(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】付属保護カバー
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20230515BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20230515BHJP
F16L 3/26 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H02G3/04 087
F16L57/00 A
F16L3/26
(21)【出願番号】P 2020026937
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】堀 信夫
(72)【発明者】
【氏名】川端 誠規
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛士
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-197578(JP,A)
【文献】特開2012-246965(JP,A)
【文献】実開昭58-079872(JP,U)
【文献】特開2010-220451(JP,A)
【文献】特開2006-207734(JP,A)
【文献】特開2009-133394(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0206531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16L 57/00
F16L 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基台と、天壁及び対向配置された一対の側壁を備えた蓋体とから成り、互いに組み付けられて、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、当該配設経路の一端に形成された接続口に、別の直線部保護カバーが内挿されて接続される付属保護カバーであって、
前記蓋体の一対の側壁の内側には、前記基台の被係合部と係合して組み付けられる係合部が設けられ、前記一対の側壁を互いに離間させることで、前記係合が解除され、
前記基台と蓋体との組付け状態で、前記接続口の接続方向に沿って前記基台の被係合部よりも奥側であって、しかも前記蓋体の側壁の内側には、外側からの押圧により当該側壁が内側に撓み変形するのを許容する撓み変形許容空間が形成され、
前記側壁が外側から押圧された状態で、内側に撓み変形された側壁における当該押圧箇所よりも前記接続口の接続方向に沿って手前側が前記基台の支点部に当接することで、当該撓み変形された側壁の当該接続口の部分の端縁部が外側に撓み変形されることを特徴とする付属保護カバー。
【請求項2】
前記付属保護カバーの部分で前記配設経路は屈曲又は分岐されて、前記接続口は複数設けられ、各接続口には、前記係合部、被係合部及び撓み変形許容空間がそれぞれ設けられ、前記蓋体の一方の側壁の側の各撓み変形許容空間は連通していることを特徴とする請求項1に記載の付属保護カバー。
【請求項3】
前記撓み変形許容空間は、前記基台の側端縁と、前記蓋体の側壁内面との間に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の付属保護カバー。
【請求項4】
前記基台には、前記蓋体との組付け状態で、前記蓋体の側壁と内外方向に沿って重合する重合壁が当該側壁の内面に沿って立設され、当該基台における当該側壁の押圧箇所と対面する箇所は、前記重合壁が欠落されて前記撓み変形許容空間を形成していると共に、前記基台における当該重合壁が欠落されている部分に、前記蓋体の側壁端縁が当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の付属保護カバー。
【請求項5】
前記基台には、前記蓋体の一対の側壁の外面よりも外側に張り出すフランジ部を備え、前記蓋体の側壁における天壁と反対側の端縁の一部は、前記フランジ部上に配置され、当該フランジ部上の前記側壁を内側に押圧することで、内側に撓み変形された側壁における前記接続口の接続方向に沿って手前側の端縁部が外側に撓み変形されることを特徴とする請求項4に記載の付属保護カバー。
【請求項6】
前記基台の被係合部と前記蓋体の係合部とが係合されて両者が組み付けられた状態で、当該被係合部は、当該被係合部に係合された係合部が前記接続口の接続方向奥側にスライドするのを許容する構造になっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の付属保護カバー。
【請求項7】
前記側壁の前記押圧箇所の肉厚は、当該押圧箇所での押圧による撓み変形が、当該側壁における前記接続方向に沿って手前側の端縁部にそのまま及ぶことが可能な肉厚に形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の付属保護カバー。
【請求項8】
前記基台における前記接続口の接続方向に沿って前記撓み変形許容空間よりも奥側の部分に、前記側壁の撓み変形時において当該側壁が当接する別の支点部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の付属保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台の被係合部と蓋体の係合部との係合により組み付けられて形成される接続口に、別の直線部保護カバーが接続される付属保護カバーに関するものである。
本発明に係る付属保護カバーとしては、同一壁面上で90°交差して配設される各直線部保護カバーを接続するために曲り(屈曲)保護カバー又は分岐保護カバー、或いは同一壁面上で2本の直線部保護カバーを真っ直ぐに接続する接続保護カバー、或いは建物の出隅部又は入隅部に設置される出隅部保護カバー又は入隅部保護カバー、更に、壁表に引き出された配線・配管材の引出し屈曲部を保護する壁保護カバー等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
上記した付属保護カバーを用いた配管において、配管後に配管の不具合を修復したい場合には、壁面に固定された当該付属保護カバーの基台に対して蓋体を取り外す必要があるが、当該基台と蓋体とは、係合構造により一体に組み付けられていて、当該係合の解除には、蓋体の側壁を外方に変形させる必要があるが、人手により当該側壁を変形させるのは容易ではない。
【0003】
このため、特許文献1,2には、
図23に示されるように、ベース(基台)1にマイナスドライバー挿入隙間13を形成したり、係合解除部10を設けることで、当該隙間13又は係合解除部10に挿入したマイナスドライバーをこじることで、前記係合を解除する構造が開示されている。
【0004】
