(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】MIR-122を調節するためのマイクロRNA化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20230515BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230515BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/5365 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/7056 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/7072 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20230515BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20230515BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20230515BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20230515BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230515BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20230515BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230515BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K9/08
A61K9/19
A61K31/4184
A61K31/4188
A61K31/454
A61K31/513
A61K31/5365
A61K31/7056
A61K31/7072
A61K31/7125
A61K38/06
A61K38/07
A61K38/12
A61K45/00
A61K47/54
A61P31/14
A61P43/00 111
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020561923
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(86)【国際出願番号】 US2019031044
(87)【国際公開番号】W WO2019217369
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513267855
【氏名又は名称】レグルス セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アラーソン チャールズ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ネベン スティーブン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ライト ティモシー
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2992095(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/113
A61K 9/08
A61K 9/19
A61K 31/4184
A61K 31/4188
A61K 31/454
A61K 31/513
A61K 31/5365
A61K 31/7056
A61K 31/7072
A61K 31/7125
A61K 38/06
A61K 38/07
A61K 38/12
A61K 45/00
A61K 47/54
A61P 31/14
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記構造の薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記構造のナトリウム塩である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容される希釈剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項5】
前記薬学的に許容される希釈剤が、水溶液である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記水溶液が生理食塩水である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
凍結乾燥組成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項8】
生理食塩水中の請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物から本質的になる医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合
物を含む、細胞内のmiR-122の活性を阻害する
ための組成物。
【請求項10】
前記細胞がin vivoに存在する、請求項9に記載の
組成物。
【請求項11】
前記細胞がin vitroに存在する、請求項9に記載の
組成物。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物または請求項4~8のいずれか1項に記載の医薬組成物の少なくとも1つの用量を
含み、HCV感染対象に投与する
ように用いられる、HCV感染症を治療する
ための組成物。
【請求項13】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療する
ための組成物であって、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、または請求項4~8のいずれか1項に記載の医薬組成物、及び少なくとも1つの直接作用型抗ウイルス(DAA)の少なくとも1つの用量を
含み、治療期間中、HCV感染対象に投与する
ように用いられ、前記治療期間の期間が12週間以内であり、前記化合物または医薬組成物の開始用量が、前記治療期間の開始時に投与され、前記化合物または医薬組成物の終了用量が、前記治療期間の終了時に投与される、前記
組成物。
【請求項14】
前記開始用量及び前記終了用量が、前記治療期間中に投与される前記化合物または医薬組成物の唯一の用量である、請求項13に記載の
組成物。
【請求項15】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療する
ための組成物であって、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、または請求項4~8のいずれか1項に記載の医薬組成物及び少なくとも1つの直接作用型抗ウイルス(DAA)の少なくとも1つの用量を
含み、治療期間中に、HCV感染対象に投与する
ように用いられ、前記治療期間の前記期間が12週間以内であり、前記化合物または医薬組成物の開始用量が前記治療期間の前記開始時に投与され、前記開始用量が、前記治療期間中に投与される前記化合物または医薬組成物の唯一の用量である、前記
組成物。
【請求項16】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療する
ための組成物であって、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、または請求項4~8のいずれか1項に記載の医薬組成物及び少なくとも1つの直接作用型抗ウイルス(DAA)の少なくとも1つの用量を
含み、治療期間中に、HCV感染対象に投与する
ように用いられ、前記治療期間の前記期間が12週間以内であり、前記化合物または医薬組成物の終了用量が前記治療期間の前記終了時に投与され、前記終了用量が、前記治療期間中に投与される前記化合物または医薬組成物の唯一の用量である、前記
組成物。
【請求項17】
前記治療期間の前記期間が2~10週間、4~8週間、2~6週間、または1~4週間である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項18】
前記治療期間の前記期間が、11週間、10週間、9週間、8週間、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間、または1週間である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項19】
前記治療期間の前記期間が26日、27日、28日、29日、または30日である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項20】
前記治療期間の前記期間が、28日または29日である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項21】
前記治療期間の前記期間が、18日、19日、20日、21日、または22日である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項22】
前記治療期間の前記期間が、21日または22日である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項23】
前記治療期間の前記期間が12日、13日、14日、15日、または16日である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項24】
前記治療期間の前記期間が、14日または15日である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項25】
前記治療期間の前記期間が、6日、7日、8日、または9日である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項26】
前記治療期間の前記期間が7日または8日である、請求項13~16のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項27】
前記化合物または医薬組成物の開始用量及び前記DAAの第1の用量が互いの7日以内に投与される、請求項13~15または17~26のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項28】
前記化合物または医薬組成物の前記開始用量が、前記DAAの前記第1の用量の1日前に投与される、請求項13~15または17~26のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項29】
前記化合物または医薬組成物の前記開始用量が、前記DAAの前記第1の用量と同じ日に投与される、請求項13~15または17~26のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項30】
前記化合物または医薬組成物の前記開始用量が、前記DAAの前記第1の用量の1日後に投与される、請求項13~15または17~26のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項31】
前記化合物または医薬組成物の終了用量及び前記DAAの最終用量が、互いの7日以内に投与される、請求項13、14または16~26のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項32】
前記化合物または医薬組成物の前記終了用量が、前記DAAの前記最終用量の1日前に投与される、請求項13、14または16~26のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項33】
前記化合物または医薬組成物の前記終了用量が、前記DAAの前記最終用量と同じ日に投与される、請求項13、14または16~26のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項34】
前記化合物または医薬組成物の前記終了用量が、前記DAAの前記最終用量の翌日に投与される、請求項13、14または16~26のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項35】
前記HCV感染対象が遺伝子型1に感染している、請求項12~34のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項36】
前記HCV感染対象が遺伝子型1aに感染している、請求項35に記載の
組成物。
【請求項37】
前記HCV感染対象が遺伝子型1bに感染している、請求項35に記載の
組成物。
【請求項38】
前記HCV感染対象が遺伝子2型に感染している、請求項12~34のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項39】
前記HCV感染対象が遺伝子3型に感染している、請求項12~34のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項40】
前記HCV感染対象が遺伝子4型に感染している、請求項12~34のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項41】
前記HCV感染対象が遺伝子5型に感染している、請求項12~34のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項42】
前記HCV感染対象が遺伝子6型に感染している、請求項12~34のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項43】
前記HCV感染対象が、1つ以上の耐性関連多型を有するHCVに感染していると決定される、請求項12~42のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項44】
前記HCV感染対象が治療を受けていない対象である、請求項12~43のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項45】
前記HCV感染対象がHCV関連疾患を有する、請求項12~44のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項46】
前記HCV関連疾患が、肝硬変、肝線維症、脂肪性肝炎、脂肪症、または肝細胞癌である、請求項45に記載の
組成物。
【請求項47】
前記HCV感染対象が、腎機能障害を伴うHCV感染対象である、請求項12~46のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項48】
前記HCV感染対象が、HCV/HIV同時感染対象である、請求項12~47のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項49】
前記投与することにより、持続的ウイルス応答が達成される、請求項12~48のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項50】
前記治療期間の終了時または前記治療期間の終了後の時点で、前記HCV RNAレベルが、定量下限(LLOQ)を下回る、請求項13~49のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項51】
前記治療期間の前記終了後4週間で、前記HCV RNAレベルが、前記LLOQを下回る、請求項50に記載の
組成物。
【請求項52】
前記治療期間の前記終了後8週間で、前記HCV RNAレベルが、前記LLOQを下回る、請求項50または請求項51に記載の
組成物。
【請求項53】
前記治療期間の前記終了後12週間で、前記HCV RNAレベルが、前記LLOQを下回る、請求項50~52のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項54】
前記HCV RNAレベルが、前記治療期間の前記終了後24週間で、前記LLOQを下回る、請求項50~53のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項55】
前記HCV RNAレベルが、前記治療期間の終了後36週間で、前記LLOQを下回る、請求項50~54のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項56】
前記HCV RNAレベルが、前記治療期間の前記終了後48週間で、前記LLOQを下回る、請求項50~55のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項57】
前記LLOQが、25IU/mLである、請求項50~56のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項58】
前記LLOQが、15IU/mLである、請求項50~56のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項59】
前記LLOQが、12IU/mLである、請求項50~56のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項60】
前記HCV RNAレベルが、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応に基づくアッセイを使用して定量化される、請求項50~59のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項61】
前記DAAは1日1回投与される、請求項13~60のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項62】
前記DAAが、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤、ヌクレオチドポリメラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤、NS3B阻害剤、NS3/4A阻害剤、NS4A阻害剤、NS5A阻害剤、NS5B阻害剤、及びシクロフィリン阻害剤から選択される、請求項13~61のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項63】
前記DAAは、ソホスブビル、レジパスビル、オムビタスビル、ダサブビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、エルバスビル、グラゾプレビル、リバビリン、オムビタスビル、パリタプレビル、リトナビル、ボセプレビル、バニプレビル、アスナプレビル、ダクラタスビル、シメプレビル、メリシタビン、テゴブビル、ダノプレビル、ソバプレビル、ボキシラプレビル、ベルパタスビル、及びGSK2878175のうちの1つ以上から選択される、請求項13~62のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項64】
前記少なくとも1つのDAAが、ソホスブビルを含む、請求項13~63のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項65】
前記少なくとも1つのDAAが、レジパスビル及びソホスブビルを含む、請求項13~64のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項66】
前記化合物の用量が4.0mg/kg以下、3.5mg/kg以下、3.0mg/kg以下、2.5mg/kg以下、2.0mg/kg以下、1.5mg/kg以下、1.0mg/kg以下、または0.5mg/kg以下である、請求項12~65のいずれか1項に記載の
組成物。
【請求項67】
治療法に使用するための請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、または請求項4~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項68】
HCV感染対象の治療に使用するための請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、または請求項4~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
miR-122の活性を調節する際に使用するための化合物及び方法が本明細書に提供される。こうした方法には、HCV感染などのmiR-122活性に関連する疾患の治療を含む。
【背景技術】
【0002】
「成熟マイクロRNA」としても知られるマイクロRNA(マイクロRNA)は小さく(長さ約18~24ヌクレオチド)、植物及び動物のゲノムにコードされている非コードRNA分子である。特定の例では、高度に保存された内因的に発現するマイクロRNAは、特定のmRNAの3’非翻訳領域(3’-UTR)に結合することによって遺伝子の発現を調節する。植物及び動物において、1000を超える異なるマイクロRNAが同定されている。特定の成熟マイクロRNAは、多くの場合、長さが数百ヌクレオチドであり、長い内因性の一次マイクロRNA転写産物(pri-マイクロRNA、pri-mir、pri-miR、またはpri-pre-マイクロRNAとしても公知である)に由来すると考えられている(Lee,et al.,EMBO J.,2002,21(17),4663-4670)。
