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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230516BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B65G1/137 F
B65G1/00 501C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020189626
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078740
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】内田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】土肥 重夫
(72)【発明者】
【氏名】福島 勇
(72)【発明者】
【氏名】中野 剛志
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-189426(JP,A)
【文献】国際公開第2019/141877(WO,A1)
【文献】特開2007-076831(JP,A)
【文献】特開2018-188236(JP,A)
【文献】特表2017-522247(JP,A)
【文献】特表2017-509560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0249666(US,A1)
【文献】特表2021-510661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一種類の物品を複数収容する物品箱であって異なる種類の物品がそれぞれ収容される物品箱を保管し自動的に入出庫できる複数の物品箱倉庫と、
前記物品箱倉庫から出庫された物品箱を搬送する物品箱搬送装置と、
前記物品箱搬送装置により搬送される物品箱が選択的に搬入される複数のピッキングエリアと、
オーダーに含まれる複数の物品のうち少なくとも一つの物品が収容された紐付配送箱を保管し自動的に入出庫できる配送箱倉庫と、
前記配送箱倉庫から選択的に出庫された紐付配送箱を前記ピッキングエリアに搬入する紐付配送箱搬送装置と、
前記物品箱と前記紐付配送箱との流れを管理する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
前記物品箱倉庫から出庫した物品箱を前記ピッキングエリアのいずれかへ搬入させる物品箱指示を出力する物品箱指示出力部と、
紐付配送箱を前記配送箱倉庫から出庫させて同一の前記ピッキングエリアへ搬入させる紐付配送箱指示を出力する紐付配送箱指示出力部と、を備え
前記配送箱倉庫は、
複数の前記ピッキングエリアのそれぞれに接続され、搬送した紐付配送箱を前記ピッキングエリアのいずれかに向かって搬出する配送箱台車を備える
ピッキングシステム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記ピッキングエリアにおけるそれぞれの作業進捗を把握する進捗把握部と、
把握した作業進捗に基づいて物品箱、および紐付配送箱を搬入させる前記ピッキングエリアを前記物品箱倉庫から物品箱が出庫された後、前記物品箱搬送装置への移載前に特定するエリア特定部と、を備え、
前記物品箱指示出力部は、
特定されたピッキングエリアの中から一つを決定し、決定したピッキングエリアへ物品箱を搬入させる物品箱指示を出力し、
前記紐付配送箱指示出力部は、
前記物品箱指示出力部が決定したピッキングエリアへ紐付配送箱を搬入させる紐付配送箱指示を出力する
請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
物品が収容されていない配送箱である空配送箱を前記紐付配送箱搬送装置に搬送する空配送箱搬送装置を備える
