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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】符号化アンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/08 20060101AFI20230515BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20230515BHJP
   H01Q 3/34 20060101ALI20230515BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20230515BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20230515BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H04B7/08 370
H01Q21/06
H01Q3/34
H02J50/40
H02J50/20
H02J7/00 301D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021526804
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019060827
(87)【国際公開番号】W WO2020102131
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】16/194,137
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521209926
【氏名又は名称】オシア インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】リーガー,ジョエル
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-158914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0160335(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0128892(US,A1)
【文献】特開2006-253866(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0083816(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0216156(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0331331(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0300547(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0103593(US,A1)
【文献】特表2018-501755(JP,A)
【文献】Vikas Chauhan et al.,Code-modulated interferometric imaging system using phased arrays,Proc. SPIE 9830, Passive and Active Millimeter-Wave Imaging XIX,2016年05月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
H01Q 21/06
H01Q 3/34
H02J 50/40
H02J 50/20
H02J 7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナの各々において、クライアント装置から複数の経路を介して送信されたそれぞれの入射信号を受信するステップと、
前記複数のアンテナにおいて受信した前記入射信号をそれぞれの符号で符号化し、複数の符号化信号を形成するステップと、
前記複数の符号化信号を合成波形に合成するステップと、
前記合成波形のIQ復調を実行し、同相成分I(t)および直交成分Q(t)を含む前記合成波形の複素表現を生成するステップと、
前記合成波形の前記複素表現に、前記入射信号を符号化するために使用された前記符号を適用し、前記複数のアンテナの各々で受信された前記それぞれの入射信号を抽出する、適用するステップと、
前記抽出された入射信号の処理を介して、前記複数のアンテナの各々において受信された前記入射信号のそれぞれの位相を決定するステップと、
前記抽出された入射信号の処理を介して、前記複数のアンテナの各々において受信された前記入射信号のそれぞれの振幅を決定するステップと、
前記決定された入射信号の前記位相および前記振幅を利用し、前記クライアント装置への電力信号の無線送信を介して前記クライアント装置に電力を供給するステップと、を備え、
前記振幅のうちの一の振幅が、所定の閾値未満である場合、前記一の振幅を備える前記入射信号の経路を介して前記クライアント装置に前記電力を供給しない方法。
【請求項2】
前記符号は直交符号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記符号は疑似乱数系列である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記合成波形を中間信号にダウンコンバートするステップと、
前記中間信号のIQ復調を実行し、前記合成波形の前記複素表現を生成するステップと、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数のアンテナの各々において、複数のクライアント装置から複数の経路を介して送信された信号を受信するステップと、
アンテナの各々に対して、当該アンテナによって前記複数のクライアント装置から受信した前記信号を重ね合わせ、それぞれの入射信号を形成するステップと、
前記それぞれの入射信号をそれぞれの符号で符号化し、それぞれの符号化信号を形成するステップと、
前記それぞれの符号化信号を合成波形に結合するステップと、
前記合成波形のIQ復調を実行し、同相成分I(t)および直交成分Q(t)含む前記合成波形の複素表現を生成するステップと、
前記合成波形の前記複素表現に、前記それぞれの入射信号を符号化するために使用された前記符号を適用し、前記複数のアンテナの各々について前記それぞれの入射信号を抽出するステップと、
抽出された前記入射信号をフィルタリングし、前記複数のアンテナの各々において個々のクライアント装置から受信された前記信号を分離するステップと、
所与のクライアント装置について分離された信号の処理を介して、前記複数のアンテナの各々において受信された、当該クライアント装置からの前記信号のそれぞれの位相を決定するステップと、
所与のクライアント装置について分離された信号の処理を介して、前記複数のアンテナの各々において受信された、当該クライアント装置からの前記信号のそれぞれの振幅を決定するステップと、
前記決定された信号の前記位相および前記振幅を利用し、前記クライアント装置への電力信号の無線送信を介して前記クライアント装置に電力を供給するステップと、を備え、
前記振幅のうちの一の振幅が、所定の閾値未満である場合、前記一の振幅を備える前記入射信号の経路を介して前記クライアント装置に前記電力を供給しない方法。
【請求項6】
前記符号は直交符号である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記符号は疑似乱数系列である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記合成波形を中間信号にダウンコンバートするステップと、
前記中間信号のIQ復調を実行し、前記合成波形の前記複素表現を生成するステップと、をさらに備える請求項5に記載の方法。
【請求項9】
各々のアンテナが複数のクライアント装置から複数の経路を介して送信された信号を受信し、前記受信した信号を重ね合わせ入射信号を形成するように構成された、複数のアンテナと、
前記それぞれの入射信号の各々をそれぞれの符号で符号化し、それぞれの符号化信号を形成する手段と、
前記符号化信号を合成波形に結合する手段と、
前記合成波形のIQ復調を実行し、同相成分I(t)および直交成分Q(t)を含む前記合成波形の複素表現を生成する手段と、
前記合成波形の前記複素表現に、前記それぞれの入射信号を符号化するために使用された前記符号を適用し、前記複数のアンテナの各々について前記それぞれの入射信号を抽出する手段と、
抽出された前記入射信号をフィルタリングし、前記複数のアンテナの各々において個々のクライアント装置から受信された前記信号を分離する手段と、
所与のクライアント装置について分離された信号の処理について、前記複数のアンテナの各々において受信された、当該クライアント装置からの前記信号のそれぞれの位相を計算する手段と、
所与のクライアント装置について分離された信号の処理について、前記複数のアンテナの各々において受信された、当該クライアント装置からの前記信号のそれぞれの振幅を計算する手段と、
無線信号の送信を介して、クライアント装置への電力供給のための無線電力送信システムと、を備え、
装置は、前記計算された信号の前記位相および前記振幅を利用し、前記クライアント装置への電力信号の無線送信を介して前記クライアント装置に電力を供給するように構成され、
前記振幅のうちの一の振幅が、所定の閾値未満である場合、前記一の振幅を備える前記信号の経路を介して前記クライアント装置に前記電力を供給しない装置。
【請求項10】
前記符号はウォルシュ符号または疑似乱数系列である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記合成波形を中間信号にダウンコンバートするためのダウンコンバータをさらに備え、
前記合成波形のIQ復調を実行する手段は、前記中間信号のIQ復調を実行し、前記合成波形の前記複素表現を生成する、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、一般に無線通信に関するものであり、より具体的には、符号化アンテナアレイおよび関連する回路に関するものであるが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
今日の環境では、ワイヤレス通信の使用が一般的である。携帯電話からタブレット、無線で接続されたコンピュータ、モノのインターネット(IoT)装置まで、有線の世界に戻ることは想像しにくいだろう。新世代の移動体通信技術(例:3G、4G、まもなく5G)により、利用可能な帯域幅は劇的に増加した。IEEE802.11(別名Wi-Fi(登録商標))などの他のワイヤレス技術を使用しても同様の利点が得られており、この技術は携帯電話、タブレット、ラップトップ、ノートブック、その他のタイプのコンピューティングデバイスで広く使用されている。その他のワイヤレス技術には、Bluetooth(登録商標)、WiMAX(登録商標)、Satellite、ZigBee(登録商標)などがある。
【0003】
無線通信の基本的な側面は、アンテナおよび関連する信号処理回路である。アンテナは、さまざまな変調方式を使用して(入射電波として受信される)アナログ無線信号を送受信するために使用される。これらの方式には、時分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、直接シーケンス拡散スペクトル(DSSS)周波数ホッピング拡散スペクトル(FHSS)、および直交周波数分割多元接続(OFDMA)が含まれるが、これらに限定されない。DS-CDMA(直接シーケンス符号分割多元接続)のように、これらの技術の変形および/または組み合わせを実施することもできる。送信信号を生成し、受信信号を処理するために、一般に送信機および受信機と呼ばれる別個の送信機および受信機回路が使用される。送信機および受信機の機能をトランシーバと呼ばれる単一の構成要素に実装するための回路を統合することも一般的である。
