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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】多機能貨物移送車及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20230515BHJP
   B65G 13/04 20060101ALI20230515BHJP
   B60P 1/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B60P1/44 Z
B65G13/04
B60P1/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021560145
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2020078120
(87)【国際公開番号】W WO2020192388
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】201910227953.4
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521438607
【氏名又は名称】上海知上行智能科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユシン
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102005020717(DE,A1)
【文献】特開平06-247204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0079601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
B65G 13/04
B60P 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)と、貨物搬送ラック(2)と、昇降機構(3)と、制御システム(4)とを含む多機能貨物移送車であって、
前記車体(1)は、下部に配置され、プラットフォーム及び支持を提供するために用いられ、
前記貨物搬送ラック(2)は、前記車体(1)の上方に配置され、複数層を含み、貨物(5)を積み降ろすために用いられ、
前記昇降機構(3)は、前記貨物搬送ラック(2)を昇降させるために用いられ、
前記制御システム(4)は、前記車体(1)に配置され、多機能貨物移送車の全方向走行、正確な位置合わせ、及び貨物(5)の自動的な積み降ろしを制御するために用いられ、
前記貨物搬送ラック(2)は、ブラケット(21)と、スカートガード(22)と、モータ(23)と、駆動軸(24)と、ガイドローラ(25)とを含み、
前記ブラケット(21)の内部には、前記モータ(23)、前記駆動軸(24)及び前記ガイドローラ(25)が取り付けられ、
前記駆動軸(24)は、前記モータ(23)の作用により前記ガイドローラ(25)を
回転させるように駆動し、貨物の移動を案内し、
前記ブラケット(21)の底部は、前記昇降機構(3)に接続され、前記昇降機構(3)の駆動により鉛直方向に移動可能であり、
前記スカートガード(22)は、前記ブラケット(21)の前後左右の4方向に取り付けられ、貨物の落下を防止するために用いられ、フロントスカートガードは可動式に接続され、前記ブラケット(21)に貨物を出し入れする際に、前記フロントスカートガードが鉛直状態から水平状態に変化し、貨物の積み降ろしを容易にして、
前記ブラケット(21)には、車両の左、中央及び右の3方向に沿って左側ブラケット(211)、中間ブラケット(212)及び右側ブラケット(213)がそれぞれ設けられ、
前記モータ(23)は、ステッピングモータ、サーボモータ、インバータモータを含む制御モータであり、移動状態のプログラム制御を実現するために用いられ、
前記駆動軸(24)は、減速機を介して前記モータ(23)に接続され、キーを介して前記ガイドローラ(25)に接続され、
前記ガイドローラ(25)は、両端が小さく、中間が大きい円錐台形構造であり、表面に滑り止めパターンが設けられる、
