(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】フレキシブル基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
H05K1/02 B
(21)【出願番号】P 2019106150
(22)【出願日】2019-06-06
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-118109(JP,A)
【文献】特開2017-113088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0211471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する支持板と、
前記第1面に位置し、第1側面と、前記第1側面とは反対側の第2側面と、を有する線部と、
前記線部を覆い前記第1面に接する保護部材と、を備え、
前記線部は、前記第1面に位置する可撓性の絶縁基材と、前記絶縁基材上に配置された配線層と、を備え、
前記保護部材は、前記第1側面の少なくとも一部と空気層を介して離間し、前記第2側面の少なくとも一部と空気層を介して離間し、
前記空気層は、前記線部に沿って延出する、フレキシブル基板。
【請求項2】
前記絶縁基材は、前記空気層に接する、請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項3】
前記線部は、平面視において、第1方向に延出し前記第1方向と交差する第2方向に並んで配置された複数の波型の第1線部と、前記第2方向に延出し前記第1方向に並んで配置された複数の波型の第2線部と、前記第1線部と前記第2線部の交差部に設けられた島状部と、を含む、請求項1又は2に記載のフレキシブル基板。
【請求項4】
前記線部は、第1高さを有し、
前記第1側面及び前記第2側面は、少なくとも前記第1面と前記第1高さの半分の第2高さの位置との間において、前記空気層に接している、請求項1乃至3の何れか1項に記載のフレキシブル基板。
【請求項5】
さらに、前記第1面に配置され、前記第1側面と対向する第1スペーサと、
前記第1面に配置され、前記第2側面と対向する第2スペーサと、を備え、
前記空気層は、前記第1スペーサと前記第1側面との間、及び、前記第2スペーサと前記第2側面との間に位置する、請求項4に記載のフレキシブル基板。
【請求項6】
前記第1スペーサ及び前記第2スペーサは、第3高さを有し、
前記第3高さは、前記第1高さより大きい、請求項5に記載のフレキシブル基板。
【請求項7】
前記保護部材の一部は、前記第1スペーサと前記第1側面との間、及び、前記第2スペーサと前記第2側面との間において前記空気層に隣接して形成される、請求項5又は6に記載のフレキシブル基板。
【請求項8】
前記第1スペーサ及び前記第2スペーサは、それぞれ前記支持板まで貫通する切れ目を有する、請求項5乃至7の何れか1項に記載のフレキシブル基板。
【請求項9】
前記線部は、第1方向に延出し前記第1方向と交差する第2方向に並んで配置された複数の第1線部と、前記第2方向に延出し前記第1方向に並んで配置された複数の第2線部と、隣り合う前記第1線部及び隣り合う前記第2線部によって囲まれた開口と、を有し、
前記第1スペーサは、前記開口に位置し、前記第1線部及び前記第2線部に沿って連続したループ状である、請求項5乃至7の何れか1項に記載のフレキシブル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フレキシブル基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可撓性及び伸縮性を有したフレキシブル基板の利用が種々の分野で検討されている。一例を挙げると、マトリクス状に電気的素子が配列されたフレキシブル基板を電子機器の筐体や人体等の曲面に貼り付ける利用形態が考えられる。電気的素子としては、例えばタッチセンサや温度センサ等の各種センサや表示素子が適用され得る。
【0003】
フレキシブル基板においては、屈曲や伸縮による応力で配線が損傷しないように対策を講じる必要がある。このような対策としては、例えば、配線を支持する基材にハニカム形状の開口を設けることや、配線を蛇行した形状(ミアンダ形状)とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-198101号公報
【文献】特開2015-198102号公報
【文献】特開2017-118109号公報
