(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】主軸とホルダの組み合わせ、ホルダ及び工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 31/30 20060101AFI20230515BHJP
B23Q 3/12 20060101ALI20230515BHJP
B23B 31/107 20060101ALI20230515BHJP
F16L 37/34 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B23B31/30 A
B23Q3/12 J
B23B31/107 A
F16L37/34
(21)【出願番号】P 2022569904
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 JP2021045056
(87)【国際公開番号】W WO2022131092
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2020207413
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508033029
【氏名又は名称】金松 実
(74)【代理人】
【識別番号】100099047
【氏名又は名称】柴田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】金松 実
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-279888(JP,A)
【文献】特開2020-066114(JP,A)
【文献】特開平10-086004(JP,A)
【文献】特開2009-202266(JP,A)
【文献】特開平04-354652(JP,A)
【文献】特開2006-144926(JP,A)
【文献】特開昭53-045784(JP,A)
【文献】実開平02-076289(JP,U)
【文献】実開昭60-052496(JP,U)
【文献】特開2003-004191(JP,A)
【文献】実開昭62-194285(JP,U)
【文献】特開2009-192054(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03232367(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/107、30
B23Q 3/06、12
F16L 37/30-34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の主軸に配設されて前記主軸に対して回転するスピンドルに着脱可能に連結されるホルダ
を組み合わせ
たものにおいて、
前記ホルダは連結端部が先細りとなるようにテーパー状に形成され、先太りとなるように内面がテーパー状に形成された前記スピンドルの装着凹部に対して前記連結端部が連結可能とされ、
前記スピンドル内に前記スピンドルと同軸に配設された押引棒の内部に設けた主軸流体通路(以下、主軸流体通路Aとする)と前記ホルダに設けた前記主軸流体通路Aと連通可能なホルダ流体通路(以下、ホルダ流体通路Aとする)との間に作動油を流す構成とし、
前記主軸流体通路Aに主軸チェック弁(以下、主軸チェック弁Aとする)を設けるとともに、前記ホルダ流体通路Aにホルダチェック弁(以下、ホルダチェック弁Aとする)を設け、前記ホルダが前記主軸に装着された状態で、対向配置された前記主軸チェック弁Aの弁体及び前記ホルダチェック弁Aの弁体は前記ホルダの装着に伴って互いに離間する方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁A及び前記ホルダチェック弁Aが開放されて作動油が流れるような構造としたことを特徴とする主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項2】
工作機械の主軸に配設されて前記主軸に対して回転するスピンドルに着脱可能に連結されるホルダ
を組み合わせ
たものにおいて、
前記主軸の前記スピンドル上ではない任意の位置に主軸流体通路(以下、主軸流体通路Bとする)を設けるとともに、前記ホルダ側に主軸流体通路Bと連通するホルダ流体通路(以下、ホルダ流体通路Bとする)を設け、前記主軸流体通路Bと前記ホルダ流体通路Bとの間に作動油を流す構成とし、
前記主軸流体通路Bに主軸チェック弁(以下、主軸チェック弁Bとする)を設けるとともに、前記ホルダ流体通路Bにホルダチェック弁(以下、ホルダチェック弁Bとする)を設け、前記ホルダが前記主軸に装着された状態で、対向配置された前記主軸チェック弁Bの弁体及び前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記ホルダの装着に伴って互いに離間する方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁B及び前記ホルダチェック弁Bが開放されて作動油が流れるような構造としたことを特徴とする主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項3】
前記ホルダが前記主軸から取り外された際に前記主軸チェック弁Aの弁体及び前記ホルダチェック弁Aの弁体が互いに接近方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁A及び前記ホルダチェック弁Aが閉鎖されて作動油が漏洩しない構造としたことを特徴とする請求項1に記載の主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項4】
前記ホルダが前記主軸から取り外された際に前記主軸チェック弁Bの弁体及び前記ホルダチェック弁Bの弁体は互いに接近方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁B及び前記ホルダチェック弁Bが閉鎖されて作動油が漏洩しない構造としたことを特徴とする請求項2に記載の主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項5】
工作機械の主軸に配設されて前記主軸に対して回転するスピンドルに着脱可能に連結されるホルダ
を組み合わせ
たものにおいて、
前記主軸のスピンドルに設けた主軸流体通路(以下、主軸流体通路Aとする)と前記ホルダに設けた前記主軸流体通路Aと連通可能なホルダ流体通路(以下、ホルダ流体通路Aとする)との間に作動油を流す構成とし、
前記主軸の前記スピンドル上ではない任意の位置に主軸流体通路(以下、主軸流体通路Bとする)を設けるとともに、前記ホルダ側に主軸流体通路Bと連通するホルダ流体通路(以下、ホルダ流体通路Bとする)を設け、前記主軸流体通路Bと前記ホルダ流体通路Bとの間に作動油を流す構成とし、
前記主軸流体通路Bに主軸チェック弁(以下、主軸チェック弁Bとする)を設けるとともに、前記ホルダ流体通路Bにホルダチェック弁(以下、ホルダチェック弁Bとする)を設け、前記ホルダが前記主軸に装着された状態で、対向配置された前記主軸チェック弁Bの弁体及び前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記ホルダの装着に伴って互いに離間する方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁B及び前記ホルダチェック弁Bが開放されて作動油が流れるような構造としたことを特徴とする主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項6】
前記主軸流体通路Aに主軸チェック弁(以下、主軸チェック弁Aとする)を設け、前記ホルダ流体通路Aにはホルダチェック弁A(以下、ホルダチェック弁Aとする)を設けたことを特徴とする請求項5に記載の主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項7】
前記ホルダが前記主軸から取り外された際に前記主軸チェック弁Aの弁体及び前記ホルダチェック弁Aの弁体は互いに接近方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁A及び前記ホルダチェック弁Aが閉鎖されて作動油が漏洩しない構造としたことを特徴とする請求項6に記載の主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項8】
前記ホルダが前記主軸から取り外された際に前記主軸チェック弁Bの弁体及び前記ホルダチェック弁Bの弁体は互いに接近方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁B及び前記ホルダチェック弁Bが閉鎖されて作動油が漏洩しない構造としたことを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項9】
前記ホルダが前記主軸に装着された状態で、前記主軸チェック弁Bは前記ホルダ流体通路B側に進出することで前記ホルダチェック弁Bと接続され、後退することで前記ホルダチェック弁Bとの接続を解除して前記スピンドルの回転を許容することを特徴とする請求項2、4~8のいずれかに記載の主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項10】
前記ホルダには前記ホルダ流体通路Bの開口部と同心円上となる位置に1又は複数の位置決め凹部が形成され、前記ホルダが前記主軸に対して回転することで前記主軸チェック弁Bが前記位置決め凹部に対応する位置において進出し、前記位置決め凹部に係合することで前記ホルダの回転方向の位置決めをすることを特徴とする請求項9に記載の主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項11】
前記主軸チェック弁Bの周囲には先細りとなるテーパー面が形成された挿入部が形成され、前記挿入部が挿入されるホルダ流体通路B側開口部には対応する先端ほど拡がったテーパー面が形成されていることを特徴とする請求項2、4~10のいずれかに記載の主軸とホルダ
を組み合わせ
たもの。
【請求項12】
請求項1又は3の主軸とホルダ
を組み合わせ
たものに使用されるホルダであって、前記ホルダは前記スピンドルによって把捉される機構の中にホルダ流体通路A及びホルダチェック弁Aを有し、
前記スピンドル側に装着された状態で前記ホルダチェック弁Aの弁体は前記主軸チェック弁Aに押動されて後退し、前記スピンドル側から前記主軸チェック弁Aを介して作動油の流入が許容され、前記スピンドルから取り外すことで前記弁体が復帰して作動油が漏洩しなくなることを特徴とするホルダ。
【請求項13】
請求項2又は4の主軸とホルダ
を組み合わせ
たものに使用されるホルダであって、前記ホルダは前記主軸チェック弁Bが挿入される前記ホルダ流体通路B内にホルダチェック弁Bを有し、
前記スピンドル側に装着された状態で前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記主軸チェック弁Bに押動されて後退し、前記主軸側から前記主軸チェック弁Bを介して作動油の流入が許容され、前記スピンドルから取り外すことで前記弁体が復帰して作動油が漏洩しなくなることを特徴とするホルダ。
【請求項14】
請求項5~10のいずれかの主軸とホルダ
を組み合わせ
たものに使用されるホルダであって、前記ホルダは前記スピンドルによって把捉される機構の中にホルダ流体通路Aを有するとともに、前記主軸チェック弁Bが挿入されるホルダ流体通路B内にホルダチェック弁Bを有し、
前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記主軸チェック弁Bに押動されて後退し、前記主軸側から前記主軸チェック弁Bを介して作動油の流入が許容され、前記スピンドルから取り外すことで前記弁体が復帰して作動油が漏洩しなくなることを特徴とするホルダ。
【請求項15】
請求項
6又は7のいずれかの主軸とホルダ
を組み合わせ
たものに使用されるホルダであって、前記ホルダは前記スピンドルによって把捉される機構の中にホルダ流体通路A及びホルダチェック弁Aを有するとともに、前記主軸チェック弁Bが挿入されるホルダ流体通路B内にホルダチェック弁Bを有し、
前記スピンドル側に装着された状態で前記ホルダチェック弁Aの弁体は前記主軸チェック弁Aに押動されて後退し、前記スピンドル側から前記主軸チェック弁Aを介して作動油の流入が許容され、前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記主軸チェック弁Bに押動されて後退し、前記主軸側から前記主軸チェック弁Bを介して作動油の流入が許容され、前記スピンドルから取り外すことで前記弁体が復帰して作動油が漏洩しなくなることを特徴とするホルダ。
【請求項16】
