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特許7278950相互作用アッセイにおけるシグナル強度を調節する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】相互作用アッセイにおけるシグナル強度を調節する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20230515BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
G01N33/543 581A
G01N33/543 583
G01N33/53 D
G01N33/53 X
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019540318
(86)(22)【出願日】2018-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2018051962
(87)【国際公開番号】W WO2018138264
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】17153514.9
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク クルツ
(72)【発明者】
【氏名】エロイサ ロペス-カレ
(72)【発明者】
【氏名】エベリナ ヘーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ レードル
(72)【発明者】
【氏名】エーファ ヘス
(72)【発明者】
【氏名】ヨアーグ カウフマン
(72)【発明者】
【氏名】マリサ キルヒェンバウアー
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-210997(JP,A)
【文献】特開2001-318099(JP,A)
【文献】特開2007-155623(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133482(WO,A1)
【文献】特開2005-106609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/543
G01N 33/53
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互作用アッセイにおける試料中の分析物を判定する方法であって、前記方法は、前記試料を相互作用モジュレーターと接触させることを含み、前記相互作用モジュレーターは、低被分析物濃度における前記相互作用アッセイのエンハンサーであって、且つ高被分析物濃度における前記相互作用アッセイの遅延剤であって、並びに前記相互作用モジュレーターは、4-スチレンスルホン酸とマレイン酸とのコポリマー(ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸):PSSM)及び/又はポリアクリル酸(PAA)であって、
前記相互作用アッセイは、均一凝集イムノアッセイであり、前記分析物がタンパク質又はペプチドである、方法。
【請求項2】
前記PSSMが、次の式(I)による反復構造単位を有し、
【化1】
式中、x及びyが、1、2、3、4、及び5から選択された整数であり、前記選択が、x及びyについて並びに各反復単位について独立しており、そして、Rが、H又はカチオンであり、前記PSSMが、分子量1~100kDaである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PSSMが、分子量5~50kDaである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PAAが、次の式(II)による反復構造単位を有し、
【化2】
式中、Rが、H又はカチオンであり、
前記PAAが、分子量1~50kDaである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記相互作用アッセイが、C反応性たんぱく質(CRP)に対するアッセイである、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記相互作用アッセイが、撮影光学的検出を含んでなる、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記相互作用モジュレーターが、濃度0.75~5.25%で相互作用アッセイ混合物中に存在する、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
相互作用アッセイにおける試料中の分析物を判定する方法であって、前記方法は、前記試料を相互作用モジュレーターと接触させることを含み、
前記相互作用モジュレーターは、PSSMであり、
前記相互作用アッセイは、均一凝集アッセイである、方法。
【請求項9】
前記PSSMが、次の式(I)による反復構造単位を有し、
【化3】
式中、
x及びyが、1、2、3、4、及び5から選択された選択された整数であり、前記選択が、x及びyについて並びに各反復単位について独立しており、
Rが、Hカチオン、又は無機カチオンであり、
そして前記PSSMが、分子量1~100kDaである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記相互作用モジュレーターが、スルホニル化化合物を含んでなる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記相互作用アッセイが、撮影光学的検出を含んでなる、請求項8~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記相互作用アッセイが、C反応性たんぱく質(CRP)に対するアッセイである、請求項8~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
試料中の分析物に特異的な検出剤、並びに請求項1~4及び8~10の何れか一項に記載の方法において使用される相互作用モジュレーターから選択される少なくとも1つの相互作用モジュレーター、を含んでなる、キット。
【請求項14】
前記検出剤が、抗体、I又はモノクローナル抗体である、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
試料中の分析物を判定する分析ユニットを備える装置であって、前記装置が、前記試料中の相互作用関連パラメータの値を判定するために適合された分析ユニット、並びに請求項1~4及び8~10の何れか一項の方法に特異的な相互作用モジュレーターから選択された少なくとも1つの相互作用モジュレーターを備える、装置。
【請求項16】
前記装置が、メモリユニットを備える評価ユニットを更に備え、前記メモリユニットは、前記分析ユニットによって得られた結果に基づいた分析物の量を判定するためのアルゴリズムを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
相互作用アッセイにおける分析物を判定する相互作用モジュレーターの使用であって、前記相互作用モジュレーターは、請求項1~4及び8~10の何れか一項の方法に特異的な前記相互作用モジュレーターから選択される、使用。
【請求項18】
相互作用アッセイにおける分析物を判定するための、請求項13に記載のキット、及び/又は請求項15に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互作用アッセイにおける試料中の分析物を判定する方法に関する。該方法は、試料を相互作用モジュレーターと接触させることを含み、該相互作用モジュレーターは、ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)(PSSM)、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、ポリ-(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PAMPS)、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択される。本発明はまた、相互作用アッセイ中の試料における分析物を判定する方法にも関する。該方法は、該試料を相互作用モジュレーターと接触させることを含み、該相互作用モジュレーターは、低被分析物濃度における該相互作用アッセイのエンハンサーであって、且つ高被分析物濃度における該相互作用アッセイの遅延剤であって、並びに該相互作用モジュレーターは、4-スチレンスルホン酸とマレイン酸とのコポリマー(ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸、PSSM)及び/又はポリアクリル酸(PAA)である。本発明は更に、試料中の分析物を特異的に検出する検出剤、及び本発明の少なくとも1つの相互作用モジュレーターを備えるキットにも関する。更に、本発明は、本発明の方法及びキットに関連する装置及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イムノアッセイ、特に均一イムノアッセイは、臨床試料中の分析物の迅速で費用効果的且つ正確な判定のための手段を提供するので、インビトロ診断検査の自動化された伝導のための多様な試験システムである。均一イムノアッセイは、結合複合体から非結合結合パートナーを除去するためのいかなる分離又は洗浄ステップも必要としない、準均一アッセイであるという利点を有する。それらの簡単なワンステップ手順及びそれらの短いターンアラウンド時間のために、均一イムノアッセイは、自動分析装置に適用するための理想的な候補であって、臨床化学分析装置において、血清たんぱく質、治療薬、及び乱用性医薬品を定量するための臨床診断で日常的に使用される。特定クラスの均一イムノアッセイは、抗原と抗体との間の特異的凝集反応に基づき、特異的抗原又は抗体が検出される凝集イムノアッセイである。このようなイムノアッセイでは通常、結合パートナー、判定されるべき抗原に対する抗体、又は判定されるべき抗体に対する抗原、及び判定されるべき分析物を含有し得る試料が、接触され、且つ結合パートナーの複合体形成から生じる凝集の大きさが、試料の比濁測定又は比濁分析測定によって決定される。これらの測定の光学シグナルは分析物の量と相関する。
【0003】
特定の化合物は、凝集イムノアッセイの反応運動を調節(加速又は減速)して、シグナル強度を調節(増加又は低減)することが知られている。被分析物濃度が低い場合、充分な分析感度を得るためにはより高いシグナル強度が必要であり、アッセイの測定範囲の低濃度領域において報告可能な結果が得られる。被分析物濃度が高い場合、識別可能な光学シグナルを得るためにはより低いシグナル強度が必要であり、測定範囲の高濃度領域において報告可能な結果が得られる。シグナル強度を調節する方法は、アッセイの測定範囲を、下部末端若しくは上部末端、又はその両方の何れかにおいて広幅化する可能性を有する。このような方法はまた、必要な分析感度及びダイナミックレンジを確立するための調節化合物の系統的使用による、迅速且つ改良された試験開発も可能にする。現在のイムノアッセイは、しばしば、最先端の方法を用いて臨床試料中に存在する全被分析物濃度範囲をカバーしない。
【0004】
米国特許出願公開第20120094394号明細書は、凝集アッセイに対するカオトロピック試薬の遅延効果について記載している。本発明者は、分析物の測定が、ダイナミックレンジと呼ばれる特定の濃度範囲においてのみ可能であるという問題に取り組む。過剰な被分析物濃度は凝集反応を起こさない。測定可能な濃度範囲を超える試料濃度を測定するためには、希釈ステップを実施しなければならない。これらの希釈ステップは、アッセイ時間及びアッセイコストと同様に作業負荷を増加させる。本発明によれば、尿素の様なカオトロピック試薬を添加することによって、比濁イムノアッセイにおける高濃度の判定のためのダイナミックレンジの増大が、成功裡に達成された。この化合物は、用量反応曲線のより高い濃度範囲でより低いシグナル強度及び識別可能なシグナルをもたらすことで、したがって、より高いより高い測定範囲をもたらす。しかし、提案された機構はまた、カオトロピック化合物の欠点でもある。カオトロピック化合物は抗体の三次元構造を破壊することで、抗原に対する抗体の親和性を変化させる。したがって、より高い被分析物濃度は識別可能な濃度相関シグナルを生成することができる。しかし、利用される抗体及び関心のある分析物に応じて、この機構はアッセイ性能に悪影響を及ぼし得る。検出されたエピトープの破壊すらも起こり得る。米国特許第4362531号明細書では、カオトロピック試薬は、アッセイにおける非特異的結合を低減させるための添加物として使用される。
【0005】
更に、以下のモジュレーターが記載されている。ポリエチレングリコール(PEG)は、凝集反応の反応促進剤として一般に知られており、イムノアッセイにおいて比濁シグナルの迅速な増加をもたらす(例えば、C P Price,K Spencer and J Whicher,Ann.Clin.Biochem.1983,20,1を参照のこと)。しかしながら、PEGの分子量に依存して、その添加は反応混合物の粘度を劇的に増加させることで、自動分注器での拡散及びエラーを減少させ得る(Peter Holownia,Soledad Perez-Amodio,and Christopher P.Price,Anal.Chem.2001,73,3426)。ポリビニルピロリドン(PVP、例えば、欧州特許第0503454号明細書を参照)、ポリビニルアセテート(PVA、例えば、独国特許第102006000707号明細書を参照)、デキストラン(例えば、国際公開第96/12966号パンフレット)、アルギネート(欧州特許第1355154号明細書)、ポリブレン及びプロタミン(Roberto Reverberi,Lorenzo Reverberi,Blood Transfusion 2007,5,227)、双性イオン性アクリレート系ポリマー(米国特許第7368252号明細書;欧州特許第2720041号明細書)といった、他の親水性ポリマーは、PEGと同様に挙動する。親水性アニオン性であるポリアクリル酸(PAA)及びポリメタクリル酸(PMMA)は、アミノグリコシド抗生物質に対する競合的な均一凝集イムノアッセイの性能を向上させる化合物として、高い探知能力を拡張することによって作用することが報告されている(欧州特許第0786666号明細書)。デキストラン誘導体デキストラン硫酸及びPAA(国際公開第2007076013号パンフレット)は、血液試料成分に起因するホモシステインイムノアッセイにおける干渉を減少させることが分かった。
