(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
G01N1/10 V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021169683
(22)【出願日】2021-10-15
(62)【分割の表示】P 2018509751の分割
【原出願日】2016-08-18
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】102015000046892
(32)【優先日】2015-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511021077
【氏名又は名称】コパン イタリア エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カラギウリ, ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】マルテッロ, ジョルジョ
(72)【発明者】
【氏名】タイニ, アンドレア
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-137904(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159968(JP,U)
【文献】国際公開第2014/207598(WO,A1)
【文献】特開2010-233656(JP,A)
【文献】実開平02-121870(JP,U)
【文献】特表2007-523663(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01608268(EP,A1)
【文献】国際公開第2014/049460(WO,A1)
【文献】特開2012-100990(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02641545(EP,A1)
【文献】特開平09-126959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/10 - 1/44
A61F 13/15 -13/84
A61B 9/00 -10/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置(1)であって、互いに反対側にあり中間部分(2c)によって接続される第1の端部(2a)と第2の端部(2b)との間で主長手方向に沿って延びた支持体(2)と、前記支持体(2)の少なくとも前記第1の端部(2a)に係合し、ある量の生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集するように構成された収集部(4)とを備え、前記収集部(4)が、前記第1の端部(2a)に繊維フロック加工プロセスによって作られたフロック繊維の層を含み、前記支持体(2)が、少なくとも第1の支持体部品(7)および第2の支持体部品(8)によって形成されており、前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)が、互いに別個のものであり、前記支持体(2)の組み立てられた状態を形成するように選択的に結合することができ、前記支持体(2)の分解された状態を形成するように選択的に互いに分離することができ、前記収集部(4)が、前記第1の支持体部品(7)の第1の端部および前記第2の支持体部品(8)の第1の端部の両方に作られ係合されており、前記第1の支持体部品(7)を前記第2の支持体部品(8)から分離することにより、それぞれ前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)に作られた2つの収集部部品(4a、4b)を形成するように、前記収集部(4)が選択的に分離可能であり、
前記収集部(4)と前記2つの収集部部品(4a、4b)の両方が、前記支持体(2)の前記第1の端部(2a)に作られ、前記第1の端部(2a)と係合しており、
前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)が、選択的な係合および係合解除を可能にすることができる
それぞれの係合要素(10)を有し、
前記
それぞれの係合要素(10)が、前記支持体(2)の前記組み立てられた状態で前記第1の支持体部品(7)と前記第2の支持体部品(8)との間の係合を確実にするように構成され
ており、前記係合要素(10)が、前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)の3つの別個の部分、すなわち、前記中間部分(2c)、前記第1の端部(2a)、および前記第2の端部(2b)に配置されており、
前記係合要素
(10)が、少なくとも前記第1の支持体部品(7)に形成された複数の収容座部(10b)および少なくとも前記第2の支持体部品(8)に形成された複数の突起(10a)を含むか、または逆の構成を含み、各突起(10a)が、前記支持体(2)の前記組み立てられた状態で対応する収容座部(10b)内に係合するのに適しており、
前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)が、射出成形された別個の要素として別々に作られたものであり
、取り外し可能な
前記係合要素が、前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)に一体成形されたものである、生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置(1)。
【請求項2】
