(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンスデバイスのための材料
(51)【国際特許分類】
C07C 211/61 20060101AFI20230515BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230515BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230515BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20230515BHJP
H10K 30/50 20230101ALI20230515BHJP
【FI】
C07C211/61 CSP
H05B33/14 A
H05B33/22 D
H05B33/10
H10K30/50
(21)【出願番号】P 2019518470
(86)(22)【出願日】2017-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2017074961
(87)【国際公開番号】W WO2018065357
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-01
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シャイブル、カーチャ・マリア
(72)【発明者】
【氏名】エッケス、ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】ハイル、ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト、ベアテ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーステン、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】モンテネグロ、エルビラ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-206893(JP,A)
【文献】特表2007-514654(JP,A)
【文献】特表2015-511215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0001127(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0051690(US,A1)
【文献】国際公開第2013/146806(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105733562(CN,A)
【文献】特表2014-527037(JP,A)
【文献】国際公開第2016/026122(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1695270(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 211/61
H10K 50/00
H10K 50/15
H05B 33/10
H10K 30/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2)または(3)の化合物
【化1】
Ar
3、Ar
4、Ar
5は、出現する毎に、同一にもしくは異なって、5~30個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(1つ以上のラジカルRで置換されていてもよい)からなる群から選択され;
Qは、Qが、以下の式Q1~Q24の基
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
(式中、式Q1~Q11、Q13~Q24において破線で示される結合および式Q12において破線で示される結合は、架橋性基の構造単位への連結を表し、
R
11、R
12およびR
13は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、1~6個のC原子を有する直鎖または分枝アルキル基であり、
Ar
10は、出現する毎に、各場合において同一にまたは異なって、5~60個の芳香族環原子を有する単または多環式芳香族またはヘテロ芳香族環系であり、これは1つ以上のラジカルRで置換されていてもよく、
uは、0~8の整数であり、
vは、1~8の整数である)
Rは、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(Ar)
2、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)
2、S(=O)Ar、S(=O)
2Ar
、CN、NO
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、B(R
1)
2、B(N(R
1)
2)
2、OSO
2R
1、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3~40個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらの各々は1つ以上のラジカルR
1で置換されていてもよく、ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、(R
1)C=C(R
1)、C≡C、Si(R
1)
2、Ge(R
1)
2、Sn(R
1)
2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、N(R
1)、O、SまたはCON(R
1)で置きかえられていてもよく、1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置きかえられていてもよい)、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(各場合において1つ以上のラジカルR
1で置換されていてもよい)、または5~60個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(1つ以上のラジカルR
1で置換されていてもよい)であり、ここで、任意に2つの隣接する置換基Rは、互いに一緒になって単または多環式脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成することができ、
Arは、5~60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(1つ以上のラジカルR
1で置換されていてもよい)であり、
R
1は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、(R
2)C=C(R
2)
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、B(R
2)
2、B(N(R
2)
2)
2、OSO
2R
2、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3~40個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらの各々は1つ以上のラジカルR
2で置換されていてもよく、ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、(R
2)C=C(R
2)、C≡C、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、N(R
2)、O、SまたはCON(R
2)で置きかえられていてもよく、1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置きかえられていてもよい)、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(各場合において1つ以上のラジカルR
2で置換されていてもよい)、または5~60個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(1つ以上のラジカルR
2で置換されていてもよい)であり、ここで、任意に2つの隣接する置換基R
1は、互いに一緒になって単または多環式脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成することができ、
R
2は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、CN、NO
2、1~20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2~20個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3~20個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または5~30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、ここで、任意に2つの隣接する置換基R
2は、互いに一緒になって単または多環式脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく、
mは、出現する毎に、同一にまたは異なって、1または2であり、
nは、出現する毎に、同一にまたは異なって、0または1であり、