【0006】
また、アッセイのイオン強度を増加させる試薬としてのNaClの適用は、イムノアッセイの反応運動及びシグナル強度を低下させることが報告されている(J.A.Molina-Bolovar et al,Colloid Polym.Sci.1998,276,1117)。したがって、NaClは遅延剤として使用することができる。塩添加は、しかしながら、濃度が抗原抗体反応のための最適なイオン強度の範囲外である場合特に、イムノアッセイの非至適条件及び分析感度をもたらし得る。
【0007】
アミンのグループのメンバーは、均一イムノアッセイの促進剤として記載された(米国特許出願公開第2010/0167310号明細書)。モジュレーターとして作用するアミンは、ベンジルアミン、2-アミノ-2-チアゾリン及びベンズアミジンであって、アルブミンアッセイといった比濁イムノアッセイに適用されると提案された。他の刊行物には、イムノアッセイにおける非特異的結合の抑制因子としてアミンが記載されている(欧州特許第0667529号明細書;欧州特許第1321770号明細書)。欧州特許第0332021号明細書に記載されている、アミン誘導体の別グループとしてのアミンオキシドは、イムノアッセイの感度を改善するために使用される。6-アミノヘキサノイド酸の様なアミノ酸は、粒子増強比濁免疫反応(Seminars in Thrombosis and Hemostasis 1999,25,551)における非特異的結合を低下させ、またアルギニンは、ラテックス増強イムノアッセイにおける抗原の表現型可変性も低下させる(欧州特許第1610128号明細書)。
【0008】
界面活性物質の化合物クラスは、比濁イムノアッセイの促進剤であるryvo96 04555)、ヘム凝集反応の促進剤(米国特許出願第4319882号明細書)、及び化学発光に基づくアッセイのシグナルエンハンサー(国際公開第96/02839号パンフレット)として記載された。国際公開第9423297号パンフレットには、アッセイにおける非特異的結合反応を強く低下させる、SDSといったアニオン性界面活性物質の添加によるイムノアッセイの改善が記載されている。非特異的結合抑制因子としての界面活性物質の同様の挙動は、非イオン性洗浄剤について、国際公開第2005/083433号パンフレット及び欧州特許第0713095号明細書に公開されている。
【0009】
粒子増強比濁イムノアッセイにおけるホスホコリン誘導体を用いるC反応性たんぱく質の判定方法は、米国特許出願公開第2001/0026927号明細書に記載されている。そのような化合物の適用は、該アッセイにおける凝集反応を遅らせる。達成されたシグナル減少は、より高い被分析物濃度の測定を可能にする。
【発明の概要】
【0010】
したがって、先行技術の欠点を回避しながら、2つの結合パートナーの相互作用を含むアッセイを調節するための改善された手段及び方法が、当該技術分野で必要とされている。この問題は、本明細書に開示する手段及び方法によって解決される。
【0011】
したがって、本発明は、相互作用アッセイにおける試料中の分析物を判定する方法に関し、該方法は、該試料を相互作用モジュレーターと接触させることを含み、
該相互作用モジュレーターは、ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)(PSSM)、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、ポリ-(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PAMPS)、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】CRPアッセイエンハンサーとしてのモジュレーター化合物:対照アッセイ又は指示されたモジュレーターの存在下における、均一CRPアッセイの経時的な吸光度変化;(A)5mg/L CRP、(B)50mg/L CRP、(C)300mg/L CRP。
図2】CRPアッセイインヒビターとしてのモジュレーター化合物:対照アッセイ又は指示されたモジュレーターの存在下における、均一CRPアッセイの経時的な吸光度変化;(A)5mg/L CRP、(B)50mg/L CRP、(C)300mg/L CRP。
図3】アルブミンアッセイエンハンサーとしてのモジュレーター化合物:対照アッセイ又は指示されたモジュレーターの存在下における、均一アルブミンアッセイの経時的な吸光度変化;(A)5g/Lアルブミン、(B)50g/Lアルブミン、(C)300g/Lアルブミン。
図4】アルブミンアッセイインヒビターとしてのモジュレーター化合物:対照アッセイ又は指示されたモジュレーターの存在下における、均一アルブミンアッセイの経時的な吸光度変化;(A)5g/Lアルブミン、(B)50g/Lアルブミン、(C)300g/Lアルブミン。
図5】CRPアッセイ二重モジュレーターとしてのモジュレーター化合物:対照アッセイ又は指示されたモジュレーターの存在下における、均一CRPアッセイの経時的な吸光度変化;(A)5mg/L CRP、(B)50mg/L CRP、(C)300mg/L CRP。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で使用される場合、用語「持つ(have)」、「備える(comprise)」、若しくは「含む(include)」、又はこれらのあらゆる文法的変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は両方とも、これらの用語によって導入された特徴以外に、この文脈で説明される構成要素内にさらなる特徴が存在しないような状況、及び1つ以上のさらなる特徴が存在するような状況を指すことができる。一例として、表現「AはBを持つ(A has B)」、「AはBを備える(A comprises B)」、及び「AはBを含む(A includes B)」は共に、Bの他にはAに他の要素が存在しない(すなわち、Aが単独且つ独占的にBからなるような状況)状況、及びBの他には、要素C、要素C及びD、又は更なる要素といった、構成要素Aに存在する1つ以上の更なる要素が存在するような状況を指すことができる。
【0014】
更に、以下で使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「最も好ましくは」、「特に」、「より特に」、「特異的に」、「より特異的に」、又は同様の用語は、更なる可能性を制限することなく、随意の特徴と共に使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は随意の特徴であって、いかなる方法でも特許請求の範囲を制限することを意図しない。当業者が認識するように、本発明は、別の特徴を用いて実施することができる。同様に、「本発明の実施形態では」又は類似する表現によって導入される特徴は、本発明の更なる実施形態に関するいかなる制限もなしに、本発明の範囲に関するいかなる制限もなしに、そして、そのようにして導入される特徴を本発明の他の随意又は非随意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなしに、随意の特徴であることが意図される。
【0015】
その上、他に指示がなければ、用語「約」は、当該分野において一般に受け入れられた技術的精度を有する指示値、好ましくは指示値±20%、より好ましくは指示値±10%、最も好ましくは指示値±5%に関連する。用語「水」は、本明細書で使用される場合、一実施形態では、二重脱イオン水又は二重蒸留水に関する。更に、酸又は塩基に関する用語は、他に示されない場合、この化合物の塩を含み、一実施形態では、化合物の生理食塩水を含む。特に、アルカリ金属及び酸の土類アルカリ金属塩、特に、Li、Na、K、Ca、及びMg塩が含まれ、且つ特にハロゲン化物、特に塩化物、硫酸塩、硝酸塩、及び塩基のトシレート塩が含まれる。したがって、カチオンは、一実施形態では、アルカリ金属又は土類アルカリ金属カチオン、特に、Li、Na、K、Ca2+、又はMg2+であって、一実施形態では、Naである。
【0016】
本発明の方法は、好ましくは、インビトロ法である。したがって、一実施形態では、本方法は、生体の身体に対しては実行されない。一実施形態では、本方法は、単離された試料に対して実施される。更に、本方法は、上で明示的に記載したステップに加えてステップを含むことができる。例えば、更なるステップは、例えば、試料を得ること、又は決定された値をユーザに提供することに関連し得る。その上、該ステップの1つ以上は、自動化された装置によって実行することができる。一実施形態では、本方法は、診断を確立する際に医師を支援する情報を提供する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「判定(determining)」とは、一実施形態における免疫学的特徴において、試料中の本発明の方法によって判定される分析物の少なくとも1つの特徴を判定することを指す。本発明に係る特徴は、一実施形態では、免疫学的手段による実施形態において、分析物の検出を容易にする分析物の構造的特徴である。したがって、典型的な特徴は、試料中の他の化学物質に由来する該分析物の識別を容易にする特徴である。一実施形態では、分析物の判定は、本方法の検出限界を超える濃度で試料中に分析物が存在するか又は存在しないかを確定することである。検出限界を判定する方法は当業者に周知である。更なる実施形態では、判定とは、試料中の分析物の量又は濃度を、半定量的又は定量的に判定することである。定量的な判定では、分析物の絶対量又は正確な量の何れかを判定するか、又は分析物の相対量を判定する。相対量は、分析物の正確な量が決定され得るか又は決定され得ない場合に、決定することができる。そのような場合、分析物が存在する量が、第2の量の該分析物を含んでなる第2の試料に関して増加又は減少しているかどうかを決定することができる。一実施形態では、該特徴は同定を容易にし、更なる実施形態では、免疫学的手段による分析物の定量化を容易にする。
【0018】
用語「相互作用アッセイ」とは、本明細書で使用される場合、分析物と検出剤との相互作用に分析物の判定が基づくアッセイに関する。一実施形態では、該相互作用は特異的相互作用であり、すなわち、一実施形態では、検出剤と分析物との親和性が、検出剤と試料中に存在する更なる化合物との親和性と比較して、少なくとも10倍、更なる実施形態では少なくとも100倍、更なる実施形態では少なくとも1000倍高い相互作用である。当業者によって更に理解されるように、分析物/検出剤複合体の判定は、選択されるアッセイ形式に依存する。
【0019】
一実施形態では、相互作用アッセイは検出剤相互作用アッセイであり、すなわち、試料からの分析物/検出剤複合体の分離を含む相互作用アッセイである。不均一相互作用アッセイは当技術分野で周知であり、分析物が固体面、特にアッセイプレート又はビーズの面と結合しているような相互作用アッセイを含む。当業者に理解されるように、固体面との該結合は、直接的又は間接的でもあってよく、例えば酵素結合免疫測定法(ELISA)におけるような、例えば抗体を介してであってもよい。
【0020】
一実施形態では、相互作用アッセイは均一アッセイであり、一実施形態では均一イムノアッセイであり、更なる実施形態では均一凝集イムノアッセイである。したがって、一実施形態では、アッセイは、潜在的に存在する分析物、検出剤、及び分析物/検出剤複合体が、検出のためにアッセイ混合物から分離されないようなアッセイである。したがって、一実施形態では、分析物/検出剤複合体の存在は、検出混合物の物理的特性及び/又は化学的特性の変化を判定することによって検出され、一実施形態では、本明細書中の以下に特定される光学的特性が検出される。一実施形態では、均一アッセイ、特に均一凝集イムノアッセイは、C反応性たんぱく質(CRP)に対するアッセイ、アルブミンに対するアッセイ、1つ以上の血清たんぱく質、一実施形態では、フェリチン、ミオグロビン、D-ダイマー、リウマトイド因子、HbA1c、抗ストレプトリジン-O、シスタチンC、可溶性トランスフェリン受容体、リポたんぱく質(a)、及び/若しくはβ2-ミクログロブリンに対するアッセイ、治療薬、一実施形態では、ジギトキシン、ジゴキシン、フェノバルビタール、シクロスポリンA、アミカシン、カルバマゼピンに対するアッセイ、並びに/又は依存性薬物、一実施形態では、バルビツール酸、アンフェタミン、及び/、若しくはコカインに対するアッセイである。一実施形態では、相互作用アッセイは凝集アッセイであり、一実施形態では凝集イムノアッセイである。更なる実施形態では、相互作用アッセイはビーズ増強凝集アッセイであり、更なる実施形態ではラテックス増強凝集アッセイであり、更なる実施形態ではビーズ増強凝集イムノアッセイであり、更なる実施形態ではラテックス増強凝集イムノアッセイ、例えばCRPアッセイである。一実施形態では、相互作用アッセイは非ラテックス強化凝集アッセイであり、更なる実施形態では非ビーズ増強凝集アッセイであり、更なる実施形態では非ラテックス増強凝集イムノアッセイであり、更なる実施形態では非ビーズ増強凝集イムノアッセイ、例えばアルブミンアッセイである。ビーズ増強アッセイ、ビーズ増強凝集アッセイ、ラテックス強化凝集アッセイ、ラテックス増強凝集イムノアッセイ、及びこれらの非ビーズ増強対応物といった、異なるアッセイ形式は、当業者に周知である(例えば、Bangs TechNote 301 (1999),Bangs Laboratories,Inc.;CP Price(2001),Encyclopedia of Life Sciences,John Wiley&Sons,Ltd.:1-7,DOI:10.1038/npg.els.0001114;Gribnau et al.(1986),J Chromatography 376:175,The immunoassay handbook(4th ed.2013),Ed.David Wild:homogeneous immunoassays,E.F.Ullmannを参照されたい)。
