(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】医療用容器
(51)【国際特許分類】
A61J 1/10 20060101AFI20230516BHJP
A61B 50/30 20160101ALI20230516BHJP
B65D 33/10 20060101ALI20230516BHJP
B65D 30/22 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A61J1/10 333A
A61J1/10 330B
A61J1/10 333C
A61B50/30
B65D33/10
B65D30/22 D
(21)【出願番号】P 2019108624
(22)【出願日】2019-06-11
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】坂根 寛人
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-017484(JP,A)
【文献】特開2015-227177(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076819(WO,A1)
【文献】特開2002-337888(JP,A)
【文献】特開2019-026271(JP,A)
【文献】特表2014-510567(JP,A)
【文献】特開2011-078737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/10
A61B 50/30
B65D 33/10
B65D 30/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された一組のシート状部材の周縁が接合されて形成された医療用容器であって、
幅方向の中央部に配置される収容部と、
前記収容部の高さ方向の一端側に配置され、該収容部から幅方向の外側に向かって延出する一対の延出部と、
前記収容部と一対の前記延出部との境界部分において、前記高さ方向の他端側から一端側に延びて前記収容部と前記延出部とを区画する区画接合部と、を備え
、
前記収容部と前記延出部とが、前記収容部の高さ方向の一端側において連通している医療用容器。
【請求項2】
前記周縁の一部に形成される収容用開口部を更に備える請求項1に記載の医療用容器。
【請求項3】
前記収容部において、該収容部に収容された収容物の位置を規制する規制接合部を更に備える請求項1
又は2に記載の医療用容器。
【請求項4】
前記収容部において、該収容部に収容された収容物の位置を規制する規制接合部を更に備え、
前記収容用開口部は、前記収容部における前記規制接合部が配置された側の縁に形成される請求項2に記載の医療用容器。
【請求項5】
対向して配置された一組のシート状部材の周縁が接合されて形成された医療用容器であって、
幅方向の中央部に配置される収容部と、
前記収容部の高さ方向の一端側に配置され、該収容部から幅方向の外側に向かって延出する一対の延出部と、
前記収容部と一対の前記延出部との境界部分において、前記高さ方向の他端側から一端側に延びて前記収容部と前記延出部とを区画する区画接合部と、を備え、
前記区画接合部の高さ方向の一端側の端部の位置は、収容物を前記収容部に収容した状態における該収容物の高さ方向の一端部よりも他端側に位置す
る医療用容器。
【請求項6】
対向して配置された一組のシート状部材の周縁が接合されて形成された医療用容器であって、
幅方向の中央部に配置される収容部と、
前記収容部の高さ方向の一端側に配置され、該収容部から幅方向の外側に向かって延出する一対の延出部と、を備え、
前記延出部の高さ方向の長さは、前記収容部の高さ方向の長さよりも短
く、
前記延出部の高さ方向の他端側の辺は、幅方向の端部から前記収容部に向かって高さ方向の一端側に傾斜している医療用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療に用いられる器具や製剤等は、外界からの保護及び汚染の防止のため、樹脂製の容器により密封された状態で保存及び運搬される(例えば、特許文献1参照)。そして、これら器具や製剤等の収容物を使用する場合には、不潔野と清潔野とが区分された手術室等において不潔野の担当者により容器が開封され、収容物は清潔野の担当者により容器から取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、容器の外側は、外界と接触しているため不潔野に区分される。また、容器の開封部分である開口部も汚染されていると考えられる。そのため、開口部に接触することなく容器から収容物を取り出せることが望ましい。
【0005】
従って、本発明は、収容物を汚染することなく容易に取り出せる医療用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対向して配置された一組のシート状部材の周縁が接合されて形成された医療用容器であって、幅方向の中央部に配置される収容部と、前記収容部の高さ方向の一端側に配置され、該収容部から幅方向の外側に向かって延出する一対の延出部と、を備える医療用容器に関する。
