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特許7279201内視鏡とともに使用するための縫合による閉塞装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】内視鏡とともに使用するための縫合による閉塞装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021568321
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 US2020033179
(87)【国際公開番号】W WO2020232369
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】62/848,985
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デュエル、クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】コミー、ショーン ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート、スタン
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0235604(US,A1)
【文献】特開平07-250840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業チャネルおよび遠位端部を有する内視鏡と組み合わせて使用するための縫合装置において、
縫合糸を担持するように構成された針であって、前記針は遠位端部と前記遠位端部の近傍に遠位戻り止めとを備える、前記針と、
前記針の遠位端部上に解放可能に嵌合するように構成された針キャップであって、前記針キャップは非外傷性遠位先端部と、前記針上に嵌合するように構成された空洞を画定する円筒状針キャップ本体と、を備える、前記針キャップと、
前記針を解放可能に固定するように構成された遠位シャトルと、
前記遠位シャトルに被せて配置可能なスリーブとを備え、前記スリーブは、前記針が前記遠位シャトルに固定されるロック位置と前記針が前記遠位シャトルから解放可能であるロック解除位置との間で移動可能である、縫合装置。
【請求項2】
前記針キャップは、前記円筒状針キャップ本体内において軸線方向に延びる1つ以上の細長スロットをさらに備える、請求項1に記載の縫合装置。
【請求項3】
前記空洞内に延びる1つ以上の凸状突出部をさらに備え、前記1つ以上の凸状突出部は前記針の遠位戻り止め内に嵌合するように構成されている、請求項1または2に記載の縫合装置。
【請求項4】
前記針キャップは、前記円筒状針キャップ本体内において軸線方向に延びる1つ以上の細長スロットをさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の縫合装置。
【請求項5】
前記針キャップは、前記スリーブを遠位方向に移動させることによって、前記針から押し外されるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の縫合装置。
【請求項6】
前記針キャップは、生体適合性ポリマーを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の縫合装置。
【請求項7】
前記針キャップは、生体吸収性ポリマーを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の縫合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組織を縫合するための装置に関し、より詳細には、内視鏡的に組織を縫合するために内視鏡または同様の装置と協働する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な内視鏡的処置は、既知の閉塞方法には大きすぎる欠損(または傷)を生じる場合がある。そのような内視鏡的処置の例としては、大きな病変の除去、粘膜層下のトンネル形成、組織の全層除去、消化管の外側を通過することによる他の器官の治療、および術後漏出などの術後修復が挙げられる。内視鏡的処置は、肥満修正処置も含む。大きな欠損を内視鏡的に閉塞するための既知の装置および方法は、それぞれ何らかの利点と不都合とを有する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、大きな欠損を内視鏡的に閉塞するための装置のいくつかの別の設計、材料および方法に関する。一例は、内視鏡と組み合わせて使用するための縫合装置である。縫合装置は、縫合糸を担持するように構成された針を備え、針は遠位端部を有する。針キャップは針の遠位端部上に解放可能に嵌合するように構成されている。
【0004】
別の例は、作業チャネルおよび遠位端部を有する内視鏡と組み合わせて使用するための縫合装置である。縫合装置は、縫合糸を担持するように構成された針を備え、針は、遠位端部と、遠位端部の近傍に遠位戻り止めとを備える。針キャップは針の遠位端部上に解放可能に嵌合するように構成されている。遠位シャトルは針を解放可能に固定するように構成されている。スリーブは、遠位シャトルに被せて配置可能であり、針が遠位シャトルに固定されるロック位置と針が遠位シャトルから解放可能であるロック解除位置との間で移動可能である。
【0005】
代替的にまたは追加的に、針キャップは生体適合性ポリマーで形成され得る。
代替的にまたは追加的に、針キャップは生体吸収性ポリマーで形成され得る。
代替的にまたは追加的に、針キャップは、非外傷性(傷をつけない)遠位先端部と、針上に嵌合するように構成された空洞を画定する円筒状針キャップ本体と、を備え得る。
【0006】
代替的にまたは追加的に、針キャップは、円筒状針キャップ本体内において軸線方向に延びる1つ以上の細長スロットをさらに備え得る。
代替的にまたは追加的に、針キャップは、上記空洞内に延びる1つ以上の凸状突出部をさらに備えることができ、1つ以上の凸状突出部は針の遠位戻り止め内に嵌合するように構成されている。
【0007】
代替的にまたは追加的に、針キャップは、スリーブを遠位方向に移動させることによって、針から押し外されるように構成され得る。
別の例は、作業チャネルおよび遠位端部を有する内視鏡と組み合わせて使用するための縫合装置である。縫合装置は、作業チャネル内において軸線方向に平行移動可能であるように構成pされた平行移動アセンブリであって、縫合糸を担持するように構成された針を備える平行移動アセンブリと、針を解放可能に固定するように構成された遠位シャトルと、遠位シャトルに被せて配置可能なスリーブとを備える。スリーブは、針が遠位シャトルに固定されるロック位置と、針が遠位シャトルから解放可能であるロック解除位置との間で移動可能であり、スリーブは、スリーブに沿って軸線方向に延びる細長溝を備え、細長溝は該細長溝を通って延びる縫合糸を受け入れるように構成されている。縫合装置は、内視鏡の遠位端部に固定可能な遠位エンドキャップを備え、遠位エンドキャップは、針が遠位エンドキャップ内に遠位方向に進められたときには針と係合し、針が遠位シャトルにロックされて遠位シャトルが近位方向に引き込まれたときには針を解放するように構成されている。
【0008】
代替的にまたは追加的に、遠位シャトルは、遠位シャトルが針に被さって遠位方向に進められたときに針を受け入れるように構成される遠位針開口と、針が遠位シャトルに固定されるときに1つ以上のベアリングボール開口が針の近位戻り止めと整合するように遠位針開口に直交して配置された1つ以上のベアリングボール開口と、1つ以上のベアリングボール開口内に配置された1つ以上のベアリングボールであって、針が遠位シャトルに固定されるときに近位戻り止め内に配置可能である1つ以上のベアリングボールとを備え得る。
【0009】
