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特許7279719通信システム、上位装置、収集装置および通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】通信システム、上位装置、収集装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 61/00 20220101AFI20230516BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20230516BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H04L61/00
H04L12/28
H02J13/00 301A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020532155
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2019015440
(87)【国際公開番号】W WO2020021779
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2018139233
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛史
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 聡
(72)【発明者】
【氏名】岩間 成美
(72)【発明者】
【氏名】酒井 治
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181785(JP,A)
【文献】栗山 央、澤田 尚志、中野 裕貴、峰野 博史、水野 忠則、西垣 正勝,センサネットワークのための相互補完通信プロトコルの開発と評価,情報処理学会研究報告 2011(平成23)年度▲2▼ [CD-ROM],一般社団法人情報処理学会,2011年08月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 61/00
H04L 12/28
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に用いられる通信システムであって、
マルチホップ通信を行い、情報を転送する複数の監視装置と、
前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、
前記収集装置と通信可能な上位装置とを備え、
前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、
前記上位装置および前記収集装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、ならびに、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置間の通信において用いられる識別子であって前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、
前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、
前記複数の監視装置は、自己に割り当てられた前記第2端末識別子をそれぞれ記憶し、
前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを送受信する、通信システム。
【請求項2】
前記通信システムは、前記収集装置および前記複数の監視装置の組を複数備え、
各前記組に異なるネットワーク識別子が固定的に割り当てられており、
前記第1リスト情報は、前記ネットワーク識別子と前記第1端末識別子との対応関係を示し、
前記第2リスト情報は、前記ネットワーク識別子と前記第2端末識別子との対応関係を示し、
前記パケットに、前記ネットワーク識別子がさらに格納される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
電力系統に用いられる通信システムにおける上位装置であって、
前記通信システムは、マルチホップ通信を行い、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、前記収集装置と通信可能である前記上位装置とを備え、
前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、
前記上位装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、ならびに、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置間の通信において用いられる識別子であって前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、
前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、
前記上位装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを、前記複数の監視装置および前記収集装置との間で送受信する、上位装置。
【請求項4】
電力系統に用いられる通信システムにおける収集装置であって、
前記通信システムは、マルチホップ通信を行い、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する前記収集装置と、前記収集装置と通信可能である上位装置とを備え、
前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、
前記収集装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、ならびに、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置間の通信において用いられる識別子であって前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、
前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、
前記収集装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを、前記複数の監視装置および前記上位装置との間で送受信する、収集装置。
【請求項5】
電力系統に用いられる通信システムにおける通信方法であって、
前記通信システムは、マルチホップ通信を行い、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、前記収集装置と通信可能である上位装置とを備え、
前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、
前記上位装置および前記収集装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、ならびに、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置間の通信において用いられる識別子であって前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、
前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、
前記監視装置、前記収集装置または前記上位装置が、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを送信するステップと、
前記監視装置、前記収集装置または前記上位装置が、送信された前記パケットを受信するステップとを含む、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、上位装置、収集装置および通信方法に関する。
この出願は、2018年7月25日に出願された日本出願特願2018-139233号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
ネットワークシステムの一例として、たとえば、特許第6046480号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。
【0003】
すなわち、ネットワークシステムは、送電線を架設する鉄塔列の各鉄塔に無線局を設置すると共に、少なくとも1台の該無線局に外部通信回線に接続可能な親局を接続して、これらの無線局により該鉄塔列に沿って、該無線局から該親局に、又は該親局から該無線局に、双方向に情報を順次中継可能であり、該無線局が、該鉄塔列の一方側から送られた該情報を記憶するための第1の通信用メモリと、該鉄塔列の他方側から送られた該情報を記憶するための第2の通信用メモリとを備え、該第1の通信用メモリに記憶された該情報を該他方側に中継し、該第2の通信用メモリに記憶された該情報を該一方側に中継する送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムにおいて、該無線局には個別に識別番号が付与されており、該情報の発信元になる該無線局が該情報に自局の該識別番号を付して送信するものであり、該親局が該無線局の該識別番号と、その無線局の設置されている該鉄塔に付与された鉄塔番号とを対応させた識別番号変換テーブルを有しており、該鉄塔に複数の送電線路が併架されていて、同一の該鉄塔に各送電線路に対応する複数の該鉄塔番号が付与され、該親局が、該識別番号変換テーブルに基づいて、該情報を発信した該無線局の識別番号を、各々の該送電線路に対応する複数の該鉄塔番号に変換する。親局は、携帯電話回線等の外部通信回線を介して、上位ホスト局と通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6046480号公報