【0007】
また、医療用容器は、周縁の一部に形成される収容用開口部を更に備えることが好ましい。
【0008】
また、医療用容器は、前記収容部と一対の前記延出部との境界部分において、前記高さ方向の他端側から一端側に延びて前記収容部と前記延出部とを区画する区画接合部を備えることが好ましい。
【0009】
また、前記区画接合部の高さ方向の一端側の端部の位置は、収容物を前記収容部に収容した状態における該収容物の高さ方向の一端部よりも他端側に位置することが好ましい。
【0010】
また、医療用容器は、前記収容部において、該収容部に収容された収容物の位置を規制する規制接合部を更に備えることが好ましい。
【0011】
また、医療用容器は、前記収容部において、該収容部に収容された収容物の位置を規制する規制接合部を更に備え、前記収容用開口部は、前記収容部における前記規制接合部が配置された側の縁に形成されることが好ましい。
【0012】
また、前記延出部の高さ方向の長さは、前記収容部の高さ方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0013】
また、前記延出部の高さ方向の他端側の辺は、幅方向の端部から前記収容部に向かって高さ方向の一端側に傾斜していることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医療用容器によれば、収容物を汚染することなく容易に取り出せる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る医療用容器を示す平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る医療用容器に収容物が収容された状態を示す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る医療用容器の使用方法を示す図であり、医療用容器の上端部を切断して開封した状態を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る医療用容器の使用方法を示す図であり、一対の延出部を持った状態を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る医療用容器の使用方法を示す図であり、一対の延出部を持ち、開口部において一組のシート状部材を反転させた状態を示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る医療用容器を示す平面図であり、医療用容器に収容物が収容された状態を示す平面図である。
【
図8】第1実施形態に係る医療用容器における収容用開口部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の医療用容器の好ましい各実施形態につき、図面を参照しながら説明する。まず、第1実施形態の医療用容器の構成につき、
図1~
図3を参照しながら説明する。
医療用容器は、医療に用いられる器具や製剤等を収容物として収容し、収容物を汚染から守って衛生状態を維持させるために用いられる。第1実施形態の医療用容器1は、再生医療等に用いられる細胞を収容した収容容器60を収容物として収容する。
【0017】
医療用容器1は、
図1~
図3に示すように、対向して配置された一組(2枚)のシート状部材50,50(
図3参照)の周縁が、収容物を収容するための収容用開口部70(
図1においては上辺部分)を除いてヒートシールや超音波接合により接合されて袋状に形成される。シート状部材50は、可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成される。シート状部材を構成する材料としては、EVA樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル等が挙げられる。本実施形態では、シート状部材50は、EVA樹脂により構成される。シート状部材50をEVA樹脂により構成することにより、医療用容器1を凍結保存した場合においても柔軟性を維持でき、医療用容器1が低温下において破損することを防げる。
【0018】
医療用容器1は、
図1~
図3に示すように、収容部10と、一対の延出部20と、一対の区画接合部30と、規制接合部40と、収容用開口部70と、を備える。
【0019】
収容部10は、
図1及び
図2に示すように、幅方向WDの長さが高さ方向HDの長さよりも短い矩形形状に形成され、医療用容器1の幅方向WDの中央部に配置される。収容部10には、無菌状態が保たれた医療に用いられる器具や製剤等が収容物として収容される。本実施形態では、
図2に示すように、収容部10には、再生医療に用いられる細胞が収容された筒状の収容容器60が収容される。収容容器60は、一端側が開口した筒状の本体部61及び本体部61に着脱可能に取り付けられるキャップ62を備え、キャップ62が医療用容器1の高さ方向HDの一端側である上端側に位置するように、収容部10に収容される。本実施形態では、