工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動するシリンダ装置とを有し、前記シリンダ装置は前記ホルダ流体通路A
及びホルダ流体通路Bを通じて作動油を前記シリンダ装置に送ることによって、前記シリンダ装置を動作させ前記把持機構を駆動する構成としたことを特徴とする請求項1
4又は15のいずれかに記載のホルダ。
【請求項17】
工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動するシリンダ装置とを有し、前記シリンダ装置は前記ホルダ流体通路A及びホルダ流体通路Bを通じて作動油を前記シリンダ装置内のピストンの両側にそれぞれ作動油を送ることによって前記ピストンを往復動させ、前記ピストンによって前記把持機構を往復動させる構成としたことを特徴とする請求項1
4又は15のいずれかに記載のホルダ。
【請求項18】
工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動する第1のシリンダ装置と第2のシリンダ装置とを設け、クーラントを前記ホルダ流体通路Aを通じて前記第1のシリンダ装置に送るとともに、前記ホルダ流体通路Bを通じて作動油を前記第2のシリンダ装置にそれぞれ送る構成を有し、クーラントの供給によって前記第1のシリンダ装置に発生する圧力と作動油の供給によって前記第2のシリンダ装置に発生する圧力との協同によって、把持機構を駆動させるようにしたことを特徴とする請求項1
4に記載のホルダ。
【請求項19】
工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための第1の把持機構と第2の把持機構を有するとともに、前記第1の把持機構を駆動する第1のシリンダ装置と前記第2の把持機構を駆動する第2のシリンダ装置とを有し、作動油を前記ホルダ流体通路Aを通じて前記第1のシリンダ装置に送るとともに、前記ホルダ流体通路Bを通じて前記第2のシリンダ装置にそれぞれ送る構成とし、前記第1の把持機構と前記第2の把持機構とで工作物等を保持するようにしたことを特徴とする請求項1
4又は1
5に記載の工作物等ホルダ。
【請求項20】
工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための把持機構と、前記スピンドル側に装着された状態で前記スピンドル側の主軸流体通路と連通して前記スピンドル側からクーラントが供給される構成であるホルダ流体通路と、前記ホルダ流体通路に連通された第1のシリンダ装置と、前記ホルダ流体通路Bに連通された第2のシリンダ装置とを有し、
前記第1のシリンダ装置と前記第2のシリンダ装置とは作動油によって圧力が伝達される構成とされ、
前記ホルダ流体通路を通じて供給されるクーラントによって前記第1のシリンダ装置を駆動させ、発生する圧力によって前記第2のシリンダ装置の作動油の圧力を増圧し、前記把持機構による工作物等を保持する力を増加させたことを特徴とする請求項13に記載の工作物等ホルダ。
【請求項21】
前記ホルダを貫通させて前記ホルダ流体通路Aを設けることでホルダ貫通路(以下、ホルダ貫通路Aとする)を形成し、前記ホルダ貫通路Aの下流側の端部に作動油を供給するための供給チェック弁(以下、供給チェック弁Aとする)を設けたことを特徴とする請求項12に記載のホルダ。
【請求項22】
前記ホルダを貫通させて前記ホルダ流体通路Bを設けることでホルダ貫通路(以下、ホルダ貫通路Bとする)を形成し、前記ホルダ貫通路Bの下流側の端部に作動油を供給するための供給チェック弁(以下、供給チェック弁Bとする)を設けたことを特徴とする請求項13に記載のホルダ。
【請求項23】
前記ホルダ流体通路Aと前記ホルダ流体通路Bを共に前記ホルダを貫通させて第1及び第2の貫通路(以下、ホルダ貫通路Aとホルダ貫通路Bとする)を形成し、前記第1及び第2の貫通路A,Bの下流側の端部に作動油を供給するための供給チェック弁(以下、供給チェック弁Aと供給チェック弁Bとする)を設けたことを特徴とする請求項14に記載のホルダ。
【請求項24】
主軸と、請求項21のホルダと、把持台との組み合わせを備えた工作機械であって、
前記主軸に設けた主軸流体通路Aと前
記ホルダに設けたホルダ貫通路Aとの間に作動油を流す構成とし、前記把持台は
工具や工作物を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動するシリンダと、前記シリンダに連通する内部通路とを有するものとし、前記内部通路の上流側端部に受給チェック弁を設け、
前記受給チェック弁に前記ホルダの供給チェック弁Aを連結したときに、前記供給チェック弁Aと前記受給チェック弁とが接続状態となり、前記シリンダに作動油を送るようにし、前記受給チェック弁から前
記ホルダの供給チェック弁Aを取り外したときに、前記供給チェック弁Aと前記受給チェック弁とが分離状態となり作動油が漏洩しないようにした、工作機械の主軸とホルダと把持台との組み合わせを備えた工作機械。
【請求項25】
主軸と、請求項22のホルダと、把持台との組み合わせを備えた工作機械であって、
前記主軸に設けた主軸流体通路Bと前
記ホルダに設けたホルダ貫通
路Bとの間に作動油を流す構成とし、前記把持台は
工具や工作物を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動するシリンダと、前記シリンダに連通する内部通路とを有するものとし、前記内部通路の上流側端部に受給チェック弁を設け、
前記受給チェック弁に前記ホルダの供給チェック弁Bを連結したときに、前記供給チェック弁Bと前記受給チェック弁とが接続状態となり、前記シリンダに作動油を送るようにし、前記受給チェック弁から前
記ホルダの供給チェック弁Bを取り外したときに、前記供給チェック弁Bと前記受給チェック弁とが分離状態となり作動油が漏洩しないようにした、工作機械の主軸とホルダと把持台との組み合わせを備えた工作機械。
【請求項26】
主軸と、請求項23のホルダと、把持台との組み合わせを備えた工作機械であって、
前記主軸に設けた主軸流体通路A、Bと前
記ホルダに設けたホルダ貫通路A、Bとの間に作動油を流す構成とし、前記把持台は
工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための第1の把持機構と、前記第1の把持機構を駆動する第1のシリンダと、前記把持台は工作物等を保持するための第2の把持機構と、前記第2の把持機構を駆動する第2のシリンダと、前記第1及び第2のシリンダに連通する内部通路とを有するものとし、前記内部通路の上流側端部にそれぞれ受給チェック弁を設け、
前記受給チェック弁に前記ホルダの供給チェック弁A及びBを連結したときに、前記供給チェック弁A及びBと前記受給チェック弁とが接続状態となり、前記第1及び第2のシリンダに作動油を送るようにし、前記受給チェック弁から前
記ホルダの供給チェック弁A及びBを取り外したときに、前記供給チェック弁A又はBと前記受給チェック弁とが分離状態となり作動油が漏洩しないようにした、工作機械の主軸とホルダと把持台との組み合わせを備えた工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングセンタや複合マシニングセンタや複合旋盤などの工作機械に使用される主軸及びホルダの組み合わせ、ホルダとそれら主軸及びホルダを搭載した工作機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械の主軸に自動的に装着されるホルダにシリンダを設け、主軸の流体通路からホルダの流体通路を通して、作動油をシリンダに送ることにより把捉機構を作動させ、主軸に対して多種類の工作物等を自動的に着脱できるようにした技術がある(特許文献1参照)。この技術により、単一の工作機械によって多種類の加工及び多工程の加工をすることができるようになった。
【0003】
また、特許文献2として、ワークを保持するためのシャンク部と一体化した保持爪を有するチャックを備え、チャックの開閉を、シャンク部を介して機械加工機から供給されるクーラントの圧力を利用して行う技術を示す。この技術は、冷却用のクーラントを利用してチャックを作動させるものであり、それにより、圧縮空気や作動油などの作動流体を必用としないチャックユニットを提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5186049号公報
【文献】特開2020-66114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献の発明は、いずれも主軸側の流体通路とホルダ側の流体通路の間にチェック弁がなく、主軸からホルダやチャックユニットを取り外したときに、主軸側の流体通路から作動流体が漏洩し、機械内部を汚したり、主軸のスピンドルのテーパー内面に付着する問題があった。スピンドルのテーパー内面に作動流体が付着すると、粉塵がスピンドルのテーパー内面にくっつきやすく、テーパー内面についた粉塵はスピンドルがホルダやチャックユニットを拘束したときの精度に悪影響を及ぼす問題があった。
また、ホルダ側の流体通路から漏洩した作動流体が、機械内部やツールマガジンなどを汚す問題があった。また、油圧装置を使用し、作動流体として作動油を使用した場合、一回の着脱によってホルダ側の流体通路から漏洩する作動油の量はわずかであるが、主軸とホルダとの着脱を頻繁に繰り返すうちに、次第に油圧回路中の作動油の量が減ってしまい、油圧装置が正常に作動しなくなる問題があった。
【0006】
また、工作機械の中に工作物把持台を設置して、工作物把持台で保持した工作物を加工する場合に、工作物把持台のシリンダに作動流体を供給するための配管を設置することが困難な場合がある。さらに、作動流体を供給するための配管を設置することが可能であっても、設置した配管が邪魔になってしまう問題と、工作物把持台の種類を変更したり工作物把持台の位置を変更するなどの段取り替えに手間がかかる問題があった。
本発明の目的は、主軸に対して多種類の工作物等を自動的に着脱するために、主軸の流体通路からホルダの流体通路を通して作動流体をホルダのシリンダに供給する構成において、主軸からホルダを取り外したときに流体通路から作動流体が漏洩することを防ぐことにある。また、工作機械の中に工作物把持台を設置して、工作物把持台で保持した工作物を加工する場合に、工作物把持台のシリンダに作動流体を供給するための配管を設置することを不要にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために手段1として、工作機械の主軸に配設されて前記主軸に対して回転するスピンドルに着脱可能に連結されるホルダの組み合わせにおいて、前記ホルダは連結端部が先細りとなるようにテーパー状に形成され、先太りとなるように内面がテーパー状に形成された前記スピンドルの装着凹部に対して前記連結端部が連結可能とされ、前記スピンドル内に前記スピンドルと同軸に配設された押引棒の内部に設けた主軸流体通路(以下、主軸流体通路Aとする)と前記ホルダに設けた前記主軸流体通路Aと連通可能なホルダ流体通路(以下、ホルダ流体通路Aとする)との間に作動油を流す構成とし、前記主軸流体通路Aに主軸チェック弁(以下、主軸チェック弁Aとする)を設けるとともに、前記ホルダ流体通路Aにホルダチェック弁(以下、ホルダチェック弁Aとする)を設け、前記ホルダが前記主軸に装着された状態で、対向配置された前記主軸チェック弁Aの弁体及び前記ホルダチェック弁Aの弁体は前記ホルダの装着に伴って互いに離間する方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁A及び前記ホルダチェック弁Aが開放されて作動油が流れるような構造とした。
このように、主軸側の流体通路とホルダ側の流体通路にそれぞれチェック弁を取り付けたので、主軸側から流体通路を通じてホルダに作動流体を供給することができ、主軸からホルダを取り外したときに流体通路から作動流体が漏洩することを防ぐことができる。より具体的には手段1では、スピンドルに設けた主軸流体通路Aとホルダに設けたホルダ流体通路Aとの間にチェック弁が対向配置された作動流体供給部を有するケースである。スピンドルの装着凹部とホルダとは連結端部は互いに擦り合う関係となるテーパー状に構成されており連結の際に案内される構造であるため、装着の際に部材衝突しにくく、チェック弁A同士の接続もスムーズである。
また、押引棒は押引棒の内部においてスピンドルと同軸に同期して回転するがスピンドルと同軸であるため主軸流体通路Aと主軸チェック弁Aを有していても回転ムラとなるような影響を与えにくい。主軸チェック弁Aは押引棒内に配設されるため、主軸チェック弁Aがスピンドル周辺で露出することがなく、ホルダの交換のための操作をする機構、例えば自動交換装置(ATC)の動作において主軸チェック弁Aが干渉することがない。
【0008】
