(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】車両の後部車体構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B62D25/20 F
B62D25/20 J
(21)【出願番号】P 2020005031
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】桑田 喬平
(72)【発明者】
【氏名】嶋中 常規
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-189161(JP,A)
【文献】特開2019-123458(JP,A)
【文献】特開2013-163470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0016840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤサスペンションのロアアームを支持するロアアーム支持部が設けられたリヤサイドハウジングと、
該リヤサイドハウジングよりも車両前方に配設された車体底面部の両サイドにおいて車両前後方向に延びるサイドシルと、
車両上下方向に延びるとともに下部が上記サイドシルに結合されるピラーと、
上記車体底面部の車幅方向中央部において、該車体底面部から車両上方に膨出して車両前後方向に延びるフロアトンネルと、を備えた車両の後部車体構造であって、
上記サイドシルおよび上記ピラーから成る結合体の後端下部と上記ロアアーム支持部とを連結するように延びるとともに、延在方向に沿って閉断面空間が内部に構成された第1フレームと、
上記フロアトンネルの後端下部と上記ロアアーム支持部とを連結するように延びるとともに、延在方向に沿って閉断面部が構成された第2フレームと、
上記フロアトンネルの後端上部と上記ロアアーム支持部とを連結するように延びるとともに、延在方向に沿って閉断面部が構成された第3フレームとを備えた
車両の後部車体構造。
【請求項2】
上記フロアトンネルの後端の車幅方向の両側には、フロアトンネル後端側縁部を備え、
上記フロアトンネル後端側縁部は、上記フロアトンネルの上記後端上部と上記後端下部とを繋ぐように車両上下方向に沿って延びており、
上記フロアトンネル後端側縁部と、上記第2フレームと上記第3フレームとで、トラス構造を構成した
請求項1に記載の車両の後部車体構造。
【請求項3】
上記フロアトンネルの上記後端下部と上記結合体の上記後端下部とを連結するように車幅方向に延びるとともに、車幅方向に沿って閉断面空間が内部に構成されたクロスメンバを備え、
上記クロスメンバと上記第1フレームと上記第2フレームとで、トラス構造を構成した
請求項1又は2に記載の車両の後部車体構造。
【請求項4】
左右一対の第3フレームは、左右一体フレーム部材に備え、
上記左右一体フレーム部材は、単一部材で形成された
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両の後部車体構造。
【請求項5】
上記フロアトンネルの上面部には、該上面部に沿って車両前後方向に延びるバックボーンフレームが配設されており、上記左右一体フレーム部材の前端は上記バックボーンフレームの後端に連結された
請求項4に記載の車両の後部車体構造。
【請求項6】
上記左右一体フレーム部材は、左右一対の上記第3フレームの各前端同士を車幅方向に繋ぐ連結部を備え、
上記連結部は、車両平面視で車幅方向の中央部が車両前方へ湾曲する湾曲形状に形成され、
上記左右一体フレーム部材は、上記連結部が上記フロアトンネルの後端にブラケットを介して支持され、
上記ブラケットは、上記連結部を受け止める受け部を備えるとともに、該受け部を上記連結部の上記湾曲形状に対応する湾曲形状で形成した
請求項4又は5に記載の車両の後部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、リヤサスペンションを支持するサスペンション支持部と、該サスペンション支持部よりも車両前方かつ車体底面部の両サイドにおいて車両前後方向に延びるサイドシルと、車体底面部の車幅方向中央部から車両上方に膨出して車両前後方向に延びるフロアトンネルと、を備えた車両の後部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスポーツカーのような車両においては車両の操縦安定性を高めるためにリヤサスペンションの支持剛性を高める必要がある。
上述したようなサスペンション支持部とサイドシルとフロアトンネルとを備えた車両の後部車体構造の中でも、リヤサスペンションの支持剛性を高めたものとして特許文献1に例示されるような構造が提案されている。
【0003】
特許文献1の後部車体構造は、サスペンション支持部としてのリヤサスペンションタワー(サスタワー)が構成されており、フロアトンネルの上部後端部から後方程車幅方向外側へ湾曲しながら車両後方へ延び、その後端がサスタワーのダンパトップへと繋がる後部補強フレーム(30)を備えることで、リヤサスペンションのダンパトップの支持剛性を高めたものである。
【0004】
しかし一般に車両走行時には、リヤサスペンション支持部の中でも特に、後輪に直接的に連結されるロアアームを支持するロアアーム支持部に大荷重が入力される。
【0005】
これに関して特許文献1の構造は、フロアトンネルの後端と、リヤサスペンションのロアアームを支持する支持部(ロアアーム支持部)とを連結する補強フレーム等を設けることは開示されておらず、ロアアームの支持剛性を高める点で改善の余地がある。