【0003】
miR-122は、肝臓において豊富かつ特異的に発現するマイクロRNAであり、C型肝炎ウイルスの蓄積にとって重要な宿主因子である(Jopling et al.,Science.2005,309(5740):1577-81)。miR-122は、HCVゲノムの5’非コード領域にある2つの近接したシード配列部位に結合することにより、HCVと相互作用し、HCVゲノムの安定化をもたらし、複製及び翻訳を補助する(Jangra et al.,J Virol.,2010,84:6615-6625;Machlin,et al.,2011)。重要なことに、miR-122結合部位は、すべての遺伝子型及びサブタイプにおいてHCVゲノム内に完全に保存されている(Wilson et al.,J.Virol.,2011,85:2342-2350)。miR-122を抗-miRにより阻害することにより、マウス及びカニクイザルの総循環コレステロールレベルが低下し、コレステロールの恒常性、脂肪酸、及び脂質代謝に関与する遺伝子の発現が変化する(Esau et al.,2006,Cell Metabolism,3:87-98)。慢性治療を受けていないHCV感染対象では、LNA修飾抗-miR-122オリゴヌクレオチドであるmiravirsenにより、血清HCV RNAの減少が生じた(Janssen et al.,N Engl J Med.,2013,368:1685-1694)。肝細胞を標的とした抗miR-122化合物であるRG-101の単回投与は忍容性が高く、その結果、HCV感染対象においてウイルス量が大幅に減少した(van der Ree et al.,2017,Lancet,389(10070):709-717)。
【0004】
現在の直接作用型抗ウイルスは、高率の持続的ウイルス応答を達成しているが、現在の治療に応答しないか、または治療の奏功後に再発する十分でないHCV感染対象の集団が存在する。抗ウイルス療法への耐性は、HCVの高い突然変異率に関連する主要な問題であり、薬剤の組み合わせでも見られる。さらに、長期間(例えば、ハーボニー(登録商標)の場合は12週間)経口剤を少なくとも1日1回投与する必要がある治療レジメンに対する対象のコンプライアンスが不十分な場合、高い奏効率の達成が妨げられるおそれがある。したがって、miR-122などの保存された突然変異耐性ウイルス宿主因子を標的とする治療法は、より高く、より持続的な治癒率をもたらす機会を表している。
【発明の概要】
【0005】
実施形態1
以下の構造:
【化1】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0006】
実施形態2
本構造の薬学的に許容される塩である、実施形態1に記載の化合物。
【0007】
実施形態3
本構造のナトリウム塩である、実施形態2に記載の化合物。
【0008】
実施形態4
実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物及び薬学的に許容される希釈剤を含む医薬組成物。
【0009】
実施形態5
薬学的に許容される希釈剤が水溶液である、実施形態4に記載の医薬組成物。
【0010】
実施形態6
水溶液が生理食塩水である、実施形態5に記載の医薬組成物。
【0011】
実施形態7
凍結乾燥組成物である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物を含む医薬組成物。
【0012】
実施形態8
実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物を含む生理食塩水から本質的になる医薬組成物。
【0013】
実施形態9
細胞を実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物と接触させることを含む、細胞内のmiR-122の活性を阻害する方法。
【0014】
実施形態10
細胞がin vivoに存在する、実施形態9に記載の方法。
【0015】
実施形態11
細胞がin vitroに存在する、実施形態9に記載の方法。
【0016】
実施形態12
HCV感染対象に、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態4~8のいずれか1つに記載の医薬組成物の少なくとも1つの用量を投与することを含む、HCV感染を治療する方法。
【0017】
実施形態13
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療する方法であって、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態4~8のいずれか1つに記載の医薬組成物及び少なくとも1つの直接作用型抗ウイルス(DAA)の少なくとも1つの用量を、治療期間中に、HCV感染対象に投与することを含み、治療期間の期間は12週間以内であり、化合物または医薬組成物の開始用量が治療期間の開始時に投与され、化合物または医薬組成物の終了用量が治療期間の終了時に投与される、前記方法。
【0018】
実施形態14
開始用量及び終了用量が、治療期間中に投与される化合物または医薬組成物の唯一の用量である、実施形態13に記載の方法。
【0019】
実施形態15
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療する方法であって、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態4~8のいずれか1つに記載の医薬組成物及び少なくとも1つの直接作用型抗ウイルス(DAA)の少なくとも1つの用量を、治療期間中に、HCV感染対象に投与することを含み、治療期間の期間は12週間以内であり、化合物または医薬組成物の開始用量が治療期間の開始時に投与され、開始用量が、治療期間中に投与される化合物または医薬組成物の唯一の用量である、前記方法。
【0020】
実施形態16
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療する方法であって、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態4~8のいずれか1つに記載の医薬組成物及び少なくとも1つの直接作用型抗ウイルス(DAA)の少なくとも1つの用量を、治療期間中に、HCV感染対象に投与することを含み、治療期間の期間は12週間以内であり、化合物または医薬組成物の終了用量が、治療期間の終了時に投与され、終了用量が、治療期間中に投与される化合物または医薬組成物の唯一の用量である、前記方法。
【0021】
実施形態17
治療期間の期間が2~10週間、4~8週間、2~6週間、または1~4週間である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
実施形態18
治療期間の期間が、11週間、10週間、9週間、8週間、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間、または1週間である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
実施形態19
治療期間の期間が、26日、27日、28日、29日、または30日である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
実施形態20
治療期間の期間が、28日または29日である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
実施形態21
治療期間の期間が、18日、19日、20日、21日、または22日である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
実施形態22
治療期間の期間が、21日または22日である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
実施形態23
治療期間の期間が、12日、13日、14日、15日、または16日である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
実施形態24
治療期間の期間が、14日または15日である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
実施形態25
治療期間の期間が、6日、7日、8日、または9日である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
実施形態26
治療期間の期間が、7日または8日である、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
実施形態27
化合物または医薬組成物の開始用量及びDAAの第1の用量が、互いの7日以内に投与される、実施形態13~15または17~26のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
実施形態28
化合物または医薬組成物の開始用量が、DAAの第1の用量の1日前に投与される、実施形態13~15または17~26のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
実施形態29
化合物または医薬組成物の開始用量が、DAAの第1の用量と同じ日に投与される、実施形態13~15または17~26のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
実施形態30
化合物または医薬組成物の開始用量が、DAAの第1の用量の1日後に投与される、実施形態13~15または17~26のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
実施形態31
化合物または医薬組成物の終了用量及びDAAの終了用量が、互いの7日以内に投与される、実施形態13、14または16~26のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
実施形態32
化合物または医薬組成物の終了用量が、DAAの最終用量の1日前に投与される、実施形態13、14または16~26のいずれか1つに記載の方法。
【0037】
実施形態33
化合物または医薬組成物の終了用量が、DAAの最終用量と同じ日に投与される、実施形態13、14または16~26のいずれか1つに記載の方法。
【0038】
実施形態34
化合物または医薬組成物の終了用量が、DAAの最終用量の翌日に投与される、実施形態13、14または16~26のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
実施形態35
HCV感染対象において遺伝子型1に感染している、実施形態12~34のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
実施形態36
HCV感染対象が遺伝子型1aに感染している、実施形態35に記載の方法。
【0041】
実施形態37
HCV感染対象が遺伝子型1bに感染している、実施形態35に記載の方法。
【0042】
実施形態38
HCV感染対象が遺伝子2型に感染している、実施形態12~34のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
実施形態39
HCV感染対象が遺伝子3型に感染している、実施形態12~34のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
実施形態40
HCV感染対象が遺伝子4型に感染している、実施形態12~34のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
実施形態41
HCV感染対象が遺伝子5型に感染している、実施形態12~34のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
実施形態42
HCV感染対象が遺伝子6型に感染している、実施形態12~34のいずれか1つに記載の方法。
【0047】
実施形態43
HCV感染対象が、1つ以上の耐性関連多型を有するHCVに感染していると決定される、実施形態12~42のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
実施形態44
HCV感染対象が治療を受けていない対象である、実施形態12~43のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
実施形態45
HCV感染対象がHCV関連疾患を有する、実施形態12~44のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
実施形態46
HCV関連疾患が肝硬変、肝線維症、脂肪性肝炎、脂肪症、または肝細胞癌である、実施形態45に記載の方法。
【0051】
実施形態47
HCV感染対象が腎機能障害を伴うHCV感染対象である、実施形態12~46のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
実施形態48
HCV感染対象が、HCV/HIV同時感染対象である、実施形態12~47のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
実施形態49
投与することにより持続的ウイルス応答が達成される、実施形態12~48のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
実施形態50
治療期間の終了時または治療期間の終了後の時点で、HCV RNAレベルが定量下限(LLOQ)を下回る、実施形態13~49のいずれか1項に記載の方法。
【0055】
実施形態51
HCV RNAレベルが、治療期間の終了後4週間で、LLOQを下回る、実施形態50に記載の方法。
【0056】
実施形態52
HCV RNAレベルが、治療期間の終了後8週間で、LLOQを下回る、実施形態50または51に記載の方法。
【0057】
実施形態53
HCV RNAレベルが、治療期間の終了後12週間で、LLOQを下回る、実施形態50~52のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態54
HCV RNAレベルが、治療期間の終了後24週間で、LLOQを下回る、実施形態50~53のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態55
HCV RNAレベルが、治療期間の終了後36週間で、LLOQを下回る、実施形態50~54のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施形態56
HCV RNAレベルが、治療期間の終了後48週間で、LLOQを下回る、実施形態50~55のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
実施形態57
LLOQが、25IU/mLである、実施形態50~56のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態58
LLOQが、15IU/mLである、実施形態50~56のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態59
LLOQが、12IU/mLである、実施形態50~56のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態60
HCV RNAレベルが、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応に基づくアッセイを使用して定量化される、実施形態50~59のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態61
DAAは1日1回投与される、実施形態13~60のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態62
DAAが、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤、ヌクレオチドポリメラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤、NS3B阻害剤、NS3/4A阻害剤、NS4A阻害剤、NS5A阻害剤、NS5B阻害剤、及びシクロフィリン阻害剤から選択される、実施形態13~61のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態63
DAAは、ソホスブビル、レジパスビル、オムビタスビル、ダサブビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、エルバスビル、グラゾプレビル、リバビリン、オムビタスビル、パリタプレビル、リトナビル、ボセプレビル、バニプレビル、アスナプレビル、ダクラタスビル、シメプレビル、メリシタビン、テゴブビル、ダノプレビル、ソバプレビル、ボキシラプレビル、ベルパタスビル、及びGSK2878175のうちの1つ以上から選択される、実施形態13~62のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態64
少なくとも1つのDAAがソホスブビルを含む、実施形態13~63のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
実施形態65
少なくとも1つのDAAがレジパスビル及びソホスブビルを含む、実施形態13~64のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
実施形態66
化合物の用量が4.0mg/kg以下、3.5mg/kg以下、3.0mg/kg以下、2.5mg/kg以下、2.0mg/kg以下、1.5mg/kg以下、1.0mg/kg以下、または0.5mg/kg以下である、実施形態12~65のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
実施形態67
治療法に使用するための実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態4~8のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0072】
実施形態68
HCV感染対象の治療に使用するための実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態4~8のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】PBS、RG-101、またはRG6650により治療した後のHCV感染マウスモデルの血清中のHCV RNAの減少を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。特別な定義が与えられない限り、本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、ならびに医化学及び製薬化学に関連して用いられる命名法、ならびにそれらの手順及び技法は、当技術分野において周知であり、一般に使用されるものである。本明細書の用語に複数の定義がある場合は、このセクションの定義が優先される。標準技術が、化学合成、化学分析、薬学的調製、配合、及び送達、ならびに患者の治療のために使用され得る。ある特定のそのような技法及び手順は、例えば、「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」Edited by Sangvi and Cook,American Chemical Society,Washington D.C.,1994;及び「Remington’s Pharmaceutical Sciences」Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,18th edition,1990;の例に見ることができる。これは、任意の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。許容される場合、本明細書の開示全体を通して言及されるすべての特許、特許出願、公開出願及び刊行物、GENBANKシーケンス、ウェブサイト及び他の公開された資料は、特に明記しない限り、参照によりその全体が組み込まれる。URLまたは他のそのような識別子またはアドレスを参照する場合、そのような識別子は変更され得、インターネット上の特定の情報は変更される可能性があると理解されるが、同等の情報は、インターネットを検索することによって見つけることができる。それらへの言及は、そのような情報の入手可能性と一般への普及を証明するものである。
【0075】
本発明の組成物及び方法を開示及び記載する前に、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定的であることを意図するものではないことを理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上、別途明確に指示されない限り、複数形の指示対象を含むことに留意されなければならない。