「ホルダ」は工作機械の主軸のスピンドルに着脱されるホルダシャンクを有することがよい。ホルダシャンクのタイプとしては、例えばHSKシャンク、BTシャンク、NC5シャンク、ポリゴンシャンク等がよい。ホルダを主軸に装着した時に、主軸に設けられた主軸チェック弁Aとホルダチェック弁Aとが自動的に接続状態になることがよい。
「チェック弁」は、弁体を備え、その弁体が移動することで作動流体が流れる内部通路が形成される。より具体的にはチェック弁は例えばバネのような付勢手段によって、例えばスライドロッド、球体、ケース等の弁体を付勢する状態で内部通路が密閉される。それら弁体が押動され付勢手段に抗して移動することで内部通路が開放される。例えば対向配置された2つのチェック弁の弁体同士を押し合うようにすることによって、例えばスライドロッドや球体等の弁体が後退されて弁を開放する構成が考えられる。チェック弁同士が接触する部分に例えばOリング、パッキン、オイルシールなどのシール部材を取り付けることがよく、それによって作動流体の漏洩をより防止することができる。主軸チェック弁Aとホルダチェック弁Aは同種の弁体を用いるものでも異なる種類の弁体を用いるものでもよい。チェック弁の定義は以下のチェック弁も同様である。
「主軸チェック弁Aの弁体及びホルダチェック弁Aの弁体は互いに離間する方向に移動させられる」場合には、主軸チェック弁Aとホルダチェック弁Aがその接近に伴って互いの弁体の先端が当たり相互に押し合うことで移動することがよい。
「押引棒」は長手方向に主軸流体通路Aが形成された進退可能な部材であり、ホルダ側と係合された後に後退してホルダを主軸側に引き寄せる機能を有する。押引棒は例えばシリンダ装置やソレノイドのような駆動源によって進出させられる。一般に駆動源は主軸側にあるため押引棒を押動させて下方向に移動させた後はバネのような付勢手段で上方向に移動させるようにすることがよい。
「作動油」は一般にクーラントに比べ粘度の高い油であり、クーラントに比べ高い工作物に対する把持力を発揮させることができる。これらの定義や説明は以下も同様である。
【0009】
手段2として、工作機械の主軸に配設されて前記主軸に対して回転するスピンドルに着脱可能に連結されるホルダの組み合わせにおいて、前記主軸の前記スピンドル上ではない任意の位置に主軸流体通路(以下、主軸流体通路Bとする)を設けるとともに、前記ホルダ側に主軸流体通路Bと連通するホルダ流体通路(以下、ホルダ流体通路Bとする)を設け、前記主軸流体通路Bと前記ホルダ流体通路Bとの間に作動流体を流す構成とし、前記主軸流体通路Bに主軸チェック弁(以下、主軸チェック弁Bとする)を設けるとともに、前記ホルダ流体通路Bにホルダチェック弁(以下、ホルダチェック弁Bとする)を設け、前記ホルダが前記主軸に装着された状態で、対向配置された前記主軸チェック弁Bの弁体及び前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記ホルダの装着に伴って互いに離間する方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁B及び前記ホルダチェック弁Bが開放されて作動流体が流れるような構造とした
このように、主軸側の流体通路とホルダ側の流体通路にそれぞれチェック弁を取り付けたので、主軸側から流体通路を通じてホルダに作動流体を供給することができ、主軸からホルダを取り外したときに流体通路から作動流体が漏洩することを防ぐことができる。より具体的には手段2では、スピンドル上ではない任意の位置に設けた主軸流体通路Bとホルダに設けたホルダ流体通路Bとの間にチェック弁が対向配置された作動流体供給部を有するケースである。
「主軸の前記スピンドル上ではない任意の位置」は、例えば主軸筒のような回転するスピンドルを保持する部材の任意の位置、あるいはそのような部材に付属的に取り付けられた部材の任意の位置であることがよい。ホルダはスピンドルと一緒に回転する部材であるため、ホルダを回転させる際には主軸流体通路Bとホルダ流体通路Bは切り離す必要があるが、そのためこれら通路の接合位置に主軸チェック弁Bとホルダチェック弁Bを設けることで切り離しても内部の作動流体が漏れることがなくなる。
【0010】
手段3として、前記ホルダが前記主軸から取り外された際に前記主軸チェック弁Aの弁体及び前記ホルダチェック弁Aの弁体が互いに接近方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁A及び前記ホルダチェック弁Aが閉鎖されて作動流体が漏洩しない構造とした。
手段4として、前記ホルダが前記主軸から取り外された際に前記主軸チェック弁Bの弁体及び前記ホルダチェック弁Bの弁体は互いに接近方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁B及び前記ホルダチェック弁Bが閉鎖されて作動流体が漏洩しない構造とした。
主軸チェック弁A,Bホルダチェック弁A,Bはホルダが主軸から取り外された際に例えば付勢手段によって自動的に弁体が動作させられ内部通路が閉鎖されることとなる。手段3及び手段4によって、ホルダを主軸から取り外した際に作動流体が漏れてしまうことが防止でき、作動流体の流失、作動流体が漏れることによる汚染、ホルダ側に付与した油圧力の消失等が防止できる。
【0011】
手段5として、工作機械の主軸に配設されて前記主軸に対して回転するスピンドルに着脱可能に連結されるホルダの組み合わせにおいて、前記主軸のスピンドルに設けた主軸流体通路(以下、主軸流体通路Aとする)と前記ホルダに設けた前記主軸流体通路Aと連通可能なホルダ流体通路(以下、ホルダ流体通路Aとする)との間に作動流体を流す構成とし、前記主軸の前記スピンドル上ではない任意の位置に主軸流体通路(以下、主軸流体通路Bとする)を設けるとともに、前記ホルダ側に主軸流体通路Bと連通するホルダ流体通路(以下、ホルダ流体通路Bとする)を設け、前記主軸流体通路Bと前記ホルダ流体通路Bとの間に作動流体を流す構成とし、前記主軸流体通路Bに主軸チェック弁(以下、主軸チェック弁Bとする)を設けるとともに、前記ホルダ流体通路Bにホルダチェック弁(以下、ホルダチェック弁Bとする)を設け、前記ホルダが前記主軸に装着された状態で、対向配置された前記主軸チェック弁Bの弁体及び前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記ホルダの装着に伴って互いに離間する方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁B及び前記ホルダチェック弁Bが開放されて作動流体が流れるような構造とした。
このように、主軸側の流体通路とホルダ側の流体通路に、それぞれチェック弁を取り付けたので、主軸からホルダを取り外したときに流体通路から作動流体が漏洩することを防ぐことができる。より具体的には手段5では、スピンドルに設けた主軸流体通路Aとホルダに設けたホルダ流体通路Aが連通し、スピンドル上ではない任意の位置に設けた主軸流体通路Bとホルダに設けたホルダ流体通路Bとの間にチェック弁が対向配置された通路が形成される2つの作動流体供給部を有するケースである。ここで手段5では主軸流体通路Aとホルダ流体通路Aには必ずしもチェック弁を有さない構造であるが、例えば作動流体としてクーラントをこれら通路Aに流す構造であれば漏れても支障はない。
手段6として、前記主軸流体通路Aに主軸チェック弁(以下、主軸チェック弁Aとする)を設け、前記ホルダ流体通路Aにはホルダチェック弁A(以下、ホルダチェック弁Aとする)を設けるようにした。
つまり、手段5の主軸流体通路Aとホルダ流体通路Aに主軸チェック弁Aとホルダチェック弁Aをそれぞれ配設する構成である。これによって、作動流体供給部はそれぞれチェック弁を有する構造となる。つまり、作動流体が主軸流体通路Aとホルダ流体通路Aから漏れない構成となる。
【0012】
手段7として、前記ホルダが前記主軸から取り外された際に前記主軸チェック弁Aの弁体及び前記ホルダチェック弁Aの弁体は互いに接近方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁A及び前記ホルダチェック弁Aが閉鎖されて作動流体が漏洩しない構造とした。
手段8として、前記ホルダが前記主軸から取り外された際に前記主軸チェック弁Bの弁体及び前記ホルダチェック弁Bの弁体は互いに接近方向に移動させられ、その移動に伴って前記主軸チェック弁B及び前記ホルダチェック弁Bが閉鎖されて作動流体が漏洩しない構造とした。
主軸チェック弁A,Bホルダチェック弁A,Bはホルダが主軸から取り外された際に例えば付勢手段によって自動的に弁体が動作させられ内部通路が閉鎖されることとなる。手段7及び手段8によって、ホルダを主軸から取り外した際に作動流体が漏れてしまうことが防止でき、作動流体の流失、作動流体が漏れることによる汚染、ホルダ側に付与した油圧力の消失等が防止できる。
【0013】
手段9として、前記ホルダが前記主軸に装着された状態で、前記主軸チェック弁Bは前記ホルダ流体通路B側に進出することで前記ホルダチェック弁Bと接続され、後退することで前記ホルダチェック弁Bとの接続を解除して前記スピンドルの回転を許容するようにした。
このように主軸チェック弁Bとホルダ流体通路Bの間を接続状態と解除状態とすることによって、スピンドルに把捉させたホルダに主軸側から作動流体を供給してホルダ側の機構を動作させるための油圧力を付与した後に、スピンドルとともにホルダが回転できるようにすることができる。
進出する主軸チェック弁B全体がホルダチェック弁B方向に移動してもよく、主軸チェック弁Bの一部でもよい。例えば主軸チェック弁Bを移動させる機構を主軸側に設け、その移動させる機構で主軸チェック弁Bを進退させることがよい。例えば、主軸チェック弁Bをシリンダ装置のピストンに収容し、ピストンを進出させることで主軸チェック弁Bを進出させることがよい。シリンダ装置以外では、ソレノイド装置に主軸チェック弁Bを取り付けたり、モータとボールねじの組み合わせを使用する構成やリニアモータを使用する構成もよい。
【0014】
手段10として、前記ホルダには前記ホルダ流体通路Bの開口部と同心円上となる位置に1又は複数の位置決め凹部が形成され、前記ホルダが前記主軸に対して回転することで前記主軸チェック弁Bが前記位置決め凹部に対応する位置において進出し、前記位置決め凹部に係合することで前記ホルダの回転方向の位置決めをするようにした。
スピンドルの主軸に対する回転方向の位置、つまりスピンドルの位相は作動流体をホルダに供給する際には主軸チェック弁Bとホルダチェック弁Bが対応する位置(原位置)となる。このようにホルダチェック弁Bと同心円上となる位置に1又は複数の位置決め凹部を形成し、スピンドルの回転位置(位相)を制御して主軸チェック弁Bや主軸チェック弁Bを進退させる装置とのユニットを任意の原位置とは異なる位置に形成された位置決め凹部に係合させることで、例えばホルダに保持させた工作物等の姿勢を変化させた際に正確にその位置で保持させることができる。
手段11として、前記主軸チェック弁Bの周囲には先細りとなるテーパー面が形成された挿入部が形成され、前記挿入部が挿入されるホルダ流体通路B側開口部には対応する先端ほど拡がったテーパー面が形成されているようにした。
これによって主軸チェック弁Bとホルダチェック弁Bの周囲が接続の際にテーパー面によって案内されるため部材の衝突が生じにくく、かつテーパー面同士が擦り合うこととなるため、主軸チェック弁Bとホルダチェック弁Bが連通する際のこれら弁を包囲するケースの密閉性が向上し内部の作動流体が漏れにくくなる。
【0015】
手段12として、前記ホルダは前記スピンドルによって把捉される機構の中にホルダ流体通路A及びホルダチェック弁Aを有し、前記スピンドル側に装着された状態で前記ホルダチェック弁Aの弁体は前記主軸チェック弁Aに押動されて後退し、前記スピンドル側から前記主軸チェック弁Aを介して作動流体の流入が許容され、前記スピンドルから取り外すことで前記弁体が復帰して作動流体が漏洩しなくなるようにした。
これは上記主軸とホルダの組み合わせに使用されるホルダ流体通路A及びホルダチェック弁Aを有するホルダのより具体的な構成をクレームしたものである。スピンドルによって把捉される機構の中にホルダ流体通路A及びホルダチェック弁Aを有することでよりホルダがコンパクト化される。
手段13として、前記ホルダは前記主軸チェック弁Bが挿入される前記ホルダ流体通路B内にホルダチェック弁Bを有し、前記スピンドル側に装着された状態で前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記主軸チェック弁Bに押動されて後退し、前記主軸側から前記主軸チェック弁Bを介して作動流体の流入が許容され、前記スピンドルから取り外すことで前記弁体が復帰して作動流体が漏洩しなくなる
これは上記主軸とホルダの組み合わせに使用されるホルダ流体通路B及びホルダチェック弁Bを有するホルダのより具体的な構成をクレームしたものである。ホルダのホルダ流体通路Bは主軸チェック弁Bが挿入される構造となっている。つまり、主軸側からホルダ側に進出して作動流体が供給されるようなホルダである。