前記支持体部品(7、8)が支持体半体(7、8)であり、前記収集部部品(4a、4b)が収集部半体(4a、4b)である、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記組み立てられた状態において、前記2つの支持体部品が相互に結合されており、前記収集部(4)を形成するように前記2つの収集部部品(4a、4b)が相互に接合されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記2つの収集部部品(4a、4b)によって形成される前記収集部(4)が、前記組み立てられた状態において単一部品を成している、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記2つの収集部部品(4a、4b)が、前記組み立てられた状態において、前記収集部(4)を形成するように互いに隣接して連続している、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)の両方が、少なくとも前記支持体(2)の前記第1の端部に沿って、かつ/または、少なくとも前記支持体(2)の前記第1の端部から前記支持体(2)の前記中間部分まで、かつ/または、少なくとも前記支持体(2)の前記第1の端部から前記支持体(2)の前記第2の端部まで延びている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)の両方が、少なくとも前記収集部(4)の一部に、または少なくとも前記収集部(4)の長手方向の範囲全体に、前記主長手方向に沿って長手方向に延びている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記2つの収集部部品(4a、4b)が、実質的に同じ量の吸収材料を含み、かつ/または、前記収集部(4)の2つの実質的に同一の半体を形成している、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記支持体(2)が、前記主長手方向に従って延びた長手方向延長の中心軸線(12)を有し、前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)が、前記長手方向延長の前記中心軸線(12)を含むそれぞれの接触面、または前記長手方向延長の前記中心軸線(12)を含むそれぞれの平坦な接触面で、選択的に分離可能であり、かつ結合するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記第1の支持体部品(7)と前記第2の支持体部品(8)とが、前記主長手方向に垂直な組み立て方向に従って選択的に結合され、かつ分離可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記収集部(4)が吸収材料を含み、かつ/または、前記収集部(4)が前記生物学的および/または化学的サンプルを吸収するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)の両方が、前記支持体(2)の長さと同様の長さもしくは実質的に等しい長さにわたって延びており、または、前記第1の支持体部品(7)が、前記支持体(2)の全長よりも短い長さ、もしくは前記収集部(4)と等しい長さを有し、前記第2の支持体部品が、前記支持体(2)の全長に等しい長さを有し、または、前記第1の支持体部品(7)が、前記収集部(4)よりも短い長さを有し、前記支持体(2)の前記第1の端部の末端部を備え、前記第2の支持体部品(8)が、前記支持体(2)の全長よりも短く、前記支持体(2)の長さの残りの部分に相当する長さを有し、それによって、前記第1の支持体部品および前記第2の支持体部品の長さの合計が、前記支持体(2)の全長を定める、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
法医学目的でおよび/または犯罪現場から、または環境サンプリング用に生物学的または化学的物質を収集するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置(1)の使用。
【請求項14】
生物学的物質および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置(1)を製造するためのプロセスであって、
前記装置の支持体(2)の第1の支持体部品(7)を射出成形によって作るステップであって、前記第1の支持体部品(7)が、前記第1の支持体部品(7)と一体に射出成形されて作られ、前記第1の支持体部品(7)の少なくとも3つの別個の部分、すなわち、中間部分(2c)、第1の端部(2a)、および第2の端部(2b)に配置された
、係合要素(10
)を有する、ステップと、
前記第1の支持体部品(7)とは別個の、前記装置の前記支持体(2)の第2の支持体部品(8)を射出成形によって作るステップであって、前記第2の支持体部品(8)が、前記第2の支持体部品(8)と一体に射出成形されて作られ、前記第2の支持体部品(8)の少なくとも3つの別個の部分、すなわち、中間部分(2c)、第1の端部(2a)、および第2の端部(2b)に配置され、前記支持体(2)の組み立てられた状態で前記第1の支持体部品(7)と前記第2の支持体部品(8)との間の係合を確実にするように構成された
、係合要素(10
)を有する、ステップと、
組み立てられた状態の支持体(2)を得るように
、それぞれの
前記係合要素(10)を係合させることによって前記第1の支持体部品(7)を前記第2の支持体部品(8)に係合させるステップと、
繊維フロック加工プロセスによってフロック加工された繊維の層を含む収集部(4)を前記支持体(2)の第1の端部(2a)に作るステップであって、前記収集部(4)が、互いに接合され、前記第1の支持体部品(7)および前記第2の支持体部品(8)にそれぞれ関連付けられる、2つの収集部部品(4a、4b)を含む、ステップと
を少なくとも含む、プロセス。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置(1)を用いて生物学的および化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための方法であって、
少なくともある量の前記サンプルを前記収集部(4)で収集するように、または収集するときのために、前記装置(1)の前記第1の収集部部品(4a)および前記第2の収集部部品(4b)を生物学的および/または化学的サンプルと接触して配置し、それによって、前記装置(1)の前記収集部(4)の前記第1の収集部部品(4a)で前記生物学的サンプルの第1の部分量を収集し、前記第2の収集部部品(4b)で前記生物学的サンプルの少なくとも第2の部分量を収集するステップと、
