(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】神経カフ配備装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20230515BHJP
A61N 1/34 20060101ALI20230515BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/34
A61M25/00 520
(21)【出願番号】P 2020532790
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 US2018065447
(87)【国際公開番号】W WO2019118725
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-22
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513290462
【氏名又は名称】ニューロス・メディカル・インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジョセフ・スナイダー
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05143067(US,A)
【文献】特開2012-130579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0228194(US,A1)
【文献】米国特許第05964702(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
A61N 1/34
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経カフ電極を患者の神経根に最小侵襲的に取り付けるための神経カフ配備装置において、
少なくとも10Nの圧縮力での座屈に抵抗するのに十分な柱強度を有する細長い本体であって、第1の半部および第2の半部を含む細長い本体と、
神経カフ電極に解放可能に固定されるように構成された、細長い本体の遠位端部における神経カフ係合領域であって、前記第1の半部の遠位端部における第1のカプセル部分、および前記第2の半部の遠位端部における第2のカプセル部分を含み、前記第1のカプセル部分および前記第2のカプセル部分は、前記神経カフ電極を封入し保護するためにカプセルを形成するように連結され、且つ、前記神経カフ電極を解放するために開くように構成されている、神経カフ係合領域と
を備えている、神経カフ配備装置。
【請求項2】
自動カール神経カフ電極をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記神経カフ係合領域に解放可能に連結される自動カール神経カフ電極をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記細長い本体は可撓性である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記神経カフ係合領域は、前記神経カフ電極と解放可能に係合するように構成されたフックまたはフォーク状部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記神経カフ係合領域は、前記神経カフ電極と係合するように構成された、丸い遠位端部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記細長い本体に隣接して延び、遠位方向の力を前記神経カフ電極に加えるように構成された遠位端部を有する、プッシャをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プッシャは、前記細長い本体内部で延びる、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記プッシャは、前記神経カフ電極と係合するように構成されたフォーク状の遠位端部を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記神経カフ係合領域を前記神経カフ電極から係合解除するように構成された、前記細長い本体に連結された近位制御部をさらに含む、請求項
7に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のカプセル部分および前記第2のカプセル部分は、分離してカプセルを開くように構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本特許は、2017年12月13日に出願された、「NERVE CUFF DEPLOYMENT DEVICES」と題された、米国仮特許出願第62/598,369号の優先権を主張する。
【0002】
本特許は、2017年3月14日に出願された、係属中の米国特許出願第15/510,824号にも関連し得、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
参照による組み込み
本明細書中で言及するすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願それぞれが、参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されているのと同じ程度まで、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本明細書に記載される発明は、埋め込み型神経刺激器の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
神経カフ(例えば、神経カフ電極)は、エネルギーを神経に加えるのに使用され得る。例えば、神経カフ電極は、螺旋構成で形作られた、耐久性がある生体適合性の導電材料で作られた少なくとも1本のワイヤによって接続された、複数のセグメント化された白金接点を有し得る。神経カフ電極は、複数の導電性神経接触セグメントであって、神経幹に接触する内側表面、および神経幹に接触しない外側表面を有する、複数の導電性神経接触セグメントと;複数の導電性神経接触セグメントを動作可能に接続し、よってセグメント化されたストリップを形成する、導電性の生体適合性材料の少なくとも1つのワイヤであって、ワイヤは、非螺旋部分によって隔てられた螺旋部分として構成され、非螺旋部分は、神経幹に接触しない導電性神経接触セグメントの表面に固定されている、少なくとも1つのワイヤと;波形発生器を複数の神経接触セグメントのうちの少なくとも1つに動作可能に接続することができる、導電性リード線と、を含み得る。
図1~
図3Dは、そのような神経カフ電極の例を示す。
【0006】