【0021】
一実施形態では、本方法は、開始化合物の添加前に相互作用関連パラメータの第一の値を決定するステップ、及び該開始化合物の添加後に相互作用関連パラメータの少なくとも1/2の値を決定するステップを含む。
【0022】
用語「相互作用関連パラメータ」は、本明細書で使用される場合、検出反応における少なくとも分析物と検出剤との間の相互作用の程度と相関するパラメータに関連するため、したがって、一実施形態では、検出反応中に存在する分析物の量と相関する。したがって、相互作用パラメータは、原理的には、上述の相関を示すあらゆる測定可能パラメータであり得る。例えば、一実施形態では、相互作用関連パラメータは、形成される沈殿物の質量若しくはサイズ、粘度、又は同様のものであり得る。一実施形態では、相互作用関連パラメータは、本明細書において以下で指定される透過関連パラメータである。前述の相互作用関連パラメータを使用して、例えば、検出反応開始後の所与の時点における該相互作用関連パラメータの値を決定すること、時間経過に伴う値のグラフ表示におけるプラトーに到達する時点を決定すること、該プラトー到達後の相互作用関連パラメータの値を決定すること、及び/又は時間経過に伴う該相互作用関連パラメータの値の変化を表すグラフの傾きから決定することによって、分析物を決定することができると当業者に知られている。したがって、一実施形態では、本発明に係る方法において、同一試料の該相互作用関連パラメータの多数の値が時間間隔で、一実施形態では一定の時間間隔で決定される。一実施形態では、該相互作用関連パラメータの値は、試料において、少なくとも10秒毎、更なる実施形態では少なくとも8秒毎、更なる実施形態では少なくとも5秒毎、更なる実施形態では少なくとも3秒毎、更なる実施形態では少なくとも2秒毎、更なる実施形態では少なくとも1秒毎、更なる実施形態では少なくとも0.2秒毎に測定される。更なる実施形態では、該相互作用関連パラメータの値が、試料中で連続的に測定される。当業者に理解されるように、一実施形態では、相互作用関連パラメータを決定することは、相互作用関連パラメータと該シグナルの実際の記録値とに相関するシグナルを少なくとも確立することを含む。相互作用関連パラメータと相関するシグナルは、例えば、光度計の光電管で測定される電圧として真に連続的に提供され得るか、又は例えば、マルチウェルプレートのウェルを光度計の光路へ移動させることによって個別測定で提供され得るが、該シグナルの値の記録は、所与の時点において個別のステップで行われる。にもかかわらず、本明細書で使用される場合、用語「相互作用関連パラメータの連続的な判定値」とは、0.2秒毎よりも頻繁に、例えば少なくとも0.1秒毎に、相互作用関連パラメータの値を判定することに関する。したがって本用語は、上述の周波数における相互作用関連パラメータの値の記録に関する。
【0023】
上述のように、一実施形態では、相互作用関連パラメータはまた、検出反応が開始された後の所定の時点にて、少なくとも1回、更に別の実施形態では正確に1回、決定されることもあり得る。一実施形態では、相互作用関連パラメータは、このような場合、検出反応が開始される前又はその直後に追加的に判定され、このようにして得られた相互作用関連パラメータの値は、一実施形態では、検出反応が開始された後の時点で判定された相互作用関連パラメータの値から差し引かれる。当業者に理解されるように、検出反応は、分析物が検出剤と接触した時点で開始される。したがって、本明細書で使用される場合、用語「スタータ化合物」は、分析物又は検出剤の何れかが検出混合物へ後に添加されるものに関する。
【0024】
一実施形態では、相互作用アッセイは撮影光学アッセイであって、すなわち分析物を決定することは、該試料中の少なくとも1つの透過関連パラメータを決定することを含む。したがって、このような実施形態では、相互作用関連パラメータは伝送関連パラメータである。用語「透過関連パラメータ」とは、本明細書で使用される場合、試料の透過光対入射光の比を示すか若しくはこれと相関するパラメータに関するか、又はそれから導出されるパラメータに関する。一実施形態では、透過関連パラメータは、数学、物理学、及び/又は化学の標準演算によって前述の比から導出される。したがって、一実施形態では、透過関連パラメータは、透過係数、吸光係数、透過率、吸光度、又は吸収である。その上、一実施形態では、透過関連パラメータは、標準的な数学的演算、例えば、試料に適用される希釈、較正係数、又は同様のものを補正するための演算によって、上述のパラメータの1つから導出される値である。試料中の透過関連パラメータを決定する方法は当業者に知られており、一実施形態では、透過測定法、比濁分析法、又は比濁法を含む。このような方法は、一実施形態では、当該技術分野で周知の試料分析装置で実施される。一実施形態では、透過関連パラメータは濁度測定によって決定される。したがって、一実施形態では、相互作用は比濁アッセイ又は比濁分析アッセイである。透過関連パラメータは1つ以上の特異的な波長で判定することができる。このように、一実施形態では350~700nmの波長、一実施形態では300~700nmの波長、一実施形態では300~600nmの波長、及び/又は500~700nmの波長において、透過関連パラメータが判定される。
【0025】
用語「分析物」とは、本明細書で使用される場合、分析物/検出剤複合体の検出を可能にするのに充分な親和性で本発明の検出剤と結合する化学分子、一実施形態では有機分子に関する。一実施形態では、分析物/検出剤複合体の解離定数(K)は、最大10-7mol/L、更なる実施形態では最大10-8mol/L、更なる実施形態では最大10-9mol/L、更なる実施形態では最大10-10mol/L、更なる実施形態では最大10-11mol/L、更なる実施形態では最大10-12mol/Lである。したがって、一実施形態では、用語「分析物」は、特異的反応パートナー(例えば、分析物と特異的に結合する結合分子又は物質)が存在するか、又は特異的結合パートナーを調製することができる、あらゆる物質を含む。本発明の相互作用アッセイによって判定され得る分析物は、一実施形態において、抗原性の分析物であってもよく、次いで結合パートナーは、適切には、免疫学的な結合パートナー、特に抗体であってもよい。抗原性分析物は、反復エピトープを伴う又は伴わない、モノマー又はポリマーであってもよい。一実施形態では、分析物とは、天然に存在する分析物である。更なる実施形態では、分析物とは天然に存在しない分析物であり、一実施形態では、人工の分析物である。一実施形態では、分析物は、本明細書の別の箇所で特定されるように、例えば、血清たんぱく質、治療薬、又は乱用性医薬品といった、あらゆるインビトロ診断化合物である。代表的な分析物としては、抗原、ハプテン、抗体、たんぱく質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、がん細胞マーカー、組織細胞、ウイルス、ビタミン、核酸、及び殺虫剤が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、分析物、用語「分析物」は、特異的反応パートナー(例えば、分析物と特異的に結合する結合分子又は物質)が存在するか、又は特異的結合パートナーを調製することができる、あらゆる物質を含む。本発明のアッセイによって判定され得る分析物は、抗原性の分析物を含み、次いで結合パートナーは、適切には、免疫学的な結合パートナーを含む。抗原性分析物は、反復エピトープを伴う又は伴わない、モノマー又はポリマーであってもよい。一実施形態では、分析物は、試料中の存在及び/又は濃度が判定される物質である。
【0026】
一実施形態では、分析物は、少なくとも分子量100(100原子質量単位及び100Daに相当、1Daは1.66×10-27kgに相当)、更なる実施形態では少なくとも分子量250、更なる実施形態では少なくとも分子量500、又は更なる実施形態では少なくとも分子量1000を有する。一実施形態では、分析物は生体分子であり、更なる実施形態では、分析物は生体高分子である。更なる実施形態では、分析物はポリペプチドであり、一実施形態では、抗原、特にポリペプチド又は該抗原に対して産生された抗体である。一実施形態では、分析物は、感染病原体、例えばウイルス若しくはバクテリアによって産生される抗原であるか、又は感染病原体によって産生される抗原に対して対象によって産生される抗体である。一実施形態では、感染病原体は、プリオン、ウイルス、バクテリア、又は真核病原体(例えば、真菌、アメーバ、又はマラリア原虫)である。更なる実施形態では、感染病原体は、ヒト病原性プリオン、ヒト病原性ウイルス、ヒト病原性バクテリア、又はヒト病原性真核病原体である。更なる実施形態では、分析物は、対象の身体によって若しくはそれが運ぶ胎児によって産生される抗原であるか、又は対象の身体によって若しくはそれが運ぶ胎児によって産生される抗原に対する抗体である。したがって、一実施形態では、分析物は自己抗体である。
【0027】
用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、一実施形態では、特異的に示されるポリペプチドの変異形及び断片を含む。変異形は、特異的に示されたアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である、アミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを含む。パーセント同一性値は、好ましくは、全アミノ酸配列領域にわたって計算される。種々のアルゴリズムに基づく一連のプログラムが、異なる配列を比較するために当業者に利用可能である。これに関して、Needleman-Wunschアルゴリズム又はSmith-Watermanのアルゴリズムは、特に信頼できる結果をもたらす。配列アライメントを行うためには、GCGソフトウェアパケット(Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,USA 53711(1991))の一部である、PileUp(J.Mol.Evolution.,25,351-360,1987,Higgins et al.,CABIOS,5 1989:151-153)、又はGap and BestFit(Needleman and Wunsch(J.Mol.Biol.48;443-453(1970))、及びSmith and Waterman(Adv.Appl.Math.2;482-489(1981)))といったプログラムを使用する。パーセント(%)で上に列挙された配列同一性値は、好ましくは、次の設定で配列領域全体に渡るGAPプログラムを用いて決定される:ギャップ重量=50、長さ重量=3、平均一致=10.000、及び平均不一致=0.000。これは、特に指定されない限り、配列アラインメントの標準設定として常に使用される。一実施形態では、特異的に言及されるポリペプチドの何れかの断片を含んでなるポリペプチドもまた、該断片が検出剤によって検出されるエピトープをなお含んでなる限り、本発明のポリペプチドとして包含される。したがって、ポリペプチドは、該生物活性を付与する本発明のポリペプチドのドメインを含み得るか、又はこのドメインからなり得る。本明細書で意味される断片は、好ましくは、特異的に言及されるポリペプチドの何れか1つのアミノ酸配列に対応する、少なくとも10個、一実施形態では少なくとも200個、更なる実施形態では少なくとも50個、更なる実施形態では少なくとも100個の連続したアミノ酸残基を含んでなる。
【0028】
一実施形態では、分析物は低分子抗原であって、すなわち、分析物は最大1000の分子量を有する。一実施形態では、分析物は、本明細書の別の箇所で特定されるように、治療薬又は乱用性医薬品である。
【0029】
用語「検出剤」とは、本明細書で使用される場合、直接的又は間接的に、上で特定される本発明の分析物と結合する化学分子に関する。一実施形態では、検出剤は固体面に結合されず、固体面に結合されるように適用されない。当業者に理解されるように、検出剤はまた、間接検出化合物、すなわち分析物へ直接接触しないが、それ自体が分析物と結合する更なる化合物を用いた検出剤であってもよい。一実施形態では、検出剤は直接検出剤であり、すなわち、分析物と直接結合する薬剤である。当業者に理解されるように、呼称「分析物」及び「検出剤」とは、特に均一アッセイにおいて、どの化合物が検出されるべきか、及びどの化合物が分析物を検出するために試料へ添加されるかを考慮して、単に帰属される呼称である。したがって、第1のアッセイにおける分析物は、第2のアッセイにおける検出剤であってもよく、逆もまた同様である。したがって、本発明の分析物について上述した定義は、本発明の検出剤に準用される。一実施形態では、検出剤は抗体であり、一実施形態ではIgGである。一実施形態では、検出剤は、モノクローナル抗体である。更なる実施形態では、検出剤は抗体であり、一実施形態では、ラテックスビーズと結合したモノクローナル抗体である。一実施形態では、検出剤は、少なくとも2つの診断エピトープ、すなわち、分析物と結合するエピトープを含んでなる薬剤である。更なる実施形態では、該診断エピトープは、例えばIgGにおいて同一である。
【0030】
