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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20230516BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B65G43/02 F
B65G1/00 511H
B65G1/00 501B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019015393
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020121867
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彰
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-145016(JP,A)
【文献】特開2011-042497(JP,A)
【文献】特開昭51-043573(JP,A)
【文献】特開2006-103908(JP,A)
【文献】特開2004-099208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/02
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に並んでおりかつ互いに重複した部分を有する第1領域及び第2領域を有し、前記第1領域から前記第2領域に荷を搬送するコンベヤと、
搬送方向において前記第2領域のみが位置する位置に設けられ、前記第1領域から搬送される前記荷の前端の荷姿異常を検出する第1検出部と、
搬送方向において前記第1領域のみが位置する位置に設けられ、前記第2領域に搬送される前記荷の後端の荷姿異常を検出する第2検出部と、
前記第1検出部と前記第2検出部の検出結果を判定するコントローラと、
前記第1検出部及び/又は前記第2検出部により荷姿異常が検出されると、異常を報知する報知部と、
を備え
前記第1領域及び前記第2領域の搬送方向長さは、前記荷の搬送方向長さと同じであり、
前記コンベヤの搬送方向長さは、前記荷の搬送方向長さの2倍より短い、
搬送システム。
【請求項2】
前記荷は、荷支持部材に載置された状態で搬送され、
前記第1検出部は、
前記荷支持部材を検出する第1センサと、
前記荷を検出する第2センサと、を有し、
前記コントローラは、前記第1センサにより前記荷支持部材が検出されたタイミングにおいて前記第2センサにより前記荷が検出されたか否かを判定し、
前記第2検出部は、
前記荷支持部材を検出する第3センサと、
前記荷を検出する第4センサと、を有し、
前記コントローラは、前記第3センサにより前記荷支持部材が検出されなくなったタイミングにおいて前記第センサにより前記荷が検出されたか否かを判定し、
前記報知部は、
前記第1センサにより前記荷支持部材が検出されたタイミングにおいて前記第2センサにより前記荷が検出された場合、及び/又は、
前記第3センサにより前記荷支持部材が検出されなくなったタイミングにおいて前記第4センサにより前記荷が検出された場合、異常を報知する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
第5センサをさらに備え、
前記第5センサは、搬送方向において前記第1検出部と前記第2検出部の間であり、かつ前記第2領域のみが位置する位置であり、並びに、幅方向において前記第1検出部より内側に位置しており、
前記第5センサは、光軸が上下方向となるように設けられ、前記荷を検出し、
前記報知部は、前記第5センサにより前記荷が検出されると異常を報知する、請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第2検出部は、前記第1領域において前記第1領域の搬送方向中心より搬送方向下流側に配置されている、請求項1~3のいずれかに記載の搬送システム。
【請求項5】
前記コンベヤの搬送方向上流端に設けられ、前記荷が前記コンベヤに載置されたときに前記荷を検出する第6センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記荷が前記コンベヤに載置されたときに、前記第6センサによる当該荷の検出が行われなければ、前記コンベヤに当該荷を搬送方向上流側に移動させ、その後に搬送方向下流側に移動させる、請求項1~4のいずれかに記載の搬送システム。
【請求項6】
前記第1検出部は、前記第2領域において前記第2領域の搬送方向中心より搬送方向上流側に配置されている、請求項1~5のいずれかに記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、特に、荷をその上で搬送するコンベヤを有する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫のラックに荷を搬入するための搬送システムが知られている(特許文献1を参照)。
