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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】テトラヒドロナフタレン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/14 20060101AFI20230516BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 31/401 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230516BHJP
   C07D 205/04 20060101ALI20230516BHJP
   C07D 223/16 20060101ALI20230516BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
C07C229/14 CSP
A61K31/197
A61K31/397
A61K31/401
A61K31/55
A61P21/02
A61P25/00
A61P25/18
A61P25/28
A61P31/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 111
C07D205/04
C07D223/16 Z
C07D405/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021153575
(22)【出願日】2021-09-21
(62)【分割の表示】P 2017563845の分割
【原出願日】2017-01-27
(65)【公開番号】P2022000450
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2016015064
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊英
(72)【発明者】
【氏名】久須美 健介
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕一
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-114107(JP,A)
【文献】特表2005-532275(JP,A)
【文献】特表2007-506661(JP,A)
【文献】特表2004-532834(JP,A)
【文献】特表2012-530108(JP,A)
【文献】特表2009-520688(JP,A)
【文献】特表2013-519732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0240671(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0203493(US,A1)
【文献】米国特許第05912342(US,A)
【文献】国際公開第2007/129745(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/129796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
A61P
A61K 31/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I
【化1】
[式中、X1およびX2はそれぞれ独立して、CH2またはNHを表し、ただし、X1およびX2は、同時にNHを表さず、
Yは、(1)-CH2-、(2)-NH-、(3)-S-、または(4)-O-を表し、
Wは、(1)C1~6アルキレン基、(2)C2~6アルケニレン基、(3)C2~6アルキニレン基、(4)-C1~6アルキレン-O-、(5)-C2~6アルケニレン-O-、(6)-C2~6アルキニレン-O-、または(7)-C1~6アルキレン-ring2-を表し、
1は、(1)-L-、(2)-L-ring3-、または(3)-L-NR13-を表し、
2は、(1)ハロゲン原子、(2)C1~4アルキル基、(3)C1~4ハロアルキル基、(4)C1~4アルコキシ基、または(5)C1~4ハロアルコキシ基を表し、
3 は、(1)ハロゲン原子、(2)C1~4アルキル基、(3)C1~4ハロアルキル基、(4)C1~4アルコキシ基、(5)C1~4ハロアルコキシ基、(6)ニトリル基、(7)-S-C1~4アルキル基、または(8)-S-C1~4ハロアルキル基を表し、ここで、R 3 で表されるC1~4アルキル基またはC1~4ハロアルキル基が分枝鎖の場合、同一の炭素原子から分枝したC1~2アルキル基は一緒になってC3~4の飽和炭素環を形成してもよく、
13は、(1)水素原子、または(2)C1~4アルキル基を表し、
Lは、(1)結合手、または(2)式
【化2】
(ここで、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素原子、C1~4アルキル基を表し、またはR11およびR12は結合する炭素原子と一緒になってC3~7の炭素環を形成してもよく、tは1~6の整数を表す。)で示される基を表し、
Zは、ルボキシル基表し、
ring1は、3~10の炭素環表し、
ring2は、(1)C3~7の炭素環、または(2)3~7員のヘテロ環を表し、
ring3は、(1)C1~4アルキル基で置換されていてもよいC3~7の炭素環、または(2)C1~4アルキル基で置換されていてもよい3~7員のヘテロ環を表し、
mは、0~2の整数を表し、
nは、0~2の整数を表し、
pは、0~3の整数を表し、
qは、0~5の整数を表し、
が2以上のとき、複数のR2は同じでも異なってもよく、
qが2以上のとき、複数のR3 同じでも異なってもよく、
tが2以上のとき、複数のR11は同じでも異なってもよく、
tが2以上のとき、複数のR12は同じでも異なっていてもよい。]
で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Yが、-CH2-、または-O-である請求項1載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
ring3が、C1~4アルキル基で置換されていてもよいC3~7の飽和炭素環、またはC1~4アルキル基で置換されていてもよい3~7員の飽和ヘテロ環である請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
一般式(I-A)
【化3】
[式中、ring3 A は3~7員の含窒素飽和ヘテロ環を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。]で示される、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
一般式(I-B)
【化4】
[式中、R 1-B は、-L-、または-L-ring3 B -を表し、ring3 B は、C3~7の炭素環を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。]で示される、請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
ring1が、シクロブタン、シクロヘキサン、ベンゼン、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン、インダン、ナフタレン、またはテトラヒドロナフタレン環である請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
ring2が、C3~7の炭素環である請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
(1)4-[6-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸、
(2)4-{6-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸、
(3)1-{8-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボン酸、および
(4)1-[8-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸からなる群から選択される請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I-1)
【化1】
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表す。)で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩(以下、本発明化合物と略記することがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴシン-1-リン酸[(2S,3R,4E)-2-アミノ-3-ヒドロキシオクタデカ-4-エニル-1-リン酸;以下S1Pと略することがある。]は細胞内でのスフィンゴ脂質の代謝回転や、細胞外での分泌性スフィンゴシンキナーゼの作用で合成される脂質であり、細胞間情報伝達物質および細胞内二次情報伝達物質として働くことが提唱されている。
【0003】
S1P受容体のうち、S1P(EDG-8)受容体に関しては、オリゴデンドロサイト(乏突起膠細胞)およびオリゴデンドロサイト前駆細胞に高発現していることが知られている(非特許文献1および2参照)。オリゴデンドロサイトは、神経細胞の軸索に結合して、髄鞘(ミエリン)を形成するグリア細胞の一種である。したがって、S1P受容体に結合し、これを調節し得る化合物は、神経細胞において消失したミエリン(脱ミエリン化)の再生を促進する可能性があることから、統合失調症等の神経変性疾患の治療に有用であると考えられている。
【0004】
また、S1P受容体は、ナチュラルキラー(NK)細胞にも高発現していることが知られており、S1P受容体が、NK細胞の遊走に関与する(非特許文献3参照)ことがわかっている。
【0005】
さらに、S1P受容体は、腫瘍免疫に関与することが知られているpatrolling monocyteに高発現していることから、S1P受容体を調節することにより、腫瘍免疫活性化が誘導される可能性がある(非特許文献4および5参照)。
【0006】
ところで、本発明に関連する先行技術として、以下の化合物が知られている。
一般式(a)
【化2】
(式中、XはCHまたはNを表し、R1aはフッ素化されたC3~6のシクロアルキル基等を表し、R2aは水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル等を表し、Aはチアゾール、チアジアゾール等から選択される5員のヘテロ環を表し、Bは以下から選択される二環
【化3】
(式中、R9aは少なくとも1つのOHで置換されたC1~4アルキル基等を表し、R10aは水素原子またはハロゲンで置換されていてもよいC1~3アルキル基を表す。)を表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が、S1Pアゴニストであることが開示されている(特許文献1参照)。
【0007】
また、S1Pアゴニスト活性を有する化合物として、一般式(b)
【化4】
(式中、XはCまたはNを表し、R1はHまたは置換されていてもよいアルキル基を表し、R2はH、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン等を表し、WはC、N、C-アルコキシ基等を表し、QはCHO等を表し、Sは以下の残基;
【化5】
(式中、R3はH、アルキル、ハロゲン等を表し、nbは0~3を表す。)を表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が知られている(特許文献2参照)。
【0008】
本発明化合物が、S1P選択的な結合活性を有し、これを調節することは、いずれの先行技術文献にも記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2010/146105号パンフレット
【文献】国際公開第2014/129796号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【文献】ザ・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(The Journal of Neuroscience)、第25巻、第6号、1459-1469ページ、2005年
【文献】ザ・FASEB・ジャーナル(The FASEB Journal)、第21巻、1503-1514ページ、2007年
【文献】ネイチャー・イムノロジー(Nature Immunology)、第8巻、第12号、1337-1344ページ、2007年
【文献】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(European Journal of Immunology)、第43巻、1667-1675ページ、2013年
【文献】サイエンス(Science)、第350巻、第6263号、985-990ページ、2015年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、S1P受容体に選択的に結合し、これを調節する化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決するため、S1P受容体に対する親和性を向上させた化合物を見出すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、本発明化合物が、S1P選択的な結合活性を有し、これを調節することを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、
[1] 一般式(I-1)
【化6】
[式中、XおよびXはそれぞれ独立して、CHまたはNHを表し、ただし、XおよびXは、同時にNHを表さず、
Yは、(1)-CH-、(2)-NH-、(3)-S-、または(4)-O-を表し、
は、(1)C1~12アルキレン基、(2)C2~12アルケニレン基、(3)C2~12アルキニレン基、(4)-C1~12アルキレン-O-、(5)-C2~12アルケニレン-O-、(6)-C2~12アルキニレン-O-、(7)-C1~12アルキレン-ring2-、(8)-C2~12アルケニレン-ring2-、または(9)-C2~12アルキニレン-ring2-を表し、基中、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基は1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
は、(1)-L-、(2)-L-ring3-、または(3)-L-NR13-を表し、
は、(1)ハロゲン原子、(2)C1~4アルキル基、(3)C1~4ハロアルキル基、(4)C1~4アルコキシ基、または(5)C1~4ハロアルコキシ基を表し、
3-1は、(1)ハロゲン原子、(2)C1~4アルキル基、(3)C1~4ハロアルキル基、(4)C1~4アルコキシ基、(5)C1~4ハロアルコキシ基、(6)ニトリル基、(7)-S-C1~4アルキル基、(8)-S-C1~4ハロアルキル基、または(9)オキソ基を表し、ここで、R3-1で表されるC1~4アルキル基またはC1~4ハロアルキル基が分枝鎖の場合、同一の炭素原子から分枝したC1~2アルキル基は一緒になってC3~4の飽和炭素環を形成してもよく、
13は、(1)水素原子、または(2)C1~4アルキル基を表し、
Lは、(1)結合手、または(2)式
【化7】
(ここで、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素原子、C1~4アルキル基を表し、またはR11およびR12は結合する炭素原子と一緒になってC3~7の炭素環を形成してもよく、tは1~6の整数を表す。)で示される基を表し、
Zは、(1)C1~8アルキル基で置換されていてもよいカルボキシル基、(2)C1~8アルキル基で置換されていてもよい水酸基、(3)C1~8アルキル基で置換されていてもよいヒドロキサム酸基、(4)C1~8アルキル基で置換されていてもよいスルホン酸基、(5)C1~8アルキル基で置換されていてもよいボロン酸基、(6)C1~8アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、(7)C1~8アルキル基で置換されていてもよいスルファモイル基、(8)C1~8アルキル基で置換されていてもよいスルホキシイミン基、または(9)テトラゾリル基を表し、
ring1は、(1)C3~10の炭素環、または(2)3~10員のヘテロ環を表し、
ring2は、(1)C3~7の炭素環、または(2)3~7員のヘテロ環を表し、
ring3は、(1)C1~4アルキル基で置換されていてもよいC3~7の炭素環、または(2)C1~4アルキル基で置換されていてもよい3~7員のヘテロ環を表し、
mは、0~2の整数を表し、
nは、0~2の整数を表し、
pは、0~3の整数を表し、
qは、0~5の整数を表し、
vは、0~1の整数を表し、
pが2以上のとき、複数のRは同じでも異なってもよく、
qが2以上のとき、複数のR3-1は同じでも異なってもよく、
tが2以上のとき、複数のR11は同じでも異なってもよく、
tが2以上のとき、複数のR12は同じでも異なっていてもよい。]
で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、
[2] 一般式(I)
【化8】
[式中、Wは、(1)C1~6アルキレン基、(2)C2~6アルケニレン基、(3)C2~6アルキニレン基、(4)-C1~6アルキレン-O-、(5)-C2~6アルケニレン-O-、(6)-C2~6アルキニレン-O-、または(7)-C1~6アルキレン-ring2-を表し、
は、(1)ハロゲン原子、(2)C1~4アルキル基、(3)C1~4ハロアルキル基、(4)C1~4アルコキシ基、(5)C1~4ハロアルコキシ基、(6)ニトリル基、(7)-S-C1~4アルキル基、または(8)-S-C1~4ハロアルキル基を表し、ここで、Rで表されるC1~4アルキル基またはC1~4ハロアルキル基が分枝鎖の場合、同一の炭素原子から分枝したC1~2アルキル基は一緒になってC3~4の飽和炭素環を形成してもよく、
qが2以上のとき、複数のRは同じでも異なっていてもよく、
その他の記号は前記[1]と同じ意味を表す。]
で示される前記[1]記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、
[3] Yが、-CH-、または-O-である前記[1]または[2]記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、
[4] ring1が、C3~10の炭素環である前記[1]~[3]記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、
[5] ring3が、C1~4アルキル基で置換されていてもよいC3~7の飽和炭素環、またはC1~4アルキル基で置換されていてもよい3~7員の飽和ヘテロ環である前記[1]~[4]記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、
[6] Zが、C1~8アルキル基で置換されていてもよいカルボキシル基である前記[1]~[5]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、
[7] 前記[1]記載の一般式(I-1)で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含有してなる医薬組成物、
[8] S1P結合および/または調節剤である前記[7]記載の医薬組成物、
[9] S1P介在性疾患の予防および/または治療剤である前記[7]記載の医薬組成物、
[10] S1P介在性疾患が、神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症または癌である前記[9]記載の医薬組成物、
[11] 神経変性疾患が、統合失調症、ビンスワンガー病、多発性硬化症、視神経脊髄炎、アルツハイマー病、認知障害、筋萎縮性側索硬化症、または脊髄小脳変性症である前記[10]記載の医薬組成物、
