(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20230515BHJP
C08F 14/08 20060101ALI20230515BHJP
B01J 13/14 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
C09K3/00 111B
C08F14/08
B01J13/14
(21)【出願番号】P 2021576912
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2021101495
(87)【国際公開番号】W WO2022041978
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】202010862651.7
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010862138.8
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521562120
【氏名又は名称】浙江衢州巨塑化工有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG QUZHOU JUSU CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Building 2,Eastem Part of No.25 Block,Sino-Russian Sci-Tech Cooperation Park,Zhejiang Quzhou High-Tech Industrial Park,Quzhou,Zhejiang 324004,China
(73)【特許権者】
【識別番号】521562153
【氏名又は名称】浙江巨化股▲フン▼有限公司電化厂
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG JUHUA CO.,LTD.ELECTROCHEMISTRY PLANT
【住所又は居所原語表記】No.186 Huayuan Street,Kecheng District,Quzhou City,Zhejiang Province 324004,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 ▲シン▼犇
(72)【発明者】
【氏名】呉 宇鵬
(72)【発明者】
【氏名】呉 志剛
(72)【発明者】
【氏名】韓 金銘
(72)【発明者】
【氏名】蘇 ▲ラン▼輝
(72)【発明者】
【氏名】柴 于登
(72)【発明者】
【氏名】馬 从礼
(72)【発明者】
【氏名】周 洪信
(72)【発明者】
【氏名】蘇 剛
(72)【発明者】
【氏名】陸 軍民
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110922631(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02-13/22
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアであって、その組成が、
混合モノマー 1000~2000重量部
分散補助剤 3~15重量部
水相重合禁止剤 250~550重量部
分散剤 20~100重量部
架橋剤 5~15重量部
開始剤 20~45重量部
発泡剤 300~550重量部であ
り、
前記分散補助剤の組成が、
塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液 1~5重量部
ビニルピロリドン 50~70重量部
メタクリル酸亜鉛 0.5~2.5重量部
ジメチルアリルシラン 10~30重量部であり、
前記混合モノマーの組成が、塩化ビニリデン800~1200重量部、アクリロニトリル320~800重量部、メタクリル酸メチル160~320重量部である、
ことを特徴とする熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【請求項2】
前記塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液中の塩化白金酸の質量百分率は1.0~5.0%である、ことを特徴とする請求項
1に記載の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【請求項3】
前記発泡剤は、イソブタン、ペンタン、イソベンタン、ヘキサン、イソヘキサン、オクタン、イソヘプタンのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【請求項4】
前記架橋剤は、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールアクリレート、ジビニルベンゼン、二重結合又は三重結合を含むオレフィン誘導体のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【請求項5】
前記開始剤は、アゾジイソブチロニトリル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ドデカノイルペルオキシド、過酸化ベンゾイルのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【請求項6】