特許文献1に記載の搬送システムは、自動倉庫1と、それに隣接して配置されたた搬入コンベア18を有している。搬入コンベア18には、その上の荷の幅方向の荷はみを検出するための発信受信器21が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-294303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷を自動倉庫のラックに直接搬入するコンベヤも知られている。そのようなコンベヤは、例えば、搬送方向下流側部分がラックの内側に配置され、搬送方向上流側部分が荷の載置部としてラックの外に配置されている。そして、例えばフォークリフトが荷をコンベヤの搬送方向上流側部分に載置すると、コンベヤが荷をラック内に搬入する。
上記のコンベヤの場合は、コンベヤの搬送方向上流側部分がラックから大きくはみ出しており、結果として荷の状態を検出するための搬送経路が長くなっている。具体的には、コンベヤは、少なくとも搬送方向における荷の長さの2倍の長さが必要である。
【0005】
本発明の目的は、搬送システムにおいて、荷の状態を検出するのに必要な搬送経路を短くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る搬送システムは、コンベヤと、第1検出部と、第2検出部と、コントローラと、報知部とを備えている。
コンベヤは、搬送方向に並んでおりかつ互いに重複した部分を有する第1領域及び第2領域を有し、第1領域から第2領域に荷を搬送する。
第1検出部は、搬送方向において第2領域のみが位置する位置に設けられ、第1領域から搬送される荷の前端の荷姿異常を検出する。
第2検出部は、搬送方向において第1領域のみが位置する位置に設けられ、第2領域に搬送される荷の後端の荷姿異常を検出する。
コントローラは、第1検出部と第2検出部の検出結果を判定する。
報知部は、第1検出部及び/又は第2検出部により荷姿異常が検出されると、異常を報知する。
第1検出部及び第2検出部は、例えば、光電センサ等の各種センサ、カメラである。
荷姿異常は、例えば、前後端の荷はみ、幅方向の荷はみ、高さ異常である。
異常報知は、例えば、荷の搬送を停止する、搬送方向上流側に戻す、警報を発する等の一つ又は複数の動作である。
この搬送システムでは、第1検出部を搬送方向下流側に設け、さらに第2検出部を搬送方向上流側に設けている。そして、第1領域及び第2領域が搬送方向に並んでおりかつ互いに重複した部分を有するので、荷の前後を検出するのに必要な搬送経路を短くできる。言い換えると、センサの取り付け位置を工夫し、かつ第1領域及び第2領域の一部を重複させることで、コンベヤを荷の長さの2倍より短くできる。
【0008】
荷は、荷支持部材に載置された状態で搬送されてもよい。
第1検出部は、第1センサと第2センサとを有していてもよい。第1センサは、荷支持部材を検出する。第2センサは、荷を検出する。
コントローラは、第1センサにより荷支持部材が検出されたタイミングにおいて第2センサにより荷が検出されたか否かを判定する。
第2検出部は、第3センサと第4センサとを有していてもよい。第3センサは、荷支持部材を検出する。第4センサは、荷を検出する。
コントローラは、第3センサにより前記荷支持部材が検出されなくなったタイミングにおいて第センサにより荷が検出されたか否かを判定する。
報知部は、第1センサにより荷支持部材が検出されたタイミングにおいて第2センサにより荷が検出された場合、及び/又は、第3センサにより荷支持部材が検出されなくなったタイミングにおいて第4センサにより荷が検出された場合、異常を報知してもよい。
この搬送システムでは、荷はみ(荷支持部材に対する荷基準位置からのずれ)を検出することで、荷はみがあった荷の搬送を例えば停止できる。その結果、荷のさらに搬送方向下流での搬送において、異常が生じることを防止できる。
【0009】
搬送システムは、第5センサをさらに備えていてもよい。
第5センサは、搬送方向において第1検出部と第2検出部の間であり、かつ第2領域のみが位置する位置であり、並びに、幅方向において第1検出部より内側に位置していてもよい。
第5センサは、光軸が上下方向となるように設けられ、荷を検出してもよい。
報知部は、第5センサにより荷が検出されると、異常を報知してもよい。
この搬送システムでは、第5センサを第1検出部より幅方向の内側に設けている。したがって、第5センサで幅方向の荷はみ(荷支持部材に対する荷基準位置からのずれ)が検出されれば、例えば荷の搬送を停止することにより、荷が第1検出部に衝突することを防止できる。これは、第1検出部の設置位置が幅方向において制限がある場合に、特に有効である。