用語「試料」とは、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの分析物を含んでなることが疑われるか又は知られている、あらゆる組成物を指す。一実施形態では、試料は、患者の一実施形態において対象の試料である。一実施形態では、試料は、対象から単離された試料である。したがって、一実施形態では、試料は体液の試料であり、一実施形態では、血液、血漿、血清、唾液、若しくは尿、又は組織若しくは器官、例えば気道からの洗浄液によって得られた試料である。更なる実施形態では、試料は、血液、血漿、血清、又は尿試料である。更なる実施形態では、試料は、血液若しくは血漿試料であるか、又は血清若しくは血漿試料であり、更なる実施形態では、血漿試料である。一実施形態では、試料が血液試料である場合、本発明の方法は、該血液試料から血清又は血漿試料を得る更なるステップ、又は該試料を溶血するステップを含んでなる。一実施形態では、試料は、クエン酸塩血漿試料、ヘパリン血漿試料、又はEDTA血漿試料である。生体試料は、本明細書の別の箇所に記載されるように、対象から得ることができる。上述した異なるタイプの生体試料を得るための技術は、当技術分野で周知である。例えば、血液試料は、採血、例えば動脈及び/又は静脈血管を穿刺することによって得てもよい。一実施形態では、試料は、空腹時試料、特に、空腹時血液、血漿、又は血清試料である。一実施形態では、試料は、対象から得られた細胞、組織、又は器官の試料である。一実施形態では、該器官が生体にとって重要である場合、該対象はヒトではない。このような試料は、一実施形態では、体の擦過物、スワブ、又は生検好適領域を含む周知の技術によって得ることができる。当業者に知られているように、そのような試料は、ブラシ、(綿)スワブ、スパチュラ、すすぎ/洗浄用流体、パンチ生検装置、針又は外科的計測手段による空洞の穿刺を使用することによって得ることができる。
【0031】
上述の試料は、一実施形態では、本発明の方法に使用される前に前処理される。該前処理は、試料に含まれる化合物を放出若しくは分離するため、又は過剰な物質若しくは廃棄物を除去するために必要な処理を含んでもよい。好適な技術は、遠心分離、抽出、画分、限外濾過、たんぱく質沈殿、次いで化合物の濾過及び精製並びに/又は濃縮を含んでなる。本明細書で上述の通り、前処理は、例えば、全血試料から血漿試料を得ること、全血試料から血清試料を得ること、又は血漿試料から血清試料を得ることであってもよい。更に、分析に好適な形態又は濃度で化合物を得るために、他の前処理が行われる。前に記載したような前処理試料はまた、本発明に従って使用される用語「試料」も含む。
【0032】
用語「対象」とは、本明細書で使用される場合、動物、一実施形態では哺乳動物、更なる実施形態では霊長類、更なる実施形態ではヒトに関する。一実施形態では、対象は、実験動物、特に、マウス、ラット、モルモット、ブタ、又はイヌである。更なる実施形態では、対象は、家畜又はコンパニオンアニマル、特に、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、又はブタである。
【0033】
本発明に関連して使用される用語「接触(contacting)」は、当業者に理解される。一実施形態では、用語は、少なくとも、本発明の試料及び/又は分析物を検出剤及び相互作用モジュレーターと物理的に接触させ、それによって、試料及び/又は分析物が検出剤及び相互作用モジュレーターと相互作用することを可能にすることに関する。したがって、一実施形態では、試料及び/又は分析物を相互作用モジュレーターと接触させることは、反応混合物の検出に該相互作用モジュレーターを含む。
【0034】
用語「相互作用モジュレーター」は、本明細書で使用される場合、本明細書にて上で特定される相互作用アッセイにおける、分析物と検出剤との間の相互作用を調節する化合物に関する。該調節は、相互作用の速度(運動)と関連することがあるか、相互作用の程度と関連することがあるか、又は相互作用の速度及び程度の両方と関連することがある。本明細書で使用される場合、「相互作用の程度」は、相互作用アッセイで得られるシグナルの強度に関する。したがって、本発明によれば、平衡シグナルにおける調節が反応平衡の変化によって引き起こされるか、若しくはシグナル強化によって引き起こされるか、又はその両方であるかは重要ではなく、いずれの場合も、一実施形態では、相互作用の程度が調節されたものと仮定される。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、エンハンサー、すなわち薬剤増強相互作用である。したがって、相互作用エンハンサーは、一実施形態では、反応速度を増大させる薬剤、すなわち相互作用促進剤である。更なる実施形態では、相互作用エンハンサーは、相互作用増感剤、すなわち、相互作用の程度を増加させる薬剤であって、すなわち一実施形態では、平衡シグナルを増加させる。更なる実施形態では、相互作用モジュレーターは、インヒビター、すなわち相互作用の強度を減弱する薬剤である。したがって、相互作用インヒビターは、一実施形態では、反応速度を減弱させる薬剤、すなわち相互作用遅延剤である。更なる実施形態では、相互作用インヒビターは、相互作用還元剤、すなわち相互作用の程度を減弱させる薬剤であって、すなわち一実施形態では、平衡シグナルを減弱させる。理解される通り、調節エンハンサーは、相互作用促進剤、相互作用増感剤、又はその両方であり得る。同様に、調節インヒビターは、相互作用遅延剤、相互作用還元剤、又はその両方であり得る。一実施形態では、相互作用モジュレーターはまた、相互作用エンハンサー及び相互作用インヒビターの両方であってもよい。更なる実施形態では、相互作用エンハンサー及び相互作用インヒビターの両方である該相互作用モジュレーターは、本明細書で以下に記載のポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)(PSSM)であるか、又は本明細書で以下に記載のポリアクリル酸(PAA)である。
【0035】
一実施形態では、水溶液中の相互作用モジュレーターは、水の密度と同様の密度を有する。したがって、一実施形態では、相互作用モジュレーターの水溶液は、他の水溶液若しくは懸濁液、特に試料及び/又は反応混合物と容易に混和する。一実施形態では、水中の相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液は、20℃における密度が、0.8~1.2kg/l、一実施形態では0.9~1.1kg/l、更なる実施形態では1.0~1.1kg/l、更なる実施形態では1.05±0.2kg/lである。一実施形態では、濃度は当業者に周知のU字管振動法で測定され、一実施形態では、製造者によって提供される説明書に従う一実施形態で、Anton Paar密度計DMA35に対して実施される。更なる実施形態では、相互作用モジュレーターは、4℃において少なくとも5%(w/v)の濃度で水に可溶である。したがって、一実施形態では、相互作用モジュレーターの5%(w/v)水溶液は、4℃の温度で沈殿しない。一実施形態では、溶解度は、4℃で少なくとも12時間保存した後、沈殿の目視検査(混濁度)によって決定される。更なる実施形態では、溶解度は、層厚1cmで4℃において少なくとも12時間保存した後、600nmでの試料の吸光度(光学密度)を測定することによって決定される。そのような場合、測定された吸光度が0.25未満、一実施形態では0.1未満の場合、化合物は可溶性であると考えられる。更なる実施形態では、相互作用モジュレーターは、分析物の決定へ潜在的に干渉する波長で低い吸光度を有する。したがって、一実施形態では、該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液は、1000M-1cm-1未満、更なる実施形態では、400~700nmの範囲から選択されるあらゆる波長において100M-1cm-1未満、更なる実施形態では、340~800nmのモル吸光係数である。更なる実施形態では、該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液は、1000M-1cm-1未満、更なる実施形態では少なくとも1つ、一実施形態では少なくとも2つ、更なる実施形態では少なくとも3つ、更なる実施形態では少なくとも4つ、更なる実施形態では少なくとも5つ、更なる実施形態では、波長340nm、376nm、415nm、450nm、480nm、505nm、546nm、570nm、600nm、660nm、700nm、及び800nmの全てにおいて、100M-1cm-1未満のモル吸光係数である。更なる実施形態では、相互作用モジュレーターの水溶液は低い粘度である。したがって、一実施形態では、該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液の粘度は、15mPas未満、一実施形態では10mPas未満である。一実施形態では、粘度は、Viscometer-Rheometer-on-a-Chip(VROC(登録商標))法(Sharma et al.(2011)、Soft Matters 7:5150)によって20℃で測定される。更なる実施形態では、粘度測定は、製造者によって提供される説明書に従う実施形態で、20℃においてRheoSense m-VROC(商標)(Collotec)装置で行われる。更なる実施形態では、相互作用モジュレーターの水溶液は低い表面張力を有する。したがって、一実施形態では、該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液の表面張力は、100mN/m未満、一実施形態では75mN/m未満である。一実施形態では、表面張力は、当業者に周知の懸滴法に従って測定される。更なる実施形態では、表面張力は、製造者によって提供される説明書に従う実施形態で、KRUSS Easydrop装置で測定される。一実施形態では、相互作用インヒビターの水溶液は、上述の特性のうちの少なくとも2つを有し、例えば一実施形態では、水と同様の密度を有し且つ低吸収性であるか、又は水と同様の密度を有し且つ低粘度であるか、水と同様の密度を有し且つ低表面張力であるか、又は水と同様の密度を有し且つ上記のような低温では沈殿しない。更なる実施形態では、相互作用インヒビターの水溶液は、上述の特性のうちの少なくとも3つを有し、例えば一実施形態では、水と同様の密度を有し、低吸光度であり、且つ低粘度であるか、又は水と同様の密度を有し、低粘度であり、且つ低表面張力である。更なる実施形態では、相互作用インヒビターの水溶液は、上述の特性のうちの少なくとも4つを有し、例えば一実施形態では、水と同様の密度を有し、低吸光度であり、低粘度であり、且つ低表面張力であるか、又は水と同様の密度を有し、低温では沈殿せず、低粘度であり、且つ低表面張力である。更なる実施形態では、相互作用インヒビターの水溶液は、上述の特性のうちの少なくとも5つを有し、例えば、水と同様の密度を有し、低温では沈殿せず、低吸光度であり、低粘度であり、且つ低表面張力である。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、実施例において本明細書に記載される化合物であり、且つ実施例において記載される上記の特性を有する。
【0036】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)(PSSM)である。したがって、一実施形態では、相互作用モジュレーターは、4-スチレンスルホン酸とマレイン酸とのコポリマーである。一実施形態では、該PSSMが、次の式(I)による反復構造単位を有し、
【0037】
【化1】
【0038】
式中、x及びyは、0、1、2、3、4、及び5から選択された整数であり、該選択は、x及びyについて並びに各反復単位について独立しており、そして、Rは、H又はカチオン、一実施形態では無機カチオンであって、更なる実施形態では上に記載した本明細書に記載のカチオンである。更なる実施形態では、PSSMは、分子量1~100kDa、一実施形態では5~50kDa、更なる実施形態では約20kDaである。一実施形態では、PSSMは、4-スチレンスルホン酸とマレイン酸との1:1モル混合物のコポリマーである。更なる実施形態では、相互作用モジュレーターは、PSSMのナトリウム塩であり、更なる実施形態では、CAS番号第68037-40-1号及び/又はMDL番号第MFCD00217739号によって記載される化合物である。
【0039】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、ポリ-(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PSSM)である。したがって一実施形態では、相互作用モジュレーターは、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸である。更なる実施形態では、PSSMは、次の式(III)による反復構造単位を有し、
【0040】
【化2】
【0041】
式中、Rは、H又はカチオン、一実施形態では無機カチオンであって、更なる実施形態では、上に記載した本明細書に記載のカチオンである。更なる実施形態では、PAMPSは、分子量100~10000kDa、一実施形態では500~5000kDa、更なる実施形態では約2000kDaである。更なる実施形態では、相互作用モジュレーターは、CAS番号第27119-07-9号及び/又はMDL番号第MFCD00084369号によって記載される化合物である。
【0042】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、アミノデキストランである。したがって、相互作用モジュレーターは、一実施形態では、CAS番号第9004-54-0号によって記載されるデキストランの実施形態におけるデキストランの誘導体であって、置換度、すなわち、モノマー単位毎のアミノ基の平均数を、0.05~2、更なる実施形態では0.1~1、更なる実施形態では0.15~0.5、更なる実施形態では約0.2、更なる実施形態では0.2を有する。更なる実施形態では、アミノデキストランは、分子量1~10000kDa、一実施形態では50~5000kDa、更なる実施形態では約500kDaである。
