(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】電子機器の電源制御回路
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20230515BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J7/00 302Z
H02J1/00 304H
H02J1/00 304E
(21)【出願番号】P 2019150907
(22)【出願日】2019-08-21
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】木澤 隆之
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-318943(JP,A)
【文献】特開2017-073096(JP,A)
【文献】特開平11-215692(JP,A)
【文献】特開平05-184065(JP,A)
【文献】特開平09-298841(JP,A)
【文献】特開平05-227657(JP,A)
【文献】特開2018-207600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00-1/16
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の電源制御回路であって、
ACアダプター又はリチウムイオンバッテリーのうち、差し替えにより選択された外部電源からの電力供給を受ける電源入力端子と、
前記電源入力端子を通じて、前記外部電源の給電が開始されたか否かを検知する外部電力給電検知手段と、
前記外部電力給電検知手段により、前記外部電源の給電が開始されたことが検知された場合、前記電源入力端子を通じて前記外部電源から給電される電圧を検出する外部電源電圧検出手段と、
前記外部電源電圧検出手段により検出される電圧値が所定値以上であれば、前記リチウムイオンバッテリーからなる外部電源の電力供給による前記電子機器の電源制御を行う制御回路を選択し、また、前記外部電源電圧検出手段により検出される電圧値が所定値未満であれば、前記ACアダプターからなる外部電源の電力供給による前記電子機器の電源制御を行う制御回路を選択する電源制御回路選択手段と、
前記電源制御回路選択手段に選択された制御回路からの制御信号を受けるとともに、前記電子機器の電源スイッチがONされたか否かを検知し、当該電子機器の電源スイッチがONされた場合には、前記電子機器の電源をONにする制御を行う装置電源制御手段と、
を有することを特徴とする電子機器の電源制御回路。
【請求項2】
前記所定値は、前記ACアダプターの定格電圧出力の値よりも高い値に設定されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の電源制御回路。
【請求項3】
前記所定値は、13Vであることを特徴とする請求項1記載の電子機器の電源制御回路。
【請求項4】
電子機器の電源制御方法であって、
ACアダプター又はリチウムイオンバッテリーのうち、差し替えにより選択された外部電源からの電力供給を電源入力端子を通じて受ける電源入力工程と、
前記電源入力工程において、前記電源入力端子を通じて前記外部電源からの給電が開始されたか否かを検知する外部電力給電検知工程と、
前記外部電力給電検知工程により、前記外部電源の給電が開始されたことが検知された場合、前記電源入力端子を通じて前記外部電源から給電される電圧を検出する外部電源電圧検出工程と、
前記外部電源電圧検出工程において検出される電圧値が所定値以上であれば、前記リチウムイオンバッテリーからなる外部電源の電力供給による前記電子機器の電源制御を行う制御回路を選択し、また、前記外部電源電圧検出工程において検出される電圧値が所定値未満であれば、前記ACアダプターからなる外部電源の電力供給による前記電子機器の電源制御を行う制御回路を選択する電源制御回路選択工程と、
前記電源制御回路選択工程において選択された制御回路からの制御信号を受けるとともに、前記電子機器の電源スイッチがONされたか否かを検知し、当該電子機器の電源スイッチがONされた場合には、前記電子機器の電源をONにする制御を行う装置電源制御工程と、
を含むことを特徴とする電子機器の電源制御方法。
【請求項5】
前記所定値は、前記ACアダプターの定格電圧出力の値よりも高い値に設定されていることを特徴とする請求項4記載の電子機器の電源制御方法。
【請求項6】
前記所定値は、13Vであることを特徴とする請求項4記載の電子機器の電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される外部電源が、ACアダプターか、リチウムイオンバッテリーかを検知し、制御することで、電子機器の安定動作範囲内で、電源供給させる電子機器の電源制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置などの電子機器においては、外部電源の電源種を検知する回路は、複数の電源入力を使って判別するか、別系統の電源種を判別する信号にて区別することが大半であった。例えば、
