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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】配線部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230516BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H02G3/04
H02G3/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019103281
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020198697
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】梅原 拓
(72)【発明者】
【氏名】住田 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 心優
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-259592(JP,A)
【文献】特開2006-034043(JP,A)
【文献】特開2002-078167(JP,A)
【文献】特開平09-056043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材と、前記シート部材上に並列状態で固定された複数の線状伝送部材とを有する偏平配線部材と、
前記偏平配線部材を収納する保護部材と
を備え、
前記保護部材は、前記シート部材が載置される載置面を有し、
前記シート部材は、前記複数の線状伝送部材が配置された配置領域を有し、
前記シート部材は、少なくとも前記配置領域が前記載置面に沿うように前記載置面に載置され、
前記保護部材は、前記載置面から前記シート部材において前記配置領域よりも外側に位置する領域を貫通するように突出する第1突起部を有する、配線部材。
【請求項2】
請求項1に記載の配線部材であって、
前記シート部材は、前記複数の線状伝送部材の並び方向において前記配置領域よりも外側に位置する第1領域と、前記並び方向において前記配置領域に対して前記第1領域とは反対側に位置する第2領域とを有し、
前記第1突起部は、前記載置面から前記シート部材の前記第1領域を貫通するように突出し、
前記保護部材は、前記載置面から前記シート部材の前記第2領域を貫通するように突出する第2突起部を有する、配線部材。
【請求項3】
請求項1に記載の配線部材であって、
前記第1突起部が挿入される孔を有し、前記偏平配線部材を前記載置面と挟む部材をさらに備える、配線部材。
【請求項4】
シート部材と、前記シート部材上に並列状態で固定された複数の線状伝送部材とを有する偏平配線部材と、
前記偏平配線部材を収納する保護部材と
を備え、
前記保護部材は、前記シート部材が載置される載置面を有し、
前記シート部材は、前記複数の線状伝送部材が配置された配置領域を有し、
前記シート部材は、少なくとも前記配置領域が前記載置面に沿うように前記載置面に載置され、
前記偏平配線部材を前記載置面と挟む部材をさらに備え、
前記部材は、前記偏平配線部材を前記載置面と挟む第1の面を有し、
前記第1の面及び前記載置面の一方に設けられた第1突起部と、
前記第1の面及び前記載置面の他方に設けられ、前記第1突起部が嵌合する第1凹部と
を備え、
前記第1突起部及び前記第1凹部は前記配置領域よりも外側に位置する、配線部材。
【請求項5】
請求項4に記載の配線部材であって、
前記第1の面及び前記載置面の前記一方に設けられた第2突起部と、
前記第1の面及び前記載置面の前記他方に設けられ、前記第2突起部が嵌合する第2凹部と
を備え、
前記第1突起部及び前記第1凹部は、前記複数の線状伝送部材の並び方向において前記配置領域よりも外側に位置し、
前記第2突起部及び前記第2凹部は、前記並び方向において前記配置領域に対して前記第1突起部及び前記第1凹部とは反対側に位置する、配線部材。
【請求項6】
請求項4に記載の配線部材であって、
前記第1突起部は前記シート部材を貫通する、配線部材。
【請求項7】
シート部材と、前記シート部材上に並列状態で固定された複数の線状伝送部材とを有する偏平配線部材と、
前記偏平配線部材を収納する保護部材と
を備え、
前記保護部材は、前記シート部材が載置される載置面を有し、
前記シート部材は、前記複数の線状伝送部材が配置された配置領域を有し、
前記シート部材は、少なくとも前記配置領域が前記載置面に沿うように前記載置面に載置され、
前記保護部材は、前記載置面を含む底部と、当該底部に立設された一対の側壁部とを有し、
前記シート部材は、前記配置領域よりも外側に位置する第1及び第2シート領域を有し、
