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特許7278929パスワード入力及び識別システムと、パスワード入力及び識別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】パスワード入力及び識別システムと、パスワード入力及び識別方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20230515BHJP
   G06F 21/46 20130101ALI20230515BHJP
【FI】
G06F21/31
G06F21/46
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019211020
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2020177639
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】1-2019-01931
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】VN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519417746
【氏名又は名称】エムケー グループ ジョイントストックカンパニー
【氏名又は名称原語表記】MK GROUP JSC
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トロン-カン グェン
【審査官】平井 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-010650(JP,A)
【文献】特開2000-357020(JP,A)
【文献】再公表特許第2005/013138(JP,A1)
【文献】特開2000-105622(JP,A)
【文献】特表2020-525919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/00-88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ0より大きい一連の数字を有する所定のパスワードであって、前記所定のパスワードにおける数字の数量に対応する所定の桁数を有する所定のパスワードを格納する格納ユニット(20)と、
一連のユーザー入力数字に対応する一連のトリガーに応じて、一連のトリガー信号を生成するように構成され、前記ユーザー入力数字のそれぞれが少なくとも1つの前記トリガー信号に対応する、ワンボタンパスワード入力コンポーネント(10)と、
前記所定のパスワードを読み取るために前記格納ユニット(20)に連結され、前記トリガー信号を受信するために前記ワンボタンパスワード入力コンポーネント(10)に連結されるコントローラー(30)と、を具え、
前記コントローラー(30)は、パスワード識別手順を実行するように構成され、
前記パスワード識別手順において、
前記コントローラー(30)は、前記ユーザー入力数字のそれぞれに対して、該ユーザー入力数字に対応し、前記ワンボタンパスワード入力コンポーネント(10)から受信された該ユーザー入力数字の値とする少なくとも1つの前記トリガー信号の数をカウントすることにより、前記ユーザー入力数字のそれぞれの値を決定し、
前記コントローラー(30)は、前記ユーザー入力数字の入力が終了した後、前記ユーザー入力数字を前記所定のパスワードと比較し、
前記コントローラー(30)は、前記ユーザー入力数字が前記所定のパスワードと一致した場合、所定の動作を実行し、
前記トリガー信号のそれぞれに対して、前記コントローラー(30)は、前記トリガー信号の受信から、該トリガー信号の直後の他の前記トリガー信号の受信までの計時を開始し、
前記コントローラー(30)は、前記ユーザー入力数字の値を1つずつ順番に決定し、
前記ユーザー入力数字のいずれかの値を決定するとき、前記コントローラー(30)は、直前の前記トリガー信号の受信から、第1の所定の時間長より短い時間間隔で離れている前記トリガー信号を受信すると、該ユーザー入力数字とするべくカウントされる前記数に1を加え、
前記所定のパスワードの最後の数字に対応しない前記ユーザー入力数字のいずれかの値を決定するとき、前記コントローラー(30)は、直前の前記トリガー信号の受信から、前記第1の所定の時間長と前記第1の所定の時間長より長い第2の所定の時間長との間の時間間隔で離れている前記トリガー信号を受信すると、該ユーザー入力数字とするための前記数のカウントを終了し、該ユーザー入力数字の直後の前記ユーザー入力数字とするための前記数を1からカウントし始め、