【発明の概要】
【0005】
(1)本開示の通信システムは、電力系統に用いられる通信システムであって、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、前記収集装置と通信可能な上位装置とを備え、前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、前記上位装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを送受信する。
【0006】
(3)本開示の上位装置は、電力系統に用いられる通信システムにおける上位装置であって、前記通信システムは、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、前記収集装置と通信可能である前記上位装置とを備え、前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、前記上位装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、前記上位装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを、前記複数の監視装置および前記収集装置との間で送受信する。
【0007】
(4)本開示の収集装置は、電力系統に用いられる通信システムにおける収集装置であって、前記通信システムは、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する前記収集装置と、前記収集装置と通信可能である上位装置とを備え、前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、前記収集装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、前記収集装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを、前記複数の監視装置および前記上位装置との間で送受信する。
【0008】
(5)本開示の通信方法は、電力系統に用いられる通信システムにおける通信方法であって、前記通信システムは、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、前記収集装置と通信可能である上位装置とを備え、前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、前記上位装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、前記監視装置、前記収集装置または前記上位装置が、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを送信するステップと、前記監視装置、前記収集装置または前記上位装置が、送信された前記パケットを受信するステップとを含む。
【0009】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える通信システムとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0010】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える上位装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現され得たり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、上位装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0011】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える収集装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現され得たり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、収集装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る通信システムの適用例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける監視親装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける監視子装置の構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるアドレス割り当ての一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける上位装置が保持する第1リスト情報の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける上位装置が保持する第2リスト情報の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける収集装置が保持する第1リスト情報の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける収集装置が保持する第1リスト情報の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける収集装置が保持する第2リスト情報の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける収集装置が保持する第2リスト情報の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるパケットの要部の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける、上位装置および収集装置間で使用されるパケットの一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける、収集装置および無線親機間で使用されるパケットの一例を示す図である。
図15図15は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける監視装置間で使用されるパケットの一例を示す図である。
図16図16は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける情報伝送のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載のネットワークシステムにおいては、無線局間、ならびに無線局および親局間においてたとえば2.4GHz帯の特定小電力無線による通信が行われる一方で、親局および上位ホスト局間では携帯電話回線等による通信が行われる。
【0014】
このため、無線局間、ならびに無線局および親局間で使用される通信プロトコルと、親局および上位ホスト局間で使用される通信プロトコルとが異なる。このような通信プロトコルが異なる装置間で通信を行う場合、たとえば、上位ホスト局および親局の各々に、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルを設けることが考えられる。
【0015】
しかしながら、このような構成では、アドレスの変換処理が必要になることに加えて、保守目的等によってアドレステーブルを更新する場合、各アドレステーブル間で更新の整合がとれていないと、通信に不具合が生じる虞がある。
【0016】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、電力系統において、より安定した運用を実現することが可能な通信システム、上位装置、収集装置および通信方法を提供することである。
【0017】
[本開示の効果]
本開示によれば、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0018】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0019】
(1)本発明の実施の形態に係る通信システムは、電力系統に用いられる通信システムであって、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、前記収集装置と通信可能な上位装置とを備え、前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、前記上位装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを送受信する。
【0020】
このように、上位装置および収集装置間の通信の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報と、収集装置および監視装置間の通信の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報とを上位装置が保持し、かつ、複数の監視装置、収集装置および上位装置にそれぞれ異なる第2端末識別子が固定的に割り当てられる構成により、上位装置および収集装置間における下位レイヤならびに収集装置および監視装置間における下位レイヤの相違を第2端末識別子によって吸収することができる。これにより、上位装置および収集装置において、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルが不要となる。よって、上位装置および収集装置においてアドレスの変換処理を行う必要がなく、上位装置および収集装置間におけるアドレステーブルの更新の整合が不要となる。したがって、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0021】