前記シート部材のうち前記一対の側壁部の間に位置する部分では、前記第1及び第2シート領域は、折れ曲がって前記一対の側壁部の内側の面にそれぞれ当接している、配線部材。
【請求項8】
シート部材と、前記シート部材上に並列状態で固定された複数の線状伝送部材とを有する偏平配線部材と、
前記偏平配線部材を収納する保護部材と
を備え、
前記保護部材は、前記シート部材が載置される載置面を有し、
前記シート部材は、前記複数の線状伝送部材が配置された配置領域を有し、
前記シート部材は、少なくとも前記配置領域が前記載置面に沿うように前記載置面に載置され、
前記保護部材は、前記載置面を含む底部を有し、
前記シート部材を貫通するように、前記複数の線状伝送部材及び前記底部に巻かれた結束部材をさらに備える、配線部材。
【請求項9】
シート部材と、前記シート部材上に並列状態で固定された複数の線状伝送部材とを有する偏平配線部材と、
前記偏平配線部材を収納する保護部材と
を備え、
前記保護部材は、前記シート部材が載置される載置面を有し、
前記シート部材は、前記複数の線状伝送部材が配置された配置領域を有し、
前記シート部材は、少なくとも前記配置領域が前記載置面に沿うように前記載置面に載置され、
前記偏平配線部材を前記載置面と挟む部材をさらに備え、
前記部材は、前記偏平配線部材を前記載置面と挟む第1の面を有し、
前記第1の面及び前記載置面の一方に設けられた突起部と、
前記第1の面及び前記載置面の他方に設けられ、前記突起部が嵌合する凹部と
を備え、
前記突起部と前記凹部とは、前記シート部材を間に挟んで嵌合する、配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート状に形成された機能性外装部材と、長手方向に沿った少なくとも一部の領域で前記機能性外装部材に重なるように配設された電線と、を備え、前記電線の絶縁被覆と前記機能性外装部材とが重なる部分の少なくとも一部が溶着されている、ワイヤーハーネスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-137208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シート状に形成された偏平な配線部材を例えばプロテクタなどの保護部材によって保護する場合、当該偏平な配線部材がなるべく広がった状態で保てることが望まれている。
【0005】
そこで、偏平な配線部材を保護部材で保護する場合であってもなるべく広がった状態を保つことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材は、シート部材と、前記シート部材上に並列状態で固定された複数の線状伝送部材とを有する偏平配線部材と、前記偏平配線部材を収納する保護部材とを備え、前記保護部材は、前記シート部材が載置される載置面を有し、前記シート部材は、前記複数の線状伝送部材が配置された配置領域を有し、前記シート部材は、少なくとも前記配置領域が前記載置面に沿うように前記載置面に載置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、保護部材に収納された偏平配線部材において、少なくとも、複数の線状伝送部材が配置された領域を広がった状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1に係る配線部材の一例を示す概略斜視図である。
図2図2は実施形態1に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図3図3は実施形態1に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図4図4は実施形態1に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図5図5は実施形態1に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図6図6は実施形態2に係る配線部材の一例を示す概略斜視図である。
図7図7は実施形態2に係る配線部材の一例を示す概略側面図である。
図8図8は実施形態2に係る配線部材の一例を示す概略側面図である。
図9図9は実施形態3に係る配線部材の一例を示す概略斜視図である。
図10図10は実施形態3に係る配線部材の一例を示す概略斜視図である。
図11図11は実施形態3に係る配線部材の一例を示す概略斜視図である。
図12図12は実施形態4に係る配線部材の一例を示す概略斜視図である。