請求項1または2に記載のピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一種類の物品が収容される複数の物品箱から複数種類の物品を配送箱に収容するピッキングシステム、およびピッキングシステムにおける箱搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業者により同一種類の物品が収容された物品箱から物品を取り出し、各配送先用の配送箱に複数種類の物品を収容するピッキングという作業がピッキングエリアにて行われる。このようなピッキング作業を効率よく作業者に実行させるために、物品箱や配送箱を自動倉庫から搬出し搬送装置によりピッキングエリアに各種の箱を搬送するピッキングシステムの構成や運用については従前より開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-76831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のピッキングシステムは、コンベヤによってピッキングエリアに搬送されてきた空の配送箱に対し、オーダーに含まれる複数種類の物品に対応した物品箱が次々に搬送されるシステムである。このようなピッキングシステムは、1つのピッキングエリアへ搬送された配送箱に対し複数の物品箱が搬送されるため、配送箱の到着と自動倉庫から物品箱を出庫するタイミングが合致せずに作業者を待たせるなどピッキング効率が低下するという課題を含んでいる。
【0005】
また、一つの配送箱にピッキングされる可能性のある全ての物品箱が保管される自動倉庫とピッキングエリアとをコンベヤで接続する搬送設備が必要となり、コンベヤ設備が増長するという課題も含んでいる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、効率的なピッキングを実現できるピッキングシステム、およびピッキングシステムにおける箱搬送方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1つであるピッキングシステムは、同一種類の物品を複数収容する複数の物品箱であって異なる種類の物品がそれぞれ収容される物品箱を保管し自動的に入出庫できる複数の物品箱倉庫と、前記物品箱倉庫から出庫された物品箱を搬送する物品箱搬送装置と、前記物品箱搬送装置により搬送される物品箱が選択的に搬入される複数のピッキングエリアと、オーダーに含まれる複数の物品のうち少なくとも一つの物品が収容された紐付配送箱を保管し自動的に入出庫できる配送箱倉庫と、前記配送箱倉庫から選択的に出庫された紐付配送箱を前記ピッキングエリアに搬入する紐付配送箱搬送装置と、前記物品箱と前記紐付配送箱との流れを管理する管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記物品箱倉庫から出庫した物品箱を前記ピッキングエリアのいずれかへ搬入させる物品箱指示を出力する物品箱指示出力部と、紐付配送箱を前記配送箱倉庫から出庫させて同一の前記ピッキングエリアへ搬入させる紐付配送箱指示を出力する紐付配送箱指示出力部と、を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の他の1つである箱搬送方法は、同一種類の物品を複数収容する物品箱であって、異なる種類の物品がそれぞれ収容される複数の物品箱を保管し自動的に入出庫できる複数の物品箱倉庫と、前記物品箱倉庫から出庫された物品箱を搬送する物品箱搬送装置と、前記物品箱搬送装置により搬送される物品箱が選択的に搬入される複数のピッキングエリアと、オーダーに含まれる複数の物品のうち少なくとも一つの物品が収容された紐付配送箱を保管し自動的に入出庫できる配送箱倉庫と、前記配送箱倉庫から選択的に出庫された紐付配送箱を前記ピッキングエリアに搬入する紐付配送箱搬送装置と、前記物品箱と前記紐付配送箱との流れを管理する管理装置と、を備えるピッキングシステムにおける箱搬送方法であって、前記物品箱倉庫から出庫した物品箱を前記ピッキングエリアのいずれかへ搬入させる物品箱指示を物品箱指示出力部が出力し、紐付配送箱を前記配送箱倉庫から出庫させて同一の前記ピッキングエリアへ搬入させる紐付配送箱指示を紐付配送箱指示出力部が出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オーダーが紐付けられた紐付配送箱であっても、紐付配送箱と物品箱とを柔軟にピッキングエリアに搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ピッキングシステムを示す斜視図である。
図2図2は、ピッキングシステムを示す平面図である。
図3図3は、上部構造物の一部を省略してピッキングシステムを示す平面図である。
図4図4は、第三コンベヤを省略してピッキングシステムを示す平面図である。