[12] 前記[1]記載の一般式(I-1)で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、S1P介在性疾患の予防および/または治療方法、
[13] S1P介在性疾患の予防および/または治療のための前記[1]記載の一般式(I-1)で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、および
[14] S1P介在性疾患の予防および/または治療剤を製造するための前記[1]記載の一般式(I-1)で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用等に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明化合物は、S1P受容体選択的な結合活性を有し、これを調節するため、S1P介在性疾患、例えば、神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症、癌の治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0016】
本発明において、C1~8アルキル基としては、直鎖状または分枝鎖状のC1~8アルキル基が含まれ、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、1-メチルヘキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、2-メチル-3-ヘキシル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチルペンチル、1-エチル-1-メチルブチル、1-メチル-2-エチルブチル、1-エチル-2-メチルブチル、1-エチル-3-メチルブチル、1,1-ジメチルペンチル、1,1,3-トリメチルブチル、1,1-ジエチルプロピル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、3-エチルペンチル、1-メチルヘプチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、1-エチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、1-プロピルペンチル、2-プロピルペンチル、1,5-ジメチルヘキシル、1-エチル-4-メチルペンチル、1-プロピル-3-メチルブチル、1,1-ジメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルペンチル、または1,1-ジエチルブチル基が挙げられる。
【0017】
本発明において、C1~4アルキル基としては、直鎖状または分枝鎖状のC1~4アルキル基が含まれ、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル基が挙げられる。
本発明において、C1~2アルキル基としては、メチル、エチル基が挙げられる。
【0018】
本発明において、C1~4ハロアルキル基としては、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ヨードメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、ペンタフルオロエチル、1-フルオロプロピル、2-クロロプロピル、3-フルオロプロピル、3-クロロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4-ブロモブチル基が挙げられる。
【0019】
本発明において、C1~4アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、またはtert-ブトキシ基が挙げられる。
【0020】
本発明において、C1~4ハロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、クロロメトキシ、ブロモメトキシ、フルオロメトキシ、ヨードメトキシ、ジフルオロメトキシ、ジブロモメトキシ、2-クロロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、3-ブロモプロポキシ、3-クロロプロポキシ、2,3-ジクロロプロポキシ、1-フルオロブトキシ、4-フルオロブトキシ、1-クロロブトキシ基が挙げられる。
【0021】
本発明において、C1~12アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン基が挙げられる。
本発明において、C1~6アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン基が挙げられる。
【0022】
本発明において、C2~12アルケニレン基としては、例えば、エテニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、ブタジエニレン、ペンタジエニレン、ヘキサジエニレン、ヘプタジエニレン、オクタジエニレン、ノナジエニレン、デカジエニレン、ウンデカジエニレン、ドデカジエニレン基が挙げられる。
本発明において、C2~6アルケニレン基としては、例えば、エテニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ブタジエニレン、ペンタジエニレン、ヘキサジエニレン基が挙げられる。
【0023】
本発明において、C2~12アルキニレン基としては、例えば、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、ヘキシニレン、ヘプチニレン、オクチニレン、ノニニレン、デシニレン、ウンデシニレン、ドデシニレン、ブタジイニレン、ペンタジイニレン、ヘキサジイニレン、ヘプタジイニレン、オクタジイニレン、ノナジイニレン、デカジイニレン、ウンデカジイニレン、ドデカジイニレン基が挙げられる。
本発明において、C2~6アルキニレン基としては、例えば、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、ヘキシニレン、ブタジイニレン、ペンタジイニレン、ヘキサジイニレン基が挙げられる。
【0024】
本発明において、酸性基とは、例えば、カルボキシル基、水酸基、ヒドロキサム酸基、スルホン酸基、ボロン酸基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホキシイミン基(-SH(=O)(=NH))、またはテトラゾリル基が挙げられる。
【0025】
本発明において、C3~10の炭素環とは、C3~10の単環式または二環式炭素環であって、その一部または全部が飽和されていてもよい炭素環をいう。例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタレン、パーヒドロペンタレン、アズレン、パーヒドロアズレン、インデン、パーヒドロインデン、インダン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、パーヒドロナフタレン環が挙げられる。
【0026】
また、本発明においてC3~10の炭素環には、架橋した二環式炭素環も含まれる。例えば、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン、アダマンタン、ノルアダマンタン、キュバン環が挙げられる。
【0027】
本発明において、3~10員のヘテロ環とは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1~5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された3~10員の単環式または二環式ヘテロ環をいう。例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、またはベンゾジチアン環が挙げられる。
【0028】
本発明において、C3~7の炭素環としては、C3~7の単環式炭素環、その一部または全部が飽和されていてもよい炭素環を意味し、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、またはベンゼン環が挙げられる。
【0029】
本発明において、C3~7の飽和炭素環としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン環が挙げられる。
本発明において、C3~4の飽和炭素環としては、シクロプロパン、シクロブタン環が挙げられる。
【0030】
本発明において、3~7員のヘテロ環とは、3~7員の不飽和ヘテロ環および3~7員の飽和ヘテロ環を含む。3~7員のヘテロ環としては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、またはチアジアゼピン環が挙げられる。
【0031】
本発明において、3~7員の飽和ヘテロ環としては、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン環が挙げられる。
【0032】
本発明において、3~7員の含窒素飽和ヘテロ環としては、3~7員の飽和ヘテロ環のうち、必ず1個以上の窒素原子を含むものをいう。例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン環が挙げられる。
【0033】
本発明において、Yとしては、-CH-、または-O-が好ましい。
本発明において、W、またはWの結合の向きは、特に限定されない。
本発明において、R1は、-L-ring3-が好ましい。
本発明において、R1の結合の向きは、特に限定されない。
【0034】
本発明において、ring1としては、C3~10の炭素環が好ましく、シクロブタン、シクロヘキサン、ベンゼン、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン環がより好ましい。
本発明において、ring1としては、3~7員のヘテロ環も好ましく、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ピラゾール環がより好ましい。
【0035】
本発明において、ring2としては、C3~7の炭素環が好ましく、シクロプロパン環がより好ましい。
【0036】
本発明において、ring3としては、C1~4アルキル基で置換されていてもよいC3~7の飽和炭素環が好ましく、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン環がより好ましい。
本発明において、ring3としては、C1~4アルキル基で置換されていてもよい3~7員の飽和ヘテロ環も好ましく、アゼチジン、ピロリジン環がより好ましい。
【0037】
本発明において、実施例に記載された化合物がより好ましい。
本発明において、4-[6-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸、4-{6-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸、または1-{8-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボン酸がより好ましい。
【0038】
[異性体]
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における幾何異性体(E体、Z体、シス体、トランス体)、不斉炭素原子の存在等による光学異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。また、本発明においては、互変異性体による異性体をもすべて包含する。
【0039】
また、本発明における光学異性体は、100%純粋なものだけでなく、50%未満のその他の光学異性体が含まれていてもよい。
【0040】
本発明においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように記号
【化9】
は紙面の向こう側(すなわちα配置)に結合していることを表し、
【化10】
は紙面の手前側(すなわちβ配置)に結合していることを表し、
【化11】
はα配置、β配置またはそれらの任意の比率の混合物であることを表す。
【0041】
一般式(I-1)で示される化合物は、公知の方法で相当する薬学的に許容される塩に変換される。薬学的に許容される塩は、水溶性のものが好ましい。薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N-メチル-D-グルカミン等)の塩、酸付加物塩(無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等)等が挙げられる。
【0042】
一般式(I-1)で示される化合物およびその薬学的に許容される塩は、溶媒和物に変換することもできる。溶媒和物は低毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)との溶媒和物が挙げられる。
【0043】
一般式(I-1)で示される化合物は、公知の方法でN-オキシド体にすることができる。N-オキシド体とは、一般式(I-1)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表す。また、N-オキシド体は、さらに上記のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩となっていてもよい。
【0044】
一般式(I-1)で示される化合物は、適切な共結晶形成剤と共結晶を形成することができる。共結晶としては、薬学的に許容される共結晶形成剤と形成される、薬学的に許容されるものが好ましい。共結晶は、2種以上の異なる分子がイオン結合とは異なる分子間相互作用で形成される結晶として定義される。また、共結晶は中性分子と塩の複合体であってもよい。共結晶は、公知の方法、例えば、融解結晶化、溶媒からの再結晶、又は成分を一緒に物理的に粉砕することにより、調製することができる。適当な共結晶形成剤としては、国際公開第2006/007448号パンフレットに記載のもの、例えば、4-アミノ安息香酸、4-アミノピリジン、アデニン、アラニン、アセチルサリチル酸等が挙げられる。
【0045】
また、一般式(I-1)で示される化合物は、プロドラッグとして投与することもできる。本発明において、プロドラッグとは、生体内において酵素や胃酸等による反応により、一般式(I-1)で示される化合物に変換する化合物をいう。一般式(I-1)で示される化合物のプロドラッグとしては、一般式(I-1)で示される化合物が水酸基を有する場合、該水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、本発明化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I-1)で示される化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、一般式(I-1)で示される化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、イソプロピルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I-1)で示される化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。また、一般式(I-1)で示される化合物のプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163~198頁に記載されているような、生理的条件で一般式(I-1)で示される化合物に変化するものであってもよい。
【0046】
さらに、一般式(I-1)で示される化合物は同位元素(例えば、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、35S、18F、36Cl、123I、125I等)等で標識されていてもよい。
【0047】
[本発明化合物の製造方法]
本発明化合物は、公知の方法、例えば、Comprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition (Richard C. Larock, John Wiley & Sons Inc, 1999)に記載された方法、または実施例に示す方法等を適宜改良し、組み合わせて用いることで製造することができる。
【0048】
一般式(I)のうち、XおよびXがいずれもCHであり、Rが-L-ring3-であり、Lが結合手であり、Yが-O-であり、かつring3が3~7員の含窒素飽和ヘテロ環である化合物、すなわち、一般式(I-A)
【化12】
(式中、ring3は3~7員の含窒素飽和ヘテロ環を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、下記で示される反応工程式1によって製造することができる。
【0049】
【化13】
(式中、Xはハロゲン原子または水酸基を表し、Zは保護されていてもよい酸性基を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)
【0050】
反応工程式1中、反応1は、一般式(II)で示される化合物と、一般式(III)で示される化合物を用いて、還元的アミノ化反応に付すことにより行うことができる。この還元的アミノ化反応は公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド)中、一般式(III)で示される化合物を用いて、還元剤(例えば、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ピナコールボラン)の存在下、0~70℃の温度で反応させることによって行われる。
【0051】
反応工程式1中、反応2は、一般式(IV)で示される化合物と、一般式(V)で示される化合物を用いて、エーテル化反応に付すことにより行うことができる。このエーテル化反応は公知であり、(1)Xがハロゲン原子の場合、置換反応、(2)Xが水酸基の場合、光延反応のいずれかの方法によって行うことができる。
【0052】
(1)置換反応は、例えば有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル t-ブチルエーテル)中、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム)もしくは炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)またはその水溶液あるいはこれらの混合物の存在下、0~100℃で反応させることにより行われる。
【0053】
(2)光延反応は、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン)中、アゾ化合物(例えば、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、1,1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)、1,1’-アゾビス(N,N-ジメチルホルムアミド))およびホスフィン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ポリマーサポートトリフェニルホスフィン)の存在下、0~100℃で反応させることにより行われる。
【0054】
反応工程式1中、反応2によって得られた一般式(VI)で示される化合物は、脱保護反応に付すことにより、一般式(I-A)で示される化合物を製造することができる。
この保護基の脱保護反応は公知であり、以下の方法で行うことができる。例えば、(1)アルカリ加水分解による脱保護反応、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解による脱保護反応、(4)シリル基の脱保護反応、(5)金属を用いる脱保護反応、(6)金属錯体を用いる脱保護反応等が挙げられる。
【0055】
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)中、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0~40℃で行われる。
【0056】