図13図13は実施形態4に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図14図14は実施形態4に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図15図15は実施形態4に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図16図16は実施形態4に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図17図17は実施形態4に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
図18】変形例に係る配線部材の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材は、次の通りである。
【0011】
(1)シート部材と、前記シート部材上に並列状態で固定された複数の線状伝送部材とを有する偏平配線部材と、前記偏平配線部材を収納する保護部材とを備え、前記保護部材は、前記シート部材が載置される載置面を有し、前記シート部材は、前記複数の線状伝送部材が配置された配置領域を有し、前記シート部材は、少なくとも前記配置領域が前記載置面に沿うように前記載置面に載置されている、配線部材である。本開示によると、シート部材が、少なくとも、複数の線状伝送部材が配置された配置領域が載置面に沿うように保護部材の載置面に載置されている。このため、保護部材に収納された偏平配線部材において、少なくとも、複数の線状伝送部材が配置された領域を広がった状態に保つことができる。
【0012】
(2)前記保護部材は、前記載置面を含む底部と、当該底部に立設された一対の側壁部とを有し、前記シート部材は、前記配置領域よりも外側に位置する第1及び第2シート領域を有し、前記シート部材のうち前記一対の側壁部の間に位置する部分では、前記第1及び第2シート領域は、折れ曲がって前記一対の側壁部の内側の面にそれぞれ当接してもよい。この場合、シート部材の第1及び第2シート領域が、折れ曲がって保護部材の一対の側壁部の内側の面にそれぞれ当接していることから、偏平配線部材が、保護部材から外れにくくなる。
【0013】
(3)前記保護部材は、前記載置面を含む底部を有し、前記偏平配線部材及び前記底部に巻き付けられたテープをさらに備えてもよい。この場合、偏平配線部材及び底部にテープを巻き付けることによって、偏平配線部材を簡単に保護部材に固定することができる。
【0014】
(4)前記保護部材は、前記載置面を含む底部を有し、前記シート部材を貫通するように、前記複数の線状伝送部材及び前記底部に巻かれた結束部材をさらに備えてもよい。この場合、結束部材が、シート部材を貫通するように、複数の線状伝送部材及び底部に巻かれているため、偏平配線部材を保護部材に強固に固定することができる。
【0015】
(5)前記保護部材は、前記載置面から前記シート部材を貫通するように突出する突起部を有してもよい。この場合、保護部材が、載置面からシート部材を貫通するように突出する突起部を有するため、偏平配線部材が載置面の上で長手方向に移動することを抑制することができる。
【0016】
(6)前記突起部が挿入される孔を有し、前記偏平配線部材を前記載置面と挟む部材をさらに備えてもよい。この場合、載置面から偏平配線部材が浮くことを抑制することができる。さらに、保護部材の突起部を利用して、偏平配線部材を載置面と挟む部材を簡単に取り付けることができる。
【0017】
(7)前記偏平配線部材を前記載置面と挟む部材をさらに備えてもよい。この場合、載置面から偏平配線部材が浮くことを抑制することができる。
【0018】
(8)前記部材は、前記偏平配線部材を前記載置面と挟む第1の面を有し、前記第1の面及び前記載置面の一方に設けられた突起部と、前記第1の面及び前記載置面の他方に設けられ、前記突起部が嵌合する凹部とを備えてもよい。この場合、突起部と凹部とを嵌合させることによって、部材と載置面で偏平配線部材を簡単挟むことができる。
【0019】
(9)前記突起部と前記凹部とは、前記シート部材を間に挟んで嵌合してもよい。この場合、突起部と凹部とがシート部材を間に挟んで嵌合することから、偏平配線部材が保護部材に強固に固定される。
【0020】
(10)前記突起部は前記シート部材を貫通してもよい。この場合、突起部がシート部材を貫通するため、偏平配線部材が載置面の上を長手方向に移動することを抑制することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内におけるすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る配線部材1Aについて説明する。図1は配線部材1Aの概略斜視図である。図2は配線部材1Aの概略断面図である。配線部材1Aは、偏平配線部材10と、偏平配線部材10を収納する保護部材20とを備える。保護部材20は、例えばプロテクタ20である。ここでは、説明の便宜上、保護部材20としてプロテクタ20を用いる形態を記載するが、保護部材20はこれに限定されないことは言うまでもない。例えば、保護部材20は、偏平配線部材10よりも剛性が高い部材や、防水シート等の部材であってもよい。