図2に示すように、収容部10の幅方向WDの長さW1は、収容容器60の幅W2よりも大きく構成される。
【0020】
尚、本明細書において、収容部10及び一対の延出部20の並ぶ方向(
図1における左右方向)を医療用容器1の幅方向WD、幅方向WDに交差する方向であってシート状部材50の面方向に沿う方向(
図1における上下方向)を高さ方向HD、一組のシート状部材50,50の重ね合わせ方向(
図3における上下方向)を厚さ方向TDとする。
【0021】
一対の延出部20は、収容部10から幅方向WDの外側に向かって延出する。延出部20は、高さ方向HDに沿う側辺、及び高さ方向HDの他端端の辺である底辺において一組のシート状部材50が接合されており、その他の部分においては、一組のシート状部材50は接合されていない。
延出部20は、収容部10の高さ方向HDの一端側に配置される。
図1に示すように、延出部20の高さ方向HDの長さH1は、収容部10の高さ方向HDの長さH2よりも短く構成される。また、延出部20の底辺は、幅方向WDの端部から収容部10に向かって高さ方向HDの一端側に傾斜している。即ち、延出部20の底辺は、幅方向WDの端部から収容部10に向かって上り傾斜した直線状に形成される。
【0022】
延出部20の底辺と収容部10の高さ方向HDに沿う側辺とのなす角度θは、0°~90°であることが好ましい。
【0023】
一対の区画接合部30は、一組のシート状部材50が接合されることにより形成され、収容部10と一対の延出部20との境界部分において、医療用容器1の高さ方向HDの他端側から一端側に延びて収容部10と延出部20とを区画する。本実施形態では、区画接合部30は、収容部10の高さ方向HDに沿う側辺が一端側(上端側)に延びて形成される。即ち、区画接合部30は、収容部10の高さ方向HDに沿う側辺の延長線上に配置される。区画接合部30は、収容部10と一対の延出部20とを完全には区画せず、一部を区画する。即ち、収容部10と延出部20とは、高さ方向HDの一端側(上端側)においては連通した部分を有している。
【0024】
区画接合部30の高さ方向HDの一端側(上端側)の端部の位置30aは、収容容器60を収容部10に収容した状態における収容容器60の高さ方向HDの一端部(上端部)60aよりも他端側(下端側)に位置する。また、区画接合部30の高さ方向HDの一端側(上端側)の端部の位置30aから医療用容器1の取出し用の開口部までの長さH0を適当な寸法/長さとすることで、後述するシート状部材50の反転を容易に行うことができる。
【0025】
規制接合部40は、一組のシート状部材50が接合されることにより形成され、収容部10に収容された収容容器60の位置を規制する。本実施形態では、規制接合部40は、収容部10の幅方向WDの中央部において、幅方向WDに所定間隔をあけて高さ方向HDに直線状に延びる2本の接合部により形成される。また、規制接合部40は、収容部10の高さ方向HDの他端側の辺である底辺から所定高さ延びて形成される。
規制接合部40を構成する2本の接合部の間の幅方向WDの長さW3は、収容容器60の大きさ(幅)W2よりもわずかに大きく設定される。
【0026】
収容用開口部70は、一組のシート状部材50の周縁の一部が接合されずに形成される。第1実施形態では、収容用開口部70は、高さ方向の一端側(上端側)の辺の全長に亘って形成される。
【0027】
以上説明した第1実施形態の医療用容器1は、以下のようにして使用される。
医療用容器1に収容容器60を収容する場合には、収容用開口部70が形成される高さ方向HDの一端側の辺である上辺を除く各辺が接合された状態の医療用容器1に、収容用開口部70から細胞が収容された収容容器60が収容される。ここで、収容容器60は、キャップ62が上端側に位置するように、規制接合部40を構成する2本の接合部の間に差し込まれ、収容部10に位置決めされた状態で収容される。その後、医療用容器1の上辺が接合され、収容容器60は、密閉された状態で医療用容器1に収容される。この状態において、収容容器60の上端部60aは、区画接合部30の上端部30aよりも上端側に位置している(
図2参照)。
【0028】
収容容器60に収容された細胞は、使用されるまでの間、医療用容器1に収容され、密閉された状態で凍結保存される。ここで、医療用容器1をEVA樹脂により構成することにより、医療用容器1を凍結保存した場合においても柔軟性を維持でき、医療用容器1が低温下において破損することを防げる。
【0029】
収容容器60に収容された細胞を使用する場合、医療用容器1に収容された状態で、不潔野と清潔野とが区分された手術室等に運搬される。そして、医療用容器1は、不潔野の担当者により開封され、収容容器60は清潔野の担当者により医療用容器1から取り出される。
【0030】
医療用容器1から収容容器60を取り出す手順につき、
図4~
図6を参照しながら説明する。
まず、