【0076】
定義
「HCV感染」とは、C型肝炎ウイルスの1つ以上の遺伝子型による感染を意味する。
【0077】
「HCV感染対象」とは、C型肝炎ウイルスの1つ以上の遺伝子型に感染した対象を意味する。HCV感染対象は、HCV感染の症状を呈する場合と呈さない場合がある。HCV感染対象には、1つ以上の遺伝子型のHCV感染対象が含まれるが、対象の血液中のHCV RNAは検出可能レベルを下回っている。
【0078】
「治療を受けていないHCV感染対象」とは、HCV感染の前治療を受けていないHCV感染対象を意味する。
【0079】
「HCV関連疾患」とは、HCV感染によって媒介される病理学的プロセスを意味する。HCV関連疾患としては、これらに限定されないが、肝硬変、肝線維症、脂肪性肝炎、及び肝細胞癌が挙げられる。
【0080】
「血液HCV RNA」は、HCV感染対象の血液中に存在するC型肝炎ウイルスRNAを意味する。血液には、全血及び血清が含まれる。
【0081】
「血液」とは、全血ならびに血清及び血漿などの血液画分を意味する。
【0082】
「血清HCV RNAのリバウンド」とは、以前のHCV RNAレベルの減少後にHCV RNAレベルが増加することを意味する。
【0083】
「HCV RNAレベル」は、対象の血液の所与の体積中のHCV RNAの量を意味する。HCV RNAレベルは、1ミリリットルあたりのRNAのコピーとして表すことができる。「HCV RNAレベル」は、「HCVウイルス量」または「HCVRNA力価」と呼ばれることもある。HCV RNAレベルは、in vitro逆転写ポリメラーゼ連鎖反応アッセイを使用して測定され得る。
【0084】
「持続的ウイルス学的応答」とは、治療の全過程の終了時及びさらに12週間後の対象の血液中の検出不可能なC型肝炎ウイルスRNAを意味する。特定の実施形態では、HCV RNAは、血液1ミリリットルあたり40コピー未満では検出不可能と見なされる。
【0085】
「SVRX」(Xは、治療期間終了以降の週数)は、治療期間の終了後のその時点での持続的ウイルス学的応答を意味する。例えば、SVR8は、治療期間の終了後8週間での持続的ウイルス学的応答である。
【0086】
「非応答者」とは、治療を受けたが、疾患マーカーまたは症状の臨床的に許容可能な改善を経験していない対象を意味する。
【0087】
「インターフェロン非応答者」とは、インターフェロンによる治療を受けたが、HCV RNAレベルの臨床的に許容可能な低下を経験していないHCV感染対象を意味する。
【0088】
「直接作用型抗ウイルス剤」または「DAA」は、HCVゲノムによってコードされるタンパク質と直接相互作用することによって、HCVの活性を阻害する医薬剤を意味する。DAAは、NS3/4Aプロテアーゼ、NS5A非構造タンパク質、またはNS5Bポリメラーゼの阻害剤であり得る。DAAは、ヌクレオシド化合物、または非ヌクレオシド化合物であり得る。
【0089】
「直接作用型抗ウイルス非応答者」とは、直接作用型抗ウイルス剤による治療を受けたが、HCV RNAレベルの臨床的に許容可能な低下を経験していないHCV感染対象を意味する。特定の実施形態では、ウイルスは、直接作用型抗ウイルス剤に対する耐性を発現させている。
【0090】
「腎機能障害」とは、腎臓が血液から老廃物を適切に濾過できない状態を意味する。腎機能障害は、推定糸球体濾過速度、または測定された糸球体濾過速度によって決定され得る。腎機能障害は、クレアチニンクリアランスによっても決定され得る。
【0091】
「miR-122関連状態」とは、miR-122を調節することによって治療、予防、または改善できるあらゆる疾患、障害、または状態を意味する。miR-122関連疾患は、過剰なmiR-122を特徴とする必要はない。miR-122関連疾患としては、これらに限定されないが、HCV感染、コレステロール上昇、鉄過剰症が挙げられる。
【0092】
「鉄過剰症」とは、身体内の過剰な鉄を特徴とするあらゆる疾患、障害、または状態を意味する。
【0093】
「対象」とは、処置または治療のために選択されたヒトを意味する。
【0094】
「それを必要としている対象」とは、処置または治療を必要としていると特定された対象を意味する。
【0095】
「有することが疑われる対象」とは、疾患の1つ以上の臨床的指標を呈する対象を意味する。
【0096】
「投与すること」は、対象に医薬剤または組成物を提供することを意味し、これらに限定されないが、医療専門家による投与及び自己投与が挙げられる。
【0097】
「非経口投与」とは、注入または注射を介する投与を意味する。
【0098】
非経口投与としては、これらに限定されないが、皮下投与、静脈内投与、及び筋肉内投与が挙げられる。
【0099】
「皮下投与」とは、皮膚の直下への投与を意味する。
【0100】
「静脈内投与」とは、静脈内への投与を意味する。
【0101】
「同時に投与される」とは、任意の方法での対象への2つ以上の剤の同時投与を指し、各薬剤の薬理学的効果が対象に存在する。同時投与は、これら両方の剤が、単一の医薬組成物で、同一の剤形で、または同一の投与経路によって投与される必要はない。これら両方の剤の効果が同時に現われる必要はない。効果は、ある期間の重複のみ必要とし、共に広範囲に及ぶ必要はない。
【0102】
「期間」とは、活性または事象が継続している期間を意味する。特定の実施形態では、治療期間とは、ある用量の医薬剤または医薬組成物が投与される期間である。
【0103】
「治療法」とは、疾患の治療方法を意味する。特定の実施形態では、治療法として、これらに限定されないが、化学療法、放射線療法、または医薬剤の投与が挙げられる。
【0104】
「治療」とは、疾患の治癒または改善のために使用される1つ以上の特定の手順を適用することを意味する。特定の実施形態では、特定の手順は、1つ以上の医薬剤を投与することである。
【0105】
「改善」とは、状態または疾患の少なくとも1つの指標の重症度が低下することを意味する。特定の実施形態では、改善は、状態または疾患の1つ以上の指標の進行を遅延させることまたは減速させることを含む。指標の重症度は、当業者に公知である主観的尺度または客観的尺度によって決定され得る。
【0106】
「発症のリスクがある」とは、対象が状態または疾患を発症する素因がある状態を意味する。特定の実施形態では、状態または疾患を発症するリスクのある対象は、状態または疾患の1つ以上の症状を呈するが、状態または疾患と診断されるのに十分な数の症状を呈さない。特定の実施形態では、状態または疾患を発症するリスクのある対象は、状態または疾患の1つ以上の症状を呈するが、状態または疾患と診断される必要がある程度は低い。
【0107】
「発生を予防する」とは、疾患または状態を発症するリスクのある対象における状態または疾患の発症を予防することを意味する。特定の実施形態では、疾患または状態を発症するリスクのある対象は、すでに疾患または状態を有する対象が受けられる治療と同様の治療を受ける。
【0108】
「発生を遅延させる」とは、疾患または状態を発症するリスクがある対象において、状態または疾患の発症を遅延させることを意味する。特定の実施形態では、疾患または状態を発症するリスクのある対象は、すでに疾患または状態を有する対象が受けられる治療と同様の治療を受ける。
【0109】
「治療剤」とは、疾患の治癒、改善または予防に使用される医薬剤を意味する。
【0110】
「用量」とは、単回投与で提供される医薬剤の特定の量を意味する。特定の実施形態では、用量は、2またはそれ以上のボーラス、錠剤、または注射で投与され得る。例えば、ある特定の実施形態では、皮下投与が所望される場合、所望の用量は、単回注射では容易に対応できない体積を必要とする。こうした実施形態では、2回以上の注射を使用して、所望の用量を達成してもよい。特定の実施形態では、用量は、個体における注射部位反応を最小化するために、2回以上の注射で投与され得る。特定の実施形態では、用量は、緩徐な注入として投与される。
【0111】
「投薬単位」とは、医薬剤が提供される形態を意味する。ある特定の実施形態では、投薬単位は、凍結乾燥されたオリゴヌクレオチドを含むバイアルである。ある特定の実施形態では、投薬単位は、再構成されたオリゴヌクレオチドを含むバイアルである。
【0112】
「治療有効量」とは、動物に治療的利益をもたらす医薬剤の量を意味する。
【0113】
「医薬組成物」とは、個体への投与に好適な物質の混合物を意味し、医薬剤を含む。例えば、医薬組成物は、滅菌水溶液を含み得る。
【0114】
「医薬剤」とは、対象に投与されたときに治療的効果を提供する物質を意味する。
【0115】
「活性医薬成分」とは、所望の効果を提供する医薬組成物中の物質を意味する。
【0116】
「薬学的に許容される塩」は、本明細書で提供される化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩、すなわち、化合物の所望の生物学的活性を保持し、対象に投与されたときに望ましくない毒物学的効果を有さない塩を意味する。本明細書で提供される化合物の非限定的で例示的な薬学的に許容される塩としては、ナトリウム及びカリウム塩の形態が挙げられる。本明細書で使用される「化合物」、「オリゴヌクレオチド」、及び「修飾オリゴヌクレオチド」という用語は、特に明記しない限り、その薬学的に許容される塩を含む。
【0117】
「生理食塩水」とは、塩化ナトリウムの水溶液を意味する。
【0118】
「器官機能の改善」とは、正常な限界に向かう臓器機能の変化を意味する。特定の実施形態では、器官機能は、対象の血液または尿中に見出される分子を測定することによって評価される。例えば、特定の実施形態では、肝機能の改善は、血中の肝トランスアミナーゼレベルの低下によって測定される。特定の実施形態では、腎機能の改善は、血中尿素窒素の減少、タンパク尿の減少、アルブミン尿の減少などによって測定される。
【0119】
「許容可能な安全性プロファイル」とは、臨床的に許容可能な制限内にある副作用のパターンを意味する。
【0120】
「副作用」とは、所望の効果以外の、治療に起因する生理学的応答を意味する。ある特定の実施形態では、副作用としては、これらに限定されないが、注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝臓毒性、腎臓毒性、中枢神経系異常、及びミオパシーが挙げられる。このような副作用は、直接的または間接的に検出され得る。例えば、血清中のアミノトランスフェラーゼレベルの増加は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。例えば、ビリルビンの増加は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。
【0121】
「注射部位反応」とは、個体の注射部位での皮膚の炎症または異常な発赤を意味する。
【0122】
「対象のコンプライアンス」とは、対象が推奨または処方された治療法を順守することを意味する。
【0123】
「遵守する」とは、対象が推奨された治療法を順守することを意味する。
【0124】
「推奨された治療法」とは、疾患を治療する、改善する、遅延させる、または予防するために医療専門家によって推奨された治療を意味する。
【0125】
「miR-122」とは、核酸塩基配列UGGAGUGUGACAAUGGUGUUUG(配列番号1)を有するマイクロRNAを意味する。
【0126】
「オリゴヌクレオチド」とは、各々が互いに独立して、修飾され得るかまたは修飾され得ない複数の連結したヌクレオシドを含む化合物を意味する。
【0127】
「修飾オリゴヌクレオチド」は、天然に存在する末端、糖、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間連結に対して1つ以上の修飾を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。修飾オリゴヌクレオチドは、非修飾ヌクレオシドを含み得る。
【0128】
「抗miR」は、マイクロRNAに相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを意味する。
【0129】
「抗miR-122」は、miR-122に相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを意味する。特定の実施形態では、抗miR-122は、miR-122に対して完全に相補的である(すなわち、100%相補的である)。特定の実施形態では、抗miR-122は、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、または100%相補的である。
【0130】
「標的化」とは、標的核酸にハイブリダイズする核酸塩基配列の設計及び選択のプロセスを意味する。
【0131】
「を標的にする」とは、標的核酸へのハイブリダイゼーションが可能になる核酸塩基配列を有することを意味する。
【0132】
「変調」とは、機能、量、または活性の摂動を意味する。特定の実施形態では、変調は、機能、量、または活性の増加を意味する。特定の実施形態では、変調は、機能、量、または活性の低下を意味する。
【0133】
「発現」とは、遺伝子のコード化された情報が、細胞内に存在し、作動する構造に変換される任意の機能及びステップを意味する。
【0134】
「核酸塩基配列」は、オリゴマー化合物または核酸における隣接している核酸塩基の順序を意味し、典型的には、任意の糖、連結、及び/または核酸塩基の修飾とは関係なく、5’から3’の配向で列挙される。
【0135】
「隣接する核酸塩基」とは、核酸内で互いに直接隣接する核酸塩基を意味する。
【0136】
「核酸塩基相補性」とは、2つの核酸塩基が水素結合を介して非共有結合により対になる能力を意味する。
【0137】
「相補的」とは、1つの核酸が別の核酸またはオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができることを意味する。特定の実施形態では、相補的とは、標的核酸にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを指す。
【0138】
「完全に相補的」とは、オリゴヌクレオチドの各核酸塩基が、標的核酸内の対応する各位置において、核酸塩基と対を形成できることを意味する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、マイクロRNAに対して完全に相補的である(100%相補的とも呼ばれる)。すなわち、オリゴヌクレオチドの各核酸塩基は、マイクロRNA内の対応する位置において、核酸塩基に対して相補的である。修飾オリゴヌクレオチドは、マイクロRNAに完全に相補的であり、かつマイクロRNAの長さよりも短い複数の連結ヌクレオシドを有し得る。例えば、10個の連結されたヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの各核酸塩基がマイクロRNAの対応する位置において核酸塩基に相補的である場合、マイクロRNAに完全に相補的である。
【0139】
「パーセント相補性」とは、標的核酸の等長部分に相補的であるオリゴヌクレオチドの核酸塩基の割合を意味する。相補性パーセントは、標的核酸中の対応する位置において核酸塩基に相補的であるオリゴヌクレオチド中の核酸塩基の数を、オリゴヌクレオチド中の核酸塩基の総数で割ることによって計算される。
【0140】
「パーセント同一性」とは、第2の核酸中の対応する位置において核酸塩基と同一である第1の核酸中の核酸塩基の数を、第1の核酸中の核酸塩基の総数で割ったものを意味する。特定の実施形態では、第1の核酸は、マイクロRNAであり、第2の核酸は、マイクロRNAである。特定の実施形態では、第1の核酸は、オリゴヌクレオチドであり、第2の核酸は、オリゴヌクレオチドである。
【0141】
「ハイブリダイゼーション」は、核酸塩基の相補性を介して起こる相補的な核酸のアニーリングを意味する。
【0142】
「ミスマッチ」は、第2の核酸の対応する位置において、核酸塩基とワトソンクリックペアリングすることができない第1の核酸の核酸塩基を意味する。
【0143】
核酸塩基配列の文脈における「同一」とは、糖、連結、及び/または核酸塩基修飾とは関係なく、かつ存在する任意のピリミジンのメチル状態とは関係なく、同じ核酸塩基配列を有することを意味する。
【0144】
「マイクロRNA」とは、長さが18~25核酸塩基の内因性非コードRNAを意味し、酵素ダイサーによるプレマイクロRNAの切断の産物である。成熟したマイクロRNAの例は、マイクロRNAデータベースとして公知であるmiRBase(http://microrna.sanger.ac.uk/)で見られる。特定の実施形態では、マイクロRNAは、「マイクロRNA」または「miR」と略される。
【0145】
「マイクロRNA調節転写物」とは、マイクロRNAによって調節される転写物を意味する。
【0146】
「シード配列」とは、成熟マイクロRNA配列の5’末端の核酸塩基2~7を含む核酸塩基配列を意味する。
【0147】
「シードマッチ配列」とは、シード配列に相補的であり、シード配列と同じ長さである核酸塩基配列を意味する。
【0148】
「天然に存在するヌクレオシド間連結」とは、ヌクレオシド間の3’から5’へのホスホジエステル連結を意味する。
【0149】
「天然糖」とは、DNA(2’-H)またはRNA(2’-OH)に見られる糖を意味する。
【0150】
「ヌクレオシド間連結」とは、隣接しているヌクレオシド間の共有結合による連結を意味する。
【0151】
「連結ヌクレオシド」とは、共有結合による連結によって結合されたヌクレオシドを意味する。
【0152】
「核酸塩基」は、別の核酸塩基と非共有結合により対を形成することができる複素環部分を意味する。
【0153】
「ヌクレオシド」とは、糖部分に連結された核酸塩基を意味する。
【0154】
「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合により連結したリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
【0155】
複数の連結ヌクレオシド「からなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物」とは、特定の数の連結ヌクレオシドを有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を意味する。したがって、化合物は、追加の置換基または抱合体を含み得る。特に明記しない限り、化合物は、修飾オリゴヌクレオチドのものを超える任意の追加のヌクレオシドを含まない。
【0156】
「修飾ヌクレオシド」とは、天然に存在するヌクレオシドからの何らかの変化を有するヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドは、修飾された糖、及び非修飾核酸塩基を有し得る。修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分及び修飾核酸塩基を有し得る。修飾ヌクレオシドは、天然糖及び修飾核酸塩基を有し得る。特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、二環式ヌクレオシドである。特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、非二環式ヌクレオシドである。
【0157】
「2’-修飾ヌクレオシド」は、位置が2-デオキシリボースまたはリボースで番号付けされているので、フラノシル環の2’位に相当する位置に任意の修飾を有する糖を含むヌクレオシドを意味する。2’-修飾ヌクレオシドとしては、これに限定されないが、二環式糖部分を含むヌクレオシドが挙げられることが理解されるものとする。
【0158】
「修飾ヌクレオシド間連結」は、天然に存在するヌクレオシド間連結からのあらゆる変化を意味する。
【0159】
「ホスホロチオエートヌクレオシド間連結」とは、非架橋原子のうちの1つが硫黄原子であるヌクレオシド間の連結、すなわちOP(O)(S)O-を意味する。誤解を避けるために、硫黄原子はプロトン化されているか、Na+、K+などの対イオンと関連し得る。
【0160】
「ホスホジエステル連結」は、構造-OP(O)2O-を有するヌクレオシド間での連結を意味する。誤解を避けるために、非架橋酸素のうちの1つがプロトン化され得るか、またはNa+、K+などの対イオンと関連し得る。
【0161】
「非修飾核酸塩基」とは、RNAまたはDNAの天然に存在する複素環式塩基を意味し、プリンは、アデニン(A)及びグアニン(G)をベースとし、ピリミジンは、チミン(T)、シトシン(C)(5-メチルシトシンなど)、及びウラシル(U)をベースとする。
【0162】
「5-メチルシトシン」とは、シトシン環の5位に付着しているメチル基を含むシトシンを意味する。
【0163】
「非メチル化シトシン」とは、シトシン環の5位にメチル基付着しているメチル基を有さないシトシンを意味する。
【0164】
「修飾核酸塩基」とは、非修飾核酸塩基ではない任意の核酸塩基を意味する。
【0165】
「糖部分」とは、天然に存在するフラノシルまたは修飾糖部分を意味する。
【0166】
「修飾糖部分」とは、置換糖部分または糖代理物を意味する。
【0167】
「2’-O-メチル糖」または「2’-OMe糖」とは、2’位にO-メチル修飾を有する糖を意味する。
【0168】
「2’-O-メトキシエチル糖」または「2’-MOE糖」は、2’位にO-メトキシエチル修飾を有する糖を意味する。
