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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】気液分離器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20230516BHJP
   B01D 45/16 20060101ALI20230516BHJP
   B01D 45/08 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04 J
B01D45/16
B01D45/08 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019175570
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021051972
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梶尾 克宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 聡宏
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-027587(JP,A)
【文献】特開2018-041539(JP,A)
【文献】特開2019-155335(JP,A)
【文献】特開2006-086111(JP,A)
【文献】特開2009-129874(JP,A)
【文献】特開2008-166229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0227618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
B01D 45/16
B01D 45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の陰極から排気される第一排ガスから液滴を分離する第一分離機、
前記第一分離機を内部空間に収容する第一容器、
前記第一容器の下部に形成されており、前記第一分離機から流下する水を貯留する第一貯留槽、
前記第一貯留槽の下方に隣接して形成された第二容器、
前記第二容器の下部に形成された第二貯留槽、及び
開弁により前記第一貯留槽に貯留された水を排出する弁を有する弁装置、を備え、
前記第二容器の内部空間には前記燃料電池の陽極から排気される第二排ガスが通流されており、
前記第一貯留槽から排出された水は前記第二貯留槽に貯留される気液分離器。
【請求項2】
前記弁装置を開閉する駆動部を更に備え、
前記弁は、前記第二容器の前記内部空間の近傍に配置されており、
前記駆動部は、前記第一容器の外部、且つ、前記第二容器の外部に配設されている請求項1に記載の気液分離器。
【請求項3】
前記弁装置を介して前記第一貯留槽から排出された水が流通する排水管を更に備え、
前記排水管は、前記第二容器の内部空間に露出しており、
前記排水管の排水口は、前記第二貯留槽の内部空間に収容されている請求項1または2に記載の気液分離器。
【請求項4】
前記第二容器は、
前記第二排ガスの導入ポートと、
前記第二排ガスの排気ポートと、を有し、
前記排水口は、前記第二排ガスの通流方向に沿って見たときに、前記導入ポートよりも下方、且つ、前記排気ポートよりも下方に配置されている請求項3に記載の気液分離器。
【請求項5】
前記第二容器には、前記第二排ガス中の水を分離して前記第二貯留槽に流下させる第二分離機が収容されている請求項1から4のいずれか一項に記載の気液分離器。
【請求項6】
前記第二分離機は、前記第二容器の内部空間を通流する前記第二排ガスの流れ方向を屈曲させる衝突板を含む請求項5に記載の気液分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などに搭載される燃料電池システムの気液分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムには、オフガスの気液分離器が搭載される場合がある。特に車両に搭載される燃料電池システムでは、例えば冬場に、この気液分離器の排水経路が凍結し、排水できない場合が生じ得る。なお、オフガスとは、燃料電池から排出される排ガスであり、そのガス温度は外気温よりも高いガスである。オフガスには、酸化反応(発電)によって生じた水(いわゆる、生成水)や、酸化反応を促進するために燃料ガスや空気(酸素ガス)を加湿した水が含まれる。
【0003】
特許文献1には、燃料電池システムが記載されている。この燃料電池システムは、オフガスから生成水を気液分離して貯留する気液分離器、当該気液分離器の機器底部から延出した生成水排出路、及び、当該生成水排出路から生成水を排出する排出弁を備えている。排出弁は、生成水排出路を開閉する弁体と、生成水排出路の流路開閉用の弁体を駆動する駆動機器部と、を備えている。気液分離器の機器底部及び生成水排出路は、オフガス排出配管の管路内に配設されており、駆動機器部は、オフガス排出配管の管路内において弁体よりも上流側に配設されている。
