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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】サンルーフ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/043 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
B60J7/043
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018152237
(22)【出願日】2018-08-13
(65)【公開番号】P2020026224
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】平田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩下 勝義
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇貴
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016084(JP,A)
【文献】特開2009-083822(JP,A)
【文献】特開2015-058714(JP,A)
【文献】特開2012-040999(JP,A)
【文献】特開2013-249009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成されたルーフ開口の周縁部に取着された樹脂製の取付部材と、
前記取付部材の車両の上面に取着され意匠面を形成するとともに、前記ルーフ開口の一部である第1開口を常時閉塞する樹脂製の固定パネルと、
意匠面を形成するとともに、前記ルーフ開口の他部である第2開口を開閉可能な可動パネルと、
前記ルーフ開口の車両の幅方向両縁部に取着される一対のガイドレール、並びに前記ルーフ開口の車両の前後方向両縁部に取着され前記両ガイドレールの前端同士及び後端同士を車両の幅方向に接続する一対の接続部材を有し、前記両ガイドレールにおいて前記可動パネルを支持するサンルーフユニットと、を備え、
前記サンルーフユニットは、前記取付部材及び前記固定パネルを有する樹脂パネルとは独立して、前記ルーフ開口の周縁部に取着されており、前記樹脂パネルと前記サンルーフユニットとは直結されていない、サンルーフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサンルーフ装置において、
前記固定パネルとしての意匠部及び前記取付部材としての取付部を一体的に有する前記樹脂パネルを備えた、サンルーフ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサンルーフ装置において、
前記取付部材は、前記ルーフ開口の周縁部の全周に亘って該周縁部に接着された、サンルーフ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のサンルーフ装置において、
前記サンルーフユニットは、前記ルーフ開口の周縁部の四隅の各々をなす2辺に該周縁部との結合部が配置された、サンルーフ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のサンルーフ装置において、
前記サンルーフユニットは、前記ルーフ開口の周縁部との間に介設されたブラケットを介して前記ルーフ開口の周縁部に取着された、サンルーフ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のサンルーフ装置において、
平面視において、前記サンルーフユニットの占有領域は、前記ルーフ開口に収まっており、
前記ブラケットは、トルクの付与側が下方に位置する締結具によって前記ルーフ開口の周縁部に締結された、サンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンルーフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サンルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このサンルーフ装置は、車両のルーフに形成された開口を閉塞可能な3つのパネル(フロントパネル、センターパネル及びリヤパネル)と、それらパネルを支持するサンルーフユニットとを備える。そして、サンルーフユニットは、開口の車両の幅方向両縁部(一対の第1縁部)に取着される一対のガイドレール、並びに開口の車両の前後方向両縁部(一対の第2縁部)に取着され両ガイドレールの前端同士及び後端同士を車両の幅方向に接続する一対のハウジングからなる枠部を有する。