前記分散剤は、コロイド状シリカ、水酸化マグネシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロースのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【請求項7】
前記水相重合禁止剤は、重クロム酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、クエン酸、塩化ナトリウムのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【請求項8】
前記水相重合禁止剤は、塩化ナトリウムと重クロム酸カリウム又は亜硝酸ナトリウムとの混合物であり、前記混合物中の塩化ナトリウムの質量百分率が99.0~99.7%である、ことを特徴とする請求項
7に記載の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子材料の分野に属し、具体的には、熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱膨張ミクロスフェアは、発泡プラスチック業界で最も古くから使用されている材料であり、最初の製造方法は懸濁重合法であり、開始剤が溶解されたモノマー及び発泡剤を同時に反応系に加え、懸濁重合によってその場で発泡剤を被覆し、最終的にポリマーシェル層が1種又は複数種の発泡剤を被覆したミクロスフェアを形成する。製造条件は製造されたミクロスフェアの形態及び粒子のサイズに影響を与え、反応条件を調整することにより、様々な産業用途に対応するように、膨張特性が異なる熱膨張ミクロスフェアを製造することができる。
【0003】
US3615972、US3945956、US6235394、US6509384等の特許には、異なる応用向けの熱膨張ミクロスフェアの製造方法が開示されている。1961年に最初のマイクロカプセルポリマー合成技術が発明されており、テープの製造に適用され、その後、米国ダウの研究者は該技術的示唆を受けてこのような熱膨張マイクロカプセルを製造するための一連の方法を開発しており、各産業分野に非常に広く応用されているため、過去50年間にわたり、ダウケミカル、ブリヂストン、ハンツマン、ゼネラルエレクトリック、アクゾノーベル等の多くの会社は、同様なミクロスフェアの製造に投入されている。Donaldらは高速撹拌で水相と油相を混合し、安定した懸濁液を得た後、懸濁重合法で一連の膨張可能なミクロスフェアを製造する。
【0004】
しかしながら、懸濁重合の特性のため、通常の懸濁重合方法で製造された生成物は、一般的に粒度が大きく、分散性が悪く、生成物の品質及び応用に直接的に影響を与えている。
【0005】
例えば、CN102746454Aには、熱膨張性樹脂ミクロスフェアが開示されており、そのシェルが熱可塑性樹脂で形成され、内部に発泡剤が被覆され、加熱すると、該樹脂ミクロスフェアは膨張可能であり、最大膨張時の膨張倍率が5倍より大きい。ミクロスフェアの集合体はすなわち該発明の熱膨張性樹脂微粉である。製造方法として、少なくとも1種のモノマーと発泡剤からなる油性物質を水系に分散させて安定した油滴を形成し、油滴が加熱されると、モノマーは重合反応して、樹脂が発泡剤を被覆したミクロスフェアを形成する。水系に極性末端基含有モノマーを添加して合成された熱膨張性樹脂微粉は水中に非常に優れた分散特性を有する。その欠点は、合成された熱膨張性樹脂ミクロスフェアの粒子が大きく、膨張倍率が低いことである。
【0006】
例えば、CN106832110Aには、低温下で発泡特性を有する熱膨張ミクロスフェア組成物が開示されており、エチレン性不飽和モノマー及び発泡剤で構成され、前記エチレン性不飽和モノマーは、アクリロニトリル、アクリレートモノマー及び極性末端基含有モノマーという成分を含む。該発明は、主に従来技術の塩化ビニリデンモノマーの代わりにアクリレートモノマーを使用し、Tstart(70~90℃)が低く膨張特性が高い熱膨張性ミクロスフェアを得て、得られたミクロスフェアの粒度が最小で28μmであり、且つ極性末端基含有エチレン性不飽和モノマーが加えられて、ミクロスフェアの水中での分散性を高める。その欠点は、得られたミクロスフェアの粒度が大きく、バリア性が悪いことである。
【0007】
例えば、CN102633936Aには、熱膨張可能な熱可塑性ミクロスフェアが開示されており、主に、オレフィン系重合性モノマーと熱膨張可能な物質を懸濁重合して、熱可塑性ポリマーをシェルとし、熱膨張物質をコアとし、シェルコア構造を有するミクロスフェアを得る。該ミクロスフェアの発泡区間は160~200℃であるが、該特許で合成されたミクロスフェアの初期膨張温度が高く、低い膨張温度範囲での膨張特性が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の欠点を解消するために、本発明の第1の目的は、熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを提供することであり、処方に特殊な機能性モノマー及び助剤を導入することで、重合処方を最適化し、従来技術に存在するミクロスフェアの粒度が大きく、膨張倍率が低い等の問題を解決し、本発明の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアは粒度が小さく、低温でも優れた発泡特性を有する。
