(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】無線通信システムにおいてリソースを配分するための方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/06 20090101AFI20230515BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20230515BHJP
【FI】
H04W28/06
H04W28/18 110
(21)【出願番号】P 2021549122
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2020053684
(87)【国際公開番号】W WO2020169434
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-10-12
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パン,ジボ
(72)【発明者】
【氏名】ルビソット,ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンソン,ロジャー
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522610(JP,A)
【文献】特表2014-502453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークにおいて少なくとも1つの無線ノードにリソースを配分する方法であって、前記方法は、
a) 無線ノードで複数のスロットの割り当てを連続的に受信するステップを含み、前記スロットは固定されたスロット時間を有し、
前記方法がさらに、
b) 前記複数のスロットの前記割り当てと前記スロット時間とともに、物理層パラメータに関する情報を取得するステップ(S1)と、
c) 前記無線ノードによって維持されたパケット送信キューからパケットを抽出するステップ(S2)と、
d) 取得された前記物理層パラメータに関する情報に基づいて、前記パケットの持続時間を計算するステップ(S3)と、
e) 前記パケット持続時間を前記固定されたスロット時間と比較するステップ(S4A、S4B、S4C)と、
f) 前記比較するステップの結果に、および/または、前記パケット送信キューにおけるパケットの量に依存して、前記物理層パラメータの断片化(S5C)、集約(S5A)、および再構成(S5B)のうちの少なくとも1つをリアルタイムで行なうステップと、
g) 割り当てられた前記複数のスロットのうちの第1のスロットに前記パケットをマッピングするステップ(S6)とを含
み、
前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間よりも短いことを前記比較するステップが示し、かつ、前記パケット送信キューにさらに別のパケットがない場合、ステップf)で、前記物理層パラメータの再構成を行なうと判断される、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップf)は、前記物理層パラメータを再構成するステップ(S5B)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
受信された前記割り当ては、前記無線通信ネットワークにおける複数の連続するスーパーフレームのうちの1つである1つのスーパーフレーム内のスロットに関連しており、
前記方法はさらに、
h) 前記スーパーフレームにおけるすべてのスロットが割り当てられるまで、ステップc)~g)を繰り返すステップ(S7A)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
取得された前記情報は、ブロードキャストビーコンフレームである
、請求項
1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記物理層パラメータは、変調次数、および/または符号化率、および/または巡回プレフィックス長である
、請求項
1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間よりも長いことを前記比較するステップが示す場合、ステップf)で、前記パケットの断片化を行なうと判断される
、請求項
1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間よりも短いことを前記比較するステップが示す場合、ステップf)で、前記パケット送信キューにおけるパケットの集約を行なうと判断される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間よりも長いことを前記比較するステップが示す場合、ステップf)で、前記物理層パラメータの再構成を行なうと判断される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間に等しい場合、ステップf)で、利用可能な前記第1のスロットに前記パケットをマッピングする前にアクションを行なわないと判断される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