【0043】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、カルボキシメチルデキストランである。したがって、相互作用モジュレーターは、一実施形態では、CAS番号第9004-54-0号によって記載されるデキストランの実施形態におけるデキストランの誘導体であって、置換度、すなわち、モノマー単位毎のカルボキシル基の平均数を、0.05~2、更なる実施形態では0.1~1、更なる実施形態では0.15~0.5、更なる実施形態では約0.2、更なる実施形態では0.2を有する。更なる実施形態では、カルボキシメチルデキストランは、分子量1~10000kDa、一実施形態では50~5000kDa、更なる実施形態では約500kDaである。
【0044】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、トリエチルアミン(N,N-ジエチルエタンアミン、CAS番号第121-44-8号)である。上で本明細書に記載の通り、この用語は、一実施形態では、本化合物の塩を含む。
【0045】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、トリエタノールアミン(2,2’,2’’-ニトリロトリ(エタン-1-オール)、CAS番号第102-71-6号)である。上で本明細書に記載の通り、この用語は、一実施形態では、本化合物の塩を含む。
【0046】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、タウリン(2-アミノエタン-1-スルホン酸、CAS番号第107-35-7号)である。上で本明細書に記載の通り、この用語は、一実施形態では、本化合物の塩を含む。
【0047】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、硫酸ドデシル(ラウリル硫酸)であり、一実施形態では硫酸ドデシルナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム、CAS番号第151-21-3号)である。上で本明細書に記載の通り、硫酸ドデシルという用語は、一実施形態では、本化合物の他の塩を含む。
【0048】
一実施形態では、相互作用モジュレーターは、スルホニル化化合物を含み、一実施形態では、PAMPS、PSSM、及び/又はタウリンを含み、更なる実施形態ではPAMPS及び/又はPSSMを含み、更なる実施形態ではPAMPS及び/又はタウリンを含み、更なる実施形態ではPSSM及び/又はタウリンを含み、更なる実施形態ではPAMPSを含み、更なる実施形態ではPSSMを含み、更なる実施形態ではタウリンを含んでなる。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、ポリカルボキシル化ポリマー化合物を含み、一実施形態では、カルボキシメチルデキストランを含んでなる。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、アルキルアミンを含み、一実施形態では、アミノデキストラン、タウリン、トリエチルアミン、及び/又はトリエタノールアミンを含んでなる。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、トリアルキルアミンを含み、一実施形態ではトリエチルアミン及び/又はトリエタノールアミンを含み、更なる実施形態ではトリエチルアミンを含み、更なる実施形態ではトリエタノールアミンを含んでなる。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、ビーズ増強相互作用アッセイ及び非ビーズ増強相互作用アッセイの両方のモジュレーターを含み、一実施形態では、相互作用モジュレーターは、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択される、ビーズ増強相互作用アッセイ及び非ビーズ増強相互作用アッセイの両方のモジュレーターを含んでなる。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、ビーズ増強相互作用アッセイを特異的に調節するモジュレーターを含み、一実施形態ではPSSMを含んでなる。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、相互作用アッセイのエンハンサーを含み、一実施形態では、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、PAMPS、及びPSSMからなるリストから選択される相互作用アッセイのエンハンサーを含み、更なる実施形態では、アミノデキストラン及び/又はカルボキシメチルデキストランを含んでなる。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、ビーズ増強相互作用アッセイのエンハンサーを含んでなる、一実施形態ではビーズ増強相互作用アッセイに特異的なエンハンサーを含み、更なる実施形態ではPSSMを含んでなる。一実施形態では、相互作用アッセイの該エンハンサーは、促進剤である。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、相互作用アッセイのインヒビターを含み、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、硫酸ドデシル、及びPSSMからなるリストから選択され相互作用アッセイのインヒビターを含み、更なる実施形態では、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択される相互作用アッセイのインヒビターを含んでなる。一実施形態では、相互作用アッセイの該インヒビターは、遅延剤である。一実施形態では、相互作用モジュレーターは、第1の被分析物濃度におけるエンハンサーであり、且つ第2の被分析物濃度における遅延剤である。該第1の被分析物濃度は、上で本明細書に記載される一実施形態では、第2の被分析物濃度よりも低い。一実施形態では、第1の被分析物濃度においてエンハンサーであり且つ第2の被分析物濃度において遅延剤である該相互作用モジュレーターは、PSSMである。
【0049】
必要とされる相互作用モジュレーターの濃度は、所望の効果の強度、分析物及び検出剤を含んだ使用される特定のアッセイ形式、並びに更なる要素に依存する。実施例において本明細書で示される濃度は、当業者による最適化のための出発点として用いることができる。
【0050】
有利には、本発明の基礎となる研究において、示されるような特定の化学物質を使用して、検出反応における2つの結合パートナー間の相互作用の運動及び/又は程度を調節することができるということが見出された。特に、いくつかの化合物は、ビーズ増強アッセイ及び非ビーズ増強アッセイに対して使用可能な一般的モジュレーターであるが、他の化合物は特異的モジュレーターであるということが見出された。更に、いくつかの化合物、特にPSSM及びPAAは、高い被分析物濃度で阻害効果を有するが、低被分析物濃度で増強効果を有するため、したがって、アッセイにおける被分析物濃度の使用可能範囲を拡大するのに好適であるということが、驚くべきことに見出された。
【0051】
以上の定義は、以下に準用する。以下で更に実施される追加の定義及び説明もまた、本明細書に記載される全ての実施形態に準用される。
【0052】
本発明は更に、試料中の分析物を特異的に検出する検出剤、及び本発明の相互作用モジュレーターから選択される少なくとも1つの相互作用モジュレーターを備えるキットに関する。
【0053】
用語「キット」とは、本明細書で使用される場合、一緒に包装されていても又はされていなくてもよい本発明の前述の化合物、手段、又は試薬の集団を指す。キットの構成要素は、別々のハウジングによって(すなわち、別々の部品のキットとして)構成されていてもよく、又は2つ以上の構成要素が単一のハウジング内に設けられてもよい。更に、本発明のキットは、一実施形態では、上で本明細書に記載の方法を実施するために使用されるべきであることを理解されたい。一実施形態では、構成要素は、上述の方法を実施するためすぐに使用可能な手段で提供されることが想定される。一実施形態では、キットの化学物質の全部又は一部は、凍結乾燥形態といった乾燥状態で提供される。本成分は、水又は水性緩衝液といった液体を使用して再構成される。一実施形態では、該化合物の全部又は一部は、濃縮された液体の形態で提供される。濃縮された成分は、水性緩衝液といった液体を使用して希釈される。更に、一実施形態では、キットは、該方法を実行するための説明書、そして該当する場合には、該乾燥試薬の再構成を含有する。説明書は、紙又は電子形式のユーザ用マニュアルで提供することができる。加えて、マニュアルは、本発明のキットを用いて上述の方法を実施した場合に得られた結果を解釈するための説明書を備えることができる。一実施形態では、キットは、水、緩衝液、及び/又は較正試薬を更に備える。
【0054】
本発明はまた、試料中の分析物を判定する装置に関し、該装置は、該試料中の相互作用関連パラメータの値を判定するために適合された分析ユニット、並びに本発明の相互作用モジュレーターから選択された少なくとも1つの相互作用モジュレーターを備える。
【0055】
用語「装置」は、本明細書で使用される場合、判定を可能にするよう互いに動作可能に連結された、少なくとも記載された手段を含む手段のシステムに関する。動作手段において装置の手段を連結する方法は、装置に含まれる手段のタイプに依存する。一実施形態では、手段は、単一装置によって構成される。しかしながら、本発明の手段、例えば分析ユニット及び評価ユニットは、一実施形態では、別々の装置であってもよく、更なる実施形態では、キットとして一緒にパッケージ化されるということもまた考えられる。当業者は、それ以上のことを行わずに手段を連結する方法を理解するであろう。好ましい装置は、専門技術者の特別な知識なしに適用できる装置である。一実施形態では、装置は、本明細書に記載されるような追加の特徴を含むように構成される。一実施形態では、装置は、メモリユニットを備える評価ユニットを更に備え、該メモリユニットは、分析ユニットによって得られた結果に基づいた分析物の量を判定するための明白に埋め込まれたアルゴリズムを備える。一実施形態では、該アルゴリズムは、少なくとも1つの相互作用モジュレーターの存在下で分析物の量を判定するように構成される。更なる実施形態では、装置は、(i)相互作用関連パラメータ、及び/又は一実施形態では、測定された分析物の量若しくは濃度を表示する、ディスプレイユニット、並びに/又は(ii)相互作用関連パラメータ、及び/又は一実施形態では、測定された分析物の量若しくは濃度を保存するメモリユニット、を更に備える。更なる実施形態では、装置は、少なくとも評価ユニットと動作可能に連結された出力ユニットを更に備え、この出力ユニットは、例えばディスプレイユニット又はプリンタであってもよい。
【0056】
この装置は、相互作用関連パラメータ、特に透過関連パラメータを判定する手段を含んでなる分析ユニットを備える。相互作用関連パラメータを判定するための典型的な手段及び方法は、当技術分野において公知である。一実施形態では、相互作用関連パラメータは、撮影光学アッセイによって判定される。一実施形態では、相互作用関連パラメータを判定するための手段は、一実施形態において試料中の透過関連パラメータを判定するための手段を含み、これは当該技術分野において周知であって、例えば、CP Price(2001),Encyclopedia of Life Sciences,John Wiley&Sons,Ltd.:1-7,DOI:10.1038/npg.els.0001114;Newman et al.(1992),Ann Clin Chem 29:22)に記載されている。一実施形態では、透過関連パラメータは、比濁比濁法によって判定される。したがって、一実施形態では、分析ユニットは、同じ試料の透過関連パラメータの少なくとも1つの値を測定するように構成される。透過関連パラメータは、1つ以上の特異的な波長で判定することができる。したがって、一実施形態では、分析ユニットは、350~700nmの波長、一実施形態では300~700nmの波長、一実施形態では300~600nmの波長、及び/又は500~700nmの波長において、透過関連パラメータを判定するように構成される光学ユニット、特に測光ユニットを備える。一実施形態では、装置の分析ユニットは、試料に照射する光源、及び試料から発せられる光を検出する光検出器、すなわち一実施形態では、試料を通過する光を検出する光検出器を備える。更なる実施形態では、分析ユニットは光度計ユニットを備える。
【0057】
更に、本発明は、相互作用アッセイで分析物を判定するための相互作用モジュレーターの使用に関しする。該相互作用モジュレーターは、本発明の相互作用モジュレーターから選択される。
【0058】
一実施形態では、本使用は、該相互作用アッセイを阻害するための使用である。該相互作用モジュレーターは、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、硫酸ドデシル、及びPSSMからなるリストから選択され、更なる実施形態では、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択される。更なる実施形態では、該使用は、該相互作用アッセイを増強するための使用である。該相互作用モジュレーターは、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、PAMPS、及びPSSMからなるリストから選択され、更なる実施形態では、アミノデキストラン及び/又はカルボキシメチルデキストランからなるリストから選択される。
【0059】