ことを特徴とする多機能貨物移送車。
【請求項2】
前記貨物搬送ラック(2)は、複数層の前記ブラケット(21)を含み、複数の貨物を載置するために用いられ、
前記ブラケット(21)には、車両の左、中央及び右の3方向に沿って左側ブラケット(211)、中間ブラケット(212)及び右側ブラケット(213)がそれぞれ設けられ、
各層の前記ブラケット(21)の前記左側ブラケット(211)には水平傾斜角3°~10°及び-3°~-10°の2列の貨物搬送シュートが設けられ、前記中間ブラケット(212)には水平傾斜角0°の貨物搬送シュートが設けられ、前記右側ブラケット(213)には水平傾斜角3°~10°及び-3°~-10°の2列の貨物搬送シュートが設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能貨物移送車。
【請求項3】
前記昇降機構(3)は、複数層の昇降ユニットを含み、前記昇降ユニットの層数は、前記貨物搬送ラック(2)の層数と同一であり、
各層の前記昇降ユニットは、接続ロッド(311)、位置決めピン(312)及び油圧シリンダ(313)を含み、
複数の前記接続ロッド(311)は、前記位置決めピン(312)により接続され、前記油圧シリンダ(313)は前記ブラケット(21)と前記接続ロッド(311)との間に取り付けられ、
底層の昇降ユニットの両端の支点は、一端が底層ブラケットに接続され、他端が上の層のブラケットに接続され、
頂層の昇降ユニットの両端の支点は、一端が頂層ブラケットに接続され、他端が車本体(11)に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能貨物移送車。
【請求項4】
前記車体(1)は、車本体(11)と、全方向車輪(12)と、バッテリーパック(13)と、センサ(14)と、油圧ポンプ(15)と、運転台(16)とを含み、
前記全方向車輪(12)は、前記車本体(11)の底部に取り付けられ、全方向走行、正確な停止機能を実現するために用いられ、
前記バッテリーパック(13)は、前記車本体(11)に取り付けられ、車両の走行動力と貨物搬送及び昇降の動力源を提供するために用いられ、
前記センサ(14)は、前記車本体(11)の底部及び周辺部に取り付けられ、障害物認識及び位置決めナビゲーションの機能を提供するために用いられ、
前記油圧ポンプ(15)は、前記車本体(11)に取り付けられ、前記貨物搬送ラック(2)を昇降移動させるように駆動するために用いられ、
前記運転台(16)は、前記車体(1)の前部に取り付けられ、有人又は無人の運転に用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能貨物移送車。
【請求項5】
前記昇降機構(3)は、前記貨物搬送ラック(2)の外側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能貨物移送車。
【請求項6】
前記制御システム(4)は、メインコントロールボード(41)と、自動運転モジュール(42)と、ナビゲーションモジュール(43)と、電気油圧制御モジュール(44)と、移動制御モジュール(45)とを含み、
前記自動運転モジュール(42)、前記ナビゲーションモジュール(43)、前記電気油圧制御モジュール(44)及び前記移動制御モジュール(45)は、前記メインコントロールボード(41)にそれぞれ電気的に接続され、異なる機能の制御を実現し、
前記自動運転モジュール(42)及び前記ナビゲーションモジュール(43)は、多機能貨物移送車の全方向走行制御、制動制御、位置決め制御及び経路ナビゲーションを実現するために用いられ、
前記電気油圧制御モジュール(44)は、前記昇降機構(3)の昇降制御を実現するために用いられ、
前記移動制御モジュール(45)は、多機能貨物移送車の移動及び貨物の積み降ろしを制御するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の多機能貨物移送車。
【請求項7】
前記多機能貨物移送車は、異なる機能の多種類の車両を1台の車両に統合し、貨物の積み降ろし、輸送、載せ替えのマルチタスク機能を同時に実現し、貯蔵所と輸送キャリアとの間の貨物の移送過程を効率的に実現し、
