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特許7279103センサーデバイス、および、それを用いた方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】センサーデバイス、および、それを用いた方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021053382
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022051498
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】17/025,114
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 馨儀
(72)【発明者】
【氏名】邱 怡華
(72)【発明者】
【氏名】王 唯科
(72)【発明者】
【氏名】謝 錦全
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-153862(JP,A)
【文献】特表2016-513468(JP,A)
【文献】国際公開第2015/019520(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/022496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーデバイスであって、
第一基板と、
前記第一基板の反対側に設置される第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板間に設置され、流体の境界を有する流路と、
前記第一基板上に設置され、第一反応部位、第二反応部位、および、第三反応部位を有する第一反応基とを有し、
前記第一反応部位は、前記第二反応部位よりも、前記流体の境界に近く、前記第一反応部位のサイズは、前記第二反応部位のサイズ以上であり、前記境界は前記流路の辺縁の近く又は前記流路の周辺領域に位置し、
前記第二反応部位は、前記第三反応部位よりも、前記流体の境界に近く、前記第二反応部位のサイズは、前記第三反応部位よりも大きく、
前記流路は、注入口、および、排出口を有し、
前記第一反応部位、および、前記第二反応部位は、断面線上に位置し、
前記断面線は、前記注入口と前記排出口の延伸線に垂直であることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項2】
前記第一反応部位の直径は、前記第二反応部位の直径より大きく、
前記第二反応部位の前記直径は、前記第三反応部位の直径より大きく、
前記第一反応部位の前記直径と前記第三反応部位の前記直径の比率は、1.1:1~2:1の範囲であり、
前記第一反応部位の前記直径と前記第二反応部位の前記直径の比率は、1.1:1~1.5:1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のセンサーデバイス。
【請求項3】
センサーデバイスであって、
第一基板と、
前記第一基板の反対側に設置される第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板間に設置され、流体の境界を有する流路と、
前記第一基板上に設置され、第一反応部位、第二反応部位、および、第三反応部位を有する第一反応基と、
前記第一基板と前記第二基板間に設置されるスペーサ層と、
前記第一基板と前記スペーサ層間に設置される第一導電層と、
前記第二基板上に設置される第二導電層と、
前記第一基板上、且つ、前記第一基板と前記スペーサ層間に設置され、前記第一反応基と部分的に重複する誘電層を有し、
前記第一反応部位は、前記第二反応部位よりも、前記流体の境界に近く、前記第一反応部位のサイズは、前記第二反応部位のサイズ以上であり、前記境界は前記流路の辺縁の近く又は前記流路の周辺領域に位置し、
前記第二反応部位は、前記第三反応部位よりも、前記流体の境界に近く、前記第二反応部位のサイズは、前記第三反応部位よりも大きいことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項4】
センサーデバイスであって、
第一基板と、
前記第一基板の反対側に設置される第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板間に設置され、流体の境界を有する流路と、
前記第一基板上に設置され、第一反応部位、第二反応部位、および、第三反応部位を有する第一反応基とを有し、
前記第一反応部位は、前記第二反応部位よりも、前記流体の境界に近く、前記第一反応部位のサイズは、前記第二反応部位のサイズ以上であり、前記境界は前記流路の辺縁の近く又は前記流路の周辺領域に位置し、
前記第二反応部位は、前記第三反応部位よりも、前記流体の境界に近く、前記第二反応部位のサイズは、前記第三反応部位よりも大きく、
前記第一基板は、不透明、透明、あるいは、半透明であり、
前記第二基板は、透明、あるいは、半透明であり、
前記第一基板は、相補型MOS(CMOS)基板であることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項5】
センサーデバイスであって、
第一基板と、
前記第一基板の反対側に設置される第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板間に設置され、流体の境界を有する流路と、
前記第一基板上に設置され、第一反応部位、第二反応部位、および、第三反応部位を有する第一反応基とを有し、
前記第一反応部位は、前記第二反応部位よりも、前記流体の境界に近く、前記第一反応部位のサイズは、前記第二反応部位のサイズ以上であり、前記境界は前記流路の辺縁の近く又は前記流路の周辺領域に位置し、
前記第二反応部位は、前記第三反応部位よりも、前記流体の境界に近く、前記第二反応部位のサイズは、前記第三反応部位よりも大きく、
前記流路は、注入口、および、排出口を有し、
前記第一反応部位、および、前記第二反応部位は、断面線上に位置し、
前記断面線は、前記注入口と前記排出口の延伸線に垂直であり、
前記第一反応基は、自己集合単分子層で修飾されて、溶液中の生体サンプルを固定するとともに、
前記センサーデバイスはさらに、前記第二基板上に設置される第二反応基を有することを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項6】
センサーデバイスを用いた方法であって、
前記センサーデバイスを提供する提供工程であり、
前記センサーデバイスは、
第一基板と、