(2)好ましくは、前記通信システムは、前記収集装置および前記複数の監視装置の組を複数備え、各前記組に異なるネットワーク識別子が固定的に割り当てられており、前記第1リスト情報は、前記ネットワーク識別子と前記第1端末識別子との対応関係を示し、前記第2リスト情報は、前記ネットワーク識別子と前記第2端末識別子との対応関係を示し、前記パケットに、前記ネットワーク識別子がさらに格納される。
【0022】
このような構成により、各々が収集装置および複数の監視装置により構成される複数の系統と、上位装置とを備える通信システムをより安定して運用することができる。
【0023】
(3)本発明の実施の形態に係る上位装置は、電力系統に用いられる通信システムにおける上位装置であって、前記通信システムは、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、前記収集装置と通信可能である前記上位装置とを備え、前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、前記上位装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、前記上位装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを、前記複数の監視装置および前記収集装置との間で送受信する。
【0024】
このように、上位装置および収集装置間の通信の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報と、収集装置および監視装置間の通信の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報とを上位装置が保持し、かつ、複数の監視装置、収集装置および上位装置にそれぞれ異なる第2端末識別子が固定的に割り当てられる構成により、上位装置および収集装置間における下位レイヤならびに収集装置および監視装置間における下位レイヤの相違を第2端末識別子によって吸収することができる。これにより、上位装置および収集装置において、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルが不要となる。よって、上位装置および収集装置においてアドレスの変換処理を行う必要がなく、上位装置および収集装置間におけるアドレステーブルの更新の整合が不要となる。したがって、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0025】
(4)本発明の実施の形態に係る収集装置は、電力系統に用いられる通信システムにおける収集装置であって、前記通信システムは、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する前記収集装置と、前記収集装置と通信可能である上位装置とを備え、前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、前記収集装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、前記収集装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを、前記複数の監視装置および前記上位装置との間で送受信する。
【0026】
このように、上位装置および収集装置間の通信の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報と、収集装置および監視装置間の通信の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報とを収集装置が保持し、かつ、複数の監視装置、収集装置および上位装置にそれぞれ異なる第2端末識別子が固定的に割り当てられる構成により、上位装置および収集装置間における下位レイヤならびに収集装置および監視装置間における下位レイヤの相違を第2端末識別子によって吸収することができる。これにより、上位装置および収集装置において、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルが不要となる。よって、上位装置および収集装置においてアドレスの変換処理を行う必要がなく、上位装置および収集装置間におけるアドレステーブルの更新の整合が不要となる。したがって、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0027】
(5)本発明の実施の形態に係る通信方法は、電力系統に用いられる通信システムにおける通信方法であって、前記通信システムは、情報を転送する複数の監視装置と、前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、前記収集装置と通信可能である上位装置とを備え、前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、前記上位装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、前記監視装置、前記収集装置または前記上位装置が、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを送信するステップと、前記監視装置、前記収集装置または前記上位装置が、送信された前記パケットを受信するステップとを含む。
【0028】
このように、上位装置および収集装置間の通信の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報と、収集装置および監視装置間の通信の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報とを上位装置が保持し、かつ、複数の監視装置、収集装置および上位装置にそれぞれ異なる第2端末識別子が固定的に割り当てられる構成により、上位装置および収集装置間における下位レイヤならびに収集装置および監視装置間における下位レイヤの相違を第2端末識別子によって吸収することができる。これにより、上位装置および収集装置において、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルが不要となる。よって、上位装置および収集装置においてアドレスの変換処理を行う必要がなく、上位装置および収集装置間におけるアドレステーブルの更新の整合が不要となる。したがって、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0030】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【0031】
図1を参照して、通信システム301は、電力系統に用いられる通信システムである。具体的には、通信システム301は、たとえば、発電所および電力の需要家間に設置される送電設備に併設される通信システムであって、たとえば、送電設備への雷撃位置の検出、送電線の温度監視、および送電設備の保守等に用いられる。
【0032】
通信システム301は、1または複数の監視系統Tと、上位装置181とを備える。監視系統Tは、収集装置151と、1または複数の監視装置101とを含む。図1に示される例では、通信システム301は、監視系統Tとして2つの監視系統T1,T2を備えている。
【0033】
監視装置101は、情報を転送する機能を有する。本明細書において、「転送」は、たとえば、情報を中継先へ中継すること、および、情報の送信元として情報を中継先へ送信することを含む。
【0034】
具体的には、監視装置101は、「転送」として、たとえば、自己が他の監視装置101から受信した情報を当該他の監視装置101とは異なる他の監視装置101へ送信し、また、自己におけるセンサ111の計測結果を示す情報を他の監視装置101へ送信する。
【0035】
監視装置101は、無線通信機能を有する装置である。監視装置101は、たとえば、920MHz帯の通信帯域を用いる特定小電力無線通信を行う。
【0036】
監視装置101の種類には、親機としての機能を有する監視親装置102と、子機としての機能を有し、監視親装置102と無線通信を行う監視子装置103とがある。監視親装置102および複数の監視子装置103は、マルチホップ通信を行う。
【0037】
監視装置101が複数設けられている場合、複数の監視装置101は、無線伝送路を介して情報を直列的に伝送する、すなわち、無線伝送路を介して直列接続される。つまり、通信システム301では、複数の監視装置101が並列的またはメッシュ状に配置された伝送路を構成するのでななく、複数の監視装置101が直列的に配置された無線伝送路を構成する。この場合、監視系統Tは、1つの監視親装置102と、1または複数の監視子装置103とを含む。
【0038】
上位装置181は、収集装置151と通信可能な装置である。上位装置181は、たとえば、携帯電話回線を介して収集装置151と通信することができる。
【0039】
収集装置151は、監視親装置102から送信された情報を受信し、受信した情報を上位装置181へ転送する。また、収集装置151は、上位装置181から送信された情報を受信し、受信した情報を監視親装置102へ転送する。
【0040】
以下、上位装置181から見て監視子装置103側を「下流側」と称し、監視子装置103から見て上位装置181側を「上流側」と称する場合がある。また、上位装置181から監視子装置103への方向を「下り方向」と称し、監視子装置103から上位装置181への方向を「上り方向」と称する場合がある。