例えば、本明細書に記載される神経カフは、比較的大きい神経、すなわち、約3mmを超え、最大で12mmまでの直径を有する神経に取り付けられ得る。神経カフは、予め張力を加えられる第1の層、および予め張力を加えられない第2の層を含む、非導電材料の自動カールシート(self-curling sheet)を含み得る。この2つの層は、それらの間に導電材料のストリップを収容または保持するカフを形成するように構成される。装置は、自動カールシートの長手方向に延びる1つのエッジに隣接して配されるが、これを横断しない、導電材料の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ以上のセグメント化されたストリップを有し得、これらの導電材料のストリップはそれぞれ、導電性リード線に接続され得る。神経カフは、単極構成と呼ばれる導電材料の1つのストリップ、または、双極構成と呼ばれる、導電性リード線によって接続された導電材料の少なくとも2つのセグメント化されたストリップを収容し得る。神経カフは、三極構成と呼ばれる、導電性リード線によって接続された導電材料の3つのセグメント化されたストリップ、または、導電性リード線によって接続された導電材料の少なくとも4つのセグメント化されたストリップを収容し得る。典型的には円形であるが、必ずしも形状がそれに限定されない、複数の開口部が、自動カールシート/カフの2つの非導電性シートまたは層のうちの1つのカール長に沿って内側神経接触表面の定期的な間隔を置いて配され得る。これは、連続した複数の導電性接触点を露出および提供することによって神経への接触を提供し得る。露出は、できるだけ多くのまたは望ましい導電材料を露出し、従来の電極の接触表面積を超える、任意の間隔であってよい。第1のまたは上部の非導電性シートまたは層および第2のまたは下部の非導電性シートまたは層はそれぞれ、依然としてそれらの間に導電材料を保持および収容する、すなわちシートまたは層の内側に挟むことができ、それによって、導電材料は、実際、効率的な電流送達を提供する間、保持されて、飛び出したり出てきたりしない。非導電材料は、シリコーンとすることができ、導電性リード線は、ステンレス鋼とすることができ、導電材料は白金とすることができる。非導電材料、導電性リード線またはワイヤ、および導電材料それぞれのための他の材料は、当技術分野で公知である。使用中、装置は、例えば外部リード線またはワイヤによって、調整波形を提供する波形発生器に動作可能に接続され得る。
【0007】
ワイヤの螺旋部分は、ワイヤ長に沿って導電性神経接触セグメント間に配置され得、ワイヤの非螺旋部分は、複数の点溶接部によって導電性神経接触セグメントに固定され得る。ワイヤの螺旋部分は、非導電材料に埋め込まれ得る。螺旋部分は、導電性神経接触セグメントを接続する非螺旋部分によって隔てられ得る。第2のワイヤが、複数の神経接触セグメントを動作可能に接続することができ、第2のワイヤは第1のワイヤと概ね平行である。導電性神経接触セグメントは白金とすることができ、ワイヤはステンレス鋼とすることができ、非導電材料はシリコーンとすることができる。
【0008】
例えば、
図1は、神経カフ101と、神経カフをコントローラ(例えば、波形発生器、制御回路、電源、通信回路および/またはアンテナなど)105に接続するリード線103と、を含む、埋め込み型システムを示す。
図1~
図3Dに示すものを含め、本明細書に記載されるものなどの神経カフを含むシステムは、活動電位の神経伝導をブロックすることによって、ヒトにおける急性疼痛または慢性疼痛(持続期間が6カ月超)いずれかの疼痛を急性治療するために高周波神経ブロックを加えるのに使用され得る。急性治療とは、実質的に即座に疼痛を緩和する効果のある、オンデマンド式の治療を指し得る。神経カフは、中程度の比較的大きい直径の神経、例えば坐骨神経上に取り付けられ得る。1つの療法は、高周波交流を神経幹に直接印加することによって末梢神経を可逆的にブロックすることを含む。具体的には、5kHz~50kHzの範囲の電流が印加され得、これは、前述した従来の電気刺激で印加される1kHz未満の電流と比べて、高周波刺激と呼ばれ得る。急性非ヒト動物実験(カエル、ネコ)における高周波交流療法の有効性が報告されている。米国特許第7,389,145号および米国特許第8,060,208号は、概して、この電気刺激テクノロジーについて記載している。
【0009】
本明細書に記載される神経カフは、標的末梢神経、例えば、坐骨神経、脛骨神経の特定のセグメントを取り囲み得る。電気波形発生器に接続された、患者に埋め込まれた電極を用いて、電気波形が、実質的に即座の患者の疼痛緩和を、例えば10分以内にもたらし、また、最大で数時間の長期間の疼痛緩和をもたらすのに十分な、例えば10分の時間間隔にわたり印加され得る。電流は、例えば、4mApp~26mAppの範囲とすることができる。概して、疼痛管理または他の状況のための、患者における電気神経ブロックまたは活性化は、神経幹に巻き付くカフの形態をした、末梢神経との直接インターフェース装置を必要とし得る。例えば、米国特許第8,731,676号は、神経幹に巻き付くのに使用されるシリコーン基材に埋め込まれた2つの連続的な白金ストリップを備えた双極神経カフ電極を開示している。しかしながら、白金ストリップの破損は、より大きな神経幹および/または特定の解剖学的特徴(膝上切断者の短断端など)が接したところで見られた。外植された電極の検査により、神経幹の周囲に位置する白金ストリップは、神経幹が日常活動中に圧迫され平らになるときに繰り返し曲がることにより、それらの長さに沿ってしわが寄り/折り目がつくか、または破損したことが明らかとなった。白金は、その優れた生体適合性および電荷送達のための電気的特徴にもかかわらず、機械的強度が低く、よって、各セグメントが耐久性のある生体適合性の導電材料、例えばステンレス鋼(SS)で作られたワイヤと接続された、複数のセグメント化された白金接点を使用することが有益となり得る。白金接点すべての全表面積は、接点間のギャップを補うように幅を増大させることによって、連続的なストリップの表面積と同等とすることができる。ワイヤ相互接続の構成は、カフ電極の耐久性および可撓性を確立することができる。例えば、7本撚りの316LVMワイヤ(7-strand of 316LVM wire)を、巻いて螺旋にすることができる。螺旋が白金接点と重なるところはどこにでも、ギャップが螺旋に沿って作り出され得る。従来の点溶接は、ワイヤを白金接点に接続するのに使用され得る。平行に位置する2つのワイヤ螺旋が用いられて、冗長性を提供することができる。これらの螺旋は、シリコーンシートに全体が埋め込まれ得、白金接点の外側のみが神経幹の表面に露出された。
【0010】
使用中、カスタムの埋め込み型神経電極(custom implanted nerve electrode)を介してカスタム発電機によって発生した10kHzの交流を印加することにより、治療される患者の大多数において疼痛が著しく低減され得る。例えば、外部のまたは埋め込まれた波形発生器に動作可能に接続された埋め込み型電極が使用され得る。電極は、米国特許第4,602,624号に記載されるものと同じような螺旋状のカフ電極とすることができる。電極は、ヒト哺乳動物の、疼痛源(例えば、神経腫)より近位の所望の末梢神経幹に埋め込まれ得、それによって、カフは、活動電位がブロックされる、所望の末梢神経を取り囲んだ。カフの内径は、約5mm~約12mmの範囲とすることができる。坐骨神経は、比較的大きな神経幹を有することが知られており、成人における坐骨神経の近位部分の直径は約12mmである。一実施形態では、膝上切断者の肢の疼痛を治療するために、装置および方法が坐骨神経上で使用された。一実施形態では、膝下切断者の肢の疼痛を治療するために、装置および方法が脛骨神経上で使用された。
【0011】
