溶剤、または、塩酸、フッ酸、硫酸またはアンモニアなどの無機溶剤が用いられる。
【0094】
配管51Cの、薬液ノズル252とは反対側の端部は、薬液ノズル252に供給される薬液を貯留する薬液タンク253内に挿入される。また、配管51Cには、薬液タンク253内の薬液を配管51Cに送る送液装置255(たとえば、ポンプ)と、配管51Cの内部を開閉する薬液バルブ256と、薬液バルブ256よりも上流側(すなわち、薬液タンク253側)で配管51Cと薬液タンク253とを接続する循環配管257と、循環配管257の内部を開閉する循環バルブ258とが設けられる。
【0095】
また、たとえば、送液装置255および薬液タンク253は、循環キャビネット600内に配置される。
【0096】
薬液バルブ256および循環バルブ258の開閉は、後述の制御部によって制御される。薬液タンク253内の薬液が薬液ノズル252に供給される場合には、薬液バルブ256が開かれ、循環バルブ258が閉じられる。この状態では、送液装置255によって薬液タンク253から配管51Cに送られた薬液が、薬液ノズル252に供給される。
【0097】
一方、薬液ノズル252への薬液の供給が停止される場合には、薬液バルブ256が閉じられ、循環バルブ258が開かれる。この状態では、送液装置255によって薬液タンク253から配管51Cに送られた薬液が、循環配管257を通じて薬液タンク253内に戻る。そのため、薬液ノズル252への薬液の供給が停止されている供給停止中は、薬液が、薬液タンク253、配管51Cおよび循環配管257によって構成された循環経路を循環し続ける。
【0098】
また、図2に例が示されるように、流体ボックス41Aにおける密閉区画160を通る配管51Bが、液処理ユニット31Aに接続されている。そして、配管51Bの先端には、リンス液ノズル60が接続されている。リンス液ノズル60は、スピンチャック251に保持されている基板Wの上面に向けてリンス液を吐出する。
【0099】
配管51Bの、リンス液ノズル60とは反対側の端部には、リンス液供給源(ここでは、図示せず)が接続される。また、配管51Bには、リンス液供給源からリンス液ノズル60へのリンス液の供給および供給停止を切り換えるリンス液バルブ62が設けられる。リンス液としては、DIW(脱イオン水)などが用いられる。
【0100】
リンス液ノズル60からリンス液が基板Wに供給されることによって、基板Wに付着している付着物などを洗い流すことができる。
【0101】
また、図2に例が示されるように、流体ボックス41Aにおける密閉区画164を通る配管51Aが、液処理ユニット31Aに接続されている。そして、配管51Aの先端には、洗浄液ノズル64が接続されている。洗浄液ノズル64は、処理室250の内側の所定部位(たとえばスピンベース251A)に向けて洗浄液を吐出する。
【0102】
配管51Aの、洗浄液ノズル64とは反対側の端部には、洗浄液供給源(ここでは、図示せず)が接続される。また、配管51Aには、配管51Aから洗浄液ノズル64への洗浄液の供給および供給停止を切り換える洗浄液バルブ66が設けられる。洗浄液としては、DIW(脱イオン水)などが用いられる。
【0103】
洗浄液ノズル64は、処理室250の内壁に取り付けられている。スピンチャック251に基板Wが保持された状態で、スピンベース251Aが回転されると共に、洗浄液ノズル64から洗浄液が吐出される。
【0104】
そして、洗浄液ノズル64から吐出される洗浄液が、基板Wの上面で跳ね返って、処理室250内に洗浄液が飛散する。洗浄液をこのように飛散させることで、処理室250内に配置された各種部品(処理カップ511など)を洗浄することができる。
【0105】
処理カップ511は、スピンチャック251の周囲を取り囲むように設けられており、図示しないモータによって、鉛直方向に昇降する。処理カップ511の上部は、その上端がスピンベース251Aに保持された基板Wよりも上側となる上位置と、当該基板Wよりも下側になる下位置との間で昇降する。
【0106】
基板Wの上面から外側に飛散した処理液は、処理カップ511の内側面に受け止められる。そして、処理カップ511に受け止められた処理液は、処理室250の底部で、かつ、処理カップ511の内側に設けられた排液口513、さらには、密閉区画154を通る排液用配管51Dを介して、処理室250の外部に適宜排液される。
【0107】
また、処理室250の側部には、排気口515が設けられている。排気口515を通じて、処理室250内の雰囲気が処理室250外に適宜排出される。
【0108】
上記において、たとえば、密閉区画164と密閉区画152とは内壁141Bによって互いの雰囲気が隔離されているため、密閉区画164における配管51Aから浸透する洗浄液と、密閉区画152における配管51Cから浸透する薬液とが、雰囲気を介して混合することは十分に抑制される。
【0109】
よって、処理液の混合が生じ、さらに、処理液中にパーティクルが発生することを、ともに十分に抑制することができる。