前記第一基板の反対側に設置される第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板間に設置され、且つ、流体の境界を有する流路と、
前記第一基板上に設置される第一導電層と、
前記第二基板上に設置される第二導電層と、
前記第一基板上に設置され、第一反応部位、第二反応部位、および、第三反応部位を有する第一反応基とを備え、
前記第一反応部位は前記第二反応部位よりも前記流体の境界に近く、前記第一反応部位のサイズは、前記第二反応部位のサイズ以上であり、前記境界は前記流路の辺縁の近く又は前記流路の周辺領域に位置し、前記第二反応部位は、前記第三反応部位よりも前記流体の境界に近く、前記第二反応部位のサイズは、前記第三反応部位よりも大きい、提供工程と、
生体サンプルを含む溶液を、前記流路に投入する工程と、
電圧を前記第一導電層に供給して、前記第一反応基上で、前記生体サンプルを固定する工程と、
前記第一導電層に供給される前記電圧をオフにする工程と、
前記流路から、余分な生体サンプルを洗い流す工程、
を有することを特徴とするセンサーデバイスを用いた方法。
【請求項7】
前記電圧は直流(DC)電圧であり、
前記生体サンプルは、電気泳動力により、前記第一反応基上に固定されることを特徴とする請求項6に記載のセンサーデバイスを用いた方法。
【請求項8】
前記電圧は交流電流(AC)電圧であり、
前記生体サンプルは、誘電泳動力により、前記第一反応基上に固定され、交流電流電圧の周波数は、1KHz~1GHzの範囲であることを特徴とする請求項6に記載のセンサーデバイスを用いた方法。
【請求項9】
前記電圧を前記第一導電層に供給して、前記生体サンプルを前記第一反応基に固定する工程の後、さらに、前記電圧の方向を反転させて、前記生体サンプルを前記第二反応基上に固定する工程を有することを特徴とする請求項6に記載のセンサーデバイスを用いた方法。
【請求項10】
前記電圧を前記第一導電層に供給して、前記生体サンプルを前記第一反応基に固定する工程の後、さらに、一定期間待つ工程を有し、
前記一定期間は、5秒~5時間の範囲であることを特徴とする請求項6に記載のセンサーデバイスを用いた方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーデバイス、および、センサーデバイスを用いた方法に関するものであって、特に、流体のバイオチップ(fluidic biochip)、および、それを用いた方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高機能の生体分子識別機能、たとえば、抗原抗体、タンパク質-タンパク質、および、タンパク質DNA等を用いた測定反応は、生物化学の領域の臨床検査、および、測定において、重要な技術になっている。このほか、DNAハイブリダイゼーション、あるいは、DNAシーケンシングの分析も、幅広く、生物化学の研究分野で用いられている。
【0003】
各種バイオチップ、たとえば、マイクロ流体チップ、マイクロアレイチップ、あるいは、ラブオンチップが、すでに、生物学と化学分析のために開発されている。センサーデバイスの発展の繁栄に伴い、人々は、これらのバイオチップの信頼性、品質、および、コストに関連する高い期待を抱いている。
【0004】
現有のバイオチップはすでに、それらの本来の目的のために十分な能力があるが、それらは、すべての事項においては、十分に満足いくものではない。たとえば、異なる反応部位のサンプルの流体速度分配は均一ではなく、たとえば、中心に近い反応部位の流体速度は、辺縁に近い反応部位の流体速度より速い。よって、異なる反応部位のサンプルの全体の負荷速度は均一ではなく、テスト結果に誤りを生じる。よって、バイオチップに関する解決されなければいけない問題がまだ存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、センサーデバイス、および、それを用いた方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態において、センサーデバイスが提供される。センサーデバイスは、第一基板、第二基板、流路、および、第一反応基を有する。第二基板は、第一基板の反対側に設置される。流路は、第一基板と第二基板間に設置され、流路は、流体の境界を有する。第一反応基は、第一基板上に設置され、第一反応基は、第一反応部位、第二反応部位、および、第三反応部位を有する。第一反応部位は、第二反応部位よりも、流体の境界に近く、且つ、第一反応部位のサイズは、第二反応部位のサイズ以上である。第二反応部位は、第三反応部位よりも、流体の境界に近く、且つ、第二反応部位のサイズは、第三反応部位よりも大きい。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態において、センサーデバイスを用いた方法が提供される。本方法は、センサーデバイスを提供する工程を有する。センサーデバイスは、第一基板、第二基板、流路、第一導電層、第二導電層、および、第一反応基を有する。第二基板は、第一基板の反対側に設置される。流路は、第一基板と第二基板間に設置され、流路は、流体の境界を有する。第一導電層は、第一基板上に設置される。第二導電層は、第二基板上に設置される。第一反応基は、第一基板上に設置され、第一反応基は、第一反応部位、第二反応部位、および、第三反応部位を有する。第一反応部位は、第二反応部位よりも、流体の境界に近く、且つ、第一反応部位のサイズは、第二反応部位のサイズ以上である。第二反応部位は、第三反応部位よりも、流体の境界に近く、第二反応部位のサイズは、第三反応部位よりも大きい。このほか、本方法はさらに、生体サンプルを含む溶液を流路に投入する工程と、電圧を第一導電層に供給して、第一反応基上に、生体サンプルを固定する工程と、第一導電層に供給される電圧をオフにする工程、および、流路から、余分な生体サンプルを洗い流す工程、を有する。
【0008】
添付図面を参照しながら、以下の実施形態において、詳細な記述が与えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、センサーデバイスの信頼性、あるいは、パフォーマンスが改善される。サンプルのローディング効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、後続の詳細な記述と例と添付図面によりさらに良く理解できる。
図1A】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを示す図である。
図1B】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの上面図である。
図1C】本発明のいくつかの実施形態による図1BのA-A’線に沿ったセンサーデバイスの断面図である。
