(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】トリガー式泡噴射器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20230515BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20230515BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B65D47/34 200
B05B1/02 101
B05B1/14 Z
(21)【出願番号】P 2019239695
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-71463(JP,A)
【文献】特開2013-81927(JP,A)
【文献】実開昭61-185449(JP,U)
【文献】特開2011-173094(JP,A)
【文献】米国特許第5647539(US,A)
【文献】特開2013-230868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 1/02
B05B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収納する容器の口部に装着される噴射器本体と、
トリガーの操作により作動して前記容器に収納されている液体を前記噴射器本体に設けられた送出口に圧送するポンプと、
前記送出口に圧送された液体を泡状にして外部に噴射するノズルと、を有するトリガー式泡噴射器であって、
前記ノズルが、
前記送出口に連通可能な取込み孔を備え、前記噴射器本体に装着された基体と、
前記基体に装着され、前記基体との間に前記取込み孔に連なる分岐室を区画形成する区画体と、
前記基体又は前記区画体に設けられた柱状部に嵌合する嵌合筒部と、前記嵌合筒部と前記柱状部との間の連通路を介して前記分岐室に連通する吐出孔が設けられるとともに前記嵌合筒部の端部に一体に連なる隔壁部と、を備えた吐出チップと、
前記吐出孔を囲うガイド筒部と、前記ガイド筒部の内外を貫通する空気導入通路とを備え、前記吐出チップの外側に設けられた発泡部と、を有し、
前記ノズルに、前記柱状部、前記吐出チップ及び前記発泡部を備えた泡噴射部が、互いに間隔を空けて複数設けられていることを特徴とするトリガー式泡噴射器。
【請求項2】
複数の前記柱状部が前記区画体に一体に設けられ、
複数の前記吐出チップが、それぞれの前記柱状部に装着され、
複数の前記発泡部を一体に備えた発泡部材が、前記区画体の外側に装着されている、請求項1に記載のトリガー式泡噴射器。
【請求項3】
複数の前記柱状部が前記基体に一体に設けられ、
複数の前記吐出チップが前記区画体に一体に設けられている、請求項1に記載のトリガー式泡噴射器。
【請求項4】
複数の前記発泡部が前記区画体に一体に設けられている、請求項3に記載のトリガー式泡噴射器。
【請求項5】
複数の前記発泡部を一体に備えた発泡部材が、前記区画体の外側に装着されている、請求項3に記載のトリガー式泡噴射器。
【請求項6】
2つの前記泡噴射部が、前記取込み孔の軸線を挟んで対称に配置されている、請求項1~5の何れか1項に記載のトリガー式泡噴射器。
【請求項7】
一方の前記泡噴射部が、前記取込み孔の軸線に対して、前記柱状部の側よりも前記発泡部の側の方が前記軸線から離れるように傾斜した方向に向けられており、
他方の前記泡噴射部が、一方の前記泡噴射部とは、前記取込み孔の軸線を挟んで対称な方向に向けられている、請求項6に記載のトリガー式泡噴射器。
【請求項8】
それぞれの前記泡噴射部において、前記吐出孔が前記ガイド筒部の軸線に対して前記取込み孔の軸線の側にずれて配置されている、請求項6に記載のトリガー式泡噴射器。
【請求項9】
3つの前記泡噴射部が、前記取込み孔の軸線を中心として周方向に等間隔に並べて配置されている、請求項1~5の何れか1項に記載のトリガー式泡噴射器。
【請求項10】
第1の前記泡噴射部において、前記吐出孔が前記ガイド筒部の軸線に対して第2の前記泡噴射部の側にずれて配置され、
第2の前記泡噴射部において、前記吐出孔が前記ガイド筒部の軸線に対して第1の前記泡噴射部の側にずれて配置され、
第3の前記泡噴射部において、前記吐出孔が前記ガイド筒部の軸線に対して前記取込み孔の軸線の側にずれて配置されている、請求項9に記載のトリガー式泡噴射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガーの操作によりポンプを作動させて容器に収納されている液体をノズルから泡状にして外部に噴射するトリガー式泡噴射器に関する。
【背景技術】
【0002】
