(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230516BHJP
B61B 3/02 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
G05D1/02 G
G05D1/02 X
B61B3/02 C
(21)【出願番号】P 2020135010
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大塚 洋
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-177037(JP,A)
【文献】特開2012-146171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って配置された走行レールと、前記走行レールに沿って走行して物品を搬送する搬送車と、前記搬送車が備える走行部の走行作動を制御する制御部と、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行経路には、平面視で直線状に形成された直線区間と、平面視で曲線状に形成された曲線区間と、が含まれ、
前記直線区間には、前記走行経路の幅方向の中央部に対して両側に分かれて配置された2つの前記走行レールである第1走行レール及び第2走行レールが配置され、前記第1走行レール及び前記第2走行レールの一方を対象レールとし他方を非対象レールとして、前記曲線区間には、前記対象レール及び前記非対象レールのうちの少なくとも前記対象レールが配置されていると共に、前記対象レール及び前記非対象レールとは別の案内レールが前記走行経路に沿って配置され、
前記走行部は、前記第1走行レールの走行面を転動する第1車輪と、前記第2走行レールの走行面を転動する第2車輪と、前記第1車輪と前記第2車輪とを同速で回転させる駆動部と、前記案内レールの案内面を転動する案内輪と、を備え、
前記対象レールが前記第1走行レールである場合には前記第1車輪を、前記対象レールが前記第2走行レールである場合には前記第2車輪を、対象車輪とし、前記第1車輪及び前記第2車輪のうちの前記対象車輪ではない方を、非対象車輪として、
前記走行部は、前記対象車輪が前記対象レールに接触し、前記案内輪が前記案内レールに接触し、且つ、前記非対象車輪が前記非対象レールに接触しない姿勢で、前記曲線区間を走行し、
前記制御部は、前記走行経路の前記幅方向の中央部における前記曲線区間の前記走行経路に沿う長さである第1長さに対する、前記対象レールの前記走行経路に沿う長さである第2長さの比に応じて、前記曲線区間における前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、前記直線区間における前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度に対して変化させる、物品搬送設備。
【請求項2】
前記制御部は、設定速度で走行する場合の前記曲線区間における前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、前記設定速度で前記直線区間を走行する場合の前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度に、前記第2長さを前記第1長さで除算した値を乗算した速度に設定する、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記制御部は、前記走行部が前記直線区間から前記曲線区間に進入するタイミングと、前記走行部が前記曲線区間から前記直線区間に進入するタイミングとのそれぞれに合わせて、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度変化を開始させる、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記制御部は、前記直線区間における回転速度と前記曲線区間における回転速度との間で前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を変化させる際に、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、当該回転速度の1階微分値が一定となるように変化させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記制御部は、前記直線区間における回転速度と前記曲線区間における回転速度との間で前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を変化させる際に、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、当該回転速度の2階微分値が一定となるように変化させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記走行経路における前記直線区間と前記曲線区間との境界に対応する位置に、被検出体が設けられていると共に、前記境界に対して前記走行経路の上流側の位置に、当該位置を示すアドレス情報を保持する情報保持体が設けられ、
前記搬送車は、前記被検出体を検出する検出装置と、前記情報保持体に保持された前記アドレス情報を読み取る読取装置と、前記走行部の走行距離を計測する計測装置と、を備え、
前記境界から前記走行経路に沿って両側に延びる領域を境界領域として、
前記制御部は、前記読取装置により読み取られた前記アドレス情報と前記計測装置により計測された前記走行距離とに基づき、前記走行部の現在の推定位置である推定現在位置を導出し、第1条件又は第2条件が成立した場合に、前記走行部が前記境界に到達したと判定して前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度変化を開始させ、
前記第1条件は、前記推定現在位置が前記境界領域内の位置であり、且つ、前記検出装置により前記被検出体が検出されたことであり、
前記第2条件は、前記推定現在位置が前記境界領域に進入した後、前記検出装置により前記被検出体が検出されることなく前記推定現在位置が前記境界領域における前記走行経路の下流側の端部に到達したことである、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
前記走行部を第1走行部として、前記搬送車は、前記第1走行部に対して前記走行経路に沿う前後方向の前方側に配置された第2走行部と、前記第1走行部及び前記第2走行部に連結された本体部と、を備え、
前記第1走行部は、上下方向に沿う第1軸心周りに回転自在に前記本体部に連結され、
前記第2走行部は、上下方向に沿う第2軸心周りに回転自在に前記本体部に連結され、
前記案内輪を第1案内輪として、前記第2走行部は、前記第1走行レールの走行面を転動する第3車輪と、前記第2走行レールの走行面を転動する第4車輪と、前記案内レールの案内面を転動する第2案内輪と、を備え、
前記制御部は、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を目標回転速度に合わせるように制御して、前記第1走行部の走行に従動するように前記第2走行部を走行させ、
前記対象車輪を第1対象車輪とすると共に前記非対象車輪を第1非対象車輪とし、更に、前記第1車輪が前記第1対象車輪である場合には前記第3車輪を、前記第2車輪が前記第1対象車輪である場合には前記第4車輪を、第2対象車輪とし、前記第3車輪及び前記第4車輪のうちの前記第2対象車輪ではない方を、第2非対象車輪として、
前記第2走行部は、前記第2対象車輪が前記対象レールに接触し、前記第2案内輪が前記案内レールに接触し、且つ、前記第2非対象車輪が前記非対象レールに接触しない姿勢で、前記曲線区間を走行し、
前記制御部は、前記第1対象車輪の回転速度に対する前記第2対象車輪の回転速度の変化を検出してから、前記第1対象車輪と前記第2対象車輪との前記前後方向の間隔に応じた距離を前記第1走行部が走行した時点で、前記走行経路における前記直線区間と前記曲線区間との境界に前記第1走行部が到達したと判定して、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度変化を開始させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って配置された走行レールと、走行レールに沿って走行して物品を搬送する搬送車と、搬送車が備える走行部の走行作動を制御する制御部と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送設備の一例が、特開2010-282569号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1の物品搬送設備は、走行レール(4)と、走行レール(4)に沿って走行する搬送車(3)と、搬送車(3)の走行作動を制御する走行制御部(59)と、を備えている。搬送車(3)は、第1モータ(26)により駆動される第1駆動輪(25)と、第2モータ(29)により駆動される第2駆動輪(28)と、を備えている。特許文献1の段落0052-0054に記載されているように、搬送車(3)が曲線部(8)を走行する際には、第1駆動輪(25)及び第2駆動輪(28)のうちの内輪を減速させると共に外輪を加速させることで、搬送車(3)の中心速度が規定速度に合わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の搬送車とは異なり、搬送車の左右2つの車輪(特許文献1における第1駆動輪及び第2駆動輪)が同速で回転するように駆動される場合がある。この場合であっても、走行経路における平面視で曲線状に形成された曲線区間を搬送車が適切に走行できることが求められる。しかしながら、特許文献1にはこの点についての記載はない。
【0005】
