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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】テープ貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
B65H35/07 Q
B65H35/07 Z
B65H35/07 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019223431
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021091530
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】二宮 邦慈
(72)【発明者】
【氏名】林 弘貴
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-166950(JP,A)
【文献】特開2018-167967(JP,A)
【文献】特開平05-193813(JP,A)
【文献】特開2003-104325(JP,A)
【文献】特開2001-179861(JP,A)
【文献】特開平11-292385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤が塗布された帯状のテープ(2)を巻回したテープリール(3)から前記テープ(2)を繰り出しながら、走行する連続シート(1)の上面に前記テープ(2)を連続的に貼り付けるテープ貼付装置において、
走行する前記連続シート(1)への前記テープ(2)の貼り付けを開始するときに、前記テープ(2)の始端部(2a)が垂れ下がった状態となるように前記テープ(2)をつかんで保持するテープ挿入ユニット(8)と、
前記テープ挿入ユニット(8)から垂れ下がった状態の前記テープ(2)の始端部(2a)に対して前記連続シート(1)の走行方向の下流側に離れた定位置で前記連続シート(1)の上面に転がり接触する押さえローラ(10)と、
前記テープ挿入ユニット(8)を、前記テープ(2)をつかんで保持した状態のまま前記連続シート(1)の走行方向の上流側から下流側に加速して移動させることで、前記テープ挿入ユニット(8)から垂れ下がる前記テープ(2)の始端部(2a)を前記押さえローラ(10)と前記連続シート(1)の接触面間に挿入するテープ挿入ユニット移動装置(9)と、
を有するテープ貼付装置。
【請求項2】
前記テープ挿入ユニット(8)は、前記テープ挿入ユニット(8)が前記連続シート(1)の走行方向の上流側から下流側に加速して移動するときに、前記テープ(2)の始端部(2a)の側から前記テープリール(3)の側への前記テープ(2)の移動を阻止するテープ移動阻止手段を有する請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記テープ挿入ユニット(8)は、前記テープ(2)を挟む一対のクランプローラ(20,21)を有し、
前記テープ移動阻止手段は、前記一対のクランプローラ(20,21)のうちの少なくとも一方に設けられた、前記テープリール(3)の側から前記テープ(2)の始端部(2a)の側に前記テープ(2)が移動する方向の回転を許容し、かつ、前記テープ(2)の始端部(2a)の側から前記テープリール(3)の側に前記テープ(2)が移動する方向の回転を阻止する一方向クラッチ(25)である請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記連続シート(1)への前記テープ(2)の貼り付けを終了するときに前記テープ(2)を切断するテープカット装置(11)を更に有し、
前記テープカット装置(11)は、前記テープ(2)の切断を、前記テープ挿入ユニット(8)と前記押さえローラ(10)の間で行なうように配置されている請求項1から3のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記テープカット装置(11)は、
前記テープ(2)から離間した切断待機位置と前記テープ(2)に接触する切断位置との間で移動可能に支持された刃物(41)と、