【0006】
そこで本願発明者らは、上述したように、リヤサスペンション支持部の中でも特にロアアーム支持部に、車両走行時に大荷重が入力されることに着目し、ロアアーム支持部とサイドシル後端とフロアトンネル後端下部との3点をフレーム部材等で繋ぐトラス構造を構成することを検討した。
【0007】
しかしながら、このトラス構造によって、車両前後方向および車幅方向の支持剛性は確保できるものの車両上下方向の支持剛性を向上するためには、さらなる検討の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、リヤサスペンションの支持剛性を高め、結果として操縦安定性の向上を図ることができる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、リヤサスペンションのロアアームを支持するロアアーム支持部が設けられたリヤサイドハウジングと、該リヤサイドハウジングよりも車両前方に配設された車体底面部の両サイドにおいて車両前後方向に延びるサイドシルと、車両上下方向に延びるとともに下部が上記サイドシルに結合されるピラーと、上記車体底面部の車幅方向中央部において、該車体底面部から車両上方に膨出して車両前後方向に延びるフロアトンネルと、を備えた車両の後部車体構造であって、上記サイドシルおよび上記ピラーから成る結合体の後端下部と上記ロアアーム支持部とを連結するように延びるとともに、延在方向に沿って閉断面空間が内部に構成された第1フレームと、上記フロアトンネルの後端下部と上記ロアアーム支持部とを連結するように延びるとともに、延在方向に沿って閉断面部が構成された第2フレームと、上記フロアトンネルの後端上部と上記ロアアーム支持部とを連結するように延びるとともに、延在方向に沿って閉断面部が構成された第3フレームとを備えたものである。
【0011】
上記構成によれば、車両走行時にロアアーム支持部を介してリヤサイドハウジングに入力される荷重のうち、車両前後方向および車幅方向の荷重を、第1フレームと第2フレームとを備えた仮想的なトラス構造によって受けることができるとともに、車両上下方向の荷重を、第2フレームと第3フレームとを備えた仮想的なトラス構造によって受けることができる。
【0012】
従って、車両走行時にアッパアーム支持部よりも大荷重が入力されるロアアーム支持部の支持剛性を向上させることができる。
【0013】
この発明の態様として、上記フロアトンネルの後端の車幅方向の両側には、フロアトンネル後端側縁部を備え、上記フロアトンネル後端側縁部は、上記フロアトンネルの上記後端上部と上記後端下部とを繋ぐように車両上下方向に沿って延びており、上記フロアトンネル後端側縁部と、上記第2フレームと上記第3フレームとで、トラス構造を構成したものである。
【0014】
この発明の態様として、上記構成によれば、車両走行時にロアアーム支持部を介してリヤサイドハウジングに入力される荷重のうち、主に車両上下方向の荷重に対する支持剛性をさらに向上させることができる。
【0015】
この発明の態様として、上記フロアトンネルの上記後端下部と上記結合体の上記後端下部とを連結するように車幅方向に延びるとともに、車幅方向に沿って閉断面空間が内部に構成されたクロスメンバを備え、上記クロスメンバと上記第1フレームと上記第2フレームとで、トラス構造を構成したものである。
【0016】
上記構成によれば、車両走行時にロアアームからロアアーム支持部を介してリヤサイドハウジングに入力される荷重のうち、主に車両前後方向および車幅方向の荷重に対する支持剛性をさらに向上させることができる。
【0017】
この発明の態様として、左右一対の第3フレームは、左右一体フレーム部材に備え、上記左右一体フレーム部材は、単一部材で形成されたものである。
【0018】
上記構成によれば、左右一体フレーム部材は、左右一対の第3フレーム同士を結合する結合部分を設けることなく形成できるため、車両走行時にロアアームからロアアーム支持部に入力される荷重を車両前方へ左右一体フレーム部材を介して効率よく伝達することができる。
【0019】
この発明の態様として、上記フロアトンネルの上面部には、該上面部に沿って車両前後方向に延びるバックボーンフレームが配設されており、上記左右一体フレーム部材の前端は上記バックボーンフレームの後端に連結されたものである。
【0020】
上記構成によれば、車両走行時にリヤサスペンションのロアアームからロアアーム支持部に入力される荷重を左右一体フレーム部材からバックボーンフレームに伝達することができる。
【0021】
この発明の態様として、上記左右一体フレーム部材は、左右一対の上記第3フレームの各前端同士を車幅方向に繋ぐ連結部を備え、上記連結部は、車両平面視で車幅方向の中央部が車両前方へ湾曲する湾曲形状に形成され、上記左右一体フレーム部材は、上記連結部が上記フロアトンネルの後端にブラケットを介して支持され、上記ブラケットは、上記連結部を受け止める受け部を備えるとともに、該受け部を上記連結部の上記湾曲形状に対応する湾曲形状で形成されたものである。
【0022】
上記構成によれば、連結部を上記湾曲形状に形成するとともに、受け面を上記湾曲形状に対応する湾曲形状に形成したため、受け面は、連結部を、湾曲形状に沿って接触した状態でしっかりと受け止めることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、側突性能を向上させつつトンネル部の前突荷重の伝達性能も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態の後部車体構造を備えた車両の要部を後方かつ上方から視た斜視図
