(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】線形作動可能なカテーテル、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20230515BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/32 510
(21)【出願番号】P 2019547570
(86)(22)【出願日】2017-05-02
(86)【国際出願番号】 US2017030675
(87)【国際公開番号】W WO2018097856
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-04-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-10
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,プオン
(72)【発明者】
【氏名】スィン,アシーム
(72)【発明者】
【氏名】ディーパ,ディーパ
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0148833(US,A1)
【文献】米国特許第5312328(US,A)
【文献】特表平6-507081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32 - 17/326
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリであって、
管腔を有するシースと、
前記シースの管腔内に配置され、遠位方向の伸長および近位方向の後退を含む線形作動を行うように構成されたコアワイヤと、
前記コアワイヤの近位端部分の周囲にあり、前記コアワイヤの前記近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるように構成されている制振機構と、を備え、
前記コアワイヤの近位端は、前記コアワイヤに振動エネルギーを与えるための超音波発生機構に結合するように構成された音波コネクタを含み、
前記コアワイヤの遠位端は、血管内病変を振動エネルギーで修復するように構成され、
前記制振機構は、
前記コアワイヤ
を取り囲む複数のОリングを備えるガスケットシステム、および、
前記
複数のОリングを前記カテーテルアセンブリの制振機構孔内に
、前記複数のОリングを軸方向に圧縮するように保持するための保持具を含み、
前記制振機構孔の内径は、前記保持具による軸方向の圧縮によって生じる前記複数のОリングの半径方向の拡張を制限するように決められ、これにより、前記複数のОリングは、前記コアワイヤの前記近位端に対して、前記制振機構を通る前記コアワイヤの前記遠位方向の伸長または前記近位方向の後退を制限することなく、前記コアワイヤの前記近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるのに十分
な半径方向の圧縮力を加えるように構成されており、
前記カテーテルアセンブリは、
前記コアワイヤの完全に近位方向に後退した状態から前記コアワイヤを遠位方向に伸長させ、
前記コアワイヤの完全に遠位方向に伸長した状態から前記コアワイヤを近位方向に後退させるように構成された線形作動機構を更に備え、
前記完全に遠位方向に伸長した状態では、前記コアワイヤの前記遠位端と、前記コアワイヤが配置される管腔を有する前記シースの遠位端から約20cmに至るまでの前記コアワイヤの作業長とが露出されており、
前記完全に近位方向に後退した状態では、少なくとも前記コアワイヤの前記遠位端に至るまでの前記コアワイヤの前記作業長は前記シース内に隠されて
いる、
カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記カテーテルアセンブリの洗浄ポートの中に洗浄剤を注入するように構成された注入器を更に備え、
前記コアワイヤの周囲の前記圧縮力は更に、前記制振機構を通る前記コアワイヤの前記遠位方向の伸長または近位方向の後退を制限することなく、前記洗浄剤の洗浄逆流を防止するのに十分である、
請求項
1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記音波コネクタと前記保持具との間において前記コアワイヤの前記近位端部分の露出部分の周囲にポリマー製スリーブを更に備える、
請求項1
または2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記ポリマー製スリーブは更に前記制振機構孔内の前記コアワイヤの前記近位端部分の周囲にあり、
前記ポリマー製スリーブは、前記制振機構を通る前記コアワイヤの前記遠位方向の伸長および近位方向の後退を容易にするように、潤滑性を有する表面を含んでいる、
請求項
3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記コアワイヤの前記近位端に、超音波発生機構の一部を形成して振動エネルギーを前記コアワイヤに与える超音波トランスデューサを更に備える、
請求項1から
4のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、2016年11月23日に出願された、「CATHETER WITH RETRACTABLE SHEATH AND METHODS THEREOF」と題する、米国特許出願第15/360,834号の利益を主張し、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0002]アテローム性動脈硬化症は、部分的には、脂肪、コレステロール、およびカルシウムなどの血液由来物質を含むプラークから形成される、1つまたは複数の血管内病変によって特徴付けられる。動脈病変などの血管内病変は、動脈管腔の壁に形成され、管腔を横切って動脈の反対側の壁に形成され得る。開通性の最後の点は、多くの場合、動脈病変と動脈管腔の反対側の壁との間の境界で起こる。血管形成術またはアテローム切除術などのアテローム性動脈硬化症のための外科手術は、1つまたは複数の血管内病変に開通性および失われた血流を回復するために使用され得る。
【0003】