カビ取り剤、洗剤、衣料用糊剤、住居用ワックス、整髪剤、芳香剤等の、発泡性を有する液体を容器内から泡状にして噴射する噴射器として、例えば、特許文献1に記載されるように、液体を収納する容器の口部に装着される噴射器本体と、トリガーの操作により作動して容器に収納されている液体を噴射器本体に設けられた送出口に圧送するポンプと、噴射器本体に装着されて送出口に圧送された液体を泡状にして外部に噴射するノズルと、を有するトリガー式泡噴射器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記トリガー式泡噴射器では、ノズルは、噴射器本体に設けられた柱状部に嵌合する嵌合筒部と、嵌合筒部と柱状部との間の連通路を介して送出口に連なる吐出孔が設けられるとともに嵌合筒部の端部に一体に連なる隔壁部と、を備えた吐出チップを一体に備えるとともに、隔壁部の外面に一体に設けられて吐出孔を囲うガイド筒部と、ガイド筒部の内外を貫通する空気導入通路とを有しており、送出口に圧送された液体は、ノズルの吐出孔から霧状となって外部に吐出されるとともに、ガイド筒部の内面に当たって流れを乱されつつ空気導入通路から負圧によってガイド筒部の内側に導入された空気に混合されて泡状化されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のトリガー式泡噴射器では、1回のトリガーの操作で、より広い範囲に泡状化した液体を噴射することができるようにするためには、吐出孔から霧状に吐出された液体がガイド筒部の内面に当たる度合いを減らし、より広い角度のパターンで液体が吐出孔から吐出される構成とする必要がある。
【0006】
しかし、吐出孔から霧状に吐出された液体がガイド筒部の内面に当たる度合いを減らした構成では、その分、霧状の液体に混合される空気の量が減り、液体の泡立ちが弱くなって泡質が低下してしまう、という問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、泡状化した液体を良好な泡質で広範囲に噴射することが可能なトリガー式泡噴射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のトリガー式泡噴射器は、液体を収納する容器の口部に装着される噴射器本体と、トリガーの操作により作動して前記容器に収納されている液体を前記噴射器本体に設けられた送出口に圧送するポンプと、前記送出口に圧送された液体を泡状にして外部に噴射するノズルと、を有するトリガー式泡噴射器であって、前記ノズルが、前記送出口に連通可能な取込み孔を備え、前記噴射器本体に装着された基体と、前記基体に装着され、前記基体との間に前記取込み孔に連なる分岐室を区画形成する区画体と、前記基体又は前記区画体に設けられた柱状部に嵌合する嵌合筒部と、前記嵌合筒部と前記柱状部との間の連通路を介して前記分岐室に連通する吐出孔が設けられるとともに前記嵌合筒部の端部に一体に連なる隔壁部と、を備えた吐出チップと、前記吐出孔を囲うガイド筒部と、前記ガイド筒部の内外を貫通する空気導入通路とを備え、前記吐出チップの外側に設けられた発泡部と、を有し、前記ノズルに、前記柱状部、前記吐出チップ及び前記発泡部を備えた泡噴射部が、互いに間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、複数の前記柱状部が前記区画体に一体に設けられ、複数の前記吐出チップが、それぞれの前記柱状部に装着され、複数の前記発泡部を一体に備えた発泡部材が、前記区画体の外側に装着されているのが好ましい。
【0010】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、複数の前記柱状部が前記基体に一体に設けられ、複数の前記吐出チップが前記区画体に一体に設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、複数の前記発泡部が前記区画体に一体に設けられているのが好ましい。
【0012】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、複数の前記発泡部を一体に備えた発泡部材が、前記区画体の外側に装着されているのが好ましい。
【0013】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、2つの前記泡噴射部が、前記取込み孔の軸線を挟んで対称に配置されているのが好ましい。
【0014】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、一方の前記泡噴射部が、前記取込み孔の軸線に対して、前記柱状部の側よりも前記発泡部の側の方が前記軸線から離れるように傾斜した方向に向けられており、他方の前記泡噴射部が、一方の前記泡噴射部とは、前記取込み孔の軸線を挟んで対称な方向に向けられているのが好ましい。
【0015】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、それぞれの前記泡噴射部において、前記吐出孔が前記ガイド筒部の軸線に対して前記取込み孔の軸線の側にずれて配置されているのが好ましい。
【0016】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、3つの前記泡噴射部が、前記取込み孔の軸線を中心として周方向に等間隔に並べて配置されているのが好ましい。
【0017】