前記支持体(2)の前記第1の支持体部品(7)から前記支持体(2)の前記第2の支持体部品(8)を分離し、したがって、前記第2の部分量の生物学的サンプルを含む前記第2の収集部部品(4b)を、前記第1の部分量の生物学的サンプルを含む少なくとも前記第1の収集部部品(4a)から分離するステップと
を少なくとも含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的および化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置に関する。本発明はさらに、上記装置を製造するためのプロセス、装置の使用、ならびに、上記装置を使用することによって生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための方法に関する。装置は、好ましくはスワブの形態である。本発明は、例えば、人体から直接収集される生物学的物質の収集、移送および保存、または様々な性質の環境サンプリングに使用することができる。本発明は、例えば犯罪現場から回収された生物学的および/または化学的物質のサンプルの正確な保存および完全なトレーサビリティを保証することが必要な法医学分野において特に適用され、特に、最初の一連の分析によって収集され、既に分析された同じサンプルがまた、サンプル自体が収集された長期間後でさえ(数年後でさえ)利用できるようになることを保証するために、根本的に重要なものである。これは、例えば、司法機関が後の時点において、より早い時点に実施された分析から得られた結果を検証および照合するためにさらなる分析を行うよう命じる場合に必要となる。
【背景技術】
【0002】
例えば、後に分析または臨床検査室試験に供される有機物または生物学的物質のような被検物質を収集および移送するために種々のタイプの装置を使用することは、従来技術において知られている。例えば、ある量の綿繊維を一端に巻き付けた柄からなるスワブが知られており、綿繊維は、収集されるサンプルをその中に吸収するのに適した収集部を形成する。このような装置は、サンプルを収集部内に保持し、分析目的のために限定された割合のサンプルのみを放出する傾向がある。収集されるサンプルを吸収することができるスポンジ材料またはポリマー材料のような、吸収材料から作られている収集部を備えたスワブも知られている。また、細長い支持体と、分析物または生物学的物質のためのフロック状繊維収集部を形成する、支持体の一端にある複数の植毛繊維とを含むフロックスワブは本出願人が所有する欧州特許出願公開第1608268号明細書から知られている。上記フロックスワブは、非常に高い割合の吸収されている生物学的または化学的物質の放出を可能にする。上記のスワブは、特定の用途に応じて多かれ少なかれ可撓性である、一般にプラスチック材料、例えばポリスチレンから作られている細長い柄を有する。既知のスワブは、特に、例えば、収集部が縮小されたサイズの試験管または輸送もしくは分析のための他の容器内に挿入されることを可能にするために、残ったグリップ部分を伴わずに収集部のみを保存または移送することを可能にするために、柄を正確な所望の点で破断できるようにするために、細長い柄の中間部分に位置する所定の破断点を有することがある。他の場合には、適切な時点における制御された破断を容易にするために、柄が手動または自動で切断される。上述の既知のスワブには、例えば、必要に応じて、同じサンプルについて、後の時点において、たとえ長期間の後であっても、サンプルの完全なトレーサビリティおよび検証の実施を可能にするために、同じ収集された試料の別の部分を保持しながら、第1の時点において収集された生物学的および/または化学的サンプルの一部を分析することが可能であることが必要である、犯罪現場からサンプルを収集するためのその使用など、特定の用途の場合にいくつかの制限がある。本質的には、これは、司法および法医学の分野で重大かつ頻繁に発生する問題である、試験再現性の必要性に応答する問題である。可能な限り多くの生物学的および/または化学的サンプルを装置から抽出し、サンプルに対して必要な分析を行うことを可能にするために、例えば液体または他の物質を用いて装置の収集部を処理することができることが知られているが、サンプルが収集部から抽出されると、もはやサンプル自体が無傷のままであり、元々収集されたものと一致するかまたは実質的に同等であるという保証はもはやないため、このプロセスは、将来の使用のために同じサンプルの一部を保存することを妨げる。このような制限を克服する試みとして、例えば、装置の残りの部分および収集部を将来の使用のために保存しながら、収集部からこすり落とされ、柄から分離された繊維またはスポンジ部分のみが抽出プロセスを受けるように、装置のフロック部分の繊維の一部をこすり落とす(または同様の方法で、収集部を形成する、包囲している綿繊維またはスポンジの一部分を除去する)ことに存する手作業のプロセスが知られている。しかしながら、この解決法にはいくつかの制限がある。例えば、サンプルの汚染の危険性、プロセスが行われる環境の汚染の危険性、人為的ミスの可能性、手作業で取り除いた繊維部分に十分な量の生物学的および/または化学的サンプルが含まれていない場合は、手順を2回以上繰り返す必要があるというリスク、操作に関わる要員側に相当の手作業技能および経験が必要であること、ならびに、手作業に関連する労力および費用、ならびに、関連する材料(一回使用)が必要であること、などである。さらに、これは非効率かつ費用が掛かるプロセスであり、また過剰量のサンプルが除去され、将来の使用のために十分な量が保持されないという反対の危険性をもたらす。さらに、このプロセスは、刑事訴訟において必要とされるような十分に高いレベルの資料トレーサビリティを保証するものではなく、この文脈においては、法医学目的のサンプルが通常収集される。
【0003】
さらなる解決策は、本出願人が所有する国際公開第2014/207598号パンフレットからも知られている。この解決策は、フロック状装置の柄上に、フロック部分において柄を選択的に破断すること、および、同じフロック部分を2つの部分に分離することを促進することを目的として、装置のフロック状収集部に位置する脆弱化領域を設けることを想定する。しかしながら、この解決策は、他の目的のために使用するのには満足なものであることは別として、上記で特定されたすべての制限を克服することを可能にするものではない。本発明の主要な目的は、従来技術に見られる1つまたは複数の問題を解決することである。本発明の他の目的は、生物学的物質および化学物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置、その製造プロセス、ならびに、生物学的および化学的物質のサンプルを収集、移送しおよび保存するための方法である。これは、