【0009】
本発明の第2の目的は、熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアの製造方法を提供することであり、pickeringエマルジョン懸濁重合法でポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを合成し、VDCを主なモノマーとして、重合反応の温度、圧力、投入処方、投入方式等の反応に影響を与える要因を最適化することにより、製造プロセスを最適化した。本発明は、従来技術に存在するミクロスフェアの粒度が大きく、発泡倍率が低い等の問題を解決して、小粒度で、低温でも優れた発泡特性を有する熱膨張ミクロスフェアを製造した。
【0010】
上記第1の目的を実現するために、本発明が採用する技術案は、熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアであって、その組成が、
混合モノマー 1000~2000重量部
分散補助モノマー 3~15重量部
水相重合禁止剤 250~550重量部
分散剤 20~100重量部
架橋剤 5~15重量部
開始剤 20~45重量部
発泡剤 300~550重量部である熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
【0011】
上記第2の目的を実現するために、本発明が採用する技術案は
(1)水相重合禁止剤250~550重量部、質量分率10~35%の分散剤水溶液150~350重量部、分散補助モノマー3~15重量部を脱イオン水5000~8000重量部に溶解し、溶液のpHを3~5に調節して、0~10℃に降温し、水相を得て、使用に備えるステップ、
(2)5~15重量部の架橋剤、開始剤20~45重量部を混合モノマー1000~2000重量部に溶解し、0~10℃に降温して、油相を得て、使用に備えるステップ、
(3)上記水相と油相を混合した後、2000~8000rpmの撹拌回転速度で2~10min均質化し、均質化された混合溶液を得るステップ、
(4)向ステップ(3)で得られた均質化された混合溶液に発泡剤300~550重量部を加え、0.10~0.5MPa、2000~8000rpmの撹拌回転速度で2~10min均質化し、発泡剤を含む均質化された混合溶液を得るステップ、
(5)ステップ(4)で得られた発泡剤を含む均質化された混合溶液を、300~600rpmの撹拌回転速度で、50~90℃で10~30h反応させ、反応終了後、降温して室温まで冷却し、得られた懸濁液を濾過して濾液を得、濾液を遠心脱水し、乾燥して熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア製品を得るステップを含む、熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアの製造方法。
【0012】
本発明の好ましい実施形態として、前記分散補助モノマーの組成が、
塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液 1~5重量部
ビニルピロリドン 50~70重量部
メタクリル酸亜鉛 0.5~2.5重量部
ジメチルアリルシラン 10~30重量部であり、
前記分散補助モノマーは、
塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液1~5重量部、ビニルピロリドン50~70重量部、メタクリル酸亜鉛0.5~2.5重量部、ジメチルアリルシラン10~30重量部を反応釜内に加え、反応温度が70~100℃、反応時間が1~5hである条件で反応させることにより得られる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態として、前記塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液中の塩化白金酸の質量百分率は1.0~5.0%である。
【0014】
本発明の好ましい実施形態として、前記混合モノマーの組成が、塩化ビニリデン800~1200重量部(VDC)、アクリロニトリル320~800重量部、メタクリル酸メチル160~320重量部である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態として、前記発泡剤は、イソブタン、ペンタン、イソベンタン、ヘキサン、イソヘキサン、オクタン、イソヘプタンのうちの少なくとも1種である。
【0016】