積み降ろし過程において、異なる列の貨物が円滑に移動し、複数層の貨物ブラケットを含み、複数層の前記貨物ブラケットは、貨物がない時には、積み重ねられ、貨物がある時には、広げられ、
複数層の昇降ユニットは、それぞれ独立して制御、持ち上げ及び上昇が行われ、昇降装置は、油圧、空気圧、電気推進、又は、これら三者の組み合わせにより構成され、
前記制御システム及び全方向車輪は多機能貨物移送車を駆動し、範囲の狭い場所で、前進、後退、左移動、右移動、旋回及び方向転換などの移動、ならびに自律的なナビゲーション、自動運転を実現して、
前記昇降機構(3)が、前記制御システム(4)の作用下で、多機能貨物移送車から前記輸送キャリアに貨物を輸送する手順として、
まず、頂層ブラケット(203)を前記輸送キャリアのドアまで上昇又は下降させ、貨物が前記輸送キャリアに入り、前記頂層ブラケット(203)から貨物を降ろした後に前記頂層ブラケット(203)を前記輸送キャリアのドアよりも高く上昇させ、
次に、中層ブラケット(202)を前記輸送キャリアのドアまで上昇させ、貨物が前記輸送キャリアに入り、前記中層ブラケット(202)から貨物を降ろした後に前記中層ブラケット(202)を前記輸送キャリアのドアよりも高く上昇させ、前記頂層ブラケット(203)と積み重ねられ、
その後、底層ブラケット(201)を前記輸送キャリアのドアまで上昇させ、貨物が前記輸送キャリアに入り、前記底層ブラケット(201)から貨物を降ろした後に前記底層ブラケット(201)を車本体(11)へ下降させ、
最後に、前記中層ブラケット(202)が下降して前記底層ブラケット(201)に積み重ねられ、前記頂層ブラケット(203)が下降して前記中層ブラケット(202)に積み重ねられる、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の多機能貨物移送車による貨物移送方法。
【請求項8】
前記昇降機構(3)が、前記制御システム(4)の作用下で、前記輸送キャリアから多機能貨物移送車に貨物を輸送する手順として、
まず、積み重ねられた3層の前記ブラケット(21)を上昇させ、頂層ブラケット(203)及び中層ブラケット(202)を前記輸送キャリアのドアよりも高くして、底層ブラケット(201)を前記輸送キャリアのドアへ到達させ、
次に、貨物が前記底層ブラケット(201)に入り、貨物を積んだ後に前記底層ブラケット(201)を車本体(11)へ下降させ、
その後、前記中層ブラケット(202)を前記輸送キャリアのドアまで下降させ、貨物が前記中層ブラケット(202)に入り、貨物を積んだ後に前記中層ブラケット(202)を貨物で満載になった前記底層ブラケット(201)の上へ下降させ、
最後に、前記頂層ブラケット(203)を前記輸送キャリアのドアまで下降させ、貨物が前記頂層ブラケット(203)に入り、貨物を積んだ後に前記頂層ブラケット(203)を貨物で満載になった前記中層ブラケット(202)の上へ下降させる、
ことを特徴とする請求項に記載の貨物移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物輸送の技術分野に属し、具体的には、空港、駅、倉庫、貨物置き場、埠頭などの場所での貯蔵所と輸送キャリアとの間の貨物の積み降ろし、輸送及び載せ替えに応用される多機能貨物移送車及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空港、駅、倉庫、貨物置き場、埠頭などの物流集散地では、大きさや重量の異なる貨物について、貯蔵所から輸送キャリアへ、又は輸送キャリアから貯蔵所へ、積み降ろし、輸送及び載せ替えの方式が大きく異なる。空港を例にとると、旅客機の最も一般的な貨物は、乗客の預け入れ荷物である。一般に、空港の保安検査を行った後、荷物を航空機の貨物室に入れる手順は、(1)1台目の荷物トレーラへ手作業で運搬して整然と積み込んで、(2)1台目の荷物トレーラが満載になった後、荷物を後続の荷物トレーラへ運搬し、(3)牽引車を手作業で運転し、荷物で満載になる複数台の荷物トレーラを引き寄せて、駐機場の航空機の貨物室の近傍に輸送し、(4)荷物載せ替え車を手作業で作動させて航空機の貨物室ドアに合わせ、(5)コンベアを作動させ、荷物載せ替え車のコンベアに荷物トレーラ内の荷物を手作業で運搬し、(6)コンベアにより航空機の貨物室のドアに荷物を搬送し、(7)荷物を貨物室のドアから貨物室に手作業で運搬する。航空機の貨物室から空港の荷物仕分け所まで荷物を搬送する手順は、上記の手順の逆である。