[0003]アテローム性動脈硬化症の外科手術は、1つまたは複数の管腔内デバイスを血管内病変に進めて血管内病変を修復することを伴い得る。例えば、血管形成術またはアテローム切除術は、血管内病変の修復のために、管腔内デバイスをガイドワイヤ上で血管内病変に進めることを伴い得る。しかし、管腔内デバイスをガイドワイヤ上で血管内病変まで進めることにより、特に管腔内デバイスの先端部が引っ掛かりガイドワイヤから外れ得る蛇行性の解剖学的組織においては、デバイスの複雑さから外科合併症をもたらし得る。本明細書では、いくつかの実施形態において、上記内容に対処する線形作動可能なカテーテル、システム、および方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本明細書では、いくつかの実施形態において、線形作動のために構成されたコアワイヤと、振動エネルギーを制振させるように構成された、コアワイヤの周囲の制振機構と、を含むカテーテルアセンブリが提供される。コアワイヤは、コアワイヤに振動エネルギーを与えるための超音波発生機構に結合するように構成された音波コネクタを有する近位端を含む。コアワイヤは、血管内病変を振動エネルギーで修復するように構成された遠位端を含む。制振機構は、ガスケットシステムと、ガスケットシステムをカテーテルアセンブリの制振機構孔内に保持するための保持具とを含む。制振機構は、コアワイヤの近位端部分の周囲にあり、そこにおいて制振機構は、コアワイヤの近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるように構成されている。ガスケットシステムは、制振機構を通るコアワイヤの伸長および後退を含む、制振機構を通るコアワイヤの線形作動を制限することなく、コアワイヤの近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるのに十分な圧縮力を与える。
【0005】
[0005]そのような実施形態では、カテーテルアセンブリは更に、コアワイヤの完全に後退した状態からコアワイヤを伸長させ、コアワイヤの完全に伸長した状態からコアワイヤを後退させるように構成された線形作動機構を含む。完全に伸長した状態では、コアワイヤの遠位端と、コアワイヤの周囲のシースの遠位端から約20cmに至るまでのコアワイヤの作業長とは露出されている。完全に後退した状態では、少なくともコアワイヤの遠位端に至るまでのコアワイヤの作業長はシース内に隠されている。
【0006】
[0006]そのような実施形態では、ガスケットシステムの中心は、コアワイヤが最小限の横波生成振動エネルギーを受ける場所でコアワイヤ上に配置され、それにより摩擦熱が低減されヒートシンクが不要になる。
【0007】
[0007]そのような実施形態では、ガスケットシステムは、制振機構孔内に軸方向および半径方向に圧縮された複数のOリングを含んで、コアワイヤの周囲に圧縮力を提供する。複数のOリングは、制振機構孔の遠位端と制振機構孔の近位端に固定された保持具とによって、制振機構孔内で軸方向に圧縮されている。複数のOリングは制振機構孔の内壁によって半径方向に圧縮されている。
【0008】
[0008]そのような実施形態では、カテーテルアセンブリは更に、カテーテルアセンブリの洗浄ポートの中に洗浄剤を注入するように構成された注入器を含む。コアワイヤの周囲の圧縮力は更に、制振機構を通るコアワイヤの伸長または後退を制限することなく、洗浄剤の洗浄逆流を防止するには十分である。
【0009】
[0009]そのような実施形態では、カテーテルアセンブリは更に、音波コネクタと保持具との間における、コアワイヤの近位端部分の露出部分の周囲にポリマー製スリーブを含む。ポリマー製スリーブは更に、制振機構内のコアワイヤの近位端部分の周囲にあり、ポリマー製スリーブは潤滑性を有する表面を含んで、制振機構を通るコアワイヤの伸長および後退を容易にしている。
【0010】
[0010]そのような実施形態では、カテーテルアセンブリは更に、コアワイヤの近位端に超音波トランスデューサを含み、それにより超音波発生機構の一部を形成して振動エネルギーをコアワイヤに与える。
【0011】
[0011]本明細書ではまた、いくつかの実施形態において、線形作動機構と、線形作動機構による線形作動のために構成されたコアワイヤと、振動エネルギーを制振させるように構成された、コアワイヤの周囲の制振機構と、を含むカテーテルアセンブリが提供される。コアワイヤは、与えられた振動エネルギーを受けるように構成された音波コネクタを有する近位端を含む。コアワイヤはまた、振動エネルギーで血管内病変を修復するように構成された先端部材を有する遠位端を含む。制振機構は、ガスケットシステムと、ガスケットシステムをカテーテルアセンブリの制振機構孔内に保持するための保持ワッシャとを含む。制振機構は、コアワイヤの近位端部分の周囲にあり、そこにおいて制振機構は、コアワイヤの近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるように構成されている。ガスケットシステムは、制振機構を通るコアワイヤの伸長および後退を含む、制振機構を通るコアワイヤの線形作動を制限することなく、コアワイヤの近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるのに十分な圧縮力を与える。
【0012】
[0012]そのような実施形態では、線形作動機構は、コアワイヤの完全に後退した状態からコアワイヤを伸長させ、コアワイヤの完全に伸長した状態からコアワイヤを後退させるように構成されている。完全に伸長した状態では、先端部材と、コアワイヤの周囲のシースの遠位端から約20cmに至るまでのコアワイヤの作業長とは露出されている。完全に後退した状態では、少なくとも先端部材に至るまでのコアワイヤの作業長はシース内に隠されている。
【0013】
[0013]そのような実施形態では、ガスケットシステムは、制振機構孔内に軸方向および半径方向に圧縮された複数のOリングを含み、コアワイヤの周囲に圧縮力を提供する。圧縮力は更に、制振機構を通るコアワイヤの伸長または後退を制限することなく、洗浄剤の洗浄逆流を防止するには十分である。複数のOリングは、制振機構孔の遠位端と制振機構孔の近位端に固定された保持ワッシャとによって、制振機構孔内で軸方向に圧縮されている。複数のOリングは制振機構孔の内壁によって半径方向に圧縮されている。
【0014】
[0014]そのような実施形態では、カテーテルアセンブリは更に、制振機構内のコアワイヤの近位端部分の周囲にポリマー製スリーブを含む。ポリマー製スリーブは、制振機構を通るコアワイヤの最大限の線形作動を容易にするための潤滑性を有する表面を含む。
【0015】
[0015]そのような実施形態では、カテーテルアセンブリは更に、コアワイヤの近位端に超音波トランスデューサを含み、それにより超音波発生機構の一部を形成して振動エネルギーをコアワイヤに与える。
【0016】
[0016]そのような実施形態では、超音波トランスデューサは線形作動機構によって線形作動するように構成されている。超音波トランスデューサの線形作動は、コアワイヤの線形作動と同期しており、それにより音波コネクタを介した超音波トランスデューサとコアワイヤとの間の音波接続が維持されている。
【0017】