前記所定のパスワードの最後の数字に対応する前記ユーザー入力数字の値を決定するとき、前記コントローラー(30)は、前記一連のユーザー入力数字に対応する前記トリガーの後の他のトリガーに応じて前記ワンボタンパスワード入力コンポーネント(10)によって生成され、直前の前記トリガー信号の受信から、前記第1の所定の時間長と前記第2の所定の時間長との間の時間間隔で離れている他のトリガー信号を受信すると、該ユーザー入力数字の入力が終了したと判断する、パスワード入力及び識別システム(1)。
【請求項2】
前記パスワード識別手順において、
前記コントローラー(30)は、前記トリガー信号のそれぞれを受信すると、該トリガー信号が該パスワード識別手順において最初に受信された前記トリガー信号であるかどうかを判断し、
前記コントローラー(30)は、該トリガー信号が該パスワード識別手順において最初に受信された前記トリガー信号であると判断した場合、前記ユーザー入力数字のうちの第1の前記ユーザー入力数字とするための前記数を1からカウントする、請求項1に記載のパスワード入力及び識別システム(1)。
【請求項3】
前記所定のパスワードの各前記数字は、所定の上限より大きくなく、
前記パスワード識別手順において、
前記ユーザー入力数字のいずれかの値を決定するとき、前記コントローラー(30)は、該ユーザー入力数字とするべくカウントされた前記数に1を加えた後、該ユーザー入力数字とするべくカウントされた前記数を前記所定の上限と比較し、
該ユーザー入力数字とするべくカウントされた前記数が前記所定の上限より大きい場合、前記コントローラー(30)は、前記ユーザー入力数字が前記所定のパスワードと一致しないと判断し、前記パスワード識別手順を終了する、請求項1または請求項2に記載のパスワード入力及び識別システム(1)。
【請求項4】
前記パスワード識別手順において、
前記コントローラー(30)は、最新の前記トリガー信号の受信から計時された時間長が、前記第2の所定の時間長を超える場合、前記ユーザー入力数字の入力が終了したと判断する、請求項1に記載のパスワード入力及び識別システム(1)。
【請求項5】
記パスワード識別手順において、
前記コントローラー(30)は、
前記ユーザー入力数字の数量を前記所定の桁数と比較し、
前記ユーザー入力数字の数量が前記所定の桁数と同じである場合、前記ユーザー入力数字を前記所定のパスワードの数字とそれぞれ比較することによって、前記ユーザー入力数字を前記所定のパスワードと比較し、
各前記ユーザー入力数字が前記所定のパスワードの数字とそれぞれ一致した場合、前記コントローラー(30)は、前記所定の動作を実行する、請求項1~4のいずれか一項に記載のパスワード入力及び識別システム(1)。
【請求項6】
前記パスワード識別手順において、
前記ユーザー入力数字の数量が前記所定の桁数と違う場合、前記コントローラー(30)は、該パスワード識別手順を終了する、請求項5に記載のパスワード入力及び識別システム(1)。
【請求項7】
一連のユーザー入力数字に対応する一連のトリガーに応じて、一連のトリガー信号を、ワンボタンパスワード入力コンポーネント(10)によって、生成し、前記ユーザー入力数字のそれぞれが、少なくとも1つのトリガー信号に対応することと、
前記ワンボタンパスワード入力コンポーネント(10)から前記トリガー信号をコントローラー(30)によって受信することと、
パスワード識別手順を前記コントローラー(30)によって実行することと、を具え、
前記パスワード識別手順は、
前記ユーザー入力数字のそれぞれに対して、該ユーザー入力数字に対応し、前記ワンボタンパスワード入力コンポーネント(10)から受信された該ユーザー入力数字の値とする少なくとも1つの前記トリガー信号の数をカウントすることにより、前記ユーザー入力数字のそれぞれの値を決定し、
前記ユーザー入力数字の入力が終了した後、前記ユーザー入力数字を所定のパスワードと比較し、前記所定のパスワードは、それぞれ0より大きい一連の数字を有し、前記所定のパスワードにおける数字の数量に対応する所定の桁数を有することと、
前記ユーザー入力数字が前記所定のパスワードと一致した場合、所定の動作を実行することと、
前記トリガー信号のそれぞれに対して、前記トリガー信号の受信から、該トリガー信号の直後の他の前記トリガー信号の受信までの計時を開始することと、
前記ユーザー入力数字の値を1つずつ順番に決定することと、
前記ユーザー入力数字のいずれかの値を決定するとき、直前の前記トリガー信号の受信から、第1の所定の時間長より短い時間間隔で離れている前記トリガー信号を受信すると、該ユーザー入力数字とするべくカウントされる前記数に1を加えることと、
前記所定のパスワードの最後の数字に対応しない前記ユーザー入力数字のいずれかの値を決定するとき、直前の前記トリガー信号の受信から、前記第1の所定の時間長と前記第1の所定の時間長より長い第2の所定の時間長との間の時間間隔で離れている前記トリガー信号を受信すると、該ユーザー入力数字とするための前記数のカウントを終了し、該ユーザー入力数字の直後の前記ユーザー入力数字とするための前記数を1からカウントし始めることと、