図5図5は、管理装置の機能部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るピッキングシステム、および箱搬送方法の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0012】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。
【0013】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0014】
図1は、ピッキングシステムを示す斜視図である。図2は、ピッキングシステムを示す平面図である。図3は、上部構造物の一部を省略してピッキングシステムを示す平面図である。なお、図面には、X軸方向負側にのみ物品箱210、配送箱220の一部を記載している。同図に示すように、ピッキングシステム100は、作業者230が物品箱210から所定数の物品を取り出し、配送箱220に物品を収納するピッキングエリア199に、物品箱210と、配送箱220と、を搬送し、所定の場所へ搬出するシステムであって、物品箱倉庫110と、物品箱搬送装置120と、配送箱倉庫130と、配送箱搬送装置140と、を備えている。本実施の形態の場合、ピッキングシステム100は、空配送箱搬送装置160を備えている。
【0015】
物品箱210は、同一種類の物品が複数個収容される容器である。物品箱倉庫110には、複数の物品箱210が保管されており、複数の物品箱210の一部にはそれぞれ異なる種類の物品が収容される。また、他の一部の物品箱210は、同一種類の物品がそれぞれ収容される場合もある。なお、物品箱210に収容される物品はいわゆる在庫物品である。図1において、箱の側面に交差する二本の斜線を物品箱210に附している。物品箱210の大きさは、特に限定されるものではなく、ピッキングシステム内において、大きさが異なる物品箱210が混在する場合があっても良い。物品は、特に限定されるものではなく、例えば、消費者に販売する目的の商品、製品を組み立てるための部品、組立や加工のための工具、薬品、医薬品などを例示することができる。
【0016】
配送箱220は、オーダーに基づいてピッキング作業者が物品箱210から取り出した物品を投入する容器であり、ピッキングシステム100においてピッキング作業が完了すると所定の場所に搬送される。オーダーとは、所定の配送箱220に収容する物品の種類、個数などを示すピッキング情報であり、例えば上位コンピュータ240(図5参照)などから出力される。本実施の形態の場合、オーダーに含まれる複数の物品のうち少なくとも一つの物品が収容され、オーダーと紐付けられた配送箱220を紐付配送箱221と記載し、オーダーに紐付けられていない配送箱220を空配送箱222として記載する。図1において、箱の側面に三本の横線を紐付配送箱221に附し、箱の側面に三本の縦線を空配送箱222に附している。配送箱220の大きさは、特に限定されるものではなく、大きさが異なる配送箱220が混在してもかまわない。また、図面において配送箱220と物品箱210とが同じ大きさに記載されているが、この限りではない。
【0017】
ピッキングエリア199は、作業者230が物品箱210から所定数の物品を取り出し、配送箱220に物品を収納する領域である。例えば、物品の情報、紐付配送箱221に紐付けられたオーダーなどを読み取るバーコードリーダなどの読み取り装置(不図示)、作業者230にピッキングすべき物品の種類や個数を示す表示装置(不図示)、作業者230が、ピッキング作業が終了したことを示す入力装置(不図示)、これらを載置するテーブル(不図示)などがピッキングエリア199に配置される場合がある。
【0018】
物品箱倉庫110は、異なる種類の物品がそれぞれ収容される複数の物品箱210を保管し、オーダーに基づいて自動的に物品箱210を出庫し、また自動的に物品箱210を入庫することができる自動倉庫である。物品箱倉庫110の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、物品箱倉庫110は、第一ラック111と、第一コンベヤ112と、第一搬送装置113と、第一バーチカルコンベヤ114と、を備えている。
【0019】