(2)酸条件下での脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、アニソール等)中、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)中、2,2,2-トリフルオロエタノールの存在下または非存在下、0~100℃で行われる。
【0057】
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば溶媒(例えば、エーテル系(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(例えば、ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(例えば、アセトニトリル等)、アミド系(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(例えば、パラジウム-炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム-炭素、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0~200℃で行われる。
【0058】
(4)シリル基の脱保護反応は、例えば水と混和しうる有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いて、0~40℃で行われる。また、例えば、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)中、-10~100℃で行われる。
【0059】
(5)金属を用いる脱保護反応は、例えば酸性溶媒(例えば、酢酸、pH4.2~7.2の緩衝液またはそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、必要であれば超音波をかけながら、0~40℃で行われる。
【0060】
(6)金属錯体を用いる脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、エタノール等)、水またはそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(例えば、水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、ピロリジン等)、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、2-エチルヘキサン酸等)および/または有機酸塩(例えば、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(例えば、トリフェニルホスフィン等)の存在下または非存在下、金属錯体(例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等)を用いて、0-40℃で行われる。
【0061】
また、上記以外にも、例えばT. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載された方法によって、脱保護反応を行なうことができる。
【0062】
水酸基の保護基としては、例えば、メチル基、トリチル基、メトキシメチル(MOM)基、1-エトキシエチル(EE)基、メトキシエトキシメチル(MEM)基、2-テトラヒドロピラニル(THP)基、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、アセチル(Ac)基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジル(Bn)基、p-メトキシベンジル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル(Troc)基等が挙げられる。
【0063】
水酸基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載されたものが用いられる。
【0064】
一般式(I-1)のうち、XおよびXがいずれもCHであり、Rが-L-ring3-であり、Lが結合手であり、Yが-O-であり、かつring3が3~7員の含窒素飽和ヘテロ環である化合物、すなわち、一般式(I-A)’
【化14】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、下記で示される反応工程式1-1によって製造することができる。
【0065】
【化15】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)
【0066】
反応工程式1-1中、一般式(VI)’で示される化合物は、一般式(IV)で示される化合物と一般式(V)’で示される化合物とを用いて、前記した反応2と同じ方法により、製造することができる。
【0067】
反応工程式1-1中、一般式(I-A)’で示される化合物は、一般式(VI)’で示される化合物を前記した脱保護反応に付すことにより、製造することができる。
【0068】
一般式(I)のうち、XおよびXのうち、いずれか一方がNであり、Rが、-L-、または-L-ring3-であり、Yが-O-であり、かつring3がC3~7の炭素環である化合物、すなわち、一般式(I-B)
【化16】
(式中、R1-Bは、-L-、または-L-ring3-を表し、ring3は、C3~7の炭素環を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、下記で示される反応工程式2によって製造することができる。
【0069】
【化17】
(式中、Rは、水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子、またはオキソ基を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)
【0070】
一般式(VIII)で示される化合物において、R1-Bが-L-を表すとき、一般式(IX)で示される化合物は、一般式(VII)で示される化合物と一般式(VIII)で示される化合物とを、反応3に付すことによって製造することができる。反応3は、公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル t-ブチルエーテル)中、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム)の存在下、0~100℃で反応させることにより行われる。
【0071】
一般式(VIII)で示される化合物において、R1-Bが-L-ring3-を表すとき、一般式(IX)で示される化合物は、一般式(VII)で示される化合物と一般式(VIII)で示される化合物とを、前記した反応1に付すことによって製造することができる。
【0072】
一般式(X)で示される化合物は、一般式(IX)で示される化合物を前記した脱保護反応に付すことにより、製造することができる。
【0073】
一般式(I-B)で示される化合物は、一般式(X)で示される化合物と、一般式(V)で示される化合物とを前記した反応2に付した後、必要に応じて脱保護反応に付すことにより、製造することができる。
【0074】
一般式(I-1)のうち、XおよびXのうち、いずれか一方がNであり、Rが、-L-、または-L-ring3-であり、Yが-O-であり、かつring3がC3~7の炭素環である化合物、すなわち、一般式(I-B)’
【化18】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、下記で示される反応工程式2-1によって製造することができる。
【0075】
【化19】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)
【0076】
一般式(I-B)’で示される化合物は、一般式(X)で示される化合物と、一般式(V)’で示される化合物とを前記した反応2に付した後、必要に応じて脱保護反応に付すことにより、製造することができる。
【0077】
本明細書中の各反応において、出発原料として用いた化合物、例えば、一般式(II)、(III)、(V)、(V)’、(VIIVII)または(VIII)で示される化合物は公知であるか、あるいは公知の方法により容易に製造することができる。
【0078】
本明細書中の各反応において、加熱を伴う反応は、当業者にとって明らかなように、水浴、油浴、砂浴またはマイクロウェーブを用いて行なうことができる。
【0079】
本明細書中の各反応において、適宜、高分子ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール等)に担持させた固相担持試薬を用いてもよい。
【0080】
本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、イオン交換樹脂、スカベンジャー樹脂あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶などの方法により精製することができる。精製は反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
【0081】
[毒性]
本発明化合物の毒性は十分に低いものであり、医薬品として安全に使用することができる。
【0082】
[医薬品への適用]
本発明化合物は、S1P(EDG-8)受容体結合活性を有し、これを調節するため、S1P介在性疾患の予防および/または治療剤として有用である。S1P介在性疾患としては、神経変性疾患、自己免疫疾患、感染症、癌等が挙げられる。
【0083】
また、本発明化合物は、S1P(EDG-8)受容体結合活性を有し、これを調節するため、腫瘍免疫活性化作用を介した、癌の予防および/または治療剤として有用である。
【0084】
本発明において、神経変性疾患としては、不安関連疾患(社会不安障害、不安神経症、強迫性障害、外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder;PTSD))、ポリグルタミン病、網膜色素変性症、神経症、けいれん、パニック障害、睡眠障害、うつ病、反応性うつ病、てんかん、パーキンソン病、パーキンソン症候群、ダウン症、統合失調症、自律神経失調症、ハンチントン病、アルツハイマー病、情動障害(うつ病性または双極性障害を含む)、認知障害、偏頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、解離性障害、筋萎縮性側索硬化症、視神経脊髄炎、視神経炎、急性散在性(播種性)脳脊髄炎、アレルギー性脳脊髄炎、マルキファーヴァ・ビニャミ(Marchiafava-Bignami)病、ビンスワンガー(Binswanger)病、進行性多巣性白質脳症、感染後脳炎、橋中心髄鞘崩壊、副腎白質萎縮症、多系統萎縮症、クラッベ(Krabbe)病、異染性白質ジストロフィー、アレキサンダー(Alexander)病、カナバン(Canavan)病、コケイン(Cockayne)症候群、ペリツェウス・メルツバッハー(Pelizaues-Merzbacher)病、フルラー(Hurler)症候群、ロウ(Lowe)症候群、脊髄損傷、横断性脊髄炎、脊髄小脳変性症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、ギラン・バレー(Guillain-Barre)症候群、フェニルケトン尿症、レフサム病(Refsum’候群disease)、シャルコー・マリー・トゥース(Charcot-Marie-Tooth)病、ゴーシェ(Gaucher)病、ニーマン・ピック(Niemann-Pick)病、多発性硬化症、脆弱X染色体症候群、自閉症、不眠症、神経性咳嗽、心因性痙攣発作、心因性失神発作、書痙、痙性斜頸、ニューロパチー等が挙げられる。
【0085】
本発明において、自己免疫疾患としては、炎症性腸疾患、関節炎、ループス、リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節炎、スティル病、若年性関節炎、I型糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オード甲状腺炎、バセドー病、シェーグレン症候群、アディソン病、オプソクローヌス-ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター病、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ヴェグナー肉芽腫、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、ミオトニー、外陰部痛、全身性エリテマトーデス等が挙げられる。
【0086】
本発明において、感染症としては、ウイルス、細菌、真菌等に代表される1種以上の病原微生物に、体内の正常細胞が感染し増殖して発症する症状が挙げられる。上記した病原微生物には、リケッチア、クラミジア、原虫、寄生虫等も含まれる。
【0087】
本発明において、感染症に係るウイルスには、ヒト肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎、C型肝炎、A型肝炎およびE型肝炎等)、ヒトレトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV1およびHIV2等)、ヒトT細胞白血病ウイルスまたはヒトTリンパ向性ウイルス(例えば、HTLV1およびHTLV2等)、単純ヘルペスウイルス1型もしくは2型、エプスタイン・バー(EB)ウイルス、サイトメガロウイルス、水痘-帯状疱疹ウイルス、ヒトヘルペスウイルス(例えば、ヒトヘルペスウイルス6等)、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルス、おたふくウイルス、インフルエンザウイルス、風邪ウイルス(例えば、アデノウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス等)、重症急性呼吸器症候群(SARS)を発症するウイルス、エボラウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器多核体(合胞体)ウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、サポウイルス、はしかウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLウイルス、デングウイルス、ハピローマウイルス、軟属腫ウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、アルボウイルス、脳炎ウイルス、ハンタウイルス、エボラウイルス等が挙げられる。
【0088】
本発明において、感染症に係る細菌には、コレラ菌、サルモネラ菌、大腸菌、レジオネラ菌、炭疽菌、ヘリコバクターピロリ菌、リステリア菌、結核菌、非結核性抗酸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌、肺炎桿菌、セラチア菌、ジフテリア菌、ブルセラ菌、バルトネラ-ヘンセレ、エリジペロスリックス-ルシオパシエ、放線菌、ライム病菌、ウェルシュ菌、赤痢菌、ペスト菌、破傷風菌、エンテロバクター菌等が挙げられる。
【0089】
本発明において、感染症に係る真菌には、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ブラストミセス、コクシジオイデス、ヒストプラスマ、パラコクシジオイデス、スポロトリクス等が挙げられる。
【0090】
本発明において、感染症に係る原虫には、マラリア原虫、トキソプラズマ原虫等が挙げられる。
【0091】
本発明において、感染症に係る寄生虫には、赤痢アメーバ、回虫、バベシア、クリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫、鉤虫、蟯虫、住血吸虫、条虫、旋毛虫、鞭虫等が挙げられる。
【0092】
本発明において、感染症に係るその他の微生物には、マイコプラズマ、スピロヘータ等が挙げられる。
【0093】
本発明において、癌としては、脳神経に関わる癌(例えば、小児脳腫瘍(例:神経芽細胞腫、髄芽腫、星細胞腫(幼若性毛髪様星細胞腫)、上衣腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍、視神経膠腫、脈絡叢乳頭腫、脳幹部神経膠腫)、成人脳腫瘍(例:成人星細胞腫、成人悪性星細胞腫、成人膠芽腫、成人脳室上衣腫、成人悪性脳室上衣腫、成人悪性乏突起細胞腫、成人髄芽腫、成人髄膜腫、成人悪性髄膜腫)、神経膠腫(例:星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、脳幹グリオーマ)、下垂体腺腫、聴神経鞘腫、網膜芽細胞腫、ぶどう膜悪性黒色腫等)、呼吸器癌(例えば、咽頭癌(例:上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌)、喉頭癌、副鼻腔癌、肺癌(例:小細胞癌、非小細胞癌)、胸腺腫、中皮腫等)、消化器癌(例えば、食道癌、胃癌、十二指腸癌、大腸癌(例:結腸癌、直腸癌、肛門癌)等)、口腔癌(例えば、歯肉癌、舌癌、唾液腺癌等)、泌尿器癌(例えば、陰茎癌、腎盂・尿管癌、腎細胞癌、精巣(睾丸)腫瘍、前立腺癌、膀胱癌等)、女性に関わる癌(外陰癌、子宮癌(例:子宮頚部癌、子宮体部癌(子宮内膜癌))、子宮肉腫、絨毛性疾患(例:胞状奇胎、絨毛癌、胎盤部絨毛性腫瘍、存続絨毛症)、腟癌、乳癌、乳房肉腫、卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍等)、皮膚癌(例えば、メラノーマ(悪性黒色腫)(例:悪性黒子型黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、末端黒子型黒色腫、侵食性黒色腫)、菌状息肉症、有棘細胞癌、基底細胞癌、皮膚癌前駆症・表皮内癌(例:日光角化症、ボーエン病、パージェット(Paget)病)、リンパ腫様丘疹症、皮膚CD30陽性細胞未分化大細胞リンパ腫、セザリー症候群、皮膚B細胞リンパ腫等)、骨・筋肉癌(例えば、骨肉腫、軟部肉腫、横紋肉腫、滑液膜肉腫、脂肪肉腫等)、甲状腺癌、カルチノイド、肝臓癌(肝細胞癌)、肝芽腫、胆管癌、胆嚢癌、膵臓癌、膵内分泌腫瘍(例えば、インスリノーマ、ガストリノーマ、VIP産生腺腫等)、原発不明癌、遺伝性腫瘍・家族性腫瘍(例えば、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、家族性大腸ポリポーシス、遺伝性乳癌、卵巣癌症候群、リー・フラウメニ症候群、遺伝性黒色腫、ウィルムス腫瘍、遺伝性乳頭状腎細胞癌、フォン・ヒッペル-リンドウ症候群、多発性内分泌腫瘍症等)、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病・慢性骨髄増殖性疾患、成人T細胞白血病リンパ腫、慢性リンパ性白血病・小細胞性リンパ腫等)、多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、悪性リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫、中高悪性度リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、MALT(Mucosa-Associated Lymphoid Tissue)リンパ腫、NK(ナチュラルキラー)細胞リンパ腫等)等が挙げられる。
【0094】
本発明化合物は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または
3)その化合物の副作用の軽減
のために、他の薬物と組み合わせて、併用薬として投与してもよい。
【0095】
本発明化合物と他の薬物の併用薬は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明化合物を先に投与し、他の薬物を後に投与してもよいし、他の薬物を先に投与し、本発明化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0096】
上記併用薬により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
また、本発明化合物と組み合わせる併用薬としては、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0097】
