(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】点灯装置、電源装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/3725 20200101AFI20230516BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20230516BHJP
【FI】
H05B45/3725
H05B45/325
(21)【出願番号】P 2019096288
(22)【出願日】2019-05-22
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
(72)【発明者】
【氏名】船山 信介
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073740(JP,A)
【文献】特開2014-139901(JP,A)
【文献】特開2017-135024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0134875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる点灯回路と、
前記スイッチング素子をオンオフさせる電力を生成する制御電源回路と、
前記制御電源回路が生成する第1電圧を外部に供給する第1接続部と、
前記第1電圧よりも高い第2電圧を外部に供給する第2接続部と、
を備えることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記点灯回路は、
交流電源から直流電圧を生成する第1電源回路と、
前記直流電圧から前記光源を点灯させる電力を生成する第2電源回路と、
を有し、
前記第2接続部は前記直流電圧を前記第2電圧として外部に供給することを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記点灯回路は、
交流電源から直流電圧を生成する第1電源回路と、
前記直流電圧から前記光源を点灯させる電力を生成する第2電源回路と、
前記直流電圧を降圧し前記第2電圧を生成する第3電源回路と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記制御電源回路は、前記直流電圧から前記第1電圧を生成することを特徴とする請求項2または3に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記点灯回路は、前記スイッチング素子の駆動端子に前記スイッチング素子をオンオフさせる駆動信号を出力するドライバー回路を有し、
前記第1電圧は、前記ドライバー回路に供給されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記第1接続部と前記第2接続部の少なくとも一方と接続される第3接続部を備え、前記第3接続部を介して前記点灯装置から電力の供給を受け動作する電源供給ユニットと、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
前記電源供給ユニットは、前記第3接続部によって前記点灯装置と分離可能に設けられることを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記電源供給ユニットは、前記第1接続部と前記第2接続部と接続されることを特徴とする請求項6または7に記載の電源装置。
【請求項9】
前記電源供給ユニットは、
前記第2接続部から供給される前記第2電圧から、外部装置に供給する電力を生成する第4電源回路と、
前記第1接続部から電力を供給されて動作し、前記第4電源回路を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
前記電源供給ユニットは、
前記第2接続部から供給される前記第2電圧から、外部装置に供給する電力を生成する第4電源回路と、
前記第2接続部から電力を供給されて動作し、前記第4電源回路を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項6または7に記載の電源装置。
【請求項11】
前記第1接続部は、前記制御電源回路と接続された電源端子と、接地用端子と、を有し、
前記電源供給ユニットは、前記第2接続部と前記接地用端子と接続され、前記電源端子と接続されないことを特徴とする請求項10に記載の電源装置。
【請求項12】
前記電源供給ユニットは、前記第4電源回路が生成した電力を外部装置に供給する第4接続部を備えることを特徴とする請求項9から11の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項13】
前記第4接続部は、前記電源供給ユニットの入力端と絶縁されていることを特徴とする請求項12に記載の電源装置。