【0010】
第2検出部は、第1領域において第1領域の搬送方向中心より搬送方向下流側に配置されていてもよい。
この搬送システムでは、第2検出部によって、荷の搬送方向上流側部分を確実に検出できる。なぜなら、荷が第1領域に正しく載置されれば、荷の搬送方向上流側部分が第2検出部より搬送方向上流側に位置するからである。
【0011】
搬送システムは、第6センサをさらに備えていてもよい。第6センサは、コンベヤの搬送方向上流端に設けられ、荷がコンベヤに載置されたときに荷を検出してもよい。
荷がコンベヤに載置されたときに、第6センサによる当該荷の検出が行われなければ、コントローラは、コンベヤに、当該荷を搬送方向上流側に移動させ、その後に当該荷を搬送方向下流側に移動させてもよい。
この搬送システムでは、例えばフォークリフトによって荷がコンベヤの所定位置より搬送方向下流側に載置された場合は、荷は搬送方向上流側に移動させられ、その後に搬送方向下流側に移動させられる。したがって、第2検出部によって、荷の搬送方向上流側部分を確実に検出できる。
【0012】
第1検出部は、第2領域において第2領域の搬送方向中心より搬送方向上流側に配置されていてもよい。
この搬送システムでは、第1検出部によって、荷の搬送方向下流側部分を確実に検出できる。なぜなら、荷が第1領域に正しく載置されれば、荷の搬送方向下流側部分が第1検出部より搬送方向上流側に位置するからである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る搬送システムでは、荷の状態を検出するのに必要な搬送経路を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動倉庫の模式的平面図。
図2】入庫ステーションの模式的正面図。
図3】入庫ステーションの模式的側面図。
図4】入庫ステーションの制御構成を示すブロック図。
図5】入庫ステーションの入庫制御動作を示すフローチャート。
図6】入庫ステーションの模式的正面図。
図7】入庫ステーションの模式的正面図。
図8】入庫ステーションの模式的正面図。
図9】入庫ステーションの模式的正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫システム
図1を用いて、自動倉庫システム100を説明する。図1は、自動倉庫の模式的平面図である。
自動倉庫システム100は、複数のラック3を有している。ラック3は、複数段の棚を有している。ラック3は、図1において、Y方向に延びてX方向に並んで配置されている。
自動倉庫システム100は、ラック間をY方向に走行するスタッカクレーン4を有している。スタッカクレーン4は、移載装置を用いて、荷を、入庫ステーション1(後述)から積み込むことができる。
【0016】
自動倉庫システム100は、複数の入庫ステーション1(搬送システムの一例)を有している。入庫ステーション1は、外部からラック3に入庫される荷Aが載置される場所である。荷Aは、パレットP(図2、荷支持部材の一例)に載置された状態で搬送される。入庫ステーション1に荷Aを搬入する装置は、例えば、フォークリフト6である。
【0017】
図2及び図3を用いて、入庫ステーション1を説明する。図2は、入庫ステーションの模式的正面図である。図3は、入庫ステーションの模式的側面図である。
入庫ステーション1は、コンベヤ5を有している。コンベヤ5では、幅方向がY方向に一致しており、搬送方向がY方向に直交するX方向に一致している。
【0018】
コンベヤ5は、第1領域5A及び第2領域5Bを有している。第1領域5A及び第2領域5Bは、搬送方向に並んでおりかつ互いに重複した部分を有しており、第1領域5Aから第2領域5Bに荷Aを搬送する。この実施形態では、第1領域5Aと第2領域5Bの搬送方向長さは互いに同じであり、さらに荷Aの搬送方向長さと同じである。また、第1領域5Aは、一部がラック3内につまり外側柱3aよりラック3内に配置され、一部がラック3外につまり外側柱3aより外側に配置されている。さらに、第2領域5Bは、ラック3の棚に位置しており、つまり外側柱3aと内側柱3bとの間に配置されている。なお、第1領域5Aは、フォークリフト6によって荷Aの移載が行われる領域である。また、第2領域5Bは、スタッカクレーン4によって荷Aの移載が行われる領域である。
具体的には、コンベヤ5は、チェーンコンベヤである。ただし、コンベヤ5は、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ等の他の種類であってもよい。
【0019】
(2)各種センサ
入庫ステーション1は、後述するように、荷Aの搬送動作中に異常な荷姿を検出するための各種センサを有している。