本発明のトリガー式泡噴射器は、上記構成において、第1の前記泡噴射部において、前記吐出孔が前記ガイド筒部の軸線に対して第2の前記泡噴射部の側にずれて配置され、第2の前記泡噴射部において、前記吐出孔が前記ガイド筒部の軸線に対して第1の前記泡噴射部の側にずれて配置され、第3の前記泡噴射部において、前記吐出孔が前記ガイド筒部の軸線に対して前記取込み孔の軸線の側にずれて配置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、泡状化した液体を良好な泡質で広範囲に噴射することが可能なトリガー式泡噴射器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るトリガー式泡噴射器を、容器に装着した状態で示す断面図である。
【
図2】
図1に示すトリガー式泡噴射器の、ノズルが設けられた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図5】
図1に示すトリガー式泡噴射器の、泡状化した液体の噴射パターンを示す図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るトリガー式泡噴射器の、ノズルが設けられた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るトリガー式泡噴射器の、ノズルが設けられた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図10】
図9に示すノズルを正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0021】
図1に示す本発明の第1実施形態に係るトリガー式泡噴射器1は、例えば、カビ取り剤、洗剤、衣料用糊剤、住居用ワックス、整髪剤、芳香剤等の、発泡性を有する液体を収納する容器2に取り付けて使用されるものである。このトリガー式泡噴射器1は、合成樹脂製の噴射器本体11を備えている。
【0022】
噴射器本体11は、
図1中において上下方向に延びる起立部12と、起立部12に対して直交する方向に延びる延出部13とを備えた外形略L字形に形成されており、起立部12の下端に設けられた装着キャップ14を容器2の口部2aにねじ結合させることで、容器2の口部2aに装着されている。
【0023】
起立部12の内部にはチューブ15を介して容器2の内部に連通する吸入流路16が設けられ、延出部13の内部には吸入流路16に対して直交する方向に延びる送出流路17が設けられている。吸入流路16と送出流路17との間は逆止弁室18となっている。
【0024】
噴射器本体11にはポンプ21が装着されている。ポンプ21はシリンダ部材22とピストン部材23とを備えており、シリンダ部材22とピストン部材23とにより区画された区画室24は流出入孔25を介して逆止弁室18に連通している。
【0025】
逆止弁室18には、吸入流路16から流出入孔25を通して区画室24の内部へ液体が流れるのを許容するとともに区画室24の内部から流出入孔25を通して排出された液体が吸入流路16の側へ向けて流れるのを阻止する吸入側逆止弁26が設けられるとともに、区画室24の内部から流出入孔25を通して排出された液体が送出流路17の側へ向けて流れるのを許容するとともに送出流路17から流出入孔25を通して区画室24の内部へ向けて液体が流れるのを阻止する送出側逆止弁27が設けられている。
【0026】
本実施の形態においては、吸入側逆止弁26はボール弁26aを備えた構成とされ、送出側逆止弁27は湾曲した弾性部27aにより付勢される弁体27bを備えた構成とされているが、吸入側逆止弁26及び送出側逆止弁27は、それぞれ上記した機能を有するものであれば、他の構成のものとしてもよい。
【0027】
噴射器本体11にはトリガー(操作レバー)31が装着されている。トリガー31は枢軸32により板バネ34を介して噴射器本体11に回動自在に支持されており、その中間部位においてピストン部材23の先端にピン部材33によって回動自在に連結されている。また、トリガー31は、一端が噴射器本体11に固定保持された湾曲形状の板ばね34により、ポンプ21から離れる方向(
図1中においては枢軸32を中心とした時計回り方向)に付勢されている。
【0028】
噴射器本体11とポンプ21の一部はカバー41により覆われ、トリガー31はカバー41の下方から当該カバー41の外部に突出している。
【0029】
トリガー31を手動で操作し、ポンプ21に向けて枢軸32を中心として
図1中で反時計回り方向に回動させると、ピストン部材23が区画室24の内部に押し込まれ、区画室24の内部の液体が流出入孔25から逆止弁室18を介して送出流路17に送出される。このとき、送出側逆止弁27は開き、吸入側逆止弁26は閉じた状態となるので、液体は吸入流路16に向けて流れることなく送出流路17に送出される。
【0030】
トリガー31の操作が解除されると、板ばね34の弾性力によりトリガー31は初期位置に復帰し、その復帰動作に伴って送出側逆止弁27が閉じられるとともに吸入側逆止弁26が開かれて、容器2の内部の液体がチューブ15と吸入流路16とを介して流出入孔25から区画室24の内部に吸引される。