例えば、
図2Aは、肢切断患者の坐骨神経に取り付けられたカフ電極を含むシステムの使用を示す。この例では、肢切断者107は、坐骨神経(神経幹)の周囲に神経カフ101を埋め込まれており、リード線103を介して、波形発生器105を含むコントローラに接続されている。この処置は、例えば、切開処置において神経を露出するためにまず切開し、次に、神経に可撓性(自動閉鎖)カフを巻き付けることによって、行われ得る。いったん埋め込まれたら、コントローラ/波形発生器は、前外側の腹壁の嚢状腔内に入れられ得、トンネル電極ケーブルが、腋窩中線に沿って(腹部を横切ることを含む)位置付けられて、コントローラ/波形発生器を神経カフ電極に接続することができる。いったん神経カフのインピーダンスが(例えば、コントローラによって)チェックされたら、切開部が閉じられ得る。神経カフを埋め込むための切開部は、典型的には約1.5インチより大きく(例えば、1.5~3インチ)、それによって、十分な可視化およびアクセスが達成され得る。
【0012】
このアクセス用の切開部のサイズのいかなる減少も、非常に望ましい。しかしながら、これまでのところ、肢切断者の神経幹にアクセスすることの難しさにより、切開処置のみが使用されてきた。本明細書には、神経カフ、具体的には、例えば米国特許出願公開第20170246453(A1)号に記載されるものなどの神経カフを最小侵襲的に取り付けるための方法ならびに装置(具体的にはアクセスツールを含み得るシステムおよび装置を含む)が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第7,389,145号
【文献】米国特許第8,060,208号
【文献】米国特許第8,731,676号
【文献】米国特許第4,602,624号
【文献】米国特許出願公開第20170246453(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書には、例えばl3mmの直径に適応するカニューレを含む、最小限の外科的切開部を介して神経カフ電極を導入する配備装置が記載される。神経カフ電極は、(例えば、いくつかの変形例では2部分からなる区画を介して)電極をカプセルに入れ、神経カフを可視化し位置付けるための支持を提供し、神経カフ電極を保護する、導入器ツールなどの装置を介して配備され得、それによって、最小侵襲的な方法で所望の場所に埋め込まれ得る。
【0015】
いくつかの変形例では、導入器カプセルは、いったん神経標的がカニューレ(例えば、トロカール)を介して識別および露出されたら、カニューレを通って送達され、押される。これらの変形例のいずれにおいても、内視鏡による可視化が、配備の一環として使用され得、送達ツールは、内視鏡と連結されるか、もしくは内視鏡と一体化してよく、または、内視鏡とは別々に使用されてもよい。いくつかの変形例では、送達ツールは次に、切り離され得、例えば、2部分からなるカプセルを含む変形例では、カプセルが切り離され得、電極は、標的神経部位の近くに埋め込まれたままとすることができ、送達ツール(例えば、カプセル)は次に、カニューレから取り外され得る。電極は、鉗子を介して広げられ、標的神経の周りに設置され、2つの縫合糸ループを介して縫合で閉鎖され得る。
【0016】
例えば、本明細書には、神経カフ電極を患者の神経(例えば、神経根)に最小侵襲的に取り付ける方法が記載される。これらの方法のいずれも、(トロカールの一部とすることができる)カニューレを患者の身体(例えば、組織)内に、神経根領域まで最小侵襲的に挿入するステップと、神経カフ配備ツールをカニューレ内に挿入するステップであって、神経カフ電極は神経カフ配備ツールの細長い本体の遠位端部に取り付けられ、さらに、神経カフ配備ツールの細長い本体は、少なくとも所定の量(例えば、2N、5N、10N、15N、20N、25N、30Nなど)の圧縮力での座屈に抵抗するのに十分な柱強度を有する、ステップと、神経カフ配備ツールを、カニューレを通して神経根領域内に遠位に前進させるステップと、神経カフを神経カフ配備ツールから係合解除し、神経カフを患者の神経根に連結するステップと、を含み得る。
【0017】
これらの方法のいずれも、神経根領域を可視化するステップも含み得る。例えば、これらの方法のいずれも、可視化ツールを神経根領域内に挿入するステップと、神経根領域を可視化するステップと、を含み得る。可視化ツール(例えば、スコープ)は、カニューレとは別々とすることができるか、または、カニューレと組み合わせ/連結され得る。例えば、可視化ツールは、カニューレを含み得、例えば神経根領域の近くで、カニューレの遠位端部を可視化し得る。スコープは照明を含み得る。スコープはカメラを含み得る。
【0018】
カニューレは、トロカールの一部として挿入され得る。例えば、切断部分(例えば、閉塞具)およびカニューレを有するトロカールは、シールも含み得、これらの方法のいずれかの一部として、身体内に最小侵襲的に挿入され得る。例えば、カニューレを最小侵襲的に挿入するステップは、トロカールを、患者の組織を通して神経領域に挿入するステップを含み得、カニューレは、トロカールの一部を形成する。
【0019】
概して、神経根領域は、神経カフ電極が位置付けられる神経根の周囲の領域を含む。神経根領域は、(例えば、肢切断領域における)神経腫より近位となり得、神経根および任意の周囲組織を含み得、代替的に、または付加的に、周囲組織は、(例えば、カニューレを通じて)除去されるか、もしくは後退されて、神経カフ電極の挿入のための空間を作り出すことができる。
【0020】
これらの方法のいずれも、神経カフ配備ツールの細長い本体の遠位端部に神経カフ電極を取り外し可能に取り付けるステップを含み得る。例えば、神経カフ電極は、神経カフ配備ツールのチャンバ(例えば、カプセル)内部に保持され得る。代替的に、または付加的に、神経カフ配備ツールは、クリップ、クランプなどによって、神経カフ電極に接続され得る。神経カフ配備ツールは、神経カフ電極の所定の部分に取り付けられるように構成され得、代替的に、神経カフ配備ツールは、神経カフ電極の任意の領域に接続され、保持するように構成され得る。いくつかの変形例では、神経カフ配備ツールは、神経カフ電極に取り外し可能に取り付けられるように構成された神経カフ係合領域を含む。神経カフ取り付けまたは係合領域の例は以下に記載する。
【0021】
本明細書に記載される動作方法のいずれも、神経カフ配備ツールの遠位端部に神経カフを取り外し可能に取り付けるステップを含み得る。これは、神経カフを、神経カフ配備ツールのチャンバ内部(例えば、神経カフ係合領域の一部を形成する、神経カフ配備ツールの遠位端部のスリーブ、開口部、カップ、チャンバなどの内部)に少なくとも部分的に封入するステップを含み得る。代替的に、神経カフを取り外し可能に取り付けるステップは、例えば神経カフ配備ツールの遠位端部におけるカプセル領域内部に神経カフを完全に封入するステップを含み得る。
【0022】
神経カフ配備ツールを挿入するステップは、神経カフが取り付けられた神経カフ配備ツールを挿入するステップを含み得、神経カフは自動で巻かれる神経カフ電極である。例えば、自動で巻かれる神経カフは、参照により全体として本明細書に組み込まれる、2017年3月14日出願の米国特許出願第15/510824号に記載されている。神経カフ電極は、神経カフ配備ツールによって、拘束された(例えば、潰れた、締め付けられたなどの)構成に保持され得る。