しかし、マイナスドライバーの挿入時や、マイナスドライバーによりカバー本体2(6)をこじて外側に拡げる際に、配管カバー(付属保護カバー)に接続されている配管ダクト6(1)の露出した(覆われていない)外面が損傷される恐れがあり、しかもベース1(5)の構造として、本来のベース1(5)の機能としては必要ないが、カバー本体2(6)との係合の解除のためのみに必要なマイナスドライバー挿入隙間13又は係合解除部10を設けることは、好ましい構造設計ではなく、しかもこれらの部分の存在により、見栄えも悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-139192号公報の段落「0013」及び
図12
【文献】特開2000-337554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基台の被係合部と蓋体の係合部との係合により、両者が組み付けられる付属保護カバーにおいて、当該蓋体の各側壁の撓み変形量を大きく確保することで、当該付属保護カバーの前記側壁と、当該付属保護カバーに接続される別の直線部保護カバーの側壁との間に工具の挿入が可能な工具挿入空間を形成して、前記係合の解除を容易に行えるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、平板状の基台と、天壁及び対向配置された一対の側壁を備えた蓋体とから成り、互いに組み付けられて、内部に配線・配管材の配設経路が形成され、当該配設経路の一端に形成された接続口に、別の直線部保護カバーが内挿されて接続される付属保護カバーであって、
前記蓋体の一対の側壁の内側には、前記基台の被係合部と係合して組み付けられる係合部が設けられ、前記一対の側壁を互いに離間させることで、前記係合が解除され、
前記基台と蓋体との組付け状態で、前記接続口の接続方向に沿って前記基台の被係合部よりも奥側であって、しかも前記蓋体の側壁の内側には、外側からの押圧により当該側壁が内側に撓み変形するのを許容する撓み変形許容空間が形成され、
前記側壁が外側から押圧された状態で、内側に撓み変形された側壁における当該押圧箇所よりも前記接続口の接続方向に沿って手前側が前記基台の支点部に当接することで、当該撓み変形された側壁の当該接続口の部分の端縁部が外側に撓み変形されることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、付属保護カバーの接続口に別の保護カバーが接続された状態において、前記基台と蓋体との組付け状態で、前記接続口の接続方向に沿って前記基台の被係合部よりも奥側であって、しかも前記蓋体の側壁の内側には、外側からの押圧により当該側壁が内側に撓み変形するのを許容する撓み変形許容空間が形成されているので、当該蓋体の対向する各側壁における天壁から離れた開口端部(端縁部)の部分を互いに内側に押圧させて、各側壁を内側に撓み変形させると、内側に撓み変形された側壁における当該押圧箇所よりも前記接続口の接続方向に沿って手前側が前記基台の支点部に当接することで、当該撓み変形された側壁の当該接続口の部分の端縁部が外側に撓み変形されて、前記別の保護カバーの外面との間に、工具の挿入が可能な工具挿入空間が形成される。
【0009】
そして、前記工具挿入空間から挿入された工具を前記基台の被係合部の外面に当接させた状態で外側にこじると、前記蓋体の側壁における前記支点部から接続口に至る部分が、更に外側に変形されて、当該蓋体の係合部が外方に移動させられることで、前記基台の被係合部に対して蓋体の係合部が離間させられ、この状態で、基台に対して蓋体を上方に僅かに持ち上げることで、前記接続方向と直交する幅方向に沿って対向する2つの係合構造部(基台の被係合部と蓋体の係合部とが互いに係合し合っている構造自体を指す)の一方が解除されて、前記係合が解除される。
【0010】
このように、請求項1の発明によれば、付属保護カバーの蓋体の側壁を過変形させる撓み変形許容空間を設けることで、当該側壁の過変形により、当該側壁の接続口の部分に、別の直線部保護カバーの側壁との間に形成される工具挿入空間に工具を挿入してこじるのみで、付属保護カバーの基台と蓋体との係合を解除できるので、係合解除を簡単に行える。しかも、前記撓み変形許容空間の確保は、例えば、基台における蓋体の側壁の大きな撓み変形と干渉する部分を欠落させるのみで実現できるので、基台の被係合部の近辺に工具挿入溝を設ける構造に比較すると、遥かに簡単な構造となり、しかも基台における前記欠落された部分は、蓋体により覆われるので外部からは視認されないため、美観を維持できる。また、蓋体の側壁の撓み変形により、付属保護カバーの接続口の部分の蓋体の側壁と、当該付属保護カバーに接続される別の保護カバーの蓋体の側壁との間には、付属保護カバーの蓋体の側壁の前記撓み変形により、工具挿入空間が形成されているので、別の直線部保護カバーの外壁を損傷させることなく工具を挿入できて、別の保護カバーの側壁が損傷されない。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記付属保護カバーの部分で前記配設経路は屈曲又は分岐されて、前記接続口は複数設けられ、各接続口には、前記係合部、被係合部及び撓み変形許容空間がそれぞれ設けられ、前記蓋体の一方の側壁の側の各撓み変形許容空間は連通していることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、付属保護カバーの配設経路が屈曲している場合には、当該屈曲の内側の部分において、また分岐している場合には、分岐部の部分において各撓み変形許容空間は連通しているので、蓋体の各側壁を内側に撓み変形させる際の撓み変形量を大きくできて、前記工具挿入空間の開口を大きくできる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記撓み変形許容空間は、前記基台の側端縁と、前記蓋体の側壁内面との間に形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明は、蓋体の各側壁が基台の各端縁の外側に配置されて、当該側壁における天壁から最も離れた開口側の端面が壁面に当接する構成であって、前記撓み変形許容空間は、前記基台の側端縁と、前記蓋体の側壁内面との間に形成される。このため、基台の特定部の側端縁が側壁の内面から離れるように当該基台の特定部を、例えば部分的に欠落させるのみで、撓み変形許容空間を形成できる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、前記基台には、前記蓋体との組付け状態で、前記蓋体の側壁と内外方向に沿って重合する重合壁が当該側壁の内面に沿って立設され、当該基台における当該側壁の押圧箇所と対面する箇所は、前記重合壁が欠落されて前記撓み変形許容空間を形成していると共に、前記基台における当該重合壁が欠落されている部分に、前記蓋体の側壁端縁が当接することを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明によれば、基台における欠落された重合壁の内側の部分の全体が広い撓み変形許容空間となるので、当該側壁を内側に最大に変形させられる利点がある。