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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/044 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
E03C1/044
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019117119
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021004452
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船戸 博文
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-162479(JP,A)
【文献】特開平07-269763(JP,A)
【文献】特開2002-081108(JP,A)
【文献】登録実用新案第3093071(JP,U)
【文献】特開2008-089011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
A47K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体から側方に向けて吐水する水栓であって、
前記水栓本体は、設置面に取付けられ該設置面の下方から供給される湯及び/又は水を混合して又はそのまま吐出水として吐出する略円筒状の温調バルブ部と、該温調バルブ部から供給された前記吐出水を前記温調バルブ部の側方に向けて吐出する略円筒状の吐水部と、が互いに軸線の方向が交差するように配置されており、
前記温調バルブ部には前記吐水部を通す外筒面と内筒面との間を貫通する貫通孔と該貫通孔における前記内筒面の側の周縁部から前記吐水部の外径面に沿って径方向内側に向けて延びる第1当接面部が設けられており、
前記吐水部には前記貫通孔の中に前記吐水部が通された状態で前記第1当接面部に当接する第2当接面部が設けられており、
前記第1当接面部に対し前記第2当接面部が当接した状態で嵌合又はねじ止めにより両者が連結されており、
前記第1当接面部は前記貫通孔の上部に配置されており、
前記貫通孔に通された前記吐水部の下部には上下方向に貫通する係合孔が設けられており、
前記温調バルブ部の前記内筒面に摺接して上下動可能な円筒状の補助部材の一部に設けられた係合部が前記係合孔に係合した状態で前記温調バルブ部に対して前記補助部材を固定することで前記吐水部の下部を前記温調バルブ部に対して連結する水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記吐出水は前記温調バルブ部からフレキシブルパイプを介して前記吐水部における前記温調バルブ部と反対側の端部に配置された吐出口に供給される水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に関する。詳しくは、水栓本体から側方に向けて吐水する水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設置面に対し略垂直に配設された水栓本体から側方に向けて水を吐出させることができる水栓が知られている(特許文献1)。かかる水栓には、水栓本体の上面部に開閉ハンドル部が設けられ側面部に吐出管が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-96030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術においては、吐出管を取付けるために水栓本体は複雑な形状とする必要があり、通常鋳造により製造されていた。鋳造で製造する場合、工程の複雑さから製造コストが高くなりがちであるという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、水栓本体から側方に向けて吐水する水栓において、製造コストの安価な構造の水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、水栓本体から側方に向けて吐水する水栓であって、前記水栓本体は、設置面に取付けられ該設置面の下方から供給される湯及び/又は水を混合して又はそのまま吐出水として吐出する略円筒状の温調バルブ部と、該温調バルブ部から供給された前記吐出水を前記温調バルブ部の側方に向けて吐出する略円筒状の吐水部と、が互いに軸線の方向が交差するように配置されており、前記温調バルブ部には前記吐水部を通す外筒面と内筒面との間を貫通する貫通孔と該貫通孔における前記内筒面の側の周縁部から前記吐水部の外径面に沿って径方向内側に向けて延びる第1当接面部が設けられており、前記吐水部には前記貫通孔の中に前記吐水部が通された状態で前記第1当接面部に当接する第2当接面部が設けられており、前記第1当接面部に対し前記第2当接面部が当接した状態で嵌合又はねじ止めにより両者が連結されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、水栓本体は、温調バルブ部と吐水部がそれぞれ略円筒状に形成されているので鋳造等の複雑な工程を使用しなくても射出成形や切削加工等により製造ができる。