(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】自動車用照明装置を動作させる方法および自動車用照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/18 20200101AFI20230515BHJP
H05B 47/11 20200101ALI20230515BHJP
H05B 47/115 20200101ALI20230515BHJP
【FI】
H05B45/18
H05B47/11
H05B47/115
(21)【出願番号】P 2021562403
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020064772
(87)【国際公開番号】W WO2020239875
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】マルエンヌ、カーレイ
(72)【発明者】
【氏名】ラビーフ、タレブ
(72)【発明者】
【氏名】ハフィド、エリドリッシ
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2157371(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0184495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのソリッドステート光源(2)を含む自動車用照明装置(1)を動作させる方法であって、
- 幾つかの装置データを提供するように構成された複数のセンサ(4)を提供するステップと、
- 前記装置データを受信して処理するように構成された制御ユニット(3)を提供するステップと、
- 前記装置データに基づいて、前記
自動車用照明装置の推定状態を生成するステップと、
- 前記推定状態を用いて、前記自動車用照明装置(1)の動作パラメータを制御するステップと、
を備
え、
前記装置データを処理するステップは、外部照明装置温度を推定することを含み、
前記外部照明装置温度の推定は、
- トレーニングデータセットを用いて、前記外部照明装置温度を推定できるように前記制御ユニット(3)をトレーニングすることと、
- 実際の外部照明装置温度データを使って制御ユニット(3)をテストすることと、
を介して行われる、方法。
【請求項2】
前記動作パラメータは、前記
ソリッドステート光源の電流値、放熱パラメータ、ロービーム機能の光束閾値のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作パラメータが、ファンの動作および/または出力レベル、換気ゲートの開閉、能動冷却素子の動作のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御ユニットが、
- トレーニングデータセットを用いて、前記制御ユニット(3)が推定条件を生成するようにトレーニングすることと、
- 何も行動をとらな
かった場合のディレーティングの第1の時間をシミュレートすることと、
- 推定状態の値に、動作パラメータに対する行動を関連付けることと、
- 前記動作パラメータに対する行動をシミュレートすることと、
- 制御ユニット(3)をシミュレートされた行動でテストして、ディレーティングの時間がディレーティング前記第1の時間よりも大きいかどうかを検証することと、
を介して前記推定状態を生成するように構成されている、請求項1から
3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記制御ユニットをトレーニングするステップは、機械学習アルゴリズムの使用を含む、請求項
1から4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のセンサが、車速センサ、周囲温度センサ、周囲湿度センサ、外光センサ、空気速度センサ、照明機能起動センサ、光源温度センサ、ジオポジショニングセンサ、または他の車両の存在を評価するためのカメラのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から
5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記装置データは、前記自動車用照明装置の物理的データ、例えば、前記
自動車用照明装置の体積または前記
自動車用照明装置の2点間の距離をさらに含む、請求項1から
6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
負の温度係数のサーミスタなどのサーミスタによって
光源温度を取得するステップをさらに含む、請求項1から