【
図4】本実施形態の後部車体構造を備えた車両の要部を示す背面図
【
図6】本実施形態の後部車体構造を備えた車両の要部を示す右側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の車両は、押出成形されたアルミ合金製の複数のフレームを連結して車体骨格をなす、所謂、スペースフレーム構造を採用するとともに、側方ドアが2ドアタイプのセンターピラーレス構造を採用したスポーツカーである。このような車両の後部車体構造について、
図1から
図6を用いて説明する。但し、本実施形態の車両の後部車体構造は、左右対称形状であるため、車両右側の構造を中心に説明する。なお、
図6においてフロアトンネル81およびバックボーンフレーム85の図示は省略している。
【0026】
また、図示を明確にするため、図中において、リヤサスペンションや後輪等の図示を省略するとともに、
図1および
図6中において、ロアアーム支持部21a,21b(ロアアーム前側支持部21aおよびロアアーム後側支持部21b)、アッパアーム支持部22、並びにダンパ支持部23の詳細な図示を省略している。
【0027】
また、図中において、矢印Fは車両前方向を、矢印Rは車両右方向を、矢印Lは車両左方向を、矢印Uは車両上方向を、夫々示している。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の後部車体構造を備えた車両は図示省略するが、左右両側に、左右夫々の後輪に対応して、ダブルウィッシュボーン式リヤサスペンションを備え、リヤサスペンションには、リヤサスダンパ、アッパアームおよびロアアームを備えている。
【0029】
本実施形態の後部車体構造を備えた車両は、車室の底面を形成するフロアパネル80を設けるとともに、車幅方向の略中央部で車両の前後方向に延び上方つまり車室内に膨出するトンネル部としてのフロアトンネル81を設けている。
【0030】
フロアトンネル81は左右の側壁81aと、上側のトップデッキ部81bとを門型形状に一体形成し、車体剛性の中心となる部位であって、フロアトンネル81の側壁81aとフロアパネル80の上面とのコーナー部には、左右一対のトンネルメンバ82が形成されている。
【0031】
トンネルメンバ82はフロアトンネル81の側壁81aとフロアパネル80の上面との間に車両前後方向に延びる閉断面空間が形成されている。なお、本実施形態においてトンネルメンバ82は、フロアトンネル81の前端から車両前後方向の途中部に至るまで形成されているが、これに限らず、フロアトンネル81の後端に至るまで形成したものであってもよい(図示省略)。
【0032】
また、フロアトンネル81のトップデッキ部81bには、車両上下方向に直線状に延びるとともに
図2に示すように、車両前方程高くなるように傾斜して形成されている。
図4に示すように、フロアトンネル81は、左右一対の側壁81aとトップデッキ部81bとで、車両前後方向の直交断面が上述したように門型形状に形成されており、後端が車両後方へ向けて開口している(
図4参照)。但し、側壁81aの後部は
図2に示すように、トップデッキ部81bの後端よりも車両後方へ延出するとともに、この延出部分において車両後方程車幅方向外側へ延びている。これにより左右一対の側壁81aの各後部は、車両後方程車幅方向に互いに離間して形成されている。
【0033】
図3、
図4に示すように、フロアトンネル81の側壁81aの後端(83a)には、左右夫々において屈曲部83aを介して車幅方向外側へ突出する側方フランジ部83が一体形成されている。
【0034】
さらに
図1~
図4に示すように、フロアトンネル81のトップデッキ部81bにはバックボーンフレーム85が配設されている。
【0035】
このバックボーンフレーム85は、内部に車両前後方向に沿って延びる閉断面空間を有する押出し部材である。バックボーンフレーム85は
図1~
図3に示すように、後端がフロアトンネル81の後端手前に至るまで車両後方に延びるとともに、
図1に示すように、フロアトンネル81の前部85fにおいては、車両平面視で2股状に形成され、車両前方程車幅方向に互いに離間するように車両前方へ延びている。なお、バックボーンフレーム85のこれら2股状の前部85fは、夫々ダッシュロアパネル(図示省略)よりも車両前方において車両前後方向に延びる車体剛性部材(図示省略)に接合されている。
【0036】
図1~
図5に示すように、フロアトンネル81の後端における上方、すなわちバックボーンフレーム85の後端には、連結ブラケット90を備えている。連結ブラケット90は
図1、
図2に示すように、フロアトンネル81の後端のトップデッキ部81bにバックボーンフレーム85と同様に前上後下に傾斜した姿勢で配設されている。
【0037】
この連結ブラケット90は、バックボーンフレーム85の後端に接合される基部91と、後述する左右一体フレーム部材40(
図1~
図5参照)の連結部47が接合される車幅中央上側接合部92とで一体形成されている。
【0038】
車幅中央上側接合部92は、基部91の後端から車両後方へ向けて車幅方向両外側へ徐々に幅広に形成され、
図4に示すように、後端部に後方へ向けて開口する開口部92Aが形成されている。
【0039】
