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  • 特許-プラスチック折り紙 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】プラスチック折り紙
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/16 20060101AFI20230516BHJP
   B29C 53/04 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A63H33/16 Z
B29C53/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018054128
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019165833
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋田 智之
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-239263(JP,A)
【文献】特開2014-196405(JP,A)
【文献】特開2001-96615(JP,A)
【文献】特開2015-208376(JP,A)
【文献】特開2010-20909(JP,A)
【文献】特許第6217202(JP,B2)
【文献】実公平1-15432(JP,Y2)
【文献】特開平7-116358(JP,A)
【文献】特開2015-134491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
B29C 53/00 - 53/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムと着色層を有し、2枚の前記プラスチックフィルムの間に着色層を有する構成を含み、20℃の環境下で24時間保管した後に10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折にし、0.5kgの荷重を1秒間かけた後、1分経過後に折られたフィルムが開いた角度である折畳み保持角度が80度以下であるプラスチック折り紙であって、95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が主収縮方向及び該主収縮方向と直交する方向においていずれも25%以上55%以下であり、前記2枚のプラスチックフィルムは二軸延伸フィルムであり、着色層を挟んで同じ方向に重ねあわされていることを特徴とするプラスチック折り紙。
【請求項2】
前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック折り紙。
【請求項3】
前記ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし全モノマー成分中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計量が15モル%以上30モル%以下であることを特徴とする請求項2に記載のプラスチック折り紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルムを使用した折り紙に関するものであり、詳しくは、熱で収縮させることができるプラスチック折り紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、折り紙の素材は紙であり、折り紙を折って種々の作品を作ることはできるものの、その使用方法は限られていた。また、通常のサイズは15cm×15cmの正方形状であり、より小さい7.5cm×7.5cm程度の正方形状のサイズの折り紙も存在する。通常のサイズよりも小さい折り紙を使用する場合には、小さくなるほど折り紙を折って折り紙作品を作成するのが困難となる。上記の7.5cm×7.5cm程度の正方形状のサイズの折り紙においても、高齢者や幼児においては折り紙作品を作成するのが困難な場合がある。上記の7.5cm×7.5cm程度の正方形状のサイズの折り紙を使用する場合よりも小さな折り紙作品を作ろうとする場合には、さらに小さい折り紙を作成して使用しなければならず、人の手では折り紙をさらに折りにくくなり、作成が困難である問題点があった。
【0003】
これに対し、特許文献1には折り目を形成可能かつ折り曲げ角を維持可能な可折性の樹脂又は金属からなる基材フィルムと、感温変色層を有する折り紙が開示されており、基材フィルムは耐水性を有しており、温度に応じた色の変化を楽しむことができるというものである。
【0004】
特許文献1には、基材フィルムとしてセロファンや微細空洞を含有するポリエステル樹脂フィルムを用いることが記載されているが、これらのフィルムを用いて折り紙を作成してみたところ、折り紙としての折りやすさは紙を素材とした折り紙よりもやや悪くなる程度のものであった。
【0005】