本発明の好ましい実施形態として、前記架橋剤は、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールアクリレート、ジビニルベンゼン、二重結合又は三重結合を含むオレフィン誘導体のうちの少なくとも1種である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態として、前記開始剤は、アゾジイソブチロニトリル(AIBN)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、ドデカノイルペルオキシド(LPO)、過酸化ベンゾイル(BPO)のうちの少なくとも1種である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態として、前記分散剤水溶液は、コロイド状シリカ水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、コロイド状炭酸カルシウム水溶液、コロイド状リン酸カルシウム水溶液、コロイド状水酸化アルミニウム水溶液のうちの少なくとも1種である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態として、前記水相重合禁止剤は、重クロム酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、クエン酸、塩化ナトリウムのうちの少なくとも1種である。前記水相重合禁止剤は、より好ましくは塩化ナトリウムと重クロム酸カリウム又は亜硝酸ナトリウムとの混合物であり、前記混合物中の塩化ナトリウムの質量百分率が99.0~99.7%である。
【0020】
本発明は、VDCを主なモノマーとし、重合反応の温度、圧力、投入処方、投入方式等の反応に影響を与える要因を最適化することにより、製造プロセスを最適化し、製造プロセスで良好な気密バリア性及び重合安定性を有し、製造されたミクロスフェア製品は低い温度範囲で優れた膨張特性を有する。本発明で製造された熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア製品は、表面が滑らかで、形態が規則的な白色微粒子であり、平均粒度が16~34ミクロンの間であり、巨視的な体積膨張倍率が45より大きく、熱膨張応答温度範囲が80~128℃の間であり、樹脂の見かけ密度が0.44~0.52g/mLの間である。
【0021】
本発明の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアの製造方法は、塩化ビニリデンモノマーを主な重合モノマーとし、定量的な架橋剤及び開始剤を配置して油相を形成し、定量的な分散剤、分散補助モノマー、水相重合禁止剤及び水を配置して水相を形成し、且つ高速せん断分散により、水相、油相及び発泡剤を分散させてミクロンスケールの小液滴を形成し、pickeringエマルジョン懸濁重合法で、特定の条件において数時間反応させ、後処理後、コアシェル構造のミクロスフェアを得る。
【0022】
従来技術に比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。
1.平均粒度が小さく、バリア性がよく、本発明で製造された熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア製品は、VDCを主なモノマーとし、表面が滑らかで、形態が規則的な白色微粒子であり、粒度分布が狭く、発泡剤の被覆効果が良好で、平均粒度が16~34ミクロンの間であり、優れたバリア性を有し、気密性及び保管有効期間が他の種類のミクロスフェアよりも長い。
2.体積膨張倍率が高く、分散補助モノマー中のビニルピロリドンはメタクリル酸亜鉛とホスト-ゲスト相互作用を形成することができ、また、その上の機能的活性基のピロリルがポリマー分子鎖と化学結合で結合し、架橋剤として機能し、三次元網状構造を形成し、熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア製品の柔軟性を向上させて、体積膨張倍率を高め、製品の膨張温度及び膨張倍率が制御可能であり、熱膨張応答温度範囲が80~128℃の間であり、巨視的な体積膨張倍率が45~62倍で、樹脂の見かけ密度が0.44~0.52g/mLの間である。
3.初期膨張温度が低く、本発明の熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア製品の初期膨張温度は95℃以下であり、最低が80℃であり、低い膨張温度範囲で優れた膨張特性を有し、絶縁、装飾、包装、充填材料等の分野で潜在的な用途がある。
4.従来の発泡ミクロスフェアの製造は、懸濁重合法を採用し、製造されたミクロスフェアの粒度が大きく、本発明は、pickingエマルジョン懸濁重合法に基づいて熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを製造し、製造された熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアは、表面が滑らかで、形態が規則的であり、粒度が小さく、粒度分布が狭く、発泡剤の被覆効果が良好で、平均粒度が16~34ミクロンの間であり、優れたバリア性を有し、気密性及び保管有効期が他の種類のミクロスフェアよりも長い。
5.本発明は、pickeringエマルジョン懸濁重合法を採用し、重合反応の温度、圧力、投入処方、投入方式等の反応に影響を与える要因を最適化することにより、製造プロセスを最適化し、気密バリア性が良好で、膨張温度範囲が低い熱膨張ミクロスフェアを製造し、その初期膨張温度は最低80℃であり、巨視的な体積膨張倍率が45より大きい。