【0110】
図3は、基板処理装置1の各要素と制御部7との接続関係の例を示す機能ブロック図である。
【0111】
制御部7のハードウェア構成は、一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部7は、各種演算処理を行う中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)71と、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるリードオンリーメモリー(read only memory、すなわち、ROM)72と、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるランダムアクセスメモリー(random access memory、すなわち、RAM)73と、制御用アプリケーション(プログラム)またはデータなどを記憶する非一過性の記憶部74とを備える。
【0112】
CPU71、ROM72、RAM73および記憶部74は、バス配線75などによって互いに接続されている。
【0113】
制御アプリケーションまたはデータは、非一過性の記録媒体(たとえば、半導体メモリ、光学メディアまたは磁気メディアなど)に記録された状態で、制御部7に提供されてもよい。この場合、当該記録媒体から制御アプリケーションまたはデータを読み取る読み取り装置がバス配線75に接続されているとよい。
【0114】
また、制御アプリケーションまたはデータは、ネットワークを介してサーバーなどから制御部7に提供されてもよい。この場合、外部装置とネットワーク通信を行う通信部がバス配線75に接続されているとよい。
【0115】
バス配線75には、入力部76および表示部77が接続されている。入力部76はキーボードおよびマウスなどの各種入力デバイスを含む。作業者は、入力部76を介して制御部7に各種情報を入力する。表示部77は、液晶モニタなどの表示デバイスで構成されており、各種情報を表示する。
【0116】
制御部7は、それぞれの液処理ユニットの作動部(たとえば、薬液バルブ256、循環バルブ258、リンス液バルブ62、洗浄液バルブ66、シャッタ250Cまたはスピンモータ251Dなど)、搬送機構を駆動させる駆動部(たとえば、搬送機構の往復移動のためのモータなど)、インデクサロボット23の作動部(たとえば、多関節アーム23Bを駆動させるためのモータなど)などに接続されており、それらの動作を制御する。
【0117】
<流体ボックスの変形例>
図2に示された例では、それぞれの密閉区画に1本の配管が配置されていたが、1つの密閉区画に複数本の配管が配置されていてもよい。
【0118】
図4は、流体ボックスの構成の変形例を示す図である。図4に示されるように、流体ボックス47では、リンス液を供給するための配管51Bと洗浄液を供給するための配管51Aとが同一の密閉区画166に配置されている。
【0119】
一方で、薬液の配管51Cは密閉区画167に配置され、排液用配管51Dは密閉区画168に配置されている。
【0120】
ここで、リンス液および洗浄液は、ともに同一の処理液、たとえば、DIW(脱イオン水)であるものとする。
【0121】
図4に示されるような構成によれば、内壁の数を削減しつつも、異なる処理液間の雰囲気を介する混合を抑制することができる。
【0122】
図5は、流体ボックスの構成の他の変形例を示す図である。図5に示されるように、流体ボックス48では、密閉区画160、密閉区画164および密閉区画152それぞれに対応して、気体供給部201、気体供給部202および気体供給部203が設けられる。
【0123】
気体供給部201、気体供給部202および気体供給部203は、対応する密閉区画に気体を供給することによって、当該密閉区画内の滞留していた気体を供給する気体に置換させる。そうすることによって、気体供給部201、気体供給部202および気体供給部203は、対応する密閉区画内の湿度を制御する。
【0124】
なお、気体供給部201、気体供給部202および気体供給部203が供給する気体は、たとえば、ドライエアーまたは窒素などの不活性ガスである。また、気体供給部201、気体供給部202および気体供給部203が供給する気体の流量は、たとえば、図3に示された制御部7によって制御される。
【0125】
図5に示されるような構成によれば、密閉区画内の湿度を低く抑えることによって、それぞれの密閉区画に配置された配管内に当該密閉区画内の雰囲気に含まれる水分などが浸透する度合いを低くすることができる。
【0126】
たとえば、処理液であるIPAに配管外の雰囲気に含まれる水分が浸透した場合、水分濃度が上昇し表面張力も大きくなるため、乾燥処理に伴って基板の上面におけるパターン破壊などが生じ得る。そのため、処理液への水分などの混合は、上記の湿度制御によって抑制する必要がある。
【0127】