7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのソリッドステート光源(2)を含む自動車用照明装置(1)を動作させる方法であって、
- 幾つかの装置データを提供するように構成された複数のセンサ(4)を提供するステップと、
- 前記装置データを受信して処理するように構成された制御ユニット(3)を提供するステップと、
- 前記装置データに基づいて、前記自動車用照明装置の推定状態を生成するステップと、
- 前記推定状態を用いて、前記自動車用照明装置(1)の動作パラメータを制御するステップと、
を備え、
前記制御ユニットが、
- トレーニングデータセットを用いて、前記制御ユニット(3)が推定条件を生成するようにトレーニングすることと、
- 何も行動をとらなかった場合のディレーティングの第1の時間をシミュレートすることと、
- 推定状態の値に、動作パラメータに対する行動を関連付けることと、
- 前記動作パラメータに対する行動をシミュレートすることと、
- 制御ユニット(3)をシミュレートされた行動でテストして、ディレーティングの時間がディレーティング前記第1の時間よりも大きいかどうかを検証することと、
を介して前記推定状態を生成するように構成されている、方法。
【請求項10】
請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段を含むデータ処理要素。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、当該
コンピュータプログラムが制御ユニットによって実行されたときに、前記制御ユニットに請求項1から9のいずれかに記載の方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項12】
- ソリッドステート光源のマトリックス配列(2)と、
- 幾つかの装置データを提供するように構成された複数のセンサ(4)と、
- 請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための制御ユニット(3)と、
を備えた自動車用照明装置。
【請求項13】
前記マトリックス配列が、少なくとも2000個のソリッドステート光源(2)を備えている、請求項
12に記載の自動車用照明装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用照明装置の分野に関するもので、より詳細には、これらの機器の温度管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル照明装置は、自動車メーカーが中・高価格帯の製品に採用するケースが増えている。
【0003】
これらのデジタル照明装置は、通常、ソリッドステート光源で構成されており、その動作は温度に大きく依存している。
【0004】
これらの素子の温度管理は、非常にデリケートであり、通常は、光源の温度を検知することおよびディレーティング(derating)を行うことにより実行されている。ディレーティングとは、光源に供給する電流値を下げて、出力光束と動作温度を下げることを意味している。このため、これらの過熱問題に対処するためには、光源の性能を大幅に向上させて、許容値を維持しながら動作値を下げる必要がある。
【0005】
この問題はこれまでも想定されていたが、その解決策が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、請求項1に記載の自動車用照明装置を動作させる方法、請求項10に記載のデータ処理要素、請求項11に記載のコンピュータプログラム、および請求項12に記載の自動車用照明装置によって、自動車用照明装置の光源の温度を管理するための代替ソリューションを提供するものである。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0007】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての用語(技術的および科学的な用語を含む)は、当該技術分野で慣習的に使用されているものとして解釈される。さらに、一般的に使用されている用語も、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された意味か、あるいは過度に形式的な意味ではなく、関連する技術分野で慣習的に使用されているものとして解釈されるべきであることが理解される。
【0008】
本文中の「備える(comprises)」という用語およびその派生語(「備えている(comprising)」など)は、除外的な意味で理解されるべきではなく、つまり、これらの用語は、記述・定義されているものがさらなる要素やステップなどを含む可能性を除外するものと解釈されるべきではない。
【0009】