【請求項14】
請求項6から13の何れか1項に記載の電源装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置、電源装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、点灯装置と電源供給ユニットとを備える電源装置が開示されている。点灯装置は、スイッチング回路と、スイッチング回路の制御に使用される第1電圧を生成する制御電源と、第1電圧が供給される第1接続部とを備える。電源供給ユニットは、第1接続部と接続された第2接続部と、第1電圧を第2電圧に変換する電源供給回路と、外部装置に第2電圧を供給するための第3接続部とを備える。電源供給ユニットは、第2接続部において点灯装置と分離可能に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い付加価値を備える高機能な照明器具が要求されることがある。ここで、照明器具の機能が高いほど、一般に消費電力は大きくなる。このため、外部装置による拡張性を高めるために、照明器具から外部装置に大きい電力を供給することが必要とされる場合がある。特許文献1では、制御電源から電源供給ユニットを介して外部装置に電力供給を行っている。このため、外部装置の消費電力が大きくなると、制御電源回路が大型化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、制御電源回路の大型化を抑制できる点灯装置、電源装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る点灯装置は、スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる点灯回路と、該スイッチング素子をオンオフさせる電力を生成する制御電源回路と、該制御電源回路が生成する第1電圧を外部に供給する第1接続部と、該第1電圧よりも高い第2電圧を外部に供給する第2接続部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る点灯装置では、第2接続部から制御電源回路の第1電圧よりも高い第2電圧が外部に供給される。このため、制御電源回路を大型化しなくても、高い電圧を外部に供給できる。従って、制御電源回路の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図2】実施の形態2に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図3】実施の形態3に係る照明器具の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る点灯装置、電源装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は、電源装置80とLED光源部50を備える。電源装置80は、光源51を点灯させる点灯装置10と外部装置に電源を供給する電源供給ユニット60を備える。LED光源部50は、点灯装置10の出力端に接続される。
【0011】
LED光源部50は、光源51を複数備える。光源51はLEDである。これに限らず、光源51は有機EL等の発光素子であっても良い。複数の光源51は直列に接続される。複数の光源51は並列または直並列に接続されても良い。また、LED光源部50に設けられる光源51の数は限定されない。
【0012】
点灯装置10は端子部CN1~CN4、点灯回路、制御部40、制御電源回路41、降圧回路42およびMOSFETドライバー43を備える。点灯回路は、第1電源回路20および第2電源回路30を有する。第1電源回路20は整流器DBと昇圧回路21を有する。
【0013】
点灯回路は、スイッチング素子Q1、Q2のオンオフにより光源51を点灯させる。点灯回路は、端子部CN1を介して、外部電源である交流電源ACと接続される。点灯回路において、端子部CN1には整流器DBが接続される。整流器DBの出力端は昇圧回路21に接続される。昇圧回路21の出力端は、第2電源回路30に接続される。第1電源回路20は、交流電源ACから直流電圧V1を生成する。また、第2電源回路30は、直流電圧V1から光源51を点灯させる電力を生成する。
【0014】
昇圧回路21において、整流器DBの高電位側の出力端には、コイルL1の一端が接続される。コイルL1の他端には、スイッチング素子Q1のドレイン端子およびダイオードD1のアノードが接続される。
【0015】
スイッチング素子Q1は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子Q1のソース端子は、基準電位となる接地用端子に接続される。また、スイッチング素子Q1のゲート端子はMOSFETドライバー43と接続される。スイッチング素子Q1のゲート端子はスイッチング素子Q1をオンオフさせる駆動信号が入力される駆動端子である。
【0016】