本発明化合物の神経変性疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ニコチン受容体調節薬、βアミロイドタンパク産生、分泌、蓄積、凝集および/または沈着抑制薬(例えば、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、βアミロイドタンパク凝集阻害作用薬、βアミロイドワクチン、βアミロイド分解酵素等)、脳機能賦活薬(例えば、脳代謝賦活薬、脳循環改善薬等)、ドパミン受容体作動薬(ドパミン受容体刺激薬)、ドパミン遊離促進薬(ドパミン分泌促進薬あるいはドパミン放出促進薬)、ドパミン取り込み阻害薬、ドパミン作用薬、ドパミン拮抗薬、炭酸リチウム、セロトニン作動薬、セロトニン拮抗薬(例えば、5-HT2A拮抗薬、5-HT拮抗薬、5-HT拮抗薬、5-HT拮抗薬)、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素阻害薬(DCI)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)補充薬、抗コリン薬、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬、筋萎縮性側索硬化症治療薬、高脂血症治療薬、アポトーシス阻害薬、神経再生・分化促進薬、降圧薬、糖尿病治療薬、糖尿病性合併症治療薬、抗うつ薬(例えば、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬等)、抗不安薬、抗てんかん薬、抗けいれん薬、抗攣縮薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗サイトカイン薬(例えば、TNF阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬等)、ステロイド薬、性ホルモンまたはその誘導体(例えば、プロゲステロン、エストラジオール、安息香酸エストラジオール等)、甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン(例えば、PTH等)、カルシウムチャネル遮断薬(カルシウム拮抗薬)、カルシウム受容体拮抗薬、オピオイド受容体作動薬、N-メチル-D-2-アミノ-5-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬、VR-1受容体作動薬、神経筋接合部遮断薬、カンナビノイド-2受容体刺激薬、GABAA受容体調節薬(例えば、GABAA受容体作動薬等)、GABAB受容体調節薬、プロスタグランジン類、コレシストキニン拮抗薬、一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬、局所麻酔薬、神経栄養因子(例えば、ニューロトロフィン、TGF-βスーパーファミリー、ニューロカインファミリー、増殖因子等)、交感神経作動薬、副交感神経作動薬、交感神経抑制薬、プロスタグランジン受容体拮抗薬、プロスタグランジン受容体作動薬、炭酸脱水酵素阻害薬、高張浸透圧薬、血管拡張薬、代謝賦活薬、利尿薬(例えば、チアジド系利尿薬、ループ利尿薬、カリウム保持性利尿薬等)、末梢血流改善薬、免疫抑制薬、免疫グロブリン、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)/カイニン酸受容体拮抗薬、Rho-キナーゼ阻害薬、ビタミン類(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12等)、シクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬、抗めまい薬、貧血治療薬、重金属中毒治療薬、ムスカリン受容体アゴニスト、アルドース還元酵素阻害薬、神経再生促進薬、プロテインキナーゼC(PKC)阻害薬、終末糖化産物(AGE)阻害薬、活性酸素消去薬、筋弛緩薬等が挙げられる。
【0098】
本発明化合物の自己免疫疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、免疫抑制薬、ステロイド、疾患修飾型抗リウマチ薬、エラスターゼ阻害薬、カンナビノイド-2受容体刺激薬、プロスタグランジン、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテアーゼ阻害薬、接着分子阻害薬、抗TNF-α製剤、抗IL-1製剤、抗IL-6製剤等の抗サイトカインタンパク製剤、サイトカイン阻害薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗CD20抗体等が挙げられる。
【0099】
本発明化合物の感染症に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、抗ウイルス薬、抗生物質、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗原虫薬等が挙げられる。
【0100】
本発明化合物の癌に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗癌性抗生物質、植物性アルカロイド薬、ホルモン薬、白金化合物、抗CD20抗体、その他の抗癌剤が挙げられる。
また、本発明化合物の癌に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のために、例えば、放射線療法、細胞療法(例えば、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法やT細胞受容体(TCR)療法等)等を併用してもよい。
【0101】
本発明化合物又は本発明化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤若しくは内服用液剤、経口投与における徐放性製剤、放出制御製剤、または非経口投与のための注射剤、外用剤、吸入剤若しくは坐剤等として用いられる。
【0102】
経口投与のための内服用固形剤には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤及び顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセル及びソフトカプセル等が含まれる。
【0103】
このような内服用固形剤においては、ひとつ又はそれ以上の活性物質はそのままか、又は賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。更に、ゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0104】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤及びエリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつ又はそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノール、又はそれらの混液等)に溶解、懸濁又は乳化される。更に、この液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤又は緩衝剤等を含有していてもよい。
【0105】
また、経口投与における徐放性製剤もまた有効である。これらの徐放性製剤に用いるゲル形成物質とは、溶媒を含んで膨潤し、そのコロイド粒子が互いにつながり、三次元の網目構造をとり、流動性を失ったゼリー様の物体を形成し得る物質である。製剤上は、主に結合剤、増粘剤及び徐放性基剤として使用される。例えば、アラビアゴム、カンテン、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グアガム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース又はヒドロキシエチルメチルセルロース等が使用できる。
【0106】
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液及び用時溶剤に溶解又は懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつ又はそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁又は乳化させて用いられる。溶剤として、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等及びそれらの組み合わせが用いられる。更に、この注射剤は、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤又は保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また、無菌の固形剤(例えば、凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化又は無菌の注射用蒸留水又は他の溶剤に溶解される。)として使用することもできる。
【0107】
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤及び点鼻剤等が含まれる。これらはひとつ又はそれ以上の活性物質を含み、公知の方法又は通常使用されている処方により調製される。
【0108】
噴霧剤、吸入剤、及びスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム或いはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば、米国特許第2868691号及び同第3095355号に詳しく記載されている。
【0109】
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。
【0110】
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(例えば、カルボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
【0111】
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(例えば、ステアリン酸及びその塩等)、結合剤(例えば、デンプン、デキストリン等)、賦形剤(例えば、乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)又は吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
【0112】
吸入用液剤を投与する際には、通常噴霧器(例えば、アトマイザー、ネブライザー等)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
【0113】
軟膏剤は、公知又は通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつ又はそれ以上の活性物質を基剤に混和又は溶融させて調製される。軟膏基剤は、公知或いは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸又は高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(例えば、ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤又はかぶれ防止剤から選ばれるものが単独で又は2種以上を混合して用いられる。更に、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤又は着香剤等を含んでいてもよい。
【0114】
ゲル剤は、公知又は通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつ又はそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて調製される。ゲル基剤は公知或いは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(例えば、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤及びかぶれ防止剤から選ばれるものが単独で又は2種以上を混合して用いられる。更に、保存剤、抗酸化剤又は着香剤等を含んでいてもよい。
【0115】
クリーム剤は、公知又は通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつ又はそれ以上の活性物質を基剤に溶融又は乳化させて製造される。クリーム基剤は、公知或いは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)、高級アルコール(例えば、2-ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤及びかぶれ防止剤から選ばれるものが単独で又は2種以上を混合して用いられる。更に、保存剤、抗酸化剤又は着香剤等を含んでいてもよい。
【0116】
湿布剤は、公知又は通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつ又はそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知或いは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(例えば、尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(例えば、カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤及びかぶれ防止剤から選ばれるものが単独で又は2種以上を混合して用いられる。更に、保存剤、抗酸化剤又は着香剤等を含んでいてもよい。
【0117】
貼付剤は、公知又は通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつ又はそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知或いは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤及びかぶれ防止剤から選ばれるものが単独で又は2種以上を混合して用いられる。更に、保存剤、抗酸化剤又は着香剤等を含んでいてもよい。
【0118】
リニメント剤は、公知又は通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつ又はそれ以上の活性物を水、アルコール(例えば、エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤及び懸濁化剤等から選ばれるものが単独で又は2種以上に溶解、懸濁又は乳化させて調製される。更に、保存剤、抗酸化剤又は着香剤等を含んでいてもよい。
【0119】
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつ又はそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤及び腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0120】
本明細書において、明示的に引用される全ての特許文献及び非特許文献若しくは参考文献の内容は、全て本明細書の一部としてここに引用し得る。
【0121】
本発明化合物、または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1ngから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから10mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
【実施例
【0122】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0123】
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されている括弧内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。
【0124】
LC-MS/ELSDは、下記条件:
条件A:{カラム:YMC Triart C18(粒子径:1.9 x 10-6 m;カラム長:30 x 2.0 mm I.D.);流速:1.0mL/min;カラム温度:30℃;移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液;移動相(B):0.1%トリフルオロ酢酸-アセトニトリル溶液;グラジエント(移動相(A):移動相(B)の比率を記載):[0分]95:5;[0.1分]95:5;[1.2分]5:95;[1.4分]5:95;[1.41分]95:5;[1.5分]95:5;検出器:UV(PDA)、ELSD、MS}、または
条件B{カラム:Waters ACQUITY BEH C18(粒子径:1.7 x 10-6 m;カラム長:30 x 2.1 mm I.D.);流速:1.0mL/min;カラム温度:40℃;移動相(A):0.1%ギ酸水溶液;移動相(B):0.1%ギ酸-アセトニトリル溶液;グラジエント(移動相(A):移動相(B)の比率を記載):[0分]95:5;[0.1分]95:5;[1.2分]5:95;[1.4分]5:95;[1.41分]95:5;[1.5分]95:5;検出器:UV(PDA)、ELSD、MS}
のいずれかで行った。
【0125】
NMRの箇所に示されているカッコ内は測定に使用した溶媒を示す。
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、Advanced Chemistry Development社のACD/Name(登録商標)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。
【0126】
実施例1:メチル 1-(5-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-3-アゼチジンカルボキシラート
5-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロナフタレン-2(1H)-オン(100mg)(CAS登録番号:35697-10-0)の塩化メチレン(5mL)溶液に、メチル アゼチジン-3-カルボキシラート 塩酸塩(111mg)(CAS登録番号:100202-39-9)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(260mg)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。反応液を水で希釈し、塩化メチレンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後濃縮し、以下の物性値を有する標題化合物(110mg)を得た。得られた化合物は精製することなく、次の反応に用いた。
MS (M+H): 262。
【0127】
実施例2:メチル 1-[5-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボキシラート
実施例1で製造した化合物(110mg)および炭酸カリウム(174mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(3mL)混合溶液に、(E)-1-(3-クロロプロパ-1-エン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(111mg)を加え、混合物を70℃で3時間撹拌した。反応液を室温に戻し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後濃縮し、以下の物性値を有する標題化合物(100mg)を得た。得られた化合物は精製することなく、次の反応に用いた。
MS (M+H): 446。
【0128】
実施例2(1):メチル 1-{8-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボキシラート
【化20】