そこで、搬送車の左右2つの車輪が同速で回転するように駆動される場合に、曲線区間において搬送車を適切に走行させることができる物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る物品搬送設備は、走行経路に沿って配置された走行レールと、前記走行レールに沿って走行して物品を搬送する搬送車と、前記搬送車が備える走行部の走行作動を制御する制御部と、を備えた物品搬送設備であって、前記走行経路には、平面視で直線状に形成された直線区間と、平面視で曲線状に形成された曲線区間と、が含まれ、前記直線区間には、前記走行経路の幅方向の中央部に対して両側に分かれて配置された2つの前記走行レールである第1走行レール及び第2走行レールが配置され、前記第1走行レール及び前記第2走行レールの一方を対象レールとし他方を非対象レールとして、前記曲線区間には、前記対象レール及び前記非対象レールのうちの少なくとも前記対象レールが配置されていると共に、前記対象レール及び前記非対象レールとは別の案内レールが前記走行経路に沿って配置され、前記走行部は、前記第1走行レールの走行面を転動する第1車輪と、前記第2走行レールの走行面を転動する第2車輪と、前記第1車輪と前記第2車輪とを同速で回転させる駆動部と、前記案内レールの案内面を転動する案内輪と、を備え、前記対象レールが前記第1走行レールである場合には前記第1車輪を、前記対象レールが前記第2走行レールである場合には前記第2車輪を、対象車輪とし、前記第1車輪及び前記第2車輪のうちの前記対象車輪ではない方を、非対象車輪として、前記走行部は、前記対象車輪が前記対象レールに接触し、前記案内輪が前記案内レールに接触し、且つ、前記非対象車輪が前記非対象レールに接触しない姿勢で、前記曲線区間を走行し、前記制御部は、前記走行経路の前記幅方向の中央部における前記曲線区間の前記走行経路に沿う長さである第1長さに対する、前記対象レールの前記走行経路に沿う長さである第2長さの比に応じて、前記曲線区間における前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、前記直線区間における前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度に対して変化させる。
【0007】
本構成によれば、曲線区間を走行する際の走行部の姿勢が、対象車輪が対象レールに接触し、案内輪が案内レールに接触し、且つ、非対象車輪が非対象レールに接触しない姿勢とされる。そのため、対象車輪の移動軌跡の長さと非対象車輪の移動軌跡の長さとが異なる曲線区間において、対象車輪と非対象車輪とを同速で回転させつつ搬送車を適切に走行させることができる。すなわち、本構成によれば、搬送車の左右2つの車輪が同速で回転するように駆動される場合に、曲線区間において搬送車を適切に走行させることができる。
【0008】
そして、本構成では、曲線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度が、直線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度に対して、第1長さに対する第2長さの比に応じて変化される。ここで、第1長さに対する第2長さの比は、搬送車の中央部(幅方向の中央部、以下同様)の移動速度に対する対象車輪の移動速度の比と同一或いは同程度となる。そのため、上記のように曲線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度を設定することで、曲線区間における搬送車の中央部の移動速度を、直線区間における搬送車の中央部の移動速度に近づけることができる。この結果、直線区間と曲線区間との境界を通過する際の搬送車の中央部の速度変化を小さく抑えて、搬送車や搬送車により搬送される物品に発生し得る振動を小さく抑えることができる。
【0009】
なお、本構成とは異なり、曲線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度を、直線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度に対して変化させない場合には、対象レールが内周側となる曲線区間における搬送車の中央部の移動速度が、直線区間における搬送車の中央部の移動速度より高くなる。そのため、曲線区間における搬送車の中央部の移動速度を最大許容速度以下に抑えるために、直線区間における搬送車の中央部の移動速度を低く抑える必要が生じ得る。これに対して、本構成によれば、曲線区間における搬送車の中央部の移動速度を、直線区間における搬送車の中央部の移動速度に近づけることができるため、上記のような必要を生じ難くして、直線区間及び曲線区間の双方を含む走行経路を搬送車が走行するのに要する時間の短縮を図ることもできる。
【0010】
物品搬送設備の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】直線区間と曲線区間との境界に位置する搬送車の平面図
【
図7】搬送車が曲線区間を通過する場面を時系列的に示す図
【
図8】比較例に係る第2対象車輪の移動速度及び移動加速度の時間変化図
【
図9】比較例に係る第1対象車輪の移動速度及び移動加速度の時間変化図
【
図10】比較例に係る搬送車の中央部の移動速度及び移動加速度の時間変化図
【
図11】実施形態に係る第2対象車輪の移動速度及び移動加速度の時間変化図
【
図12】実施形態に係る第1対象車輪の移動速度及び移動加速度の時間変化図
【
図13】実施形態に係る搬送車の中央部の移動速度及び移動加速度の時間変化図
【
図14】速度重み及び速度重み変化率の一例を示す図
【
図15】速度重み及び速度重み変化率の別例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
物品搬送設備の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、物品搬送設備100は、走行経路70に沿って配置された走行レール80と、走行レール80に沿って走行して物品2を搬送する搬送車1と、を備えている。ここで、
図1に示すように、走行経路70の長手方向(走行経路70が延びる方向)を経路長手方向Xとし、走行経路70の幅方向を経路幅方向Yとする。経路幅方向Yは、経路長手方向X及び鉛直方向Zの双方に直交する方向である。
図4に示すように、本実施形態では、走行経路70における搬送車1の走行方向Tは一方向に設定されており、経路長手方向Xにおける搬送車1の進行方向前方側を下流側X1とし、経路長手方向Xにおける搬送車1の進行方向後方側を上流側X2とする。本実施形態では、経路幅方向Yが「幅方向」に相当する。
【0013】
本実施形態では、搬送車1は、天井に沿って形成された走行経路70に沿って走行する天井搬送車である。そのため、図示は省略するが、走行レール80や後述する案内レール83(
図2参照)は、例えば、天井から吊り下げ支持される。なお、搬送車1は、天井搬送車以外の搬送車であってもよい。また、物品2の種類はこれに限定されないが、物品2は、例えば、半導体ウェハを収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)とされる。
【0014】
図4に示すように、走行経路70には、平面視(鉛直方向Zに沿う方向視)で直線状に形成された直線区間71と、平面視で曲線状に形成された曲線区間72と、が含まれている。直線区間71には、2つの走行レール80である第1走行レール81及び第2走行レール82が配置されている。第1走行レール81及び第2走行レール82は、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aに対して両側に分かれて配置されている。直線区間71においては、第1走行レール81と第2走行レール82との間の経路幅方向Yの中心位置が、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aとなる。以下では、経路幅方向Yにおける中央部70aに近づく側を、経路幅方向Yの内側といい、経路幅方向Yにおける中央部70aから離れる側を、経路幅方向Yの外側という。
【0015】
第1走行レール81及び第2走行レール82の一方を対象レール80Aとし他方を非対象レール80Bとして、曲線区間72には、対象レール80A及び非対象レール80Bのうちの少なくとも対象レール80Aが配置されている。直線区間71における第1走行レール81と第2走行レール82との経路幅方向Yの間隔を走行経路幅として、対象レール80Aは、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aとの間隔が走行経路幅の半分となる位置に配置される。
図4に示す例のように、対象レール80Aが、第1走行レール81及び第2走行レール82のうちの曲線区間72において内側(旋回中心に近づく側)に配置される方(
図4では第1走行レール81)である場合には、対象レール80Aから走行経路幅の半分だけ外側(旋回中心から離れる側)の位置が、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aとなる。一方、対象レール80Aが、第1走行レール81及び第2走行レール82のうちの曲線区間72において外側に配置される方である場合には、対象レール80Aから走行経路幅の半分だけ内側の位置が、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aとなる。
【0016】
図4に示す例では、曲線区間72に、対象レール80Aに加えて非対象レール80B(
図4では第2走行レール82)も配置されている。非対象レール80Bは、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aとの間隔が走行経路幅の半分となる位置に配置される。対象レール80A及び非対象レール80Bの双方が曲線区間72に配置される場合、対象レール80Aと非対象レール80Bとの間の経路幅方向Yの中心位置が、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aとなる。なお、
図4に示す曲線区間72は、2つの直線区間71のそれぞれの端部同士を接続しているが、曲線区間72は、直線区間71から分岐したり直線区間71に合流するように設けられてもよい。
【0017】
図4では省略しているが、
図2、
図5、及び
図6に示すように、曲線区間72には、対象レール80A及び非対象レール80Bとは別の案内レール83が、走行経路70に沿って配置されている。ここでは、案内レール83は、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aに配置されている。
図1、
図5、及び
図6に示すように、案内レール83は、直線区間71には配置されていない。
【0018】
図1に示すように、搬送車1は、第1走行部11を備えている。本実施形態では、搬送車1は、更に、第2走行部12を備えている。第2走行部12は、第1走行部11に対して車体前後方向Lの前方側L1に配置されている。言い換えれば、第1走行部11は、第2走行部12に対して車体前後方向Lの後方側L2に配置されている。車体前後方向Lは、搬送車1を基準として定義される方向(すなわち、