【0004】
上述のように、オフガスは外気温よりも温度が高いガスである。そこで、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、オフガス排出配管の管路内に気液分離器の機器底部、生成水排出路、及び排出弁を配設することで、機器底部、生成水排出路、及び排出弁へのオフガスからの熱伝搬を活発なものとし、気液分離器の機器底部、生成水排出路、及び排出弁の駆動機器部において燃料電池の駆動前に生成水の凍結が起きたとしても、その凍結した生成水を燃料電池の始動に伴い速やかに解凍できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-041539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるような従来の燃料電池システムでは、生成水がオフガス(例えばカソードオフガス)の配管中に排出されるようになっていた。そのため、生成水が排ガス(カソードオフガス)と供に外部に随時放出されるようになっていた。しかし、生成水をそのまま排ガスと共に排出すると、例えば凍結などにより路面のすべりやすさを増大させるため排出するタイミングを制御する必要がある。また、車両用の燃料電池システムでは、供給ガスの昇圧のため、オフガス流路上にタービンが設けられる場合があるが、当該タービンの羽根に生成水の液滴が衝突すると、タービンに不具合を与えることになる。
【0007】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、燃料電池の生成水の凍結が防止され、且つ、排気ガスと共に生成水が随時排出されることを防止した気液分離器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る気液分離器の特徴構成は、燃料電池の陰極から排気される第一排ガスから液滴を分離する第一分離機、前記第一分離機を内部空間に収容する第一容器、前記第一容器の下部に形成されており、前記第一分離機から流下する水を貯留する第一貯留槽、前記第一貯留槽の下方に隣接して形成された第二容器、前記第二容器の下部に形成された第二貯留槽、及び開弁により前記第一貯留槽に貯留された水を排出する弁を有する弁装置、を備え、前記第二容器の内部空間には前記燃料電池の陽極から排気される第二排ガスが通流されており、前記第一貯留槽から排出された水は前記第二貯留槽に貯留される点にある。
【0009】
上記構成によれば、燃料電池の陰極から排気される第一排ガス(いわゆるアノードオフガス)に含まれる生成水が凝縮した液滴は第一分離機により分離される。第一分離機で分離された液滴である水は、その後、第一容器の第一貯留槽に流下し、弁装置を介して第二容器の第二貯留槽に排出されて貯留される。
【0010】
上記構成によれば、第二容器には燃料電池の陽極から排気される第二排ガス(いわゆるカソードオフガス)が通流されている。これにより、第二容器及びその内部空間は、第二排ガスの熱により加温される。上記構成によれば、第二容器が第一貯留槽の下方に隣接して形成されており、第一貯留槽は第二排ガスの熱により加温される。また、燃料電池が動作停止している際に第一貯留槽に貯留された水や弁装置の弁の周囲の水が仮に凍結したとしても、燃料電池の動作開始に伴い速やかに第二排ガスで加温されて融解する。そのため、弁装置による第一貯留槽からの排水に支障が出ることはない。
【0011】
上記構成によれば、弁装置による第一貯留槽からの排水(以下では単に排水と記載する場合がある)は、第二貯留槽に貯留される。そのため、排水が第二排ガスに随伴してそのまま第二容器の下流に流れ出ることはない。そのため、排水が外部に随時排出されることはない。また、第二容器の下流に設けられたタービンなどに排水が衝突することもない。
【0012】
したがって上記構成によれば、燃料電池の生成水(排水)の凍結が防止され、且つ、排気ガスと共に生成水が随時排出されることを防止した気液分離器を提供することができる。
【0013】
本発明に係る気液分離器の更なる特徴構成は、前記弁装置を開閉する駆動部を更に備え、前記弁は、前記第二容器の前記内部空間の近傍に配置されており、前記駆動部は、前記第一容器の外部、且つ、前記第二容器の外部に配設されている点にある。
【0014】
上記構成によれば、弁装置の弁の周囲の水は第二排ガスで加温されるので、弁の開閉に支障を生じない。また、ソレノイドアクチュエータのように、発熱するために加温や加熱すべきでない駆動部により弁装置を開閉させる場合であっても、弁だけを加温して凍結を防止しつつ、駆動部の過温を防止できる。
【0015】