第一ラック111は、物品箱210を保管する棚である。本実施の形態の場合、第一ラック111は、水平面内の第一方向(図中Y軸方向)に物品箱210を並べて載置状に保持する棚板を垂直方向(図中Z軸方向)に複数段備えている。また、物品箱倉庫110は、水平面内において第一方向と直交する第二方向(図中X軸方向)において、第一搬送装置113を挟んで2つの第一ラック111を平行に並べて備えている。なお、第一方向における第一ラック111の長さは、特に限定されるものではない。図中では、第一ラック111の長手方向の一部を省略し第一ラック111を短く記載している。また本実施の形態の場合、ピッキングシステム100は、同種の物品箱倉庫110を複数備えている。なお、ピッキングシステム100が備える物品箱倉庫110の数は、限定されるものではない。また、物品箱倉庫110の種類や大きさ(物品箱210の保管可能数)などは特に限定されるものではなく、複数の物品箱倉庫110の種類や大きさが相互に異なっていても構わない。
【0020】
第一搬送装置113は、第一ラック111、および第一コンベヤ112に保持される物品箱210を第一ラック111、および第一コンベヤ112の別の場所に移送することができる装置である。第一搬送装置113の種類は、特に限定されるものではなく、スタッカクレーンなどを例示することができる。本実施の形態の場合、第一搬送装置113は、第一ラック111の各段に対応する位置にそれぞれ敷設されるレールと、レール毎に配置される物品箱台車とを備えている。
【0021】
レールは、第一ラック111に沿って第一方向に第一コンベヤ112に至るまで延在して配置され、物品箱台車は、物品箱210を保持した状態でレールに沿って往復動する。物品箱台車には、第一ラック111、および第一コンベヤ112と物品箱台車との間で物品箱210を移載することができる移載装置を備えている。移載装置は、第一搬送装置113の両側に隣接する第一ラック111、および第一コンベヤ112のいずれとの間でも物品箱210を移載することができる。
【0022】
第一コンベヤ112は、一対の第一ラック111の各段に対応する位置にそれぞれ配置されている。一方の第一コンベヤ112は、一方の第一ラック111の延在方向である第一方向に沿って物品箱210を搬送し、第一バーチカルコンベヤ114に物品箱210を移載する。他方の第一コンベヤ112は、他方の第一ラック111の延在方向である第一方向に沿って物品箱210を搬送し、第一バーチカルコンベヤ114から受け取った物品箱210を第一搬送装置113に受け渡す。第一コンベヤ112の種類は、特に限定されるものではなく、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤなどを例示することができる。
【0023】
第一バーチカルコンベヤ114は、鉛直方向(図中Z軸方向)に移動する昇降台を備え、昇降台に保持された物品箱210を鉛直方向に搬送する。本実施の形態の場合、物品箱倉庫110は、第二方向に並ぶ一対の第一コンベヤ112に対応する一対の第一バーチカルコンベヤ114を備えている。一方の第一バーチカルコンベヤ114は、第一コンベヤ112から移載された物品箱210を鉛直方向に搬送し、物品箱搬送装置120に搬出する。他方の第一バーチカルコンベヤ114は、物品箱搬送装置120から移載された物品箱210を鉛直方向に搬送し、所定の段の第一コンベヤ112に搬出する。
【0024】
物品箱搬送装置120は、物品箱倉庫110から出庫された物品箱210をピッキングエリア199まで搬送する装置である。物品箱搬送装置120の種類は、特に限定されるものではなく、また複数種類の装置が組み合わされたものでもかまわない。本実施の形態の場合、物品箱搬送装置120は、第二コンベヤ121と、第三コンベヤ122、第四コンベヤ123(図3参照)、有軌道台車124と、第二バーチカルコンベヤ125と、を備えている。
【0025】
第二コンベヤ121は、物品箱倉庫110の第一バーチカルコンベヤ114と有軌道台車124とを接続するコンベヤである。本実施の形態の場合、一対の第一バーチカルコンベヤ114に対し、2本の第二コンベヤ121がそれぞれ接続されており、一方の第二コンベヤ121、および第一バーチカルコンベヤ114は出庫用、他方の第二コンベヤ121、および第一バーチカルコンベヤ114は入庫用として機能している。
【0026】