前記所定のパスワードの最後の数字に対応する前記ユーザー入力数字の値を決定するとき、前記コントローラー(30)は、前記一連のユーザー入力数字に対応する前記トリガーの後の他のトリガーに応じて前記ワンボタンパスワード入力コンポーネント(10)によって生成され、直前の前記トリガー信号の受信から、前記第1の所定の時間長と前記第2の所定の時間長との間の時間間隔で離れている他のトリガー信号を受信すると、該ユーザー入力数字の入力が終了したと判断することと、
を含む、パスワード入力及び識別方法。
【請求項8】
前記パスワード識別手順は、さらに、
前記トリガー信号のそれぞれを受信すると、該トリガー信号が該パスワード識別手順において最初に受信された前記トリガー信号であるかどうかを判断することと、
該トリガー信号が該パスワード識別手順において最初に受信された前記トリガー信号であると判断した場合、前記ユーザー入力数字のうちの第1の前記ユーザー入力数字とするための前記数を1からカウントすることと、を含む、請求項7に記載のパスワード入力及び識別方法。
【請求項9】
前記所定のパスワードの各前記数字は、所定の上限より大きくなく、
前記パスワード識別手順は、さらに、
前記ユーザー入力数字のいずれかの値を決定するとき、該ユーザー入力数字とするべくカウントされた前記数に1を加えた後、該ユーザー入力数字とするべくカウントされた前記数を前記所定の上限と比較することと、
該ユーザー入力数字とするべくカウントされた前記数が前記所定の上限より大きい場合、前記ユーザー入力数字が前記所定のパスワードと一致しないと判断し、前記パスワード識別手順を終了することと、を含む、請求項8に記載のパスワード入力及び識別方法。
【請求項10】
記ユーザー入力数字を前記所定のパスワードと比較することは、
前記ユーザー入力数字の数量を前記所定の桁数と比較することと、
前記ユーザー入力数字の数量が前記所定の桁数と同じである場合、前記ユーザー入力数字を前記所定のパスワードの数字とそれぞれ比較することと、を含み、
前記パスワード識別手順は、さらに、
各前記ユーザー入力数字が前記所定のパスワードの数字とそれぞれ一致した場合、前記所定の動作を実行することを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載のパスワード入力及び識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワードの入力及び識別のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されているように、従来のセキュリティ装置は、ロックシェルに数値キーパッドを含む電子パッドロックとして例示されているため、ユーザーは、数値キーパッドからアンロック(unlock)パスワードを入力して、電子パッドロックをアンロックすることができる。しかし、長時間使用すると、アンロックパスワードに対応する数値キーパッドのいくつかのキーに傷が付く可能性があり、傷が付いたキーはアンロックパスワードを漏洩するリスクを高める可能性がある。さらに、数値キーパッドの存在は、セキュリティ装置の小型化の妨げになる。
【0003】
米国特許出願公開第2013/0043973号明細書には、コードを入力するためのキーパッドを有する電子ロックを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の一目的は、上記従来技術の欠点を少なくとも1つは解決できるパスワード入力及び識別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、パスワード入力及び識別システムは、格納ユニットと、ワンボタンパスワード入力コンポーネントと、コントローラーと、を含む。格納ユニットは、それぞれ0より大きい一連の数字を有する所定のパスワードを格納する。ワンボタンパスワード入力コンポーネントは、一連のユーザー入力数字に対応する一連のトリガーに応じて、一連のトリガー信号を生成するように構成される。ユーザー入力数字のそれぞれは、少なくとも1つのトリガー信号に対応する。コントローラーは、所定のパスワードを読み取るために格納ユニットに連結され、トリガー信号を受信するためにワンボタンパスワード入力コンポーネントに連結される。コントローラーは、パスワード識別手順を実行するように構成され、該パスワード識別手順において、コントローラーは、ユーザー入力数字のそれぞれに対して、該ユーザー入力数字に対応し、ワンボタンパスワード入力コンポーネントから受信された該ユーザー入力数字の値とする少なくとも1つのトリガー信号の数をカウントすることにより、ユーザー入力数字のそれぞれの値を決定し、コントローラーは、ユーザー入力数字の入力が終了した後、ユーザー入力数字を所定のパスワードと比較し、ユーザー入力数字が所定のパスワードと一致した場合、コントローラーは、所定の動作を実行する。
【0006】
本発明の他の目的は、上記従来技術の欠点を少なくとも1つは解決できるパスワード入力及び識別方法を提供することにある。
【0007】