本発明に係る気液分離器の更なる特徴構成は、前記弁装置を介して前記第一貯留槽から排出された水が流通する排水管を更に備え、前記排水管は、前記第二容器の内部空間に露出しており、前記排水管の排水口は、前記第二貯留槽の内部空間に収容されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、排水管は第二容器の内部空間に露出して収容されており、第二排ガスの熱により加温される。これにより、排水管内の水は凍結を免れる。また、燃料電池が動作停止している際に排水管内の水が仮に凍結したとしても、燃料電池の動作開始に伴い速やかに第二排ガスで加温されて融解する。そのため、弁装置による第一貯留槽からの排水に支障が出ることはない。
【0017】
上記構成によれば、排水管の排水口(排水管における弁装置に対する他端側)が第二貯留槽の内部空間に収容されているため、排水管内の水は第二貯留槽内に直接排水される。そのため、排水が第二排ガスに随伴して第二容器の下流に流れ出ることはないから、排水が外部にそのまま排出されることはない。また、第二容器の下流に設けられたタービンなどに排水が衝突することもない。
【0018】
本発明に係る気液分離器の更なる特徴構成は、前記第二容器は、前記第二排ガスの導入ポートと、前記第二排ガスの排気ポートと、を有し、前記排水口は、前記第二排ガスの通流方向に沿って見たときに、前記導入ポートよりも下方、且つ、前記排気ポートよりも下方に配置されている点にある。
【0019】
上記構成によれば、第二容器における第二排ガスの通流方向に沿って見たときに、排水管の排水口が、前記導入ポートよりも下方、且つ、排気ポートよりも下方に配置されているため、排水が第二排ガスに随伴して第二容器の下流に流れ出ることはないから、排水が外部にそのまま排出されることはない。また、第二容器の下流に設けられたタービンなどに排水が衝突することもない。
【0020】
本発明に係る気液分離器の更なる特徴構成は、前記第二容器には、前記第二排ガス中の水を分離して前記第二貯留槽に流下させる第二分離機が収容されている点にある。
【0021】
上記構成によれば、第二排ガスに含まれる液滴(水)を分離して第二貯留槽に貯留することができる。これにより、第二排ガスに含まれる液滴が第二容器の下流にそのまま流れ出ることはない。すなわち、第二排ガスに含まれる液滴が外部にそのまま排出されることはなく、また、第二容器の下流に設けられたタービンなどに液滴が衝突することもない。
【0022】
本発明に係る気液分離器の更なる特徴構成は、前記第二分離機は、前記第二容器の内部空間を通流する前記第二排ガスの流れ方向を屈曲させる衝突板を含む点にある。
【0023】
上記構成によれば、第二排ガスに含まれる液滴を慣性衝突により衝突板に水滴として付着させて分離し、更に、分離した水を衝突板から下方に落下させて第二貯留槽に貯留することができる。
【発明の効果】
【0024】
燃料電池の生成水の凍結が防止され、且つ、排気ガスと共に生成水が随時排出されることを防止した気液分離器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】燃料電池ユニットの全体構成の説明図である。
図2】気液分離器の構造を模式的に説明する縦断平面図である。
図3】第一気液分離部において導入口を含む部位の横断平面図である。
図4】第一気液分離部の中間部位の横断平面図である。
図5】弁ユニット及びその周囲の縦断平面図である。
図6】第二容器の横断平面図である。
図7】第二容器の別の横断平面図である。
図8】第二容器の別の縦断平面図である。
図9】第二容器の別の縦断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1には、燃料電池車に搭載される燃料電池ユニット100を示している。この燃料電池ユニット100は、燃料ガスとしての水素ガスを含有するガス(いわゆるアノードガス、以下、「第一ガス」と記載する)を供給されるアノードFCa(陰極の一例)と酸素ガスを含むガス(いわゆるカソードガス、以下、「第二ガス」と記載する)を供給されるカソードFCc(陽極の一例)とを有する燃料電池FCを備えている。
【0028】
アノードFCaには、アノードFCaに第一ガスを供給する第一ガス流路52と、アノードFCaからの排気ガス(いわゆるアノードオフガス、以下、第一排ガスと称する)を排気する第一排ガス流路53とが接続されている。
【0029】
第一ガス流路52には、第一ガスの成分となる水素ガスを貯留するタンク57が接続されており、タンク57からアノードFCaに向けて順に、水素ガスの供給量を制御する流量制御バルブ58と、エゼクタ59とが設けられている。
【0030】
第一排ガス流路53には、第一排ガスから液滴を分離する第一気液分離部13(第一分離機の一例、図2参照)を有する気液分離器Aが接続されている。気液分離器Aで液滴を分離された第一排ガスは、還元流路61を介してエゼクタ59に吸引される。気液分離器Aの詳細は後述する。
【0031】
カソードFCcには、カソードFCcに第二ガスを供給する第二ガス流路54と、カソードFCcからの排気ガス(いわゆるカソードオフガス、以下、第二排ガスと称する)を排気する第二排ガス流路55とが接続されている。