【0031】
このように、ポンプ21は、トリガー31の引き操作と解除操作との繰り返しにより作動して、容器2に収納されている液体を、送出流路17を通して送出流路17の出口端である送出口19にまで圧送することができる。
【0032】
なお、ポンプ21は、上記構成に限らず、トリガー31の操作により作動して容器2に収納されている液体を噴射器本体11に設けられた送出流路17を通して送出口19に圧送することができるものであれば、種々の構成のものを採用することができる。
【0033】
噴射器本体11は装着部材42を備えている。装着部材42は、延出部13の先端に取り付けられており、円筒状の装着筒部42aと、装着筒部42aの軸心に配置された軸部42bとを備えている。送出流路17の送出口19は、装着筒部42aと軸部42bとの間の空間に連通している。
【0034】
噴射器本体11の延出部13の先端に設けられた装着部材42には、ノズル51が装着されている。ノズル51は、ポンプ21により容器2から送出口19にまで圧送された液体を泡状にして外部に噴射する。本実施の形態では、ノズル51は、基体52、区画体53、2つの吐出チップ54及び発泡部材55を有している。
【0035】
次に、
図2、
図3及び
図4を参照しつつ、ノズル51の構成について説明する。
【0036】
ノズル51の基体52は、外周壁部52aと、外周壁部52aの内側に一体に設けられた壁部52bとを有している。外周壁部52aは円筒状となっており、ノズル51の外殻を構成している。壁部52bは、外周壁部52aの軸方向に垂直な板状に形成されており、装着筒部42aの開口端を覆っている。壁部52bには円筒状の嵌合筒部52cが一体に連ねて設けられている。ノズル51は、嵌合筒部52cが、装着筒部42aの外側に嵌合するとともにアンダーカット係合により抜け止め保持されることで、噴射器本体11に回動自在に装着されている。
【0037】
壁部52bには、壁部52bを軸部42bの軸線Oに沿って貫通する取込み孔52dが設けられている。取込み孔52dの軸線は、軸部42bの軸線Oと同一である。また、壁部52bには、軸部42bの外側に摺動自在に嵌合する切替え筒部52eが一体に設けられている。
【0038】
軸部42bの先端側の外周面には軸線Oに沿って延びる一対の凹溝42cが軸線Oを中心として対称に設けられ、一方、切替え筒部52eの内容で内周面には、先端から軸部42bの凹溝42cに重複する位置にまで軸線Oに沿って延びる一対の凹溝52fが軸線Oを中心として対称に設けられている。
【0039】
図2に示すように、基体52が開位置にあるときには、軸部42bの凹溝42cと切替え筒部52eの凹溝52fとが連通し、これによりノズル51は取込み孔52dが送出口19に連通されて液体を噴射可能な開状態とされる。一方、詳細は図示しないが、基体52が開位置から軸心を中心として90度回動した閉位置になると、軸部42bの凹溝42cと切替え筒部52eの凹溝52fとが周方向にずれて非連通状態となり、ノズル51は取込み孔52dが送出口19に対して遮断されて液体を噴射ができない閉状態とされる。
【0040】
なお、ノズル51は、基体52を軸部42bに対して回動しない構成とし、取込み孔52dが常に送出口19に連通する構成とすることもできる。
【0041】
区画体53は、円筒状の被嵌合筒部53aを備えており、被嵌合筒部53aが、壁部52bよりも前方側(軸部42bとは反対側)において、外周壁部52aの内側に嵌合するとともにアンダーカット係合により抜け止め保持されることで、基体52に装着されている。基体52と区画体53との間には、取込み孔52dに連通する分岐室56が区画形成されている。
【0042】
区画体53には、2つの柱状部53bが一体に設けられている。2つの柱状部53bは、
図2に示すように、取込み孔52dの軸線Oを挟んで上下に対称に配置されている。軸線Oの上側に設けられた柱状部53bは、軸線Oに対して前方側ほど上方に位置するように傾斜する傾斜線L1に沿う方向に向けられている。一方、軸線Oの下側に設けられた柱状部53bは、軸線Oに対して前方側ほど下方に位置するように傾斜する傾斜線L2に沿う方向に向けられている。
【0043】
また、区画体53には、それぞれ柱状部53bの外側を覆う円筒状のカバー筒53cが一体に設けられている。
【0044】
ノズル51には、2つの柱状部53bに対応して2つの吐出チップ54が設けられている。吐出チップ54は、それぞれ円筒状の嵌合筒部54aと、嵌合筒部54aの前方の端部に一体に連なる円形の隔壁部54bとを備えた有底円筒状となっている。それぞれの吐出チップ54は、嵌合筒部54aが対応する柱状部53bの外側に嵌合するとともにアンダーカット係合により抜け止め保持された状態で、柱状部53bに同軸に装着されている。また、嵌合筒部54aはカバー筒53cの内周面に嵌合している。
【0045】
それぞれの隔壁部54bの中心には、吐出孔54cが設けられている。吐出孔54cは、吐出チップ54と柱状部53bとの間に、周方向に等しい間隔を空けて設けられた複数の溝状の連通路57を介して分岐室56に連通している。吐出孔54cは、分岐室56に対して十分に小さな流路断面積となっている。