(2-1)第1検出部
入庫ステーション1は、第1検出部7を有している。第1検出部7は、搬送方向において第2領域5Bのみが位置する位置に設けられ、第1領域5Aから搬送される荷Aの前端の荷姿異常を検出する。
具体的には、第1検出部7は、第1タイミングセンサ11(第1センサの一例)を有している。第1タイミングセンサ11は、パレットPを検出する。さらに具体的には、第1タイミングセンサ11は、図3に示すように、幅方向の両側に配置され光軸(検出ライン)が幅方向に延びる透過型光電センサであり、パレットPの前端が光を遮ると、第1タイミングセンサ11がOFFからONになる。
【0020】
第1検出部7は、前端荷姿センサ13(第2センサの一例)を有している。前端荷姿センサ13は、第1タイミングセンサ11がパレットPを検出すると、そのタイミングで荷Aの有無を検出する。具体的には、コントローラ51(後述)が制御を行い、第1タイミングセンサ11がパレットPを検出したタイミングで、コントローラ51(後述)の制御により前端荷姿センサ13から光パルスを飛ばして荷Aを検出する。別の例として、前端荷姿センサ13から光パルスが常に飛ばされており、第1タイミングセンサ11がパレットPを検出したタイミングで前端荷姿センサ13が荷Aを検出しているかをコントローラ51(後述)が確認する。
前端荷姿センサ13の搬送方向位置は、第1タイミングセンサ11より所定距離だけ搬送方向下流側である。なお、上記の「所定距離」は、パレットPの前端が第1タイミングセンサ11によって検出されるときのパレットPの基準箇所に対する荷はみの許容長さ(これより荷はみが大きければ、スタッカクレーン等での搬送に支障をきたす)である。
具体的には、前端荷姿センサ13は、図3に示すように、対角に配置された一対の透過型光電センサ13a、13bであり、上記タイミングで光パルスを飛ばして荷Aの前端の有無を検出する。前端が光を遮っていれば一対の透過型光電センサ13a、13bがONであり、その結果、荷崩れ又は荷はみが生じていることを検出できる。なお、前端荷姿センサ13は、複数の対角配置の組み合わせに限定されず、例えば、対角配置と水平配置の組み合わせ、複数の水平配置の組み合わせでもよい。
【0021】
上述のように、第1検出部7は、第2領域5Bに荷Aが位置する場合は、荷AやパレットPを検出しない位置に設けられている。したがって、第1検出部7は、ON→OFF、OFF→ONの切り替えが行われ、荷Aの前端を検出できる。
第1検出部7は、第2領域5Bにおいて第2領域5Bの搬送方向中心C2より搬送方向上流側に配置されている。この構成により、第1検出部7によって、荷Aの搬送方向下流側部分を確実に検出できる。なぜなら、図2に示すように荷Aが第1領域5Aに正しく載置されれば、荷Aの搬送方向下流側部分が第1検出部7より搬送方向上流側に位置するからである。
なお、図示していないが、第1検出部7の第1タイミングセンサ11及び前端荷姿センサ13は、ラック3の例えば内側柱3bに固定されたプレートにそれぞれ設けられている。
【0022】
第1検出部7は、図2及び図3に示すように、第1高さセンサ15を有している。第1高さセンサ15は、光軸が荷Aの最上端よりわずかに高い位置において幅方向に延びるように配置された透過型の光電センサである。センサ15の搬送方向位置は、前端荷姿センサ13と同じである。
図3に示すように、一対の第1幅センサ17(第5センサの一例)が設けられている。一対の第1幅センサ17は、図3に示すように、光軸が上下方向となるように設けられた透過型の光電センサであり、荷Aの有無を検出する。一対の第1幅センサ17は、搬送方向において第1検出部7と第2検出部9(後述)の間であり、かつ第2領域5Bのみが位置する位置に設けられている。具体的には、一対の第1幅センサ17の搬送方向位置は、前端荷姿センサ13と同じである。さらに、一対の第1幅センサ17は、幅方向において第1検出部7より内側であり、及びコンベヤ5の搬送面の縁端部に位置している。一対の第1幅センサ17は、所定距離だけパレットPから離れた位置であればよいので、コンベヤ5の搬送面の内側でも外側でもよい。
上記の構成では、一対の第1幅センサ17を第1検出部7の前端荷姿センサ13より幅方向の内側に設けている。したがって、一対の第1幅センサ17で幅方向の荷はみが検出されれば、例えば荷Aの搬送を停止することにより、荷Aが前端荷姿センサ13に衝突することを防止できる。これは、前端荷姿センサ13がラック3内に設けられていることで設置位置が幅方向において制限がある場合に特に有効である。
なお、一対の第1幅センサ17は、コンベヤ5における荷Aの適正位置と、荷Aが前端荷姿センサ13と衝突する位置との間に設けられている。
【0023】
(2-2)第2検出部
入庫ステーション1は、第2検出部9を有している。第2検出部9は、搬送方向において第1領域5Aのみが位置する位置に設けられ、第2領域5Bに搬送される荷Aの後端の荷姿異常を検出する。