[0017]本明細書ではまた、いくつかの実施形態において、カテーテルアセンブリと、超音波エネルギー発生機構とを含むシステムが提供される。カテーテルアセンブリは、線形作動機構と、線形作動機構による線形作動のために構成されたコアワイヤと、振動エネルギーを制振させるように構成された、コアワイヤの周囲の制振機構と、を含む。コアワイヤは、与えられた振動エネルギーを受けるように構成された音波コネクタを有する近位端を含む。コアワイヤはまた、振動エネルギーで血管内病変を修復するように構成された先端部材を有する遠位端を含む。制振機構は、ガスケットシステムと、ガスケットシステムをカテーテルアセンブリの制振機構孔内に保持するための保持ワッシャとを含む。制振機構は、コアワイヤの近位端部分の周囲にあり、そこにおいて制振機構は、コアワイヤの近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるように構成されている。ガスケットシステムは、制振機構を通るコアワイヤの伸長および後退を含む、制振機構を通るコアワイヤの線形作動を制限することなく、コアワイヤの近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるのに十分な圧縮力を与える。超音波エネルギー発生機構は、超音波発生器および超音波トランスデューサを含む。超音波トランスデューサは、コアワイヤの近位端において音波コネクタに振動エネルギーを与えるように構成されている。
【0018】
[0018]そのような実施形態では、線形作動機構は、コアワイヤの完全に後退した状態からコアワイヤを伸長させ、コアワイヤの完全に伸長した状態からコアワイヤを後退させるように構成されている。完全に伸長した状態では、先端部材と、コアワイヤの周囲のシースの遠位端から約20cmに至るまでのコアワイヤの作業長とは露出されている。完全に後退した状態では、少なくとも先端部材に至るまでのコアワイヤの作業長はシース内に隠されている。
【0019】
[0019]そのような実施形態では、ガスケットシステムは、制振機構孔内に軸方向および半径方向に圧縮された複数のOリングを含み、コアワイヤの周囲に圧縮力を提供する。圧縮力は更に、制振機構を通るコアワイヤの伸長または後退を制限することなく、洗浄剤の洗浄逆流を防止するには十分である。複数のOリングは、制振機構孔の遠位端と制振機構孔の近位端に固定された保持ワッシャとによって、制振機構孔内で軸方向に圧縮されている。複数のOリングは制振機構孔の内壁によって半径方向に圧縮されている。
【0020】
[0020]そのような実施形態では、システムは更に、制振機構内のコアワイヤの近位端部分の周囲にポリマー製スリーブを含む。ポリマー製スリーブは、制振機構を通るコアワイヤの最大限の線形作動を容易にするための潤滑性を有する表面を含む。
【0021】
[0021]そのような実施形態では、システムは更に、フットスイッチと、超音波発生器および超音波トランスデューサを含む超音波エネルギー発生機構とを含むコンソールを含む。フットスイッチは、超音波エネルギー発生機構を起動および停止するように構成されている。
【0022】
[0022]そのような実施形態では、システムは更に、フットスイッチと、超音波エネルギー発生機構の超音波発生器とを含むコンソールを含む。カテーテルアセンブリは更に、超音波エネルギー発生機構の超音波トランスデューサを含む。フットスイッチは、超音波エネルギー発生機構を起動および停止するように構成されている。
【0023】
[0023]そのような実施形態では、超音波トランスデューサは線形作動機構によって線形作動するように構成されている。超音波トランスデューサの線形作動は、コアワイヤの線形作動と同期しており、それにより音波コネクタを介した超音波トランスデューサとコアワイヤとの間の音波接続が維持されている。
【0024】
[0024]本明細書ではまた、いくつかの実施形態において、カテーテルアセンブリのカートリッジを型成形すること、およびカートリッジ内のコアワイヤの周囲に制振機構を組み立てること、を含む方法が提供される。カートリッジを型成形することは、制振機構孔を有するカートリッジを型成形することを含む。制振機構をカートリッジ内のコアワイヤの周囲に組み立てることは、コアワイヤを、カートリッジの回転軸と一致する制振機構孔の中心を通して配置することを含む。複数のOリングがコアワイヤの周囲の制振機構孔内に配置され、ワッシャが制振機構孔の近位端に固定されて、コアワイヤの周囲に制振機構が形成される。ワッシャを制振機構孔の近位端に固定することは、制振機構孔の遠位端に対して複数のOリングが軸方向に圧縮されることから、コアワイヤ上に半径方向の圧縮力を発生させる。制振機構孔の遠位端に対して複数のOリングを軸方向に圧縮することは、次いで、コアワイヤに対向する、制振機構孔の内壁に対して、複数のOリングが半径方向に圧縮されることから、コアワイヤ上に半径方向の圧縮力を発生させる。半径方向の圧縮力は、制振機構を通るコアワイヤの線形作動を制限することなく、コアワイヤの近位端部分に与えられる横波生成振動エネルギーを制振させるには十分である。
【0025】
[0025]そのような実施形態では、方法は更に、制振機構孔の中心を通してコアワイヤを配置する前に、コアワイヤをポリマー製スリーブ内に配置し、ポリマー製スリーブを均一に加熱して、ポリマー製スリーブをコアワイヤの周囲に収縮させることを含む。ポリマー製スリーブは、制振機構を通るコアワイヤの最大限の線形作動を容易にするための潤滑性ポリマーで形成されている。
【0026】
[0026]そのような実施形態では、方法は更に、カテーテルアセンブリのハウジングを型成形することと、制振機構を有するカートリッジをカテーテルアセンブリのハウジング内のコアワイヤの周囲に配置することと、コアワイヤをカテーテルアセンブリの線形作動機構に接続することと、を含む。それにより、カテーテルアセンブリのコアワイヤは、制振機構を介して線形作動するように構成されている。
【0027】
[0027]本明細書で提供される概念のこれらおよび他の特徴は、図面、説明、および添付の特許請求の範囲を参照してよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】[0028]いくつかの実施形態によるシステムを示す概略図を示す。
【
図2A】[0029]いくつかの実施形態による、コアワイヤの完全に後退した第1の状態からコアワイヤを伸長させるように構成された線形作動機構を有するカテーテルアセンブリを表す概略図を示す。
【
図2B】[0030]いくつかの実施形態による、コアワイヤの完全に伸長した第2の状態からコアワイヤを後退させるように構成された線形作動機構を有するカテーテルアセンブリを表す概略図を示す。
【
図3A】[0031]いくつかの実施形態による、コアワイヤの制振および線形作動のために構成された制振機構を表す概略図を示す。
【
図3B】[0032]いくつかの実施形態による、コアワイヤの制振および線形作動のために構成された制振機構を表す概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[0033]いくつかの特定の実施形態を、より詳細に提供する前に、本明細書で提供される特定の実施形態は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書で提供される特定の実施形態は、容易に特定の実施形態から分離することができ、かつ任意選択的に本明細書で提供される複数の他の実施形態のうちの何れかの特徴と組み合わせるかまたは置き換えることができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0030】