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記基台には、前記蓋体の一対の側壁の外面よりも外側に張り出すフランジ部を備え、前記蓋体の側壁における天壁と反対側の端縁の一部は、前記フランジ部上に配置され、当該フランジ部上の前記側壁を内側に押圧することで、内側に撓み変形された側壁における前記接続口の接続方向に沿って手前側の端縁部が外側に撓み変形されることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明によれば、基台にフランジ部を備えている付属保護カバーは、壁孔から壁表に引き出された配線・配管材の屈曲部を覆うのに使用され、当該フランジ部により前記壁孔の露出部を覆い隠すことができる。このように、基台にフランジ部を備えている付属保護カバーでは、壁面に比較して摺動抵抗の小さな当該フランジ部上において側壁を押圧することで、内側に撓み変形された側壁における前記接続口の接続方向に沿って手前側の端縁部が外側に撓み変形されて、側壁の内面と、別の直線部保護カバーの側壁の外面との間に工具挿入空間が形成されるので、蓋体の側壁の押圧操作が容易となる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記基台の被係合部と前記蓋体の係合部とが係合されて両者が組み付けられた状態で、当該被係合部は、当該被係合部に係合された係合部が前記接続口の接続方向奥側にスライドするのを許容する構造になっていることを特徴としている。
【0020】
蓋体の側壁の内側への撓み変形時において、基台の被係合部に対して蓋体の係合部が、前記接続口の接続方向に沿って移動することがあるが、請求項6の発明によれば、当該移動を許容する構造になっているので、蓋体の側壁は、支障なく内側に撓み変形される。また、当該移動の許容により、接続口の端縁部の外側への撓み量を大きくできる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記側壁の前記押圧箇所の肉厚は、当該押圧箇所での押圧による撓み変形が、当該側壁における前記接続方向に沿って手前側の端縁部にそのまま及ぶことが可能な肉厚に形成されていることを特徴としている。
【0022】
請求項1ないし6の各発明では、前記側壁の押圧による内側への撓み変形が、当該側壁における前記接続方向に沿って手前側の端縁部では、基台の支点部によって外側に撓み変形させる構成となっており、請求項7の発明のように側壁肉厚を特定することで、側壁の押圧箇所の撓み変形がそのまま当該側壁における前記接続方向に沿って手前側の端縁部に及ぶようになる。この結果、蓋体の側壁の内側への最小の撓み変形量でもって、当該側壁の接続口の部分に工具の挿入に必要な大きさの工具挿入開口を形成できる。
【0023】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明において,前記基台における前記接続口の接続方向に沿って前記撓み変形許容空間よりも奥側の部分に、前記側壁の撓み変形時において当該側壁が当接する別の支点部が設けられていることを特徴としている。
【0024】
請求項8の発明によれば、側壁の押圧箇所を基準にして、前記接続口の接続方向に沿った両側に当該側壁の撓み変形時に当該側壁が当接する支点部がそれぞれ存在するので、当該側壁の撓み変形部は、両端支持構造となって、その変形量を大きくできると共に、変形操作(押圧操作)も安定化する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、付属保護カバーの蓋体の側壁を過変形させる撓み変形許容空間を設けることで、当該側壁の過変形により、当該側壁の接続口の部分に、別の直線部保護カバーの側壁との間に形成される工具挿入空間に工具を挿入してこじるのみで、付属保護カバーの基台と蓋体との係合を解除できるので、係合解除を簡単に行える。
【0026】
しかも前記撓み変形許容空間の確保は、例えば、基台における蓋体の側壁の大きな撓み変形と干渉する部分を欠落させるのみで実現できるので、基台の被係合部の近辺に工具挿入溝を設ける構造に比較すると、遥かに簡単な構造となり、しかも基台における前記欠落された部分は、蓋体により覆われるので外部からは視認されないため、美観を維持できる。また、蓋体の側壁の前記撓み変形により、付属保護カバーの接続口の部分の蓋体の側壁と、当該付属保護カバーに接続される別の直線部保護カバーの蓋体の側壁との間には、付属保護カバーの側壁の前記撓み変形により、工具挿入空間が形成されているので、別の直線部保護カバーの蓋体の側壁を損傷させることなく工具を挿入できて、別の直線部保護カバーの側壁が損傷されることもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施例1の曲り保護カバーC
1 を構成する基台V
1 と蓋体L
1 の分解斜視図である。
【
図2】曲り保護カバーC
1 を用いて壁面W
1 において2本の直線部保護カバーC
11を90°曲げて連結する途中状態を示す斜視図である。
【
図4-A】(a)は、曲り保護カバーC
1 の基台V
1 の被係合部E
11と蓋体L
1 の係合部E
12とが係合されている部分の横断面図であり、(b)は、蓋体L
1 の各側壁12を内側に押圧することで発生した変形が接続口J
1 の部分まで及んで、工具挿入空間A
1 が形成された状態の横断面図である。
【
図4-B】(c)は、接続口J
1 の部分に形成された工具挿入空間A
1 から挿入された工具Tの先端部が基台V
1 の被係合部E
11と蓋体L
1 の側壁12との間に達した状態の横断面図であり、(d)は、工具Tを外側にこじることで、基台V
1 の被係合部E
11と蓋体L
1 の係合部E
12との係合が解除された状態の横断面図である。
【
図6】組付け隙間14内のみの側壁12の変形で、曲り保護カバーC
1 の蓋体L
1 の各側壁12の内面と直線部保護カバーC
11の側壁101の外面との間に工具挿入空間A
1 ,A
1'が形成された状態を示す
図4-A(a)のX-X線断面図である。
【
図7】外側の工具挿入空間A
1 に工具Tが挿入された状態を示す
図4-A(a)のX-X線断面図である。
【
図8】切欠き6に入り込んだ側壁12の変形で、曲り保護カバーC
1 の蓋体L
1 の各側壁12の内面と直線部保護カバーC
11の側壁101の外面との間に工具挿入空間A
1 ,A
1'が形成された状態を示す
図4-A(a)のX-X線断面図である。
【
図9】内側の工具挿入空間A
1'に工具Tが挿入された状態を示す斜視図である。
【
図10】分岐保護カバーC
2 を構成する基台V
2 と蓋体L
2 との分解斜視図である。
【
図11】分岐保護カバーC
2 を構成する基台V
2 と蓋体L
2 との組付け状態を斜下方から見た斜視図である。
【