本願発明者らは、熱収縮可能なプラスチックフィルムを折り紙の素材として用いることにより、折り紙を折って折り紙作品を作成した後に熱収縮させれば、高齢者や幼児により作成が困難な小さな折り紙作品、あるいは人の手では折りにくく作成が困難となる小さな折り紙作品を容易に作成することが可能ではないかと考えた。しかしながら、飲料ラベル等に用いられている熱収縮性フィルムと同様の熱収縮特性を有するプラスチックフィルムを用いて試してみたところ、1方向に大きく熱収縮するために、折り紙作品を熱収縮させると熱収縮前の原形をとどめないほど大きく変形してしまい、実用に耐えるものではないことが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-208376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の折り紙が有する課題を解消し、高齢者や幼児により作成が困難な小さな折り紙作品、あるいは人の手では折りにくく作成が困難となる小さな折り紙作品を容易に作成することが可能な、熱収縮性を有する折り紙を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.プラスチックフィルムと着色層を有し、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下であるプラスチック折り紙であって、95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が主収縮方向及び該主収縮方向と直交する方向においていずれも25%以上55%以下であるプラスチック折り紙。
2.前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする、1.に記載のプラスチック折り紙。
3.前記ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし全モノマー成分中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計量が12モル%以上30モル%以下であることを特徴とする2.に記載のプラスチック折り紙。
4.2枚の前記プラスチックフィルムの間に着色層を有する構成を含むことを特徴とする、1.~4.のいずれかに記載のプラスチック折り紙。
【発明の効果】
【0009】
本発明の折り紙は、高齢者や幼児により作成が困難な小さな折り紙作品、あるいは人の手では折りにくく作成が困難となる小さな折り紙作品を容易に作成することが可能な、熱収縮性を有する折り紙を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】折り畳み保持角度の測定方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者は、折り紙を折って小さな折り紙作品を作成することについて鋭意検討した結果、プラスチック折り紙に所定の熱収縮特性を付与すれば、該折り紙を折って折り紙作品を作成した後に、熱収縮させることにより小さな折り紙作品が容易に作成可能となることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0012】
本発明におけるプラスチック折り紙は、プラスチックフィルムと着色層を有し、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下であるプラスチック折り紙であって、95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が主収縮方向及び該主収縮方向と直交する方向においていずれも25%以上55%以下であることを特徴とするものである。
【0013】
前記プラスチックフィルムは、前記20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が75度以下であればよく、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が好適に使用される。ポリエステルフィルムにおいては、エチレンテレフタレートのみを構成成分とするポリエステルからなるフィルム(いわゆるPETフィルム)は前記20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下とならず、折り紙としての折り畳み保持性能に劣るため好ましくない。エチレンテレフタレート成分以外の第3成分を含有したポリエステル(以下共重合ポリエステルと称する場合がある)を含有することにより、前記範囲内に密度を調整することができるので、共重合ポリエステルを含有したポリエステルフィルムが好ましい。以下、共重合ポリエステルを含有するポリエステルフィルムを例に本発明のプラスチックフィルムについて説明する。
【0014】
ポリエステルフィルムに用いるポリエステルは、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とすることが好ましい。エチレンテレフタレートユニットは、ポリエステルの構成ユニット100モル%中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。エチレンテレフタレートユニットの上限値は100モル%未満が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下が特に好ましく、88モル%以下が最も好ましい。本発明のポリエステルを構成するテレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
【0015】