[0034]本明細書で使用される用語に関して、用語はいくつかの特定の実施形態を説明することを目的としており、用語は本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。特に指示がない限り、序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一群の特徴またはステップにおける異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的または数値的な限定をもたらさない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。特に指示がない限り、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「前の」、「後ろの」、「時計回り」、「反時計回り」、「上へ」、「下へ」などの任意のラベル、または「上部」、「下部」、「後方」、「前方」、「垂直」、「水平」、「近位」、「遠位」などの他の類似の用語は便宜上使用されており、例えば、任意の特定の固定された位置、向き、または方向を意味することを意図するものではないことも理解されたい。むしろ、そのようなラベルは、例えば相対的な位置、向き、または方向を反映するために使用されている。また、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「前記(the)」は、別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことも理解されたい。
【0031】
[0035]例えば、シースまたはコアワイヤの「近位」、「近位部分」または「近位端部分」に関しては、システムが意図した通りに使用された場合に、システム操作員の近くのシースまたはコアワイヤの部分をそれぞれ含む。同様に、例えば、シースまたはコアワイヤの「近位長」は、システムが意図した通りに使用された場合に、システム操作員の近くのシースまたはコアワイヤの長さをそれぞれ含む。例えば、シースまたはコアワイヤの「近位端」は、システムが意図した通りに使用された場合に、システム操作員の近くのシースまたはコアワイヤの端部をそれぞれ含む。シースまたはコアワイヤの近位部分、近位端部分、または近位長は、シースまたはコアワイヤの近位端を含むことができる。しかし、シースまたはコアワイヤの近位部分、近位端部分、または近位長は、シースまたはコアワイヤの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈上別途の指示がない限り、シースまたはコアワイヤの近位部分、近位端部分、または近位長は、シースまたはコアワイヤの末端部分または末端長ではない。
【0032】
[0036]例えば、シースまたはコアワイヤの「遠位」、「遠位部分」または「遠位端部分」に関しては、システムが意図した通りに使用された場合に、システム操作員から離れたシースまたはコアワイヤの部分をそれぞれ含む。同様に、例えば、シースまたはコアワイヤの「遠位長」は、システムが意図した通りに使用された場合に、システム操作員から離れたシースまたはコアワイヤの長さをそれぞれ含む。例えば、シースまたはコアワイヤの「遠位端」は、システムが意図した通りに使用された場合に、システム操作員から離れたシースまたはコアワイヤの端部をそれぞれ含む。シースまたはコアワイヤの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、シースまたはコアワイヤの遠位端を含むことができる。しかし、シースまたはコアワイヤの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、シースまたはコアワイヤの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈上別途の指示がない限り、シースまたはコアワイヤの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、シースまたはコアワイヤの末端部分または末端長ではない。
【0033】
[0037]別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての専門用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
[0038]アテローム性動脈硬化症の外科手術は、1つまたは複数の管腔内デバイスを血管内病変に進めて血管内病変を修復することを伴い得る。例えば、血管形成術またはアテローム切除術は、血管内病変の修復のために、管腔内デバイスをガイドワイヤ上で血管内病変に進めることを伴い得る。しかし、管腔内デバイスをガイドワイヤ上で血管内病変まで進めることにより、特に管腔内デバイスの先端部が引っ掛かりガイドワイヤから外れ得る蛇行性の解剖学的組織においては、デバイスの複雑さから外科合併症をもたらし得る。本明細書では、いくつかの実施形態において、上記内容に対処する線形作動可能なカテーテル、システム、および方法が提供される。
【0034】
[0039]
図1は、いくつかの実施形態によるシステム100を表す概略図を示す。システム100はカテーテルアセンブリ160に結合されたコンソール110を含み、カテーテルアセンブリ160は血管内病変をクロスすること、血管内病変を切除すること、または血管内病変をクロスすることと切除することとの組み合わせを含む、血管内病変の修復を行うように構成されている。
【0035】
[0040]
図1に示すように、システム100はコンソール110を含む。コンソール110は、システム操作員に、システム100および様々なサブシステム、ならびにそれらの機能を監視および制御するための機器を提供する。コンソール110は、超音波発生器120および超音波トランスデューサ130を含む超音波エネルギー発生機構を含む。代替として、コンソール110は超音波発生器120を含み、カテーテルアセンブリ160が超音波トランスデューサ130を含み、超音波エネルギー発生機構はコンソール110とカテーテルアセンブリ160との間で分割されている。超音波エネルギー発生機構は、電流を振動エネルギーに変換するように構成されている。例えば、超音波発生器120は、交流電流(例えば、幹線の電気に関連する電流)を高周波電流(例えば、超音波トランスデューサ130の動作周波数と同等の周波数の電流)に変換するように構成され、超音波トランスデューサ130は次いで、高周波電流を振動エネルギー(例えば、>20kHz、例えば、20.5kHz±500Hz)に変換するように構成されている。
【0036】