有軌道台車124は、環状の軌道上を巡廻して物品箱210を搬送し、接続される第二コンベヤ121、および第三コンベヤ122との間で物品箱210を移載する設備である。有軌道台車124の種類は、特に限定されるものではなく、例えばリニアモータにより高速に周回する台車、いわゆる高速仕分コンベヤなどを例示することができる。本実施の形態の場合、有軌道台車124は、軌道上に固定子を備え、台車に可動子を備え、固定子の磁力を変化させることで台車を移動させるリニアモータにより走行する。また、軌道上に配置される移載用の固定子と台車に設けられた移載用の可動子との相互作用により物品箱210の移載が実現されている。
【0027】
第三コンベヤ122、第四コンベヤ123、および第二バーチカルコンベヤ125は、有軌道台車124から受け取った物品箱210をピッキングエリア199まで搬送し、ピッキングが終了した物品箱210を有軌道台車124まで搬送する。本実施の形態の場合、第四コンベヤ123は、作業者230が作業可能な高さ位置の水平面内で物品箱210を搬送できる位置であって、一部がピッキングエリア199を通過するように配置されている。第三コンベヤ122は、第四コンベヤ123の上側であって、作業者230と干渉しない高さ位置の水平面内で物品箱210を搬送できる位置に配置されている。第二バーチカルコンベヤ125は、第三コンベヤ122と第四コンベヤ123とを接続し、ピッキングエリア199に向かう物品箱210、およびピッキングエリア199から戻る物品箱210のいずれも搬送する。
【0028】
このように、第四コンベヤ123の一部をピッキングエリア199に配置し、第三コンベヤ122、有軌道台車124、および第二コンベヤ121を作業者230の頭上に配置することにより、ピッキングエリア199において作業者がピッキングを行う空間、ピッキングエリア199に出入りする作業者230の通路などを確保することができる。また、搬送装置を立体的に配置することによりピッキングシステム100全体のコンパクト化を図ることができる。
【0029】
ピッキングシステム100は、第三コンベヤ122、第四コンベヤ123、および第二バーチカルコンベヤ125をピッキングエリア199の数(本実施の形態の場合、3)に対応する数備えている。有軌道台車124は、複数の第三コンベヤ122に対し物品箱210を選択的に移載することができる。これにより物品箱搬送装置120は、物品箱210をそれぞれのピッキングエリア199に選択的に搬入させることが可能となっている。また、ピッキングシステム100は、第二コンベヤ121を物品箱倉庫110の数(本実施の形態の場合、7)に対応する数備えている。有軌道台車124は、複数の第二コンベヤ121と接続され、複数の物品箱倉庫110との間で物品箱210を移載することができる。以上により物品箱搬送装置120は、任意に選定された物品箱倉庫110から任意に選定されたピッキングエリア199へ物品箱210を搬入させることが可能となっている。
【0030】
配送箱倉庫130は、紐付配送箱221を保管し、自動的に紐付配送箱221を入出庫することができる自動倉庫である。配送箱倉庫130の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、配送箱倉庫130は、複数のピッキングエリア199に対し紐付配送箱221を選択的に出庫できる設備であり、第二ラック131と、第二搬送装置133と、を備えている。
【0031】
第二ラック131は、紐付配送箱221を保管する棚である。本実施の形態の場合、第二ラック131は、水平面内の第二方向(図中X軸方向)に紐付配送箱221を並べて載置状に保持する棚板を垂直方向(図中Z軸方向)に複数段備えている。また、配送箱倉庫130は、水平面内において第一方向(図中Y軸方向)において、第二搬送装置133を挟んで2つの第二ラック131を平行に並べて備えている。なお、第一方向における第二ラック131の長さは、特に限定されるものではないが、複数のピッキングエリア199の配置に対応した長さが好ましい。ピッキングエリア199側に配置される第二ラック131は、第三バーチカルコンベヤ141と紐付配送箱221を移載することができる移載部135を備えている。移載部135は、第三バーチカルコンベヤ141に沿って第二ラック131の各段に配置されている。また、配送箱倉庫130は、移載部135をピッキングエリア199の数(本実施の形態の場合、3)に対応する数備えている。第二搬送装置133は、複数の移載部135に対し紐付配送箱221を選択的に移載することができる。これにより配送箱倉庫130は、紐付配送箱221をそれぞれのピッキングエリア199に選択的に搬入させることが可能となっている。
【0032】