図12】(a),(b)は、それぞれチーズ継手Nを介して計3本の配管材Pを分岐又は合流した状態で配管する際の最終配管工程において基台V
2 に対して蓋体L
2 を組み付ける前後の斜視図である。
【
図13】分岐保護カバーC
2 の蓋体L
2 の各側壁32を内側に押圧することで、接続口J
2 の部分に工具挿入空間A
1,A
1'が形成された状態を示す係合構造部E
0 の部分の縦断面図である。
【
図14】壁保護カバーC
3 を構成する基台V
3 及び直線部保護カバーC
11が壁面W
1 に固定されて配管材Pが配管され、当該基台V
3 に蓋体L
3 が覆蓋される状態を示す斜視図である。
【
図15】壁保護カバーC
3 の蓋体L
3 の側壁52の撓み変形を示すために、基台V
3 と蓋体L
3 との係合構造部E
0 の部分の縦断面した図である。
【
図16】壁保護カバーC
3 の基台V
3 と蓋体L
3 との係合を解除している状態の斜視図である。
【
図17】(a),(b)は、それぞれ出隅部保護カバーC
4 を構成する基台V
4 と蓋体L
4 との分解状態、及び組付け状態の斜視図である。
【
図18】(a),(b)は、それぞれ最終配管工程において出隅部保護カバーC
4 の基台V
4 に対して蓋体L
4 を組み付ける前後の斜視図である。
【
図19】(a)は、出隅部保護カバーC
4 の基台V
4 に対して蓋体L
4 を組み付けた状態の中央縦断面図であり、(b)は、各側壁72が撓み変形した状態における(a)のY-Y線断面図である。
【
図20】(a),(b)は、それぞれ入隅部保護カバーC
5 を構成する基台V
5 と蓋体L
5 との分解状態、及び組付け状態の斜視図である。
【
図21】(a),(b)は、それぞれ最終配管工程において入隅部保護カバーC
5 の基台V
5 に対して蓋体L
5 を組み付ける前後の斜視図である。
【
図22】(a)は、入隅部保護カバーC
5 の基台V
5 に対して蓋体L
5 を組み付けた状態の中央縦断面図であり、(b)は、各側壁92が撓み変形した状態における(a)のZ-Z線断面図である。
【
図23】ベース1とカバー本体2との従来の係合解除構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。ここで、本発明に係る付属保護カバーは、配線・配管材の直線部を保護する直線部保護カバーと一緒に、内部に配線・配管材を収容した状態で一旦組み付けられた後に、何らかの原因で、当該付属保護カバーを構成する基台の被係合部と蓋体の係合部との係合を解除する必要が生じた場合に、当該係合解除を容易にできる構造に特徴が存在するので、以下の複数の実施例における基台V1 ~V5 及び蓋体L1 ~L5 の説明では、上記事項に関連する部分についてのみ詳細に説明し、無関連の部分については、簡単な説明を行うか又は説明を省略する。
【実施例1】
【0029】
実施例1の付属保護カバーは、壁面W
1 において2本の直線部保護カバーC
11を90°曲げて(屈曲させて)接続するのに使用される曲り保護カバーC
1 であって、壁面W
1 にビスBを用いて固定される基台V
1 と、当該基台V
1 に対して係合構造により一体に組み付けられる蓋体L
1 とから成る。基台V
1 及び蓋体L
1 は、いずれも平面視でL字状をなしていて、樹脂の射出成形により形成される。L字形の基台V
1 は、同じくL字板状の基部1における配管材Pの配設方向Q
1 に沿った両端部であって、しかも幅方向の両端部、及び外側のコーナー部の計5箇所には、それぞれ立壁2が部分的に立設され、その結果として、隣接する各立壁2の間は、当該立壁欠落部8となっている。各立壁2の外側の下端部には、それぞれ凹状に形成された被係合部E
11が形成されており、当該各立壁2の外側の上半部には、蓋体L
1 の後述の係合部E
12を摺動させながら、その側壁12を僅かに外方に撓み変形させる摺動傾斜面2aが形成されている。
図4-Aにおいて、立壁2における前記基部1の側端面1a(
図5参照)から突出している立壁突出部2bの前記基部1の側端面1aからの突出幅は、「D」である。
【0030】
計5箇所の立壁2のうち、曲げ方向に沿って外側であって、しかも前記配設方向Q1 に沿って両端部の2箇所の立壁2の長さは、残りの3箇所の立壁2の長さよりも長く形成されている。各被係合部E11は、蓋体L1 の後述の係合部E12と係合される部分であり、当該蓋体L1 の各側壁12を内側に押圧させる際に、基台V1 の被係合部E11に対して蓋体L1 の係合部E12が前記配設方向Q1 に移動することが考えられ、当該係合部E12の移動を阻害しないように、基台V1 の被係合部E11は、その全長に亘って同一断面形状となっていて、当該係合部E12は、当該被係合部E11に対して自由にスライド可能な構造になっている。
【0031】
基部1における前記配設方向Q
1 に沿った両端部は、当該部分に形成された前記被係合部E
11の強度を高めるために、他の部分に比較して厚肉に形成されている。基部1の幅方向の中央部における前記配設方向Q
1 に沿った両端部及び中央部の計3箇所には、ビス挿通孔3が形成されている。基部1における各ビス挿通孔3を直線状に結ぶ部分には、当該曲り保護カバーC
1 の内部で曲げられた配管材Pが基台V
1 の幅方向の中央に配設されていることを確認させる配設確認ライン4が形成されている。なお、
図1~
図3において5は、基部1の配設方向Q
1 の両端部から当該配設方向Q
1 に沿って突出していて、曲り保護カバーC
1 の基台V
1 に対する直線部保護カバーC
11の基台V
11の幅方向の位置決めを行う一対の位置決め片である。
【0032】
また、
図1、
図2及び
図5、特に、
図5において、蓋体L
1 の各側壁12との関係で縦断面表示されているように、基台V
1 の基部1の曲げの外側においては、配設方向Q
1 の両端部に設けられた立壁2に近接して、当該配設方向Q
1 に沿って長方形状をした切欠き6がそれぞれ形成されていると共に、当該基部1の内側コーナー部においては、配設方向Q
1 に沿って連接された各切欠き6が、曲げの内側の各立壁2との間に所定の間隔をおいてそれぞれ形成されている。このように、配設方向Q
1 に沿って長い長方形状の切欠き6を形成することで、基部1における当該切欠き6が形成されている部分では、その外端縁(外端面)及び内端縁(内端面)が、当該基部1の幅方向中央部に向けて後退することで、基台V
1 と蓋体L
1 とを組み付けた状態で、各切欠き6の部分に存在する蓋体L
1 の側壁12の内側への撓み変形量を大きくすることができる。
【0033】
また、図 4-A及び
図5に示されるように、基台V
1 と蓋体L
1 とを組み付けた状態で、基台V
1 の内外の側端面1aと蓋体L
1 の側壁12の内側面との間には、前記立壁突出部2bの突出幅Dに対応する組付け隙間14が形成される。よって、基台V
1 と蓋体L
1 との組付け状態で、前記組付け隙間14及び基部1の各切欠き6により形成される空間は、蓋体L
1 の側壁12の内側への撓み変形を許容する撓み変形許容空間K