実施例1で製造した化合物の代わりに相当するアルコール化合物、および(E)-1-(3-クロロプロパ-1-エン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンの代わりに相当するハロゲン化物を用いて、実施例2と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.92分、条件A);
MS (M+H):416;
1H-NMR (CDCl3):δ 8.10, 7.86, 7.75, 7.56-7.36, 7.02, 6.67, 6.62, 4.30, 3.74, 3.65-3.52, 3.42-3.24, 2.88-2.61, 2.46-2.34, 2.15, 1.89-1.77, 1.50-1.33。
【0129】
実施例3:1-[5-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
【化21】
実施例2で製造した化合物(100mg)のエタノール(1mL)、テトラヒドロフラン(THF)(1mL)および水(1mL)溶液に、水酸化リチウム(36mg)を加えた。反応液を室温で16時間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、残った溶液を2N塩酸で酸性化した。得られた溶液を逆相シリカゲルクロマトグラフィー(水:アセトニトリル=10:0→4:6)にて精製し、以下の物性値を有する標題化合物(60mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.94分、条件A);
MS (M+H): 432;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.61, 7.14, 6.89 - 6.81, 6.76, 6.63, 4.75, 4.47 - 4.38, 3.69 - 3.62, 3.19, 3.04, 2.80 - 2.70, 2.27 - 2.24, 1.77 - 1.66。
【0130】
実施例3(1)~3(5)
5-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロナフタレン-2(1H)-オンまたはその代わりに相当するアルコール化合物、メチル アゼチジン-3-カルボキシラート 塩酸塩またはその代わりに相当するアミン化合物、および(E)-1-(3-クロロプロパ-1-エン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンまたはその代わりに相当するハロゲン化合物を用いて、実施例1→実施例2→実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0131】
実施例3(1):1-[5-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-ピロリジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.94分、条件A);
MS (M+H): 446。
【0132】
実施例3(2):1-[8-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分、条件B);
MS (M+H): 432。
【0133】
実施例3(3):3-{メチル[8-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]アミノ}プロパン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分、条件B);
MS (M+H): 434。
【0134】
実施例3(4):1-[8-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分、条件A);
MS (M+H): 366。
【0135】
実施例3(5):1-{8-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.88分、条件A);
MS (M+H): 402。
【0136】
実施例4:エチル (2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]アクリラート
水素化ナトリウム(1.38g)のTHF(40mL)懸濁液に0℃でトリエチルホスホノアセタート(7.73g)のTHF(10mL)溶液を加え、反応混合物を室温で30分撹拌した。4-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(CAS登録番号:455-19-6)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物を10%硫酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:0→9:1)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(5.92g)を得た。
TLC:Rf 0.78 (ヘキサン:酢酸エチル=8:2);
1H-NMR(CDCl3):δ 7.69, 7.64, 6.51, 4.28, 1.35。
【0137】
実施例5:(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-オール
実施例4で製造した化合物(5.91g)のTHF(120mL)溶液に、0℃で水素化ジイソブチルアルミニウムの1Mトルエン溶液(50.8mL)を加え、0℃で30分撹拌した。反応混合物を2N塩酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20→55:45)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(4.46g)を得た。
TLC:Rf 0.17 (ヘキサン:酢酸エチル=8:2);
1H-NMR(CDCl3):δ 7.56, 7.47, 6.66, 6.46, 4.37, 1.53。
【0138】
実施例6:2-[4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]エタノール
4-(トリフルオロメチル)フェノール(500mg)(CAS登録番号:402-45-9)のDMF(15mL)溶液に、炭酸カリウム(853mg)および2-ブロモエタノール(771mg)を加え、80℃で16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=85:15→45:55)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(226mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.55, 6.99, 4.15 - 4.10, 4.03 - 3.96, 1.98。
【0139】
実施例7:(2Z)-3-フェニル-2-プロペン-1-オール
3-フェニル-2-プロピン-1-オール(800mg)(CAS登録番号:1504-58-1)とキノリン(780mg)のエタノール(20mL)溶液にリンドラー触媒(160mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応混合物をセライト(商品名)でろ過後、ろ液を減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→60:40)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(548mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.39 - 7.19, 6.58, 5.89, 4.45, 1.47。
【0140】
実施例8:rel-[(1R,2S)-2-フェニルシクロプロピル]メタノール
ジエチル亜鉛の1Mヘキサン溶液(8.9mL)をジクロロメタン(7.0mL)に希釈し、0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸(0.689mL)を加え、0℃で20分撹拌した。さらにジヨードメタン(0.719mL)を加え0℃で20分撹拌した。そこに実施例7で製造した化合物(400mg)のジクロロメタン(3mL)溶液を加え、0℃で30分撹拌し、室温で3時間撹拌した。反応混合物を1N塩酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→60:40)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(57.8mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.36, 7.16, 3.48, 3.27, 2.29, 1.51, 1.05, 0.88。
【0141】
実施例9:5-(ベンジルオキシ)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレノン
窒素雰囲気下、5-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(10.1g)(CAS登録番号:28315-93-7)、臭化ベンジル(12.8g)および炭酸カリウム(10.3g)のDMF(100mL)混合溶液を、室温で4時間撹拌した。混合液を酢酸エチルで希釈し、水を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水、5%塩化リチウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→60:40)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(13.8g)を得た。
MS (M+H): 253。
【0142】
実施例10:5-(ベンジルオキシ)-1-メチレン-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン
実施例9で製造した化合物(7.83g)およびメチルトリフェニルホスホニウムヨージド(13.8g)のTHF(100mL)懸濁液に、カリウム tert-ブトキシド(46.5mL、THFの1M溶液)を0℃で滴下した。反応混合液を室温で1時間撹拌した。混合液に冷水を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→80:20)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(6.57g)を得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.45 - 7.25, 7.11, 6.79, 5.46, 5.07, 4.96, 2.84, 2.52 - 2.48, 1.93 - 1.87。
【0143】
実施例11:1-(ベンジルオキシ)-5,7,8,9-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[7]アヌレン-6-オン
ヨードベンゼン(6.42g)、m-クロロ過安息香酸(7.80g)およびp-トルエンスルホン酸(6.0g)を、順次、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール/塩化メチレン溶液(1:6、70mL)に加えた。30分間の撹拌後、混合液に水(12mL)および実施例10で製造した化合物(6.57g)を0℃で加えた。反応液を30分間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応を停止し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→80:20)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(5.5g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.45 - 7.32, 7.13, 6.89, 6.79, 5.08, 3.73, 3.10 - 3.05, 2.54, 2.01 - 1,92。
【0144】
実施例12:メチル 1-[1-(ベンジルオキシ)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-6-イル]-3-アゼチジンカルボキシラート
実施例11で製造した化合物(1.02g)およびメチル アゼチジン-3-カルボキシラート 塩酸塩(700mg)を用いて、実施例1と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(820mg)を得た。
MS (M+H): 366。
【0145】
実施例13:メチル 1-(1-ヒドロキシ-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-6-イル)-3-アゼチジンカルボキシラート
実施例12で製造した化合物(820mg)および10%パラジウム-炭素(400mg)の酢酸エチル/メタノール(1:1、20mL)の混合溶液に、室温にて16時間水素雰囲気下で撹拌した。反応混合液を、珪藻土を用いてろ過し、ろ液を減圧濃縮し、以下の物性値を有する標題化合物(590mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 6.94, 6.68, 6.61, 3.69, 3.70 - 3.64, 3.58 - 3.53, 3.34 - 2.23, 3.19 - 3.13, 2.76 - 2.63, 2.50 - 2.43, 2.19 - 2.14, 1.96 - 1.94, 1.50 - 1.42, 1.38 - 1.32。
【0146】
実施例14:メチル 1-[1-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-6-イル]-3-アゼチジンカルボキシラート
実施例13で製造した化合物(30mg)のTHF(1.0mL)溶液に、実施例5で製造した化合物(26.4mg)およびアゾジカルボニルジピペリジン(55.0mg)およびトリブチルホスフィンを加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=40:60→0:100)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(44.3mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.57, 7.50, 7.05, 6.80 - 6.70, 6.51, 4.68, 3.70, 3.70 - 3.59, 3.59 - 3.48, 3.40 - 3.20, 2.80 - 2.60, 2.49, 2.15, 2.02 - 1.85, 1.70 - 1.15。
【0147】
実施例15:1-[1-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-6-イル]-3-アゼチジンカルボン酸
【化22】
実施例14で製造した化合物を、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.95分、条件A);
MS (M+H): 446。
【0148】
実施例15(1):1-[1-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-6-イル]-3-ピロリジンカルボン酸
実施例11で製造した化合物およびメチル アゼチジン-3-カルボキシラート 塩酸塩の代わりに相当するアミン誘導体を用いて、実施例12→実施例13→実施例14→実施例15と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.96分、条件A);
MS (M+H): 460。
【0149】
実施例16:エチル 4-(6-メトキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル)ブタノアート
6-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-3-ベンズアゼピン(1.0g)(CAS登録番号:90047-53-3)のDMF(15mL)溶液に炭酸カリウム(1.56g)およびエチル 4-ブロモブタノアート(1321mg)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40→10:90)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(1.37g)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.07, 6.74, 6.72, 4.13, 3.79, 3.05 - 2.95, 2.94 - 2.86, 2.65 - 2.54, 2.51, 2.37, 1.83, 1.26。
【0150】
実施例17:エチル 4-(6-ヒドロキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル)ブタノアート
実施例16で製造した化合物(1.37g)のジクロロメタン(23mL)溶液に、0℃でボロントリブロミドの1Mジクロロメタン溶液(9.4mL)を加え、0℃で2時間撹拌した。反応混合物にボロントリブロミドの1Mジクロロメタン溶液(4.7mL)を加え、0℃でさらに2時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→20:70)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(591mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 6.95, 6.68, 6.62, 4.13, 3.05 - 2.95, 2.95 - 2.85, 2.71 - 2.58, 2.53, 2.35, 1.86, 1.26。
【0151】
実施例18:4-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
【化23】
実施例17で製造した化合物、および実施例5で製造した化合物を用いて、実施例14→実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.92分、条件A);
MS (M+H): 434。
【0152】
実施例18(1)~18(45)
6-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-3-ベンズアゼピン、またはその代わりに相当するジヒドロイソキノリン化合物、エチル4-ブロモブタノアートまたはその代わりに相当するハロゲン化エステル化合物、および以下の(i)~(iv)の化合物群から選択されるいずれか1つの化合物((i)実施例5で製造した化合物、(ii)実施例6で製造した化合物、(iii)実施例8で製造した化合物、(iv)(i)~(iii)の代わりに相当するアルコール化合物)を用いて、実施例16→実施例17→実施例18と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0153】
実施例18(1):4-{5-[2-(2-ナフチル)エトキシ]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-イソキノリニル}ブタン酸 トリフルオロ酢酸塩
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.81分、条件B);
MS (M+H): 390。
実施例18(2):4-[8-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-3,4-ジヒドロ-2(1H)-イソキノリニル]ブタン酸 トリフルオロ酢酸塩
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.83分、条件B);
MS (M+H): 420。
【0154】