ただし、基Ar
3を含むアミノ部分においてm+n=2であり、基Ar
5を含むアミノ部分においてm+n=2であり、
pは、1であり、
sは、出現する毎に、同一にまたは異なって、0、1、2、3または4であり、
tは、出現する毎に、同一にまたは異なって、0、1、2または3である]。
【請求項2】
Ar
3、Ar
4およびAr
5が、出現する毎に、同一にもしくは異なって、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルRで置換されていてもよい)からなる群から、選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar
3およびAr
5が、以下の式(A-1)~(A-51)
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
[式中、破線で示される結合は、窒素原子への結合を示し、
式(A-1)~(A-51)の基は、各フリーの位置で、請求項1で定義される通りの基Rでさらに置換されていてもよく、
式(A-18)、(A-34)~(A-37)、(A-44)、(A-45)および(A-47)におけるR
0は、出現する毎に、同一にもしくは異なって、H、D、F、CN、Si(R
3)
3、1~20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3~20個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
1で置換されていてもよい)、5~18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(各場合において、1つ以上のラジカルR
1で置換されていてもよい)からなる群から選択され、ここで、2つの隣接する置換基R
0は、任意に、単または多環式脂肪族環系または芳香族環系を形成していてもよく、これは、1つ以上のラジカルR
1で置換されていてもよい]
から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Ar
4は、出現する毎に、同一にまたは異なって、以下の式(B-1)~(B-24)
【化4-1】
【化4-2】
[式中、(B-1)~(B-24)において破線で示される結合は、式(2)または(3)に示されるアリールアミノ基の窒素原子への結合を示し、
式(B-1)~(B-24)の基は、各フリーの位置で、請求項1で定義される通りの基Rでさらに置換されていてもよく、R
0は請求項3におけるのと同じ意味を有する]
から選択される、請求項1~3の何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
mが1に等しく、nが1に等しい、請求項1~4の何れか一項に記載の化合物。
【請求項6】
架橋層の製造のための方法であって、請求項1~5の何れか一項に記載の化合物が、溶液から適用されて層をもたらし、この層が架橋されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
少なくとも1種の請求項1~5の何れか一項に記載の化合物および少なくとも1種の溶媒を含む、調合物。
【請求項8】
電子デバイスにおける、請求項1~5の何れか一項に記載の化合物または請求項6に記載の方法から得られる層の使用。
【請求項9】
少なくとも1種の請求項1~5の何れか一項に記載の化合物または請求項6に記載の方法から得られる層を含む電子デバイスであって、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄層トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、色素増感型有機太陽電池、有機光学検出器、有機光受容器、有機電場消光デバイス、発光電気化学電池、有機レーザーダイオード、および有機プラズモン発光デバイスからなる群から選択される、電子デバイス。
【請求項10】
請求項1~5の何れか一項に記載の化合物または請求項6に記載の方法から得られる層が、ホール輸送層またはホール注入層において使用され、この層が、ドープされていてもよいことを特徴とする、請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、架橋性化合物、これらの化合物から得られる架橋化合物、およびその調製のための方法に関する。本発明は、電子デバイスにおける、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおけるこれらの化合物の使用、および対応する電子デバイス自体をさらに対象とする。
【0002】
電子または光電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)には、様々な機能性を有する構成成分が必要とされる。OLEDでは、異なる機能性は、異なる層に通常存在する。この場合、多層OLEDシステムという用語が使用される。これらの多層OLEDシステムは、とりわけ、電荷注入層、たとえば、電子およびホール注入層、電荷輸送層、たとえば、電子およびホール伝導層、ならびに発光構成成分を含む層を有する。これらの多層OLEDシステムは、連続層毎適用によって一般に製造される。
【0003】
しかしながら、加えて、たとえば、寿命、効率などに関して可能な最良の結果が達成されるようなやり方で、材料側から、個別の層の機能性を互いに一致させることも必要である。したがって、特に、発光層、特にホール輸送層(HTL=ホール輸送層)に直接隣接している層は、隣接する発光層の特性に多大な影響を与える。
【0004】
OLEDの異なる層は、真空チャンバー中での気相蒸着によって通常適用され、または溶液から加工される。気相蒸着に基づく方法は良好な結果につながるが、そのような方法は複雑であり、したがって高価であり、特に比較的高分子量の化合物、たとえばポリマーに適さない。したがって、高分子OLED材料は、溶液からのコーティングによって通常適用される。
【0005】
低分子量の有機化合物(いわゆる「小分子」)の場合、溶液からの加工はまた、真空加工の場合の高度に技術的な複雑さに起因して、望ましいと考えられる。さらに、小分子の合成は、再現性の点で高分子材料の合成よりも制御が容易であることから、高分子OLED材料を小分子で置きかえることも望ましい。小分子の精製もまた、高分子材料の精製よりも容易である。
【0006】
複数の層が溶液から適用される場合、既に適用されている層が、次の層の製造のための溶液の後続の適用によって、その乾燥後に破壊されないことを確実にしなければならない。これは、たとえば層を不溶性にすることによって、たとえば架橋によって達成することができる。そのような方法は、たとえば、EP0637899およびWO96/20253に開示されている。
【0007】
架橋活性化としては、UV照射よりも温度処理が一般に好ましく、これは、溶液から適用される有機半導体の場合、いずれにしても溶媒を除去するための熱乾燥プロセスが一般に実施されるためである。したがって、架橋プロセスは、製造方法に容易に組み込むことができ、これによりUV照射による半導体材料への損傷を除外することができる。開始剤の使用を回避することが同様に好ましい。熱架橋について、温度は、架橋反応が起こり得るように選択される。ここで、架橋性材料および層構造中に既に存在する他の材料が分解しない温度範囲を選択することが望ましい。
【0008】
EP2732479では、溶液から加工することができる架橋性小分子を使用して、ホール注入およびホール輸送層が構築される。
【0009】
しかしながら、ホール輸送特性を有し、したがってホール輸送またはホール注入層における使用に好適であり、架橋に好適な基を含有する架橋性小分子への需要がなお存在する。ここでは、これらの架橋性基が容易に架橋される、すなわち、エネルギーの消費が少なく、架橋状態においてさえ、電子デバイスの機能に負の効果を有さないことが有利である。化合物は、OLEDの効率、寿命および電圧に関して有利な特性をさらにもたらすか、または少なくとも対応する非架橋化合物と比較して、もしくは架橋ポリマーと比較して、それらを損なわない必要がある。
【0010】
したがって、本発明の目的の1つは、一方では、溶液から加工することができ、他方では、特にこれらの化合物がOLEDのホール輸送層において使用される場合、その特性に、より特には、寿命、効率および動作電圧に関して改善をもたらす化合物を提供することであった。
【0011】
驚くべきことに、アミン基のコンジュゲーション系の一部ではない1つ以上の架橋性基で置換されている、以下でさらに詳細に記載される、ある特定のアリールアミン誘導体により、この目的が達成されることが見出された。特に効率的かつ長寿命のOLED、特にまた、三重項発光または青色一重項発光に基づくものを、これらの架橋性化合物を使用して構築することができる。架橋性化合物は、開始剤ありまたはなしで、基板上または導電性のドープポリマーを含む層上で、熱的にまたは光学的に架橋させることができ、このようにして溶液からのさらなる層の適用を制御することが可能になる。この操作は、複数回繰り返すこともでき、この目的のために同じまたは異なる架橋性化合物の何れかを使用することができる。
【0012】
したがって、本発明は、以下の式(1)の化合物
【0013】
【0014】
[式中、
Yは、式(Y-1)、(Y-2)または(Y-3)の基
【0015】
【0016】
(式中、破線で示される結合は、Yを含む環への結合を示す)
であり、
