(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】フリップトップキャップの形成方法及びフリップトップキャップ
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20230515BHJP
A61C 5/66 20170101ALI20230515BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B29C45/17
A61C5/66
B65D47/08 100
(21)【出願番号】P 2020551988
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 IB2019052269
(87)【国際公開番号】W WO2019186327
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ベーム,アンドレアス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ポイカー,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ニー,マイケル
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-079553(JP,A)
【文献】特開昭61-255823(JP,A)
【文献】特開2013-133164(JP,A)
【文献】特開2015-193166(JP,A)
【文献】特開2012-143977(JP,A)
【文献】特開2015-127248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料からフリップトップキャップをモノリシックに形成する方法であって、前記フリップトップキャップが、ドロッパノーズが突出する基部と、密閉部とを備えており、前記基部及び前記密閉部が、前記密閉部が前記ドロッパノーズを閉鎖する閉鎖位置と、前記ドロッパノーズが前記密閉部で覆われない開放位置と、の間で枢動するリビングヒンジによって互いにヒンジ連結されており、
前記リビングヒンジが、枢動軸線を中心に枢動を形成する枢動部と、前記枢動部の両側端部で前記枢動部に直接連結された一対の引張ばね部と、を有し、長さ寸法は、前記リビングヒンジと前記基部とを接続する一の側と前記リビングヒンジと前記密閉部とを接続する他の側との間の長さにより画定され、幅寸法は、前記枢動軸線に沿った方向における前記リビングヒンジの長さにより画定され、厚さ寸法は、前記幅寸法に垂直かつ前記長さ寸法に垂直な方向における前記リビングヒンジの厚さにより画定され、前記枢動部の最小厚さが、前記引張ばね部のそれぞれの最小厚さよりも大きく、前記方法が、
前記フリップトップキャップを射出成形デバイス内の前記開放位置で射出成形することと、
前記フリップトップキャップを前記射出成形デバイスから取り出す前に、前記密閉部及び前記基部を前記閉鎖位置に向けて位置合わせすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記密閉部及び前記基部を前記閉鎖位置に位置合わせすることが、前記熱可塑性材料が、前記フリップトップキャップの射出成形後に固化しているが、23℃(摂氏)の室温まで冷却されていない段階で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流動性歯科用物質を分注するためのフリップトップキャップであって、熱可塑性材料でモノリシックに形成されており、ドロッパノーズが突出する基部と、密閉部とを備え、前記基部及び前記密閉部が、前記密閉部が前記ドロッパノーズを閉鎖する閉鎖位置と、前記ドロッパノーズが前記密閉部で覆われない開放位置と、の間で枢動するリビングヒンジによって互いにヒンジ連結されており、前記リビングヒンジが、枢動軸線を中心に枢動を形成する枢動部と、前記枢動部の両側端部で前記枢動部に直接連結された一対の引張ばね部と、を有し、長さ寸法は、