【0046】
したがって、トリガー31の操作によりポンプ21が作動し、送出口19から取込み孔52dを通して分岐室56に取り込まれた液体は、分岐室56において、それぞれの吐出チップ54に対応した連通路57に分岐して流れて、それぞれの吐出チップ54の吐出孔54cから外部に向けて霧状に吐出される。それぞれの吐出チップ54において、吐出孔54cから液体が吐出される方向は、それぞれ傾斜線L1、L2に沿う方向である。
【0047】
なお、連通路57の形状ないし本数は種々変更可能である。
【0048】
発泡部材55は、略円形板状の形状を有する基部55aを備えている。基部55aは、その直径に沿って設けられた薄肉部(ヒンジ部)55bにおいて僅かに折り曲げられており、その状態で外周壁部52aの内側に嵌合するとともにアンダーカット係合により抜け止め保持されることで、区画体53の外側に重ねて装着されている。
【0049】
発泡部材55は、2つの吐出チップ54に対応した2つの発泡部58を基部55aと一体に備えている。2つの発泡部58は、それぞれ基部55aから前方に突出する円筒状に形成されて対応する吐出孔54cを囲うガイド筒部58aと、ガイド筒部58aの内外を貫通する複数の空気導入通路58bとを備えている。2つのガイド筒部58aは、それぞれ対応する吐出孔54cと同軸に配置されている。また、本実施の形態では、それぞれの空気導入通路58bは、その一端がガイド筒部58aの吐出孔54cに隣接する小径部分の内周面に、2つずつ左右に並んで開口するとともに、他端は基部55aの前面に設けられた4つの外気取込み口58cの何れかを介してガイド筒部58aの外部に開放されている。
【0050】
なお、ガイド筒部58aは、筒状であれば、例えば角筒等であってもよい。また、空気導入通路58bの数は任意に設定することができる。
【0051】
トリガー31の操作によりポンプ21が作動し、それぞれの吐出チップ54の吐出孔54cから外部に向けて液体が霧状に吐出されると、当該霧状の液体が対応するガイド筒部58aの内面に当たって流れを乱されつつ空気導入通路58bから負圧によってガイド筒部58aの内側に導入された空気に混合されて泡状化されてノズル51から外部に吐出される。このとき、それぞれの吐出孔54cから液体が吐出される方向は、それぞれ傾斜線L1、L2に沿う方向であるので、発泡部58によって泡状化された液体も当該方向に噴射される。
【0052】
ここで、上記の通り、本実施の形態のトリガー式泡噴射器1において、ノズル51には、それぞれ柱状部53b、吐出チップ54及び発泡部58を備えた泡噴射部60が、互いに間隔を空けて2つ設けられており、それぞれの泡噴射部60から泡状化された液体を噴射することができるようになっている。したがって、吐出孔54cから霧状に吐出された液体をガイド筒部58aの内面に適度な度合いで当てる構成として、発泡部58により泡立てられた泡状の液体の泡質を良好なものとしつつ、2つの泡噴射部60から泡状化された液体を噴射することで、吐出孔を1つしか備えていない従来のトリガー式泡噴射器に比べて、泡状化された液体を、より広範囲に噴射させることができる。これにより、例えば浴槽などの、塗布面積が広い対象面の全体に泡状化した液体を噴射して塗布する際に、トリガー31の操作回数を減らして、当該作業を容易に行うことができる。
【0053】
また、本実施の形態では、2つの泡噴射部60を、取込み孔52dの軸線Oを挟んで対称に配置するようにしたので、それぞれの泡噴射部60に取込み孔52dから均等に液体が供給されるようにして、2つの泡噴射部60から良質に泡状化された液体を広範囲に噴射させることができる。よって、上記効果をより効果的に得ることができる。
【0054】
さらに、本実施の形態では、一方の泡噴射部60を、取込み孔52dの軸線Oに対して、柱状部53bの側よりも発泡部58の側の方が軸線Oから離れるように傾斜線L1に沿って傾斜した方向に向けるとともに、他方の泡噴射部60を、一方の泡噴射部60とは、取込み孔52dの軸線Oを挟んで対称な傾斜線L2に沿った方向に向けるようにしたので、
図5に示すように、2つの泡噴射部60から良質に泡状化された液体を噴射させることができるとともに、一方の泡噴射部60から噴射された泡状化された液体の噴射範囲A1と、他方の泡噴射部60から噴射された泡状化された液体の噴射範囲A2との重複を低減させて、吐出孔を1つしか備えていない従来のトリガー式泡噴射器から噴射された泡状化された液体の噴射範囲A3に比べて、大幅に広い範囲に泡状化された液体を噴射させることができる。よって、上記効果をより効果的に得ることができる。
【0055】
また、2つの泡噴射部60の中心間距離よりも、これら2つの泡噴射部60から噴射された泡状化された液体の噴射範囲A1と噴射範囲A2との中心間距離を広くすることができるので、2つの泡噴射部60の間隔を最小限としてノズル51が大型化することを抑制しつつ、広い範囲に泡状化された液体を噴射させることが可能な構成とすることができる。