図2A】本発明のいくつかの実施形態による流路の上面図である。
図2B】本発明のいくつかの実施形態による流路の上面図である。
図2C】本発明のいくつかの実施形態による流路の上面図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図9】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図10】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図11】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。
図12A】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図12B】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図12C】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図12D】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図12E】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図13A】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図13B】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図13C】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図13D】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いた方法の中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図14A】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いる中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図14B】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いる中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図14C】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いる中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
図14D】本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスを用いる中間段階におけるセンサーデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のセンサーデバイス、および、センサーデバイスを用いた方法が、以下で詳細に記述される。以下の詳細な記述において、説明の目的のため、いくつかの特定の詳細、および、実施形態を説明する。本発明を分かりやすく説明するため、以下の詳細な記述中で記述される特定の素子、および、配置が説明される。ここで説明される例示的実施形態は、説明のために用いられるとともに、本発明の概念は、各種形式で具体化され、それらの例示的実施形態に限定されないことである。
【0012】
このほか、本発明を明瞭に記述するために、異なる実施形態の図面は、類似する、および/または、対応する符号を用いて、類似の、および/または、対応する素子を示す。しかし、異なる実施形態の図面中の類似の、および/または、対応する符号の使用は、異なる実施形態間の任意の相互関係を意味するものではない。理解すべきことは、例示的実施形態のこの記述は、添付図面に関連して読み取ることを目的とし、明細書全体の一部であると見なされる。図面は尺寸通りに描かれていない。このほか、図面を簡潔にしるため、構造と装置は図式化して示される。
【0013】
このほか、この明細書において、たとえば、“一層が別の層上にある”、“一層が別の層上に設置される”という表現は、その層と別の層の直接接触を示すか、あるいは、その層がその他の層と直接接触しないこと、あるいは、その層と別の層間に、一つ以上の中間層があることを示す。
【0014】
このほか、この明細書において、関連する表現が用いられる。たとえば、 “下方”、“底部”、“上方”や “頂部”が用いられて、一素子ともう一つの素子の位置を記述する。一装置が反転すると、 “下方”の素子が “上方”の素子になることである。
【0015】
注意すべきことは、第一、第二、および、第三等の用語がここで用いられて、各種素子、部品、領域、層、部分、および/または、セクションを記述しているが、これらの素子、部品、領域、層、部分、および/または、セクションは、これらの用語により制限されない。これらの用語は、一素子、部品、領域、層、部分、あるいは、セクションと別の素子、部品、領域、層、部分、あるいは、セクションを区別するためだけに用いられる。よって、以下で討論される第一素子、部品、領域、層、部分、あるいは、セクションは、本発明の教示を逸脱しない限り、第二素子、部品、領域、層、部分、あるいは、セクションと称される。
【0016】
用語“約”、および、“実質上”は、通常、状態値の+/-10% 、状態値の+/-5% 、状態値の+/-3%、状態値の+/-2%、状態値の+/- 1% 、および、さらにいっそう、状態値の+/-0.5%を意味する。本発明の状態値は近似値である。特定の記述がないとき、状態値は、“約”や“実質上”の意味を含む。さらに、製造プロセスの偏差や変動を考慮するとき、用語“同じ”は、“約”や“実質上”の意味も含む。
【0017】
特に定義されない限り、ここで用いられる全技術、および、科学用語は、当業者により理解されるものと同じ意義を有する。さらに、通常用いられる辞典で定義される用語は、特に定義されない限り、従来の技術の文脈中のそれらの意義と一致する意味を有するものとして解釈され、且つ、理想化、あるいは、過度に正式に解釈されるべきではない。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によると、センサーデバイスは、中心領域よりも、流体の境界領域に近い、大きいサイズの反応部位を有する反応基を有して、流路の放物線流速プロファイルのせいで低いサンプルローディングレートを補償する。よって、反応部位のサンプルローディングレートは、流路の異なる位置(たとえば、中心領域、あるいは、境界領域)で均一であり、且つ、センサーデバイスの信頼性、あるいは、パフォーマンスが改善される。さらに、いくつかの実施形態において、センサーデバイスはさらに、基板上に設置される導電層を有し、誘電泳動 (DEP)、あるいは、電気泳動 (EP)力が生成されて、それぞれ、誘電体、あるいは、荷電サンプルを反応部位に引き付けるのをアシストする。サンプルのローディング効率が増加する。