【0003】
フロントパネル及びリヤパネルは、開口の前部及び後部を常時閉塞するように枠部の前部及び後部にそれぞれ取着・支持されている。つまり、フロントパネル及びリヤパネルの各々(以下、「固定パネル」ともいう)は、枠部(サンルーフユニット)を介して車両のルーフに取着されている。一方、センターパネル(以下、「可動パネル」ともいう)は、開口の車両の前後方向中央部を開閉可能に両ガイドレールに支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-79853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、固定パネルを樹脂製の板材にて成形することが検討されている。この場合、固定パネルを枠部(サンルーフユニット)に取着すると、その熱変形に伴い両ガイドレールが変位してそれらの平行度が損なわれる可能性がある。このように両ガイドレールの平行度が損なわれると、可動パネルの開閉作動時の負荷が増加する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、可動パネルの開閉作動時の負荷が増加することを抑制できるサンルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するサンルーフ装置は、意匠面を形成するとともに、車両のルーフに形成されたルーフ開口の一部である第1開口を常時閉塞する樹脂製の固定パネルと、前記ルーフ開口の周縁部に取着され、前記固定パネルが取着された樹脂製の取付部材と、意匠面を形成するとともに、前記ルーフ開口の他部である第2開口を開閉可能な可動パネルと、前記ルーフ開口の車両の幅方向両縁部に取着される一対のガイドレール、並びに前記ルーフ開口の車両の前後方向両縁部に取着され前記両ガイドレールの前端同士及び後端同士を車両の幅方向に接続する一対の接続部材を有し、前記両ガイドレールにおいて前記可動パネルを支持するサンルーフユニットと、を備える。
【0008】
この構成によれば、樹脂製の前記取付部材は、樹脂製の前記固定パネルと共に前記ルーフ開口の周縁部に取着される。一方、前記サンルーフユニットは、前記取付部材とは独立で、前記ルーフ開口の周縁部に取着される。従って、樹脂製の前記取付部材等が熱変形しても、これに伴う前記両ガイドレールの変位を抑制できる。そして、前記両ガイドレールに支持された前記可動パネルの開閉作動時の負荷が増加することを抑制できる。
【0009】
上記サンルーフ装置について、前記固定パネルとしての意匠部及び前記取付部材としての取付部を一体的に有する樹脂パネルを備えることが好ましい。
この構成によれば、前記樹脂パネルは、前記意匠部(固定パネル)及び前記取付部(取付部材)を一体的に有することで、部品点数の増大を抑制できる。
【0010】
上記サンルーフ装置について、前記取付部材は、前記ルーフ開口の周縁部の全周に亘って該周縁部に接着されることが好ましい。
この構成によれば、前記取付部材が前記ルーフ開口の周縁部の全周に亘って該周縁部に接着されることで、前記ルーフのねじれ剛性をより向上できる。
【0011】
上記サンルーフ装置について、前記サンルーフユニットは、前記ルーフ開口の周縁部の四隅の各々をなす2辺に該周縁部との結合部が配置されることが好ましい。
この構成によれば、前記サンルーフユニットが前記ルーフ開口の周縁部の各隅を跨ぐように該隅のなす2辺に前記結合部が配置されることで、各隅を補強でき、前記ルーフのねじれ剛性をより向上できる。
【0012】
上記サンルーフ装置について、前記サンルーフユニットは、前記ルーフ開口の周縁部との間に介設されたブラケットを介して前記ルーフ開口の周縁部に取着されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、前記ブラケットの強度の仕様(例えば板厚など)を前記サンルーフユニット(ガイドレール等)とは独立で設定できることで、要求される強度に応じた仕様変更を容易に行うことができる。
【0014】
