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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/537 20060101AFI20230516BHJP
   A61F 13/505 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A61F13/537 210
A61F13/505 100
A61F13/537 220
A61F13/537 330
A61F13/537 310
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018244495
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020103527
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】水口 克
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-538020(JP,A)
【文献】特開2002-355271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0143316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/537
A61F 13/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側に配置される液透過性トップシート、非肌当接面側に配置される液透過性バックシート、及び前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体を有する吸収性物品であって、
前記トップシートと前記吸収体との間に第1開孔フィルムを備え、
前記吸収体と前記バックシートとの間に第2開孔フィルムを備え、
前記第1開孔フィルムにおいて、前記トップシート側の開孔径が、前記吸収体側の開孔径より大きく、
前記第2開孔フィルムにおいて、前記吸収体側の開孔径が、前記バックシート側の開孔径より大きく、
平面視において、前記第1開孔フィルムの面積が、前記吸収体の面積に対して80%以上100%以下であり、前記第2開孔フィルムの面積が、前記第1開孔フィルムの面積に対して30%以上70%以下である吸収性物品。
【請求項2】
前記第1開孔フィルム及び前記第2開孔フィルムは、いずれも、開孔径が0.3mm以上1.5mm以下であり、かつ開孔数が50個/cm以上である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1開孔フィルムの、前記トップシート側の開孔径と前記吸収体側の開孔径との差の絶対値が、0.03mm以上0.15mm以下であり、かつ
前記第2開孔フィルムの、前記吸収体側の開孔径と前記バックシート側の開孔径との差の絶対値が、0.03mm以上0.15mm以下である請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第2開孔フィルムの前記吸収体側の開孔数が、前記第1開孔フィルムの前記トップシート側の開孔数に対して30%以上70%以下である請求項1から3いずれか1項記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第2開孔フィルムの前記吸収体側の開孔径が、前記第1開孔フィルムの前記トップシート側の開孔径に対して30%以上70%以下である請求項1から4いずれか1項記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第2開孔フィルムの前記吸収体側の開孔率が、前記第1開孔フィルムの前記トップシート側の開孔率に対して30%以上70%以下である請求項1から5いずれか1項記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1開孔フィルムと前記吸収体の間に、液拡散性シートを備えた請求項1から6いずれか1項記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
軽失禁パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等の吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シートの間に配置された吸収体と、で構成されている。これにより、尿等の体液は、トップシートを通って吸収体に吸収され、バックシートにより外部へ漏れないようになっている。
また、トップシートとバックシートの両方が液透過性であり、両面から尿等が吸収可能である吸収性物品も開発されている。
このような吸収性物品には、体液の吸収性の向上、着用者の装着感の向上、漏れ防止等を図るために、様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面と裏面の両方の面から尿等を吸収可能な吸収性物品として、吸収層の両面に不織布を配置した吸収性物品が開示されている。
また、特許文献2には、吸収体に、表面側から裏面側に貫通する吸収体貫通部を形成し、表面シートと裏面シートとが直接又は吸収体の包材を介して接合される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-130627号公報
【文献】特開2010-240896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような、表面側及び裏面側どちらからでも尿を吸収可能な吸収性物品においては、着用する紙おむつの吸収量を補完して漏れを防止することが目的であるが、着用者の失禁の状態や失禁パターン等によって、「繰り返し何度も吸収させたい」又は「排尿後の逆戻りを少なくして快適に保ちたい」等の要望がある。一方で、「重ねて使用している下側のおむつに尿を移行して全体の吸収量を多くしたい」又は「両面パッド自身でできるだけ吸収して下側のおむつは汚したくない」等の要望もある。
しかしながら、特許文献1記載の技術の場合、単に吸収層の両面に不織布を配置しただけの構造であるため、尿等の排泄物を十分に吸収し、液戻りを防止すること、又は繰り返しの吸収量を確保することは難しい。