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5は、出現する毎に、同一にもしくは異なって、5~60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(1つ以上のラジカルRで置換されていてもよい)からなる群から選択され、ここで、2つの基Ar1およびAr2は、単結合または二価架橋を介して接続されることが可能であり、
Qは、出現する毎に、同一にもしくは異なって、単結合を介してAr1に結合した架橋性基であるか、またはQは、Ar1に縮合した架橋性単もしくは多環式基であり、
Rは、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(Ar)2、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)2、S(=O)Ar、S(=O)2Ar、(R)C=C(R)Ar、CN、NO2、Si(R1)3、B(OR1)2、B(R1)2、B(N(R1)2)2、OSO2R1、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3~40個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらの各々は1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよく、ここで、1つ以上の好ましくは隣接していないCH2基は、(R1)C=C(R1)、C≡C、Si(R1)2、Ge(R1)2、Sn(R1)2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R1)、SO、SO2、N(R1)、O、SまたはCON(R1)で置きかえられていてもよく、1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO2で置きかえられていてもよい)、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(各場合において1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい)、または5~60個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい)であり、ここで、任意に2つの隣接する置換基Rは、互いに一緒になって単または多環式脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成することができ、
Arは、5~60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい)であり、
R1は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R2)2、C(=O)R2、P(=O)(R2)2、S(=O)R2、S(=O)2R2、(R2)C=C(R2)2、CN、NO2、Si(R2)3、B(OR2)2、B(R2)2、B(N(R2)2)2、OSO2R2、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2~40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3~40個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらの各々は1つ以上のラジカルR2で置換されていてもよく、ここで、1つ以上の好ましくは隣接していないCH2基は、(R2)C=C(R2)、C≡C、Si(R2)2、Ge(R2)2、Sn(R2)2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R2)、SO、SO2、N(R2)、O、SまたはCON(R2)で置きかえられていてもよく、1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO2で置きかえられていてもよい)、または5~60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(各場合において1つ以上のラジカルR2で置換されていてもよい)、または5~60個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(1つ以上のラジカルR2で置換されていてもよい)であり、ここで、任意に2つの隣接する置換基R1は、互いに一緒になって単または多環式脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成することができ、
R2は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、CN、NO2、1~20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2~20個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3~20個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または5~30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり、ここで、任意に2つの隣接する置換基R2は、互いに一緒になって単または多環式脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよく、
mは、出現する毎に、同一にまたは異なって、1または2であり、
nは、出現する毎に、同一にまたは異なって、0または1であり、
ただし、基Ar3およびYを含有する芳香族またはヘテロ芳香族環系を含むアミノ部分においてm+n=2であり、基Ar5およびYを含有する芳香族またはヘテロ芳香族環系を含むアミノ部分においてm+n=2であり、
pは、0または1であり、
qは、1、2または3であり、
rは、0、1、2または3であり、
sは、出現する毎に、同一にまたは異なって、0、1、2、3または4であり、
tは、出現する毎に、同一にまたは異なって、0、1、2または3である]
に関する。
【0017】
本発明の意味において「架橋性基」は、反応、好ましくは重合反応を受け、したがって不溶性化合物を形成することが可能である官能基を意味する。したがって、架橋性基は重合性基である。架橋性基の反応の結果として、対応する架橋化合物が得られる。化学反応は、層において実施することもでき、不溶性層が形成される。架橋は、必要な場合開始剤の存在下で、熱によって、またはUV、マイクロ波、X線もしくは電子線放射によって、通常支援することができる。本発明の意味において「不溶性」は、化合物が、トルエン中室温での架橋反応後、すなわち、架橋性基の反応後に、式(1)の非架橋化合物の溶解性よりも少なくとも3倍、好ましくは少なくとも10倍低い溶解性を有することを好ましくは意味する。
【0018】
本発明の意味において「隣接する」置換基は、互いに直接連結している、または同じ炭素原子に結合している2個の異なる炭素原子に結合している置換基である。
【0019】
さらに、化学基の以下の定義が、本出願の目的に当てはまる。
【0020】
本発明の意味においてアリール基は、6~60個の芳香族環原子、好ましくは6~40個の芳香族環原子を含有し、本発明の意味においてヘテロアリール基は、5~60個、好ましくは5~40個の芳香族環原子を含有し、その少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、N、OおよびSから好ましくは選択される。これは基本的な定義を表す。他の優先傾向が、たとえば、存在する芳香族環原子またはヘテロ原子の数に関して、本発明の記載において示される場合、それらが適用される。
【0021】
ここでアリール基またはヘテロアリール基は、単純な芳香族環、すなわちベンゼン、または単純なヘテロ芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン、または縮合(縮環)芳香族もしくはヘテロ芳香族多環、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかを意味すると解される。本出願の意味において縮合(縮環)芳香族またはヘテロ芳香族多環は、互いに縮合した2つ以上の単純な芳香族またはヘテロ芳香族環からなる。各場合において上述のラジカルで置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して芳香族またはヘテロ芳香族環系に連結していてもよい、アリールまたはヘテロアリール基は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールに由来する基を意味すると解される。
【0022】
本発明の定義に従うアリールオキシ基は、酸素原子を介して結合している、上で定義される通りのアリール基を意味すると解される。類似の定義が、ヘテロアリールオキシ基にも当てはまる。
【0023】