図3に示すように、車幅中央上側接合部92は、内部に開口部92Aを通じて後述する左右一体フレーム部材40の連結部47を収容可能に形成されるとともに、該車幅中央上側接合部92の前壁92fの後面が連結部47の湾曲形状に対応して車両平面視で湾曲形状に形成されている。
【0040】
図4に示すように、連結ブラケット90の後端、すなわち車幅中央上側接合部92の後端は、車両上下方向に延びる左右一対の後端側縁(93a)と、左右一対の後端側縁の各上端を車幅方向に連結する後端上縁(94a)とを備え、これらによって上述した開口部92Aを画成している。
【0041】
連結ブラケット90には、左右夫々に対応する後端側縁(93a)から屈曲部93aを介して車幅方向外側へ突出する側方フランジ部93が一体形成されている。連結ブラケット90には、後端上側縁(94a)から屈曲部94aを介して車両上方へ突出する上方フランジ部94が一体形成されている。
【0042】
連結ブラケット90の後端側縁(93a)に形成された側方フランジ部93と、フロアトンネル81の側壁(81a)の後端(83a)に形成した側方フランジ部83とは、左右夫々において車両上下方向に延びるように上下各側に配設される。
【0043】
図1~
図3、
図5に示すように、上述のフロアパネル80の左右両サイドには、車両前後方向に延びるサイドシル3を接合固定している。
【0044】
図1、
図3、
図6に示すように、サイドシル3は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、フロアパネル80の両サイドにおいて車両前後方向に沿って配設されている。
【0045】
サイドシル3は
図6に示すように、上下各側に互いに離間して配設された閉断面部31,32と、これら上下各側の閉断面部31,32を連結する連結壁33とで形成されている。
【0046】
上下各側の閉断面部31,32(上側閉断面部31と下側閉断面部32の夫々)は共に、サイドシル3の車両前後方向の全長に沿って延びる閉断面空間を内部に有している。
【0047】
サイドシル3の前端には、車両上下方向に沿って延びるヒンジピラー34が立設されている。
図6に示すように、ヒンジピラー34は、内部に車両上下方向に沿って直線状に延びる閉断面部を有するように押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、車両上方程車両前方に位置するように傾斜した姿勢で上側閉断面部31から車両上方へ突き出すように下側閉断面部32に立設されている。そしてヒンジピラー34は、上側閉断面部31と連結壁33と下側閉断面部32との各対向部位においてアーク溶接等により一体に接合されている。
【0048】
サイドシル3の後端には、車両上下方向に沿って延びるリヤピラー35(Cピラー)が立設されている。
リヤピラー35は、内部に車両上下方向に沿って直線状に延びる閉断面空間を有するように押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、車両上方程車両後方に位置するように傾斜した姿勢で上側閉断面部31から車両上方へ突き出すように下側閉断面部32に立設されている。
そしてリヤピラー35は、上側閉断面部31と連結壁33と下側閉断面部32との各対向部位においてアーク溶接等により一体に接合されている。
【0049】
ここで、以下の説明では一体に接合されたサイドシル3とリヤピラー35とを総称して結合体30とも称する。なお、
図6中の符号36a,36bは、リヤピラー35自体や、リヤピラー35とサイドシル3との接合部分を補強するリヤピラーレインフォースメントである。
【0050】
図1に示すように、フロアパネル80には、サイドシル3とフロアトンネル81の側壁81aとの間において、これらを連結するように車幅方向に直線状に延びるフロアクロスメンバ87,88が配設されている。
【0051】
フロアクロスメンバ87,88は、フロアパネル80の車両前後方向の略中間位置に配設された中間フロアクロスメンバ87と、車両前後方向の後端位置に配設された後端フロアクロスメンバ88とを備えている。
【0052】
中間フロアクロスメンバ87は、車幅方向の直交断面が下方へ向けて開口するハット形状に形成され(
図2参照)、フロアパネル80の上面部との間に閉断面空間が形成されている。後端フロアクロスメンバ88は、押出し成形により形成され、内部に閉断面空間が形成されている。
【0053】
当例においては、後端フロアクロスメンバ88の車幅方向外端は、サイドシル3の後端に接合されたリヤピラー35の下部、すなわち、リヤピラー35における下側閉断面部32の後端との結合部に車幅方向内側からアーク溶接により接合されている(
図1参照)。一方、後端フロアクロスメンバ88の車幅方向内端は、フロアトンネル81の左右夫々に対応する側壁81aの後部かつ下部に車幅方向外側からアーク溶接により接合されている(同図参照)。
【0054】
さらに
図1、
図2に示すように、本実施形態の車両の後部には、リヤサイドフレーム1と、リヤサイドハウジング10と、連結フレーム4A,4Bとを左右夫々に備えている。
【0055】
リヤサイドフレーム1は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、略矩形の閉断面を車両前後方向に直線状に延設した筒状体に形成されている。そしてリヤサイドフレーム1は、車体後部の両サイドにおいて、リヤサイドハウジング10の前側から該リヤサイドハウジング10の後端よりも車両後方に突出するように車両前後方向に延びるとともに車両前後方向と略平行になるように配設されている。