[0041]コンソール110は任意選択的に更に、システム100を起動および停止させるように構成された、例えば、カテーテルアセンブリ160のコアワイヤ184(例えば、ニチノールコアワイヤ)を起動および停止させるように構成された、フットスイッチ140を含む。コアワイヤ184は、カテーテルアセンブリ160のシース182のコアワイヤ管腔183内に配置されている。コアワイヤ184の近位端は超音波トランスデューサ130に振動的に結合され、コアワイヤ184の遠位端は病変修復用の先端部材186に振動的に結合されるか、または病変修復用の先端部186はコアワイヤ184の遠位端から形成される。従って、コアワイヤ184は、血管内病変を修復するために、超音波トランスデューサ130から先端部材または先端部186に振動エネルギーを伝達するように構成されている。システム100の電源が入っているが起動していない場合、フットスイッチ140を使用してシステム100を起動させ、それによりカテーテルアセンブリ160の超音波トランスデューサ130、コアワイヤ184、および先端部材または先端部186を起動させる。システム100の電源が入っていて起動している場合、フットスイッチ140を使用してシステム100を停止させ、それによりカテーテルアセンブリ160の超音波トランスデューサ130、コアワイヤ184、および先端部材または先端部186を停止させる。
【0037】
[0042]コンソール110は任意選択的に更に、カテーテルアセンブリ160の洗浄ポート172の中に洗浄剤を注入するように構成された注入器150を含む。洗浄剤は、例えば、血管内病変修復処置(例えば、血管内病変をクロスすること、血管内病変を切除することなど)を受けている解剖学的領域を洗浄すること、カテーテルアセンブリ160のコアワイヤ184を冷却すること、またはこれらの組み合わせを行うための、滅菌液(例えば、水、生理食塩水、ヘパリン化生理食塩水など)を含む。
【0038】
[0043]コンソール110は任意選択的に更に、フットスイッチ140および注入器150の両方を含む。そのような実施形態では、フットスイッチ140は更に、システム100がフットスイッチ140で起動および停止された場合に、注入器150をそれぞれ起動および停止させるように構成されている。
【0039】
[0044]
図2Aは、いくつかの実施形態による、コアワイヤ184の完全に後退した第1の位置または状態からコアワイヤ184を伸長させるように構成された伸長後退機構または線形作動機構174を有するカテーテルアセンブリ160を概略的に示す。
図2Bは、いくつかの実施形態による、コアワイヤ184の完全に伸長した第2の位置または状態からコアワイヤ184を後退させるように構成された伸長後退機構または線形作動機構174を有するカテーテルアセンブリ160を概略的に示す。カテーテルアセンブリ160はカテーテル本体180(
図1参照)に結合されたハウジング270を含み、ハウジング270はシース182およびコアワイヤ184を含み、血管内病変クロスすること(crossing)、血管内病変を切除すること、または血管内病変をクロスすることと切除することとの組み合わせを含む、血管内病変の修復を行うように構成されている。
【0040】
[0045]
図2Aおよび
図2Bに示すように、ハウジング270は、ハウジング270を超音波トランスデューサ130上にロックするためのハブ276および係止カラー278を含む。(いくつかの実施形態では洗浄ポート172は任意選択なので、洗浄ポート172は
図2Aおよび
図2Bには示されていない。)ハウジング270を超音波トランスデューサ130上に固定することにより、コアワイヤ184の近位端が血管内病変を修復するための超音波トランスデューサ130に十分に振動的に結合されることが確実になる。ここでも、カテーテルアセンブリ160は、代替として超音波トランスデューサ130を含み、コンソール110とカテーテルアセンブリ160との間で超音波エネルギー発生機構を分割している。そのような実施形態では、ハウジング270は更に、コアワイヤの近位端においてハウジング270内に配置された超音波トランスデューサ130を含み、それにより
図2Aおよび
図2Bに示す係止カラー276は不要になる。更にそのような実施形態では、超音波トランスデューサ130は、線形作動機構174によって線形作動するように構成されている。超音波トランスデューサ130の線形作動は、コアワイヤ184の線形作動と同期しており、それにより音波コネクタ385を介した超音波トランスデューサ130とコアワイヤ184との間の音波接続が維持される(音波コネクタ385については
図3Aおよび
図3Bを参照のこと)。
【0041】
[0046]線形作動機構174は、
図2Aに示すように、コアワイヤ184の完全に後退した第1の位置または状態からコアワイヤ184を伸長させるように構成されている。コアワイヤ184が完全に後退した状態では、先端部材または先端部186を含むコアワイヤ184の遠位部分は、完全にシース管腔183の内部に配置されている。代替として、コアワイヤ184を完全に後退させた状態では、先端部材または先端部186は露出され、コアワイヤ184の残りの遠位部分が完全にシース管腔183の内部に配置されている。線形作動機構174は更に、
図2Bに示すように、コアワイヤ184の完全に伸長した第2の位置または状態からコアワイヤ184を後退させるように構成されている。コアワイヤ184が完全に伸長した状態では、先端部材または先端部186を含むコアワイヤ184の最大作業長l
w(max)がシース管腔183の外側に露出される。
【0042】
[0047]線形作動機構174は、コアワイヤ184を遠位方向に伸長させ、コアワイヤ184を近位方向に後退させるように構成されていることを理解されたい。それに加えて、線形作動機構174は、コアワイヤ184の任意の他の動き(例えば、角を通るコアワイヤ184の屈曲などの関節動作のための引っ張りワイヤ)のための任意の他のワイヤとは対照的に、コアワイヤ184自体を線形に作動させるように構成されている。
【0043】
[0048]
図2Aおよび
図2Bに示すように、ハウジング270は、コアワイヤ184の近位長を収容するように構成され、線形作動機構174は、ハウジング270からコアワイヤ184の近位長を伸長させ、コアワイヤ184の遠位部分の作業長l
wを露出させるように構成され、それにより、コアワイヤ184の作業長l
wを用いて、1つまたは複数の血管内病変の超音波に基づく修復が行われる。コアワイヤ184の最大作業長l
w(max)は、コアワイヤ184上の点が、完全に後退した第1の状態から完全に伸長した第2の状態まで伸長する伸長距離によって定義される。コアワイヤ184の最大作業長l
w(max)はまた、第1の状態でコアワイヤ184の近位長を収容するように構成されたハウジング270内のスロット長l
sによって定義される。コアワイヤ184の作業長l
wは、約5から200mmの間の範囲にあり、約5から100mmの間、または約100から200mmの間を含む。しかし、コアワイヤ184の作業長l
wはこれに限定されない。より短い作業長l
wおよびより小さいカテーテル本体プロファイルが特定の場合には利点を有するが、より長い作業長l
wおよびより大きいカテーテル本体プロファイルが他の特定の場合(例えば、より大きい患者)には利点を有することを理解されたい。