前記刃物(41)が前記切断待機位置から前記切断位置に移動するときに、前記刃物(41)に対して前記テープ挿入ユニット(8)のある側で前記テープ(2)を厚み方向に把持するキャッチ部材(43,44)と、を有する請求項4に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記テープ(2)の張力に応じて移動するダンサーローラ(6)が、前記テープリール(3)から前記テープ挿入ユニット(8)へのテープ走行経路の途中に設けられている請求項1から5のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
走行する前記連続シート(1)への前記テープ(2)の貼り付けを開始するときに前記テープリール(3)を回転駆動するリール駆動モータ(5)を更に有する請求項1から6のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粘着剤が塗布された帯状のテープを、走行する連続シートの上面に連続的に貼り付けるテープ貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤が塗布された帯状のテープを、走行する連続シートの上面に連続的に貼り付けるテープ貼付装置として、例えば、段ボールシートを製造するコルゲートマシンにおけるテープ貼付装置がある(特許文献1)。このテープは、段ボール箱の開封作業を容易にするため、段ボール箱の胴部の内面を一回りするようにあらかじめ段ボールシートに貼り付けられるカットテープである。カットテープが貼り付けられた段ボール箱は、カットテープの部分を手で引っ張って段ボールを破断することで、刃物を使用しなくても段ボール箱の胴部を上下に分割することが可能である。
【0003】
特許文献1のテープ貼付装置は、粘着剤が片面に塗布されたテープを巻回したテープリールを装着し、そのテープリールからテープを繰り出しながら、コルゲートマシンを途切れずに連続して走行する段ボールシートの上面に、テープを連続的に貼り付ける。
【0004】
ところで、特許文献1のテープ貼付装置は、段ボールシートの走行を止めずに、段ボールシートが走行した状態のままテープの貼り付けを開始することができるようにするため、テープの始端部に、短冊形の挿入補助片を取り付けている。そして、その挿入補助片を、走行している段ボールシートの上側に対向して保持し、その挿入補助片を、挿入補助片の上側に配置された上下動ローラを下降させることで、走行している段ボールシートの上面に挿入補助片を押さえ付け、その挿入補助片と段ボールシートの間の摩擦によって挿入補助片を段ボールシートの速度に加速し、その挿入補助片の加速に伴い、挿入補助片に接続されたテープも加速されるようにしている。その後、挿入補助片に接続されたテープは、下降した上下動ローラと段ボールシートの間を通過することで、段ボールシートの上面に貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-129898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のテープ貼付装置は、段ボールシートへのテープの貼り付けを開始するときに、毎回、あらかじめテープの始端部に挿入補助片を取り付ける作業をする必要があるので、作業者の負担が大きい。
【0007】
そこで、本願の発明者は、段ボールシートへのテープの貼り付けを開始するときに、テープの始端部に挿入補助片を取り付けずに、そのまま、テープの始端部を、走行する段ボールシートの上面に貼り付けることができないかを検討した。
【0008】
しかしながら、テープの始端部を、走行する段ボールシートの上面にそのまま貼り付けようとした場合、テープの始端部と段ボールシートの上面の貼着面積は小さいので、テープを段ボールシートの上面に貼り付けた後、そのテープが加速して段ボールシートの走行速度に到達する前に、テープの張力によってテープが段ボールシートの上面から剥がれてしまうという問題がある。そのため、テープの始端部を、走行する段ボールシートの上面にそのまま貼り付けるのは困難であった。
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、テープの始端部に挿入補助片を取り付けずに、走行する連続シートへのテープの貼り付けを開始することが可能なテープ貼付装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明では、以下の構成のテープ貼付装置を提供する。