無線通信ネットワークにおいて他の送信デバイスおよび/またはネットワークマネージャと通信するように構成された、送信デバイスであって、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の方法ステップを行なうように構成されることを特徴とする、送信デバイス。
【請求項11】
固定されたスロット時間を有する複数のスロットの割り当てを複数の送信デバイス(101、102、103、104、105)の各々に連続的に送信するように構成されたネットワークマネージャ(100)を含む、無線ネットワークシステムであって、
前記送信デバイスのうちの少なくともいくつかが、請求項1~
9のいずれか1項に記載の方法ステップを行なうように構成されることを特徴とする、無線ネットワークシステム。
【請求項12】
請求項
11に記載のネットワークマネージャ(100)と、請求項
10に記載の複数の送信デバイス(101、102、103、104、105)とを含む、無線ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般に無線通信に関し、より特定的には、産業用通信システムにおける無線ネットワーキングに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用通信ネットワークでは、リンクされたデバイスは典型的には、送信するべき情報がある限り、それらがいつでもチャネルにアクセスすることができるように、共有チャネルにランダムにアクセスする。しかしながら、これは衝突のリスクを伴い、衝突を回避し、かつ公平性を保つために、リッスンビフォアトーク(listen-before-talk)、ランダムバックオフ(random back-off)、および/または、送信要求/送信可(request-to-send/clear-to-send:RTS/CTS)フレームのやりとりといった特定のメカニズムが採用されてきた。
【0003】
産業用ネットワークなどの特定のネットワークでは、チャネルへのアクセスは典型的にはネットワークマネージャによって調整され、それは、時間/周波数/符号における専用リソースを、割り当てられたリソースにおいてのみ送信することができる各デバイスに割り当てる。よって、エンドノードは、それらがチャネルアクセス手順を自律的に開始することができないという意味で「受動的」である。
【0004】
産業用ネットワークにおける通信システムは一般に、パワーシステムの自動化、たとえば、高電圧変換器のサブステーション自動化または制御において使用される。これらのシステムは、データサイズおよび要求されるサービス品質の点で異なる、たとえば遠隔監視、測定などの情報技術(informational technology:IT)インフラストラクチャ、および、たとえば制御システムなどの操作技術(operational technology:OT)インフラストラクチャから来る、異なるタイプのトラフィックに対応しなければならない。
【0005】
最もタイムクリティカルなタイプのトラフィックをサポートするために、産業用ネットワークにおける通信は厳密に同期され、各ノードはいくつかのスロットを周期的に割り当てられ、当該スロットの期間中、各ノードはデータを送信できる。これは、共有チャネルへの決定論的アクセスを保証し、かつ衝突を回避するために、時分割多重アクセス(time-division multiple access:TDMA)メカニズムが一般に採用される産業用無線ネットワークでは、さらにより重要である。
【0006】
各ノードに割り当てられたTDMAスロットの通信スケジュールおよびサイズは典型的には、トラフィックフロー、測定されたチャネル品質、ノード能力などといった多くの局面に基づいて、中央ネットワークマネージャによって決定される。
【0007】
集中型の通信スケジュールは、ネットワークマネージャによって動的に更新され、ネットワークにおけるすべてのノードに配布される。各ノードは次に、異質のサイズおよび要件を有する異なるトラフィックフローにおそらく属する、その送信キューにおいて利用可能なパケットを用いて、割り当てられたスロットをマッピングしなければならない。
【0008】
産業用無線ネットワークでは、スケジューリングを単純化し、同期化を向上させるために、周期的に繰り返されるスーパーフレームにおけるスロットの持続時間とスロットの数とは、典型的には固定される。しかしながら、トラフィックフローの異質の性質に起因して、スロットのサイズが、最も高い優先順位で送信するべきデータのサイズに対して短すぎるかまたは長すぎるということがしばしば起こるかもしれない。スロットが短すぎる第1の場合、ノードは、優先順位が高いパケットを、連続するスロットに渡って送信される複数のサブパケットに断片化する必要があるかもしれない。他方、スロットが長すぎる場合、ノードは、割り当てられたリソースを十分に利用しない事態を回避するために、キューにおける複数のパケットを1つのより大きいパケットに集約する必要があるかもしれない。
【0009】