【0041】
監視系統Tに含まれる監視装置101の数は特に限定されるものではなく、たとえば50以上である。
【0042】
監視親装置102は、自己におけるセンサの計測結果を示す計測情報を取得し、取得した計測情報を収集装置151へ転送する。
【0043】
また、監視親装置102は、監視子装置103からの計測情報を取得し、取得した計測情報を収集装置151へ転送する。また、監視親装置102は、収集装置151から設定情報等を受信し、受信した設定情報等を監視子装置103へ転送する。
【0044】
監視子装置103は、自己におけるセンサの計測結果を示す計測情報を取得し、取得した計測情報を上流側の他の監視子装置103または監視親装置102へ転送する。
【0045】
また、監視子装置103は、下流側の他の監視子装置103からの計測情報を取得し、取得した計測情報を上流側の他の監視子装置103または監視親装置102へ転送する。また、監視子装置103は、上流側の他の監視子装置103または監視親装置102から設定情報等を受信し、受信した設定情報等を下流側の他の監視子装置103へ転送する。
【0046】
なお、収集装置151および監視装置101は、受信した情報が自己宛である場合、当該情報を転送せずに処理する。
【0047】
図2は、本発明の実施の形態に係る通信システムの適用例を示す図である。
【0048】
図2を参照して、電力系統における異なる位置、たとえば、電力系統の保守に必要な情報を検出可能な複数の位置に、複数の監視装置101がそれぞれ設置される。具体的には、たとえば、電力系統に設けられた複数の鉄塔2に複数の監視装置101がそれぞれ設置される。架空地線3および送電線4は、隣り合う鉄塔2の間に架設される。
【0049】
なお、監視装置101は、監視対象となる区間のすべての鉄塔2に設置されてもよいし、監視対象となる区間の一部の鉄塔2に設置されてもよい。
【0050】
具体的には、監視装置101は、並んで設置された複数の鉄塔2において、たとえば、1つおき、2つおき、または3つおきに設置されてもよい。図2に示される例では、監視装置101は、1つおきに設置されている。監視装置101をすべての鉄塔2に設置するか、または一部の鉄塔2に設置するかは、たとえば鉄塔2の設置間隔等に基づいて決定される。
【0051】
また、監視装置101は、鉄塔2に限らず、鉄塔2の周辺に設置されてもよいし、たとえば、送電線4、架空地線3または地面等に設置されてもよい。
【0052】
図3は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける監視親装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
図3を参照して、監視親装置102は、通信部104と、電池106と、制御部107と、記憶部108と、センサ111とを備える。
【0054】
通信部104は、自己の監視親装置102のセンサ111が測定した電荷量を示す計測情報を収集装置151へ送信する。通信部104および収集装置151は、たとえば、有線接続されており、互いにシリアル通信を行う。
【0055】
電池106は、制御部107、センサ111、通信部104および記憶部108等へ電力を供給する。
【0056】
制御部107は、センサ111および通信部104等の動作を制御する。具体的には、たとえば、制御部107は、通信部104をオンし、かつ所定時間が経過すると通信部104をオフする制御を周期的に行う。
【0057】
センサ111は、一例として、架空地線3の電荷量を計測する。なお、センサ111の検知対象は特に限定されるものではない。
【0058】
また、制御部107は、落雷が予想されるエリア、および落雷が予想される期間等を示す所定情報を通信部104および収集装置151経由で上位装置181から受信すると、たとえば図示しないスイッチを制御することにより、電池106からセンサ111への電力供給を開始してセンサ111をオフ状態からオン状態へ遷移させる制御を行う。
【0059】
制御部107は、センサ111で測定された電荷量を示す計測情報を受けて、受けた計測情報を通信部104へ出力する。そして、制御部107は、たとえばセンサ111をオン状態に遷移させてから所定時間が経過すると、たとえば図示しないスイッチを制御することにより、電池106からセンサ111への電力供給を停止してセンサ111をオン状態からオフ状態へ遷移させる制御を行う。
【0060】
記憶部108は、自己の監視親装置102に割り当てられた後述するショートアドレス等を記憶する。
【0061】
再び図1を参照して、収集装置151は、監視親装置102から受信した計測情報を上位装置181へ送信する。
【0062】
上位装置181は、収集装置151から計測情報を受信し、受信した計測情報に基づいて種々の演算を行う。たとえば、上位装置181は、複数の監視装置101から電荷量を示す計測情報を収集装置151経由で受信し、受信した各計測情報の示す電荷量に基づいて複数の鉄塔2間における電荷量の分布を算出し、算出した電荷量の分布に基づいて雷撃位置を推定する。
【0063】
図4は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける監視子装置の構成を示すブロック図である。
【0064】
図4を参照して、監視子装置103は、通信部105と、電池106と、制御部107と、記憶部108と、センサ111とを備える。
【0065】
通信部105は、自己の監視子装置103のセンサ111が測定した電荷量を示す計測情報を上流側の他の監視子装置103または監視親装置102へ送信する。また、通信部105は、下流側に位置する監視子装置103から電荷量を示す計測情報を受信した場合、受信した計測情報を上流側の他の監視子装置103または監視親装置102へ転送する。
【0066】
図5は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるアドレス割り当ての一例を示す図である。以下では、通信システム301が、監視子装置103である監視子装置103_1および監視子装置103_2を備える場合について説明する。監視子装置103_1および監視子装置103_2は、上流側からこの順番で設置される。
【0067】
図5を参照して、通信システム301では、上位装置181および収集装置151間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと、収集装置151および監視装置101間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なる。
【0068】
具体的には、上位装置181および収集装置151間では、たとえば携帯電話回線を用いた通信が行われる。上位装置181および収集装置151間では、第1の下位レイヤの通信プロトコルとして、携帯電話回線用の通信プロトコル、たとえばIPが用いられる。
【0069】
一方、収集装置151および監視親装置102間では、たとえばシリアル通信が行われる。収集装置151および監視親装置102間では、第2の下位レイヤの通信プロトコルとして、シリアル通信用の通信プロトコルが用いられる。
【0070】
また、監視親装置102および監視子装置103間、ならびに監視子装置103間では、たとえば、IEEE802.15.4の通信規格に従う、920MHz帯の通信帯域を用いる特定小電力無線通信が行われる。監視親装置102および監視子装置103間、ならびに監視子装置103間では、第2の下位レイヤの通信プロトコルとして、当該特定小電力無線通信用の通信プロトコルが用いられる。
【0071】
上位装置181は、第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子、たとえばIPアドレスの第1リスト情報を図示しない記憶部に保持する。
【0072】
図6は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける上位装置が保持する第1リスト情報の一例を示す図である。
【0073】
図6を参照して、第1リスト情報TL1は、上位装置181が管理する監視系統Tごとの、PAN_IDと、上位装置181のIPアドレスと、収集装置151のIPアドレスとの対応関係を示す。
【0074】
また、上位装置181は、第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子、たとえばショートアドレスの第2リスト情報を図示しない記憶部に保持する。
【0075】
図7は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおいて、上位装置が保持する第2リスト情報の一例を示す図である。
【0076】
図7を参照して、第2リスト情報TL2は、上位装置181が管理する監視系統Tごとの、監視系統番号と、PAN_IDと、上位装置181のショートアドレスと、収集装置151のショートアドレスと、監視親装置102のショートアドレスおよび鉄塔番号と、監視子装置103_1のショートアドレスおよび鉄塔番号と、監視子装置103_2のショートアドレスおよび鉄塔番号との対応関係を示す。
【0077】
監視系統番号および鉄塔番号が、鉄塔の設置場所を示す。これにより、ユーザは、たとえば上位装置181へ監視系統番号および鉄塔番号を入力することにより、上位装置181に対して所望の鉄塔における監視装置101等を指定し、各種情報の取得等を行うことができる。
【0078】
収集装置151は、第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子、たとえばIPアドレスの第1リスト情報を図示しない記憶部に保持する。
【0079】
具体的には、たとえば、第1リスト情報は、上位装置181および収集装置151に付与されたIPアドレスのリスト情報である。