【0032】
第二ガス流路54には、第二ガスとする空気を供給するエアーポンプ64が接続されており、エアーポンプ64からカソードFCcに向けて順に、切換バルブ65と、第二ガス流路54と第二排ガス流路55とに亘る領域に配置された加湿装置63と、加湿装置63をバイバスするバイパス流路54aとが設けられている。なお、切換バルブ65は、第二ガスを加湿装置63に供給する状態と、バイパス流路54aに第二ガスを流す状態とに切り換え自在な三方弁である。加湿装置63は、第二排ガス流路55の第二排ガスから水分と熱とを取り込み、取り込んだ水分と熱とを第二ガス流路54の第二ガスに与える温度湿度交換型に構成されている。
【0033】
第二排ガス流路55の流路上には、カソードFCcから順に、気液分離器A、加湿装置63、及び第二排ガスの排出を制御する排出制御バルブ66、が設けられている。第二ガス流路54と第二排ガス流路55との間には、第二ガス流路54と第二排ガス流路55との間でガスの通流を可能にするバイパス弁67が設けられている。
【0034】
〔燃料電池の作動〕
燃料電池ユニット100では、流量制御バルブ58の制御によりタンク57の水素ガスを第一ガス流路52から燃料電池FCのアノード側に供給し、これと同時にエアーポンプ64の駆動により第二ガスを第二ガス流路54から燃料電池FCのカソード側に供給することにより燃料電池FCでの発電が実現する。
【0035】
この発電時には、アノードFCaから第一排ガス流路53に第一排ガスが排出され、気液分離器Aによって第一排ガスに含まれる水が分離される。水が分離された第一排ガスは還元流路61によりエゼクタ59に戻され、このエゼクタ59から第一ガス流路52に供給される。また、分離された水は、気液分離器Aの内部に一時的に貯留され、開閉弁38の開放により外部に排出される。
【0036】
また、発電時には、カソードFCcから第二排ガス流路55に第二排ガスが排出される。第二排ガス流路55に排出されてから気液分離器Aを通過した第二排ガスの一部は排出制御バルブ66を介して外部に排出される。急に燃料電池の出力を下げる必要がある時には、バイパス弁67を開いて第二排ガスを排出する。
【0037】
加湿装置63では、第二排ガスから水分と熱とを取り込み、この水分と熱とを第二ガスに与える。これにより水分を含み温度が上昇した第二ガスが、第二ガス流路54から燃料電池FCのカソード側に供給される。
【0038】
〔気液分離器〕
図2に示すように、気液分離器Aは、第一排ガスを導入する第一導入口1、導入された第一排ガスを排気する第一排出口2、第一排ガスから液滴(水)を分離する第一気液分離部13、及び分離された水を貯留する第一貯水部16(第一貯留槽の一例)を有する第一容器10と、第一貯水部16に貯留された水の排出を行う弁ユニットVと、第二排ガスを導入する第二導入口3(導入ポートの一例)、導入された第二排ガスを排気する第二排出口4(排気ポートの一例)、衝突板33(第二分離機の一例)、及び第二貯水部36(第二貯留槽の一例)を有する第二容器30と、を備えている。第二容器30は、鉛直方向において第一容器10の下方に隣接して設けられている。第二容器30は、後述するように第二排ガスが通流されることにより加温されている。
【0039】
〔第一容器〕
第一容器10は、第一フランジ11aが形成された蓋状の上部ハウジング11、及び、開口端(上端)に形成された第二フランジ15aと外周に形成された第三フランジ15bとを備えた有底筒状の下部ハウジング15を有する。第一容器10は、上部ハウジング11の第一フランジ11aと、下部ハウジング15の第二フランジ15aとをボルトやクランプなどで接合することで内部空間(以下では第一空間Saと記載する)を形成している。第一容器10は、第一空間Saに対し第一導入口1と第一排出口2とが連通し、第一貯水部16に対し排出流路17aが連通する構造を有している。第一容器10は、第一空間Sa内に、第一気液分離部13と、濾過ユニットFとを有している。
【0040】
上部ハウジング11と下部ハウジング15とは樹脂で形成され、第一フランジ11aと第二フランジ15aとの境界面にシール材が挟み込まれている。なお、上部ハウジング11と下部ハウジング15とをアルミニウム等の金属(金属合金)で形成しても良い。
【0041】
上部ハウジング11には、平面視(上面視)で第一貯水部16を挟んで第一導入口1と第一排出口2とが形成され、この第一排出口2は、上部ハウジング11上下方向に貫通する形態で形成されている。また、上部ハウジング11は、上方に膨出する筒状の壁部を有する導入筒体12が一体形成され、この導入筒体12の内部に分離空間Ssが形成されている。更に、導入筒体12の上端部には第一導入口1が形成され、導入筒体12の内部の分離空間Ssに第一気液分離部13が配置されている。
【0042】
第一導入口1には、第一排ガス流路53が接続されている。第一排出口2には、還元流路61が接続されている。
【0043】