代替的にまたは追加的に、スリーブは、1つ以上のベアリングボールよりも直径が小さい1つ以上のスリーブ開口を備え得る。ロック位置にあるときには、1つ以上のベアリングボールが針の近位戻り止めに係合するように、1つ以上のスリーブ開口は1つ以上のベアリングボール開口と位置がずれており、ロック解除位置にあるときには、1つ以上のベアリングボールが針の近位戻り止めから退去することを可能にするのに十分な距離だけ1つ以上のベアリングボールが半径方向外側に移動できるように、1つ以上のスリーブ開口は1つ以上のベアリングボール開口と整合される。
【0010】
別の例は、送達システムを通って延びるルーメンを含む送達システムと組み合わせて使用するのための縫合装置である。縫合装置は、送達システムのルーメン内で軸線方向に平行移動可能であるように構成された縫合糸平行移動アセンブリを備え、縫合糸平行移動アセンブリは、縫合糸を担持するために使用可能な針と、針を解放可能に固定するように構成された遠位シャトルとを備える。スリーブは、遠位シャトルに被せて配置可能であり、スリーブに対して相対的に、針が遠位シャトルにロックされるロック位置と、針が遠位シャトルから解放可能であるロック解除位置との間で移動可能である。縫合カテーテルはスリーブに動作可能に結合され、制御ワイヤは遠位シャトルに動作可能に結合される。遠位エンドキャップは、送達システムの遠位端部に固定可能であるように構成され、かつ針と解放可能に係合および係合解除するように構成され、上記エンドキャップは、針がエンドキャップ内に遠位方向に進められたときには針と係合し、針が遠位シャトルにロックされて遠位シャトルが近位方向に引き込まれたときには針を解放するように構成されている。
【0011】
代替的にまたは追加的に、制御ワイヤを近位方向に移動させることで、遠位シャトルをスリーブに対して相対的に近位方向に移動させることができ、それにより針を遠位シャトルにロックする。
【0012】
代替的にまたは追加的に、制御ワイヤを遠位方向に移動させることで、遠位シャトルをスリーブに対して相対的に遠位方向に移動させることができ、それにより遠位シャトルから針を解放する。
【0013】
代替的にまたは追加的に、針は遠位領域および近位領域を備えることができ、遠位領域は遠位エンドキャップに解放可能に係合するための遠位戻り止めを備え、近位領域は遠位シャトルに解放可能に係合するための近位戻り止めを備える。
【0014】
代替的にまたは追加的に、遠位シャトルは、針が遠位シャトルに固定されるときに近位戻り止めと整合するように配置された1つ以上のベアリングボール開口と、1つ以上のベアリングボール開口内に配置された1つ以上のベアリングボールであって、針が遠位シャトルに固定されるときに近位戻り止め内に配置可能である1つ以上のベアリングボールとを備え得る。
【0015】
代替的にまたは追加的に、スリーブは、1つ以上のベアリングボールよりも直径が小さい1つ以上のスリーブ開口を備え得る。ロック位置にあるときには、1つ以上のベアリングボールが針の近位戻り止めに係合するように、1つ以上のスリーブ開口は1つ以上のベアリングボール開口と位置がずれており、ロック解除位置にあるときには、1つ以上のベアリングボールが針の近位戻り止めから退去することを可能にするのに十分な距離だけ1つ以上のベアリングボールが半径方向外側に移動できるように、1つ以上のスリーブ開口は1つ以上のベアリングボール開口と整合される。
【0016】
代替的にまたは追加的に、縫合装置は、制御ワイヤに動作可能に結合されるヨークをさらに備え、ヨークは、ヨークを通って延びるピンによって制御ワイヤを遠位シャトルに結合し、ピンはスリーブ内に形成された一対のスロットに沿って平行移動する。
【0017】
代替的にまたは追加的に、縫合カテーテルはコイルを備えることができ、コイルはスリーブに動作可能に結合される。
代替的にまたは追加的に、スリーブはコイルに溶接され得る。
【0018】
代替的にまたは追加的に、制御ワイヤは縫合カテーテルを通って延在し得る。
代替的にまたは追加的に、縫合装置は、縫合カテーテルおよび制御ワイヤに動作可能に結合されたユーザインタフェースをさらに備えることができ、ユーザインタフェースは、使用者が、制御ワイヤと、したがって遠位シャトルとを、縫合カテーテルに対して相対的に移動させることを可能にするように構成されている。
【0019】
別の例は、送達システムを通って延びるルーメンを含む送達システムと組み合わせて使用するのための縫合装置である。縫合装置は、縫合糸を担持するために使用可能な針と、針を解放可能に固定するように構成された遠位シャトルとを備える。スリーブは遠位シャトルに被せて配置可能であり、遠位シャトルは、スリーブに対して相対的に、針が遠位シャトルにロックされるロック位置と針が遠位シャトルから解放可能であるロック解除位置との間で移動可能である。シャフトは、スリーブに動作可能に結合され、制御ワイヤは、シャフトを通って延在し、遠位シャトルに動作可能に結合される。遠位エンドキャップは、送達システムの遠位端部に固定可能であるように構成され、かつ針と解放可能に係合および係合解除するように構成され、上記エンドキャップは、針がエンドキャップ内に遠位方向に進められたときには針と係合し、針が遠位シャトルにロックされて遠位シャトルが近位方向に引き込まれたときには針を解放するように構成されている。
【0020】
代替的にまたは追加的に、縫合装置は、遠位シャトルをそのロック位置とそのロック解除位置との間で移動させるために、使用者が制御ワイヤをシャフトに対して相対的に操作することを可能にするように構成されたユーザインタフェースをさらに備え得る。
【0021】
いくつかの実施形態の上記の要約は、本開示の各々の開示された実施形態またはすべての実施について記載するものではない。続く図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0022】
本開示は、添付の図面に関連する以下の説明を参酌して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の一例による、例示的な縫合装置の斜視図。
図2】伸出位置で示された図1の例示的な縫合装置の一部を形成する遠位アセンブリの斜視図。
図3】後退位置で示された図2の遠位アセンブリの斜視図。
図4図2の遠位アセンブリの4-4線に沿って得た断面図。
図5図1の例示的な縫合装置の一部を形成する縫合糸平行移動アセンブリの一部分の分解図。
図6】遠位シャトルおよび縫合糸平行移動アセンブリの一部を形成する部材の側面図であり、上記部材がロック位置に伸出して示されている側面図。
図7】遠位シャトルおよび図6の部材の側面図であり、上記部材がロック解除位置に後退して示されている側面図。
図8】本開示の一例による、図1の縫合装置で使用可能な遠位アセンブリの側面図。
図9】取り付けられた可撓性ルーメンと組み合わせた図8の遠位アセンブリの側面図。
図10】本開示の一例による、取り付けられたルーメンとともに示された、図1の縫合装置で使用可能な遠位アセンブリの側面図。
図11】本開示の一例による、図1および図8の遠位アセンブリと組み合わせて使用され得る組織解放メカニズムの図。
図12】本開示の一例による、図1および図8の遠位アセンブリと組み合わせて使用され得る組織解放メカニズムの図。
図13】本開示の一例による、図1の縫合装置で使用可能な遠位アセンブリの斜視図。
図14】本開示の一例による、図1の縫合装置で使用可能な縫合糸平行移動アセンブリの斜視図。
図15】本開示の一例による、図14の縫合糸平行移動アセンブリの部分分解斜視図。
図16】本開示の一例による、図14の縫合糸平行移動アセンブリの一部を形成する内側部材の斜視図。
図17】本開示の一例による、ロック構成で示された図14の縫合糸平行移動アセンブリの一部分の斜視図。
図18】本開示の一例による、ロック解除構成で示された図14の縫合糸平行移動アセンブリの一部分の斜視図。
図19】本開示の一例による、図1の縫合装置で使用可能な縫合糸平行移動アセンブリの斜視図。
図20】本開示の一例による、内部構造を示すためにいくつかの要素が除去されて示され、縫合糸平行移動アセンブリがロック構成で示されている、図19の縫合糸平行移動アセンブリの斜視図。