一方の分析と他方の分析との間の非常に長い時間間隔をも含む、種々の時点における分析の実行のための適切な量の生物学的および/または化学的サンプルの保存を可能にして単純化し、かつ/または、
長期間でも生物学的および/または化学的物質の高度なトレーサビリティおよび正しい保存を保証し、かつ/または、
取扱いの必要性を減らし、収集されるサンプルおよびサンプルの処理に携わる人員の作業環境の汚染のリスクを低減し、および/または、
収集される生物学的および/もしくは化学的サンプルの処理の効率、安全性および信頼性を高め、かつ/または、
柔軟性が高く、使い勝手が良く、かつ/または、
実装するのが簡単で経済的である。
【発明の概要】
【0004】
以下の説明からより明らかになるこれらの目的および他の目的は、装置、装置を製造するためのプロセス、および上記装置によって生物学的および化学的物質のサンプルを収集、移送および保存する方法によって実質的に達成される。これは、単独で、または互いに組み合わせて、かつ/または以下に記載する態様のいずれかと組み合わせて取り上げられる、添付の請求項の1つまたは複数において表現されている。
【0005】
一態様において、生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置は、スワブの形態である。
【0006】
さらなる態様において、装置の支持体は柄の形態である。
【0007】
さらなる態様では、生物学的物質および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置は、第1の支持体部品および第2の支持体部品を有し、これらは、第1の支持体部品を第2の支持体部品に対して回転ピンを中心として回転させることによって分離可能であるように構成されている。
【0008】
さらなる態様では、てこの作用に起因して、この回転により、第2の支持体部品に対する第1の支持体部品の分離および/または2つの収集部部品の漸進的な分離が生じる。
【0009】
さらなる態様では、装置は、第1の支持体部品および第2の支持体部品を有し、これらは、第1の支持体部品または第2の支持体部品のある領域から開始してサンプルの収集部とは反対に、第1の支持体部品を第2の支持体部品に対して漸進的に離隔することによって分離可能であるように構成されている。
【0010】
さらなる態様では、支持体の主長手方向は、支持体の長手方向延長の中心軸線または対称軸線と一致する。
【0011】
さらなる態様では、屈曲により、第2の支持体部品に対する第1の支持体部品の分離および/または2つの収集部部品の漸進的な分離が生じる。
【0012】
さらなる態様において、第1の支持体部品および第2の支持体部品は、第1の支持体部品または第2の支持体部品の少なくとも一部を屈曲させることによって少なくとも部分的に分離可能であるように構成される。
【0013】
さらなる態様では、屈曲により、第2の支持体部品に対する第1の支持体部品の分離および/または2つの収集部部品の漸進的な分離が生じる。
【0014】
さらなる態様では、第1の支持体部品および第2の支持体部品は、選択的に分離可能であり、主長手方向に垂直なそれぞれの接触面またはそれぞれの平坦な接触面上で結合されるように構成される。
【0015】
さらなる態様では、第1の支持体部品および第2の支持体部品は、上記主長手方向と平行またはこれと一致する組み立て方向に従って、選択的に結合および分離することができる。
【0016】
さらなる態様では、第1の支持体部品は、支持体の第1の端部の一部および/または収集部の一部においてのみ、主長手方向に沿って長手方向に延び、支持体の残りの部分は、第2の支持体部品のみによって形成され、またはその逆になる。
【0017】
さらなる態様では、第1の支持体部品は、支持体の第1の端部および/または収集部においてのみ、主長手方向に沿って長手方向に延び、支持体の残りの部分は、第2の支持体部品のみによって形成され、またはその逆になる。
【0018】
さらなる態様では、支持体の長手方向部分は第2の支持体部品のみからなる。
【0019】
さらなる態様では、支持体の別の長手方向部分は第2の支持体部品のみからなる。
【0020】
さらなる態様では、支持体の長さは、第1の支持体部品および第2の支持体部品の長さの合計に対応する。
【0021】
さらなる態様では、第1の支持体部品および第2の支持体部品の両方が、少なくとも支持体の少なくとも第1の端部に沿って、または少なくとも収集部に沿って延びる。
【0022】
さらなる態様では、第1の支持体部品および第2の支持体部品の両方が、少なくとも支持体の第1の端部から、支持体の中間部に延びる。
【0023】
さらなる態様では、第1の支持体部品および第2の支持体部品の両方が、少なくとも支持体の第1の端部から、支持体の第2の端部に延びる。
【0024】
さらなる態様において、収集部は、吸収性スポンジ材料を含む。
【0025】
さらなる態様において、収集部は、吸収性ポリマー材料を含む。
【0026】
さらなる態様において、吸収材料は、接着剤によって支持体の第1の端部に固定される。
【0027】
さらなる態様では、吸収材料は、接着剤を使用することなく、支持体の少なくとも第1の端部および/または吸収材料を一時的に加熱することによって支持体の第1の端部に固定される。
【0028】
さらなる態様では、第1の支持体部品および第2の支持体部品は、圧入またはスナップ嵌めまたは締まり嵌めタイプのそれぞれの係合要素を有する。
【0029】
さらなる態様では、係合要素は、少なくとも第1の支持体部品上または第2の支持体部品に形成された1つまたは複数の収容座部と、少なくとも第2の支持体部品または第1の支持体部品上に形成された1つまたは複数の突起とを含み、各突起は、支持体の組み立てられた状態において、それぞれの収容座部内に係合されるのに適している。
【0030】