すなわち、粘着剤が塗布された帯状のテープを巻回したテープリールから前記テープを繰り出しながら、走行する連続シートの上面に前記テープを連続的に貼り付けるテープ貼付装置において、
走行する前記連続シートへの前記テープの貼り付けを開始するときに、前記テープの始端部が垂れ下がった状態となるように前記テープをつかんで保持するテープ挿入ユニットと、
前記テープ挿入ユニットから垂れ下がった状態の前記テープの始端部に対して前記連続シートの走行方向の下流側に離れた定位置で前記連続シートの上面に転がり接触する押さえローラと、
前記テープ挿入ユニットを、前記テープをつかんで保持した状態のまま前記連続シートの走行方向の上流側から下流側に加速して移動させることで、前記テープ挿入ユニットから垂れ下がる前記テープの始端部を前記押さえローラと前記連続シートの接触面間に挿入するテープ挿入ユニット移動装置と、
を有するテープ貼付装置を提供する。
【0011】
このようにすると、テープ挿入ユニットを、テープをつかんで保持した状態のまま連続シートの走行方向の上流側から下流側に加速して移動させることで、テープをテープ挿入ユニットとともに加速し、そのテープ挿入ユニットから垂れ下がった状態のテープの始端部を、押さえローラと連続シートの接触面間に挿入することで、テープの始端部を、走行する連続シートの上面に貼り付けることができる。すなわち、走行する連続シートへのテープの貼り付けを開始するときに、あらかじめテープを加速し、その加速したテープの始端部を連続シートの上面に貼り付けるので、テープの始端部を連続シートの上面に貼り付けたときにテープに作用する張力が低く抑えられ、テープの張力によってテープが連続シートの上面から剥がれるのを防止することができる。そのため、テープの始端部に挿入補助片を取り付けずに、走行する連続シートへのテープの貼り付けを開始することが可能である。
【0012】
前記テープ挿入ユニットは、前記テープ挿入ユニットが前記連続シートの走行方向の上流側から下流側に加速して移動するときに、前記テープの始端部の側から前記テープリールの側への前記テープの移動を阻止するテープ移動阻止手段を有する構成を採用することができる。
【0013】
前記テープ挿入ユニットは、前記テープを挟む一対のクランプローラを有する場合、
前記テープ移動阻止手段は、前記一対のクランプローラのうちの少なくとも一方に設けられた、前記テープリールの側から前記テープの始端部の側に前記テープが移動する方向の回転を許容し、かつ、前記テープの始端部の側から前記テープリールの側に前記テープが移動する方向の回転を阻止する一方向クラッチを採用すると好ましい。
【0014】
このようにすると、テープを挟む一対のクランプローラが、テープの始端部の側からテープリールの側へのテープの移動を阻止するので、テープ挿入ユニットが加速して移動するときは、テープをテープ挿入ユニットと一体に移動して加速させることができる。また、一方向クラッチは、テープリールの側からテープの始端部の側へのテープの移動を許容するので、テープの始端部が連続シートの上面に貼り付けられた後は、テープを挟む一対のクランプローラがテープの移動を阻害せず、テープをテープ挿入ユニットから円滑に送り出すことが可能である。このように、一方向クラッチを設けたクランプローラを使用することで、テープ挿入ユニットが加速して移動するときのテープの加速動作と、テープの始端部が連続シートの上面に貼り付けられた後のテープの送り出し動作との切り替えをきわめて円滑に行なうことが可能となる。
【0015】
前記連続シートへの前記テープの貼り付けを終了するときに前記テープを切断するテープカット装置を更に設ける場合、前記テープカット装置は、前記テープの切断を、前記テープ挿入ユニットと前記押さえローラの間で行なうように配置すると好ましい。
【0016】
このようにすると、テープカット装置でテープを切断したときに、テープがテープ挿入ユニットの側とテープカット装置の側とに切り離されるので、その切り離されたテープのテープ挿入ユニットの側の部分を、テープ挿入ユニットでつかんで保持することで、テープをテープ挿入ユニットにセットした状態とすることができる。そのため、連続シートへのテープの貼り付けを開始するときに、毎回あらかじめテープをテープ挿入ユニットにセットする作業を行なう必要がなく、作業者の負担を効果的に低減することが可能となる。
【0017】
前記テープカット装置は、
前記テープから離間した切断待機位置と前記テープに接触する切断位置との間で移動可能に支持された刃物と、