図5及び
図6に示すように搬送車1の向きに応じて変化する方向)であり、搬送車1は、車体前後方向Lが経路長手方向Xに沿う姿勢で走行経路70に配置される。すなわち、車体前後方向Lは、走行経路70に沿う方向である。曲線区間72では、搬送車1は、平面視で車体前後方向Lが曲線状の経路長手方向Xの接線方向に沿う姿勢で走行経路70に配置される。搬送車1を基準として定義される方向であって、搬送車1が直線区間71に配置されている状態で鉛直方向Zに沿う方向を、車体上下方向Hとする。車体上下方向Hに沿う方向視で後述する第1軸心A1と第2軸心A2とを結ぶ方向(
図5参照)が、車体前後方向Lである。本実施形態では、第1走行部11が「走行部」に相当し、車体前後方向Lが「前後方向」に相当し、車体上下方向Hが「上下方向」に相当する。
【0019】
搬送車1は、第1走行部11に連結された本体部13を備えている。本実施形態では、本体部13は、第1走行部11に対して鉛直方向Zの下側Z1に配置された状態で、第1走行部11に支持されている。本実施形態では、本体部13は、第2走行部12にも連結されており、本体部13は、第1走行部11及び第2走行部12に対して下側Z1に配置された状態で、第1走行部11及び第2走行部12に支持されている。すなわち、搬送車1は、第1走行部11及び第2走行部12に連結された本体部13を備えている。詳細は省略するが、本体部13は、物品2を支持する支持部を備えており、物品2は、本体部13に支持された状態で、搬送車1により搬送される。
【0020】
図1に示すように、第1走行部11は、第1走行レール81の走行面を転動する第1車輪21と、第2走行レール82の走行面を転動する第2車輪22と、第1車輪21と第2車輪22とを同速で回転させる第1駆動部M1(例えば、サーボモータ等の電動モータ)と、案内レール83の案内面を転動する第1案内輪41と、を備えている。第1走行レール81の走行面及び第2走行レール82の走行面は、鉛直方向Zの上側Z2を向く面(
図2に示す例では、水平面)であり、案内レール83の案内面は、経路幅方向Yの一方側を向く面(
図2に示す例では、鉛直面)である。本実施形態では、第1車輪21は1つ設けられ、第2車輪22は1つ設けられ、第1案内輪41は車体前後方向Lに並ぶように2つ設けられている。第1車輪21及び第2車輪22は、車体上下方向Hに直交する軸心周りに回転し、第1案内輪41は、車体上下方向Hに沿う軸心周りに回転する(本例では、遊転する)。第1車輪21及び第2車輪22は、互いに同径に形成されている。第1車輪21及び第2車輪22が第1駆動部M1により回転駆動されることで、第1走行部11が走行レール80に沿って走行する。本実施形態では、第1駆動部M1が「駆動部」に相当し、第1案内輪41が「案内輪」に相当する。
【0021】
図1に示すように、第2走行部12は、第1走行レール81の走行面を転動する第3車輪23と、第2走行レール82の走行面を転動する第4車輪24と、案内レール83の案内面を転動する第2案内輪42と、を備えている。本実施形態では、第3車輪23は1つ設けられ、第4車輪24は1つ設けられ、第2案内輪42は車体前後方向Lに並ぶように2つ設けられている。第3車輪23及び第4車輪24は、車体上下方向Hに直交する軸心周りに回転し、第2案内輪42は、車体上下方向Hに沿う軸心周りに回転する(本例では、遊転する)。第3車輪23及び第4車輪24は、互いに同径に形成されている。本実施形態では、第2走行部12は、更に、第3車輪23と第4車輪24とを同速で回転させる第2駆動部M2(例えば、サーボモータ等の電動モータ)を備えている。第3車輪23及び第4車輪24が第2駆動部M2により回転駆動されることで、第2走行部12が走行レール80に沿って走行する。なお、第2走行部12が第2駆動部M2を備えず、第3車輪23及び第4車輪24が遊転する構成とすることもできる。
【0022】
図1に示すように、第1走行部11は、第1車輪21が第1走行レール81に接触し、第2車輪22が第2走行レール82に接触し、且つ、第1案内輪41が案内レール83に接触しない姿勢で、直線区間71を走行する。第2走行部12は、第3車輪23が第1走行レール81に接触し、第4車輪24が第2走行レール82に接触し、且つ、第2案内輪42が案内レール83に接触しない姿勢で、直線区間71を走行する。案内レール83は直線区間71には配置されていないため、第1走行部11が直線区間71を走行する際には、第1案内輪41は案内レール83に接触せず、第2走行部12が直線区間71を走行する際には、第2案内輪42は案内レール83に接触しない。
【0023】
対象レール80Aが第1走行レール81である場合には第1車輪21を、対象レール80Aが第2走行レール82である場合には第2車輪22を、第1対象車輪31Aとし、第1車輪21及び第2車輪22のうちの第1対象車輪31Aではない方を、第1非対象車輪31Bとして、
図2に示すように、第1走行部11は、第1対象車輪31Aが対象レール80Aに接触し、第1案内輪41(本実施形態では、2つの第1案内輪41)が案内レール83に接触し、且つ、第1非対象車輪31Bが非対象レール80Bに接触しない姿勢で、曲線区間72を走行する。第1対象車輪31Aが対象レール80Aに接触し、且つ、第1案内輪41が案内レール83に接触することで、非対象レール80Bが曲線区間72に配置されている場合であっても、第1走行部11の姿勢が、第1非対象車輪31Bが非対象レール80Bに接触しない姿勢(言い換えれば、第1非対象車輪31Bが非対象レール80Bから離れた姿勢)に維持される。
図2に示す例では、対象レール80Aは第1走行レール81であるため、第1車輪21が第1対象車輪31Aとなり、第2車輪22が第1非対象車輪31Bとなっている。本実施形態では、第1対象車輪31Aが「対象車輪」に相当し、第1非対象車輪31Bが「非対象車輪」に相当する。
【0024】
第1車輪21が第1対象車輪31Aである場合には第3車輪23を、第2車輪22が第1対象車輪31Aである場合には第4車輪24を、第2対象車輪32Aとし、第3車輪23及び第4車輪24のうちの第2対象車輪32Aではない方を、第2非対象車輪32Bとして、図示は省略するが、第2走行部12は、第2対象車輪32Aが対象レール80Aに接触し、第2案内輪42(本実施形態では、2つの第2案内輪42)が案内レール83に接触し、且つ、第2非対象車輪32Bが非対象レール80Bに接触しない姿勢で、曲線区間72を走行する。第2対象車輪32Aが対象レール80Aに接触し、且つ、第2案内輪42が案内レール83に接触することで、非対象レール80Bが曲線区間72に配置されている場合であっても、第2走行部12の姿勢が、第2非対象車輪32Bが非対象レール80Bに接触しない姿勢(言い換えれば、第2非対象車輪32Bが非対象レール80Bから離れた姿勢)に維持される。
図5及び
図6に示す例では、第1車輪21が第1対象車輪31Aであるため、第3車輪23が第2対象車輪32Aとなり、第4車輪24が第2非対象車輪32Bとなっている。
【0025】
図4~
図6に示す例のように、対象レール80Aが、第1走行レール81及び第2走行レール82のうちの曲線区間72において内側に配置される方である場合には(すなわち、対象レール80Aが内周側となる曲線区間72では)、第1案内輪41及び第2案内輪42は、案内レール83に内側から接触する。一方、対象レール80Aが、第1走行レール81及び第2走行レール82のうちの曲線区間72において外側に配置される方である場合には(すなわち、対象レール80Aが外周側となる曲線区間72では)、第1案内輪41及び第2案内輪42は、案内レール83に外側から接触する。
図1に示すように、本実施形態では、第1走行部11は、第1案内輪41を第1走行部11の幅方向(第1車輪21と第2車輪22との並び方向)に移動させる第3駆動部M3(例えば、ソレノイドや電動モータ)を備えており、第2走行部12は、第2案内輪42を第2走行部12の幅方向(第3車輪23と第4車輪24との並び方向)に移動させる第4駆動部M4(例えば、ソレノイドや電動モータ)を備えている。第3駆動部M3及び第4駆動部M4の駆動により、第1案内輪41及び第2案内輪42の位置が、案内レール83に対して内側に配置されて案内レール83に内側から接触する位置と、案内レール83に対して外側に配置されて案内レール83に外側から接触する位置と、に切り替えられる。
【0026】
本実施形態では、曲線区間72における搬送車1の姿勢が、直線区間71と同様に車体上下方向Hが鉛直方向Zに沿う姿勢となるように、案内レール83が配置されている。よって、
図2に示すように、第1走行部11は、第1車輪21と第2車輪22とが同じ高さ(鉛直方向Zの位置)に配置される姿勢(後述する第1軸心A1が鉛直方向Zに沿う姿勢)で曲線区間72を走行し、図示は省略するが、第2走行部12は、第3車輪23と第4車輪24とが同じ高さに配置される姿勢(後述する第2軸心A2が鉛直方向Zに沿う姿勢)で曲線区間72を走行する。なお、
図2に示す例では、曲線区間72において、非対象レール80Bが対象レール80Aと同じ高さに配置されている。
図2に示す例では、非対象レール80Bの上面における第1非対象車輪31Bや第2非対象車輪32Bと鉛直方向Zに対向する部分に、下側Z1に窪む凹部を経路長手方向Xに沿って設けることで、曲線区間72での搬送車1の姿勢を車体上下方向Hが鉛直方向Zに沿う姿勢としつつ、第1非対象車輪31Bや第2非対象車輪32Bが非対象レール80Bに接触することを回避している。
【0027】
本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、第1走行部11は、車体上下方向Hに沿う第1軸心A1周りに回転自在に本体部13に連結され、第2走行部12は、車体上下方向Hに沿う第2軸心A2周りに回転自在に本体部13に連結されている。そのため、
図6及び
図7に示すように、搬送車1が直線区間71、曲線区間72、別の直線区間71を順に走行する際に、第1走行部11や第2走行部12の姿勢(車体上下方向Hに沿う軸心周りの姿勢)を適宜変化させて、搬送車1を円滑に走行させることが可能となっている。なお、第1軸心A1及び第2軸心A2はいずれも仮想軸心であり、第1軸心A1は、第1走行部11における幅方向(第1走行部11の幅方向)の中心位置に配置され、第2軸心A2は、第2走行部12における幅方向(第2走行部12の幅方向)の中心位置に配置されている。
【0028】
図2及び