さらなる態様において、第1の支持体部品および第2の支持体部品は、細長い立体構造を有する。
【0031】
さらなる態様では、第1の支持体部品および/または第2の支持体部品は、装置の支持体の中間部分から、収集部のそれぞれの部品を支持する第1の支持体部品および/または第2の支持体部品の端部を分離することを可能にする脆弱化部分を有する。
【0032】
さらなる態様では、装置は、支持体の第2の端部において支持体に係合された把持部を備え、把持部は、支持体の分離状態において、支持体の第1の支持体部品および/または第2の支持体部品に堅固に接合される。
【0033】
さらなる態様では、第1の支持体部品および第2の支持体部品は、第1の支持体部品および第2の支持体部品上に形成された分離面に沿って分離され、支持体の長さの少なくとも半分または少なくとも3/4にわたって長手方向に延びるように構成される。
【0034】
さらなる態様において、分離面は、支持体の全長にわたって長手方向に延びる。
【0035】
さらなる態様では、分離面は、支持体の長さの一部のみにわたって、第1の支持体部品または第2の支持体部品の内のり長さに沿って長手方向に延びる。
【0036】
さらなる態様では、分離面は、支持体の第1の端部と第2の端部との間で継ぎ目なく延びている。
【0037】
さらなる態様において、第1の支持体部品および第2の支持体部品は、プラスチック材料から作られる。
【0038】
さらなる態様において、支持体全体が、プラスチック材料から作られる。
【0039】
さらなる態様において、生物学的サンプルの部分量は、生物学的サンプルの半量である。
【0040】
さらなる態様において、生物学的物質および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置の使用は、少なくとも収集部の先端においてサンプルを収集するステップを含む。
【0041】
さらなる態様では、装置の使用は、第1および第2の収集部部品の両方が、サンプルの分析を行うのに十分な量の収集されたサンプルを与えられ、かつ/または、互いに類似するか、もしくは実質的に同様であるように、少なくとも収集部の先端においてサンプルを実質的に均一に収集するステップを含む。
【0042】
さらなる態様において、装置の使用は、収集部上に収集されたサンプルを脱水するステップをさらに含む。
【0043】
さらなる態様では、装置の使用は、支持体の第2の支持体部品を支持体の第1の支持体部品から分離するステップをさらに含み、この分離はさらに、第2の収集部部品の、第1の収集部部品からの分離を引き起こす。
【0044】
さらなる態様では、装置の使用は、第1の収集部部品に存在するサンプルを分析プロセスに供するステップと、サンプルのトレーサビリティおよび場合によってはその後の分析的使用のために、第2の収集部部品を保存するステップをさらに含み、または、第1の収集部部品と第2の収集部部品とが逆にされる。
【0045】
さらなる態様では、添付の装置クレームまたは上記の態様のいずれか1つによる装置を備え、少なくとも第1の収集部部品および/または第2の収集部部品を収容、移送および/または保存するための1つまたは複数の容器または試験管をさらに備える、生物学的または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するためのキットが提供される。
【0046】
さらなる態様では、キットは、装置の収集部上に存在するサンプルを脱水するために、少なくとも所定の期間にわたって、装置と関連し得る脱水要素をさらに備える。
【0047】
さらなる態様では、添付の装置クレームまたは上記の態様のいずれか1つによる、生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置を製造するためのプロセスは少なくとも、第1の支持体部品および第2の支持体部品を成形によって作るステップを含む。
【0048】
さらなる態様では、製造プロセスは、射出成形によって第1の支持体部品および第2の支持体部品を作るステップを含む。
【0049】
さらなる態様では、製造プロセスは、第1の支持体部品および第2の支持体部品を、両方とも装置の支持体の主長手方向に沿って長手方向に延びる別個の要素として作るステップを含む。
【0050】
さらなる態様では、製造プロセスは、支持体の第1の端部にある量の接着材料を施与するステップと、収集部を形成するために支持体の第1の端部に吸収材料を施与するステップとをさらに含む。
【0051】
さらなる態様では、製造プロセスは、少なくとも支持体の第1の端部および/または吸収材料を加熱するステップと、吸収材料を支持体の第1の端部に安定に結合させ、収集部を形成するように、支持体の第1の端部に吸収材料を施与するステップとをさらに含む。
【0052】
さらなる態様では、製造プロセスは、支持体の第1の端部にある量の接着材料を施与するステップと、収集部を形成するように支持体の第1の端部上にフロック繊維の層を作るステップとをさらに含む。
【0053】
製造プロセスのさらなる態様において、収集部を作るプロセスは、フロック加工によって実施される。
【0054】
製造プロセスのさらなる態様では、収集部を作るステップは、静電場中でフロック加工することによって実行され、それにより、繊維は、支持体の第1の端部の表面上に規則正しく配置され、かつ/または、付着プロセスの間、表面自体に対して実質的に垂直に配置される。
【0055】
さらなる態様では、添付の装置クレームまたは上記の態様のいずれか1つによる装置によって生物学的および化学的物質のサンプルを収集、移送および保存する方法は、第1の時点において生物学的サンプルに対して分析操作が実行されることを可能にするために、第1の収集部部品からサンプルの第1の部分量を抽出するステップと、第1の時点の後の第2の時点において使用するために、収集部の第2の収集部部品にサンプルの第2の部分量を保存するステップとをさらに含む。
【0056】
さらなる態様では、生物学的および化学的物質のサンプルを収集、移送および保存する方法は、支持体の長手方向分離面に沿って行われる、第1の支持体部品と第2の支持体部品との間の分離を含む。
【0057】