また、特許文献2に記載の技術の場合も、特に液戻り防止及び吸収量が十分とはいえない。
上記のように、液戻り及び吸収量が不十分であると、着用者の肌が常に濡れて不快に感じることがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、着用する紙おむつの上に重ねて使用する吸収性物品であって、表面および裏面が液透過性であり、吸収量を保持しながら、肌面側の表面のドライ感及び液戻りに優れ、かつ着用する紙おむつへの尿等の排泄物の移行を抑制することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、鋭意研究を行った結果、特定の構成の開孔フィルムをトップシートと吸収体との間、及び、吸収体とバックシートとの間に設けることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、肌当接面側に配置される液透過性トップシート、非肌当接面側に配置される液透過性バックシート、及び前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体を有する吸収性物品であって、前記トップシートと前記吸収体との間に第1開孔フィルムを備え、前記吸収体と前記バックシートとの間に第2開孔フィルムを備え、前記第1開孔フィルムにおいて、前記トップシート側の開孔径が、前記吸収体側の開孔径より大きく、前記第2開孔フィルムにおいて、前記吸収体側の開孔径が、前記バックシート側の開孔径より大きく、平面視において、前記第1開孔フィルムの面積が、前記吸収体の面積に対して80%以上100%以下であり、前記第2開孔フィルムの面積が、前記第1開孔フィルムの面積に対して30%以上70%以下である吸収性物品である。
【0009】
前記第1開孔フィルム及び前記第2開孔フィルムは、いずれも、開孔径が0.3mm以上1.5mm以下であり、かつ開孔数が50個/cm以上であることが好ましい。
【0010】
前記第1開孔フィルムの、前記トップシート側の開孔径と前記吸収体側の開孔径との差の絶対値は、0.03mm以上0.15mm以下であり、かつ前記第2開孔フィルムの、前記吸収体側の開孔径と前記バックシート側の開孔径との差の絶対値は、0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましい。
【0011】
前記第2開孔フィルムの前記吸収体側の開孔数は、前記第1開孔フィルムの前記トップシート側の開孔数に対して30%以上70%以下であることが好ましい。
【0012】
前記第2開孔フィルムの前記吸収体側の開孔径は、前記第1開孔フィルムの前記トップシート側の開孔径に対して30%以上70%以下であることが好ましい。
【0013】
前記第2開孔フィルムの前記吸収体側の開孔率は、前記第1開孔フィルムの前記トップシート側の開孔率に対して30%以上70%以下であることが好ましい。
【0014】
前記第1開孔フィルムと前記吸収体の間に、液拡散性シートを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、着用する紙おむつの上に重ねて使用する吸収性物品であって、表面および裏面が液透過性であり、吸収量を保持しながら、肌面側の表面のドライ感及び液戻りに優れ、かつ着用する紙おむつへの尿等の排泄物の移行を抑制することができる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の吸収性物品の平面図である。
図2】本発明の吸収性物品の裏面図である。
図3図1におけるY-Y断面図である。
図4図1におけるX-X断面図である。
図5】第1開孔フィルムの断面図である。
図6】第2開孔フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。
【0018】
また、本明細書の説明において、吸収性物品の着用時とは、吸収性物品の着用時及び着用後の少なくとも一方をいう。吸収性物品の長手方向とは、吸収性物品が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、肌当接面とは、吸収体等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、非肌当接面とは、吸収体等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性物品としては、ベビー用又は成人用を問わず、軽失禁パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつが例示されるが、これに限定されるものではなく、その他の吸収性物品であってもよい。
【0019】
[吸収性物品]
図1は、本発明の実施形態の吸収性物品10をトップシート20側から見た平面図である。図1に示すように、吸収性物品10は、肌当接面に配置される液透過性トップシート20、トップシート20に対向して非肌当接面側に配置される液透過性バックシート70、及び、トップシート20とバックシート70との間に配置された吸収体50を備える。
また、本実施形態の吸収性物品10は、トップシート20と吸収体50との間に第1開孔フィルム30を備え、吸収体50とバックシート70との間に第2開孔フィルム60を備える。さらに、第1開孔フィルム30と吸収体50との間に液拡散性シート40を備える。
本実施形態の吸収性物品10は、肌当接面側及び非肌当接面側の両面に開孔フィルムが設けられており、両面から尿等の体液を吸収できるものである。
【0020】
吸収性物品10の、長手方向Yの寸法は100mm以上800mm以下、幅方向Xの寸法は50mm以上500mm以下であることが好ましい。吸収性物品10の寸法を上記の範囲に調整することにより、軽失禁パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等に適した吸収性物品10を得ることができる。
以下、各構成要素の詳細を説明する。
【0021】
(トップシート)
液透過性トップシート20は、体液が吸収体50へと移動するような液透過性を備えた基材から形成される。液透過性を備えた基材として、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、又は、これらを積層した複合シートが挙げられる。