【0023】
配線部材1Aは、偏平配線部材10と、偏平配線部材10を収納するプロテクタ20とを備える。偏平配線部材10は、例えば、自動車の車両に搭載される複数の部品をつなぐ部材である。偏平配線部材10は、複数の線状伝送部材11及びシート部材12を備える。線状伝送部材11は、電気または光等を伝送する線状の部材である。本例では、線状伝送部材11は、芯線と、当該芯線を覆う絶縁被覆とを含む電線である。芯線は、金属等の導電部材によって形成された線状導体である。芯線は1本または複数本の素線で構成される。絶縁被覆は、芯線の周囲を覆う絶縁部分である。線状伝送部材11は、電線以外に、裸導線、シールド線、ツイスト線、エナメル線、ニクロム線あるいは光ファイバ等であってもよい。
【0024】
シート部材12は、複数の線状伝送部材11を偏平な形態に保つシート状の部材である。シート部材12は、樹脂等によって形成される。シート部材12は、金属を含んでいてもよい。シート部材12は、不織シートを含んでもよい。シート部材12の一方主面に複数の線状伝送部材11が固定される。シート部材12の一方主面上では、複数の線状伝送部材11が並列状態となっている。シート部材12に対する線状伝送部材11の固定は、溶着、接着あるいは粘着等によってなされる。溶着は、超音波溶着であってもよいし、加熱溶着であってもよい。複数の線状伝送部材11がシート部材12の一方主面に固定されることによって、複数の線状伝送部材11が平たい状態に保たれる。複数の線状伝送部材11は間隔を空けて並列配置されている。
【0025】
プロテクタ20は、線状伝送部材11が載置される底部21と、一対の側壁部22とを備える。底部21及び各側壁部22は例えば板状部分である。一対の側壁部22は、互いに対向するように、底部21の幅方向の両端に立設されている。底部21は、線状伝送部材11が載置される載置面21aを有する。載置面21aには線状伝送部材11のシート部材12が載置される。載置面21aは例えば平らな面である。なお、載置面21aは曲面であってもよい。
【0026】
図2に示されるように、シート部材12は、複数の線状伝送部材11が配置された配置領域120を有する。配置領域120は、複数の線状伝送部材11の最も外側の2つの線状伝送部材11aにおいて、一方の線状伝送部材11aの外側の側縁から、他方の線状伝送部材11aの外側の側縁までの領域である。
【0027】
以後、シート部材12の説明する場合に、幅方向と言えば、線状伝送部材11の長手方向に直交する方向であって、シート部材12に沿った方向(詳細にはシート部材12の主面に沿った方向)を意味する。また、プロテクタ20の説明をする場合に、幅方向と言えば、線状伝送部材11の長手方向に直交する方向であって、載置面21aに沿った方向を意味する。
【0028】
シート部材12は、幅方向において配置領域120の外側に位置する、線状伝送部材11が存在しない2つのシート領域121を備える。各シート領域121は、線状伝送部材11の長手方向に沿って延在している。2つのシート領域121は幅方向において配置領域120を挟んでいる。2つのシート領域121及び配置領域120は並列配置されている。シート領域121は、シート部材12の幅方向の側縁から、それに最も近い線状伝送部材11の外側の側縁までの領域である。なお、シート部材12は1つのシート領域121だけを備えてもよい。複数の線状伝送部材11がシート部材12の幅方向の一方の側縁まで存在する場合には、シート部材12は1つのシート領域121だけを備える。
【0029】
本例では、図2に示されるように、プロテクタ20の載置面21aの幅方向の長さは、シート部材12の幅方向の長さよりも大きくなっている。また、載置面21aの幅方向の長さは、配置領域120の幅方向の長さよりも大きくなっている。シート部材12は、配置領域120及びシート領域121が載置面21aに沿うように載置面21aに載置されている。配置領域120及びシート領域121は載置面21aに応じた形状となる。載置面21aが曲面である場合、配置領域120及びシート領域121はそれに応じた形状となる。
【0030】
偏平配線部材10は、例えば、偏平状態でプロテクタ20に固定されている。偏平状態とは、平らな状態であることを意味する。本例では、偏平配線部材10は底部21に固定されている。底部21は、一対の側壁部22が立設されていない部分210を有する。偏平配線部材10は、部分210において底部21に固定される。以後、部分210を固定部分210と呼ぶことがある。本例では、底部21において一対の側壁部22から外側に延長されている部分が固定部分210となっている。
【0031】