【0019】
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイス10を示す図である。センサーデバイス10の構成要素の一部は、簡潔にするため、図1では省略されている。このほか、本発明のいくつかの実施形態によると、追加特徴がセンサーデバイス10に加えられてもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、センサーデバイス10は、特定の使用に制限されない。いくつかの実施形態において、センサーデバイス10は、生物学、あるいは、生化学分析に用いられる。たとえば、センサーデバイス10を用いて、DNAシーケンス、DNA-DNAハイブリダイゼーション、単一ヌクレオチド多型、タンパク質相互作用、ペプチド相互作用、抗原と免疫体の相互作用、タンパク質マイクロアレイ、リキッドバイオプシー、定量的ポリメラーゼ連鎖反応 (qPCR)、グルコース監視、コレステロール監視等を測定、あるいは、分析する。
【0021】
センサーデバイス10は、第一基板100、第二基板200、および、流路300を有する。第二基板200は、第一基板100の反対側に設置される。流路300は、第一基板100と第二基板200の間に設置される。いくつかの実施形態において、第一基板100と第二基板200は所定距離で隔てられ、流路300は、第一基板100と第二基板200間で定義される空間である。すなわち、第一基板100及び第二基板200の互いの面が流路300を介して対向するように、第一基板100と第二基板200は設置される。
【0022】
いくつかの実施形態において、第一基板100と第二基板200の材料は、有機材料、無機材料、あるいは、それらの組み合わせを有する。たとえば、有機材料は、エポキシ樹脂、シリコン樹脂(たとえば、ポリジメチルシロキサン (PDMS))、アクリル樹脂(たとえば、ポリメチルメタクリレート (PMMA))、ポリイミド (PI)、ポリカーボネート (PC)、テレフタル酸ポリエチレン (PET)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、その他の適当な材料、あるいは、それらの組み合わせを有するが、それらに限定されない。たとえば、無機材料は、ガラス、セラミック、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化けい素、酸化アルミニウム、その他の適当な材料、あるいは、それらの組み合わせを有するが、それらに限定されない。このほか、第一基板100の材料は、第二基板200と同じか、あるいは、異なる。
【0023】
いくつかの実施形態において、第一基板100は、相補型MOS(CMOS)基板である。たとえば、第一基板100の材料は、それらに限定されないが、シリコン、III-V 族オンシリコン、グラフェンオンシリコン、シリコンオンインシュレーター、あるいは、それらの組み合わせを有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、検出、あるいは、分析されるサンプルを含む溶液は、流路300を流れ、且つ、サンプルは、第一基板100上の反応部位102 (図1Bに示される)に配置される。このほか、流路300は流体の境界300s(図面の点線で示される)を有し、且つ、流体の境界300sは、流路300の周辺領域に位置する。いくつかの実施形態において、流体の境界300sは、流路300の辺縁に近い。図1Aに示されるように、流路300を流れる溶液は、放物線流速プロファイルを表す。言い換えると、流体の境界300sに近いサンプルローディングレートは、中心領域より遅い。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によると、センサーデバイス10は、中心領域よりも流体の境界300sに近い大きいサイズの反応部位102を有して、流路300中の放物線流速プロファイルのせいで低いサンプルローディングレートを補償する。特に、図1Bは、本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイス10の第一基板の上面図である。
【0026】
センサーデバイス10は、複数の第一反応基102Rを有する。第一反応基102Rは、第一基板100上に設置され、各第一反応基102Rは、複数の反応部位102を有する。いくつかの実施形態において、反応部位102は、ナノスポット、あるいは、ナノウェルである。いくつかの実施形態において、第一反応基102Rは、同じロウに位置する反応部位102を有し、且つ、ロウ(row)は、流路300の延伸方向にほぼ垂直である。本発明の実施形態において、オブジェクトの“延伸方向”は、オブジェクトの長軸に沿った、あるいは、ほぼ平行な方向を参照する。たとえば、オブジェクトは、最小の長方形により囲まれ、且つ、最小の長方形の長辺の延伸方向は長軸方向である。
【0027】
三つの反応部位102は、反応部位102A、反応部位102B、および、反応部位102Cと示される。図1Bに示されるように、反応部位102Aは、反応部位102Bよりも、流体の境界300sに近く、且つ、反応部位102Aのサイズは、反応部位102Bのサイズ以上である。さらに、反応部位102Bは、反応部位102Cよりも、流体の境界300sに近く、且つ、反応部位102Bのサイズは、反応部位102Cのサイズより大きい。
【0028】
いくつかの実施形態において、反応部位102Aの面積と反応部位102Cの面積の比率は、1.1:1 ~ 2:1の範囲である。いくつかの実施形態において、反応部位102Aの面積と反応部位102Bの面積の比率は、1.1:1~1.5:1の範囲である。いくつかの実施形態において、反応部位102の面積は、反応部位102の底面の面積に相当する。
【0029】
言い換えると、いくつかの実施形態において、流体の境界300sに近くなるにつれて、反応部位102の一部(たとえば、図面中の反応部位102A、および、102B)のサイズは徐々に増加する。一方、流体の境界300sから遠い反応部位102の一部 (たとえば、図面中で示される反応部位102C)のサイズは、いくつかの実施形態と実質上同じである。
【0030】
特に、いくつかの実施形態において、反応部位102Aの直径d1は、第二反応部位102Bの直径d2以上であり、且つ、反応部位102Bの直径d2は、反応部位102Cの直径d3より大きい。いくつかの実施形態において、反応部位102Aの直径d1と反応部位102Cの直径d3の比率は、1.1:1~2:1の範囲である。いくつかの実施形態において、反応部位102Aの直径d1と反応部位102Bの直径d2の比率は、1.1:1~1.5:1の範囲である。