なお、1つの気体供給部が、複数の密閉区画に気体を供給する態様であってもよい。
【0128】
また、図2の循環キャビネット600内または図1の配管部内に気体を供給する気体供給部が別途設けられていてもよい。このような構成によれば、それらの箇所においても、当該箇所における配管周りの雰囲気の湿度を低く抑えることによって、配管内に外部の雰囲気に含まれる水分が浸透する度合いを低くすることができる。
【0129】
図6は、流体ボックスの構成の他の変形例を示す図である。図6に示されるように、流体ボックス49では、密閉区画160、密閉区画164および密閉区画152それぞれに対応して、圧力制御部301、圧力制御部302および圧力制御部303が設けられる。
【0130】
圧力制御部301、圧力制御部302および圧力制御部303は、ドライエアー、窒素での減圧または真空制御などによって、対応する密閉区画内の圧力を制御する。そうすることによって、圧力制御部301、圧力制御部302および圧力制御部303は、密閉区画における配管内の圧力と、密閉区画内の圧力とのバランスを制御することができる。
【0131】
なお、圧力制御部301、圧力制御部302および圧力制御部303の圧力制御動作は、たとえば、図3に示された制御部7によって制御される。制御部7は、配管内の処理液の圧力を測定する圧力計などからの出力値に基づいて、当該出力値を基準とするフィードバック制御を、圧力制御部301、圧力制御部302および圧力制御部303に行ってもよい。
【0132】
図6に示されるような構成によれば、密閉区画内における配管外の圧力を、当該密閉区画における配管内の圧力以下とすることができる。さらには、密閉区画内における配管外の圧力を、当該密閉区画における配管内の圧力と等しくすることもできる。ただし、上記の「圧力が等しい」場合には、厳密に圧力が等しい場合だけでなく、たとえば、配管の内外で処理液の浸透が生じない範囲内で、密閉区画内における配管外の圧力と、当該密閉区画における配管内の圧力とが異なっている場合も含まれるものとする。
【0133】
図6に示されるような構成によれば、配管内外の圧力差によって配管外の雰囲気に含まれる成分が配管内の処理液に混合することを抑制する、望ましくは防ぐことができる。
【0134】
なお、複数の密閉区画間で、密閉区画内における配管外の圧力が同様に制御されてもよい。その場合、1つの圧力制御部が、複数の密閉区画における圧力を制御する態様であってもよい。
【0135】
また、図2の循環キャビネット600内または図1の配管部内の圧力を制御する圧力制御部が別途設けられていてもよい。このような構成によれば、それらの箇所においても、配管内外の圧力差によって配管外の雰囲気に含まれる成分が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0136】
なお、図4図5および図6の態様が、互いに組み合わせられて適用されてもよい。
【0137】
<内壁の変形例>
配管外の雰囲気を隔離し、かつ、密閉するための内壁は、流体ボックスだけでなく、特に、複数の配管が近接して配置される箇所、たとえば、図1の配管部などにおいて設けられていてもよい。
【0138】
また、上記の内壁は、それぞれの密閉区画の雰囲気を隔離し、かつ、密閉するものであればよいが、以下のような構造の内壁であってもよい。
【0139】
図7は、流体ボックスの一部の構成の変形例を示す断面図である。なお、以下の図では、流体ボックスにおける内壁の断面構造が示されるが、それぞれの内壁層の厚さは便宜的なものであり、流体ボックスの外壁を含めて実際の厚さの比率などを示すものではない。
【0140】
流体ボックス44は、少なくとも、密閉区画160と密閉区画164との間を隔離する内壁層144Aおよび内壁層144Bを備える。内壁層144Aと内壁層144Bとは互いに接触し、かつ、密閉区画160と密閉区画164とを結ぶ方向に積層されている。また、内壁層144Aは、内壁層144Bとは異なる材料からなる。なお、流体ボックス44が備える内壁の数は図7に示される数に限られるものではない。
【0141】
ここで、内壁層144Aおよび内壁層144Bのうちの一方(図7においては内壁層144Bだが、逆であってもよい)は、特に限定されないが、たとえば、ステンレス鋼(SUS)などの金属、または、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂であってもよい。
【0142】
図7に示されるような構成によれば、内壁層144Bが区画間の浸透を効果的に抑制するため、配管内の処理液の混合を抑制することができる。
【0143】
図8は、流体ボックスの一部の構成の他の変形例を示す断面図である。流体ボックス45は、少なくとも、密閉区画160と密閉区画164との間を隔離する内壁層145Aおよび内壁層145Bを備える。内壁層145Aおよび内壁層145Bは、たとえば、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂であってもよい。
【0144】
内壁層145Aと内壁層145Bとは互いに離間しており、内壁層145Aと内壁層145Bとの間に空気層である隙間165が形成されている。また、内壁層145Aと内壁層145Bとは、空気層を挟んで、密閉区画160と密閉区画164とを結ぶ方向に積層されている。なお、流体ボックス45が備える内壁の数は図8に示されるものに限られるものではない。
【0145】
このような構成によれば、内壁層145Aと内壁層145Bとの間の隙間165が区画間の浸透を効果的に抑制するため、配管内の処理液の混合を抑制することができる。
【0146】
さらに、上記の隙間165に気体を供給する気体供給部が別途設けられていてもよい。このような構成によれば、隙間165における雰囲気の湿度を低く抑えることによって、隙間165の雰囲気に含まれる水分が配管内に浸透する度合いを低くすることができる。
【0147】
なお、内壁層145Aおよび内壁層145Bのうちの少なくとも一方は、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂からなっていてもよい。
【0148】
図9は、流体ボックスの一部の構成の他の変形例を示す断面図である。流体ボックス46は、少なくとも、密閉区画160と密閉区画164との間を隔離する内壁層146A、内壁層146Bおよび内壁層146Cを備える。内壁層146Aおよび内壁層146Cは、たとえば、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂であってもよい。
【0149】
内壁層146Bは、内壁層146Aおよび内壁層146Cとは異なる材料からなり、かつ、内壁層146Aと内壁層146Cとの間に形成される。内壁層146Aと内壁層146Bとは互いに接触し、また、内壁層146Bと内壁層146Cとは互いに接触する。また、内壁層146A、内壁層146Bおよび内壁層146Cは、密閉区画160と密閉区画164とを結ぶ方向に積層されている。なお、流体ボックス46が備える内壁の数は図9に示されるものに限られるものではない。
【0150】
ここで、内壁層146Bは、特に限定されないが、たとえば、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂からなっていてもよい。
【0151】
図9に示されるような構成によれば、内壁層146Bが区画間の浸透を効果的に抑制するため、配管内の処理液の混合を抑制することができる。
【0152】
また、内壁層146Bは、密閉区画160および密閉区画164のうちのいずれの区画にも面していない。そのため、浸透を抑制するための材料の成分が密閉区画内の雰囲気に混入するなどによって当該雰囲気が汚染されてしまうことが抑制される。
【0153】
なお、流体ボックスに設けられる複数の内壁に、図7図8および図9のうちの異なる態様がそれぞれ適用されていてもよい。
【0154】
<配管の変形例>
上記の説明では、流体ボックスにおける構成の変形例が示されたが、流体ボックスに限られず、たとえば、図1の配管部、図2の循環キャビネット600内、図2の循環キャビネット600と流体ボックス41Aとを接続する配管経路などを含む領域において、配置される配管を二重配管とすることによって、配管外の雰囲気と配管内の雰囲気とを隔離することが望ましい。特に、図1の配管部などの、複数の配管が近接して(たとえば、1cm程度の距離に)配置される箇所では、二重配管によって配管内外の雰囲気を隔離することによって配管内の処理液の混合を抑制する効果は大きい。
【0155】
図10は、二重配管の構成の例を示す断面図である。なお、以下の図では、配管の断面構造が示されるが、それぞれの配管材の厚さは便宜的なものであり、実際の厚さの比率などを示すものではない。
【0156】
図10に例が示されるように、配管350は、リンス液、洗浄液または薬液などの処理液が流れる流路(図10の中心部分)を囲む筒状の配管材350Aと、配管材350Aをさらに囲む筒状の配管材350Bとを備える。配管材350Bは、配管材350Aとは異なる材料からなる。なお、配管材350Aおよび配管材350Bの形状は、図10に示されるような円筒形状に限られるものではなく、たとえば、角筒形状などであってもよい。
【0157】
配管材350Aは、PFAなどの樹脂材料からなる。一方で、配管材350Bは、配管材350Aとは異なる材料からなる。そして、配管材350Bは、特に限定されないが、たとえば、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂であってもよい。
【0158】
図10に示されるような構成によれば、配管材350Bが配管内外の浸透を効果的に抑制するため、配管内の処理液の混合を抑制することができる。
【0159】