【0016】
手段14として、前記ホルダは前記スピンドルによって把捉される機構の中にホルダ流体通路Aを有するとともに、前記主軸チェック弁Bが挿入されるホルダ流体通路B内にホルダチェック弁Bを有し、前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記主軸チェック弁Bに押動されて後退し、前記主軸側から前記主軸チェック弁Bを介して作動流体の流入が許容され、前記スピンドルから取り外すことで前記弁体が復帰して作動流体が漏洩しなくなるようにした。
これは上記主軸とホルダの組み合わせに使用されるホルダ流体通路A、ホルダ流体通路B及びホルダチェック弁Bを有するホルダのより具体的な構成をクレームしたものである。ホルダのホルダ流体通路Bは主軸チェック弁Bが挿入される構造となっている。つまり、2つの作動流体供給を有するホルダである。
手段15として、前記ホルダは前記スピンドルによって把捉される機構の中にホルダ流体通路A及びホルダチェック弁Aを有するとともに、前記主軸チェック弁Bが挿入されるホルダ流体通路B内にホルダチェック弁Bを有し、前記スピンドル側に装着された状態で前記ホルダチェック弁Aの弁体は前記主軸チェック弁Aに押動されて後退し、前記スピンドル側から前記主軸チェック弁Aを介して作動流体の流入が許容され、前記ホルダチェック弁Bの弁体は前記主軸チェック弁Bに押動されて後退し、前記主軸側から前記主軸チェック弁Bを介して作動流体の流入が許容され、前記スピンドルから取り外すことで前記弁体が復帰して作動流体が漏洩しなくなるようにした。
これは上記主軸とホルダの組み合わせに使用されるホルダ流体通路A及びホルダチェック弁Aとホルダ流体通路B及びホルダチェック弁Bを有するホルダのより具体的な構成をクレームしたものである。ホルダのホルダ流体通路Bは主軸チェック弁Bが挿入される構造となっている。つまり、2つの作動流体供給を有するホルダである。
【0017】
手段16として、工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動するシリンダ装置とを有し、前記シリンダ装置は前記ホルダ流体通路A又はホルダ流体通路Bを通じて作動流体を前記シリンダ装置に送ることによって、前記シリンダ装置を動作させ前記把持機構を駆動する構成とした。
手段16は供給される作動流体の油圧を用いた具体的な機構を備えたホルダをクレームしたものである。
これによって、ホルダ流体通路Aかあるいはホルダ流体通路Bのいずれかを使用して作動流体を前記シリンダ装置に送り、もって把持機構を駆動させることができる。
「シリンダ装置」はシリンダに収容されたピストンを備えた基本構造の装置であり、外部からの作動流体の供給を受けその油圧力でピストンをシリンダに対して相対的に動作させるデバイスである。ピストンが作動してもシリンダが作動部してもよい。シリンダ装置の定義は以下も同様である。
「把持機構」はシリンダ装置によって一方向に駆動させられる構成であるが、工作物を開放するために、例えばバネなどの力を利用することがよい。
把持機構は、例えば、チャック装置、コレットチャック装置、リンククランプ装置、スイングクランプ装置、ボールクランプ装置等がよい。把持機構の定義は以下も同様である。
手段17として、工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動するシリンダ装置とを有し、前記シリンダ装置は前記ホルダ流体通路A及びホルダ流体通路Bを通じて作動流体を前記シリンダ装置内のピストンの両側にそれぞれ作動流体を送ることによって前記ピストンを往復動させ、前記ピストンによって前記把持機構を往復動させる構成とした。
手段17は供給される作動流体の油圧を用いた具体的な機構を備えたホルダをクレームしたものである。
これによって、ホルダ流体通路Aとホルダ流体通路Bの両方を使用し、作動流体を前記シリンダ装置に送り、ホルダ流体通路Aとホルダ流体通路Bの作動流体への作動流体の圧力を調整することでピストンを往復動させることができる。これによって把持機構に一方向だけでなく両方向の動きをさせることができる。
【0018】
手段18として、工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動する第1のシリンダ装置と第2のシリンダ装置とを設け、クーラントを前記ホルダ流体通路Aを通じて前記第1のシリンダ装置に送るとともに、前記ホルダ流体通路Bを通じて作動油を前記第2のシリンダ装置にそれぞれ送る構成を有し、クーラントの供給によって前記第1のシリンダ装置に発生する圧力と作動油の供給によって前記第2のシリンダ装置に発生する圧力との協同によって、把持機構を駆動させるようにした。
手段18は供給される作動流体の油圧を用いた具体的な機構を備えたホルダをクレームしたものである。
これによって、ホルダ流体通路Aとホルダ流体通路Bの両方を使用し、2つの通路からの油圧を合成して単独の圧力よりも強い力で把持機構を駆動することができる。油圧制御においては両方の通路から同時に作動流体を供給してもよく、時間をズラして供給してもよい。
手段19として、工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための第1の把持機構と第2の把持機構を有するとともに、前記第1の把持機構を駆動する第1のシリンダ装置と前記第2の把持機構を駆動する第2のシリンダ装置とを有し、作動流体を前記ホルダ流体通路Aを通じて前記第1のシリンダ装置に送るとともに、前記ホルダ流体通路Bを通じて前記第2のシリンダ装置にそれぞれ送る構成とし、前記第1の把持機構と前記第2の把持機構とで工作物等を保持するようにした。
手段19は供給される作動流体の油圧を用いた具体的な機構を備えたホルダをクレームしたものである。
第1の把持機構と第2の把持機構を有する場合に、作動流体をホルダ流体通路Aを通じて第1のシリンダ装置に送るとともに、ホルダ流体通路Bを通じて第2のシリンダ装置にそれぞれ送ることで第1の把持機構と第2の把持機構を別個に駆動させることができることとなる。
手段20として、工具や工作物(以下単に「工作物等」という)を保持するための把持機構と、前記スピンドル側に装着された状態で前記スピンドル側の主軸流体通路と連通して前記スピンドル側からクーラントが供給される構成であるホルダ流体通路と、前記ホルダ流体通路に連通された第1のシリンダ装置と、前記ホルダ流体通路Bに連通された第2のシリンダ装置とを有し、前記第1のシリンダ装置と前記第2のシリンダ装置とは作動油によって圧力が伝達される構成とされ、前記ホルダ流体通路を通じて供給されるクーラントによって前記第1のシリンダ装置を駆動させ、発生する圧力によって前記第2のシリンダ装置の作動油の圧力を増圧し、前記把持機構による工作物等を保持する力を増加させたようにした。
手段20は供給される作動流体の油圧を用いた具体的な機構を備えたホルダをクレームしたものである。
これによって、第2のシリンダ装置による把持機構を把持する力が、第1のシリンダ装置からの付加された圧力によって増すこととなり、より強い力で工作物等を保持することができることとなる。
【0019】
手段21として、前記ホルダ流体通路Aを前記ホルダを貫通させて設けてホルダ貫通路(以下、ホルダ貫通路Aとする)を形成し、前記ホルダ貫通路Aの下流側の端部に作動流体を供給するための供給チェック弁(以下、供給チェック弁Aとする)を設けるようにした。
手段22として、前記ホルダ流体通路Bを前記ホルダを貫通させて設けてホルダ貫通路(以下、ホルダ貫通路Bとする)を形成し、前記ホルダ貫通路Bの下流側の端部に作動流体を供給するための供給チェック弁(以下、供給チェック弁Bとする)を設けるようにした。
手段23として、前記ホルダ流体通路Aと前記ホルダ流体通路Bを共に前記ホルダを貫通させて第1及び第2の貫通路(以下、ホルダ貫通路Aとホルダ貫通路Bとする)を形成し、前記第1及び第2の貫通路A,Bの下流側の端部に作動流体を供給するための供給チェック弁(以下、供給チェック弁Aと供給チェック弁Bとする)を設けるようにした。
これらを主軸に装着することによってホルダを通じて作動油を中継してホルダよりも下方の機構に供給する機能を有することとなる。
【0020】
手段24として、前記主軸に設けた主軸流体通路A、Bと前記流体通路ホルダに設けたホルダ貫通路A、Bとの間に作動流体を流す構成とし、前記把持台は工作物等を保持するための把持機構と、前記把持機構を駆動するシリンダと、前記シリンダに連通する内部通路とを有するものとし、前記内部通路の上流側端部に受給チェック弁を設け、
前記受給チェック弁に前記ホルダの供給チェック弁A又はBを連結したときに、前記供給チェック弁A又はBと前記受給チェック弁とが接続状態となり、前記シリンダに作動流体を送るようにし、前記受給チェック弁から前記流体通路ホルダの供給チェック弁A及びBを取り外したときに、前記供給チェック弁A又はBと前記受給チェック弁とが分離状態となり作動流体が漏洩しないようにした。
これによって、一旦、工作物を保持した状態とすれば、供給チェック弁A、Bと受給チェック弁A、Bとを分離状態としても、作動流体は密閉されているので、工作物を保持し続ける。このため、工作物把持台が工作物を保持した状態で、工作物把持台で保持した工作物を主軸に取り付けた工具により加工することが可能である。従って、上記と同様に多工程の加工をすることができる。また、工作物把持台に流体通路の配管を施工する必要もない。
手段25として、前記主軸に設けた主軸流体通路A、Bと前記流体通路ホルダに設けたホルダ貫通路A、Bとの間に作動流体を流す構成とし、前記把持台は工作物等を保持するための第1の把持機構と、前記第1の把持機構を駆動する第1のシリンダと、前記把持台は工作物等を保持するための第2の把持機構と、前記第2の把持機構を駆動する第2のシリンダと、前記第1及び第2のシリンダに連通する内部通路とを有するものとし、前記内部通路の上流側端部にそれぞれ受給チェック弁を設け、前記受給チェック弁に前記ホルダの供給チェック弁A及びBを連結したときに、前記供給チェック弁A及びBと前記受給チェック弁とが接続状態となり、前記第1及び第2のシリンダに作動流体を送るようにし、前記受給チェック弁から前記流体通路ホルダの供給チェック弁A及びBを取り外したときに、前記供給チェック弁A又はBと前記受給チェック弁とが分離状態となり作動流体が漏洩しないようにした。
これによって、例えば把持台に工作物を保持させた状態で、把持台で保持した工作物を主軸に取り付けた工具により加工することが可能となる。例えば、ホルダによって保持した工作物の片側を加工した後に、その工作物を把持台に保持させ、主軸に取り付けた工具により工作物の他側を加工するといった、多工程の加工ができる。また、流体通路ホルダを通じて作動流体を流す構成としたので、わざわざ流体通路の配管を施工する必要もない。
【0021】
上述の手段1~手段25に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、手段1、手段2、手段5に示した発明の全てまたは一部の構成にそれら以外の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。
また、手段1から手段25に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、主軸側から流体通路を通じてホルダに作動流体を供給することができ、主軸からホルダを取り外したときに流体通路から作動流体が漏洩することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態1において主軸にホルダを取り付けた状態の部分断面図。
【
図2】実施の形態1において主軸にホルダを取り付ける直前又は取り外した直後の部分断面図。
【
図3】実施の形態2において主軸にホルダを取り付けた状態で、かつ第2の作動油供給部が接続されていない状態の部分断面図。
【
図4】実施の形態2において主軸にホルダを取り付けた状態で、かつ第2の作動油供給部が接続された状態の部分断面図。
【
図6】実施の形態3において主軸にホルダを取り付けた状態で、かつ第2の作動油供給部が接続されていない状態の部分断面図。
【
図7】実施の形態3において主軸にホルダを取り付けた状態で、かつ第2の作動油供給部が接続された状態の部分断面図。
【
図11】実施の形態6のホルダにおいて、コレットチャックが閉じている状態の断面図。
【
図12】実施の形態6のホルダにおいて、コレットチャックが開いている状態の断面図。
【
図13】実施の形態6のホルダにおいて、コレットチャックが
図12よりも強い力で開いている状態の断面図。
【
図14】実施の形態7において主軸にホルダを取り付けた状態の部分断面図。
【
図15】実施の形態8において主軸と中継ホルダと把持台の部分断面図。
【
図16】実施の形態9において主軸と中継ホルダと把持台の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【実施の形態1】