【0023】
神経カフ配備ツールの細長い本体は可撓性または剛性とすることができる。いくつかの変形例では、神経カフ配備ツールは、送達のために屈曲または湾曲したカニューレを通り抜けるように、(前述したような十分な柱強度を依然として維持する)可撓性の細長い本体を有する。
【0024】
神経カフ配備ツールを、カニューレを通して神経根領域内に遠位に前進させるステップは、神経カフ配備ツールの遠位端部を、神経根領域内部で神経根に隣接して位置付けるステップを含み得る。例えば、カニューレの遠位端部は、神経にすぐ隣接して(例えば、約1mm以内に)、または密接に隣接して(例えば、約10mm以内に)位置付けられ得る。
【0025】
神経カフ電極を神経カフ配備ツールから係合解除するステップは、神経カフ配備ツールの近位端部において分離機構を起動するステップを含み得る。いくつかの変形例では、神経カフ電極は、神経カフ電極を解放するためにカプセルの2つの部分(例えば、半部)を分離するか、または開くことによって係合解除され、これは、カプセルを形成する2つの部分を分離するために神経カフ配備ツールを近位で操作し、神経カフ電極を解放し、カプセルを形成する神経カフ配備ツールの部分を取り外してカテーテル内に戻すことによって、行われ得る。例えば、神経カフを神経カフ配備ツールから係合解除するステップは、神経カフ配備ツールの遠位端部において神経カフカプセルの2つの半部を分離するステップを含み得る。いくつかの変形例では、遠位方向の力を神経カフ電極に加えるように構成された遠位端部を有する、別個のプッシャが含まれる。よって、これらの方法のいずれも、神経カフ電極を神経カフ配備ツールの残りの部分から分離または係合解除するためにプッシャを用いて神経カフ電極を押すかまたは保持するステップを含み得る。
【0026】
神経カフ電極を神経カフ配備ツールから係合解除する前、その間、またはその後のいずれにおいても、神経カフは、神経に巻き付けられ(例えば、巻かれ)得る。例えば、いくつかの変形例では、神経カフ電極は、神経カフ配備ツールから解放されると、神経根に巻き付けられ得る。神経カフ電極は、神経カフ配備ツール内部に反転構成において保持され得、それによって、神経カフ配備ツールから解放されるとき、神経根に巻き付くように付勢され、よって、神経カフ配備ツールは、神経カフを、神経根の十分に近くに、またはこれに隣接して位置付けることができ、それによって、神経カフは、神経根に自動的に巻き付けられ得る。代替的に、または付加的に、神経カフ電極は、神経根の周りに位置付けられるか、もしくはこれに巻き付けられるように、例えば腹腔鏡もしくは他のツール(例えば、鉗子など)によって操作され得る。例えば、これらの方法のいずれも、1つまたは複数のマニピュレータ(例えば、複数対のマニピュレータ)を、カニューレを通して延ばして、神経カフを神経根に巻き付けるステップを含み得る。
【0027】
例えば、神経カフ電極を患者の神経根に最小侵襲的に取り付ける方法は、カニューレを患者の組織内に、神経根領域まで最小侵襲的に挿入するステップと、神経カフ配備ツールをカニューレ内に挿入するステップであって、神経カフ電極は、神経カフ配備ツールの細長い本体の遠位端部に取り外し可能に取り付けられた自動カール神経カフ電極を含み、さらに、神経カフ配備ツールの細長い本体は、少なくとも10Nの圧縮力での座屈に抵抗するのに十分な柱強度を有する、ステップと、神経カフ配備ツールを、カニューレを通して神経根領域内に遠位に前進させるステップと、神経カフを神経カフ配備ツールから係合解除し、神経カフを患者の神経根に巻き付けるステップと、を含み得る。
【0028】
概して、神経カフ電極を患者の神経根に最小侵襲的に取り付けるための神経カフ配備装置は、少なくともいくつかの所定の量の力(例えば、2N、3N、4N、5N、6N、7N、8N、9N、10N、12N、15N、20N、25N、30Nなど)の圧縮力での座屈に抵抗するのに十分な柱強度を有する細長い本体と、神経カフ電極に解放可能に固定されるように構成された、細長い本体の遠位端部における神経カフ係合領域と、を含み得る。
【0029】
これらのシステムのいずれも、前もって装填され得る神経カフ電極を、システムの一部として含み得る。例えば、これらのシステムのいずれも、本明細書に記載されるような、自動カール神経カフ電極を含み得る。よって、システムは、神経カフ係合領域に解放可能に連結される自動カール神経カフを含み得る。
【0030】
細長い本体は可撓性とすることができる。いくつかの変形例では、細長い本体は剛性である。
【0031】
いくつかの変形例では、装置は、神経カフ電極を保持するために封入体を形成するように構成される。例えば、細長い本体は、第1の半部および第2の半部を含み得、神経カフ係合領域は、第1の半部の遠位端部に第1のカプセル部分を、第2の半部の遠位端部に第2のカプセル部分を含み、第1および第2のカプセル部分は、神経カフ電極を封入し保護するためにカプセルを形成するよう連結されるように構成される。
【0032】
いくつかの変形例では、神経カフ係合領域は、神経カフ電極を少なくとも部分的に封入するように構成された、広がって開いた遠位向き領域チャンバを含む。代替的に、または付加的に、神経カフ係合領域は、神経カフ電極と解放可能に係合するように構成されたフックまたはフォーク状部を含み得る。神経カフ係合領域は、神経カフ電極の拡張可能な(カールする)翼部を保持するか、または神経カフ電極の基部を保持し得、例えば、神経カフ電極から延びるワイヤは近位に延びる。いくつかの変形例では、神経カフ係合領域は、神経カフ電極と係合するように構成された、丸い遠位端部を含む。丸い遠位端部は、例えば神経カフ電極を押すことによって、神経カフ電極を損傷せずに神経カフ電極に接して支持するように構成され得る。いくつかの変形例では、神経カフ係合領域は、神経カフから延びるリード線を保持するための通路を含む。
【0033】
前述したように、これらの装置のいずれも、細長い本体に隣接して延び、遠位方向の力を神経カフ電極に加えるように構成された遠位端部を有する、プッシャ(例えば、神経カフプッシャ)を含み得る。プッシャは神経カフ配備装置の細長い本体内部で延びることができる。プッシャの遠位向き端部(遠位端部)は、神経カフ電極と係合するように構成され得る。例えば、プッシャの遠位向き端部は、神経カフ電極と係合するように構成されたフォーク状の遠位端部を含み得る。
【0034】
これらの変形例のいずれにおいても、神経カフ配備装置は、神経カフ係合領域を神経カフ電極から係合解除するように構成された、細長い本体に連結された近位制御部を含み得る。近位制御部は、ハンドル、グリップ、ボタン、スイッチ、スライダなどを含み得る。例えば、近位制御部は、装置を例えばプッシャと係合させるスライダ、および/または神経カフ電極を解放するように(いくつかの変形例では)分離され得る細長い本体の半部と連結されたハンドルとすることができる。
【0035】
例えば、神経カフ電極を患者の神経根に最小侵襲的に取り付けるための神経カフ配備装置は、少なくとも10Nの圧縮力での座屈に抵抗するのに十分な柱強度を有する細長い本体であって、細長い本体は、遠位から近位にそれぞれが延びる、第1の半部および第2の半部を含む、細長い本体と、神経カフ電極に解放可能に固定されるように構成された、細長い本体の遠位端部における神経カフ係合領域であって、神経カフ係合領域は、第1の半部の遠位端部に第1のカプセル部分を、第2の半部の遠位端部に第2のカプセル部分をさらに含み、第1および第2のカプセル部分は、神経カフ電極を封入し保護するためにカプセルを形成するように構成される、神経カフ係合領域と、を含み得る。