【0044】
[0049]線形作動機構174は、
図2Aおよび
図2Bに示すように手動で作動されるか、または線形作動機構174がモータで作動される。手動作動されるかまたはモータ作動されるかに関わらず、線形作動機構174は、i)コアワイヤ184の完全に後退した第1の状態からコアワイヤ184を伸長させること、ii)コアワイヤ184の完全に伸長した第2の状態からコアワイヤ184を後退させること、iii)コアワイヤ184を第1の状態と第2の状態との間の中間位置または状態に伸長または後退させること、または、iv)それらの任意の組み合わせ、を行うように構成されている。コアワイヤ184を前述の中間位置に伸長および後退させることにより、様々な解剖学的構造および血管内病変に対して必要に応じてカスタマイズできるようになる。
【0045】
[0050]シース182またはそのシース管腔183を超えたコアワイヤ184の遠位部分の作業長lwは、血管内病変の修復を達成するための変位をもたらすように構成されている。変位は、コアワイヤ184のプロファイルおよび振動エネルギー(例えば、>20kHz、例えば、20.5kHz±500Hz)に応じた、長手方向、横方向、または長手方向と横方向の変位を含む。コアワイヤ184の作業長lwの長手方向の変位はキャビテーションなどのマイクロ運動をもたらし、コアワイヤ184の作業長lwの横方向の変位はマクロ運動をもたらす。マイクロ運動は血管内病変をクロスするために使用される。マイクロ運動と組み合わされたマクロ運動を使用して血管内病変が切除され、それにより病変は微小な断片に分解され、開通性および血流が回復される。
【0046】
[0051]
図3Aおよび
図3Bは、いくつかの実施形態による、コアワイヤ184内の振動エネルギーの制振、および、その中を通るコアワイヤ184の線形作動の両方のために構成された制振機構390を表す概略図を示す。
【0047】
[0052]コアワイヤ184は、超音波発生機構に接続するように構成された音波コネクタ385をコアワイヤ184の近位端に含み、それにより、コアワイヤに振動エネルギーを与え、コアワイヤ184の作業長lwを用いて1つまたは複数の血管内病変の超音波に基づく修復を行う。音波コネクタ385は、超音波トランスデューサ130または介在する超音波ホーン(図示せず)によって超音波発生機構に接続するように構成されている。コアワイヤ184の遠位端は病変修復用の先端部材186に振動的に結合されるか、または病変修復用の先端部186はコアワイヤ184の遠位端から形成され、それにより、1つまたは複数の血管内病変の超音波に基づく修復が行われる。
【0048】
[0053]カテーテルアセンブリ160は、コアワイヤ184の近位端部の周囲に制振機構390を含み、制振機構390は、制振機構390を通るコアワイヤ184の伸長または後退を制限することなく、縦波生成振動エネルギーを優先させて、コアワイヤ184の近位端部の周囲の横波生成振動エネルギーを制振させるように構成されている。制振機構390は、コアワイヤ184の周囲に圧縮力を及ぼすように構成されたガスケットシステム394と、ガスケットシステム394をカテーテルアセンブリ160のカートリッジ391の制振機構孔398の内部に保持するように構成された保持具396とを含む。
【0049】
[0054]ガスケットシステム394は、複数のOリング399を含む。Oリング399の数は1個のOリングから12個のOリングまでの範囲にあり、2個のOリング、4個のOリングなど、例えば6個のOリングを含む。複数のOリング399は、カートリッジ391の制振機構孔398内で軸方向に圧縮され、保持具396(例えば、ワッシャ、例えば保持ワッシャ、例えば外部スターワッシャ)によって制振機構孔398内に保持されている。複数のOリング399の軸方向圧縮は、コアワイヤ184の近位部分の周囲の縦波生成振動エネルギーを優先させて、横波生成振動エネルギーを制振させるのに十分な半径方向の圧縮をコアワイヤ184上に生成する。
【0050】
[0055]制振機構390は更に、コアワイヤ184の周囲にスリーブ392を含む。(代替として、スリーブ392は、それが制振機構390を通過する際のコアワイヤ184の伸長および後退を容易にするという点で、線形作動機構174の一部と見なされる。)スリーブ392は少なくとも、音波コネクタ385と保持具398との間のコアワイヤ184の近位端部分の周囲にある。スリーブ392によって包まれていない場合は、コアワイヤ184は、音波コネクタ385と保持具398との間に、コアワイヤ184の近位端部分の露出部分を含むことになる。音波コネクタ385と保持具398との間のコアワイヤ184の近位端部分の周囲にあるスリーブ392は、それらの間のコアワイヤ184の疲労を防止する。スリーブ392は更に、制振機構390内のコアワイヤ184の少なくとも近位端部分の周囲に、ならびに制振機構390の遠位にあり、コアワイヤ184の少なくとも作業長lwと同程度の長さに至るまでのコアワイヤ184の周囲にある。スリーブ392はコアワイヤ184の疲労を防止するだけでなく、スリーブ392は制振機構390を通るコアワイヤ184の伸長および後退も容易にしている。スリーブ392はポリマーを含むか、そうでなければポリマーから形成され、ポリマーは比較的潤滑性を有する表面を提供し、制振機構390を通るコアワイヤ392の伸長および後退を容易にしている。
【0051】
[0056]コアワイヤ184の周囲のスリーブ392は、すきま嵌め、中間嵌め、および締まり嵌めから選択された工学的嵌合でコアワイヤ184を包んでいる。すきま嵌めは、コアワイヤ184がスリーブ392内で自由に回転または摺動することを可能にする、かなり緩い嵌合であり、中間嵌めは、コアワイヤ184をスリーブ392の内部の所定位置に堅固に保持するが、コアワイヤ184をスリーブ392から取り外すことができないほどには強く保持せず、締まり嵌めは、コアワイヤ184をスリーブ392の内部の所定位置に確実に保持し、それによりコアワイヤ184、スリーブ392、またはその両方を損傷することなく、コアワイヤ184をスリーブ392から取り外すことはできない。いくつかの実施形態では、スリーブ392は、中間嵌めまたは締まり嵌めでコアワイヤ184を包んでいる。中間嵌めおよび締まり嵌めは、例えば、カテーテルアセンブリ160の組み立て中に、所望の嵌合をするために好適なサイズのスリーブをコアワイヤ184の周囲に熱収縮させることによって達成される。コアワイヤ184の周囲のスリーブ392は、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)スリーブなどのポリマー製スリーブである。
【0052】