また、本発明は、相互作用アッセイで分析物を判定するための、本発明に係るキット及び/又は本発明に係る装置の使用にも関する。
【0060】
更に、本発明は、相互作用アッセイ中の試料における分析物を判定する方法にも関する。該方法は、該試料を相互作用モジュレーターと接触させることを含み、該相互作用モジュレーターは、低被分析物濃度における該相互作用アッセイのエンハンサーであって、且つ高被分析物濃度における前記相互作用アッセイの遅延剤である。該相互作用モジュレーターは、ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)(PSSM)及び/又はポリアクリル酸(PAA)である。
【0061】
実施例に示されるように、相互作用モジュレーターPSSM及びPAAは、低被分析物濃度での相互作用アッセイのエンハンサーであり、且つ高被分析物濃度での相互作用アッセイの遅延剤である、相互作用モジュレーターである。一実施形態では、相互作用アッセイは、そのような場合におけるビーズ増強アッセイである。一実施形態では、相互作用アッセイは、特に相互作用モジュレーターがPAAである場合には、非競合アッセイである。一実施形態では、透過関連パラメータは、特に相互作用モジュレーターがPAAである場合には、蛍光偏光でない。一実施形態では、分析物は、特に相互作用モジュレーターがPAAである場合には、アミノグリコシドでない。
【0062】
用語「低被分析物濃度」及び「高被分析物濃度」は、相対的な用語であるが、当業者には理解される。当技術分野において一般的に理解されるように、分析アッセイの文脈における高濃度及び低濃度という用語は、特定の試験の操作範囲に関する濃度と関連する。したがって、一実施形態では、低被分析物濃度という用語は、アッセイの操作範囲の中点より下の濃度に関し、一実施形態では、操作範囲の中点よりその値の50%を引いた値から、操作範囲の下限までの範囲に関する。類似して、一実施形態では、高被分析物濃度という用語は、アッセイの操作範囲の中点より上の濃度に関し、一実施形態では、操作範囲の中点へその値の50%を足した値から、操作範囲の上限までの範囲に関する。
【0063】
一実施形態では、二重相互作用モジュレーターは、ポリアクリル酸(PAA)である。したがって、一実施形態では、二重相互作用モジュレーターは、アクリル酸のポリマーである。更なる実施形態では、PAAは、次の式(II)による反復構造単位を有し、
【0064】
【化3】
【0065】
式中、Rは、H又はカチオン、一実施形態では無機カチオンであって、更なる実施形態では、上に記載した本明細書に記載のカチオンである。一実施形態では、PAAは、分子量1~50kDa、一実施形態では2~25kDa、更なる実施形態では約8kDa又は約15kDaである。更なる実施形態では、相互作用モジュレーターは、CAS番号第9003-01-40号及び/又はMDL番号第MFCD00084394号によって記載される化合物である。
【0066】
上記に鑑み、次の実施形態が特に想定される。
【0067】
1.相互作用アッセイにおける試料中の分析物を判定する方法であって、該方法は、該試料を相互作用モジュレーターと接触させることを含み、
該相互作用モジュレーターは、ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)(PSSM)、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、ポリ-(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PAMPS)、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択される。
【0068】
2.該PSSMが、次の式(I)による反復構造単位を有し、
【0069】
【化4】
【0070】
式中、x及びyは、0、1、2、3、4、及び5から選択された整数であり、該選択が、x及びyについて並びに各反復単位について独立しており、そして、Rが、H又はカチオン、一実施形態では無機カチオンであって、該PSSMが、分子量1~100kDa、一実施形態では5~50kDa、更なる実施形態では約20kDaである、実施形態1に記載の方法。
【0071】
3.該PSSMが、分子量5~50kDa、一実施形態では約20kDaである、実施形態1又は2に記載の方法。
【0072】
4.該PAMPSが、次の式(III)による反復構造単位を有し、
【0073】
【化5】
【0074】
式中、Rが、H又はカチオンであり、一実施形態では、無機カチオンであり、該PAMPSが、分子量100~10000kDa、一実施形態では500~5000kDa、更なる実施形態では約2000kDaである、実施形態1~3の何れか1つに記載の方法。
【0075】
5.該アミノデキストラン及び該カルボキシメチルデキストランが、0.05~2の置換度を有するデキストランの誘導体である、実施形態1~4の何れか1つに記載の方法。
【0076】
6.水中の該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液が、25℃において、密度0.8~1.2kg/l、一実施形態では密度0.9~1.1kg/l、更なる実施形態では密度1.0~1.1kg/l、更なる実施形態では密度1.05±0.2kg/lである、実施形態1~5の何れか1つに記載の方法。
【0077】
7.該相互作用モジュレーターが、4℃の温度において少なくとも5%(w/v)の濃度で水に溶解する、実施形態1~6の何れか1つに記載の方法。
【0078】
8.該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液が、1000M-1cm-1未満、更なる実施形態では、400~700nmの範囲から選択されるあらゆる波長においては100M-1cm-1未満、更なる実施形態では、340~800nmのモル吸光係数を有する、実施形態1~7の何れか1つに記載の方法。
【0079】
9.該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液が、1000M-1cm-1未満、更なる実施形態では少なくとも1つ、一実施形態では少なくとも2つ、更なる実施形態では少なくとも3つ、更なる実施形態では少なくとも4つ、更なる実施形態では少なくとも5つ、更なる実施形態では、波長340nm、376nm、415nm、450nm、480nm、505nm、546nm、570nm、600nm、660nm、700nm、及び800nmの全てにおいて、100M-1cm-1未満のモル吸光係数である、実施形態1~8の何れか1つに記載の方法。
【0080】
10.該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液の粘度が、15mPas未満、一実施形態では10mPas未満である、実施形態1~9の何れか1つに記載の方法。
【0081】
11.該相互作用モジュレーターの5%(w/v)溶液の表面張力が、100mN/m未満、一実施形態では75mN/m未満である、実施形態1~10の何れか1つに記載の方法。
【0082】
12.該相互作用モジュレーターが、スルホニル化化合物を含み、一実施形態では、PAMPS、PSSM、及び/又はタウリンを含み、更なる実施形態ではPAMPS及び/又はPSSMを含み、更なる実施形態ではPAMPS及び/又はタウリンを含み、更なる実施形態ではPSSM及び/又はタウリンを含み、更なる実施形態ではPAMPSを含み、更なる実施形態ではPSSMを含み、更なる実施形態ではタウリンを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0083】
13.該相互作用モジュレーターが、ポリカルボキシレートポリマー化合物を含み、一実施形態では、カルボキシメチルデキストランを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0084】
14.該相互作用モジュレーターが、アルキルアミンを含み、一実施形態では、アミノデキストラン、タウリン、トリエチルアミン、及び/又はトリエタノールアミンを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0085】
15.該相互作用モジュレーターが、トリアルキルアミンを含み、一実施形態ではトリエチルアミン及び/又はトリエタノールアミンを含み、更なる実施形態ではトリエチルアミンを含み、更なる実施形態ではトリエタノールアミンを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0086】
16.該相互作用モジュレーターが、ビーズ増強相互作用アッセイ及び非ビーズ増強相互作用アッセイの両方のモジュレーターを含み、一実施形態では、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択される、ビーズ増強相互作用アッセイ及び非ビーズ増強相互作用アッセイの両方のモジュレーターを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0087】
17.該相互作用モジュレーターが、ビーズ増強相互作用アッセイを特異的に調節するモジュレーターを含み、一実施形態では、PSSMを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0088】
18.該相互作用モジュレーターが、相互作用アッセイのエンハンサーを含み、一実施形態では、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、PAMPS、及びPSSMからなるリストから選択される相互作用アッセイのエンハンサーを含み、更なる実施形態では、アミノデキストラン及び/又はカルボキシメチルデキストランを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0089】
19.該相互作用モジュレーターが、ビーズ増強相互作用アッセイのエンハンサーを含み、一実施形態では、ビーズ増強相互作用アッセイに特異的なエンハンサーを含み、更なる実施形態では、PSSMを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0090】
20.相互作用アッセイの該エンハンサーが、促進剤である、実施形態18~19に記載の方法。
【0091】
21.該相互作用モジュレーターが、相互作用アッセイのインヒビターを含み、一実施形態では、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、硫酸ドデシル、及びPSSMからなるリストから選択されるインヒビターを含み、更なる実施形態では、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択されるインヒビターを含んでなる、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0092】
22.相互作用アッセイの該インヒビターが、遅延剤である、実施形態21に記載の方法。
【0093】
23.相互作用アッセイの該モジュレーターが、第1の被分析物濃度でのエンハンサーであり、かつ第2の被分析物濃度での遅延剤であって、該第1の被分析物濃度が、第2の被分析物濃度より低い、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0094】
24.相互作用アッセイの該相互作用モジュレーターが、PSSMである、実施形態23に記載の方法。
【0095】
26.該相互作用アッセイが、均一相互作用アッセイ、一実施形態では、均一イムノアッセイである、実施形態1~24の何れか1つに記載の方法。
【0096】
27.該相互作用アッセイが、凝集アッセイ、一実施形態では、凝集イムノアッセイである、実施形態1~26の何れか1つに記載の方法。
【0097】
28.該相互作用アッセイが、ビーズ増強凝集アッセイ、更なる実施形態では、ラテックス増強凝集アッセイである、実施形態1~27の何れか1つに記載の方法。
【0098】
29.該相互作用アッセイが、ビーズ増強凝集イムノアッセイ、更なる実施形態ではラテックス増強凝集イムノアッセイである、実施形態1~28の何れか1つに記載の方法。
【0099】
30.該相互作用アッセイが、非ラテックス強化凝集アッセイ、更なる実施形態では、非ビーズ増強凝集アッセイである、実施形態1~27の何れか1つに記載の方法。
【0100】
31.該相互作用アッセイが、非ラテックス増強凝集イムノアッセイであり、更なる実施形態では、非ビーズ増強凝集イムノアッセイである、実施形態1~27又は30の何れか1つに記載の方法。
【0101】
32.該相互作用アッセイが、撮影光学的検出、一実施形態では比濁アッセイ又は比濁分析アッセイを含んでなる、実施形態1~31の何れか1つに記載の方法。
【0102】
33.該アッセイが、C反応性たんぱく質(CRP)に対するアッセイ、一実施形態ではラテックス増強CRPイムノアッセイである、実施形態1~32の何れか1つに記載の方法。
【0103】
34.該アッセイが、アルブミンアッセイ、一実施形態では、非粒子強化アルブミンイムノアッセイである、実施形態1~32の何れか1つに記載の方法。
【0104】
35.該方法が、開始化合物の添加前に相互作用関連パラメータの第1の値を判定するステップ、及び該開始化合物の添加後に相互作用関連パラメータの少なくとも1/2の値を決定するステップを含んでなる、実施形態1~34の何れか1つに記載の方法。
【0105】
36.該方法が、開始化合物の添加後に相互作用関連パラメータの多数の値を判定することを含んでなる、実施形態1~35の何れか1つに記載の方法。
【0106】
37.該相互作用関連パラメータが、撮影光学パラメータ、一実施形態では混濁度である、実施形態1~36の何れか1つに記載の方法。
【0107】
38.試料中の分析物、並びに実施形態1~5、52、及び53の何れか1つに特異的な相互作用モジュレーターから選択される少なくとも1つの相互作用モジュレーターを検出する、特異的な検出剤を含んでなる、キット。