前記リビングヒンジと前記基部とを接続する一の側と前記リビングヒンジと前記密閉部とを接続する他の側との間の長さにより画定され、幅寸法は、前記枢動軸線に沿っ
た方向における前記リビングヒンジの長さにより画定され、厚さ
寸法は、前記幅寸法に垂直かつ前記長さ寸法に垂直な
方向における前記リビングヒンジの厚さにより画定され、前記枢動部の最小厚さが、前記引張ばね部のそれぞれの最小厚さよりも大きい、フリップトップキャップ。
【請求項4】
前記引張ばね部が、前記枢動部から、及び前記リビングヒンジの両側の自由端から突出しており、前記長さ寸法において前記基部と前記密閉部とを連結している、請求項3に記載のフリップトップキャップ。
【請求項5】
前記流動性歯科用物質を収容する容器ボトルと接続された、請求項3又は4に記載のフリップトップキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料からフリップトップキャップをモノリシックに形成する方法、及び流動性歯科用物質を分注するためのフリップトップキャップに関する。具体的には、本発明は、開放位置と閉鎖位置との間で双安定的に位置合わせされ得るフリップトップキャップに関し、フリップトップキャップは、開放位置で射出成形され、射出成形直後に閉鎖位置に位置合わせされる。
【背景技術】
【0002】
歯科用材料は、多くの場合、歯科医の業務における材料の調製及び/又は適用を容易にするように設計されたパッケージで提供される。流動性歯科材料は、ユーザが所望量を容易に計量することができるように材料を液滴で分注するドロッパボトルで提供されることが多い。
【0003】
例えば、国際公開第2011/056814(A1)号は、出口を有する本体と、出口のためのフリップトップキャップと、を有するディスペンサを開示している。フリップトップキャップ及び本体は、出口が開放されている開放位置と、フリップトップキャップが出口を閉鎖している閉鎖位置との間で互いに対して枢動的に移動可能である。フリップトップキャップ及び本体は、閉鎖位置において互いに係止係合するように適合される。フリップトップキャップは、フリップトップキャップ及び本体を閉鎖位置で係止及び係止解除するための係止部材を有する。係止解除のために係止部材に加えられた力は、フリップトップキャップを開放位置に向けて付勢する。
【0004】
既存のドロッパボトルが使用され、歯科において有用であるが、使用に信頼性が高く、使いやすく、比較的安価であるディスペンサの必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、熱可塑性材料からフリップトップキャップをモノリシックに形成する方法、及び流動性歯科用物質を分注するためのフリップトップキャップに関する。
【0006】
フリップトップキャップは、熱可塑性材料からモノリシックに形成されている。フリップトップキャップは、ドロッパノーズが突出する基部を備える。フリップトップキャップは、密閉部を更に備える。基部及び密閉部は、密閉部がドロッパノーズを閉鎖する閉鎖位置と、ドロッパノーズが密閉部で覆われない開放位置と、の間で枢動するリビングヒンジによって互いにヒンジ連結される。
【0007】
リビングヒンジは、枢動軸線を中心に枢動を形成する枢動部と、枢動部の両側端部で枢動部に直接接続された一対の引張ばね部と、を有する。したがって、リビングヒンジは、3つの部として、枢動部と2つの引張ばね部とで構成される。長さ寸法は、基部と密閉部との間のリビングヒンジの経路に沿って画定される。幅寸法は、枢動軸線に沿って画定される。厚さは、幅寸法に垂直かつ長さ寸法に垂直な寸法で画定される。なお、枢動部は、フリップトップキャップの開放位置で平坦であり、閉鎖位置で180度曲げることができる。長さ寸法は、枢動部が平坦であるフリップトップキャップの開放位置で測定することができる。枢動部の最小厚さは、引張ばね部のそれぞれの最小厚さよりも大きい。
【0008】