[0057]制振機構390はコアワイヤ184の中心にあるか、もしくはコアワイヤ184の振動節であり、または、コアワイヤ184を調整して、制振機構390がコアワイヤ184上にあるか、もしくはコアワイヤ184の振動節であるようにすることができる。これにより、横波生成振動エネルギーを制振させることによって生じる摩擦熱が最小化され、それによりカテーテルアセンブリ160の制振機構390内のヒートシンクの必要性が排除される。注入器150を含むシステム100の実施形態では、ガスケットシステム394は、制振機構390を通って超音波発生機構の超音波トランスデューサ130の中に至るような、カテーテルアセンブリ160を通る洗浄剤の洗浄逆流を防ぐ。ガスケットシステム394は更に、制振機構390を通るコアワイヤ184の伸長または後退を制限することなく洗浄逆流を防止する。
【0053】
[0058]コアワイヤ184内の振動エネルギーの制振、および、その中を通るコアワイヤ184の線形作動の両方のために構成された制振機構390を作製することは、カテーテルアセンブリ160のカートリッジ391を型成形し、続いて制振機構390をカートリッジ391内のコアワイヤ184の周囲に組み立てることを含む。
【0054】
[0059]カートリッジ391を型成形することは、制振機構孔398を有するカートリッジ391を型成形することを含む。そのような成形は、圧縮成形、射出成形、熱成形、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0055】
[0060]制振機構391をカートリッジ391内のコアワイヤ184の周囲に組み立てることは、コアワイヤ184を、カートリッジ391の回転軸と一致する制振機構孔398の中心を通して配置することを含む。制振機構孔398の中心を通してコアワイヤ184を配置する前に、コアワイヤ184を熱収縮性ポリマー製スリーブ内に配置し、均一に加熱して熱収縮性ポリマー製スリーブをコアワイヤ184の周囲に収縮させて、コアワイヤ184の周囲にポリマー製スリーブ392を形成する。ポリマー製スリーブ392は潤滑性ポリマー(例えばPTFE)で形成され、制振機構390を通るコアワイヤ184の最大限の線形作動(すなわち、完全に後退した第1の状態から完全に伸長した第2の状態への線形作動、および再び元に戻ること)を容易にしている。
【0056】
[0061]制振機構390をカートリッジ391内のコアワイヤ184の周囲に組み立てることは更に、制振機構390をコアワイヤ184の周囲に形成するために、コアワイヤ184の周囲において制振機構孔398内に複数のOリング399を配置すること、ならびに、保持具396(例えば、外部スターワッシャ)を制振機構孔398の近位端に固定することを含む。保持具396を制振機構孔398の近位端に固定することにより、コアワイヤ184に半径方向の圧縮力が発生する。半径方向の圧縮力は、制振機構孔398の近位端の保持具396を用いて、制振機構孔398の遠位端に対して複数のOリング399を軸方向に押し付けることから生じる、複数のOリング399上への軸方向圧縮力から生じる。軸方向圧縮力は次に、複数のOリング399の半径方向の拡張を介してコアワイヤ184上に半径方向の圧縮力を生成させ、それにより、複数のOリング399を、コアワイヤ184に対向する、制振機構孔398の内壁に対して、およびコアワイヤ184自体に対して半径方向に押し付ける。半径方向の圧縮力は、制振機構390を通るコアワイヤ184の線形作動を制限することなく、コアワイヤ184の近位端部分に与えられる横波生成振動エネルギーを制振させるには十分である。
【0057】
[0062]カテーテルアセンブリ160を作製することは、カテーテルアセンブリ160のハウジングを成形し、引き続き、ハウジング内に制振機構390を含むカートリッジ391をコアワイヤ184の周囲に配置してカテーテルアセンブリ160を形成することを含む。カートリッジ391をハウジング内に配置することは、コアワイヤ184をカテーテルアセンブリ160の線形作動機構174に接続することを含む。それによって、カテーテルアセンブリ160のコアワイヤ184は、制振機構390を介して線形作動するように構成される。
【0058】
[0063]いくつかの特定の実施形態が本明細書に提供され、特定の実施形態がある程度詳細に提供されているが、特定の実施形態が本明細書に提示された概念の範囲を限定することは意図するところではない。追加の適合形態および/または修正形態が当業者には明らかとなることができ、より広い態様において、これらの適合形態および/または修正形態も同様に包含される。それに応じて、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱しない範囲で、本明細書で提供される特定の実施形態から逸脱してもよい。
本発明は、以下の態様を含む。
1. カテーテルアセンブリであって、
伸長および後退を含む線形作動を行うように構成されたコアワイヤと、
前記コアワイヤの近位端部分の周囲にあり、前記コアワイヤの前記近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるように構成されている制振機構と、を備え、
前記コアワイヤの近位端は、前記コアワイヤに振動エネルギーを与えるための超音波発生機構に結合するように構成された音波コネクタを含み、
前記コアワイヤの遠位端は、血管内病変を振動エネルギーで修復するように構成され、
前記制振機構は、
前記コアワイヤの周囲に圧縮力を及ぼすように構成されたガスケット装置、および、
前記ガスケットシステムを前記カテーテルアセンブリの制振機構孔内に保持するための保持具を含み、前記圧縮力は、前記制振機構を通る前記コアワイヤの前記伸長または後退を制限することなく、前記コアワイヤの前記近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるのに十分である、
カテーテルアセンブリ。
2. 前記コアワイヤの完全に後退した状態から前記コアワイヤを伸長させ、
前記コアワイヤの完全に伸長した状態から前記コアワイヤを後退させるように構成された線形作動機構を更に備え、
前記完全に伸長した状態では、前記コアワイヤの前記遠位端と、前記コアワイヤの周囲のシースの遠位端から約20cmに至るまでの前記コアワイヤの作業長とが露出されており、
前記完全に後退した状態では、少なくとも前記コアワイヤの前記遠位端に至るまでの前記コアワイヤの前記作業長は前記シース内に隠されている、
1.に記載のカテーテルアセンブリ。
3. 前記ガスケットシステムの中心が、前記コアワイヤが最小限の横波生成振動エネルギーを受ける場所で前記コアワイヤ上に配置され、それにより摩擦熱が低減されヒートシンクが不要になる、
1.または2.に記載のカテーテルアセンブリ。
4. 前記ガスケットシステムは、軸方向および半径方向に圧縮される複数のOリングを前記制振機構孔内に含み、前記コアワイヤの周囲に前記圧縮力を提供する、
1.から3.のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
5. 前記複数のOリングは、
前記制振機構孔の遠位端と、前記制振機構孔の近位端に固定された前記保持具とによって、前記制振機構孔内で軸方向に圧縮され、
前記制振機構孔の内壁によって半径方向に圧縮されている、
4.に記載のカテーテルアセンブリ。
6. 前記カテーテルアセンブリの洗浄ポートの中に洗浄剤を注入するように構成された注入器を更に備え、