また、温調バルブ部に対する吐水部の取付けは、第1当接面部に対し第2当接面部が当接した状態で嵌合又はねじ止めにより連結することにより行うことができるので製造コストの安価な構造の水栓を提供することができる。ここで、温調バルブ部の側方とは、温調バルブ部の径方向外側に向かう方向のことをいう。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記第1当接面部は前記貫通孔の上部に配置されており、前記貫通孔に通された前記吐水部の下部には上下方向に貫通する係合孔が設けられており、前記温調バルブ部の前記内筒面に摺接して上下動可能な円筒状の補助部材の一部に設けられた係合部が前記係合孔に係合した状態で前記温調バルブ部に対して前記補助部材を固定することで前記吐水部の下部を前記温調バルブ部に対して連結することを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、吐水部は温調バルブ部に対して貫通孔の上部と下部で連結されるので、吐水部は温調バルブ部に対してより強固に連結される。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記吐出水は前記温調バルブ部からフレキシブルパイプを介して前記吐水部における前記温調バルブ部と反対側の端部に配置された吐出口に供給されることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、温調バルブ部と吐水部との間の水密状態を維持するのが容易になるので構造をさらに簡潔にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である水栓を斜め前方から見た斜視図である。
図2】上記実施形態における水栓を斜め前方から見た分解斜視図である。
図3】上記実施形態における水栓において連結された本体部と吐出部を斜め前方から見た斜視図である。
図4】上記実施形態における水栓において連結された本体部と吐出部の正面図である。
図5図4のV-V矢視線断面図である。
図6】上記実施形態における水栓において吐出部と補助部材を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る水栓1の構成について、図1図6を用いて説明する。以下の説明において、方向に関する説明は各図に示された上下前後左右の方向に基づいて行うものとする。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る水栓1は、流し台や洗面台の天板Mの上に設置される湯水混合水栓である。水栓1は、天板Mの下側から供給された湯と水を混合して前方に向けて吐出する水栓本体2と、水栓本体2の前部に前方に向けて引き出し可能に取付けられた引出吐出管3と、を有する。引出吐出管3は、円筒状をしており水栓本体2からフレキシブルパイプ4c1を通じて供給された吐出水である湯水を前方の吐出口3aから円筒の軸に対して直角方向に吐出する。フレキシブルパイプ4c1は、自在に曲げ伸ばしが可能なパイプでコネクト部材4c2を介して引出吐出管3に水密状態を保って連結されている。引出吐出管3は、水栓本体2とフレキシブルパイプ4c1で連結されているので、手でつかんで操作することにより湯水の吐出方向を自由に変えることができる。ここで、天板Mが、特許請求の範囲の「設置面」に相当する。
【0015】
図1図5に示すように、水栓本体2は、供給された湯と水を混合して吐出水の温度を調節する機能と吐出水の水量を調節する機能とを果たす温調バルブ部10と、温調バルブ部10の前部に連結されフレキシブルパイプ4c1の向きを前方に向ける吐水部20と、を有する。
【0016】
温調バルブ部10は、略円筒状をしている本体部11と、本体部11の中の上部に配置されるカートリッジ12と、カートリッジ12を操作する操作ハンドル13と、本体部11の中の下部に配置される略円筒状の補助部材14と、を有する。
【0017】