本発明によれば、パスワード入力及び識別方法は、一連のユーザー入力数字に対応する一連のトリガーに応じて、一連のトリガー信号を、ワンボタンパスワード入力コンポーネントによって、生成し、ユーザー入力数字のそれぞれが、少なくとも1つのトリガー信号に対応することと、ワンボタンパスワード入力コンポーネントからトリガー信号をコントローラーによって受信することと、パスワード識別手順をコントローラーによって実行することと、を具え、パスワード識別手順は、ユーザー入力数字のそれぞれに対して、該ユーザー入力数字に対応し、ワンボタンパスワード入力コンポーネントから受信される該ユーザー入力数字の値とする少なくとも1つのトリガー信号の数をカウントすることにより、ユーザー入力数字のそれぞれの値を決定することと、ユーザー入力数字の入力が終了した後、ユーザー入力数字を所定のパスワードと比較することと、ユーザー入力数字が所定のパスワードと一致した場合、所定の動作を実行することと、を含む。
【0008】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照する以下の実施形態の詳細な説明において明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】パスワードの入力のための数値キーパッドを含む従来のセキュリティ装置を示す透視図である。
図2】本発明に係るパスワード入力及び識別システムの一実施形態を示すブロック図である。
図3】該実施形態を実施する電子パッドロックを例示的に示す概略図である。
図4】該実施形態を実施するUSBドライブを例示的に示す概略図である。
図5A図5Bと共に、本発明に係るパスワード入力及び識別方法のパスワード識別手順のステップを示すフロー図である。
図5B図5Aと共に、本発明に係るパスワード入力及び識別方法のパスワード識別手順のステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明をより詳細に説明する前に、適切と考えられる場合において、符号又は符号の末端部は、同様の特性を有し得る対応の又は類似の要素を示すために各図面間で繰り返し用いられることに留意されたい。
【0011】
図2では、本発明に係るパスワード入力及び識別システム1の実施形態は、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10と、格納ユニット20と、コントローラー30と、無線通信モジュール40と、イベントインジケータ50と、を含むことが示されている。パスワード入力及び識別システム1は、セキュリティシステムまたは装置と共に用いるのに適している。ワンボタンパスワード入力コンポーネント10は、ユーザーに押されるまたはクリックされるボタンを含み、該ボタンのみで実行され、一連のユーザー入力数字に対応する一連のトリガー(例えば、連続的なクリック)に応じて、一連のトリガー信号を生成するように構成される。ユーザー入力数字のそれぞれは、少なくとも1つのトリガー信号に対応する。ここで使用される“ボタン”という用語は、クリック、押し、タッチなどによってトリガーされることができる物理的なボタンまたは仮想的なボタンを指し得る。ワンボタンパスワード入力コンポーネント10は、例えば、弾性金属片、圧電性コンポーネント、抵抗膜方式/静電容量方式タッチコンポーネントなどによって実現することができ、例えば、ボタンスイッチ、キーパッド、タッチセンシティブデバイスなどの形で作成されることができるが、本発明はこの点に限定されない。ワンボタンパスワード入力コンポーネント10は、トリガーされると、単一タイプの電気信号を出力する電気スイッチングデバイスとして機能することができる。なお、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10は、マルチボタンデバイスを形成するために、異なる機能専用の他のボタンと協働してもよいことに留意されたい。重要な点は、実行された連続なトリガーを介してパスワード全体(ユーザー入力数字)を入力するために使用することができる単一のボタンが存在することにある。格納ユニット20は、それぞれ0より大きい一連の数字を有する所定のパスワードを格納し、フラッシュメモリモジュールなどの不揮発性メモリデバイスによって実現することができる。コントローラー30は、所定のパスワードを読み取るために格納ユニット20に連結され、トリガー信号を受信するためにワンボタンパスワード入力コンポーネント10に連結され、外部電子装置2と通信するために無線通信モジュール40に連結され、ユーザー入力数字の入力に関連するイベントを通知するためにイベントインジケータ50に連結されたプロセッサ、マイクロコントローラーなどであることができる。コントローラー30は、パスワード識別手順を実行するように構成され、前記パスワード識別手順においては、コントローラー30が、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10を介して入力されたユーザー入力数字の値を1つずつ順番に識別/決定し、ユーザー入力数字が格納ユニット20に格納された所定のパスワードと一致した場合、所定の動作を実行する。