1 を形成する。基部1に形成された計4箇所の各切欠き6のうち、曲げの内外で対向する2箇所の各切欠き6は、配設方向Q
1 と直交する方向(基部1の幅方向)に沿ってほぼ対向して配置されているので、基台V
1 と蓋体L
1 との組付け状態で、当該蓋体L
1 の各側壁12の対向する部分を人の指先で挟んで、強く内側に押圧させることで、各側壁12を内側に撓み変形させられる。
【0034】
一方、蓋体L1 は、L字平板状の天壁11と、前記基台V1 との組付け状態で前記基部1に向けて垂設された各側壁12とが一体に連続した形状であって、所定間隔をおいて対向配置された各側壁12における組付け開口13の側の端縁部の内側には、基台V1 の前記各被係合部E11のうちわん曲方向外側の立壁2に設けられた被係合部E11のみを除いた残りの計4つの各被係合部E11に対して係合される直線状の係合部E12がそれぞれ内部空間に突出して形成されている。蓋体L1 の内部空間の配設方向Q1 に沿った両端には、それぞれ直線部保護カバーC11の蓋体L11の外側に部分的に覆い被せられることで、当該保護カバーC11に接続される接続口J1 がそれぞれ形成されている。なお、曲り保護カバーC1 と直線部保護カバーC11との「接続方向」は、配管材Pの「配設方向Q1 (Q2 ~Q5 )」と同一である。
【0035】
そして、
図2及び
図3に示されるように、壁面W
1 に曲り保護カバーC
1 の基台V
1 をビスBを用いて固定し、当該基台V
1 の両接続部に、直線部保護カバーC
11の基台V
11を接続し、各基台V
11の上に配置された各配管材Pを基台V
1 上においてエルボUで連結した後に、直線部保護カバーC
11の各基台V
11に対してそれぞれ蓋体L
11を覆蓋させる。この状態で、2本の直線部保護カバーC
11の各基台V
11に対してそれぞれ蓋体L
11を覆蓋させ、その後に、最初に壁面W
1 に固定された曲り保護カバーC
1 の基台V
1 に対して蓋体L
1 を押し付けると、当該蓋体L
1 の対向する各係合部E
12が、基台V
1 の対向する各立壁2の外方の摺動傾斜面2aに沿って摺動することで、蓋体L
1 の各側壁12は、外方に僅かに撓み変形された後に、原形状に復元することで、基台V
1 の各被係合部E
11と蓋体L
1 の各係合部E
12とが互いに係合されて、基台V
1 と蓋体L
1 とが一体に組み付けられる。これにより、直線部保護カバーC
11の各蓋体L
11の端部が、曲り保護カバーC
1 の蓋体L
1 により外側から覆われた状態で、2本の直線部保護カバーC
11が曲り保護カバーC
1 を介して接続されて、途中で90°曲げられた配管材Pが各保護カバーC
1 ,C
11に収容保護される。
【0036】
この状態の係合構造部E
0 〔
図4-A(a)参照〕の横断面図及び縦断面図が
図4-A(a)及び
図5に表されている。このように、曲り保護カバーC
1 の基台V
1 と蓋体L
1 とは、配設方向Q
1 の両端部であって、しかも当該配設方向Q
1 に対してほぼ直交する方向に沿って対向して配置されている一対が一組となった二組の係合構造部E
0 によりしっかり係合されているので、当該係合の解除は容易ではない。なお、実施例1の曲り保護カバーC
1 では、基台V
1 のコーナー部の外側に設けられた立壁2は、蓋体L
1 を撓み変形させる際の支点部としてのみ機能しているが、当該蓋体L
1 における基台V
1 のコーナー部の外側の立壁2に設けられた被係合部E
11に対応する係合部E
12を設けることで、計5箇所の係合構造部を設けることも可能である。
【0037】
そして、何らかの原因で、曲り保護カバーC
1 の基台V
1 と蓋体L
1 との係合を解除する必要が生じた場合には、
図4-A(b)及び
図6に示されるように、蓋体L
1 の各側壁12の組付け開口13の側の端部であって、内側が切欠き6による撓み変形許容空間K
1 となっている部分を内側に強く押し付けて押圧力Fを作用させると、当該各押圧力Fを加えた部分は、その内側の基台V
1 の基部1に切欠き6が設けられて、撓み変形許容空間K
1 が形成されているため、外側の側壁12は、接続口J
1 の側の被係合部E
11の内側端の外縁部が第1支点部R
11となると共に、基部1の外側コーナー部の被係合部E
11の前記第1支点部R
11の側の外縁部が第2支点部R
12となって、第1及び第2の各支点部R
11,R
12で両端支持されることで、また、内側の側壁12は、接続口J
1 の側の被係合部E
11の内側端の外縁部が支点部R
11' となって、片持ち支持されることで、いずれも基部1の切欠き6以外の部分の側端面1aを超えて、蓋体L
1 の側壁12の内側への撓み変形が可能となる。外側及び内側の各側壁12の押圧箇所の撓み変形は、そのまま当該各側壁12の接続口J
1 の側の端部まで伝達されることで、曲り保護カバーC
1 の各側壁12と直線部保護カバーC
11の蓋体L
11の側壁101との間に工具挿入空間A
1,A
1'が形成される。
【0038】
ここで、
図5に示されるように、直線部保護カバーC
11は、曲り保護カバーC
1 の蓋体L
1 の接続口J
1 に挿入されることで、直線部保護カバーC
11の側壁101と、蓋体L
1 の側壁12とは、所定の重合長Mを有しているため、蓋体L
1 の側壁12の押圧箇所の撓み変形は、その接続口J
1 の部分では大きく拡大されて、直線部保護カバーC
11と曲り保護カバーC
1 の各側壁101,15の間の隙間、即ち、工具挿入空間A
1 の開口は大きく形成されるので、工具Tの挿入が容易となる。ここで、蓋体L
1 の各側壁12の組付け開口13の側の端部における基台V
1 の各切欠き6に対応する押圧箇所は、他の部分と同一の肉厚を有しているため、側壁12の押圧箇所の撓み変形が、当該側壁12の接続口J
1 の側の端部までそのまま伝達される。なお、
図6に示される側壁12の撓み変形は、基台V
1 と蓋体L
1 を組み付けることで発生する組付け隙間14内のみでの側壁12の変形で、工具挿入空間A
1 が形成される側壁12の撓み変形例である。また、直線部保護カバーC
11の側壁101と、蓋体L
1 の側壁12とは、前記重合長Mを有しているため、工具Tにより蓋体L
1 の側壁12を外側にこじて撓み変形させる際に、当該工具Tが直線部保護カバーC
11の側壁101を内側に押圧することで、損傷される恐れがあるが、仮に損傷されても、当該損傷部は、蓋体L
1 の側壁12により覆われて外観に現れないので、見栄えが悪くなることはない。
【0039】
上記の状態で、外側の側壁12と直線部保護カバーC
11の側壁101との間の工具挿入空間A
1 に、例えばマイナスドライバー等の工具Tを挿入して、その先端部を直線部保護カバーC
11の側壁101の外面に当接させた状態で、当該工具Tをこじると、
図4-B(c)及び
図7に示されるように、当該工具Tの挿入により撓み変形されている側壁12は、更に外側に大きく撓み変形されて、係合構造部E
0 の係合が解除されて、