【0004】
アンテナ技術も近年進歩している。例えば、いわゆる「スマート」アンテナは、到来方向などの空間信号情報を識別するために使用され、ターゲット装置のアンテナビームを追跡して位置決めするためにビーム形成ベクトルを計算するために使用される、インテリジェント信号処理を備えたアンテナアレイである。
【0005】
本明細書で提供されているいくつかの先行するまたは関連するシステムおよびそれらの関連する制限の例は、例示的であり、排他的ではないことが意図されている。既存のまたは従来のシステムの他の制限は、以下の詳細な説明を読むことによって当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の前述の態様および付随する利点の多くは、添付の図面に関連して、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるようになるにつれて、より容易に理解されるようになるであろう。
【0007】
図1図1は、一実施形態による符号化合成波形Yを生成する方法でアンテナアレイによって受信された信号の処理を示す図である。
図2図2は、一実施形態による複数のクライアントから受信された信号がどのように符号化され、処理されるかを示すシステム図であり、その後、個々のアンテナで受信された信号および各クライアントから受信された信号を抽出することを可能にする。
図3図3aおよび図3bは、8ビットウォルシュ符号の例示的な組を示す。
図4a図4aは、4つのそれぞれのアンテナで受信した4つの入射波形を示すグラフを示す。
図4b図4bは、符号化された後の図4bの4つの入射波形を示すグラフを示す。
図4c図4cは、図4bの4つの符号化波形を加算することによって生成される合成波形を示すグラフを示す。
図5図5aおよび図5bは、合成波形のIQ復調によって生成されたベースバンドIQ合成信号を示すグラフを示す。ここで、I成分およびQ成分は、図5aでは単一のグラフで示され、図5bでは別個のグラフで示される。
図6図6図5のベースバンドIQ合成信号に図4bの符号を適用することによって得られる4つの復号化ベースバンド信号のI成分およびQ成分を示すグラフである。
図7図7は、一実施形態による例示的な24GHzシステム実装のブロック図を示す。
図8a図8aは、一実施形態による位相再構成可能アンテナ800のブロック図である。
図8b図8bは、一実施形態による1ビット位相シフタまたはNビット位相シフタを含むアンテナ/回路ブロックのブロック図である。
図8c図8cは、一実施形態によるミキサまたはイメージ除去ミキサを使用するアンテナ/回路ブロックを示すブロック図である。
図8d図8dは、一実施形態によるタップポイントを使用して180度を切り換えるアンテナ/回路ブロックを示すブロック図である。
図8e図8eは、一実施形態によるフルRFフロントエンドミキサを含むアンテナ/回路ブロックを示すブロック図である。
図8f図8fは、一実施形態による、フルRFフロントエンドおよび位相シフタを含むアンテナ/回路ブロックを示すブロック図である。
図9図9は、一実施形態による、図8aの位相再構成可能アンテナのアレイを使用する例示的な24GHzシステム実装のブロック図である。
図10図10は、一実施形態による、図8cのアンテナ/ブロック回路のアレイを使用する例示的な24GHzシステム実装のブロック図である。
図11図11は、アンテナ/回路ブロックのアレイを示す図であり、アンテナで受信された入射信号を符号化するために使用される回路は、アンテナと並置される。
図12図12は、アンテナアレイおよびアンテナで受信された入射信号を符号化するために使用される回路がアンテナから分離される実施形態を示す図である。
図13図13は、いくつかの実施形態による1つ以上の無線電力送信システムから無線電力供給環境内の様々な無線装置への無線電力供給を示す無線電力供給環境の例を示す。
図14図14は、いくつかの実施形態による無線電力供給を開始するための、無線電力送信システムと無線受信機クライアントとの間の例示的な動作を示すシーケンス図を示す。
図15図15は、いくつかの実施形態による無線電力送信システムの例示的な構成を示すブロック図である。
図16図16は、いくつかの実施形態による無線電力受信機クライアントの例示的な構成を示すブロック図を示す。
図17図17aおよび図17bは、いくつかの実施形態による例示的なマルチパス無線電力供給環境を図示する図を示す。
図18図18は、一実施形態による符号化アンテナアレイを使用するWPTSによって実行される動作を示すフローチャート1800である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
符号化アンテナアレイの実施形態および関連する方法、装置およびシステムが本明細書に記載される。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。しかしながら、当業者であれば、本発明は、特定の詳細の1つ以上を用いずに、または他の方法、構成、材料などを用いて実施することができることを認識するであろう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料、または動作は、詳細に図示または説明されていない。
【0009】
本明細書中、「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」という用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所における「一実施形態で(in one embodiment)」または「一実施形態で(in an embodiment)」という語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特徴は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0010】
明確にするために、本明細書の図中の個々の構成要素は、特定の参照番号によってではなく、図中のそれらのラベルによって参照されてもよい。さらに、(特定の構成ではなく)特定のタイプの構成を参照する参照番号は、「典型的(typical)」を意味する「(typ)」が後に続く参照番号で示されてもよい。これらの構成による構成は、存在してもよいが、簡略化および明確化のために図面には示されていない類似の構成、または別の参照番号が付されていない他の類似の構成の典型であることが理解されよう。逆に、「(typ)」は、構成、要素等がその開示された機能、実施形態、目的等のために典型的に使用されることを意味すると解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書において使用される用語は、一般に、開示の文脈内で、かつ各用語が使用される特定の文脈において、当該技術分野においてそれらの通常の意味を有する。開示を説明するために使用される特定の用語は、開示の説明に関して実務者に追加のガイダンスを提供するために、以下または明細書の他の箇所で議論される。便宜上、例えばイタリックや引用符を使用して、特定の用語を強調表示することができる。強調表示の使用は、用語の範囲および意味に影響を及ぼさない。用語の範囲と意味は、強調表示されているかどうかにかかわらず、同じコンテキストで同じである。同じことが複数の方法で言えることは理解されるだろう。
【0012】
したがって、代替言語および同義語は、本明細書中で議論された用語のいずれか1つ以上に対して使用されてもよく、また、用語が本明細書中で詳述されているかまたは議論されているか否かにかかわらず、いかなる特別な意味も置かれない。特定の用語の類義語が提供される。例えば、信号および波形という用語は、本明細書では互換的に使用される。1つ以上の異名の説明は、他の異名の使用を排除しない。本明細書に記載される用語の例を含む本明細書の任意の場所における例の使用は、例示のみであり、開示または例示された用語の範囲および意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されない。
【0013】
開示の範囲をさらに限定する意図なしに、本開示の実施形態による器具、装置、方法およびそれらの関連する結果の例を以下に示す。なお、本実施例では、読者の便宜のために、タイトルやサブタイトルを用いてもよいが、本開示の範囲を限定するものではない。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合は、定義を含む本文書がそれを管理する。
【0014】
[符号化アンテナアレイ]
本明細書に開示された実施形態の態様によれば、信号処理が各アンテナで受信された個々の信号を数学的に計算できるように、複数のアンテナが受信機回路および受信機によって実行される信号処理動作を共有することを可能にする新規な方式が提示される。受信機回路を共有することは、各アンテナに対して別個の受信機を必要とする現在の技術よりもいくつかの利点を提供する。この利点には、コスト削減とタイミング同期の簡易化が含まれる。コストと簡易化の利点は、受信機回路を共有するアンテナの数に比例する。
【0015】
符号化アンテナアレイによって実行される方法の態様では、クライアント装置などによって送信される信号は、アンテナアレイ内の複数のアンテナまたはアンテナ素子で受信される。いくつかの実施形態では、信号は、所与の受信信号を符号化するために使用される直交符号が、他の受信信号を符号化するために使用される直交符号の各々に直交する直交符号を使用して符号化される。他の実施形態では、信号は、擬似乱数(PN)系列を使用して符号化される。次いで、符号化信号は、以下にさらに詳細に説明するように、共用受信機回路を用いて処理される合成符号化波形を形成するために合成される。
【0016】
図1は、一実施形態による、符号化合成波形Yを生成する方法で、アンテナアレイによって受信された信号を処理する態様を示す。図示のように、N個のアンテナ102を含むアンテナアレイ100内のアンテナは、クライアント装置107のアンテナ106から送信された無線信号104を受信する。無線信号104が空間ダイバーシチを有するので、各アンテナ102は、φ(t)、φ(t)、φ(t)、…φ(t)で示されるように、アンテナアレイ100内の他のアンテナで受信された無線信号とは異なる位相(時間)を有し得るそれぞれの信号Sを受信する。アンテナ1、2、3およびNで受信された信号は、それぞれ信号S、S、SおよびSとして示される。
【0017】
図示の実施形態では、各アンテナで受信された信号S、S、S、…Sは、ミキサ108でそれぞれの符号C、C、C、…Cで符号化され、符号化信号C、C、C、…Cを形成する。次いで、符号化信号は、加算器110によって示されるように、一緒に加算されるか、さもなければ合成されて、合成符号化波形Yを形成する。以下でさらに詳細に説明するように、符号C、C、C、…Cが直交符号である場合、各信号S、S、S、…、Sは、抽出された信号が元の信号と一致するように、合成波形Yから抽出され得る。
【0018】
一実施形態では、この方式が最適に機能するために、C、C、C、…、Cは、式1に示すように、CとCとのドット積がN≠Mで0であり、N=Mのとき1になるように選択される。
CN・CN = len(CN)
CN・CM = 0 for N ≠ M (1)
【0019】
つまり、異なるインデックス(すなわち、M≠N)を持つ任意の2つの符号は直交することになる。この特性を持つ符号のセットの1つに、ウォルシュ(Walsh)符号またはアダマール(Hadamar)符号がある。(無線通信では、ウォルシュ符号はアダマール符号と呼ばれることがあり、またその逆もある。ウォルシュとアダマールのどちらが符号化方式の実際の創始者であるかについては意見の相違がある。)この特性を使用すると、すべての信号を1つの信号経路Yに合成できる。