図21】ロック部材が図20に示すようなロック構成にある縫合糸平行移動アセンブリの内側部材および針とどのように係合するかを示す、本開示の一例による、図19の縫合糸平行移動アセンブリの一部分の側面図。
図22】本開示の一例による、ロック解除構成で示された図19の縫合糸平行移動アセンブリの斜視図。
図23】縫合糸平行移動アセンブリの一部として使用可能なスリーブの斜視図。
図24】本開示の一例による、図23のスリーブを利用し、図1の縫合装置で使用可能な遠位アセンブリの斜視図。
図25】本開示の一例による、針キャップを装備した針の図。
図26図25の針および針キャップの26-26線に沿って得た断面図。
図27】本開示の一例による、針がロック解除構成で示されている、縫合糸平行移動アセンブリの斜視図。
図28】本開示の一例による、針がロック構成で示されている、図27の縫合糸平行移動アセンブリの斜視図。
図29図28の縫合糸平行移動アセンブリの29-29線に沿って得た断面図。
図30図28の縫合糸平行移動アセンブリの部分分解図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は様々な変更形態および代替形態が可能であるが、それらのうちの特定のものを例として図面に示し、詳細に説明する。しかしながら、その意図は、本発明を記載する特定の実施形態に限定することではないことは理解されるべきである。むしろ、その意図は、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての変更物、均等物、および代替物を網羅することにある。
【0025】
以下の定義された用語について、特許請求の範囲または本明細書中の他の箇所において異なる定義がなされていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
特定の用語の定義は以下に提供され、特許請求の範囲または本明細書中の他の箇所において異なる定義がなされていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0026】
すべての数値は、明確に示されているか否かに関わらず、本明細書では「約」という用語によって修飾されるものと見なされる。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と考えるであろう数の範囲を指す。多くの場合において、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められる数を含むことを示し得る。
【0027】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内の数をすべて含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
様々な構成要素、特徴および/または仕様に関するいくつかの適当な寸法、範囲および/または値が開示されるが、本開示によって触発される当業者は、所望の寸法、範囲および/または値が明らかに開示されたものから逸脱する可能性があることを理解するであろう。
【0028】
本明細書および添付された特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに他の意味を示していない限り、単数の指示対象だけでなく複数の指示対象も含むか、または他の場合には複数の指示対象も指す。本明細書および添付された特許請求の範囲において、「または」という用語は、内容が明らかに他の意味を示していない限り、一般に「および/または」を含むように用いられる。
【0029】
以下の詳細な説明は図面を参照して読まれるべきであり、図面では異なる図面中の類似した要素には同一の番号が付されている。これらの詳細な説明および必ずしも一定の縮尺ではない図面は、例示的な実施形態を示しており、本開示の範囲を限定するようには意図されない。示された例示的な実施形態は、単に典型例として意図されている。任意の例示的な実施形態の選択された特徴は、明らかに反対の記載がない限り、付加的な実施形態に組み込まれてもよい。
【0030】
本開示は、体内の傷を閉塞するために内視鏡または同様の送達装置と組み合わせて使用されるように構成された装置に関する。いくつかの例では、本明細書に記載する縫合装置は、該縫合装置が内視鏡の単一の作業チャネルまたは利用可能なチャネル内で使用され得るように構成され得る。また該縫合装置は、いくつかの実施形態では第2の個人が関与し得るが、いくつかの実施形態では単独の個人によって操作され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する縫合装置は、単一の動作ラインに沿って動作すると考えられ得る。装置自体が作業チャネル内において遠位方向および近位方向に平行移動可能であり得、また、縫合装置の能動部分と縫合装置の受動部分との間で針を前後に通過可能にするために針をロックおよびロック解除する際に、ハンドル部分自体が、同一の動作ラインに沿って遠位方向および近位方向に平行移動可能であり得る。装置は、針がより遠位の位置またはより近位の位置のいずれかに選択的にロックされることを可能にするように構成され得る。また装置自体が、修復されている組織に対して相対的に、針と、よって縫合糸とを動かすために、針が所定の位置にロックされた状態で、遠位方向または近位方向に平行移動され得る。
【0031】
図1は、送達システムを通って延びるルーメンを含む送達システムと組み合わせて使用するために構成されていると考えられ得る縫合装置10の斜視図である。例えば、送達システムは、作業チャネルを有する内視鏡であり得る。送達システムはまた、カテーテルであってもよい。図示の破断線の両側においてスケールに変化があることが理解されよう。いくつかの実施形態では、縫合装置10は、送達システムのルーメン内において軸線方向に平行移動可能であるように構成された縫合糸移動アセンブリ12と、送達システムの遠位端部に固定されるように構成された遠位アセンブリ14とを備えるものと考えられ得る。縫合糸平行移動アセンブリ12は遠位アセンブリ14内に延びており、縫合糸平行移動アセンブリ12は、縫合糸を担持するために使用され得る針16、および針16を解放可能に固定するように構成された遠位シャトル18を備える。
【0032】
部材20は、遠位シャトル18に被せて配置され得、後続の図に示すように、針16が遠位シャトル18に固定されるロック位置と、針16が遠位シャトル18から解放可能であるロック解除位置との間で移動可能である。いくつかの実施形態では、例えば、部材20はスリーブ20であり得る。ユーザインタフェースは、遠位シャトル18およびスリーブ20から近位方向に延び得、スリーブ20をロック位置とロック解除位置との間で移動させるように構成され得る。シャフト28は、縫合糸平行移動アセンブリ12まで遠位方向に延び得、特にスリーブ20に結合され得る。ユーザインタフェースは、さまざまな形態をとり得る。例えば、ユーザインタフェースは米国特許出願公開第2018/0235604号に記載され例示されているようなユーザインタフェース22であってもよく、上記刊行物は参照によりその全体が本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェースは、2019年1月18日に出願され、「ENDOSCOPIC SUTURING CONTROL HANDLE」と題された仮出願第62/794,075号に記載されている通りであってもよく、上記出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。いくつかの例では、ユーザインタフェースは、本願と同日に出願され、「CONTROL HANDLE FOR ENDOSCOPIC SUTURING」と題された代理人整理番号2001.2051100の仮出願に記載されている通りであってもよく、上記出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。これらは例に過ぎない。