本例に係る配線部材1Aは、偏平配線部材10を底部21に固定するテープ30を備える。テープ30は、固定部分210上の偏平配線部材10を覆うように固定部分210に巻き付けられている。本例では、片面に粘着性を有する1本のテープ30が、偏平配線部材10及び固定部分210に巻き付けられている。テープ30は、偏平配線部材10を固定部分210に押し付けるように固定部分210に巻き付けられている。なお、複数のテープ30が偏平配線部材10及び固定部分210に巻き付けられてもよい。
【0032】
なお、図3に示されるように、載置面21aの幅方向の長さと、シート部材12の幅方向の長さとは同じであってもよい。この場合、図2の例と同様に、載置面21aの幅方向の長さは、配置領域120の幅方向D1の長さよりも大きくなる。
【0033】
また、シート部材12の幅方向の長さは、載置面21aの幅方向の長さよりも大きくてもよい。この場合、配線部材1Aは、プロテクタ20の一対の側壁部22の間において図4のように配置されてもよい。
【0034】
図4の例では、シート部材12のうち一対の側壁部22の間に位置する部分では、シート部材12が断面視においてU字状に折れ曲がっている。シート部材12のうち一対の側壁部22の間に位置する部分では、2つのシート領域121は、折れ曲がって、プロテクタ20の一対の側壁部22の内側の面にそれぞれ接している。このとき、2つのシート領域121は、一対の側壁部22の内側の面にそれぞれ当接してもよい。言い換えれば、2つのシート領域121は、一対の側壁部22の内側の面をそれぞれ押すように、一対の側壁部22の内側の面にそれぞれ接してもよい。これにより、配線部材1Aがプロテクタ20から外れにくくなる。シート部材12が例えば弾性力が高い部材で構成されている場合、シート部材12が折れ曲がったときに元に戻ろうとする力を利用することによって、シート領域121は側壁部22の内側の面に当接することが可能となる。
【0035】
図4の例では、配置領域120の幅方向の長さは、載置面21aの幅方向の長さよりも小さくなっているが、図5のように、配置領域120の幅方向の長さは、載置面21aの幅方向の長さとほぼ同じであってもよい。図5の例では、配置領域120の幅方向の長さに対して、2つのシート領域の厚みを足し合わせた長さが、載置面21aの幅方向の長さと同じとなっている。
【0036】
図4及び5の例では、テープ30のような、配線部材1Aを載置面21aに固定する固定部材はあってもよいし、無くてもよい。図4及び5の例では、固定部材が無い場合であっても、配線部材1Aをプロテクタ20に固定することが可能となる。なお、後述する各実施形態においても、図3~5のような構造が採用されてもよい。
【0037】
このように、配線部材1Aでは、偏平配線部材10のシート部材12は、少なくとも配置領域120がプロテクタ20の載置面21aに沿うように載置面21aに載置されている。このため、プロテクタ20に収納された偏平配線部材10において、少なくとも、複数の線状伝送部材11が配置された領域を広がった状態に保つことができる。
【0038】
また、図2及び3の例では、シート部材12は、配置領域120だけではなくシート領域121も載置面21aに沿うように載置面21aに載置されている。このため、プロテクタ20に収納された偏平配線部材10全体を広がった状態に保つことができる。
【0039】
また、本例のように、複数の線状伝送部材11が間隔を空けて並列配置されている場合には、載置面21aが曲面である場合であっても、配置領域120を載置面12aに沿って配置し易くなる。なお、複数の線状伝送部材11は隣接して並列配置されてもよい。
【0040】
また、本例では、偏平配線部材10及び底部21にテープ30を巻き付けることによって、偏平配線部材10を簡単にプロテクタ20に固定することができる。
【0041】
[実施形態2]
実施形態2に係る配線部材1Bについて説明する。図6は配線部材1Bの概略斜視図である。図7は配線部材1Bを図6の矢視Aから見た場合の概略側面図である。図7では、一対の側壁部22の記載は省略されている。なお、本実施の形態の説明において、実施形態1において説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
本実施形態に係る配線部材1Bは、偏平配線部材10をプロテクタ20に固定する結束部材40を備える。結束部材40は例えば結束バンドである。結束部材40は、偏平配線部材10のシート部材12を貫通するように、複数の線状伝送部材11及び固定部分210に巻かれている。結束部材40は線状伝送部材11と交差するように巻かれている。図7の例では、シート部材12の幅方向の一方の端部を結束部材40が貫通している。また図7の例では、結束部材40はプロテクタ20の固定部分210を貫通している。固定部分210には厚み方向に貫通する孔が形成されており、当該孔を結束部材40が通っている。