図5に示すように、本実施形態では、第1走行部11は、第1走行レール81の案内面を転動する第1補助輪51と、第2走行レール82の案内面を転動する第2補助輪52と、を備えている。第1走行レール81の案内面及び第2走行レール82の案内面は、経路幅方向Yの内側を向く面(本例では、鉛直面)である。本実施形態では、第1補助輪51は、車体前後方向Lに並ぶように2つ設けられ、第2補助輪52は、車体前後方向Lに並ぶように2つ設けられている。また、
図5に示すように、本実施形態では、第2走行部12は、第1走行レール81の案内面を転動する第3補助輪53と、第2走行レール82の案内面を転動する第4補助輪54と、を備えている。本実施形態では、第3補助輪53は、車体前後方向Lに並ぶように2つ設けられ、第4補助輪54は、車体前後方向Lに並ぶように2つ設けられている。
【0029】
第1走行部11が直線区間71に位置する状態では、
図5に示すように、第1補助輪51(本実施形態では、2つの第1補助輪51)が第1走行レール81に接触し、且つ、第2補助輪52(本実施形態では、2つの第2補助輪52)が第2走行レール82に接触する。これにより、第1走行部11の第1軸心A1周りの回転が第1走行レール81及び第2走行レール82により規制されて、第1走行部11の姿勢が、第1走行部11の前後方向(第1走行部11の幅方向及び車体上下方向Hの双方に直交する方向)が経路長手方向Xに沿う姿勢に維持される。
【0030】
また、第1車輪21が第1対象車輪31Aである場合には第1補助輪51を、第2車輪22が第1対象車輪31Aである場合には第2補助輪52を、第1対象補助輪として、第1走行部11が曲線区間72に位置する状態では、
図2に示すように、第1対象補助輪(本実施形態では、2つの第1対象補助輪)が対象レール80Aに接触し、且つ、第1案内輪41が案内レール83に接触する。これにより、第1走行部11の第1軸心A1周りの回転が対象レール80A及び案内レール83により規制されて、第1走行部11の姿勢が、第1走行部11の前後方向が経路長手方向X(具体的には、曲線状の経路長手方向Xの接線方向)に沿う姿勢に維持される。
図2に示す例のように、曲線区間72に非対象レール80Bが配置されている場合には、第1補助輪51及び第2補助輪52のうちの第1対象補助輪でない方を第1非対象補助輪として、第1走行部11の第1軸心A1周りの回転は、第1非対象補助輪(本実施形態では、2つの第1非対象補助輪)が非対象レール80Bに接触することによっても規制される。
【0031】
第2走行部12が直線区間71に位置する状態では、第3補助輪53(本実施形態では、2つの第3補助輪53)が第1走行レール81に接触し、且つ、第4補助輪54(本実施形態では、2つの第4補助輪54)が第2走行レール82に接触する。これにより、第2走行部12の第2軸心A2周りの回転が第1走行レール81及び第2走行レール82により規制されて、第2走行部12の姿勢が、第2走行部12の前後方向(第2走行部12の幅方向及び車体上下方向Hの双方に直交する方向)が経路長手方向Xに沿う姿勢に維持される。
【0032】
また、第3車輪23が第2対象車輪32Aである場合には第3補助輪53を、第4車輪24が第2対象車輪32Aである場合には第4補助輪54を、第2対象補助輪として、第2走行部12が曲線区間72に位置する状態では、
図6に示すように、第2対象補助輪(本実施形態では、2つの第2対象補助輪)が対象レール80Aに接触し、且つ、第2案内輪42が案内レール83に接触する。これにより、第2走行部12の第2軸心A2周りの回転が対象レール80A及び案内レール83により規制されて、第2走行部12の姿勢が、第2走行部12の前後方向が経路長手方向X(具体的には、曲線状の経路長手方向Xの接線方向)に沿う姿勢に維持される。
図6に示す例のように、曲線区間72に非対象レール80Bが配置されている場合には、第3補助輪53及び第4補助輪54のうちの第2対象補助輪でない方を第2非対象補助輪として、第2走行部12の第2軸心A2周りの回転は、第2非対象補助輪(本実施形態では、2つの第2非対象補助輪)が非対象レール80Bに接触することによっても規制される。
【0033】
図3に示すように、物品搬送設備100は、制御部60を備えている。制御部60は、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御部60の各機能が実現される。制御部60は、搬送車1に設けられても、搬送車1とは独立に設けられてもよい。また、制御部60が互いに通信可能に分離された複数のハードウェアを備える場合、一部のハードウェアが搬送車1に設けられ、残りのハードウェアが搬送車1とは独立に設けられてもよい。
【0034】
制御部60は、第1走行部11の走行作動を制御する。本実施形態では、制御部60は、更に、第2走行部12の走行作動を制御する。具体的には、制御部60は、第1駆動部M1の駆動を制御することで、第1走行部11の走行作動を制御し、第2駆動部M2の駆動を制御することで、第2走行部12の走行作動を制御する。また、制御部60は、搬送車1が曲線区間72に進入する際に、第3駆動部M3及び第4駆動部M4の駆動を制御することで、当該曲線区間72の構造に応じて第1案内輪41及び第2案内輪42の位置を切り替える。具体的には、制御部60は、進入先の曲線区間72に配置された対象レール80Aが、第1走行レール81及び第2走行レール82のうちの当該曲線区間72において内側に配置される方である場合には、第1案内輪41及び第2案内輪42を案内レール83に内側から接触する位置に移動させ、曲線区間72に配置された対象レール80Aが、第1走行レール81及び第2走行レール82のうちの当該曲線区間72において外側に配置される方である場合には、第1案内輪41及び第2案内輪42を案内レール83に外側から接触する位置に移動させる。
【0035】
本実施形態では、制御部60は、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を目標回転速度に合わせるように制御して、第1走行部11を走行させるように構成されている。具体的には、制御部60は、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を目標回転速度に合わせるための駆動指令を生成し、当該駆動指令を第1駆動部M1に出力する。この駆動指令は、速度指令又は位置指令とされる。位置指令は、例えば、速度指令を積分して生成される。第1駆動部M1は、第1車輪21及び第2車輪22を回転させるモータ部と、制御部60から入力される駆動指令に追従するようにフィードバック制御によりモータ部を駆動するアンプ部と、を備えており、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を目標回転速度に合わせるように第1車輪21及び第2車輪22を回転させる。
【0036】
本実施形態では、制御部60は、第1走行部11の走行に従動するように第2走行部12を走行させるように構成されている。すなわち、制御部60は、第1駆動部M1による第1車輪21及び第2車輪22の駆動状態に応じて従動的に、第2駆動部M2による第3車輪23及び第4車輪24の駆動状態を制御することで、第1走行部11の走行に従動するように第2走行部12を走行させる。例えば、制御部60は、第1走行部11の走行に従動して第2走行部12が走行するように、第2駆動部M2による第3車輪23及び第4車輪24の駆動トルクを制御する。制御部60が、第2駆動部M2による第3車輪23及び第4車輪24の駆動トルクがゼロとなるように制御(トルクフリー制御)することで、第1走行部11の走行に従動するように第2走行部12を走行させてもよい。
【0037】
ところで、走行経路70における直線区間71と曲線区間72との境界Bを通過する際に搬送車1の中央部(経路幅方向Yの中央部、以下同様)の速度変化が大きい場合には、搬送車1や搬送車1により搬送される物品2に振動が発生しやすくなる。ここで、
図4に示すように、曲線区間72と当該曲線区間72に対して上流側X2の直線区間71との境界Bを、第1境界B1とし、曲線区間72と当該曲線区間72に対して下流側X1の直線区間71との境界Bを、第2境界B2とする。例えば、曲線区間72における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を、直線区間71における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度に対して変化させない場合には、
図8~
図10の計算結果に示すように、境界Bを通過する際に搬送車1の中央部の速度変化が大きくなる。ここでは、
図4~
図6に示すような曲率が一定の曲線区間72に搬送車1が進入してから退出する場合を想定しており、
図8(及び後に参照する
図11)は、第2対象車輪32Aの移動速度及び移動加速度の時間変化を示し、
図9(及び後に参照する
図12)は、第1対象車輪31Aの移動速度及び移動加速度の時間変化を示し、
図10(及び後に参照する
図13)は、搬送車1の中央部(具体的には、車体上下方向Hに沿う方向視で第1軸心A1と第2軸心A2とを結ぶ線分の中点)の移動速度及び移動加速度の時間変化を示している。なお、これらの移動速度及び移動加速度は、走行経路70に沿う方向の移動速度及び移動加速度である。
【0038】
搬送車1が曲線区間72に進入してから退出するまでの間には、
図7に示すように、搬送車1の姿勢は、第0姿勢P0、第1姿勢P1、第2姿勢P2、第3姿勢P3、第4姿勢P4、第5姿勢P5、第6姿勢P6、及び第7姿勢P7に順に変化する。第0姿勢P0は、2つの第3補助輪53のうちの前方側L1の第3補助輪53が第1境界B1に到達する時点の搬送車1の姿勢である。第1姿勢P1は、2つの第3補助輪53のうちの後方側L2の第3補助輪53が第1境界B1に到達する時点の搬送車1の姿勢である。第2姿勢P2は、2つの第1補助輪51のうちの前方側L1の第1補助輪51が第1境界B1に到達する時点の搬送車1の姿勢である。第3姿勢P3は、2つの第1補助輪51のうちの後方側L2の第1補助輪51が第1境界B1に到達する時点の搬送車1の姿勢である。第4姿勢P4は、2つの第3補助輪53のうちの前方側L1の第3補助輪53が第2境界B2に到達する時点の搬送車1の姿勢である。第5姿勢P5は、2つの第3補助輪53のうちの後方側L2の第3補助輪53が第2境界B2に到達する時点の搬送車1の姿勢である。第6姿勢P6は、2つの第1補助輪51のうちの前方側L1の第1補助輪51が第2境界B2に到達する時点の搬送車1の姿勢である。第7姿勢P7は、2つの第1補助輪51のうちの後方側L2の第1補助輪51が第2境界B2に到達する時点の搬送車1の姿勢である。
図8~
図10、並びに後に参照する
図11~
図13、