【0031】
反応部位102の数は、図面で示される数量に制限されない。各種実施形態において、さらに多くの、さらに少ない反応部位102A (たとえば、最大反応部位)、反応部位102B (たとえば、中間サイズの反応部位)、および、反応部位102C (たとえば、最小反応部位)を有し、必要に応じて調整される。各種実施形態において、異なる数個のサイズの反応部位102がある。たとえば、三サイズ以上、たとえば、四個、五個、六個、七個の異なるサイズの反応部位102を有するが、それらに限定されない。各種実施形態において、反応部位102は、長方形アレイ、あるいは、六角形アレイで配列されるが、それらに限定されない。
【0032】
このほか、反応部位102の形状は、図1Bに示されるような円形に制限されない。その他のいくつかの実施形態において、反応部位102は、別の適当な形状、たとえば、楕円形、長方形、楕円形、あるいは、その他の適当な任意の形状を有する。いくつかの実施形態において、二個以上の可能な形状の反応部位102を有する。
【0033】
図1Cは、本発明のいくつかの実施形態による図1Bの線A-A’に沿ったセンサーデバイス10の断面図である。このほか、図1Cはさらに、流路300中で、生体サンプル400を含む溶液の平均流速を表示する。
【0034】
図1Cに示されるように、いくつかの実施形態において、センサーデバイス10はさらに、第一基板100上、且つ、第一基板100と第二基板200間に設置される第一スペーサ層104を有する (図3に示される)。いくつかの実施形態において、第一スペーサ層104は、複数の開口を有し、開口は反応部位102を定義する。しかし、いくつかのその他の実施形態において、反応部位102は、第一基板100中に形成される開口である。
【0035】
いくつかの実施形態において、反応部位102 (反応部位102A、102B、および、102C)のピッチPは同じである。いくつかの実施形態において、反応部位102Aと反応部位102B間に位置する第一スペーサ層104の幅Wは、反応部位102Bと反応部位102C間に位置する第一スペーサ層104の幅Wより小さい。いくつかの実施形態において、第一スペーサ層104の幅Wと幅Wは、それぞれ、反応部位102Aと反応部位102B間の第一スペーサ層104の最小幅、および、反応部位102Bと反応部位102C間の第一スペーサ層104の最小幅である。
【0036】
いくつかの実施形態において、第一スペーサ層104の材料は、それらに限定されないが、テレフタル酸ポリエチレン (PET)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルスルホン (PES)、ポリカーボネート (PC)、ポリメタクリル酸メチル (PMMA)、ポリジメチルシロキサン (PDMS)、ガラス、SiO2、 SiON、 SiN、TiO2、TiN、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、あるいは、それらの組み合わせを有する。
【0037】
いくつかの実施形態において、生体サンプル400は、それらに限定されないが、DNA、RNA、タンパク質、抗原、抗体、脂質ミセル、生体分子-被覆ナノ粒子、あるいは、それらの組み合わせを有する。いくつかの実施形態において、第一反応基102Rの反応部位102は、自己集合単分子層で修正(modify)されて、溶液中の生体サンプル400を固定する。いくつかの実施形態において、センサーデバイス10は、生体サンプル400により発射される蛍光性、あるいは、化学発光を測定、あるいは、分析する。
【0038】
いくつかの実施形態において、反応部位102は、官能基で選択的に修正されて、反応部位102中の生体サンプル400を捕捉、並びに、固定するとともに、固定メカニズムは、表面電荷引力、自己組織化共有結合、あるいは、生物親和性を有するが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、生体サンプル400が負に帯電するとき、反応部位102は、プラスに帯電するように修正される。たとえば、反応部位102は、シラン、たとえば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン (APTES)、あるいは、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン (GPTES)で修正される。その他のいくつかの実施形態において、生体サンプル400がビオチンタグにより修正されるとき、反応部位102は、ストレプトアビジンにより修正される。
【0039】
上記のように、流路300に流れる溶液は、放物線流速プロファイルを表し、反応部位102Aの平均流速、あるいは、サンプルローディングレートは、反応部位102Bのそれより遅い。同様に、反応部位102Bの平均流速、あるいは、サンプルローディングレートは、反応部位102Cのそれより遅い。それでもなお、流体の境界300sに近い反応部位102A、あるいは、反応部位102Bのサイズは、流体の境界300sから遠い反応部位102Cのサイズより大きいので、反応部位102A、あるいは、反応部位102Bの低サンプルローディングレートは補正される。このような設定により、反応部位102の全体の負荷速度 (すなわち、生体サンプル400のローディング量)は、流路300の異なる領域において、ほぼ均一である。
【0040】
図2A図2Cは、本発明のいくつかの実施形態による流路300の上面図である。図2A図2Cに示されるように、流路300は、注入口302、および、排出口304を有する。生体サンプル400を含む溶液が、注入口302から流路300に進入するとともに、排出口304から流路300を出る。いくつかの実施形態において、第一反応基102R (たとえば、図1B中の反応部位102A、102B、および、102Cを有する)は、同じ断面線A-A’上に位置し、且つ、断面線 A-A’は、注入口302と排出口304の延伸線Exに垂直である。いくつかの実施形態において、延伸線Exは、注入口302と排出口304の中心点間の接続線に相当する。いくつかの実施形態において、延伸線Exは、流路300の延伸方向にほぼ平行である。
【0041】
図2Aに示されるように、いくつかの実施形態において、流路300は六角形である。図2Bに示されるように、いくつかの実施形態において、流路300は、葉形、あるいは、曲線辺を有する。図2Cに示されるように、いくつかの実施形態において、流路300は楕円形状を有する。このほか、注入口302、および、排出口304は、流路300の二個の反対端に位置する。なお、流路300の形状は、上記に制限されない。各種実施形態において、流路300は、必要に応じて、その他の任意の適当な形状を有する。