本実施形態において、イベントインジケータ50は、異なるイベントを示すために異なる方法で異なる色の光を発することができるLED(発光ダイオード)インジケータとして例示されているが、本発明は、この点に限定されない。例えば、イベントインジケータ50は、他の実施形態において、イベントに関連するメッセージをテキスト、画像及び/又は音声で出力するように、スクリーン、スピーカー、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0012】
外部電子装置2は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピューターなどであり、パスワード入力及び識別システム1に対応するアプリケーションプログラムを実行して、無線通信(すなわち、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(登録商標)など)を介して所定のパスワードを設定することができる。
【0013】
一応用例において、図3に示されているように、パスワード入力及び識別システム1は、電子パッドロックに適用される。ワンボタンパスワード入力コンポーネント10と、格納ユニット20と、コントローラー30とは、電子パッドロックのロックシェル内に配置することができる。電子パッドロックは、ユーザーが電子パッドロックのシャックルを連続的にクリックして、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10をトリガーして、ユーザー入力数字を入力するように作成されている。ユーザー入力数字が格納ユニット20に格納された所定のパスワードと一致した場合、コントローラー30は、本応用例における所定の動作である電子パッドロックに対するアンロック操作を実行する。
【0014】
一応用例において、図4に示されているように、パスワード入力及び識別システム1は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ドライブに適用される。ワンボタンパスワード入力コンポーネント10は、USBドライブのハウジングから露出されることができ、USBドライブの格納空間の一部が所定のパスワードを格納するように使用されることができ、コントローラー30は、USBドライブのハウジング内に位置することができる。ユーザーが、所定のパスワードと一致するユーザー入力数字を、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10を押すことによって入力すると、コントローラー30は、本応用例における所定の動作であるユーザーのUSBドライブに格納されたデータへのアクセスを許可する。
【0015】
図5A図5Bは、共に本発明に係るパスワード入力及び識別方法のパスワード識別手順のステップが示されるフロー図を構成する。パスワード識別手順は、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10のボタンを1回クリックすることにより起動されることができる。
【0016】
ステップS01において、コントローラー30は、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10のクリックにより生成されるトリガー信号が受信されたかどうかを確認する。フローは、肯定の場合、ステップS02に進み、そうでない場合、ステップS11に進む。トリガー信号を受信すると、コントローラー30は、イベントインジケータ50を青色光で点滅させることができる。
【0017】
ステップS02において、コントローラー30は、トリガー信号が現在のパスワード識別手順において最初に受信されたトリガー信号であるかどうか(すなわち、該トリガー信号が、現在のパスワード識別手順が起動された後、最初に受信されたトリガー信号であるかどうか)を確認する。つまり、コントローラー30は、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10に対する一クリックに対応するトリガー信号のそれぞれを受信すると、該トリガー信号が現在のパスワード識別手順において最初に受信されたトリガー信号であるかどうかを判断する。フローは、肯定の場合、ステップS03に進み、そうでない場合、ステップS04に進む。
【0018】
ステップS03において、コントローラー30は、ユーザー入力数字のうちの第1のユーザー入力数字に対応し、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10から受信され且つ該第1のユーザー入力数字の値となるトリガー信号の数をカウントし始めるように、ユーザー入力数字のうちの第1のユーザー入力数字を1に設定する。続いて、コントローラー30は、次のクリックを待ち、フローはステップS01に戻る。