【0056】
なお、本実施の形態において、軸線Oに対する泡噴射部60の傾斜角度は、ノズル51の基体52の形状や噴射パターン等に応じて種々変更可能である。また、泡噴射部60の傾斜角度は、泡を噴射した際、ノズル51の外周壁部52a先端部に泡が当たらない設定にすることが好ましい。
【0057】
さらに、本実施の形態では、ノズル51を、2つの柱状部53bを区画体53に一体に設け、2つの吐出チップ54を、それぞれの柱状部53bに装着するとともに、2つの発泡部58を一体に備えた発泡部材55を区画体53の外側に装着する構成としたので、所望の泡質ないし噴射パターンに応じて、基体52及び区画体53として共通のものを用いつつ、吐出チップ54及び発泡部58を他の形状のものに交換することを可能として、トリガー式泡噴射器1の汎用性を高めることができる。
【0058】
図6は、本発明の第2実施形態に係るトリガー式泡噴射器の、ノズルが設けられた部分を拡大して示す拡大断面図であり、
図7は、
図6に示すノズルを正面から見た図であり、
図8は、
図7におけるB-B線に沿う断面図である。なお、
図6~
図8においては、前述した部材に対応する部材に、同一の符号を付してある。
【0059】
図1に示す第1実施形態に係るトリガー式泡噴射器1では、ノズル51を、2つの柱状部53bを区画体53に一体に設け、2つの吐出チップ54を、それぞれの柱状部53bに装着する構成としているが、
図6~
図8に示す第2実施形態に係るトリガー式泡噴射器100のノズル51では、基体52に2つの柱状部52gを一体に設け、区画体53に2つの吐出チップ54を一体に設けた構成としている。
【0060】
より具体的には、一方の柱状部52gは、基体52の壁部52bの軸線Oに対して
図6中において上方側に、前方に向けて軸線Oと平行に突出して設けられており、他方の柱状部52gは、基体52の壁部52bの軸線Oに対して
図6中において下方側に、前方に向けて軸線Oと平行に突出して設けられている。一方、吐出チップ54は、柱状部52gの外側に嵌合する円筒状の嵌合筒部54aと、嵌合筒部54aの前方の端部に一体に連なった区画体53の前壁を構成する隔壁部54bとを備えており、隔壁部54bには吐出孔54cが設けられている。
【0061】
この構成によれば、柱状部52gを基体52に一体に設けたことで、嵌合筒部54aにおいて柱状部52gの外側に嵌合する吐出チップ54を区画体53に一体に設けることができるので、吐出チップ54の分だけ部品点数を減らして、ノズル51の構成を簡素化することができる。これにより、トリガー式泡噴射器1のコストを低減することができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、ノズル51の外郭を構成する外周壁部53dは区画体53と一体に設けられており、区画体53は外周壁部53dにおいて基体52の外側に嵌合するとともにアンダーカット係合により抜け止め保持されている。また、基体52に設けられたシール筒52hと区画体53の外周壁部53dとの間には、シール部材59が配置されている。
【0063】
また、
図1に示す第1実施形態に係るトリガー式泡噴射器1では、2つの発泡部58を一体に備えた発泡部材55を区画体53の外側に装着する構成としているが、
図6~
図8に示す第2実施形態に係るトリガー式泡噴射器100のノズル51では、2つの発泡部58を区画体53に一体に設けた構成としている。
【0064】
より具体的には、2つの発泡部58のガイド筒部58aは、それぞれ対応する吐出チップ54の隔壁部54bから前方に突出している。また、それぞれの空気導入通路58bは、その一端がガイド筒部58aの吐出孔54cに隣接する小径部分の内周面に、2つずつ左右に並んで開口するとともに、他端は外周壁部53dに設けられた外気取込み口58cを介して外周壁部53dの外部に開放されている。
【0065】
この構成によれば、2つの発泡部58を備えた発泡部材55の分だけ部品点数をさらに減らすことができるので、ノズル51の構成をさらに簡素化して、トリガー式泡噴射器1のコストをさらに低減することができる。
【0066】
第2実施形態に係るトリガー式泡噴射器100のノズル51においても、それぞれ柱状部52g、吐出チップ54及び発泡部58を備えた2つの泡噴射部60は、取込み孔52dの軸線Oを挟んで対称に配置されているが、2つの泡噴射部60は、それぞれ軸線Oと平行な方向に向けられている。すなわち、それぞれの泡噴射部60において、吐出孔54cからの液体の吐出方向は軸線Oと平行な方向となっている。
【0067】
このような構成において、2つの泡噴射部60から、より広い範囲に泡状化された液体を噴射させるようにするために、第2実施形態のノズル51では、それぞれの泡噴射部60において、吐出孔54cを、ガイド筒部58aの軸線(中心線)に対して取込み孔52dの軸線Oの側にずらして配置するようにしている。
【0068】