図11は、二重配管の構成の他の例を示す断面図である。図11に例が示されるように、配管351は、処理液が流れる流路(図11の中心部分)を囲む筒状の配管材351Aと、配管材351Aをさらに囲む筒状の配管材351Bと、配管材351Bをさらに囲む筒状の配管材351Cとを備える。配管材351Bは、配管材351Aおよび配管材351Cとは異なる材料からなる。なお、配管材351A、配管材351Bおよび配管材351Cの形状は、図11に示されるような円筒形状に限られるものではなく、たとえば、角筒形状などであってもよい。
【0160】
配管材351Aおよび配管材351Cは、PFAなどの樹脂材料からなる。なお、配管材351Aと配管材351Cとは、同じ材料から構成されていてもよい。一方で、配管材351Bは、配管材351Aおよび配管材351Cとは異なる材料からなる。そして、配管材351Bは、特に限定されないが、たとえば、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂であってもよい。
【0161】
図11に示されるような構成によれば、配管材351Bが配管内外の浸透を効果的に抑制するため、配管内の処理液の混合を抑制することができる。また、配管材351Cがさらに設けられることによって、たとえば、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂からなる配管材351Bが配管外の雰囲気に曝されることがないため、配管材351Bと配管外の雰囲気との間で生じ得る反応を抑制することができる。
【0162】
図12は、二重配管の構成の他の例を示す断面図である。図12に例が示されるように、配管352は、処理液が流れる流路(図12の中心部分)を囲む筒状の配管材352Aと、配管材352Aをさらに囲む筒状の配管材352Bとを備える。なお、配管材352Aおよび配管材352Bの形状は、図12に示されるような円筒形状に限られるものではなく、たとえば、角筒形状などであってもよい。
【0163】
ここで、配管材352Aと配管材352Bとの間に密閉された空間である隙間353が形成される。また、配管材352Aおよび配管材352Bは、PFAなどの樹脂材料からなる。
【0164】
図12に示されるような構成によれば、配管材352Aと配管材352Bとの間の隙間353が配管内外の浸透を効果的に抑制するため、外部の雰囲気の成分が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0165】
さらに、上記の隙間353内に気体を供給する気体供給部354が別途設けられていてもよい。このような構成によれば、隙間353における雰囲気の湿度を低く抑えることによって、隙間353の雰囲気に含まれる水分が配管内に浸透する度合いを低くすることができる。
【0166】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0167】
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、複数の配管(配管51A、配管51Bおよび配管51C)と、基板処理部と、配管配置部とを備える。ここで、基板処理部は、たとえば、液処理ユニット31Aに対応するものである。また、配管配置部は、たとえば、流体ボックス41Aまたは配管部51など、複数の配管が近接して配置される箇所に対応するものである。配管は、基板Wの処理を行うための処理液(薬液、リンス液および洗浄液を含む)を供給する。液処理ユニット31Aには、複数の配管が接続される。また、液処理ユニット31Aは、処理液を用いて基板Wを処理する。流体ボックス41Aでは、複数の配管が互いに近接して配置される。また、流体ボックス41Aは、複数のうちの少なくとも1つの配管51Aを他の配管51Bと隔離し、かつ、隔離されたそれぞれの区画(図2においては、密閉区画160および密閉区画164)における雰囲気を密閉する内壁141Aを備える。
【0168】
このような構成によれば、処理液の混合およびそれに伴うパーティクルの発生を抑制することができる。具体的には、内壁によってそれぞれの密閉区画の雰囲気が隔離されているため、近接して配置された配管(たとえば、1cm程度の距離に配置された配管)から当該配管外の雰囲気へ浸透した処理液が、隣接する密閉区画における配管内へ浸透することは十分に抑制される。
【0169】
なお、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0170】
また、以上に記載された実施の形態によれば、配管配置部は、液処理ユニット31Aに隣接する流体ボックスである。このような構成によれば、液処理ユニット31Aに接続される複数の配管が近接して配置される流体ボックスにおいて内壁が設けられることによって、密閉区画を跨いで近接して配置された配管から当該配管外の雰囲気へ浸透した処理液が、隣の密閉区画における配管内へ浸透することは十分に抑制される。
【0171】