【0024】
図1及び
図2に基づいて、実施の形態1の主軸1とホルダ2の組み合わせについて説明する。実施の形態1の主軸1とホルダ2は2面拘束によって部材が接触するタイプである。実施の形態1では本発明に特化した主軸1とホルダ2の連結部分周辺を中心に説明する。尚、各図は断面図であるがハッチングは省略されている。
主軸1は主軸筒3と、主軸筒3にベアリング4によって支持されたスピンドル5を備えている。スピンドル5は主軸筒3に対して図示しない回転機構によって高速回転させられることとなる。スピンドル5内部に形成された円形の内周面となるハウジング6内の中央には押引棒としてのドローバー7が配設されており、ドローバー7の周囲にはコレットチャックの複数のクランプ爪8が配設されている。ドローバー7は横断面円形形状の部材であり、ドローバー7の中心軸はスピンドル5の回転軸と同軸に配置されている。ハウジング6の下部寄りは拡径された連結用の凹部6aとされている。凹部6aの内径は下側ほど広くなるようなテーパー状に構成されている。ドローバー7の内部には主軸流体通路9が形成され、主軸流体通路9内には主軸チェック弁11が配設されている。主軸流体通路9内には作動油が封入されており、主軸チェック弁11はその蓋の役割を果たしている。
主軸チェック弁11はケース11aを備え、ケース11a内の中央にロッド11bが立設されている。ロッド11b先端は膨出された形状に構成されている。ロッド11bの周囲にはロッド11bを包囲するように弁体としてのスリーブ11cが配設されている。スリーブ11cの先端(下端)寄り内周には密封性を高めるためのOリング11dが配設されている。スリーブ11cはロッド11bの長手方向に沿ってスライド移動可能とされており、コイルばね11eによって先端方向、つまり連結されるホルダ2方向に常時付勢されている。
【0025】
ホルダ2の先端のスピンドル5に連結される部分はHSKタイプのシャンク13とされている。
シャンク13の先端(上端)はスピンドル5側のハウジング6の凹部6aの内周面に外周面が接する冠状の連結部14とされている。連結部14は先端寄りほど先細りとなるように構成されている。シャンク13の中央位置には長手方向に沿ってホルダ流体通路15が形成されている。ホルダ流体通路15は連結部14に包囲された空間に連接されている。ホルダ流体通路15内の連結部14に包囲された位置にはホルダチェック弁17が配設されている。ホルダ流体通路15内には作動油が封入されており、ホルダチェック弁17はその蓋の役割を果たしている。
ホルダチェック弁17はケース17aを備え、ケース17a内の中央に弁体としてのロッド17bが配設されている。ケース17aの先端(上端)寄り内周には密封性を高めるためのOリング17cが配設されている。ロッド17bの後方(下方)にはステー17dが固着されている。ロッド17bはホルダ流体通路15の長手方向に沿って進退可能とされており、ロッド17bとステー17dの間に配設されたコイルばね17eによって先端方向、つまり連結される主軸1(スピンドル5)方向に常時付勢されている。
【0026】
次に上記のように構成される実施の形態1の作用について説明する。主軸1に対するホルダ2の自動交換装置(ATC)による自動的な把捉(装着)作用は、図示しないシーケンス制御された把捉機構によって実行される。
図2に示すように、主軸1とホルダ2が接続されていない状態では、主軸チェック弁11はコイルばね11eによって付勢されているスリーブ11cが進出状態となり、ロッド11b先端よりも下方に突出している。この状態ではスリーブ11cの内側面とロッド11b先端外周がOリング11dを介して密着することとなり、主軸流体通路9は主軸チェック弁11で密閉された状態とされ作動油は漏れない。
一方、ホルダ2側のシャンク13のホルダチェック弁17はロッド17bがコイルばね17eに付勢されて進出し、ケース17a内周のOリング17cに密着することとなり、ホルダ流体通路15はホルダチェック弁17で密閉された状態とされ同様に作動油は漏れない。
主軸1に対してホルダ2が装着される際には、まず、ホルダ2のシャンク13が下方からスピンドル5側のハウジング6方向に進出させられる。シャンク13先端の連結部14がハウジング6に嵌合されるとほぼ同時にドローバー7が後退し、先端の膨出された部分でクランプ爪8を外方に揺動させることでシャンク13を把捉する。
このような接続動作に伴って、主軸チェック弁11とホルダチェック弁17の先端同士が当接し、主軸チェック弁11のスリーブ11cがコイルばね11eの付勢力に抗して後退し(つまりスピンドル5方向に移動し)、ホルダチェック弁17のロッド17bがコイルばね17eの付勢力に抗して後退する(つまりホルダ2方向に移動する)。これによって主軸チェック弁11とホルダチェック弁17の内部の通路が開放され、主軸1側の作動油が主軸流体通路9とホルダ流体通路15を介してホルダ2側に供給されることとなり、作動油の圧力を下流に伝達させることができ、その作動油の圧力でホルダ側の機構を操作することができる。
主軸1とホルダ2との接続を再び解除すれば、主軸チェック弁11とホルダチェック弁17は再び自動的に閉鎖され、内部の作動油が漏れることがない。作動油はクーラントに比べて粘度が高いため、クーラントを使用する場合に比べてホルダ2側の機構に強い把持力を発揮させることができる。
【実施の形態2】
【0027】
図3~
図5に基づいて、実施の形態2の主軸21とホルダ22の組み合わせについて説明する。実施の形態2の主軸21とホルダ22は2面拘束によって部材が接触するタイプである。実施の形態2では本発明に特化した主軸21とホルダ22の連結部分周辺を中心に説明する。尚、各図は断面図であるがハッチングは省略されている。
主軸21は主軸筒23と、主軸筒23にベアリング24によって支持されたスピンドル25を備えている。スピンドル25は主軸筒23に対して図示しない回転機構によって高速回転させられることとなる。
実施の形態2の主軸21側からホルダ22側への油圧の供給ルートは2つある。すなわち、スピンドル25からテーパーシャンク31へ油圧を供給する第1の作動油供給部と、主軸21側の回転しない部分、つまりこの実施の形態2では主軸筒23からテーパーシャンク31へ油圧を供給する第2の作動油供給部である。以下では、第1の作動油供給部を構成する部材の符号としてAを付し、第2の作動油供給部を構成する部材の符号としてBを付して説明する。
スピンドル25内部に形成された円形の内周面となるハウジング26内の中央には押引棒としてのドローバー27が配設されている。ドローバー27の周方向に形成された複数の透孔28内にはそれぞれボール29が収容されている。ドローバー27の内部には主軸流体通路A30が形成され、主軸流体通路A30内には実施の形態1の主軸チェック弁11と同様の構成の主軸チェック弁A11が配設されている。主軸流体通路A30内には作動油が封入されており、主軸チェック弁A11はその蓋の役割を果たしている。実施の形態2では主軸チェック弁A11については実施の形態1の主軸チェック弁11と同じ構成については図面上同じ符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0028】
ホルダ22の先端のスピンドル25に連結される部分はBTタイプのテーパーシャンク31とされている。テーパーシャンク31の中央にはホルダ流体通路A32が形成されている。テーパーシャンク31のホルダ流体通路A32の開口部位置、つまりテーパーシャンク31の上端位置にはプルスタッド33が装着されている。プルスタッド33は先端が膨出した形状の頭部33aを有し、内部中央位置には長手方向に沿ってホルダ流体通路A32に連通する小通路A34が形成されている。小通路A34内には実施の形態1のホルダチェック弁17と同様のホルダチェック弁A17が配設されている。ホルダ流体通路A32及び小通路A34内には作動油が封入されており、ホルダチェック弁A17はその蓋の役割を果たしている。実施の形態2ではホルダチェック弁A17については実施の形態1のホルダチェック弁17と同じ構成については図面上同じ符号を付し、その詳しい説明は省略する。
主軸21側のスピンドル25とホルダ22との間にはスピンドル25に対するホルダ22の回転方向(周方向)の位相位置をロックするためのキーセットが設けられている。キーセットはスピンドル25側のキー35とホルダ22側のキー溝36とから構成されている。
【0029】
図2及ぶ
図3に示すように、第2の作動油供給部は主軸筒23側に形成されているチェック弁移動機構37と、チェック弁移動機構37からの油圧を受ける第2の作動油供給部を構成する主軸チェック弁B39と、ホルダ22に形成されたホルダチェック弁B40を備えている。
チェック弁移動機構37は主軸筒23に装着されたブラケット46内に配設されている。チェック弁移動機構37はシリンダ41と、シリンダ41内に収容されたピストン42と、ピストン42を案内するガイド43とシリンダ41内に作動油を供給するブラケット46に形成された3つの通路B44,45a,45b等を主要な構成部材とする。シリンダ41内及び通路A44,45a,45b内には作動油が封入されており、ガイド43はその蓋の役割を果たしている。ピストン42はガイド43を案内として上下方向に進退可能に配設されている。ピストン42の先端はガイド43の外方に突出してリング状の差し込み部42aを構成している。差し込み部42aの外周面は先端寄りほど肉厚が薄くなるようなテーパー面47とされている。主軸流体通路B44はピストン42で封鎖された上方のハウジング内に作動油を供給する。ピストン用通路45a,45bはそれぞれに供給される作動油の圧力を調整することでピストン42を進退させる。
ピストン42の内部通路には主軸チェック弁B39が配設されている。ピストン42上方のシリンダ41内には作動油が封入されており、主軸チェック弁B39はその蓋の役割を果たしている。
主軸チェック弁B39はケース39aを備え、ケース39a内の中央に弁体としてのロッド39bが立設されている。ロッド39b先端は膨出された形状に構成されている。ロッド39bの周囲にはロッド39bを包囲するようにスリーブ39cが配設されている。スリーブ39cの先端(下端)寄り内周には密封性を高めるためのOリング39dが配設されている。スリーブ39cはロッド39bの長手方向に沿ってスライド移動可能とされており、コイルばね39eによって先端方向、つまり連結されるホルダ2方向に常時付勢されている。
【0030】
ホルダチェック弁B40は、ホルダ22の上方寄りの水平面22aに開口部を有するホルダ流体通路B48内に配設されている。ホルダチェック弁B40はホルダ流体通路B48内においてホルダ流体通路B48の開口部からわずかに後退した位置に配置されている。そのためホルダチェック弁B40の前面には主軸21側のピストン42先端の差し込み部42aが収容される凹部49が形成されることとなる。凹部49の内周面は差し込み部42aのテーパ面47に対応してテーパ状に形成されている。
ホルダチェック弁B40はケース40aを備え、ケース40a内の中央に弁体としてのロッド40bが配設されている。ケース40aの先端(上端)寄り内周には密封性を高めるためのOリング40cが配設されている。ロッド40bの後方(下方)にはステー40dが固着されている。ロッド40bはホルダ流体通路B48の長手方向に沿って進退可能とされており、コイルばね40dによって先端方向、つまり連結される主軸21(主軸筒23)方向に常時付勢されている。
図5に示すように、ホルダ流体通路B48が開口されているホルダ22の水平面22aにはテーパーシャンク31中心から等距離にテーパーシャンク31を周回するように複数の(
図5では一例として6つの)位置決め凹部50が形成されている。位置決め凹部50は凹部49と同様にピストン42先端の差し込み部42aの形状に対応する形状を有し、差し込み部42aが収容される。
【0031】
次に上記のように構成される実施の形態2の作用について説明する。
主軸21に対するホルダ22の自動交換装置(ATC)による自動的な把捉(装着)作用は、図示しないシーケンス制御された把捉機構によって実行される。また、スピンドル25からテーパーシャンク31へ油圧を供給する第1の作動油供給部の作用は実施の形態2も実施の形態1と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略し、主として第2の作動油供給部の作用について説明する。
まず、簡単にスピンドル25へのテーパーシャンク31の装着動作を説明する。実施の形態2ではテーパーシャンク31側のプルスタッド33がスピンドル25側のドローバー27に当接する際に、ドローバー27が上昇させられることでボール29がプルスタッド33の頭部33aに係合する。これによってプルスタッド33によってテーパーシャンク31がスピンドル25に固定され、同時に主軸チェック弁A11とホルダチェック弁B4が接続されて弁が開放される。
図2及び