前記刃物が前記切断待機位置から前記切断位置に移動するときに、前記刃物に対して前記テープ挿入ユニットのある側で前記テープを厚み方向に把持するキャッチ部材と、を有する構成のものを採用すると好ましい。
【0018】
このようにすると、刃物がテープを切断したときに、キャッチ部材が刃物に対してテープ挿入ユニットの側でテープを把持するので、切り離されたテープのテープ挿入ユニットの側の部分が、テープの張力で縮んで絡まるのを防止することができる。そのため、刃物でテープを切断したときに、その切断によってテープ挿入ユニットの側に形成されるテープの始端部が、テープ挿入ユニットから垂れ下がった状態となり、そのまま次回の連続シートへのテープの貼り付けを開始することが可能となる。
【0019】
前記テープの張力に応じて移動するダンサーローラを、前記テープリールから前記テープ挿入ユニットへのテープ走行経路の途中に設けると好ましい。
【0020】
このようにすると、テープの始端部を連続シートの上面に貼り付けたときにテープに作用する張力を、一層効果的に低く抑えることが可能となる。
【0021】
走行する前記連続シートへの前記テープの貼り付けを開始するときに前記テープリールを回転駆動するリール駆動モータを更に設けると好ましい。
【0022】
このようにすると、テープの始端部を連続シートの上面に貼り付けたときにテープに作用する張力を、一層効果的に低く抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
この発明のテープ貼付装置は、走行する連続シートへのテープの貼り付けを開始するときに、あらかじめテープを加速し、その加速したテープの始端部を連続シートの上面に貼り付けるので、テープの始端部を連続シートの上面に貼り付けたときにテープに作用する張力が低く抑えられ、テープの張力によってテープが連続シートの上面から剥がれるのを防止することができる。そのため、テープの始端部に挿入補助片を取り付けずに、走行する連続シートへのテープの貼り付けを開始することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の実施形態のテープ貼付装置を示す図
図2図1のテープ挿入ユニットおよびテープ挿入ユニット移動装置の近傍の拡大図
図3図2に示すテープ挿入ユニットを加速して移動させることで、テープ挿入ユニットから垂れ下がった状態のテープの始端部を、押さえローラと段ボールシートの接触面間に挿入した状態を示すテープ挿入ユニットの近傍の図
図4図3に示すテープカット装置をテープの走行方向に見た図
図5図4に示すテープカット装置の刃物を切断待機位置から切断位置に移動させた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、この発明の実施形態のテープ貼付装置を示す。このテープ貼付装置は、段ボールシートを製造するコルゲートマシンの途中において、途切れずに連続して走行する段ボールシート1の上面に、粘着剤が塗布された帯状のテープ2を連続的に貼り付ける装置である。
【0026】
テープ貼付装置は、テープリール3を装着するテープ支持軸4と、テープ支持軸4を回転駆動するリール駆動モータ5と、テープリール3から繰り出されるテープ2の張力に応じて移動するダンサーローラ6と、段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを開始するときにテープ2の始端部2aが垂れ下がった状態となるようにテープ2をつかんで保持するテープ挿入ユニット8と、テープ挿入ユニット8を移動させるテープ挿入ユニット移動装置9と、テープ挿入ユニット8から送り出されるテープ2を段ボールシート1の上面に押さえ付ける押さえローラ10と、段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを終了するときにテープ2を切断するテープカット装置11とを有する。
【0027】
テープリール3は、紙管18の外周にテープ2を巻回して形成されている。テープ2は、樹脂(例えば、ポリプロピレン)製の帯状の基材の片面(テープリール3の内径側を向く面)に粘着剤を塗布したカットテープである。テープ2は4mm~10mmの幅を有する。テープリール3に巻回されたテープ2の長さは、未使用新品の状態で10000~25000mの範囲に設定されている。紙管18は140mm~160mmの内径を有する。
【0028】