【0056】
リヤサイドフレーム1の後端には、セットプレート6および取付けプレート7を介して、衝突時の衝撃を吸収する筒状体等からなる左右一対のクラッシュカン8の前端が接続されている。なお、左右一対のクラッシュカン8の後端は、バンパレイン9によって連結されている。
【0057】
リヤサイドハウジング10は、リヤサスペンション(図示省略)を車幅方向内側から支持可能に車両側面視でリヤサスペンションと略重複するように設けられ、例えばアルミニウム合金をダイキャスト成型することにより製造される。
図1、
図3に示すように、リヤサイドハウジング10は、サイドシル3に対して車両後方かつ車幅方向内側へ離間して配設されている。
【0058】
具体的には
図1~
図5に示すように、リヤサイドハウジング10は、上側縦壁部12と、上側縦壁部12よりも車幅方向内側に離間した位置に有する下側縦壁部13と、上側縦壁部12の上端と上記下側縦壁部13の下端とを車幅方向に繋ぐように車幅方向に略水平に延びる段部14とを備えている。
なお
図1~
図3に示すように、リヤサイドフレーム1は、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12と段部14とのコーナー部24に配設されている。
【0059】
図6に示すように、リヤサイドハウジング10の下部には、平面視A型のロアアーム(図示省略)を枢支するロアアーム前側支持部21aとロアアーム後側支持部21bとが設けられている。
【0060】
ロアアーム前側支持部21aは、ロアアームの車両前側の車幅方向内端を枢支するとともに、ロアアーム後側支持部21bは、ロアアームの車両後側の車幅方向内端を枢支するものであり、リヤサイドハウジング10の下側縦壁部13の下部において車両前後方向に互いに離間して設けられている。
【0061】
リヤサイドハウジング10の車両上下方向の中間かつ車両前側の位置、すなわち、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12の下部の前側の位置には、平面視I型のアッパアーム(図示省略)の車幅方向内端を枢支するアッパアーム支持部22が設けられている。
【0062】
リヤサイドハウジング10の上部、すなわち、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12の上部の車両前後方向の中間位置には、車両上方程車幅方向内側に位置するように傾斜した姿勢で車両上下方向に沿って延びるリヤサスダンパ(図示省略)の上端部を枢支するダンパ支持部23が設けられている。
【0063】
また、リヤサイドハウジング10の前部は、後述する3本の車幅外側連結フレーム4A(
図6参照)の各後端を車幅方向外面側から接合可能に構成されている。
【0064】
具体的には
図6に示すように、リヤサイドハウジング10の前部かつ車両上下方向の中間部には、後述する3本の車幅外側連結フレーム4Aのうち、最も上方に位置する後述する第1上外側フレーム41の後端を接合する第1上外側フレーム後端接合部27が設けられている。
【0065】
リヤサイドハウジング10の前部かつ車両上下方向の中間部には、後述する3本の車幅外側連結フレーム4Aのうち、車両上下方向において他の2本の車幅外側連結フレーム41,43の間に位置する後述する第2上外側フレーム42の後端を接合する第2上外側フレーム後端接合部28が設けられている。
【0066】
リヤサイドハウジング10の前部かつ下部には、後述する3本の車幅外側連結フレーム4Aのうち、最も下方に位置する後述する下外側フレーム43の後端を接合する下外側フレーム後端接合部29が設けられている。
【0067】
なお、第1上外側フレーム後端接合部27と第2上外側フレーム後端接合部28とは上述したように、共にリヤサイドハウジング10におけるアッパアーム支持部22の前側周辺部分において上下各側で互いに隣接するように設けられている。
【0068】
一方、下外側フレーム後端接合部29は、ロアアーム前側支持部21aの直下近傍においてロアアーム前側支持部21aとロアアーム後側支持部21bと略同じ高さに設けられている。
【0069】
上述したリヤサイドハウジング10は、上側縦壁部12と下側縦壁部13と段部14とが、単一の部材であるアルミニウム合金により一体に形成されている。
換言すると、リヤサイドハウジング10は上述したように、アルミニウム合金をダイキャスト成型することにより、ロアアーム支持部21a,21b、アッパアーム支持部22、ダンパ支持部23、第1上外側フレーム後端接合部27、第2上外側フレーム後端接合部28、および下外側フレーム後端接合部29を含めた略全体が単一の部材により一体に形成されている。
【0070】
続いて連結フレーム4A,4Bについて説明する。
図1~
図5に示すように、連結フレーム4A,4Bは、結合体30の後端とリヤサイドハウジング10との間において、これらを連結する車幅外側連結フレーム4A(41,42,43)と、フロアトンネル81の後端とリヤサイドハウジング10との間において、これらを連結する車幅内側連結フレーム4B(44,45)とを備えている。
【0071】
図6に示すように、車幅外側連結フレーム4Aは、複数本を備え、夫々車両上下方向に互いに離間するように配設されている。
【0072】
具体的に車幅外側連結フレーム4Aは、車体後部の左右各側において、第1上外側フレーム41、第2上外側フレーム42および下外側フレーム43の3本ずつを備えており、この順に車両上方から下方へ配設されている。
【0073】