図3に示すように、スピンドル25にテーパーシャンク31が装着された状態で主軸筒23(つまり主軸筒23の一部をなすブラケット46)とホルダ22の間には常時わずかな隙間が形成される。
図3に示すように、主軸筒23とホルダ22が第2の作動油供給部において接続されていない状態では、主軸チェック弁B39はコイルばね39eによって付勢されているスリーブ39cが進出している。この状態ではスリーブ39cの内側面とロッド39b先端外周がOリング39dを介して密着することとなり、シリンダ41からは主軸チェック弁11で密閉された状態とされ作動油は漏れない。
一方、ホルダ22側のホルダ流体通路B48内のホルダチェック弁B40はロッド40bがコイルばね40dに付勢されて進出し、ケース40a内周のOリング40cに密着することとなり、ホルダ流体通路B48はホルダチェック弁B40で密閉された状態とされ同様に作動油は漏れない。
また、このとき、ピストン42先端が干渉しないためスピンドル25に装着されたホルダ2はスピンドル25とともに回転可能である。そのため、例えばホルダ2先端に加工工具を取着している場合にはスピンドル25を回転させて加工工具を使用することができる。また、例えば第2の作動油供給部を作動させてホルダ2先端の図示しないチャック機構によってワークを把捉している場合には、位置決め凹部50にピストン42先端の差し込み部42aを任意の位相で固定するようにスピンドル25位置を制御し、それによってワークの向きを変更して加工させることができる。
【0032】
これに対し、
図4に示すように、主軸筒23とホルダ22が第2の作動油供給部において接続されている状態は、つまり主軸筒23からの作動油がホルダ22側に供給されてその作動油の圧力でホルダ側の機構を操作することが可能となる。第2の作動油供給部の接続動作は例えば次のように実行される。
まず、ホルダ22に対して主軸筒23の位置決めが実行される。ホルダ22が未だスピンドル25側に接続されていない段階で、かつホルダ22とスピンドル25との軸心が一致している状態で、主軸筒23のピストン42の位置(つまり主軸チェック弁B39の位置)に対応するホルダ22のホルダチェック弁B40の位置をホルダ22が装着されているスピンドル25の回転量との関係で決定し、スピンドル25を回転させて主軸チェック弁B39とホルダチェック弁B40を対向配置させる。
この状態でホルダ22をスピンドル25側に接続させると(つまり、第1の作動油供給部が接続状態となると)、キー35がキー溝36に嵌挿され、スピンドル25が周方向に回転できないようにロックされることとなる。
次いで、ピストン用通路45aに作動油が供給されピストン42を進出方向に移動させ、ピストン42の差し込み部42aを凹部49に嵌挿させる。これによって、主軸筒23側とホルダ22が接続状態となる。同時に主軸チェック弁B39がホルダチェック弁B40に当接させられる。
すると、主軸チェック弁B39のスリーブ39cがコイルばね39eの付勢力に抗して後退し(つまり主軸筒23方向に移動し)、ホルダチェック弁B40のロッド40bがコイルばね40dの付勢力に抗して後退する(つまりホルダ2方向に移動する)。これによって主軸21側の作動油がホルダ22側に供給されることとなり、その作動油の圧力でホルダ側の機構を操作することができる。作動油はクーラントに比べて粘度が高いため、クーラントを使用する場合に比べてホルダ22側の機構に強い把持力を発揮させることができる。また、作動油を下流に伝達することができる。
【実施の形態3】
【0033】
図6及び
図7に基づいて、実施の形態3の主軸51とホルダ52の組み合わせについて説明する。
実施の形態3は実施の形態2のバリエーションである。実施の形態2の第2の作動油供給部を構成する主軸チェック弁B39、ホルダチェック弁B40等における接続方向が上下方向であったのが、実施の形態3では他の方向(具体的には水平方向)であることが基本的な相違である。以下では、実施の形態2とは異なる構成について詳しく説明し重複する記載については図面上同じ符号を付すことでその詳しい説明は省略する。尚、各図は断面図であるがハッチングは省略されている。
実施の形態3では本発明に特化した主軸51とホルダ52の連結部分周辺を中心に説明する。主軸51は主軸筒53と、主軸筒53にベアリング54によって支持されたスピンドル55を備えている。スピンドル55は主軸筒53に対して図示しない回転機構によって高速回転させられることとなる。
【0034】
スピンドル55内部に形成された円形の内周面となるハウジング56内の中央には押引棒としてのドローバー57が配設されている。ドローバー57の周方向に形成された複数の凹部58内には内外に揺動可能にレバー59の基部がそれぞれ収容されている。ドローバー57の内部には主軸流体通路A60が形成され、主軸流体通路A60内には実施の形態1の主軸チェック弁11と同様の構成の主軸チェック弁A11が配設されている。主軸流体通路A60内には作動油が封入されており、主軸チェック弁A11はその蓋の役割を果たしている。実施の形態3では主軸チェック弁A11については実施の形態1の主軸チェック弁11と同じ構成については同じ符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0035】
ホルダ52の先端のスピンドル55に連結される部分はBTタイプのテーパーシャンク61とされている。テーパーシャンク61の中央にはホルダ流体通路A62が形成されている。テーパーシャンク31のホルダ流体通路A62の開口部位置、つまりテーパーシャンク61の上端位置にはプルスタッド63が装着されている。プルスタッド63は先端が膨出した形状の頭部63aを有し、内部中央位置には長手方向に沿ってホルダ流体通路A32に連通する小通路A64が形成されている。小通路A34内には実施の形態1のホルダチェック弁17と同様のホルダチェック弁A17が配設されている。ホルダ流体通路A62及び小通路A64内には作動油が封入されており、ホルダチェック弁A17はその蓋の役割を果たしている。実施の形態2ではホルダチェック弁A17については実施の形態1のホルダチェック弁17と同じ構成については同じ符号を付し、その詳しい説明は省略する。
主軸51側のスピンドル55とホルダ52との間にはスピンドル55に対するホルダ52の回転方向(周方向)の位相位置をロックするためのキーセットが設けられている。キーセットはスピンドル55側のキー65とホルダ22側のキー溝66とから構成されている。
【0036】
図6及ぶ
図7に示すように、第2の作動油供給部は主軸筒23側に形成されているチェック弁移動機構67と、チェック弁移動機構67からの油圧を受ける第2の作動油供給部を構成する主軸チェック弁B39と、ホルダ22に形成されたホルダチェック弁B40を備えている。主軸チェック弁B39とホルダチェック弁B40の構成は実施の形態2と同一であるため説明を省略する。チェック弁移動機構67もシリンダ41、ピストン42、ガイド43と実施の形態2と同一であるため説明を省略する。主軸筒53に取り付けられたブラケット68にはシリンダ41に接続される3つの通路B69,70a,70bが形成されている。主軸流体通路B69はピストン42で封鎖された上方のハウジング内に作動油を供給する。ピストン用通路70a,70bはそれぞれに供給される作動油の圧力を調整することでピストン42を進退させる。実施の形態3ではピストン42は水平方向に進退する。つまり、主軸チェック弁B39は水平方向に進退する。
ホルダ52のテーパーシャンク61寄りの側面に開口するようにホルダ流体通路B71が形成されている。ホルダ流体通路B71内にはホルダチェック弁B40が配設されている。ホルダ流体通路B71には実施の形態2の凹部49と同様の凹部72が形成されている。ホルダ22の外周面であってホルダ流体通路B71が開口されている位置と同一水平面上には実施の形態2の位置決め凹部50と同じ形状の位置決め凹部73が形成されている。
【0037】
次に上記のように構成される実施の形態3の作用について説明する。実施の形態3の作用も実施の形態2と同様に図示しないコントローラのシーケンス制御によって実行される。スピンドル55からテーパーシャンク61へ作動油を供給する第1の作動油供給部の作用は実施の形態3も実施の形態1と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。
簡単にスピンドル55へのテーパーシャンク61の装着動作を説明する。実施の形態3ではテーパーシャンク61側のプルスタッド63がスピンドル55側のドローバー57に当接する際に、ドローバー57が上昇する(後退する)ことでレバー59の係合部59aがプルスタッド63の頭部63aに係合し、ドローバー57の上昇に伴ってスピンドル55方向に引き寄せられる。これによってテーパーシャンク61がスピンドル25に固定され、同時に主軸チェック弁A11とホルダチェック弁A17が接続されて弁が開放される。
実施の形態3における第2の作動油供給部の作用は接続部分が水平方向において行われる以外は同様であるため説明を省略する。このような構成によって実施の形態2と同様の効果が奏される。
【実施の形態4】
【0038】
図8に基づいて、実施の形態4のホルダ75について説明する。
実施の形態4のホルダ75は実施の形態2で示されるホルダ22のバリエーションである。実施の形態4のホルダ75は、実施の形態2のホルダ22と同様の第1の作動油供給部側の構造を有し、ホルダ22と異なり第2の作動油供給部側の構造を有していない例である。実施の形態4ではホルダ75の具体的な把持機構の構造やその作用について説明する。以下では実施の形態2のホルダ22とは異なる構成について詳しく説明し、重複する記載については図面上ホルダ22と同じ符号を付すことで詳しい説明は省略する。尚、
図8は断面図であるがハッチングは省略されている。
ホルダ75はシャンク13とホルダ本体76を備えている。ホルダ本体76の下部位置には工作物を把持するための把持機構として3つの爪から構成された把持装置77が配設されている(図示では1つの爪だけを示している)。ホルダ本体76内部にはシリンダ78が形成されており、シリンダ78内にはピストン79が上下方向にスライド移動可能に配設されている。本実施の形態4のシリンダ78は単動シリンダである。ピストン79とシリンダ78の底面との間にはコイルばね80が配設され、ピストン79はコイルばね80によって常時上方に付勢されている。シリンダ78はホルダ流体通路A32に連通されており、シリンダ78のハウジング内及び通路A32内には作動油が封入されている。ピストン79にはレバー81が固着されている。レバー81はホルダ本体76内の図示しない伝達機構にピストン79が上下する際の駆動力を伝達する伝達部材とされている。
【0039】
このような構成ではホルダ75が主軸21に把捉されている状態において、ホルダ流体通路A32を介して作動油が供給されるとコイルばね80の付勢力によって上動位置に配置されているピストン79はその油圧力によってコイルばね80の付勢力に抗して下動するようになる。この移動によってレバー81が下動し、伝達機構を介して把持装置77が駆動される(爪が把持位置に移動する)。
ホルダ75をスピンドル25に把捉させた状態で第1の作動油供給部に注油すれば、把持装置77によって工作物を把持することができるため、スピンドル25を回転させて図示しない加工治具によって加工することができる。また、ホルダ75をスピンドル25から取り外してもホルダチェック弁A17からは作動油は漏れないため工作物は把持装置77に把持されたまま維持される。この際に作動油はクーラントに比べて粘度が高いため、クーラントを使用する場合に比べて把持装置77に強い把持力を発揮させることができる。そのため、旋削加工において、工作物等のずれや旋削抵抗を軽減することができる。尚、把持装置77の把持状態を解除する場合には作動油を逆流させてコイルばね80の付勢力によってピストン79を原位置に復帰させるようにする。
【実施の形態5】
【0040】
図9に基づいて、実施の形態5のホルダ85について説明する。
実施の形態5のホルダ2は実施の形態2で示されるホルダ22のバリエーションである。実施の形態5のホルダ85は実施の形態2のホルダ22と同様の第1及び第2の作動油供給部側の構造を有する例である。実施の形態5ではホルダ85の具体的な把持機構の構造やその作用について説明する。以下では実施の形態2のホルダ22とは異なる構成について詳しく説明し、重複する記載については図面上ホルダ22と同じ符号を付すことで詳しい説明は省略する。尚、
図9は断面図であるがハッチングは省略されている。
ホルダ85はシャンク13とホルダ本体86を備えている。ホルダ本体86の下部位置には工作物を把持するための把持機構として3つの爪から構成された把持装置87が配設されている(図示では1つの爪だけを示している)。ホルダ本体86内部にはシリンダ88が形成されており、シリンダ88内にはピストン89が上下方向にスライド移動可能に配設されている。本実施の形態5のシリンダ88は複動シリンダである。シリンダ78は上方でホルダ流体通路A32に連通されており、下方でホルダ流体通路B48に連通されている。シリンダ88のハウジング内及び通路A32,B48内には作動油が封入されている。ピストン89にはレバー91が固着されている。レバー91はホルダ本体86内の図示しない伝達機構にピストン89が上下する際の駆動力を伝達する伝達部材とされている。