【文献】特開2017-113088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、伸長率を向上することが可能、及び、クラックの発生を抑制することが可能なフレキシブル基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、第1面を有する支持板と、前記第1面に位置し、第1側面と、前記第1側面とは反対側の第2側面と、を有する線部と、前記線部を覆い前記第1面に接する保護部材と、を備え、前記線部は、前記第1面に位置する可撓性の絶縁基材と、前記絶縁基材上に配置された配線層と、を備え、前記保護部材は、前記第1側面の少なくとも一部と空気層を介して離間し、前記第2側面の少なくとも一部と空気層を介して離間し、前記空気層は、前記線部に沿って延出する、フレキシブル基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るフレキシブル基板の概略的な平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したフレキシブル基板の一部を拡大した平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したA-B線におけるフレキシブル基板の断面図である。
【
図4】
図4は、フレキシブル基板が伸長した際の変形の特性を示すグラフである。
【
図5】
図5は、
図2に示したC-D線におけるフレキシブル基板の断面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示したフレキシブル基板が伸長した状態の一例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の第1の変形例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の第2の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、本実施形態に係るフレキシブル基板100の概略的な平面図である。
本実施形態においては、図示したように第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3を定義する。第1方向D1及び第2方向D2は、フレキシブル基板100の主面と平行であり、互いに交わる方向である。第3方向D3は、第1方向D1、第2方向D2に対して垂直な方向であり、フレキシブル基板100の厚さ方向に相当する。第1方向D1と第2方向D2は、本実施形態では垂直に交わるが、垂直以外の角度で交わってもよい。
【0010】
フレキシブル基板100は、複数の走査線1、複数の信号線2、複数の電気的素子3、支持板8、走査線ドライバDR1、信号線ドライバDR2を有している。走査線1、信号線2、電気的素子3、走査線ドライバDR1、信号線ドライバDR2は、支持板8の上に位置している。複数の走査線1は、それぞれ第1方向D1に延出し第2方向D2に並んでいる。複数の走査線1は、それぞれ走査線ドライバDR1に接続されている。複数の信号線2は、それぞれ第2方向D2に延出し第1方向D1に並んでいる。複数の信号線2は、それぞれ信号線ドライバDR2に接続されている。複数の電気的素子3は、それぞれ走査線1と信号線2との交差部に位置し、走査線1及び信号線2と電気的に接続されている。
【0011】
図2は、
図1に示したフレキシブル基板100の一部を拡大した平面図である。
フレキシブル基板100は、上記に加えて、絶縁基材4と、スペーサSPと、を備えている。
【0012】
絶縁基材4は、平面視において、第1方向D1に延出し第2方向D2に並んで配置された複数の第1部分PT1と、第2方向D2に延出し第1方向D1に並んで配置された複数の第2部分PT2と、第1部分PT1と第2部分PT2との交差部に設けられた複数の島状部ILと、を有している。第1部分PT1及び第2部分PT2は、それぞれ波状に形成されている。島状部ILは、第1部分PT1と第2部分PT2に接続されている。絶縁基材4は、可撓性を有し、例えばポリイミドで形成することができるが、この例に限られない。
【0013】
走査線1は、第1部分PT1上に位置し、波状に配置されている。信号線2は、第2部分PT2上に位置し、波状に配置されている。走査線1及び信号線2は、フレキシブル基板100が備える配線の一例である。走査線1及び信号線2は、例えば金属材料や透明導電材料で形成することができ、単層構造であってもよいし積層構造であってもよい。フレキシブル基板100は、走査線1及び信号線2の他に、電気的素子3に給電する電源線などの他種の配線を備えてもよい。
【0014】
走査線1は、実線で示す第1部分11と、破線で示す第2部分12と、を有している。第2部分12は、電気的素子3と重畳している。第1部分11と第2部分12は、互いに異なる層に配置されており、コンタクトホールCH1、CH2を通じて電気的に接続されている。
【0015】