第二搬送装置133は、第二ラック131に保持される紐付配送箱221を第一ラック111の別の場所、および移載部135に移送することができる装置である。第二搬送装置133の種類は、特に限定されるものではなく、スタッカクレーンなどを例示することができる。本実施の形態の場合、第二搬送装置133は、第一搬送装置113と同様であり、第二ラック131の各段に対応する位置にそれぞれ敷設されるレールと、レール毎に配置される配送箱台車とを備えている。配送箱台車は、複数のピッキングエリア199のそれぞれに移載部135を介して接続され、搬送した紐付配送箱221をピッキングエリア199のいずれかに向かって選択的に搬出する事ができる。また、第二搬送装置133は、第二ラック131の延在方向に並ぶ二台の配送箱台車を第二ラック131のそれぞれの段に備えている。各段における二台の配送箱台車は、例えば第二ラック131の延在方向の半分ずつの領域を担当する。
【0033】
なお、ピッキングシステム100が備える配送箱倉庫130の数は、限定されるものではなく、1つでも複数でもかまわない。また、配送箱倉庫130の種類や大きさ(紐付配送箱221の保管可能数)などは特に限定されるものではなく、配送箱倉庫130が複数存在する場合、それぞれの種類や大きさが相互に異なっていても構わない。
【0034】
配送箱搬送装置140は、配送箱倉庫130から選択的に出庫された紐付配送箱221をピッキングエリア199に搬入する設備である。配送箱搬送装置140の種類は、特に限定されるものではなく、また複数種類の装置が組み合わされたものでもかまわない。本実施の形態の場合、配送箱搬送装置140は、第三バーチカルコンベヤ141と、第五コンベヤ142と、を備えている。
【0035】
第三バーチカルコンベヤ141は、鉛直方向(図中Z軸方向)に移動する昇降台を備え、昇降台に保持された紐付配送箱221を鉛直方向に搬送する。本実施の形態の場合、配送箱搬送装置140は、第二方向における配送箱倉庫130の移載部135の数に対応する数の第三バーチカルコンベヤ141を備えている。各第三バーチカルコンベヤ141は、各段の移載部135から移載された紐付配送箱221を鉛直方向に搬送し、第五コンベヤ142に搬出する。
【0036】
第五コンベヤ142は、第三バーチカルコンベヤ141から受け取った紐付配送箱221をピッキングエリア199まで搬送し、ピッキングが終了した紐付配送箱221をピッキングエリア199外に搬出する。本実施の形態の場合、第五コンベヤ142は、水平面内において第四コンベヤ123の一部と平行に配置され作業者230がピッキング可能な位置にまで紐付配送箱221を搬送する。また第五コンベヤ142は、一つのピッキングエリア199におけるピッキング作業が終了した紐付配送箱221を、配送箱倉庫130の下側まで搬送する。なお、配送箱220は、配送箱倉庫130の下側を通過し、ピッキングシステム100外に搬出される。なお、一つのピッキングエリア199においてピッキング作業が終了しなかったピッキング途中の紐付配送箱221を配送箱倉庫130に戻してもかまわない。
【0037】
配送箱搬送装置140は、第三バーチカルコンベヤ141、および第五コンベヤ142をピッキングエリア199の数(本実施の形態の場合、3)に対応する数備えている。配送箱倉庫130は、第二方向における移載部135のいずれにも紐付配送箱221を搬送しうる配送箱台車を備えているため、第三バーチカルコンベヤ141に対し紐付配送箱221を選択的に移載することができる。これにより配送箱倉庫130は、紐付配送箱221をそれぞれのピッキングエリア199に選択的に搬入させることが可能となっている。
【0038】
図4は、第三コンベヤを省略してピッキングシステムを示す平面図である。空配送箱搬送装置160は、物品が収容されていない配送箱である空配送箱222を配送箱搬送装置140に搬送する設備である。空配送箱搬送装置160の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、コンベヤが採用されている。空配送箱搬送装置160は、第三コンベヤ122と、第四コンベヤ123との間に配置され、複数の第三バーチカルコンベヤ141のそれぞれに枝分かれ状に接続されている。これにより、空配送箱搬送装置160は、配送箱搬送装置140を介して複数のピッキングエリア199に空配送箱222を搬入する事ができるものとなっている。
【0039】