また、以上に記載された実施の形態によれば、少なくとも1つの密閉区画166内には、複数の配管51Aおよび配管51Bが配置される。そして、同じ密閉区画166内における複数の配管51Aおよび配管51Bは、同種の処理液を供給するための配管である。このような構成によれば、内壁の数を削減しつつも、異なる処理液間の雰囲気を介する混合を抑制することができる。
【0172】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、密閉区画内に気体を供給する気体供給部201、気体供給部202および気体供給部203を備える。このような構成によれば、密閉区画内の湿度を低く抑えることによって、それぞれの密閉区画に配置された配管内に当該密閉区画内の雰囲気に含まれる水分などが浸透する度合いを低くすることができる。
【0173】
また、以上に記載された実施の形態によれば、気体供給部201によって密閉区画160内に供給される気体は、ドライエアーまたは不活性ガスである。このような構成によれば、密閉区画内の湿度を低く抑えるように湿度を制御することができる。
【0174】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、密閉区画160内における圧力を制御する圧力制御部301を備える。そして、圧力制御部301が、密閉区画160内における圧力を、配管51B内における圧力以下に制御する。このような構成によれば、配管内外の圧力差によって配管外の雰囲気に含まれる成分(たとえば、水分)が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0175】
また、以上に記載された実施の形態によれば、圧力制御部301が、密閉区画160内における圧力を、配管51B内における圧力と等しくなるように制御する。このような構成によれば、配管内外の圧力差によって配管外の雰囲気に含まれる成分(たとえば、水分)が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0176】
また、以上に記載された実施の形態によれば、内壁は、第1の内壁層と、第2の内壁層とを備える。ここで、第1の内壁層は、たとえば、内壁層144Aおよび内壁層146Aのうちのいずれか1つに対応するものである。また、第2の内壁層は、たとえば、内壁層144Bおよび内壁層146Bのうちのいずれか1つに対応するものである。ここで、内壁層144Bは内壁層144Aとは異なる材料からなる。また、内壁層144Bは、内壁層144Aに積層される。同様に、内壁層146Bは内壁層146Aとは異なる材料からなる。また、内壁層146Bは、内壁層146Aに積層される。また、第1の内壁層と第2の内壁層とは、互いに隔離される区画間を結ぶ方向に積層される。このような構成によれば、内壁層144B(内壁層146B)が区画間の浸透を効果的に抑制するため、配管内の処理液の混合を抑制することができる。
【0177】
また、以上に記載された実施の形態によれば、内壁層144Bおよび内壁層146Bは、金属またはフッ素樹脂からなる。このような構成によれば、内壁層144B(内壁層146B)が区画間の浸透を効果的に抑制するため、配管内の処理液の混合を抑制することができる。
【0178】
また、以上に記載された実施の形態によれば、内壁は、第1の内壁層と、第2の内壁層とを備える。ここで、第1の内壁層は、たとえば、内壁層145Aおよび内壁層146Aのうちのいずれか1つに対応するものである。また、第2の内壁層は、たとえば、内壁層145Bおよび内壁層146Cのうちのいずれか1つに対応するものである。内壁層145Bは、内壁層145Aとの間に隙間165が形成される。そして、内壁層145Aと内壁層145Bとは、互いに隔離される区画間を結ぶ方向に積層される。このような構成によれば、内壁層145Aと内壁層145Bとの間の隙間165が区画間の浸透を効果的に抑制するため、配管内の処理液の混合を抑制することができる。
【0179】
また、以上に記載された実施の形態によれば、内壁は、内壁層146Aと内壁層146Cとの間の隙間に形成される第3の内壁層を備える。ここで、第3の内壁層は、たとえば、内壁層146Bに対応するものである。そして、内壁層146Bは、金属またはフッ素樹脂からなる。このような構成によれば、内壁層146Bは、密閉区画160および密閉区画164のうちのいずれの区画にも面していない。そのため、浸透を抑制するための材料が密閉区画内の雰囲気に混入するなどによって当該雰囲気が汚染されてしまうことが抑制される。