テープ支持軸4は、テープリール3の内周を支持してテープリール3と一体に回転する回転軸である。テープ支持軸4には、伝動部材12を介してリール駆動モータ5が連結され、リール駆動モータ5を作動させることで、テープ支持軸4に装着したテープリール3を回転駆動することができるようになっている。
【0029】
テープ支持軸4の周囲には、複数のガイドローラ13が設けられている。複数のガイドローラ13は、テープリール3の外径側に、テープリール3を中心とする周方向に間隔をおいて配置され、テープリール3から繰り出されるテープ2が複数のガイドローラ13を順に通過するようにテープ2が架け渡される。複数のガイドローラ13は、テープリール3の外周のテープ2を繰り出し位置が軸方向に変化する場合にも、テープ2の通過する軸方向位置を順に修正し、一定の軸方向位置でテープ2がダンサーローラ6に導入されるようにテープ2を案内する。ダンサーローラ6は、テープ挿入ユニット8の移動等に伴うテープ2の張力変動を吸収することができるように、テープリール3からテープ挿入ユニット8へのテープ走行経路の途中に設けられている。
【0030】
ダンサーローラ6は、ダンサーローラ支持部材14に取り付けられたローラ軸15を中心に回転可能に支持されている。ダンサーローラ支持部材14は、ダンサーローラ6に巻き掛けられたテープ2の走行距離を変化させる方向(図では上下方向)にリニアガイド16で移動可能に支持され、さらにそのテープ2の走行距離を長くする方向(図では上方)に図示しない付勢部材(例えばコイルばね)で付勢されている。これにより、テープ2の張力が大きくなったときは、テープ2の走行距離が短くなる方向(図では下方)にダンサーローラ6とダンサーローラ支持部材14が移動することで、テープ2の張力が緩和されるようになっている。
【0031】
図2に示すように、テープ挿入ユニット8は、テープ2を厚み方向に挟む第1のクランプローラ20および第2のクランプローラ21と、テープ挿入ユニット8の出口に位置する出口ローラ22と、第1のクランプローラ20と第2のクランプローラ21と出口ローラ22とを共通して支持するスライダ23とを有する。
【0032】
第1のクランプローラ20には、テープ2の段ボールシート1に貼付される面が第1のクランプローラ20の外周に接触するようにテープ2が巻き掛けられている。第2のクランプローラ21は、テープ2の第1のクランプローラ20の外周への巻き掛け部分を押圧するように配置されている。出口ローラ22は、第1のクランプローラ20の直後に、テープ2の段ボールシート1に貼付される面とは反対側の面を案内するように配置されている。
【0033】
図3に示すように、第2のクランプローラ21は、第2のクランプローラ21の外周でテープ2の第1のクランプローラ20の外周への巻き掛け部分を押圧するクランプ位置(図3に実線で示す位置)と、第2のクランプローラ21の外周がテープ2の第1のクランプローラ20の外周への巻き掛け部分から離反するクランプ解除位置(図3に鎖線で示す位置)との間で移動可能に支持されている。スライダ23には、第2のクランプローラ21をクランプ位置とクランプ解除位置との間で移動させるクランプ駆動装置24が設けられている。クランプ駆動装置24は、例えば、空気圧で第2のクランプローラ21を往復動させる空気圧シリンダである。
【0034】
第2のクランプローラ21には、テープリール3の側からテープ2の始端部2aの側にテープ2が移動する方向の回転(図では反時計回りの回転)を許容し、かつ、テープ2の始端部2aの側からテープリール3の側にテープ2が移動する方向の回転(図では時計回りの回転)を阻止する一方向クラッチ25が組み込まれている。一方、第1のクランプローラ20には一方向クラッチは組み込まれていない。
【0035】
図2に示すように、テープ挿入ユニット移動装置9は、スライダ23を移動可能に支持するスライドレール26と、電動モータ27と、電動モータ27の回転をスライダ23の直線運動に変換する運動変換機構とで構成されている。運動変換機構は、ここでは電動モータ27の作動によりスライドレール26と平行に走行するように一対のプーリ28間に巻き掛けられた環状の伝動ベルト29である。スライダ23は、伝動ベルト29と一体に移動するように連結部材30を介して伝動ベルト29に連結されている。
【0036】
