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特許7279281トルクリミッタ、開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】トルクリミッタ、開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 7/02 20060101AFI20230516BHJP
   F16H 35/10 20060101ALI20230516BHJP
   F16H 55/06 20060101ALI20230516BHJP
   F16D 41/20 20060101ALI20230516BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20230516BHJP
   A47K 13/10 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
F16D7/02 F
F16H35/10 A
F16H35/10 H
F16H55/06
F16D41/20 A
H02K7/116
A47K13/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019064165
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020165452
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518092207
【氏名又は名称】尼得科儀器(浙江)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】岩下 浩之
(72)【発明者】
【氏名】石水 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】銭 一君
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114128(JP,A)
【文献】特開2002-089592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 7/02
F16D 41/20
F16H 35/10
F16H 55/06
A47K 13/10
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1歯車部、および前記第1歯車部の軸線方向の一方側に位置する軸部を備える第1歯車部材と、
前記軸部が貫通した状態で当該軸部に固定された筒状部材と、
自然長における内径寸法が前記筒状部材の外径寸法よりも小さく、前記筒状部材の外周面に取り付けられた金属製のコイルバネと、
前記コイルバネの外周側で当該コイルバネと隙間を開けて対向する筒部、前記筒部の外周面に設けられた第2歯車部、および前記筒部において前記第2歯車部とは異なる位置に設けられた第1スリットおよび第2スリットを備える第2歯車部材と、
結合部材と、を有し、
前記コイルバネの一方端は、径方向の外側に突出して前記第1スリットに挿入され、
前記コイルバネの他方端は、径方向の外側に突出して前記第2スリットに挿入され、
前記第1スリットの周方向の幅および前記第2スリットの周方向の幅は、前記コイルバネの直径のよりも長く、
前記コイルバネの一方端が周方向で対向して前記第1スリットを規定する前記筒部の一対の第1スリット内壁面の一方に前記コイルバネの一方端が当接したときに、前記コイルバネの他方端が周方向で対向して前記第2スリットを規定する前記筒部の一対の第2スリット内壁面の双方から離間し、
前記第2歯車部材は、前記筒部の前記軸線方向の一方側の端縁から内周側に突出する環状部を備え、
前記軸部は、前記環状部を貫通して前記軸線方向の一方側に突出する突出部分を備え、
前記筒状部材は、前記軸線方向の他方側から前記環状部に当接し、
前記突出部には、前記結合部材が取り付けられており、
前記環状部は、前記筒状部材と前記結合部材とによって前記軸線方向の両側から挟まれていることを特徴とするトルクリミッタ。
【請求項2】
前記筒状部材は、金属製であることを特徴とする請求項1に記載のトルクリミッタ。
【請求項3】
前記第1歯車部材と前記筒状部材との相対回転を防止する回り止め機構を有し、
前記第1歯車部材は、前記第1歯車部と前記軸部との間に外周側に突出する鍔部を備え、前記回り止め機構は、前記筒状部材の前記軸線方向の他方側に設けられた被係止部と、前記鍔部に設けられて前記被係止部に係止される係止部と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のトルクリミッタ。
【請求項4】
前記第1歯車部材は、前記鍔部および前記軸部を備える樹脂製のホルダと、前記第1歯車部を備え前記ホルダに同軸に固定された金属製の歯車部材と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のトルクリミッタ。
【請求項5】
前記筒部は、小径筒部分と、前記小径筒部分の前記軸線方向の一方側に位置し当該小径筒部分よりも外径寸法が大きい大径筒部分と、前記小径筒部分と前記大径筒部分との間で前記軸線方向の他方側を向く環状面と、前記環状面から前記軸線方向の他方側に突出する第1壁部および第2壁部と、を有し、
前記第1スリットおよび前記第2スリットは、前記小径筒部分に設けられ、
前記第2歯車部は、前記大径筒部分に設けられ、
前記第1壁部は、前記第1スリットの外周側に位置し、
前記第2壁部は、前記第2スリットの外周側に位置することを特徴とする請求項3または4に記載のトルクリミッタ。
【請求項6】
前記筒部は、小径筒部分と、前記小径筒部分の前記軸線方向の一方側に位置し当該小径筒部分よりも外径寸法が大きい大径筒部分と、を有し、
前記第1スリットおよび前記第2スリットは、前記小径筒部分に設けられ、
前記第2歯車部は、前記大径筒部分に設けられ、
前記第1歯車部材は、前記鍔部の外周縁から前記軸部の側に突出する環状突部を備え、
前記環状突部は、前記小径筒部分を外周側から囲んで当該小径筒部分に接触することを特徴とする請求項3または4に記載のトルクリミッタ。
【請求項7】
前記第1スリットと前記第2スリットとは、同一のスリットであることを特徴とする請求項1からのうちのいずれか一項に記載のトルクリミッタ。
【請求項8】
モータと、
開閉部材が接続される出力軸と、
前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、を有し、
前記伝達機構は、駆動力を伝達する伝達経路の途中に、請求項1からのうちのいずれか一項に記載のトルクリミッタを備えることを特徴とする開閉部材駆動装置。
【請求項9】
請求項に記載の開閉部材駆動装置を有し、
前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする便蓋開閉ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクリミッタ、トルクリミッタを備える開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレユニットの便蓋を開閉する開閉部材駆動装置は特許文献1に記載されている。特許文献1の開閉部材駆動機構は、モータと、便蓋などの開閉部材が接続される出力軸と、モータの駆動力を出力軸に伝達する伝達機構と、を備える。また、開閉部材駆動機構は、伝達機構による駆動力の伝達経路の途中に、トルクリミッタを備える。