走査線1は、電気的素子3に走査信号を供給する。例えば電気的素子3がセンサのような信号の出力を伴うものである場合、信号線2には電気的素子3からの出力信号が供給される。また、例えば電気的素子3が発光素子やアクチュエータのように入力される信号に応じて作動するものである場合、信号線2には駆動信号が供給される。走査信号の供給源、駆動信号の供給源又は出力信号を処理するプロセッサなどを含むコントローラは、フレキシブル基板100に設けられてもよいし、フレキシブル基板100に接続される機器に設けられてもよい。
【0016】
電気的素子3は、島状部IL上に位置している。電気的素子3は島状部ILよりも小さく、
図2においては電気的素子3の縁から島状部ILがはみ出ている。例えば電気的素子3は、センサ、半導体素子、又はアクチュエータなどである。例えばセンサとしては、可視光や近赤外光を受光する光学センサ、温度センサ、圧力センサ、又はタッチセンサなどを適用できる。例えば半導体素子としては、発光素子、受光素子、ダイオード、又はトランジスタなどを適用できる。電気的素子3が発光素子である場合、可撓性及び伸縮性を有するフレキシブルディスプレイを実現できる。発光素子としては、例えばミニLEDやマイクロLEDといった100μm前後の大きさを有する発光ダイオードや有機エレクトロルミネッセンス素子を適用することができる。電気的素子3がアクチュエータである場合、例えばピエゾ素子を適用できる。なお、電気的素子3は、ここで例示したものに限られず、その他にも種々の機能を有する素子を適用し得る。電気的素子3は、コンデンサや抵抗などであってもよい。また、電気的素子3の配置位置や形状は
図2に示した例に限らない。
【0017】
本実施形態においては、絶縁基材4、走査線1、信号線2、後述する第1有機絶縁膜5及び第2有機絶縁膜6を総称して線部LPとする。線部LPは、支持板8上に位置している。線部LPは、第1方向D1に延出し第2方向D2に並んで配置された複数の波型の第1線部LP1と、第2方向D2に延出し第1方向D1に並んで配置された複数の波型の第2線部LP2と、を含んでいる。第1線部LP1は、上記した絶縁基材4の第1部分PT1と、走査線1と、を含んでいる。第2線部LP2は、絶縁基材4の第2部分PT2と、信号線2と、を含んでいる。また、線部LPは、隣り合う2つの第1線部LP1と、隣り合う2つの第2線部LP2とによって囲まれた開口OPを形成している。開口OPは、第1方向D1及び第2方向D2にマトリクス状に並んでいる。
【0018】
スペーサSPは、開口OPに位置している。スペーサSPは、開口OPにおいて第1線部LP1及び第2線部LP2に沿って延出し、連続したループ状に形成されている。図示した例では、第1線部LP1及び第2線部LP2は波状であるため、スペーサSPも波状に位置している。スペーサSPは、1つの第1線部LP1を挟むように第1線部LP1に対して両脇に位置している。また、スペーサSPは、1つの第2線部LP2を挟むように第2線部LP2に対して両脇に位置している。スペーサSPと線部LPとの間には、空気層ARが介在している。空気層ARは、線部LPに沿って延出している。すなわち、空気層ARは、1つの第1線部LP1を挟むように第1線部LP1に対して両脇に位置し、1つの第2線部LP2を挟むように第2線部LP2に対して両脇に位置している。
【0019】
図3は、
図2に示したA-B線におけるフレキシブル基板100の断面図である。
フレキシブル基板100は、上述の要素の他に、第1有機絶縁層5と、第2有機絶縁層6と、保護部材7と、をさらに備えている。
【0020】
支持板8は、第1面SF1を有している。線部LPは、第1面SF1に位置している。線部LPは、第1側面SS1と、第1側面SS1とは反対側の第2側面SS2と、を有している。線部LPは、絶縁基材4、第1有機絶縁膜5、第2有機絶縁膜6、信号線2、
図1に示した走査線1によって構成されている。このうち第2線部LP2は、
図3に示すように、絶縁基材4、第1有機絶縁膜5、第2有機絶縁膜6、信号線2によって構成されている。図示しないが、第1線部LP1は、絶縁基材4、第1有機絶縁膜5、第2有機絶縁膜6、走査線1によって構成されている。
【0021】
絶縁基材4は、第1面SF1に位置している。第1有機絶縁膜5は、絶縁基材4を覆っている。第2有機絶縁膜6は、第1有機絶縁膜5を覆っている。信号線2は、第2有機絶縁膜6の上に位置している。線部LPは、第3方向D3に第1高さH1を有している。ここで、第1高さH1は、絶縁基材4の下面から信号線2の上面までの間の高さとする。また、第1高さH1の半分の高さを第2高さH2とする。
【0022】