【0080】
図8は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける収集装置が保持する第1リスト情報の一例を示す図である。図8は、監視系統T1に属する収集装置151が保持する第1リスト情報の一例を示している。
【0081】
図8を参照して、第1リスト情報SL1は、監視系統T1の、PAN_IDと、上位装置181のIPアドレスと、収集装置151のIPアドレスとの対応関係を示す。
【0082】
図9は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける収集装置が保持する第1リスト情報の一例を示す図である。図9は、監視系統T2に属する収集装置151が保持する第1リスト情報の一例を示す。
【0083】
図9を参照して、第1リスト情報SL1は、監視系統T2の、PAN_IDと、上位装置181のIPアドレスと、収集装置151のIPアドレスとの対応関係を示す。
【0084】
また、収集装置151は、第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子、たとえばショートアドレスの第2リスト情報を図示しない記憶部に保持する。
【0085】
具体的には、たとえば、第2リスト情報は、上位装置181、収集装置151、監視親装置102および監視子装置103に付与されたショートアドレスのリスト情報である。
【0086】
図10は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける収集装置が保持する第2リスト情報の一例を示す図である。図10は、監視系統T1に属する収集装置151が保持する第2リスト情報の一例を示している。
【0087】
図10を参照して、第2リスト情報SL2は、監視系統T1の、監視系統番号と、PAN_IDと、上位装置181のショートアドレスと、収集装置151のショートアドレスと、監視親装置102のショートアドレスおよび鉄塔番号と、監視子装置103_1のショートアドレスおよび鉄塔番号と、監視子装置103_2のショートアドレスおよび鉄塔番号との対応関係を示す。
【0088】
図11は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける収集装置が保持する第2リスト情報の一例を示す図である。図11は、監視系統T2に属する収集装置151が保持する第2リスト情報の一例を示している。
【0089】
図11を参照して、第2リスト情報SL2は、監視系統T2の、監視系統番号と、PAN_IDと、上位装置181のショートアドレスと、収集装置151のショートアドレスと、監視親装置102のショートアドレスおよび鉄塔番号と、監視子装置103_1のショートアドレスおよび鉄塔番号と、監視子装置103_2のショートアドレスおよび鉄塔番号との対応関係を示す。
【0090】
上記のように、通信システム301では、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なる第1端末識別子、たとえばIPアドレスが固定的に割り当てられている。
【0091】
また、収集装置151、監視親装置102、監視子装置103および上位装置181にそれぞれ異なる第2端末識別子、たとえばショートアドレスが固定的に割り当てられている。
【0092】
また、監視系統T1,T2にそれぞれ異なるネットワーク識別子、たとえばPAN_ID(Personal Area Network Identification)が固定的に割り当てられている。
【0093】
通信システム301において、監視親装置102、複数の監視子装置103、収集装置151および上位装置181は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして第2端末識別子、たとえば、送信元ショートアドレスおよび送信先ショートアドレスがそれぞれ格納されたパケットを送受信する。
【0094】
図12は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるパケットの要部の一例を示す図である。
【0095】
図12を参照して、上位装置181と収集装置151との間で伝送されるパケットは、TCP/IPヘッダ、ルーティングヘッダ、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードを含む。TCP/IPヘッダおよびルーティングヘッダは下位レイヤの通信に用いられ、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードは上位レイヤの通信に用いられる。なお、当該パケットは、図12に示す内容以外のデータを含んでもよい。
【0096】
上位装置181は、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードの内容を認識することができる。一方、収集装置151は、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードの内容を認識することができない。
【0097】
収集装置151と監視親装置102との間で伝送されるパケットは、シリアルヘッダ、ルーティングヘッダ、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードを含む。シリアルヘッダおよびルーティングヘッダは下位レイヤの通信に用いられ、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードは上位レイヤの通信に用いられる。
【0098】
収集装置151および監視親装置102は、シリアルヘッダおよびルーティングヘッダの内容を認識することができる一方で、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードの内容を認識することができない。
【0099】
監視親装置102と監視子装置103との間で伝送されるパケットは、無線ヘッダ、ルーティングヘッダ、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードを含む。無線ヘッダおよびルーティングヘッダは下位レイヤの通信に用いられ、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードは上位レイヤの通信に用いられる。
【0100】
監視親装置102および監視子装置103は、無線ヘッダおよびルーティングヘッダの内容を認識することができる一方で、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードの内容を認識することができない。
【0101】
監視子装置103間で伝送されるパケットは、無線ヘッダ、ルーティングヘッダ、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードを含む。無線ヘッダおよびルーティングヘッダは下位レイヤに対応し、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードは上位レイヤに対応する。
【0102】
監視子装置103は、無線ヘッダおよびルーティングヘッダの内容を認識することができる一方で、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードの内容を認識することができない。
【0103】
図13は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける、上位装置および収集装置間で使用されるパケットの一例を示す図である。図13には、IPパケットのフォーマットが示されている。
【0104】
図13を参照して、IPパケットは、TCP/IPヘッダと、ペイロードに格納されたルーティングパケットとを含む。
【0105】
TCP/IPヘッダは、たとえば、「送信先IPアドレス」および「送信元IPアドレス」を含む。
【0106】
ルーティングパケットは、たとえば、ルーティングヘッダと、ペイロードに格納されたアプリケーションパケットとを含む。
【0107】
ルーティングヘッダは、たとえば、「送信先PAN_ID」、「送信元PAN_ID」、「送信先ショートアドレス」および「送信元ショートアドレス」を含む。
【0108】
アプリケーションパケットは、たとえば、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードを含む。
【0109】
アプリケーションペイロードは、計測情報等の対象情報を含む。対象情報は、たとえば、送電設備等の電力系統の保守に用いられる情報等を含む。詳細には、監視装置101が鉄塔2に設置される場合、対象情報は、たとえば、送電設備への雷撃位置の検出に用いられる電荷量を示す計測情報、送電線4の温度監視に用いられる温度を示す計測情報、鉄塔2の傾きを示す計測情報、または地面上の積雪の深さを示す計測情報等を含む。
【0110】
また、監視装置101が送電線4に設置される場合、対象情報は、たとえば、送電設備への雷撃位置の検出に用いられる電荷量を示す計測情報、送電線4の温度監視に用いられる温度を示す計測情報、または送電線4の弛み等による傾きを示す計測情報等を含む。
【0111】
また、監視装置101が架空地線3に設置される場合、対象情報は、たとえば、送電設備への雷撃位置の検出に用いられる電荷量を示す計測情報、架空地線3の温度監視に用いられる温度を示す計測情報、または架空地線3の弛み等による傾きを示す計測情報等を含む。
【0112】
また、監視装置101が鉄塔2の周辺の地面に設置される場合、対象情報は、たとえば、地面の傾きを示す計測情報、地面の振動を示す計測情報、または地面上の積雪の深さを示す計測情報等を含む。