ポリエステルを構成するエチレングリコール以外の他のジオール成分としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
【0016】
本発明で用いるポリエステルは、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3~6個を有するジオール(例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)のうちの1種以上を含有させて、ガラス転移点(Tg)を60~70℃に調整したポリエステルが好ましい。
【0017】
また、ポリエステルは、全モノマー成分中(ポリエステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中)の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が15モル%以上、好ましくは16モル%以上、より好ましくは17モル%以上、特に好ましくは18モル%以上である。また非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は30モル%である。エチレンテレフタレートを主成分とすると共に、非晶質成分となり得るモノマー成分を含有することにより、フィルムの密度を1.20g/cm3以上1.37cm3以下の範囲に容易に調整することができる。非晶質成分となり得るモノマー成分の合計が30モル%を超えると、耐破れ性や耐熱性が不十分となり易く、あまり好ましくない。
【0018】
非晶質成分となり得るモノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,2-ジエチル1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジ-n-ブチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールまたはイソフタル酸を用いるのが好ましく、ネオペンチルグリコールを用いるのが特に好ましい。
【0019】
本発明のポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。また、フィルムの作業性(滑り性)を良好にする滑剤としての微粒子を添加することが好ましい。微粒子としては、任意のものを選択することができるが、例えば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等、有機系微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05~3.0μmの範囲内(コールターカウンタにて測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。
【0020】
本発明で用いるプラスチックフィルムは、20℃40RH%の環境下で1日保管させた後の折畳み保持角度が20度以上75度以下であることが好ましい。該範囲内の折り畳み保持角度を有するプラスチックフィルムを用いることにより、該プラスチックフィルムと着色層を積層したプラスチック折り紙において、20℃40RH%の環境下で1日保管させた後の折畳み保持角度が80度以下であることを達成できる。プラスチック折り紙において、20℃40RH%の環境下で1日保管させた後の折畳み保持角度が80度を超えると、折り紙を折った際に折り目が開くことにより、きれいな美観を得られづらくなる場合がある。該折畳み保持角度は、70度以下がより好ましく、60度以下がさらに好ましく、50度以下が特に好ましく、45度以下が最も好ましい。
【0021】
本発明で用いるプラスチックフィルムは、フィルムの厚さ(プラスチックフィルムを2枚以上使用する際は合計の厚さ)が5μm以上200μm以下であることが好ましい。フィルムの厚さが5μm未満であると、折り紙として必要なフィルムの腰が得られず、折り紙を折る際のハンドリング性が悪くなる場合がある。また、フィルムの厚さが200μmを超える場合は、折り紙を折るのが困難となる場合がある。フィルムの厚さは7μm以上190μm以下が好ましく、10μm以上180μm以下がより好ましい。特に好ましくは、12μm以上170μm以下である。また、本発明の折り紙は、折り紙の厚さに対するプラスチックフィルムの厚さ(プラスチックフィルムを2枚以上使用する際は合計の厚さ)の比率は、70%以上であることが好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、85%以上が特に好ましい。
【0022】
本発明で用いるプラスチックフィルムは、95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が主収縮方向及び該主収縮方向と直交する方向においていずれも25%以上55%以下であることが好ましい。該範囲内の95℃温水中10秒での温湯熱収縮率を有するプラスチックフィルムを用いることにより、該プラスチックフィルムと着色層を積層したプラスチック折り紙において、95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が主収縮方向及び該主収縮方向と直交する方向においていずれも25%以上55%以下であることを達成できる。ここで、主収縮方向とは、プラスチックフィルムの製膜方向に対する縦方向(MD方向、以下、A方向と称する場合がある)又は横方向(TD方向、以下、B方向と称する場合がある)のいずれかのうち95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が高い方向をさし、両者の値が同一の場合は横方向(TD方向)をさす。