【0042】
図3は、本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイス10Aの断面図である。図3に示されるように、いくつかの実施形態において、センサーデバイス10Aはさらに、第一導電層110、および、第二導電層210を有する。第一導電層110は、第一基板100上、且つ、第一基板100と第一スペーサ層104間に設置される。第二導電層210は、第二基板200上に設置される。いくつかの実施形態において、センサーデバイス10Aはさらに、第二基板200上の第二スペーサ層204を有し、第二導電層210が、第二基板200と第二スペーサ層204間に設置される。
【0043】
いくつかの実施形態において、センサーデバイス10Aはさらに、第二基板200上に設置される第二反応基202Rを有する。第二反応基202Rは、第二基板200上に設置され、且つ、各第二反応基202Rは、複数の反応部位202を有する。上記のように、第二反応基202Rは、第一反応基102Rに類似し、且つ、よって、ここで繰り返さない。いくつかの実施形態において、生体サンプル400は、第一基板100上の反応部位102、および、第二基板200上の反応部位202上に配置される。
【0044】
いくつかの実施形態において、第一基板100と第二基板200は、第一基板100と第二基板200間の距離DSが隔てられる。いくつかの実施形態において、距離DSは、10μm ~3mm、あるいは、25μm ~1mmの範囲、たとえば、50μm、100μm、250μm、あるいは、500μmである。
【0045】
いくつかの実施形態において、第一導電層110と第二導電層210の材料は、金属導電材料、透明導電材料、あるいは、それらの組み合わせを有する。金属導電材料は、銅(Cu)、銀(Ag)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、クロム(Cr)、ニッケル (Ni)、プラチナ (Pt)、チタン(Ti)、銅合金、銀合金、錫合金、アルミニウム合金、モリブデン合金、タングステン合金、金合金、クロム合金、ニッケル合金、プラチナ合金、チタン合金、その他の適当な導電材料、あるいは、それらの組み合わせを有するが、それらに限定されない。透明導電材料は、透明導電酸化物 (TCO)を有する。たとえば、透明導電酸化物は、インジウムスズ酸化物 (ITO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム亜鉛酸化物 (IZO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、インジウムスズ亜鉛酸化物(ITZO)、アンチモンスズ酸化物 (ATO)、アンチモン亜鉛酸化物 (AZO)、あるいは、それらの組み合わせを有するが、それらに限定されない。
【0046】
いくつかの実施形態において、反応部位102下方に設置される第一導電層110、および、反応部位202下方に設置される第二導電層210はさらに、活性力(たとえば、誘電泳動、あるいは、電気泳動力)を提供して、生体サンプル400を、反応部位102、および、反応部位202の表面に引き寄せる。よって、生体サンプル400のローディング効率(loading efficiency )が改善される。
【0047】
図4は、本発明のその他のいくつかの実施形態によるセンサーデバイス10Bの断面図である。理解すべきことは、上記、および、下記で提供される記述の内容における同じ、あるいは、類似するコンポーネンツ、あるいは、素子は、同じ、あるいは、類似の参照符号により表示される。これらのコンポーネンツ、あるいは、素子の材料、製造方法、および、機能は、上記と同じ、あるいは、類似するので、ここで繰り返さない。
【0048】
図4に示されるように、いくつかの実施形態において、センサーデバイス10Bは1つのスペーサ層だけを有する。たとえば、いくつかの実施形態において、センサーデバイス10Bは、第一導電層110上の第一スペーサ層104を有するが、第二導電層210上の第二スペーサ層204を有さない。言い換えると、センサーデバイス10Bは、基板 (すなわち、第一基板100)の一側だけに反応部位102を有する。
【0049】
図5は、本発明のその他のいくつかの実施形態によるセンサーデバイス10Cの断面図である。図5に示されるように、いくつかの実施形態において、センサーデバイス10Cは、第一基板100上、且つ、第一基板100と第一スペーサ層104の間に設置される誘電層112を有する。
【0050】
いくつかの実施形態において、誘電層112は、第一反応基102Rと部分的に重なる。言い換えると、誘電層112は、反応部位102の一部と重複するが、反応部位102の別の部分と重複しない。いくつかの実施形態において、誘電層112は第一導電層110から分離し、誘電層112が、第一導電層110の分離部分間に挿入される。いくつかの実施形態において、誘電層112は、流路300の中心領域近く、且つ、流体の境界300sから離れた箇所に位置する。
【0051】
いくつかの実施形態において、誘電層112の材料は、それらに限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化けい素、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、フォトレジスト、ポリジメチルシロキサン (PDMS)、ポリメチルメタクリレート (PMMA)、ポリイミド (PI)、その他の適当な材料、あるいは、それらの組み合わせを有する。
【0052】
図6図8は、本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。いくつかの実施形態において、第一基板100は、不透明、透明、あるいは、半透明であり、第二基板200は、透明、あるいは、半透明である。いくつかの実施形態において、第二基板200は、センサーデバイスの上基板を参照する。いくつかの実施形態において、上基板 (たとえば、第二基板200)の材料は、光線が上基板を通過できるように、透明、あるいは、半透明でなければならず、光学顕微鏡500を用いて、生体サンプル400を観察する。
【0053】
図6に示されるように、いくつかの実施形態において、光学顕微鏡500を用いて、第一基板100上の反応部位102の生体サンプル400、および、第二基板200上の反応部位202の生体サンプル400を観察する。いくつかの実施形態において、第一基板100、および、第二基板200上の生体サンプル400の観察は同時に実行される。図7、および、図8に示されるように、いくつかの実施形態において、センサーデバイスは、第一基板100上だけに、反応部位102を有し、光学顕微鏡500を用いて、第一基板100上の反応部位102の生体サンプル400を観察する。