Y = C1・S1 + C2・S2 + C3・S3 + ・・・+ CN・SN (2)
【0020】
、S、S、…、Sは、対応する符号を有するスカラ積によって、合成波形Yから抽出することができる。
S1 = C1・Y= C1・(C1・S1 + C2・S2 + C3・S3 +・・・+ CN・SN)
= (C1・C1・S1 + C1・C2・S2 + C1・C3・S3 +・・・+ C1・CN・SN)
= (α・1・S1 + 0・S2 + 0・S3 +・・・+ 0・SN)
= α・S1 (3)
【0021】
上記は、以下の式で表すことができる。
【数1】
より簡潔に表すと、
Sn = Y・Cn (5)
ここで、nは信号および符号インデックスであり、SはYおよびCのドット積である。
【0022】
図2のシステム200を参照すると、一実施形態では、前述のアプローチは以下の方法で実施される。システム200では、複数のクライアント装置(本明細書ではクライアントとも呼ぶ)j、k、…yが、それぞれのアンテナ202、204、206から信号S、S、Sを送信し、それらはアンテナアレイ100内のアンテナ1、2、3、・・・Nによって受信される。各クライアントj、k、・・・yは、同様の信号処理および送信機回路を含む;しかしながら、個々の周波数、タイムスロットまたは符号が各クライアントに割り当てられ、以下に説明するように、各クライアント信号を他のクライアント信号からフィルタリングすることができるように、そのクライアント信号S、S、およびSを送信するために使用される。
【0023】
各アンテナ1、2、3、・・・Nで各クライアントj、k、・・・yから受信した信号の波形を重ね合わせて入射信号S、S、S、・・・、Sを形成する。各入射信号Sは、S=Sj1+Sk1・・・+Sy1によって示されるように、各クライアントj、k、・・・yから受信された信号波形の重ね合わされた合成を含む。上述のように、所与のクライアントからの送信について、異なるアンテナで受信された信号は、アンテナアレイ内のアンテナの物理的レイアウトおよび信号伝搬の考慮事項に応じて、位相および/または振幅がわずかに異なることがある。したがって、図中の所定のクライアント装置からアンテナ1、2、3、・・・Nで受信される信号への参照は、クライアントkに対する信号Sk1、Sk2、Sk3、・・・、SkNなどのクライアントのインデックスに加えて、付加されたアンテナ番号を有する。
【0024】
図1について上述したのと同様に、各入射信号S、S、S、・・・、Sは、ミキサ108においてそれぞれの符号C、C、C、・・・、Cで符号化され、符号化信号C、C、C、・・・Cは、加算器110を介して合成され、合成符号化波形Yに合成される。信号の符号化により、各符号C、C、C、・・・、Cのビット系列に基づいて、入射信号の無線周波数(RF)波形に1または-1(すなわち、0度または180度の位相シフト)が乗算される。直交またはPN系列を含む符号を使用することにより、干渉を最小化しながら、所定のアンテナで受信された入射信号を、アンテナアレイ内の他のアンテナで受信された入射信号と組み合わせることができる。
【0025】
直交符号およびPN系列はまた、受信機ノード208によって実行される動作を介して、合成符号化波形Yから入射信号S、S、S、・・・、Sを抽出することを可能にする。合成符号化波形Yは受信機ノード208への入力として供給され、ダウンコンバートブロック210で中間信号にダウンコンバートされ、IQ復調器212で処理されて中間信号の同相成分I(t)および直交成分Q(t)を再構成し、それによって合成符号化波形Yの複素表現を含むベースバンド信号を生成する。次に、受信機ノード208内の回路および/または組み込みロジックは、複素表現に各アンテナの符号C、C、C、・・・、Cを乗算して、入射信号S、S、S、・・・、Sを抽出することができる。これは、Cブロック214およびミキサ216によって示されるように、IQ復調器212によって出力された複素表現を符号Cと乗算することによって示される。この例では、ブロック218で示される信号Sは、そのアンテナで受信された入射信号を符号化するために符号Cを使用したアンテナに対応する。同様に、他の符号C、C、C、・・・、Cを使用して信号S、S、S、・・・、Sを抽出することができる。
【0026】
受信機ノード208にさらに示されるように、一旦入射信号S、S、S、・・・、Sが抽出されると、抽出された信号は、各クライアントから所与のアンテナで受信された個々の信号を分離するために、適用可能なフィルタのセットを通過されるか、または別の方法で処理される。図2に示す例では、クライアント・フィルタ「k」を使用して、アンテナ1、2、3、…Nで受信された各入射信号S、S、S、・・・、SのIQ信号成分をクライアントkから分離する。これらのフィルタリングされた信号は、Sk1、Sk2、Sk3、およびSkNとラベル付けされる。
【0027】
一般に、使用されるフィルタのタイプは、所与のシステムにおいてクライアントによって送信される個々の信号を一意に識別するために使用される方式に基づいてもよい。例えば、一実施形態では、異なる周波数またはトーンが各クライアントによって使用され、対応する周波数帯域フィルタを使用して各クライアントの信号をフィルタリングすることができる。別の方式では、クライアントは、ビーコン信号などを送信する間、別々のタイムスロットを割り当てられる。各クライアントの送信を固有の符号で符号化するなど、他の方式を使用することができ、対応するフィルタを使用して、各クライアントが使用する符号に基づいて異なるクライアントが送信する信号を分離する。当技術分野で公知の他の技術も同様に使用することができる。
【0028】
クライアント信号が分離されると、信号Sk1、Sk2、Sk3、およびSkNをさらに処理して、信号の振幅および位相を決定することができる(そのクライアントから各アンテナ1、2、3、・・・Nで受信されたように)。振幅および位相を抽出するために、所与の時点におけるベースバンド信号の同相成分I(t)および直交成分Q(t)は、以下のように使用され得る。
【数2】
振幅は式7のように計算される。
【数3】
位相は式8のように計算される。
【数4】
【0029】
上述したように、電波からなる入射信号は各アンテナに到達し、ビット系列からなる固有の符号で符号化される。ビット系列はバイナリビット系列に類似しているが、ビット系列が1と-1で構成されるように、バイナリ「0」を「-1」で置き換えるのが従来の方法である点が異なる。この符号化の結果、無線周波数(RF)波形に1または-1(すなわち、0度または180度の位相シフト)が乗算される。直交符号やPN系列などの適切な符号を使用することにより、干渉を最小限に抑えながら、入射信号を他のアンテナ素子で受信された入射信号と組み合わせることができる。上述したように、一実施形態では、符号は直交符号である。使用可能な直交符号の例は、ウォルシュ符号(別名アダマール符号)である。ウォルシュ符号およびアダマール符号は、アダマール生成行列のような周知の技術を用いて生成することができる。
【0030】
直交符号の長さは、通常、実装される固有の直交符号の数の関数である。様々な実施形態では、アンテナまたはアンテナ素子の数Nは、10から100の範囲であってもよく、Nが10未満である構成も実施されてもよいことに留意されたい。一部の実施形態では、Nは64以上である。N=8の方式で実装できる8ビットウォルシュ符号のセットの例を図3aおよび図3bに示す。より長いウォルシュ符号を生成し、同様の方法で使用することができ、ここで、符号の長さ(len)はNである。
【0031】
図4a~図4c、図5、および図6は、図2に示されるプロセスの様々な段階を使用して、入射信号がどのように処理されるかの簡略化された例を示す。プロセスは、図4aから始まり、図4aは、4つのそれぞれのアンテナで受信された4つの入射波形を示すグラフ400aを示す。図の下部に示すように、入射波形は入射信号S、S、S、Sとも呼ばれる。
【0032】
図4bは、4つの入射信号S、S、S、Sをそれぞれ符号C、C、C、Cで符号化し、符号化信号C、C、C、Cを得た4つの符号化波形を示している。
【0033】
上述のように、符号化された信号は、合成され、共通の信号経路を共有することができ、1組の受信機/信号処理ハードウェアが、複数のアンテナまたは複数のアンテナ素子から受信された信号を処理することを可能にする。これを図4cに示し、符号化信号C、C、C、およびCを加算して符号化合成波形Yを形成する。
【0034】
符号化信号が合成された後、いくつかの実施形態では、合成波形は中間信号にダウンコンバートされる。他の実施形態では、中間信号へのダウンコンバートは使用されない。一般に、合成波形は、ミキサなどの当該技術分野で周知の技術および信号処理回路を使用してダウンコンバートすることができる。
【0035】
次に、IQ復調器を用いて合成符号化波形の中間信号形式(ダウンコンバートを行わない場合は合成符号化波形自体)を処理し、同相成分I(t)および直交成分Q(t)を含む合成波形の複素表現を生成する。複素表現の例を図5aおよび図5bに示す。
【0036】
組み込みロジックおよび/または組み込みソフトウェアを使用して、各アンテナで受信された個々の信号を抽出することができる。直交符号(例:ウォルシュ符号)を使用することによって、各アンテナの入射信号を、入射信号と正確な信号が同じになるように抽出することができる(入射信号に潜在的な欠陥がない)。CDMA移動無線システムによって使用される「ゴールド」符号のようなPN系列を含む符号も使用され得る。
【0037】
上述したように、IQ復調器によって出力される複素表現に、入射信号を符号化するために用いられる同じ符号を適用することによって、個々のアンテナに対する入射信号が抽出される。図6に示すように、この結果、4つの復号化ベースバンド信号S、S、S、およびSが抽出される。それぞれの入射信号S、S、S、およびSとして、同じI成分およびQ成分を持つ。
【0038】
上述したように、各アンテナで各クライアントから受信した信号の位相を抽出することもできる。例えば、一実施形態では、アンテナ素子kの位相は、以下のようにFFTを用いて抽出される。
X0 = FFT { Ck * Downconverted Waveform } | f = 0
Phase(k) = angtan2(real(X0), imag(X0)) (9)
ここで、*は内積を表す。図6において、「I」グラフ600内の破線は、符号の長さにわたる平均位相を示す。
【0039】
抽出された信号の振幅は、上の式7を使用するなどして計算することもできる。ベースバンド信号S、S、S、Sを復号化した結果の平均振幅を「Q」グラフ602の破線で示す。
【0040】
図7は、一実施形態による、例示的な24GHzシステム実装のためのブロック図700を示す。前述のように、アンテナアレイ100はN個のアンテナ(またはアンテナ素子)102を含み、各アンテナはそれぞれの入射信号S(S、S、S…Sなど)を受信する。各アンテナ(またはアンテナ素子)102には、入射信号を符号化するための回路ブロックが関連付けられている。本明細書で使用される場合、アンテナまたはアンテナ素子およびそれに関連する回路ブロックは、「アンテナ/回路ブロック」と呼ばれる。図7に示すように、本実施形態は、N個のアンテナ/回路ブロック704のアレイ702を含む。
【0041】
各アンテナ/回路ブロック704は、アンテナ102と、1ビット位相シフタ706と、PN符号ブロック708とを含む。図示のように、アンテナ/回路ブロック704は、加算器710をさらに含む。オプションとして、図7に示す加算器710は、アンテナ/回路ブロック704とは別の回路と考えることができる。
【0042】
図示の実施形態では、各入射信号は、固有のPN系列702(PN、PN、PN、…PN)を有する符号で符号化される。PN系列はON符号ブロック708によって実現され、各PN符号ブロックはPNでラベル付けされ、ここで添字「n」はアンテナ/回路ブロックの関連するアンテナに対応する。1ビット位相シフタ704は、PN系列の現在のビットが1であるか-1であるかに応じて、PN系列のビット値に応じて位相を0度または180度シフトするために使用される。このようにして、1ビット位相シフタは、入射信号を固有の符号を有するように符号化することができ、その特定のアンテナの入射信号を、上述のように、合成符号化波形Yから抽出することができる。