【0003】
同文献では、伝達機構の2番歯車にトルクリミッタが構成されている。すなわち、2番歯車は、大径歯車が形成されたカップ状の第1回転部材と、小径歯車が形成された第2回転部材と、第1回転部材と第2回転部材との間に構成されたトルクリミッタを備える。第1回転部材は、円筒状胴部の外周面に大径歯車を備え、円筒状胴部の内周面に、三角形状の凹部が周方向で繰り返し連続して形成されたセレーション部を備える。第2回転部材は、小径歯車が形成された第1筒部と、第1筒部の軸線方向に隣り合う第2筒部とを備える。第2筒部の外周面には、周方向の3個所から周方向の同一方向に延在する弾性変形部が設けられている。弾性変形部の先端には、第1回転部材の凹部に食い込む凸部が形成されている。トルクリミッタは、通常時は、第1回転部材の凹部と第2回転部材の凸部との係合により、第2回転部材と第1回転部材とが一体に回転する。第1回転部材に過大な負荷が加わった場合には、弾性変形部が変形して、凸部が周方向で隣接する凹部に移動する。これにより、第1回転部材と第2回転部材との間で、回転の伝達が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-221105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のトルクリミッタは、過大な負荷が加わった場合に第2回転部材の弾性変形部の凸部と、凹凸が連続して形成された第1回転部材の内周面と、が摺接する。従って、第1回転部材の凸部と、第2回転部材の凹凸の内周面とが摩耗しやすいという問題がある。第1回転部材と第2回転部材との摺動部分が摩耗すると、トルクリミッタが伝達可能なトルクが低下する場合がある。
【0006】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、伝達可能なトルクが低下することを防止或いは抑制できるトルクリミッタを提供することにある。また、かかるトルクリミッタを備える開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のトルクリミッタは、第1歯車部、および前記第1歯車部の軸線方向の一方側に位置する軸部を備える第1歯車部材と、前記軸部が貫通した状態で当該軸部に固定された筒状部材と、自然長における内径寸法が前記筒状部材の外径寸法よりも小さく、前記筒状部材の外周面に取り付けられた金属製のコイルバネと、前記
コイルバネの外周側で当該コイルバネと隙間を開けて対向する筒部、前記筒部の外周面に設けられた第2歯車部、および前記筒部において前記第2歯車部とは異なる位置に設けられた第1スリットおよび第2スリットを備える第2歯車部材と、結合部材と、を有し、前記コイルバネの一方端は、径方向の外側に突出して前記第1スリットに挿入され、前記コイルバネの他方端は、径方向の外側に突出して前記第2スリットに挿入され、前記第1スリットの周方向の幅および前記第2スリットの周方向の幅は、前記コイルバネの直径のよりも長く、前記コイルバネの一方端が周方向で対向して前記第1スリットを規定する前記筒部の一対の第1スリット内壁面の一方に前記コイルバネの一方端が当接したときに、前記コイルバネの他方端が周方向で対向して前記第2スリットを規定する前記筒部の一対の第2スリット内壁面の双方から離間し、前記第2歯車部材は、前記筒部の前記軸線方向の一方側の端縁から内周側に突出する環状部を備え、前記軸部は、前記環状部を貫通して前記軸線方向の一方側に突出する突出部分を備え、前記筒状部材は、前記軸線方向の他方側から前記環状部に当接し、前記突出部には、前記結合部材が取り付けられており、前記環状部は、前記筒状部材と前記結合部材とによって前記軸線方向の両側から挟まれていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第2歯車部材が回転すると、第1スリットに挿入されたコイルバネの一方端に一対の第1スリット内壁面の一方が当接する。これにより、コイルバネは、一方の第1スリット内壁面によって周方向に押されるので、第2歯車部材と一体に回転する。また、コイルバネは締め付けられた状態で筒状部材に取り付けらえているので、コイルバネが回転すると、第1歯車部材がコイルバネと一体に回転する。よって、第1歯車部材は第2歯車部材と一体に回転する。ここで、第1歯車部材と第2歯車部材との間に過大な負荷がかかった場合には、すなわち、第1歯車部材と第2歯車部材との間にコイルバネが筒状部材を締め付けている力よりも大きい過大な負荷がかかった場合には、第1歯車部材と第2歯車部材とが相対回転を開始する。これにより、コイルバネの一方端が一対のスリット内壁面のいずれかよって周方向に押されると、コイルバネは解ける方向に緩む。この結果、筒状部材がコイルバネに対して滑り出すので、第1歯車部材と第2歯車部材との間で、駆動力の伝達が遮断される。すなわち、トルクリミッタが機能する。また、このようにすれば、第1歯車部材と第2歯車部材とを回転可能に結合することが容易となる。
【0009】
ここで、コイルバネは金属製である。従って、コイルバネは、筒状部材に摺接しても、摩耗が少ない、また、筒状部材は外周面に凹凸を備える必要がないので、コイルバネが筒状部材に摺接したときに、凸部を備える部材と凹凸面を備える部材とが摺接する場合と比較して、筒状部材の摩耗は少ない。よって、摺接する部材の摩耗に起因して、トルクリミッタが伝達可能なトルクが低下することを防止或いは抑制できる。
【0010】
本発明において、前記筒状部材は、金属製であることが望ましい。このようにすれば、筒状部材の摩耗を抑制できる。
【0011】
本発明において、前記第1歯車部材と前記筒状部材との相対回転を防止する回り止め機構を有し、前記第1歯車部材は、前記第1歯車部と前記軸部との間に外周側に突出する鍔部を備え、前記回り止め機構は、前記筒状部材の前記軸線方向の他方側に設けられた被係止部と、前記鍔部に設けられて前記被係止部に係止される係止部と、を備えるものとすることができる。このようにすれば、第1歯車歩合と筒状部材とが相対回転することを確実に防止できる。
【0012】
本発明において、前記第1歯車部材は、前記鍔部および前記軸部を備える樹脂製のホルダと、前記第1歯車部を備え前記ホルダに同軸に固定された金属製の歯車部材と、を備えるものとすることができる。このようにすれば、第1歯車部材に負荷が加わった場合に、第1歯車部が破損することを防止できる。
【0013】
本発明において、前記筒部は、小径筒部分と、前記小径筒部分の前記軸線方向の一方側に位置し当該小径筒部分よりも外径寸法が大きい大径筒部分と、前記小径筒部分と前記大径筒部分との間で前記軸線方向の他方側を向く環状面と、前記環状面から前記軸線方向の他方側に突出する第1壁部および第2壁部と、を有し、前記第1スリットおよび前記第2スリットは、前記小径筒部分に設けられ、前記第2歯車部は、前記大径筒部分に設けられ、前記第1壁部は、前記第1スリットの外周側に位置し、前記第2壁部は、前記第2スリットの外周側に位置するものとすることができる。このようにすれば、第1スリットの外周側に設けた第1壁部と、第2スリットの外周側に設けた第2壁部とによって、第2歯車
部材の剛性を高めることができる。従って、外部から負荷がかかった場合に、第2歯車部材の破損を防止できる。
【0014】