さらなる態様において、生物学的および化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための方法は、一定期間にわたって、生物学的サンプルの第1の部分量および/または生物学的サンプルの第2の部分量を、実質的に乾燥したかつ/または滅菌された環境または容器内に保存するステップを含む。
【0058】
非限定的な例として、本発明の1つまたは複数の好ましい実施形態の詳細な説明が以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】装置および容器または試験管を備える、生物学的または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するためのキットを示す図である。
【
図2】生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置を示す図である。
【
図3】第1の支持体部品と第2の支持体部品とが部分的に分離されている
図2の装置を示す図である。
【
図4】第1の支持体部品と第2の支持体部品とが完全に分離されている
図3の装置を示す図である。
【
図5】エッペンドルフ型試験管に挿入された収集部部品が設けられた第1の端部を有し、脆弱化部分における制御された破断を可能にするために部分的に屈曲されている、
図3の装置の第2の支持体部品を示す図である。
【
図7】装置の支持体全体が、部分的に分離された状態にある2つの支持体部品に長手方向に分割されている、
図2の装置の変形形態を示す図である。
【
図8】2つの支持体部品が相互に結合されている、組み立てられた状態の
図7の装置の長手方向断面図である。
【
図9】第2の支持体部品が、収集部においてのみ長手方向に延び、一方、支持体の残りの長さは、収集部の一部をも形成する第1の支持体部品によって形成されている、装置の第3の変形形態の長手方向断面図である。
【
図10】第2の支持体部品が、収集部および支持体の第1の端部の一部のみにわたって延び、第1の端部の末端部分を形成しており、一方、支持体の残りの長さは、第1の支持体部品によって形成されている装置の第4の変形形態の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図面を参照すると、1は、生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集、移送および保存するための装置の全体を示している。本明細書において、「生物学的物質」という語は、微生物学的物質も含むものとして理解される。さらに、用語「生物学的または化学的物質」は、実際には、例えば、これだけではないが、微生物、抗体/抗原、抗菌作用を有する物質、ヌクレオチド、抗生物質、ホルモン、DNA配列、酵素、有機物、生物学的物質または生物学的起源の物質、培養培地の増菌剤または選択剤など、および任意の種類の化学物質のような任意の種類の被検物質を含むものとして理解される。したがって、臨床、化学、生物学、微生物学、環境、遺伝学、法医学または他の分野におけるその後の分析を意図した様々な性質のサンプルが、この定義に含まれる。
【0061】
装置1は、主長手方向12に沿って延び、上記主長手方向12に沿って実質的に柄状および/または細長い立体構造を有する支持体2を備える。支持体2は、添付図面に示されているように、柄の形態であってもよく、また、その長手方向に沿って同じく可変である、任意の断面サイズを有することができる。支持体2は、互いに反対側にある第1の端部2aおよび第2の端部2bを有する。支持体2はさらに、端部2a、2bの間に位置する中間部分2cに形成された複数の補強リブ3を有することができる。
【0062】
支持体は、その目的に適した任意の材料から作ることができる。支持体は、好ましくはプラスチック材料、特に、例えばコポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド/ナイロンなどのプラスチックポリマーから作られる。
【0063】
装置1は、一定量の生物学的および/または化学的物質のサンプルを収集するように、例えば、摩擦または別のタイプの機械的作用によって吸収または収集するように構成された収集部4をさらに備える。収集部4は、支持体2の第1の端部2aに形成されている。収集部4は、既知の種類のものを用いることができる。好ましくは、収集部4は、フロックタイプのものであり、したがって、例えば適切な接着剤によって、または支持体のプラスチック材料を一時的に加熱することによって、第1の端部2aに付着されている複数のフロック繊維を含む。フロック繊維の層は、例えば、静電場内でフロック加工することによって作ることができ、その結果、繊維は、第1の端部の表面上に規則正しく配列される。フロック部分は、例えば、先に引用した欧州特許出願公開第1608268号明細書または国際公開第2014/049460号パンフレットおよび国際公開第2014/207598号パンフレットの教示に従って製造することができ、これらはすべて本出願人の名義であり、使用される繊維の種類ならびにフロック繊維の層の立体構造および特性に関連するこれらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。代替的に、収集部4は、吸収材料から作られる要素を含むことができる。例えば、収集部4は、スポンジ材料、ポリマー材料、または生物学的物質を収集するのに適した別の吸収材料から作ることができる。収集部は、経時的なサンプルの保存を改善し、かつ/またはその後の分析のためにサンプルを調製するのに適した物質によって前処理することができる。図に示すように、支持体2の第2の端部2bには、装置1自体の取扱いを簡単にするための把持部5を形成することができる。一変形形態では、把持部は中空であり、乾燥材料を含むことができる。好ましくは、収集部4および把持部5は、装置1の互いに反対側の端部に形成される。
図1に示すように、把持部5は、サンプルの収集前またはサンプルを収集した後でも装置を配置または保存できる容器または試験管6のキャップとして機能するのに適し得る。
【0064】
支持体2は、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8をさらに備える。第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は、細長い立体構造を有することが好ましい。第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は、