【0043】
各1ビット位相シフタ704が出力する符号化信号は、加算器710を介して加算され、合成符号化波形Yが形成される。次いで、合成符号化波形Yは、受信機ノード712によって処理される。ミキサ714において、合成符号化波形Yは、約22GHzの周波数を使用して中間信号にダウンコンバートされる。次いで、ダウンコンバートされた信号は、2.4GHzIQ復調器716に供給され、中間信号の同相成分I(t)および直交成分Q(t)を再構成し、それによって、合成符号化波形の複素表現を生成する。2.4GHzIQ復調器716によって出力される合成符号化波形のこの複素表現は、ブロック718内のデジタル信号プロセッサ(DSP)または他の組み込みロジックを使用して処理される。
【0044】
一般に、DSPは、周知の原理を使用してシステムに使用される特定の伝送方式に適合するように、デジタル信号処理動作を実行するようにプログラムされるか、または別の方法で構成され得る。これは、本明細書に記載される入射信号抽出機能を含む。DSPを使用して、信号の位相および振幅値を計算することもできる。DSPに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなプログラムされたロジック構成のような他の形式の組み込みロジックを使用することができるが、これらに限定されない。組み込みソフトウェアまたはファームウェアを実行する組み込みプロセッサを使用して、入射信号抽出動作を実行したり、信号の位相および振幅値を計算したりすることもできる。汎用プロセッサ、プロセッサエンジン、マイクロコントローラなどを含む様々なタイプのプロセッサが、このような組み込みプロセッサのために使用されてもよい。
【0045】
前の図に示したアンテナ素子/回路に加えて、様々な他の構成を使用して、同様の機能性を実現することができる。例えば、代替アンテナ素子および関連回路の非限定的な実施例を図8a~図8fに示す。
【0046】
図8aは、位相再構成可能アンテナ800の実施形態を示す。アンテナ素子802は、0度と180度との間の位相シフトを切り換えるように構成されたPINまたはバラクタダイオード804を含む。擬似乱数符号ブロック806は、アンテナ素子802がPINダイオード804を通過した後に受信した入射信号を符号化するために使用される。
【0047】
図8bは、1ビット位相シフタまたはNビット位相シフタを含むアンテナ/回路ブロック810の実施形態を示し、これは図7のアンテナ/回路ブロック704と同様である。この構成は、アンテナ素子812と、1ビットまたはNビットの位相シフタ814と、擬似乱数符号ブロック806とを含む。この実施形態の動作は、図7を参照して上述した動作と同様であり、図7の1ビット位相シフタに加えてNビット位相シフタを使用する追加のオプションを伴う。加算器816によって示されるように、符号化および位相シフトされた信号は、図7に示され上述されたものと同様の方法で、他の符号化および位相シフトされた信号(図示せず)に加算される。
【0048】
図8cは、ミキサまたはイメージ除去ミキサを使用するアンテナ/回路ブロック820の実施形態を示すブロック図である。アンテナ/回路ブロック820は、アンテナ素子812と、ミキサ822と、擬似乱数符号ブロック806と、加算器816とを含む。入射信号はアンテナ素子812によって受信され、ミキサ822において擬似乱数符号PNで符号化される。
【0049】
図8dは、タップポイントを用いて180度を切り換えるアンテナ/回路ブロック830の実施形態を示すブロック図である。図示の実施形態では、アンテナごとに1つのRFフロントエンドがある。より詳細には、アンテナ/回路ブロック830は、アンテナ素子832と、擬似乱数(PN)ブロック834と、擬似乱数の逆(~PN)ブロック836と、双方向スイッチ838とを含む。PNブロック834および~PNブロック836の各々は、それぞれのタップ840および842を介してアンテナ素子832によって受信された入射信号Sに結合される。代替構成では、アンテナごとのRFフロントエンド(例えば、図8dに示すような)またはRFフロントエンドごとの2アンテナがある。
【0050】
図8eは、フルRFフロントエンドおよびミキサを含むアンテナ/回路ブロック850の実施形態を示すブロック図である。アンテナ/回路ブロック850は、双方向スイッチ852に結合されたアンテナ素子812と、ミキサ854と、PNブロック856と、加算器858とを含む。双方向スイッチ852の方向を制御するために、制御回路(図示せず)が使用される。受信機として動作しているとき、アンテナ素子812で受信された入射信号は、右側の分岐に従い、ミキサ854で直交PNコードと混合され、ミキサ854の出力は、加算器858で異なるアンテナ素子(図示せず)で受信された他の信号に加算される。
【0051】
図8fは、フルRFフロントエンドおよび位相シフタを含むアンテナ/回路ブロック860の実施形態を示すブロック図である。アンテナ/回路ブロック860は、双方向スイッチ852に結合されたアンテナ素子812と、位相シフタ862と、PNブロック864と、加算器866とを含む。前述のように、制御回路(図示せず)は、双方向スイッチ852の方向を制御するために使用される。受信機として動作しているとき、アンテナ素子812で受信された入射信号は、双方向スイッチ852の右分岐に追従し、位相シフタ862で位相シフトされ、この位相シフタもPNブロック864から直交PN符号を受信する。位相シフタ862の出力は、加算器866において、異なるアンテナ素子(図示せず)で受信された他の信号に加算される。
【0052】
図8a~図8fに示すアンテナ/回路ブロックの各々は、アンテナで受信された入射信号を符号化して、符号化信号を形成するか、または別の方法で生成するように構成される。したがって、これらのアンテナ/回路ブロックの各々は、入射信号を直交符号またはPN系列で符号化して符号化信号を形成する手段を含む。図8a~図8fに示される符号はPNブロックとして示されているが、ウォルシュ符号のような直交符号が、これらの実施形態においてPN系列の代わりに用いられてもよいことが理解されよう。
【0053】
図8a~図8fに示されるアンテナ/回路ブロックの各々は、図7について上述したものと同様の方法でアンテナアレイ内に実装することもできる。例えば、図9および図10は、それぞれ、図8aの位相再構成可能アンテナ800および図8cのアンテナ/回路ブロック820に対応するアンテナ/回路ブロックを実装するアンテナアレイを含むシステムを示す。
【0054】
より詳細には、図9は、N個の位相再構成可能アンテナ800、800、800、... 800を有するアンテナ/回路ブロックアレイ902を含むシステム900を示す。入射信号は、各アンテナ1、2、3、…Nによって受信され、それぞれの擬似乱数系列シーケンス806(PN、PN、PN、…PN)を使用して符号化される。これにより、それぞれの符号化信号C・S、C・S、C・S、…C・Sが生成され、加算器904を用いて加算されて合成波形Yが形成される。次いで、合成符号化波形Yは、図7について上述したのと同様の方法で受信機ノード712によって処理される。
【0055】
図10は、N個のアンテナ/回路ブロック820、820、820、…820を有するアンテナ/回路ブロックアレイ1002を含むシステム1000を示しており、各アンテナ/回路ブロックは、ミキサまたはイメージ除去ミキサを含み、図8cのアンテナ/回路ブロック820と同様に構成される。入射信号は、各アンテナ1、2、3、…Nによって受信され、ミキサ822を使用してそれぞれの擬似乱数系列シーケンス806(PN、PN、PN、…PN)を使用して符号化される。ミキサ822から出力された符号化信号を加算器816を用いて加算し、合成符号化波形Yを形成する。次いで、組み合わされた符号化波形Yは、図7について上述したのと同様の方法で受信機ノード712によって処理される。
【0056】
一般に、アンテナ/回路ブロックについて本明細書に図示される回路は、アンテナと一緒に配置されてもよく、またはアンテナから分離されてもよい。これらの2つのオプションを図示する例示的なアーキテクチャ1100および1200の実施形態を図11および図12に示す。
【0057】
アーキテクチャ1100は、アンテナ/回路ブロック810の2次元アレイを含み、各ブロックは、図8bに示されるものと同様の構成を有する。これは、図8aおよび図8c~8fに図示される他のアンテナ/回路ブロックの各々が同様の方法で実施され得るので、1つの選択肢の単なる例示である。いくつかの実施形態では、アレイ内のアンテナは、固定ピッチ(すなわち、間隔)を有するが、他の実施形態では、アンテナは、異なる間隔を使用して、またはいくつかの行または列が隣接する行または列に対して互い違いになるように配置されてもよい。
【0058】
アーキテクチャ1200は、アンテナアレイ1202および回路ブロックアレイ1204によって示されるように、アンテナと、アンテナで受信された入射信号を符号化するために使用される回路とを分離する。図示の例では、回路ブロックアレイ1204は、回路ブロック810aのアレイを含み、各回路ブロック810aは、図8bのアンテナ/回路ブロック810に示されるものと同様の回路を含む。図8c~8fのアンテナ/回路ブロックに対して示されるものと同様の回路を含む回路ブロックは、同様の方法で実施することができる。
【0059】
[無線電力送信システムにおける符号化アンテナアレイの実装]
本明細書に開示される本発明の実施形態は、様々なタイプの無線システムで実施することができる。いくつかの実施形態では、これは、無線電力送信システム(WPTS)における実装を含む。一般に、上記で説明および図示した技術を使用して、個々のクライアントから、アンテナアレイ内の異なるアンテナで受信された信号の位相および振幅を抽出および/または計算することができる。以下に説明するように、位相および振幅の情報を使用して、電力送信信号を個々のクライアントに向けることができる。
【0060】
これがどのように実装されるかをより良く理解するために、ここでは、WPTSの動作の概要を示す。図13は、いくつかの実施形態による、1以上のWPTS1301a~n(「無線電力供給システム」、「アンテナアレイシステム」および「無線充電器」とも呼ばれる)から無線電力供給環境1300内の様々な無線装置1302a~nへの無線電力供給を示す、例示的な無線電力供給環境1300を含むブロック図を示す。より具体的には、図13は、無線電力および/またはデータが、1つまたは複数の無線電力受信機クライアント1303a~1303n(本明細書では「クライアント」および「無線電力受信機」とも呼ぶ)を有する利用可能な無線装置1302a~1302nに供給され得る無線電力供給環境1300の例を示す。無線電力受信機クライアントは、1つ以上の無線電力送信システム1301a~1301nから無線電力を受信し、処理するように構成される。例示的な無線電力受信機クライアント1303の構成要素は、図16を参照してより詳細に示され、議論される。
【0061】
図13の例に示されるように、無線装置1302a~1302nは、携帯電話機および無線ゲームコントローラを含む。しかしながら、無線装置1302a~1302nは、電力を必要とし、1つ以上の統合された電力受信クライアント1303a~1303nを介して無線電力を受信することができる任意の装置またはシステムであり得る。本明細書で説明するように、1つ以上の統合電力受信機クライアントは、1つ以上の無線電力送信システム1301a~1301nから電力を受信して処理し、その動作のために無線装置1302a~1302n(または無線装置の内部バッテリ)に電力を供給する。
【0062】