【0003】
以上の手順から分かるように、空港の荷物仕分け所と駐機場の航空機の貨物室との間で荷物又は貨物が循環する過程には、牽引車、荷物トレーラ及び荷物載せ替え車という複数台の車両と、牽引車の運転者、荷物トレーラの荷物の運搬者、荷物載せ替え車の制御者、飛行機の貨物室の荷物の運搬者という複数の人員と、手作業による2回の荷物運搬30分間という長い取扱時間とが必要である。従来の技術及び手順は、空港のボーディング・ブリッジ利用効率及び貨物の取扱速度を制限し、人員の労働集約度を増加させ、貨物の移送時間、駐機場の利用コスト及び人件費を増加させる。
【0004】
駅、倉庫、貨物置き場、埠頭などの物流集散地も、類似の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に存在する上記問題に鑑み、空港の荷物牽引車、荷物トレーラ及び荷物載せ替え車のような3種類の機能の異なる車両を1台の多機能貨物移送車に統合し、貨物の積み降ろし、輸送及び載せ替えのマルチタスク機能を同時に実現する多機能貨物移送車及び方法を提供する。この技術は、貨物移送過程の総合コストを低減し、貨物移送効率を向上させるように、関連分野に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。
【0007】
多機能貨物移送車であって、車体と、貨物搬送ラックと、昇降機構と、制御システムとを含み、前記車体は、下部に配置され、プラットフォーム及び支持を提供するために用いられ、前記貨物搬送ラックは、前記車体の上方に配置され、複数層を含み、貨物を積み降ろすために用いられ、前記昇降機構は、前記貨物搬送ラックの外側に配置され、前記貨物搬送ラックを昇降させるために用いられ、前記制御システムは、前記車体に配置され、多機能貨物移送車の全方向走行、正確な位置合わせ、及び貨物の自動的な積み降ろしを制御するために用いられる。
【0008】
好ましくは、前記車体は、車本体と、全方向車輪と、バッテリーパックと、センサと、油圧ポンプと、運転台とを含み、前記全方向車輪は、前記車本体の底部に取り付けられ、全方向走行、正確な停止機能を実現するために用いられ、前記バッテリーパックは、前記車本体に取り付けられ、車両の走行動力と貨物搬送及び昇降の動力源を提供するために用いられ、前記センサは、前記車本体の底部及び周辺部に取り付けられ、障害物認識及び位置決めナビゲーションの機能を提供するために用いられ、前記油圧ポンプは、前記車本体に取り付けられ、前記貨物搬送ラックを昇降移動させるように駆動するために用いられ、前記運転台は、前記車体の前部に取り付けられ、有人又は無人の運転に用いられる。
【0009】
前記貨物搬送ラックは、ブラケットと、スカートガードと、モータと、駆動軸と、ガイドローラとを含み、前記ブラケットの内部には、前記モータ、前記駆動軸及び前記ガイドローラが取り付けられ、前記駆動軸は、前記モータの作用により前記ガイドローラを回転させるように駆動し、貨物の移動を案内し、前記ブラケットの底部は、前記昇降機構に接続され、前記昇降機構の駆動により鉛直方向及び水平方向に移動可能であり、前記スカートガードは、前記ブラケットの前後左右の4方向に取り付けられ、貨物の落下を防止するために用いられ、フロントスカートガードは可動式に接続され、前記ブラケットに貨物を出し入れする際に、前記フロントスカートガードが鉛直状態から水平状態に変化し、貨物の積み降ろしを容易にする。
【0010】
記ブラケットには、車両の左、中央及び右の3方向に沿って左側ブラケット、中間ブラケット及び右側ブラケットがそれぞれ設けられ、前記モータは、ステッピングモータ、サーボモータ、インバータモータを含む制御モータであり、移動状態のプログラム制御を実現するために用いられ、前記駆動軸は、減速機を介して前記モータに接続され、キーを介して前記ガイドローラに接続され、前記ガイドローラは、両端が小さく、中間が大きい円錐台形構造であり、表面に滑り止めパターンが設けられる。
【0011】