【0033】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリ14は、内視鏡または他の送達システムの遠位端部に結合されるように構成され得る近位コネクタ30を有する本体29を備える。いくつかの実施形態では、例示したように、近位コネクタ30は、固定機構401を備え得る。後続の図に関して後述するように、固定機構401は、いくつかの実施形態では固定フランジ401であると考えることができ、分割リング取付メカニズムを用いて遠位アセンブリ14を内視鏡または他の送達システムの遠位端部に固定するのを助ける。
【0034】
本体29は、エンドキャップ34まで延びるアーム32を備える。後述するように、エンドキャップ34は、針16と解放可能に係合および係合解除するように構成され得る。いくつかの実施形態では、例えば、エンドキャップ34は、針16がエンドキャップ34内に遠位方向に進められたときには針16と係合し、針16が遠位シャトル18(後述する)内にロックされて遠位シャトル18が近位方向に引き込まれたときには針16を解放するように構成され得る。遠位アセンブリ14は、本体29に固定され得るか、または本体29と一体的に形成され得るガイド部材36を備えると考えることができ、遠位アセンブリ14は、縫合糸平行移動アセンブリ12がガイド部材36を通って延びてガイド部材36に対して相対的に平行移動することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、本体29は、他の装置が孔27を通って挿入されることを可能にし得る孔27を備え得る。いくつかの例において、後続の各図に関して後述するように、孔27は、サイドサドル(side-saddled)ルーメン取付要素を受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、孔27は、ピン孔31aおよびピン開口31bのうちの1つ以上を含み得る。これらのピン孔31aおよびピン開口31bは、例えば、前述のサイドサドルルーメン取付要素を取り付けるため、またはおそらく他の機構を取り付けるためにも使用され得る。
【0035】
図2および図3は、ガイド部材36を通って遠位アセンブリ14内に延びる縫合糸平行移動アセンブリ12を示している。図2では、縫合糸平行移動アセンブリ12は、針16がエンドキャップ34内に延びる伸出位置において示されており、一方、図3では、縫合糸平行移動アセンブリ12は、針16がエンドキャップ34から近位方向に引き抜かれた後退位置において示されている。いくつかの実施形態では、図に示すように、エンドキャップ34は、近位針開口37を備え、近位針開口37は、針16がエンドキャップ34内に遠位方向に進められたときに、針16を近位針開口37内に案内するのを助け、また針16を受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態では、近位針開口37は、エンドキャップ34を完全に貫通して延び得るが、他の場合には、近位針開口37は、エンドキャップ34を完全に貫通しなくてもよい。いくつかの例では、図示したように、近位針開口37は、針16の長手方向軸線38と(図3に図示するように)整合されていると考えられ得る。
【0036】
1つ以上の固定子開口40は、近位針開口37に対して直交して配置することができ、1つ以上の固定子42は、1つ以上の固定子開口40内に配置されるように構成されており、また針16の遠位戻り止め(後述する)と解放可能に係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、エンドキャップ34の両側に1つずつ、一対の固定子開口40が存在し得る。いくつかの実施形態では、一対の固定子開口40のそれぞれの中に1つずつ配置された一対の固定子42が存在し得る。いくつかの実施形態では、概略的に示されているが、1つ以上の固定子42は、例えば、ばねまたはコイルであり得る。
【0037】
図4は、遠位アセンブリ14の断面図であり、縫合糸平行移動アセンブリ12が遠位アセンブリ14内に配置されている。図5は、縫合糸平行移動アセンブリ12の分解図である。針16は、遠位領域44および近位領域46を有するものと考えられ得る。いくつかの実施形態では、遠位領域44は、エンドキャップ34に解放可能に係合するための遠位戻り止め48を備えることができ、近位領域46は、遠位シャトル18に解放可能に係合するための近位戻り止め50を備えることができる。針16は、図示するように、内部を通過する縫合糸ライン(suture line)を受け入れるための孔52を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、遠位シャトル18は遠位針開口54を備えると考えられ得る。遠位針開口54は、遠位シャトル18が針16に被さって遠位方向に進められたときに針16を受け入れるように構成されており、針16の長手方向軸線38と整合されている。1つ以上のベアリングボール開口56は、針16が遠位シャトル18に固定されるときに1つ以上のベアリングボール開口56が近位戻り止め50と整合するように、遠位針開口54に直交して配置され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のベアリングボール58は、1つ以上のベアリングボール開口56内に配置され得、また針が遠位シャトル18に固定されるときに近位戻り止め50内に配置されるように構成され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、遠位シャトル18は、内部空洞60と、内部空洞60内に摺動可能に配置されたスリーブ捕捉部材62とを備える。いくつかの実施形態では、スリーブ捕捉部材62はケーブル64に結合され得る。ケーブル64は、シャフト28内で遠位方向に延び、さらにケーブル孔66内に延びて圧着または他の機械的接続68によって固定される。いくつかの実施形態では、スリーブ捕捉部材62は、ピン70によってスリーブ20に結合され得る。ピン70は、第1のスリーブ接続孔および第2のスリーブ接続孔72,74と、スリーブ捕捉部材62を通り同様に内部空洞60内を通って延びる対応する孔76とを通って延在する。
【0040】
いくつかの実施形態では、スリーブ20は、1つ以上のベアリングボール58の直径よりも、直径が小さくてもよいし、または幅が小さくてもよい1つ以上のスリーブ開口80を含む。いくつかの実施形態では、スリーブ20は、一対のベアリングボール開口56および一対のベアリングボール58に対応する一対のスリーブ開口80を含み得る。例えば図6に示すように、スリーブ20がロック位置にあるとき、1つ以上のスリーブ開口80は、1つ以上のベアリングボール開口56と位置がずれているか、または整合しておらず、したがって1つ以上ベアリングボール58は、針16の近位戻り止め50と係合する。スリーブ20は、1つ以上のベアリングボール58が近位戻り止め50から押し出されるのを防止する。
【0041】
反対に、例えば図7に示すように、スリーブ20がロック解除位置にあるとき、1つ以上のスリーブ開口80は1つ以上のベアリングボール開口56と整合される。これにより、針16によって1つ以上のベアリングボール58に加えられる力に応じて、1つ以上のベアリングボール58は、1つ以上のベアリングボール58が針16の近位戻り止め50から退去することを可能にするのに十分な距離だけ半径方向外方に移動して、1つ以上のスリーブ開口80内に入ることが可能となる。図4を参照すると、縫合糸平行移動アセンブリ12は遠位アセンブリ14内に進められて示されているが、スリーブ20は遠位シャトル18に対してロック解除位置にあり、したがって、1つ以上のベアリングボール58は、1つ以上のスリーブ開口80内に部分的に入り込んでいるように見え得る。
【0042】
いくつかの場合には、縫合装置10は、使用者がスリーブ20と遠位シャトル18との間の相対移動を生じさせることを可能にする、近位ハンドル(図示せず)を有するであろう。近位ハンドルは、使用者に対してスリーブ20および遠位シャトル18の相対位置の印(しるし)を与え得る。いくつかの場合には、近位ハンドルは、針16が遠位シャトル18に対してロックされたとき、および針16が遠位シャトル18に対してロックされていないときを使用者に知らせる柔軟な戻り止めまたは他の機構を備え得る。