6.プロセスが簡単で、環境にやさしく、製造プロセスで良好な気密バリア性及び重合安定性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】実施例1の生成物の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下、実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明し、下記説明は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0025】
製造されたミクロスフェアを、以下の分析方法及び試験機器で特徴付ける。
(1)平均粒度:
ミクロスフェアの粒度分布を、Malvern社製のレーザ粒度分析装置Mastersizer-v3.62で測定し、測定した粒度がDv50値であり、スパン粒度分布指数を計算する。
(2)膨張温度:
ミクロスフェアの熱膨張特性を、TA Instrument社製の熱機械分析装置でTMA-Q400測定し、試験温度範囲が20~300℃で、昇温速度が20度/分間であり、サンプルの上方に0.01Nの一定の力を加え、温度の上昇に伴ったサンプルの体積の変化曲線を記録し、初期膨張温度Ts及び最大膨張温度Tmを得る。
(3)膨張倍率:
2mLの乾燥後のサンプルを量り取ってオーブン内に置き、設定されたTm温度で20min恒温放置し、膨張後のミクロスフェアをメスシリンダー内に移し、巨視的な体積膨張倍率を計算する。
(4)見かけ密度:
標準GB/T 23652-2009を参照して試験し、圧密された200mLメスシリンダーの樹脂の重量を計算し、サンプルの見かけ密度を計算し、グラム毎ミリリットル(g/mL)で表される。
【0026】
実施例1
1重量部当たり1g換算で、反応原料の組成が、
脱イオン水:5000g
水相重合禁止剤:塩化ナトリウム300g、亜硝酸ナトリウム1g
分散剤:質量分率10%の水酸化マグネシウム水性分散液200g
架橋剤:1,4-ブタンジオールジメタクリレート6g
開始剤:AIBN30g
混合モノマー:塩化ビニリデン800g、アクリロニトリル800g、メタクリル酸メチル160g
発泡剤:イソブタン400g
分散補助モノマー:5gであり、
分散補助モノマーの組成が、
塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液1重量部(質量分率1.2%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン50重量部、メタクリル酸亜鉛0.5重量部、ジメチルアリルシラン10重量部である熱膨張性ポリ塩化ビニリデンミクロスフェア。
製造方法:
塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液1g(質量分率1.2%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン50g、メタクリル酸亜鉛0.5g、ジメチルアリルシラン10gを反応釜内に加え、反応温度が85℃、反応時間が1hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー33.8gを得、5gを取って使用に備え、塩化ナトリウム300g、亜硝酸ナトリウム1g、質量分率10%の水酸化マグネシウム水性分散液200g、5gの分散補助モノマーを順に脱イオン水5000gに溶解し、撹拌しながら、クエン酸水溶液をpH=3.5まで1滴ずつ滴下し、氷水浴に入れて降温し、水相を得て、使用に備える。1,4-ブタンジオールジメタクリレート6g、AIBN30gを混合モノマーに溶解し、混合モノマーは、塩化ビニリデン800g、アクリロニトリル800g、メタクリル酸メチル160gを含み、次に氷水浴に入れて降温し、油相を得て、使用に備えた。水相及び油相を順に真空反応釜内に導入して、撹拌を開始し、3000rpmの撹拌回転速度で5min均質化し、差圧によりイソブタン400gを加えた。次に窒素ボンベの圧力で反応釜を0.20MPaに加圧し、3000rpmの回転速度で5min均質化し、撹拌速度を400rpmに低減し、釜内温度を60℃に制御して、20h反応させた。反応終了後、降温して室温まで冷却し、得られた懸濁液を100メッシュのガーゼで濾過し、得られた濾液を500メッシュのフィルターバッグで遠心脱水し、収集して得られた湿った物質を流動床で室温で乾燥し、表面が滑らかで、形態が規則的な白色ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0027】
実施例2
塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液5g(質量分率4.2%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン70g、メタクリル酸亜鉛2.4g、ジメチルアリルシラン30gを反応釜内に加え、反応温度が93℃、反応時間が5hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー58gを得て、12gを取って使用に備えた。塩化ナトリウム500g、亜硝酸ナトリウム4g、質量分率30%のコロイド状シリカ水溶液320g、分散補助モノマー12gを順に脱イオン水8000gに溶解し、撹拌しながら、クエン酸水溶液をpH=4まで1滴ずつ滴下し、8℃の冷蔵庫に入れて降温し、水相を得て、使用に備えた。