【0169】
「2’-O-フルオロ」または「2’-F」は、2’位のフルオロ修飾を有する糖を意味する。
【0170】
「二環式糖部分」とは、4~7員環の2個の原子を接続して第2の環を形成して、二環式構造をもたらす橋を含む4~7員環(これに限定されないが、フラノシルなど)を含む修飾糖部分を意味する。特定の実施形態では、4~7員環は、糖環である。特定の実施形態では、4~7員環は、フラノシルである。ある特定のそのような実施形態では、橋は、フラノシルの2’-炭素と4’-炭素とを接続する。非限定的な例示的な二環式糖部分としては、LNA、ENA、cEt、S-cEt、及びR-cEtが挙げられる。
【0171】
「ロックド核酸(LNA)糖部分」とは、4’及び2’のフラノース環原子の間に(CH2)-Oブリッジを含む置換糖部分を意味する。
【0172】
「ENA糖部分」とは、4’及び2’のフラノース環原子の間に(CH2)2-Oブリッジを含む置換糖部分を意味する。
【0173】
「拘束エチル(cEt)糖部分」は、4’及び2’フラノース環原子の間にCH(CH3)-Oブリッジを含む置換糖部分を意味する。特定の実施形態では、CH(CH3)-Oブリッジは、S配向に拘束されている。特定の実施形態では、CH(CH3)-Oブリッジは、R配向に拘束されている。
【0174】
「S-cEt糖部分」とは、4’及び2’のフラノース環原子の間にS-拘束CH(CH3)-Oブリッジを含む置換糖部分を意味する。
【0175】
「R-cEt糖部分」は、4’及び2’のフラノース環原子の間にR拘束されたCH(CH3)-Oブリッジを含む置換糖部分を意味する。
【0176】
「2’-O-メチルヌクレオシド」は、2’-O-メチル糖修飾を有する修飾ヌクレオシドを意味する。
【0177】
「2’-O-メトキシエチルヌクレオシド」とは、2’-O-メトキシエチル糖修飾を有する修飾ヌクレオシドを意味する。2’-O-メトキシエチルヌクレオシドは、修飾または非修飾の核酸塩基を含み得る。
【0178】
「2’-フルオロヌクレオシド」は、2’-フルオロ糖修飾を有する修飾ヌクレオシドを意味する。2’-フルオロヌクレオシドは、修飾または非修飾核酸塩基を含み得る。
【0179】
「二環式ヌクレオシド」とは、二環式糖部分を有する修飾ヌクレオシドを意味する。二環式ヌクレオシドは、修飾または非修飾の核酸塩基を有し得る。
【0180】
「cEtヌクレオシド」は、cEt糖部分を含むヌクレオシドを意味する。cEtヌクレオシドは、修飾または非修飾核酸塩基を含み得る。
【0181】
「S-cEtヌクレオシド」は、S-cEt糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0182】
「R-cEtヌクレオシド」は、R-cEt糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0183】
「β-D-デオキシリボヌクレオシド」とは、天然に存在するDNAヌクレオシドを意味する。
【0184】
「β-D-リボヌクレオシド」とは、天然に存在するRNAヌクレオシドを意味する。
【0185】
「LNAヌクレオシド」は、LNA糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0186】
「ENAヌクレオシド」は、ENA糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0187】
本明細書で使用される「連結基」は、1つ以上の共有結合を介して第1の化学成分を第2の化学成分に付着させる原子または原子の群を指す。
【0188】
本明細書で使用される「リンカー」は、1つ以上の共有結合を介して1つ以上のリガンドを修飾または非修飾ヌクレオシドに付着させる原子または原子群を指す。修飾または非修飾ヌクレオシドは、本明細書に記載の修飾オリゴヌクレオチドの一部であり得るか、またはホスホジエステルもしくはホスホロチオエート結合を介して修飾オリゴヌクレオチドに付着させ得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のリガンドを修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に付着させる。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のリガンドを修飾オリゴヌクレオチドの5’末端に付着させる。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のリガンドを、修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に付着させた修飾または非修飾ヌクレオシドに付着させる。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のリガンドを、修飾オリゴヌクレオチドの5’末端に付着させた修飾または非修飾ヌクレオシドに付着させる。リンカーが1つ以上のリガンドを修飾オリゴヌクレオチドの3’末端または修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に付着させた修飾または非修飾ヌクレオシドに付着させる場合、いくつかの実施形態では、リンカーの付着点は、修飾または非修飾糖部分の3’炭素であり得る。リンカーが1つ以上のリガンドを修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または修飾オリゴヌクレオチドの5’末端に付着させた修飾または非修飾ヌクレオシドに付着させる場合、いくつかの実施形態では、リンカーの付着点は、修飾または非修飾糖部分の5’炭素であり得る。
【0189】
概要
RG-101は、miR-122を標的とするGalNAc抱合型修飾オリゴヌクレオチドである。完了した第I相ヒトの概念証明研究では、単剤療法としてのRG-101の単回皮下用量による治療により、遺伝子型の治療が困難な対象、様々な肝線維症の状態及び以前のIFNを含むレジメンの後にウイルスの再発を経験した対象など、治療を受けたすべてのHCV感染対象においてウイルス量が有意に減少した。
【0190】
RG-101と複数の承認された直接作用型抗ウイルス(DAA)薬の組み合わせを評価する完了した第II相試験では、RG-101とハーボニー(登録商標)を投与されたすべての対象が48週間の追跡期間を通じてウイルス量の有意かつ持続的な減少を経験した。RG-101及びダクルインザ(商標)またはオリシオ(登録商標)を投与された群での奏効率は、100%未満であった。第2相試験中、200名中10名の対象が一過性の高ビリルビン血症を経験し、これは、正常上限(ULN)を超える抱合型及び総ビリルビンの増加を特徴としている。米国食品医薬品局は、慢性HCV感染症の治療用のRG-101のINDを臨床試験差し止めとした。
【0191】
追加の対象固有の寄与因子を明確に除外することはできないが、本明細書に記載のとおり、RG-101による抱合型ビリルビン輸送の阻害が、観察された高ビリルビン血症に寄与した可能性が高いと考えられる。これを考慮して、強力なHCV抗ウイルス活性を維持し、MRP2トランスポーターを介したビリルビン輸送への実質的な干渉がないことなど、好適な安全性プロファイルを有するmiR-122を標的とする代替化合物のスクリーニングを実施した。このスクリーニングプロセスにより、化合物RG6650をこれらの基準を満たす抗miR-122化合物として同定した。
【0192】
特定の抗-miR-122化合物
ここに提供されるのは、GalNAc含有抱合部分及びmiR-122に相補的な修飾オリゴヌクレオチドを含むRG6650という名前の化合物である。修飾オリゴヌクレオチドはRG7443と名付けられ、構造USCSACSACSTCSCSを有し、下付き文字が続かないヌクレオシドは、β-D-デオキシリボヌクレオシドであり、下付き文字「S」が続くヌクレオシドは、S-cEtヌクレオシドであり、各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。
【0193】
特定の実施形態では、化合物RG6650は、以下の構造によって表される:
【化2】
式中、MOは、修飾オリゴヌクレオチドであり、構造は、U
SC
SAC
SAC
STC
SC
Sであり、下付き文字が続かないヌクレオシドはβ-D-デオキシリボヌクレオシドであり、下付き文字「S」が続くヌクレオシドは、S-cEtヌクレオシドであり、各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結であり;X
1が、ホスホジエステル連結であり;mは、1であり;Nは、β-D-デオキシリボアデノシンであり;X
2は、ホスホジエステル連結であり;抱合部分は、修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に連結されている。
【0194】
特定の実施形態では、化合物RG6650は、以下の構造によって表される:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0195】
各ヌクレオシド間連結(例えば、各ホスホロチオエート連結及び各ホスホジエステル連結)において、非架橋ヘテロ原子(例えば、S-またはO-)は、プロトン化される得か、またはNa+、K+などの対イオンと結合され得る。化合物の薬学的に許容される塩は、分子あたりのホスホロチオエート及び/またはホスホジエステル連結が存在するよりも少ないカチオン性対イオン(Na+、K+など)を含み得る(すなわち、いくつかのホスホロチオエート及び/またはホスホジエステル連結は、プロトン化され、いくつかは対イオンと結合される)。いくつかの実施形態では、RG6650の薬学的に許容される塩は、RG6650の分子あたり10未満のカチオン性対イオン(Na+、K+など)を含む。すなわち、いくつかの実施形態では、RG6650の薬学的に許容される塩は、平均して、RG6650の分子あたり1、2、3、4、5、6、7、8または9のカチオン性対イオンを含み得、残りのホスホロチオエート及び/またはホスホジエステル連結は、プロトン化されている。
【0196】
本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される化合物、及び薬学的に許容される希釈剤を含む医薬組成物である。特定の実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、水溶液である。特定の実施形態では、水溶液は生理食塩水である。本明細書で使用される場合、薬学的に許容される希釈剤は、無菌の希釈剤であると理解されている。
【0197】
特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下注射により投与される。追加の好適な投与経路としては、これらに限定されないが、静脈内投与、経口投与、及び筋肉内投与が挙げられる。
【0198】
抗miR-122化合物及び組成物の特定の使用
本明細書に提供されるのは、HCV感染の治療のための方法であり、本方法は、HCV感染対象に本明細書に提供される化合物または医薬組成物の少なくとも1つの用量を投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、HCV感染対象を選択することを含む。
【0199】
現在の直接作用型抗ウイルスは、高率の持続的ウイルス応答を達成しているが、現在の治療に応答しないか、または治療の奏功後に再発する十分でないHCV感染対象の集団が存在する。抗ウイルス療法への耐性は、HCVの高い突然変異率に関連する主要な問題であり、薬剤の組み合わせでも見られる。さらに、長期間(例えば、ハーボニー(登録商標)の場合は12週間)経口剤を少なくとも1日1回投与する必要がある治療レジメンに対するHCV感染対象のコンプライアンスが不十分な場合、高い奏効率の達成が妨げられ得る。ウイルス宿主因子miR-122を標的とする抗miR-122治療薬と、1つ以上の直接作用型抗ウイルス剤とを組み合わせた治療は、例えば、対象のコンプライアンスの改善、副作用の減少、及び/またはより大きな効果などを通じて、より高く、より耐久性のある治癒率を達成する機会を表わす。したがって、特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、治療期間中の、本明細書で提供される化合物または医薬組成物及び少なくとも1つの直接作用型抗ウイルス剤(DAA)の同時投与を含む方法である。
【0200】
特定の実施形態では、治療期間は、少なくとも1つのDAA単独の治療期間よりも実質的に短い。
【0201】
本明細書で提供されるのは、治療期間中に、本明細書で提供される化合物または医薬組成物及び少なくとも1つの直接作用型抗ウイルス(DAA)をHCV感染対象に投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療する方法であり、治療期間の期間は12週間以内であり、化合物または医薬組成物の開始用量が治療期間の開始時に投与され、化合物または医薬組成物の終了用量が治療期間の終了時に投与される。特定の実施形態では、開始用量及び終了用量は、治療期間中に投与される化合物または医薬組成物の唯一の用量である。
【0202】
本明細書で提供されるのは、治療期間中に、本明細書で提供される化合物または医薬組成物及び少なくとも1つのDAAをHCV感染対象に投与することを含む、HCV感染を治療する方法であり、治療期間の期間は12週間以内であり、化合物または医薬組成物の開始用量は、治療期間の開始時に投与され、開始用量は、治療期間中に投与される化合物または医薬組成物の唯一の用量である。
【0203】
本明細書で提供されるのは、治療期間中に、本明細書で提供される化合物または医薬組成物及び少なくとも1つのDAAをHCV感染対象に投与することを含む、HCV感染を治療する方法であり、治療期間の期間は12週間以内であり、化合物または医薬組成物の終了用量は、治療期間の終了時に投与され、終了用量は、治療期間中に投与される化合物または医薬組成物の唯一の用量である。
【0204】
本明細書で提供される方法のいずれにおいても、治療期間の期間は、11週間以下、10週間以下、9週間以下、8週間以下、7週間以下、6週間以下、5週間以下、4週以下、2週間以下、または1週間以下である。本明細書で提供される方法のいずれにおいても、治療期間の期間は、1~12週間、2~10週間、4~8週間、2~6週間、または1~4週間である。本明細書で提供される方法のいずれにおいても、治療期間の期間は、11週間、10週間、9週間、8週間、7週間、6週間、または5週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、11週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、10週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、9週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、8週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、7週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、6週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、5週間である。
【0205】
特定の実施形態では、治療期間の期間は、4週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、3週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、2週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、1週間である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、26日、27日、28日、29日、または30日である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、28日または29日である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、18日、19日、20日、21日、または22日である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、21日である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、12日、13日、14日、15日、または16日である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、14日または15日である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、6日、7日、または8日である。特定の実施形態では、治療期間の期間は、7日または8日である。
【0206】
特定の実施形態では、化合物または医薬組成物の開始用量及び少なくとも1つのDAAの第1の用量は、互いの7日以内に投与される。特定の実施形態では、化合物または医薬組成物の開始用量は、少なくとも1つのDAAの第1の用量の1日前に投与される。特定の実施形態では、化合物または医薬組成物の開始用量は、少なくとも1つのDAAの第1の用量と同じ日に投与される。特定の実施形態では、化合物または医薬組成物の開始用量は、少なくとも1つのDAAの第1の用量の1日後に投与される。特定の実施形態では、化合物または医薬組成物の終了用量及び少なくとも1つのDAAの最終用量は、互いの7日以内に投与される。特定の実施形態では、化合物または医薬組成物の終了用量は、少なくとも1つのDAAの最終用量の1日前に投与される。特定の実施形態では、化合物または医薬組成物の終了用量は、少なくとも1つのDAAの最終用量と同じ日に投与される。特定の実施形態では、化合物または医薬組成物の終了用量は、少なくとも1つのDAAの最終用量の翌日に投与される。
【0207】
特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5mg/kg以下、4.5mg/kg以下、4mg/kg以下、3.5mg/kg以下、3mg/kg以下、2.5mg/kg以下、2mg/kg以下、1.5mg/kg以下、1mg/kg以下、0.75mg/kg以下、0.5mg/kg以下、または0.25mg/kg以下の用量で投与される。
【0208】
特定の実施形態では、HCV感染対象は、遺伝子型1に感染している。特定の実施形態では、HCV感染対象は、遺伝子型1aに感染している。特定の実施形態では、HCV感染対象は、遺伝子型1bに感染している。特定の実施形態では、HCV感染対象は、遺伝子2型に感染している。特定の実施形態では、HCV感染対象は、遺伝子3型に感染している。特定の実施形態では、HCV感染対象は、遺伝子4型に感染している。HCV感染対象は、遺伝子5型に感染している。特定の実施形態では、HCV感染対象は、遺伝子6型に感染している。
【0209】
特定の実施形態では、HCV感染対象は、遺伝子型1a、遺伝子型1b、遺伝子型2a、遺伝子型2b、遺伝子型2c、遺伝子型2d、遺伝子型3a、遺伝子型3b、遺伝子型3c、遺伝子型3d、遺伝子型3e、遺伝子型3f、遺伝子型4a、遺伝子型4b、遺伝子型4c、遺伝子型4d、遺伝子型4e、遺伝子型4f、遺伝子型4g、遺伝子型4h、遺伝子型4i、遺伝子型4j、遺伝子型5a、または遺伝子型6aに感染している。
【0210】
HCVゲノムは、ウイルスRNAの複製及びビリオンアセンブリに必須であるいくつかのタンパク質をコードしている。HCVゲノムは、高速で突然変異できる。場合によっては、DAAによる治療は、DAAに対するウイルスの耐性に関連している可能性のあるヌクレオチド配列多型の出現をもたらす。したがって、本明細書で提供されるのは、1つ以上の耐性関連多型を有するHCV遺伝子型に感染したHCV感染対象の治療方法である。特定の実施形態では、HCV感染対象は、治療前に、1つ以上の耐性関連多型の存在について検査される。多型の存在は、いくつかの実施形態では、HCV RNAの配列決定を行うことによって決定され得る。
【0211】
特定の実施形態では、HCV RNAに存在するのは、1つ以上のHCVコード化タンパク質において1つ以上のアミノ酸多型をコードするヌクレオチド変化である。特定の実施形態では、アミノ酸多型は、HCVにコードされたNS5Aタンパク質にある。特定の実施形態では、NS5Aアミノ酸多型は、NS5Aタンパク質のアミノ酸位置M28、Q30、L31、及びY93のうちの1つ以上にある。特定の実施形態では、アミノ酸多型は、HCVにコードされたNS3タンパク質にある。特定の実施形態では、アミノ酸多型は、NS3タンパク質の位置Q80、S122、R155、D168、及びD169のうちの1つ以上にある。特定の実施形態では、アミノ酸多型は、HCVにコードされたNS4Aタンパク質にある。特定の実施形態では、アミノ酸多型は、HCVにコードされたNS4Bタンパク質にある。特定の実施形態では、アミノ酸多型は、HCVにコードされたNS5Bタンパク質にある。
【0212】
特定の実施形態では、HCV感染対象は、治療を受けていないHCV感染対象であり、すなわち、対象は、本明細書に提供される治療のために選択される前に治療を受けていない。特定の実施形態では、治療は、HCV感染対象へインターフェロンを投与することを含まない。特定の実施形態では、HCV感染対象は、インターフェロン非応答者である。特定の実施形態では、HCV感染対象は、直接作用型抗ウイルス非応答者である。