第1上外側フレーム41は、アッパアーム支持部22よりも若干高い位置において、略水平に配設されている。そして、第1上外側フレーム41の前端は、リヤピラー35のサイドシル3の上端よりも車両上方位置に該リヤピラー35の後面から接合されている。第1上外側フレーム41の後端は、リヤサイドハウジング10における上述した第1上外側フレーム後端接合部27において車幅方向外面側から接合されている。
【0074】
第2上外側フレーム42は、車両後方程車両上方に位置するように車両側面視で傾斜して延びている。そして、第2上外側フレーム42の前端は、リヤピラー35のサイドシル3の車両上下方向における、上側閉断面部31の後端に相当する位置において、該リヤピラー35の後面から接合されている。第2上外側フレーム42の後端は、リヤサイドハウジング10における上述した第2上外側フレーム後端接合部28において車幅方向外面側から接合されている。
【0075】
下外側フレーム43は、リヤピラー35のサイドシル3の下側閉断面部32の位置であって、ロアアーム前側支持部21aよりも下側位置において、側面視で水平に配設されている。下外側フレーム43の前端は、サイドシル3の下側閉断面部32の後端に接合されている。下外側フレーム43の後端は、リヤサイドハウジング10における上述した下外側フレーム後端接合部29に車幅方向外面側から接合されている。
【0076】
上述した3本の車幅外側連結フレーム4A(41,42,43)は
図3に示すように、共に、車両後方程車幅方向内側に位置するように傾斜して直線状に延びるとともに、結合体30とリヤサイドハウジング10との夫々に対して、例えばミグ溶接により一体に接合されている。
【0077】
また、車幅内側連結フレーム4Bは、複数本を備え、夫々車両上下方向に互いに離間するように配設されている。
【0078】
具体的に車幅内側連結フレーム4Bは、車体後部の左右各側において、上内側フレーム44と下内側フレーム45とを備えており、車両上下各側に配設されている。
【0079】
図1~5に示すように、上内側フレーム44と下内側フレーム45の各後端は共に、リヤサイドハウジング10に対して、車両側面視でロアアーム前側支持部21a(
図6参照)に重複する部位に車幅方向内面側からフレーム取付ブラケット46を介して接合されている。
【0080】
上内側フレーム44の後端は、フレーム取付ブラケット46の上部に、下内側フレーム45の後端は、フレーム取付ブラケット46の下部に、互いに隣接した位置に接合されている。
【0081】
上内側フレーム44の前端は、フロアトンネル81の後端上部(連結ブラケット90に対応する部位)に、下内側フレーム45の前端は、フロアトンネル81の後端下部に、夫々接合されている。
【0082】
上述した車幅内側連結フレーム4B(44,45)は、共に、車両後方程車幅方向外側に位置するように傾斜して直線状に延びている。
図2に示すように、2本の車幅内側連結フレーム4Bのうち、下内側フレーム45は、車両側面視で水平に延びるのに対して、上内側フレーム44は、車両前方程上方に位置するように傾斜して延びている。
【0083】
これに対応して上述したように、バックボーンフレーム85および連結ブラケット90は、車両前方程上方に位置するように傾斜して配設することで、左右一対の上内側フレーム44と車両側面視で極力同じ傾斜角度になるように形成されている。
【0084】
ここで
図1、
図3、
図5に示すように、下内側フレーム45の前端と、フロアトンネル81の後端下部との接合箇所は、後端フロアクロスメンバ88の車幅方向内端とフロアトンネル81の後端下部との接合箇所と略一致する。また、下外側フレーム43の前端と、結合体30の後端下部との接合箇所は、後端フロアクロスメンバ88の車幅方向外端と、結合体30の後端下部との接合箇所と略一致する。
【0085】
さらに
図1~
図5に示すように、フレーム取付ブラケット46と下外側フレーム後端接合部29とは、リヤサイドハウジング10における車幅方向の内外各側に設けられているが、車両側面視で略重複する部位に設けられている。
【0086】
このため
図5に示すように、後端フロアクロスメンバ88と下内側フレーム45と下外側フレーム43とで、第1トラス構造T1を構成している。第1トラス構造T1は車両上下方向に直交する平面状に、フロアパネル80に対して後方に隣接して設けられている。
【0087】
また、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)(すなわち、フロアトンネル81の側壁81aの後端側縁(83a)および連結ブラケット90の後端側縁(93a))と、上内側フレーム44と下内側フレーム45とで、第2トラス構造T2を構成している。第2トラス構造T2は第1トラス構造T1を、下内側フレーム45を回動軸として上方に起立した姿勢で設けられ、車幅方向に略直交する平面状に設けられている。
【0088】
ここで、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)は、左右夫々に対応するバックボーンフレーム85の側壁後端も含めて車両上下方向に延びている。すなわち、フロアトンネル81の側方フランジ部83と連結ブラケット90の側方フランジ部93とが、上内側フレーム44と下内側フレーム45との各前端を連結するように車両上下方向に直線状に延びている。そして、これら側方フランジ部83と側方フランジ部93とは共に、基端側に車両上下方向に沿って延びる屈曲部83a,93a(稜線)が夫々一体形成されている。
【0089】