1,4-ブタンジオールジメタクリレート12g、AIBNを混合モノマー43gに溶解し、混合モノマーは、塩化ビニリデン1200g、アクリロニトリル320g、メタクリル酸メチル160gを含み、次に8℃の冷蔵庫に入れて降温し、油相を得て、使用に備えた。水相及び油相を順に真空反応釜内に導入して、撹拌を開始し、4000rpmで3min均質化し、差圧によりイソブタン490gを加えた。次に窒素ボンベの圧力で反応釜を0.32MPaに加圧し、3000rpmの回転速度で3min均質化し、撹拌速度を500rpmに低減し、釜内温度を70℃に制御して、28h反応させた。反応終了後、降温して室温まで冷却し、圧力を徐々に低減し、得られた懸濁液を100メッシュのガーゼで濾過し、得られた濾液を500メッシュのフィルターバッグで遠心脱水し、収集して得られた湿った物質を流動床で室温で乾燥し、表面が滑らかで、形態が規則的な白色ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0028】
実施例3
2.塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液5g(質量分率2.2%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン56g、メタクリル酸亜鉛1.5g、ジメチルアリルシラン16gを反応釜内に加え、反応温度が88℃、反応時間が3hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー42.6gを得て、9gを取って使用に備える。塩化ナトリウム380g、亜硝酸ナトリウム1.9g、質量分率16%のコロイド状シリカ水溶液290g、分散補助モノマー9gを順に脱イオン水6400gに溶解し、撹拌しながら、クエン酸水溶液をpH=3まで1滴ずつ滴下し、次に5℃の冷蔵庫に入れて降温し、水相を得て、使用に備えた。1,4-ブタンジオールジメタクリレート10g、AIBN38gを混合モノマーに溶解し、混合モノマーは、塩化ビニリデン960g、アクリロニトリル320g、メタクリル酸メチル320gを含み、次に5℃の冷蔵庫に入れて降温し、油相を得て、使用に備えた。水相及び油相を順に真空反応釜内に導入して、撹拌を開始し、6000rpmの撹拌回転速度で2min均質化し、差圧によりイソブタン440gを加えた。次に窒素ボンベの圧力で反応釜を0.25MPaに加圧し、6000rpmの回転速度で2min均質化し、撹拌速度を450rpmに低減し、釜内温度を65℃に制御して、22h反応させた。反応終了後、降温して室温まで冷却し、圧力を徐々に低減し、得られた懸濁液を100メッシュのガーゼで濾過し、得られた濾液を500メッシュのフィルターバッグで遠心脱水し、収集して得られた湿った物質を流動床で室温で乾燥し、表面が滑らかで、形態が規則的な白色ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0029】
実施例4
2.塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液5g(質量分率3.1%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン56g、メタクリル酸亜鉛1.5g、ジメチルアリルシラン16gを反応釜内に加え、反応温度が85℃、反応時間が3hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー42.1gを得て、7.4gを取って使用に備えた。塩化ナトリウム380g、亜硝酸ナトリウム1.9g、質量分率16%のコロイド状シリカ水溶液290g、分散補助モノマー7.4gを順に脱イオン水6400gに溶解し、撹拌しながら、クエン酸水溶液をpH=3まで1滴ずつ滴下し、氷水浴に入れて降温し、水相を得て、使用に備えた。ジエチレングリコールジビニルエーテル12g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)36gを混合モノマーに溶解し、混合モノマーは、塩化ビニリデン800g、アクリロニトリル640g、メタクリル酸メチル160gを含み、次に氷水浴に入れて降温し、油相を得て、使用に備えた。水相及び油相を順に真空反応釜内に導入して、撹拌を開始し、5000rpmの撹拌回転速度で4min均質化し、差圧により380gのイソブタン、ヘキサン20gを加えた。次に窒素ボンベの圧力で反応釜を0.25MPaに加圧し、5000rpmの回転速度で4min均質化し、撹拌速度を450rpmに低減し、釜内温度を65℃に制御して、22h反応させた。反応終了後、降温して室温まで冷却し、圧力を徐々に低減し、得られた懸濁液を100メッシュのガーゼで濾過し、得られた濾液を500メッシュのフィルターバッグで遠心脱水し、収集して得られた湿った物質を流動床で室温で乾燥し、表面が滑らかで、形態が規則的な白色ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0030】
実施例5