【0108】
39.該検出剤が、抗体、一実施形態ではIgGである、実施形態38に記載のキット。
【0109】
40.該抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態38又は39に記載のキット。
【0110】
41.該検出剤が、ラテックスビーズと結合した抗体である、実施形態38~40の何れか1つに記載のキット。
【0111】
42.該検出剤が、少なくとも2つの診断エピトープを含んでなる薬剤である、実施形態38~41の何れか1つに記載のキット。
【0112】
43.該診断エピトープが、同一である、実施形態42のキット。
【0113】
44.水、緩衝液、及び/又は指標試薬を更に備える、実施形態38~43の何れか1つに記載のキット。
【0114】
45.試料中の分析物を判定する分析ユニットを備える装置であって、該装置が、該試料中の相互作用関連パラメータの値を判定するために適合された分析ユニット、並びに実施形態1~5、52、及び53の何れか1つに特異的な相互作用モジュレーターから選択された少なくとも1つの相互作用モジュレーターを備える、装置。
【0115】
46.該装置が、メモリユニットを備える評価ユニットを更に備え、該メモリユニットは、該分析ユニットによって得られた結果に基づいた分析物の量を判定するための明白に埋め込まれたアルゴリズムを備える、実施形態45に記載の装置。
【0116】
47.該アルゴリズムが、該少なくとも1つの相互作用モジュレーターの存在下で該分析物の該量を判定するように構成される、実施形態45又は46に記載の装置。
【0117】
48.相互作用アッセイにおいて分析物を判定する相互作用モジュレーターの使用であって、該相互作用モジュレーターは、実施例1~5、52、及び53の何れか1つに特異的な前記相互作用モジュレーターから選択される。
【0118】
49.該使用が、該相互作用アッセイを阻害するための使用であって、該相互作用モジュレーターが、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、硫酸ドデシル、及びPSSMからなるリストから選択され、更なる実施形態では、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、タウリン、及び硫酸ドデシルからなるリストから選択される、実施形態48に記載の使用。
【0119】
50.該使用が、該相互作用アッセイを増強するための使用であって、該相互作用モジュレーターが、アミノデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、PAMPS、及びPSSMからなるリストから選択され、更なる実施形態では、アミノデキストラン及び/又はカルボキシメチルデキストランからなるリストから選択される、実施形態48に記載の使用。
【0120】
51.相互作用アッセイにおける分析物を判定するための、実施形態38~44に記載のキット、及び/又は実施形態45~47の何れか1つに記載の装置の使用。
【0121】
52.相互作用アッセイ中の試料における分析物を判定する方法であって、該方法は、該試料を相互作用モジュレーターと接触させることを含み、該相互作用モジュレーターは、低被分析物濃度における該相互作用アッセイのエンハンサーであって、且つ高被分析物濃度における該相互作用アッセイの遅延剤である。該相互作用モジュレーターは、ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)(PSSM)及び/又はポリアクリル酸(PAA)である。
【0122】
53.該PAAが、次の式(II)による反復構造単位を有し、
【0123】
【化6】
【0124】
式中、Rが、H又はカチオンであり、一実施形態では、無機カチオンであり、該PAAが、分子量1~50kDa、一実施形態では2~25kDa、更なる実施形態では約8~約15kDaである、実施形態52に記載の方法。
【0125】
54.該PSSMが、次の式(I)による反復構造単位を有し、
【0126】
【化7】
【0127】
式中、x及びyが、0、1、2、3、4、及び5から選択された整数であり、該選択が、x及びyについて並びに各反復単位について独立しており、そして、Rが、H又はカチオン、一実施形態では無機カチオンであって、該PSSMが、分子量1~100kDa、一実施形態では5~50kDa、更なる実施形態では約20kDaである、実施形態52又は53に記載の方法。
【0128】
55.該PSSMが、分子量5~50kDa、一実施形態では約20kDaである、実施形態52~54の何れか1つに記載の方法。
【0129】
56.該PAAが、次の式(II)による反復構造単位を有し、
【0130】
【化8】
【0131】
式中、Rが、H又はカチオン、一実施形態では無機カチオンであって、
該PAAが、分子量1~50kDa、一実施形態では2~25kDa、更なる実施形態では約8kDa又は約15kDaである、実施形態52~55の何れか1つに記載の方法。
【0132】
57.該相互作用アッセイが、均一凝集アッセイ、一実施形態では、均一凝集イムノアッセイである、実施形態52~56の何れか1つに記載の方法。
【0133】
58.該相互作用アッセイが、ビーズ増強凝集アッセイ、更なる実施形態では、ラテックス増強凝集アッセイである、実施形態52~57の何れか1つに記載の方法。
【0134】
59.該相互作用アッセイが、ビーズ増強凝集イムノアッセイ、更なる実施形態では、ラテックス増強凝集イムノアッセイである、実施形態52~58の何れか1つに記載の方法。
【0135】
60.該アッセイが、C反応性たんぱく質(CRP)に対するアッセイ、一実施形態では、ラテックス増強CRPイムノアッセイである、実施形態52~59の何れか1つに記載の方法。
【0136】
61.該相互作用アッセイが、撮影光学的検出、一実施形態では比濁アッセイ又は比濁分析アッセイを含んでなる、実施形態52~60の何れか1つに記載の方法。
【0137】
62.該相互作用モジュレーターが、濃度0.75~5.25%で該相互作用アッセイ混合物中に存在する、実施形態52~61の何れか1つに記載の方法。
【0138】
本明細書に引用されている全ての参考文献は、その全体の開示内容及び本明細書に具体的に記載されている開示内容に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0139】
以下の実施例は、本発明を単に例示するものである。これらは、如何なるものであっても、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0140】
実施例1.一般的なツール及びアッセイ
1.1.機器
本発明の化合物の調節効果の実験的評価のために、2つの異なる比濁イムノアッセイである、ラテックス増強イムノアッセイとしてのCRP及び非粒子増強イムノアッセイとしてのアルブミンを適用した。測定は、検出ユニットとして多波長分光器を有する、Rocheのcobas c311分析装置で行った。この装置は、試料及びアッセイ試薬を反応セルへ自動的にピペットで入れる。最大3つの異なる試薬である、R1、R2、及びR3を、試料に添加してもよい。この装置はまた、規定且つ制御された温度(37℃)で混合ステップ及びインキュベーションステップを自動的に実行する。測定手順及び測定結果の計算もまた自動化した。試験毎に、特異的に定義されたプロトコルを分析装置ソフトウェアに用いる。このプロトコルは、分析物を定量する較正曲線を生成するために使用される、ピペットステップ、試料及び試薬容量、混合レベル、インキュベーション時間、アッセイ時間、測定点、アッセイのタイプ、適用される波長、較正モード、並びに回帰方程式を含有する。
【0141】
装置は、照射源(12V/50W)としてタングステンハロゲンランプを使用し、12個のフォトダイオードからなるフォトダイオードアレイによって、12の異なる波長(340、376、415、450、480、505、546、570、600、660、700、及び800±2nm)における吸光度を同時に測定する。光路長は5.6mm、且つ検出器の光学範囲は、吸光度0.0000~3.0000ある。測定は37℃で実施する。分析装置は、一般に、凝集反応によって生成されるアッセイ混合物の混濁度を判定するために、1つの主要な波長を使用する。第2の波長を補正波長として使用することができる。補正波長によって測定された吸光度を、主波長によって測定された吸光度から差し引く。各反応セルについて、水-ブランク(water-blank)を測定し、次いで、本明細書では完全反応時間とも称する吸光度の読み取りを10分間に57回行うことで、測光点又はアッセイポイントとも称する吸光度について合計57の測定ポイントが得られる。アッセイポイントによって、アッセイ時間に渡って測定された光学シグナルを示すアッセイのための運動曲線が得られる。運動勾配及び曲線形状の急峻さは、したがって、アッセイそのもの及び分析物の量に依存する。アッセイ評価が2点末端測定によって行われる場合、試料ブランクを実施する。本明細書では、2つの異なる測定ポイントにおける2つの吸光度測定値が考慮される。第1の読み取りは、通常、最終試薬を添加する前又は直後に測定される。第2の読み取りは、最終試薬を添加した後のあらゆる時点で実施する。第2の読み取り値から第1の読み取り値を減算することで得られる値は、本明細書ではシグナル強度とも称されるシグナルであり、これはアッセイ較正曲線の関与によって分析物の量を計算するために使用される。
【0142】
1.2.CRPアッセイ
本発明の化合物の調節効果の実験的評価のために、ラテックス増強比濁CRPイムノアッセイキットを使用した。モノクローナル抗CRP抗体でコーティングしたラテックス粒子によるヒトCRP凝集;凝集体は、上記のように比濁法で測定する。アッセイキット試薬をcobas cパックへ充填する。これらのカセットは次の2つの試薬ボトルを含有する:R1(反応緩衝液)及びR2(グリシン緩衝液中におけるマウス由来の抗CRPでコーティングされたラテックス粒子)。
【0143】
1.3.アルブミンアッセイ
本発明の化合物の調節効果の実験的評価のために、非粒子増強比濁アルブミンイムノアッセイキットを使用した。抗アルブミン抗体は、試料中の抗原と反応して抗原抗体複合体を形成し、上記のように、凝集後に比濁法で測定される。アッセイキット試薬をcobas cパックへ充填する。これらのカセットは次の2つの試薬ボトルを含有する:R1(反応緩衝液)及びR2(ヒツジ由来のポリクローナル抗ヒトアルブミン抗体)。
【0144】
1.4.推定上の運動モジュレーターとしてのこれらのアセスメントのための化合物
アッセイ成分として評価された全化合物は、低コストで化学試薬の供給者(Sigma Aldrich、Acros、Life Technologies、Applichem等)から市販されている:トリエタノールアミン、トリエチルアミン、タウリン、硫酸ドデシルナトリウム(SDS)、ポリアクリル酸(PAA、8.000Da及び15.000Da)、アミノデキストラン(500.000Da)、ポリ-(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)(PAMPS、2.000.000Da)、ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)-ナトリウム塩(PSSM、20.000Da)。カルボキシメチルデキストラン(500.000Da)のみが、標準法に従って室内で調製された。
【0145】
実施例2.CRPアッセイのためのエンハンサー
本発明の化合物の増強効果の実験的評価のために、異なる量の推定上シグナルモジュレーター化合物を、第1.2章に記載したCRPアッセイのアッセイ緩衝液R1へ添加した。参照緩衝液として、第1.2章に記載したCRPアッセイのアッセイ緩衝液R1をそのまま用いた。全アッセイ緩衝液変異体、推定上のモジュレーターを含有する緩衝剤、及び化合物を含まない参照緩衝液を、表1に示されるアッセイ条件に従って、cobas c311分析装置上で走らせた。報告された結果は、三連測定の平均値である。試料中の被分析物濃度は、低被分析物濃度、中被分析物濃度、及び高被分析物濃度を有する、アッセイの測定範囲に渡る。R1参照緩衝液を用いてこれらの試料について得られたシグナル強度を、100%強度と定義した。化合物の調節効果を評価するために、推定上の促進剤を含有するR1緩衝液で得たシグナル強度を、モジュレーターのない参照緩衝液(100%強度)と比較した。全てのR1変異体についてシグナル強度の比較性を確保するために、同一のアッセイポイントを、シグナル強度の計算に使用した。アッセイにおけるシグナル強度を10%以上増加させる化合物を、エンハンサーと定義した。
【0146】
【表1】
【0147】
結果:
モジュレーター含有緩衝液及び化合物を含まない緩衝液(参照)を用いたアッセイの、検出シグナル強度及び対応パーセントシグナル値(参照緩衝液に対する)を、表2に示す。ポリ-(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)(PAMPS、2.000.000Da)を、0.25%、0.5%、0.75%、及び1%の濃度で適用した。0.25~0.75%の濃度は、5、50、及び300mg/Lの濃度で、試験した3つのCRP試料全てを促進することが分かった。1%のPAMPSは混濁度の増加を引き起こしたが、分析物特異性反応とは関係しなかった。カルボキシメチルデキストラン(500kDa)を、0.5%、1%、1.5%、及び2.5%の濃度で使用した。0.5~2.5%の化合物濃度が、試験した全ての被分析物濃度を促進することが分かった。別のデキストラン変異形、すなわちアミノデキストラン(500kDa)はまた、CRPアッセイの促進剤であることも見出されたことで、0.5%、1%、2.5%、及び4%の濃度が調べられた。最大2.5%の化合物濃度が、低、中、及び被分析物濃度のシグナル発生を促進することが分かった。非特異的凝集反応が観察されたため、4%アミノデキストランのシグナルは計算されなかった。図1は、命名された化合物によって促進される凝集反応の運動曲線を示す。最も影響の大きい濃度の運動曲線を示す。当業者は、化合物の添加が、評価されたアッセイポイントが位置する領域において、より急な曲線進行をもたらしたことを明らかに理解することができる。したがって、上記の濃度で見出された促進剤化合物によってより高いシグナル強度が発生する点もまた一致する。