【0054】
図9図11は、本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイスの断面図である。いくつかの実施形態において、第一基板100、および/または、第二基板200は、相補型MOS(CMOS)基板である。このような実施形態において、第一基板100、および/または、第二基板200は不透明である。このほか、図9図11に示されるように、センサーデバイスはさらに、複数のセンサー素子120を有し、センサー素子120は、第一基板100、および/または、第二基板200中に設置される。
【0055】
いくつかの実施形態において、センサー素子120は、フォトダイオード、あるいは、測定された光線を電流に変換することができる別の適当な光線感知素子である。特に、いくつかの実施形態において、センサー素子120は、電流を、別の素子、たとえば、別のMOSトランジスタに移動させる金属酸化物半導体 (MOS)トランジスタ (図示しない)のソースとドレインを有する。別の素子は、それらに限定されないが、リセットトランジスタ、電源フォロワー、あるいは、ロウセレクターを有し、電流をデジタル信号に変換する。
【0056】
図9に示されるように、いくつかの実施形態において、センサーデバイス10A’において、第一基板100と第二基板200はともに、CMOS基板である。センサー素子120は、第一基板100と第二基板200中に設置されるとともに、それぞれ、第一導電層110と第二導電層210に電気的に接続される。
【0057】
図10に示されるように、いくつかの実施形態において、センサーデバイス10B’において、第一基板100はCMOS基板であり、第二基板200は違う。いくつかの実施形態において、センサー素子120は、第一導電層110と接触する。図11に示されるように、いくつかの実施形態において、センサーデバイス10C’において、第一基板100はCMOS基板であり、第二基板200は違う。いくつかの実施形態において、センサー素子120は、第一導電層110、および、誘電層112と接触する。
【0058】
図12A図12Eは、本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイス10Aを用いる方法の中間段階におけるセンサーデバイス10Aの断面図である。理解すべきことは、センサーデバイス10Aを用いる方法の前、その期間中、および/または、そのあとに、追加工程が提供されることである。いくつかの実施形態において、以下で記述される工程の一部は重複、あるいは、消去される。
【0059】
図12Aに示されるように、本方法は、上述のセンサーデバイス10Aを提供するとともに、生体サンプル400を含む溶液を流路300に投入する工程を有する。いくつかの実施形態において、流路300中に生体サンプル400を含む溶液を投入後、流れが停止するとともに、いくつかの生体サンプル400が、反応部位102、および、反応部位202で固定される。
【0060】
次に、図12Bを参照すると、本方法は、電圧を第一導電層110に供給して、第一反応基102Rの反応部位102上に、生体サンプル400を固定する工程を有する。いくつかの実施形態において、電圧は直流 (DC)電圧であり、生体サンプル400は、電気泳動力により、反応部位102上で固定される。図12Bに示されるように、この段階で、第一導電層110は正に帯電し、よって、負に帯電した生体サンプル400は、反応部位102に引きつけられる。このほか、本方法は、第一導電層110に供給される電圧をオフにする工程を有する。
【0061】
次に、図12Cを参照すると、電圧を第一導電層110に供給して、第一反応基102R上に、生体サンプル400を固定する工程の後、本方法はさらに、電圧の方向を逆転させて、第二反応基202Rの反応部位202に、生体サンプル400を固定する工程を有する。図12Cに示されるように、この段階で、第二導電層210は正に帯電し、負に帯電した生体サンプル400は、反応部位202に引きつけられる。注意すべきことは、反応部位102上の生体サンプル400はすでに、官能基の相互作用により、反応部位102の表面に相互リンクされているので、すでに、反応部位102上に固定されている生体サンプル400は、反応部位202に引き付けられない。
【0062】
このほか、いくつかの実施形態において、電圧を第一導電層110に供給して、第一反応基102R上に、生体サンプル400を固定する工程の後、本方法はさらに、一定期間待って、固定を安定させる工程を有する。いくつかの実施形態において、一定期間は、5秒から5時間、あるいは、10秒から3時間、あるいは、30秒から1時間の範囲、たとえば、1分、3分、5分、10分、あるいは、30分である。
【0063】
次に、図12Dを参照すると、本方法は、流路300から余分な生体サンプル400を洗い流す工程を有する。いくつかの実施形態において、バッファ溶液410を用いて、余分な生体サンプル400を洗い流すとともに、その後、流路300を補充する。いくつかの実施形態において、バッファ溶液410は、生体サンプル400を含む溶液と同じタイプの溶液である。いくつかの実施形態において、バッファ溶液410は、それらに限定されないが、リン酸緩衝生理食塩水 (PBS)、あるいは、トリスEDTA(TE)バッファを有する。
【0064】
その後、図12Eに示されるように、生体サンプル400は、第一基板100上の各反応部位102、および、第二基板200上の各反応部位202上に固定される。生体サンプル400は、センサーデバイス10Aの反応部位に満載される。
【0065】
注意すべきことは、図12A図12Eに示される実施形態において、第一導電層110、および、第二導電層210は対称である。すなわち、露出される第一導電層110、および、第二導電層210のパターンは同じなので、生体サンプル400は、負に帯電、あるいは、正に帯電しなければならず、よって、それらは、電気泳動力により、反応部位102、および、反応部位202に引き付けられる。
【0066】
図13A図13Dは、本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイス10Bを用いる方法の中間段階におけるセンサーデバイス10Bの断面図である。理解すべきことは、センサーデバイス10Bを用いる方法の前、その期間中、および/または、そのあとに、追加工程が提供されることである。いくつかの実施形態において、以下で記述される一部の工程は、重複、あるいは、消去される。
【0067】