複数のスペーサSPは、第1面SF1に配置されている。ここで、1つの線部LPと両脇のスペーサSPに着目して構成を説明する。スペーサSPは、第1側面SS1と対向する第1スペーサSP1と、第2側面SS2と対向する第2スペーサSP2と、を備えている。空気層ARは、第1スペーサSP1と第1側面SS1との間、及び、第2スペーサSP2と第2側面SS2との間に位置している。第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2は、第3高さH3を有している。第3高さH3は、第1高さH1より大きい。すなわち、線部LPの高さより高い第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2が線部LPの両脇に位置している。これによって、フレキシブル基板100の製造工程において線部LP及びスペーサSPの上から保護部材7を塗布した際に、線部LPとスペーサSPとの間に空気層ARを形成することができる。
【0023】
保護部材7は、線部LPと、スペーサSPと、を覆っている。すなわち、保護部材7は、信号線2、絶縁基材4、第1有機絶縁層5及び第2有機絶縁層6を覆っている。また、保護部材7は、開口OPにおいて第1面SF1に接している。より具体的には、保護部材7は、開口OPに位置するスペーサSPの内周において支持板8に接している。保護部材7は、第1側面SS1の少なくとも一部と空気層ARを介して離間している。また、保護部材7は、第2側面SS2の少なくとも一部と空気層ARを介して離間している。第1側面SS1及び第2側面SS2は、少なくとも第1面SF1と第2高さH2の位置との間において、空気層ARに接していることが望ましい。つまり、空気層ARは、第2高さH2以上の厚さを有している。図示した例では、絶縁基材4、第1有機絶縁膜5、第2有機絶縁膜6は、空気層ARに接している。
【0024】
第1有機絶縁層5及び第2有機絶縁層6は、何れも有機材料で形成されている。保護部材7は、ポリ-p-キシリレン(PPX: poly-para-xylylenes)構造体、例えばパリレン(登録商標)で形成されている。支持フィルム8は、絶縁基材4及び保護部材7の下面に樹脂材料を塗布して形成されてもよいし、接着層を介して貼り付けられてもよい。スペーサSPは、感光性のポリイミド等を用いて形成されている。
【0025】
本実施形態によれば、フレキシブル基板100は、第1側面SS1と保護部材7との間、及び、第2側面SS2と保護部材7との間に空気層ARを有している。つまり、空気層ARによって、第1側面SS1及び第2側面SS2から保護部材7が離間している。そのため、フレキシブル基板100が伸長した際に保護部材7から線部LPに伝わる応力を低減することができる。これにより、走査線1及び信号線2がクラックに至るまでのフレキシブル基板100の伸度を向上することができる。また、走査線1及び信号線2のクラックの発生を抑制することができる。
【0026】
図4は、フレキシブル基板100が伸長した際の変形の特性を示すグラフである。
グラフの縦軸は、引っ張り力F[N]を示している。グラフの横軸は、伸び幅X[mm]を示している。フレキシブル基板100を伸長させると、初期段階では、平面内変形する。ここで、平面内変形とは、第1方向D1及び第2方向D2で規定されるD1-D2平面と平行な方向に変形することである。フレキシブル基板100は、ある一定以上の伸び幅から平面外変形に切り替わる。ここで、平面外変形とは、D1-D2平面に対してねじれる方向、すなわち、第3方向D3にも変形する場合に相当する。上記した実施形態では、保護部材7と線部LPとの間に空気層ARを介在させることで線部LPに係る応力が緩和され、引っ張り力に対して平面外変形可能な伸び幅を増やすことができる。そのため、フレキシブル基板100の伸長率を増加させることができる。
【0027】
なお、上記した開口OPの形状や、走査線1及び信号線2の配置は、上記実施形態に開示したものに限られない。開口OPは、多角形状であっても良いし、線部LPは渦巻き状に配置されていても良い。また、線部LPは、例えば、直線状であっても良いし、走査線1及び信号線2の何れとも重畳しない部分を有していても良い。このように、本実施形態のフレキシブル基板100は、種々の形態をとることができる。
【0028】
図5は、
図2に示したC-D線におけるフレキシブル基板100の断面図である。
図5は、電気的素子3を含む断面を示している。
電気的素子3の下方には、絶縁基材4の島状部ILが配置されている。これにより、電気的素子3を良好に支持できる。電気的素子3と島状部ILとの間には、無機絶縁層9(パッシベーション層)が形成されている。無機絶縁層9は、平面視においては電気的素子3と重畳する島状である。走査線1の第1部分11は、第1有機絶縁層5の上に配置され、第2有機絶縁膜6によって覆われている。走査線1の第2部分12は、無機絶縁層9の上(すなわち第1有機絶縁層5の下)に配置されている。第2部分12は、電気的素子3と電気的に接続されている。
図5の例においては、第2部分12の端部が第1有機絶縁層5に覆われている。
【0029】
上述のコンタクトホールCH1、CH2は、島状部IL及び無機絶縁層9と平面視で重畳する領域において、第1有機絶縁層5に設けられている。走査線1の第1部分11は、コンタクトホールCH1、CH2にそれぞれ配置された接続部材CM1、CM2を介して第2部分12と電気的に接続されている。接続部材CM1、CM2は、第1部分11の一部であってもよいし、第1部分11とは別途に設けられてもよい。