実施例18(3):4-[5-{[(2E)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-プロペン-1-イル]オキシ}-3,4-ジヒドロ-2(1H)-イソキノリニル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.96分、条件A);
MS (M+H): 394。
【0155】
実施例18(4):4-[5-({(2E)-3-[4-(ジフルオロメトキシ)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-3,4-ジヒドロ-2(1H)-イソキノリニル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分、条件A);
MS (M+H): 418。
【0156】
実施例18(5):4-[5-({(2E)-3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-3,4-ジヒドロ-2(1H)-イソキノリニル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.93分、条件A);
MS (M+H): 434。
【0157】
実施例18(6):4-[5-{[(2E)-3-{4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル}-2-プロペン-1-イル]オキシ}-3,4-ジヒドロ-2(1H)-イソキノリニル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.98分、条件A);
MS (M+H): 460。
【0158】
実施例18(7):[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]酢酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.91分、条件A);
MS (M+H): 406。
【0159】
実施例18(8):3-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]プロパン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.92分、条件A);
MS (M+H): 420。
【0160】
実施例18(9):5-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ペンタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.93分、条件A);
MS (M+H): 448。
【0161】
実施例18(10):4-(6-{2-[4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]エトキシ}-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル)ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.80分、条件B);
MS (M+H): 438;
1H-NMR (CDCl3):δ 7.57, 7.13, 7.01, 6.82, 6.78, 4.41-4.27, 3.30-2.52, 1.92-1.81。
【0162】
実施例18(11):4-[6-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.79分、条件B);
MS (M+H): 368;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.34-7.24, 7.23-7.15, 7.09, 6.76-6.70, 3.94, 3.60-2.50, 2.19-2.04, 1.96-1.86。
【0163】
実施例18(12):4-[6-(2-フェノキシエトキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.71分、条件B);
MS (M+H): 370;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.35-7.27, 7.13, 7.01-6.89, 6.84, 6.76, 4.31, 3.32-2.70, 2.63-2.56, 1.97-1.85。
【0164】
実施例18(13):2,2-ジメチル-4-[6-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.91分、条件A);
MS (M+H): 396。
【0165】
実施例18(14):4-[6-(3-シクロヘキシルプロポキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.95分、条件B);
MS (M+H): 374。
【0166】
実施例18(15):4-[6-({(2E)-3-[4-(ジフルオロメトキシ)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.82分、条件B);
MS (M+H): 432。
【0167】
実施例18(16):4-[6-(1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニルメトキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分、条件B);
MS (M+H): 394。
【0168】
実施例18(17):4-[6-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イルメトキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.82分、条件B);
MS (M+H): 380。
【0169】
実施例18(18):4-{6-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
【化24】
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.83分、条件B);
MS (M+H): 404;
1H-NMR (CD3OD):δ 8.07, 7.87, 7.79-7.72, 7.56-7.39, 7.04, 6.75-6.66, 4.28, 3.56, 3.30-2.50, 2.00-1.86。
【0170】
実施例18(19):4-{6-[2-(2-ナフチル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.83分、条件B);
MS (M+H): 404。
【0171】
実施例18(20):4-{6-[2-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.90分、条件B);
MS (M+H): 408。
【0172】
実施例18(21):rel-4-(6-{[(1R,2S)-2-フェニルシクロプロピル]メトキシ}-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル)ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.85分、条件A);
MS (M+H): 380。
【0173】
実施例18(22):4-[6-(2-フェニルエトキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.81分、条件A);
MS (M+H): 354。
【0174】
実施例18(23):4-[6-(4-フェニルブトキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.90分、条件A);
MS (M+H): 382。
【0175】
実施例18(24):4-{6-[(5-フェニルペンチル)オキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.94分、条件A);
MS (M+H): 396。
【0176】
実施例18(25):4-[6-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-7-イルメトキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.83分、条件A);
MS (M+H): 366。
【0177】
実施例18(26):4-{6-[2-(ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン-7-イル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.88分、条件A);
MS (M+H): 380。
【0178】
実施例18(27):3-{6-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}プロパン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.83分、条件B);
MS (M+H): 390。
【0179】
実施例18(28):4-(6-ブトキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル)ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.77分、条件A);
MS (M+H):306。
【0180】
実施例18(29):4-[6-(ペンチルオキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.82分、条件A);
MS (M+H):320。
【0181】
実施例18(30):4-[6-(ヘキシルオキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.87分、条件A);
MS (M+H):334。
【0182】
実施例18(31):4-[6-(ヘプチルオキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.93分、条件A);
MS (M+H):348。
【0183】
実施例18(32)::4-[6-(オクチルオキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
【化25】
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.97分、条件A);
MS (M+H):362;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.06, 6.80, 6.71, 3.89, 3.75-3.55, 3.18-2.86, 2.84-2.65, 2.37, 2.03-1.88, 1.76-1.62, 1.47-1.34, 1.34-1.13, 0.81。
【0184】
実施例18(33):4-{6-[(4,5,5-トリフルオロ-4-ペンテン-1-イル)オキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.78分、条件A);
MS (M+H):372。
【0185】
実施例18(34):4-{6-[(5-メチルヘキシル)オキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.91分、条件A);
MS (M+H):347。
【0186】
実施例18(35):4-{6-[3-(3-ピリジニル)プロポキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.53分、条件A);
MS (M+H):368。
【0187】
実施例18(36):4-{6-[3-(2-ピリジニル)プロポキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.51分、条件A);
MS (M+H):368。
【0188】
実施例18(37):4-[6-(2-シクロブチルエトキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.83分、条件A);
MS (M+H):331。
【0189】
実施例18(38):4-{6-[3-(4-フルオロフェニル)プロポキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.85分、条件A);
MS (M+H):385;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.24, 7.19, 7.02, 6.89, 6.84, 4.01, 3.89-3.62, 3.29-3.18, 3.16-2.75, 2.83, 2.50, 2.18-2.01。
【0190】
実施例18(39):4-{6-[3-(1,3-チアゾール-5-イル)プロポキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.63分、条件A);
MS (M+H):374。
【0191】
実施例18(40):4-{6-[3-(1,2-チアゾール-4-イル)プロポキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.71分、条件A);
MS (M+H):374。
【0192】
実施例18(41):4-{6-[3-(2-オキソ-1-ピロリジニル)プロポキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.60分、条件A);
MS (M+H):374。
【0193】
実施例18(42):4-{6-[3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)プロポキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
【化26】
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.75分、条件A);
MS (M+H):375;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.19, 6.93, 6.84, 4.01, 3.95, 3.87-3.66, 3.44, 3.30-3.18, 3.18-2.96, 2.94-2.77, 2.49, 2.14-1.99, 1.91-1.79, 1.69, 1.65-1.52, 1.51-1.39, 1.29。
【0194】
実施例18(43):4-(6-{2-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル)ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.87分、条件A);
MS (M+H):421;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.72, 7.63-7.55, 7.45, 7.19, 6.94, 6.85, 4.33-4.21, 3.82-3.62, 3.29-2.99, 2.98-2.71, 2.49, 2.13-1.97。
【0195】
実施例18(44):4-(6-{[(4S)-4-メチルヘキシル]オキシ}-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル)ブタン
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.91分、条件A);
MS (M+H):347。
【0196】
実施例18(45):4-{6-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)プロポキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}ブタン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.64分、条件A);
MS (M+H):371。
【0197】
実施例19:2-メチル-2-プロパニル 6-ヒドロキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-カルボキシラート
6-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-3-ベンズアゼピン(200mg)のジクロロメタン(5.0mL)溶液に、0℃でボロントリブロミドの1Mジクロロメタン溶液(2.54mL)を加え、0℃で5時間撹拌した。反応混合物を-78℃に冷却し、メタノールを加え、-78℃で15分撹拌した。反応混合物を室温へ昇温し、しばらく撹拌したのちに減圧濃縮した。得られた残さのTHF(5.0mL)懸濁液に、2N水酸化ナトリウム水溶液(1.41mL)、ジ-tert-ブチルジカーボネート(265mg)を加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物を1N塩酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→75:25)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(286mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 6.97, 6.71, 6.64, 4.91, 3.60 - 3.50, 3.02 - 2.94, 2.93 - 2.86, 1.48。
【0198】
実施例20:2-メチル-2-プロパニル 6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-カルボキシラート
実施例19で製造した化合物、および実施例5で製造した化合物を用いて、実施例14と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物(286mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.58, 7.51, 7.08, 7.83 - 6.71, 6.51, 4.70, 3.62 - 3.48, 3.12 - 3.00, 2.98 - 2.86, 1.47。
【0199】
実施例21:6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-3-ベンズアゼピン 塩酸塩
実施例20で製造した化合物(190mg)のメタノール(1.0mL)溶液、酢酸エチル(1.0mL)懸濁液に0℃で4N塩酸水溶液(6.0mL)を加え、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮することにより、以下の物性値を有する標題化合物(157mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6):δ 9.05, 7.71, 7.14, 6.97, 6.89 - 6.79, 6.69, 4.75, 3.26 - 2.99。
【0200】
実施例22(1):メチル 3-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンズアゼピン-3-イル]シクロブタンカルボキシラート(低極性体)
【0201】
実施例22(2):メチル 3-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンズアゼピン-3-イル]シクロブタンカルボキシラート(高極性体)
実施例21で製造した化合物、メチル アゼチジン-3-カルボキシラート 塩酸塩の代わりにメチル 3-オキソシクロブタンカルボキシラート(CAS登録番号:695-95-4)を用いて、実施例1と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(実施例22(1))1H-NMR (CDCl3):δ 7.58, 7.51, 7.06, 6.78, 6.77, 6.73, 6.51, 4.68, 3.68, 3.15-3.00, 2.95-2.85, 2.80-2.67, 2.51-2.28, 2.25-2.11。