【0036】
本発明の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲において詳細に述べられる。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】神経カフシステム(神経カフ、リード線、および埋め込み型コントローラ/波形発生器を含む)の一実施例を示す図である。
【
図2A】患者に埋め込まれた、
図1のシステムの例を示す図である。
【
図2B】
図1~
図2Aに示すものなどの神経カフの、神経幹上への取り付けを概略的に示す図である。
【
図3A】神経幹のモデル上への自動カール神経カフの取り付けを示す図である。
【
図3B】神経幹のモデル上への自動カール神経カフの取り付けを示す図である。
【
図3C】神経幹のモデル上への自動カール神経カフの取り付けを示す図である。
【
図3D】神経幹のモデル上への自動カール神経カフの取り付けを示す図である。
【
図4A】本明細書に記載されるような、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付けるための方法の一例を示す図であり、神経カフが取り付けられる神経幹へのアクセスが、トロカールまたはカニューレを用いて達成され、医師が取り付けを直接見ることを可能にする可視化ツール(例えば、内視鏡による可視化のための内視鏡)も示されている図である。
【
図4B】本明細書に記載されるような、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付けるための方法の一例を示す図であり、神経カフ配備装置(ツール)が、神経カフ(例えば、自動で巻かれる神経カフ)を支持し保護するのに使用され、それによって、神経カフは、神経根まで最小侵襲的に送達され、神経根を覆って取り付けられるよう配備され得る図である。
【
図5A】神経幹配備ツールの1つの変形例を用いて、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付ける方法をさらに詳細に示す図である。
【
図5B】神経幹配備ツールの1つの変形例を用いて、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付ける方法を、さらに詳細に示す図である。
【
図5C】神経幹配備ツールの1つの変形例を用いて、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付ける方法を、さらに詳細に示す図である。
【
図5D】神経幹配備ツールの1つの変形例を用いて、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付ける方法を、さらに詳細に示す図である。
【
図5E】神経幹配備ツールの1つの変形例を用いて、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付ける方法を、さらに詳細に示す図である。
【
図5F】神経幹配備ツールの1つの変形例を用いて、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付ける方法を、さらに詳細に示す図である。
【
図5G】神経幹配備ツールの1つの変形例を用いて、自動で巻かれる神経カフを神経幹上に最小侵襲的に取り付ける方法を、さらに詳細に示す図である。
【
図6A】
図5A~
図5Eに示す神経カフ配備ツールを示す図であり、神経カフ電極を取り囲み保護するカプセルを形成するように組み立てられたツールを示す図である。
【
図6B】
図5A~
図5Eに示す神経カフ配備ツールを示す図であり、神経カフ電極を完全に封入するように組み立てられ得る、
図6Aの神経カフ配備ツールの分解組立図である。
【
図6C】
図6A~
図6Bに示すものに類似した神経カフ配備ツールを示す図であり、神経カフ配備ツールは、神経カフ電極を完全に封入するように遠位端部にカプセルを形成し、プッシャが、遠位方向の力を神経カフ電極に加えるために、細長い本体に隣接して、かつ細長い本体の内部に延びている図である。
【
図6D】
図6A~
図6Bに示すものに類似した神経カフ配備ツールを示す図であり、
図6Cの神経カフ配備ツールの分解組立図である。
【
図7A1】(
図7A1に示すような)自動カール神経カフに解放可能に取り付けられ、送達カニューレまたはトロカール内部で神経カフを押したり引っ張ったりするのに使用され得る、高い柱強度を有する可撓性の配備ツールを含む、神経カフ配備ツールの別の例を示す図である。
【
図7A2】(
図7A1に示すような)自動カール神経カフに解放可能に取り付けられ、送達カニューレまたはトロカール内部で神経カフを押したり引っ張ったりするのに使用され得る、高い柱強度を有する可撓性の配備ツールを含む、神経カフ配備ツールの別の例を示す図であり、神経カフに接続されていないツールを示す図である。
【
図7B】本明細書に記載されるような、最小侵襲的な挿入のため、自動カール神経カフを、送達カニューレまたはトロカールを通じて遠位に押す(または、いくつかの変形例では引っ張る)のに使用され得る、高い柱強度を有する、可撓性の配備ツールの別の例を示す図である。
【
図7C】本明細書に記載されるような、最小侵襲的な挿入のため、自動カール神経カフを、送達カニューレまたはトロカールを通じて遠位に押す(または、いくつかの変形例では引っ張る)のに使用され得る、高い柱強度を有する、可撓性の配備ツールの別の例を示す図である。
【
図7D1】(
図7に示すような)自動カール神経カフに解放可能に取り付けられ、送達カニューレまたはトロカール内部で神経カフを押したり引っ張ったりするのに使用され得る、高い柱強度を有する、可撓性の配備ツールを含む、神経カフ配備ツールの別の例を示す図である。
【
図7D2】(
図7に示すような)自動カール神経カフに解放可能に取り付けられ、送達カニューレまたはトロカール内部で神経カフを押したり引っ張ったりするのに使用され得る、高い柱強度を有する、可撓性の配備ツールを含む、神経カフ配備ツールの別の例を示す図である。
【
図8A】本明細書に記載される方法および装置のいずれかと共に使用され得る神経カフの代替的な例を示す図であり、神経カフが、ヒンジ付き(例えば、2部分からなる)神経カフである図である。
【
図8B】本明細書に記載される方法および装置のいずれかと共に使用され得る神経カフの代替的な例を示す図であり、神経に巻き付けられた
図8Aのヒンジ付き神経カフの端面図である。
【
図8C】本明細書に記載される方法および装置のいずれかと共に使用され得る神経カフの代替的な例を示す図であり、
図8Aのヒンジ付き神経カフの、神経幹上での外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