通信ネットワークのデータリンク層またはそれより高い層で断片化および集約を利用する既存の方法がある。そのような方法の例は、US7519030B2およびUS7474676B2で開示されている。これらの特許から公知である方法の欠点は、それらが断片化および集約を通信スケジュールと結合できないことである。それらはむしろ、構成可能サイズしきい値を採用しており、それにより、すべてのパケットが断片化または集約される。たとえば、スロットが長すぎ、かつ、集約するべきパケットがない場合、チャネルは十分に利用されないであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
したがって、上述の問題および欠点を回避するために、無線通信ネットワークにおいて少なくとも1つの無線ノードにリソースを配分する方法がある。方法は、無線ノードにおいて実現されてもよい。方法は、無線ノードで複数のスロットの割り当てを受信する、特に連続的に受信するステップを含み、スロットは固定されたスロット時間を有する。「連続的に受信する」とは、特に送信がスーパーフレームおよびスロットにおいて起こるネットワークの状況では、回帰的に受信すること、繰り返し受信すること、周期的に受信すること、1回限りまたはその場限りでない態様で受信することを含んでいてもよい。特に、「連続的に受信する」ことは、請求項の意味では、途切れない受信活動に制限されない。方法はさらに、前記複数のスロットの前記割り当てと前記固定されたスロット時間とともに、物理層パラメータに関する情報を取得するステップと、前記無線ノードによって維持されたパケット送信キューからパケットを抽出するステップと、取得された物理層パラメータに関する情報に基づいて、前記パケットの持続時間を計算するステップと、前記パケット持続時間を前記固定されたスロット時間と比較するステップと、前記比較するステップの結果に、および/または、前記パケット送信キューにおけるパケットの量に依存して、前記物理層パラメータの断片化、集約、および再構成のうちの少なくとも1つをリアルタイムで行なうステップと、割り当てられたスロットのうちの第1のスロットに前記パケットをマッピングするステップとを含む。
【0011】
ここで、リアルタイム断片化メカニズムは、他のノードからのスケジュールされた送信を干渉することなく、長いパケットの送信を異なるスロットに分散させることを可能にする。方法はまた、断片化の代替案として、リアルタイム集約を行なってもよい。リアルタイム集約メカニズムは、複数のパケットのためのたった1つの物理層(PHY)プリアンブルを送信することによって通信オーバーヘッドを削減することを可能にし、このため、チャネル利用を最大化する。加えて、パケットのサイズをスロットにリアルタイムで適合させることにより、ネットワークは遅延を減少させるかもしれず、ノードは割り当てられたリソースを十分に利用しない事態を回避する。前述の代替案がいずれも適用できない場合に選択される他の代替案は、リアルタイムPHY再構成を行なうことである。リアルタイムPHY再構成は、パケットをスロット長に適合させるために、ネットワークマネージャからのPHY構成についての情報を使用してもよい。これは、割り当てられたリソースを依然として使用しつつ、送信の信頼性を最大化することを可能にし、よって、総待ち時間の増加を回避する。
【0012】
前記物理層パラメータの断片化、集約、および再構成は、前記比較するステップの結果に、および/または、前記パケット送信キューに依存して、前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間と異なる場合にのみ、行なわれる。
【0013】
さらに、パケットのリアルタイム断片化および集約は、各ネットワークノードで、送信部で実現されてもよい。
【0014】
方法はさらに、前記パケットを利用可能な第1のスロットに送信する、たとえばマッピングするステップを含んでいてもよく、利用可能な第1のスロットは、時間および/または周波数が固定されており、割り当てられたスロットのうちの1つであってもよい。抽出、計算、比較、および上述のアクションのうちのいずれかを行なうステップは、スーパーフレームにおけるすべてのスロットが割り当てられるまで繰り返されてもよい。
【0015】
また、ネットワークマネージャから取得された物理層パラメータに関する情報は、ブロードキャストビーコンフレームであってもよい。
【0016】
また、物理層パラメータは、変調次数、および/または符号化率、および/または巡回プレフィックス長であってもよい。物理層パラメータを取得する利点は、送信ノードがパケットをリアルタイムで適合させる、たとえば、変調次数、符号化率、および巡回プレフィックス長を変更する可能性である。これらの変更は、スロットを整合させるためにパケット持続時間を増加または減少させてもよい。
【0017】
また、前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間よりも長いことを比較するステップが示す場合、方法は、前記パケットの断片化を行なうと判断されてもよい。
【0018】
また、前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間よりも短いことを前記比較するステップが示す場合、方法は、前記パケット送信キューにおけるパケットの集約を行なうと判断されてもよい。
【0019】
また、パケット持続時間が前記固定されたスロット時間よりも短いことを前記比較するステップが示し、かつ、前記パケット送信キューにさらに別のパケットがない場合、方法は、前記物理層パラメータの再構成を行なうと判断されてもよい。それに代えて、またはそれに加えて、パケット持続時間が前記固定されたスロット時間よりも長い場合、物理層パラメータは再構成される。