方法は、フリップトップキャップを射出成形デバイス内の開放位置で射出成形することと、(フリップトップキャップがまだデバイス内にある間に)射出成形デバイスからフリップトップキャップを取り出す前に、密閉部及び基部を閉鎖位置に向けて位置合わせすることと、を含む。射出成形デバイスは、好ましくは、熱可塑性材料を加熱し、射出成形型に押し出すための押出成形機を有する射出成形機である。したがって、密閉部及び基部は、好ましくは、フリップトップキャップが成形された後、最初にフリップトップキャップが射出成形デバイスから離れる前に、閉鎖位置に向けて位置合わせされる。
【0009】
フリップトップキャップは、好ましくは、射出成形型内の開放位置で成形される。したがって、方法は、射出成形型内でフリップトップキャップを成形することを含んでもよい。方法は、好ましくは、射出成形型を開くことと、ピッカーデバイスをフリップトップキャップに対して位置合わせすることと、ピッカーデバイスによってフリップトップキャップを把持することと、ピッカーデバイスによって密閉部及び基部を閉鎖位置に向けて位置合わせすることと、を更に含む。方法は、好ましくは、ピッカーデバイスから(閉鎖位置に位置合わせした後に)フリップトップキャップを解放することを更に含む。
【0010】
本発明は、開放位置又は閉鎖位置のいずれかへの密閉部の比較的正確な位置合わせを可能にする双安定リビングヒンジを有するフリップトップキャップを提供するという点で有利である。例えば、密閉部は比較的正確な開放位置に位置合わせされて、密閉部をドロッパノーズから明確に離して配置させることができる。したがって、開放位置にあるフリップトップキャップは、密閉部に干渉されずに流動性歯科用物質を分注するように位置合わせすることができる。更に、本発明は、開放位置にある密閉部が比較的安定している、具体的にはぐらぐらしないという点で有利である。更に、本発明は、単一材料から作製することができるフリップトップキャップを提供する。そのように形成されるキャップは、比較的安価である。
【0011】
一実施形態では、密閉部及び基部を閉鎖位置に位置合わせすることは、熱可塑性材料が、フリップトップキャップの射出成形後に固化しているが、23℃(摂氏)の室温まで冷却されていない段階で行われる。好ましくは、密閉部及び基部を閉鎖位置に位置合わせすることを実行する間の熱可塑性材料の温度は、70℃超、好ましくは70℃~105℃の範囲内である。熱可塑性材料は、好ましくはポリプロピレンである。
【0012】
一実施形態では、密閉部及び基部を閉鎖位置に位置合わせすることは、開放位置でフリップトップキャップを射出成形してから10秒以下の時間内に行われる。一実施形態では、密閉部及び基部を閉鎖位置に位置合わせすることは、開放位置でフリップトップキャップを射出成形してから10秒の時間内に行われる。密閉部及び基部を閉鎖位置に位置合わせすることは、具体的には、開放位置でフリップトップキャップを射出成形してから約5秒後に行われ得る。この時間は、射出成形型の開放開始から密閉部及び基部が閉鎖位置に位置合わせされるまでが測定される。
【0013】
一実施形態では、引張ばね部は、枢動部から突出しており、リビングヒンジの両側の自由端を形成する。両側の自由端は、幅寸法に沿って配置される。更に、長さ寸法において、引張ばね部は、基部と密閉部とを連結する。したがって、枢動部と引張ばね部とは組み合わせて、1つの連続したリビングヒンジを形成する。具体的には、リビングヒンジは、貫通孔を有さない。更に、(引張ばね部によって形成される)自由端は、枢動軸線に対して半径方向にオフセットされた距離で延在する。これは、引張ばね部が、好ましくは枢動軸線に対して傾斜して延在していることを意味する。具体的には、枢動部に連結する各引張ばね部の端部は、好ましくは、枢動部上又はその近傍に位置決めされ、各引張ばね部の自由端は、枢動軸線から横方向にオフセットして位置決めされる。したがって、各引張ばね部は、フリップトップキャップの閉鎖位置において、枢動軸線を中心にスカート状に延びてもよい。
【0014】
一実施形態では、リビングヒンジ及び枢動部はそれぞれ、幅寸法における幅を有する。枢動部の幅は、リビングヒンジの幅の半分よりも大きい。枢動部の幅は、リビングヒンジの幅の約0.6であってもよい。これは、比較的安定したヒンジ機能を提供し、特に、密閉部と基部との間のヒンジ連結が不安定になることを回避するのに役立つ。