本発明の意味において芳香族環系は、環系中に6~60個のC原子を含有する。本発明の意味においてヘテロ芳香族環系は、5~60個の芳香族環原子を含有し、その少なくとも1個は、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、N、Oおよび/またはSから好ましくは選択される。本発明の意味において芳香族またはヘテロ芳香族環系は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含有するとは限らず、代わりに、加えて、系中で複数のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位(好ましくは、H以外の10%未満の原子)、たとえば、sp3混成のC、Si、N、もしくはO原子、sp2混成のCもしくはN原子、またはsp混成C原子によって接続されていてもよい系を意味すると解されることが意図される。したがって、たとえば、系、たとえば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9’-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベンなども、本発明の意味において、2つ以上のアリール基が、たとえば、直鎖状もしくは環式アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基またはシリル基で接続されている系であるような芳香族環系であると解されることが意図される。さらに、2つ以上のアリールまたはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに連結されている系、たとえば、系、たとえば、ビフェニル、テルフェニル、またはジフェニルトリアジンも、本発明の意味において芳香族またはヘテロ芳香族環系と解される。
【0024】
各場合において上で定義される通りのラジカルで置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して芳香族またはヘテロ芳香族環系に連結していてもよい、5~60個の環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスまたはトランスインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザピレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾール、またはこれらの基の組合せに由来する基を意味すると解される。
【0025】
本発明の目的のために、加えて、個々のH原子またはCH2基が、ラジカルの定義において上述の基で置換されていてもよい、1~40個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3~40個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル基、または2~40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、好ましくは、ラジカル、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルを意味すると解される。1~40個のC原子を有するアルコキシまたはチオアルキル基は、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチルチオ、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキリニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオを意味すると好ましくは解される。
【0026】
2つ以上のラジカルが互いに一緒になって環を形成していてもよいという明確な記述は、本出願の目的のために、とりわけ、2つのラジカルが化学結合によって連結しているものを意味すると解されることが意図される。これは、以下のスキームによって例示される:
【0027】
【0028】
しかしながら、さらに、上述の明確な記述は、2つのラジカルの1つが水素を表している場合、2つ目のラジカルが、水素原子が結合している位置で結合して、環を形成しているものを意味すると解されることも意図される。これは、以下のスキームによって例示される:
【0029】
【0030】
本発明の好ましい態様では、式(1)の化合物は、式(2)~(5)の化合物
【0031】
【0032】
【0033】
(式中、
sは、出現する毎に、同一にまたは異なって、0、1、2、3または4であり、
tは、出現する毎に、同一にまたは異なって、0、1、2、3であり、
ただし、対応するフェニル環が、このフェニル環上に縮合している単または多環式基に対応する基Qで置換されている場合、s≦3およびt≦2であり、
ここで、使用される他の記号および添え字は、上記と同じ意味を有する)
から選択される。
【0034】
使用される記号および添え字は、上で示されるのと同じ意味を有する。
【0035】
本発明の非常に好ましい態様では、式(1)の化合物は、式(2a)~(5a)の化合物
【0036】
【0037】
【0038】
(式中、使用される記号および添え字は、上で示されるのと同じ意味を有する)
から選択される。
【0039】
好ましい態様によると、mは1に等しく、nは1に等しい。
【0040】
さらに好ましい態様によると、mは1に等しく、nは1に等しく、pは1に等しい。
【0041】
別の好ましい態様によると、mは1に等しく、nは1に等しく、pは0に等しい。
【0042】
上記のように、架橋性基Qは、化学反応を受け、したがって架橋化合物を含む不溶性層を形成することが可能である官能基である。一般に、この目的のために当業者に公知のすべての基Qを用いることができる。この基の役割は、特に、本発明による化合物を、架橋反応によって、互いに、任意にさらなる反応性化合物に連結することである。これにより架橋化合物、または反応が層において実施される場合は架橋層がもたらされる。本発明の意味において架橋層は、架橋反応を実施することによって、本発明による架橋性高分子化合物の層から得ることができる層を意味すると解される。架橋反応は、熱によって、および/またはUV、マイクロ波、X線もしくは電子線放射によって、および/または遊離ラジカル形成剤、アニオン、カチオン、酸および/もしくは光酸の使用によって一般に開始することができる。触媒の存在が、同様に、有用または必要であり得る。架橋反応は、好ましくは、開始剤および触媒の添加の必要のない反応である。
【0043】
本発明によると好ましい架橋性基Qは、以下に言及する基である。
【0044】
a)末端もしくは環式アルケニルまたは末端ジエニルおよびアルキニル基:
好適な単位は、末端もしくは環式二重結合、末端ジエニル基、または末端三重結合、特に末端もしくは環式アルケニル、2~40個のC原子を有する、好ましくは、2~10個のC原子を有する末端ジエニルまたは末端アルキニル基を含有するものであり、ここで、個々のCH2基および/または個々のH原子は、上述の基Rで置きかえられていてもよい。前駆体とみなされ、二重または三重結合のin situ形成が可能である基も、さらに好適である。
【0045】
b)アルケニルオキシ、ジエニルオキシまたはアルキニルオキシ基:
アルケニルオキシ、ジエニルオキシまたはアルキニルオキシ基、好ましくはアルケニルオキシ基も、さらに好適である。
【0046】
c)アクリル酸基:
最も広範な意味におけるアクリル酸単位、好ましくはアクリレート、アクリルアミド、メタクリレートおよびメタクリルアミドが、さらに好適である。C1~10アルキルアクリレートおよびC1~10アルキルメタクリレートが、特に好ましい。
【0047】
a)~c)で上述の基の架橋反応は、フリーラジカル、カチオン性またはアニオン性機序を介してだけでなく、環付加を介しても起こり得る。
【0048】
環境反応のために対応する開始剤を添加することが役立ち得る。フリーラジカル架橋のための好適な開始剤は、たとえば、ジベンゾイルペルオキシド、AIBNまたはTEMPOである。カチオン性架橋のための好適な開始剤は、たとえば、AlCl3、BF3、過塩素酸トリフェニルメチルまたはトロピリウムヘキサクロロアンチモンである。アニオン性架橋のための好適な開始剤は、塩基、特にブチルリチウムである。
【0049】
しかしながら、本発明の好ましい態様では、架橋は開始剤の添加なしに実施され、もっぱら熱的に開始される。この優先傾向は、開始剤の非存在により、デバイス特性を損なう可能性のある層の不純物が防がれるという事実による。
【0050】
d)オキセタンおよびオキシラン:
架橋性基Qのさらに好適なクラスは、オキセタンおよびオキシランであり、これらは開環によってカチオン性架橋する。
【0051】
架橋反応のために対応する開始剤を添加することが役立ち得る。好適な開始剤は、たとえば、AlCl3、BF3、過塩素酸トリフェニルメチルまたはトロピリウムヘキサクロロアンチモンである。同様に、光酸を開始剤として添加することができる。
【0052】
e)シラン:
少なくとも2つの基R、好ましくは3つすべての基Rが、Clまたは1~20個のC原子を有するアルコキシ基を表すシラン基SiR3が、架橋性基のクラスとしてさらに好適である。
【0053】
この基は、水の存在下で反応して、オリゴまたはポリシロキサンが生じる。
【0054】
f)シクロブタン基
上述の架橋性基Qは、これらの基の反応に使用される好適な反応条件であるとして、当業者に一般に公知である。
【0055】
好ましい架橋性基Qには、以下の式Q1のアルケニル基、以下の式Q2のジエニル基、以下の式Q3のアルキニル基、以下の式Q4のアルケニルオキシ基、以下の式Q5のジエニルオキシ基、以下の式Q6のアルキニルオキシ基、以下の式Q7およびQ8のアクリル酸基、以下の式Q9およびQ10のオキセタン基、以下の式Q11のオキシラン基、ならびに以下の式Q12のシクロブタン基が含まれる:
【0056】
【0057】
式中、式Q1~Q11において破線で示される結合および式Q12において破線で示される結合は、架橋性基の構造単位への連結を表し、