図4に示すように、不潔野の担当者により、医療用容器1の上辺側がはさみ等により切断される。これにより、医療用容器1の上辺側に取り出し用の開口部が形成される。ここで、医療用容器1の上辺側の切断位置は、切断後に区画接合部30の上端部30aと取出し用の開口部の端部とのなす角度θ0(
図4参照)が、90°~160°となる位置とすることが好ましく、100°~140°となる位置とすることがより好ましい。
【0031】
次いで、
図5に示すように、一対の延出部20が不潔野の担当者により保持される。ここで、一対の延出部20は、周縁部(側辺及び底辺)を除いて一組のシート状部材50は接合されていないので、不潔野の担当者は、一対の延出部20に、開口部からそれぞれ例えば親指を挿入すると共に、挿入した親指と人差し指とで1枚のシート状部材50を挟むことで、延出部20を保持できる。
また、延出部20と収容部10との間には、区画接合部30が配置されているので、延出部20を保持するときに、不潔野の担当者の指が収容部10側に侵入することを防げる。
【0032】
次いで、
図6に示すように、一対の延出部20が不潔野の担当者により保持された状態で、開口部において、一組のシート状部材50,50が反転される。より具体的には、一対の延出部20において、一組のシート状部材50,50の間に挿入した親指とシート状部材50の外側に配置された人差し指とにより挟まれたシート状部材50の表裏を反転させることで、開口部近傍のシート状部材50の表裏が反転される。これにより、開口部近傍においては、外界にさらされていない清潔なシート状部材50の内面が外側に露出する。この状態において、清潔野の担当者により、収容容器60が衛生的に取り出される。
【0033】
ここで、本実施形態では、医療用容器1を、収容部10と、収容部10から幅方向WDの外側に向かって延出する一対の延出部20と、を含んで構成した。これにより、開口部の幅方向WDの長さを長く確保できる。よって、一対の延出部20を両手で持って、一組のシート状部材50,50を開口部において容易に反転させられるので、汚染されていないシート状部材50の内面を露出させた状態で収容部10に収容された収容容器60を取り出せる。
【0034】
また、延出部20の高さ方向HDの長さH1を、収容部10の高さ方向HDの長さH2よりも短く構成した。また、延出部20の底辺を、幅方向WDの端部から収容部10に向かって上り傾斜させた。これにより、開口部においてシート状部材50を反転させるときに、延出部20が収容部10に干渉しにくくできるので、シート状部材の反転動作をスムーズに行える。
【0035】
また、一組のシート状部材50,50を開口部において反転させる場合に、区画接合部30の上端部30aをシート状部材50の曲げ起点として反転させられるので、一組のシート状部材50,50をより安定的に反転させられる。つまり、シート状部材50を開口部において反転させようとした場合に、一組のシート状部材50,50が共に厚さ方向TDの一方に折れ曲がってしまい、開口部が閉じられてしまうことを防げる。
また、区画接合部30の上端部の位置30aを、収容容器60を収容部10に収容した状態における収容容器60の上端部60aよりも下端側に位置させた。これにより、シート状部材50を開口部において反転させた場合に、収容容器60の端部を開口部から突出させた状態にできる。よって、収容容器60をより容易かつ衛生的に取り出せる。
【0036】
以上説明した第1実施形態の医療用容器1によれば、以下のような効果を奏する。
【0037】
(1)医療用容器1を、一組のシート状部材50,50の周縁を接合して形成すると共に、収容部10と、この収容部10の高さ方向HDの一端側に配置されると共に収容部10から幅方向WDの外側に向かって延出する一対の延出部20と、を含んで構成した。これにより、医療用容器1の高さ方向HDの一端側をはさみ等で開封して医療用容器1に収容された収容容器60を取り出す場合に、はさみ等で開封されて形成された開口部の幅方向の長さを長く確保できる。よって、一対の延出部20を両手で持って、一組のシート状部材50,50を開口部において容易に反転させられるので、汚染されていないシート状部材50の内面を露出させた状態で収容部10に収容された収容容器60を取り出せる。その結果、収容容器60を汚染することなく容易に取り出せる。また、一対の延出部20において一組のシート状部材50,50の間に指を挿入して一組のシート状部材50,50を反転させることで、収容部10に指が接触しないので、収容容器60をより衛生的に取り出せる。
【0038】
(2)医療用容器1を、高さ方向HDの他端側から一端側に延びて収容部10と延出部20とを区画する区画接合部30を含んで構成した。これにより、一組のシート状部材50,50を開口部において反転させる場合に、区画接合部30の端部をシート状部材50の曲げ起点として反転させられるので、一組のシート状部材50,50をより安定的に反転させられる。つまり、シート状部材50を開口部において反転させようとした場合に、一組のシート状部材50,50が共に厚さ方向TDの一方に折れ曲がってしまい、開口部が閉じられてしまうことを防げる。また、一対の延出部20において一組のシート状部材50,50の間に指を挿入して一組のシート状部材50,50を反転させる場合に、挿入した指が収容部10側に移動することを防げるので、収容容器60を一層衛生的に取り出せる。