図2図4に示すように、導入筒体12は、平面視で円形となる内壁を有しているため分離空間Ssは円柱状の空間として形成される。第一気液分離部13は、導入筒体12の内壁に沿って複数(同図では6つ)の衝突壁13a(第一分離機の一例)を一体形成しており、第一導入口1から供給される第一排ガスを複数の衝突壁13aに衝突させることで、第一排ガスに含まれる液滴を慣性衝突により衝突壁13aに水滴として付着させて分離し、更に、分離した水を衝突壁13aから下方に落下させる。
【0044】
第一導入口1は、複数の衝突壁13aの上端近傍に配置されている。この第一導入口1は、図3に示すように分離空間Ssの内周に沿う接線方向で、且つ、図2に示すように斜め下方に第一排ガスを送り込むよう導入姿勢が設定されている。これにより、図2図3において第一排ガス流路53から矢印で示す方向に第一排ガスが導入された際には、導入筒体12の内部の分離空間Ssにおいて旋回流(図3図4で反時計回りで旋回)が作り出される。なお、第一導入口1は複数の衝突壁13aより高い位置に設定することにより、水の分離性能が高くなるため、図2に示す位置より高い位置に設定しても良い。
【0045】
具体構成として、第一気液分離部13は、第一導入口1から分離空間Ssに供給された第一排ガスが、最初に複数の衝突壁13aの1つに衝突するように、第一導入口1からの第一排ガスの流入方向と、衝突壁13aとの位置関係が設定されている。更に、衝突した第一排ガスを隣接する衝突壁13aに向けて流すように複数の衝突壁13aの角度が設定されている。これにより、第一導入口1から分離空間Ssに供給された第一排ガスは、分離空間Ssにおいて旋回しながら複数の衝突壁13aとの衝突を繰り返しつつ分離空間Ssの下部へ流れる。
【0046】
衝突壁13aに第一排ガスが衝突する毎に、第一排ガスに含まれる液滴は慣性力で衝突壁13aに衝突し、衝突壁13aに付着する。衝突壁13aに付着した液滴は、流下して下部ハウジング15に落下する。水滴が分離された第一排ガスは、図2においてガス流Gとして矢印で示すようにから第一排出口2の方向に流れ、第一排出口2から上方に排出される。
【0047】
図1に示すように、下部ハウジング15は、中央部分から下方に向けて延出する有底筒状の貯水部壁17、下部ハウジング15における分離空間Ssの下側において貯水部壁17に近い部位ほど低い傾斜姿勢に形成された流下壁14、及び、貯水部壁17の下部の外面に設けられた弁ユニットVを備えている。貯水部壁17で取り囲まれ上方に開放する空間で第一貯水部16が形成されている。第一貯水部16の上部には水に含まれる異物を除去する濾過ユニットFを備えている。第一貯水部16(貯水部壁17)は、少なくとも一部が第三フランジ15bよりも下方に配置され、後述する第二容器30の内部空間(以下では第二空間Sbと記載する)に隣接して配置(収容)されている。貯水部壁17は、第二空間Sbを構成する壁面の一部になっている。これにより、第一貯水部16は、貯水部壁17を介した熱伝導によって第二排ガスにより加温される。
【0048】
第一気液分離部13(衝突壁13a)から流下した水は、流下壁14から第一貯水部16に流れ落ち、第一貯水部16に一時的に貯留される。
【0049】
図2図5に示すように、貯水部壁17には排出流路17aが形成されている。排出流路17aは、後述する弁ユニットVの弁装置7を介して排水管18と連通している。排出流路17aは、第二容器30の内、後述する第二空間Sbの近傍に配置(形成)されており、第二排ガスにより加温される。
【0050】
排水管18は第二空間Sb内に配置(収容)されており、第二排ガスにより加温される。排水管18の排水口18a(排水管18における弁装置7の他端側)は、後述する第二容器30の第二貯水部36の内部空間(以下では第三空間Scと記載する)に位置しており、排出流路17aから流入した水を第二貯水部36に導く(排水する)。
【0051】
図2に示すように、濾過ユニットFは、第一貯水部16に流入する水を濾過するユニットである。水に含まれる異物は濾過ユニットFにより取り除かれ、上述の排出流路17a、弁ユニットV、及び排水管18の異物による詰まりや汚損が防止される。
【0052】
濾過ユニットFは、図2に示すように貯水部壁17に嵌め込まれる樹脂製の環状フレーム21と、この環状フレーム21の内周に張設され金属線またはナイロンを用いた網材で成るフィルタ22と、フィルタ22の中心領域に配置される樹脂製の固定リング23とを備えて構成されている。また、環状フレーム21の外周の環状溝に対しリング状のシール21aが嵌め込まれている。
【0053】
環状フレーム21は平面視で円形であり、この中心領域に対し環状フレーム21と同軸芯で貫通孔を有する固定リング23が配置され、この固定リング23の外周と環状フレーム21との間にフィルタ22が備えられている。本実施形態では、フィルタ22は、環状フレーム21と固定リング23とを金型により成形する際にインサートにより形成されるが、この製法に限定されるものではない。
【0054】
また、第一貯水部16の底壁の中央から上方に向けて保持突起19が形成され、この保持突起19の上端を濾過ユニットFの固定リング23の貫通孔に挿通した状態で濾過ユニットFが固定されている。