それぞれの吐出孔54cは、液体の入口側の開口の中心に対して出口側の開口の中心が軸線Oの側にずれるとともに、入口側の開口よりも出口側の開口が小さい傾斜したテーパー状となっている。これにより、軸線Oに対して上方側にある泡噴射部60においては、吐出孔54cから霧状の液体が斜め上方に傾斜して吐出されるようにして、ガイド筒部58aの内面に当たるとともに空気導入通路58bからの空気が混合されて泡状化された液体を、泡噴射部60から斜め上方に向けて噴射させることができる。反対に、軸線Oに対して下方側にある泡噴射部60においては、吐出孔54cから霧状の液体が斜め下方に傾斜して吐出されるようにして、ガイド筒部58aの内面に当たるとともに空気導入通路58bからの空気が混合されて泡状化された液体を、泡噴射部60から斜め下方に向けて噴射させることができる。したがって、2つの泡噴射部60を軸線Oと平行な方向に向けた構成としても、これらの泡噴射部60から、泡状化された液体を、上下の広い範囲に噴射することができる。
【0069】
この構成において、軸線Oに対して上方側にある泡噴射部60のガイド筒部58aを、上側よりも下側において隔壁部54bからの突出量が大きくなるように開口端(前端)が斜めに傾斜した構成とするとともに、軸線Oに対して下方側にある泡噴射部60のガイド筒部58aを、下側よりも上側において隔壁部54bからの突出量が大きくなるように開口端(前端)が斜めに傾斜した構成とすることもできる。この構成により、軸線Oに対して上方側にある泡噴射部60のガイド筒部58aにおいて、吐出孔54cから吐出された霧状の液体がガイド筒部58aの内面の上側部分に当たる度合いを減らすとともに、軸線Oに対して下方側にある泡噴射部60のガイド筒部58aにおいて、吐出孔54cから吐出された霧状の液体がガイド筒部58aの内面の下側部分に当たる度合いを減らして、これらの泡噴射部60から、上下のより広い範囲に泡状化された液体を噴射することができる。
【0070】
図9は、本発明の第3実施形態に係るトリガー式泡噴射器の、ノズルが設けられた部分を拡大して示す拡大断面図であり、
図10は、
図9に示すノズルを正面から見た図であり、
図11は、
図10におけるC-C線に沿う断面図である。なお、
図9~
図11においては、前述した部材に対応する部材に、同一の符号を付してある。
【0071】
図1に示す第1実施形態に係るトリガー式泡噴射器1及び
図6に示す第2実施形態に係るトリガー式泡噴射器100では、ノズル51を、2つの泡噴射部60が取込み孔52dの軸線Oを挟んで対称に配置された構成としているが、
図9~
図11に示す第3施形態に係るトリガー式泡噴射器200では、ノズル51を、3つの泡噴射部60が取込み孔52dの軸線Oを中心として周方向に等間隔に並べて配置された構成としている。
【0072】
より具体的には、
図10に示すように、ノズル51には、軸線Oよりも上側に、第1の泡噴射部60と第2の泡噴射部60とが、左右に間隔を空けて配置されるとともに、軸線Oの真っすぐ下側に第2の泡噴射部60が配置されている。
【0073】
このように、第3実施の形態では、ノズル51を、3つの泡噴射部60が取込み孔52dの軸線Oを中心として周方向に等間隔に並べて配置された構成としたので、泡噴射部60を2つ設けた構成に比べて、さらに広範囲に泡状化された液体を噴射させることができる。
【0074】
また、3つの泡噴射部60は、取込み孔52dの軸線Oを中心として周方向に等間隔に並べて配置されているので、それぞれの泡噴射部60に取込み孔52dから均等に液体が供給されるようにして、それぞれの3つの泡噴射部60から良質に泡状化された液体を噴射させることができる。
【0075】
第3実施の形態では、3つの泡噴射部60は、それぞれ軸線Oと平行な方向に向けられている。すなわち、それぞれの泡噴射部60において、吐出孔54cからの液体の吐出方向は軸線Oと平行な方向となっている。
【0076】
このような構成において、3つの泡噴射部60から、より広い範囲に泡状化された液体を噴射させるようにするために、第3実施形態のノズル51では、第1の泡噴射部60においては、吐出孔54cをガイド筒部58aの軸線に対して第2の泡噴射部60の側にずらして配置し、第2の泡噴射部60においては、吐出孔54cをガイド筒部58aの軸線に対して第1の泡噴射部60の側にずらして配置し、第3の泡噴射部60においては、吐出孔54cをガイド筒部58aの軸線に対して取込み孔52dの軸線Oの側にずらして配置するようにしている。
【0077】
第1の泡噴射部60の吐出孔54cは、液体の入口側の開口の中心に対して出口側の開口の中心が第2の泡噴射部60の側にずれるとともに、入口側の開口よりも出口側の開口が小さい傾斜したテーパー状となっている。同様に、第2の泡噴射部60の吐出孔54cは、液体の入口側の開口の中心に対して出口側の開口の中心が第1の泡噴射部60の側にずれるとともに、入口側の開口よりも出口側の開口が小さい傾斜したテーパー状となっている。第3の泡噴射部60の吐出孔54cは、液体の入口側の開口の中心に対して出口側の開口の中心が軸線Oの側にずれるとともに、入口側の開口よりも出口側の開口が小さい傾斜したテーパー状となっている。