【0043】
結束部材40のシート部材12の貫通を実現する方法は特に限定されない。例えば、結束部材40がシート部材12を突き破るようにしてシート部材12を貫通してもよい。あるいは、シート部材12にその厚み方向に貫通する孔を形成し、当該孔を結束部材40が通ってもよい。
【0044】
なお、図8に示されるように、結束部材40は、シート部材12の幅方向の両端部を貫通してもよい。また、結束部材40は、固定部分210を貫通しなくてもよい。この場合、シート部材12を貫通した結束部材40は、固定部分210の側縁部の外側を通って固定部分210に巻かれる。
【0045】
このように、配線部材1Bでは、結束部材40が、シート部材12を貫通するように、複数の線状伝送部材11及び底部21に巻かれているため、偏平配線部材10をプロテクタ20に強固に固定することができる。結束部材40がシート部材12を貫通することにより、偏平配線部材10が底部21の上(言い換えれば、載置面21aの上)で長手方向に移動することを抑制することができる。
【0046】
[実施形態3]
実施形態3に係る配線部材1Cについて説明する。図9は配線部材1Cの概略斜視図である。なお、本実施の形態の説明において、実施形態1及び2において説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
本実施の形態に係る配線部材1Cが備えるプロテクタ20は、底部21の載置面21aからシート部材12を貫通するように突出する突起部211を有する。本例では、2つの突起部211が底部21の固定部分210から突出している。2つの突起部211は、シート部材12の幅方向の両端部をそれぞれ貫通している。突起部211の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0048】
突起部211のシート部材12の貫通を実現する方法は特に限定されない。例えば、突起部211がシート部材12を突き破るようにしてシート部材12を貫通してもよい。あるいは、シート部材12にその厚み方向に貫通する孔を形成し、当該孔を突起部211が通ってもよい。
【0049】
このように、プロテクタ20は、底部21の載置面21aからシート部材12を貫通するように突出する突起部211を有するため、偏平配線部材10が底部21の載置面21aの上で長手方向に移動することを抑制することができる。
【0050】
なお、突起部211の先端がつぶされることによって、シート部材12が突起部211から抜けにくくしてもよい。また、図10に示されるように、突起部211の先端に傘状の抜け防止部211aを設けてもよい。
【0051】
また、図11に示されるように、配線部材1Cは、底部21の載置面21aと偏平配線部材10を挟む第1部材50を備えてもよい。第1部材50は、例えば、板状あるいはシート状の部材であって、各突起部211が貫通している。第1部材50には、その厚み方向に貫通する2つの孔50aが設けられている。プロテクタ20の2つの突起部211は2つの孔50aをそれぞれ通っている。各突起部211の先端はつぶされており、第1部材50が突起部211から抜けないようになっている。各突起部211の先端には、図10のような抜け防止部211aが設けられてもよい。第1部材50は、偏平配線部材10を固定部分210に押し付けるように設けられている。
【0052】
図11の例のように、配線部材1Cが、底部21の載置面21aと偏平配線部材10を挟む第1部材50を備える場合には、底部21の載置面21aから偏平配線部材10が浮くことを抑制することができる。
【0053】
また、本例では、第1部材50は、突起部211が挿入される孔50aを有することから、偏平配線部材10をプロテクタ20に固定するための突起部211を利用して第1部材50を簡単に取り付けることができる。
【0054】
[実施形態4]
実施形態4に係る配線部材1Dについて説明する。図12は配線部材1Dの概略斜視図である。図13は配線部材1Dの概略断面図である。図13では、シート部材12の断面に斜線を示している。なお、本実施の形態の説明において、実施形態1,2,3において説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
配線部材1Dは、偏平配線部材10を底部21の固定部分210と挟む第2部材60を備えている。第2部材60は、例えば板状あるいはシート状の部材である。第2部材60は、偏平配線部材10を固定部分210と挟む主面60aを有している。主面60aには複数の嵌合突起部60bが設けられている。本例では、主面60aには2つの嵌合突起部60bが設けられているが、嵌合突起部60bの数はこの限りではない。
【0056】