【0113】
監視装置101におけるセンサ111の検知対象およびセンサ111の種類は、上記対象情報の種類に応じて適宜設定される。
【0114】
図14は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける、収集装置および無線親装置間で使用されるパケットの一例を示す図である。図14には、シリアル通信により伝送されるシリアルパケットのフォーマットが示されている。
【0115】
図14を参照して、シリアルパケットは、シリアルヘッダと、ペイロードに格納されたルーティングパケットとを含む。
【0116】
シリアルヘッダは、シリアル通信に用いられるヘッダである。ルーティングパケットは、図13に示すルーティングパケットと同じ内容である。
【0117】
図15は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける監視装置間で使用されるパケットの一例を示す図である。図15には、920MHzの特定小電力無線通信により伝送される無線パケットのフォーマットが示されている。
【0118】
図15を参照して、無線パケットは、無線ヘッダと、ペイロードに格納されたルーティングパケットとを含む。
【0119】
無線ヘッダは、特定小電力無線通信に用いられるヘッダである。ルーティングパケットは、図13に示すルーティングパケットと同じ内容である。
【0120】
[動作の流れ]
通信システム301における各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0121】
図16は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける情報伝送のシーケンスの一例を示す図である。
【0122】
図16は、上位装置181および監視系統T1における、すなわち上位装置181、収集装置151、監視親装置102、および2つの監視子装置103_1,103_2の間におけるパケットの8つの伝送例1~8がこの順番で実行される例を示している。
【0123】
下り方向へ情報を伝送する伝送例1において、上位装置181は、収集装置151の設定情報を含むIPパケットを収集装置151へ送信する。
【0124】
このIPパケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先IPアドレスとして「192.168.1.3」を含み、送信元IPアドレスとして「192.168.1.2」を含み、送信先ショートアドレスとして「0xFFFD」を含み、送信元ショートアドレスとして「0xFFFE」を含む。このIPパケットは、送信元PAN_IDを含まない。
【0125】
次に、収集装置151は、上位装置181からIPパケットを受信して処理する。
【0126】
上り方向へ情報を伝送する伝送例2において、収集装置151は、計測情報等を含むIPパケットを上位装置181へ送信する。
【0127】
このIPパケットは、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先IPアドレスとして「192.168.1.2」を含み、送信元IPアドレスとして「192.168.1.3」を含み、送信先ショートアドレスとして「0xFFFE」を含み、送信元ショートアドレスとして「0xFFFD」を含む。このIPパケットは、送信先PAN_IDを含まない。
【0128】
次に、上位装置181は、収集装置151からIPパケットを受信して処理する。
【0129】
下り方向へ情報を伝送する伝送例3において、上位装置181は、監視親装置102の設定情報等を含むIPパケットを収集装置151へ送信する。
【0130】
このIPパケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先IPアドレスとして「192.168.1.3」を含み、送信元IPアドレスとして「192.168.1.2」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0000」を含み、送信元ショートアドレスとして「0xFFFE」を含む。このIPパケットは、送信元PAN_IDを含まない。
【0131】
次に、収集装置151は、上位装置181からIPパケットを受信すると、受信したIPパケットのTCP/IPヘッダを削除し、シリアルヘッダを追加することによりシリアルパケットを作成し、作成したシリアルパケットを監視親装置102へ送信する。
【0132】
このシリアルパケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0000」を含み、送信元ショートアドレスとして「0xFFFE」を含む。このシリアルパケットは、送信元PAN_IDを含まない。
【0133】
次に、監視親装置102は、収集装置151からシリアルパケットを受信して処理する。
【0134】
上り方向へ情報を伝送する伝送例4において、監視親装置102は、計測情報等を含むシリアルパケットを収集装置151へ送信する。
【0135】
このシリアルパケットは、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0xFFFE」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0000」を含む。このシリアルパケットは、送信先PAN_IDを含まない。
【0136】
次に、収集装置151は、監視親装置102からシリアルパケットを受信すると、受信したシリアルパケットのシリアルヘッダを削除し、TCP/IPヘッダを追加することによりIPパケットを作成し、作成したIPパケットを上位装置181へ送信する。
【0137】
このIPパケットは、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0xFFFE」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0000」を含む。このIPパケットは、送信先PAN_IDを含まない。
【0138】
次に、上位装置181は、収集装置151からIPパケットを受信して処理する。
【0139】
下り方向へ情報を伝送する伝送例5において、上位装置181は、監視子装置103_2の設定情報を含むIPパケットを収集装置151へ送信する。
【0140】
このIPパケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先IPアドレスとして「192.168.1.3」を含み、送信元IPアドレスとして「192.168.1.2」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0002」を含み、送信元ショートアドレスとして「0xFFFE」を含む。このIPパケットは、送信元PAN_IDを含まない。
【0141】
次に、収集装置151は、上位装置181からIPパケットを受信すると、受信したIPパケットのTCP/IPヘッダを削除し、シリアルヘッダを追加することによりシリアルパケットを作成し、作成したシリアルパケットを監視親装置102へ送信する。
【0142】
このシリアルパケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0002」を含み、送信元ショートアドレスとして「0xFFFE」を含む。このシリアルパケットは、送信元PAN_IDを含まない。
【0143】
次に、監視親装置102は、収集装置151からシリアルパケットを受信すると、受信したシリアルパケットのシリアルヘッダを削除し、無線ヘッダを追加することにより無線パケットを作成し、作成した無線パケットを監視子装置103_1へ送信する。
【0144】
この無線パケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先無線アドレスとして「0x0001」を含み、送信元無線アドレスとして「0x0000」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0002」を含み、送信元ショートアドレスとして「0xFFFE」を含む。この無線パケットは、送信元PAN_IDを含まない。
【0145】
次に、監視子装置103_1は、監視親装置102から無線パケットを受信すると、受信した無線パケットの無線ヘッダを削除し、新たな無線ヘッダを追加することにより新たな無線パケットを作成し、作成した無線パケットを監視子装置103_2へ送信する。
【0146】
この無線パケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先無線アドレスとして「0x0002」を含み、送信元無線アドレスとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0002」を含み、送信元ショートアドレスとして「0xFFFE」を含む。この無線パケットは、送信元PAN_IDを含まない。
【0147】
次に、監視子装置103_2は、監視子装置103_1から無線パケットを受信して処理する。
【0148】
上り方向へ情報を伝送する伝送例6において、監視子装置103_2は、計測情報等を含む無線パケットを監視子装置103_1へ送信する。
【0149】
この無線パケットは、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先無線アドレスとして「0x0001」を含み、送信元無線アドレスとして「0x0002」を含み、送信先ショートアドレスとして「0xFFFE」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0002」を含む。この無線パケットは、送信先PAN_IDを含まない。
【0150】