【0023】
プラスチック折り紙において、95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が、A方向又はB方向の少なくとも一方向において25%未満であると、作成した折り紙作品を熱収縮させた後も作品のサイズがあまり小さくならないため、小さな折り紙作品を作成するという本発明の目的を達成するのが困難となる。また、プラスチック折り紙における95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が、A方向又はB方向の少なくとも一方向において55%を超えると、小さな折り紙作品は作成できるものの、熱収縮が高くなり過ぎるために折り目部分の折りぐせが保持できなくなり、熱収縮後の折り紙作品の原形が保持できずに形が崩れてしまい外観が悪くなる問題が発生する。プラスチック折り紙における95℃温水中10秒での温湯熱収縮率の下限値は、A方向及びB方向の両方向において28%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。プラスチック折り紙における95℃温水中10秒での温湯熱収縮率の上限値は、A方向及びB方向の両方向において50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。
【0024】
プラスチック折り紙におけるA方向における95℃温水中10秒での温湯熱収縮率をSA(%)とし、B方向における95℃温水中10秒での温湯熱収縮率をSB(%)としたとき、下記式1で表されるΔS(%)が10%以下であることが好ましい。
【0025】
【数1】
【0026】
ΔS(%)が大きな値を示すことは、プラスチック折り紙における縦方向と横方向の95℃温水中10秒での温湯熱収縮率の値が大きく異なることを意味する。縦方向と横方向の温湯熱収縮率の値が大きく異なると、作成した折り紙作品を熱収縮させた後に紙作品の原形が保持できず、作品を一方向から圧縮して変形させたような奇妙な形状となる場合がある。プラスチック折り紙におけるΔS(%)は、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
【0027】
本発明のプラスチック折り紙は、前記のプラスチックフィルムと共に、着色層を有することを特徴とするものである。着色層を有することにより、折り紙としての色合いを有することができる。該着色層は赤、紅、青、黄、緑、草、橙、藍、黒、墨、白、金、銀、等の単色でもよく、複数の色を使用した図柄を有していてもよいし、複数の着色層を積層していてもよい。該着色層は、例えば着色した印刷用インクにより形成することが可能である。該印刷用インクは着色するための顔料あるいは染料と、有機樹脂バインダー、および有機溶剤を含有するものである。該印刷用インクとしては、大日本インキ工業(株)のファインラップ(登録商標)、サカタインクスのシュリンクパック(登録商標)等を使用することが可能である。また、印刷用インクに接着剤成分を含有させた着色層とすることもできる。該着色層は、厚さが2μm~8μmであることが好ましく、3μm~6μmであることがより好ましい。
【0028】
本発明のプラスチック折り紙は、2枚のプラスチックフィルムの間に着色層を有する構成を含むことが好ましい。該構成を有することにより、着色層を保護する効果が有る。特に、折り紙作品を熱収縮させた後に折り曲げた部分着色層の欠陥がより発生しやすくなり、また、より欠陥が目立つようになるが、該構成とすることによりそれらを抑制することが可能であり、折り紙作品の見栄えをよりよくする効果を有する。
【0029】
本発明のプラスチック折り紙を上記のように、2枚のプラスチックフィルムの間に着色層を有する構成を含む場合には、2枚のプラスチックフィルムは各々のプラスチックフィルムが着色層を挟んで同じ方向に重ね合わされていることが好ましい。上記SA(%)、及びSB(%)がほぼ同じ値を示す2枚のプラスチックフィルムを使用して、このような構成とすることにより、前記のΔS(%)を前記の好ましい範囲内とすることができる。2枚のプラスチックフィルムにおけるSA(%)同士の差、及びSB(%)同士の差は共に3%以下であることが好ましい。プラスチックフィルムを3枚以上使用する構成とする場合も、全てのプラスチックフィルムが同じ方向に重ね合わされていることが好ましく、全てのプラスチックフィルムにおけるSA(%)同士の差、及びSB(%)同士の差は共に3%以下であることが好ましい。
【0030】
本発明の折り紙は、さらに接着剤層を含有することができる。プラスチックフィルム/着色剤層/接着剤層/プラスチックフィルムの構成や、プラスチックフィルム/着色剤層/接着剤層/着色剤層/プラスチックフィルムのような構成とすることができる。接着剤としては、プラスチックフィルムのドライラミネート用接着剤を適用することが可能である。該接着剤としては、三井化学社製タケラック(登録商標)、三井化学社製タケネート(登録商標)東洋インキ株式会社製のTM-250HV、TM-556S、TM-256L等を使用することができる。
【0031】