図2図5に示すように、本体部11は、金属の削り出し加工により略円筒状に形成されており、円筒の軸線A1が天板Mに対して垂直になるような状態で天板Mに対し固定できるように形成されている。本体部11は、外筒面11S1と内筒面11S2とを有する。本体部11は、内筒面11S2における上下方向中央部の若干上方寄りの位置において軸線A1に垂直で径方向に延びる隔壁11aによって上下に分割されている。隔壁11aは、略円盤状をしており、水供給管4aを通す第1貫通孔11a1と、湯供給管4bを通す第2貫通孔11a2と、湯水吐出管4cを通す第3貫通孔11a3と、ボルト15を通す第4貫通孔11a4と、が上下方向に貫通して設けられている。隔壁11aの上面は平坦面でその上に円柱状のカートリッジベース4dを介してカートリッジ12が配置されている。隔壁11aより上側の内筒部である上内筒部11bは、本体部11の上端面部をカバーするカバー部材16を取り付け可能な内径に形成されている。具体的には、カバー部材16は上端部側のカバー部16aと、下端部側の円筒状の取付部16bと、を有し、上内筒部11bの上端部側の内径は取付部16bの外径よりわずかに大きいものとされている。取付部16bの内径はカートリッジ12の外径よりわずかに大きいものとされている。隔壁11aより下側の内筒部である下内筒部11cは、下側から補助部材14を取り付け可能に形成されている。具体的には、下内筒部11cの下端部側には、本体部11の下内筒部11cの中に挿入した補助部材14を上方に向けて押圧して取付ける円筒状の締付部材17が螺合可能な雌ねじ11c1が設けられている。締付部材17の外筒部分には雌ねじ11c1に螺合可能な雄ねじ17aが設けられている。本体部11の隔壁11aより下の前側には、本体部11に対して吐水部20を取付けるための外筒面11S1から内筒面11S2に貫通する吐水部取付孔11dが設けられている。吐水部取付孔11dは、円筒状の吐水部20を挿入するための孔で吐水部20が本体部11と反対側の端部を前上方に向けて吐水部20の軸線A2が本体部11の軸線A1に対して約70度の角度をなして取付くような形状に形成されている。隔壁11aの下面には、吐水部取付孔11dに挿入された吐水部20の外径面20S1に沿って、図5において内筒面11S2から径方向内側に向けて内筒面11S2の内径の1/4程度延びる吐水部当接面部11a5が設けられている。吐水部当接面部11a5に第4貫通孔11a4が設けられている。ここで、吐水部当接面部11a5が、特許請求の範囲の「第1当接面部」に相当する。なお、本体部11は、樹脂の削り出し加工又は射出成形によって製造してもよい。ここで、吐水部取付孔11dが、特許請求の範囲の「貫通孔」に相当する。
【0018】
図2図5に示すように、カートリッジ12は、円筒状のケーシング12aの中に配置された固定ディスク(図示せず)に対して可動ディスク(図示せず)を操作部12bの操作で相対移動させることにより供給された湯と水を混合して吐出水の温度を調節する機能と吐出水の水量を調節する機能とを果たす部品である。カートリッジ12は、ケーシング12aの下側の面を本体部11の隔壁11aの上面に密着して配置されたカートリッジベース4dの上面に対して密着して配置されることにより水供給管4aと湯水吐出管4cを湯水吐出管4cに連結してその機能を果たす。カートリッジベース4dは、本体部11の隔壁11aの上面に当接した状態で吐水部20のボルト孔21a1(図6参照)と隔壁11aの第4貫通孔11a4とカートリッジベース4dの雌ねじの切られたボルト孔4d1にボルト15を下側から通して締め付けることによって本体部11に対して取付けられている。カートリッジベース4dには、隔壁11aの第1貫通孔11a1を通して水供給管4aの上端部が、隔壁11aの第2貫通孔11a2を通して湯供給管4bの上端部が、隔壁11aの第3貫通孔11a3を通して湯水吐出管4cの上端部が、水密状態で連結されている。カートリッジベース4dは、水供給管4aと湯供給管4bと湯水吐出管4cを水密状態を保ってカートリッジ12に連結している。湯水吐出管4cの下端部には、フレキシブルパイプ4c1のコネクト部材4c2が取付けられた端部と反対側の端部が水密状態を保って連結されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、操作ハンドル13は、本体部11と同径の円柱状の基体部13aと、基体部13aの上端部から径方向外側に向かって延びる板状のグリップ部13bと、を有する。操作ハンドル13は、カバー部材16が取付けられた本体部11に対して上方から取付けられると、基体部13aの下端部がカートリッジ12の操作部12bに嵌合する。そして、グリップ部13bを左右に回転させることにより操作部12bを左右に回転させて湯と水の混合比を変更し、グリップ部13bを上下に回転させることにより操作部12bを上下に回転させて吐出水の水量を調節することができる。