2.塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液5g(質量分率2.5%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン56g、メタクリル酸亜鉛1.5g、ジメチルアリルシラン16gを反応釜内に加え、反応温度が88℃、反応時間が3hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー39.5gを得て、7.4gを取って使用に備えた。塩化ナトリウム380g、亜硝酸ナトリウム1.9g、質量分率16%のメチルセルロース水溶液200g、分散補助モノマー7.4gを順に脱イオン水6400gに溶解し、撹拌しながら、クエン酸水溶液をpH=4まで1つずつ滴下し、氷水浴に入れて降温し、水相を得て、使用に備えた。1,4-ブタンジオールジメタクリレート10g、ドデカノイルペルオキシド(LPO)35gを混合モノマーに溶解し、混合モノマーは、塩化ビニリデン800g、アクリロニトリル800g、メタクリル酸メチル160gを含み、次に氷水浴に入れて降温し、油相を得て、使用に備えた。水相及び油相を順に真空反応釜内に導入して、撹拌を開始し、4500rpmの撹拌回転速度で3.5min均質化し、差圧によりイソブタン380g、オクタン40gを加え、ボンベの圧力で反応釜を0.25MPaに加圧し、4500rpmの回転速度で3.5min均質化し、撹拌速度を450rpmに低減し、釜内温度を65℃に制御して、22h反応させた。反応終了後、降温して室温まで冷却し、圧力を徐々に低減し、得られた懸濁液を100メッシュのガーゼで濾過し、得られた濾液を500メッシュのフィルターバッグで遠心脱水し、収集して得られた湿った物質を流動床で室温で乾燥し、表面が滑らかで、形態が規則的な白色ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0031】
実施例6
2.塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液5g(質量分率2.2%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン56g、メタクリル酸亜鉛1.5g、ジメチルアリルシラン16gを反応釜内に加え、反応温度が88℃、反応時間が3hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー41.8gを得て、7.4gを取って使用に備えた。塩化ナトリウム380g、亜硝酸ナトリウム1.9g、質量分率16%のヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液290g、分散補助モノマー7.4gを順に脱イオン水6400gに溶解し、撹拌しながら、クエン酸水溶液をpH=3まで1滴ずつ滴下し、氷水浴に入れて降温し、水相を得て、使用に備えた。ジビニルベンゼン10g、過酸化ベンゾイル38gを混合モノマーに溶解し、混合モノマーは、800塩化ビニリデン、アクリロニトリル800g、メタクリル酸メチル160gを含み、次に氷水浴に入れて降温し、油相を得て、使用に備えた。水相及び油相を順に真空反応釜内に導入して、撹拌を開始し、4000rpmの撹拌回転速度で3min均質化し、差圧によりイソブタン400g、イソヘプタン20gを加え、窒素ボンベの圧力で反応釜を0.25MPaに加圧し、4000rpmの回転速度で3min均質化し、撹拌速度を450rpmに低減し、釜内温度を65℃に制御して、22h反応させた。反応終了後、降温して室温まで冷却し、圧力を徐々に低減し、得られた懸濁液を100メッシュのガーゼで濾過し、得られた濾液を500メッシュのフィルターバッグで遠心脱水し、収集して得られた湿った物質を流動床で室温で乾燥し、表面が滑らかで、形態が規則的な白色ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0032】
実施例7
2.塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液5g(質量分率2.2%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン56g、メタクリル酸亜鉛1.5g、ジメチルアリルシラン16gを反応釜内に加え、反応温度が88℃、反応時間が3hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー47gを得て、7.4gを取って使用に備えた。塩化ナトリウム380g、重クロム酸カリウム1.9g、質量分率16%のカルボキシプロピルセルロース水溶液290g、分散補助モノマー7.4gを順に脱イオン水6400gに溶解し、撹拌しながら、クエン酸水溶液をpH=4まで1滴ずつ滴下し、氷水浴に入れて降温し、水相を得て、使用に備えた。1,4-ブタンジオールジメタクリレート10g、AIBN38gを混合モノマーに溶解し、混合モノマーは、塩化ビニリデン800g、アクリロニトリル800g、メタクリル酸メチル160gを含み、次に氷水浴に入れて降温し、油相を得て、使用に備えた。水相及び油相を順に真空反応釜内に導入して、撹拌を開始し、5500rpmの撹拌回転速度で2.5min均質化し、差圧によりイソブタン220g、イソベンタン220gを加えた。次に窒素ボンベの圧力で反応釜を0.25MPaに加圧し、5500rpmの回転速度で2min均質化し、撹拌速度を450rpmに低減し、釜内温度を65℃に制御して、22h反応させた。反応終了後、降温して室温まで冷却し、圧力を徐々に低減し、得られた懸濁液を100メッシュのガーゼで濾過し、得られた濾液を500メッシュのフィルターバッグで遠心脱水し、収集して得られた湿った物質を流動床で室温で乾燥し、表面が滑らかで、形態が規則的な白色ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0033】