本発明において、前記筒部は、小径筒部分と、前記小径筒部分の前記軸線方向の一方側に位置し当該小径筒部分よりも外径寸法が大きい大径筒部分と、を有し、前記第1スリットおよび前記第2スリットは、前記小径筒部分に設けられ、前記第2歯車部は、前記大径筒部分に設けられ、前記第1歯車部材は、前記鍔部の外周縁から前記軸部の側に突出する環状突部を備え、前記環状突部は、前記小径筒部分を外周側から囲んで当該小径筒部分に接触するものとすることができる。このようにすれば、第1スリットおよび第2スリットが設けられた小径筒部分を第1歯車部材の環状突部が外周側から支持する。従って、外部から負荷がかかった場合に、第2歯車部材の破損を防止できる。
【0016】
本発明において、前記第1スリットと前記第2スリットとは、同一のスリットとすることもできる。すなわち、筒部に一つのスリットを設けて、トルクリミッタを構成することができる。
【0017】
次に、本発明の開閉部材駆動ユニットは、モータと、開閉部材が接続される出力軸と、前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、を有し、前記伝達機構は、駆動力を伝達する伝達経路の途中に、上記のトルクリミッタを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、開閉部材を介して出力軸に過大な力が入力された場合には、トルクリミッタが機能して、駆動力の伝達を切断する。従って、外部からの力によって、伝達機構が破損することを防止できる。
【0019】
また、本発明の便蓋開閉ユニットは、上記の開閉部材駆動装置を有し、前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、トイレユニットの使用者が便蓋を操作することによって、便蓋を介して開閉部材駆動装置の出力軸に過大な力が入力された場合には、トルクリミッタが機能して、駆動力の伝達を切断する。従って、外部からの力によって、開閉部材駆動装置の伝達機構が破損することを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トルクリミッタが機能する際に、コイルバネが筒状部材に対して滑り、コイルバネと筒状部材とが摺接する。ここで、コイルバネは金属製なので、筒状部材と摺接したときに、摩耗が少ない、また、筒状部材は外周面に凹凸を備える必要がないので、コイルバネが筒状部材に摺接した場合でも、凸部を備える部材と凹凸面を備える部材とが摺接する場合と比較して、筒状部材の摩耗は少ない。従って、摺接する部材の摩耗に起因して、トルクリミッタが伝達可能なトルクが低下することを防止或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】開閉部材駆動装置の外観斜視図である。
図2】便蓋開閉ユニットの説明図である。
図3】開閉部材駆動装置の断面図である。
図4】開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
図5】モータ、伝達機構、出力軸を第1方向の他方側から見た場合の斜視図である。
図6】モータ、伝達機構、出力軸を第1方向の一方側から見た場合の斜視図である。
図7】出力軸、出力歯車、第1コイルバネおよび第2コイルバネを第1方向の他方側から見た場合の分解斜視図である。
図8】出力軸、出力歯車、第1コイルバネおよび第2コイルバネを第1方向の一方側から見た場合の分解斜視図である。
図9】中間ケースを第1方向の一方側から見た場合の斜視図である。
図10】トルクリミッタを備える第1歯車の斜視図である。
図11】第1歯車の断面図である。
図12】第1歯車を第1方向の他方側から見た場合の分解斜視図である。
図13】第1歯車を第1方向の一方側から見た場合の分解斜視図である。
図14】トルクリミッタの動作の説明図である。
図15】変形例1のトルクリミッタの説明図である。
図16】変形例2のトルクリミッタの説明図である
図17】変形例3のトルクリミッタの説明図である
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の便蓋開閉ユニットの実施の形態を説明する。
【0024】
(全体構成)
図1は、開閉部材駆動装置の外観斜視図である。図2は、便蓋開閉ユニットの説明図である。図3は、開閉部材駆動装置の断面図である。図4は、開閉部材駆動装置の分解斜視図である。図5は、モータ、伝達機構および出力軸を軸線方向の他方側から見た場合の斜視図である。図6は、モータ、伝達機構および出力軸を軸線方向の一方側から見た場合の斜視図である。図7は、出力軸、出力歯車、第1コイルバネおよび第2コイルバネを軸線方向の他方側から見た場合の分解斜視図である。図8は、出力軸、出力歯車、第1コイルバネおよび第2コイルバネを軸線方向の一方側から見た場合の分解斜視図である。図9は、中間ケースを軸線方向の一方側から見た場合の斜視図である。
【0025】
図1に示す開閉部材駆動装置1は、蓋や扉などの開閉部材を回動させて開閉する。便蓋開閉ユニット3は、開閉部材駆動装置1に、開閉部材としてトイレユニット200の便蓋201が接続されたものである。より具体的には、図2に示すように、トイレユニット200は、便器本体202、便座203、便蓋201、およびタンク204を有する。便蓋201は、タンク204の側の端部分が開閉部材駆動装置1の出力軸7に連結される。便蓋201は、出力軸7の回転により、平伏して便器本体202に被さる閉位置と、便器本体202から立ち上がる開位置と、の間を移動する。なお、トイレユニット200に第2の開閉部材駆動装置1を設け、第2の開閉部材駆動装置1の出力軸7に、開閉部材として、便座203を連結することもできる。
【0026】
開閉部材駆動装置1は、図3に示すように、モータ6と、便蓋201が接続される出力軸7と、モータ6の駆動力を出力軸7に伝達する伝達機構8と、モータ6および伝達機構8を収容するケース9と、を有する。
【0027】
出力軸7は、ケース9のケース開口部10から突出する突出部分11と、ケース9に収容された基部12と、を備える。出力軸7の突出部分11には、便蓋201の端部が接続される。従って、開閉部材駆動装置1は、片持ち状態で便蓋201を開閉する。図1に示すように、ケース9は、出力軸7の軸線Lに沿った方向から見た場合に、一方向に細長い
形状を備える。出力軸7は、ケース9における長手方向の端部分からケース9の外側に突出する。
【0028】
ここで、以下の説明では、互いに直交する3方向を、第1方向Z、第2方向Yおよび第3方向Xとする。第1方向Zは、出力軸7の軸線Lに沿った軸線方向であり、第2方向Yはケース9の長手方向であり、第3方向Xは、ケース9の短手方向である。また、第1方向Zにおいて、ケース9が位置する側を第1方向Zの一方側Z1、出力軸7が突出している側を第1方向Zの他方側Z2とする。
【0029】
ケース9は樹脂製である。図1に示すように、ケース9は、第2方向Yに平行に延びる第1側壁13および第2側壁14を備える。また、ケース9は、第3方向Xに延びて第2側壁14の一方側の端を接続する第3側壁15を備える。さらに、ケース9は、第2方向Yの他方側の端を接続する第4側壁16を備える。第4側壁16は、第1側壁13と第2側壁14との間が第2方向Yの他方側に突出する形状を備える。
【0030】
また、ケース9は、図1図3に示すように、第1方向Zに沿って配列された第1ケース21、中間ケース22および第2ケース23を備える。第1ケース21は中間ケース22の第1方向Zの一方側Z1に位置し、第2ケース23は中間ケース22の第1方向Zの他方側Z2に位置する。
【0031】