概して、本明細書には、神経カフを神経幹に最小侵襲的に取り付けるための、特に神経カフ配備ツールなどのツール、およびそれらを使用する方法を含む、方法および装置が記載される。特に、本明細書には、神経カフ電極(特に自動で巻かれる神経カフ電極)を、神経根に、神経根付近に、または神経根上に配備するため、細長いカニューレまたは他の細長い最小侵襲的チャネルを通して送達するための方法および装置が記載される。概して、神経カフ電極を患者の神経根に最小侵襲的に取り付けるための神経カフ配備装置は、十分な柱強度(例えば、少なくとも2N、5N、7N、8N、9N、10N、15Nなどの圧縮力での座屈に抵抗するのに十分な柱強度)を有し得、それによって、概ね可撓性で解き放たれている神経カフ電極を、神経根上への設置前に支持し保護することができる。神経カフ配備装置は、概して、送達される神経カフ電極に解放可能に固定されるように構成された、細長い本体の遠位端部における神経カフ係合領域を含む。
【0039】
既に前述したように、
図1~
図2Aは、神経カフを神経根上に位置付けるか、または設置するための現行の方法を示す。例えば、膝上切断者では、神経カフは、坐骨神経上の神経腫より約5cm近位に設置され得、本明細書に記載される発明より前は、これには、長い切開部(例えば、8~10cmの長さ)を、例えば身体の大腿二頭筋と半膜様筋/半腱様筋領域との間に必要としていた。神経カフ(例えば、
図2Bおよび
図3A~
図3Dに示すものなど)は次に、露出した神経根の上に、またその周りに位置付けられる。
図3A~
図3Dは、この技術の一例を示す。例えば、場合によっては神経の周りの組織を焼灼することを含め、例えば、神経の周りの物質を切り離すことによって、神経を露出することにより、神経カフ電極303は、例えば、神経の下および周りで鉗子305を使用することで、引っ張られ得る。カフは、最初に抗生物質溶液に浸され得る。鉗子(例えば、直角鉗子)が、神経の下でカフを静かに引っ張るのに使用され得(
図3B)、カフは、
図3C~
図3Dに示すように、神経に巻き付けられ得る。電極ケーブルが、カフから離れて上方に(例えば、遠位に)延びる。
【0040】
任意の適切な神経カフが使用され得るが、特に、神経カフは、
図2Bに示すものなど、自動で巻き付く神経カフとすることができる。この例では、神経カフ203は、縫合孔をそれぞれが含む2つの隆起領域205を含み、神経の周りで2つの領域を互いに固定する縫合糸が、その縫合孔を通って位置付けられ得る。隆起領域は、神経カフ電極を形成するアームの湾曲/カール平面から上に延びる(例えば、90度)。第1の隆起領域は、翼部の片側で、神経カフが取り付けられる神経根の予測外周未満だけ(例えば、平均予測外周の+/-50%、または予測外周の50%以内)、第2の隆起領域から隔てられ、それによって、一方の「翼部」は、神経根に対して巻き付くことができ、他方の翼部(2つの隆起領域を備える)は、図示のように、他方の翼部から延びて、第1の翼部の上に巻き付くことができる。
【0041】
本明細書には、大きな切開部を必要としない、神経カフ電極を最小侵襲的に取り付ける方法を含め、神経カフ電極を神経根上に低侵襲的に取り付ける方法が記載される。例えば、
図4A~
図4Bは、本明細書に記載されるような神経カフ配備ツールの使用を含む、神経カフを低侵襲的に取り付ける一般的な方法を示す。
図4Aでは、トロカール403(カニューレを含む)は、最初に、神経カフ電極が位置付けられる神経根領域407の領域まで、身体内に挿入される。この例では、神経根領域は、神経腫411のすぐ近位にある。トロカール/カニューレを挿入する前に、内視鏡409などの可視化ツールが、身体内に挿入されて、神経根領域を可視化し得る。この例では、内視鏡は剛性内視鏡であり、任意の適切な内視鏡が使用され得る。遠位端部が神経根領域へと開口したカニューレを位置付けるのにトロカールが使用されると、神経カフ電極は、カニューレを通って、神経根上に挿入され得る。概して、神経カフ電極は解き放たれており、過度に可撓性であり、それによって、カニューレを通って容易に挿入することはできない。その代わりに、
図4Bに示すように、神経カフ配備装置415は、カニューレを通して、適所に神経カフ電極を送達するのに使用され得る。
【0042】
図4Bでは、神経カフ配備装置415は、図示のように、神経カフ電極417を保持し得るカプセル413を形成する一対の半部で終端する、2部分からなる細長い本体を含む。したがって、この例では、神経カフ配備装置は、細長い領域を含み、細長い領域は、カプセルを、したがって神経カフ電極を、カニューレを通して遠位に駆動するように押され得る。
【0043】
図5A~
図5Gは、この方法をさらに詳細に示す。例えば、
図5Aでは、神経カフ電極517は、カプセル521を形成する神経カフ係合領域内部に保持され、神経カフ電極に連結されたリード線も、カプセル内部に保持されるか、または、神経カフ配備装置を通って近位に延びる。
図5Aでは、神経カフ配備装置は、既に神経カフ電極を装填されており、いったんカテーテル503が位置付けられると、神経カフ配備装置は、
図5B~
図5Cに示すように、(例えば、近位端部525を押すことによって)遠位に駆動され、カテーテルの遠位端部から延び得る。その後、神経カフ電極は、神経カフカプセルの2つの半部527、527'を分離することによって、神経カフ配備ツールから係合解除され得、これは、
図5Dに示すように、神経カフ配備ツールの遠位端部において行われ得る。これらの分離された半部は、次に、
図5Eに示すように、カテーテル内に引き戻され、および/または完全に取り外され得る。いくつかの変形例では、内視鏡マニピュレータ535などのツールを使用する追加ステップが、
図5Gに示すように、神経カフ電極を神経根(「神経」)に巻き付けるのを助けるのに使用され得る。いくつかの変形例では、神経カフ電極は、カプセル内部で反転して保持され得、そのため、神経カフ電極のアームは、反対方向に巻かれる。この場合、自動で巻き付く神経カフは、付勢されて、神経根に自動的に巻き付けられるか、または、例えば最小侵襲的なマニピュレータからの助けを受けて、巻き付くことができる。
【0044】
図6Aおよび
図6Bは、神経カフ電極を封入し保護する(および、拘束し得る)、カプセル領域を含む、
図5A~
図5Gに示す神経カフ配備ツールの変形例を示す。
図6Aでは、神経カフ配備ツールは、神経カフ電極を含むように予め装填されている。
図6Bは、封入されるカプセルを形成する神経カフ係合領域の左半部603および右半部603'が示された、分解組立図を示す。
図6Bでは、2つの半部は、神経カフ電極の上で閉じられ、カニューレ内部で互いに連結されるか、または共に保持され得る。神経カフ電極617は、可撓性の高いリード線618を含み、これは、やはりカプセル内部に保持されてよく、または、神経カフ配備ツールの細長い本体内部にあってもよい。
図6Cおよび
図6Dは、内側プッシャ621も含む、神経カフ配備ツールの類似変形例を示す。プッシャは神経カフ電極に連結され得る(
図6C~
図6Dでは、プッシャは、カプセル内部の巻かれた神経カフ電極と係合するためにフォーク状の遠位端部623を含むところが示されている)。この例では、プッシャは、神経カフ配備ツールから係合解除される際に神経カフ電極を適所に保持し得るか、または配備の際に神経カフ電極を遠位に(例えば、神経根に向かって)駆動し得る、高柱強度部材である。
【0045】
図7A1~
図7D2は、本明細書に記載される方法のいずれかと共に使用され得る、神経カフ配備ツールの他の変形例を示す。記載される変形例および実施形態のいずれかに示される神経カフ配備ツールのうちのいずれかの要素は、神経カフ配備ツールの他の変形例または実施形態のいずれかと共に使用され得る。例えば、