上記サンルーフ装置について、平面視において、前記サンルーフユニットの占有領域は、前記ルーフ開口に収まっており、前記ブラケットは、トルクの付与側が下方に位置する締結具によって前記ルーフ開口の周縁部に締結されることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、例えば交換等で前記サンルーフユニットを取り外す際、前記締結具に下方からトルクを付与して前記ブラケットと前記ルーフ開口の周縁部との締結状態を解除すれば、前記サンルーフユニットに前記ルーフ開口を通過させつつ前記ブラケットと共に前記サンルーフユニットを下方から取り外すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、可動パネルの開閉作動時の負荷が増加することを抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】サンルーフ装置の一実施形態についてその構造を示す分解斜視図。
図2】同実施形態のサンルーフ装置についてその構造を示す底面図。
図3図2の3-3線に沿った断面図。
図4図2の4-4線に沿った断面図。
図5図2の5-5線に沿った断面図。
図6図2の6-6線に沿った断面図。
図7図2の7-7線に沿った断面図。
図8図2の8-8線に沿った断面図。
図9図2の9-9線に沿った断面図。
図10】(a)、(b)は、同実施形態のサンルーフ装置についてその組付に係る構造及び作用を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、サンルーフ装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。
【0019】
図1に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形のルーフ開口11が形成されている。このルーフ開口11は、略四角枠状の周縁部11aを有する。
そして、ルーフ開口11の周縁部11aには、略四角形の樹脂パネル20が取着されている。すなわち、図2及び図3に示すように、ルーフ10は、ルーフ開口11の車両の幅方向両端縁の各々からその全長に亘って下方に延びる下延壁12を有するとともに、該下延壁12の全長に亘ってその下端から車内側(ルーフ開口11の中心側)に突出するサイドフランジ13を有する。また、ルーフ10は、ルーフ開口11の前端縁からその全長に亘って後方に延びる、例えば金属板からなるフロントヘッダ14を有するとともに、ルーフ開口11の後端縁からその全長に亘って前方に延びる、例えば金属板からなるリアヘッダ15を有する。両サイドフランジ13、フロントヘッダ14及びリアヘッダ15は、全体として略四角枠状になるように各隣り合う端末同士が接続されている。
【0020】
一方、樹脂パネル20は、取付部材としての略四角枠状の取付部21及び該取付部21の上面に接合された固定パネルとしての意匠部22を有する。取付部21及び意匠部22は、例えば2色成形により一体的に設けられている。そして、樹脂パネル20は、取付部21及び両サイドフランジ13等との間に介装された、例えばウレタン樹脂製の接着剤25により、両サイドフランジ13等にそれらの全周に亘って接着されている。また、樹脂パネル20は、意匠部22において意匠面を形成する。
【0021】
なお、樹脂パネル20の前後方向中間部には、略四角形のパネル開口23が形成されている。つまり、樹脂パネル20は、パネル開口23を除いたルーフ開口11の一部である第1開口11bを常時閉塞している。
【0022】
図1に示すように、ルーフ開口11の周縁部11aには、サンルーフユニット30が載置されている。すなわち、図2及び図3に示すように、ルーフ10は、車両の幅方向両側に配設された、例えば金属板からなる一対のレールインナー16を備える。各レールインナー16は、車内側斜め上方に延出する本体部16aを有するとともに、該本体部16aの車内側端に接続されてサイドフランジ13の下方でこれと略平行に車内側に延びるフランジ部16bを有する。両レールインナー16は、両サイドフランジ13、フロントヘッダ14及びリアヘッダ15と共にルーフ開口11の周縁部11aを構成する。
【0023】
そして、各本体部16aの上面には、ナット111が前後方向に間隔をあけて複数溶着されているとともに、各フランジ部16bの上面には、下方にねじ部を突出させたボルト122が前後方向に間隔をあけて複数溶着されている。また、図2及び図4に示すように、フロントヘッダ14の上面には、下方にねじ部を突出させたボルト123が車両の幅方向に間隔をあけて複数溶着されている。さらに、図2及び図5に示すように、リアヘッダ15の上面には、下方にねじ部を突出させたボルト124が車両の幅方向両端部の各々に当該方向に間隔をあけて一対溶着されている。
【0024】