図6示すように、電源種ごとに電源の入力を分け、電源種に応じた制御を実施するものや、
図7に示すように、電源入力とは別に電源種を判別する信号にて判別し、電源種に応じた制御を実施するものがある。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、(a)電力の供給を受ける電源端子、(b)上記電源端子から入力される電圧を判別する電圧判別手段、(c)上記電圧判別手段により判別された電圧に基づき、電源端子から供給される電力の消費を制御する制御手段を備える電子機器が開示されている。
【0004】
そして、この技術によれば、電源端子がACアダプタ、外部バッテリー、カーバッテリー等のいろいろな電源オプションに対して、共通の電源端子で構成されているため、部品の占有面積及び部品点数を減少することができる。又、電圧判別手段が電源端子から入力された電力の電圧を判別するので、電源端子が共通になっても、外部に接続されている電源オプションの種類を判別することができる。そして、この電圧判別手段により判別された電圧に基づき制御手段が電源端子から供給される電力の消費を制御するので、ACアダプタ、外部バッテリー、カーバッテリー等のオプションに対応して電子機器の動作を制御することができるとしている。
【0005】
また、特許文献2には、外部電源と内部電源のうち、電圧値の大きい方の電源から撮像装置本体各部に電力を供給する電源選択手段と、上記外部電源から供給される電圧を検出する外部電源電圧検出手段と、上記内部電源から供給される電圧を検出する内部電源電圧検出手段と、上記内部電源から上記撮像装置本体各部への電力の供給と遮断とを切り替えることができる内部電源スイッチと、上記内部電源から上記撮像装置本体各部に電力が供給されている場合であって、上記外部電源電圧検出手段による検出出力に基づいて、上記外部電源が上記撮像装置本体に接続されていることを検知した場合に、上記外部電源検出手段により検出した電圧値が、上記内部電源電圧検出手段により検出した電圧値より小さいときに、上記電源選択手段で上記外部電源が選択されるように、上記内部電源スイッチにより上記内部電源から供給される電力を遮断し、上記外部電源から上記撮像装置本体各部に電力を供給する制御手段とを備えることを特徴とする撮像装置が開示されている。
【0006】
そして、この技術によれば、例えば、AC電源アダプターをデジタルカメラ本体に接続した場合に、満充電状態又は満充電に近い状態のバッテリーをユーザの意図に反して消耗させることなく、AC電源アダプターからデジタルカメラに電力を供給することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平05-184065号公報
【文献】特開2007-221470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の
図6に示すものでは、電源種ごとの入力と制御回路が必要となり、小型化された装置では実現が困難であると指摘されている。また、上述の
図7に示すものでは、電源種判別用の入力が必要であり、使用する電源も、判別する方式に対応したものでなければならず、限定されてしまうという問題がある。
【0009】
またさらに、上述の特許文献1に開示された技術では、外部バッテリーの電圧をマイコンに内蔵されたA/Dコンバータにより監視し、それぞれの接続状態や電圧により制御方法を変えているため、起動と処理に時間がかかってしまい、また、少なからず電力を消費してしまうといったデメリットがある。また、リチウムイオンバッテリーの特性は、ある程度の負荷がかかって、時間が経つと電圧が低下するものであるため、マイコンでの監視であると、誤検出の原因となってしまう。そして、特許文献2に開示された技術では、小型化された装置では実現が難しいと言える。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するためのもので、ACアダプターとリチウムイオンバッテリーとを兼用する単一電源入力端子を備え、且つ、リチウムイオンバッテリーが接続された場合には、過放電による故障を防ぐため、自動検知して制御することができる電子機器の電源制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題に対応するため、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、電子機器の電源制御回路であって、ACアダプター又はリチウムイオンバッテリーのうち、差し替えにより選択された外部電源からの電力供給を受ける電源入力端子と、前記電源入力端子を通じて、前記外部電源の給電が開始されたか否かを検知する外部電力給電検知手段と、前記外部電力給電検知手段により、前記外部電源の給電が開始されたことが検知された場合、前記電源入力端子を通じて前記外部電源から給電される電圧を検出する外部電源電圧検出手段と、前記外部電源電圧検出手段により検出される電圧値が所定値以上であれば、前記リチウムイオンバッテリーからなる外部電源の電力供給による前記電子機器の電源制御を行う制御回路を選択し、また、前記外部電源電圧検出手段により検出される電圧値が所定値未満であれば、前記ACアダプターからなる外部電源の電力供給による前記電子機器の電源制御を行う制御回路を選択する電源制御回路選択手段と、前記電源制御回路選択手段に選択された制御回路からの制御信号を受けるとともに、前記電子機器の電源スイッチがONされたか否かを検知し、当該電子機器の電源スイッチがONされた場合には、前記電子機器の電源をONにする制御を行う装置電源制御手段とを有することを特徴とする電子機器の電源制御回路である。