【0055】
この濾過ユニットFでは、環状フレーム21の外周のシール21aを、貯水部壁17の内周に密着させることで、流下壁14から流れる水を確実にフィルタ22に供給するように構成されている。
【0056】
〔第二容器〕
図2に示すように、第二容器30は、開口端に第四フランジ30aが形成され、その胴部に形成された貫通孔の外周に後述する弁ユニットVを固定する第五フランジ30bが形成された有底筒状の容器である。第二容器30は、例えば断面が円形状である。第二容器30は、樹脂で形成されている。第二容器30は、アルミニウム等の金属(金属合金)で形成しても良い。
【0057】
第二容器30は、第四フランジ30aと第一容器10における下部ハウジング15の第三フランジ15bとをボルトやクランプなどで接合することで第二空間Sbを形成している。第二空間Sbに対し第二導入口3と第二排出口4とが連通し、第二貯水部36に対し排出流路37が連通する構造を有している。排出流路37は、電磁弁などの開閉弁38を介して外部と連通している。
【0058】
第二容器30には、平面視(上面視)で第二貯水部36を挟んで第二導入口3と第二排出口4とが形成されている。第二導入口3と第二排出口4とは、第二容器30の胴部31の壁面を貫通する形態で形成されている。
【0059】
第二導入口3には、第二排ガス流路55におけるカソードFCc(図1参照)と接続されている上流側第二排ガス流路55aが接続される。第二排出口4には、第二排ガス流路55における加湿装置63と接続されている下流側第二排ガス流路55bが接続される。本実施形態では、第二導入口3及び第二排出口4のそれぞれの流路断面は、第二排ガスの通流方向(第二導入口3及び第二排出口4のそれぞれの流路断面の軸芯方向)に沿って見たときに重複するように配置されている。第二容器30には、このように第二排ガス流路55が接続されることにより、第二排ガスが第二空間Sbを通流する。これにより、第二容器30及び第二空間Sb内に配設等された各種の部材が第二排ガスにより加温される。
【0060】
第二貯水部36は、本実施形態では第二容器30の底部分であり、上述の排水管18の排水口18aから排水された水と、後述するようにして第二排ガスから分離された水とを貯留する容器部分である。第二貯水部36は、第二導入口3から第二容器30の第二空間Sbに流入する第二排ガスの通流方向(第二導入口3の流路断面に垂直な方向)に沿って見たときに、第二容器30の第二空間Sbにおける、第二導入口3よりも下方、且つ、第二排出口4よりも下方の空間領域を囲う第二容器30の底部分である。なお、本実施形態では、第二導入口3から第二容器30の第二空間Sbに流入する第二排ガスの通流方向に沿って見たときにおける、第二導入口3よりも下方とは、鉛直方向における下方と同じであり、第二導入口3に対して第一容器10とは反対の方向である。
【0061】
上述のごとく排水口18aは、この第二貯水部36で囲われた空間である第三空間Sc内に配置されている。すなわち、排水口18aは、第二導入口3から第二容器30の第二空間Sbに流入する第二排ガスの通流方向に沿って見たときに、第二容器30の第二空間Sbにおける、第二導入口3よりも下方、且つ、第二排出口4よりも下方に配置されている。これにより、排水口18aから排出される(流出する)水と第二導入口3から導入される第二排ガスとの衝突を回避して、排水口18aから排出される水が第二導入口3から導入される第二排ガスの流れに捉えられて随伴して第二排出口4から流出することを効果的に防止できる。排水口18aから排出された水は第二貯水部36に貯留される。
【0062】
図2図6に示すように、第二容器30の第二空間Sb(図2参照)には、第二導入口3から供給される第二排ガスを衝突させる板状の衝突板33(第二分離機の一例)が配置されている。衝突板33は、例えば第二容器30(第二貯水部36)の底面から立設されている。衝突板33は、第二導入口3に板面を対向させて配置されており、第二導入口3から第二容器30の第二空間Sbに流入する第二排ガスの通流方向に対して板面を交差(本実施形態では直交)させることにより、第二排ガスを板面に衝突させている。本実施形態では、第二導入口3の流路断面に対する垂線の延在方向に沿ってみた場合に、第二導入口3から離間するにしたがって、衝突板33、排水管18、及び第二排出口4の順に配置されている。第二排ガスは、衝突板33に衝突することでその流れ方向が屈曲される。
【0063】
第二導入口3から供給される第二排ガスを衝突板33に衝突させることで、第二排ガスに含まれる液滴を慣性衝突により衝突板33に水滴として付着させて分離し、更に、分離した水を衝突板33から第二貯水部36に流下させる。第二貯水部36に落下した水は、第二貯水部36に一時的に貯留される。第二貯水部36に貯留された水は、開閉弁38が開かれることで、排出流路37から外部に排水される。
【0064】
〔弁ユニット〕