図7および
図8の変形形態のように、第1の端部2aおよび第2の端部2bの間で長手方向に延びることができる。代替的に、
図1~
図6に示す変形形態では、第1の支持体部品7は、支持体2の全長にわたって延びることができ、一方、第2の支持体部品は、第1の端部2aから中間部分2cの一部までのみに延びることができ、またはその逆であってもよい。支持体2は、支持体2の選択的破断を可能にするために、収集部4の近くに形成された脆弱化部分9をさらに含むことができる。脆弱化部分9は、支持体2の屈曲の下で、第2の支持体部品8に関して
図5に示すように、少なくとも一定の曲率半径に達したときに、この選択的な破断を可能にするように構成することができる。
図3、
図4および
図5に示すように、脆弱化部分9は、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8の両方に形成することができる。支持体2、特に第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は、プラスチック材料から作ることができる。好ましくは、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は、成形、特に射出成形によって別々に作られる。第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は、少なくとも支持体2の長手方向部分に沿って選択的に係合され、分離されるように構成される。第1の支持体部品7と第2の支持体部品8との間の係合およびその分離は、例えば係合要素10の形態であり得る取り外し可能な結合手段によって可能である。特に、係合要素10は、組み立てられた状態と分離された状態との間で支持体2が機能することを可能にする。例えば
図2、
図6および
図8に示す組み立て状態では、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は互いに係合している。対照的に、
図4に示す分離状態では、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は分離している。
図3および
図7は、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8の部分分離の状態を示しており、第1の収集部部品4aおよび第2の収集部部品4bにおける収集部4の分離が行われている。
【0065】
係合要素10は、好ましくは、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8上に形成され、例えば、圧入またはスナップ嵌めまたは締まり嵌めタイプとすることができる。添付の図に示される実施形態によれば、係合要素10は、突起10aおよび突起10aのための収容座部10bを含む。好ましくは、収容座部10bは、突起10aの形状に噛み合う形状である。添付の図に示すように、収容座部10bは第1の支持体部品7上に形成することができ、突起10aは第2の支持体部品8上に形成することができ、その逆も可能である。代替的に、第1の支持体部品7が、1つまたは複数の収容座部10bおよび1つまたは複数の突起10aを備えてもよく、第2の支持体部品8が、第1の支持体部品7の収容座部10bおよび突起10aとそれぞれ協働するのに適した、1つまたは複数の突起10aおよび1つまたは複数の収容座部10bを備えてもよい。突起10aおよび収容座部10bはまた、2つの支持体部品7,8の各々が突起10aおよび収容座部10bの両方を有するように、然るべき支持体部品7,8上で交互に配置されてもよい。好ましくは、係合要素10は、突起-収容座部対からなる。言い換えれば、各突起10aに対応して、それぞれの収容座部10bがある。例えば、添付の図は、3つの突起-収容座部対が付与された支持体2を示す。係合要素10(特に突起-収容座部対)は、第1の部品7および第2の部品8の複数の部分に形成することができる。例えば、
図7に示すように、係合要素10は、第1の部品7および/または第2の部品8の互いに反対側にある端部近く(すなわち、支持体2の端部2a、2bの近く)で、第1の部品7および第2の部品8の中間部分内に形成することができる。
【0066】
支持体2は、組み立てられた状態から作業員の手作業により分離された状態に移行するように構成されている。すなわち、支持体2に手で作用を及ぼすことにより、第1の支持体部品7を第2の支持体部品8から分離させる、またはその逆を行うのは作業員である。
【0067】
組み立てられた状態から分離された状態に移行するとき、支持体2の第1の支持体部品7と第2の支持体部品8との間の分離、および第1の収集部部品4aと第2の収集部部品4bとの間の分離の両方が生じる。特に、収集部4の分離は、収集部4が第1の支持体部品7と第2の支持体部品8の両方において支持体2と係合するときに行われ、その結果、部品7,8が分離すると、
図3および
図7に示すように、第1の収集部部品4aは第1の支持体部品7に堅固に接合され、したがって、第2の支持体部品8に堅固に接合された第2の収集部部品4bから分離する。例えば、収集部4がフロック加工されている好ましい実施形態では、繊維の分散が最小限に抑えられているかまたはまったくない状態で、複数の繊維(第1の収集部部品4aを形成する)が第1の支持体部品7に付着したままであり、それぞれの複数の繊維(第2の収集部部品4bを形成する)は、第2の支持体部品8に付着したままであり、これは、製造段階の間に接着剤が施与されているか、または、製造段階の間にあらかじめ加熱されている、支持体2の材料に堅固に接続されているために、繊維のすべてが第1の収集部部品4aおよび第2の収集部部品4bに実質的に付着したままであるためである。
【0068】
図3および
図7に示すように、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は、好ましくは平坦な接触面11からなるそれぞれの接触面11に沿って結合および分離されるように構成されている。接触面11は、支持体2の第1の部品7および第2の部品8において主長手方向に沿って長手方向に延びている。
図3および
図6~