【0015】
一実施形態では、基部及び密閉部は、開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して180度移動可能である。具体的には、リビングヒンジは、好ましくは、基部及び密閉部が、開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して180度移動可能であるように構成される。リビングヒンジは、好ましくは、基部及び密閉部の、開放位置又は閉鎖位置のいずれかに向かう互いに対する双安定的な位置合わせをもたらす。これは、リビングヒンジが、開放位置と閉鎖位置との間の中間位置に位置合わせされた場合に、基部及び密閉部を開放位置又は閉鎖位置のいずれかに向けて付勢することを意味する。
【0016】
一実施形態では、フリップトップキャップは、容器ボトルと接続される。容器ボトルは、流動性歯科用物質を収容することができる。容器ボトルは、好ましくは外ねじを有し、基部は内ねじを有してもよい。したがって、容器ボトルとフリップトップキャップは、互いにねじ接続されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、フリップトップキャップが閉鎖位置にあるディスペンサの斜視図である。
【
図2】開放位置にある
図1のディスペンサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図2は、流動性歯科用物質のためのディスペンサ1を示す。ディスペンサ1は、ボトル2及びフリップトップキャップ3を有する。フリップトップキャップ3は、リビングヒンジ7によって相互連結された基部4と密閉部5とを有し、密閉部5と基部4とは閉鎖位置(
図1に示す)と開放位置(
図2に示す)との間で互いに対して旋回することができる。密閉部5、基部4、及びリビングヒンジ7は、一体型に射出成形される(モノリシックに形成されている)。リビングヒンジ7は、プラスチック材料のバンドの変形に基づく旋回を提供する(2つの部分が摺動嵌合によって互いに対して移動することに基づくものではない)。本例では、更に、リビングヒンジ7は、閉鎖位置又は開放位置のいずれかに向けて密閉部5及び基部4を付勢し、閉鎖位置と閉鎖位置との間の中間位置に密閉部5及び基部4が自動的に位置決めされることを防止する双安定ヒンジである。
【0019】
図2aに示すように、ドロッパノーズ8は、基部4から突出している。ドロッパノーズ8は、基部4から下端8aから分注出口6が設けられる自由端8bまで、(本例では)14.5mmの長さにわたり突出している。分注出口6は、ボトル2に格納された流動性歯科用物質の液滴分注のために設けられる。流動性物質を分注するために、ディスペンサ1は、典型的には分注出口6を下にして(及びボトルを上にして)保持される。そのように定位置に保持されたボトル2は、物質を分注するために(わずかに)圧搾され得る。出口6は、ドロッパノーズ8(以下に更に詳細に記載する)によって形成される。
【0020】
基部4は、密閉部5による封止のための肩部9を有する。具体的には、密閉部5及び肩部9によって形成される側壁10は、ディスペンサ1の閉鎖位置において互いにぴったりと密封嵌合するように寸法決めされる。
【0021】
更に、側壁10は、第1の保持構造体12を有し、基部4(具体的には、肩部9)は、第2の保持構造体11を有する。本例では、第1の保持構造体12は陥没部であり、第2の保持構造体11は隆起部である。第1の保持構造体11及び第2の保持構造体12は、ディスペンサ1の閉鎖位置において互いに係合するように配置され、構成される。したがって、第1の保持構造体11及び第2の保持構造体12は、スナップ保持によって密閉部5及び基部4を閉鎖位置に保持する。当業者であれば、第1の保持構造体は、同様に、隆起又は他の凸の構造であってもよく、第2の保持構造体は陥没又は他の凹の構造であってもよい。他の保持構造も可能である。
【0022】
ディスペンサ1は、長手方向軸Aに沿って延在している。更に、ディスペンサ1は、アクチュエータ部14を除いて、全体的に円筒形状(