第1の発明の側面において、本発明は、少なくとも1つのソリッドステート光源を含む自動車用照明装置を動作させる方法であって、
- 幾つかの装置データを提供するように構成された複数のセンサを提供するステップと、
- 装置データを受信して処理するように構成された制御ユニットを提供するステップと、
- 前記装置データに基づいて、前記照明装置の推定状態を生成するステップと、
- 前記推定状態を用いて、自動車用照明装置の動作パラメータを制御するステップと、
を含む方法を提供する。
【0010】
用語「ソリッドステート(solid state)」は、半導体を利用して電気を光に変換するソリッドステート(solid state)エレクトロルミネッセンスによる放射された光を意味している。ソリッドステート照明は、白熱灯に比べ、発熱やエネルギー散逸を抑えて可視光を得ることができる。典型的には質量が小さいソリッドステート電子照明装置は、脆いガラス管/球や細長いフィラメント線に比べて、衝撃や振動に強い。また、それらは、フィラメントの蒸発がないため、照明装置の寿命が延びる可能性がある。この種の照明には、半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード(PLED)を光源とするものがあり、これらは電気フィラメント、プラズマ、ガスとは異なる。
【0011】
この方法では、照明装置の動作は、温度センサではなく、照明器具の動作全体に関連する幅広いデータによって制御される。なぜなら、照明装置の外部温度は、単なる内部温度よりもるかに多くのデータに影響され得るからである。
【0012】
いくつかの特定の実施形態では、装置データを処理するステップは、
- トレーニングデータセットを用いて、外部照明装置の温度を推定するように制御ユニット(3)をトレーニングすることと、
- 実際の外部照明装置の温度データを使って制御ユニット(3)をテストすることと、
を介して外部照明装置の温度を推定することを含む。
【0013】
この方法では、照明装置の放熱を制御するためのパラメータの1つとして、照明装置の外部温度を選択する。この値は、既知の方法では直接推定できないものであり、照明装置の熱的進化(thermal evolution)を正確に制御するために有用である。
【0014】
このような制御ユニットのトレーニング方法は、直接センサを使用せずに、間接的なデータに基づいて外部機器の温度を推定する能力を制御ユニットに与えるので有用である。したがって、この制御ユニットは、自動車用照明装置に搭載された場合、専用のセンサなしで外部装置の温度を推定することができる。
【0015】
いくつかの具体的な実施形態では、動作パラメータは、光源の電流値、放熱パラメータ、ロービーム機能の光束閾値、ファンの動作および/または電力レベル、換気ゲートの開閉、または能動冷却素子の動作のうち、少なくとも1つを含む。
【0016】
照明装置の推定された状態に起因して、制御ユニットは、照明装置の熱挙動を改善するように、前述の特徴の1つ以上に作用する熱指向制御を照明装置で実行してもよい。
【0017】
いくつかの特定の実施形態では、制御ユニットは、
- トレーニングデータセットを用いて、推定状態を生成するように制御ユニットをトレーニングすることと、
- 何も行動(action)をとらなかった場合のディレーティングの第1の時間をシミュレートすることと、
- 推定状態の値に動作パラメータに対する行動を関連付けることと、
- 前記動作パラメータに対する行動をシミュレートすることと、
- 制御ユニットをシミュレートされた行動でテストして、ディレーティングの時間がディレーティングの第1の時間よりも大きいかどうかを検証すること、
を介して外部照明装置の温度を推定するように構成されている。
【0018】
このように制御ユニットをトレーニングする方法は、一連の装置データが与えられたときに、より効果的な行動を選択する能力を制御ユニットに与えるという点で有用である。ディレーティング時間は、照明装置全体の熱挙動を改善するための行動の有効性を検証するためのパラメータとして使用される。
【0019】
いくつかの特定の実施形態では、制御ユニットをトレーニングするステップは、機械学習アルゴリズムの使用を含む。
【0020】
この機械学習アルゴリズムは、センサデータ(複数のセンサのデータ)をトレーニングデータとして使用し、最適な行動を算出する。
【0021】
いくつかの特定の実施形態では、複数のセンサには、車速センサ、周囲温度センサ、周囲湿度センサ、外光センサ、空気速度センサ、照明機能起動センサ、光源温度センサ、ジオポジショニングセンサ、または他の車両の存在を評価するためのカメラのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0022】
これらは、トレーニングのために、そして最適な制御行動を推定するために使用することができるデータの例である。