これにより、側方フランジ部83と側方フランジ部93とは、上内側フレーム44と下内側フレーム45との各前端を、これら各前端の間の強度を確保しつつ連結している。
【0090】
また
図1、
図3、
図4に示すように、当例においては、上述した左右一対の上内側フレーム44は、左右一体フレーム部材40の一部として形成されている。
具体的には、左右一体フレーム部材40は、アルミ二ウム合金などの単一の部材を全長に亘って円筒状に押出し成形されたものであって、長手方向の中央部が前方へ突き出すように該中央部を孤状(当例では円弧状)に曲げ成形することで全体として略U字形状に一体形成されている。左右一体フレーム部材40は、直線状に延びる左右一対の上内側フレーム44と、これらの前端同士を連結する孤状の連結部47とで一体形成されている。
【0091】
左右一体フレーム部材40は、フロアトンネル81の後方において、連結部47が前方へ突き出すように配設される。すなわち、左右一体フレーム部材40は、連結部47が連結ブラケット90の車幅中央上側接合部92に開口部92Aを通じて内部へ差し込まれるように配設される。
【0092】
このとき、連結ブラケット90の車幅中央上側接合部92の前壁92fは上述したように、孤状の連結部47に対応して孤状に形成されている。このため、連結部材の車幅中央上側接合部92に差し込まれた連結部47は、前縁が連結ブラケット90の車幅中央上側接合部92の前壁92fの後面に車幅方向に沿って当接し、当接部分に沿ってアーク溶接により一体に接合される。これにより、連結ブラケット90の車幅中央上側接合部92は、連結部47を車幅方向の略全体に亘って後方から受け止めるようにして連結することができる。
【0093】
このように、左右一体フレーム部材40は、連結部47を連結ブラケット90に接合することで、左右一対の上内側フレーム44を、フロアトンネル81の左右夫々に対応する側壁81aの後端上部に接合することができる。
【0094】
そして、車両走行時にリヤサスペンションのロアアームからロアアーム支持部21a,21b介してリヤサイドハウジング10に入力される荷重を上内側フレーム44から連結ブラケット90介してバックボーンフレーム85に伝達することができる。
【0095】
上述した本実施形態の車両の後部車体構造は
図1に示すように、リヤサスペンションのロアアーム(図示省略)を支持するロアアーム支持部21a,21b(
図6参照)が設けられたリヤサイドハウジング10と、該リヤサイドハウジング10よりも車両前方に配設された車体底面部の両サイドにおいて車両前後方向に延びるサイドシル3と、車両上下方向に延びるとともに下部がサイドシル3に結合されるリヤピラー35(ピラー)と、車体底面部の車幅方向中央部において、該車体底面部から車両上方に膨出して車両前後方向に延びるフロアトンネル81と、を備えた車両の後部車体構造であって、
図1、
図3~
図5に示すように、サイドシル3およびリヤピラー35から成る結合体30の後端下部と、リヤサイドハウジング10のロアアーム前側支持部21aとを連結するように延びるとともに、長手方向(延在方向)に沿って閉断面空間が内部に構成された下外側フレーム43(第1フレーム)と、フロアトンネル81の後端下部とロアアーム前側支持部21aとを連結するように延びるとともに、長手方向に沿って閉断面空間が内部に構成された下内側フレーム45(第2フレーム)と、フロアトンネル81の後端上部とロアアーム前側支持部21aとを連結するように延びるとともに、長手方向に沿って閉断面空間が内部に構成された上内側フレーム44(第3フレーム)とを備えたものである。
【0096】
上記構成によれば、車両走行時にロアアーム支持部21a,21bを介してリヤサイドハウジング10に入力される荷重のうち、車両前後方向および車幅方向の荷重を、下外側フレーム43と下内側フレーム45とを備えた仮想的なトラス構造によって受けることができるとともに、車両上下方向の荷重を、下内側フレーム45と上内側フレーム44とを備えた仮想的なトラス構造(T2)によって受けることができる(
図5参照)。
【0097】
従って、車両走行時にアッパアーム支持部よりも大荷重が入力されるロアアーム支持部21a,21bの支持剛性を向上させることができる。
【0098】
この発明の態様として
図3に示すように、フロアトンネル81の後端の車幅方向両側には、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)を備え、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)は、フロアトンネル81の後端上部と後端下部とを繋ぐように車両上下方向に沿って延びており、
図5に示すように、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)と、下内側フレーム45と上内側フレーム44とで、第2トラス構造T2(トラス構造)を構成したものである。
【0099】
上記構成によれば、車両走行時にロアアーム支持部21a,21bを介してリヤサイドハウジング10に入力される荷重のうち、主に車両上下方向の荷重に対する支持剛性をさらに向上させることができる。
【0100】
詳述すると、上記構成によれば、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)は、車両後方へ向けて突状の端部形状が車両上下方向に沿って形成されている。特に当例においては、フロアトンネル81の側壁81aの後端には、屈曲部83a,93aを介して車幅方向外側へ突出する側方フランジ部83,93を有している。