【0020】
また、前記パケット持続時間が前記固定されたスロット時間に等しい場合、方法は、利用可能な前記第1のスロットに前記パケットを送信する、たとえばマッピングする前にアクションを行なわないと判断されてもよい。言い換えれば、パケットまたはPHYの構成を修正する必要はなく、そのため、パケットは、それが到着するとスーパーフレームに転送される。
【0021】
無線通信ネットワークにおいて他の送信デバイスおよび/またはネットワークマネージャと通信するように構成され、上述の方法のステップまたはその説明された変形を行なうことができる、送信デバイスも提供される。送信デバイスは、ネットワークにおいてデータパケットを送信するように構成されたエンティティまたはノードであってもよい。
【0022】
固定されたスロット時間を有する複数のスロットの割り当てを、上述のタイプの複数の送信デバイスの各々に連続的に送信するように構成されたネットワークマネージャを含む、無線ネットワークシステムも提供される。
【0023】
図面の簡単な説明
この発明の実施形態を、添付図面を参照してこれから説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示のシステムの一例に従ったマルチホップ構成を示す図である。
【
図2】本開示の一例に従った方法ステップのフローチャートである。
【
図3a】本開示に従った、スーパーフレームにおけるパケットの断片化の一例を示す図である。
【
図3b】本開示に従った、スーパーフレームにおける2つのパケットの集約の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本発明に従った提案される解決策は、
図1に表わされた構成にあてはまる。リソースを配分するネットワークシステムは、複数の送信デバイスと通信しているネットワークマネージャ100を含み、それは、リソースを連続的に配分し、通信スケジュールを配布している。
【0026】
いくつかの送信デバイス101、102、103、104、105またはノードは、RFフロントエンドを装備しており、それにより、それらは、たとえばマルチホップ構成において、無線ネットワークを通してネットワークマネージャ100と直接通信すること、および、他の送信デバイスまたはノードと通信することができるようになる。たとえば、ノードは、制御メッセージをやりとりする、サブステーション自動化システムの異なるコンポーネント、たとえばゲートウェイ、ブレーカ、プロテクションなどを表わし得る。
【0027】
この場合、タイムスケジューリングを用いるネットワークシステムが採用される。ネットワークにおける各ノード101、102、103、104、105は、たとえばスーパーフレーム内の時間および周波数におけるいくつかのスロットをネットワークマネージャ100によって割り当てられ、これらのスロット内でのみ送信することが可能である。ネットワークにおける送信は、連続するスーパーフレームに関して行なわれる。本実施形態に従ったリソース配分は、一度に1つのスーパーフレームにおいて行なわれてもよい。言い換えれば、スーパーフレームは経時的に繰り返し、それにより、ネットワークマネージャ100はスロットの配分を経時的に更新できるようになる。しかしながら、スケジューリングを単純化するために、および、より容易な同期化を可能にするために、スロット持続時間は時間および周波数が固定されている。ノード101、102、103、104、105が利用可能なスロットの割り当てとスロット時間とを連続的に受信している際、それらはまた、物理層パラメータに関する情報も取得している。これらのパラメータは、変調次数、符号化率、および巡回プレフィックス長であってもよい。
【0028】
図2では、本開示の一例に従った方法ステップのフローチャートが示される。
方法は、少なくとも1つの無線ノードへのリソースの配分に関し、それは、ネットワークマネージャによって支援されてもよく、一度に1つのスーパーフレーム内で行なわれてもよく、当該スーパーフレームは、無線通信ネットワークにおける一連のスーパーフレームに属する。ネットワークは、TDMAまたは他のタイプのタイムスケジューリングなどのタイムスケジューリングを使用してもよい。スロットは、たとえばそれらが固定されたスロット時間またはスロット持続時間を有するという意味で、時間が固定されている。
【0029】
各スーパーフレームの初めに、無線ノードは、複数のスロットの割り当てと、スロット時間/スロット周波数とを、ネットワークマネージャによって連続的に受信する。この方法のステップS1で、少なくとも1つの無線ノードは、複数のスロットの割り当てと、スロット時間/周波数とを、物理層パラメータに関する情報とともに取得する。ブロードキャストビーコンフレームを通して送信され得るこの追加の情報は、送信キューからのデータパケットの持続時間をスーパーフレーム内の時間固定スロットに適合させるために、送信ノードによって使用される。ステップS2で、パケット送信キューを維持する送信ノードは、優先順位要件に従ってパケット送信キューからパケットを抽出する。次のステップS3は、抽出されたパケットの持続時間を計算するためのものである。計算は、取得された物理層パラメータに関する情報に基づいていてもよい。ステップS4で、割り当てられたスロットに関してパケットの持続時間に従って取るべきアクションを判断するように、計算されたパケット持続時間は、割り当てられたスロット時間/周波数と比較される。異なるアクションは、比較するステップの結果に、および/または、前記パケット送信キューに依存して、前記パケット持続時間がスロット時間/周波数と異なる場合にのみ、物理層パラメータの断片化、集約、または再構成を行なうことを伴う。