式Q1~Q8およびQ11におけるR11、R12およびR13は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、1~6個のC原子、好ましくは1~4個のC原子を有する直鎖または分枝アルキル基である。ラジカルR11、R12およびR13は、特に好ましくは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルであり、非常に特に好ましくは、Hまたはメチルであり、
uは、0~8の整数であり、
vは、1~8の整数である。
【0058】
式Q1~Q12の架橋性基は、構造単位に直接、または以下の式Q13~Q14において示されるようなさらなる単もしくは多環式芳香族もしくはヘテロ芳香族環系Ar10を介して間接的に連結していてもよい。
【0059】
【0060】
式中、式Q13~Q24において破線で示される結合は、架橋性基の構造単位への連結を表し、
Ar10は、出現する毎に、各場合において同一にまたは異なって、5~60個の芳香族環原子を有する単または多環式芳香族またはヘテロ芳香族環系であり、これは1つ以上のラジカルRで置換されていてもよく、ここで、Rは、上で定義される通りである。より好ましくは、Ar10は、出現する毎に、各場合において同一にまたは異なって、5~30個の芳香族環原子を有するアリールまたはヘテロアリール基であり、これは、1つ以上のラジカルRで置換されていてもよい。非常に好ましくは、Ar10は、出現する毎に、各場合において同一にまたは異なって、ベンゼンまたはビフェニル基であり、これは、1つ以上のラジカルRで置換されていてもよい。
【0061】
特に好ましい架橋性基Qは、以下である:
【0062】
【0063】
【0064】
式Q7aおよびQ13a~Q19aにおけるラジカルR11およびR12は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、または1~6個のC原子、好ましくは1~4個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基である。ラジカルR11およびR12は、特に好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはterrt-ブチル、非常に特に好ましくは、メチルである。
【0065】
式Q7bおよびQ19bにおけるラジカルR13は、出現する毎に、1~6個のC原子、好ましくは1~4個のC原子を有する直鎖または分枝アルキル基である。ラジカルR13は、特に好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはterrt-ブチル、非常に特に好ましくは、メチルである。
【0066】
使用される添え字は、以下の意味を有する:u=0~8およびv=1~8。
【0067】
非常に特に好ましい架橋性基Qは、以下である:
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
好ましい基Q1~Q24、特に好ましいQ1a~Q24a、および非常に特に好ましい基Q1b~Q24cにおいて、破線は構造単位への結合を表す。これに関連して、基Q12、Q12a、Q12bおよびQ24はそれぞれ、構造単位の2つの隣接する環炭素原子への2つの結合を有することに注目すべきである。すべての他の架橋性基は、構造単位へのただ1つの結合のみを有する。
【0072】
好ましい態様によると、式(2a)~(5a)においてQは、Q1bに対応する架橋性基であり、式(2a)~(5a)の化合物は、以下の式(2b)~(5b)の化合物
【0073】
【0074】
【0075】
から選択される。
【0076】
別の好ましい態様によると、式(2a)~(5a)においてQは、Q12bに対応する縮合架橋性の単または多環式基であり、式(2a)~(5a)の化合物は、以下の式(2c)~(5c)の化合物
【0077】
【0078】
【0079】
から選択される。
【0080】
本発明の好ましい態様によると、基Ar3、Ar4およびAr5は、出現する毎に、同一にまたは異なって、5~30個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系からなる群から選択され、これは、上で定義される通りの1つ以上のラジカルRで置換されていてもよい。
【0081】
基Ar3、Ar4およびAr5は、出現する毎に、同一にまたは異なって、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フルオレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジンからなる群から選択され、これらのそれぞれは、上で定義される通りの1つ以上のラジカルRで置換されていてもよい。
【0082】
本発明の非常に好ましい態様では、基Ar3およびAr5は、出現する毎に、同一にまたは異なって、以下の式(A-1)~(A-51)の基
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
[式中、破線で示される結合は、窒素原子への結合を示し、
式(A-1)~(A-51)の基は、各フリーの位置で、上で定義した通りの基Rでさらに置換されていてもよく、
式(A-18)、(A-34)~(A-37)、(A-44)、(A-45)および(A-47)におけるR0は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、CN、Si(R3)3、1~20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3~20個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい)、5~18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(各場合において、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい)からなる群から選択され、ここで、2つの隣接する置換基R0は、任意に、単または多環式脂肪族環系または芳香族環系を形成していてもよく、これは、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい]
から選択される。基R0は、H、F、1~10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3~10個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい)、5~12個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基(各場合において、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい)からなる群から好ましくは選択され、ここで、2つの隣接する置換基R0は、任意に、単または多環式脂肪族環系または芳香族環系を形成していてもよく、これは、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい。
【0088】
好ましい態様によると、pは0に等しく、Ar4は、出現する毎に、同一にまたは異なって、上で定義される通りの式(A-1)~(A-51)の基から選択される。
【0089】
別の好ましい態様によると、pは1に等しく、Ar4は、出現する毎に、同一にまたは異なって、以下の式(B-1)~(B-24)の基
【0090】
【0091】
【0092】
[式中、(B-1)~(B-24)において破線で示される結合は、式(1)に示されるアリールアミノ基の窒素原子への結合を示し、
式(B-1)~(B-24)の基は、各フリーの位置で、上で定義される通りの基Rでさらに置換されていてもよく、
R0は、上記と同じ意味を有する]
から選択される。
【0093】
好ましい態様によると、Rは、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、N(Ar)2、1~20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または2~20個のC原子を有する直鎖アルケニル基、または3~20個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル基であり、これらの各々は、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよく、1つ以上の、好ましくは隣接していないCH2基は、(R1)C=C(R1)、C≡C、Si(R1)2、Ge(R1)2、Sn(R1)2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R1)、SO、SO2、N(R1)、O、SまたはCON(R1)で置きかえられていてもよく、1個以上のH原子は、DまたはFまたは5~18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系で置きかえられていてもよく、これは、各場合において、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよく、任意に2つの隣接する置換基Rは、互いに一緒になって、単または多環式脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよい。
【0094】