【0043】
いくつかの場合には、スリーブ20および遠位シャトル18は、針16が遠位シャトル18にロックされたとき、および針16が遠位シャトル18にロックされていないときのより強力な印を与えるように変更されてもよい。特に図5を参照して、いくつかの場合には、スリーブ開口80は、図5に示す位置に対して相対的に近位方向にわずかな距離だけ移動されてもよい。いくつかの場合には、遠位シャトル18内に形成される内部空洞60が短縮されてもよい。これらの2つの変更が相まって、針16が遠位シャトル18にロックされたとき、および針16が遠位シャトル18にロックされていないときのより強力な印を提供することができる。スリーブ20を一方向に完全に移動させることは、針16が遠位シャトル18にロックされることを意味する。スリーブ20を反対方向に完全に移動させることは、針16が遠位シャトル18にロックされないことを意味する。これにより、使用者に対して単純で二元的なロック/ロック解除の印を与えることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、遠位シャトル18とスリーブ20とが組み合わさって針16に対する能動的な接続を提供し、一方、遠位エンドキャップ34は針16に対する受動的な接続を提供することが理解されよう。針16が遠位エンドキャップ34内に遠位方向に動かされると、1つ以上の固定子42が遠位戻り止め48に係合して、遠位エンドキャップ34が針16を掴む。針16が続いて近位方向に動かされると、加えられる軸線方向力が1つ以上の固定子42によって与えられる任意の抵抗力に打ち勝って、針16は近位方向に動くことができる。しかしながら、これに対して、遠位シャトル18およびスリーブ20によって提供される針16に対する能動的な接続は、スリーブ20を、遠位シャトル18に対して相対的に、ロック位置とロック解除位置との間で移動させるための動作を必要とする。ユーザインタフェースは、スリーブ20をロック位置とロック解除位置との間で積極的に移動させるための機構を提供する。
【0045】
図8は、例えば、図1に示す縫合装置10で使用可能であり得る遠位アセンブリ14aの側面図である。遠位アセンブリ14aは、前の図に示した遠位アセンブリ14に類似しているが、遠位アセンブリ14aの本体29に結合されたサイドサドルルーメン取付要素120を備える。いくつかの実施形態では、サイドサドルルーメン取付要素120は、1つまたは2つのペグ122を備え得る。ペグ122は、ピン孔31a,31b(この図ではピン孔31aが見えている)に嵌合し、したがってサイドサドルルーメン取付要素120が遠位アセンブリ14aの本体29に対して相対的に回動することを可能にする。いくつかの実施形態では、サイドサドルルーメン取付要素120は、ペグ122が延出したリング124と、遠位領域126と、いくつかの例では湾曲を有する本体128とを備える。
【0046】
いくつかの実施形態では、遠位領域126および本体128は、図9に示すように、摩擦嵌合または圧縮嵌合によってサイドサドルルーメン取付要素120内に係合し得る可撓性ルーメン130などのルーメンを受け入れるために半円形の輪郭を有する。可撓性ルーメン130は、ポリマーまたは金属であり得る。ポリマールーメンは、例えば、可撓性ルーメン130がサイドサドルルーメン取付要素120に対して配置された後に、可撓性ルーメン130内にマンドレルを延ばすことによって、完全な作業寸法に拡張され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、サイドサドル取付要素120(および付随する可撓性ルーメン130)は、補助的な作業チャネルとして使用され、処置に使用される縫合糸を収容し得る。いくつかの実施形態では、サイドサドル取付要素120は組織の取得または操作のための処置中に使用するための補助的な器具を受け入れるために十分な大きさであり、デュアルチャネル内視鏡などの専用のデュアルチャネル送達システムを必要とすることなく、補助的な器具の使用を可能にする。必要に応じて、処置においてさらに多くの選択肢を提供するために、デュアルチャネル送達システムを使用することができる。サイドサドル取付要素120は、補助的な器具が組織の操作に適した軸線に沿って延びるように、遠位アセンブリ14aにおいて出口ポートを有し得る。この軸線は、縫合糸担持要素の軸線と交差することができ、補助的な器具が組織を縫合糸担持要素の予想進路に引き込むことを可能にする。例えば、これは、組織を針に沿って引っ張って、針16を組織に打ち込むことを支援するために用いられ得る。サイドサドル取付要素120を通る縫合糸における張力を維持することにより、縫合糸が処置に干渉することを防止し得る。
【0048】
図10は、より短いサイドサドルルーメン取付要素120aを備えた遠位アセンブリ14bの斜視図であり、サイドサドルルーメン取付要素120aは、ピン孔31a,31b内に延びる1つ以上のペグ122aによって本体29に回動可能に取り付けられ得る。サイドサドルルーメン取付要素120aと結合されたルーメン130aは、縫合糸または他の器具が延び得る作業チャネルを提供する。
【0049】
図11および図12は、アーム32上に嵌合し得る組織解放メカニズム150の図である。いくつかの実施形態では、組織解放メカニズム150は、他の場合には針16に引っ掛かる可能性がある組織を除去するのを助けることによって、処置を支援し得る。いくつかの例において、組織解放メカニズム150は、針16に係合するようにばね荷重をかけられてもよいし、または個別に独立して作動されてもよい。いくつかの例において、組織解放メカニズム150は、針16から組織を押し退けることができる付加的な表面を提供するクロスバー152を備える。
【0050】
使用のために縫合装置10を準備する際、遠位アセンブリ14は内視鏡などの送達装置に固定され得る。いくつかの実施形態では、遠位アセンブリ14を所定の位置に保持するため、および送達装置に対して相対的な遠位アセンブリ14の回転を防止するために、可撓性シリコーンチューブなどの取付イネーブラが送達装置に沿って展開され得る。いくつかの実施形態では、必要に応じて、サイドサドルルーメン取付要素120(または120a)は遠位アセンブリ14に固定され得る。縫合糸は針16に通されて、ユーザインタフェースに向かって送り返され得る。装置10は身体を通って欠損部位まで延ばされ得る。
【0051】
図13は、例えば図1に示した縫合装置10に使用可能であり得る遠位アセンブリ14cの斜視図である。遠位アセンブリ14cは前の図に示した遠位アセンブリ14に類似しているが、特に肥満修正処置に有用であり得るいくつかの変更を含む。肥満処置は、患者の長期的な体重減少をもたらすために患者の胃の実際の有効容積が外科的に低減され得る処置を一般に指し、腹腔鏡的に実施され得る。肥満修正処置は、内視鏡的に実施され、患者の胃に最初に行ったことに対して変更をなすことができる処置である。いくつかの実施形態では、遠位アセンブリ14cはまた、組織厚全体の修復および/または部分的な組織厚の修復などの、しかしこれらに限定されない、他の縫合処置に使用されてもよい。
【0052】