図13Aに示されるように、本方法は、上記のようなセンサーデバイス10Bを提供するとともに、生体サンプル400を含む溶液を流路300に投入する工程を有する。いくつかの実施形態において、生体サンプル400を含む溶液を流路300に投入後、流れが停止するとともに、一部の生体サンプル400が反応部位102で固定される。
【0068】
次に、図13Bに示されるように、本方法は、電圧を第一導電層110に供給して、第一反応基102Rの反応部位102上で、生体サンプル400を固定する工程を有する。いくつかの実施形態において、電圧は交流電流 (AC)電圧であり、且つ、生体サンプル400は、誘電泳動力により、第一反応基102Rの反応部位102上で固定される。いくつかの実施形態において、交流電流電圧の周波数は、1kHz~1GHzの範囲、たとえば、1MHzである。このほか、本方法は、第一導電層110に供給される電圧をオフにする工程を有する。
【0069】
このほか、いくつかの実施形態において、電圧を第一導電層110に供給して、第一反応基102R上で生体サンプル400を固定する工程の後、本方法はさらに、一定期間待って、固定を安定させる工程を有する。いくつかの実施形態において、その一定期間は、5秒から5時間、あるいは、10秒から3時間、あるいは、30秒から1時間の範囲、たとえば、1分、3分、5分、10分、あるいは、30分である。
【0070】
次に、図13Cを参照すると、本方法は、流路300から余分な生体サンプル400を洗い流す工程を有する。いくつかの実施形態において、バッファ溶液410を用いて、余分な生体サンプル400を洗い流すとともに、流路300を充填する。その後、図13Dに示されるように、生体サンプル400は、第一基板100上の各反応部位102上で固定される。生体サンプル400は、センサーデバイス10Bの反応部位に満載される。
【0071】
注意すべきことは、図13A図13Dに示される実施形態において、第一導電層110、および、第二導電層210は対称である、すなわち、露出される第一導電層110、および、第二導電層210のパターンは異なるので、生体サンプル400は変化せず、負に帯電、あるいは、正に帯電し、それらすべては、誘電泳動力により、反応部位102に引き付けられる。
【0072】
図14A図14Dは、本発明のいくつかの実施形態によるセンサーデバイス10Cを用いる方法の中間段階におけるセンサーデバイス10Cの断面図である。理解すべきことは、センサーデバイス10Cを用いる方法の前、その期間中、および/または、そのあとに、追加工程が提供されることである。いくつかの実施形態において、以下で記述される一部の工程は、重複、あるいは、消去される。
【0073】
図14Aに示されるように、本方法は、上述されるセンサーデバイス10Cを提供するとともに、生体サンプル400を含む溶液を流路300に投入する工程を有する。いくつかの実施形態において、生体サンプル400を含む溶液が流路300に投入された後、流れは停止するとともに、一部の生体サンプル400が、適当な休眠時間(resting time)により、反応部位102上で固定される。装置10Cは、反応部位102C下方に誘電層112を有し、平均流速は相対的に高く、且つ、均一で、よって、追加の電気的引力は不要になる。
【0074】
次に、図14Bを参照すると、本方法は、電圧を第一導電層110に供給して、第一反応基102Rの反応部位102Aと102B上で生体サンプル400を固定する工程を有する。いくつかの実施形態において、電圧は交流電流 (AC)電圧であり、生体サンプル400は、誘電泳動力により、第一反応基102Rの反応部位102A、および、102B上で固定される。いくつかの実施形態において、交流電流電圧の周波数は、1kHz~1GHzの範囲、たとえば、1MHzである。このほか、本方法は、第一導電層110に供給される電圧をオンにする工程を有する。
【0075】
このほか、いくつかの実施形態において、電圧を第一導電層110に供給して、第一反応基102R上で生体サンプル400を固定する工程の後、本方法はさらに、一定期間待って、固定を安定させる工程を有する。いくつかの実施形態において、一定期間は、5秒から5時間、あるいは、10秒から3時間、あるいは、30秒から1時間の範囲、たとえば、1分、3分、5分、10分、あるいは、30分である。
【0076】
次に、図14Cを参照すると、本方法は、流路300から、余分な生体サンプル400を洗い流す工程を有する。いくつかの実施形態において、バッファ溶液410を用いて、余分な生体サンプル400を洗い流すとともに、流路300を補充する。その後、図14Dに示されるように、生体サンプル400は、第一基板100上の各反応部位102で固定されるとともに、一部の生体サンプル400が誘電層112に位置する。生体サンプル400は、センサーデバイス10Cの反応部位上に満載される。
【0077】
注意すべきことは、図14A図14Dに示される実施形態において、第一導電層110、および、第二導電層210は対称である、すなわち、露出する第一導電層110、および、第二導電層210のパターンは異なるので、生体サンプル40は変化せず、負に帯電、あるいは、正に帯電し、それらのすべては、誘電泳動力により、反応部位102に引き付けられる。
【0078】
上記を総合すると、いくつかの実施形態において、センサーデバイスは、中心領域よりも、流体の境界領域に近い大きいサイズの反応部位を有する反応基を有して、流路中の放物線流速プロファイルのせいで低いサンプルローディングレートを補償する。よって、反応部位のサンプルローディングレートは、流路の異なる位置 (たとえば、中心領域、あるいは、境界領域)で均一であり、且つ、センサーデバイスの信頼性、あるいは、パフォーマンスが改善される。さらに、いくつかの実施形態において、センサーデバイスはさらに、基板上に設置される導電層を有して、誘電泳動力が生成されて、荷電サンプルを反応部位に引き付けるのをアシストする。サンプルのローディング効率が向上する。
【0079】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の思想を脱しない範囲内で各種の変形を加えることができる。
【符号の説明】
【0080】
10、10A、10B、10C、10A’、10B’、10C’…センサーデバイス
100…第一基板
102…反応部位102A~102C…反応部位
102R…第一反応基
104…第一スペーサ層
110…第一導電層
112…誘電層
200…第二基板
202…反応部位
202R…第二反応基
204…第二スペーサ層
210…第二導電層
300…流路
302…注入口
304…排出口
300s…流体の境界
400…生体サンプル
410…バッファ溶液
500…光学顕微鏡
d1、d2、d3…直径
DS…距離
Ex…延伸線
P…ピッチ
、W…幅
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D