【0041】
このような構成ではホルダ85が主軸21に把捉されている状態において、第1の作動油供給部側のホルダ流体通路A32を介して作動油を供給させることでピストン89を油圧力によって下動させることができる。一方、第2の作動油供給部側のホルダ流体通路B48を介して作動油を供給させることでピストン89を油圧力によって上動させることができる。この油圧によるピストン89の上下動によってレバー91も上下動し、伝達機構を介して把持装置87が駆動されることとなる(爪が把持位置と開放位置の間を移動する)。つまり、ピストン89を進退させることで把持装置87を自在に操作することが可能となる。
ホルダ85をスピンドル25に把捉させた状態で把持装置87によって工作物を把持しスピンドル25を回転させて図示しない加工治具によって加工することができる。また、把持装置87が駆動状態となっているホルダ75をスピンドル25から取り外してもホルダチェック弁A17,B40からは作動油は漏れないため工作物は把持装置87に把持されたまま維持されることとなる。この際に作動油はクーラントに比べて粘度が高いため、クーラントを使用する場合に比べて把持装置87に強い把持力を発揮させることができる。そのため、旋削加工において、工作物等のずれや旋削抵抗を軽減することができる。尚、把持装置87の把持状態を解除する場合には作動油を逆流させてピストン89を原位置に復帰させるようにする。
【実施の形態6】
【0042】
図10~
図13に基づいて、実施の形態6のホルダ95について説明する。
実施の形態6のホルダ95は実施の形態2で示されるホルダ22のバリエーションである。実施の形態6のホルダ95は実施の形態2のホルダ22と同じ第2の作動油供給部側の構造を有し、ホルダ22と異なり第1の作動油供給部側の構造を有していない例である。実施の形態6ではホルダ95の具体的な把持機構の構造やその作用について説明する。以下では実施の形態2のホルダ22とは異なる構成について詳しく説明し、重複する記載については図面上ホルダ22と同じ符号を付すことで詳しい説明は省略する。尚、各図は断面図であるがハッチングは省略されている。
ホルダ95の先端に固着されたプルスタッド33には主軸チェック弁A11がない。そのため、このホルダ95に対応する図示しない主軸のスピンドルも主軸チェック弁のないものが使用される。但し、実施の形態6はホルダチェック弁B40を備える構成であるため、図示しない主軸は対応する主軸チェック弁B39を備える必要がある。つまり、図示はしないが実施の形態6ではホルダチェック弁B40を使用するためにはホルダ95と対応する主軸は実施の形態2のような第2の作動油供給部を備えている。
【0043】
ホルダ95はシャンク13とホルダ本体96を備えている。ホルダ本体96の下部位置には工作物Wを把持するための把持機構としてコレットチャック97が配設されている。ホルダ本体96内部には上下方向に重複状に2つのシリンダ98,99が形成されている。第1のシリンダ98及び第2のシリンダ98は隔壁100によって区画されている。上側に配設された第1のシリンダ98内にはピストン101が上下方向にスライド移動可能に配設されている。第1のシリンダ98及びピストン101によって第1のシリンダ装置が構成されている。ピストン101と隔壁100間にはコイルばね102が配設され、ピストン101はコイルばね102によって常時上方に付勢されている。プルスタッド33及びシャンク13内にはクーラント用通路103が形成されており、第1のシリンダ98の上部ハウジングに接続されている。ホルダ流体通路B48は延設されて第1のシリンダ98の下部ハウジングに接続されている。
下側に配設された第2のシリンダ99内にはピストン105が上下方向にスライド移動可能に配設されている。第2のシリンダ99及びピストン105によって第2のシリンダ装置が構成されている。ピストン105と隔壁100の間にはコイルばね106が配設され、ピストン105はコイルばね106によって常時下方に付勢されている。延設されたホルダ流体通路B48は途中で分岐して第2のシリンダ99の下部ハウジングと接続されている。
ピストン105の下方に延出された脚部分はレバー107としてその下端がコレットチャック97の駆動機構に連結されている。ピストン105はもっとも下動した状態ではコレットチャック97が閉じて工作物Wは把持されない状態である(
図11の状態)。
ピストン105が上動することでコレットチャック97は拡開されて把持状態となる(
図12、
図13の状態)。ピストン105が上位置にあるほどコレットチャック97の拡開量は増えてより強く工作物Wを把持する。シリンダ98,99のハウジング内及びB48内には作動油が封入されている。また、クーラント用通路103内にはクーラントが封入されている。
【0044】
次に上記のように構成される実施の形態6の作用について説明する。実施の形態6の作用も実施の形態2等と同様に図示しないコントローラのシーケンス制御によって実行される。
実施の形態6のホルダ95は図示しない主軸に把捉され、主軸チェック弁B39とホルダチェック弁B40が接続されることでホルダ流体通路B48内に作動油が供給され、その圧力でコレットチャック97が作動する。
図10はホルダ流体通路B48内に作動油が供給されておらず(つまり、加圧されておらず)ピストン105が未だ上動していない状態である。また、第1のシリンダ98へもクーラントが未だ供給されておらずピストン101が下動していない状態である(以下、ピストン101、ピストン105のこのような位置状態をP状態とする)。尚、大気圧以上の圧力がピストン101、ピストン105に与えられていたとしてもコイルばね102,106の付勢力に抗して動き出さない限りP状態が維持される。)。
図11に示すように、この段階でリング状の工作物Wの穴にコレットチャック97が配置される。この状態では工作物Wとコレットチャック97の間にはわずかに隙間があり未だ把持されていない状態である。
【0045】
次いで、ホルダ流体通路B48内に作動油が供給されることで、ホルダ流体通路B48内の油圧が上昇し、ピストン105がコイルばね106の付勢力に抗して上動する。
図12はピストン105が上動してコレットチャック97が拡開され工作物Wが把持された状態である。把持する力はピストン105の上動に比例し、ピストン105の上動量は作動油の油圧力に比例する。ピストン101、ピストン105のこのような位置状態をQ状態とする。Q状態では主軸チェック弁B39とホルダチェック弁B40の接続を解除してもホルダチェック弁B40から作動油が漏れることはなく工作物Wの把持状態が維持される。尚、コレットチャック97を閉鎖する場合には作動油を逆流させてピストン105を原位置に復帰させる。
次に増圧について説明する。
Q状態から第1のシリンダ98へクーラントが供給されると第1のシリンダ98の上部ハウジング内の圧力が上昇し、ピストン101が下動していく。これによってピストン101によってホルダ流体通路B48内部に封入されている作動油の圧力が高まり、ピストン105を上動させることとなる。ピストン101、ピストン105のこのような位置状態をR状態とする。
図13はQ状態からピストン101が下動し、それに応じてピストン105がわずかに上動してコレットチャック97の拡開する力が増大して工作物Wがより強く把持されてR状態を示している。
また、P状態において第1のシリンダ98へクーラントを供給するとピストン101の下動にともなってホルダ流体通路B48内部の作動油の圧力が高まり、ピストン105を上動させ、もってコレットチャック97を拡開させることができる。このような拡開状態は図示はないが例えば
図11においてわずかにピストン101が下動し、わずかにピストン105が上動した状態となる。この場合には作動油による圧力がないため強い力ではないが、把持した工作物Wを加工するには適さないが、例えば工作物Wの位置決めのための加工前の予備的な把持や工作物Wを回転させて位相を変えるような位置の調整には特に適する。
【0046】
実施の形態6では次のような効果が奏される。
(1)基本的に第1のシリンダ98及び第2のシリンダ98の協同によってコレットチャック97に強い保持力を付与することができるため、強い力でワークWを保持することができる。
(2)主軸チェック弁B39とホルダチェック弁B40が接続されて油圧が供給されることで、コレットチャック97が作動して工作物を把持することができる。その際に、主軸チェック弁B39との接続を解除してもホルダチェック弁B40から作動油が漏れないためコレットチャック97の把持力が保持されることとなる。主軸チェック弁B39とホルダチェック弁B40との接続が解除されることでコレットチャック97を作動させた状態で主軸に対してホルダ95を任意の位相状態で装着することができる。つまり、上記実施の形態2の段落0031の記載のように、ワークWを保持したままワークWの向きを変更して加工することができる。
この際に作動油はクーラントに比べて粘度が高いため、クーラントを使用する場合に比べてコレットチャック97に強い把持力を発揮させることができる。そのため、旋削加工において、工作物等のずれや旋削抵抗を軽減することができる。
(3)クーラント用通路103からクーラントが供給されるとその加圧力によって第1のシリンダ98側のピストン101が下降し、ホルダ流体通路B48内の圧力を増加させることができ、コレットチャック97の把持力を追加的に向上させることができる。
(4)ホルダチェック弁B40側からの作動油の圧力がない(つまり無圧又は、無圧に近い状態)、あるいは十分ではなく第2のシリンダ99のピストン105が上動していない状態であっても、プルスタッド33側からクーラントを供給して第1のシリンダ98のピストン101を下動させることでコレットチャック97を作動させることができる。
【実施の形態7】
【0047】
図14に基づいて、実施の形態7のホルダ111について説明する。
実施の形態7のホルダ111は実施の形態1のホルダ2及び実施の形態2で示されるホルダ22の構造を備えたそれらのバリエーションである。実施の形態7のホルダ111は実施の形態1のホルダ2と同様の第1の作動油供給部側の構造を有し、実施の形態2のホルダ22と同様の第2の作動油供給部側の構造を有する例である。実施の形態7ではホルダ111の具体的な把持機構の構造やその作用について説明する。以下では実施の形態1のホルダ2と実施の形態2のホルダ22とは異なる構成について詳しく説明し、重複する記載については図面上ホルダ2,22と同じ符号を付すことで詳しい説明は省略する。尚、
図14は断面図であるがハッチングは省略されている。
ホルダ111はホルダ本体112を有している。ホルダ本体112の下方中央位置にはコレットチャック113が配設され、コレットチャック113を挟むようにホルダ本体112の下方両側位置にクランプ装置114が配設されている。コレットチャック113は第2の把持機構に相当し、クランプ装置114は第1の把持機構に相当する。
【0048】
ホルダ本体112内の中央位置には第1のシリンダ115が配設され、第1のシリンダ115の両側位置には第2のシリンダ116が配設されている。第1のシリンダ115内にはピストン117が上下方向にスライド移動可能に配設されている。ピストン117とシリンダ115の天井面との間にはコイルばね118が配設され、ピストン117はコイルばね118によって常時下方に付勢されている。ピストン117の下方に延出された脚部分はレバー119としてその下端がコレットチャック113の駆動機構に連結されている。
第2のシリンダ116内にはピストン120が上下方向にスライド移動可能に配設されている。ピストン120とシリンダ116の底面との間にはコイルばね121が配設され、ピストン120はコイルばね121によって常時上方に付勢されている。ピストン120の下方に延出された脚部分はクランプ装置114のリンク機構を作動させるレバー119としてその下端がクランプ装置114に連結されている。
ホルダ流体通路15はホルダ本体112内部に配管された第1の作動油供給通路123に連結されている。第1の作動油供給通路123はシリンダ116内のピストン120上部ハウジングに接続されている。ホルダ流体通路B48はホルダ本体112内部に配管された第2の作動油供給通路124に連結されている。第2の作動油供給通路124はシリンダ116内のピストン117下部ハウジングに接続されている。
【0049】
このような構成の実施の形態7では、ホルダ流体通路15からの作動油の供給によってクランプ装置114を作動させることができ、ホルダ流体通路B48からの作動油の供給によってコレットチャック113を作動させることができる。作動油はクーラントに比べて粘度が高いため、クーラントを使用する場合に比べてコレットチャック113やクランプ装置114に強い把持力を発揮させることができる。そのため、旋削加工において、工作物等のずれや旋削抵抗を軽減することができる。