各無線電力送信システム1301は、複数のアンテナ1304a~1304n、例えば、無線装置1302に無線電力を供給することができる数百または数千のアンテナを含むアンテナアレイを含むことができる。一部の実施形態では、アンテナは、適応位相無線周波数(RF)アンテナである。各アンテナで個々のクライアントから受信された信号の位相を決定するために上述した技術を使用して、無線電力送信システム1301は、コヒーレント電力送信信号を電力受信機クライアント1303に送達するための適切な位相を決定することができる。アレイは、相互に対して特定の位相で複数のアンテナから信号(例えば、連続波またはパルスパワー送信信号)を放射するように構成される。用語「アレイ」の使用は、必ずしもアンテナアレイを任意の特定のアレイ構造に限定するものではないことが理解される。すなわち、アンテナアレイは、特定の「アレイ」形態またはジオメトリで構成される必要はない。さらに、本明細書で使用される場合、用語「アレイ」または「アレイシステム」は、無線、デジタルロジックおよびモデムなどの信号生成、受信および送信のための関連および周辺回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、無線電力送信システム1301は、1つ以上のアンテナまたはトランシーバを介したデータ通信のための組み込みWi-Fiハブを有することができる。
【0063】
無線装置1302は、1つ以上の受信電力クライアント1303を含むことができる。図13の例に示されるように、電力供給アンテナ1304a~1304nが示される。電力供給アンテナ1304aは、ワイヤレス電力供給環境においてワイヤレス無線周波数電力の供給を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、電力供給アンテナ1304a~1304nのうちの1つ以上は、代替的に、または追加的に、無線電力供給に加えて、または無線電力供給の代わりに、データ通信のために構成することができる。1つ以上のデータ通信アンテナは、電力受信クライアント1303a~1303nおよび/または無線装置1302a~1302nとの間でデータ通信を送受信するように構成される。いくつかの実施形態では、データ通信アンテナは、BluetoothTM、Wi-FiTM(IEEE802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、802.11acを含むが、これらに限定されない。)、ZigBeeTMなどを介して通信することができる。
【0064】
各電力受信機クライアント1303a~1303nは、無線電力送信システム1301a~1301nから信号を受信するための1つ以上のアンテナ(図示せず)を含む。同様に、各無線電力送信システム1301a~1301nは、互いに相対的に特定の位相で連続波または離散(パルス)信号を放射することができる1つ以上のアンテナおよび/またはアンテナのセットを有するアンテナアレイを含む。上述のように、各無線電力送信システム1301a~1301nは、コヒーレント信号を電力受信機クライアント1302a~1302nに送るための適切な位相を決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コヒーレント信号は、アレイの各アンテナで受信されたビーコン(またはキャリブレーション)信号の複素共役を計算することによって決定することができ、その結果、ビーコン(またはキャリブレーション)信号を送信した特定の電力受信機クライアントに電力を供給するために、コヒーレント信号が位相合わせされる。
【0065】
図13の例では図示されていないが、無線電力送信システム1301および電力受信機クライアント1303a~1303nはそれぞれ、データチャネルを介して通信するためのデータ通信モジュールを含むことができる。代替的に、または追加的に、電力受信機クライアント1303a~1303nは、既存のデータ通信モジュールを介して無線電力送信システムと通信するように無線装置1302a~1302nに指示することができる。いくつかの実施形態では、ここでは主に連続波形と呼ばれるビーコン信号は、代替的にまたは追加的に変調信号の形態を取ることができる。
【0066】
図4は、一実施形態による、マルチパス無線電力配信における無線電力配信を確立するための、無線電力配信システム(例えば、WPTS1301)と無線電力受信機クライアント(例えば、無線電力受信機クライアント1303)との間の例示的な動作を示すシーケンス図1400である。最初に、無線電力送信システム1301と電力受信機クライアント1303との間で通信が確立される。初期通信は、例えば、無線電力送信システム1301の1つ以上のアンテナ1304を介して確立されるデータ通信リンクであってもよい。議論されるように、いくつかの実施形態では、アンテナ1304a~1304nのうちの1つまたは複数は、データアンテナ、無線電力送信アンテナ、またはデュアルパーパスデータ/電力アンテナであり得る。このデータ通信チャネルを介して、無線電力送信システム1301と無線電力受信機クライアント1303との間で種々の情報を交換することができる。たとえば、無線電力シグナリングは、無線電力配信環境でさまざまなクライアント間でタイムスライスできる。このような場合、無線電力送信システム1301は、ビーコンスケジュール情報、例えば、ビーコン・ビート・スケジュール(BBS)サイクル、電力サイクル情報などを送信することができ、その結果、無線電力受信機クライアント1303は、いつビーコン信号を送信(放送)すべきか、およびいつ電力を待ち受けるべきかなどを知ることができる。
【0067】
図14の例を続けると、無線電力送信システム1301は、電力を受信するために、1つ以上の無線電力受信機クライアントを選択し、選択した電力受信機クライアント1303にビーコンスケジュール情報を送信する。また、無線電力送信システム1301は、電力受信機クライアント1303が無線電力送信システムから無線電力がいつ期待されるか(例えば、時間窓)を知るように、電力伝送スケジューリング情報を送信することもできる。次に、電力受信機クライアント1303は、ビーコン(またはキャリブレーション)信号を生成し、ビーコンスケジュール情報、例えば、ビーコン・ビート・スケジュール(BBS)サイクルによって示される割り当てられたビーコン送信ウィンドウ(またはタイムスライス)の間、ビーコンを放送する。本明細書で説明するように、無線電力受信機クライアント1303は、電力受信機クライアント1303が埋め込まれている無線装置1302に近接する3次元空間に放射および受信パターンを有する1つ以上のアンテナ(またはトランシーバ)を含む。
【0068】
無線電力送信システム1301は、電力受信機クライアント1303からビーコンを受信し、複数のアンテナでビーコン信号が受信される位相(または方向)を検出および/または測定する。次に、無線電力送信システム1301は、複数のアンテナ1303から電力受信クライアント1303に、対応する各アンテナにおける受信ビーコンの検出または測定された位相(または方向)に基づいて無線電力を供給する。いくつかの実施形態では、無線電力送信システム1301は、ビーコンの測定された位相の複素共役を決定し、複素共役を使用して送信位相を決定し、この送信位相は、ビーコン信号が電力受信機クライアント1303から受信されたのと同じ経路を介して、電力受信機クライアント1303に無線電力を送達および/または他の方法で誘導するためにアンテナを構成する。
【0069】
いくつかの実施形態では、無線電力送信システム1301は、多くのアンテナを含む。そのうちの1つ以上は、電力を電力受信機クライアント1303に供給するために使用される。本明細書に記載の符号化アンテナアレイ方式を使用して、無線電力送信システム1301は、各アンテナでビーコン信号が受信される位相を検出および/または他の方法で決定または測定することができる。多数のアンテナは、無線電力送信システム1301の各アンテナで受信されるビーコン信号の異なる位相をもたらし得る。上述のように、無線電力送信システム1301は、各アンテナで受信されたビーコン信号の複素共役を決定することができる。複素共役を使用して、1つ以上のアンテナが、無線電力送信システム1301内の多数のアンテナの影響を考慮した信号を放射してもよい。言い換えれば、無線電力送信システム1301は、ビーコンの波形を反対方向にほぼ再現する集約信号を生成するように、1以上のアンテナから無線電力伝送信号を放射することができる。言い換えると、無線電力送信システム1301は、無線電力送信システム1301においてビーコン信号が受信されるのと同じ経路を介して、クライアント装置に無線RF電力を供給することができる。これらの経路は、環境内の反射オブジェクト1306を利用することができる。加えて、無線電力送信信号は、無線電力送信信号がクライアント装置に近接する3次元(3D)空間においてクライアント装置のアンテナ放射および受信パターンに集合的に一致するように、無線電力送信システム1301から同時に送信することができる。
【0070】
図示されるように、ビーコン(またはキャリブレーション)信号は、例えばBBSに従って電力供給環境内の電力受信機クライアント1303によって定期的に送信され得、その結果、無線電力送信システム1301は、無線電力供給環境内の電力受信機クライアント1303の位置を知識を維持しかつ/または追跡することができる。無線電力送信システムにおいて無線電力受信機クライアントからビーコン信号を受信し、次いで、その特定のクライアントに向けられた無線電力で応答するプロセスを、本明細書では逆方向無線電力供給と呼ぶ。
【0071】
さらに、本明細書で説明するように、無線電力は、電力スケジュール情報によって定義される電力サイクルで供給することができる。無線電力送達を開始するために必要とされるシグナリングのより詳細な例を、ここで図15を参照して説明する。
【0072】
図15は、一実施形態による、無線電力送信システム1500の例示的な構成要素を示すブロック図である。図15の例に示すように、ワイヤレス充電器1500は、マスターバスコントローラ(MBC)ボードと、アンテナアレイを集合的に構成する複数のメザニンボードとを含む。MBCは、制御ロジック1510と、外部データインターフェース(I/F)1515と、外部電源インターフェース(I/F)1520と、通信ブロック1530と、プロキシ1540とを含む。メザニン(またはアンテナアレイボード1550)は、それぞれ複数のアンテナ1560a~1560nを含む。一部の実施形態では、構成要素の一部または全部を省略することができる。追加のコンポーネントも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、通信ブロック1530またはプロキシ1540のうちの一方のみが含まれてもよい。
【0073】
制御ロジック1510は、アレイ構成要素に制御およびインテリジェンスを提供するように構成される。制御ロジック1510は、1つ以上のプロセッサ、FPGA、メモリユニット等を含み、種々のデータ通信および電力通信を直接制御することができる。通信ブロック1530は、クロック同期のためのベース信号クロックなどのデータキャリア周波数でデータ通信を指示することができる。データ通信は、BluetoothTM、Wi-FiTM、ZigBeeTMなどであり、それらの組み合わせまたは変形を含む。同様に、プロキシ1540は、本明細書で説明するように、データ通信を介してクライアントと通信することができる。データ通信は、限定ではなく例として、BluetoothTM、Wi-FiTM、ZigBeeTMなどとすることができ、他の通信プロトコルも可能である。
【0074】