図6C~
図6Dに示すものなどのプッシャは、
図7A1~
図7D2に示す神経カフ配備ツールのいずれかと共に使用され得る。
【0046】
図7A1は、神経カフ電極717に解放可能に連結された神経カフ配備ツール715を示す。この例では、神経カフ配備ツールは、(例えば、フォーク状であるか、または割れている)分岐端部716を有し、これは、神経カフ電極、特に神経カフ電極の巻き付きアームと連結および係合し得る。いくつかの変形例では、一方または両方のアームは、神経カフ組立体をそれらの間に解放可能に固定するために互いの上に閉じる(例えば、締まる)ようにヒンジ留めすることができ、神経カフ配備ツールの遠位端部上の制御部(例えば、ハンドルなど)が、神経カフ配備ツールのアームを解放するために動作され得る。
図7A2は、神経カフに連結されていない神経カフ配備ツールの斜視図を示す。
【0047】
図7Bは、神経カフ電極717を損傷せずに神経カフ電極717の一部に力を加えるように丸くなっている遠位端部720を有する神経カフ配備ツール719の別の変形例を示す。この例では、神経カフ配備ツールは、神経カフ組立体に接続されたリード線を受容し、神経カフ電極を遠位に駆動するために構造的支持を提供する、中空部材である。リード線は、張力を受けて神経カフ配備ツール内部に保持され得、それによって、神経カフ組立体は、神経カフ配備ツールの遠位端部に固定される。
【0048】
図7Cは、遠位に開口した部分的なカプセルを含む神経カフ配備ツール723の別の例を示す。遠位向き端部領域は、例えば神経カフ配備ツールの細長い本体733を近位に引き抜くと共にプッシャ(不図示)を患者の身体に対して適所に保持すること、またはそれをわずかに遠位に前進させることによって、神経カフ電極717が配備されるまで、神経カフ電極717を保持し(かつその拡張を妨げ)得る。
【0049】
図7D1および
図7D2は、神経カフ配備ツール725の別の例を示し、神経カフ配備ツールの遠位端部における神経カフ係合領域736は、神経カフ電極717と解放可能に連結するように構成される。この変形例は、
図7A1~
図7A2に示すものと類似しているが、神経カフ電極の遠位側の上を延びることができ、神経カフ電極が強く引っ張られ、押されることを可能にする。この変形例は、例えば近位端部に、緩め装置も含み得、遠位端部領域は、1つまたは複数の位置にヒンジ留めされて、神経カフ電極への接続を除去することができる。代替的に、いくつかの変形例では、
図6C~
図6Dに示すものなどのプッシャは、神経カフ電極を神経カフ配備ツールから係合解除するのに使用され得る。
【0050】
概して、本明細書に記載される神経カフ電極は
図2B~
図3Dに示すものに類似しているが、任意の適切な神経カフ電極が使用され得る。
図8A~
図8Cは、神経カフ電極の2つの半部または側面が互いにヒンジで留められて、神経根の上および周りに連結され得る、神経カフ電極の別の変形例を示す。例えば
図8Aでは、神経カフ電極は、ヒンジ領域805によって最初に接合される左側面803および右側面803'を示す。神経カフ電極内部の電極は、前述したものと類似していてよく、各半部は、リード線807、807'に接続され得る。
図8Bは、神経の上に延び、例えば縫合糸によって反対側が固定された、
図8Aの神経カフ電極を示す。
図8Cは、神経の上にある
図8Aの神経カフ電極を斜視図で示す。
【0051】
本明細書に記載される(ユーザーインターフェースを含む)方法のいずれも、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアとして実装され得、プロセッサ(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)によって実行可能な一組の命令を記憶する、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として記載され得、この命令は、プロセッサによって実行されると、表示すること、ユーザーと通信すること、分析すること、(タイミング、周波数、強度などを含む)パラメータを修正すること、決定すること、警告することなどを含むがこれらに限定されないステップのいずれかの実行をプロセッサに制御させる。
【0052】
ある特徴もしくは要素が本明細書において別の特徴もしくは要素「上に」あると言及される場合、これは、その別の特徴もしくは要素のすぐ上にあってよく、または、介在する特徴および/もしくは要素が存在していてもよい。対照的に、ある特徴または要素が別の特徴または要素の「すぐ上に」あると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。ある特徴もしくは要素が別の特徴もしくは要素に「接続される」か、「取り付けられる」か、もしくは「連結される」と言及される場合、これは、その別の特徴もしくは要素に直接接続されるか、取り付けられるか、もしくは連結されてよく、または、介在する特徴もしくは要素が存在し得ることも、理解されるであろう。対照的に、ある特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続される」か、「直接取り付けられる」か、もしくは「直接連結される」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。1つの実施形態に関して説明または図示されているが、そのように記載されるか、または図示されている特徴および要素は、他の実施形態にも当てはまり得る。別の特徴に「隣接して」配される構造または特徴に言及することは、隣接する特徴に重なるか、またはその下にくる部分を有し得ることも、当業者には認識されるであろう。
【0053】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することは意図していない。例えば、本明細書で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈で別段明確な指示がない限り、複数形も含むことが意図される。「含む(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つもしくは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらの群の存在もしくは追加を排除するものではないことが、さらに理解されるであろう。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙されたアイテムのうちの1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含み、「/」として短縮され得る。
【0054】
空間的に相対的な用語、例えば「下」、「下部」、「下方」、「上」、「上方」などは、図に示すような、1つの要素または特徴の、別の要素または特徴に対する関係を説明するため、記載を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、使用または動作中の装置の異なる向きを包含することが意図されていることが理解されるであろう。例えば、図中の装置が反転された場合、他の要素または特徴の「下」または「下部」にあるとして記載された要素は、他の要素または特徴の「上に」向けられる。よって、例示的な用語「下」は、上および下の両方の向きを包含し得る。装置は、(90°回転されるか、または他の向きに)別様に向けられ得、本明細書で使用される空間的に相対的な記載は、それに応じて解釈され得る。同様に、「上方に」、「下方に」、「垂直な」、「水平な」などの用語は、具体的に別段の指示がない限り、説明目的でのみ本明細書で使用される。