好ましくは、前記貨物搬送ラックは、複数層の前記ブラケットを含み、複数の貨物を載置するために用いられ、前記ブラケットには、車両の左、中央及び右の3方向に沿って左側ブラケット、中間ブラケット及び右側ブラケットがそれぞれ設けられ、各層の前記ブラケットの前記左側ブラケットには水平傾斜角3°~10°及び-3°~-10°の2列の貨物搬送シュートが設けられ、前記中間ブラケットには水平傾斜角0°の貨物搬送シュートが設けられ、前記右側ブラケットには水平傾斜角3°~10°及び-3°~-10°の2列の貨物搬送シュートが設けられる。
【0012】
好ましくは、前記昇降機構は、複数層の昇降ユニットを含み、前記昇降ユニットの層数は、前記貨物搬送ラックの層数と同一であり、各層の前記昇降ユニットは、接続ロッド、位置決めピン及び油圧シリンダを含み、複数の前記接続ロッドは、前記位置決めピンにより接続され、前記油圧シリンダは前記ブラケットと前記接続ロッドとの間に取り付けられ、底層の昇降ユニットの両端の支点は、一端が底層ブラケットに接続され、他端が上の層のブラケットに接続され、頂層の昇降ユニットの両端の支点は、一端が頂層ブラケットに接続され、他端が車本体に接続される。
【0013】
好ましくは、前記制御システムは、メインコントロールボードと、自動運転モジュールと、ナビゲーションモジュールと、電気油圧制御モジュールと、移動制御モジュールとを含み、前記自動運転モジュール、前記ナビゲーションモジュール、前記電気油圧制御モジュール及び前記移動制御モジュールは、前記メインコントロールボードにそれぞれ電気的に接続され、異なる機能の制御を実現し、前記自動運転モジュール及び前記ナビゲーションモジュールは、多機能貨物移送車の全方向走行制御、制動制御、位置決め制御及び経路ナビゲーションを実現するために用いられ、前記電気油圧制御モジュールは、前記昇降機構の昇降制御を実現するために用いられ、前記移動制御モジュールは、多機能貨物移送車の移動及び貨物の積み降ろしを制御するために用いられる。
【0014】
多機能貨物移送車による貨物移送方法であって、前記多機能貨物移送車は、異なる機能の多種類の車両を1台の車両に統合し、貨物の積み降ろし、輸送、載せ替えのマルチタスク機能を同時に実現し、貯蔵所と輸送キャリアとの間の貨物の移送過程を効率的に実現し、積み降ろし過程において、異なる列の貨物が円滑に移動し、複数層の貨物ブラケットを含み、複数層の前記貨物ブラケットは、貨物がない時には、積み重ねられ、貨物がある時には、広げられ、複数層の昇降ユニットは、それぞれ独立して制御、持ち上げ及び上昇が行われ、昇降装置は、油圧、空気圧、電気推進、又は、これら三者の組み合わせにより構成され、前記制御システム及び全方向車輪は多機能貨物移送車を駆動し、範囲の狭い場所で、前進、後退、左移動、右移動、旋回及び方向転換などの移動、ならびに自律的なナビゲーション、自動運転を実現する。
【0015】
好ましくは、前記昇降機構が、前記制御システムの作用下で、多機能貨物移送車から前記輸送キャリアに貨物を輸送する手順として、まず、頂層ブラケットを前記輸送キャリアのドアまで上昇又は下降させ、貨物が前記輸送キャリアに入り、前記頂層ブラケットから貨物を降ろした後に前記頂層ブラケットを前記輸送キャリアのドアよりも高く上昇させ、次に、中層ブラケットを前記輸送キャリアのドアまで上昇させ、貨物が前記輸送キャリアに入り、前記中層ブラケットから貨物を降ろした後に前記中層ブラケットを前記輸送キャリアのドアよりも高く上昇させ、前記頂層ブラケットと積み重ねられ、その後、底層ブラケットを前記輸送キャリアのドアまで上昇させ、貨物が前記輸送キャリアに入り、前記底層ブラケットから貨物を降ろした後に前記底層ブラケットを車本体へ下降させ、最後に、前記中層ブラケットが下降して前記底層ブラケットに積み重ねられ、前記頂層ブラケットが下降して前記中層ブラケットに積み重ねられる。
【0016】