実施例8
2.塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液5g(質量分率2.2%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン56g、メタクリル酸亜鉛2.0g、ジメチルアリルシラン16gを反応釜内に加え、反応温度が90℃、反応時間が4hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー40.5gを得て、10gを取って使用に備えた。塩化ナトリウム380g、亜硝酸ナトリウム1.9g、質量分率16%のコロイド状シリカ水溶液290g、分散補助モノマー10gを順に脱イオン水6400gに溶解し、撹拌しながら、クエン酸水溶液をpH=4まで1つずつ滴下し、氷水浴に入れて降温し、水相を得て、使用に備えた。1,4-ブタンジオールジメタクリレート10g、AIBN38gを混合モノマーに溶解し、混合モノマーは、塩化ビニリデン960g、アクリロニトリル320g、メタクリル酸メチル320gを含み、次に氷水浴に入れて降温し、油相を得て、使用に備えた。水相及び油相を順に真空反応釜内に導入して、撹拌を開始し、7000rpmの撹拌回転速度で2min均質化し、差圧によりイソブタン330g、イソベンタン110gを加え、次に窒素ボンベの圧力で反応釜を0.25MPaに加圧し、7000rpmの回転速度で2min均質化し、撹拌速度を550rpmに低減し、釜内温度を75℃に制御して、15h反応させた。反応終了後、降温して室温まで冷却し、圧力を徐々に低減し、得られた懸濁液を100メッシュのガーゼで濾過し、得られた濾液を500メッシュのフィルターバッグで遠心脱水し、収集して得られた湿った物質を流動床で室温で乾燥し、表面が滑らかで、形態が規則的な白色ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0034】
比較例1
混合モノマーは、塩化ビニリデン500g、アクリロニトリル300g、メタクリル酸メチル100gを含んだ以外、ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアの原料組成及び製造方法は、実施例1と同様であった。
結果:表面が滑らかで、形態が規則的な白色粉末状のポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0035】
比較例2
混合モノマーは、塩化ビニリデン1500g、アクリロニトリル900g、メタクリル酸メチル100gを含んだ以外、ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアの原料組成及び製造方法は、実施例1と同様であった。
結果:表面が滑らかで、形態が規則的な白色粉末状のポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0036】
比較例3
分散補助モノマーの製造方法として、
塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液1g(質量分率1.2%の塩化白金酸を含む)、ビニルピロリドン50g、ジメチルアリルシラン10gを反応釜内に加え、温度が85℃、反応時間が1hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー30.5gを得て、5gを取って使用に備えた以外、ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアの原料組成及び製造方法は、実施例1と同様であった。
結果:表面が滑らかで、形態が規則的な白色粉末状のポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0037】
比較例4
分散補助モノマーの製造方法として、
塩化白金酸のテトラヒドロフラン溶液1g(質量分率1.2%の塩化白金酸を含む)、メタクリル酸亜鉛0.5g、ジメチルアリルシラン10gを反応釜内に加え、温度が85℃、反応時間が1hである条件でヒドロシリル化反応させ、分散補助モノマー6.9gを得て、5gを取って使用に備えた以外、ポリ塩化ビニリデンミクロスフェアの原料組成及び製造方法は、実施例1と同様であった。
結果:表面が滑らかで、形態が規則的な白色粉末状のポリ塩化ビニリデンミクロスフェアを得た。
【0038】
実施例1~8及び比較例1~4の試験結果が表1に示される。
【表1】
上記の表の結果から分かるように、本発明に係る各実施例において、異なる発泡温度範囲を有する熱膨張ミクロスフェアが製造されており、本発明の熱膨張ミクロスフェアはいずれも優れた膨張特性を有することを表し、比較例1~2では混合モノマーの添加量が変更され、VDCの添加量が実施例範囲よりも多いと、製造されたミクロスフェアは初期膨張温度が低く、体積膨張倍率が小さく、VDCの添加量が実施範囲よりも低いと、製造されたミクロスフェアは初期膨張温度が高く、体積膨張倍率が小さい。また、比較例3~4では、分散補助モノマーの処方が変更され、粒度が大きいミクロスフェアを製造し、その体積膨張倍率が小さい。