【0020】
図2図6に示すように、吐水部20は、樹脂の射出成形により本体部11の吐水部取付孔11dの内径よりわずかに小さい外径を有する略円筒状に形成されている。吐水部20は、外径部20S1と内径部20S2とを有する。吐水部20の後端部(本体部11に取付く側の端部)には、吐水部取付孔11dに吐水部20の後端部側が挿入されたとき、本体部11の下内筒部11cの中に配置される連結部21が形成されている。連結部21の上部には、吐水部取付孔11dに吐水部20の後端部側が挿入された状態で、隔壁11aの吐水部当接面部11a5に当接する上面部21aが設けられている。上面部21aには、上下に貫通してボルト15を通すボルト孔21a1が設けられている。連結部21の下部には、吐水部取付孔11dに吐水部20の後端部側が挿入された状態で、上下方向に延びるスリット21bが設けられている。スリット21bには、吐水部取付孔11dに吐水部20の後端部側が挿入された状態で、本体部11の下内筒部11cの中に下から挿入される補助部材14の係止突起部14a12が挿入される。吐水部取付孔11dに吐水部20の後端部側が挿入された状態で、吐水部取付孔11dの周縁部に対応する吐水部20の外筒部分には、図示しないOリングを配置するOリング溝22が設けられている。なお、吐水部20は、金属の削り出し加工によって製造してもよい。ここで、上面部21aとスリット21bが、それぞれ、特許請求の範囲の「第2当接面部」と「係合孔」に相当する。
【0021】
図2図6に示すように、補助部材14は、樹脂の射出成形により本体部11の下内筒部11cの内径よりわずかに小さい外径を有する略円筒状の大径部14aと、大径部14aの下側に設けられた大径部14aより小さい外径を有する小径部14bと、を有する。大径部14aと小径部14bは同軸で、補助部材14が本体部11に取付けられたとき、軸線A1に一致する。大径部14aには、前面視で上方に開口したU字状の開口部14a1が形成されている。開口部14a1の下側周縁部は、補助部材14が本体部11に取付けられたとき、吐水部取付孔11dの下側周縁部に連続して同一面状に延びるように設定されている。開口部14a1の下側周縁部の左右端部には、上方に向かって延びる左右一対の係止突起部14a12が設けられている。本体部11の吐水部取付孔11dに吐水部20の後端部側が挿入された状態で、本体部11の下内筒部11cの中に補助部材14が下から挿入されると左右一対の係止突起部14a12は吐水部20のスリット21bの中に挿入される。これによって、吐水部20は本体部11に対して上下方向の揺動を抑制して取付けられる。大径部14aの外筒部の下側には、周方向に延びるOリング溝14a2が設けられている。小径部14bの外筒部には雄ねじ14b1が設けられている。ここで、係止突起部14a12が、特許請求の範囲の「係合部」に相当する。
【0022】
水栓1の組み立てと天板Mへの取付けは次のように行われる。図2図5に示すように、本体部11の隔壁11aの上にカートリッジベース4dを配置した状態で吐水部取付孔11dに予めOリング溝22にOリングが取付けられた吐水部20の後端部側を挿入する。そして、吐水部20のボルト孔21a1と隔壁11aの第4貫通孔11a4とカートリッジベース4dのボルト孔4d1を一致させた状態で、ボルト15をボルト孔21a1の側から挿入してボルト孔4d1の雌ねじに対して締め付ける。次に、本体部11の下内筒部11cの中に補助部材14の大径部14aを下から挿入して吐水部20のスリット21bの中に係止突起部14a12を挿入して嵌合させる。この状態で、下内筒部11cの雌ねじ11c1に対して締付部材17の雄ねじ17aを締め付けることによって補助部材14の上面部14a3を隔壁11aの下面に対して圧着した状態で固定する。これによって、吐水部20は本体部11に対して上部と下部とで強固に固定される。次に、本体部11の上内筒部11bの中にカートリッジ12を挿入しカバー部材16の取付部16bを挿入してカートリッジベース4dに対して固定する。具体的には、カートリッジベース4dの上端部側に設けられた雄ねじに対して取付部16bの下端部側に設けられた雌ねじを螺合させることにより固定する。そして、基体部13aの下端部をカートリッジ12の操作部12bに嵌合させて操作ハンドル13を取付ける。本体部11の下内筒部11cから隔壁11aの第1貫通孔11a1を通して水供給管4aの上端部をカートリッジベース4dに水密状態を保って連結する。同様に、本体部11の下内筒部11cから隔壁11aの第2貫通孔11a2を通して湯供給管4bの上端部をカートリッジベース4dに水密状態を保って連結する。