好ましい態様によると、Arは、5~18個の環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系であり、これは、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい。
【0095】
好ましい態様によると、R1は、出現する毎に、同一にまたは異なって、H、D、F、N(R2)2、1~10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または2~10個のC原子を有する直鎖アルケニル基、または3~10個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル基であり、これらの各々は、1つ以上のラジカルR2で置換されていてもよく、1個以上のH原子は、DまたはFまたは5~18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系で置きかえられていてもよく、これは、各場合において、1つ以上のラジカルR2で置換されていてもよく、任意に2つの隣接する置換基R1は、互いに一緒になって、単または多環式脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成していてもよい。
【0096】
好ましい態様によると、式(1)の化合物は、少なくとも1つの置換基Rおよび/または少なくとも1つの置換基R0を含み、これは、1~20個のC原子を有する直鎖アルキル基または3~20個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル基を表し、これらの各々は、1つ以上のラジカルR1で置換されていてもよい。
【0097】
式(1)に従う好適な化合物は、以下の表において示される化合物である:
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
本発明は、式(1)の化合物の基Qを架橋することによって得ることができる架橋化合物にさらに関する。本発明の意味において架橋化合物は、架橋性基Qの反応を実施することによって式(1)の化合物から得ることができる化合物である。
【0113】
式(1)の架橋性化合物は、対応する支持基板(ガラス、ポリマーなど)または事前に既に積層されている層への溶液からのコーティングによって適用し、溶媒の除去の前もしくは後の何れかまたは溶媒の除去の間に架橋させることができる。
【0114】
したがって、本発明は、上で定義される通りの本発明による1種以上の化合物を含むかまたは本発明による化合物を架橋することによって得られる1種以上の化合物を含む層にも関する。
【0115】
本発明は、式(1)の化合物の適用および架橋による架橋層の製造のための方法にさらに関する。そのような架橋層の調製のための方法は、以下の工程を含む:
(a)1つ以上の架橋性基Qを含有する式(1)の化合物の準備、ならびに
(b)熱的におよびまた照射によって、好ましくは熱的に誘導することができる架橋。
【0116】
本発明による方法によって調製された架橋層は、すべての一般的な溶媒に不溶性である。このように、後続の層の適用によってさえも、溶解しないか部分的に再度溶解しない、規定の層厚を製造することが可能である。
【0117】
ここで、式(1)の化合物は、純物質として架橋させることができ、または少なくとも1種の他の化合物との混合物として適用し、後者と一緒に架橋させることができる。本発明の好ましい態様では、式(1)の化合物は、純物質として架橋される。
【0118】
式(1)の架橋性化合物を含む層は、たとえば、溶液からのコーティングによって、好ましくはグラビア印刷、インクジェット印刷、ノズル印刷、フレキソ印刷、ダイコーティング、スクリーン印刷またはスピンコーティングによって製造することができる。式(1)の化合物の層の適用および任意に溶媒の除去の後、化合物を架橋させることができる。架橋は、放射線誘導で(たとえば、UV光、可視光、マイクロ波、電子ビームを使用して)または熱的に、特に熱的に好ましくは実施される。
【0119】
本発明は、少なくとも1種の式(1)の化合物および1種以上の溶媒を含む溶液または調合物にさらに関する。このタイプの調合物を調製することができる方法は、当業者に公知であり、たとえば、WO2002/072714、WO2003/019694およびここで引用する文献に記載されている。
【0120】
これらの溶液は、たとえば、表面コーティング法(たとえば、スピンコーティング)によってまたは印刷方法(たとえば、インクジェット印刷)によって、薄層を製造するために使用することができる。
【0121】
好適な好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、安息香酸メチル、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、安息香酸ブチル、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、安息香酸エチル、インダン、安息香酸メチル、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2-イゾプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、またはこれらの溶媒の混合物である。
【0122】
本発明はまた、その中に溶液から加工された1つ以上の層および低分子量基板の気相蒸着によって製造された層が存在していてもよい、いわゆるハイブリッドデバイスを包含する。
【0123】
本発明は、電子デバイスにおける本発明による化合物およびそれらから得られた架橋化合物の使用にも関する。
【0124】
本発明はさらに、1種以上の式(1)の化合物または式(1)の化合物を架橋することによって得られる1種以上の架橋化合物を含む電子デバイスにも関する。
【0125】
電子デバイスは、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FT)、有機薄層トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機ソーラーセル(O-SC)、有機光学検出器、有機光受容器、有機電場消光デバイス(O-FQD)、発光電気化学電池(LEC)または有機レーザーダイオード(O-laser)、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)である。
【0126】
上述のハイブリッドデバイスの場合、組合せPLED/SMOLED(高分子発光ダイオード/小分子有機発光ダイオード)システムという用語は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスとの関連で使用される。
【0127】
OLEDを製造することができる方法は、当業者に公知であり、たとえば、WO2004/070772A2において一般的な方法として詳細に記載されており、これは、個別の場合に対応して適合されるべきである。
【0128】
本発明のさらなる態様では、デバイスは、複数の層を含む。本発明による式(1)の化合物またはそれから得られる架橋化合物は、ここで、ホール輸送、ホール注入、エミッター、電子輸送、電子注入、電荷阻止および/または電荷生成層に存在していてもよい。
【0129】
本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、カソード、アノードおよび少なくとも1つの発光層を含む。これらの層とは別に、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、さらなる層、たとえば、各場合において、1つ以上のホール注入層、ホール輸送層、ホール阻止層、電子輸送層、電子注入層、励起子阻止層、および/または電荷生成層を含んでいてもよい。たとえば励起子阻止機能を有する中間膜が、同様に、2つの発光層間に導入されてもよい。しかしながら、これらの層の各々は、必ず存在しないといけないとは限らないことを指摘するべきである。複数のOLEDを互いに重ねて配置構成することも可能であり、これにより、生じる光に関して達成される効率をさらに増加させることが可能になる。光のカップリングアウト(coupling-out)を改善するために、OLEDの光の出口側の最終有機層は、たとえば、ナノ発泡体または低屈折率を有する別の材料の形態であってもよく、結果として、全反射の割合が低下する。
【0130】
本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、複数の発光層を含むことも可能である。複数の発光層が存在する場合、これらは、合計で、380nm~750nmの複数の最大発光を好ましくは有し、全体として、白色発光が生じる、すなわち、蛍光またはリン光を発することが可能な様々な発光化合物が発光層において使用される。
【0131】
デバイスは、低分子量化合物から構築されている層を含んでいてもよい。これらは、高真空中での化合物の気相蒸着によって、または溶液からの適用によって製造することができる。デバイスは、同様に、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー化合物から構築されている層を含んでいてもよい。これらは、特に溶液からの適用によって製造される。
【0132】
本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、以下の構造:アノード/任意に導電性ポリマーを含む層/式(1)の化合物を架橋することによって得ることができる1つ以上の架橋層/発光層およびカソードを好ましくは有する。