本発明で使用するプラスチックフィルムの製造方法を、前記の共重合ポリエステルを含有したポリエステルフィルムを例にとり、製造方法を以下に説明する。
【0032】
上述した本発明の一様態である共重合ポリエステルを含有したポリエステルフィルムは、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により一軸延伸または二軸延伸することによって得ることができる。なお、ポリエステルは、前記した好適なジカルボン酸成分とジオール成分とを公知の方法で重縮合させることで得ることができる。また、通常は、チップ状のポリエステルを2種以上混合してフィルムの原料として使用する。
【0033】
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200~300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
【0034】
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。好ましい製造方法は次の通りである。
【0035】
本発明の目的を達成するには、フィルムの延伸方向はフィルム縦(MD)方向、横(TD)方向のいずれでも構わない。以下では、最初に縦延伸、次に横延伸を実施する横延伸-縦延伸による二軸延伸法について説明するが、順番を逆にする横延伸-縦延伸であっても構わない。また、同時二軸延伸法による縦横同時延伸でも構わない。
【0036】
まず、縦方向の延伸を行う。前記の未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へと導入して縦延伸する方法が好ましい。縦延伸に当たっては、予熱ロールでフィルム温度が65℃~110℃になるまで予備加熱することが好ましい。フィルム温度が65℃より低いと、縦方向に延伸する際に延伸し難くなり(すなわち、破断が生じやすくなる)好ましくない。また110℃より高いとロールにフィルムが粘着しやすくなり、連続生産によるロールの汚れ方が早くなり好ましくない。
【0037】
フィルム温度が前記範囲になったら、縦延伸を行う。縦延伸倍率は、1.5~5.0倍とすることが好ましく、2.0~4.0倍とすることがより好ましい。縦延伸後は、一旦フィルムを冷却することが好ましく、表面温度が20~40℃の冷却ロールで冷却することがより好ましい。
【0038】
次いで、横方向の延伸を行う。横方向の延伸は、テンター(第1テンター)内でフィルムの幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、65℃~90℃で3.5~5倍程度、行うことが好ましい。横方向の延伸を行う前には、予備加熱を行っておくことが好ましく、予備加熱はフィルム表面温度が70℃~90℃になるまで行うとよい。
【0039】
横延伸の後は、フィルムを積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることが好ましい。第1テンターの横延伸ゾーンと中間熱処理ゾーンで温度差がある場合、中間熱処理ゾーンの熱(熱風そのものや輻射熱)が横延伸工程に流れ込み、横延伸ゾーンの温度が安定しないためにフィルム品質が安定しなくなることがあるので、横延伸後で中間熱処理前のフィルムを、所定時間をかけて中間ゾーンを通過させた後に、中間熱処理を実施するのが好ましい。この中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、フィルムの走行に伴う随伴流、横延伸ゾーンや中間熱処理からの熱風を遮断すると、安定した品質のフィルムが得られる。中間ゾーンの通過時間は、1秒~5秒程度で充分である。
【0040】
次いで、熱処理やリラックス処理を行う。リラックス処理はフィルムの幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、0%~30%でフィルムを弛ませる工程である。リラックス率により横方向の収縮率を変化させることができるので、前記のΔS(%)を調整するための有効な手段である。リラックス率は0%が下限であり、また上限は99%であるが、リラックス率が高いと、フィルム製品幅が短くなるというデメリットもあるので好ましくない。よって、リラックス率の上限は30%程度が好適である。
【0041】
熱処理(リラックス処理)温度は、70℃~110℃が好ましい。熱処理(リラックス処理)温度が高温になるほど、縦方向及び横方向の95℃温水中10秒での温湯熱収縮率を低下させる効果がある。熱処理温度が70℃より低いと縦方向及び/又は横方向の95℃温水中10秒での温湯熱収縮率が高くなり過ぎる場合がある。一方、熱処理温度が110℃より高いと、フィルムが結晶化してしまい、折畳み角度の保持性が悪いフィルムとなり易いので好ましくない。
【0042】
後は、フィルム両端部を裁断除去しながら連続的に巻き取れば、ポリエステル系フィルムロールが得られる。
【0043】
本発明のプラスチック折り紙は、折り紙作品を作成した後に、熱収縮により収縮させることが可能である。該熱収縮させる方法は、ヘアードライヤーのような加熱式ドライヤーや、熱風式オーブンを使用して空気中で加熱して熱収縮させる方法や、温水中や加熱した溶媒を使用した高温の液体中に浸漬して熱収縮させる方法等を採用することができる。加熱温度は、90℃~150℃の範囲内が好ましい。加熱時間は3秒以上、180秒以内の範囲が好ましい。なお、本発明のプラスチック折り紙は高い熱収縮性を有し、短時間で熱収縮することができるので、折り紙や折り紙作品が熱収縮する現象自体を観察することも面白いものであり、折り紙の利用価値を高めるものである。