いくつかの実施形態では、制御ロジック1510は、モノのインターネット(IoT)装置のためのデータ集約を容易にし、および/または可能にすることもできる。一部の実施形態では、無線電力受信機クライアントは、無線電力受信機クライアントが組み込まれている装置に関するIoT情報にアクセスし、追跡し、および/またはその他の方法で取得し、そのIoT情報をデータ接続を介して無線電力送信システム1500に提供することができる。このIoT情報は、外部データインターフェース1515を介して中央またはクラウドベースのシステム(図示せず)に提供することができ、そこでは、データを集約し、処理し、等を行うことができる。例えば、中央システムは、地理、無線電力送信システム、環境、デバイス等にわたる様々な傾向を識別するためにデータを処理することができる。いくつかの実施形態では、集約されたデータおよび/または傾向データを使用して、リモート更新などを介してデバイスの動作を改善することができる。代替的に、または、いくつかの実施形態では、さらに、集約されたデータを第三者のデータ消費者に提供することができる。このようにして、無線電力送信システムは、IoTのゲートウェイまたはイネーブラとして機能する。限定ではなく例として、IoT情報は、無線電力受信機クライアントが組み込まれているデバイスの能力、デバイスの使用情報、デバイスの電力レベル、デバイスまたは無線電力受信機クライアント自体によって取得される情報(例えば、センサなどを介して)を含むことができる。
【0075】
外部電力インターフェース1520は、外部電力を受け取り、様々な構成に電力を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、外部電力インターフェース1520は、標準の外部24ボルト電源を受信するように構成することができる。他の実施形態では、外部電力インターフェース1520は、例えば、様々な構成要素に電力を供給するために必要な12/24/48ボルトのDCを供給する組み込みDC電源への120/240ボルトAC主電源とすることができる。あるいは、外部電源インターフェイスは、必要な12/24/48ボルトDCを供給するDC電源であってもよい。別の構成も可能である。
【0076】
動作中、無線電力送信システム1500を制御するマスタ・バス・コントローラ(MBC)は、電源から電力を受け取り、起動される。次に、MBCは、無線電力送信システム上のプロキシアンテナ素子を起動し、プロキシアンテナ素子は、デフォルトの「発見」モードに入り、無線電力送信システムの範囲内で利用可能な無線受信機クライアントを識別する。クライアントが見つかると、無線電力送信システムのアンテナ要素がオンになり、列挙され、(オプションで)校正される。
【0077】
そして、MBCは、スケジューリング処理中にビーコン送信スケジューリング情報および電力送信スケジューリング情報を生成する。スケジューリングプロセスは、電力受信機クライアントの選択を含む。例えば、MBCは、電力伝送のために電力受信機クライアントを選択し、選択された無線電力受信機クライアントのためにビーコン・ビート・スケジュール(BBS)サイクルおよび電力スケジュール(PS)を生成することができる。本明細書で説明するように、電力受信機クライアントは、それらの対応する特性および/または要件に基づいて選択することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、MBCは、クライアント・クエリ・テーブル(CQT)でステータスがクエリされる利用可能なクライアントを識別し、および/または選択することもできる。CQTに配置されるクライアントは、「スタンバイ」状態にあるクライアント(例えば、課金を受けていないクライアント)である。BBSとPSは、バッテリの状態、現在のアクティビティ/使用率、電力が切れるまでのクライアントの残り時間、使用率の優先度など、クライアントに関する重要な情報に基づいて計算される。
【0079】
プロキシAEは、すべてのクライアントにBBSをブロードキャストする。ここで説明するように、BBSは、各クライアントがいつビーコンを送信すべきかを示す。同様に、PSは、アレイがいつ、どのクライアントに電力を送信し、クライアントがいつワイヤレス電力を待機するかを示す。各クライアントはビーコンのブロードキャストを開始し、BBSおよびPSごとにアレイから電力を受け取る。プロキシは同時にクライアント・クエリ・テーブルを照会して、他の使用可能なクライアントのステータスをチェックできる。いくつかの実施形態では、クライアントは、BBSまたはCQT(例:ウェイトリスト)にのみ存在することができ、両方に存在することはできない。前のステップで収集された情報は、BBSサイクルおよび/またはPSを継続的および/または定期的に更新する。
【0080】
図16は、いくつかの実施形態による、無線電力受信機クライアントの例示的なコンポーネントを示すブロック図である。図16の例に示されるように、受信機1600は、制御ロジック1610、バッテリ1620、IoT制御モジュール1625、通信ブロック1630および関連するアンテナ1670、電力計1640、整流器1650、合成器1655、ビーコン信号発生器1660、ビーコン符号化ユニット1662および関連するアンテナ1680、ならびに整流器1650またはビーコン信号発生器1660を1つ以上の関連するアンテナ1690a~nに接続するスイッチ1665を含む。一部の実施形態では、構成要素の一部または全部を省略することができる。例えば、いくつかの実施形態では、無線電力受信機クライアントは、それ自体のアンテナを含まず、代わりに、無線電力受信機クライアントが組み込まれている無線装置の1つ以上のアンテナ(例:Wi-Fiアンテナ)を利用する、および/または共有する。さらに、いくつかの実施形態では、無線電力受信機クライアントは、データ送信機能および電力/データ受信機能を提供する単一のアンテナを含むことができる。追加のコンポーネントも可能である。
【0081】
合成器1655は、受信機1600が複数のアンテナを有する場合に、電力送信機から受信された電力送信信号を受信して合成する。合成器は、整合状態を維持しながら出力ポート間の分離を達成するように構成された任意の合成回路または分割回路とすることができる。例えば、合成器1655は、ウィルキンソン電力分割器回路とすることができる。整流器1650は、合成器が存在する場合、合成器1655から合成された電力送信信号を受信し、電力計1640を介してバッテリ1620に供給され、充電される。他の実施形態では、各アンテナの電力経路は、それ自身の整流器1650を有することができ、整流器からのDC電力は、電力計1640に給電する前に組み合わされる。電力計1640は、受信電力信号強度を測定することができ、この測定を制御ロジック1610に提供する。
【0082】
いくつかの実施形態では、クライアント識別子(ID)モジュール1615は、無線電力供給環境において電力受信機クライアントを一意に識別することができるクライアントIDを記憶する。例えば、通信が確立されたときに、IDを1つ以上の無線電力送信システムに送信することができる。一部の実施形態では、電力受信機クライアントは、クライアントIDに基づいて、無線電力供給環境内の他の電力受信機クライアントを受信し、識別することもできる。
【0083】
図17aおよび図17bは、いくつかの実施形態による、例示的なマルチパス無線電力供給環境1700を示す図を示す。マルチパス無線電力供給環境1700は、1つ以上の無線電力受信機クライアント1703を含む無線装置1702を操作するユーザを含む。無線装置1702および1つ以上の無線電力受信機クライアント1703は、それぞれ、図13の無線装置1302および図1の無線電力受信機クライアント1303または図16の無線電力受信機クライアント1600とすることができるが、代替構成も可能である。同様に、無線電力送信システム1701は、図13の無線電力送信システム1301または図15の無線電力送信システム1500とすることができるが、代替構成も可能である。マルチパス無線電力供給環境1700は、反射性物体1706および種々の吸収性物体、例えば、ユーザ、または人間、家具などを含む。
【0084】
無線装置1702は、無線装置1302に近接する3次元空間に放射および受信パターン1710を有する1つ以上のアンテナ(またはトランシーバ)を含む。1つ以上のアンテナ(またはトランシーバ)は、無線装置1702および/または無線電力受信機クライアント(図示せず)の一部として全体的または部分的に含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、無線装置1702の1つ以上のアンテナ、例えば、Wi-Fi、Bluetooth等を、無線電力受信のために利用し、および/または他の方法で共用することができる。図17aおよび17bの例に示されるように、放射線および受信パターン1710は、1次ローブおよび複数のサイドローブを有するローブパターンを含む。他のパターンも可能である。
【0085】
無線装置1702は、複数の経路を介してビーコン(またはキャリブレーション)信号を無線電力送信システム1701に送信する。本明細書で説明するように、無線装置1702は、無線電力送信システム、例えばRSSIによる受信ビーコン信号の強度が放射および受信パターン1710に依存するように、放射および受信パターン1710の方向にビーコンを送信する。例えば、放射・受信パターン1710にヌルがあり、放射・受信パターン1710のピーク、例えば1次ローブのピークでビーコン信号が最も強い場合、ビーコン信号は送信されない。図17aの例に示すように、無線装置1702は、5つの経路P~Pにわたってビーコン信号を送信する。経路PおよびPは、反射性および/または吸収性物体1706によってブロックされる。無線電力送信システム1701は、経路P~Pを介して強度が高くなるビーコン信号を受信する。太い線はより強いシグナルを示す。いくつかの実施形態では、ビーコン信号は、例えば、ユーザへの不要なRFエネルギ露出を回避するために、このように方向性を持って送信される。
【0086】
アンテナの基本的な特性は、受信に使用されるときのアンテナの受信パターン(方向の関数としての感度)が、送信に使用されるときのアンテナの遠方界放射パターンと同一であることである。これは電磁気学における相反定理の結果である。図17aおよび17bの例に示されるように、放射および受信パターン1710は、3次元ローブ形状である。しかしながら、放射および受信パターン1710は、アンテナ設計に使用されるホーンアンテナ、単純な垂直アンテナなどのように、タイプに応じて任意の数の形状とすることができる。例えば、放射および受信パターン1710は、様々な指向性パターンを含むことができる。無線電力送達環境において、複数のクライアント装置の各々に対して、任意の数の異なるアンテナ放射および受信パターンが可能である。
【0087】
再び図17aを参照すると、無線電力送信システム1701は、複数のアンテナまたはトランシーバにおいて複数の経路P~Pを介してビーコン(またはキャリブレーション)信号を受信する。図示されているように、経路PおよびPは視線方向の直接経路であり、経路Pは視線方向の非直線経路である。ビーコン(またはキャリブレーション)信号が無線電力送信システム1701によって受信されると、電力伝送システム1701はビーコン(またはキャリブレーション)信号を処理して、複数のアンテナの各々におけるビーコン信号の1つ以上の受信特性を決定する。例えば、他の動作の中で、符号化アンテナアレイを実施する無線電力送信システム1701は、上述のように、複数のアンテナまたはトランシーバの各々においてビーコン信号が受信される位相を測定することができる。
【0088】
無線電力送信システム1701は、複数のアンテナの各々におけるビーコン信号の1つまたは複数の受信特性を処理して、対応するアンテナまたはトランシーバにおいて測定されたビーコン(またはキャリブレーション)信号の1つまたは複数の受信特性に基づいて、複数のアンテナの各々に対する1つまたは複数の無線電力送信特性を決定または測定する。限定ではなく例として、無線電力送信特性は、各アンテナまたはトランシーバの位相設定、送信電力設定などを含むことができる。
【0089】