【0019】
フローがステップS04に進んだ場合、それは、コントローラー30がユーザー入力数字のいずれか(以下、“現在ユーザー入力数字”と呼ぶ)とするための数をカウントしていることを意味し(現在のパスワード識別手順において、ステップS04が始めて実行される場合、現在ユーザー入力数字は、ユーザー入力数字の内の第1のユーザー入力数字である)、コントローラー30は、現在(または最新)受信されたトリガー信号の受信と直前のトリガー信号の受信との間の時間間隔を判定する。なお、ステップS01において、トリガー信号を受信したと判断すると、コントローラー30は、次のトリガー信号を受信するまでの計時を開始することに留意されたい。時間間隔が第1の所定の時間長(t1)より長くない場合、フローは、ステップS05に進み、そこでコントローラー30は、現在ユーザー入力数字とするべくカウントされた数に1を加え、その後、フローはステップS06に進む。時間間隔が第1の所定の時間長(t1)より長い場合、フローは、ステップS08に進む。
【0020】
本実施形態において、所定のパスワードの各数字は、所定の上限を有し、これは、所定のパスワードの各数字は、所定の上限より大きくないことを意味し、そのため、ユーザーがパスワードを入力するのに長い時間はかからない。所定の上限が5である場合、所定のパスワードの各数字は、1、2、3、4、または5だけであり得る。ステップS06において、コントローラー30は、現在ユーザー入力数字とするべくカウントされた数を所定の上限と比較する。現在ユーザー入力数字とするべくカウントされた数が所定の上限より大きい場合、これが、現在ユーザー入力数字のためのクリックのオーバーフローが発生したことを意味し(例えば、過剰のクリック数がある)、コントローラー30は、ユーザー入力数字が所定のパスワードと一致しないと判断し、フローは、ステップS07に進み、そこで、コントローラー30は、パスワード識別手順を終了し、誤りパスワード識別結果を提供する。本実施形態において、コントローラー30は、イベントインジケータ50を赤色光で点滅させることによって、誤りパスワード識別結果を提供する。
【0021】
一部の実施例において、所定のパスワードは、所定のパスワードにおける数字の数量に対応する所定の桁数を有する。このような場合、ステップS08を実行することができるが、本開示はそれに限定されない。現在のトリガー信号とその直前のトリガー信号との間の時間間隔が第1の所定の時間長(t1)より長い場合、フローはステップS04からステップS08に進み、ステップS08において、コントローラー30は、(これまで入力された)ユーザー入力数字の数量を所定の桁数と比較する(基本的に、現在ユーザー入力数字が所定のパスワードの最後の数字に対応するかどうかを判断する)。ユーザー入力数字の数量が所定の桁数と同じである場合、コントローラー30は、ユーザー入力数字の入力が終了したと判断し、フローはステップS09に進み、そこで、コントローラー30は、ユーザー入力数字を所定のパスワードの数字とそれぞれ比較する。
【0022】
ユーザー入力数字の数量が所定の桁数と違う場合、フローはステップS10に進み、そこで、コントローラー30は、現在ユーザー入力数字とするための数のカウントを終了し、現在ユーザー入力数字の値を、現在ユーザー入力数字に対応し、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10から受信した、カウントされた、トリガー信号の数として決定し、次のユーザー入力数字(新しい現在ユーザー入力数字)のためにトリガー信号の数を1からカウントし始める(すなわち、次のユーザー入力数字を1に設定する)。続いて、コントローラー30は、次のクリックを待ち、フローはステップS01に戻る。
【0023】
フローは、トリガー信号が受信されていないと判断すると、ステップS01からステップS11に進み、ステップS11において、コントローラー30は、現在のパスワード識別手順において、少なくとも1つのトリガー信号が受信されたかどうかを確認する。フローは、肯定の場合、ステップS12に進み、そうでない場合、ステップS01に戻る。
【0024】
ステップS12において、コントローラーは、最新のトリガー信号の受信から計時されている時間長が、第1の所定の時間長(t1)より長い第2の所定の時間長(t2)を超えるかどうかを判断する。肯定の場合、コントローラー30は、ユーザー入力数字の入力が終了したと判断し、フローはステップS13に進む。そうでない場合、フローは、ステップS01に戻る。
【0025】