具体的には、第2検出部9は、第2タイミングセンサ21(第3センサの一例)を有している。第2タイミングセンサ21は、パレットPを検出する。さらに具体的には、第2タイミングセンサ21は、幅方向の両側に配置された光電センサであり、パレットPの後端が光の遮断を終了すると、ONからOFFになる。
【0024】
第2検出部9は、後端荷姿センサ23(図4、第4センサの一例)を有している。後端荷姿センサ23は、第2タイミングセンサ21がパレットPの検出を終了すると、そのタイミングで荷Aの有無を検出する。具体的には、コントローラ51(後述)が制御を行い、第2タイミングセンサ21がパレットPの検出を終了したタイミングで、コントローラ51(後述)の制御により後端荷姿センサ23から光パルスを飛ばして荷Aを検出する。別の例として、後端荷姿センサ23から光パルスが常に飛ばされており、第2タイミングセンサ21がパレットPの検出を終了したタイミングで後端荷姿センサ23が荷Aを検出しているかをコントローラ51(後述)が確認する。
後端荷姿センサ23の搬送方向位置は、第2タイミングセンサ21より所定距離だけ搬送方向上流側である。なお、上記の「所定距離」は、パレットPの後端が第2タイミングセンサ21による検出を終えるときのパレットPの基準箇所に対する荷はみの許容長さ(これより荷はみが大きければ、スタッカクレーン等での搬送に支障をきたす)である。
具体的には、後端荷姿センサ23は、図3に示すように、対角に配置された一対の透過型光電センサ23a、23bであり、上記タイミングで光パルスを飛ばして荷Aの後端面の有無を検出する。後端が光を遮っていれば一対の透過型光電センサ23a、23bはONであり、荷崩れ又は荷はみが生じていることを検出できる。なお、後端荷姿センサ23は、複数の対角配置の組み合わせに限定されず、例えば、対角配置と水平配置の組み合わせ、複数の水平配置の組み合わせでもよい。
【0025】
上述のように、第2検出部9は、第1領域5Aに荷Aが位置する場合は、荷AやパレットPを検出しない位置に設けられている。上記の設置位置であるので、第2検出部9は、ON→OFF、OFF→ONの切り替えが行われ、荷の後端を検出できる。
第2検出部9は、第1領域5Aにおいて第1領域5Aの搬送方向中心C1より搬送方向下流側に配置されている。この構成により、第2検出部9によって、荷Aの搬送方向上流側部分を確実に検出できる。なぜなら、図2に示すように荷Aが第1領域5Aに正しく載置されれば、荷Aの搬送方向上流側部分が第2検出部9より搬送方向上流側に位置するからである。
【0026】
第2検出部9は、第2高さセンサ25を有している。第2高さセンサ25は、光軸が荷Aの最上端よりわずかに高い位置で幅方向に伸びるように配置された透過型の光電センサである。センサ25の搬送方向位置は、後端荷姿センサ23と同じである。
第2検出部9は、図3に示すように、一対の第2幅センサ27をさらに有している。一対の第2幅センサ27は、光軸が上下方向となるように設けられた透過型の光電センサであり、荷Aの有無を検出する。一対の第2幅センサ27の搬送方向位置は、後端荷姿センサ23と同じとすることができる。その理由は、第2検出部9はラック3の外側に設けられているので各センサの幅方向における設置位置の制限がないからである。
なお、図示していないが、第2検出部9の各センサは、図示していないが、ラック3の外側に設けられた一対のポール(図示せず)に設けられている。
【0027】
(2-3)第1検出部と第2検出部による効果
上記の構成では、第1検出部7を搬送方向下流側に設け、さらに第2検出部9を搬送方向上流側に設けている。そして、第1領域5A及び第2領域5Bが搬送方向に並んでおりかつ互いに重複した部分を有するので、荷Aの前後を検出するのに必要な搬送経路を短くできる。
【0028】
(2-4)警報器
入庫ステーション1は、警報器33(図4、報知部の一例)を有している。警報器33は、第1検出部7及び/又は第2検出部9により荷姿異常が検出されると、音、光、その他の手段で異常を報知する。
警報器33は、第1タイミングセンサ11によりパレットPが検出されたタイミングにおいて前端荷姿センサ13により荷Aが検出された場合、及び/又は、第2タイミングセンサ21によりパレットPが検出されなくなったタイミングにおいて後端荷姿センサ23により荷Aが検出された場合、異常を報知する。
警報器33に加えて又は代わりに、上記の場合に荷の搬送を例えば停止又は後退させることで報知を行ってもよい。これにより作業者が荷姿を修正することができる。その結果、荷Aのさらに搬送方向下流での搬送において、異常が生じることを防止できる。
【0029】
(2-5)その他