本明細書で説明するように、無線電力送信システム1701は、一旦アンテナまたはトランシーバが構成されると、複数のアンテナまたはトランシーバが、クライアント装置に近接する3次元空間におけるクライアント放射および受信パターンに一致する無線電力信号を伝送するように動作可能であるように、無線電力送信特性を決定する。図17bは、経路P~Pを介して無線装置1702に無線電力を送信する無線電力送信システム1701を示す。有利には、本明細書で説明するように、無線電力信号は、クライアント装置に近接する3次元空間内のクライアント放射および受信パターン1710と一致する。別の方法では、無線電力送信システムは、無線電力受信機が最大利得を有する方向に、例えば、最も無線電力を受信する方向に無線電力信号を送信する。その結果、無線電力受信機が受信できない方向、例えばヌルおよびブロックで信号が送信されない。いくつかの実施形態では、無線電力送信システム1701は、受信されたビーコン信号の振幅を測定し、ビーコンが閾値未満である場合、無線電力送信システムは、その経路を介して無線電力を送信しない。
【0090】
図17aおよび図17bの例に示される3つの経路は、簡単のために示されており、無線電力供給環境における反射性および吸収性物体に応じて、無線装置1702に電力を送信するために任意の数の経路を利用することができることが理解される。
【0091】
レトロディレクティブ無線電力供給環境において、無線電力受信機は、無線電力送信システムのアンテナアレイによって受信されるビーコン信号を生成し、送信する。ビーコンは、入力信号の方向性を示すとともに、入力信号の方向性も示す。本明細書で議論するように、この方向性情報は、個々の無線電力受信機クライアントにエネルギー(例えば、電力波送達)を集中させるために送信するときに使用される。さらに、方向性は、例えば、追跡装置の移動のような他のアプリケーションを容易にする。
【0092】
一部の実施形態では、無線電力供給環境における無線電力受信機クライアントは、RF信号強度または他の任意の方法を使用して決定された距離と対をなすRF信号(任意の極性で)の3次元入射角を使用する無線電力送信システムによって追跡される。本明細書で説明するように、符号化アンテナ方式は、アンテナアレイ内の複数のアンテナにおけるビーコン信号の波面入射角を検出するために使用することができる。無線電力受信機クライアントまでの距離は、複数のアレイセグメントからの角度に基づいて決定することができる。代替的に、または追加的に、無線電力受信機クライアントまでの距離は、上の式7のような電力計算に基づいて決定することができる。
【0093】
本明細書に記載する符号化アンテナアレイの実施形態の態様は、WPTSで実施することができる。いくつかの実施形態では、電力伝送に使用されるのと同じアンテナが、符号化アンテナアレイによって使用される。別法として、別個のアンテナアレイを使用して、クライアントからビーコンまたは他の信号を受信し、電力信号をクライアントに送信することができる。例えば、一実施形態では、同じ位置に配置された送信アンテナおよび受信アンテナのそれぞれの対が、アンテナアレイ内に配列される。送信アンテナと受信アンテナは同じ場所(非常に近接していることを意味する)に配置されているので、ペアの受信アンテナに対する入射位相および振幅データは、ペアの送信アンテナを使用して電力信号を送信するために使用されてもよい。
【0094】
図18は、一実施形態による、符号化アンテナアレイを使用するWPTSによって実行される動作を示すフローチャート1800を示す。ブロック1802~1820における動作は、図2の符号化アンテナアレイに関連して上述した動作と同様である。これは、ブロック1802で始まり、図2に示すものと同様に、複数のクライアント装置から送信された信号が、アレイ内の複数のアンテナのそれぞれで受信される。ブロック1804では、各アンテナで受信された信号(無線波形)が重畳され、正しい入射信号が形成される。ブロック1806では、各入射信号をそれぞれの符号を用いて符号化し、それぞれの符号化信号を形成する。次いで、符号化された信号は、ブロック1808で合成されて、合成波形Yになる。
【0095】
任意のブロック1810において、合成波形は中間信号にダウンコンバートされる。送信側の送信信号がそれらのベースバンド信号からアップ変換されないいくつかの実施形態では、ブロック1810の動作は使用されない。
【0096】
ブロック1812では、合成波形の中間信号形式に対してIQ復調が行われ、同相成分I(t)および直交成分Q(t)を含む合成波形の複素表現が生成される。任意のブロック1810が使用されない場合には、IQ復調は、ダウンコンバートなしで合成波形上で実行される。
【0097】
ブロック1814において、各入射信号を符号化するために使用される符号は、合成波形の複素表現に適用され、各アンテナで受信された各入射信号を抽出する。抽出された入射信号は、ブロック1816においてフィルタリングされ、各アンテナにおいて個々のWPTSクライアント装置から受信された信号を分離する。フィルタは、WPTSによって使用されるビーコン方式をサポートするように構成され、個々のクライアントから受信した信号をフィルタリングすることができる。
【0098】
ブロック1818において、所与のクライアント装置からアンテナで受信された信号の位相が計算されるか、または他の方法で決定される。一実施形態では、組み込みロジックを用いて、上記の式8を用いて位相角を計算する。同様に、ブロック1820において、所与のクライアント装置からアンテナで受信された信号の振幅が計算されるか、または他の方法で決定される。一実施形態では、組み込みロジックを用いて、上記の式7を用いて位相角を計算する。
【0099】
この時点で、個々のクライアントに対するアンテナアレイ内のアンテナによって受信される入射信号の位相および振幅が決定されている。いくつかの実施形態では、信号位相データは、上述の方法でアンテナで受信された入射信号の位相を使用してWPTS電力送信信号を個々のクライアントに向けることによって、クライアント装置に電力を供給するために使用される。他の実施形態では、位相および信号振幅データの両方が、アンテナで受信された入射信号の位相および振幅を使用して、WPTS電力送信信号を個々のクライアントに向けることによって、クライアント装置に電力を供給するために使用される。
【0100】
一般に、本明細書に記載されるコードアンテナアレイ装置およびシステムの原理および教示は、WPTSに加えて、様々なタイプのシステムで使用され得る。上述したように、受信機回路を共有することは、コスト削減とタイミング同期の単純化の両方をもたらす。
【0101】
前述の例では、単一の受信機ノードを使用して、アンテナアレイによって受信された信号を処理する。しかしながら、これは単なる例示であり、限定ではない。より大きなアンテナアレイの場合、複数の受信機ノードを用いて、アンテナによって受信された信号をグループ単位で処理することが有利であり得る。例えば、アンテナアレイが1024個のアンテナまたはアンテナ素子を含むと仮定する。1024本のアンテナすべてに対して単一の受信機ノードを使用するのではなく、アンテナのグループから受信されたシングルの処理は、グループごとに別個の受信機ノードを使用して実行することができる。たとえば、4つの受信機ノードを256アンテナのグループに使用したり、8つの受信機ノードを128アンテナのグループに使用したり、16の受信機ノードを64アンテナのグループに使用したりできる。
【0102】
特定の実施形態を参照していくつかの実施形態を説明したが、いくつかの実施形態に従って、他の実施形態も可能である。さらに、図面および/またはここに記載される要素または他の特徴の配置および/または順序は、図示および記載される特定の方法で配置される必要はない。いくつかの実施形態に従って、多くの他の構成が可能である。
【0103】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアは、通常、不揮発性メモリおよび/またはドライブユニットに格納され、実行前に揮発性メモリ(例:RAM)にロードされる。実際、大規模なプログラムでは、プログラム全体をメモリに格納できない場合がある。それにもかかわらず、ソフトウェアが実行されるためには、必要に応じて、処理に適したコンピュータ読み取り可能な位置に移動され、説明の目的のために、その位置が本明細書ではメモリと呼ばれることを理解されたい。実行のためにソフトウェアがメモリに移動される場合であっても、プロセッサは、典型的には、ハードウェアレジスタを利用して、ソフトウェアに関連する値を記憶し、ローカルキャッシュを利用して、理想的には、実行を高速化する。本明細書で使用される場合、ソフトウェアプログラムは、そのソフトウェアプログラムが「コンピュータ可読媒体に実装される」と呼ばれる場合、(不揮発性記憶装置からハードウェアレジスタまでの)任意の既知のまたは便利な場所に格納されると仮定される。プロセッサは、プログラムに関連付けられた少なくとも1つの値がプロセッサによって読み取り可能なレジスタに格納されている場合、「プログラムを実行するように構成されている」と見なされる。
【0104】
詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビット上の演算のアルゴリズムおよび記号表現に関して提示されてもよい。これらのアルゴリズム的な記述および表現は、データ処理技術の当業者が、その仕事の内容を当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段であり、ここでは、アルゴリズムは、所望の結果を導く自己無撞着な動作シーケンスであると考えられる。操作は物理量の物理的操作を必要とするものである。通常、必ずしもそうではないが、これらの量は、記憶され、転送され、結合され、比較され、または他の方法で操作され得る電気信号または磁気信号の形態をとる。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数などと呼ぶことは、主に一般的な使用の理由から、時として便利であることが証明されている。
【0105】
しかしながら、これらの用語および類似の用語の全ては、適切な物理量に関連しており、これらの量に適用される単なる便利なラベルであることに留意されたい。特に明記しない限り、以下の説明から明らかなように、説明全体を通して、「処理」、「計算(computing)」、「計算(calculating)」、「決定」、または「表示」などの用語を使用する議論は、コンピュータ・システム、または類似の電子計算装置の動作およびプロセスを参照し、コンピュータ・システムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータ・システムのメモリまたはレジスタ内の物理量として表される他のデータ、または他のそのような情報記憶装置、伝送装置、または表示装置内の物理量として表される他のデータに操作および変換する。
【0106】
本明細書に提示されるアルゴリズムおよびディスプレイは、いかなる特定のコンピュータまたは他の装置にも本質的に関連していない。様々な汎用システムが、本明細書の教示に従ったプログラムと共に使用されてもよく、または、いくつかの実施形態の方法を実施するために、より特化された装置を構築することが便利であることが証明されてもよい。これらのシステムに必要な構造については、以下の説明を参照されたい。さらに、技術は、いずれかの特定のプログラミング言語を参照して説明されず、したがって、様々な実施形態は、様々なプログラミング言語を使用して実装され得る。
【0107】
代替の実施形態では、機械は、独立した装置として動作するか、または他の機械に接続(例:ネットワーク化)することができる。ネットワーク展開では、マシンは、クライアントサーバネットワーク環境ではサーバまたはクライアントマシンのキャパシティで動作し、ピアツーピア(または分散)ネットワーク環境ではピアマシンとして動作する。
【0108】
マシンは、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、ラップトップコンピュータ、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、iPhone(登録商標)、Blackberry(登録商標)、プロセッサ、電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、またはそのマシンによって実行されるアクションを指定する命令セット(シーケンシャルまたはその他)を実行することができる任意のマシンであってよい。