遠位アセンブリ14cは、例えば、内視鏡または他の送達システムの遠位端部に結合されるように構成され得る近位コネクタ30aを有する本体29aを備え得る。いくつかの実施形態では、例示したように、近位コネクタ30aは、固定フランジ401などの固定機構を備え得る。本体29aは、エンドキャップ34aまで延びるアーム32aを備える。いくつかの実施形態では、本体29aは、アーム32aを含めて、遠位アセンブリ14、遠位アセンブリ14a、および遠位アセンブリ14bに関して以前に言及した本体29およびアーム32に類似し得る。しかしながら、いくつかの例では、本体29aおよびアーム32aはより厚い組織を受け入れるように適合されてもよく、これは、例えば、本体29および/またはアーム32に対する本体29aおよび/またはアーム32aの全体的な形状の変更を意味し得る。いくつかの実施形態では、本体29aおよび/またはアーム32aは、より厚い組織を受け入れるために、単により大きくされてもよい。遠位アセンブリ14cは、本体29に固定され得るか、または本体29aと一体的に形成され得るガイド部材36aを備えると考えることができ、遠位アセンブリ14cは、縫合糸平行移動アセンブリ(例えば、縫合糸平行移動アセンブリ12、図14図18に示す縫合糸平行移動アセンブリ12a、または図19図22に示す縫合糸平行移動アセンブリ12bなど)が、ガイド部材36aを通って延び、ガイド部材36aに対して相対的に平行移動することを可能にするように構成され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、例示したように、ガイド部材36aはチャネル300を備える。いくつかの実施形態では、チャネル300は、縫合糸が縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bと、遠位アセンブリ14cが取り付けられている内視鏡または他の送達装置の作業チャネルとの間を通過することを可能にする。チャネル300は、例えば、縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bを内視鏡または他の送達装置の作業チャネルに通すときに縫合糸をチャネル300と整合させるのを支援する引込み部(lead in)を含むように設計され得る。いくつかの実施形態では、縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bを内視鏡または他の送達装置の作業チャネルに通す前に、縫合糸を装着することが所望される場合がある。
【0054】
いくつかの例では、遠位アセンブリ14cは、本体29aに取り付けられるか、または本体29aと一体的に形成されるガイド構造体27aを備える。いくつかの実施形態では、ガイド構造体27aは、代りに、本体29aに回動可能に取り付けられてもよい。ガイド構造体27aは、器具を内視鏡に通して作業部位に対して所定の位置に案内するために、ガイド構造体27aに取り付けられたポリマー管状部材を受け入れるように構成され得る。いくつかの例では、ガイド構造体27aは、ガイド構造体27aに取り付けられた金属管状部材を受け入れるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ガイド構造体27aおよび付随する管状部材(図示せず)は、針16が組織に通され得るように、使用者が組織を把持して組織を所定の位置に引っ張ることを可能にする把持器または同様の器具を受け入れ得る。いくつかの実施形態では、ガイド構造体27aの相対位置もしくは偏倚は、遠位アセンブリ14、遠位アセンブリ14a、または遠位アセンブリ14bに関して示された相対位置もしくは偏倚と比較して、器具により大きな空間を提供するため、ならびに/または組織のより大きな部分および/もしくはより厚い部分を受け入れるために、より大きくてもよい。
【0055】
キャップ34aは、図に示すように、例えば図3に示した近位針開口37などの近位針開口(図示せず)に対して直交して配置され得る1つ以上の固定子開口40aを備え得る。1つ以上の固定子開口40a内には、1つ以上の固定子42aが対応して配置され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の固定子42aは、1つ以上の固定子開口40a内に配置されるコイルばねであってもよい。固定子42aは、遠位アセンブリ14に関して論じたように、針16上の戻り止めに解放可能に係合し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、固定子開口40aは固定子42aの全径より大きな直径を有することができ、固定子開口40aは固定子42aの直径とほぼ同じである反対側における直径(見えていない)に向って先細になり得る。いくつかの実施形態では、固定子42aは、固定子開口40aの左側において、溶接されるか、はんだ付けされるか、接着によって固定されるか、または他の場合には取り付けられ、固定子開口40aの右側では、ある程度自由に動くことができ得る。いくつかの例では、遠位アセンブリ14cは、固定子開口40aに直交する開口302を備え得る。開口302は、ねじ山付きに止めねじ304と螺合するために、ねじ山を形成され得る。いくつかの実施形態では、示されるように、開口302は、止めねじ304が固定子42aの自由端を支持すると考えられ得るように、固定子42aの固定端から離れて固定子開口40aの右側に近づくように偏倚され得る。時計回りなどの第1の方向に止めねじ304を回転させることで、止めねじ304を固定子42aに向かって平行移動させることができ、それにより固定子42aと針16との間の干渉が増大し、針16に加えられ得る保持力が増大する。反対に、半時計回りなどの第2の方向に止めねじを回転させることで、止めねじ304を固定子42aから離れるように平行移動させることができ、それにより針16に加えられ得る保持力は低減する。これは、例えば、製造公差に対する調整を支援し得る。
【0057】
前述したように、遠位アセンブリ14cは、例えば図5に関して以前に論じた縫合糸平行移動アセンブリ12と組み合わせて使用され得る。遠位アセンブリ14cはまた、図14図18に示した縫合糸平行移動アセンブリ12aとともに使用されてもよく、同様に図19図22に示した縫合糸平行移動アセンブリ12bとともに使用されてもよい。図14は針16を保持して示された縫合糸平行移動アセンブリ12aの斜視図であり、一方、図15は縫合糸平行移動アセンブリ12aの部分分解図である。図15においてよりよく見られるように、縫合糸平行移動アセンブリ12aは、針16を保持する内側部材310を備える。ロック部材312は、内側部材310に被さって摺動可能に配置される。図に示すように、内側部材310は、内側部材310から半径方向外側に延びて、ロック部材312に形成された対応するスロット316を通って延在するピン314を備える。ピン314は、内側部材310とロック部材312との間の相対回転を防止するように機能する。ピン314はまた、内側部材310に対して相対的なロック部材312の平行移動を制限するように機能する。
【0058】
制御部材318は、ロック部材312の近位端部320に対して相対的に固定され、平行移動ハンドルなどのハンドルまで遠位方向に延在する。結果として、ロック部材312は、内側部材310に対して相対的に遠位方向および/または近位方向に平行移動され得る。図14に見られるように、縫合糸平行移動アセンブリ12aは、ピン314によって内側部材310に留められ得る外側スリーブ330を備える。外側スリーブ330は、例えばコイル332と結合され得る。いくつかの実施形態では、外側スリーブ330は単一の管状部材であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば図15に示すように、外側スリーブ330は、実際には、外側スリーブ334、スロット付きスリーブ336、および内側の外側スリーブ338のうちの1つ以上を備え得る。スロット付きスリーブ336は、縫合糸が該スリーブを通過できるように構成され得る。これは単なる例示であり、いかなるようにも限定することを意図するものではない。
【0059】
内側部材310は、内側部材310の遠位部分を示す図16に見られるように、針16内の対応する戻り止めに係合するように構成された曲面タブ324を含むいくつかのアーム322を備える。合計4つのアーム322が示されているが、内側部材310は任意の数のアーム322を備えてもよいことが理解されよう。アーム322は、長さが比較的長く、その結果、比較的可撓性であると考えられ得ることが理解されよう。例えば図17に示すように、ロック部材312を遠位方向に伸出させてロック構成とすると、ロック部材312は、アーム322の外向きの動きを妨げる。結果として、曲面タブ324は針16の対応する戻り止めと係合したままとなり、針16は縫合糸平行移動アセンブリ12aにロックされたままとなる。例えば図18に示すように、ロック部材312を近位方向に後退させてロック解除構成とすると、アーム322は自由に半径方向外向きに動くことができ、それにより針16の戻り止めから曲面タブ324を解放し、針16が内側部材310に対して相対的に遠位方向に移動することが可能となる。