スライドレール26は、段ボールシート1の走行方向と平行にスライド可能にスライダ23を支持している。スライドレール26は、テープ挿入ユニット8の可動範囲に対して、段ボールシート1の走行方向の上流側(図では左側)に定位置ローラ33を有する。定位置ローラ33は、テープ挿入ユニット8がスライドレール26に沿って移動するときに定位置を保つようにスライドレール26に固定して設けられている。この定位置ローラ33は、第1のクランプローラ20の直前に配置され、テープ2の段ボールシート1に貼付される面とは反対側の面を案内している。
【0037】
押さえローラ10は、テープ挿入ユニット8から垂れ下がった状態のテープ2の始端部2aに対して段ボールシート1の走行方向の下流側(図では右側)に離れた位置で段ボールシート1の上面に転がり接触するローラである。押さえローラ10は、昇降装置34で昇降可能に設けられたローラブラケット35に取り付けられている。押さえローラ10は、昇降装置34を作動させることで、押さえローラ10が段ボールシート1の上面から離反する上昇位置と、押さえローラ10が段ボールシート1の上面に転がり接触する下降位置との間で昇降可能となっている。押さえローラ10の下方には、段ボールシート1の下面を受ける受けローラ38が設けられている。
【0038】
テープカット装置11は、ローラブラケット35に取り付けられている。テープカット装置11は、段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを終了するときにテープ2を切断する装置である。テープカット装置11は、テープ2の切断を、テープ挿入ユニット8と押さえローラ10の間で行なうように配置されている。
【0039】
図4図5に示すように、テープカット装置11は、テープ2から離間した切断待機位置(図4参照)と、テープ2に接触する切断位置(図5参照)との間で移動可能に支持された一対の刃物41を有する。一対の刃物41は、テープ2の幅方向(テープ2の厚み方向と直交する方向)の両側に設けられ、刃物駆動装置42の作動によって、テープ2を幅方向の両側から切り込んで切断するように支持されている。
【0040】
また、テープカット装置11は、刃物41が切断待機位置(図4参照)から切断位置(図5参照)に移動するときに、刃物41に対してテープ挿入ユニット8のある側(図3の左側)でテープ2を厚み方向に把持する一対のキャッチ部材43,44を有する。
【0041】
図4図5に示すように、キャッチ部材43,44は、テープ2の厚み方向の一方側(図ではテープ2の段ボールシート1に貼付される面とは反対側)に固定して設けられた固定側キャッチ部材43と、テープ2の厚み方向の他方側(図ではテープ2の段ボールシート1に貼付される面の側)に移動可能に設けられた移動側キャッチ部材44とからなる。移動側キャッチ部材44は、一対の刃物41のうちの一方を支持する刃物台45に取り付けられ、刃物駆動装置42で刃物41を移動させたときに、その刃物41と一体に移動するようになっている。
【0042】
図2に示すように、テープ貼付装置は、段ボールシート1の幅方向(段ボールシート1の走行方向に直交する水平方向)に全体として移動可能にリニアガイド46で支持され、テープ貼付位置調整モータ47を駆動することで、テープ2の貼り付け位置を段ボールシート1の幅方向に変化させることができるようになっている。
【0043】
このテープ貼付装置を用いて、走行する段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを開始するときの動作例を説明する。
【0044】
まず、図1に示すように、テープリール3からテープ2を引き出して、ガイドローラ13、ダンサーローラ6、定位置ローラ33、第1のクランプローラ20、出口ローラ22の順にテープ2を通す。ここで、テープ2を第1のクランプローラ20に巻き掛けるに際しては、クランプ駆動装置24を作動させることで、いったん第2のクランプローラ21をクランプ位置からクランプ解除位置に移動させ、第2のクランプローラ21を第1のクランプローラ20の外周から離反させる。そして、テープ2を第1のクランプローラ20に巻き掛けた後、ふたたびクランプ駆動装置24を作動させることで、第2のクランプローラ21をクランプ解除位置からクランプ位置に戻す。
【0045】
このとき、図2に示すように、テープ2は、その始端部2aがテープ挿入ユニット8の出口ローラ22から垂れ下がった状態で、テープ挿入ユニット8の第1のクランプローラ20および第2のクランプローラ21でつかんで保持された状態となる。また、テープ挿入ユニット8から垂れ下がったテープ2の始端部2aは、走行する段ボールシート1の上面に摺接した状態となっている。段ボールシート1は、150m/分以上(この装置ならば250m/分以上の走行速度でもテープ2の貼り付けを開始することができる)で走行している。