【0213】
HCV感染対象は、HCV関連疾患を発症し得る。HCV感染の主な肝学的結果は、肝硬変、ならびに出血、肝不全、及び肝細胞癌などの合併症である。追加の合併症は、線維症であり、この疾患は、細胞外マトリックス成分の沈着を引き起こす慢性炎症の結果であり、肝構造の歪み及び微小循環及び肝機能の遮断につながる。HCV感染のさらなる合併症は、脂肪症であり、次いで、糖尿病、タンパク質栄養失調、高血圧、細胞毒素、肥満、及び無酸素症などの肝外の病状につながり得る。合併症は、重症度が増すにつれて、肝臓は最終的に機能不全になり得、HCV感染対象は、肝移植を必要とする場合がある。HCV感染対象も、肝細胞癌を発症し得る。特定の実施形態では、HCV感染対象は、HCV関連疾患を有する。特定の実施形態では、HCV関連疾患は、肝硬変、線維症、脂肪性肝炎、脂肪症、及び/または肝細胞癌である。
【0214】
特定の実施形態では、HCV感染対象は、肝移植レシピエントである。
【0215】
特定の実施形態では、HCV感染対象は、HCV以外の1つ以上のウイルスに感染している。特定の実施形態では、HCV感染対象は、HCV/HIV同時感染対象であり、すなわち、対象は、HCV及びHIVの両方に感染している。特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、HIV感染の治療に使用される抗ウイルス剤の投与を含む。特定の実施形態では、追加の治療剤は、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)である。特定の実施形態では、追加の治療剤は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、プロテアーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、侵入阻害剤または融合阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、インテグラーゼ阻害剤である。特定の実施形態では、追加の治療剤は、エファビレンツ、エトラビリン、ネビラピン、アバカビル、エムトリシタビン、テノホビル、ラミブジン、ジドブジン、アタザナビル、ダルナビル、フォサンプレナビル、リトナビル、エンフビルチド、マラビロク、及びラルテグラビルから選択される。
【0216】
特定の実施形態では、HCV感染対象は、腎機能障害を伴うHCV感染対象である。腎機能障害は、推定糸球体濾過速度(eGFR)を決定することによって評価され得る。特定の実施形態では、対象は、軽度の腎機能障害を有する。特定の実施形態では、軽度腎機能障害は、糸球体濾過速度60~89ml/分/1.73m2を特徴とする。特定の実施形態では、対象は、中等度腎機能障害を有する。特定の実施形態では、中等度腎機能障害は、糸球体濾過速度30~59ml/分/1.73m2を特徴とする。特定の実施形態では、対象は、重度腎機能障害を有する。特定の実施形態では、重度腎機能障害は、糸球体濾過速度15~29ml/分/1.73m2を特徴とする。特定の実施形態では、対象は腎不全を経験している。特定の実施形態では、腎不全を経験している対象は、15ml/分/1.73m2未満の糸球体濾過速度を有する。腎機能障害を有するHCV感染対象に投与される化合物またはDAAの投薬量は、腎機能障害を有する対象における薬物の薬物動態学的挙動に応じて、腎機能障害を有さない対象に投与される投薬量よりも多くまたは少なく調整され得る。
【0217】
特定の実施形態では、本明細書で提供される治療は、HCV感染の症状である。HCV感染は、多くの場合、無症候性であるが、存在する場合、HCV感染の症状としては、これらに限定されないが、肝臓内または肝臓周辺の痛み、黄疸、悪心、食欲不振、及び倦怠感が挙げられる。
【0218】
HCV RNAレベルは、HCV感染の診断、疾患活動の監視、及び/または治療に対するHCV感染対象の応答の監視に使用され得る。特定の実施形態では、本明細書で提供される治療は、HCV RNAレベルを低下させる。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、HCV感染を治療するのに有効な量で、化合物または医薬組成物及びDAAを投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、血清1ミリリットルあたり350,000コピーを超える、血清1ミリリットルあたり350,000~3,500,000コピー、または血清1ミリリットルあたり3,500,000コピーを超えるHCV RNAレベルを有する対象を選択することを含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、HCV RNAレベルを低下させることを含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、HCV RNAレベルを、血清1ミリリットルあたり200コピー未満、血清1ミリリットルあたり100コピー未満、血清1ミリリットルあたり40コピー未満に低下させることを含む。HCV RNAレベルは、「ウイルス量」または「HCVRNA力価」と呼ばれる得る。
【0219】
HCV RNAレベルの変化は、対数変化として記載される場合がある。例えば、60,000から600への低下は、HCV RNAレベルの2logの低下となる。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法では、2log以上のHCV RNAレベルの減少が達成される。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、少なくとも0.5倍、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも5000倍、または少なくとも10,000倍のHCV RNAレベルの低下を達成する。
【0220】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、持続的ウイルス学的応答を達成することを含む。特定の実施形態では、HCV RNAレベルは、治療期間終了前または終了時の定量下限(LLOQ)を下回っている。特定の実施形態では、HCV RNAレベルは、治療期間の終了後4週間でLLOQを下回る。特定の実施形態では、HCV RNAレベルは、治療期間の終了後8週間でLLOQを下回る。特定の実施形態では、HCV RNAレベルは、治療期間の終了後12週間でLLOQを下回る。特定の実施形態では、HCV RNAレベルは、治療期間の終了後24週間でLLOQを下回る。特定の実施形態では、HCV RNAレベルは、治療期間の終了後36週間でLLOQを下回る。特定の実施形態では、HCV RNAレベルは、治療期間の終了後48週間でLLOQを下回る。特定の実施形態では、LLOQは、25IU/mLである。特定の実施形態では、LLOQは、15IU/mLである。特定の実施形態では、LLOQは、12IU/mLである。
【0221】
特定の実施形態では、HCV RNAレベルは、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応に基づくアッセイを使用して定量化される。アッセイでは、定量下限(LLOQ)が異なり得る。例えば、High Pure Systemで使用するためのCOBASTaqMan HCV test(バージョン2.0)は、定量下限(LLOQ)25IU/mLを有し、COBAS AmpliPrep/COBAS Taqman HCV test(バージョン2.0)は、LLOQ15IU/mLを有する。Abbott RealTime HCV testの定量下限(LLOQ)は、12IU/mLを有する。
【0222】
HCV感染対象は、HCV治療レジメン後、HCV RNAレベルの減少、その後HCV RNAレベルの上昇を経験し得る。その後の上昇は、HCVRNAレベルのリバウンドとして公知である。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、HCV RNAレベルのリバウンドを防ぐ。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、HCV RNAレベルのリバウンドを遅延させる。
【0223】
本明細書で提供される実施形態のいずれかにおいて、少なくとも1つのDAAは、1日1回または1日2回投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、1日1回投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、1日2回投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤、ヌクレオシドNS5Bポリメラーゼ阻害剤、及び非ヌクレオシドNS5Bポリメラーゼ阻害剤から選択される。特定の実施形態では、NS5A阻害剤は、エルバスビルである。特定の実施形態では、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤は、グラゾプレビルである。特定の実施形態では、NS5A阻害剤は、オムビタスビルである。特定の実施形態では、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤は、パリタプレビルである。特定の実施形態では、非ヌクレオシドNS5Bポリメラーゼ阻害剤は、ダスブビル(dasbuvir)である。特定の実施形態では、NS5A阻害剤は、ダクラタスビルである。特定の実施形態では、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤は、シメプレビルである。特定の実施形態では、NS5A阻害剤は、レジパスビルである。特定の実施形態では、NS5Bポリメラーゼ阻害剤は、ソホスブビルである。特定の実施形態では、NS3/4A阻害剤は、グレカプレビルである。特定の実施形態では、NS5A阻害剤は、ピブレンタスビルである。特定の実施形態では、1つ以上の直接作用型抗ウイルス剤が投与される。
【0224】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、ソホスブビル、レジパスビル、オムビタスビル、ダサブビル、エルバスビル、グラゾプレビル、リバビリン、オムビタスビル、パリタプレビル、リトナビル、ボセプレビル、バニプレビル、アスナプレビル、ダクラタスビル、シメプレビル、メリシタビン、テゴブビル、ダノプレビル、ソバプレビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル、ボキシラプレビル、ベルパタスビル、及びGSK2878175から選択される。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、HCV感染を治療するのに有効な量で投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、DAAが本明細書で提供される化合物または医薬組成物なしで投与されるときに処方される治療期間よりも短い治療期間で投与される。
【0225】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、ソホスブビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、400mgのソホスブビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、400mgのソホスブビルを含む1つの錠剤であり、1日1回経口投与される。ソホスブビルは、リバビリンの有無にかかわらず投与され得る。
【0226】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、レジパスビル及びソホスブビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、90mgの用量で投与されるレジパスビル及び400mgの用量でのソホスブビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、90mgのレジパスビル及び400mgのソホスブビルを含み、1日1回経口投与される1つの錠剤である。
【0227】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、シメプレビルまたはその塩形態を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、150mgの投薬量で投与されるシメプレビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、150mgのシメプレビルを含む1つのカプセルであり、1日1回経口投与される。
【0228】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、ダクラタスビルまたはその塩形態を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、60mgの投薬量で投与されるダクラタスビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、60mgのダクラタシビル(daclatasivir)を含む1つの錠剤であり、1日1回経口投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、各々が30mgのダクラタスビルを含む2つの錠剤であり、1日1回経口投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、60mgの用量で投与されるダクラタシブル(daclatasivr)及び400mgの用量で投与されるソホスブビルを含む。特定の実施形態では、HCV感染対象は、1つ以上の耐性関連多型を有するHCV遺伝子型に感染していると判断される。特定の実施形態では、耐性関連多型は、NS5A多型である。特定の実施形態では、NS5A多型は、位置M28、Q30、L31、及びY93のうちの1つ以上にある。
【0229】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、グレカプレビル及びピブレンタスビル、またはそれらの塩形態を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、100mgの用量で投与されるグレカプラビル及び40mgの用量で投与されるピブレンタスビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、それぞれが100mgのグレカプラビル及び40mgのピブレンタスビルを含有する3つの錠剤であり、1日1回経口投与される。
【0230】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、オムビタスビル、パリタプレビル、リトナビル、及びダサブビル、またはそれらの塩形態を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、12.5mgの投薬量で投与されるオムビタスビル、75mgの投薬量で投与されるパリタプレビル、50mgの投薬量で投与されるリトナビル、及び250mgの投薬量で投与されるダサブビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、それぞれが12.5mgのオムビタスビル、75mgのパリタプレビル、50mgのリトナビルを1日1回経口投与する2錠、及び250mgのダサブビルを含む1錠を1日2回投与する。
【0231】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、オムビタスビル、パリタプレビル、リトナビル、ダサブビル、及びリバビリンを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、12.5mgの投薬量で投与されるオムビタスビル、75mgの投薬量で投与されるパリタプレビル、50mgの投薬量で投与されるリトナビル、及び800mg、1000mg、1200mg、または1400mgの投薬量で投与されるリバビリンを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、各々が12.5mgのオムビタスビル、75mgのパリタプレビル、50mgのリトナビルを1日1回経口投与する2錠、250mgのダサブビルを含む1錠を1日2回投与、及び800mg、1000mg、1200mg、または1400mgの用量のリバビリンを投与する。
【0232】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、エルバスビル及びグラゾプレビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、50mgの用量で投与されるエルバスビル及び100mgの用量で投与されるグラゾプレビルを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、50mgのエルバスビル及び100mgのグラゾプレビルを含み、1日1回経口投与される1つの錠剤である。
【0233】
特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、エルバスビル、グラゾプレビル、及びリバビリンを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、50mgの用量で投与されるエルバスビル、100mgの用量で投与されるグラゾプレビル、及び800mg、1000mg、1200mg、または1400mgの用量で投与されるリバビリンを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのDAAは、1日1回経口投与する50mgのエルバスビル、及び100mgのグラゾプレビル、1000mg、1200mg、または1400mgの用量で投与するリバビリンを含む1錠である。特定の実施形態では、HCV感染対象は、1つ以上の耐性関連多型を有するHCV遺伝子型に感染していると判断される。特定の実施形態では、耐性関連多型は、NS5A多型である。特定の実施形態では、NS5A多型は、位置M28、Q30、L31、及びY93のうちの1つ以上にある。
【0234】
リバビリンの推奨投薬量は、体重に基づく。特定の実施形態では、リバビリンの1日投薬量は、体重が75kg未満の対象に対して1000mgである。特定の実施形態では、1日投薬量は、75kg以上の体重の対象について1200mgのリバビリンである。
【0235】
特定の実施形態では、1日投薬量は、2つの分割された用量で経口投与され、朝に1つの用量が投与され、夕方に1つの用量が投与される。特定の実施形態では、リバビリンは、200mgのリバビリンを含むカプセルとして提供される。
【0236】
特定の実施形態では、リバビリンの1日投薬量は、体重が66kg未満の対象に対して800mgである。特定の実施形態では、リバビリンの1日投薬量は、体重66~80kgの対象に対して1000mgである。特定の実施形態では、リバビリンの1日投薬量は、体重81~105kgの対象に対して1200mgである。特定の実施形態では、リバビリンの1日投薬量は、体重が105kgを超える対象に対して1400mgである。
【0237】
本明細書で提供される化合物または医薬組成物の投与は、HCV感染対象に投与される少なくとも1つのDAAの用量または頻度の低減が可能になり得る。投与される1つ以上のDAAの量または頻度が低減することにより、副作用を減少させ得、かつ/または対象のコンプライアンスが改善され得る。したがって、特定の実施形態では、治療期間中に投与される少なくとも1つのDAAの用量は、DAAが単独で投与される場合よりも低い用量である。例えば、少なくとも1つのDAAは、少なくとも1つのDAAが単独で投与される場合よりも25%低い用量で投与され得る。特定の実施形態では、治療期間中に投与される少なくとも1つのDAAの用量は、少なくとも1つのDAAが単独で投与される場合よりも少ない頻度で投与される。例えば、少なくとも1つのDAAは、1日1回ではなく、1週間に1回投与され得る。特定の実施形態では、投与される少なくとも1つのDAAの量及び頻度は両方とも、少なくとも1つのDAAが単独で投与される場合よりも少ない。
【0238】
特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物及び少なくとも1つのDAAは、単一の医薬組成物として投与され、すなわち、化合物及び少なくとも1つのDAAは、医薬組成物中で共配合される。好適な投与経路としては、皮下、静脈内、経口、または筋肉内投与が挙げられる。
【0239】
特定の実施形態では、1つ以上の追加の治療剤が、HCV感染対象に投与される。特定の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、免疫療法、免疫調節剤、治療ワクチン、抗線維化剤、抗炎症剤、気管支拡張剤、粘液溶解剤、抗ムスカリン剤、抗ロイコトリエン、細胞接着阻害剤、抗酸化剤、サイトカインアゴニスト、サイトカインアンタゴニスト、肺界面活性剤、抗菌剤、抗癌剤、RNAi剤またはシクロフィリン阻害剤を含む。