ダイオードD1のカソードにはコンデンサC1の正極が接続される。コンデンサC1の負極は、接地用端子に接続される。
【0017】
コイルL1、スイッチング素子Q1およびダイオードD1は昇圧チョッパ回路を構成する。交流電源ACの電圧は整流器DBで整流され、脈流電圧となる。脈流電圧は、昇圧回路21によって昇圧され、コンデンサC1に充電される。この結果、コンデンサC1の両端に直流電圧V1が発生する。昇圧回路21は、スイッチング素子Q1がオンのときにコイルL1に電荷が蓄積され、スイッチング素子Q1がオフのときに、整流器DBからの出力とコイルL1に蓄積された電荷が重畳されてコンデンサC1に充電される。
【0018】
コンデンサC1の両端に発生する電圧は、抵抗R1、R2によって分圧され制御部40のP1端子に入力される。この結果、コンデンサC1の両端に発生する電圧が一定になるように、制御部40のVg1端子からスイッチング信号が出力される。制御部40は例えばマイコンである。
【0019】
スイッチング信号は、Vg1端子からMOSFETドライバー43に入力される。MOSFETドライバー43は、スイッチング素子Q1、Q2の駆動端子に駆動信号を出力するドライバー回路である。マイコンの動作電圧はMOSFETの駆動電圧よりも低い。このため、MOSFETドライバー43を介して、スイッチング素子Q1のオンオフの制御を行う。これにより、スイッチング素子Q1に対して安定したスイッチング制御を行うことが出来る。なお、制御部40は、昇圧回路21の出力電圧が内部メモリに設定した目標電圧値となるように、MOSFETドライバー43によりスイッチング素子Q1をオンオフするように定電圧制御してもよい。
【0020】
コンデンサC1の正極には、スイッチング素子Q2のドレイン端子が接続される。スイッチング素子Q2は、例えばMOSFETである。スイッチング素子Q2のソース端子には、ダイオードD2のカソードとコイルL2の一端が接続される。ダイオードD2のアノードは、コンデンサC1の負極に接続される。スイッチング素子Q2のゲート端子はMOSFETドライバー43と接続される。コイルL2の他端はコンデンサC3の正極に接続される。コンデンサC3の負極は抵抗R3の一端に接続される。抵抗R3の他端は、ダイオードD2のアノードおよびコンデンサC1の負極に接続される。コイルL2、コンデンサC3および抵抗R3は、この順に接続して直列回路を形成する。この直列回路はダイオードD2に並列に接続される。
【0021】
スイッチング素子Q2、コイルL2、ダイオードD2は降圧回路であるバックコンバータ回路を構成する。コンデンサC1の両端に発生する電圧は、バックコンバータ回路によって降圧される。バックコンバータ回路の出力電圧は、コンデンサC3で平滑される。
【0022】
点灯回路の出力電流は、端子部CN2から出力される。端子部CN2にはLED光源部50が接続される。従って、点灯装置10の出力電流が光源51に供給され、光源51が点灯する。
【0023】
光源51を流れる電流は、抵抗R3によって電圧に変換される。この電圧は、制御部40のP2端子に入力される。制御部40は、P2端子の電圧が予め定められた目標値と一致するように、Vg2端子からスイッチング信号を出力する。昇圧チョッパ回路の場合と同様に、スイッチング信号は、MOSFETドライバー43を介してスイッチング素子Q2をオンオフする。この結果、光源51を流れる電流は定電流制御される。
【0024】
コンデンサC1の正極には、制御電源回路41が接続される。制御電源回路41は、コンデンサC1の両端に発生する電圧を降圧する。制御電源回路41は、直流電圧V1から制御電源電圧V2を生成する。制御電源電圧V2は第1電圧に該当する。制御電源回路41の出力端にはコンデンサC2の正極が接続される。コンデンサC2の負極は、接地用端子と接続される。コンデンサC2の両端には制御電源電圧V2が印加される。
【0025】
制御電源電圧V2は、MOSFETドライバー43に供給される。MOSFETドライバー43は、制御電源電圧V2を電源としてスイッチング素子Q1、Q2をオンオフさせる。制御電源電圧V2は、MOSFETドライバー43の制御電源となる。このように、制御電源回路41は、スイッチング素子Q1、Q2をオンオフさせる電力を生成する。
【0026】
制御電源回路41の出力には、降圧回路42が接続される。降圧回路42の出力は、制御部40の電源VDDに接続される。制御電源電圧V2は、降圧回路42によって降圧され、制御部40の電源VDDに供給される。電源VDDに供給される電圧は例えば5Vである。
【0027】
第1接続部である端子部CN3は、制御電源回路41の出力と接続された電源端子11と、接地用端子12とを有する。端子部CN3は、制御電源回路41の出力と接続された制御電源ラインと、点灯装置10の回路基準電位に等しい接地用端子に接続されている。よって、端子部CN3には制御電源電圧V2が供給される。制御電源電圧V2は例えば15Vである。端子部CN3には、電源供給ユニット60が接続される。電源供給ユニット60は、点灯装置10から電力の供給を受け動作する。端子部CN3は、制御電源電圧V2を外部に供給する。