さらに、本体部11の下内筒部11cから隔壁11aの第3貫通孔11a3を通して湯水吐出管4cの上端部をカートリッジベース4dに水密状態を保って連結する。湯水吐出管4cの下端部にフレキシブルパイプ4c1の一端部を水密状態を保って連結するとともに、他端部を補助部材14の内筒部から吐水部20の内筒部を通すように配置して先端にコネクト部材4c2を取付ける。コネクト部材4c2は引出吐出管3の内筒部に水密状態を保って連結されるとともに、吐水部20の前端部側の内径面20S2に脱着可能に支持される。この状態で水栓1の組み立てが完了する。組み立てられた水栓1は、小径部14bが、天板Mに設けられた小径部14bの外径より大きく大径部14aの外径より小さい内径の孔(図示せず)を通して下方に挿入され、大径部14aの下端部が天板Mの上面に当接するように配置される。この状態で、小径部14bの雄ねじ14b1に対して図示しないナットが締め付けられることにより、大径部14aの下端部とナットで天板Mを挟みつけて天板Mに対し固定する。こののち、水供給管4aの下端部は水の供給配管に連結され、湯供給管4bの下端部は湯の供給配管に連結される。
【0023】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。水栓本体2は、温調バルブ部10と吐水部20がそれぞれ略円筒状に形成されているので鋳造等の複雑な工程を使用しなくても射出成形や切削加工等により製造ができる。また、温調バルブ部10に対する吐水部20の取付けは、隔壁11aの下面に対し上面部21aが当接した状態でボルト孔21a1と第4貫通孔11a4とボルト孔4d1を一致させてボルト15を通して締結すればよい。これによって、製造コストの安価な構造の水栓1を提供することができる。
【0024】
また、隔壁11aの下面は、吐水部取付孔11dの上部に配置されており、吐水部取付孔11dに通された吐水部20の連結部21の下部には上下方向に延びるスリット21bが設けられている。そして、吐水部取付孔11dに吐水部20の後端部側が挿入された状態で、本体部11の下内筒部11cの中に補助部材14の大径部14aが下から挿入されスリット21bの中に係止突起部14a12が挿入されて連結されている。これによって、吐水部20は温調バルブ部10に対して吐水部取付孔11dの周縁部の上部と下部で連結されるので、吐水部20は温調バルブ部10に対してより強固に連結される。さらに、湯水吐出管4cから吐出される吐出水は、フレキシブルパイプ4c1を介して吐水部20に対して引き出し可能に取付けられた引出吐出管3の吐出口3aに供給される。これによって、温調バルブ部10と吐水部20との間の水密状態を維持するのが容易になるので構造をさらに簡潔にできる。
【0025】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0026】
1.上記実施形態においては、吐水部20の内筒部の中には吐出水が直接侵入しないように構成した。しかし、これに限らず、湯水吐出管4cから吐出される吐出水を直接吐水部20の内筒部の中に供給するように構成することもできる。
【0027】
2.上記実施形態においては、カートリッジ12を供給された湯と水を混合して吐出水の温度を調節する機能と吐出水の水量を調節する機能とを果たす部品として構成した。しかし、これに限らず、供給された湯又は水をそのまま吐出水として吐出し、吐出水の水量を調節する機能のみを果たす部品として構成してもよい。この場合は、水供給管4a又は湯供給管4bのいずれかは省略される。
【0028】
3.上記実施形態においては、本体部11の吐水部当接面部11a5に対して吐水部20の上面部21aをボルト15による締結により連結した。しかし、これに限らず、吐水部当接面部11a5に設けた凸部又は凹部に対して上面部21aに設けた凹部又は凸部を嵌合させることによって連結することもできる。
【符号の説明】
【0029】
1 水栓
2 水栓本体
3 引出吐出管
3a 吐出口
4c 湯水吐出管
4c1 フレキシブルパイプ
4d カートリッジベース
4d1 ボルト孔
10 温調バルブ部
11 本体部
11a 隔壁
11a4 第4貫通孔
11d 吐水部取付孔(貫通孔)
11a5 吐水部当接面部(第1当接面部)
11S1 外筒面
11S2 内筒面
12 カートリッジ
13 操作ハンドル
14 補助部材
14a12 係止突起部(係合部)
15 ボルト
20 吐水部
20S1 外径面
20S2 内径面
21 連結部
21a 上面部(第2当接面部)
21a1 ボルト孔
21b スリット(係合孔)
A1 軸線
A2 軸線
M 天板(設置面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6