好ましくは、前記昇降機構が、前記制御システムの作用下で、前記輸送キャリアから多機能貨物移送車に貨物を輸送する手順として、まず、積み重ねられた3層の前記ブラケットを上昇させ、頂層ブラケット及び中層ブラケットを前記輸送キャリアのドアよりも高くして、底層ブラケットを前記輸送キャリアのドアまで到達させ、次に、貨物が前記底層ブラケットに入り、貨物を積んだ後に前記底層ブラケットを車本体へ下降させ、その後、前記中層ブラケットを前記輸送キャリアのドアまで下降させ、貨物が前記中層ブラケットに入り、貨物を積んだ後に前記中層ブラケットを貨物で満載になった前記底層ブラケットの上へ下降させ、最後に、前記頂層ブラケットを前記輸送キャリアのドアまで下降させ、貨物が前記頂層ブラケットに入り、貨物を積んだ後に前記頂層ブラケットを貨物で満載になった前記中層ブラケットの上へ下降させる。
【発明の効果】
【0017】
従来技術と比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりであり、
(1)異なる機能の多種類の車両を1台の多機能車両に統合し、貯蔵所と輸送キャリアとの間の貨物の移送過程を効率的に実現し、貨物の積み降ろし、輸送及び載せ替えのマルチタスク機能を同時に実現し、
(2)貨物の移送効率を向上させ、貨物の移送コストを低減させ、物流集散地における貨物のスループット、経済的効益及び社会的効益を直接向上させ、
(3)適用範囲が広く、空港、駅、倉庫、貨物置き場、埠頭などの物流集散地においていずれも採用することができ、
(4)自動化の度合いが高く、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例にて提供される多機能貨物移送車の構造概略図である。
図2】本発明の実施例にて提供される多機能貨物移送車の車体の構造概略図である。
図3】本発明の実施例にて提供される多機能貨物移送車の貨物搬送ラックの底部の構造概略図である。
図4】本発明の実施例にて提供される多機能貨物移送車の貨物搬送ラックの上部の構造概略図である。
図5】本発明の実施例にて提供される多機能貨物移送車の昇降機構の構造概略図である。
図6】本発明の実施例にて提供される多機能貨物移送車の制御システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面及び具体的な実施例を結び付けて本発明を詳細に説明し、そのうち具体的な実施例及び説明は、本発明を解釈するためにのみ使用されるが、本発明を限定することを意図するものではない。
【0020】
(実施例)
多機能貨物移送車であって、図1に示すように、車体1と、貨物搬送ラック2と、昇降機構3と、制御システム4とを含む。車体1の前部に運転台16があり、車体1の上部に複数層の貨物搬送ラック2があり、貨物搬送ラック2の外側に昇降機構3があり、貨物5は、貨物搬送ラック2の上に置かれる。制御システム4は、多機能貨物移送車と貨物ラック、又は多機能貨物移送車と輸送キャリアの貨物との正確な位置合わせと、複数層の貨物搬送ラック2と昇降機構3を用いた自動的な貨物の積み降ろしを実現する。
【0021】
図2に示すように、車体1は、車本体11と、全方向車輪12と、バッテリーパック13と、センサ14と、油圧ポンプ15と、運転台16とを含む。全方向車輪12は、車本体11の底部に取り付けられ、全方向走行、正確な位置決め機能を実現する。バッテリーパック13は、車本体11に取り付けられ、車体1の走行動力及び貨物搬送ラック2の搬送及び昇降の動力源を提供する。センサ14は、車本体11の底部及び周辺部に取り付けられ、障害物認識、位置決め及びナビゲーションの機能を提供する。油圧ポンプ15は、車本体11に取り付けられ、貨物搬送ラック2を昇降移動させるように駆動する。運転台16は、車体1の前部に取り付けられ、有人又は無人の運転に用いられる。
【0022】
図3及び図4に示すように、貨物搬送ラック2は、ブラケット21と、スカートガード22と、モータ23と、駆動軸24と、ガイドローラ25とを含む。ブラケット21に左側ブラケット211、中間ブラケット212及び右側ブラケット213が設けられ、貨物5は、ブラケット21にそれぞれ載置される。左側ブラケット211には水平傾斜角3°~10°及び-3°~-10°の2列の貨物搬送シュートが設けられ、中間ブラケット212には水平傾斜角0°の貨物搬送シュートが設けられ、右側ブラケット213には水平傾斜角3°~10°及び-3°~-10°の2列の貨物搬送シュートが設けられている。ブラケット21の内部には、モータ23、駆動軸24及びガイドローラ25が取り付けられ、ブラケット21の底部は、昇降機構3に接続されている。スカートガード22は、ブラケット21の前後左右の4方向に取り付けられている。モータ23は、駆動軸24及びガイドローラ25に接続され、ガイドローラ25は、紡錘形構造であり、表面に滑り止めパターンが設けられている。