【0028】
また、第2接続部である端子部CN4は、電源端子13を有する。電源端子13は第1電源回路20の出力に接続される。端子部CN4には、電源供給ユニット60が接続される。端子部CN4は、直流電圧V1を外部供給電圧として外部に供給する。外部供給電圧は、第2電圧に該当する。
【0029】
次に、電源供給ユニット60について説明する。電源供給ユニット60は端子部CN5、CN6を備える。端子部CN5は電源供給ユニット60の入力端であり、第3接続部に該当する。端子部CN5は、端子部CN3、CN4と接続される。端子部CN5は、端子部CN3、CN4に対応する第1電源端子61、第2電源端子62および接地用端子63を有する。第1電源端子61は、端子部CN4の電源端子13に接続される。第2電源端子62は、端子部CN3の電源端子11に接続される。接地用端子63は、端子部CN3の接地用端子12と接続される。第1電源端子61には、外部供給電圧である直流電圧V1が供給される。第2電源端子62には制御電源電圧V2が供給される。電源供給ユニット60は、端子部CN5を介して点灯装置10から電力の供給を受ける。
【0030】
点灯装置10と電源供給ユニット60は、それぞれ別のプリント基板上に形成されている。さらに、点灯装置10と電源供給ユニット60は、端子部CN3、CN4および端子部CN5によって接続されている。このため、電源供給ユニット60は端子部CN5によって、点灯装置10から分離可能に設けられる。
【0031】
端子部CN6には外部装置が接続される。電源供給ユニット60は、点灯装置10から電力を供給され、外部装置に電源を供給する。外部装置は、端子部CN6に接続され、電源装置80から電力供給されて動作する電子機器である。外部装置は、例えば監視カメラまたは各種センサである。外部装置は、照明器具100の明かりの提供とは異なる用途の機能を備えている。
【0032】
電源供給ユニット60は、端子部CN4から供給される外部供給電圧から、外部装置に供給する電力を生成する電源供給回路70を備える。電源供給回路70は第4電源回路に該当する。また、電源供給ユニット60は制御部71を備える。制御部71は、端子部CN3から電力を供給されて動作し、電源供給回路70を制御する
【0033】
電源供給回路70において、第1電源端子61には、コンデンサC4の正極およびトランスTの1次巻線の一端が接続される。コンデンサC4の負極側は接地用端子63に接続される。トランスTの1次巻線の他端は、スイッチング素子Q3のドレイン端子と接続される。スイッチング素子Q3は例えばMOSFETである。スイッチング素子Q3のゲート端子は、制御部71のVg3端子と接続される。制御部71によって、スイッチング素子Q3はスイッチング制御される。スイッチング素子Q3のソース端子は、接地用端子63と接続される。トランスT、スイッチング素子Q3および制御部71は絶縁型フライバック回路を構成する。
【0034】
第2電源端子62には、コンデンサC5の正極および制御部71の電源VCCが接続される。コンデンサC5の負極は回路グランドに接続される。
【0035】
制御部71のオン時間決定端子P5には、抵抗R4を介してフォトカプラPC1のトランジスタ側のコレクタが接続される。フォトカプラPC1のトランジスタ側のエミッタは接地用端子63に接続される。また、制御部71の発振停止端子P4には、フォトカプラPC2のトランジスタ側のエミッタが接続される。フォトカプラPC2のトランジスタ側コレクタには電源VCCが接続される。
【0036】
トランスTの2次巻線の一端には、ダイオードD3のアノードが接続される。トランスTの出力電流は、ダイオードD3によって整流される。トランスTの2次巻線の他端は接地用端子72に接続される。トランスTの1次巻き線側の接地用端子63と2次巻き線側の接地用端子72はコンデンサC6によって絶縁されている。このように、トランスTの1次巻き線側と2次巻き線側は絶縁されている。
【0037】
ダイオードD3のカソードには、コンデンサC7の正極およびコイルL3の一端が接続される。コンデンサC7の負極は接地用端子72に接続される。コイルL3の他端は、コンデンサC8の正極および、端子部CN6のVBUS端子に接続される。コンデンサC8の負極は接地用端子72に接続される。また、コンデンサC8の負極は、抵抗R5を介して端子部CN6のGND端子に接続される。
【0038】
端子部CN6は、電源供給回路70が生成した電力を外部装置に供給する。端子部CN6は第4接続部に該当する。ここで、端子部CN6は、汎用性の高いユニバーサルシリアルバス(USB)端子である。端子部CN6に外部装置を接続することで、電源供給回路70の出力電圧を外部装置に供給することが出来る。
【0039】