図4に示すように、第1ケース21は、底壁部25と、底壁部25の外周縁から第1方向Zの他方側Z2に延びる枠部26とを備える。枠部26は、ケース9の第1側壁13、第2側壁14、第3側壁15、および第4側壁16の第1方向Zの端側部分を構成する。第1ケース21にはモータ6が固定されている。モータ6は、モータ本体28と、モータ本体28から突出する回転軸27と、モータ本体28から回転軸27とは反対側に突出する一対のモータ端子29を備える。出力軸7は、モータ本体28の第1方向Zの他方側Z2に位置する。回転軸27は、出力軸7の軸線Lと交差する方向を向く。本例では、回転軸27は、出力軸7の軸線Lと直交する方向を向く。また、回転軸27は、第1方向Zから見た場合に、第2方向Y(ケース9の長手方向)に対して傾斜している。回転軸27の先端は、軸受部材30によって回転可能に支持されている。
【0032】
中間ケース22は、中間底部31と、中間底部31の外周縁から第1方向Zの他方側Z2に延びる中間枠部32とを備える。中間枠部32は、ケース9の第1側壁13、第2側壁14、第3側壁15、および第4側壁16の第1方向Zの中間部分を構成する。中間ケース22には、伝達機構8を構成する複数の歯車のうちの一部の歯車が収容されている。また、中間ケース22には、出力軸7の基部12が収容されている。
【0033】
中間ケース22における第2ケース23の側の端部分には、板状の補強部材35が固定されている。補強部材35は、ケース9よりも剛性が高い。本例において、補強部材35は、金属製である。補強部材35には、補強部材側開口部36が設けられている。補強部材側開口部36からは、出力軸7が第1方向Zの他方側Z2に突出する。また、補強部材35には、ポテンショメータ37が取り付けらえている。ポテンショメータ37は、第2方向Yにおいて、出力軸7とは反対側の端部分に位置する。
【0034】
第2ケース23は、板状であり、第1方向Zの他方側Z2から補強部材35に被せられて、中間ケース22に固定される。第2ケース23は、ケース9の第1側壁13、第2側壁14、第3側壁15、および第4側壁16の第1方向Zの他方側Z2の端部分を構成する。また、第2ケース23は、ケース9の第1方向Zの他方側Z2の端面を構成する。第2ケース23は、第1方向Zの他方側Z2から補強部材35を被う。出力軸7は、第2ケース23に設けられたケース開口部10から第1方向Zの他方側Z2に突出する。
【0035】
ここで、図5図6に示すように、伝達機構8は、モータ6から出力軸7に至る駆動力伝達経路の上流側から下流側に向かって、ウォーム38、第1歯車39、第2歯車40、第3歯車41、第4歯車42、および出力歯車43を備える。ウォーム38は、出力軸7の外周側に固定されている。ウォーム38および第1歯車39は第1ケース21内に位置する。第2歯車40、第3歯車41、第4歯車42、および出力歯車43は中間ケース22内に位置する。ウォーム38、第1歯車39、第2歯車40、第3歯車41、第4歯車42、および出力歯車43は、モータ6の駆動力を出力軸7に伝達する伝達経路を構成する。
【0036】
第1歯車39は、モータ6の回転軸27の第3方向Xの他方側X2に位置する。第1歯車39は、ウォーム38に噛合する第1大径歯車39aと、第1大径歯車39aと同軸で第1大径歯車39aよりも外径寸法が小さい第1小径歯車39bと、を備える。第1大径歯車39aは、第1小径歯車39bの第1方向Zの一方側Z1に位置する。第1歯車39は、第1方向Zに延びる第1支軸45に回転可能に支持されている。第1支軸45は、一方の端部分が第1ケース21の底壁部25に保持され、他方の端部分が中間ケース22の中間底部31に保持されている。図3に示すように、第1歯車39は、第1大径歯車39aと第1小径歯車39bとの間に駆動力の伝達を継断するトルクリミッタ46を備える。
【0037】
図5図6に示すように、第2歯車40は、第1小径歯車39bに噛合する第2大径歯車40aと、第2大径歯車40aと同軸で第2大径歯車40aよりも外径寸法が小さい第2小径歯車40bを備える。第2大径歯車40aは、第2小径歯車40bの第1方向Zの一方側Z1に位置する。第2大径歯車40aは、中間ケース22の中間底部31に設けられた中間ケース開口部33を介して第1小径歯車39bに噛合する(図3参照)。第2歯車40は、第1方向Zに延びる第2支軸48に回転可能に支持される。第2支軸48は、一方の端部分が中間ケース22の中間底部31に保持され、他方の端部分が補強部材35に保持されている。
【0038】
第3歯車41は、第2小径歯車40bに噛合する第3大径歯車41aと、第3大径歯車41aと同軸で第3大径歯車41aよりも外径寸法が小さい第3小径歯車41bを備える。第3大径歯車41aは、第3小径歯車41bの第1方向Zの一方側Z1に位置する。第3歯車41は、第1方向Zに延びる第3支軸49に回転可能に支持される。第3支軸49は、一方の端部分が中間ケース22の中間底部31に保持され、他方の端部分が第2ケース23に保持されている。第3支軸49は、補強部材35を貫通している。
【0039】
第4歯車42は、第3小径歯車41bおよび出力歯車43に噛合する平歯車である。第4歯車42と出力歯車43とは第2方向Yに配列されている。第4歯車42は、第2歯車40と同軸に配置されて、第2支軸48に回転可能に支持されている。図3に示すように、第2支軸48は、一方の端部分が中間ケース22に保持され、他方の端部分が補強部材35に保持されている。すなわち、中間ケース22の中間底部31は、第2歯車40および第4歯車42を支持する第2支軸48を保持する軸保持部34を備える。補強部材35は、第2歯車40および第4歯車42を支持する第2支軸48を保持する軸保持部47を備える(図9参照)。
【0040】
出力歯車43は、金属製である。出力歯車43には、出力軸7が同軸に固定されている。すなわち、図7図8に示すように、出力歯車43は、環状であり、その中心穴に出力軸7の基部12が挿入されている。出力歯車43の内周面には周方向に複数の凹部51が設けられており、出力軸7の基部12の外周面には、出力歯車43の内周面の凹部51に嵌る複数の凸部52が設けられている。これにより、出力歯車43と出力軸7とは、軸線L回りに相対回転不能な状態で、連結されている。
【0041】
ここで、伝達機構8は、第1コイルバネ53および第2コイルバネ54を備える。第1コイルバネ53は、出力歯車43の第1方向Zの一方側Z1に位置する。第1コイルバネ53は、中間ケース22の中間底部31に載せられている。第1コイルバネ53の第1方向Zの一方側Z1の端部分53aは、第1方向Zの一方側Z1に延びている。第1コイルバネ53の第1方向Zの一方側Z1の端部分53aは、中間ケース22の中間底部31に設けられた貫通穴55から第1方向Zの一方側Z1に突出し、第1ケース21に設けられた第1コイルバネ第1係止部56に係止されている(図4参照)。第1コイルバネ53の第1方向Zの他方側Z2の端部分53bは、第1方向Zの他方側Z2に延びており、出力歯車43の外周面に設けられた第1コイルバネ第2係止部57に係止可能に挿入される。第1コイルバネ第2係止部57は、出力歯車43の歯部に設けた切欠き部である。第1コイルバネ53の第1方向Zの他方側Z2の端部分53bは、出力歯車43に対して、周方向から可能である。第1コイルバネ53の断面は、矩形である。
【0042】
第2コイルバネ54は、第1コイルバネ53の内周側に位置する。第2コイルバネ54は、中間ケース22の中間底部31に載せられている。第2コイルバネ54は、出力軸7の第1方向Zの一方側Z1に位置する。第2コイルバネ54の第1方向Zの一方側Z1の端部分54aは、当該第2コイルバネ54の内周側に向かって延びており、中間ケース22の中板部に設けられた第2コイルバネ第1係止部58に係止されている(図9参照)。第2コイルバネ54の第1方向Zの他方側Z2の端部分54bは、第1方向Zの他方側Z2に延びており、出力軸7の第1方向Zの他方の端面に設けられた第2コイルバネ第2係止部59に係止されている(図8参照)。