入庫ステーション1は、搭載センサ28(図4)を有している。搭載センサ28は、荷Aがコンベヤ5の上に載置されたことを検出するセンサである。なお、搭載センサ28の代わりに、後端荷姿センサ23や第2タイミングセンサ21を用いてもよい。
入庫ステーション1は、ストライカー29(第6センサの一例)をさらに有している。ストライカー29は、コンベヤ5の搬送方向上流端に設けられ、荷Aがコンベヤ5の第1領域に正しく載置されたときに荷Aを検出するセンサである。
【0030】
(3)入庫ステーションの制御構成
図4を用いて、入庫ステーション1の制御構成を説明する。図4は、入庫ステーションの制御構成を示すブロック図である。
入庫ステーション1は、コントローラ51を有している。
コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
コントローラ51は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ51の各要素の機能は、一部又は全てが、制御部を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ51の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0031】
コントローラ51には、搭載センサ28、ストライカー29、第1タイミングセンサ11、前端荷姿センサ13、第2タイミングセンサ21、後端荷姿センサ23,第1高さセンサ15、第2高さセンサ25、第1幅センサ17、第2幅センサ27が接続されている。
コントローラ51には、さらに、コンベヤ駆動部31、警報器33が接続されている。
コントローラ51には、図示しないが、荷Aの大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0032】
(4)入庫ステーションの入庫制御動作
図5図9を用いて、入庫ステーションの入庫制御動作を説明する。図5は、入庫ステーションの入庫制御動作を示すフローチャートである。図6図9は、入庫ステーションの模式的正面図である。
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、制御部から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
【0033】
ステップS1では、コントローラ51は、荷Aがコンベヤ5の第1領域5Aに載置されたか否かを判断する。具体的には、搭載センサ28の検出結果が用いられる。
【0034】
ステップS2では、コントローラ51は、ストライカー29がONされたか否かを判断する。ONすればプロセスはステップS3に移行し、ONしなければプロセスはステップS11に移行する。
ステップS11では、コントローラ51は、コンベヤ駆動部31を制御することで、コンベヤ5を後進させる。その結果、荷Aを搬送方向上流側に移動させ、図2の正しい位置まで戻す。上記の動作の理由は下記の通りである。ステップS2においてストライカー29がONされないということは、例えば図9に示すようにフォークリフト6によって荷Aがコンベヤ5の所定位置より搬送方向下流側に間違って載置された場合である。この場合、そのままに荷Aを搬送すれば、荷Aの前端面が第1タイミングセンサ11より搬送方向下流側にあるので、荷Aの前端の荷姿を検出できなくなる。また、第2検出部9の第2高さ25や第2幅センサ27による荷Aの搬送方向上流側部分全体の検出ができなくなる。
【0035】
ステップS3では、コントローラ51は、コンベヤ駆動部31を制御することで、コンベヤ5を前進駆動する。以後、荷Aは第1領域5Aから第2領域5Bへと搬送される。
【0036】
ステップS4では、コントローラ51は、第1タイミングセンサ11がパレットPの前端を検出するのを待つ。図6に示すようにパレットPの前端が検出されると、プロセスはステップS5に移行する。
【0037】
ステップS5では、コントローラ51は、図6に示す状態において、前端荷姿センサ13を制御することで、投光器から光パルスを飛ばして受光器が受光したか否かを判断する。受光すれば(OFFであれば)前端に異常は無いことになるので、プロセスはステップS6に移行する。受光できなければ(ONであれば)前端に異常があることになるので、プロセスはステップS10に移行する。なお、実際は、ステップS4とステップS5は、ほぼ同じタイミングである。
【0038】
ステップS6では、コントローラ51は、第2タイミングセンサ21がパレットPの後端を検出終了するのを待つ。図7に示すようにパレットPの後端の検出が終了すると(OFFになれば)、プロセスはステップS7に移行する。
【0039】