コンデンサC7、コイルL3、コンデンサC8はπ型フィルタを構成する。π型フィルタによって、フライバック回路の出力電圧から安定な平滑電圧を生成することが出来る。特に、コイルL3およびコンデンサC8により高周波成分を抑制することができる。従って、端子部CN6に接続された外部装置に、高周波電流を与えないようにすることが可能になる。
【0040】
端子部CN6のVBUS端子およびGND端子間には、フォトカプラPC2のダイオード側とツェナダイオードDZ2の直列回路が接続される。フォトカプラPC2のダイオードとツェナダイオードDZ2の接続点にはトランジスタQ5のコレクタ端子が接続されている。トランジスタQ5のエミッタ端子は、接地用端子72に接続される。また、トランジスタQ5のベース端子は端子部CN6のGND端子に接続される。さらに、端子部CN6のVBUS端子およびGND端子間には、フォトカプラPC1のダイオード側とツェナダイオードDZ1の直列回路が接続される。
【0041】
次に、電源供給ユニット60の動作について説明する。点灯装置10から端子部CN5を介して制御電源電圧V2が供給されると、制御部71が動作を開始する。また、点灯装置10から端子部CN5を介して外部供給電圧が供給されると、コンデンサC4が充電される。コンデンサC4は、フライバック回路がスイッチングするための電源となっている。また、コンデンサC5は制御部71の電源VCC用のパスコンデンサである。コンデンサC5はノイズ除去に用いられる。
【0042】
フライバック回路の出力電圧は、フォトカプラPC1とツェナダイオードDZ1で検出される。端子部CN6に印加される平滑電圧が、フォトカプラPC1のダイオードの順方向電圧とツェナダイオードDZ1のツェナ電圧から定まる電圧値を超えると、フォトカプラPC1のダイオード電流が大きくなる。この結果、フォトカプラPC1のトランジスタ側のコレクタ電流が大きくなる。
【0043】
フォトカプラPC1のトランジスタ側のコレクタ電流が大きくなると、制御部71のオン時間決定端子P5の印加電圧が小さくなる。ここで、制御部71は、オン時間決定端子P5への印加電圧が高くなるとスイッチング素子Q3のオン時間を長くし、印加電圧が低くなるとオン時間を短くする。また、制御部71は固定周波数で動作する。
【0044】
以上から、平滑電圧値が上昇するとオン時間決定端子P5の電圧が小さくなるため、スイッチング素子Q3のオン時間は短くなる。この結果、平滑電圧を小さくすることができる。同様に、平滑電圧値が減少するとオン時間決定端子P5の電圧が大きくなるため、スイッチング素子Q3のオン時間は長くなる。この結果、平滑電圧を大きくすることができる。以上の動作が繰り返されることで、平滑電圧は定電圧を維持することができる。従って、フライバック回路では定電圧制御が実施される。
【0045】
以上から、電源供給回路70は、外部供給電圧から端子部CN6に印加される平滑電圧を生成する。この平滑電圧は、端子部CN6に接続される外部装置の電源となる。本実施の形態では、平滑電圧は例えば5Vである。
【0046】
なお、端子部CN6に外部装置を接続する場合に、使用者が端子部CN6を直接触れる可能性がある。このため交流電源ACが200V以上の場合には、端子部CN6および整流器DBの間に強化絶縁を設ける必要がある。この時、電源供給ユニット60のプリント基板、トランスT、フォトカプラPC2及びフォトカプラPC1は、強化絶縁に耐える仕様のものを用いる。
【0047】
次に、電源供給回路70が備える保護機能について説明する。各部品が故障した場合、端子部CN6に高い電圧が印加される可能性がある。この時、端子部CN6に外部装置を接続すると、USB端子での低電圧使用を想定しているので、外部装置が故障する可能性がある。
【0048】
まず、端子部CN6への過電圧の印加を防ぐための過電圧検出機能について説明する。フォトカプラPC2のトランジスタ側は、制御部71の電源VCCと発振停止端子P4との間に接続される。端子部CN6に印加される平滑電圧が、フォトカプラPC2のダイオード側の順方向電圧とツェナダイオードDZ2のツェナ電圧から定まる電圧値を超えると、フォトカプラPC2のダイオード電流が大きくなる。この結果、フォトカプラPC2のトランジスタ側のコレクタ電流が大きくなる。
【0049】
フォトカプラPC2のトランジスタ側のコレクタ電流が大きくなると、電源VCCから制御部71の発振停止端子P4に電流が流れる。この結果、制御部71は発振を停止する。ここで、フォトカプラPC1のダイオードの順方向電圧とツェナダイオードDZ1のツェナ電圧から定まる電圧値に対して、フォトカプラPC2のダイオードの順方向電圧とツェナダイオードDZ2のツェナ電圧から定まる電圧値が大きくなるように設定する。これにより、定常動作中において過電圧検出機能は動作しない。従って、端子部CN6に印加される平滑電圧が何らかの異常で高くなったときにのみ、過電圧検出機能を動作させる事が可能になる。
【0050】