図5は、管理装置の機能部を示すブロック図である。管理装置150は、ピッキングシステム100における物品箱210、紐付配送箱221、および空配送箱222の流れを管理する装置であって、プログラムをプロセッサに実行させることにより実現する処理部として、物品箱指示出力部151と、紐付配送箱指示出力部152と、を備えている。本実施の形態の場合、管理装置150は、進捗把握部153と、エリア特定部154と、を備えている。
【0040】
物品箱指示出力部151は、オーダーに基づいて物品箱倉庫110から出庫した物品箱210をピッキングエリア199のいずれかへ搬入させる物品箱指示を出力する処理部である。物品箱210は、原則としてオーダーが上位コンピュータ240から出力される順番に従い物品箱倉庫110から出庫される。物品箱指示出力部151は、所定のオーダー、例えば紐付配送箱221に紐付けられているオーダーに基づき出庫された物品箱210、例えば最初の物品箱210が物品箱搬送装置120に移載される直前、有軌道台車124に移載される直前、または有軌道台車124によって搬送されている間に、当該オーダーに対応した物品箱210を搬入させるピッキングエリア199を決定し、当該情報を含んだ物品箱指示を物品箱搬送装置120に出力する。
【0041】
紐付配送箱指示出力部152は、紐付配送箱221を配送箱倉庫130から出庫させて同じオーダーに含まれる物品箱210が搬入される同一のピッキングエリア199へ搬入させる紐付配送箱指示を出力する処理部である。
【0042】
進捗把握部153は、ピッキングエリア199におけるそれぞれのピッキング作業の進捗を把握する処理部である。進捗把握部153が進捗を把握する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ピッキングエリア199において作業している作業者230の親告に基づいて進捗を把握してもかまわない。また、進捗把握部153は、配送箱搬送装置140によりピッキングエリア199に搬入する配送箱220と搬出する配送箱の単位時間あたりの数をセンサにより把握することによりピッキング作業の進捗を把握してもかまわない。本実施の形態の場合、進捗把握部153は、ピッキング作業者の手前のコンベヤに溜まっている物品箱210の数に基づき進捗を把握する。
【0043】
エリア特定部154は、進捗把握部153が把握したそれぞれのピッキングエリア199における作業進捗に基づいて物品箱210、および紐付配送箱221を搬入させるピッキングエリア199を特定する。また、エリア特定部154がピッキングエリア199を特定するタイミングは、物品箱倉庫110から物品箱210が出庫された後、物品箱搬送装置120への移載前である。
【0044】
管理装置150が進捗把握部153、およびエリア特定部154を備えている場合、次の処理を行う。物品箱指示出力部151は、エリア特定部154が特定したピッキングエリア199が複数の場合は、複数のピッキングエリア199から一つのピッキングエリア199を決定し、決定したピッキングエリア199へ物品箱210を搬入させる物品箱指示を出力する。なお、オーダーに複数種類の物品箱210が含まれている場合、物品箱指示には複数種類の物品箱210が含まれる場合がある。また、紐付配送箱指示出力部152は、物品箱指示出力部151が決定したピッキングエリア199へ紐付配送箱221を搬入させる紐付配送箱指示を出力する。
【0045】
以上の実施の形態に係るピッキングシステム100において、オーダーに基づき物品箱倉庫110から出庫された物品箱210は、物品箱倉庫110から物品箱210が出庫された後、物品箱搬送装置120への移載前においてエリア特定部154が特定したピッキングエリア199へ搬入される。物品箱210の搬送は、物品箱指示出力部151が出力した物品箱指示に基づき実行される。一方、紐付配送箱221は、紐付配送箱指示出力部152が出力した紐付配送箱指示に基づき、配送箱倉庫130から出庫され、特定されたピッキングエリア199へ搬入される。
【0046】
オーダーに関係する物品箱210、および紐付配送箱221が揃ったピッキングエリア199において、作業者は物品箱210から物品を所定の個数取り出して紐付配送箱221に投入する。所定の個数の物品が取り出された物品箱210は、物品箱搬送装置120により物品箱210倉庫に戻される。紐付配送箱221は、所定種類、所定個数の物品の投入が完了するとピッキングエリア199外に排出される。
【0047】