図16では、搬送車1の姿勢が第0姿勢P0~第7姿勢P7の各姿勢になる時点に縦線を示している。なお、
図7では、第1車輪21が第1対象車輪31Aであり、第3車輪23が第2対象車輪32Aである場合を想定しているが、第2車輪22が第1対象車輪31Aであり、第4車輪24が第2対象車輪32Aである場合には、上記の各姿勢の定義において、第1補助輪51を第2補助輪52に置き換え、第3補助輪53を第4補助輪54に置き換えることで、搬送車1の各姿勢を上記と同様に定義することができる。
【0039】
図8~
図10では、直線区間71における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を、搬送車1の中央部の移動速度が第1速度V1となるように設定し、曲線区間72における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を、直線区間71における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度に対して変化させない場合を想定している。そのため、
図9に示すように、搬送車1の姿勢が第0姿勢P0から第7姿勢P7まで変化する間、第1対象車輪31Aの回転速度は直線区間71での回転速度に維持され、この結果、第1対象車輪31Aの回転速度に応じて定まる第1対象車輪31Aの移動速度が、第1速度V1に維持されている。
【0040】
一方、
図10に示すように、搬送車1の中央部の移動速度は、搬送車1の姿勢が第0姿勢P0から第7姿勢P7まで変化する間に第1速度V1に維持されず、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2から第3姿勢P3に変化する間と、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6から第7姿勢P7に変化する間に、搬送車1の中央部の移動速度が比較的大きな加速度で変化する。ここでは、曲線区間72に配置された対象レール80Aが、第1走行レール81及び第2走行レール82のうちの当該曲線区間72において内側に配置される方であるため、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2から第3姿勢P3に変化する間に搬送車1の中央部の移動速度が増加し、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6から第7姿勢P7に変化する間に搬送車1の中央部の移動速度が減少しているが、曲線区間72に配置された対象レール80Aが、第1走行レール81及び第2走行レール82のうちの当該曲線区間72において外側に配置される方である場合には、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2から第3姿勢P3に変化する間に搬送車1の中央部の移動速度が減少し、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6から第7姿勢P7に変化する間に搬送車1の中央部の移動速度が増加する。
【0041】
図4に示すように、走行経路70の経路幅方向Yの中央部70aにおける曲線区間72の走行経路70に沿う長さを第1長さD1とし、対象レール80Aの走行経路70に沿う長さを第2長さD2とすると、第1長さD1に対する第2長さD2の比(すなわち、第1長さD1を分母とし第2長さD2を分子とする比、言い換えれば、第2長さD2を第1長さD1で除算した値)は、曲線区間72における搬送車1の中央部の移動速度に対する第1対象車輪31Aの移動速度の比と同一或いは同程度となる。この点に鑑みて、本実施形態の制御部60は、第1長さD1に対する第2長さD2の比に応じて、曲線区間72における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を、直線区間71における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度に対して変化させるように構成されている。これにより、
図11~
図13の計算結果に示すように、境界Bを通過する際の搬送車1の中央部の速度変化を小さく抑えて、搬送車1や搬送車1により搬送される物品2に発生し得る振動を小さく抑えることが可能となっている。なお、
図4に示す例のように曲率が一定の曲線区間72においては、第1長さD1に対する第2長さD2の比は、曲線区間72の曲率半径(例えば、走行経路70の中央部70aでの曲率半径)と、第1車輪21と第2車輪22との幅方向(第1走行部11の幅方向)の間隔と、に基づき定めることができる。なお、本実施形態では、第3車輪23と第4車輪24との幅方向(第2走行部12の幅方向)の間隔は、第1車輪21と第2車輪22との幅方向(第1走行部11の幅方向)の間隔に等しい。
【0042】
図11~
図13では、制御部60が、搬送車1が設定速度で走行する場合の曲線区間72における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を、搬送車1が当該設定速度で直線区間71を走行する場合の第1車輪21及び第2車輪22の回転速度に、第2長さD2を第1長さD1で除算した値を乗算した速度に設定する場合を想定している。具体的には、直線区間71における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度は、搬送車1の中央部の移動速度が第2速度V2となる回転速度(以下、「基準回転速度」という)に設定される。一方、曲線区間72における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度は、第2長さD2を第1長さD1で除算した値を当該基準回転速度に乗算した回転速度に設定される。ここでは、第2長さD2を第1長さD1で除算した値を第2速度V2に乗算した速度が第1速度V1となるように、第2速度V2を設定している。そのため、
図12に示すように、曲線区間72(ここでは、搬送車1の姿勢が第3姿勢P3から第6姿勢P6に変化する期間)における第1対象車輪31Aの移動速度が、第1速度V1となっている。ここでは、第2長さD2を第1長さD1で除算した値が“0.75”になる場合を想定しており、V1=V2×0.75の関係が成立している。
【0043】
曲線区間72における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を上記のように設定することで、
図13に示すように、曲線区間72における搬送車1の中央部の移動速度を、直線区間71における搬送車1の中央部の移動速度(ここでは、第2速度V2)に近づけることができる。この結果、境界Bを通過する際の搬送車1の中央部の速度変化を小さく抑えることができる。このように曲線区間72における搬送車1の中央部の移動速度を、直線区間71における搬送車1の中央部の移動速度(ここでは、第2速度V2)に近づけることができる結果、直線区間71、曲線区間72、別の直線区間71を搬送車1が順に走行する場合に、曲線区間72における移動速度が高くなり過ぎることを回避しつつ直線区間71における移動速度を高く確保することができ、この結果、走行経路70を搬送車1が走行するのに要する時間の短縮を図ることもできる。
【0044】
ここでは、第1長さD1に対する第2長さD2の比に応じて、曲線区間72における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度(以下、「曲線区間回転速度」という)を、直線区間71における第1車輪21及び第2車輪22の回転速度(以下、「直線区間回転速度」という)に対して変化させるために、曲線区間回転速度を、第2長さD2を第1長さD1で除算した値(以下、「除算値」という)を直線区間回転速度に乗算した速度に設定する場合を例として説明した。しかし、このような構成に限定されず、曲線区間回転速度を、除算値に応じた値(但し、除算値とは異なる値)を直線区間回転速度に乗算した速度に設定することで、第1長さD1に対する第2長さD2の比に応じて曲線区間回転速度を直線区間回転速度に対して変化させてもよい。除算値に応じた値は、例えば、除算値に補正係数を乗算した値とすることができる。この補正係数は、例えば、搬送車1の走行特性に影響を与える寸法(例えば、車体上下方向Hに沿う方向視での第1軸心A1と第2軸心A2との間隔)に基づく係数とすることができる。
【0045】
以上のように、制御部60は、曲線区間72における搬送車1の中央部の移動速度を、直線区間71における搬送車1の中央部の移動速度(
図13に示す例では、第2速度V2)に近づけるように、曲線区間回転速度を直線区間回転速度に対して変化させるように構成されている。
図13に示す例とは異なり、制御部60が、曲線区間72における搬送車1の中央部の移動速度を、直線区間71における搬送車1の中央部の移動速度と一致させるように、曲線区間回転速度を直線区間回転速度に対して変化させる構成としてもよい。
【0046】
搬送車1が境界Bを通過する際の搬送車1の中央部の速度変化を滑らかにするために、本実施形態では、制御部60が、第1走行部11が直線区間71から曲線区間72に進入するタイミングと、第1走行部11が曲線区間72から直線区間71に進入するタイミングとのそれぞれに合わせて、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度変化を開始させるように構成されている。
図7に示すように、本実施形態では、第1走行部11が直線区間71から曲線区間72に進入するタイミングで搬送車1の姿勢が第2姿勢P2となり、第1走行部11が曲線区間72から直線区間71に進入するタイミングで搬送車1の姿勢が第6姿勢P6となる。そのため、制御部60は、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2になったタイミングで、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度の直線区間回転速度から曲線区間回転速度への変化を開始させ、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6になったタイミングで、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度の曲線区間回転速度から直線区間回転速度への変化を開始させる。本実施形態では、制御部60は、搬送車1の姿勢が第3姿勢P3になったタイミングで第1車輪21及び第2車輪22の回転速度が曲線区間回転速度に到達するように、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を直線区間回転速度から曲線区間回転速度へ変化させ、搬送車1の姿勢が第7姿勢P7になったタイミングで第1車輪21及び第2車輪22の回転速度が直線区間回転速度に到達するように、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を曲線区間回転速度から直線区間回転速度へ変化させる。