図2図4に示すように、フロントヘッダ14及びレールインナー16のなす角部(ルーフ開口11の周縁部11aの隅)には、それらの下面に当接する状態で、例えば金属板からなるブラケット41が取着されている。詳述すると、ブラケット41は、これを本体部16aと共に貫通させて上方に突出させたボルト121のねじ部がナット111に締め付けられることでレールインナー16に締結されている。また、ブラケット41は、これを貫通して下方に突出するボルト122,123のねじ部にナット112,113が締め付けられることでレールインナー16及びフロントヘッダ14にそれぞれ締結されている。ナット111~113及びボルト121~123は、周縁部11aとの結合部101,102,103を構成する。つまり、ブラケット41には、ルーフ開口11の周縁部11aの前方の隅をなす2辺に結合部101~103が配置されている。なお、ブラケット41には、レールインナー16に2つの結合部101,102が配置されており、フロントヘッダ14に一対の結合部103が配置されている。
【0025】
また、図2及び図5に示すように、リアヘッダ15及びレールインナー16のなす角部(ルーフ開口11の周縁部11aの隅)には、それらの下面に当接する状態で、例えば金属板からなるブラケット42が取着されている。詳述すると、ブラケット42は、これを貫通して下方に突出するボルト124のねじ部にナット114が締め付けられることでリアヘッダ15に締結されている。ボルト124及びナット114は、周縁部11aとの結合部104を構成する。なお、レールインナー16とのブラケット42の締結構造は、ブラケット41の締結構造と同様であるため詳細な説明は省略する。つまり、ブラケット42には、ルーフ開口11の周縁部11aの後方の隅をなす2辺に結合部101,102,104が配置されている。ブラケット42には、レールインナー16に2つの結合部101,102が配置されており、リアヘッダ15に一対の結合部104が配置されていることはいうまでもない。
【0026】
さらに、図2図6及び図7に示すように、レールインナー16の前後方向中間部には、その下面に当接する状態で、例えば金属板からなるブラケット43が取着されている。詳述すると、ブラケット43は、これを本体部16aと共に貫通させて上方に突出させたボルト125のねじ部がナット111に締め付けられることでレールインナー16に締結されているとともに、ブラケット43を貫通して下方に突出するボルト122のねじ部にナット116が締め付けられることでレールインナー16に締結されている。ナット111,116及びボルト125,122は、周縁部11aとの結合部105,106を構成する。なお、ブラケット43には、2つの結合部105,106が共に一対で配置されている。
【0027】
また、図2図8及び図9に示すように、フロントヘッダ14の車両の幅方向中間部には、その下面に当接する状態で、例えば金属板からなるブラケット44が車両の幅方向に間隔をあけて一対で取着されている。詳述すると、ブラケット44は、これを貫通して下方に突出するボルト123のねじ部にナット117が締め付けられることでフロントヘッダ14に締結されている。ボルト123及びナット117は、周縁部11aとの結合部107を構成する。なお、各ブラケット44には、フロントヘッダ14に一対の結合部107が配置されている。
【0028】
締結具としてのナット112~114,116,117及びボルト121,125の全てのトルクの付与側が下方に位置することはいうまでもない。
一方、図2に示すように、サンルーフユニット30は、ルーフ開口11の車両の幅方向両縁部に前後方向に延びるように設けられる一対のガイドレール31を有する。また、サンルーフユニット30は、両ガイドレール31の前端同士及び後端同士を車両の幅方向にそれぞれ接続する一対の接続部材としてのフロントハウジング32及びリヤフレーム33、並びに両ガイドレール31の前後方向中間部同士を車両の幅方向に接続するセンターフレーム34を有する。各ガイドレール31は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、フロントハウジング32は、例えば樹脂材からなり、リヤフレーム33及びセンターフレーム34は、例えば金属板からなる。
【0029】
また、サンルーフユニット30は、ガイドレール31及びフロントハウジング32のなす角部でそれらの下面に当接する状態で取着された、例えば金属板からなるフロントブラケット36を有する。さらに、サンルーフユニット30は、ガイドレール31の前後方向中間部でその下面に当接する状態で取着された、例えば金属板からなるセンターブラケット37を有する。これらフロントブラケット36及びセンターブラケット37は、ブラケット41,43にそれぞれ載せられた状態でこれらに締結されている。加えて、フロントハウジング32は、複数のブラケット44に載せられた状態でこれらに締結されている。また、リヤフレーム33の先端部33aは、ブラケット42に載せられた状態でこれに締結されている。