(実施例22(2))1H-NMR (CDCl3):δ 7.58, 7.51, 7.07, 6.79, 6.78, 6.74, 6.51, 4.69, 3.71, 3.20-2.82, 2.55-2.18。
【0202】
実施例23(1):3-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]シクロブタンカルボン酸(低極性体)
実施例23(2):3-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]シクロブタンカルボン酸(高極性体)
【化27】
実施例22(1)または実施例22(2)で製造した化合物を用いて、それぞれ実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
実施例23(1):(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.85分、条件B);
MS (M+H): 446。
実施例23(2):(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分、条件B);
MS (M+H): 446。
【0203】
実施例23(3)~23(9)
6-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-3-ベンズアゼピン、実施例5で製造した化合物またはその代わりに相当するアルコール化合物、および3-オキソシクロブタンカルボキシラートまたはその代わりに相当する環状ケトン化合物を用いて、実施例19→実施例20→実施例21→実施例22(1)または(2)→実施例23(1)または(2)と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0204】
実施例23(3):rel-(1R,2R)-2-{[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]メチル}シクロプロパンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.85分、条件B);
MS (M+H): 446。
実施例23(4):rel-(1R,2S)-2-{[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]メチル}シクロプロパンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分、条件B);
MS (M+H): 446。
【0205】
実施例23(5):1-メチル-3-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]シクロブタンカルボン酸(高極性体)
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.94分、条件A);
MS (M+H): 460。
【0206】
実施例23(6):1-メチル-3-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]シクロブタンカルボン酸(低極性体)
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.95分、条件A);
MS (M+H): 460。
【0207】
実施例23(7):3-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]シクロペンタンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.93分、条件A);
MS (M+H): 460。
【0208】
実施例23(8):3-{6-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}シクロブタンカルボン酸(低極性体)
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.88分、条件A);
MS (M+H): 416。
【0209】
実施例23(9):3-{6-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}シクロブタンカルボン酸(高極性体)
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.87分、条件A);
MS (M+H): 416。
【0210】
実施例24:2-メチル-2-プロパニル 6-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-カルボキシラート
実施例19で製造した化合物(132mg)の水(2.0mL)懸濁液にブタノール(0.4mL)およびジソジウム 3,7-ジオキシド-2,4,6,8,9-ペンタオキサ-1,3,5,7-テトラボラビシクロ[3,3,1]ノナン(404mg)を加え、60℃で10分撹拌した。反応混合物に37%ホルムアルデヒド水溶液(1.0mL)を加え、60℃で72時間撹拌した。反応混合物を1N塩酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→50:50)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(80.1mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.68,6.78, 6.62, 4.84, 3.58 - 3.48, 3.05 - 2.98, 2.90 - 2.82, 2.23, 1.48。
【0211】
実施例25:2-メチル-2-プロパニル 6-ヒドロキシ-7-メチル-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-カルボキシラート
実施例24で製造した化合物(78mg)のメタノール(3.0mL)溶液にパラジウムプラチナム(ASCA-2(商品名)、15mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応混合物をセライト(商品名)でろ過後、ろ液を減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→75:25)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(71.2mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 6.88, 6.63, 4.65, 3.60 - 3.50, 3.03 - 2.95, 2.91 - 2.82, 2.23, 1.47。
【0212】
実施例26:2-メチル-2-プロパニル 7-メチル-6-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-カルボキシラート
実施例25で製造した化合物、および実施例5で製造した化合物の代わりに3-フェニル-1-プロパノールを用いて、実施例14と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.35 - 7.17, 6.93, 6.79, 3.69, 3.57 - 3.42, 2.94, 2.89 - 2.79, 2.25, 2.14, 1.49。
【0213】
実施例27:7-メチル-6-(3-フェニルプロポキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-3-ベンズアゼピン 塩酸塩
実施例26で製造した化合物を用いて、実施例21と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
1H-NMR(CD3OD):δ 7.32 - 7.14, 7.02, 6.88, 3.70, 3.29 - 3.21, 3.21 - 3.11, 3.11 - 3.03, 2.85, 2.23, 2.14。
【0214】
実施例28:エチル 4-[7-メチル-6-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタノアート
実施例27で製造した化合物、およびエチル 4-ブロモブタノアートを用いて、実施例16と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
1H-NMR(CD3OD):δ 7.34 - 7.15, 6.90, 6.76, 4.13, 3.69, 3.02 - 2.92, 2.92 - 2.78, 2.68 - 2.51, 2.48, 2.35, 2.24, 2.13, 1.84, 1.26。
【0215】
実施例29:4-[7-メチル-6-(3-フェニルプロポキシ)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
【化28】
実施例28で製造した化合物を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.87分、条件A);
MS (M+H): 382。
【0216】
実施例30:エチル 4-(6-{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル)ブタノアート
実施例17で製造した化合物(150mg)のジクロロメタン(1.5mL)溶液に、0℃でジイソプロピルエチルアミン(0.374mL)、およびN,N-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン(580mg)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=85:15→55:45)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(179mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.20 - 7.05, 4.14, 3.04 - 2.92, 2.70 - 2.60, 2.51, 2.38, 1.84, 1.27。
【0217】
実施例31:エチル 4-[6-(4-フェニル-1-ブチン-1-イル)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタノアート
実施例30で製造した化合物(40mg)のDMF(0.5mL)溶液に、4-フェニル-1-ブチン(38.2mg)、トリエチルアミン(0.27mL)、ヨウ化銅(1.9mg)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド(6.9mg)を加え、50℃で16時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→50:50)、さらにプレパラティブTLC(ヘキサン:酢酸エチル=60:40)により精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(7.5mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.37 - 7.18,7.03 - 6.96, 4.14, 3.12 - 3.05, 2.96 - 2.84, 2.72, 2.65 - 2.51, 2.48, 2.36, 1.84, 1.27。
【0218】
実施例32:エチル 4-[6-(4-フェニルブチル)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタノアート
実施例31で製造した化合物を用いて、実施例25と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.29 - 7.23,7.20 - 7.14, 7.03 - 6.90, 4.14, 2.92 - 2.85, 2.66 - 2.57, 2.53, 2.46, 2.35, 1.83, 1.76 - 1.44, 1.26。
【0219】
実施例33:4-[6-(4-フェニルブチル)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル]ブタン酸
【化29】
実施例32で製造した化合物を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.88分、条件B);
MS (M+H): 366。
【0220】
実施例34:[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]酢酸ナトリウム
2-[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]アセトニトリル(1.0g)(CAS登録番号:152922-71-9)のエタノール(10mL)および水(1.0mL)溶液を、水酸化ナトリウム(1.4g)で処理し、得られた混合物を90℃で16時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮することにより、以下の物性値を有する標題化合物(1.2g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6):δ 3.17, 2.04, 3.30 - 0.22, 0.21 - 0.18。
【0221】
実施例35:[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]酢酸エチル
実施例34で製造した化合物(1.2g)のエタノール溶液(10mL)に硫酸(0.5mL)を加え、混合物を90℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、以下の物性値を有する標題化合物(900mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6):δ 4.52, 4.03, 3.25, 2.32, 1.75, 0.47。
【0222】
実施例36:[1-(ブロモメチル)シクロプロピル]酢酸エチル
実施例35で製造した化合物(500mg)の塩化メチレン(6mL)溶液に、0℃でテトラブロモメタン(1.2g)およびトリフェニルホスフィン(1.0g)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=100:0→70:30)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(450mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6):δ 4.07, 3.60, 2.43, 1.18, 0.43 3.60, 2.469 - 0.64。
【0223】
実施例37:[1-({6-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イル}メチル)シクロプロピル]酢酸
【化30】
実施例36で製造した化合物、および実施例5で製造した化合物の代わりに相当するアルコール化合物を用いて、実施例18と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.87分、条件B);
MS (M+H): 430。
【0224】
実施例38:5-メトキシ-3,4-ジヒドロ-2(1H)-ナフタレノン オキシム
5-メトキシテトラリン-2-オン(2.00g)のエタノール(60mL)溶液に酢酸ナトリム(2.79g)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(2.37g)を加え、70℃で1.5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、減圧濃縮でエタノールを減らした。得られた混合物に飽和食塩水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→70:30)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(1.77g)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.16, 6.80, 6.72, 3.83, 3.82, 2.89, 2.52。
【0225】
実施例39:6-メトキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-2-ベンズアゼピン-3-オン
塩化チオニル(10mL)とTHF(5.0mL)の混合溶液に、0℃で実施例38で製造した化合物(1.00g)のTHF(1.5mL)懸濁液を加え、0℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:80→0:100→酢酸エチル:メタノール=80:20)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(500mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.14, 6.83, 6.71, 6.14, 4.38, 3.83, 3.06, 2.82。
【0226】
実施例40:6-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンズアゼピン
水素化リチウムアルミニウム(164mg)のTHF(6.0mL)懸濁液に、80℃で実施例39で製造した化合物(550mg)のTHF(15.0mL)懸濁液を徐々に加え、80℃で15分撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、飽和芒硝水とTHFを加え室温で30分撹拌した。反応混合物に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。ろ液を減圧濃縮することにより、以下の物性値を有する標題化合物(433mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 7.07, 6.77, 6.75, 3.93, 3.80, 3.21, 3.04, 1.66。
【0227】
実施例41:4-(ベンジルオキシ)-1-インダノン
4-ヒドロキシ-1-インダノン(1.5g)(CAS登録番号:40731-98-4)および臭化ベンジル(1.45mL)のアセトニトリル(40mL)溶液に、炭酸カリウム(3.5g)を加えた。反応混合物を3時間還流した後、ろ過し、真空下で濃縮することにより、以下の物性値を有する標題化合物(2.2g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.48 - 7.28, 7.09, 5.17, 3.10, 2.73 - 2.65。
【0228】
実施例42:4-(ベンジルオキシ)-1-インダノール
実施例41で製造した化合物(2.0g)のメタノール(20mL)およびTHF(20mL)溶液に、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(0.64g)を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌し、飽和塩化アンモニウムで反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮することにより、以下の物性値を有する標題化合物(1.8g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.44 - 7.32, 7.23 - 7.19, 7.04, 6.82, 5.27 - 5.25, 5.11, 3.08 - 3.05, 2.83 - 2.81, 2.52 - 2.48, 2.00 - 1.94, 1.69。
【0229】
実施例43:7-(ベンジルオキシ)-1H-インデン
実施例42で製造した化合物(1.0g)のトルエン(40mL)溶液に、p-トルエンスルホン酸(7mg)を加え、混合物を還流下で加熱し、4時間、ディーン・スターク装置を用いて、水を共沸除去した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止し、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→20:80)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(0.6g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.36 - 7.30, 7.25 - 7.21, 7.07, 6.87 - 6.85, 6.79, 6.58 - 6.56, 5.18, 3.42。