次に、監視子装置103_1は、監視子装置103_2から無線パケットを受信すると、受信した無線パケットの無線ヘッダを削除し、新たな無線ヘッダを追加することにより新たな無線パケットを作成し、作成した無線パケットを監視親装置102へ送信する。
【0151】
この無線パケットは、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先無線アドレスとして「0x0000」を含み、送信元無線アドレスとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0xFFFE」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0002」を含む。この無線パケットは、送信先PAN_IDを含まない。
【0152】
次に、監視親装置102は、監視子装置103_1から無線パケットを受信すると、受信した無線パケットの無線ヘッダを削除し、シリアルヘッダを追加することによりシリアルパケットを作成し、作成したシリアルパケットを収集装置151へ送信する。
【0153】
このシリアルパケットは、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0xFFFE」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0002」を含む。このシリアルパケットは、送信先PAN_IDを含まない。
【0154】
次に、収集装置151は、監視親装置102からシリアルパケットを受信すると、受信したシリアルパケットのシリアルヘッダを削除し、TCP/IPヘッダを追加することによりIPパケットを作成し、作成したIPパケットを上位装置181へ送信する。
【0155】
このIPパケットは、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先IPアドレスとして「192.168.1.2」を含み、送信元IPアドレスとして「192.168.1.3」を含み、送信先ショートアドレスとして「0xFFFE」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0002」を含む。このIPパケットは、送信先PAN_IDを含まない。
【0156】
次に、上位装置181は、収集装置151からIPパケットを受信して処理する。
【0157】
下り方向へ情報を伝送する伝送例7において、監視親装置102は、監視子装置103_2に設定等を行う情報を含む無線パケットを監視子装置103_1へ送信する。
【0158】
この無線パケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先無線アドレスとして「0x0001」を含み、送信元無線アドレスとして「0x0000」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0002」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0000」を含む。
【0159】
次に、監視子装置103_1は、監視親装置102から無線パケットを受信すると、受信した無線パケットの無線ヘッダを削除し、新たな無線ヘッダを追加することにより新たな無線パケットを作成し、作成した無線パケットを監視子装置103_2へ送信する。
【0160】
この無線パケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先無線アドレスとして「0x0002」を含み、送信元無線アドレスとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0002」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0000」を含む。
【0161】
次に、監視子装置103_2は、監視子装置103_1から無線パケットを受信して処理する。
【0162】
上り方向へ情報を伝送する伝送例8において、監視子装置103_2は、計測情報等の情報を含む無線パケットを監視子装置103_1へ送信する。
【0163】
この無線パケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先無線アドレスとして「0x0001」を含み、送信元無線アドレスとして「0x0002」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0000」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0002」を含む。
【0164】
次に、監視子装置103_1は、監視子装置103_2から無線パケットを受信すると、受信した無線パケットの無線ヘッダを削除し、新たな無線ヘッダを追加することにより新たな無線パケットを作成し、作成した無線パケットを監視親装置102へ送信する。
【0165】
この無線パケットは、送信先PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信元PAN_IDとして「0x0001」を含み、送信先無線アドレスとして「0x0000」を含み、送信元無線アドレスとして「0x0001」を含み、送信先ショートアドレスとして「0x0000」を含み、送信元ショートアドレスとして「0x0002」を含む。
【0166】
次に、監視親装置102は、監視子装置103_1から無線パケットを受信して処理する。
【0167】
通信システム301では、各装置間で伝送されるパケットがPAN_IDを含む。これにより、たとえば、鉄塔2に監視装置101を取り付ける工事において、誤ったPAN_IDを有する監視装置101を取り付けてしまった場合でも、たとえば上位装置181が誤りを認識することができる。なお、通信システム301は、各装置間で伝送されるパケットがPAN_IDを含まない構成であってもよい。
【0168】
また、本発明の実施の形態に係る通信システムでは、監視装置101がセンサ111を備える構成としたが、これに限定するものではない。監視装置101の外部にセンサ111が設けられる構成であってもよい。
【0169】
この場合、センサ111は、計測結果を示す情報を有線通信または無線通信により監視装置101へ送信する。
【0170】
また、本発明の実施の形態に係る通信システムでは、複数の監視装置101のうちの一部の監視装置101がセンサ111を備える構成であってもよい。
【0171】
たとえば、複数の監視装置101のうちの一部の監視装置101がセンサ111を備え、他の監視装置101がセンサ111を備えない構成であってもよい。この場合、センサ111を備えない監視装置101の外部にセンサ111が設けられ、当該センサ111が当該監視装置101へ計測結果を示す計測情報を送信する構成であってもよい。
【0172】
また、センサ111を備えない監視装置101は、情報の送信元となることなく、他の監視装置101からの情報をさらに別の監視装置101へ転送する構成であってもよい。
【0173】
また、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける複数の監視装置101間において、上り方向への無線パケットの転送および下り方向への無線パケットの転送のいずれか一方が行われる構成であってもよい。
【0174】
ところで、特許文献1に記載のネットワークシステムにおいては、無線局間、ならびに無線局および親局間においてたとえば2.4GHz帯の特定小電力無線による通信が行われる一方で、親局および上位ホスト局間では携帯電話回線等による通信が行われる。
【0175】
このため、無線局間、ならびに無線局および親局間で使用される通信プロトコルと、親局および上位ホスト局間で使用される通信プロトコルとが異なる。このような通信プロトコルが異なる装置間で通信を行う場合、たとえば、上位ホスト局および親局の各々に、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルを設ける方法1、および、無線局間、ならびに無線局および親局間で使用される通信プロトコルを、親局および上位ホスト局間で使用される通信プロトコルに合わせる方法2が考えられる。
【0176】
しかしながら、方法1を採用した場合、アドレスの変換処理が必要になることに加えて、保守目的等によってアドレステーブルを更新する場合、各アドレステーブル間で更新の整合がとれていないと、通信に不具合が生じる虞がある。
【0177】
また、方法2を採用した場合、無線局間、ならびに無線局および親局間における通信のヘッダのデータサイズが大きくなり、伝送量が増大する。
【0178】
これに対して、本発明の実施の形態に係る通信システムでは、上位装置181は、上位装置181および収集装置151間の通信における第1の下位レイヤで用いられるIPアドレスの第1リスト情報、収集装置151および監視親装置102間、ならびに監視親装置102および監視子装置103間の通信における第2の下位レイヤで用いられるショートアドレスの第2リスト情報を保持する。そして、監視親装置102、監視子装置103、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なるショートアドレスが固定的に割り当てられる。複数の監視装置101、収集装置151および上位装置181は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとしてショートアドレスが格納されたパケットを送受信する。
【0179】