【0133】
本発明の好ましい態様では、本発明による化合物およびそれらから得られる架橋化合物は、ホール輸送層またはホール注入層において使用される。この層は、アノードまたは導電性ポリマーと発光層との間の中間層として使用される。本発明の意味においてホール注入層は、アノードに直接隣接する層を示す。本発明の意味においてホール輸送層は、ホール注入層と発光層との間に配置構成されている層を示す。
【0134】
架橋ホール輸送層または架橋ホール注入層はまた、たとえば、WO2013/081052A1、WO2013/047581A1、EP1725079A1、EP2469804A2およびWO2013/182389A2に記載されているような1つ以上のp-ドーパントをさらに含んでいてもよい。
【0135】
p-ドーパントの特に好ましい態様は、以下の表にまとめるように、従来技術から公知であり、および/または市販されている。
【0136】
【0137】
特に照明用途では、式(1)の化合物のp-ドープ層が、アノードに直接適用され、そこで架橋されることが好ましい。導電性ポリマーを含むさらなる層は、ここでは必須ではなく、すなわち、式(1)の化合物を架橋することによって得られる架橋層は、ドープ導電性ポリマーの代替品として役立つ。この層の層厚は、好ましくは10~400nm、特に好ましくは20~200nmである。
【0138】
本発明による式(1)の化合物およびそれらから得られる本発明による架橋化合物は、ホール輸送層でさらに好ましくは使用され、このホール輸送層は、導電性ポリマーの層に適用される。この層のために当業者により通常使用される材料、たとえばPEDOT/PSS、ドープPANIまたはドープオリゴアニリンが、導電性ポリマーとして好適である。本発明によるホール輸送層の層厚は、通常、10~400nmの範囲内、好ましくは20~200nmの範囲内である。
【0139】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて通常使用されるような、当業者に公知の通りのすべての材料を、さらなる層において使用することができる。
【0140】
使用される発光層が、リン光層である場合、これは、溶液から適用される低分子量化合物から好ましくはなる。使用される発光層が、青色蛍光層である場合、これは、溶液から適用されるまたは真空気相蒸着によって適用される何れかの低分子量化合物から好ましくはなる。
【0141】
特に、リン光または青色蛍光エミッター層の上述の場合だけでなく、他のエレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、有機エレクトロルミネッセンスデバイスが、電子輸送層を含むことが好ましい。これは、気相蒸着によって発光層に好ましくは適用される。電子輸送層に好適な材料は、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体および/またはヒドロキシキノリン錯体、たとえば、LiQ(キノリン酸リチウム)である。
【0142】
たとえば、スピンコーティングによって、または任意の所望の印刷方法、たとえば、スクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷、しかし特に好ましくはLITI(光誘導熱イメージング、熱転写印刷)またはインクジェット印刷の手段によって、溶液から製造された1つ以上の層を特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイスが好ましい。式(1)の化合物は、溶液から特に好ましくは適用される。
【0143】
材料が、10-5mbar未満、好ましくは10-6mbar未満、特に好ましくは10-7mbar未満の圧力で真空昇華ユニットにおいて気相蒸着によって適用される昇華法の手段によって、1つ以上の層がコーティングされた、有機エレクトロルミネッセンスデバイスがさらに好ましい。
【0144】
OVPD(有機気相蒸着)方法の手段によって、または材料が、10-5mbar~1barの圧力で適用されるキャリアガス昇華の補助によりコーティングされた1つ以上の層を特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイスが、同様に好ましい。
【0145】
たとえば、1つ以上の層を溶液から適用し、1つ以上のさらなる層を真空気相蒸着によって適用することによって、有機エレクトロルミネッセンスデバイスをハイブリッドデバイスとして製造することも可能である。したがって、たとえば、式(1)の化合物を含む層は、溶液から適用することができ、発光層は、気相蒸着によって適用することができる。式(1)の化合物を含む層および発光層を溶液から適用し、電子輸送層を気相蒸着によって適用することも同様に可能である。
【0146】
直接アノード上にある層として、本発明による層がこの目的のために使用されない場合、導電性ドープポリマー、たとえば、各場合において、ドープポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン(PANI)またはオリゴアニリンが好ましくは使用される。
【0147】
デバイスは、用途に応じてこれに対応して構築され、接点を設けられ、そのようなデバイスの寿命は、水および/または空気の存在下で劇的に短縮されるため、最後にハーメチックシールされる。
【0148】
本出願文書およびまた以下の例は、OLEDおよび対応するディスプレイとの関連で、本発明による式(1)の化合物の使用を主として対象としている。記載のこの制限にもかかわらず、当業者は、他の電子デバイスにおける上記のさらなる使用のために、さらなる発明工程なしに、本発明による化合物を半導体として使用することも可能である。
【0149】
以下の例は、本発明を限定することなく、説明することを意図する。特に、関連する例のベースとなる、定義された化合物の、そこで記載される特徴、特性および利点は、他所で他に述べられない限り、詳細には記載されていないが、特許請求の範囲の保護範囲内にある他の化合物にも適用することができる。
【0150】
合成例:
合成例1:
【0151】
【0152】
2,2’-ジブロモ-ビフェニル123.4g(388mmol)を、無水THF 450mlに溶解し、-78℃に冷却した。n-BuLi 135ml(323mmol、ヘキサン中2.5M)を、ゆっくり添加し、混合物を45分間撹拌した。4,4’-ジシアノベンゾフェノン(CAS:32446-66-5)を、無水THF 400mlに溶解し、-78℃に冷却した。次いで、n-BuLiおよび2,2’-ジブロモ-ビフェニルの混合物を4,4’-ジシアノベンゾフェノン溶液に移した。反応を、一晩かけて室温に加温し、その後、水でクエンチした。THFを真空中で蒸発させ、残渣を、酢酸エチルおよび水で抽出した。有機層を乾燥し、ろ過し、溶媒を真空中で除去し、170gの粗製固形物を得た。粗製固形物を、酢酸2700mlおよび塩酸(37%)200mlで一晩かけて還流した。RTに冷却後、反応混合物を水に注ぎ、生じた固形物を濾別し、ジクロロメタンに溶解し、溶液を水およびNaHCO3で洗浄し、有機層を乾燥し、溶媒を真空中で除去した。生じた固形物を、酢酸エチル中で再結晶化させ、最後にフラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。生じた白色固形物I1を、61%の収率で得た(88g、197mmol)。
【0153】
I8を、I1と同様に作製し、73%の収率であった(CAS:85313-23-1):
【0154】
【0155】
I1 25g(56mmol)およびビス-ビフェニル-4-イル-アミン19.8g(62mmol、1.1当量)を、トルエン450mlに添加した。続いて、Pd2dba3 10.2g(11.2mmol、0.2当量)およびナトリウム-t-ブチレート10.7g(112mmol、2当量)を添加し、混合物をアルゴンで脱気した。5分間の脱気後、トリ-t-ブチルホスフィン25g(11.2mmol、0.2当量)を添加し、反応を、週末にかけて還流させながら撹拌した。RTに冷却後、混合物を、セライトを通してろ過し、続いて、溶媒としてトルエンを使用し、Soxhletを介して精製した。生じた固形物を、フラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。14.6g(21mmol、38%)のI2を得た。
【0156】
I2 22g(31.3mmol)を、トルエン170mlに溶解し、-78℃に冷却した。-78℃で、DIBAL-H(250ml、ヘキサン中1M)を、ゆっくり添加した。混合物を-78℃で30分間撹拌し、一晩かけてRTに加温した。次いで、反応を、MeOHおよびH2SO4でクエンチした。混合物を、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄した。生じた固形物を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。3.5g(5mmol、16%)の中間体I3を得た。
【0157】
I3 3.2g(4.6mmol)を、125mlの無水THFに溶解した。18.1g(50.6mmol)のメチルトリフェニルホスホニウムブロミドを、無水THF 225mlに溶解し、-3℃に冷却した。次いで、ナトリウム-t-ブチレート5.6g(59mmol)を、-3℃で添加し、懸濁液を、-3℃で60分間撹拌した。次いで、I3の溶液をTHFに滴下添加し、反応混合物を0℃で2時間撹拌し、一晩かけてRTに加温した。溶液を、トルエンで希釈し、水でクエンチした。有機相を分離し、水性相をトルエンで抽出した。有機相を乾燥し、溶媒を真空中で蒸発させた。生じた固形物を、トルエン/MeOHから再結晶化させた。1.9g(2.7mmol、60%)のP1を、白色固形物として得た。