【0230】
実施例44:4-(ベンジルオキシ)-1,2-インダンジオール
実施例43で製造した化合物(600mg)のアセトン(10mL)溶液に、水(2.5mL)およびN-メチルモルホリン N-オキシド(632mg)を加えた。5分間の撹拌後、四酸化オスモニウム(34mg)のtert-ブチルアルコール(1.0mL)溶液を滴下し、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残さを酢酸エチルに溶解し、1Nチオ硫酸ナトリウムおよび飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮することにより、以下の物性値を有する標題化合物(450mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.41 - 7.30, 7.23, 7.06, 6.84, 5.09, 5.02, 4.54 - 4.52, 3.15 - 3.10, 3.00 - 2.95, 2.52, 2.36。
【0231】
実施例45:4-(ベンジルオキシ)-1,3-ジヒドロ-2H-インデン-2-オン
実施例44で製造した化合物(750mg)のトルエン(50mL)溶液にp-トルエンスルホン酸(5mg)を加え、混合物を還流下で加熱し、4時間、ディーン・スターク装置を用いて、水を共沸除去した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウムで反応を停止し、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→20:80)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(400mg)を得た。
ESI-MS m/z 280 [C16H14O2 + H + CH3CN]+。
【0232】
実施例46:メチル 1-[4-(ベンジルオキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル]-3-アゼチジンカルボキシラート
実施例45で製造した化合物、およびメチル アゼチジン-3-カルボキシラート 塩酸塩を用いて、実施例1と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.40 - 7.31, 7.09, 6.81, 6.70, 5.07, 3.70, 3.61 - 3.58, 3.32 - 3.24, 3.00 - 2.93, 2.75 - 2.71。
【0233】
実施例47:メチル 1-(4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデンー2-イル)-3-アゼチジンカルボキシラート
実施例46で製造した化合物を用いて、実施例13と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.01, 6.76, 6.56, 3.71, 3.64 - 3.60, 3.35 - 3.27, 3.00 - 2.87, 2.75 - 2.64。
【0234】
実施例48:1-[4-(2-フェニルエトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル]-3-アゼチジンカルボン酸
【化31】
実施例47で製造した化合物、および実施例5で製造した化合物の代わりに2-フェニルエタノールを用いて、実施例14→実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.78分、条件A);
MS (M+H): 338。
【0235】
実施例48(1)~48(2)
実施例47で製造した化合物、および2-フェニルエタノールの代わりに相当するアルコール誘導体を用いて、実施例47と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
【0236】
実施例48(1):1-[4-(3-フェニルプロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.83分、条件A);
MS (M+H): 352。
【0237】
実施例48(2):1-[4-(4-フェニルブトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.87分、条件A);
MS (M+H): 366。
【0238】
実施例49:5-[6-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-2-ベンズアゼピン-2-イル]ペンタン酸
【化32】
実施例40で製造した化合物、エチル 4-ブロモブタノアートの代わりにエチル 5-ブロモペンタノアート、および実施例5で製造した化合物を用いて、実施例16→実施例17→実施例18と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.92分、条件A);
MS (M+H): 448。
【0239】
実施例50(1):メチル 1-{8-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボキシラート(第一ピーク)
【0240】
実施例50(2):メチル 1-{8-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボキシラート(第二ピーク)
実施例2(1)で製造した化合物を、SFC(Supercritical Fluid Chromatography):{カラム:DAICEL CHIRALPAK IB(カラム長:10 x 250 mm);流速:30mL/min;カラム温度:35℃;移動相: 二酸化炭素:メタノール:ジエチルアミン=85:15:0.015;検出器:UVを用いて光学分割し、以下の物性値を有する標題化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 8.10, 7.86, 7.75, 7.56-7.36, 7.02, 6.67, 6.62, 4.30, 3.74, 3.65-3.52, 3.42-3.24, 2.88-2.61, 2.46-2.34, 2.15, 1.89-1.77, 1.50-1.33;
(第一ピーク) 保持時間:4.52分;
(第二ピーク) 保持時間:5.94分。
【0241】
実施例51(1):(-)-1-{8-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボン酸
実施例51(2):(+)-1-{8-[2-(1-ナフチル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボン酸
【化33】
実施例50(1)および実施例50(2)で製造した化合物をそれぞれ、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する標題化合物を得た。なお、それぞれ、実施例51(1)は実施例50(1)由来、実施例51(2)は実施例50(2)由来の化合物である。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.85分、条件B);
MS (M+H): 402。
実施例51(1):[α]=-52.7 (DMF, c=1.0);
実施例51(2):[α]=+53.4 (DMF, c=1.0)。
【0242】
実施例52:1-[8-(ヘキシルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
5-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロナフタレン-2(1H)-オンの代わりに、8-メトキシ-3,4-ジヒドロナフタレン-2(1H)-オンを用いて、実施例1→実施例17と同様の目的の操作に付し、実施例5で製造した化合物の代わりに1-ヘキサノールを用いて、実施例14→実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、以下の物性値を有する表題化合物を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.88分、条件A);
MS (M+H):332。
【0243】
実施例52(1)~(8)
1-ヘキサノールの代わりに相当するアルコール化合物を用いて、実施例52と同様の目的の操作に付すことにより、以下の実施例化合物を得た。
【0244】
実施例52(1):1-[8-(ヘプチルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.92分、条件A);
MS (M+H):346。
【0245】
実施例52(2):1-[8-(オクチルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
【化34】
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.97分、条件A);
MS (M+H):360;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.10, 6.74, 6.71, 4.36 - 4.18, 4.04 - 3.91, 3.63 - 3.49, 3.45 - 3.34, 3.17, 2.96 - 2.79, 2.41, 2.23 - 2.10, 1.85 - 1.71, 1.70 - 1.58, 1.58 - 1.44, 1.44 - 1.23, 0.90。
【0246】
実施例52(3):1-[8-(ノニルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:1.02分、条件A);
MS (M+H):374;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.10, 6.74, 6.71, 4.36 - 4.18, 4.04 - 3.91, 3.63 -D):δ 7.10, 6.74, 6.71, 4.36 - 4.18, 4.04 - 3.91, 3.63 10, 1.85 - 1.71, 1.70 - 1.58, 1.58 - 1.44, 1.44 - 1.23, 0.89。
【0247】
実施例52(4):1-[8-(デシルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:1.07分、条件A);
MS (M+H):388。
【0248】
実施例52(5):1-[8-(ウンデシルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:1.12分、条件A);
MS (M+H):402。
【0249】
実施例52(6):1-{8-[3-(1,2-チアゾール-4-イル)プロポキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.73分、条件A);
MS (M+H):373
【0250】
実施例52(7):1-{8-[3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)プロポキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル}-3-アゼチジンカルボン酸
【化35】
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.76分、条件A);
MS (M+H):374;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.12, 6.77, 6.74, 4.36 - 4.15, 4.07 - 3.91, 3.58 -D):δ 7.12, 6.77, 6.74, 4.36 - 4.15, 4.07 - 3.91, 3.58 タレニル}-3-アゼチジンカルボン酸.70 - 1.58, 1.58 -, 2.46 1.22。
【0251】
実施例52(8):1-[8-(3-シクロヘキシルプロポキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-アゼチジンカルボン酸
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.97分、条件A);
MS (M+H):372;
1H-NMR (CD3OD):δ 7.12, 6.76, 6.74, 4.37 - 4.18, 4.07 - 3.91, 3.63 -D):δ 7.12, 6.76, 6.74, 4.37 - 4.18, 4.07 - 3.91, 3.63 カルボン酸-3-アゼチジンカルボン酸.70 - 1.58, 1.58 - 0.89。
【0252】
実施例53:メチル 1-(5-クロロ-8-ヒドロキシ-1,2,3,4,-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アゼチジン-3-カルボキシラート トリフルオロ酢酸塩(1/1)
メチル 1-(8-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アゼチジン-3-カルボキシラート(100mg)のDMF(0.5mL)溶液に氷冷下でN-クロロスクシンイミド(51mg)のDMF(0.5mL)溶液を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40→20:80)、さらに逆相液体クロマトグラフィー(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)含有水/0.1%TFA含有アセトニトリル)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(10mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6):δ 10.45-10.20, 9.89, 7.11, 6.69, 4.60 - 4.15, 3.85 - 3.47, 3.09 - 2.95, 2.67 -:δ 10.45-10.2 2.23, 2.20 - 2.03, 1.68 - 1.42。
【0253】
実施例54:1-{5-クロロ-8-[2-(ナフタレン-1-イル)エトキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル}アゼチジン-3-カルボン酸-トリフルオロ酢酸塩(1:1)
実施例13で製造した化合物の代わりに実施例53で製造した化合物を用い、実施例5で製造した化合物の代わりに2-(ナフタレン-1-イル)エタノールを用いて、実施例14と同様の目的の操作に付した。得られた化合物(8mg)のメタノール(0.1mL)、ジメトキシエタン(0.1mL)溶液に2N水酸化ナトリウム水溶液(0.05mL)を加え、室温で4時間撹拌した。反応混合物に2N塩酸水溶液(0.05mL)を加え、逆相液体クロマトグラフィー(0.1%TFA含有水/0.1%TFA含有アセトニトリル)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(3.2mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.92分、条件A);
MS (M+H):435。
【0254】
以下に生物学的実験例を示し、これらの実験方法に基づいて、本発明化合物の効果を確認した。
【0255】
生物学的実験例1:[33P]-S1PのS1P(EDG-8)への結合に対する本発明化合物の阻害作用の測定
ヒトS1P(EDG-1)またはヒトS1P遺伝子をそれぞれ過剰発現させたチャイニーズハムスターオーバリー(CHO)細胞膜画分を用いて、膜各分1mg protein/mLを使用し、96穴アッセイプレート内で反応した。各ウェルにバッファー(50mmol/L、Tris pH7.5、5mmol/L、MgCl2、0.5%BSA、Complete EDTA free(1 tablet/50mL))で希釈したビークル(DMSO)溶液または2倍濃度のリガンド溶液100μLとバッファーで希釈した50μLの0.16nmol/L [33P]-S1P(American Radiolabeled Chemicals社製)を加えた後、膜画分溶液(50μL)を加えて室温で60分反応させた。反応後、96穴UNIFILTERを用いて吸引ろ過し、洗浄バッファー(50mmol/L、Tris pH7.5、0.5% BSA)(150mL)で洗浄した後、60℃で45分間乾燥させた。MicroScint(商品名)20(50μL/well)を加えて、プレートをTopSeal-Aでカバーした後、TopCount(Perkin Elmer社製)で放射活性を計測した。
【0256】
[結果]
本発明化合物は、[33P]-S1PのS1Pへの結合に対して、以下の表に示す阻害活性(IC50値)を示した。さらに、本発明化合物の[33P]-S1PのS1Pの結合活性を表1に示す。なお、表1中に示す記号は、それぞれ、IC50値がA:1~100nM未満、B:100~1000nM未満、C:1μM~3μM、D:>10μM、E:>30μMを表す。その結果、本発明化合物は、いずれもS1P受容体への結合活性が高いことに加え、S1P受容体に対してS1P受容体選択的な結合活性を有することがわかった。
【0257】
【表1】
【0258】
生物学的実施例2:細胞内cyclicAMP産生濃度をモニターすることによる本発明化合物のS1P受容体調節活性の評価
ヒトS1P(EDG-8)遺伝子を過剰発現させたCHO細胞を、10%FBS(ウシ胎児血清)、ペニシリン/ストレプトマイシン及びジェネティシン(0.25mg/mL)含有のHam’sF12培地(GIBCO BRL社製)で培養した。培養した細胞から培地を除去し、リン酸緩衝生理食塩水で1回洗浄し、バッファー(20mmol/L HEPES、0.1若しくは0.2% BSA、1mmol/L IBMX及び5μmol/L forskolinを含むHank’s balanced salt solution)で希釈したビークル(DMSO)溶液または化合物溶液を、37℃にて30分間処置した。その後、リン酸緩衝生生理食塩液で1回洗浄し、cAMP測定キット(Cisbio Bioassays)を用いて、細胞の溶解及び溶解液中のcyclicAMP濃度を測定した。
【0259】
[結果]
以下の表に示すように本発明化合物は、S1P受容体に対する調節活性を有することが分かった。なお、表2中に示す記号は、EC50値がA:1nM~100nM未満であることを表す。
【表2】
【0260】
[製剤例]
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・4-{5-[2-(2-ナフチル)エトキシ]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-イソキノリニル}ブタン酸 トリフルオロ酢酸塩…100g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) … 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) … 10g
・微結晶セルロース … 870g
【0261】
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・1-[5-({(2E)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-プロペン-1-イル}オキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル]-3-ピロリジンカルボン酸…200g
・マンニトール … 20g
・蒸留水 … 50L
【産業上の利用可能性】
【0262】
本発明化合物は、選択的なS1P受容体結合活性を有し、これを調節するため、S1P介在性疾患、例えば、神経変性疾患等の治療に有用である。