【0043】
図3図9に示すように、出力軸7および出力歯車43は、中間ケース22の中間底部31から第1方向Zの他方側Z2に突出する支持部61によって回転可能に支持されている。図3に示すように、支持部61は、第1コイルバネ53および第2コイルバネ54の内周側に位置し、第1コイルバネ53および第2コイルバネ54よりも第1方向Zの他方側Z2に突出する。ここで、出力軸7は、第1方向Zの一方側Z1の端面に第1方向Zの他方側Z2に窪む円形凹部62を備えており、支持部61は、その先端部分が円形凹部62に挿入されている。支持部61の先端は、円形凹部62の底面(円形凹部62の第1方向Zの他方側Z2の円形内壁面)に接触する。
【0044】
また、出力歯車43は、補強部材35によって、回転可能に支持されている。すなわち、出力歯車43は、第1方向Zの他方側Z2の端部分に外周面に歯部を有さない環状部43aを備える。一方、補強部材35は、図3図4に示すように、補強部材側開口部36の外周縁部分に、出力歯車43の環状部43aを外周側から回転可能に支持する出力歯車受部65を備える。出力歯車受部65は、補強部材35における補強部材側開口部36の第1方向Zの他方側Z2に屈曲して延びる筒部である。出力歯車受部65は、例えば、バーリング加工により設けられる。ここで、図3に示すように、支持部61の第1方向Zの他方側Z2の端は、補強部材35の第1方向Zの一方側Z1の端面35aよりも第1方向Zの他方側Z2に位置する。
【0045】
さらに、出力軸7は、第2ケース23によって、回転可能に支持されている。すなわち、出力軸7は、ケース9の内側に位置する基部12における出力歯車43よりも第1方向Zの他方側Z2に円形外周面を有する被支持部68を備える。第2ケース23(ケース部分)は、ケース開口部10の外周縁部分に、出力軸7の支持部61を外周側から回転可能に支持する出力軸受部69を備える。出力歯車受部65は、第2ケース23におけるケース開口部10の第1方向Zの他方側Z2に屈曲して延びる筒部である。また、出力軸7は、被支持部68の第1方向Zの途中に環状溝70を備える。環状溝70には、Oリング71が取り付けられている。Oリング71は、径方向に圧縮された状態で、第2ケース23
の出力軸受部69と出力軸7との間を封止する。
【0046】
ここで、補強部材35は、第2方向Yにおける出力歯車受部65と軸保持部47との間で中間ケース22に固定されている。すなわち、図9に示すように、中間ケース22は、中間枠部32において、第2方向Yに平行に延びる第1枠部分32aおよび第2枠部分32bに、それぞれ内周側に突出する第1突部73および第2突部74を備える。第1突部73および第2突部74のそれぞれには、ねじ穴が設けられている。また、第1枠部分32aは第1突部73が設けられた位置に矩形の第1切欠き部32cを備える。第2枠部分32bは第2突部74が設けられた位置に矩形の第2切欠き部32dを備える。第2枠部分32bは、ケースの第2側壁14の一部を構成する部分である。第1突部73と第2突部74とは、第3方向Xで対向する。
【0047】
一方、図4に示すように、補強部材35は、第2方向Yにおける出力歯車受部65と軸保持部47との間に、第3方向Xの両側に突出する一対の突出部35b、35cを備える。各突出部35b、35cには貫通溝が設けられている。補強部材35は、第3方向Xの一方側X1の突出部35bが、第1枠部分32aの第1切欠き部32cに第1方向Zの他方側Z2から挿入されて、第1突部73に当接する。また、補強部材35は、第3方向Xの他方側X2の突出部35cが、第2枠部分32bの第2切欠き部32dに第1方向Zの他方側Z2から挿入されて第2突部74に当接する。そして、補強部材35は、第2ケース23を貫通し、さらに、突出部35bの貫通溝を貫通して第1突部73のねじ穴に捩じ込まれるねじ75により、中間ケース22に固定される。また、補強部材35は、第2ケース23を貫通し、さらに、突出部35cの貫通溝を貫通して第2突部74のねじ75穴に捩じ込まれるねじ75により、中間ケース22に固定される。補強部材35が中間ケース22に固定された状態で、補強部材35と第1枠部分32aとの間には、部分的に隙間76が設けられ、補強部材35と第2枠部分32bとの間には、部分的に隙間77が設けられている。すなわち、補強部材35がケース9に固定された状態で、補強部材35と第1側壁13との間には、互いに接触していない部分(隙間76)が設けられている。また、補強部材35と第2側壁14との間には、互いに接触しない部分(隙間77)が設けられている。
【0048】
次に、ポテンショメータ37は、図5に示すように、伝達機構8を構成する複数の歯車のうちのいずれかの歯車に噛合するポテンショ歯車81を備える。また、ポテンショメータ37は、図4に示すように、ポテンショ歯車81の回転角度位置を検出する検出部82を備える。ポテンショ歯車81は、補強部材35の第1方向Zの一方側Z1に位置して、第3歯車41の第3小径歯車41bに噛合する。検出部82は、検出部82は、基板83を介して補強部材35に固定される。ここで、基板83と一対のモータ端子29との間には、モータ6に電力を供給するための配線(不図示)が接続されている。基板83には配線およびポテンショメータ37に接続された複数の端子ピン86が固定されている。中間ケース22は、中間枠部32の第2方向Yの一方側Y1の端に、端子ピン保持部87を備える。
【0049】
(便蓋開閉ユニットの動作)
端子ピン86を介した電力の供給によってモータ6が正方向、或は、逆方向に、駆動されると、モータ6の駆動力が伝達機構8を介して出力軸7に伝達される。従って、出力軸7に固定された便蓋201は、図2に示すように、閉位置に向かう閉方向A、或は、開位置に向かう開方向Bに回転する。便蓋201が回転すると、ポテンショメータ37からは、便蓋201の回転角度位置に対応する信号が出力される。
【0050】
また、出力軸7に接続された便蓋201が閉方向Aに回転すると、第1コイルバネ53および第2コイルバネ54は、出力軸7を軸線L回りで開方向Bに回転させる付勢力を蓄
える。従って、第1コイルバネ53および第2コイルバネ54は、便蓋201を開方向Bに回転する際に、開方向Bに駆動される出力軸7を開方向Bに付勢するアシストバネして機能する。さらに、伝達機構8は、第1歯車39にトルクリミッタ46を備える。従って、便蓋201から出力軸7を介して伝達機構8に過大な負荷が加わった場合には、トルクリミッタ46が機能して、伝達機構8による駆動力の伝達を遮断する。これにより、外部からの過大な負荷に起因して、伝達機構8が破損することを防止する。
【0051】
(トルクリミッタ)
次に、トルクリミッタを詳細に説明する。図10は、トルクリミッタ46を備える第1歯車39の斜視図である。図11は、第1歯車39の断面図である。図12は第1歯車39を第1方向Zの他方側Z2から見た場合の分解斜視図である。図13は第1歯車39を第1方向Zの一方側Z1から見た場合の分解斜視図である。
【0052】
図12に示すように、第1歯車39は、第1小径歯車39bを有する第1歯車部材101と、第1歯車部材101に固定された筒状部材102と、筒状部材102に取り付けられたコイルバネ103と、備える。また、第1歯車39は、第1大径歯車39aを有する第2歯車部材104を備える。
【0053】