図8に示されるように、曲り保護カバーC
1 の基台V
1 と蓋体L
1 とが分離される。
【0040】
また、上記した蓋体L
1 の側壁12の撓み変形は、基台V
1 と蓋体L
1 を組み付けることで発生する組付け隙間14内のみにおける側壁12の変形であるが、側壁12に対する押圧力Fが相対的に上記よりも大きな場合には、側壁12の撓み変形量に比例して大きくなる。
図8に示される側壁12の撓み変形例は、蓋体L
1 の側壁12が切欠き6の直上の撓み変形許容空間K
1 まで入り込んでいる例である。このように、基台V
1 の基部1に切欠き6を形成して、その直上において撓み変形許容空間K
1 を形成する利点は、側壁12に対する押圧力Fが大きくて、当該側壁12の撓み変形量が大きくなった場合に、当該基部1との干渉を避けて、撓み変形可能であることである。
【0041】
なお、
図9に示されるように、内側の側壁12と直線部保護カバーC
11の側壁101との間に工具Tを挿入して、係合構造部E
0 の係合を解除することも可能である。
【実施例2】
【0042】
次に、
図10~
図13を参照して、本発明の実施例2の付属保護カバーである分岐保護カバーC
2 について説明する。分岐保護カバーC
2 は、壁面W
1 上において1本の配管材Pを2本に分岐させたり、その逆に、2本の配管材Pを1本に合流させるのに使用され、当該分岐保護カバーC
2 の内部にチーズ継手(T字継手、分岐継手又は三方継手とも称される)Nを配設することで、計3つの接続口J
2 が形成されて、上記分岐又は合流が行われる。なお、実施例1の曲り保護カバーC
1 において、蓋体L
1 の側壁12の撓み変形を利用した基台V
1 と蓋体L
1 との係合構造部E
0 の係合解除原理について詳細に説明してあり、本実施例2を含んで、以下の各実施例2~5の各保護カバーC
2 ~C
5 においても、係合構造部E
0 の係合解除原理は同一であるので、実施例1の曲り保護カバーC
1 の対応部分には、対応符号を付し、内容的に重複する部分は省略して、実施例2~5の各保護カバーC
2 ~C
5 については、実施例1と異なるカバーの基本構成、及び蓋体の側壁の撓み変形において実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
【0043】
分岐保護カバーC
2 は、1本の配管材Pを2本に分岐させたり、逆に2本の配管材Pを1本に合流させるのに使用されるため、実施例1の曲り保護カバーC
1 の平面視がL字状であるのに対してT字状である基本形状が異なるのみで、基台V
2 と蓋体L
2 との係合構造部E
0 の構造は、前記曲り保護カバーC
1 と同一である。即ち、T字形の基部21における2本の配管材Pが直線状に連結される直線連結部分の当該配管材Pの直線状の配設方向Q
2 の両端部には、幅方向に沿って対向して短尺で同一長の立壁22が立設されており、当該基台V
2 の前記直線状連結部における配設方向Q
2 の外側縁には、長尺の立壁22が形成され、更に、前記基部21における前記直線状連結部が直交していて、長さがほぼ半分の分岐部には、その配設方向Q
2 に沿った端部に、幅方向に対向して短尺の立壁22が立設されている。この結果、基部21の周縁部における隣接する各立壁22の間には、立壁欠落部28が形成され、基部21における隣接する各立壁欠落部28の間には、蓋体L
2 との組付け状態で、その直上に側壁32の撓み変形許容空間K
2 を形成するための前記配設方向Q
2 に沿って長方形状の切欠き26がそれぞれ形成されている。なお、
図10において、23,24,25は、それぞれビス挿通孔、配設確認ライン及び位置決め片を示す。
【0044】
一方、蓋体L
2 は、基台V
2 と同様に、平面視でT字状であり、T字状の天壁31の幅方向の両端部から、基台V
2 との組付け状態で、その基部21に向けて垂設される側壁32がそれぞれ設けられることで、計3つの接続口J
2 を備えている。なお、
図10において、33は、組付け開口であり、
図13において、34は、組付け隙間を示す。
【0045】
そして、
図12(a)に示されるように、壁面W
1 に固定された分岐保護カバーC
2 の基台V
2 の各位置決め片25が設けられた各接続部に対して計3つの直線部保護カバーC
11の各基台V
11を接続させた後に、分岐保護カバーC
2 の基台V
2 の上に配置されたチーズ継手Nを介して直線部保護カバーC
11の各基台V
11に載せられた配管材Pを接続して、各直線部保護カバーC
11の各基台V
11に対して各蓋体L
11を覆蓋させる。最後に、
図12(b)に示されるように、分岐保護カバーC
2 の基台V
2 に対して蓋体L
2 を覆蓋させると、分岐配管が終了する。これにより、蓋体L
2 の内部における組付け隙間34及び基部21の各切欠き26に対応する部分に、それぞれ撓み変形許容空間K
2 が形成される。
【0046】
一旦、配管された分岐保護カバーC
2 の基台V
2 と蓋体L
2 との係合を解除する操作は、実施例1の曲り保護カバーC
1 と同様である。即ち、
図13に示されるように、分岐保護カバーC
2 の前記直線状連結部の一方の内外の各側壁32の組付け開口33に近い部分における基部21の切欠き26に対応する部分に押圧力Fを作用させると、外側の側壁32は、第1及び第2の各支点部R
21, R
22で両端支持されると共に、内側の側壁32は、支点部R
21で片持ち支持されて、それぞれ前記撓み変形許容空間K
2 の存在により撓み変形することで、蓋体L
2 の接続口J
2 の部分の外内において、それぞれ工具挿入空間A
1,A
1'が形成される。
【0047】
なお、実施例2の分岐保護カバーC2 では、蓋体L2 には、基台V2 の計7箇所の各被係合部E21の全てに対応する各係合部E22が設けられているが、前記直線状連結部の中間部に設けられて、他の部分よりも長い立壁22の被係合部E21に対応する蓋体L2 の部分には、係合部E22を設けなくて、前記直線状連結部の中間部の立壁22は、蓋体L2 の撓み変形時の支点部としてのみ機能させてもよい。
【実施例3】
【0048】
次に、
図14~
図16を参照して、本発明の実施例3の付属保護カバーである壁保護カバーC
3 について説明する。壁保護カバーC
3 は、壁孔Hを通して壁表に引き出された配管材Pの引出し屈曲部を当該壁孔Hと一緒に覆って収容保護するのに使用される保護カバーであって、壁孔Hを覆った状態で壁面W
1 に固定される平板状の基台V
3 と、当該基台V
3 に係合により一体に組み付けられる蓋体L
3 とから成って、接続口J
3 は一つのみである。
【0049】