【0055】
「第1の」および「第2の」という用語は、さまざまな特徴/要素(ステップを含む)を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの特徴/要素は、文脈で別段指示がない限り、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素と区別するのに使用され得る。よって、以下で論じられる第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下で論じられる第2の特徴/要素は、本発明の教示から逸脱せずに、第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0056】
本明細書および以下の特許請求の範囲全体にわたって、文脈で別段必要とされない限り、単語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形例は、さまざまなコンポーネントが、方法および物品(例えば、組成物、および装置を含む装置、および方法)で一緒に使用され得ることを意味する。例えば、「含む(comprising)」という用語は、任意の他の要素またはステップを排除することではなく、述べられた任意の要素またはステップを含むことを意味することが理解されるであろう。
【0057】
概して、本明細書で記載される装置および方法のいずれも、包括的なものとして理解されるべきであるが、コンポーネントおよび/またはステップのすべてまたはサブセットは、代替的に排他的とすることもでき、また、さまざまなコンポーネント、ステップ、サブコンポーネント、もしくはサブステップ「からなる」、または、代替的にこれら「から本質的になる」として表現され得る。
【0058】
例で使用されるものも含め、別段明確な指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用されるすべての数は、単語「約」または「おおよそ」が前に置かれたかのように、たとえその用語が明示されていなくても、読むことができる。語句「約」または「おおよそ」は、記載された値および/または位置が、値および/または位置の妥当な予測範囲内にあることを示すために大きさおよび/または位置を記載する際に使用され得る。例えば、数値は、述べられた値(または値の範囲)の+/-0.1%、述べられた値(または値の範囲)の+/-1%、述べられた値(または値の範囲)の+/-2%、述べられた値(または値の範囲)の+/-5%、述べられた値(または値の範囲)の+/-10%などである値を有し得る。本明細書で提供される任意の数値は、文脈で別段指示がない限り、約またはおおよそその値を含むことも理解されたい。例えば、値「10」が開示された場合、「約10」も開示される。本明細書で列挙される任意の数値範囲は、そこに包含されるすべての部分範囲を含むことが意図される。当業者によって適切に理解されるように、ある値が開示された場合、その値「以下」、「その値以上」および値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示された場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、ここでXは数値である)も開示される。本出願全体にわたって、データが、いくつかの異なるフォーマットで提供され、このデータは、端点および起点、ならびにデータ点の任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示された場合、10および15超、10および15以上、10および15未満、10および15以下、および10および15に等しいものも、10~15も開示されたと考えられることが理解される。2つの特定の1の位の数の間のそれぞれの1の位の数も開示されることも理解される。例えば、10および15が開示された場合、11、12、13、および14も開示される。
【0059】
さまざまな例示的な実施形態が前述されているが、いくつかの変更のいずれも、特許請求の範囲によって説明するような本発明の範囲から逸脱せずに、さまざまな実施形態に対して行うことができる。例えば、記載されるさまざまな方法ステップが実行される順序は、しばしば、代替的な実施形態では変更されてよく、他の代替的な実施形態では、1つまたは複数の方法ステップは、完全に省くこともできる。さまざまな装置およびシステムの実施形態のオプションの特徴が、いくつかの実施形態では含まれ、他の実施形態では含まれなくてもよい。したがって、前述した説明は、主に例示的な目的で提供されており、特許請求の範囲において記載される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0060】
本明細書に含まれる例および実例は、限定ではなく、例示として、主題が実施され得る具体的な実施形態を示す。前述したように、他の実施形態が、そこから利用され引き出され得、それによって、構造的および論理的な置換および変更が、本開示の範囲から逸脱せずに、行われ得る。本発明の主題のこのような実施形態は、単に便宜上、また、実際に2つ以上が開示される場合に、本出願の範囲を任意の単一の発明または発明概念に自発的に限定することを意図せずに、「発明」という用語によって個別にまたはまとめて本明細書で言及され得る。よって、具体的な実施形態が本明細書で例示され説明されているが、同じ目的を達成するために算出された任意の構造が、図示される具体的な実施形態に置換され得る。本開示は、さまざまな実施形態のありとあらゆる適合例または変形例を網羅するように意図されている。前述した実施形態と、本明細書において具体的には記載されていない他の実施形態との組み合わせは、前述した説明を吟味すれば、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0061】
101 神経カフ
103 リード線
105 コントローラ
107 肢切断者
203 神経カフ
205 隆起領域
303 神経カフ電極
305 鉗子
403 トロカール
407 神経根領域
409 内視鏡
411 神経腫
413 カプセル
415 神経カフ配備装置
417 神経カフ電極
503 カテーテル
517 神経カフ電極
521 カプセル
525 近位端部
527 半部
527' 半部
535 内視鏡マニピュレータ
603 左半部
603' 右半部
617 神経カフ電極
618 リード線
621 内側プッシャ
623 遠位端部
715 神経カフ配備ツール
716 分岐端部
717 神経カフ電極
719 神経カフ配備ツール
720 遠位端部
723 神経カフ配備ツール
725 神経カフ配備ツール
733 細長い本体
736 神経カフ係合領域
803 左側面
803' 右側面
805 ヒンジ領域
807 リード線
807' リード線