また、トップシート20には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート20には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0022】
強度、加工性及び液戻り量の点から、トップシート20の坪量は、18g/m以上40g/m以下であることが好ましい。
【0023】
(バックシート)
液透過性バックシート70は、吸収体50が保持している体液の適量が非肌当接面に併用している別の紙おむつ等の吸収性物品に移動するような液透過性を備えた基材から形成される。液透過性を備えた基材として、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、又は、これらを積層した複合シートが挙げられる。
【0024】
強度及び加工性の点から、バックシート70の坪量は、18g/m以上40g/m以下であることが好ましい。
【0025】
(吸収体)
本実施形態の吸収性物品10は、図1に示すように、吸収体50の長手方向Yの最長幅の寸法L40は、100mm以上800mm以下であることが好ましく、150mm以上500mm以下であることがより好ましい。また、吸収体50の幅方向の最長幅の寸法W40は、50mm以上500mm以下であることが好ましく、70mm以上105mm以下であることがより好ましい。
また、本実施形態の吸収性物品10における吸収体50は、肌当接面側に位置する上層吸収体と、非肌当接面側に位置する下層吸収体とからなる2層構造であってもよく、上層吸収体と下層吸収体との間にキャリアシートを配置して3層構造としてもよい。
【0026】
-吸収性繊維-
吸収体50は、基材としての吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(SAP)とを含有するものが好ましい。
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであればよく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体50に、基材としての吸収性繊維にフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、100g/m以上800g/m以下であることが好ましく、325g/m以上615g/m以下であることがより好ましい。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収させることができる。
【0027】
-高吸収性ポリマー-
吸収体50の高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであればよく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。
【0028】
吸収体50に含有されるSAPの坪量は、240g/m以上450g/m以下であることが好ましく、245g/m以上445g/m以下であることがより好ましい。上記の数値範囲内とすることで、吸収体50におけるゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収体50において多量の体液を吸収させることができる。
また、吸収体50において、フラッフパルプの重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、高吸収性ポリマーの重量/フラッフパルプの重量×100(%)が、40%以上120%以下であることが好ましく、50%以上100%以下であることがより好ましい。
【0029】
吸収体50において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体50の形状の安定化の目的から、吸収体50をキャリアシートに包んでもよい。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0030】
(開孔フィルム)
本実施形態の吸収性物品10は、図3及び図4に示すように、トップシート20と吸収体50との間に、開孔を有する第1開孔フィルム30を備え、さらに、吸収体50と液透過性バックシート70との間に、第2開孔フィルム60を備える。
第1開孔フィルム30は、尿等の体液が吸収体50へと移動するような液透過性を備えていることが好ましい。
また、第2開孔フィルム60は、尿等の体液がバックシート70へと移動するような液透過性を備えていることが好ましい。
【0031】
-面積-
本発明における吸収性物品10は、平面視において、第1開孔フィルム30の面積が、吸収体50の面積に対して80%以上100%以下であり、第2開孔フィルム60の面積が、第1開孔フィルム30の面積に対して30%以上70%以下である。
ここで、「第1開孔フィルムの面積」とは、図1に示すように、第1開孔フィルム30のY方向の長さL30とX方向の長さW30から求めた値であり、L30×W30で表される。
また、「第2開孔フィルムの面積」とは、図2に示すように、第2開孔フィルム60のY方向の長さL60とX方向の長さW60から求めた値であり、L60×W60で表される。
さらに、「吸収体の面積」とは、図1に示すように、吸収体50のY方向の長さL50とX方向の長さW50から求めた値であり、L50×W50で表される。
【0032】
第1開孔フィルム30と第2開孔フィルム60が上記のような大きさであることにより、両面吸収パッドの本来の役割である部分的な吸収力を補うとともに、繰り返しの吸収性に優れ、かつ液戻りを抑制することができる。
【0033】
-開孔径、開孔数、開孔率-
本発明の吸収性物品10では、図5に示すように、第1開孔フィルム30において、トップシート20側の開孔径D30aは、吸収体50側の開孔径D30bより大きく、また、図6に示すように、第2開孔フィルム60において、吸収体50側の開孔径D60aは、バックシート70側の開孔径D60bより大きい。
ここで、「開孔径」は、第1開孔フィルム30及び第2開孔フィルム60の表面を株式会社キーエンス製3D顕微鏡(VR-3100)で撮影し、任意に選んだ3つの開孔の直径を測定した平均値である。
このように、トップシート20側とバックシート70側で、孔の大きさを上記のような範囲とすることで、表面の肌触りが良く、尿等の体液が素早く縦方向に濡れ広がり吸収されるので漏れを防止することができ、かつ、液戻りを防止することができる。