第1歯車部材101は、第1小径歯車39bを構成する第1歯車部110と、第1歯車部110の第1方向Zの一方側Z1に位置する軸部111と、第1歯車部110と軸部111との間において外周側に突出する鍔部112と、を備える。第1歯車部材101には、第1支軸45が貫通する。第1方向Zは、第1支軸45の軸線、すなわち、第1小径歯車39bの回転中心線と一致する。軸部111は、鍔部112の側から先端に向かって、大径軸部分111aと、大径軸部分111aよりも外径が小さい小径軸部分111bとを備える。大径軸部分111aと小径軸部分111bとの間には環状段部111cが設けられている。図12図13に示すように、大径軸部分111aの外周面には、周方向に複数の凹部107が設けられている。小径軸部分111bには、軸部環状溝113が設けられている。図13に示すように、鍔部112における第1方向Zの一方側Z1の端面には、鍔部環状溝114が設けられている。また、鍔部環状溝114の周方向の複数箇所には、鍔部環状溝114の内側において、鍔部環状溝114の底面から第1方向Zの一方側Z1に突出する係止突起115(係止部)が設けられている。
【0054】
ここで、第1歯車部材101は、鍔部112および軸部111を備える樹脂製のホルダ118と、第1歯車部110を備える金属製の歯車部材119と、を備える。歯車部材119は、ホルダ118に同軸に固定されている。すなわち、ホルダ118の第1方向Zの他方側Z2の端面には、歯車部材119が嵌る歯車部材固定穴118aが設けられており、歯車部材119は、その第1方向Zの一方側Z1の一部分が歯車部材固定穴118aに挿入されて、ホルダ118に固定されている。
【0055】
筒状部材102は、金属製である。図11に示すように、筒状部材102は、第1方向Zの一方端に内周側に延びる屈曲部102aを備える。また、筒状部材102は、図12図13に示すように、第1方向Zの他方側Z2の端に複数の切欠き部102b(被係止部)を備える。筒状部材102は、軸部111が貫通した状態で当該軸部111に固定される。筒状部材102が軸部111に固定された状態では、第1歯車部材101の鍔部112に設けられた係止突起115が、それぞれ切欠き部102bに嵌る。これにより、筒状部材102は、回転不能な状態で、第1歯車部材101の軸部111に固定される。すなわち、係止突起115と筒状部材102の切欠き部102bとは、第1歯車部材101と筒状部材102との相対回転を防止する回り止め機構120を構成する。
【0056】
図11に示すように、筒状部材102は、大径軸部分111aを外周側から覆う。筒状
部材102と軸部111とは、大径軸部分111aに形成された凹部107に充填された接着剤により、確実に固定される。筒状部材102が軸部111に固定された状態では、筒状部材102の屈曲部102aが、大径軸部分111aと小径軸部分111bとの間の環状段部111cに第1方向Zの一方側Z1から当接する。
【0057】
コイルバネ103は、金属製である。コイルバネ103は、自然長における内径寸法が筒状部材102の外径寸法よりも小さい。従って、コイルバネ103は、締め付けられた状態で、筒状部材102に取り付けられている。コイルバネ103の一方端103aおよび他方端103bは、互いに異なる角度位置から外周側に突出する。コイルバネ103の一方端103aおよび他方端103bは、第1方向Z(コイルバネ103の軸線方向)から見た場合に、周方向で離間する。
【0058】
図12に示すように、第2歯車部材104は、筒部121と、筒部121の外周面における第1方向Zの一方側Z1に設けられた第2歯車部122と、を備える。また、第2歯車部材104は、筒部121の第1方向Zの一方側Z1の端縁から内周側に突出する環状部123を備える。図13に示すように、環状部123は、内周側の端縁に第1方向Zの一方側Z1に突出する環状の突出部124を備える。
【0059】
第2歯車部122は、第1歯車39の第1大径歯車39aを構成する。より具体的には、図12に示すように、筒部121は、小径筒部分128と、小径筒部分128の第1方向Zの一方側Z1に位置し小径筒部分128よりも外径寸法が大きい大径筒部分129と、小径筒部分128と大径筒部分129との間で軸線L方向の他方側を向く環状面130と、を有する。小径筒部分128には、周方向で離間する2か所に第1スリット131および第2スリット132が設けられている。第1スリット131および第2スリット132の周方向の幅は、同一である。第1スリット131および第2スリット132は、第1スリット131および第2スリット132をZ2方向から切り欠いた切欠き部である。
【0060】
また、筒部121は、第1スリット131の外周側において、環状面130から第1方向Zの他方側Z2に突出する第1壁部134と、第2スリット132の外周外において、環状面130から第1方向Zの他方側Z2に突出する第2壁部135と、を備える。第1壁部134および第2壁部135の周方向の長さは、第1スリット131および第1スリット131の周方向の幅よりも長い。従って、第1壁部134は、第1スリット131を外周側から覆い、第2壁部135は、第2スリット132を外周側から覆う。
【0061】
第1歯車39を構成する際には、まず、第1歯車部材101に筒状部材102およびコイルバネ103が取り付けられる。次に、筒状部材102およびコイルバネ103が取り付けられた状態の軸部111が、第2歯車部材104の筒部121に挿入される。
【0062】
ここで、図11に示すように、軸部111が筒部121に挿入された状態では、筒部121は、コイルバネ103の外周側でコイルバネ103と径方向で隙間を開けて対向する。また、コイルバネ103の一方端103aが第1スリット131に挿入され、他方端103bが第2スリット132に挿入される。ここで、第1スリット131の周方向の幅および第2スリット132の周方向の幅は、コイルバネ103の直径のよりも長い。また、コイルバネ103の一方端103aが、周方向で対向して第1スリット131を規定する筒部121の一対の第1スリット内壁面131a、131bの一方に当接しているときに、コイルバネ103の他方端103bは、周方向で対向して第2スリット132を規定する筒部121の一対の第2スリット内壁面132a、132bの双方から離間する(後述する図14参照)。
【0063】
また、軸部111が筒部121に挿入された状態では、小径軸部分111bは、第2歯
車部材104の環状部123を貫通して第1方向Zの一方側Z1に突出する突出部分111dを備える。さらに、軸部111に固定された筒状部材102の屈曲部102aが、環状部123に第1方向Zの他方側Z2から当接する。
【0064】
ここで、軸部環状溝113は、突出部分111dに位置しており、軸部環状溝113には、結合部材137が取り付けられる。本例では結合部材137は、Eリングである。結合部材137が軸部環状溝113に取り付けられると、結合部材137は、環状部123の環状の突出部124に第1方向Zの一方側Z1から接触する。また、環状部123は、筒状部材102(屈曲部102a)と結合部材137とによって第1方向Zの両側から挟まれる。これにより、第1歯車部材101と第2歯車部材104とは相対回転可能な状態で結合される。
【0065】
(トルクリミッタの動作)
図14は、トルクリミッタ46の動作の説明図である。図14(a)は、第1歯車部材101が時計回りに回転する場合の説明図であり、図14(b)は、第1歯車部材101が反時計回りに回転する場合の説明図である。図14では、第1歯車39を第1支軸45と直交する方向に切断した状態を第1方向Zの他方側Z2から見た場合である。本例において、コイルバネ103は右巻きである。