【0047】
制御部60が上記のように第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を変化させるため、
図12に示す例では、第1対象車輪31Aの回転速度に応じて定まる第1対象車輪31Aの移動速度は、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2になるまでの間、第2速度V2に維持され、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2から第3姿勢P3に変化する間、第2速度V2から第1速度V1に変化し、搬送車1の姿勢が第3姿勢P3から第6姿勢P6に変化する間、第1速度V1に維持され、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6から第7姿勢P7に変化する間、第1速度V1から第2速度V2に変化している。
【0048】
上記のように、本実施形態では、制御部60は、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2になったタイミングで、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度の直線区間回転速度から曲線区間回転速度への変化を開始させ、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6になったタイミングで、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度の曲線区間回転速度から直線区間回転速度への変化を開始させる。本実施形態では、制御部60は、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2や第6姿勢P6になったタイミングを以下のように判定するように構成されている。
【0049】
本実施形態では、
図5に示すように、走行経路70における境界B(
図4参照)に対応する位置に、被検出体3が設けられており、
図3に示すように、搬送車1は、被検出体3を検出する検出装置14を備えている。例えば、被検出体3として、光を反射する反射テープを用い、検出装置14として、反射式の光センサを用いることができる。
図2に示す例では、被検出体3は、対象レール80Aの下面に設けられ、検出装置14は、本体部13の上部に設けられている。
図2に示す例では、第1走行レール81が対象レール80Aである場合に用いられる検出装置14と、第2走行レール82が対象レール80Aである場合に用いられる検出装置14とが、各別に設けられている。
【0050】
本実施形態では、第1境界B1に対応する位置に設けられる被検出体3は、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2になる位置に搬送車1が位置する状態で、検出装置14により検出される位置に設けられている。また、第2境界B2に対応する位置に設けられる被検出体3は、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6になる位置に搬送車1が位置する状態で、検出装置14により検出される位置に設けられている。なお、被検出体3は、制御遅れに相当する距離だけここで述べた位置よりも走行経路70の上流側X2に設けられてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、
図5に示すように、境界Bに対して走行経路70の上流側X2の位置に、当該位置を示すアドレス情報を保持する情報保持体4が設けられており、
図3に示すように、搬送車1は、情報保持体4に保持されたアドレス情報を読み取る読取装置15と、第1走行部11の走行距離を計測する計測装置16と、を備えている。情報保持体4は、当該情報保持体4が設けられた位置のアドレス情報(走行経路70に沿った位置を示す情報)を保持している。例えば、情報保持体4として、1次元コード又は2次元コードを用い、読取装置15として、1次元コードリーダ又は2次元コードリーダを用いることができる。
図5に示す例では、情報保持体4は、直線区間71に設けられている。情報保持体4は、例えば、第1走行レール81又は第2走行レール82の下面に設けられる。また、例えば、計測装置16として、ロータリエンコーダを用いることができる。
【0052】
制御部60は、読取装置15により読み取られたアドレス情報と計測装置16により計測された第1走行部11の走行距離(具体的には、読取装置15がアドレス情報を読み取ってからの走行距離)とに基づき、第1走行部11の現在の推定位置である推定現在位置を導出する。推定現在位置は、経路長手方向Xにおける第1走行部11の現在の推定位置である。推定現在位置は、例えば、第1車輪21及び第2車輪22のうちの第1対象車輪31Aとなる方の位置、又は、第1補助輪51及び第2補助輪52のうちの第1対象補助輪となる方の位置とすることができる。
【0053】
そして、制御部60は、第1条件又は第2条件が成立した場合に、第1走行部11が境界Bに到達したと判定して第1車輪21及び第2車輪22の回転速度変化を開始させる。境界Bから走行経路70に沿って両側に延びる領域(経路長手方向Xの領域)を境界領域Cとして(
図4参照)、第1条件は、第1走行部11の推定現在位置が境界領域C内の位置であり、且つ、検出装置14により被検出体3が検出されたことであり、第2条件は、第1走行部11の推定現在位置が境界領域Cに進入した後、検出装置14により被検出体3が検出されることなく当該推定現在位置が境界領域Cにおける走行経路70の下流側X1の端部に到達したことである。なお、第1条件を、単に、第1走行部11の推定現在位置が境界領域C内の位置であること(言い換えれば、第1走行部11の推定現在位置が境界領域Cに進入したこと)とすることもできる。また、第1条件を、単に、検出装置14により被検出体3が検出されたこととすることもできる。
【0054】
本実施形態では、第1境界B1から走行経路70に沿って両側に延びる領域である第1境界領域C1と、第2境界B2から走行経路70に沿って両側に延びる領域である第2境界領域C2との、2つの境界領域Cが定義される。制御部60は、第1境界領域C1を境界領域Cとして上記の第1条件及び第2条件の成立の有無を判定し、第1条件又は第2条件が成立した場合に、第1走行部11が第1境界B1に到達したと判定して(言い換えれば、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2になったと判定して)、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度の直線区間回転速度から曲線区間回転速度への変化を開始させる。また、制御部60は、第2境界領域C2を境界領域Cとして上記の第1条件及び第2条件の成立の有無を判定し、第1条件又は第2条件が成立した場合に、第1走行部11が第2境界B2に到達したと判定して(言い換えれば、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6になったと判定して)、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度の曲線区間回転速度から直線区間回転速度への変化を開始させる。
【0055】
本実施形態では、制御部60は、
図14及び
図15に例示するような予め用意された速度重み関数(速度重みテーブル)を用いて、直線区間回転速度に基づき曲線区間回転速度を設定するように構成されている。速度重み関数は、曲線区間72における各位置での速度重み(直線区間回転速度に対する曲線区間回転速度の割合)を示しており、
図14及び
図15における横軸は、基準となる位置からの走行経路70に沿った距離(言い換えれば、経路長手方向Xの位置)となっている。直線区間回転速度に速度重み関数を乗算することで、曲線区間72における各位置での曲線区間回転速度を導出することができる。速度重み関数は、曲線区間72の形状に関するパラメータと搬送車1の構造に関するパラメータとに基づく計算により用意することができる。曲線区間72の形状に関するパラメータには、例えば、曲率半径が含まれ、搬送車1の構造に関するパラメータには、例えば、第1車輪21と第2車輪22との幅方向(第1走行部11の幅方向)の間隔や、車体上下方向Hに沿う方向視での第1軸心A1と第2軸心A2との間隔が含まれる。なお、制御部60が、このような速度重み関数を用いずに、曲線区間回転速度をその都度計算して設定する構成とすることもできる。
【0056】
図14や
図15に示す速度重み関数は、
図12に示すように第1対象車輪31Aの移動速度を変化させる場合の速度重み関数を示しており、第2長さD2を第1長さD1で除算した値が“0.75”になる場合を想定している。そのため、
図14や
図15に示す速度重み関数では、搬送車1の姿勢が第3姿勢P3になる位置と搬送車1の姿勢が第6姿勢P6になる位置との間での速度重みが75%となっている。そして、速度重みは、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2になるまでの間、100%に維持され、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2から第3姿勢P3に変化する間、100%から75%に変化し、搬送車1の姿勢が第3姿勢P3から第6姿勢P6に変化する間、75%に維持され、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6から第7姿勢P7に変化する間、75%から100%に変化している。
【0057】
図14に、速度重みと共に速度重みの変化率(距離に対する変化率)を示すように、
図14に示す例では、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2になる位置と搬送車1の姿勢が第3姿勢P3になる位置との間や、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6になる位置と搬送車1の姿勢が第7姿勢P7になる位置との間で、速度重みの変化率を変化させながら速度重みを変化させている。図示は省略するが、