これにより、軸線Oに対して上方左側にある第1の泡噴射部60においては、吐出孔54cから霧状の液体が斜め左側に傾斜して吐出されるようにして、ガイド筒部58aの内面に当たるとともに空気導入通路58bからの空気が混合されて泡状化された液体を、第1の泡噴射部60から斜め左側に向けて噴射させることができる。また、軸線Oに対して上方右側にある第2の泡噴射部60においては、吐出孔54cから霧状の液体が斜め右側に傾斜して吐出されるようにして、ガイド筒部58aの内面に当たるとともに空気導入通路58bからの空気が混合されて泡状化された液体を、第2の泡噴射部60から斜め右側に向けて噴射させることができる。さらに、軸線Oの真っすぐ下にある第3の泡噴射部60においては、吐出孔54cから霧状の液体が斜め下方に傾斜して吐出されるようにして、ガイド筒部58aの内面に当たるとともに空気導入通路58bからの空気が混合されて泡状化された液体を、第3の泡噴射部60から斜め下方に向けて噴射させることができる。したがって、3つの泡噴射部60を、それぞれ軸線Oと平行な方向に向けた構成としても、これらの泡噴射部60から、泡状化された液体を、上下左右の広い範囲に噴射することができる。
【0078】
この構成においても、軸線Oに対して上方左側にある第1の泡噴射部60のガイド筒部58aを、外側(左側)よりも内側(右側)において隔壁部54bからの突出量が大きくなるように開口端(前端)が斜めに傾斜した構成とし、軸線Oに対して上方右側にある第2の泡噴射部60のガイド筒部58aを、外側(右側)よりも内側(左側)において隔壁部54bからの突出量が大きくなるように開口端(前端)が斜めに傾斜した構成とし、軸線Oの真っすぐ下にある第3の泡噴射部60のガイド筒部58aを、下側よりも上側において隔壁部54bからの突出量が大きくなるように開口端(前端)が斜めに傾斜した構成とすることもできる。この構成により、軸線Oに対して上方側にある2つの泡噴射部60のガイド筒部58aにおいては、吐出孔54cから吐出された霧状の液体がガイド筒部58aの内面の外側部分に当たる度合いを減らすとともに、軸線Oに対して下方側にある泡噴射部60のガイド筒部58aにおいては、吐出孔54cから吐出された霧状の液体がガイド筒部58aの内面の下側部分に当たる度合いを減らして、これら3つの泡噴射部60から、上下左右のより広い範囲に泡状化された液体を噴射することができる。
【0079】
第3の実施形態に係るトリガー式泡噴射器200のノズル51では、第2の実施形態に係るトリガー式泡噴射器100と同様に、基体52に2つの柱状部52gを一体に設け、区画体53に2つの吐出チップ54を一体に設けた構成となっているが、第2の実施形態に係るノズル51のように、2つの発泡部58を区画体53に一体に設ける構成ではなく、2つの発泡部58を一体に備えた発泡部材55を区画体53の外側に装着した構成としている。
【0080】
なお、それぞれの泡噴射部60において、空気導入通路58bは、発泡部材55の3つの発泡部58の間に設けられた外気取込み口58cに連通し、当該外気取込み口58cにおいて外部に開放されている。
【0081】
このような構成により、3つの泡噴射部60を備えた構成において、区画体53をより成形し易い構成とすることができる。
【0082】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0083】
例えば、前記実施の形態では、ノズル51は、2つの泡噴射部60または3つの泡噴射部60を備えた構成とされているが、ノズル51は、4つ以上の泡噴射部60を備えた構成とすることもできる。
【0084】
また、ノズル51における複数の泡噴射部60の配置は、上記した配置に限らず、種々変更可能である。
【0085】
さらに、噴射器本体11、ポンプ21の構成も種々変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 トリガー式泡噴射器(第1実施形態)
2 容器
2a 口部
11 噴射器本体
12 起立部
13 延出部
14 装着キャップ
15 チューブ
16 吸入流路
17 送出流路
18 逆止弁室
19 送出口
21 ポンプ
22 シリンダ部材
23 ピストン部材
24 区画室
25 流出入孔
26 吸入側逆止弁
26a ボール弁
27 送出側逆止弁
27a 弾性部
27b 弁体
31 トリガー
32 枢軸
33 ピン部材
34 板ばね
41 カバー
42 装着部材
42a 装着筒部
42b 軸部
42c 凹溝
51 ノズル
52 基体
52a 外周壁部
52b 壁部
52c 嵌合筒部
52d 取込み孔
52e 切替え筒部
52f 凹溝
52g 柱状部
52h シール筒
53 区画体
53a 被嵌合筒部
53b 柱状部
53c カバー筒
53d 外周壁部
54 吐出チップ
54a 嵌合筒部
54b 隔壁部
54c 吐出孔
55 発泡部材
55a 基部
55b 薄肉部
56 分岐室
57 連通路
58 発泡部
58a ガイド筒部
58b 空気導入通路
58c 外気取込み口
59 シール部材
60 泡噴射部
100 トリガー式泡噴射器(第2実施形態)
200 トリガー式泡噴射器(第3実施形態)
O 軸線
L1 傾斜線
L2 傾斜線
A1 噴射範囲
A2 噴射範囲
A3 噴射範囲