【0066】
まず、モータ6からの駆動力が、ウォーム38を介して第1大径歯車39aで伝達されると、第2歯車部材104が回転する。第2歯車部材104が反時計回りCCW方向に回転した場合には、図14(a)に示すように、一対の第1スリット内壁面131a、131bのうちの一方の第1スリット内壁面131aが、第1スリット131に挿入されコイルバネ103の一方端103aに当接する。これにより、第1スリット内壁面131aがコイルバネ103を周方向に押すので、コイルバネ103は第2歯車部材104と一体に回転する。また、コイルバネ103が回転すると、当該コイルバネ103が締め付けられた状態で取り付けられている筒状部材102が回転するので、第1歯車部材101が反時計回りCCW方向に回転する。すなわち、第1歯車部材101が第2歯車部材104と一体に回転する。よって、モータ6の駆動力は、第1歯車39を経由して、出力軸7に伝達される。
【0067】
次に、第2歯車部材104が時計回りCW方向に回転した場合には、図14(b)に示すように、一対の第2スリット内壁面132a、132bのうちの他方の第2スリット内壁面132bが、第2スリット132に挿入されコイルバネ103の他方端103bに当接する。これにより、コイルバネ103がコイルバネ103を周方向に押すので、コイルバネ103は第2歯車部材104と一体に回転する。また、コイルバネ103が回転すると、コイルバネ103が締め付けられた状態で取り付けられている筒状部材102が回転するので、第1歯車部材101が時計回りCW方向に回転する。すなわち、第1歯車部材101が第2歯車部材104と一体に回転する。よって、モータ6の駆動力は、第1歯車39を経由して、出力軸7に伝達される。
【0068】
ここで、図2に示すように、便蓋201が開閉駆動装置によって閉方向Aに駆動されているときに、トイレユニット200の使用者によって便蓋201が閉方向Aに操作され、便蓋201が開閉駆動装置による移動速度よりも速い速度で閉方向Aに移動させられることがある。或は、便蓋201が開閉駆動装置によって開方向Bに駆動されているときに、使用者が開方向Bに操作され、便蓋201が開閉駆動装置による移動速度よりも速い速度で開方向Bに移動させられることがある。また、便蓋201が開閉駆動装置によって駆動されているときに、使用者によって、開閉駆動装置の駆動方向とは反対方向に便蓋201が移動させられることがある。
【0069】
このような場合には、便蓋201から出力軸7を介して伝達機構8に過大な負荷がかかる。外部から伝達機構8にかかる負荷が、コイルバネ103が筒状部材102を締め付けている巻締め力よりも大きい場合には、第1歯車部材101と第2歯車部材104とが相対回転を開始する。
【0070】
例えば、出力軸7を介して伝達機構8に入力された負荷によってコイルバネ103を巻き付けた第1歯車部材101が時計回りCW方向に回転すると、図14(a)に示すように、コイルバネ103の一方端103aが、周方向の一方側の第1スリット内壁面131aに当接した状態となる。このとき、コイルバネ103の他方端103bは、第2スリット内壁面132a、132bには当接していない。
【0071】
ここで、伝達機構8にかかる負荷が巻き締め力よりも大きい場合には、第1歯車部材101と第2歯車部材104とが相対回転を開始する。この結果、コイルバネ103の一方端103aが一方の第1スリット内壁面131aによって第1歯車部材101の回転方向とは反対の反時計回りCCW方向に押されて、コイルバネ103が解ける方向に緩む。これにより、筒状部材102がコイルバネ103に対して滑り出すので、第1歯車部材101と第2歯車部材104との間で、駆動力の伝達が遮断される。従って、外部から過大な負荷が加わった場合に、伝達機構8およびモータ6が破損することを防止できる。
【0072】
また、出力軸7を介して伝達機構8に入力された負荷によってコイルバネ103を巻き付けた第1歯車部材101が反時計回りCW方向に回転すると、図14(b)に示すように、コイルバネ103の他方端103bが、周方向の他方側の第2スリット内壁面132bに当接した状態となる。このとき、コイルバネ103の一方端103aは、第1スリット内壁面131a、131bには当接しない。
【0073】
ここで、伝達機構8にかかる負荷が巻き締め力よりも大きい場合には、第1歯車部材101と第2歯車部材104とが相対回転を開始する。この結果、コイルバネ103の他方端103bが第2スリット内壁面132bによって第1歯車部材101の回転方向とは反対の時計回りCW方向に押されて、コイルバネ103が解ける方向に緩む。これにより、第1歯車部材101および筒状部材102がコイルバネ103に対して滑り出すので、第1歯車部材101と第2歯車部材104との間で、駆動力の伝達が遮断される。従って、外部から過大な負荷が加わった場合に、伝達機構8およびモータ6が破損することを防止できる。
【0074】
(作用効果)
本例では、トルクリミッタ46が機能する際に、コイルバネ103が筒状部材102に対して滑り、コイルバネ103と筒状部材102とが摺接する。この際に、コイルバネ103は金属製なので、筒状部材102と摺接したときに、摩耗が少ない、また、筒状部材102は外周面に凹凸を備える必要がないので、コイルバネ103が筒状部材102に摺接した場合でも、凸部を備える部材と凹凸面を備える部材とが摺接する場合と比較して、筒状部材102の摩耗は少ない。従って、摺接する部材の摩耗に起因して、トルクリミッタ46が伝達可能なトルクが低下することを防止或いは抑制できる。
【0075】
また、本例では、第1スリット131の周方向の幅および第2スリット132の周方向の幅は、コイルバネ103の直径のよりも長い。そして、コイルバネ103の一方端103aが第1スリット131を規定する筒部121の一対の第1スリット内壁面131a、131bの一方に当接したときに、コイルバネ103の他方端103bは第2スリット132を規定する筒部121の第2スリット内壁面132a、132bの双方から離間する。これにより、外部からかかる負荷により第1歯車部材101が回転する方向に拘わらず、トルクリミッタ46を機能させることができる。
【0076】
ここで、トルクリミッタ46において、互いに摺接するコイルバネ103と筒状部材102とは金属製であり、これらを樹脂製とした場合と比較して、放熱性が高い。従って、コイルバネ103と筒状部材102とが摺接した場合でも、これらの温度の上昇を抑制できる。よって、温度変化に起因して、トルクリミッタ46が伝達するトルクが変化することを抑制できる。
【0077】
さらに、本例のトルクリミッタ46では、コイルバネ103を筒状部材102に締め付ける巻き締め力を調節することにより、トルクリミッタ46が伝達するトルクを調節できる。
【0078】
また、トルクリミッタ46は、第1歯車部材101と筒状部材102との相対回転を防止する回り止め機構120を有する。従って、第1歯車部材101と筒状部材102とが相対回転することを確実に防止できる。
【0079】
さらに、本例では、第1歯車部材101は、鍔部112および軸部111を備える樹脂製のホルダ118と、第1歯車部110を備えホルダ118に同軸に固定された金属製の歯車部材119と、を備える。従って、第1歯車部材101に負荷が加わった場合に、第1歯車部110が破損することを防止できる。
【0080】