【0240】
特定の実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、補因子阻害剤、HCV構造タンパク質阻害剤、シクロフィリン阻害剤、侵入阻害剤、TLR7アゴニスト、及びインターフェロンから選択され得る。
【0241】
現在のほとんどの治療法の目標は、インターフェロンを使用しないようにすることであるが、一部のHCV感染対象では、インターフェロンによる治療が保証され得る。特定の実施形態では、追加の治療剤は、インターフェロン、リバビリン、及びテラプレビルから選択される。特定の実施形態では、インターフェロンは、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、ペグインターフェロンアルファ-2b、及びペグインターフェロンアルファ-2aから選択される。
【0242】
HCV感染対象は、異常な肝機能を経験する可能性があり、これは、ビリルビン、アルブミン、及びプロトロンビン時間のうちの1つ以上を測定することによって評価される。肝臓の炎症を評価するために、肝臓の酵素であるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の測定が行われる。これらのマーカーの1つ以上の異常なレベルは、異常な肝機能を示し得る。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、肝機能を正常化させることを含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、肝酵素レベルを正常化させることを含む。
【0243】
本明細書で提供される方法のいずれにおいても、化合物は、医薬組成物中に存在し得る。
【0244】
本明細書で提供される化合物は、治療法で使用するためのものであり得る。特定の実施形態では、化合物は、HCV感染対象を治療する際に使用するためのものである。HCV感染対象を治療する際に使用するための化合物は、特定の実施形態では、本明細書に記載の任意の治療方法で使用するためのものであり得る。
【0245】
HCV感染対象への抗miR-122化合物の投与は、血清コレステロールの低下をもたらし、したがって、本明細書で提供される抗miR-122化合物の活性を単独でまたは有効性の別の指標、例えばHCV RNAレベルの低下に加えて評価するためのバイオマーカーとして使用され得る。したがって、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される化合物または医薬組成物をHCV感染対象に投与することと、対象から血液サンプルを収集することと、HCV感染対象からの血液サンプル中のコレステロールを測定することと、を含む方法である。コレステロールのレベルは、HCV感染対象における抗miR-122化合物活性の指標として使用され得る。
【0246】
特定の修飾
特定の実施形態では、本明細書には、抱合部分(例えば、リンカーまたはリガンド)の特徴が、化合物の所望の特性(例えば、HCV感染対象のHCV RNAレベルを低下させる効力、及びMRP2トランスポーターの有意な阻害がない)を保持するように修飾される化合物が提供される。
【0247】
RG6650、及びRG7443を含む化合物は、構造C:
Ln-リンカー-X1-Nm-X2-MO
によって記載され得る。
式中、各Lは、独立して、リガンドであり;nは、1~10であり;各Nは、独立して、修飾または非修飾ヌクレオシドであり、mは、1~5であり;X1は、ホスホジエステル連結またはホスホロチオエート連結であり;X2は、ホスホジエステル連結またはホスホロチオエート連結であり;MOは、RG7443である。
【0248】
例えば、RG6650は、構造Cの次の実施形態によって説明することができる:
【化4】
式中、MOは、修飾オリゴヌクレオチドであり、構造U
SC
SAC
SAC
STC
SC
S(RG7443)を有し、下付き文字が続かないヌクレオシドはβ-D-デオキシリボヌクレオシドであり、下付き文字「S」が続くヌクレオシドは、S-cEtヌクレオシドであり、各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結であり;X
1は、ホスホジエステル連結であり;mは、1であり;Nは、β-D-デオキシリボアデノシンであり;X
2は、ホスホジエステル連結であり;抱合部分は、修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に連結されている。
【0249】
特定の実施形態では、構造Cの1つ以上のリガンドは、GalNAc部分のように、肝臓への取り込みを促進するリガンドであり得る。そのようなリガンドとしては、コレステロール、及びこれらに限定されないが、ガラクトースまたはガラクトース誘導体などのアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に対して親和性を有する他のリガンドが挙げられる。特定の実施形態では、ASGPRに対して親和性を有するリガンドは、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミルガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイルガラクトサミン、またはN-イソ-ブタノイル-ガラクトサミンである。
【0250】
特定の実施形態では、nが1より大きい場合、リンカーは、化合物の残りの部分(すなわち、修飾オリゴヌクレオチド(MO)、X
1-N
m-X
2-MO、X-N
m-Y-MOなど)に2つ以上のLを連結できる足場を含む。いくつかのそのような実施形態では、化合物(構造A、B、C、またはDの化合物など)のL
nリンカー部分は、構造Eを含む:
【化5】
式中、各Lは、独立して、リガンドであり;nは、1~10であり;Sは、足場であり;Q’及びQ’’は、独立して、連結基である。
【0251】
特定の実施形態では、各Q’及びQ’’は、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。
【0252】
特定の実施形態では、足場は、2、3、4、または5のリガンドを修飾オリゴヌクレオチドに連結する。特定の実施形態では、足場は、3つのリガンドを修飾オリゴヌクレオチドに連結する。
【0253】
非限定的な例示的な構造Eは、構造E(i)である:
【化6】
式中、L
1、L
2、及びL
3は、それぞれ、独立して、リガンドであり;Q’
1、Q’
2、Q’
3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、連結基であり、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ、独立して、H、C
1~C
6アルキル、及び置換C
1~C
6アルキルから選択される。
【0254】
いくつかの実施形態では、Q’1、Q’2、Q’3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ、H及びメチルから選択される。
【0255】
さらなる非限定的な例示的な構造Eは、構造E(ii)である:
【化7】
式中、L
1、L
2、及びL
3は、それぞれ、独立して、リガンドであり;Q’
1、Q’
2、Q’
3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、連結基であり、R
1は、H、C
1~C
6アルキル、及び置換C
1~C
6アルキルから選択される。
【0256】
いくつかの実施形態では、Q’1、Q’2、Q’3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。いくつかの実施形態では、R1は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R1は、Hまたはメチルである。
【0257】
さらなる非限定的な例示的な構造Eは、構造E(iii)である:
【化8】
式中、L
1、L
2、及びL
3は、それぞれ、独立して、リガンドであり;Q’
1、Q’
2、Q’
3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、連結基であり、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ、独立して、H、C
1~C
6アルキル、及び置換C
1~C
6アルキルから選択される。
【0258】
いくつかの実施形態では、Q’1、Q’2、Q’3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ、H及びメチルから選択される。
【0259】
さらなる非限定的な例示的な構造Eは、構造E(iv)である:
【化9】
式中、L
1及びL
2は、それぞれ、独立して、リガンドであり;Q’
1、Q’
2、及びQ’’は、それぞれ、独立して、連結基であり、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ、独立して、H、C
1~C
6アルキル、及び置換C
1~C
6アルキルから選択される。
【0260】
いくつかの実施形態では、Q’1、Q’2、及びQ’’は、それぞれ、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3は、それぞれ、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3は、それぞれ、H及びメチルから選択される。
【0261】
さらなる非限定的な例示的な構造Eは、構造E(v)である:
【化10】
式中、L
1及びL
2は、それぞれ、独立して、リガンドであり;Q’
1、Q’
2、及びQ’’は、それぞれ、独立して、連結基であり、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ、独立して、H、C
1~C
6アルキル、及び置換C
1~C
6アルキルから選択される。
いくつかの実施形態では、Q’
1、Q’
2、及びQ’’は、それぞれ、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、置換C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、置換C
2~C
20アルキニル、C
1~C
20アルコキシ、置換C
1~C
20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。いくつかの実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ、H及びメチルから選択される。
【0262】
さらなる非限定的な例示的な構造Eは、構造E(vi)である:
【化11】
式中、L
1、L
2、及びL
3は、それぞれ、独立して、リガンドであり;Q’
1、Q’
2、Q’
3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、連結基であり、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ、独立して、H、C
1~C
6アルキル、及び置換C
1~C
6アルキルから選択される。
【0263】
いくつかの実施形態では、Q’1、Q’2、Q’3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3は、それぞれ、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3は、それぞれ、H及びメチルから選択される。
【0264】
さらなる非限定的な例示的な構造Eは、構造E(vii)である:
【化12】
式中、L
1、L
2、及びL
3は、それぞれ、独立して、リガンドであり;Q’
1、Q’
2、Q’
3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、連結基であり、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ、独立して、H、C
1~C
6アルキル、及び置換C
1~C
6アルキルから選択され、Z及びZ’は、それぞれO及びSから独立して選択される。
【0265】
いくつかの実施形態では、Q’1、Q’2、Q’3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3は、それぞれ、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3は、それぞれ、H及びメチルから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのP原子上のZまたはZ’はSであり、他のZまたはZ’は、O(すなわち、ホスホロチオエート連結)である。いくつかの実施形態では、各-OP(Z)(Z’)O-は、ホスホロチオエート連結である。いくつかの実施形態では、Z及びZ’は両方とも、少なくとも1つのP原子(すなわち、ホスホジエステル連結)上のOである。いくつかの実施形態では、各-OP(Z)(Z’)O-は、ホスホジエステル連結である。
【0266】
さらなる非限定的な例示的な構造Eは、構造E(viii)である:
【化13】
式中、L
1、L
2、及びL
3は、それぞれ、独立して、リガンドであり;Q’
1、Q’
2、Q’
3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、連結基であり、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ、独立して、H、C
1~C
6アルキル、及び置換C
1~C
6アルキルから選択される。
【0267】
いくつかの実施形態では、Q’1、Q’2、Q’3、及びQ’’は、それぞれ、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ、H及びメチルから選択される。
【0268】
非限定的な例示的な足場及び/または足場を含むリンカー、及びそれらの合成は、例えば、PCT公開番号WO2013/033230、米国特許第8,106,022 B2号、米国公開第2012/0157509A1号;米国特許第5,994,517号;米国特許第7,491,805B2号;米国特許第8,313,772B2号;Manoharan,M.,Chapter 16,Antisense Drug Technology,Crooke,S.T.,Marcel Dekker,Inc.,2001,391-469に記載されている。
【0269】
特定の実施形態では、化合物のL
n-リンカー部分は、構造Fを含む:
【化14】
式中、
Bは、-O-、-S-、-N(R
N)-、-Z-P(Z’)(Z’’)O-、-Z-P(Z’)(Z’’)O-N
m-X-、及び-Z-P(Z’)(Z’’)O-N
m-Y-から選択され;
MOは、RG7443であり;
R
Nは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びベンジルから選択され;
Z、Z’、及びZ’’は、それぞれO及びSから独立して選択され;
各Nは、独立して、修飾または非修飾ヌクレオシドであり;
mは、1~5であり;
Xは、ホスホジエステル連結及びホスホロチオエート連結から選択され;
Yは、ホスホジエステル連結であり;
波線は、残りのリンカー及びリガンド(複数可)への接続を示す。
【0270】
特定の実施形態では、波線は、上記の構造Eへの接続を示す。
【0271】
特定の実施形態では、nは1~5、1~4、1~3、または1~2である。特定の実施形態では、nは1である。特定の実施形態では、nは2である。特定の実施形態では、nは3である。特定の実施形態では、nは4である。特定の実施形態では、nは5である。
【0272】
特定の実施形態では、化合物のL
n-リンカー部分は、構造Gを含む:
【化15】
式中、
Bは、-O-、-S-、-N(R
N)-、-Z-P(Z’)(Z’’)O-、-Z-P(Z’)(Z’’)O-N
m-X-、及び-Z-P(Z’)(Z’’)O-N
m-Y-から選択され;
MOは、RG7443であり;
R
Nは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びベンジルから選択され;
Z、Z’、及びZ’’は、それぞれO及びSから独立して選択され;
各Nは、独立して、修飾または非修飾ヌクレオシドであり;
mは、1~5であり;
Xは、ホスホジエステル連結及びホスホロチオエート連結から選択され;
Yは、ホスホジエステル連結であり;
各Lは、独立して、リガンドであり;nは、1~10であり;Sは、足場であり;Q’及びQ’’は、独立して、連結基である。
【0273】
特定の実施形態では、各Q’及びQ’’は、独立して、ペプチド、エーテル、ポリエチレングリコール、アルキル、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、置換C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、置換C2~C20アルキニル、C1~C20アルコキシ、置換C1~C20アルコキシ、アミノ、アミド、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、及び6-アミノヘキサン酸から選択される。
【0274】
化合物の非限定的な例示的なL
n-リンカー部分(例えば、構造FまたはGの)は、以下の構造Hに示されている:
【化16】
ここで、波線は、修飾オリゴヌクレオチドRG7443への、例えば、構造BでのX
1への、または例えば、構造CまたはDでのXもしくはYへの付着を示す。
【0275】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抱合型修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物は、構造Aを有する:
Ln-リンカー-MO;
式中、各Lは独立してリガンドであり、nは、1~10であり;MOは、RG7443である。
【0276】
いくつかの実施形態では、化合物は以下の構造を有する:
【化17】
式中、各Nは、独立して、修飾または非修飾ヌクレオシドであり、mは、1~5であり;X
1及びX
2は、それぞれ、独立して、各ホスホジエステル連結またはホスホロチオエート連結であり;MOは、RG7443である。
【0277】
特定の実施形態では、X1及びX2のうちの少なくとも1つは、ホスホジエステル連結である。特定の実施形態では、X1及びX2のそれぞれは、ホスホジエステル連結である。
【0278】
特定の実施形態では、mは、1である。特定の実施形態では、mは、2である。特定の実施形態では、mは、3、4、または5である。特定の実施形態では、mは、2、3、4、または5である。特定の実施形態では、mが1より大きい場合、Nmの各修飾または非修飾ヌクレオシドは、ホスホジエステルヌクレオシド間連結またはホスホロチオエートヌクレオシド間連結によって、Nmの隣接する修飾または非修飾ヌクレオシドに接続され得る。
【0279】
本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、Nmは、N’pN’’であり得、ここで、各N’は、独立して、修飾または非修飾ヌクレオシドであり、pは、0~4であり;N’’は、非修飾糖部分を含むヌクレオシドである。
【0280】
特定の実施形態では、pは0である。特定の実施形態では、pは、1、2、3、または4である。特定の実施形態では、pが1、2、3、または4である場合、各N’は、非修飾糖部分を含む。
【0281】
特定の実施形態では、非修飾糖部分は、β-D-リボースまたはβ-D-デオキシリボースである。
【0282】
pが1、2、3、または4である特定の実施形態では、N’は、プリン核酸塩基を含む。特定の実施形態では、N’’は、プリン核酸塩基を含む。特定の実施形態では、プリン核酸塩基は、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、及び7-メチルグアニンから選択される。特定の実施形態では、N’は、β-D-デオキシリボアデノシンまたはβ-D-デオキシリボグアノシンである。特定の実施形態では、N’’は、β-D-デオキシリボアデノシンまたはβ-D-デオキシリボグアノシンである。
【0283】
特定の実施形態では、pは1であり、N’及びN’’は、それぞれβ-D-デオキシリボアデノシンであり、N’及びN’’はホスホジエステルヌクレオシド間連結によって連結されている。特定の実施形態では、pは1であり、N’及びN’’は、それぞれβ-D-デオキシリボアデノシンであり、N’及びN’’は、ホスホジエステルヌクレオシド間連結によって連結されている。特定の実施形態では、pは1であり、N’及びN’’は、それぞれβ-D-デオキシリボアデノシンであり、N’及びN’’は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結によって連結されている。
【0284】
pが1、2、3、または4である特定の実施形態では、N’は、ピリミジン核酸塩基を含む。特定の実施形態では、N’’は、ピリミジン核酸塩基を含む。特定の実施形態では、ピリミジン核酸塩基は、シトシン、5-メチルシトシン、チミン、ウラシル、及び5,6-ジヒドロウラシルから選択される。
【0285】