ステップS13において、コントローラー30は、(これまで入力された)ユーザー入力数字の数量を所定の桁数と比較する(基本的に、現在ユーザー入力数字が所定のパスワードの最後の数字に対応するかどうかを判断する)。ユーザー入力数字の数量が所定の桁数と同じである場合、フローはステップS14に進み、そこで、コントローラー30は、ユーザー入力数字を所定のパスワードの数字とそれぞれ比較する。ユーザー入力数字の数量が所定の桁数と違う場合(すなわち、これまでに入力されたユーザー入力数字の数量が所定の桁数より少ない)、フローはステップS15に進み、そこで、コントローラー30は、パスワード識別手順を終了し、誤りパスワード識別結果を提供する。
【0026】
コントローラー30が、ステップS09又はステップS14において、各ユーザー入力数字が所定のパスワードの数字とそれぞれ一致したと判断した場合、コントローラー30は、パスワード識別手順を終了し、本実施形態ではイベントインジケータ50を緑色光で点滅させることを含む所定の動作を実行する。そうでない場合、コントローラー30は、パスワード識別手順を終了し、誤りパスワード識別結果を提供する。
【0027】
容易に理解できるように、パスワード入力及び識別システム1の動作を説明するにあたって、パスワード入力及び識別システム1が、図3に示されているように、電子パッドロックに適用され、所定のパスワードが“1-2-3-4”の4つの数字から構成される例示的な実施例をここで説明する。ユーザーが電子パッドロックをアンロックしたい場合、ユーザーは、パスワード識別手順を起動して、次に、シャックルを1回クリックして(第1の数字“1”に対応する)、しばらく停止して(t2≧t>t1)、シャックルを2回素早くクリックして(t≦t1)(第2の数字“2”に対応する)、しばらく停止して、シャックルを3回素早くクリックして(第3の数字“3”に対応する)、しばらく停止して、シャックルを4回素早くクリックする(第4の数字“4”に対応する)ことができる。続いて、ユーザーが第2の所定時間長(t2)を待つだけで、その終わりに、コントローラー30は、自動的に、シャックルをクリックすることによって入力された数字(すなわち、ユーザー入力数字)が所定のパスワードと一致するかどうかを確認する(S12→S13→S14)。もしくは、ユーザーは、第4の数字を入力した後、しばらく停止して、続いてシャックルをもう1回クリックすることで、コントローラー30に、ユーザー入力数字が所定のパスワードと一致するかどうかを確認させることができる(S04→S08→S09)。ユーザー入力数字が所定のパスワードと一致すると判断すると、コントローラー30は、電子パッドロックをアンロックする。第1の数字から第3の数字のいずれかを入力した後、ユーザーが、第2の所定の時間にわたって、クリックを停止した場合、コントローラー30は、誤りパスワード識別結果を提供する(S12→S13→S15)。
【0028】
第1の所定の時間長及び第2の所定の時間長(t1、t2)は、ユーザーが素早く連続的なクリックを快適に実行することができ、且つ、コントローラー30がユーザー入力数字が所定のパスワードと一致するかどうかを自動的に確認するまで長く待つ必要がないように、設計者の経験と知識によって設定されることができる。一例においては、第1の所定の時間長(t1)が800msに設定され、第2の所定の時間長t2が2500msに設定されるが、本発明は、この点に限定されない。
【0029】
要約すると、本発明に係るパスワード入力及び識別システム1は、ユーザー入力数字のそれぞれに対して、該ユーザー入力数字についてワンボタンパスワード入力コンポーネント10のクリックにより生成されるトリガー信号の数をカウントすることによって、ワンボタンパスワード入力コンポーネント10を介して入力されるユーザー入力数字を識別し、第1の所定の時間長及び第2の所定の時間長(t1、t2)の設定に基づいて、異なるユーザー入力数字の入力に対するクリックを区別することができる。ワンボタンパスワード入力コンポーネント10は、単一のボタンのみを介して異なるユーザー入力数字の入力に使用されることができるため、パスワードがボタンの外観によって漏洩することはない。さらに、本発明のパスワード入力及び識別システムを使用する応用は、パスワードの入力に必要なボタンが1つのみであるため、サイズに対する柔軟性が向上する。
【0030】
上記においては、本発明の全体的な理解を促すべく、多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。また、本明細書における「一つの実施形態」「一実施形態」を示す説明において、序数などの表示を伴う説明は全て、特定の態様、構造、特徴を有する本発明の具体的な実施に含まれ得るものであることと理解されたい。更に、本説明において、時には複数の変化例が一つの実施形態、図面、またはこれらの説明に組み込まれているが、これは本説明を合理化させるためのもので、また、本発明の多面性が理解されることを目的としたものであり、また、一実施形態における一またはそれ以上の特徴あるいは特定の具体例は、適切な場合には、本開示の実施において、他の実施形態における一またはそれ以上の特徴あるいは特定の具体例と共に実施され得る。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B