ステップS7では、コントローラ51は、図7に示す状態において、後端荷姿センサ23を制御することで、投光器から光パルスを飛ばして受光器が受光したか否かを判断する。受光すれば(OFFであれば)前端に異常は無いことになるので、プロセスはステップS8に移行する。受光できなければ(ONであれば)後端に異常があることになるので、プロセスはステップS10に移行する。なお、実際は、ステップS6とステップS7は、ほぼ同じタイミングである。
【0040】
ステップS8では、コントローラ51は、荷Aが第2領域5Bの所定位置に到達したか否かを判断する。この判断は図示しないセンサ、又はコンベヤ駆動部31の制御量に基づいて行われる。図8に示すようにパレットP及び荷Aが第2領域5Bの所定位置に到達すれば、プロセスはステップS8に移行する。
【0041】
ステップS9では、コントローラ51は、コンベヤ駆動部31を制御することで、コンベヤ5を停止させる。
【0042】
ステップS10では、各種異常処理が行われる。例えば、コンベヤ5の停止、コンベヤ5の後退、警報器33の駆動のいずれか又はそれらの複数の組合せである。
なお、上記の搬送動作中に、第1高さセンサ15、第2高さセンサ25、第1幅センサ17、第2幅センサ27は、通常は投光器が光を発射して受光器が受光することで常にOFF状態である。そして、荷姿異常が無ければOFF状態が維持され、荷姿異常があれば光が遮断されてONになる。そして、その後に異常処理が行われる。
【0043】
2.実施形態の特徴
前記実施形態は下記の様にも説明できる。
入庫ステーション1(搬送システムの一例)は、コンベヤ5(コンベヤの一例)と、第1検出部7(第1検出部の一例)と、第2検出部9(第2検出部の一例)と、コントローラ51(コントローラの一例)と、警報器33(報知部の一例)とを備えている。
コンベヤ5は、X方向(搬送方向の一例)に並んでおりかつ互いに重複した部分を有する第1領域5A及び第2領域5Bを有し、第1領域5Aから第2領域5Bに荷Aを搬送する。
第1検出部7は、X方向において第2領域5Bのみが位置する位置に設けられ、第1領域5Aから搬送される荷Aの前端の荷姿異常を検出する。
第2検出部9は、X方向において第1領域5Aのみが位置する位置に設けられ、第2領域5Bに搬送される荷Aの後端の荷姿異常を検出する。
コントローラ51は、第1検出部7と第2検出部9の検出結果を判定する。
警報器33は、第1検出部7及び/又は第2検出部9により荷姿異常が検出されると、異常を報知する。
この入庫ステーション1では、第1検出部7を搬送方向下流側に設け、さらに第2検出部9を搬送方向上流側に設けている。そして、第1領域5A及び第2領域5Bが搬送方向に並んでおりかつ互いに重複した部分を有するので、荷Aの前後を検出するのに必要な搬送経路を短くできる。
【0044】
3.他の実施形態
以上、本発明の複数の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
前記実施形態ではタイミングセンサに対して荷姿センサをパレットの外側(例:後端荷姿センサ23の搬送方向位置は、第2タイミングセンサ21より所定距離だけ上流側)に位置させているが、パレットの内側(上記の例における下流側)でもよい。
センサの種類は前記実施形態の物に限定されない。例えば、第1検出部及び第2検出部は、カメラであってもよい。また、センサは、反射型の光電センサを用いてもよいし、赤外線センサや超音波センサを用いてもよい。
入庫ステーションは出庫ステーションを兼ねていてもよい。なお、出庫の場合は、実施形態の上流、下流が反転し、第1領域、第2領域も反転する。
荷を入庫ステーションに搬入する装置は、フォークリフト以外に、AGV、有軌道を走行する搬送車であってもよい。
フォークリフトとスタッカクレーン以外の組み合わせでもよく、例えばフォークリフトとAGVの組み合わせでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、荷をその上で搬送するコンベヤを有する搬送システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 :自動倉庫
3 :ラック
3a :外側柱
3b :内側柱
4 :スタッカクレーン
5 :コンベヤ
5A :第1領域
5B :第2領域
6 :フォークリフト
7 :第1検出部
9 :第2検出部
11 :第1タイミングセンサ
13 :前端荷姿センサ
13a :透過型光電センサ
13b :透過型光電センサ
15 :第1高さセンサ
17 :第1幅センサ
21 :第2タイミングセンサ
23 :後端荷姿センサ
23a :透過型光電センサ
23b :透過型光電センサ
25 :第2高さセンサ
27 :第2幅センサ
28 :搭載センサ
29 :ストライカー
31 :コンベヤ駆動部
33 :警報器
51 :コントローラ
100 :自動倉庫システム
A :荷
P :パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9