図14では、速度重みの変化率の変化率(すなわち、速度重みの2階微分値)が一定となるように、速度重みを変化させている。そのため、
図14に示す速度重み関数を用いる場合、制御部60が直線区間71における回転速度である直線区間回転速度と曲線区間72における回転速度である曲線区間回転速度との間で第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を変化させる際に、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度は、当該回転速度の2階微分値が一定(但し、ゼロ以外の値で一定)となるように変化する。なお、ここでの回転速度の2階微分値は、距離に対する2階微分値とされ、又は、時間に対する2階微分値とされる。
【0058】
また、
図15に、速度重みと共に速度重みの変化率(距離に対する変化率)を示すように、
図15に示す例では、搬送車1の姿勢が第2姿勢P2になる位置と搬送車1の姿勢が第3姿勢P3になる位置との間や、搬送車1の姿勢が第6姿勢P6になる位置と搬送車1の姿勢が第7姿勢P7になる位置との間で、速度重みの変化率が一定となるように速度重みを変化させている。そのため、
図15に示す速度重み関数を用いる場合、制御部60が直線区間71における回転速度である直線区間回転速度と曲線区間72における回転速度である曲線区間回転速度との間で第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を変化させる際に、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度は、当該回転速度の1階微分値が一定となるように変化する。なお、ここでの回転速度の1階微分値は、距離に対する1階微分値とされ、又は、時間に対する1階微分値とされる。
【0059】
図16に、
図14に示す速度重み関数を用いた場合の搬送車1の中央部の移動加速度の時間変化を実線で示し、
図15に示す速度重み関数を用いた場合の搬送車1の中央部の移動加速度の時間変化を破線で示す。
図14に示す速度重み関数を用いた場合には、
図15に示す速度重み関数を用いた場合に比べて、搬送車1の中央部の移動加速度の変化が滑らかになるように第1車輪21及び第2車輪22の回転速度を変化させやすいことが、
図16より分かる。なお、
図15に示す速度重み関数を用いる場合であっても、
図10に示す比較例に比べて、搬送車1の中央部の移動加速度の変化を小さく抑えることができる。
【0060】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0061】
(1)上記の実施形態では、制御部60が、第1条件又は第2条件が成立した場合に、第1走行部11が境界Bに到達したと判定して第1車輪21及び第2車輪22の回転速度変化を開始させる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、制御部60が、第1条件が成立した場合にのみ、第1走行部11が境界Bに到達したと判定して第1車輪21及び第2車輪22の回転速度変化を開始させる構成とすることもできる。
【0062】
また、制御部60が、第1条件及び第2条件のいずれも用いずに、第1走行部11が境界Bに到達したか否かを判定する構成とすることもできる。
図11及び
図12に示すように、搬送車1が直線区間71から曲線区間72に進入する際、搬送車1の姿勢が第0姿勢P0になる時点以降、第1対象車輪31Aの移動速度が第2速度V2に維持された状態で、第2対象車輪32Aの移動速度が第2速度V2から低下する。また、搬送車1が曲線区間72から直線区間71に進入する際、搬送車1の姿勢が第4姿勢P4になる時点以降、第1対象車輪31Aの移動速度が第1速度V1に維持された状態で、第2対象車輪32Aの移動速度が第1速度V1から上昇する。この点に鑑みて、例えば、制御部60が、第1対象車輪31Aの回転速度に対する第2対象車輪32Aの回転速度の変化を検出してから、第1対象車輪31Aと第2対象車輪32Aとの車体前後方向Lの間隔に応じた距離を第1走行部11が走行した時点で、境界Bに第1走行部11が到達したと判定して、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度変化を開始させる構成とすることができる。第1対象車輪31Aの回転速度に対する第2対象車輪32Aの回転速度の変化は、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度変化を開始する時点よりも前の時点で検出することができるため、この構成では、制御遅れがある場合でも、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度変化を意図したタイミングで開始させやすい。
【0063】
具体的には、以下のように制御部60を構成することができる。すなわち、制御部60は、第1対象車輪31Aの回転速度に対する第2対象車輪32Aの回転速度の変化(対象レール80Aが内周側となる曲線区間72では低下、対象レール80Aが外周側となる曲線区間72では上昇)を検出してから、第1対象車輪31Aと第2対象車輪32Aとの車体前後方向Lの間隔に応じた距離(
図7に示す例では、搬送車1の姿勢が第0姿勢P0から第2姿勢P2に変化する間の第1走行部11の走行距離)を第1走行部11が走行した時点で、第1境界B1に第1走行部11が到達したと判定して、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度の直線区間回転速度から曲線区間回転速度への変化を開始させる。また、制御部60は、第1対象車輪31Aの回転速度に対する第2対象車輪32Aの回転速度の変化(対象レール80Aが内周側となる曲線区間72では上昇、対象レール80Aが外周側となる曲線区間72では低下)を検出してから、第1対象車輪31Aと第2対象車輪32Aとの車体前後方向Lの間隔に応じた距離(
図7に示す例では、搬送車1の姿勢が第4姿勢P4から第6姿勢P6に変化する間の第1走行部11の走行距離)を第1走行部11が走行した時点で、第2境界B2に第1走行部11が到達したと判定して、第1車輪21及び第2車輪22の回転速度の曲線区間回転速度から直線区間回転速度への変化を開始させる。
【0064】
(2)上記の実施形態では、第2走行部12が第1走行部11に対して前方側L1に配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第2走行部12が第1走行部11に対して後方側L2に配置される構成とすることもできる。
【0065】
(3)上記の実施形態では、搬送車1が第2走行部12を備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、搬送車1が第2走行部12を備えない構成とすることもできる。この場合、第1走行部11は、車体上下方向Hに沿う軸心周りに回転不能に本体部13に連結されてもよい。
【0066】
(4)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0067】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0068】
走行経路に沿って配置された走行レールと、前記走行レールに沿って走行して物品を搬送する搬送車と、前記搬送車が備える走行部の走行作動を制御する制御部と、を備えた物品搬送設備であって、前記走行経路には、平面視で直線状に形成された直線区間と、平面視で曲線状に形成された曲線区間と、が含まれ、前記直線区間には、前記走行経路の幅方向の中央部に対して両側に分かれて配置された2つの前記走行レールである第1走行レール及び第2走行レールが配置され、前記第1走行レール及び前記第2走行レールの一方を対象レールとし他方を非対象レールとして、前記曲線区間には、前記対象レール及び前記非対象レールのうちの少なくとも前記対象レールが配置されていると共に、前記対象レール及び前記非対象レールとは別の案内レールが前記走行経路に沿って配置され、前記走行部は、前記第1走行レールの走行面を転動する第1車輪と、前記第2走行レールの走行面を転動する第2車輪と、前記第1車輪と前記第2車輪とを同速で回転させる駆動部と、前記案内レールの案内面を転動する案内輪と、を備え、前記対象レールが前記第1走行レールである場合には前記第1車輪を、前記対象レールが前記第2走行レールである場合には前記第2車輪を、対象車輪とし、前記第1車輪及び前記第2車輪のうちの前記対象車輪ではない方を、非対象車輪として、前記走行部は、前記対象車輪が前記対象レールに接触し、前記案内輪が前記案内レールに接触し、且つ、前記非対象車輪が前記非対象レールに接触しない姿勢で、前記曲線区間を走行し、前記制御部は、前記走行経路の前記幅方向の中央部における前記曲線区間の前記走行経路に沿う長さである第1長さに対する、前記対象レールの前記走行経路に沿う長さである第2長さの比に応じて、前記曲線区間における前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、前記直線区間における前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度に対して変化させる。
【0069】
本構成によれば、曲線区間を走行する際の走行部の姿勢が、対象車輪が対象レールに接触し、案内輪が案内レールに接触し、且つ、非対象車輪が非対象レールに接触しない姿勢とされる。そのため、対象車輪の移動軌跡の長さと非対象車輪の移動軌跡の長さとが異なる曲線区間において、対象車輪と非対象車輪とを同速で回転させつつ搬送車を適切に走行させることができる。すなわち、本構成によれば、搬送車の左右2つの車輪が同速で回転するように駆動される場合に、曲線区間において搬送車を適切に走行させることができる。
【0070】
そして、本構成では、曲線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度が、直線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度に対して、第1長さに対する第2長さの比に応じて変化される。ここで、第1長さに対する第2長さの比は、搬送車の中央部(幅方向の中央部、以下同様)の移動速度に対する対象車輪の移動速度の比と同一或いは同程度となる。そのため、上記のように曲線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度を設定することで、曲線区間における搬送車の中央部の移動速度を、直線区間における搬送車の中央部の移動速度に近づけることができる。この結果、直線区間と曲線区間との境界を通過する際の搬送車の中央部の速度変化を小さく抑えて、搬送車や搬送車により搬送される物品に発生し得る振動を小さく抑えることができる。