【実施例
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
本発明のプラスチックフィルムおよびプラスチック折り紙の評価方法は下記の通りである。
【0046】
[熱収縮率(温湯熱収縮率)]
ポリエステル系フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度[(95℃)±0.5℃]の温湯中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式2に従ってそれぞれの熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)={(収縮前の長さ-収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100 式2
【0047】
また、プラスチック折り紙におけるA方向(縦方向)における95℃温水中10秒での温湯熱収縮率をSA(%)とし、B方向(横方向)における95℃温水中10秒での温湯熱収縮率をSB(%)としたとき、下記式1によりΔS(%)を求めた。
【0048】
【数1】
【0049】
[折畳み保持角度]
℃環境の恒温室で各々フィルムを24時間放置する。その後直ちに、各々のフィルムを20℃65%RH環境で10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折(2.5cm×2.5cmの正方形が重なった状態)にし、テストシーラーで0.5kgの荷重を1秒間かけた。そして、図5に示すように、サンプル41の四隅がガラス板42に接する又はガラス板42近傍に位置する(折り目の頂点(4つ折り前のサンプル41の中央部)がガラス板42から離れたところに位置する)ように4つ折りにしたサンプル41をガラス板42上に置き、1分経過後に折られた単層フィルムが開いた角度43(完全に折りたたまれた状態を0度とした)を測定して折畳み保持角度を求めた。また、フィルム縦方向、横方向の両方の折畳み保持角度を測定し、角度が大きい方の値を折畳み保持角度とした。
【0050】
[非晶成分含有量]
サンプリングしたフィルム約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸の混合溶液(体積比9/1)0.7mlに溶解し、1H-NMR(varian製、UNITY50)を使用して求めた。外側層の各々の非晶成分の含有量(モル数)を求め、その差を非晶成分の含有量(モル数)の差とした。なお、本願実施例においてはいずれも、非晶成分含有量としてネオペンチルグリコール含有量を求めた。
【0051】
[折り紙作品の作成及び評価]
15cm×15cmの正方形のプラスチック折り紙を準備し、70才男性が折り鶴を5つ作成した。該5つの折り鶴を100℃の熱風オーブン中に入れて20秒間熱収縮させた後に取り出して、外観を評価した。
(折り紙作品の評価)
(1)折り紙作品の作成のし易さ
○:容易に折り鶴を作成することができる。
×:折り畳み部分の保持性が悪いために折り鶴を作成することができなかった。
(2)折り紙作品の熱収縮後外観
(A)熱収縮後の変形度(一方向に圧縮されたような変形の有無)
○:熱収縮後も熱収縮前の形状を保持している。
△:熱収縮後に若干の変形が見られる。
×:熱収縮後に熱収縮前の原形をとどめない程度に大きく変形する。
(B)熱収縮後の折り部の折ぐせの保持性
○:熱収縮後も折りぐせを保持している。
△:熱収縮後に折りぐせがわずかにもどる部分が発生する。
×:熱収縮後に折りぐせがほぼ消失する部分が発生する。
【0052】
<ポリエステル原料の調製>
(合成例1)
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、280℃で26.7Paの減圧条件下、重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステル(A)を得た。このポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。
(合成例2)
【0053】
合成例1に対して若干の条件変更をした他は同様にして、表1に示したポリエステル(B)~(F)を得た。表中、BDは1,4-ブタンジオール、NPGはネオペンチルグリコール、CHDMは1,4-シクロヘキサンジメタノール、DEGはジエチレングリコール、ε-CLはε-カプロラクトンである。なお、ポリエステル(F)の製造の際には、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して7,000ppmの割合で添加した。ポリエステルB,C,D,E,Fの固有粘度は、それぞれ、0.72dl/g,0.80dl/g,1.20dl/g,0.77dl/g,0.75dl/gであった。各ポリエステルは、適宜チップ状にした。各ポリエステルの組成を表1に示す。表1中のTPAはテレフタル酸成分を示す。
【0054】
【表1】
【0055】
(フィルム製造例1)