【0180】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、基板Wを処理するための処理液を供給するための配管352と、配管352が接続され、かつ、処理液を用いて基板Wを処理するための液処理ユニット31Aとを備える。配管352は、筒状の第1の配管材と、筒状の第2の配管材とを備える。ここで、第1の配管材は、たとえば、配管材352Aに対応するものである。また、第2の配管材は、たとえば、配管材352Bに対応するものである。配管材352Aは、処理液が流れる流路を囲む。配管材352Bは、配管材352Aを囲む。そして、配管材352Aと配管材352Bとの間に密閉された隙間353が形成される。このような構成によれば、配管材352Aと配管材352Bとの間の隙間353が配管内外の浸透を効果的に抑制するため、外部の雰囲気の成分(たとえば、水分)が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0181】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、隙間353内に気体を供給する気体供給部354を備える。このような構成によれば、隙間353における雰囲気の湿度を低く抑えることによって、隙間353の雰囲気に含まれる水分が配管内に浸透する度合いを低くすることができる。
【0182】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、基板Wを処理するための処理液を供給するための配管350と、配管350が接続され、かつ、処理液を用いて基板Wを処理するための液処理ユニット31Aとを備える。そして、配管350は、筒状の第1の配管材と、筒状の第2の配管材とを備える。ここで、第1の配管材は、たとえば、配管材350Aに対応するものである。また、第2の配管材は、たとえば、配管材350Bに対応するものである。配管材350Aは、処理液が流れる流路を囲む。配管材350Bは、配管材350Aとは異なる材料からなる。また、配管材350Bは、配管材350Aを囲む。そして、配管材350Bは、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂からなる。このような構成によれば、配管材350Bが配管内外の浸透を効果的に抑制するため、外部の雰囲気の成分が配管内の処理液に混合することを抑制することができる。
【0183】
また、以上に記載された実施の形態によれば、配管351は、筒状の第3の配管材を備える。ここで、第3の配管材は、たとえば、配管材351Cに対応するものである。配管材351Cは、配管材351Bとは異なる材料からなる。また、配管材351Cは、配管材351Bを囲む。このような構成によれば、配管材351Cが設けられることによって、SUSなどの金属、または、PFA、PTFEまたはPVDFなどのフッ素樹脂からなる配管材351Bが配管外の雰囲気に曝されることがないため、配管材351Bと配管外の雰囲気との間で生じ得る反応を抑制することができる。
【0184】
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0185】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0186】
Z1 回転軸線
TW31,TW32,TW33 処理タワー
W 基板
1 基板処理装置
2 インデクサセクション
3 処理セクション
7 制御部
21 基板収容器
22 ステージ
23 インデクサロボット
23A 基台部
23B 多関節アーム
23C,23D ハンド
30 搬送領域
31,32,33 処理モジュール
31A,31B,31C,32A,32B,32C,33A,33B,33C 液処理ユニット
41A,41B,41C,42A,42B,42C,43A,43B,43C,44,45,46,47,48,49 流体ボックス
51,52,53 配管部
51A,51B,51C,51D,52A,52B,52C,53A,53B,53C,350,351,352 配管
51D,52D,53D 排液用配管
60 リンス液ノズル
62 リンス液バルブ
64 洗浄液ノズル
66 洗浄液バルブ
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 記憶部
75 バス配線
76 入力部
77 表示部
141A,141B,141C 内壁
144A,144B,145A,145B,146A,146B,146C 内壁層
152,154,160,164,166,167,168 密閉区画
165,353 隙間
201,202,203,354 気体供給部
250 処理室
250A 壁
250B 開口部
250C シャッタ
251 スピンチャック
251A スピンベース
251C 回転軸
251D スピンモータ
252 薬液ノズル
253 薬液タンク
255 送液装置
256 薬液バルブ
257 循環配管
258 循環バルブ
301,302,303 圧力制御部
350A,350B,351A,351B,351C,352A,352B 配管材
511 処理カップ
513 排液口
515 排気口
600 循環キャビネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12