【0030】
詳述すると、図2及び図3に示すように、フロントブラケット36の上面には、下方にねじ部を突出させたボルト141が前後方向に間隔をあけて複数溶着されている。フロントブラケット36は、ブラケット41を貫通させて下方に突出させたボルト141のねじ部にナット131が締め付けられることでブラケット41に締結されている。また、図2及び図5に示すように、リヤフレーム33の先端部33aの上面には、下方にねじ部を突出させたボルト142が前後方向に間隔をあけて複数溶着されている。リヤフレーム33の先端部33aは、ブラケット42を貫通させて下方に突出させたボルト142のねじ部にナット132が締め付けられることでブラケット42に締結されている。さらに、図2及び図7に示すように、センターフレーム34の先端部34aの上面には、下方にねじ部を突出させたボルト143が複数溶着されている。センターフレーム34の先端部34aは、センターブラケット37及びブラケット43を貫通させて下方に突出させたボルト143のねじ部にナット133が締め付けられることでブラケット43に締結されている。
【0031】
加えて、図2及び図9に示すように、フロントハウジング32の上面には、下方にねじ部を突出させたボルト144が車両の幅方向に間隔をあけて複数固着されている。フロントハウジング32は、ブラケット44を貫通させて下方に突出させたボルト144のねじ部にナット134が締め付けられることでブラケット44に締結されている。
【0032】
以上により、サンルーフユニット30は、ブラケット41~44を介してルーフ開口11の周縁部11aに載置されている。ブラケット41~44は、サンルーフユニット30の搭載用の取付座面を形成する。本実施形態では、平面視において、サンルーフユニット30の占有領域は、ルーフ開口11に収まっている。
【0033】
なお、サンルーフユニット30には、パネル開口23を開閉可能な、例えばガラス製又は樹脂製の板材からなる略四角形の可動パネル35が設けられている。つまり、可動パネル35は、パネル開口23に相当するルーフ開口11の他部である第2開口11c(図3参照)を開閉可能である。サンルーフユニット30は、両ガイドレール31に前後方向に移動可能に支持された一対の機能部品(図示略)を有しており、可動パネル35は、両機能部品の間に橋渡しされる状態でそれらに連係及び支持されている。可動パネル35は、両機能部品の前後方向の移動に伴って開閉作動をする。すなわち、可動パネル35は、その前側部位を支点に後側部位が上昇するチルトアップ作動及び前後方向へのスライド作動可能に取り付けられている。可動パネル35による開閉作動においては、チルトアップ状態のままスライド作動する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。
【0034】
本実施形態の作用について説明する。
樹脂パネル20(取付部21及び意匠部22)は、ルーフ開口11の周縁部11aに取着される。一方、サンルーフユニット30は、樹脂パネル20とは独立で、ルーフ開口11の周縁部11aに取着される。つまり、樹脂パネル20及びサンルーフユニット30が直結されない構造を採用している。従って、樹脂パネル20が熱変形しても、これに伴う両ガイドレール31の変位が抑制される。
【0035】
次に、本実施形態の取付工程について説明する。
例えば車両工場などに搬入された段階では、樹脂パネル20及びサンルーフユニット30は、互いに位置決めされた状態で仮組みされている。すなわち、図10(a)に樹脂パネル20等の後端部の構造を代表して示したように、例えばリヤフレーム33の先端部33aには、樹脂パネル20に向かって上方に起立する略L字状のユニット側取付片61が突設されている。また、樹脂パネル20には、ユニット側取付片61に対向して下方に延びる略L字状のパネル側取付片62が垂設されている。そして、パネル側取付片62の上面には、下方にねじ部を突出させたボルト63が固着されている。樹脂パネル20は、ユニット側取付片61を貫通して下方に突出するボルト63のねじ部にナット64が締め付けられることでリヤフレーム33に締結されている。
【0036】
なお、ボルト63及びナット64の締結構造は、締め付けの回転方向が通常ねじとは逆方向となる逆ねじとなっている。
一方、ルーフ10のリアヘッダ15には、予めブラケット42が取着されている。このブラケット42には、ナット64等に対向して開口する作業孔65が形成されている。
【0037】