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器の電源制御回路であって、前記所定値は、前記ACアダプターの定格電圧出力の値よりも高い値に設定されていることを特徴としている。さらに、請求項3記載の発明は、請求項1記載の電子機器の電源制御回路であって、前記所定値は、13Vであることを特徴としている。
【0013】
そして、請求項4記載の発明は、電子機器の電源制御方法であって、ACアダプター又はリチウムイオンバッテリーのうち、差し替えにより選択された外部電源からの電力供給を電源入力端子を通じて受ける電源入力工程と、前記電源入力工程において、前記電源入力端子を通じて前記外部電源からの給電が開始されたか否かを検知する外部電力給電検知工程と、前記外部電力給電検知工程により、前記外部電源の給電が開始されたことが検知された場合、前記電源入力端子を通じて前記外部電源から給電される電圧を検出する外部電源電圧検出工程と、前記外部電源電圧検出工程において検出される電圧値が所定値以上であれば、前記リチウムイオンバッテリーからなる外部電源の電力供給による前記電子機器の電源制御を行う制御回路を選択し、また、前記外部電源電圧検出工程において検出される電圧値が所定値未満であれば、前記ACアダプターからなる外部電源の電力供給による前記電子機器の電源制御を行う制御回路を選択する電源制御回路選択工程と、前記電源制御回路選択工程において選択された制御回路からの制御信号を受けるとともに、前記電子機器の電源スイッチがONされたか否かを検知し、当該電子機器の電源スイッチがONされた場合には、前記電子機器の電源をONにする制御を行う装置電源制御工程とを含むことを特徴とする電子機器の電源制御方法である。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の電子機器の電源制御方法であって、前記所定値は、前記ACアダプターの定格電圧出力の値よりも高い値に設定されていることを特徴としている。そして、請求項6記載の発明は、請求項4記載の電子機器の電源制御方法であって、前記所定値は、13Vであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の入力を使用せず、単一の入力で電源制御ができるため、電子機器の小型化が可能となる。また、電源種判別用の信号やスイッチによる設定を用いることなく、自動で判別できるため、運用者の負担が低減できる。さらに、単に電源投入時(立ち上げ時)の電圧のみで判断するものであるため、特殊な仕様の電源でなくても利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る電子機器の電源制御回路の実施形態を示した概略図である。
【
図2】本発明に係る電子機器の電源制御回路の実施形態を示した系統図である。
【
図3】本発明に係る電子機器の電源制御回路及び電子機器の電源制御方法の実施形態における動作のフローチャートを示した図である。
【
図4】電源種別出力電圧と装置許容電圧を示したグラフである。
【
図5】リチウムイオンバッテリーの放電特性を示したグラフである。
【
図6】従来の電源制御回路の一例を示した概略図である。
【
図7】従来の電源制御回路の一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る電子機器の電源制御回路及び電子機器の電源制御方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る電子機器の電源制御回路の実施形態を示した概略図であり、
図2は、本発明に係る電子機器の電源制御回路の実施形態を示した系統図である。
【0018】
そして、
図3は、本発明に係る電子機器の電源制御回路及び電子機器の電源制御方法の実施形態における動作のフローチャートを示した図である。そして、符号については、10が電子機器、12が電源制御回路、14がACアダプター、16がリチウムイオンバッテリー、18が外部電源、20が電源入力端子、22が外部電力給電検知手段、24が外部電源電圧検出手段、26が電源制御選択手段、28が電源スイッチ、30が装置電源制御手段、32が制御回路(AC)、34が制御回路(リチウム)、36が降圧レギュレータ、38がラッチリレー、40がORゲート、42がフォトカプラ、44がDC/DCコンバータを示している。