基台V3 を構成する平板状の基部41には、当該基台V3 に対して蓋体L3 を組み付けた状態で、幅方向の両側、及び接続口J3 と反対側の計3つの部分に、それぞれ一対の側フランジ部41a及び反対側フランジ部41bが突出して形成されることで、接続口J3 の側の狭幅部41cに比較して幅広となっていて、当該基部41の中央部に配管材Pを挿通させる貫通孔42が形成されている。基部41における基台V3 の全体の幅方向の両端部には、立壁43aがそれぞれ形成されて、各立壁43aの外側面における当該基部41の表面側には、それぞれ凹状の被係合部E31が形成されている。また、基部41における反対側フランジ部41bの僅かに内側の部分には、別の立壁43bが形成され、当該立壁43bの外側面に、別の被係合部E31が形成されている。この結果、基台V3 の基部41には、上記した3箇所の立壁43a,43bを除く全ての部分には、上方への突出物はなく平面状となっている。なお、基部41における前記一対の立壁43aの間、及び前記立壁43bの両側の計3箇所には、それぞれ壁面W1 に対して基台V3 をビス固定するためのビスBを挿通させるビス挿通孔44が形成されている。
【0050】
一方、蓋体L3 は、全長に亘って同一幅の断面U字状に形成され、天壁51の幅方向の両端部に、前記基台V3 との組付け状態で、その基部41に対して垂設された一対の側壁52が連設され、接続口J3 と対向する部分は、対向側壁53で閉塞された構成である。一対の側壁52及び対向側壁53の内側面における組付け開口54に臨んだ部分には、基台V3 の各被係合部E31に係合される係合部E32がそれぞれ形成されている。また、基台V3 と蓋体L3 との組付け状態では、蓋体L3 の一対の側壁52の各端面52aにおける接続口J3 の側の所定長部分は、基台V3 の基部41の狭幅部41cの外側に配置されて、壁面W1 に当接するが、各側壁52の残りの各端面52a及び対向側壁53の端面53aは、いずれも基部41の上面に直接に当接する構造となる。これに対応するため、蓋体L3 の各側壁52の端面52aには、基台V3 の基部41の板厚に対応する段差部55が設けられている。
【0051】
このため、
図14は、壁面W
1 における壁孔Hの部分に基台V
3 を固定した後に、当該基台V
3 に対して直線部保護カバーC
11の基台V
11を接続固定した状態で、壁孔Hから壁表に引き出された配管材Pを屈曲させて、当該基台V
11の上に配置して、当該基台V
11に蓋体L
11を覆蓋させた状態を示す斜視図である。この状態で、壁面W
1 に固定された壁保護カバーC
3 の基台V
3 に対して蓋体L
3 を押し付けると、一対の側壁52が外側に撓み変形された後に、原形状に復元することで、計3箇所の各被係合部E
31と係合部E
32とが互いに係合されて、当該基台V
3 に対して蓋体L
3 が組み付けられて、当該基台V
3 と蓋体L
3 とで形成される収容空間56に配管材Pの屈曲部Paが収容保護される。なお、
図14においてQ
3 は、壁表に引き出されて屈曲配管される配管材Pの配設方向を示す。
【0052】
このように、実施例3の壁保護カバーC
3 では、蓋体L
3 の一対の側壁52の端面52aの大部分及び対向側壁53の端面53aの全てが、基台V
3 の基部41の上面に当接した状態で基台V
3 と蓋体L
3 とが組み付けられることで、内部に配管材Pの屈曲部Paの収容空間56が形成される。このため、
図15及び
図16に示されるように、蓋体L
3 の各側壁52に対して外側から押圧力Fを加えて、対向する一対の立壁43aの配管材Pの配設方向Q
3 に沿って内端部を支点部R
31として撓み変形させると、前記収容空間56の内部には、当該撓み変形を阻害する部材は一切存在しないため、制限のない撓み変形が可能となる。この結果、基台V
3 と蓋体L
3 との組み付けにより内部に形成される収容空間56は、一対の側壁52の撓み変形の面からみると、撓み変形許容空間K
3 となる。
【0053】
この結果、壁保護カバーC3 の蓋体L3 の各側壁52に対して上記のようにして押圧力Fを加えると、各側壁52における前記支点部R31と反対側の部分は、対向側壁53で一体に連結されていて、撓み変形の面からみると実質的に変形不能な「剛体構造」になっているため、前記支点部R31が中間支点として作用することで、各側壁52における接続口J3 の側において直線部保護カバーC11の側壁101との間に工具挿入空間A3 が形成される。
【実施例4】
【0054】
次に、
図17~
図19を参照して、本発明の実施例4の付属保護カバーである出隅部保護カバーC
4 について説明する。出隅部保護カバーC
4 は、建物壁の出隅部60において、互いに直交する各壁面W
1 ,W
2 に配設された直線部保護カバーC
11を当該出隅部60で接続するための2つの接続口J
4 を備えた付属保護カバーであり、当該出隅部60に固定される縦断面L字板状であって、270°で交差する各面が上面(設置面)となる基台V
4 と、当該基台V
4 に係合構造により組み付けられる蓋体L
4 とから成る。
【0055】
基台V
4 は、
図17及び
図18に示されるように、縦断面がL字板状をなしていて、配設方向Q
4 に沿った中央部が直角に折り曲げられた形状の折れ曲り部61bを有する基部61は、長方形の展開形状を有していて、配設方向Q
4 に沿った両端部であって、しかも当該部分の幅方向の両端部には、それぞれ立壁62が形成されて、各立壁62の外側面には、凹状の被係合部E
41がそれぞれ形成され、前記基部61の分割基部61aの幅方向の両端部には、蓋体L
4 の後述の側壁72の各分割側壁72aにそれぞれ当接させる側壁当接部67が、前記基部61の各分割基部61aに亘って突設されている。各分割基部61aの側壁当接部67に近接している立壁欠落部68の幅方向の両端部は、配設方向Q
4 に沿って長方形状に切り欠かれた切欠き66が形成されている。なお、
図17及び
図18において、63,64,65は、それぞれビス挿通孔、配設確認ライン及び位置決め片を示す。
【0056】
一方、蓋体L
4 は、
図17及び
図18に示されるように、縦断面がL字形をした天壁71の幅方向の両端部に、前記基台V
4 との組付け状態で、その各分割基部61aに対してそれぞれ分割側壁72aが垂設されて、各分割側壁72aが合成された側壁72の側面形状は、L字形となっており、各分割側壁72aの端面72a
1 は、直交している。各分割側壁72aが合成された側壁72の内側面における組付け開口73に臨む部分の前記基台V
4 の各被係合部E
41に対応する部分には、それぞれ係合部E
42が形成されている。
【0057】
このため、
図18(a)に示されるように、建物壁の出隅部60に出隅部保護カバーC
4 の基台V
4 を固定して、当該出隅部60を形成する各壁面W
1 ,W
2 にそれぞれ直線部保護カバーC
11の基台V
11を接続させて設置した状態で、直線部保護カバーC
11の各基台V
11上に配置された各配管材Pを、出隅部保護カバーC
4 の基台V
4 上のエルボUで連結した後に、直線部保護カバーC
11の各基台V
11に蓋体L
11をそれぞれ覆蓋した状態で、前記基台V
4 に対して蓋体L
4 を覆蓋させると、
図18(b)及び
図19に示されるように、出隅部保護カバーC
4 の基台V
4 の各被係合部E
41と、蓋体L
4 の各係合部E
42とが互いに係合して、出隅部60に配設された配管材Pの屈曲部(エルボUの部分)Paが出隅部保護カバーC