【0109】
例示的な実施形態では、機械可読媒体または機械可読記憶媒体が単一の媒体であるように示されているが、「機械可読媒体」および「機械可読記憶媒体」という用語は、1つまたは複数の命令のセットを格納する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むように解釈されるべきである。「機械可読媒体」および「機械可読記憶媒体」という用語は、機械による実行のための命令セットを記憶、符号化または搬送することができ、かつ、機械に現在開示されている技術および革新の方法のいずれか1つ以上を実行させることができる媒体を含むものと解釈される。
【0110】
一般に、開示の実施形態を実施するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステムの一部として、または「コンピュータプログラム」と呼ばれる特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、または命令のシーケンスの一部として実施されてもよい。コンピュータプログラムは、典型的には、コンピュータ内の様々なメモリおよび記憶装置に様々な時点でセットされた1つまたは複数の命令を含み、コンピュータ内の1つまたは複数の処理ユニットまたはプロセッサによって読み取られて実行されると、コンピュータに動作を実行させて、開示の様々な態様を含む要素を実行させる。
【0111】
さらに、実施形態は、完全に機能するコンピュータおよびコンピュータシステムに関連して説明されてきたが、当業者であれば、様々な実施形態は、様々な形態でプログラム製品として配布することが可能であり、本開示は、実際に配布を行うために使用される特定のタイプの機械またはコンピュータ可読媒体に関係なく等しく適用されることを理解するであろう。
【0112】
機械可読記憶媒体、機械可読媒体、またはコンピュータ可読(記憶)媒体のさらなる例は、これらに限定されるものではないが、揮発性および不揮発性メモリデバイスのような記録可能型媒体、フロッピーおよび他の取り外し可能ディスク、とりわけハードディスクドライブ、光ディスク(例えば、Compact Disk Read-Only Memory(CD ROMS)、Digital Versatile Disks、(DVD)など。)、およびデジタルおよびアナログ通信リンクのような伝送型媒体を含む。
【0113】
一般に、本明細書の図面に示される回路、論理、および構成要素は、個別チップ、SoC、マルチチップモジュール、および複数のネットワークインターフェースのサポートを含むネットワーク/リンクインターフェースチップを含む、種々のタイプの集積回路(例えば半導体チップ)およびモジュールに実装することもできる。また、本明細書で使用されるように、様々な動作を行う回路およびロジックは、組み込みロジック、組み込みプロセッサ、コントローラ、マイクロエンジンの1つ以上を介して、またはハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの任意の組み合わせを使用して実装されてもよい。例えば、様々な論理ブロックおよび/または回路によって示される動作は、ASIC、FPGA、IPブロックライブラリを含むがこれらに限定されないプログラムされた論理ゲートなどを使用して、またはプロセッサ、プロセッサコア、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロエンジンなどを含む1つ以上の処理要素上で実行される1つ以上のソフトウェアまたはファームウェア命令を介して実行されてもよい。
【0114】
文脈上明らかに他を必要としない限り、明細書および特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」等の用語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で解釈されるべきである。すなわち、本明細書で使用される「以下を含むがこれに限定されない。」という意味では、用語「接続された(connected)」、「連結された(coupled)」、またはそれらの任意の変形は、2つ以上の要素間の直接的または間接的な任意の連結または連結を意味する。要素間の接続の結合は、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせであり得る。さらに、本出願において使用される場合、「本明細書」、「上記」、「下記」という用語および同様の意味の用語は、本出願全体を指し、本出願の特定の部分を指してはならない。文脈上許容される場合、単数または複数の数を使用する上記の詳細な説明における語は、それぞれ複数または単数の数を含むこともできる。
【0115】
本明細書に記載および図示される全ての構成要素、特徴、構造、特性等が、特定の実施形態に含まれる必要はない。明細書が、構成要素、特徴、構造または特性「かもしれない」、「かもしれない」、「~できる」または「~することができる」を含めることを記載している場合は、例えば、その特定の構成要素、特徴、構造または特性を含める必要はない。明細書またはクレームが「a」または「an」の要素を参照している場合は、それは、その要素の1のみが存在することを意味しない。明細書またはクレームが「追加の」要素を参照している場合は、それは、追加要素が複数存在することを妨げない。
【0116】
本開示の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、または教示を上記開示の正確な形態に限定することを意図していない。本開示の特定の実施形態および実施例は、説明の目的のために上述されているが、当業者が認識するように、本開示の範囲内で種々の等価な修正が可能である。例えば、プロセスまたはブロックが所与の順序で提示されている間、代替の実施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを実行するか、またはブロックを有するシステムを採用することができ、一部のプロセスまたはブロックは、削除、移動、追加、細分化、結合、および/または修正されて、代替またはサブの組み合わせを提供することができる。これらのプロセスまたはブロックのそれぞれは、様々な異なる方法で実施することができる。また、プロセスまたはブロックは、連続して実行されるものとして示される場合があるが、これらのプロセスまたはブロックは、代わりに並列に実行されてもよく、または異なる時間に実行されてもよい。さらに、本明細書に記載された任意の特定の数は、単なる例であり、代替の実施形態は、異なる値または範囲を使用してもよい。
【0117】
本明細書で提供される開示の教示は、必ずしも上述のシステムではなく、他のシステムに適用することができる。上述の様々な実施形態の要素および作用は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。
【0118】
添付の出願書類に記載されている可能性のあるものを含む、上記の特許および出願ならびに他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。開示の態様は、必要に応じて、開示のさらなる実施形態を提供するために、上述の様々な参考文献のシステム、機能、および概念を採用するように修正することができる。
【0119】
上記の詳細な説明に照らして、これらおよびその他の変更を本開示に加えることができる。上記の説明は、本開示の特定の実施形態を説明し、企図される最良のモードを説明しているが、上記がテキストにいくら詳細に記載されていても、教示は多くの方法で実施することができる。システムの詳細は、本明細書に開示された主題によってまだ包含されているが、その実施の詳細においてかなり異なる可能性がある。上述のように、開示の特定の特徴または態様を説明する際に使用される特定の用語は、用語が関連する開示の特定の特徴、特徴、または態様に限定されるように本明細書において用語が再定義されていることを意味すると解釈されてはならない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、上記の詳細な説明のセクションがそのような用語を明示的に定義しない限り、開示を明細書に開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、本開示の実際の範囲は、開示された実施形態だけでなく、特許請求の範囲の下で本開示を実施または実施するすべての同等の方法も含む。
【0120】
開示の特定の態様は、特定のクレーム形態で以下に提示されるが、本発明者らは、任意の数のクレーム形態における開示の様々な態様を企図している。例えば、開示の一態様のみが35 U.S.C.112条第6項に基づくミーンズ・プラス・ファンクションクレームとして記載されているが、他の態様も同様にミーンズ・プラス・ファンクション・クレームとして、またはコンピュータ可読媒体で実施されるような他の形態で実施することができる(35 U.S.C.112条第6項に基づいて取り扱われることを意図したクレームは「mean for」の語で始まる。)。したがって、出願人は、開示の他の側面について当該追加クレーム様式を追求するために、出願後に追加クレームを追加する権利を留保する。
【0121】
本明細書で提供される詳細な説明は、上記のシステムだけでなく、他のシステムにも適用することができる。上述の種々の実施例の要素および作用は、本発明のさらなる実施を提供するために組み合わせることができる。本発明のいくつかの代替の実施形態は、上記の実施形態に対する追加の要素を含むだけでなく、より少ない要素を含むこともできる。これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明に照らして本発明に対して行うことができる。上記の説明は、本発明の特定の実施例を定義し、企図される最良のモードを説明しているが、上記がテキスト中にいくら詳細に記載されていても、本発明は多くの方法で実施することができる。システムの詳細は、本明細書に開示された本発明にまだ包含されているが、その具体的な実施においてかなり変化し得る。上述のように、本発明の特定の特徴または態様を説明する際に使用される特定の用語は、用語が関連する本発明の任意の特定の特徴、特徴または態様に限定されるように、本明細書において用語が再定義されていることを意味すると解釈されてはならない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、上記の詳細な説明のセクションがそのような用語を明示的に定義しない限り、本発明を明細書に開示された特定の実施例に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、本発明の実際の範囲は、開示された実施例だけでなく、本発明を実施または実施するすべての同等の方法も含む。
【0122】
要約に記載されているものを含む、本発明の例示された実施形態の上記の説明は、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。本明細書では、本発明の具体的な実施形態および実施例について説明するが、当業者であれば理解されるように、本発明の範囲内で種々の同等の修正が可能である。
【0123】
これらの変更は、上記の詳細な説明に照らして本発明に対して行うことができる。以下の特許請求の範囲で使用される用語は、本発明を明細書および図面に開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、クレーム解釈の確立された教義に従って解釈されるべき以下のクレームによって完全に決定されるべきである。
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