次に、端子部CN6を流れる電流が大きくなったときの過電流保護機能について説明する。抵抗R5は、端子部CN6を流れる電流を電圧に変換している。抵抗R5は、トランジスタQ5のベースに接続されている。端子部CN6を流れる電流が大きくなると、抵抗R5に印加される電圧が大きくなる。抵抗R5に印加される電圧が規定値よりも大きくなると、トランジスタQ5がオンする。トランジスタQ5がオンすると、フォトカプラPC2のダイオード側にダイオード電流が流れる。この結果、フォトカプラPC2のトランジスタ側にコレクタ電流が流れる。従って、過電圧検出機能の場合と同様に、制御部71は発振を停止する。
【0051】
また、フライバック回路の1次側のGNDラインと2次側のコンデンサC8の負極側間に結合コンデンサであるコンデンサC6が接続されている。これにより、絶縁回路の2次側の電位を安定させることができる。また、ノイズを抑制できる。
【0052】
以上のように本実施の形態では、点灯装置10から端子部CN4を介して、制御電源電圧V2よりも高い直流電圧V1を電源供給ユニット60に供給する。これにより、消費電力が大きい外部装置を電源供給ユニット60に接続して動作させることができる。従って、外部装置によって高機能な照明器具100を実現できる。また、点灯装置10から供給される電圧が高いため、端子部CN6から外部装置に安定電圧を供給できる。
【0053】
また、電源供給ユニット60は、点灯装置10から端子部CN3、CN4、CN5を介して着脱可能に設けられる。このため、照明器具100の高機能化が不要な場合でも、点灯装置10だけを使用することができる。従って、照明器具100の基本仕様である明るさの提供のみを行うことができる。すなわち、高機能化に対応した照明器具と、ベーシックな照明器具との何れにも点灯装置10を適用できる。このため、部材の標準化、製品の標準化が可能となる。従って、省資源化および生産効率の向上により環境負荷低減に貢献できる。また、本実施の形態では、外部装置に対して大きい電力を供給可能としながらも、部材の標準化および製品の標準化ができる。
【0054】
一般に、制御電源回路41は、自己のスイッチング回路の動作電力を供給できれば良い。このため、制御電源回路41が大型化することは好ましくない。これに対し、本実施の形態では、直流電圧V1を電源供給ユニット60に供給する。このため、電源供給ユニット60に高電圧を供給するために、制御電源回路41を大型化する必要がない。従って、制御電源回路41の大型化および点灯装置10の大型化を抑制できる。
【0055】
また、電源供給ユニット60は、接続される外部装置に応じて変更することができる。点灯装置10は共用化し、様々な電源供給ユニット60を準備することで、外部装置に応じて最適な電源装置80を提供することができる。電源供給ユニット60は、外部装置への電源供給能力によって部品を変えても良い。
【0056】
また、端子部CN6は、端子部CN5と絶縁されている。これにより、点灯装置10と外部装置を絶縁でき、外部装置の安全性を向上できる。
【0057】
本実施の形態の変形例として、端子部CN4は電源端子13の他に接地用端子を有していても良い。この場合、端子部CN3は接地用端子12を有さなくても良い。
【0058】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る点灯装置、電源装置および照明器具について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置、電源装置および照明器具については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0059】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係る照明器具200の回路ブロック図である。照明器具200は電源装置280とLED光源部50を備える。電源装置280は、点灯装置210と電源供給ユニット60を備える。点灯装置210は、第3電源回路290と制御部244を備える点が点灯装置10と異なる。第3電源回路290は、直流電圧V1を降圧し外部供給電圧V3を生成する。制御部244は第3電源回路290を制御する。
【0060】
第3電源回路290において、コンデンサC1の正極には、スイッチング素子Q4のドレイン端子が接続される。スイッチング素子Q4は、例えばMOSFETである。スイッチング素子Q4のソース端子にはダイオードD4のカソードとコイルL4の一端が接続される。ダイオードD4のアノードは、接地用端子に接続される。スイッチング素子Q4のゲート端子は制御部244のVg4端子と接続される。コイルL4の他端はコンデンサC9の正極に接続される。コンデンサC9の負極はダイオードD4のアノードに接続される。
【0061】
スイッチング素子Q4、コイルL4およびダイオードD4はバックコンバータ回路を構成する。第3電源回路290は、コンデンサC1に充電されている直流電圧V1から、コンデンサC9で平滑された直流電圧である外部供給電圧V3を生成する。第3電源回路290の出力には、端子部CN4が接続される。