そして、仮組状態にある樹脂パネル20及びサンルーフユニット30は、樹脂パネル20が接着剤25によりルーフ開口11の周縁部11aにその全周に亘って接着されるとともに、サンルーフユニット30がボルト142のねじ部を貫通させつつブラケット42に載せられてそれに前述の態様で締結される。なお、他のブラケット41,43,44も、上記に準じてルーフ開口11の周縁部11aに予め取着されており、同様にサンルーフユニット30がブラケット41,43,44に載せられてそれらに前述の態様で締結される。
【0038】
続いて、図10(b)に示すように、作業孔65を通じて下方から解除用の工具(例えばレンチ)を挿入し、ボルト63からナット64を取り外す。既述のように、ボルト63及びナット64の締結構造は、逆ねじとなっていることで、このときのナット64の回転方向はナット131~134の締め付けの回転方向に一致する。つまり、ナット131~134を締め付ける工具をそのまま利用してナット64を取り外すことができる。なお、ボルト63のねじ部が貫通するユニット側取付片61及びパネル側取付片62には、貫通方向に直交する一方向にねじ部を解放する開口(図示略)が形成されている。従って、ボルト63は、当該開口を通じてねじ部を抜き取ることで、ユニット側取付片61等から外れる。
【0039】
その後、ユニット側取付片61上に位置するパネル側取付片62を根元から破断すれば、樹脂パネル20及びサンルーフユニット30の関係が切り離される。そして、樹脂パネル20及びサンルーフユニット30は、互いに独立でルーフ開口11の周縁部11aに取着される。
【0040】
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、樹脂パネル20(取付部21及び意匠部22)は、ルーフ開口11の周縁部11aに取着される。一方、サンルーフユニット30は、樹脂パネル20とは独立で、ルーフ開口11の周縁部11aに取着される。従って、樹脂パネル20が熱変形しても、これに伴う両ガイドレール31の変位を抑制できる。そして、両ガイドレール31に支持された可動パネル35の開閉作動時の負荷が増加することを抑制できる。
【0041】
また、例えば可動パネル35を開閉駆動するモータの回転速度(即ち負荷)に基づいて挟みこみ判定を行うシステムを搭載する場合、当該回転速度の増加が抑制されることで、誤判定を抑制できる。
【0042】
(2)本実施形態では、樹脂パネル20は、固定パネルとしての意匠部22及び取付部材としての取付部21を一体的に有することで、部品点数の増大を抑制できる。
(3)本実施形態では、取付部21(樹脂パネル20)がルーフ開口11の周縁部11aの全周に亘って該周縁部11aに接着されることで、ルーフ10のねじれ剛性をより向上できる。
【0043】
(4)本実施形態では、サンルーフユニット30がルーフ開口11の周縁部11aの各隅を跨ぐように該隅のなす2辺に結合部102,103、102,104が配置されることで、各隅を補強でき、ルーフ10のねじれ剛性をより向上できる。
【0044】
(5)本実施形態では、サンルーフユニット30は、ルーフ開口11の周縁部11aとの間に介設されたブラケット41~44を介してルーフ開口11の周縁部11aに取着されている。従って、ブラケット41~44の強度の仕様(例えば板厚など)をサンルーフユニット30(ガイドレール31等)とは独立で設定できることで、要求される強度に応じた仕様変更を容易に行うことができる。
【0045】
あるいは、ブラケット41~44の形状をサンルーフユニット30(ガイドレール31等)とは独立で設定できることで、ルーフ開口11の周縁部11aに対する取付位置の自由度をより向上できる。
【0046】
あるいは、サンルーフユニット30がブラケット41~44を介してルーフ10の強度部材(レールインナー16、フロントヘッダ14、リアヘッダ15)に取着されることで、サンルーフユニット30が受ける荷重(振動やユーザの手つき荷重など)を当該強度部材に逃がすことができる。
【0047】
(6)本実施形態では、平面視において、サンルーフユニット30の占有領域は、ルーフ開口11に収まっており、ブラケット41~44は、トルクの付与側が下方に位置するナット112~114,116,117及びボルト121,125によってルーフ開口11の周縁部11aに締結されている。従って、例えば交換等でサンルーフユニット30を取り外す際、ナット112~114,116,117及びボルト121,125に下方からトルクを付与してブラケット41~44とルーフ開口11の周縁部11aとの締結状態を解除する。これにより、サンルーフユニット30にルーフ開口11を通過させつつブラケット41~44と共にサンルーフユニット30を下方から取り外すことができる。つまり、ルーフ10及び樹脂パネル20の接着を切ることなく、下方からサンルーフユニット30の取り外し(交換)が可能となる。