【0039】
(3)区画接合部30の高さ方向HDの一端側の端部(上端部)の位置30aを、収容容器60を収容部10に収容した状態における収容容器60の高さ方向HDの一端部(上端部)60aよりも他端側(下側)に位置させた。これにより、シート状部材50を開口部において反転させた場合に、収容容器60の端部を開口部から突出させた状態にできる。よって、収容容器60をより容易かつ衛生的に取り出せる。
【0040】
(4)医療用容器1を、収容部10に収容された収容容器60の位置を規制する規制接合部40を含んで構成した。これにより、収容部10の幅を収容物の幅よりも広く構成した場合であっても、収容部10に収容された収容容器60を位置決めできるので、収容容器60を取り出すときに、収容容器60の先端を開口部から好適に突出させられる。よって、収容容器60の取り出し性をより向上させられる。
【0041】
(5)延出部20の高さ方向HDの長さH1を、収容部10の高さ方向HDの長さH2よりも短く構成した。これにより、延出部20の高さ方向HDの他端側(下端側)の位置を、収容部10の高さ方向HDの他端側(下端側)の位置よりも高くできる、よって、開口部においてシート状部材50を反転させるときに、延出部20が収容部10に干渉しにくくできるので、シート状部材50の反転動作をスムーズに行える。
【0042】
(6)延出部20の高さ方向HDの他端側(下端側)の辺を、幅方向WDの端部から収容部10に向かって一端側(上端側)に傾斜させた。これにより、開口部においてシート状部材50を反転させるときに、延出部20を収容部10により干渉しにくくできるので、シート状部材50の反転動作をよりスムーズに行える。また、延出部20の面積を、特に幅方向WDの外側において十分に確保できるので、シート状部材50を反転させるときに、延出部20を親指と人差し指とでしっかりと保持できる。よって、シート状部材50を反転させるときの操作性を向上させられる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態に係る医療用容器1Aにつき、
図7を参照しながら説明する。尚、第2実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態の医療用容器1Aは、主として、区画接合部及び規制接合部を備えない点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態の医療用容器1Aでは、
図7に示すように、収容部10Aの幅方向WDの長さは、収容物としての収容容器60の幅よりわずかに大きく構成される。これにより、収容容器60は、収容部10Aに位置決めされた状態で収容される。
また、第2実施形態では、医療用容器1Aを開封して開口部においてシート状部材50を反転させるときには、収容部10Aと延出部20との境界部分の接合部が曲げ起点となって、シート状部材50が反転される。
第2実施形態の医療用容器1Aによれば、上述した(1)、(5)、(6)の効果を奏する。
【0044】
以上、本発明の医療用容器の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、細胞を収容する収容容器60を収容物として収容したが、これに限らない。即ち、ピンセット等の医療に用いられる器具を収容物として収容してもよい。
【0045】
また、第1実施形態では、収容用開口部70を、医療用容器1の上辺の全長に亘って形成したが、これに限らない。即ち、収容用開口部を、医療用容器の上辺における収容部に対応する部分のみに形成し、上辺における延出部に対応する部分は接合しておいてもよい。これにより、収容用開口部の開口長さを短くできるので、収容物を収容する場合における医療用容器の内部の汚染のリスクを低減できる。
【0046】
また、
図8に示すように、収容用開口部70Bを、医療用容器1Bの下辺(高さ方向HDの他端側の辺)に形成してもよい、この場合、収容用開口部70Bは、下辺における一対の規制接合部40の間の部分にのみ形成してもよい。収容用開口部70Bを医療用容器1Bの下辺に形成することで、収容部10(一対の規制接合部40の間)に収容物を配置しやすくできる。また、収容用開口部70Bを一対の規制接合部40の間の部分にのみ形成することで、収容用開口部70Bの開口長さをより短くできるので、収容物を収容する状態における医療用容器1Bの内部の汚染のリスクをより低減できる。尚、この場合、収容用開口部を、収容部10の下辺の全長に亘って形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B 医療用容器
10,10A 収容部
20 延出部
30 区画接合部
40 規制接合部
50 シール部材
60 収容容器(収容物)
70,70B 収容用開口部