【0019】
まず、本発明は、使用する電源がリチウムイオンバッテリーであるかを電子機器の電源が立ち上がる前(無負荷時)に判別する回路で、後述の通り、無負荷時においては、リチウムイオンバッテリーは、ACアダプターの定格電圧出力12Vよりも高い13V以上の電圧で給電を始めることから、この特徴を捉え、無負荷時の電源電圧によって電源種を判断する回路を実現したものである。
【0020】
ここで、リチウムイオンバッテリーの一般的な特徴を説明すると、
図5に示すように、満充電時の電圧は、16.8V程度で、十分に放電した後の電圧は、約13.5V程度である(無負荷時)。さらに、負荷をぶら下げて限界電圧付近の12.5Vまで使用した後、負荷を外すと、13.5V程度まで電圧が上昇するし、バッテリーが消耗するごとに電圧が低下していく。
【0021】
次に、本発明に係る実施形態について説明する。本実施形態における電子機器10の電源制御回路12は、
図1に示すように、ACアダプター14又はリチウムイオンバッテリー16のうち、差し替えにより選択された外部電源18からの電力供給を受ける電源入力端子20と、電源入力端子20を通じて、外部電源18の給電が開始されたか否かを検知する外部電力給電検知手段22と、外部電力給電検知手段22により、外部電源18の給電が開始されたことが検知された場合、電源入力端子20を通じて外部電源18から給電される電圧を検出する外部電源電圧検出手段24を備えている。
【0022】
さらに、外部電源電圧検出手段24により検出される電圧値が所定値以上であれば、リチウムイオンバッテリー16からなる外部電源18の電力供給による電子機器10の電源制御を行う制御回路を選択し、また、外部電源電圧検出手段24により検出される電圧値が所定値未満であれば、ACアダプター14からなる外部電源18の電力供給による電子機器10の電源制御を行う制御回路を選択する電源制御選択手段26と、電源制御選択手段26に選択された制御回路からの制御信号を受けるとともに、電子機器10の電源スイッチ28がONされたか否かを検知し、電子機器10の電源スイッチ28がONされた場合には、電子機器10の電源をONにする制御を行う装置電源制御手段30とを備えている。
【0023】
続いて、本実施形態における電子機器の電源制御回路と、電子機器の電源制御方法について、より詳細に説明する。放送分野で使用する電子機器としては、ACアダプターやリチウムイオンバッテリーなどの多種の電源を使用するものであるが、例えば、放送用のリチウムイオンバッテリーの場合は、推奨される供給限界電圧が+12V程度であるのに対し、電源供給を受ける電子機器の最小許容電圧は+9Vであり、リチウムイオンバッテリーの供給限界電圧を無視し、無制御にて電源を供給し続けると、リチウムイオンバッテリーの故障に繋がってしまう(
図4参照)。従って、電子機器に入力する電源種ごとで供給電圧に応じた制御を簡易な構成で、容易に実行する電源制御回路が必要となったわけである。
【0024】
続いて、本実施形態における電子機器10の電源制御回路12は、
図1及び2に示すように、ACアダプター14又はリチウムイオンバッテリー16のうち、差し替えにより選択された外部電源18からの電力供給を受ける電源入力端子20と、電源入力端子20を通じて、外部電源18の給電が開始されたか否かを検知する外部電力給電検知手段22と、外部電力給電検知手段22により、外部電源18の給電が開始されたことが検知された場合、電源入力端子20を通じて外部電源18から給電される電圧を検出する外部電源電圧検出手段24を備えている。
【0025】
本実施形態においては、投入(給電開始)された電源入力は、降圧レギュレータ36によって、+5Vにまで降圧され、各回路へと供給される構成となっている。これは、検知・制御回路は、電子機器の動作電圧より十分に低い電圧で動作することが重要だからである。
【0026】
次に、本実施形態は、外部電源電圧検出手段24により検出される電圧値が所定値以上であれば、リチウムイオンバッテリー16からなる外部電源18の電力供給による電子機器10の電源制御を行う制御回路を選択し、また、外部電源電圧検出手段24により検出される電圧値が所定値未満であれば、ACアダプター14からなる外部電源18の電力供給による電子機器10の電源制御を行う制御回路を選択する電源制御選択手段26と、電源制御選択手段26に選択された制御回路からの制御信号を受けるとともに、電子機器10の電源スイッチ28がONされたか否かを検知し、電子機器10の電源スイッチ28がONされた場合には、電子機器10の電源をONにする制御を行う装置電源制御手段30とを備えている。
【0027】
ここで、本実施形態では、
図3にも示すように、外部電力給電検知手段22が、電源入力端子20を通じて外部電源18の給電が開始されたかを検知し(STEP1)、給電の開始を検出した場合は、
図2に示すように、電源制御選択手段26を構成しているDフィリップフロップの回路に対し、パルスが出力される。
【0028】
また、外部電源電圧検出手段24は、電源入力端子20を通じて外部電源18から供給される電圧を検出し(