上記したポリエステルAとポリエステルBとポリエステルDとポリエステルFを質量比5:60:30:5で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ210μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/min.であった。しかる後、その未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後に2.6倍に延伸した。しかる後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した。そして、冷却後のフィルムを横延伸ゾーン、中間ゾーン、熱処理ゾーンを連続的に設けたテンターへ導いた。そして、テンターに導かれたフィルムを、フィルム温度が80℃になるまで予備加熱した後、横延伸ゾーンで横方向に80℃で4倍に延伸し、中間ゾーンを通過させた後に(通過時間=約1.2秒)、熱処理ゾーンへ導き、87℃の温度で8秒間に亘って熱処理しながら幅方向に0.5%リラックスさせることによって厚み20μmの二軸延伸フィルムを製造し、連続的に巻取って二軸延伸フィルムロールを得た。なお、中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンからの熱風および熱処理ゾーンからの熱風が遮断されている。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
【0056】
(実施例1)
ポリエステルフィルム1に、印刷用インキとしてサカタインクス社製「シュリンクパック」(登録商標)PS-985(藍)を用いてグラビア印刷法によりベタ印刷を施して、層厚さ3μmの着色層を積層した。一方で、別のポリエステルフィルム1にウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」と酢酸エチル(ナカライテスク社製)を13.5:1:8.2(質量比)をワイヤーバー#5を用いて4μmの厚さとなるように塗布した後、60℃のオーブンにて30秒静置させ、溶媒を揮発した。その後、ドライラミネート法により前記印刷を施したポリエステルフィルム1の着色層側と、接着剤を塗布したポリエステルフィルム1の接着剤層側を貼り合せた。なお、前記2枚のポリエステルフィルム1は、いずれも縦方向と横方向をそろえた状態で貼りあわせた。その後、40℃にて3日間シーズニングを施すことにより、実施例1のプラスチック折り紙を作成した。
【0057】
(フィルム製造例2)
フィルム製造例1において、ポリエステルBをポリエステルCに変えた以外はフィルム製造例1と同様にして、厚み20μmの二軸延伸フィルムロールを得た。そして、得られたポリエステルフィルム2の特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。実施例1と同様に優れたフィルムであった。
【0058】
(実施例2)
ポリエステルフィルム2を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエステルフィルム2と、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエステルフィルム2を貼り合せてシーズニングを施し、実施例2のプラスチック折り紙を作成した。
【0059】
(フィルム製造例3)
フィルム製造例1において、ポリエステルDをポリエステルEに変更した以外はフィルム製造例1と同様にして、厚み約20μmの二軸延伸フィルムロールを得た。そして、得られたポリエステルフィルム3の特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。実施例1と同様に優れたフィルムであった。
【0060】
(実施例3)
ポリエステルフィルム3を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエステルフィルム3と、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエステルフィルム2を貼り合せてシーズニングを施し、実施例3のプラスチック折り紙を作成した。
【0061】
(フィルム製造例4)
フィルム製造例1において、ポリエステルBの重量比率を60から80へ、ポリエステルDの重量比率を30から10へ変更した以外はフィルム製造例1と同様にして、厚み約20μmの二軸延伸フィルムロールを得た。そして、得られたポリエステルフィルム4の特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。実施例1より折畳み保持角度が優れたフィルムであった。
【0062】
(実施例4)
ポリエステルフィルム4を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエステルフィルム4と、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエステルフィルム4を貼り合せてシーズニングを施し、実施例4のプラスチック折り紙を作成した。
【0063】
(フィルム製造例5)
フィルム製造例1において、ポリエステルAの重量比率を5から35へ、ポリエステルBの重量比率を60から50へ変更した以外はフィルム製造例1と同様にして、厚み20μmの二軸延伸フィルムロールを得た。そして、得られたポリエステルフィルム5の特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