【0148】
【表2】
【0149】
実施例3.CRPアッセイのためのインヒビター
本発明の化合物の抑制効果の実験的評価のために、異なる量の推定上シグナルモジュレーター化合物を、第1.2章に記載したCRPアッセイのアッセイ緩衝液R1へ添加した。参照緩衝液として、第1.2章に記載したCRPアッセイのアッセイ緩衝液R1をそのまま用いた。全アッセイ緩衝液変異体、推定上のモジュレーターを含有する緩衝剤、及び化合物を含まない参照緩衝液を、表3に示されるアッセイ条件に従って、cobas c311分析装置上で走らせた。報告された結果は、三連測定の平均値である。試料中の被分析物濃度は、低被分析物濃度、中被分析物濃度、及び高被分析物濃度を有する、アッセイの測定範囲に渡る。R1参照緩衝液を用いてこれらの試料について得られたシグナル強度を、100%強度と定義した。化合物の調節効果を評価するために、推定上の遅延剤を含有するR1緩衝液で得たシグナル強度を、モジュレーターのない参照緩衝液(100%強度)と比較した。全てのR1変異体についてシグナル強度の比較性を確保するために、同一のアッセイポイントを、シグナル強度の計算に使用した。アッセイにおけるシグナル強度を10%以上低減させる化合物を、促進剤と定義した。
【0150】
【表3】
【0151】
結果:
モジュレーター含有緩衝液及び化合物を含まない緩衝液(参照)を用いたアッセイの、検出シグナル強度及び対応パーセントシグナル値(参照緩衝液に対する)を、表4に示す。SDSを、0.1%、0.5%、1%、2%、及び3%の濃度で調べた。3%の濃度では、調べた全被分析物濃度に対して、アッセイ運動の遅延を引き起こすことも分かった。低SDS濃度、すなわち1%及び2%は、観察されたシグナルが凝集反応と相関しなかったので適用できなかった。天然アミノ酸のタウリンを、0.5%、1%、2%、及び3%の濃度で評価した。遅延剤活性の1%濃度から、低被分析物濃度及び中被分析物濃度を見出した。以前に発表されたデータとは対照的に、アミン、トリエタノールアミン、及びトリエチルアミンの基は、驚くべきことに、アッセイ運動の遅延剤であることが見出された。トリエタノールアミンを、0.1M、0.25M、0.5M、0.75M、及び1Mの濃度で用いた。遅延機能は、0.25M以上の濃度で測定された。これによって、0.25Mトリエタノールアミンは、低被分析物濃度及び中被分析物濃度を遅延させたが、一方で高濃度は、全ての評価被分析物濃度に対して遅延の影響を及ぼした。トリエチルアミンもまた、0.1M、0.25M、0.5M、0.75M、及び1Mの濃度で評価した。0.5~1Mのトリエチルアミン濃度に対して、低、中、及び高被分析物濃度の反応運動の遅延機能を見出した。したがって、このアッセイにおけるアミンは、一貫して遅延機能を示す。図2に、該新規緩衝液によって加速された運動曲線を示す。
【0152】
【表4】
【0153】
実施例4.アルブミンアッセイのためのエンハンサー
本発明の化合物の増強効果の実験的評価のために、異なる量の推定上シグナルモジュレーター化合物を、第1.3章に記載したアルブミンアッセイのアッセイ緩衝液R1へ添加した。参照緩衝液として、第1.3章に記載したアルブミンアッセイのアッセイ緩衝液R1をそのまま用いた。全アッセイ緩衝液変異体、推定上のモジュレーターを含有する緩衝剤、及び化合物を含まない参照緩衝液を、表5に示されるアッセイ条件に従って、cobas c311分析装置上で走らせた。報告された結果は、三連測定の平均値である。試料中の被分析物濃度は、低被分析物濃度、中被分析物濃度、及び高被分析物濃度を有する、アッセイの測定範囲に渡る。R1参照緩衝液を用いてこれらの試料について得られたシグナル強度を、100%強度と定義した。化合物の調節効果を評価するために、推定上の促進剤を含有するR1緩衝液で得たシグナル強度を、モジュレーターのない参照緩衝液(100%強度)と比較した。全てのR1変異体についてシグナル強度の比較性を確保するために、同一のアッセイポイントを、シグナル強度の計算に使用した。アッセイにおけるシグナル強度を10%以上増加させる化合物を、促進剤と定義した。
【0154】
【表5】
【0155】
結果:
モジュレーター含有緩衝液及び化合物を含まない緩衝液(参照)を用いたアッセイの、検出シグナル強度及び対応パーセントシグナル値(参照緩衝液に対する)を、表6に示す。アルブミンアッセイは、非粒子増強イムノアッセイであり、これは、アッセイ運動の勾配が、粒子増強イムノアッセイの運動の勾配よりも平坦であることを意味する。この事実は、モジュレーターとしてカルボキシメチルデキストランを含有する緩衝液変異形の低被分析物濃度5g/Lの運動を評価する場合、特に考慮する必要がある。当業者であれば、図3の5g/Lアルブミンのグラフにおいて、カルボキシメチルデキストラン含有緩衝液の運動が、モジュレーターを含まない参照の運動よりも急であることを、明確に理解するであろう。しかしながら、カルボキシメチルデキストランを含有する緩衝液を、アッセイポイント9~6を用いて評価した場合、5g/Lは、モジュレーターを含まない参照に対してわずか82%であると定量された。したがって、カルボキシメチルデキストラン、すなわちAP7-10(表6に示すデータ)の特性を評価するために、6-9以外のアッセイポイントを使用する。カルボキシメチルデキストラン化合物を、0.5%、1%、1.5%、及び2.5%の濃度でアルブミンアッセイへ添加した。2.5%の濃度で反応の促進が見られた。これによって、好適なアッセイポイントを用いることで、低、中、及び高アルブミン濃度の反応運動の促進が示された。アミノデキストラン化合物を、0.5%、1%、2.5%、及び4%の濃度で使用した。ここでは、0.5%アミノデキストランの最小化合物濃度が、低被分析物濃度及び中被分析物濃度のみを促進することが見出された。化合物の選択した濃度に対する運動曲線を図3に示す。
【0156】
【表6】
【0157】
実施例5.アルブミンアッセイのためのインヒビター
本発明の化合物の抑制効果の実験的評価のために、異なる量の推定上シグナルモジュレーター化合物を、第1.3章に記載したアルブミンアッセイのアッセイ緩衝液R1へ添加した。参照緩衝液として、第1.3章に記載したアルブミンアッセイのアッセイ緩衝液R1をそのまま用いた。全アッセイ緩衝液変異体、推定上のモジュレーターを含有する緩衝剤、及び化合物を含まない参照緩衝液を、表7に示されるアッセイ条件に従って、cobas c311分析装置上で走らせた。報告された結果は、三連測定の平均値である。試料中の被分析物濃度は、低被分析物濃度、中被分析物濃度、及び高被分析物濃度を有する、アッセイの測定範囲に渡る。R1参照緩衝液を用いてこれらの試料について得られたシグナル強度を、100%強度と定義した。化合物の調節効果を評価するために、推定上の減速剤を含有するR1緩衝液で得たシグナル強度を、モジュレーターのない参照緩衝液(100%強度)と比較した。全てのR1変異体についてシグナル強度の比較性を確保するために、同一のアッセイポイントを、シグナル強度の計算に使用した。アッセイにおけるシグナル強度を10%以上低減させる化合物を、遅延剤と定義した。
【0158】
【表7】
【0159】
結果:
モジュレーター含有緩衝液及び化合物を含まない緩衝液(参照)を用いたアッセイの、検出シグナル強度及び対応パーセントシグナル値(参照緩衝液に対する)を、表8に示す。PAMPSを、0.25%、0.5%、0.75%、及び1%の濃度で使用し、全ての使用濃度は、低、中、及び高アルブミン濃度に対して遅延剤として機能した。PAMPS濃度が高いほど、アッセイ運動の遅延もまた大きかった。アミン化合物を含有するR1緩衝液を用いた場合にもまた、減速効果が見出された。トリエタノールアミンを、0.05M、0.1M、0.25M、及び0.5Mの濃度で調べた。0.25M及び0.5Mでは、中濃度及び高濃度で遅延活性が見出された。トリエチルアミンを、0.05M、0.1M、0.25M、及び0.5Mの濃度で調べた。本明細書では、0.5Mの最高濃度によって、中アルブミン濃度及び高アルブミン濃度に対するアッセイ運動が遅延した。そして、タウリンを、0.5%、1%、2%、及び3%の濃度で評価した。3%タウリンを有する緩衝液は、高、中、及び高アルブミン濃度の運動曲線を減速する。そして、アッセイ緩衝液へのSDSの添加もまた、アッセイ運動を減速することが分かった。SDS濃度0.5%、1%、2%、及び3%を用いた。1~3%の濃度は、低、中、及び高アルブミン濃度の反応運動の遅延に成功した。アルブミンアッセイに対する遅延剤候補の場合、pH調整によってNaClが生成されることが観測された。このNaClは、それ自体が遅延効果を持つことが分かった。アルブミンアッセイの遅延剤化合物のパーセント値を再計算するために、NaClによって寄与される遅延剤効果を算出した。この方法によって、NaCl遅延効果のない化合物の値を示すことができた。アミノデキストランは、次の興味深い挙動を示す:緩衝液R1の処方に応じて、おそらく緩衝液成分との相乗効果のために、それは促進(表6を参照のこと、R1:TRIS緩衝液50mmol/L、pH8.0、Tween20 1%、EDTA2.0mmol/L、保存料、アミノデキストラン)効果、又は遅延(表8、R1:TRIS緩衝液50mmol/L、pH8.0、Tween20 1%、PEG4%、保存料、アミノデキストラン)効果の何れかを示す。図4に、新規緩衝液によって得られた運動曲線を示す。
【0160】
【表8-1】
【表8-2】
【0161】
実施例6.CRPアッセイのための二重モジュレーター
第2及び第3章に記載したCRPアッセイの実験では、アッセイ成分として3つの化合物を用いた場合、驚くべき結果が得られた。
【0162】
化合物ポリ-(4-スチレンスルホン酸-コ-マレイン酸)-ナトリウム塩(PSSM、20.000Da)、ポリアクリル酸(PAA、8.000Da)、及びPAA(15.000Da)は、予想外であるが、イムノアッセイ調節に関して非常に有益な特性を有することが分かった。これまでのところ、1つの化合物がイムノアッセイの運動へ一方向性の効果を示すということが予想された。より正確には、これは、1つの化合物がイムノアッセイを促進又は減速することを意味する。本明細書では、1つの化合物は、実際には1つの緩衝液及び同じ緩衝液の両方で作用することができることがわかった。これが低及び高被分析物濃度を促進することで、分析感度及び検出限界を増大させる可能性がある。本明細書では、第2章及び第3章からのCRPアッセイにおける促進剤及び遅延剤評価に用いた2つの異なる基底緩衝液製剤である、R1a及びR1b(表9及び10を参照)中の化合物の、このような二重調節活性を見出すことができた。モジュレーター含有緩衝液及び化合物を含まない緩衝液(参照)を用いたアッセイの、検出シグナル強度及び対応パーセントシグナル値(参照緩衝液R1a又はR1bに対する)を、表11に示す。
【0163】
PSSMを、R1a及びR1bの両方の緩衝液製剤において、1%、3%、5%、及び7%の濃度で評価した。R1a緩衝液製剤では、最良の二重効果、すなわち低被分析物濃度の促進並びに中及び高被分析物濃度の遅延が、7%のPSSM濃度及び3%のR1b緩衝液で見出されたが、一方で最良の二重調節は、R1a(シグナル強度100%の参照緩衝液と比較して、低いCRP濃度では179%のシグナル強度、高いCRP濃度では32%のシグナル強度)で達成された。PAA(8kDa)を、R1a及びR1bの両方の緩衝液製剤において、1%、3%、5%、及び7%の濃度で使用した。R1aにおける最良の効果は、緩衝液R1bに対して3%PAA及び1%PAAで見出された。PAA(8kDa)を、R1a及びR1bの両方の緩衝液製剤において、1%、3%、5%、及び7%の濃度で使用した。緩衝液R1a及びR1bの両方について、1%PAAは最良の二重調節効果をもたらした。緩衝液の各々について選択した化合物濃度に対する運動曲線を、図5に示す。
【0164】
【表9】
【0165】
【表10】
【0166】
【表11-1】
【表11-2】
【0167】
実施例7.選択された調節化合物の特性
選択した調節化合物を、その物理的特性に関して分析した。340~800nmにおけるそれらの粘度、密度、表面張力、及び吸収を、市販の最先端機器を用いて室温において測定した。結果を表12-17に示す。第2~第6章に記載されているモジュレーターの、測定された粘度、表面張力、及び密度は、ラボ分析装置のピペット仕様と適合する範囲内にある。また、CRPアッセイのための調節溶液について見出された密度は、ラテックス増強試験(ラテックス粒子の密度:1.05g/cm)に適合する。また、吸収特性はまた、340~800nmである分析装置の動作範囲とも適合する。この波長領域では、化合物は、アッセイが測定される波長に応じて、測光アッセイシグナルの顕著なオフセットをもたらす可能性のある認識可能な吸収を示さない。表12~17に示された調節化合物はまた、室温以下の温度において可溶性である。この目的のために、溶液を含有するモジュレーターを4℃で2日間貯蔵し、その後、眼及び測光手段によって分析することで、混濁又は沈降物質の何れも形成されないことを確実にした。低温におけるこの溶解度によって、通常はオンボード冷却を有する臨床化学分析装置のオンボードに試験キットを格納することができる。オンボード冷却は、試薬の蒸発及び分解を防ぐことで、長期のオンボード安定性及び長い較正間隔が確実となる。
【0168】
【表12】
【0169】
【表13】
【0170】
【表14】
【0171】
【表15】
【0172】
【表16】
【0173】
【表17】
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】