図3中、STEP2)、電圧値が所定値以上であれば、電源制御選択手段26に対し、対応する信号(CLK信号)を送り、この信号を受けた電源制御選択手段26は、リチウムイオンバッテリー16からなる外部電源18の電力供給による電子機器10の電源制御を行う制御回路(リチウム)34を選択し(
図3中、STEP4)、また、外部電源電圧検出手段24により検出される電圧値が所定値未満であれば、電源制御選択手段26に対し、対応する信号(CLK信号)を送り、この信号を受けた電源制御選択手段26は、ACアダプター14からなる外部電源18の電力供給による電子機器10の電源制御を行う制御回路(AC)32を選択する(
図3中、STEP3)。
【0029】
なお、本実施形態では、電圧値の所定値とは、13Vとしているが、実際は、ACアダプターの定格電圧出力の値よりも高い値で、リチウムイオンバッテリーの放電後の無負荷電圧値近傍の値に設定しておく。つまり、
図3にも示すように、外部電源電圧検出手段24が、電源入力端子20を通じて外部電源18から供給される電圧値を13V以上と検出した場合は、電源制御選択手段26は、リチウムイオンバッテリー16からなる外部電源18の電力供給による電子機器10の電源制御を行う制御回路を選択する。
【0030】
一方で、外部電源電圧検出手段24が、電源入力端子20を通じて外部電源18から供給される電圧値を13V未満と検出した場合は、電源制御選択手段26は、ACアダプター14からなる外部電源18の電力供給による電子機器10の電源制御を行う制御回路を選択する。具体的には、Dフィリップフロップの回路が、外部電力給電検知手段22からのパルスと、電源制御選択手段26からの信号(CLK信号)に応じて、リチウムイオンバッテリー16による電源制御、又は、ACアダプター14による電源制御、それぞれ所望の電源種を制御する制御回路へとラッチリレー38を用いて切り替え固定する構成となっている(
図2参照)。
【0031】
続いて、本実施形態においては、
図2に示すように、ACアダプター14による電源制御の制御回路(D-1)、リチウムイオンバッテリー16による電源制御の制御回路(D-2)が備えられており、さらに、上流側にラッチリレー38と、下流側に2つのラッチリレー38が備えられている。
図2においては、Dフィリップフロップの回路が、ACアダプター14による電源制御を行う制御回路(D-1)を選択している状態であり、下流側のラッチリレー38は、それぞれ、装置電源制御手段30、LED等表示器(図示せず)に向けての切り替えを行うようになっている。
【0032】
次に、本実施形態は、
図2に示すように、装置電源制御手段30が、下流側のラッチリレー38を通じて、電源制御回路選択手段26に選択された制御回路からの制御信号を受ける構成となっている。そして、電子機器10の電源スイッチ28がONされたか否かを検知し(
図3中、STEP5)、電子機器10の電源スイッチ28がONされた場合には、電源制御回路選択手段26に選択された制御回路による電源制御の下で、電子機器10の電源をONにするように構成されている(
図3中、STEP6)。
【0033】
なお、本実施形態では、
図2に示すように、ORゲート40、フォトカプラ42が装置電源制御手段30の構成要素となっており、電源スイッチ28の論理を元に、ORゲート40からフォトカプラ42を経て、DC/DCコンバータ44のイネーブル信号を制御することで、電子機器10の電源のON/OFFを実現するようになっている。なお、電源種判断後は、所望の制御回路にて継続して動作するように構成されている。
【0034】
このような構成となっているため、本発明は、複数の入力を使用せず、単一の入力で電源種別制御ができるため、電子機器の小型化が可能となる。また、電源種判別用の信号や、スイッチによる設定を用いることなく、自動に電源種の判別ができるため、運用者の負担が軽減できる。さらに、単に、電源投入時の電圧のみで判断するため、利用する電源は、特殊な仕様のものなくても良くなる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、複数の入力を使用せず、単一の入力で電源制御ができるため、電子機器の小型化が可能で、また、電源種判別用の信号やスイッチによる設定を用いることなく、自動で判別できることから、運用者の負担が低減できる。さらに、単に電源投入時(立ち上げ時)の電圧のみで判断するものであるため、特殊な仕様の電源でなくても利用が可能であるため、例えば、放送業界の現場などにおいて、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0036】
10 電子機器
12 電源制御回路
14 ACアダプター
16 リチウムイオンバッテリー
18 外部電源
20 電源入力端子
22 外部電力給電検知手段
24 外部電源電圧検出手段
26 電源制御選択手段
28 電源スイッチ
30 装置電源制御手段
32 制御回路(AC)
34 制御回路(リチウム)
36 降圧レギュレータ
38 ラッチリレー
40 ORゲート
42 フォトカプラ
44 DC/DCコンバータ