図1で見ることができる)を有する。アクチュエータ部14は、ユーザが密閉部5を開放位置に向けて、例えば親指で押すことができるように成形される。密閉部5を開放位置に向けて押すために、ユーザは、ディスペンサ1を片手で持ち、その手の指でディスペンサをボトル2に保持し、同じ手の親指を使って密閉部5を開放位置に向けて押すことができる。したがって、ディスペンサ1は片手操作が可能である。アクチュエータ部14は、具体的には、長手方向軸Aを横断する寸法で突出する突出部を形成する。更に、アクチュエータ部14はくぼみ部17を形成する。くぼみ部17は、密閉部5を開放位置に向けて確実に押すために、ユーザの親指又は他の指を所望位置に配置し、保持するのに役立つ。
【0023】
リビングヒンジ7は、長手方向軸線Aからオフセットして配置され、横方向に、特に長手方向軸線Aに対して垂直に配向された枢動軸線Bを形成しており、枢動軸線Bは、長手方向軸線Aに垂直な仮想ヒンジレベル面15内に画定されている。なお、当業者であれば、いくつかの実施形態では、リビングヒンジによって形成された枢動軸線Bが、旋回中にわずかに平行又は略平行な変位を受け得ることを理解することに留意されたい。しかしながら、これは本発明に含まれる。
【0024】
フリップトップキャップ3は、第1の端部18及び第2の端部19を有する。実施例では、ヒンジレベル面15は、第1の端部18と第2の端部19との間に配置される。
【0025】
図3は、リビングヒンジ7の断面図を示す。リビングヒンジ7は、枢動部7a及び2つの引張ばね部7bを有する。枢動部7aは、枢動軸線Bを中心とした枢動を提供する。引張ばね部7bは、枢動部7aと直接接続され、枢動軸線Bから横方向に離れる方向(又は傾斜する方向)に延在する。これにより、引張ばね部7bは、枢動部によってもたらされる枢動軸線Bを中心とした枢動機能を妨げる。しかしながら、リビングヒンジ7は、引張ばね部7bによって生じる力に勝つことによって、開放位置と閉鎖位置との間で枢動することができる。これにより、引張ばね部7bは、開放位置と閉鎖位置との間の位置では弾性的に伸張され、開放位置及び閉鎖位置では弛緩する。したがって、双安定効果がリビングヒンジ7によってもたらされる。枢動部7aは厚さT1を有し、引張ばね部7bのそれぞれは厚さT2を有する。枢動部の厚さT1は、ばね部7bの厚さT2よりも大きい。枢動部7aの厚さの方が大きいことにより、枢動部7aは、比較的高い機械的剛性を有する。したがって、枢動部7aは、枢動軸線Bを画定し安定させる。対照的に、薄い方の引張ばね部7bは、弾性的な機械的特性を呈することにより、枢動軸線Bの位置及び安定性に影響を及ぼさない(又はほぼ及ぼさない)。むしろ、引張ばね部7bは、リビングヒンジ7の双安定性のみを(又は主に双安定性を)もたらす。したがって、枢動部7a及び引張ばね部7bは、干渉も重複もしない(又はほぼしない)別個の機能を有する。これにより、双安定機能と併せて、正確に画定され安定した枢動軸線が提供される。
【0026】
リビングヒンジ7は、本発明の方法により作製することで、耐久性が最大化される。本発明の方法によれば、フリップトップキャップは、開放位置で射出成形され、射出成形される熱可塑性材料が完全に冷えてしまう前に閉鎖位置にされる。したがって、リビングヒンジは、熱可塑性材料が最初に室温まで完全に冷えてしまう前に変形させられる。このように形成されたリビングヒンジは、変形させることなく冷却された同種のリビングヒンジと比べて、耐久性が最大化されることが分かった。具体的には、まだ温かい熱可塑性材料を変形させると、フリップトップキャップの使用時(開閉)における熱可塑性材料の応力白化が最小限に抑えられる。これにより、枢動部を最大厚にし、確実かつ安定した枢動軸線を達成することができる。
【0027】
更に、本発明の方法を適用することにより、リビングヒンジの引張ばね部は、フリップトップキャップを閉鎖位置にした後にのみ、最終状態まで収縮することが分かった。したがって、リビングヒンジの双安定効果は、熱可塑性材料が冷える前に変形させない同種のリビングヒンジに対して最大化される。