特定の実施形態では、各Nの糖部分は、β-D-リボース、β-D-デオキシリボース、2’-O-メトキシ糖、2’-O-メチル糖、2’-フルオロ糖、及び二環式糖部分である。特定の実施形態では、各二環式糖部分は、cEt糖部分、LNA糖部分、及びENA糖部分から独立して選択される。特定の実施形態では、cEt糖部分は、S-cEt糖部分である。特定の実施形態では、cEt糖部分は、R-cEt糖部分である。
【0286】
特定の実施形態では、化合物は、修飾オリゴヌクレオチドの5’末端に連結された抱合部分を含む。特定の実施形態では、化合物は、修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に連結された抱合部分を含む。特定の実施形態では、化合物は、修飾オリゴヌクレオチドの5’末端に連結された抱合部分を含む。特定の実施形態では、化合物は、修飾オリゴヌクレオチドの3’末端に連結された第1の抱合部分と、修飾オリゴヌクレオチドの5’末端に連結された第2の抱合部分とを含む。
【0287】
特定の代謝産物
In vitroまたはin vivoにおけるエキソヌクレアーゼ及び/またはエンドヌクレアーゼに曝露すると、化合物は、化合物全体の様々な位置で切断を受け得る。そのような切断の生成物は、親化合物のある程度の活性を保持し得るので、それ自体、活性代謝物と見なされる。したがって、化合物の代謝産物は、本明細書に記載の方法で使用され得る。特定の実施形態では、(非抱合型または抱合型)修飾オリゴヌクレオチドは、5’末端及び/または3’末端で切断を受け、5’/または3’末端において、親修飾オリゴヌクレオチドと比較して、1、2、または3少ないヌクレオチドを有する代謝産物が得られる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは5’末端で切断を受け、5’末端ヌクレオチドを放出し、親修飾オリゴヌクレオチドと比較して、5’末端においてヌクレオチドが1つ少ない代謝産物をもたらす。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは5’末端で切断を受け、2つの5’末端ヌクレオシドを放出し、親修飾オリゴヌクレオチドと比較して、5’末端で2つ少ないヌクレオチドを有する代謝産物をもたらす。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは3’末端で切断を受け、3’末端ヌクレオチドを放出し、親修飾オリゴヌクレオチドと比較して、3’末端に1つ少ないヌクレオチドを有する代謝産物をもたらす。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは3’末端で切断を受け、2つの3’末端ヌクレオシドを放出し、親修飾オリゴヌクレオチドと比較して、3’末端で2つ少ないヌクレオチドを有する代謝産物をもたらす。
【0288】
抱合部分に連結された修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物はまた、修飾オリゴヌクレオチドとリガンドとの間のリンカー内のある部位で切断を受け得る。特定の実施形態では、切断により、抱合部分の一部分を含む親修飾オリゴヌクレオチドが生じる。特定の実施形態では、切断により、修飾オリゴヌクレオチドとリガンドとの間のリンカーの1つ以上のサブユニットを含む親修飾オリゴヌクレオチドが生じる。例えば、化合物が、構造Ln-リンカー-X1-Nm-X2-MOを有する場合、いくつかの実施形態では、切断により、Nmの1つ以上のヌクレオチドを含む親修飾オリゴヌクレオチドが生じる。いくつかの実施形態では、抱合型修飾オリゴヌクレオチドの切断により、親修飾オリゴヌクレオチドが生じる。いくつかのそのような実施形態では、例えば、化合物が、構造Ln-リンカー-X1-Nm-X2-MOを有する場合、いくつかの実施形態では、切断により、Nmのヌクレオチドをいずれも含まない親修飾オリゴヌクレオチドが生じる。
【0289】
特定の核酸塩基配列
これらに限定されないが、実施例及び配列表に見られるものなど、本明細書に記載の任意の抗miR-122核酸塩基配列は、核酸へのいかなる修飾からも独立している。したがって、配列番号によって定義される核酸は、独立して、1つ以上の糖部分、1つ以上のヌクレオシド間連結、及び/または1つ以上の核酸塩基に対する1つ以上の修飾を含み得る。
【0290】
本出願に添付される配列表が必要に応じて各核酸塩基配列を「RNA」または「DNA」のいずれか一方と特定するが、実際には、それらの配列は、化学修飾の任意の組み合わせによって修飾され得る。当業者は、修飾オリゴヌクレオチドを説明するための「RNA」または「DNA」などの指定がいくらか恣意的であることを容易に理解するであろう。例えば、2’-OH糖部分及びチミン塩基を含むヌクレオシドを含む修飾オリゴヌクレオチドは、修飾糖を有するDNA(DNAの天然2’-Hの場合は、2’-OH)または修飾塩基(RNAの天然ウラシルのためのチミン(メチル化ウラシル))を有するRNAとして説明することができる。
【0291】
したがって、配列表中のものを含むが、これらに限定されない本明細書に提供される核酸配列は、修飾核酸塩基を有するそのような核酸を含むが、これらに限定されない天然または修飾RNA及び/またはDNAの任意の組み合わせを含有する核酸を包含するよう意図される。さらなる例であり、限定するものではないが、核酸塩基配列「ATCGATCG」を有する修飾オリゴヌクレオチドは、修飾または非修飾にかかわらず、これらに限定されないが、配列「AUCGAUCG」を有するものなどのRNA塩基、及び「AUCGATCG」などのいくつかのDNA塩基及びいくつかのRNA塩基を有するもの、及び「ATmeCGAUCG(式中、meCは、5-メチルシトシンを示す)」などの他の修飾塩基を有するオリゴヌクレオチドを含むそのような化合物など、そのような核酸塩基配列を有する任意のオリゴヌクレオチドを包含する。同様に、核酸塩基配列「AUCGAUCG」を有する修飾オリゴヌクレオチドは、修飾または非修飾にかかわらず、これらに限定されないが、配列「ATCGATCG」を有するものなどのDNA塩基、及び「AUCGATCG」などのいくつかのRNA塩基、及び「ATmeCGAUCG(式中、meCは、5-メチルシトシンを示す)」などの他の修飾塩基を有するオリゴヌクレオチドを含むそのような化合物など、そのような核酸塩基配列を有する任意のオリゴヌクレオチドを包含する。
【0292】
特定の修飾
修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基、糖、及び/またはヌクレオシド間連結に対する1つ以上の修飾を含み得る。修飾核酸塩基、糖、及び/またはヌクレオシド間連結は、例えば、細胞取り込みの増強、他のオリゴヌクレオチドまたは核酸標的に対する親和性の増強、及びヌクレアーゼの存在下での安定性の増大などの望ましい特性のために、非修飾形態よりも選択され得る。
【0293】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、安定化ヌクレオシドである。安定化ヌクレオシドの例は、2’修飾ヌクレオシドである。
【0294】
特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。特定の実施形態では、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドは、非修飾核酸塩基を含む。特定の実施形態では、修飾糖は、修飾核酸塩基を含む。特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2’-修飾ヌクレオシドである。
【0295】
特定の実施形態では、2’修飾ヌクレオシドは、二環式糖部分を含む。特定のそのような実施形態では、二環式糖部分は、アルファ配置のD糖である。特定のそのような実施形態では、二環式糖部分は、ベータ配置のD糖である。特定のそのような実施形態では、二環式糖部分は、アルファ配置のL糖である。特定のそのような実施形態では、二環式糖部分は、ベータ配置のL糖である。
【0296】
特定の実施形態では、二環式糖部分は、2’と4’-炭素原子間のブリッジ基を含む。二環式糖部分を含むヌクレオシドは、二環式ヌクレオシドまたはBNAと称される。特定の実施形態では、以下に示すように、二環式ヌクレオシドとしては、これらに限定されないが、(A)α-L-メチレンオキシ(4’-CH
2-O-2’)BNA;(B)β-D-メチレンオキシ(4’-CH
2-O-2’)BNA;(C)エチレンオキシ(4’-(CH
2)
2-O-2’)BNA;(D)アミノオキシ(4’-CH
2-O-N(R)-2’)BNA;(E)オキシアミノ(4’-CH
2-N(R)-O-2’)BNA;(F)メチル(メチレンオキシ)(4’-CH(CH
3)-O-2’)BNA(拘束エチルまたはcEtとも称する);(G)メチレン-チオ(4’-CH
2-S-2’)BNA;(H)メチレン-アミノ(4’-CH2-N(R)-2’)BNA;(I)メチル炭素環式(4’-CH
2-CH(CH
3)-2’)BNA;(J)c-MOE(4’-CH
2-OMe-2’)BNA及び(K)プロピレン炭素環式(4’-(CH
2)
3-2’)BNAが挙げられる。
【化18】
式中、Bxは、核酸塩基部分であり、Rは、独立して、H、保護基、またはC
1~C
12アルキルである。
【0297】
特定の実施形態では、2’修飾ヌクレオシドは、F、OCF3、O-CH3、OCH2CH2OCH3、2’-O(CH2)2SCH3、O-(CH2)2-O-N(CH3)2、-O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、及びO-CH2-C(=O)-N(H)CH3から選択される2’置換基を含む。
【0298】
特定の実施形態では、2’-修飾ヌクレオシドは、F、O-CH3、及びOCH2CH2OCH3から選択される2’-置換基を含む。
【0299】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオシド間修飾を含む。特定のそのような実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間連結は、修飾ヌクレオシド間連結である。特定の実施形態では、修飾ヌクレオシド間連結が、リン原子である。
【0300】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。
【0301】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、ヒポキサンチン、キサンチン、7-メチルグアニン、2-アミノピリジン及び2-ピリドンから選択される。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシンなど、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン及びN-2、N-6及びO-6置換プリンから選択される。
【0302】
特定の合成方法
修飾オリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知である自動化された固相合成法で作製され得る。固相合成中、ホスホルアミダイトモノマーは、固体支持体に共有結合により連結しているヌクレオシドに順次結合する。このヌクレオシドは、修飾オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドである。通常、カップリングサイクルは、脱トリチル化(酸による5’-ヒドロキシル保護基の除去)、カップリング(活性化ホスホロアミダイトの支持体結合ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドへの付着)、酸化または硫化(酸化剤または硫化剤による新しく形成されたホスファイトトリメステルの変換)、及びキャッピング(未反応の5’-ヒドロキシル基のアセチル化)の4つのステップで構成される。最終カップリングサイクルの後、固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドは、脱トリチル化ステップに供され、続いて切断及び脱保護ステップが行われ、同時にオリゴヌクレオチドが固体支持体から放出され、保護基が塩基から除去される。固体支持体を濾過により除去し、濾液を濃縮し、得られた溶液を同一性及び純度について試験する。次に、オリゴヌクレオチドは、例えば、陰イオン交換樹脂が充填されたカラムを使用して精製される。
【0303】
GalNAc抱合型修飾オリゴヌクレオチドは、非抱合型オリゴヌクレオチドを生成した固相合成と同様に、自動化された固相合成により作製され得る。GalNAc抱合型オリゴヌクレオチドの合成中に、ホスホルアミダイトモノマーは、固体支持体に共有結合により連結しているGalNAc抱合体に連続的に連結される。GalNAc抱合体及びGalNAc抱合体固体支持体の合成は、例えば、米国特許第8,106,022号及び国際出願公開第WO2013/033230号に記載されており、これらのそれぞれは、1つ以上のGalNAc部分を含む抱合体など、炭水化物含有抱合体の合成、及び固体支持体に共有結合により連結した抱合体の合成の説明のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0304】
特定の医薬組成物
本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される化合物、及び薬学的に許容される希釈剤を含む医薬組成物である。特定の実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、水溶液である。特定の実施形態では、水溶液は生理食塩水である。本明細書で使用される場合、薬学的に許容される希釈剤は、無菌の希釈剤であると理解されている。好適な投与経路としては、これらに限定されないが、静脈内及び皮下投与が挙げられる。
【0305】
特定の実施形態では、医薬組成物は、好適な希釈剤中で調製され、調製中に酸または塩基でpH7.0~9.0に調整され、次いで滅菌条件下で凍結乾燥された、本明細書で提供される化合物である。その後、凍結乾燥された修飾オリゴヌクレオチドは、好適な希釈剤、例えば、水などの水溶液、または生理食塩水、ハンクス溶液、またはリンゲル液などの生理学的に適合性のある緩衝液で再構成される。再構成された生成物は、皮下注射または静脈内注入として投与される。凍結乾燥された医薬品は、2mLのタイプIの透明なガラスバイアル(硫酸アンモニウム処理)にパッケージされ、ブロモブチルゴムクロージャーで栓をされ、アルミニウムのオーバーシールで密封される。
【0306】
特定の実施形態では、医薬組成物は、投薬単位(例えば、錠剤、カプセル、ボーラスなど)の形態で投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、25mg~250mgから選択される範囲内の用量で本明細書に提供される化合物を含む。特定の実施形態では、こうした医薬組成物は、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg、140mg、145mg、150mg、155mg、160mg、165mg、170mg、175mg、180mg、185mg、190mg、195mg、200mg、205mg、210mg、215mg、220mg、225mg、230mg、235mg、240mg、245mg、または250mgから選択される用量で存在する本明細書に提供される化合物を含む。
【0307】
医薬組成物は、好適な安定剤または高度に濃縮された溶液の調製を可能にする医薬剤の溶解度を増加させる剤も含有し得る。
【0308】
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、それらの当技術分野で確立された使用レベルで、医薬組成物に従来見られる他の補助成分をさらに含み得る。したがって、例えば、組成物は、例えば、鎮痒剤、収斂剤、局所麻酔薬または抗炎症剤などの、追加の適合性のある薬学的に活性な材料を含み得る。
【0309】
特定のmiR-122キット
本発明は、キットも提供する。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で提供される1つ以上の化合物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、バイアル内に存在する。10など、複数のバイアルは、例えば、分配パック内に存在することができる。いくつかの実施形態では、バイアルは、注射器でアクセスできるように製造されている。キットには、本明細書で提供される化合物を使用するための説明書も含まれ得る。
【0310】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で提供される化合物を対象に投与するために使用することができる。そのような場合、本明細書で提供される少なくとも1つの化合物を含むことに加えて、キットは、注射器、アルコールスワブ、綿棒、及び/またはガーゼパッドのうちの1つ以上をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、miR-122に相補的な化合物は、バイアル内ではなく、事前に充填された注射器(例えば、ニードルガードを有する27ゲージ、1/2インチのニードルを備えた単回投与注射器など)内に存在し得る。10などの複数の事前に充填された注射器は、例えば、分配パック内に存在することができる。キットはまた、本明細書で提供される化合物を投与するための説明書を含むことができる。
【0311】
特定の実験モデル
特定の実施形態では、本発明は、実験モデルにおいて本明細書に提供される化合物を使用及び/または試験する方法を提供する。当業者は、本明細書で提供される化合物を評価するために、そのような実験モデルのプロトコルを選択及び修正することができる。
【0312】
抗miR化合物の投与後のマイクロRNAのアンチセンス阻害の効果は、当技術分野で公知である様々な方法によって評価することができる。特定の実施形態では、これらの方法は、in vitroまたはin vivoで細胞または組織中のマイクロRNAレベルを定量化するために使用される。特定の実施形態では、マイクロRNAレベルの変化は、マイクロアレイ分析によって測定される。特定の実施形態では、マイクロRNAレベルの変化は、TaqMan(登録商標)MicroRNAアッセイ(Applied Biosystems,a Life Technologies brand)などのいくつかの市販のPCRアッセイのうちの1つによって測定される。
【0313】
抗miR化合物のin vitro活性は、ルシフェラーゼ細胞培養アッセイを使用して評価され得る。このアッセイでは、マイクロRNAルシフェラーゼセンサー構築物は、ルシフェラーゼ遺伝子に融合した目的のマイクロRNAの1つ以上の結合部位を含むように設計されている。マイクロRNAが、ルシフェラーゼセンサー構築物内の同族部位に結合すると、ルシフェラーゼの発現が抑制される。適切な抗-miRは、細胞に導入されると、標的マイクロRNAに結合し、ルシフェラーゼ発現の抑制を緩和する。したがって、このアッセイでは、目的のマイクロRNAの効果的な阻害剤である抗-miRが、ルシフェラーゼ発現の増加を引き起こす。
【0314】
抗miR化合物の活性は、マイクロRNAの標的のmRNA及び/またはタンパク質レベルを測定することによって評価され得る。マイクロRNAは、1つ以上の標的RNA内の相補的部位に結合し、これにより標的RNAの抑制がもたらされる。したがって、マイクロRNAの阻害により、マイクロRNAの標的のmRNA及び/またはタンパク質のレベルの増加(すなわち、抑制解除)がもたらされる。1つ以上の標的RNAの抑制解除は、in vivoまたはin vitroで測定され得る。例えば、miR-122の標的は、アルドラーゼA(ALDOA)である。miR-122の阻害により、ALDOA mRNAのレベルが上昇するため、ALDOA mRNAレベルを使用して、抗miR-122化合物の阻害活性を評価することができる。
【0315】
HCV複製に対する抗miR-122化合物の効果は、HCVレプリコンアッセイで測定され得る。このアッセイでは、化合物は、安定したルシフェラーゼレポーター及び3つの細胞培養適応突然変異(luc-ubi-neo/ET)を含むHCVのサブゲノムレプリコンを含む細胞株(例えば、ヒト肝癌細胞株)に導入させる。ルシフェラーゼレポーターは、HCV複製の間接的な尺度として使用される。使用されるレプリコンは、親HCV遺伝子型または抗ウイルス剤に対する耐性を付与する突然変異を有するHCV遺伝子型であり得る。抗miR-122化合物は、単独で、またはHCV感染治療に使用される他の剤と組み合わせて評価され得る。いくつかの実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、in vivoまたはin vitroアッセイで試験され得、その後、本明細書に記載の方法で使用するための化合物を形成するために抱合され得る。
【実施例】
【0316】
以下の例は、本発明のいくつかの実施形態をより完全に例示するために提示されている。しかし、それらは、本発明の広い範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な化合物を設計するために、この発見の基礎となる原理を容易に採用するであろう。
【0317】
実施例1:HCV感染の治療のための抗miR-122化合物