【0060】
図19は、遠位アセンブリ14、遠位アセンブリ14a、遠位アセンブリ14bおよび/または遠位アセンブリ14cのうちのいずれと組み合わせて使用されてもよい縫合糸平行移動アセンブリ12bの斜視図である。図20は、針16aを保持する内側部材340を示すために外側スリーブ350(図19)などの外側部分が除去された、縫合糸平行移動アセンブリ12bの斜視図である。いくつかの実施形態では、外側スリーブ350は単一の管状部材であり得る。いくつかの例では、外側スリーブ350は、外側スリーブ330(図15)に関して記載したように、いくつかの要素を備えてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、図示するように、針16aは、針16の対応する戻り止めとは異なる形状に形成された遠位戻り止め342および近位戻り止め344(図21で見えている)を有する。縫合糸平行移動アセンブリ12bは、内側部材340に対して相対的に摺動可能に配置可能であるロック部材346を備える。ピン352は内側部材340に取り付けられており、ロック部材342に形成された対応するスロット354を通って延在する。ピン352は、内側部材340に対して相対的なロック部材342の平行移動を制限し、またロック部材342の相対的な回転運動も防止する。ロック部材342は、平行移動ハンドルなどのハンドルまで遠位方向に延びる制御部材318に固定される。結果として、ロック部材342は、内側部材340に対して相対的に遠位方向および/または近位方向に平行移動され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、外側スリーブ350は、軸線方向に延びるスロット部分372と、より短い半径方向に延びるスロット部分374とを含むスロット370を画定し得る。いくつかの実施形態では、内視鏡または他の送達装置を介して進めるために針16aが縫合糸平行移動アセンブリ12b内に完全に引き込まれることを可能にするように、軸線方向に延びるスロット部分372は、ピン352が軸線方向に延びるスロット部分372内で移動することを可能にする。縫合糸平行移動アセンブリ12bが内視鏡または他の送達装置を通って進められたらば、内側部材340およびロック部材342は、ピン352が半径方向に延びるスロット部分374と整合するまで、外側スリーブ350を通って遠位方向に進められ得る。平行移動ハンドルを回転させることによって、ピン352を半径方向に延びるスロット部分374内の位置へ回転させることができ、その結果、ロック部材342は内側部材340に対して相対的に平行移動され得るようになる。
【0063】
いくつかの実施形態では、図示するように、ロック部材342は該ロック部材から遠位方向に延びる一対のアーム358を備える。例えば図21に見られるように、アーム358はタブ360を備え、タブ360は、縫合糸平行移動アセンブリ12bが図20および図21に示すようなロック構成にあるとき、内側部材340内に形成されたスロット362を通って延びる。結果として、タブ360はスロット362を通って延びて、針16aの近位戻り止め344に係合することができる。一対のアーム358が示されているが、ロック部材342は任意の数のアーム358と、もちろん対応する数のスロット362とを備えてもよいことが理解されよう。
【0064】
例えば図22に示するように縫合糸平行移動アセンブリ12bをロック解除構成に移行させるためには、ロック部材342が内側部材340に対して相対的に遠位方向に移動され得る。図22に見られるように、タブ360はスロット362(1つのスロット362のみが見えている)から出ており、針16aは縫合糸平行移動アセンブリ12bに対して相対的に自由に動くことができる。ロック部材342が遠位方向に移動するにつれて、角度をなした表面364がスロット362を押して、外側に動かされる。
【0065】
いくつかの実施形態では、図13に関して、ガイド部材36aはチャネル300を備え、チャネル300は、縫合糸が縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bと、遠位アセンブリ14cが取り付けられている内視鏡または他の送達装置の作業チャネルとの間を通過することを可能にするように構成されている。チャネル300は、例えば、縫合糸平行移動アセンブリ12,12a、12bを内視鏡または他の送達装置の作業チャネルに通すときに、縫合糸をチャネル300と整合させるのを支援する引込み部を含むように設計され得る。いくつかの実施形態では、縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bを内視鏡または他の送達装置の作業チャネルに通す前に、縫合糸を装着することが所望される場合がある。
【0066】
いくつかの例では、例えば図23に示すように、ガイド部材36aにチャネル300を設ける代わりに、縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bが、縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bに沿って通過する縫合糸を受け入れるように変更されてもよい。図23は、縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bの一部を形成する際に使用され得るスリーブ20aの斜視図である。スリーブ20aがスリーブ20aの長さに沿って延びる溝20bを含むことが分かり得る。図24は、ガイド部材36aを通って延びるスリーブ20aを、溝20bを通って延びる縫合糸299とともに示している。
【0067】
いくつかの実施形態では、内視鏡などの送達システムを介して縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bを進めるときに針16の遠位端部を保護することが所望される場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、針16は、そうしなければ内視鏡について作業チャネルを損傷する可能性があり得る。いくつかの例では、針16自体を損傷から保護することが所望される場合がある。いくつかの実施形態では、針16および遠位シャトル18を覆うスリーブ20,20a(図1図5)が装填中に近位方向に移動させられて、針16の露出の可能性を生じる場合がある。いくつかの実施形態では、スリーブ20,20aが針16に被さって延在する場合、内視鏡の作業チャネルの屈曲部を通って装填することが困難である可能性がある。
【0068】
図25および図26は、針キャップ500が針16の遠位領域44に被さって配置されている例を示している。図25は側面図であり、一方、図26図25の26-26線に沿って得た断面図である。いくつかの実施形態では、縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bが内視鏡内に装填された後であるが、内視鏡が患者に挿入される前に、針キャップ500は患者の外部で除去され得る。いくつかの実施形態では、針キャップ500は患者の内部で針16から押し外されてもよい。内視鏡的スリーブ状胃形成術などの、しかしこれに限定されない、複数の針および縫合糸を利用する処置を実施する場合には、内視鏡を複数回にわたって除去したり挿入したりする必要がないように、針キャップ500を患者の内部で内視鏡によって除去することが望ましい可能性がある。いくつかの実施形態では、スリーブ20,20aを遠位方向に移動させることによって、針キャップ500を針16から押し外すことができる。いくつかの実施形態では、針キャップ500は、針キャップ500が遠位エンドキャップ14,14a,14b,14cと接触すると分離するように構成され得る。