前記コアワイヤの周囲の前記圧縮力は更に、前記制振機構を通る前記コアワイヤの前記伸長または後退を制限することなく、前記洗浄剤の洗浄逆流を防止するのに十分である、
請求項1.から5.のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
7. 前記音波コネクタと前記保持具との間において前記コアワイヤの前記近位端部分の露出部分の周囲にポリマー製スリーブを更に備える、
1.から6.のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
8. 前記ポリマー製スリーブは更に前記制振機構内の前記コアワイヤの前記近位端部分の周囲にあり、
前記ポリマー製スリーブは、前記制振機構を通る前記コアワイヤの前記伸長および後退を容易にするように、潤滑性を有する表面を含んでいる、
7.に記載のカテーテルアセンブリ。
9. 前記コアワイヤの前記近位端に、超音波発生機構の一部を形成して振動エネルギーを前記コアワイヤに与える超音波トランスデューサを更に備える、
1.から8.のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
10. カテーテルアセンブリと、超音波エネルギー発生機構と、を備えるシステムであって、
前記カテーテルアセンブリは、
線形作動機構と、
前記線形作動機構により線形作動するように構成されたコアワイヤであって、
前記コアワイヤの近位端は、与えられた振動エネルギーを受けるように構成された音波コネクタを含み、
前記コアワイヤの遠位端は、血管内病変を振動エネルギーで修復するように構成された先端部材を含む、コアワイヤと、
前記コアワイヤの近位端部分の周囲にあり、前記コアワイヤの前記近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるように構成されている制振機構と、を含み、
前記制振機構は、
前記コアワイヤの周囲に圧縮力を及ぼすように構成されたガスケットシステム、および
前記ガスケットシステムを前記カテーテルアセンブリの制振機構孔内に保持するための保持ワッシャを含み、
前記圧縮力は、前記制振機構を通る前記コアワイヤの線形作動を制限することなく、前記コアワイヤの近位端部分の横波生成振動エネルギーを制振させるのに十分である、制振機構と、
を含み、
前記超音波エネルギー発生機構は、
超音波発生器と、
超音波トランスデューサと
を含み、前記超音波トランスデューサは、前記コアワイヤの前記近位端において前記音波コネクタに振動エネルギーを与えるように構成されている、
システム。
11. 前記線形作動機構は、前記コアワイヤの完全に後退した状態から前記コアワイヤを伸長させ、前記コアワイヤの完全に伸長した状態から前記コアワイヤを後退させるように構成され、
前記完全に伸長した状態では、前記先端部材と、前記コアワイヤの周囲のシースの遠位端から約20cmに至るまでの前記コアワイヤの作業長とが露出され、
前記完全に後退した状態では、少なくとも前記先端部材に至るまでの前記コアワイヤの前記作業長は前記シース内に隠されている、
10.に記載のシステム。
12. 前記ガスケットシステムは、前記制振機構孔内に軸方向および半径方向に圧縮される複数のOリングを含んで、前記コアワイヤの周囲に前記圧縮力を提供し、
前記圧縮力は更に、前記制振機構を通る前記コアワイヤの前記伸長または後退を制限することなく、洗浄剤の洗浄逆流を防止するのに十分である、
10.または11.に記載のシステム。
13. 前記複数のOリングは、前記制振機構孔の遠位端と前記制振機構孔の近位端に固定された前記保持ワッシャとによって、前記制振機構孔内で軸方向に圧縮されており、
前記複数のOリングは前記制振機構孔の内壁によって半径方向に圧縮されている、
12.に記載のシステム。
14. 前記制振機構内の前記コアワイヤの前記近位端部分の周囲にポリマー製スリーブを更に備え、前記ポリマー製スリーブは、前記制振機構を通る前記コアワイヤの最大限の前記線形作動を容易にするための潤滑性を有する表面を含む、
10.から13.のいずれかに記載のシステム。
15. フットスイッチと、前記超音波発生器および前記超音波トランスデューサを含む前記超音波エネルギー発生機構とを含むコンソールを更に備え、前記フットスイッチは、前記超音波エネルギー発生機構を起動および停止するように構成されている、
10.から14.のいずれかに記載のシステム。
16. フットスイッチと、前記超音波エネルギー発生機構の前記超音波発生器とを含むコンソールを更に備え、
前記カテーテルアセンブリは更に前記超音波エネルギー発生機構の前記超音波トランスデューサを含み、
前記フットスイッチは前記超音波エネルギー発生機構を起動および停止するように構成されている、
10.から14.のいずれかに記載のシステム。
17. 前記超音波トランスデューサは前記線形作動機構によって線形作動するように構成されており、
前記超音波トランスデューサの前記線形作動は前記コアワイヤの前記線形作動と同期しており、それにより前記音波コネクタを介した前記超音波トランスデューサと前記コアワイヤとの間の音波接続が維持されている、
16.に記載のシステム。
18. 制振機構孔を含むカートリッジを型成形するステップと、
コアワイヤを、前記カートリッジの回転軸と一致する前記制振機構孔の中心を通して配置するステップと、
複数のOリングを前記コアワイヤの周囲の前記制振機構孔内に配置するステップと、
ワッシャを前記制振機構孔の近位端に固定して、前記コアワイヤの周囲に制振機構を形成するステップと、を含み、
前記ワッシャを前記制振機構孔の前記近位端に固定することによって、前記制振機構孔の遠位端に対して前記複数のOリングを軸方向に圧縮させ、かつ前記コアワイヤに対向する、前記制振機構孔の内壁に対して前記複数のOリングを半径方向に圧縮させることによる半径方向の圧縮力を、前記コアワイヤ上に発生させ、
前記半径方向の圧縮力は、前記制振機構を通る前記コアワイヤの線形作動を制限することなく、前記コアワイヤの近位端部分に与えられる横波生成振動エネルギーを制振させるのに十分である、
方法。
19. 前記コアワイヤをポリマー製スリーブ内に配置するステップと、
前記制振機構孔の中心を通して前記コアワイヤを配置する前に、前記ポリマー製スリーブを均一に加熱して、前記ポリマー製スリーブを前記コアワイヤの周囲に収縮させるステップと、を更に含み、前記ポリマー製スリーブは、前記制振機構を通る前記コアワイヤの最大限の前記線形作動を容易にするための潤滑性ポリマーで形成されている、
18.に記載の方法。
20. カテーテルアセンブリのハウジングを型成形するステップと、
前記制振機構を有する前記カートリッジを、前記カテーテルアセンブリの前記ハウジング内の前記コアワイヤの周囲に配置するステップと、
前記コアワイヤを前記カテーテルアセンブリの線形作動機構に接続し、それにより前記コアワイヤを前記制振機構を介して前記線形作動させるように構成するステップと、
を更に含む、18.または19.に記載の方法。