【0023】
いくつかの特定の実施形態では、装置データは、照明装置の体積や照明装置の2つの点(ポイント)間の距離など、自動車用照明装置の物理的データをさらに含んでいる。
【0024】
本発明では、センサで得られたデータを利用するだけでなく、照明装置自体の物理的な特性をも考慮してもよい。
【0025】
いくつかの特定の実施形態では、本方法は、負の温度係数のサーミスタなどのサーミスタによって光源温度を取得するステップをさらに含む。
【0026】
信頼性の高い温度データを得る上で、サーミスタは良い選択肢である。
【0027】
さらなる発明の側面では、本発明は、前記の第1の発明の側面による方法のステップを実行するための手段と、プログラムが制御ユニットによって実行されたときに、制御ユニットに前記第1の発明の側面による方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラムとを含むデータ処理要素を提供する。
【0028】
さらなる発明の側面では、本発明は、
- ソリッドステート光源のマトリックス配列と、
- いくつかの装置データを提供するように構成された複数のセンサと、
- 前記の第1の発明の側面による方法のステップを実行するための制御ユニットと、を含む自動車用照明装置を提供する。
【0029】
この照明装置は、正確な外部装置の温度を介して(把握することにより)、光源の熱性能を効率的に管理できるという有利な機能を提供する。
【0030】
いくつかの特定の実施形態では、マトリックス配列は、少なくとも2000個のソリッドステート光源を備えている。
【0031】
マトリックス配列は、この方法のための典型的な一例である。行は投影距離範囲でグループ化され、各グループの各列は角度間隔を呈していてもよい。この角度の値はマトリックス配列の解像度に依存し、典型的には1列あたり0.01°から0.5°の間で構成される。その結果、多くの光源を同時に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
説明を完成させるために、また、本発明をよりよく理解するために、一連の図面を提供する。前記図面は、本明細書の不可欠な部分を形成し、本発明の実施形態を示しているが、これは本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、単に本発明をどのように実施することができるかの例示として解釈されるべきである。図面には以下の図が含まれる。
【0033】
【
図1】
図1は、本発明による自動車用照明装置の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、このような制御装置を備えたヘッドランプを搭載した自動車を示す図である。
【0034】
これらの図では、以下の参照番号が使用されている。
1 ヘッドランプ
2 LED
3 制御ユニット
4 センサ
100 自動車
【発明を実施するための形態】
【0035】
例示された実施形態は、当業者が本明細書に記載されたシステムおよびプロセスを具現化して実施できるように、十分に詳細に説明されている。実施形態は、多くの代替形態で提供することができ、本明細書に記載された例に限定して解釈されるべきではないことを理解することが重要である。
【0036】
したがって、実施形態は様々な方法で変更することができ、様々な代替形態をとることができるが、その特定の実施形態を例として図面に示し、以下に詳細に説明する。開示された特定の形態に限定する意図はない。それどころか、添付の請求項の範囲内に入るすべての変更、同等物、および代替物が含まれるべきである。
【0037】
図1は、本発明による自動車用照明装置の全体斜視図である。
【0038】
ヘッドランプ1は、自動車車両100に搭載されており、
- 光のパターンを提供することを意図したLED2のマトリックス配列と、
- LED2の動作の熱制御を行う制御ユニット3と
- 装置データを提供するための複数のセンサ4と、
を備えている。
【0039】
マトリックス配列は、2000画素以上の高解像度モジュールである。ただし、投射モジュールを製造するための技術に制限はない。
【0040】
この制御ユニットに対して、自動車のヘッドランプに搭載される前に、トレーニングプロセスが施される。
【0041】
このトレーニングプロセスは、いくつかの機械学習ステップを含んでおり、制御ユニットは、複数のセンサから提供されるトレーニングデータと、照明装置自体の物理的特性から提供されるトレーニングデータによりトレーニングされる。これらのトレーニングデータ値に対して、センサには、車速センサ、周囲温度センサ、周囲湿度センサ、外光センサ、空気速度センサ、照明機能起動センサ、光源サーミスタ、ジオポジショニング(地理的位置特定)センサ、または他の車両の存在を評価するためのカメラが含まれる。さらに、アルゴリズムには、ヘッドランプの体積やヘッドランプの内部寸法など、照明装置の物理的なデータも与えられる。