miR-122は、肝臓内で豊富にかつ特異的に発現するマイクロRNAであり、C型肝炎ウイルスの蓄積にとって重要な宿主因子である(Jopling et al.,Science.2005,309(5740),1577-81)。miR-122は、HCVゲノムの5’非コード領域内の2つの近接に離間しているシード配列部位に結合することにより、HCVと相互作用し、その結果、HCVゲノムの安定化をもたらし、複製及び翻訳を補助する(Jangra et al.,J Virol.,2010,84:6615-6625;Machlin,et al.,2011)。RG-101は、miR-122を標的とするGalNAc抱合型修飾オリゴヌクレオチドである。
【0318】
完了した第I相ヒト概念証明研究では、単剤療法としてのRG-101の単回皮下用量による治療により、遺伝子型の治療が困難な対象、様々な肝線維症状態及び以前のIFNを含むレジメンの後にウイルスの再発を経験した対象など、治療を受けたすべてのHCV感染対象においてウイルス量が有意にかつ持続して減少した。
【0319】
RG-101と複数の承認された直接作用型抗ウイルス(DAA)薬との組み合わせを評価する完了第II相試験では、対象は1日目に2mg/kgのRG-101の皮下注射を1回受け、その後、1日1回のDAA(ハーボニー(登録商標)、オリシオ(登録商標)、またはダクルインザ(商標))の経口投与を28日間、その後29日目に2mg/kgのRG-101の追加皮下注射を受けた。ウイルス学的応答は、LLOQ=12IU/mLのリアルタイムHCVアッセイ(Abbott)を使用して、定量下限(LLOQ)を下回るHCVRNAウイルス量として定義した。ウイルス学的応答を示した対象の数及び割合を表1に示す。特に、RG-101+ハーボニー群のすべての対象は、48週間の追跡期間を通じて有意かつ持続的なウイルス量の減少を経験した。RG-101+オリシオ群及びRG-101+ダクルインザ群では、それぞれ6名及び4名の対象が再発を経験した。RG-101+オリシオ群では、1名の対象が同意を撤回したため、48週目の時点には含まれなかった。
【0320】
【0321】
第2相試験中、200名中10名の対象が一過性の高ビリルビン血症を経験し、これは、正常上限(ULN)を超える抱合型及び総ビリルビンの増加を特徴としている。米国食品医薬品局は、慢性HCV感染症の治療用のRG-101のINDを臨床試験差し止めとした。
【0322】
高ビリルビン血症の根底にあるメカニズムを特定するために、文献検索を行い、RG-101研究からの前臨床データを徹底的に再分析した。文献検索では、これまでに報告されたmiR-122とビリルビン代謝経路、または薬物のクラスとしてのオリゴヌクレオチドとビリルビン代謝経路との関連性は明らかにならなかった。マウス、ラット、及びサルで実施された多数の研究において、試験された臨床用量よりも実質的に高い用量において、ビリルビンが増加した症例は確認されなかった。さらに、事前のINDの段階で、RG-101及びその活性代謝物を、シトクロムP450酵素ならびに取り込み及び排出のトランスポーターと相互作用する能力について試験した。オリゴヌクレオチドに予想されるとおり、いずれの化合物もこれらの酵素及びトランスポーターと有意に相互作用しなかった。
【0323】
肝臓内のビリルビントランスポーターへの干渉が、高ビリルビン血症につながる可能性があるという仮説が立てられた。肝臓には、肝細胞と胆汁との間のビリルビンの輸送に関与するいくつかのトランスポーターが存在する。そのようなトランスポーターの1つである多剤耐性関連タンパク質2(MRP2)は、ABCC2遺伝子によってコードされ、肝細胞の頂端側、近位尿細管細胞の頂端膜、及び腸管腔(腸細胞)に発現する。MRP2トランスポーターは、抱合型ビリルビンなど、有機アニオンの排泄に関与している。MRP2トランスポーターの既知の阻害剤としては、プロベネシド、フロセミド、リトナビル、アバカビル、シクロスポリンA、及びテノホビルが挙げられる。しかし、上記のとおり、オリゴヌクレオチドは、これまでMRP2の阻害剤として報告されていない。
【0324】
高ビリルビン血症に寄与する追加の要因は、HCV感染対象におけるMRP2発現のレベルであり得る。MRP2の発現は、HCV感染対象では、非感染対象と比較して、約70%少ない(J Hepatol.2001 Dec;35(6):765-73)。したがって、HCV感染対象ではMRP2のレベルがすでに低下しているため、HCV感染対象は、MRP2トランスポーター活性を阻害する化合物の影響を受けやすい可能性がある。さらに、MRP2の発現は、げっ歯類及び非ヒト霊長類よりもヒトにおいてより少なく、これにより、前臨床試験またはIND対応試験では、高ビリルビン血症が観察されなかった理由が説明され得る。
【0325】
RG-101がMRP2トランスポーター活性を干渉するという仮説の試験を行うために、当技術分野において公知である方法に従って、in vitroアッセイを実施した(例えば、Vermeer et al.,Drug Metab.Dispos.,2016,44(3):453-9を参照のこと)。このアッセイでは、排出トランスポーターを発現する小胞を使用して、薬物がトランスポーターの基質または阻害剤であるかを評価する。裏返しの膜小胞は、単一の排出トランスポーター、この場合はMRP2により一時的にトランスフェクトさせた昆虫細胞から調製する。小胞は配向が裏返しになっているため、MRP2トランスポーターは、放射性標識基質[3H]-エストラジオール-17β-グルクロニドをATP依存的に小胞に送り込み、小胞内の放射性標識基質の蓄積を測定する。化合物がMRP2輸送阻害剤である場合、放射性標識基質の蓄積は、対照サンプルと比較して減少する。化合物の阻害効果は、IC50、すなわち、放射性標識基質のトランスポーター媒介取り込みの50%阻害をもたらす濃度を決定することによって評価する。
【0326】
RG-101について、in vitroMRP2アッセイを実施した。RG-101、及びRG-101の非抱合型抗miRであるRG1649の両方を、0、0.1、0.3、1、3、10、30、及び100uMの濃度で試験を行った。計算されたIC50値は、RG-101及びRG1649において、それぞれ5.98uM及び2.21uMであった。したがって、このアッセイでは、RG-101により、MPR2トランスポーターが阻害された。追加の研究を行い、RG-101及びRG1649の両方がこのアッセイにおいてMRP2トランスポーターを阻害することを確認した(RG-101 IC50は、5~62uMの範囲、RG1649 IC50は、2~11uMの範囲であった)。
【0327】
追加のHCV感染対象固有の寄与因子を明確に除外することはできないが、一部、MRP2アッセイデータに基づいて、RG-101による抱合型ビリルビン輸送の阻害、HCV感染対象におけるベースラインビリルビン輸送の障害、及び肝細胞による(GalNAc抱合部分による)RG-101の優先的な取り込みなどの要因の組み合わせが、観察された高ビリルビン血症の一因となった可能性があると考えられる。これを考慮して、強力なHCV抗ウイルス活性を維持するが、MRP2トランスポーターを介するビリルビン輸送を有意に干渉することのないmiR-122を標的とする代替化合物のスクリーニングを実施した。
【0328】
実施例2:有意なMRP2阻害を有さない強力な抗MIR-122化合物のIn Vitroスクリーニング
抗MIR-122化合物は、HCV感染のマウスモデルにおいて、HCVレプリコン阻害、MRP2トランスポーター阻害、in vitro及びin vivo安全性、in vivo薬力学的効力、及びin vivoでの有効性を評価するために試験するために選択した。これらの化合物は、長さ、ヌクレオシド糖修飾、及びヌクレオシド間連結修飾が異なるものであった。さらに、非抱合型化合物及びGalNAc抱合型化合物の両方の試験を行った。
【0329】
HCVレプリコン研究
HCVレプリコンアッセイを使用して、HCV遺伝子型1bの複製を阻害する抗miR-122化合物の能力を決定した。このアッセイでは、試験化合物は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を含むHCVGT1bレプリコンで安定的にトランスフェクトさせたHuh7細胞に導入する。ルシフェラーゼレポーターは、HCV複製の間接的な尺度として使用される。GalNAc抱合型化合物は、肝細胞への送達が強化されているため、HCV感染の治療に好ましいことが予想され、いくつかの非抱合型化合物の試験を行った。
【0330】
選択した化合物は、0.015uMから100uMの範囲の9つの濃度で試験を行った。GS-7977(ソホスブビル)は、陽性対照として含めた。細胞は、96ウェルプレートに8,000細胞/ウェルの密度でプレーティングした。化合物を、72時間細胞に加えた。Bright-Glo試薬を使用して上清中の発光シグナルを検出し、このシグナルを使用して、各化合物の抗ウイルス活性を計算した。CellTiter-Fluor試薬を使用して細胞の生存率を評価した。EC50(50%阻害が観察された濃度)を計算した。
【0331】
レプリコンアッセイで試験が行われた特定の抗-miR-122化合物、及びそれらの計算されたEC50値を表2に示す。下付き文字が続いていないヌクレオシドは、β-D-デオキシリボヌクレオシドを示す。ヌクレオシドの後に下付き文字「E」が続く場合は、2’-MOEヌクレオシドを示し、ヌクレオシドの後に下付き文字「S」が続く場合は、S-cEtヌクレオシドを示す。ホスホジエステル連結は「PO」で示す。他のすべての連結は、ホスホロチオエートである。「Me」は、ヌクレオシドの基部にある5-メチル基を示す。
【0332】
表2に例示するとおり、長さ、ヌクレオシド糖修飾、及び/またはヌクレオシド間連結の変化が、ウイルス阻害の差となる。例えば、RG3054は、RG2634と比較して5’末端に単一の追加のヌクレオシドを含むが、RG3054は、RG2634よりも実質的に効力が低い。RG6371及びRG6370は、ホスホジエステル及びホスホロチオエートのヌクレオシド間連結の数のみ異なるが、異なる効力を呈した。GalNAc抱合型化合物のうち、RG6650及びRG2634が、このアッセイで最も効力が高かった。RG6234及びRG497998は、非抱合型化合物として、このin vitroアッセイにおいて強力であるが、in vivoでの効力は、治療剤としての使用に好適であるとは予想されていない。
【0333】
特定の化合物は、複数の実験で試験を行った。RG-101のEC50は、1.994~10.68uMの範囲であった。RG2634のEC50は、13.93~31.1uMの範囲であった。RG6650のEC50は、7.716~11.3uMの範囲であった。RG497998のEC50は、7.708~10.87uMの範囲であった。
【0334】
【0335】
MRP2アッセイは、HCVレプリコンアッセイでの効力及び構造の多様性に基づいて選択された抗miR-122化合物に対して実施した。表3に示すとおり、RG-101及びRG1649は、このアッセイにおいてMRP2トランスポーター活性を阻害した。RG6650、RG2634、RG3054、RG6370、RG6234、及びRG497998は、それぞれ100uMを超えるIC50を呈し、このことは、これらの化合物がこのアッセイにおいてMRP2トランスポーター活性に有意に干渉しないことを示している。
【0336】
いくつかの化合物については、本アッセイを複数回実施した。RG1649のIC50は、2~11uMの範囲であり、RG-101のIC50は、5~62の範囲であった。RG6650は、この化合物の試験を行うとき、毎回100uMを超えていた。
【0337】
【0338】
実施例3:MRP2阻害のない強力な抗-miR-122化合物のin vivoスクリーニング
レプリコンアッセイにおいて、HCV複製を阻害し、in vitroトランスポーターアッセイにおいてMRP2を阻害しなかった化合物について、in vivoでの効力及び安全性の試験をさらに行った。
【0339】
効力
In vivoでの効力を決定するために、miR-122活性によって通常抑制される遺伝子である肝臓アルドラーゼA(ALDOA)の発現を抑制解除する能力について、化合物の評価を行った。miR-122を阻害することにより、ALDOAの発現が増加するため、ALDOA mRNAレベルを使用して、in vivoにおけるmiR-122の阻害活性を測定することができる。
【0340】
このアッセイでは、GalNAc抱合型化合物についてのみ、試験を行った。化合物は、化合物の抗miR部分に関してモル当量で投与した。RG-101の単回皮下用量は、0.004~1.116umol/kgの範囲の用量で皮下投与した。他の化合物は、0.006~1.942umol/kgの範囲の用量で単回皮下用量で投与した。7日後に、研究を終了した。肝臓組織は、ALDOA mRNA及び薬物レベルを測定するために収集した。腎臓組織は、薬物レベルを測定するために収集した。血液は、コレステロールを測定するために採取した。
【0341】
ALDOA mRNAレベルは、肝臓から単離されたRNA中で、定量PCRによって測定した。表4に示すとおり、生理食塩水に対するALDOA mRNAの倍率変化を使用して、各化合物のED50(umol/kg)を計算した(「ND」は「未決定」を示す)。
【0342】
RG6370(及び結果が解釈できないRG3054)を除いて、ALDOA抑制解除(表4)については、このアッセイにおいて試験対象の各化合物は、RG-101と同様のED50を呈した。コレステロールの低下については(表5)、試験対象の各化合物は、RG-101と同等であるかまたはそれ以上のED50を呈した。
【0343】
【0344】
【0345】
安全性
また、in vivo効力の基準を満たした化合物は、安全性についての試験を行った。炎症誘発性応答を誘発する化合物の能力は、肝臓におけるインターフェロン誘導性遺伝子IFITの発現を測定することによって評価した。さらに、化合物の投与後のALTのレベルも測定した。化合物RG6370及びRG3054により、IFITの発現が増加し、これは、潜在的な炎症誘発性反応を示唆するものである。
【0346】
これらのHCVレプリコンアッセイ、MRP2アッセイ、及びin vivoでの効力と安全性の研究に基づいて、2つの化合物RG6650及びRG2634は、好適にも強力で安全な化合物を選択するために確立された基準を満たしていた。
【0347】
作用の開始
作用の開始によってRG6650及びRG2634を区別できるかを判断するために、マウスの群を0.014~1.117umol/kgの範囲の用量の化合物により治療した。肝臓組織は、投与の1日、3日、7日、または14日後に4~5匹のマウスの群から収集した。RNAを単離し、ALDOA mRNAを測定した。RG6650は、RG2634と比較して、より低い用量及びより早い時点でALDOA mRNAの抑制解除の増加を呈することが観察され、これは、ALDOA mRNA抑制解除によって測定されるとおり、より迅速な作用の開始を示唆するものである。
【0348】
実施例4:miR-122の阻害に対する応答におけるHCV RNAレベルの低下
HCVは、宿主病原体の特異性により、ヒト及びチンパンジーにのみ感染し得る。したがって、実験的in vivo研究に通常使用されるマウスなどのより小さい種は、HCV感染の治療のための候補剤の試験を行うために、HCVに感染させることができない。この問題に対処するために、ヒト肝臓キメラマウスモデルを利用することができる(例えば、Bissig et al.,Proc Natl Acad Sci US A,2007,104:20507-20511;Bissig et al.,J Clin Invest.,2010,120:924-930を参照のこと)。このモデルでは、免疫不全マウスの肝臓をヒト肝細胞で再増殖させ、その結果、ほとんどの肝細胞がヒト肝細胞であるキメラ肝臓が得られる。次に、マウスをHCVに感染させ、抗HCV剤により治療する。このマウスモデルは、例えば、PhoenixBioから市販されている。
【0349】
HCV感染ヒトキメラ肝マウスの治療
抗-miR-122化合物は、HCV感染のヒトキメラ肝マウスモデルにおいて試験を行った。免疫不全マウスの肝臓で、ヒト肝細胞を再増殖させ、その結果、ほとんどの肝細胞がヒト肝細胞であるキメラ肝臓を得た。HCV遺伝子型1aの接種から6週間後、本研究に含まれる各動物のベースラインウイルス力価を得た。
【0350】
4匹の動物群をそれぞれPBS、45mg/kgの用量のRG-101、または60mg/kgの用量のRG6650で治療した。血液は、3日目、7日目、10日目、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、及び49日目に採取した。本研究は49日目に終了した。
【0351】
図1に示すとおり、RG-101及びRG6650の両方により治療することにより、血清HCV RNAによって測定した場合、ウイルス力価が有意に低下した。RG6650治療では、HCV感染動物において、2logを超える血清HCV RNAの減少がもたらされた。
【0352】
これらの結果は、GalNAc抱合型修飾オリゴヌクレオチドRG6650の単回投与後、HCVウイルス力価がHCV感染動物において有意に低下し、かつ作用が早期に開始し、作用期間が持続したことを実証している。
【0353】
本明細書で実証されているとおり、RG6650は、HCV複製の強力な阻害剤であり、重要なことに、in vitroにおいてMRP2トランスポーター活性には、実質的に干渉しない。したがって、RG6650は、HCV感染症の治療のための候補治療剤として同定された。
【0354】
経口投与後の抗miR-122化合物の薬力学的活性
RG6650の経口投与により、肝臓内において、miR-122の薬力学的調節がもたらされるかを決定するために実験を行った。また、RG6650の非抱合型抗-miRであるRG7443の試験も行った。非抱合型抗miR-122は、HCVの治療におけるmiR-122の阻害についてGalNAc抱合体ほど効果的ではないが、経口投与研究での比較のために含めた。
【0355】
表6及び7に示すとおり、それぞれ5匹のマウスの群をRG6650またはRG7443により治療を行った。ここで、「sc」は皮下投与を示し、「po」は経口投与を示す。抗miR化合物は、皮下投与のためにPBS中で送達した。経口投与された抗miR化合物は、PBS溶液中で調製され、pH9.5になるまで0.3M重炭酸ナトリウム(BC)を添加した。経口投与のために、動物は、12時間絶食させた。すべての治療群について、マウスに単回投与し、4日後に屠殺した。肝臓組織は、薬力学的及び薬物動態学的分析のために収集した。RNAは、肝臓及び腎臓から単離した。肝臓におけるALDOA抑制を測定した。
【0356】
【0357】
【0358】
肝臓におけるRG6650(*)の場合、1匹を除くすべての動物の結果は定量化できなかったため、1匹の動物のデータのみが報告されている。
【0359】
非抱合型及びGalNAc抱合型抗miR-122化合物の両方の皮下投与により、肝臓においてALDOAの抑制解除がもたらされた。非抱合型抗-miR-122化合物RG7443の経口投与では、肝臓において実質的なPD効果がもたらされなかったが、GalNAc抱合型化合物RG6650の経口投与により、皮下投与後に観察されたものと同等のPD効果がもたらされた。これらのデータは、GalNAc抱合型抗miR-122化合物RG6650が、経口投与及び皮下投与の両方の後、miR-122の効果的な阻害剤であることを実証している。
【0360】
初代ヒト肝細胞における抗-miR-122化合物の自由な取り込み
RG-101、RG6650、及びRG7443の活性をさらに比較するために、初代ヒト肝細胞(PPH)を各化合物により治療した。PHHによるASGPRの発現は、プレーティング後にダウンレギュレートされるため、CCL-163フィーダーセル及びCellAbleプレート(Toyo Gosei Co.,Japan)を使用して3DPHHスフェロイドを形成させた。フィーダーセルにプレーティングして4日後、PPHを用量(0.0001nM、0.001nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、または100nM)の抗-miRにより治療した。対照群はPBSにより治療した。3日後、細胞を回収し、RNAを単離し、RT-PCRによってALDOAレベルを測定した。各化合物のEC50を計算した。RG-101、RG660、及びRG7443のEC50は、それぞれ6.0nM、2.07nM、及び1.91μMであった。GalNAc抱合型9-merの活性は、診療所においてHCV力価の効果的な低下を示したRG-101の活性と同等であった。さらに、GalNAc抱合体により、EC50の約1000分の1の減少(RG7443の1.91μMと比較してRG6650の2.07nM)によって示されるとおり、9-merの抗-miR-122の活性が劇的に向上された。したがって、初代ヒト肝細胞では、GalNAc抱合型抗-miR-122は、非抱合型抗miR-122よりも低用量で有意に活性がある。
【0361】
本明細書に記載されているものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかとなるであろう。こうした修正は、添付の特許請求の範囲内に入るようにも意図されている。本出願で引用された各参考文献(ジャーナル記事、米国及び米国以外の特許、特許出願刊行物、国際特許出願刊行物、GENBANK(登録商標)アクセッション番号などを含むがこれらに限定されない)は、その全体が、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【配列表】