【0062】
コンデンサC9と並列に抵抗R6、R7の直列回路が接続される。コンデンサC9の両端電圧は、抵抗R6、抵抗R7により抵抗分圧され、制御部244のP6端子に入力される。制御部244は、P6端子の電圧が一定になるようにVg4端子からスイッチング信号をスイッチング素子Q4に出力する。なお、第1電源回路20、第2電源回路30と同様に、制御部244はMOSFETドライバー43を介して、スイッチング素子Q4をオンオフしても良い。
【0063】
外部供給電圧V3は、コンデンサC1に充電された直流電圧V1に比べて低い。これにより、実施の形態1に比べて、耐圧の低い部材で端子部CN4と端子部CN5を接続できる。
【0064】
本実施の形態のように第3電源回路290を追加する構成は、直流電圧V1の電圧値に応じて採用するのが良い。本実施の形態は、直流電圧V1の対地電圧が300Vを超えるような高電圧の場合に特に有効である。
【0065】
また、端子部CN4には直流電圧である外部供給電圧V3が供給されることから、端子部CN2と同様に端子部CN4にLED光源部を接続しても良い。この場合、明るさの提供以外の機能の付加が不要な場合にも端子部CN4を使用できる。この際、LED光源部を電源端子13と接地用端子12との間に接続しても良い。また、端子部CN4に接続するLED光源部は、LED光源部50と同じ種類のものでも良く、違う明るさ、光色または配光を有するものでも良い。
【0066】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3に係る照明器具300の回路ブロック図である。照明器具300は電源装置380とLED光源部50を備える。電源装置380は、点灯装置10と電源供給ユニット360を備える。電源供給ユニット360は、電源供給回路370の構成が実施の形態1と異なる。また、電源供給ユニット360において、端子部CN5は、第2電源端子62を有さない。つまり、電源供給ユニット360は、端子部CN4の電源端子13と、端子部CN3の接地用端子12と接続され、電源端子11と接続されない。
【0067】
電源供給ユニット360において、直流電圧V1が供給される第1電源端子61は、コンデンサC4およびトランスTの1次巻線の他に、制御部71のVst端子に接続される。
【0068】
トランスTは、実施の形態と同様の1次巻線及び2次巻き線の他に、補助巻き線を有する。補助巻き線の一端は回路基準電位である接地用端子に接続される。また、補助巻き線の他端は、ダイオードD5のアノードに接続される。ダイオードD5のカソードは、制御部71の電源VCCとコンデンサC5の正極に接続される。
【0069】
制御部71は、Vst端子からVCC端子へ自己が動作するための起動電流を供給することができる。この起動電流によりコンデンサC5が充電され、制御部71は動作を開始する。制御部71は、Vg3端子からスイッチング素子Q3のスイッチングを開始する。これにより、トランスTの補助巻き線から電源VCCに電流が供給される。従って、制御部71は動作を継続することができる。このように、本実施の形態の制御部71は、端子部CN4から電力を供給されて動作し、電源供給回路370を制御する。
【0070】
このように、電源供給ユニット360の回路構成によっては、制御電源電圧V2との接続を行わなくても良い。これにより端子部CN5の構成を単純化できる。
【0071】
また、外部装置の消費電力が低い場合等には、端子部CN4を使用せず端子部CN3のみから電源供給ユニット360に給電を行っても良い。電源供給ユニット360の端子部CN5は、端子部CN3と端子部CN4の少なくとも一方と接続されれば良い。
【0072】
また、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 点灯装置、11 電源端子、12 接地用端子、13 電源端子、20 第1電源回路、21 昇圧回路、30 第2電源回路、40 制御部、41 制御電源回路、42 降圧回路、43 MOSFETドライバー、50 LED光源部、51 光源、60 電源供給ユニット、61 第1電源端子、62 第2電源端子、63 接地用端子、70 電源供給回路、71 制御部、72 接地用端子、80 電源装置、100 照明器具、200 照明器具、210 点灯装置、244 制御部、280 電源装置、290 第3電源回路、300 照明器具、360 電源供給ユニット、370 電源供給回路、380 電源装置、AC 交流電源、C1~C9 コンデンサ、CN1~CN6 端子部、D1~D5 ダイオード、DB 整流器、DZ1、DZ2 ツェナダイオード、L1~L4 コイル、P4 発振停止端子、P5 オン時間決定端子、PC1、PC2 フォトカプラ、Q1~Q4 スイッチング素子、Q5 トランジスタ、R1~R7 抵抗、T トランス、V1 直流電圧、V2 制御電源電圧、V3 外部供給電圧、VCC 電源、VDD 電源