【0071】
なお、本構成とは異なり、曲線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度を、直線区間における第1車輪及び第2車輪の回転速度に対して変化させない場合には、対象レールが内周側となる曲線区間における搬送車の中央部の移動速度が、直線区間における搬送車の中央部の移動速度より高くなる。そのため、曲線区間における搬送車の中央部の移動速度を最大許容速度以下に抑えるために、直線区間における搬送車の中央部の移動速度を低く抑える必要が生じ得る。これに対して、本構成によれば、曲線区間における搬送車の中央部の移動速度を、直線区間における搬送車の中央部の移動速度に近づけることができるため、上記のような必要を生じ難くして、直線区間及び曲線区間の双方を含む走行経路を搬送車が走行するのに要する時間の短縮を図ることもできる。
【0072】
ここで、前記制御部は、設定速度で走行する場合の前記曲線区間における前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、前記設定速度で前記直線区間を走行する場合の前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度に、前記第2長さを前記第1長さで除算した値を乗算した速度に設定すると好適である。
【0073】
本構成によれば、曲線区間における搬送車の中央部の移動速度を、直線区間における搬送車の中央部の移動速度と同一或いは同程度とすることができる。よって、直線区間と曲線区間との境界を通過する際の搬送車の中央部の速度変化を小さく抑えやすくなる。
【0074】
また、前記制御部は、前記走行部が前記直線区間から前記曲線区間に進入するタイミングと、前記走行部が前記曲線区間から前記直線区間に進入するタイミングとのそれぞれに合わせて、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度変化を開始させると好適である。
【0075】
本構成によれば、搬送車の中央部の移動速度と対象車輪の移動速度との差に変化が生じ始めるタイミングに合わせて、第1車輪及び第2車輪の回転速度変化を開始することができる。よって、搬送車の中央部の移動速度と対象車輪の移動速度との差の変化に合わせて、第1車輪及び第2車輪の回転速度を変化させることができ、直線区間と曲線区間との境界を通過する際の搬送車の中央部の速度変化を滑らかにすることができる。
【0076】
また、前記制御部は、前記直線区間における回転速度と前記曲線区間における回転速度との間で前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を変化させる際に、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、当該回転速度の1階微分値が一定となるように変化させると好適である。
【0077】
本構成によれば、第1車輪及び第2車輪の回転速度を変化させる際の第1車輪及び第2車輪の回転速度の変化率が一定となるため、第1車輪及び第2車輪の回転速度を直線区間における回転速度と曲線区間における回転速度との間で変化させる制御の簡素化を図ることができる。
【0078】
また、前記制御部は、前記直線区間における回転速度と前記曲線区間における回転速度との間で前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を変化させる際に、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を、当該回転速度の2階微分値が一定となるように変化させると好適である。
【0079】
本構成によれば、第1車輪及び第2車輪の回転速度を変化させる際に第1車輪及び第2車輪の回転速度を当該回転速度の1階微分値が一定となるように変化させる場合に比べて、搬送車の中央部の移動加速度の変化が滑らかになるように第1車輪及び第2車輪の回転速度を変化させることが容易となる。よって、搬送車や搬送車により搬送される物品に発生し得る振動を小さく抑えやすくなる。
【0080】
また、前記走行経路における前記直線区間と前記曲線区間との境界に対応する位置に、被検出体が設けられていると共に、前記境界に対して前記走行経路の上流側の位置に、当該位置を示すアドレス情報を保持する情報保持体が設けられ、前記搬送車は、前記被検出体を検出する検出装置と、前記情報保持体に保持された前記アドレス情報を読み取る読取装置と、前記走行部の走行距離を計測する計測装置と、を備え、前記境界から前記走行経路に沿って両側に延びる領域を境界領域として、前記制御部は、前記読取装置により読み取られた前記アドレス情報と前記計測装置により計測された前記走行距離とに基づき、前記走行部の現在の推定位置である推定現在位置を導出し、第1条件又は第2条件が成立した場合に、前記走行部が前記境界に到達したと判定して前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度変化を開始させ、前記第1条件は、前記推定現在位置が前記境界領域内の位置であり、且つ、前記検出装置により前記被検出体が検出されたことであり、前記第2条件は、前記推定現在位置が前記境界領域に進入した後、前記検出装置により前記被検出体が検出されることなく前記推定現在位置が前記境界領域における前記走行経路の下流側の端部に到達したことであると好適である。
【0081】
本構成によれば、第1条件及び第2条件に基づき、第1車輪及び第2車輪の回転速度変化を適切に開始することができる。具体的には、第1車輪及び第2車輪の回転速度変化を開始する条件である第1条件に、検出装置により被検出体が検出されたことに加えて、推定現在位置が境界領域内の位置であることが含まれているため、推定現在位置が境界領域内の位置でない状態での検出装置による被検出体の検出は誤検出である判定して第1車輪及び第2車輪の回転速度変化を開始しないようにしつつ、推定現在位置が境界領域内の位置である状態での検出装置による被検出体の検出は正しい検出であると判定して第1車輪及び第2車輪の回転速度変化を開始することができる。また、第1条件が成立していない場合であっても第2条件が成立した場合に第1車輪及び第2車輪の回転速度変化を開始することができるため、走行部が直線区間と曲線区間との境界に到達したにもかかわらず被検出体の剥がれや汚れ等によって検出装置により被検出体を検出できなかった場合でも、第1車輪及び第2車輪の回転速度変化を開始することができる。
【0082】
また、前記走行部を第1走行部として、前記搬送車は、前記第1走行部に対して前記走行経路に沿う前後方向の前方側に配置された第2走行部と、前記第1走行部及び前記第2走行部に連結された本体部と、を備え、前記第1走行部は、上下方向に沿う第1軸心周りに回転自在に前記本体部に連結され、前記第2走行部は、上下方向に沿う第2軸心周りに回転自在に前記本体部に連結され、前記案内輪を第1案内輪として、前記第2走行部は、前記第1走行レールの走行面を転動する第3車輪と、前記第2走行レールの走行面を転動する第4車輪と、前記案内レールの案内面を転動する第2案内輪と、を備え、前記制御部は、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度を目標回転速度に合わせるように制御して、前記第1走行部の走行に従動するように前記第2走行部を走行させ、前記対象車輪を第1対象車輪とすると共に前記非対象車輪を第1非対象車輪とし、更に、前記第1車輪が前記第1対象車輪である場合には前記第3車輪を、前記第2車輪が前記第1対象車輪である場合には前記第4車輪を、第2対象車輪とし、前記第3車輪及び前記第4車輪のうちの前記第2対象車輪ではない方を、第2非対象車輪として、前記第2走行部は、前記第2対象車輪が前記対象レールに接触し、前記第2案内輪が前記案内レールに接触し、且つ、前記第2非対象車輪が前記非対象レールに接触しない姿勢で、前記曲線区間を走行し、前記制御部は、前記第1対象車輪の回転速度に対する前記第2対象車輪の回転速度の変化を検出してから、前記第1対象車輪と前記第2対象車輪との前記前後方向の間隔に応じた距離を前記第1走行部が走行した時点で、前記走行経路における前記直線区間と前記曲線区間との境界に前記第1走行部が到達したと判定して、前記第1車輪及び前記第2車輪の回転速度変化を開始させると好適である。
【0083】
本構成のように、制御部が、第1車輪及び第2車輪の回転速度を目標回転速度に合わせるように制御して、第1走行部の走行に従動するように第2走行部を走行させる場合、第2走行部が直線区間と曲線区間との境界を通過する前後で、第1対象車輪の回転速度が目標回転速度に維持された状態で、第2対象車輪の回転速度が当該目標回転速度(すなわち、第1対象車輪の回転速度)から変化する。本構成によれば、このような第1対象車輪の回転速度に対する第2対象車輪の回転速度の変化の検出結果に基づき、第1走行部が直線区間と曲線区間との境界に到達したか否かを判定して、第1車輪及び第2車輪の回転速度変化を開始することができる。
【0084】
本開示に係る物品搬送設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0085】
1:搬送車
2:物品
3:被検出体
4:情報保持体
11:第1走行部(走行部)
12:第2走行部
13:本体部
14:検出装置
15:読取装置
16:計測装置
21:第1車輪
22:第2車輪
23:第3車輪
24:第4車輪
31A:第1対象車輪(対象車輪)
31B:第1非対象車輪(非対象車輪)
32A:第2対象車輪
32B:第2非対象車輪
41:第1案内輪(案内輪)
42:第2案内輪
60:制御部
70:走行経路
70a:中央部
71:直線区間
72:曲線区間
80:走行レール
80A:対象レール
80B:非対象レール
81:第1走行レール
82:第2走行レール
83:案内レール
100:物品搬送設備
A1:第1軸心
A2:第2軸心
B:境界
C:境界領域
D1:第1長さ
D2:第2長さ
H:車体上下方向(上下方向)
L:車体前後方向(前後方向)
L1:前方側
M1:第1駆動部(駆動部)
X1:下流側
X2:上流側
Y:経路幅方向(幅方向)