【0064】
(実施例5)
ポリエステルフィルム5を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエステルフィルム5と、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエステルフィルム5を貼り合せてシーズニングを施し、実施例5のプラスチック折り紙を作成した。
【0065】
(フィルム製造例6)
フィルム製造例1において、無延伸フィルムの厚みを180μmに変更し、ポリエステルBをポリエステルCに変えて、縦延伸倍率を3倍とし、横延伸倍率を3倍とした以外はフィルム製造例1と同様にして、厚み20μmの二軸延伸フィルムロールを得た。そして、得られたポリエステルフィルム6の特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
【0066】
(実施例6)
ポリエステルフィルム5を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエステルフィルム6と、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエステルフィルム5を貼り合せてシーズニングを施し、実施例6のプラスチック折り紙を作成した。
【0067】
(フィルム製造例7)
フィルム製造例1において、無延伸フィルムの厚みを80μmに変更し、縦延伸、最終熱処理を実施せずに横方向のみ延伸した厚み20μmの一軸延伸フィルムロールを得た。そして、得られたポリエステルフィルム7の特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。幅方向に大きな温湯熱収縮率を有するフィルムとなった。
【0068】
(比較例1)
ポリエステルフィルム7を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエステルフィルム7と、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエステルフィルム6を貼り合せてシーズニングを施し、比較例1のプラスチック折り紙を作成した。
【0069】
(フィルム製造例8)
フィルム製造例1において、最終熱処理を実施しなかった以外はフィルム製造例1と同様にして、厚み20μmの二軸延伸フィルムロールを得た。そして、得られたポリエステルフィルム8の特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
【0070】
(比較例2)
ポリエステルフィルム8を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエステルフィルム8と、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエステルフィルム2を貼り合せてシーズニングを施し、比較例2のプラスチック折り紙を作成した。
【0071】
(フィルム製造例9)
フィルム製造例1において、無延伸フィルムの厚みを112μmに変更し、縦延伸倍率を1.4倍とし、最終熱処理を実施しなかった以外はフィルム製造例1と同様にして、厚み20μmの二軸延伸フィルムロールを得た。そして、得られたポリエステルフィルム9の特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
【0072】
(比較例3)
ポリエステルフィルム9を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエステルフィルム9と、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエステルフィルム9を貼り合せてシーズニングを施し、比較例3のプラスチック折り紙を作成した。
【0073】
(比較例4)
フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製E5100 16μm)を使用する以外は実施例1と同じ手順で、層厚さ3μmの着色層を積層したポリエチレンテレフタレートフィルムと、4μmの厚さの接着剤層を積層したポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せてシーズニングを施し、比較例4のプラスチック折り紙を作成した。このプラスチック折り紙(15cm×15cmの正方形)を使用して、折り鶴を作成しようと試みたが、折り畳み部分の保持性が悪いために作成することができなかった。
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
実施例1~6、及び比較例1~3のプラスチック折り紙から、前記のように折り鶴を作成して熱収縮させたところ、実施例1~6のプラスチック折り紙では高齢者でも小さい美麗な折り鶴を容易に作成することができた。また、比較例1~3のプラスチック折り紙では折り鶴の形状を保持した小さい折り鶴を得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の折り紙は、高齢者や幼児により作成が困難な小さな折り紙作品、あるいは人の手では折りにくく作成が困難となる小さな折り紙作品を容易に作成することが可能な、熱収縮性を有する折り紙を提供するものである。
図1