【0101】
これにより、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)には、屈曲部83a,93aに相当する稜線部が車両上下方向に沿って形成されている。さらに
図3に示すように、フロアトンネル81の後端は、連結ブラケット90の後端も含めて後端は、車両前方視で門型形状(U字形状)に形成されている。具体的には、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)は、各上端部同士が、連結ブラケット90の後端上縁(94a)によって車幅方向に繋ぐように形成されており、フロアトンネル81の後端部の全体に亘って、屈曲部83a,93a,94a(稜線部)が形成されている。
【0102】
一方、左右一対の側壁後端部の下端部は、左右夫々に対応する後端フロアクロスメンバ88の車幅方向内端に一体に接続されている。
これらによりフロアトンネル後端側縁部(83a,93a)は、周辺部に対して高剛性に構成されている。
【0103】
そして本実施形態においては、下内側フレーム45と上内側フレーム44と、これらフレーム45、45の各後端同士を車両上下方向に沿って結ぶ、フロアトンネル後端側縁部(83a,93a)とによって第2トラス構造T2を構成することができる。
【0104】
従って本実施形態の車両の後部車体構造は上述したように、車両走行時にロアアーム支持部21a,21bを介してリヤサイドハウジング10に入力される荷重のうち、主に車両上下方向の荷重に対する支持剛性をさらに向上させることができる。
【0105】
この発明の態様として
図1、
図3~
図5に示すように、フロアトンネル81の後端下部と結合体30の後端下部とを連結するように車幅方向に延びるとともに、車幅方向(延在方向)に沿って閉断面空間が内部構成された後端フロアクロスメンバ88(クロスメンバ)を備え、
図5に示すように、後端フロアクロスメンバ88と下外側フレーム43と下内側フレーム45とで、第1トラス構造T1(トラス構造)を構成したものである。
【0106】
上記構成によれば、車両走行時にロアアームからロアアーム支持部21a,21bを介してリヤサイドハウジング10に入力される荷重のうち、主に車両前後方向および車幅方向の荷重に対する支持剛性をさらに向上させることができる。
【0107】
また本実施形態においては、上述した2つのトラス構造T1,T2は、共に下内側フレーム45を一部に有して構成されている。これにより、車体重量が増加することなくロアアーム支持部21a,21bの支持剛性を効率的に高めることができる。
【0108】
この発明の態様として
図1、
図2、
図4に示すように、左右一対の上内側フレーム44は、左右一体フレーム部材40に備え、左右一体フレーム部材40は、単一部材で形成されたものである。
【0109】
上記構成によれば、左右一体フレーム部材40は、単一部材で形成されたものであるため、左右一対の上内側フレーム44同士を結合する結合部分を設けることなく形成できる。
従って、車両走行時にロアアームからロアアーム支持部21a,21bに入力される荷重を車両前方へ左右一体フレーム部材40を介して効率よく伝達することができる。
【0110】
フロアトンネル81のトップデッキ部81b(上面部)には、該トップデッキ部81bに沿って車両前後方向に延びるバックボーンフレーム85が配設されており、左右一体フレーム部材40の前端はバックボーンフレーム85の後端に連結されたものである。
【0111】
上記構成によれば、車両走行時にリヤサスペンションのロアアームからロアアーム支持部21a,21bに入力される荷重を左右一体フレーム部材40からバックボーンフレーム85に伝達することができる。
【0112】
この発明の態様として、左右一体フレーム部材40は、左右一対の上内側フレーム44の各前端同士を車幅方向に繋ぐ連結部47を備え、連結部47は、車両平面視で車幅方向の中央部が車両前方へ湾曲する湾曲形状に形成され、左右一体フレーム部材40は、連結部47がフロアトンネル81の後端に連結ブラケット90(ブラケット)を介して支持され、連結ブラケット90は、連結部47を受け止める前壁92f(受け部)を備えるとともに、該前壁92fを連結部47の湾曲形状に対応する湾曲形状で形成したものである。
【0113】
上記構成によれば、連結部47を上記湾曲形状に形成するとともに、前壁92fを上記湾曲形状に対応する湾曲形状に形成したため、前壁92fの後面によって、連結部47を、湾曲形状に沿って接触した状態でしっかりと受け止めることができる。
【0114】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
【符号の説明】
【0115】
3…サイドシル
10…リヤサイドハウジング
21a,21b…ロアアーム支持部
30…サイドシル3およびリヤピラー35から成る結合体
35…リヤピラー(ピラー)
40…左右一体フレーム部材
43…下外側フレーム(第1フレーム)
45…下内側フレーム(第2フレーム)
44…上内側フレーム(第3フレーム)
47…連結部
81…フロアトンネル
83a,93a…フロアトンネル後端側縁部
88…後端フロアクロスメンバ(クロスメンバ)
81…フロアトンネル
81b…トップデッキ部(上面部)
85…バックボーンフレーム
90…連結ブラケット(ブラケット)
92f…前壁(受け部)
T1…第1トラス構造(トラス構造)
T2…第2トラス構造(トラス構造)