図2図5に示すように、弁ユニットVは、排出流路17aから排水管18への排水を制御するユニットである。弁ユニットVは、排出流路17aを開閉する弁装置7と、弁装置7のアクチュエータ6(駆動部の一例)とを含む。弁ユニットVは、第五フランジ30bにボルトなどで固定される。
【0065】
アクチュエータ6は、電力の入力により弁装置7を開閉させる駆動力を発生させる駆動部である。アクチュエータ6は、そのケーシングの外周に設けられた第六フランジ6dと、電磁ソレノイド6bと、電磁ソレノイド6bにより発生する磁束を集めるヨークになるコア6aとを有する。アクチュエータ6は、ボルトなどにより第六フランジ6dを第五フランジ30bに固定されている。アクチュエータ6は、第一容器10の外部、且つ、第二容器30の外部に配設されている。アクチュエータ6を第一容器10の外部、且つ、第二容器30の外部に配設することで、排ガスの熱で電磁ソレノイド6bのコイルが加熱されて電気抵抗が上昇する結果、駆力が低下してしまうという不具合を回避できる。
【0066】
弁装置7は、排出流路17aの出口17bに対向する側の先端に、排出流路17aを閉塞する弁体7b(弁の一例)が固定された弁軸7aと、弁軸7aを出口17bに向けて付勢するバネ7cとを含む。弁軸7aは、アクチュエータ6の電磁ソレノイド6bで発生させた磁束により往復駆動される。
【0067】
弁体7bは、バネ7cで付勢された弁軸7aにより出口17bに向けて押し付けられることで排出流路17a(出口17b)を閉塞(図2参照)し、アクチュエータ6の駆動力によりバネ7cの付勢力に抗して出口17bから弁軸7aが離間するのに伴って出口17bから離間(図5参照)して排出流路17aからの排水を許容するダイヤフラム式の弁である。弁体7bは、第二容器30の内、第二空間Sbの近傍に配置されている。なお、弁軸7aとバネ7cとは、第一容器10の外部、且つ、第二容器30の外部に配設されている。
【0068】
以下では、弁装置7について弁体7bが出口17bから離間して排出流路17aから排水管18への排水が許容されている状態を、「開放」と記載する。弁装置7が開放されると、第一貯水部16に貯留されている水が排出流路17aを通り出口17bから排出される。出口17bから排出された水は、排水管18から第二容器30に排水されて、第二貯水部36に貯留される。第二貯水部36に貯留された水は、上述のごとく、開閉弁38が開かれることで、排出流路37から外部に排水される。
【0069】
以上のようにして、生成水の凍結が防止され、且つ、排気ガスと共に生成水が随時排出されることを防止した気液分離器を提供することができる。
【0070】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、アクチュエータ6は、電磁ソレノイド6bと、コア6aとを有し、第一容器10の外部、且つ、第二容器30の外部に配設されている場合を説明した。しかしながら、アクチュエータ6の配設はこの態様に限られない。アクチュエータ6の一部、もしくは全部が第一容器10もしくは第二容器30の内部に収容されていてもよい。
【0071】
(2)上記実施形態では、弁体7bは、第二容器30の内、第二空間Sbの近傍に配置されており、弁軸7aとバネ7cとは、第一容器10の外部、且つ、第二容器30の外部に配設されている場合を説明した。しかしながら、弁体7bに加えて、弁軸7aやバネ7cを第二容器30内に配置してもよい。
【0072】
(3)上記実施形態では、衝突板33は、第二容器30の底面から立設されており、第二導入口3に板面を対向させて配置されている板状である場合を説明した。また、第二導入口3及び第二排出口4のそれぞれの流路断面に対するそれぞれの垂線は重複するように配置されている場合を説明した。しかしながら、衝突板33は第二容器30の底面から立設されている場合に限られない。
【0073】
衝突板33は、第二容器30の内側面に支持されていてもよい。たとえば、第二導入口3と第二排出口4のそれぞれの第二排ガスの通流方向に沿う胴部31の内壁面から立設されていてもよい。また、衝突板33は、第二導入口3と第二排出口4が接続されている胴部31の内壁面から第二排ガスの通流方向前向きに支柱などで支持して設けてもよい。また、衝突板33は下部ハウジング15(例えば貯水部壁17)の下面から垂下(下面から下方に延出)させて設けてもよい。
【0074】
なお、衝突板33は複数枚配置されていてもよい。
【0075】
また、衝突板33を設ける場合に代えて、図7に示すように、第二容器30の側壁の一部を第二導入口3に対向させて衝突板33xとしてもよい。この場合、第二導入口3と第二排出口4のそれぞれの第二排ガスの通流方向を交差(図7の場合には直交)させる。第二排ガスを衝突板33xに衝突させることで、衝突板33を用いた場合と同様に、第二排ガスに含まれる液滴を分離して第二貯水部36に流下させて貯留し、上記実施形態と同様に開閉弁38及び排出流路37から外部に排水できる。
【0076】