【0069】
針キャップ500は、針16上に嵌合するように構成された空洞501を画定する円筒状針キャップ本体503を備える。針キャップ500はまた、円筒状針キャップ本体503と一体成形されているか、または他の場合には円筒状針キャップ本体503に取り付けられている非外傷性先端部505を備える。いくつかの実施形態では、針キャップ500は、円筒状針キャップ本体503に沿って軸線方向に延びる1つ以上の細長スロット509を備え、この細長スロット509は、針キャップ500が針16上に進められるために十分に撓むことができるように十分な可撓性を提供する。いくつかの実施形態では、図25および図26では1つしか見えないが、2つのスロット509が存在し得る。針キャップ500は、針16の遠位戻り止め48内に嵌合するように構成された1つ以上の凸状突出部520を備える。円筒状針キャップ本体503は平行な側面を有するように示されているが、いくつかの場合には、針キャップ500は、送達のために圧縮することができる縁に向かって広がった側面を有してもよい。針16を遠位方向に伸出させることにより、針キャップ500の広がった側面が拡張することが可能となり得る。次に、針を近位方向に引いて、針16から針キャップ500を押し外すことができる。
【0070】
図27図30は、針16が内視鏡の内部を損傷しないように、または針16自体が損傷を受けないように針16を保護する別の方法を示す。図27図30は、内視鏡への装填を容易にする低減された全長を与える縫合糸平行移動アセンブリ530の様々な図である。いくつかの例では、縫合糸平行移動アセンブリ530は、スリーブが針に被さった位置にある状態で内視鏡を容易に通過できるように十分に短い。いくつかの実施形態では、縫合糸平行移動アセンブリ530の制御装置は、前の図に関して説明した縫合糸平行移動アセンブリ12,12a,12bに対して逆転される。図27は、針16が遠位シャトルに対してロック解除されて遠位エンドキャップ14,14a,14b,14cに通されることが可能であるロック解除位置にある縫合糸平行移動アセンブリ530を示している。図28は、針16が遠位シャトルにロックされるロック位置にある縫合糸平行移動アセンブリ530を示している。見られるように、縫合糸平行移動アセンブリ530は、スリーブ518および縫合カテーテル590を備える。いくつかの実施形態では、図示するように、縫合カテーテル590はコイルである。スリーブ518は、後述するように、遠位シャトルの動きを受け入れるために一対のスロット560を有する(図示した向きでは1つのスロット560のみが見えている)。スリーブ518はまた、ベアリングボール58(図示せず)が遠位シャトルに対して出入りすることを可能にし、それにより針16をロックおよびロック解除する一対のスリーブ開口580(1つのみが見えている)も備える。
【0071】
縫合糸平行移動アセンブリ530の内部構造は、図28の29-29線に沿って得た断面図である図29、および図28の部分分解図である図30でよりよく分かる。図に示すように、制御ワイヤ592は、縫合カテーテル590を通って延在し、ヨーク604内で終了する。スリーブ518は結合器602によって縫合カテーテル590に結合される。いくつかの実施形態では、スリーブ518は、縫合カテーテル590に対して、直接溶接されてもよいし、または結合器602に溶接されることによって溶接されてもよい。結果として、スリーブ518は縫合カテーテル590に対して相対的に移動しない。
【0072】
ピン570は、ヨーク602を通って、遠位シャトル600内に形成された孔606内に延びることにより、制御ワイヤ592を遠位シャトル600に動作可能に結合する。ピン570は、スリーブ518に形成された一対のスロット560まで延びて、これらのスロット560によって案内される。これにより、スリーブ518に対して相対的な遠位シャトル600の回転が防止される。いくつかの実施形態では、遠位シャトル600は、縫合糸が針16から延びて、スリーブ518を通って軸線方向に延びることを可能にする溝610を備える。
【0073】
遠位シャトル600はまた、一対のベアリングボール開口608も備える。前述したように、ベアリングボール開口608がスリーブ開口580と整合されたときには、ベアリングボール58(図示せず)は、針16の近位戻り止め50から退去するために十分なほど半径方向外側に自由に移動でき、それにより遠位シャトル600から針16をロック解除する。反対に、ベアリングボール開口608がスリーブ開口580と位置がずれているときには、ベアリングボール58(図示せず)は針16の近位戻り止め50から退去することができず、針16は遠位シャトル600にロックされたままとなる。よって、制御ワイヤ592を近位方向に移動させることにより、遠位シャトル600はスリーブ518に対して相対的に近位方向に移動される。これにより、ベアリングボール開口608はスリーブ開口580と位置をずらされ、針16はスリーブ518にロックされる。反対に、制御ワイヤ592を遠位方向に移動させることにより、遠位シャトル600はスリーブ518に対して相対的に遠位方向に移動される。
【0074】
本明細書に記載した装置を形成する際に様々な異なる材料が用いられ得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、様々な異なる金属が用いられてもよい。適当な金属の例示的であるが限定されない例としては、チタン、ステンレス鋼、マグネシウム、コバルトクロム等が挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載した装置は、ポリウレタンまたはシリコーンなどの生体適合材料を含む任意の適当なポリマー材料を含み得る。他の適当なポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン(DuPont)から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン 85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えばDSM エンジニアリング プラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル系もしくはエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート、および/またはデュポンから入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えばバイエル(Bayer)から入手可能なDURETHAN(登録商標)、またはエルフ アトケム(Elf Atochem)から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えばPEBAX(登録商標)という商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えばKEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(例えばEMS アメリカン グリロン(EMS American Grilon)から入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えばSIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の適当な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
当業者は、本開示が本明細書において記載および想定された特定の実施形態以外の様々な形態で表わされてもよいことを認識するであろう。よって、添付された特許請求の範囲に記載されているような本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、形態および詳細の発展がなされてもよい。
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