【0023】
貨物搬送ラック2には、それぞれ、28インチの標準スーツケース105個を載置可能な、底層ブラケット201、中層ブラケット202、頂層ブラケット203の3層のブラケット21が設けられていてもよい。
【0024】
図5に示すように、昇降機構3は、複数の昇降ユニットを含み、ここでは3つであり、それぞれ、底層の昇降ユニット301、中層の昇降ユニット302、頂層の昇降ユニット303である。各層の昇降ユニットは、接続ロッド311、位置決めピン312、及び油圧シリンダ313を含む。複数の接続ロッド311は、位置決めピン312により接続され、油圧シリンダ313は、ブラケット21と接続ロッド311との間に取り付けられている。底層の昇降ユニット301の両端の支点は、一端が底層ブラケット201に接続され、他端が中層ブラケット202に接続されている。中層の昇降ユニット302の両端の支点は、一端が中層ブラケット202に接続され、他端が頂層ブラケット203に接続されている。頂層の昇降ユニット303の両端の支点は、一端が頂層ブラケット203に接続され、他端が車本体11に接続されている。
【0025】
図6に示すように、前記制御システム4は、メインコントロールボード41と、自動運転モジュール42と、ナビゲーションモジュール43と、電気油圧制御モジュール44と、移動制御モジュール45とを含む。制御システム4は、車体1に取り付けられている。自動運転モジュール42、ナビゲーションモジュール43、電気油圧制御モジュール44及び移動制御モジュール45は、メインコントロールボード41にそれぞれ電気的に接続され、異なる機能の制御を実現している。自動運転モジュール42及びナビゲーションモジュール43は、運転台16に接続され、多機能貨物移送車の起動停止制御、制動制御、位置決め制御、経路ナビゲーション及び運転制御を実現している。電気油圧制御モジュール44は、油圧ポンプ15及び昇降ユニットに電気的に接続され、プログラムで制御できる複数層の昇降ユニットの昇降制御を実現している。移動制御モジュール45は、モータ23に電気的に接続され、貨物を、モータ23、駆動軸24及びガイドローラ25の協働作用で、各層のブラケット21から輸送キャリア又は貨物の貯蔵所に積み降ろし、各層のブラケット21の昇降を制御し、複数層のブラケット21の貨物の積み降ろし制御を実現する。
【0026】
多機能貨物移送車が空港の荷物仕分け所で貨物を積み込む手順は、以下の通りである。まず、貨物が満載状態になるまで、頂層ブラケット203の左側ブラケット211の水平傾斜角3°~10°の搬送シュートに入り、貨物が左側に寄せられる。次に、貨物が満載状態になるまで、左側ブラケット211の水平傾斜角-3°~-10°の搬送シュートに入り、貨物が右側に寄せられる。その後、貨物が満載状態になるまで、中間ブラケット212の水平傾斜角0°の貨物搬送シュートに入る。その後、貨物が満載状態になるまで、右側ブラケット213の水平傾斜角-3°~-10°及び3°~10°の貨物搬送シュートに入るように駆動し、貨物が右側及び左側にそれぞれ寄せられる。その後、満載になった頂層ブラケット203を上昇させ、同様に、貨物が満載状態になるまで、空の中層ブラケット202に入る。その後、満載になった中層ブラケット202を上昇させ、同様に、貨物が満載状態になるまで、空の底層ブラケット201に入る。
【0027】
貨物で満載になった多機能貨物移送車が、貨物を積んで運んで空港の荷物仕分け所から駐機場の航空機の貨物室に走行して貨物を降ろす手順は、以下の通りである。まず、貨物を積んだ頂層ブラケット203を航空機の貨物室のドアに合わせ、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を航空機の貨物室に押し入れ、貨物を降ろした頂層ブラケット203を航空機の貨物室のドアよりも高く上昇させる。次に、貨物を積んだ中層ブラケット202を航空機の貨物室のドアまで上昇させ、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を航空機の貨物室に押し入れ、貨物を降ろした中層ブラケット202を航空機の貨物室のドアよりも高く上昇させ、頂層ブラケット203と積み重ねる。