このような構成であると、工作物Wを内側又は外側のいずれか一方のみで把持することができ、しっかりと把持する場合には内側と外側の両方から把持するようにすることができる。また、ホルダ流体通路B48から作動油を供給させた後に主軸チェック弁B39とホルダチェック弁B40の接続を解除するとコレットチャック113を作動させた状態のままでスピンドルを回転させることができる。そして、再び接続して作動油の圧力を低下あるいは逆流させることでクランプ装置114を解除することができる。コレットチャック113側もチェック弁移動機構11とホルダチェック弁17を接続した状態で作動油の圧力を低下あるいは逆流させることで解除できる。
【実施の形態8】
【0050】
図15に基づいて、実施の形態8の中継ホルダ125について説明する。
実施の形態8の中継ホルダ125は実施の形態1のホルダ2及び実施の形態2のホルダ22の構造を備えたバリエーションである。実施の形態8の中継ホルダ125は実施の形態1のホルダ2と同様の第1の作動油供給部側の構造を有し、実施の形態2のホルダ22と同様の第2の作動油供給部側の構造を有する例である。実施の形態8の中継ホルダ125は主軸から離間した位置に配置された把持機構に主軸側の作動油を供給して把持機構を動作させるための部材である。
以下では実施の形態1のホルダ2及び実施の形態2のホルダ22と異なる構成について詳しく説明し、重複する記載については図面上ホルダ2,22と同じ符号を付すことで詳しい説明は省略する。尚、
図15は断面図であるがハッチングは省略されている。
中継ホルダ125はホルダ本体127を有している。ホルダ本体127には長尺に形成された円筒部128が形成されている。ホルダ本体127及び円筒部128内にはホルダ流体通路129が形成されている。円筒部128先端には主軸チェック弁B39が配設されている。
【0051】
スピンドル5から離間した図示しないテーブルに把持台126が配設されている。把持台126には実施の形態2のホルダ流体通路B48が形成され、ホルダ流体通路B48内にはホルダチェック弁B40が配設されている。
中継ホルダ125はスピンドル5側のハウジング6内においてクランプ爪8によって上端側が固定され、主軸チェック弁11とホルダチェック弁17が11接続されている。中継ホルダ125は下端側において把持台126側のホルダ流体通路B48内のホルダチェック弁B40に主軸チェック弁B39(主軸チェック弁B39は中継ホルダ125に配設されているが、実施の形態2と同様の名称で統一する)が接続されている。
把持台126上部の中央位置には支柱130に支持された工作物Wが配設されている。工作物Wを挟む両側位置にはシリンダ131が配設されている。本実施の形態8のシリンダ131は単動シリンダである。シリンダ131内にはピストン132が上下方向にスライド移動可能に配設されている。ピストン132とシリンダ131の底面との間にはコイルばね133が配設され、ピストン132はコイルばね133によって常時下方に付勢されている。ピストン132の上方に延出された脚部分はクランプ装置135のリンク機構を作動させるレバー136としてその上端がクランプ装置135に連結されている。
ホルダ流体通路B48は把持台126内部に配管された作動油供給通路137に連結されている。作動油供給通路137はクランプ装置132のシリンダ131の下部ハウジングに接続されている。
【0052】
このような構成の実施の形態8では、ホルダ流体通路129からの作動油の供給によって、ピストン132をコイルばね133の付勢力に抗して上動し、クランプ装置135を作動させる。一旦、クランプ装置131を作動させた後は、主軸チェック弁B39の接続を解除しても(中継ホルダ125を把持台126から取り外しても)維持され、ホルダチェック弁B40から作動油が漏れることなく供給された作動油の油圧の圧力が減衰せずに、維持されてクランプ装置132の把持機能が維持されることとなる。この際に作動油はクーラントに比べて粘度が高いため、クーラントを使用する場合に比べてクランプ装置135に強い把持力を発揮させることができる。そのため、旋削加工において、工作物等のずれや旋削抵抗を軽減することができる。
クランプ装置131を解除する際は主軸チェック弁B39とホルダチェック弁B40を接続し、作動油の圧力を低下あるいは逆流させ所定以下としてコイルばね133を復帰させる。
このような構成であると、スピンドル5の作動油を利用して主軸から離間した位置にある把持機構を作動させることができる。
【実施の形態9】
【0053】
図16に基づいて、実施の形態9の中継ホルダ140について説明する。
実施の形態9の中継ホルダ140は実施の形態8のバリエーションである。また、把持機構としては実施の形態7のバリエーションである。実施の形態9のホルダ141は実施の形態2のホルダ22と同様の第1及び第2の作動油供給部側の構造を有する例である。実施の形態9の中継ホルダ140は実施の形態8と同様に主軸から離間した位置に配置された把持機構に主軸側の作動油を供給して把持機構を動作させるための部材である。
以下では実施の形態2のホルダ22と異なる構成について詳しく説明し、重複する記載については図面上ホルダ22と同じ符号を付すことで詳しい説明は省略する。尚、
図16は断面図であるがハッチングは省略されている。
中継ホルダ140はホルダ本体141を有している。第1の作動油供給部側のホルダ流体通路A32と連通する第1のホルダ流路143の下端と、第2の作動油供給部側のホルダ流体通路B48と連通する第2のホルダ流路144の下端(つまり、ホルダ本体141の下端)には、それぞれ第1の中継チェック弁A145と第2の中継チェック弁B146が配設されている。第1及び第2の中継チェック弁A145,B146の構成・構造は主軸チェック弁B39と同じであるため詳しい説明は省略する。中継ホルダ140は複数の流路を有する複式の流体通路を有するホルダである。
【0054】
中継ホルダ140の下方であってスピンドル25からオフセットした位置には把持台142が配設されている。把持台142上には第1のシリンダ147が配設され、第1のシリンダ147の両側位置には第2のシリンダ148が配設されている。本実施の形態9のシリンダ147,148は単動シリンダである。第1のシリンダ147内にはピストン149が上下方向にスライド移動可能に配設されている。ピストン149とシリンダ147の底面との間にはコイルばね150が配設され、ピストン149はコイルばね150によって常時上方に付勢されている。ピストン149の上方に延出された脚部分はレバー151としてその上端がコレットチャック152の駆動機構に連結されている。コレットチャック152は第2の把持機構に相当する。
第2のシリンダ148内にはピストン154が上下方向にスライド移動可能に配設されている。ピストン154とシリンダ148の天井面との間にはコイルばね155が配設され、ピストン154はコイルばね155によって常時下方に付勢されている。ピストン154の上方に延出された脚部分はクランプ装置156のリンク機構を作動させるレバー157としてその下端がクランプ装置156に連結されている。クランプ装置156は第1の把持機構に相当する。
把持台142内部には第1の把持台流体通路158と第2の把持台流体通路159が配設されている。第1及び第2の中継チェック弁A158,B159の構成はホルダチェック弁B40と同じであるため詳しい説明は省略する。
把持台142の上面であって、コレットチャック152やクランプ装置156等の把持機構の側方には第1及び第2の把持台流体通路158,159の開口部が形成されている。開口部にはそれぞれ第3の中継チェック弁A160と第4の中継チェック弁B161が配設されている。
第1の把持台流体通路158はシリンダ148内のピストン154下部ハウジングに接続されている。第2の把持台流体通路159はシリンダ149内のピストン151上部ハウジングに接続されている。
中継チェック弁A160を接続し、作動油の圧力を低下あるいは逆流させ所定以下としてコイルばね155を復帰させる。コレットチャック152を解除する際は第2の中継チェック弁B146と第4の中継チェック弁B161を接続し、作動油の圧力を低下あるいは逆流させ所定以下としてコイルばね150を復帰させる。
【0055】
このような構成の実施の形態9では、第1の把持台流体通路158からの作動油の供給によってクランプ装置156を作動させることができ、第2の把持台流体通路159からの作動油の供給によってコレットチャック152を作動させることができる。
このような構成であると、工作物Wを内側又は外側のいずれか一方のみで把持することができ、しっかりと把持する場合には内側と外側の両方から把持するようにすることができる。また、把持した状態は中継ホルダ140を把持台147から取り外しても維持されることとなる。この際に作動油はクーラントに比べて粘度が高いため、クーラントを使用する場合に比べてコレットチャック152やクランプ装置156に強い把持力を発揮させることができる。そのため、旋削加工において、工作物等のずれや旋削抵抗を軽減することができる。
クランプ装置156を解除する際は第1の中継チェック弁A145と第3の中継チェック弁A160を接続し、作動油の圧力を低下あるいは逆流させ所定以下としてコイルばね155を復帰させる。コレットチャック152を解除する際は第2の中継チェック弁B146と第4の中継チェック弁B161を接続し、作動油の圧力を低下あるいは逆流させ所定以下としてコイルばね150を復帰させる。
【0056】
上記実施の形態は本発明の原理およびその概念を例示するための具体的な実施の形態として記載したにすぎない。つまり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明は、例えば次のように変更した態様で具体化することも可能である。以下は多数のバリエーションの一例である。
・例えば、チェック弁は上記チェック弁11,17,39,40以外の構成のものを使用してもよい。また、例えば、ホルダやスピンドル等も上記以外の形態で実施してもよい。ホルダをスピンドルに把捉させる機構も上記以外の機構で実施してもよい。例えば、プルスタッド以外の被把捉部材を用いてもよい。例えば、ドローバー以外の把捉部材を用いてもよい。また、ホルダのシャンク形状も自由に変更可能であり、例えば実施の形態1のHSKタイプを実施の形態2や3等に適用してもよく、また逆でもよい。
・上記以外の把持機構を使用したり、上記実施の形態で例示したある把持機構を他のある実施の形態に適用してもよい。
・例えば実施の形態5におけるホルダ85は第1の作動油供給部はホルダチェック弁A17が装着されていたが、ホルダチェック弁A17をなくして実施の形態6のような単なるクーラントを供給する通路で構成するようにしてもよい。
・例えば実施の形態6におけるホルダ95は第1の作動油供給部側はチェック弁を有していない構成を例示したが、第1の作動油供給部側にチェック弁を備える構成としてもよい。
・実施の形態6における2つのシリンダ装置(シリンダ98,99、ピストン101,105等)の構成や配置は一例である。例えばシリンダ98,99を上下に重ねるのではなく左右に配置させてもよい。例えば、ピストン101,105の進退方向を変えたりしてもよい。例えば、把持機構を他の種類に変えてもよい。
・実施の形態6における第1の作動油供給部と第2の作動油供給部がそれぞれ作動油を供給するコレットチャック113とクランプ装置114は逆でもよい。
・実施の形態8ではホルダ5のハウジング6内に装着されるシャフト13の先端のホルダチェック弁11によって作動油を把持台126に供給していたが、例えば実施の形態2のようなホルダ22を用いてもよく、その場合にはホルダチェック弁A11からでもホルダチェック弁B39からでも、作動油を供給することが可能である。
・実施の形態9の中継ホルダ140の一方のホルダチェック弁A17(B40)のいずれかをなくし、なくした側の流路からクーラントを供給するようにしてもよい。
【0057】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成には限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、工作機械や工具等のホルダなどを製造販売する産業や工作物を機械加工する産業などで利用される。
【符号の説明】
【0059】
1,21,51…主軸、5,25,55…スピンドル、2,22,52、75,85,95,111,125、140…ホルダ、9…主軸流体通路、15…ホルダ流体通路、30,60…主軸流体通路A、32,62…ホルダ流体通路A、44,48…主軸流体通路B、48,71…ホルダ流体通路B、11…主軸チェック弁、11…主軸チェック弁A、17…ホルダチェック弁、17…ホルダチェック弁A、39…主軸チェック弁B、40…ホルダチェック弁B、11c…弁体としてのスリーブ、17b,39b,40b…弁体としてのロッド。