【0030】
上述したように、
図5に示した構成によれば、電気的素子3と絶縁基材4との間には島状の無機絶縁層9が配置されている。この無機絶縁層9により電気的素子3や走査線1の第2部分12が保護されるので、フレキシブル基板100の信頼性を高めることができる。一方、無機膜は有機膜に比べてクラックが生じやすいため、無機膜の上に配線を形成した場合にはクラックに伴う断線が生じ得る。しかしながら、
図5においては走査線1の第1部分11の下方には無機絶縁層9が設けられていない。したがって、走査線1の断線が生じにくい。図示しない信号線についても同様である。さらに、無機絶縁層9が仮にフレキシブル基板100の全体に設けられている場合にはフレキシブル基板100の伸縮性及び可撓性を阻害し得るが、島状に無機絶縁層9を形成すればこのような問題が生じない。
【0031】
また、異なる層に配置された走査線1の第1部分11と第2部分12をコンタクトホールCH1、CH2で接続する構成としたことにより、電気的素子3の近傍における設計の自由度が向上する。これらのコンタクトホールCH1、CH2は、無機絶縁層9の上方に設けられているため、第1部分11と第2部分12の接続位置での信頼性も高まる。
【0032】
図6は、
図2に示したフレキシブル基板100が伸長した状態の一例を示す平面図である。
図6は、
図2に示したフレキシブル基板100の一部を拡大した図である。
第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2は、それぞれ切れ目SLを有している。切れ目SLは、支持板8まで貫通している。切れ目SLは、フレキシブル基板100が伸長した際に、図示したように広げられる。第1スペーサSP及び第2スペーサSPは、このような切れ目SLを有することによって、フレキシブル基板100の伸長に追従して移動することができる。なお、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2に切れ目SLが形成されていない状態でフレキシブル基板100が伸長し、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2が破断することで切れ目SLが形成されても良い。
【0033】
図7は、本実施形態の第1の変形例を示す断面図である。
図7に示す構成は、
図3に示した構成と比較して、線部LPとスペーサSPとの間に保護部材7が配置されている点で異なっている。
保護部材7の一部は、第1スペーサSP1と第1側面SS1との間、及び、第2スペーサSP2と第2側面SS2との間において、空気AR層に隣接して形成されている。保護部材7は、スペーサSPと線部LPの上方から塗布されることによって形成される。そのため、保護部材7を形成する樹脂が硬化される前に、スペーサSPと線部LPとの間に流れ込む場合がある。スペーサSPが位置することによって、第1側面SS1及び第2側面SS2に付着する保護部材7は、線部LPに係る応力に寄与しない程度に薄膜化される。
このような第1の変形例においても、上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0034】
図8は、本実施形態の第2の変形例を示す断面図である。
図8に示す構成は、
図3に示した構成と比較して、スペーサSPが配置されていない点で異なっている。
例えば、保護部材7に用いる樹脂の粘度を調整することによって、第1側面SS1及び第2側面SS2に接する空気層ARが形成される。なお、空気層ARは、これ以外の方法によって形成されても良い。第1側面SS1及び第2側面SS2は、少なくとも第1面SF1と第2高さH2の位置との間において、空気層ARに接していることが望ましい。つまり、空気層ARは、第2高さH2以上の厚さを有している。図示した例では、絶縁基材4、第1有機絶縁膜5、第2有機絶縁膜6は、空気層ARに接している。
このような第2の変形例においても、上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、伸長率を向上することが可能、及び、クラックの発生を抑制することが可能なフレキシブル基板を得ることができる。
【0036】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
100…フレキシブル基板、8…支持板、SF1…第1面、
SS1…第1側面、SS2…第2側面、LP…線部、
LP1…第1線部、LP2…第2線部、7…保護部材、1…走査線、2…信号線、
4…絶縁基材、5…第1有機絶縁膜、6…第2有機絶縁膜、AR…空気層、
H1…第1高さ、H2…第2高さ、H3…第3高さ、
SP1…第1スペーサ、SP2…第2スペーサ、SL…切れ目、OP…開口。