さらに、トップシート20側とバックシート70側で、孔の大きさを上記のような範囲とすることで、尿等の体液が、バックシート70へと移行することを抑制し、尿等の体液を可能な限り吸収体50に吸収させることができるため、有効に吸収体50を利用でき、結果として下側の紙おむつへの移行を抑制することができる。
【0034】
また、第1開孔フィルム30及び第2開孔フィルム60は、いずれも、表裏どちらも開孔径が0.3mm以上1.5mm以下であり、かつ開孔数が50個/cm以上であることが好ましい。
このような範囲とすることにより、尿等の吸収をしやすく、かつ拡散性に優れたものとすることができる。
【0035】
さらに、図5に示すように、第1開孔フィルム30の、トップシート20側の開孔径D30aと吸収体50側の開孔径D30bとの差の絶対値は、0.03mm以上0.15mm以下であり、かつ第2開孔フィルム60の、吸収体50側の開孔径D60aとバックシート70側の開孔径D60bとの差の絶対値は、0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましい。
第1開孔フィルム30と第2開孔フィルム60の開孔径の差を上記範囲とすることにより、表面の肌触りが良く、尿等の体液が素早く縦方向に濡れ広がり吸収されるので漏れを防止することができ、かつ、液戻りを防止することができる。
【0036】
また、第2開孔フィルム60の吸収体50側の開孔数は、第1開孔フィルム30のトップシート20側の開孔数に対して30%以上70%以下であることが好ましい。
また、第2開孔フィルム60の吸収体50側の開孔径は、第1開孔フィルム30のトップシート20側の開孔径に対して30%以上70%以下であることが好ましい。
【0037】
また、第2開孔フィルム60の吸収体50側の開孔率は、第1開孔フィルム30のトップシート20側の開孔率に対して30%以上70%以下であることが好ましい。
ここで、「第1開孔フィルム30のトップシート20側の開孔率」とは、第1開孔フィルム30のトップシート20側の面30aにおける、総開孔面積/第1開孔フィルムの面積×100(%)により求められる値である。
また、「第2開孔フィルム60の吸収体50側の開孔率」とは、第2開孔フィルム60の吸収体50側の面60aにおける、総開孔面積/第2開孔フィルムの面積×100(%)により求められる値である。
【0038】
第2開孔フィルム60の開孔数、開孔径、及び開口率を、第1開孔フィルム30に対して、上記のような関係とすることにより、尿等の体液が素早く縦方向に濡れ広がり吸収されるので漏れを防止することができ、かつ、液戻りを防止することができる。
さらに、尿等の体液がバックシート70へと移行することを抑制し、尿等の体液を可能な限り吸収体50に吸収させることができるため、有効に吸収体50を利用でき、結果として下側の紙おむつへの移行を抑制することができる。
【0039】
-坪量-
強度及び加工性の点から、第1開孔フィルム30及び第2開孔フィルム60の坪量は、20g/m以上60g/m以下であることが好ましく、23g/m以上30g/m以下であることがより好ましい。
【0040】
第1開孔フィルム30及び第2開孔フィルム60の開孔径、開孔数、及び坪量を上記の範囲とすることにより、強度、加工性、液透過性、及び液拡散性に優れたものとすることができ、かつ逆戻りを抑制することができる。
【0041】
本発明における第1開孔フィルム30及び第2開孔フィルム60は、孔を有していないフィルム等の材料にエンボス加工で孔を貫通させて開孔させることによって作製することができる。
【0042】
-材質-
第1開孔フィルム30及び第2開孔フィルム60の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、なかでも、柔らかさの観点からポリエチレンが好ましい。
【0043】
(液拡散性シート)
図3及び図4に示すように、第1開孔フィルム30と吸収体50との間には、吸収性物品10の液拡散性を向上させ、かつ、第1開孔フィルム30の硬さを抑制し、肌触りを良くするために、液拡散性シート40を配置することが好ましい。液拡散性シート40の基材は、体液の透過速度がトップシート20より速く、体液を吸収体50へ素早く拡散するものであればよく、例えば、親水性不織布、特に、エアスルー不織布が好ましい。液拡散性シート40の厚さは、0.1mm以上が好ましく、その坪量は、10g/m2以上60g/m2以下が好ましく、15g/m2以上40g/m2以下がより好ましい。厚さが0.1mm未満、又は、坪量が10g/m2未満60g/m2より大きいと、吸収体50の上面全体への尿等の液体の拡散が十分に行われない。また、液拡散性シート40の形状は、体液が、くまなく吸収体50に拡散するように、吸収体50の表面を完全に覆うことができる形状であることが好ましい。
【0044】
(立体ギャザー)
吸収性物品10には、着用者の排泄した体液の横漏れを防止するため、吸収性物品10の長手方向に沿って、トップシート20上に、立体ギャザー用弾性部材を有する一対の立体ギャザーを備えてもよい。吸収性物品10の幅方向における立体ギャザーの外端は、バックシート70に固定され、その内端はトップシート20に固着され、その中央はトップシート20に固定されない自由端となるように、立体ギャザーシートが配される。立体ギャザー用弾性部材を長手方向に沿って設けることで、立体ギャザーが起立性を有し、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなる。立体ギャザー用弾性部材としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等が使用され、立体ギャザーシートとしては、疎水性繊維にて形成された撥水性又は液不透過性の不織布、例えば、スパンボンド不織布やメルトブローン不織布、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布等が使用される。
【0045】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0046】
10 吸収性物品
20 トップシート
30 第1開孔フィルム
40 液拡散性シート
50 吸収体
60 第2開孔フィルム
70 バックシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6