【0048】
(7)本実施形態では、ボルト63及びナット64の締結によって樹脂パネル20及びサンルーフユニット30を仮組みし、それらを車両の前後方向、幅方向及び高さ方向に予め位置決めしたことで、樹脂パネル20等をルーフ10に円滑に組み付けることができる。
【0049】
一方、ボルト63及びナット64の締結構造は、逆ねじとなっていることで、車両搭載時に樹脂パネル20及びサンルーフユニット30の仮組状態を解除する際、ナット131~134を締め付ける工具をそのまま利用してナット64を取り外すことができる。
【0050】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・前記実施形態において、仮組状態での樹脂パネル20及びサンルーフユニット30の位置決めは、ボルト63及びナット64の締結に加えて、ピンなどで行ってもよい。
【0051】
・前記実施形態においては、レールインナー16(本体部16a)の上面に溶着されたナット111にボルト121,125を締め付けることでブラケット41~43を締結したが、これらの関係は互いに逆でもよい。すなわち、レールインナー16(本体部16a)の上面に下方にねじ部を突出させたボルトを溶着し、当該ねじ部にナットを締め付けることでブラケット41~43を締結してもよい。
【0052】
同様に、レールインナー16(フランジ部16b)等の上面に下方にねじ部を突出させたボルト122~124にナット112~114,116,117を締め付けることでブラケット41~44を締結したが、これらの関係は互いに逆でもよい。すなわち、レールインナー16(フランジ部16b)等の上面にナットを溶着し、当該ナットにボルトのねじ部を締め付けることでブラケット41~44を締結してもよい。
【0053】
・前記実施形態において、ブラケット41~44の少なくとも一つは、例えばトルクの付与側が上方に位置する締結具(ナット等)によってルーフ開口11の周縁部11a(レールインナー16等)に締結されてもよい。この場合、平面視において、サンルーフユニット30の占有領域は、ルーフ開口11に収まっていなくてもよい。
【0054】
・前記実施形態において、ブラケット41を省略してサンルーフユニット30(フロントブラケット36)をルーフ開口11の周縁部11aに直結してもよい。あるいは、ブラケット42を省略してサンルーフユニット30(リヤフレーム33の先端部33a)をルーフ開口11の周縁部11aに直結してもよい。あるいは、ブラケット43を省略してサンルーフユニット30(センターブラケット37)をルーフ開口11の周縁部11aに直結してもよい。あるいは、ブラケット44を省略してサンルーフユニット30(フロントハウジング32)をルーフ開口11の周縁部11aに直結してもよい。
【0055】
・前記実施形態において、サンルーフユニット30は、ルーフ開口11の周縁部11aの四隅の各々をなす2辺に該周縁部11aとの結合部102,103、102,104が配置されていなくてもよい。
【0056】
・前記実施形態において、樹脂パネル20(取付部21)は、ルーフ開口11の周縁部11aの全周に亘って該周縁部11aに接着されていなくてもよい。
・前記実施形態において、樹脂パネル20を別体の固定パネル(意匠部22)及び取付部材(取付部21)で構成してもよい。この場合、例えば車両意匠に応じて異なる複数種類の固定パネルに対し取付部材を共用でき、汎用性を高めることができる。例えば取付部材には、パネル開口23(可動パネル35)を挟んで前後方向に2分された一対の固定パネルが取着されてもよい。
【0057】
・前記実施形態において、ルーフ開口11の周縁部11aの構造は適宜変更してもよい。例えばサイドフランジ13に準じたフランジをルーフ開口11の全周に亘って環状に形成することでなる周縁部であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…ルーフ、11…ルーフ開口、11a…周縁部、11b…第1開口、11c…第2開口、20…樹脂パネル、21…取付部(取付部材)、22…意匠部(固定パネル)、25…接着剤、30…サンルーフユニット、31…ガイドレール、32…フロントハウジング(接続部材)、33…リヤフレーム(接続部材)、35…可動パネル、41~44…ブラケット、102~104…結合部、112~114,116,117…ナット(締結具)、121,125…ボルト(締結具)。
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