上記実施の形態に係るピッキングシステム100によれば、複数の物品箱倉庫110のいずれかから出庫される物品箱210を、物品箱指示に基づき物品箱搬送装置120を用いて任意のピッキングエリア199に搬入させることができる。また、配送箱倉庫130、および配送箱搬送装置140から、紐付配送箱221を任意のピッキングエリア199に搬入させることができる。従って、オーダーの発生順序などに縛られることなく紐付配送箱221と物品箱210と、を任意のピッキングエリア199に搬入してピッキング作業を実行させる事ができる。これにより、例えばピッキング作業の進捗に合わせて紐付配送箱221と物品箱210とを作業が進んでいるピッキングエリア199に搬入させることができ、ピッキング効率の向上を図ることができる。具体的に例えば、翌日出荷する配送箱220へのピッキングのオーダーが発生している場合において、当日出荷の急ぎのオーダーが発生すると、出荷トラックの到着に合わせて急ぎのオーダーに関連するピッキング処理をする必要が出た場合など、オーダーの発生順序などに縛られることなくオーダーの処理順の入れ替えを行うことが可能となる。
【0048】
また、紐付配送箱221を任意のピッキングエリア199に搬送し、紐付配送箱221に紐付けられたオーダーに含まれる物品箱210をオーダー順に関わりなくピッキングエリア199に搬送することができる。従って他のピッキングシステム100でピッキングされ、ピッキング未完了の紐付配送箱221に対して、柔軟にピッキング作業を実行させることができる。また、このようなリレーピッキングを実行することができるため、一つのピッキングエリア199に対し全種類の物品箱210を搬送するコンベアなどを設ける必要がなく、ピッキングシステム100におけるコンベヤ設備の増長化を抑制できる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0050】
例えば、上記実施の形態では、物品箱210を搬入するピッキングエリア199を決定した後、これに合わせて紐付配送箱221を同じピッキングエリア199に搬入する場合を説明したが、紐付配送箱指示出力部152が、紐付配送箱221を搬入するピッキングエリア199を決定し紐付配送箱指示を出力した後、これに合わせて物品箱210を同じピッキングエリア199に搬入する物品箱指示を物品箱指示出力部151が出力してもかまわない。
【0051】
また、物品箱搬送装置120は、二つの環状の軌道を鉛直方向に配置し、それぞれの軌道に有軌道台車124を走行させてもかまわない。この場合、上下の一方を物品箱倉庫110から出庫された物品箱210を搬送する有軌道台車124、他方を物品箱倉庫110に入庫させる物品箱210を搬送する有軌道台車124として、機能を分離してもかまわない。またこの場合、上側の有軌道台車124に接続される第三コンベヤ122と下側の有軌道台車124に接続される第三コンベヤ122とを備え、一対の第三コンベヤ122は、一つの第二バーチカルコンベヤ125に異なる高さでそれぞれ接続されてもかまわない。
【0052】
配送箱倉庫130は、紐付配送箱221を保管する自動倉庫として説明したが、配送箱倉庫130は、まだ紐付けされていない空箱、紐付けだけされた空箱などが保管されてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、物品箱と配送箱とを作業者の手の届く範囲に搬送し物品をピッキングさせるピッキングシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
100 ピッキングシステム
110 物品箱倉庫
111 第一ラック
112 第一コンベヤ
113 第一搬送装置
114 第一バーチカルコンベヤ
120 物品箱搬送装置
121 第二コンベヤ
122 第三コンベヤ
123 第四コンベヤ
124 有軌道台車
125 第二バーチカルコンベヤ
130 配送箱倉庫
131 第二ラック
133 第二搬送装置
135 移載部
140 配送箱搬送装置
141 第三バーチカルコンベヤ
142 第五コンベヤ
150 管理装置
151 物品箱指示出力部
152 紐付配送箱指示出力部
153 進捗把握部
154 エリア特定部
160 空配送箱搬送装置
199 ピッキングエリア
210 物品箱
220 配送箱
221 紐付配送箱
222 空配送箱
230 作業者
240 上位コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5