【0046】
その後、図1に示すリール駆動モータ5を作動させてテープリール3を回転駆動するとともに、テープ挿入ユニット8を、テープ2をつかんで保持した状態のまま段ボールシート1の走行方向の上流側から下流側に加速して移動させ、テープ挿入ユニット8から垂れ下がるテープ2の始端部2aを、押さえローラ10と段ボールシート1の接触面間に挿入する。このとき、第2のクランプローラ21に組み込まれた一方向クラッチ25の作用によって、テープ2を挟む第1のクランプローラ20および第2のクランプローラ21が、テープ2の始端部2aの側からテープリール3の側へのテープ2の移動を阻止するので、テープ2はテープ挿入ユニット8と一体に移動して加速される。
【0047】
ここで、テープ挿入ユニット8をスライドレール26に沿って加速するとき、テープ挿入ユニット8が移動し始めてから、テープ挿入ユニット8から垂れ下がるテープ2の始端部2aが押さえローラ10と段ボールシート1の接触面間に挿入されるまでの間に、テープ挿入ユニット8の移動速度が、段ボールシート1の走行速度と同速かそれに近い速度(例えば、段ボールシート1の走行速度の95%以上の速度)になるようにテープ挿入ユニット8を加速させる。
【0048】
そして、図3に示すように、テープ2の始端部2aが、押さえローラ10と段ボールシート1の接触面間に挿入されると、テープ2の始端部2aが、押さえローラ10と受けローラ38とによって段ボールシート1の上面に押さえ付けられ、段ボールシート1の上面に貼り付けられる。このとき、第2のクランプローラ21に組み込まれた一方向クラッチ25は、テープリール3の側からテープ2の始端部2aの側へのテープ2の移動を許容するので、テープ2の始端部2aが段ボールシート1の上面に貼り付けられた後は、第1のクランプローラ20および第2のクランプローラ21がテープ2の移動を阻害せず、テープ2をテープ挿入ユニット8から円滑に送り出すことが可能である。
【0049】
その後、図3の鎖線に示すように、クランプ駆動装置24の作動によって、第2のクランプローラ21をクランプ位置からクランプ解除位置に移動させ、第2のクランプローラ21をテープ2から離反させて接触しないようにする。この状態で、走行する段ボールシート1の上面にテープ2を連続的に貼り付ける(生産中の状態)。
【0050】
次に、走行する段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを終了するときの動作例を説明する。
【0051】
まず、第2のクランプローラ21を、図3の鎖線で示すクランプ解除位置から、図3の実線で示すクランプ位置に移動させ、第1のクランプローラ20と第2のクランプローラ21でテープ2を挟んだ状態とする。次に、テープカット装置11の刃物41を、図4に示す切断待機位置から、図5に示す切断位置に移動させる。このとき、テープ2は、固定側キャッチ部材43と移動側キャッチ部材44とで厚み方向に把持され、その直後に刃物41で切断される。そのため、テープ2を切断したとき、テープ2は、出口ローラ22とテープカット装置11の間に架け渡された状態に保持される。
【0052】
上記のテープ貼付装置は、テープ挿入ユニット8を、テープ2をつかんで保持した状態のまま段ボールシート1の走行方向の上流側から下流側に加速して移動させることで、テープ2をテープ挿入ユニット8とともに加速し、そのテープ挿入ユニット8から垂れ下がった状態のテープ2の始端部2aを、押さえローラ10と段ボールシート1の接触面間に挿入することで、テープ2の始端部2aを、走行する段ボールシート1の上面に貼り付けることができる。すなわち、走行する段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを開始するときに、あらかじめテープ2を加速し、その加速したテープ2の始端部2aを段ボールシート1の上面に貼り付けるので、テープ2の始端部2aを段ボールシート1の上面に貼り付けたときにテープ2に作用する張力が低く抑えられ、テープ2の張力によってテープ2が段ボールシート1の上面から剥がれるのを防止することができる。そのため、テープ2の始端部2aに挿入補助片を取り付けずに、走行する段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを開始することが可能である。