図13に示されるように、プロテクタ20の固定部分210の載置面21aには、複数の嵌合突起部60bとそれぞれ嵌合する複数の嵌合凹部210aが設けられている。本例では、載置面21aには2つの嵌合凹部210aが設けられているが、嵌合凹部210aの数はこの限りではない。
【0057】
偏平配線部材10が第2部材60と固定部分210とで挟まれた状態で、複数の嵌合突起部60bが複数の嵌合凹部210aにそれぞれ嵌合することによって、第2部材60が固定部分210に固定される。第2部材60は偏平配線部材10を固定部分210に押し付けるように取り付けられている。
【0058】
本例では、図13に示されるように、嵌合突起部60bと嵌合凹部210aとは、その間に偏平配線部材10のシート部材12を挟んだ状態で嵌合する。シート部材12の幅方向の各端部は、嵌合突起部60bと嵌合凹部210aとで挟まれる。
【0059】
なお、図14に示されるように、第2部材60の主面60aに設けられた嵌合凹部60cと、固定部分210の載置面21aに設けられた嵌合突起部210bとが、シート部材12を間に挟んだ状態で嵌合してもよい。
【0060】
また、図15に示されるように、第2部材60の嵌合突起部60bがシート部材12を貫通して固定部分210の嵌合凹部210aに嵌合してもよい。また、図16に示されるように、固定部分210の嵌合突起部210bがシート部材12を貫通して第2部材60の嵌合凹部60cに嵌合してもよい。
【0061】
また、図17に示されるように、シート部材12は、2つの嵌合突起部60bの間に位置してもよい。また、図14及び16のように、固定部分210が2つの嵌合突起部210bを備える場合には、シート部材12は、2つの嵌合突起部210bの間に位置してもよい。
【0062】
このように、本例では、配線部材1Dが、偏平配線部材10を底部21の載置面21aと挟む第2部材60を備えるため、載置面21aから偏平配線部材10が浮くことを抑制することができる。
【0063】
また、本例では、第2部材60の主面60a及び底部21の載置面21aの一方に設けられた嵌合突起部と、主面60a及び載置面21aの他方に設けられた嵌合凹部とを嵌合させることによって、第2部材60と底部21で偏平配線部材10を簡単挟むことができる。
【0064】
また、図13及び14のように、嵌合突起部と嵌合凹部とがシート部材12を間に挟んで嵌合する場合には、偏平配線部材10がプロテクタ20に強固に固定される。
【0065】
また、図15及び16のように、嵌合突起部がシート部材12を貫通する場合には、偏平配線部材10が底部21の上を長手方向に移動することを抑制することができる。
【0066】
なお、嵌合突起部は嵌合凹部に対して繰り返し嵌合可能であってもよい。この場合、第2部材60は固定部分210に対して着脱可能となる。
【0067】
プロテクタ20の構造は上記の例に限られない。例えば、プロテクタ20は、一対の側壁部22の上端間の隙間を覆うカバーを有してもよい。また、プロテクタ20は、一対の側壁部22のうちの一方を備えなくてもよい。
【0068】
また、図18に示されるように、プロテクタ20は、偏平配線部材10の幅方向の両端部とそれぞれ対向する一対の対向部23を備えてもよい。対向部23は例えば板状である。一対の対向部23は、一対の側壁部22の上端から内側にそれぞれ突出する。図18の例では、対向部23によって、偏平配線部材10の載置面21a側の面とは反対側の面を保護することができる。よって、偏平配線部材10が損傷することを抑制することができる。なお、プロテクタ20は、一対の対向部23のうちの一方だけを備えてもよい。また、図18では、実施形態1に係る配線部材1Aのプロテクタ20に一対の対向部23を設けているが、他の実施形態に係る配線部材のプロテクタ20に一対の対向部23を設けてもよい。
【0069】
また、プロテクタ20は固定部分210を備えていなくてもよい。この場合には、例えば、偏平配線部材10のうちプロテクタ20から外側に延びる部分とプロテクタ20にテープを巻き付けることによって、偏平配線部材10をプロテクタ20に固定することができる。
【0070】
以上のように、配線部材は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0071】
1A,1B,1C,1D,1E 配線部材
10 偏平配線部材
11,11a 線状伝送部材
12 シート
20 プロテクタ
21 底部
21a 載置面
22 側壁部
23 対向部
30 テープ
40 結束部材
50 第1部材
50a 孔
60 第2部材
60a 主面
60b 嵌合突起部
60c 嵌合凹部
120 配置領域
121 シート領域
210 固定部
210a 嵌合凹部
210b 嵌合突起部
211 突起部
211a 抜け防止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18