その後、貨物を積んだ底層ブラケット201を航空機の貨物室のドアまで上昇させ、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を航空機の貨物室に押し入れ、貨物を降ろした底層ブラケット201を車本体11へ下降させる。そして、最後に、中層ブラケット202を下降させて底層ブラケット201に積み重ね、頂層ブラケット203を下降させ、中層ブラケット202に積み重ねる。
【0028】
3層の貨物ブラケット21を有する多機能貨物移送車が、貨物を積んでいない状態で駐機場の航空機の貨物室のドアまで走行して貨物を積む手順は、以下の通りである。まず、頂層ブラケット203及び中層ブラケット202を航空機の貨物室のドアよりも高く上昇させる。次に、底層ブラケット201を航空機の貨物室のドアに合わせ、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を航空機の貨物室から底層ブラケット201に押し入れ、貨物で満載になった底層ブラケット201を車本体11に下降させる。次に、中層ブラケット202を航空機の貨物室のドアに合わせるように下降させ、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を航空機の貨物室から中層ブラケット202に押し入れ、貨物で満載になった中層ブラケット202を底層ブラケット201の上へ下降させる。そして、最後に、頂層ブラケット203を航空機の貨物室のドアに合わせるように下降させ、満載状態になるまで、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を航空機の貨物室から頂層ブラケット203に押し入れる。
【0029】
貨物で満載になった多機能貨物移送車が、貨物を積んで運んで駐機場の航空機の貨物室から空港の荷物仕分け所に走行して貨物を降ろす手順は、以下の通りである。まず、貨物を積んだ底層ブラケット201を空港の荷物仕分け機に合わせ、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を仕分け機に押し入れ、貨物を降ろした底層ブラケット201を車本体11に下降させる。次に、貨物を積んだ中層ブラケット202を空港の荷物仕分け機に合わせ、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を仕分け機に押し入れ、貨物を降ろした中層ブラケット202を底層ブラケット201の上に下降させる。そして、最後に、貨物を積んだ頂層ブラケット203を空港の荷物仕分け機に合わせ、モータ23により駆動軸24及びガイドローラ25を駆動して貨物を仕分け機に押し入れ、貨物を降ろした頂層ブラケット203を中層ブラケット202の上に下降させる。
【0030】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するために使用されるものではなく、本発明の精神及び原理の範囲内で行われたいずれかの修正、同等の置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0031】
1 車体、2 貨物搬送ラック、3 昇降機構、4 制御システム、5 貨物、11 車本体、12 全方向車輪、13 バッテリーパック、14 センサ、15 油圧ポンプ、16 運転台、21 ブラケット、22 スカートガード、23 モータ、24 駆動軸、25 ガイドローラ、201 底層ブラケット、202 中層ブラケット、203 頂層ブラケット、211 左側ブラケット、212 中間ブラケット、213 右側ブラケット、301 底層の昇降ユニット、302 中層の昇降ユニット、303 頂層の昇降ユニット、311 接続ロッド、312 位置決めピン、313 油圧シリンダ、41 メインコントロールボード、42 自動運転モジュール、43 ナビゲーションモジュール、44 電気油圧制御モジュール、45 移動制御モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6