【0053】
また、このテープ貼付装置は、テープ2を挟む第1のクランプローラ20と第2のクランプローラ21のうちの少なくとも一方に一方向クラッチ25を設けた構成を採用しているので、テープ挿入ユニット8が加速して移動するときのテープ2の加速動作と、テープ2の始端部2aが段ボールシート1の上面に貼り付けられた後のテープ2の送り出し動作との切り替えをきわめて円滑に行なうことが可能である。なおこの実施形態において、一方向クラッチ25は、テープ挿入ユニット8が連続シート1の走行方向の上流側から下流側に加速して移動するときに、テープ2の始端部2aの側からテープリール3の側へのテープ2の移動を阻止するテープ移動阻止手段を構成している。
【0054】
また、このテープ貼付装置は、テープカット装置11でテープ2を切断したときに、テープ2がテープ挿入ユニット8の側とテープカット装置11の側とに切り離され、その切り離されたテープ2のテープ挿入ユニット8の側の部分を、テープ挿入ユニット8でつかんで保持することで、テープ2をテープ挿入ユニット8にセットした状態とすることが可能である。そのため、段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを開始するときに、毎回あらかじめテープ2をテープ挿入ユニット8にセットする作業を行なう必要がなく、作業者の負担を効果的に低減することが可能である。
【0055】
また、このテープ貼付装置は、テープカット装置11の刃物41がテープ2を切断したときに、テープカット装置11の固定側キャッチ部材43と移動側キャッチ部材44が、刃物41に対してテープ挿入ユニット8の側でテープ2を把持するので、切り離されたテープ2のテープ挿入ユニット8の側の部分が、テープ2の張力で縮んで絡まるのを防止することができる。そのため、刃物41でテープ2を切断したときに、その切断によってテープ挿入ユニット8の側に形成されるテープ2の始端部2aが、テープ挿入ユニット8から垂れ下がった状態となり、そのまま次回の段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを開始することが可能となっている。
【0056】
また、このテープ貼付装置は、テープ2の張力に応じて移動するダンサーローラ6を、テープリール3からテープ挿入ユニット8へのテープ走行経路の途中に設けているので、テープ2の始端部2aを段ボールシート1の上面に貼り付けたときにテープ2に作用する張力を、一層効果的に低く抑えることが可能となっている。
【0057】
また、このテープ貼付装置は、走行する段ボールシート1へのテープ2の貼り付けを開始するときにテープリール3を回転駆動するリール駆動モータ5を有するので、テープ2の始端部2aを段ボールシート1の上面に貼り付けたときにテープ2に作用する張力を、一層効果的に低く抑えることが可能となっている。
【0058】
上記実施形態では、テープ挿入ユニット8が段ボールシート1の走行方向の上流側から下流側に加速して移動するときに、テープ2の始端部2aの側からテープリール3の側へのテープ2の移動を阻止するテープ移動阻止手段として一方向クラッチ25を採用したものを例に挙げて説明したが、これにかえて、例えば、第1のクランプローラ20または第2のクランプローラ21を、電気的操作によってテープ2の移動の規制とその解除とを切り替え可能なブレーキローラとし、そのブレーキローラをテープ移動阻止手段とすることも可能である。テープ移動阻止手段として、キャッチ部材(回転体ではなく、固定物で挟み込む構成)を採用することも可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、段ボールシート1にテープ2を貼り付けるテープ貼付装置を例に挙げて説明したが、この発明は、段ボールシート1以外の連続シートにテープ2を貼り付けるテープ貼付装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 段ボールシート(連続シート)
2 テープ
2a テープの始端部
3 テープリール
5 リール駆動モータ
6 ダンサーローラ
8 テープ挿入ユニット
9 テープ挿入ユニット移動装置
10 押さえローラ
11 テープカット装置
20,21 クランプローラ
25 一方向クラッチ
41 刃物
43 固定側キャッチ部材
44 移動側キャッチ部材
図1
図2
図3
図4
図5