【0158】
【0159】
【0160】
合成例2:
【0161】
【0162】
2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキソラン18g(77mmol)を、無水THF 150mlに溶解し、-78℃に冷却した。31ml(77mmol、2.5M溶液)のn-BuLiを滴下添加し、溶液を-78℃で1時間撹拌した。3’-ブロモ-ビフェニル-2-カルボン酸(30.8mmol、9g)をTHF 25mlに溶解し、n-BuLi溶液に-78℃で添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、週末にかけてRTに加温した。塩化アンモニウムを添加して、反応をクエンチし、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥し、溶媒を真空中で蒸発させた。生じた粗生成物を、無水トルエン60mlおよび塩酸(37%)60mlに溶解し、酢酸115mlを添加した。反応を、80℃で一晩撹拌した。RTに冷却後、水を添加し、水性相をトルエンで抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を、真空中で蒸発させた。生じた固形物を、ヘプタン/トルエン中で再結晶化させた。I4を、白色固形物として得、収率は76%(22.8mmol、10.3g)であった。
【0163】
I5およびP5を得るために、後続の工程を、中間体I2および生成物P1と同様に実施した。
【0164】
【0165】
合成例3:
【0166】
【0167】
2-(4-ブロモフェニル)-シクロブチル20g(109mmol)を、無水THF 150mlに溶解し、-78℃に冷却した。44ml(109mmol、2.5M溶液)のn-BuLiを滴下添加し、溶液を-78℃で1時間撹拌した。2’-ブロモ-ビフェニル-2-カルボン酸(43.6mmol、12.7g)を、THF 25mlに溶解し、n-BuLi溶液に-78℃で添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、週末にかけてRTに加温した。塩化アンモニウム溶液を添加して、反応をクエンチし、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥し、溶媒を真空中で蒸発させた。生じた粗生成物を、無水トルエン60mlおよび塩酸(37%)60mlに溶解し、酢酸115mlを添加した。反応を、一晩かけて80℃で撹拌した。RTに冷却後、水を添加し、水性相をトルエンで抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を、真空中で蒸発させた。生じた固形物を、ヘプタン/トルエン中で再結晶化させた。I6を、白色固形物として得、収率は85%(37.1mmol、16.6g)であった。
【0168】
I6(15g、33.4mmol)、o-ビフェニルアミン(6.2g、36.7mmol)およびナトリウム-t-ブチレート(10.6g、110mmol)を、トルエン200mlに溶解した。混合物を15分間脱気し、続いてPd(dppf)Cl2(1.8g、2.2mmol)を添加した。溶液を4時間加熱還流し、次いで、RTに冷却した。混合物を、溶媒としてトルエンを使用し、Aloxを通してろ過した。生じた固形物を、トルエン/ヘプタンから再結晶化させた。I7を、白色固形物として得、収率は63%(11.3g、21mmol)であった。
【0169】
2,7-ジブロモ-9,9-ジオクチル-フルオレン4.7g(8.5mmol)およびI7 10g(18.6mmol、2.2当量)を、トルエン100mlに添加した。続いて、Pd2dba3 1.5g(1.7mmol、0.2当量)およびナトリウム-t-ブチレート1.6g(17mmol、2当量)を添加し、混合物をアルゴンで脱気した。5分間の脱気後、トリ-t-ブチルホスフィン3.8g(1.7mmol、0.2当量)を添加し、反応を、週末にかけて還流させながら撹拌した。RTに冷却後、混合物を、セライトを通してろ過し、続いて、溶媒としてトルエンを使用し、Soxhletを介して精製した。生じた固形物を、フラッシュクロマトグラフィーを介して精製した。9.7g(6.6mmol、78%)のP8を得た。
【0170】
【0171】
比較例V1:合成は、WO2013007348に記載されている。
【0172】
【0173】
デバイス例:
本発明による架橋性小分子は、溶液から加工し、OLEDをもたらすことができ、これは、真空加工OLEDよりも製造するのがはるかに容易であるが、それにもかかわらず、良好な特性を有する。
【0174】
本発明による架橋性小分子が、架橋後に完全に不溶性の層をもたらすかどうかを、WO2010/097155と同様に試験する。
【0175】
表C1は、WO2010/097155に記載される洗浄操作後の元々20nmの残留している層厚を示している。層厚が減少していない場合、形成された膜は不溶性であり、したがって架橋は適切である。
【0176】
【0177】
表C1で分かるように、3個の分子、V1、P1およびP10のすべてが、220℃で許容される架橋を示す。その4つの架橋基のために、架橋P10からの層は完全に不溶性である。
【0178】
このタイプの溶液に基づくOLEDの製造は、文献、たとえばWO2004/037887およびWO2010/097155において、既にいくども記載されてきている。方法は、以下に記載される状況に適合される(層厚変動、材料)。
【0179】
本発明による分子は、以下の層の順序で使用される:
- 基板、
- ITO(50nm)、
- PEDOT(80nm)、
- ホール輸送層(HTL)(20nm)、
- 発光層(EML)(60nm)、
- ホール阻止層(HBL)(10nm)、
- 電子輸送層(ETL)(40nm)、
- カソード。
【0180】
50nmの厚さの構造化ITO(酸化インジウムスズ)でコーティングされたガラスプレートを、基板とした。これらを、より良好な加工のためにPEDOT:PSSでコーティングする。スピンコーティングを、空気中で水から実施する。層を、180℃で10分間加熱することによって乾燥する。PEDOT:PSSを、Heraeus Precious Metals GmbH & Co. KG、Germanyから購入する。ホール輸送および発光層を、これらのコーティングガラスプレートに適用する。
【0181】
各場合においてトルエンに溶解した、本発明による化合物および比較化合物を、ホール輸送層として使用する。20nmの層厚がスピンコーティングの手段によって達成される場合、そのような溶液の典型的な固形物分は、約7g/lである。層を、不活性雰囲気、本件ではアルゴン中、スピンコーティングによって適用し、220℃で60分間加熱することによって乾燥した。
【0182】
発光層は、少なくとも1種のマトリックス材料(ホスト材料)および発光ドーパント(エミッター)で常に構成される。さらに、複数のマトリックス材料およびコドーパントの混合物が生じてもよい。表現、たとえばH1(92%):ドーパント(8%)は、ここで、材料H1が92%の重量割合で発光層に存在し、ドーパントが、8%の重量割合で発光層に存在することを意味する。発光層用の混合物を、トルエンに溶解する。デバイスに典型的な60nmの層厚がスピンコーティングの手段によって達成される場合、そのような溶液の典型的な固形物分は、ここでは、約18g/lである。層を、不活性雰囲気、本件ではアルゴン中、スピンコーティングによって適用し、160℃で10分間加熱することによって乾燥した。
【0183】
本件で使用した材料を、表C2に示す。
【0184】
【0185】
ホール阻止層および電子輸送層用の材料を、真空チャンバー中、熱気相蒸着によって適用し、表C3に示す。ホール阻止層は、ETM1からなる。電子輸送層は、2種の材料ETM1およびETM2からなり、これらを、共蒸発によって各50%の体積割合で互いに混合する。
【0186】
【0187】
カソードを、100nmの厚さのアルミニウム層の熱蒸発によって形成する。
【0188】
OLEDの正確な構造を、表C4に示す。HTLの列は、使用した分子、および層が加熱によって乾燥され、架橋される温度を示している。
【0189】
【0190】
OLEDを、標準的な方法によって特徴付ける。この目的のために、エレクトロルミネッセンススペクトル、Lambert発光特性を推定する電流/電圧/明度濃度特性線(IUL特性線)、および(動作)寿命を決定する。IUL特性線を使用して、特定の輝度値における、特性数、たとえば、動作電圧(単位V)および外部量子効率(単位%)を決定する。10000cd/m2でのLT80が寿命であり、それまでにOLEDが、10000cd/m2の初期輝度値から初期強度の80%、すなわち8000cd/m2に降下する。
【0191】
様々なOLEDの特性を、表C5にまとめる。例C01は、比較例であり、他の例の両方は、本発明によるOLEDの特性を示している。
【0192】
【0193】
表5に示されるように、本発明によるポリマーは、特に、OLEDにおけるホール輸送としての使用に対する寿命に関して、従来技術を上回る改善をもたらす。本発明による材料を含む緑色発光OLEDが製造される。
【0194】
例C03は、例C01よりも良好な寿命を示し、分子P10は、4つの架橋基を有するが、分子V1が2つの架橋基のみを有する例C01よりも寿命が良好である。分子P10は本発明によるものであり、寿命を大幅に改善する。