【0030】
3つの成果がある:
a) ステップS4A:パケット持続時間Tはスロット時間よりも短い。この場合、ノードは、送信キューに他のパケットがあるかどうかをチェックし、その後、ステップS5Aを行なうかステップS5Bを行なうかを判断する。ステップS5Aでキューにさらにパケットがある場合、複数のパケットが1つに集約され得る。集約されるパケットの最適数は、結果として生じる集約されたパケットの持続時間がスロット時間を上回らないように選択される。一方、ステップS5Bでキューに他のパケットがない場合、パケットがスロット全体を占めるように、ネットワークマネージャによって取得されたPHY層パラメータが修正される。特に、変調次数および符号化率を減少させ、巡回プレフィックス長を増加させることが可能であり、このため、パケット持続時間をスロット時間まで増加させる。したがって、通信の信頼性が高まるであろう;
b) ステップS4B:パケット持続時間は、スロット時間に等しいかまたは対応している。この場合、ノードによってアクションが取られず、パケットは次のステップに送られ得る;
c) ステップS4C:パケット持続時間はスロット時間よりも長い。この場合、パケットはステップS5Cで断片化される。断片の最適数は、各断片の持続時間がスロット時間を上回らないように、かつ、総待ち時間がサービス品質要件を満たすように選択される。総待ち時間はここに、最後の断片が送り出された時間として定義される。
【0031】
次に、ステップS6で、結果として生じるパケットはすべて、利用可能な第1のスロットにマッピングされ送信される。
【0032】
オプションのステップS7A~S7Bで、スーパーフレームのスロットがすべて割り当てられたかどうかが確認され、割り当てられていない場合、手順は、スーパーフレームのすべての利用可能なスロットが割り当てられるまで、ステップS2から繰り返される。説明されたように、各スロットは、それらがすでに占められている(断片化の場合に起こり得る)のでない限り、現在のスーパーフレームにおけるノードに割り当てられる。次に、割り当てられたスロットで現在のスーパーフレームのための送信が実行され、ノードは、ステップS1から始める前に、連続するスーパーフレームの始まりを待つであろう。
【0033】
図3に表わされるように、各送信ノードは、優先順位によってソートされた、送るべきパケットのリストを有するパケットキュー320を維持する。パケットP1、P2、P3、P4は異質のトラフィックフローに属し、よって、異なるサイズおよび異なるサービス品質要件、たとえば最悪の場合の待ち時間によって特徴付けられる。各ノードのキューにおけるパケットの数は、ノードで実行されるアプリケーションに、および、ネットワークにおけるノードの位置に依存する。
図1に示すように、ノード103は、それ自体のトラフィックに加えて、101および102のトラフィックをすべて転送しなければならず、よって、より混雑したキューを有するであろう。
図3から分かるように、パケットの持続時間は、スロットのサイズと整合しない場合がある。具体的には、
図3aでは、パケットキュー320は、スーパーフレーム310内のMAC層スロットなどのスロットに送信されるべき、異なるサイズの4つのパケットP1、P2、P3、P4を含む。スロットは、時間および周波数が固定されており、ネットワークマネージャによって定義される。この例では、まず、P1のサイズをスーパーフレームのスロットと比較し、当該パケットのサイズがスーパーフレーム310におけるスロットよりも大きいために当該パケットが断片化されることによって、断片化が行なわれる。断片化は、パケットP1を、割り当てられたスロットを上回らない最適数の断片に分割することを伴う。この場合、断片化されたパケットは2つの片に分割され、各片は、スーパーフレーム310における利用可能なスロットにマッピングされる。
【0034】
図3bでは、断片化の代替案が使用される。キュー320においてP1の後に続くパケット、すなわちP2が、時間/周波数スロットと比較される。図示されるように、当該パケットのサイズは、スーパーフレーム310の時間/周波数スロットと比較して小さすぎるため、他のパケットと集約されるべきである。この場合、P1とP4とを集約することが可能である。なぜなら、これらのパケットは、スーパーフレーム310におけるスロットのサイズを有するためである。
図3bに示すように、選択されたパケットは、キューにおける順序に従う必要はない。集約されたパケットは次に、利用可能な第1のスロットにマッピングされる。
【0035】
この発明をその例示的な実施形態に関して説明してきたが、この発明の範囲および教示から逸脱することなく、さまざまな変更が、ここに説明された送信デバイスまたはノードおよび手段において行なわれてもよいということが理解されるであろう。したがって、説明された実施形態は例示に過ぎないと考えられるべきであり、この発明または開示は、添付された請求項に定める場合を除き、限定されるべきでない。