【0042】
制御ユニットは、これらのデータを受け取り、これらの条件(状態)のもと、ディレーティングのために残された時間を計算する。この時間には、ヘッドランプに衝突する空気の冷却効果、ヘッドランプを囲む他の車両の存在、直接的な手段で得られる周囲温度、車両が移動しようとする場所の周囲温度などが考慮される。これらのデータはすべて、ディレーティングの第1の(最初の)時間を計算するために使用される。制御ユニットは、これらのデータを使用して、動作パラメータに行動を関連付ける。例えば、ディレーティングの時間が10分未満と短く、次の30分間の場所が十分に明るい(照明された)走路である場合、行動は、照明モジュールの光度を下げることであってもよい。もし、光が十分でない場所であれば、行動は、ファンの出力を上げることであってもよい。そして、制御ユニットは、この行動が実行された後のヘッドランプの熱挙動をシミュレートする。この考慮された行動の後にヘッドランプの状態が変化したことにより、第2の(2度目の)ディレーティング時間が得られる。この第2のディレーティング時間は、実行された行動によって異なるため、制御ユニットは、各状況下においてどの行動が最も適切であるかを学習する。この学習が終了すると、制御ユニットは、装置データのセットごとに最適な行動を決定できるようになる。
【0043】
このトレーニングプロセスが終了すると、制御ユニットは、
図1の自動車100に取り付けられ、ヘッドランプ1の熱制御を行うようになる。
【0044】
このトレーニングされた制御ユニットが自動車用照明装置に設置されると、この制御ユニットは、ヘッドランプの熱状況の正確でインテリジェントな制御を行うことができるようになる。
【0045】
代替実施形態では、トレーニングデータは、外部照明装置温度を推定するために使用される。これらのトレーニングデータ値において、センサは、車速センサ、周囲温度センサ、周囲湿度センサ、外光センサ、空気速度センサ、照明機能起動センサまたは光源サーミスタを含む。さらに、アルゴリズムには、ヘッドランプの体積やヘッドランプの内部寸法など、照明装置の物理データも与えられる。
【0046】
推定された値は、トレーニングプロセスで使用される外部機器温度センサの実データでテストされる。このトレーニングが終了すると、制御ユニットは、専用のセンサを使用せずに外部機器温度を推定できるようになる。
【0047】
外部ヘッドランプ温度は、LEDの電流値や、ヘッドランプ1に構成される放熱素子の動作を管理するのに非常に有効な制御パラメータである。トレーニングされた制御ユニットは、この制御プロセスにおいて有用な部分である。
【0048】
図2は、このような制御ユニットを構成するヘッドランプ1を備えた自動車100を示している。ヘッドランプ1が動作しているとき、制御ユニットは以下の行動を行う。
- 複数のセンサからのデータと、装置データを受け取る(受信する)こと。
- 受け取ったデータに基づいて、照明装置の推定状態を生成すること。
- 推定状態を用いて、自動車用照明装置1の動作パラメータを制御すること。
【0049】
上述したように、制御ユニットは、車両100の外部から、車速、周囲温度、周囲湿度、外光、空気速度、照明機能の起動、光源温度、ジオポジショニングまたは他の車両の存在といった多くのデータを受信する。
【0050】
制御ユニットは、これらの情報(センサからの情報と機器データからの情報)を受け取ると、学習プロセスからのデータを使用して機器データの推定状態を生成する。この推定状態は、ディレーティングのための時間であってもよい。この推定状態は、制御ユニットが受信したデータおよび学習プロセスで学習したデータとともに、制御ユニットに、動作パラメータを制御するための行動を選択するために必要な情報を提供し、ディレーティングの時間を最適化する。
【0051】
上述したように、制御ユニットは、例えば、照明モジュールの動作に関するパラメータ(光源の電流値、ロービーム機能の光束閾値など)や、放熱パラメータ(ファンの動作とパワーレベル、換気ゲートの開閉、アクティブな冷却素子など)など、広範囲の動作パラメータを管理することができる。
【0052】
本方法の他の実施形態では、制御ユニットが受信データからこの値を推定するようにトレーニングされているため、トレーニングデータは外部照明装置温度を推定するために使用される。外部ヘッドランプ温度は、LEDの電流値を管理したり、ヘッドランプ1に設けられた放熱素子の動作を管理したりするのに非常に有用な制御パラメータである。トレーニングされた制御ユニットは、この制御プロセスにおいて有用な役割を果たす。
【0053】
この制御ユニットにより、照明装置の過度な大型化を防ぎ、部品の寿命を最適化することができる。