また、第2歯車部材104は、筒部121に設けた第1スリット131の外周側に第1壁部134を備え、第2スリット132の外周側に第2壁部135を備える。従って、第2歯車部材104の剛性を高めることができる。これにより、第2歯車部材104の破損を防止できる。
【0081】
さらに、便蓋開閉ユニット3によれば、トイレユニット200の使用者が便蓋201を操作することにより、開閉部材駆動装置1の出力軸7から大な力が入力された場合には、トルクリミッタ46が機能して、駆動力の伝達を切断する。従って、外部からの力によって、開閉部材駆動装置1の伝達機構8が破損することを防止できる。
【0082】
(変形例)
なお、上記の例では、コイルバネ103として、右巻きのコイルバネを採用しているが、左巻のコイルバネを採用してもよい。この場合にも、上記のトルクリミッタ46と同様の作用効果を得ることができる。ただし、この場合には、コイルバネ103の一方端103aが一対の第1スリット内壁面131a、131bに当接する際の第1歯車部材101の回転方向および第2歯車部材104の回転方向が上記の例とは反対になる。また、コイルバネ103の他方端103bが一対の第2スリット内壁面132a、132bに当接する際の第1歯車部材101の回転方向および第2歯車部材104の回転方向が上記の例とは反対になる。
【0083】
図15は、変形例1のトルクリミッタの説明図である。変形例1のトルクリミッタ46Aでは、第2歯車部材104の筒部121(小径筒部分128)に設ける第1スリット131と第2スリット132とは、同一のスリット141である。すなわち、第2歯車部材104の筒部121には、第1スリット131と第2スリット132として、一つのスリット141を設ける。図15に示すように、本例においても、コイルバネ103の一方端103aがスリット141を規定する一対のスリット内壁面141a、141bの一方に当接したときに、コイルバネ103の他方端103bはスリット141を規定するスリット内壁面141a、141bの双方から離間する。また、コイルバネ103の他方端103aがスリット141を規定する一対のスリット内壁面141a、141bの一方に当接したときに、コイルバネ103の一方端103bはスリット141を規定するスリット内
壁面141a、141bの双方から離間する。
【0084】
トルクリミッタ46Aにおいても、上記のトルクリミッタ46と同様の作用効果を得ることができる。
【0085】
図16は、変形例2のトルクリミッタ46Bの説明図である。なお、トルクリミッタ46Bを備える第1歯車39Aは、上記の第1歯車39と対応する構成を備えるので、対応する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0086】
本例では、第1歯車部材101は、鍔部112の外周縁から第1方向Zの一方側Z1(軸部の側)に突出する環状突部145を備える。また、環状突部145は、第1スリット131および第2スリット132が設けられた第2歯車部材104の小径筒部分128を外周側から囲んで当該小径筒部分128に外周側から接触する。一方、第2歯車部材104は、第1壁部134および第2壁部135を備えていない。本例によれば、第1スリット131と第2スリット132が設けられた小径筒部分128を、第1歯車部材101の環状突部145が外周側から支持するので、第2歯車部材104の破損を防止できる。
【0087】
図17は、変形例3のトルクリミッタの説明図である。なお、変形例3のトルクリミッタ46Cを備える第1歯車39Bは、上記の第1歯車39と対応する構成を備えるので、対応する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0088】
本例のトルクリミッタ46Cでは、第1スリット131と第2スリット132とが、第2歯車部材104の筒部121(小径筒部分128)に開口部として設けられている。また、第2歯車部材104は、第1壁部134および第2壁部135を備えていない。
【0089】
本例によれば、第1スリット131および第2スリット132を小径筒部分128に開口部として設けたので、第1スリット131および第2スリット132を切欠き部として設けた場合と比較して、第2歯車部材104の剛性が高い。従って、第2歯車部材104の破損を防止或いは抑制できる。なお、第2歯車部材104に、第1壁部134および第2壁部135を備えてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…開閉部材駆動装置、3…便蓋開閉ユニット、6…モータ、7…出力軸、8…伝達機構、9…ケース、10…ケース開口部、11…突出部分、12…基部、13…第1側壁、14…第2側壁、15…第3側壁、16…第4側壁、21…第1ケース、22…中間ケース、23…第2ケース、25…底壁部、26…枠部、27…回転軸、28…モータ本体、29…モータ端子、30…軸受部材、31…中間底部、32…中間枠部、32a…第1枠部分、32b…第2枠部分、32c…第1切欠き部、32d…第2切欠き部、33…中間ケース開口部、34…軸保持部、35…補強部材、35a…端面、35b,35c…突出部、36…補強部材側開口部、37…ポテンショメータ、38…ウォーム、39,39A…第1歯車、39a…第1大径歯車、39b…第1小径歯車、40…第2歯車、40a…第2大径歯車、40b…第2小径歯車、41…第3歯車、41a…第3大径歯車、41b…第3小径歯車、42…第4歯車、43…出力歯車、43a…環状部、45…第1支軸、46,46A,46B…トルクリミッタ、47…軸保持部、48…第2支軸、49…第3支軸、50…円形凹部、51…凹部、52…凸部、53…第1コイルバネ、53a…第1コイルバネの一方側の端部分、53b…第1コイルバネの他方側の端部分、54…第2コイルバネ、54a…第2コイルバネの一方側の端部分、54b…第2コイルバネの他方側の端部分、55…貫通穴、56…第1コイルバネ第1係止部、57…第1コイルバネ第2係止部、58…第2コイルバネ第1係止部、59…第2コイルバネ第2係止部、61…支持部、62…円形凹部、65…出力歯車受部、68…被支持部、69…出力軸受部、70…
環状溝、71…Oリング、73…第1突部、74…第2突部、76…隙間、77…隙間、81…ポテンショ歯車、82…検出部、83…基板、86…端子ピン、87…端子ピン保持部、101…第1歯車部材、102…筒状部材、102a…屈曲部、102b…切欠き部(被係止部)、103…コイルバネ、103a…一方端、103b…他方端、104…第2歯車部材、107…凹部、110…第1歯車部、111…軸部、111a…大径軸部分、111b…小径軸部分、111c…環状段部、111d…突出部分、112…鍔部、114…鍔部環状溝、115…係止突起(係止部)、118…ホルダ、118a…歯車部材固定穴、119…歯車部材、120…回り止め機構、121…筒部、122…第2歯車部、123…環状部、124…突出部、128…小径筒部分、129…大径筒部分、130…環状面、131…第1スリット、131a,131b…第1スリット内壁面、132…第2スリット、132a,132b…第2スリット内壁面、132a…一対の第2スリット内壁面、132b…第2スリット内壁面、134…第1壁部、135…第2壁部、137…結合部材、141…スリット、141a,141b…スリット内壁面、145…環状突部、200…トイレユニット、201…便蓋、202…便器本体、203…便座、204…タンク、X…第3方向(ケースの短手方向)、Y…第2方向(ケースの長手方向)、Z…第1方向(軸線方向)
図1
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