(4)上記実施形態では、第二貯水部36は第二容器30の底部分である場合を説明した。しかしながら、第二貯水部36は第二容器30の底部分である場合に限られない。第二貯水部36は、図8に示すように、第二容器30の底部分の全部では無く、第二容器30の底部分の一部としてもよい。図8では、衝突板33の背面側(第二導入口3に対向する面の反対側の面)の下方に第二容器30の底板の一部を内部空間側から外部に向けて凹ませる態様で第二貯水部36を形成している場合を図示している。この場合、衝突板33の脇を流れ、もしくは衝突板33を乗り越えた水が、第二貯水部36に貯留される。第二貯水部36に貯留された水は、上記実施形態と同様に開閉弁38及び排出流路37から外部に排水できる。
【0077】
なお、図8では、衝突板33が、第二貯水部36の底面以外の第二容器30の底面から立設されている場合を図示しているが、衝突板33は第二貯水部36の底面から立設されていてもよい。
【0078】
(5)上記実施形態では、排水管18の排水口18aは、第二導入口3から第二容器30の第二空間Sbに流入する第二排ガスの通流方向に沿って見たときに、第二容器30の第二空間Sbにおける、第二導入口3よりも下方、且つ、第二排出口4よりも下方に配置されている場合を説明した。しかしながら、排水口18a配置は、これら態様に限られない。
【0079】
図9に示すように、第二導入口3から第二容器30の第二空間Sbに流入する第二排ガスの通流方向(第二導入口3の流路断面に対する垂線の延在方向)に沿って見たときに、排水口18aを、第二導入口3と重複、もしくは/及び、第二排出口4と重複するように配置する場合もある。または、第二導入口3よりも上方、もしくは/及び、第二排出口4よりも上方に配置する場合もある。
【0080】
(6)上記実施形態では、第二導入口3の流路断面に対する垂線の延在方向に沿ってみた場合に、第二導入口3から離間するにしたがって、衝突板33、排水管18、及び第二排出口4の順に配置されている場合を説明した。しかしながら、排水管18の配置は、これら態様に限られない。
【0081】
図9に示すように、第二導入口3の流路断面に対する垂線の延在方向に沿ってみた場合に、第二導入口3から離間するにしたがって、排水管18、衝突板33、及び第二排出口4の順に配置してもよい。
【0082】
(7)上記実施形態では、排水管18の排水口18aは、第二導入口3から第二容器30の第二空間Sbに流入する第二排ガスの通流方向(第二導入口3の流路断面に対する垂線の延在方向)に沿って見たときに、第二容器30の第二空間Sbにおける、第二導入口3よりも下方、且つ、第二排出口4よりも下方に配置されている場合を説明した。また、第二導入口3の流路断面に対する垂線の延在方向に沿ってみた場合に、第二導入口3から離間するにしたがって、衝突板33、排水管18、及び第二排出口4の順に配置されている場合を説明した。しかしながら、排水管18や排水口18aの配置は、これら態様に限られない。
【0083】
図9に示すように、第二導入口3の流路断面に対する垂線の延在方向に沿ってみた場合に、第二導入口3から離間するにしたがって、排水管18(排水口18a)、衝突板33、及び第二排出口4の順に配置してもよい。そして、第二導入口3から第二容器30の第二空間Sbに流入する第二排ガスの通流方向(第二導入口3の流路断面に対する垂線の延在方向)に沿って見たときに、排水口18aを、第二導入口3と重複、もしくは/及び、第二排出口4と重複するように配置する場合もある。または、第二導入口3よりも上方、もしくは/及び、第二排出口4よりも上方に配置する場合もある。
【0084】
このように排水管18や排水口18aを配置すれば、排水口18aから排水される水は、大部分はそのまま第二貯水部36へ流れ落ち、一部が第二排ガスの流れに捉えられて随伴したとしても、結局は衝突板33に衝突して第二貯水部36に流下する。したがって、排水口18aから排水される水が第二排出口4から流出することを効果的に防止できる。
【0085】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、車両などに搭載される燃料電池システムの気液分離器に適用できる。
【符号の説明】
【0087】
3 :第二導入口(導入ポート)
4 :第二排出口(排気ポート)
6 :アクチュエータ(駆動部)
7 :弁装置
7b :弁体(弁)
10 :第一容器
13 :第一気液分離部(第一分離機)
16 :第一貯水部(第一貯留槽)
18 :排水管
18a :排水口
30 :第二容器
33 :衝突板
33x :衝突板
36 :第二貯水部(第二貯留槽)
52 :第一ガス流路
53 :第一排ガス流路
54 :第二ガス流路
55 :第二排ガス流路
55a :上流側第二排ガス流路
55b :下流側第二排ガス流路
100 :燃料電池ユニット
A :気液分離器
FC :燃料電池
FCa :アノード(陰極)
FCc :カソード(陽極)
Sa :第一空間(内部空間)
Sb :第二空間(内部空間)
Sc :第三空間
Ss :分離空間
V :弁ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9