4 に収容保持され、当該屈曲部Paに接続される配管材Pの各直線部は、それぞれ直線部保護カバーC
11に収容保護される。
【0058】
よって、出隅部保護カバーC
4 の基台V
4 と蓋体L
4 との係合を解除するには、
図19(b)に示されるように、出隅部60を構成するいずれか一方の壁面W
1 において対向する出隅部保護カバーC
4 の各側壁72の各分割側壁72aにおける内側の基台V
4 の切欠き66に対応する部分に押圧力Fを加えると、配設方向Q
4 に沿って隣接している立壁62及び側壁当接部67の互いに最も近い部分がそれぞれ第1及び第2の各支点部R
41,R
42となって、内側の撓み変形許容空間K
4 の存在により撓み変形されて、出隅部保護カバーC
4 の蓋体L
4 の接続口J
4 の側において、直線部保護カバーC
11の側壁101と、出隅部保護カバーC
4 の蓋体L
4 の側壁72との間に、工具挿入空間A
4 が形成される。
【実施例5】
【0059】
次に、
図20~
図22を参照して、本発明の実施例5の付属保護カバーである入隅部保護カバーC
5 について説明する。入隅部保護カバーC
5 は、建物壁の入隅部80において、互いに直交する各壁面W
1 ,W
2 に配設された直線部保護カバーC
11を当該入隅部80で接続するための2つの接続口J
5 を備えた付属保護カバーであり、当該入隅部80に固定される縦断面L字板状であって、直角で交差する各面が上面(設置面)となる基台V
5 と、当該基台V
5 に係合構造により組み付けられる蓋体L
5 とから成る。
【0060】
基台V
5 は、
図20及び
図21に示されるように、縦断面がL字板状をしていて、配設方向Q
5 に沿った中央部に傾斜接続板部81bを有する基部81は、長方形の展開形状を有していて、配設方向Q
5 に沿った両端部であって、しかも当該部分の幅方向の両端部には、それぞれ立壁82が形成されて、各立壁82の外側面には、凹状の被係合部E
51がそれぞれ形成され、前記基部81の傾斜接続板部81bから各分割基部81aに至る部分には、蓋体L
5 の後述の側壁92の各分割側壁92aをそれぞれ当接させる側壁当接部87が、前記傾斜接続板部81b及び各分割基部81aに対して垂直となって内面側に突設されている。各分割基部81aの立壁82と側壁当接部87との間の立壁欠落部88には、配設方向Q
5 に沿って長方形状に切り欠かれた切欠き86が形成されている。前記側壁当接部87は、
図22(b)に示されるように、蓋体L
5 の各分割側壁92aが前記傾斜接続板部81bに対応する部分においてのみ当接して、他の部分では非当接となるように、配設方向の両端の各立壁82の方向に向けてテーパー面89に形成されている。なお、
図20及び
図21において、83,84,85は、それぞれビス挿通孔、配設確認ライン及び位置決め片を示す。
【0061】
一方、蓋体L
5 は、
図20及び
図21に示されるように、縦断面がわん曲L字形をした天壁91の幅方向の両端部に、前記基台V
5 との組付け状態で、その各分割基部81aに対してそれぞれ分割側壁92aが垂設されて、各分割側壁92aが合成された側壁92の側面形状は、L字形となっており、各分割側壁92aの端面92a
1 は、直交している。各分割側壁92aが合成された側壁92の内側面における組付け開口93に臨む部分の前記基台V
5 の各被係合部E
51に対応する部分には、ぞれぞれ係合部E
52が形成されている。
【0062】
このため、
図21(a)に示されるように、建物壁の入隅部80に入隅部保護カバーC
5 の基台V
5 を固定して、当該入隅部80を形成する各壁面W
1 ,W
2 にそれぞれ直線部保護カバーC
11の基台V
11を接続させて設置した状態で、直線部保護カバーC
11の各基台V
11上に配置された各配管材Pを、入隅部保護カバーC
5 の基台V
5 上のエルボUで連結した後に、直線部保護カバーC
11の各基台V
11に蓋体L
11をそれぞれ覆蓋した状態で、前記基台V
5 に対して蓋体L
5 を覆蓋させると、
図21(b)及び
図22(a)に示されるように、入隅部保護カバーC
5 の基台V
5 の各被係合部E
51と、蓋体L
5 の各係合部E
52が互いに係合して、入隅部80に配設された配管材Pの屈曲部Paが入隅部保護カバーC
5 に収容保持され、当該屈曲部Paに接続される配管材Pの各直線部は、それぞれ直線部保護カバーC
11に収容保護される。
【0063】
よって、入隅部保護カバーC
5 の基台V
5 と蓋体L
5 との係合を解除するには、
図22(b)に示されるように、入隅部80を構成するいずれか一方の壁面W
2 において対向する入隅部保護カバーC
5 の各側壁92の各分割側壁92aにおける内側の基台V
5 の切欠き86に対応する部分に押圧力Fを加えると、配設方向Q
5 に沿って隣接している立壁82及び側壁当接部87の互いに最も近い部分がそれぞれ第1及び第2の各支点部R
51,R
52となって、内側の撓み変形許容空間K
5 の存在により撓み変形されて、入隅部保護カバーC
5 の蓋体L
5 の接続口J
5 の側において、直線部保護カバーC
11の側壁101と、入隅部保護カバーC
5 の蓋体L
5 の側壁92との間に、工具挿入空間A
5 が形成される。
【0064】
なお、上記説明では、各保護カバーC1 ~C5 の蓋体L1 ~L5 を構成する各側壁12,32,52,72,92を撓み変形させることで形成された工具挿入空間A1 ~A5 が大きな場合には、工具Tに替えて作業者の指先を挿入して、係合構造部E0 の係合を解除させることも可能である。
【0065】
なお、本発明は、基台の被係合部と蓋体の係合部との係合により組み付けられて形成される接続口に、別の直線部保護カバーが接続されるあらゆる付属保護カバーに対して適用可能であり、実施例1~5以外には、同一直線上に配置される2本の直線部保護カバーC11を接続する接続保護カバーに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
A1 ~A5 :工具挿入空間
C1 :曲り保護カバー(付属保護カバー)
C2 :分岐保護カバー(付属保護カバー)
C3 :壁保護カバー(付属保護カバー)
C4 :出隅部保護カバー(付属保護カバー)
C5 :入隅部保護カバー(付属保護カバー)
C11:直線部保護カバー
E0 :係合構造部
E11~E51:被係合部
E12~E52:係合部
F:押圧力
J1 ~J5 :接続口
K1 ~K5 :撓み変形許容空間
L1 ~L5 :蓋体
P:配管材(配線・配管材)
Q1 ~Q5 :配設方向(接続方向)
R11~R51:第1支点部(支点部)
R12, R22, R42 R52:第2支点部
T:工具
V1 ~V5 :基台
W1 ,W2 :壁面
1a:基部(基台)の側端面(側端縁)
2,22,43a,43b,62,82:立壁
8,28,68,88:立壁欠落部
12,32,52,72,92:蓋体の側壁
41a:側フランジ部
41b:反対側フランジ部