このように、上位装置181および収集装置151間の通信の下位レイヤにおいて用いられるIPアドレスの第1リスト情報と、収集装置151および監視装置101間の通信の下位レイヤにおいて用いられるショートアドレスの第2リスト情報とを上位装置181が保持し、かつ、複数の監視装置101、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なるショートアドレスが固定的に割り当てられる構成により、上位装置181および収集装置151間における下位レイヤならびに収集装置151および監視装置101間における下位レイヤの相違をショートアドレスによって吸収することができる。これにより、上位装置181および収集装置151において、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルが不要となる。よって、上位装置181および収集装置151においてアドレスの変換処理を行う必要がなく、上位装置181および収集装置151間におけるアドレステーブルの更新の整合が不要となる。
【0180】
したがって、本発明の実施の形態に係る通信システムでは、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0181】
また、本発明の実施の形態に係る通信システムは、収集装置151および複数の監視装置101の組、すなわち監視系統Tを複数備える。各監視系統Tに異なるPAN_IDが固定的に割り当てられている。第1リスト情報は、PAN_IDとIPアドレスとの対応関係を示し、第2リスト情報は、PAN_IDとショートアドレスとの対応関係を示している。パケットに、PAN_IDがさらに格納される。
【0182】
このような構成により、各々が収集装置151および複数の監視装置101により構成される複数の監視系統Tと、上位装置181とを備える通信システム301をより安定して運用することができる。
【0183】
また、本発明の実施の形態に係る上位装置は、上位装置181および収集装置151間の通信における第1の下位レイヤで用いられるIPアドレスの第1リスト情報、収集装置151および監視親装置102間、ならびに監視親装置102および監視子装置103間の通信における第2の下位レイヤで用いられるショートアドレスの第2リスト情報を保持する。そして、監視親装置102、監視子装置103、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なるショートアドレスが固定的に割り当てられる。上位装置181は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとしてショートアドレスが格納されたパケットを、複数の監視装置101および収集装置151との間で送受信する。
【0184】
このように、上位装置181および収集装置151間の通信の下位レイヤにおいて用いられるIPアドレスの第1リスト情報と、収集装置151および監視装置101間の通信の下位レイヤにおいて用いられるショートアドレスの第2リスト情報とを上位装置181が保持し、かつ、複数の監視装置101、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なるショートアドレスが固定的に割り当てられる構成により、上位装置181および収集装置151間における下位レイヤならびに収集装置151および監視装置101間における下位レイヤの相違をショートアドレスによって吸収することができる。これにより、上位装置181および収集装置151において、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルが不要となる。よって、上位装置181および収集装置151においてアドレスの変換処理を行う必要がなく、上位装置181および収集装置151間におけるアドレステーブルの更新の整合が不要となる。
【0185】
したがって、本発明の実施の形態に係る上位装置では、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0186】
また、本発明の実施の形態に係る収集装置は、上位装置181および収集装置151間の通信における第1の下位レイヤで用いられるIPアドレスの第1リスト情報、収集装置151および監視親装置102間、ならびに監視親装置102および監視子装置103間の通信における第2の下位レイヤで用いられるショートアドレスの第2リスト情報を保持する。そして、監視親装置102、監視子装置103、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なるショートアドレスが固定的に割り当てられる。収集装置151は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとしてショートアドレスが格納されたパケットを、複数の監視装置101および上位装置181との間で送受信する。
【0187】
このように、上位装置181および収集装置151間の通信の下位レイヤにおいて用いられるIPアドレスの第1リスト情報と、収集装置151および監視装置101間の通信の下位レイヤにおいて用いられるショートアドレスの第2リスト情報とを収集装置151が保持し、かつ、複数の監視装置101、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なるショートアドレスが固定的に割り当てられる構成により、上位装置181および収集装置151間における下位レイヤならびに収集装置151および監視装置101間における下位レイヤの相違をショートアドレスによって吸収することができる。これにより、上位装置181および収集装置151において、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルが不要となる。よって、上位装置181および収集装置151においてアドレスの変換処理を行う必要がなく、上位装置181および収集装置151間におけるアドレステーブルの更新の整合が不要となる。
【0188】
したがって、本発明の実施の形態に係る収集装置では、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0189】
また、本発明の実施の形態に係る通信方法では、上位装置181は、上位装置181および収集装置151間の通信における第1の下位レイヤで用いられるIPアドレスの第1リスト情報、収集装置151および監視親装置102間、ならびに監視親装置102および監視子装置103間の通信における第2の下位レイヤで用いられるショートアドレスの第2リスト情報を保持している。また、監視親装置102、監視子装置103、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なるショートアドレスが固定的に割り当てられている。上記通信方法では、まず、監視装置101、収集装置151または上位装置181が、送信元アドレスおよび送信先アドレスとしてショートアドレスが格納されたパケットを送信する。次に、監視装置101、収集装置151または上位装置181が、上記パケットを受信する。
【0190】
このように、第1の下位レイヤにおいて用いられるIPアドレスの第1リスト情報、および第2の下位レイヤにおいて用いられるショートアドレスの第2リスト情報を上位装置181が保持し、かつ、複数の監視装置101、収集装置151および上位装置181にそれぞれ異なるショートアドレスが固定的に割り当てられる構成により、上位装置181および収集装置151間における下位レイヤならびに収集装置151および監視装置101間における下位レイヤの相違をショートアドレスによって吸収することができる。これにより、上位装置181および収集装置151において、各通信プロトコルにおいて用いられるアドレスを変換するためのアドレステーブルが不要となる。よって、上位装置181および収集装置151においてアドレスの変換処理を行う必要がなく、上位装置181および収集装置151間におけるアドレステーブルの更新の整合が不要となる。
【0191】
したがって、本発明の実施の形態に係る通信方法では、電力系統において、より安定した運用を実現することができる。
【0192】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0193】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
電力系統に用いられる通信システムであって、
情報を転送する複数の監視装置と、
前記監視装置によって転送された前記情報を取得する収集装置と、
前記収集装置と通信可能な上位装置とを備え、
前記上位装置および前記収集装置間の通信における下位レイヤである第1の下位レイヤと前記収集装置および前記監視装置間の通信における下位レイヤである第2の下位レイヤとが異なり、
前記上位装置は、前記第1の下位レイヤにおいて用いられる第1端末識別子の第1リスト情報、および前記第2の下位レイヤにおいて用いられる第2端末識別子の第2リスト情報を保持し、
前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置にそれぞれ異なる前記第2端末識別子が固定的に割り当てられており、
前記複数の監視装置、前記収集装置および前記上位装置は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして前記第2端末識別子が格納されたパケットを送受信し、
前記第2リスト情報は、鉄塔の設置場所とネットワーク識別子との対応関係をさらに示す、通信システム。
【符号の説明】
【0194】
2 鉄塔
3 架空地線
4 送電線
101 監視装置
102 監視親装置
103,103_1,103_2 監視子装置
104,105 通信部
106 電池
107 制御部
108 記憶部
111 センサ
151 収集装置
181 上位装置
301 通信システム
T,T1,T2 監視系統
TL1,SL1 第1リスト情報
TL2,SL2 第2リスト情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16