図8に示すように、第1の部品7および第2の部品8の接触面は、支持体2の組み立てられた状態において互いに対向して接触する平坦な表面からなることができる。接触面11は、
図1~
図6の変形形態のように、支持体2の長さの半分に少なくとも等しい長さにわたって延びることができる。接触面11は、
図7および
図8の変形形態のように、支持体2の全長に少なくとも等しい長さにわたって延びることができる。接触面11は、
図9の変形形態のように、収集部の長さの半分に少なくとも等しい長さにわたって延びることができる。接触面11は、主長手方向に対して垂直に延び、
図10の変形形態のように、支持体の、中心軸線12に垂直な部分と一致することができる。
図9および
図10の変形形態では、第1の支持体部品7および/または第2の支持体部品8には、第2の支持体部品8からの第1の支持体部品7の取り外しを容易にするための突出する把持要素が設けられてもよい。
【0069】
図9および
図10の変形形態では、適切な時点における取り外しを容易にし、結果として、収集部、したがって吸収材料の分離を容易にするように、2つの支持体部品7,8の間に挿入されるのに適した、例えばブレードを備えた器具を使用することが必要または好都合になり得る。
【0070】
図10の変形形態は、サンプルの収集が主に装置の先端で行われる法医学分野での使用にあまり適していないが、サンプルの収集が収集部全体で行われる他の分野での使用に(例えば、体腔内のサンプルの収集などにおいて)より良好に適している。
【0071】
図示したすべての変形形態では、2つの支持体部品の分離は、手作業で行ってもよく、特定の機械によって自動化されてもよい。
【0072】
図1~
図6の変形形態では、第1の支持体部品7が支持体2の全長にわたって延びており、第2の支持体部品8が中間部分2cの一部までしか延びていないため、第1の支持体部品7と第2の支持体部品8とは、異なる長手方向延長を有する。したがって、支持体2の第2の端部2bは、全体が第1の支持体部品7からなる。この変形形態は、単純に第1の支持体部品7を部分的に屈曲させることによって、2つの支持体部品7,8が容易に分離することを可能にし、これによって、支持体の第1の端部に対向する突起10aを、対応する収容座部10bから出すことができる。
図7および
図8に示す実施形態では、第1の支持体部品7および第2の支持体部品8は、実質的に同様の長さにわたって延び、接触面11は、支持体2の全長にわたって延びている。この変形形態では、2つの支持体部品の把持および手作業による分離を容易にするために、互いに対してずれている、第1の支持体部品および第2の支持体部品から突出する適切な把持要素(図示せず)を設けることができる。支持体2の第1の支持体部品7と第2の支持体部品8との間の分離のいくつかの可能な態様を以下により詳細に説明する。第1の支持体部品7と第2の支持体部品8との間の分離は、例えば、第1の支持体部品7を第2の支持体部品8に対して、または、その逆に回転させることによって屈曲しまたは動かすことによって達成することができる。第1の支持体部品7および第2の支持体部品8を分離するために、作業員は、第2の支持体部品8の一端(好ましくは、収集部4の反対側の端部)を把持し、これを動かして、第1の支持体部品7の対応する端部から外方に屈曲させる。この運動は、上記端部の近くに規定された係合要素10の係合を解除させ、その後、第2の支持体部品8が第1の支持体部品7から外方に移動し続けるにつれて、てこの作用により、および、単純に2つの支持体部品7、8が漸進的に分離することによって、第1の収集部部品4aが第2の収集部部品4bから取り外される。支持体2の第1の支持体部品7を支持体2の第2の支持体部品8から分離するステップは、例えば
図2,
図3,
図4および
図7に例示されている。
図2は、支持体2が組み立てられた状態にある装置1を示す。一方、
図3は、支持体2の第1の支持体部品7から第2の支持体部品8を分離する動きを示す。上記部品7,8を分離するために行うことができる回転運動は、
図3に例示されている。図示された変形形態では、この回転運動は、支持体2の第1の端部2aおよび収集部4を、正確にその中心または回転支点としている。図示されていない変形形態によれば、支持体2には、支持体2の中間部分に位置するピンまたは要素を設けることができ、これは第1の部品7と第2の部品8との間の上記ピンを中心とした相対回転を可能にするのに適しており、またそのように構成されている。そのような場合、支持体2の第1の部品7と第2の部品8との間の分離を達成するために、第2の支持体部品8の一端(好ましくは、収集部4に対向する第2の支持体部品8の端部)を把持し、接触面11が存在する平面内で回転させるようにすることができる。この分離によって、2つの支持体部品の、はさみのような往復回転運動によって、第1の支持体部品7が第2の支持体部品8から、特に第1の収集部部品4aが第2の収集部部品4bから漸進的に離脱する。
【0073】
好ましい実施形態では、支持体部品7,8は支持体半体7,8であり、収集部部品4a、4bは収集部半体4a、4bである。
【0074】
生物学的サンプルの部分量は、生物学的サンプルの半量であり得る。好ましくは、収集部部品または半体は、同じサンプル収集能力を有するように寸法決めされる。本明細書において、「部品」という用語および「半体」という用語は、そのような部品または半体を含むか、またはそれらからなる本体全体の部品または半体を意味する。
【0075】
使用中、生物学的物質および/または化学的物質のサンプリングは、組み立てられた状態の装置1を用いて行われる。好ましくは、収集は、少なくとも収集部の先端上で少なくともサンプルを収集するように、かつ好ましくは、収集部の先端の全周にわたって十分かつ実質的に均一な量のサンプルを収集するように行われ、それによって、第1の収集部部品4aと第2の収集部部品4bとの分離後、上記収集部部品は両方とも、独立した分析のために十分な量のサンプルを含み、好ましくは、同様の量の同じサンプルを含む。支持体2の第1の部品7と第2の部品8との間の分離、したがって、第1の収集部部品4aと第2の収集部部品4bとの間の分離は、生物学的物質および/または化学物質のサンプルの収集後、特定の事例の要求に応じて変わる期間内で行われる。以下でより詳細に分かるように、この分離は、第2の収集部部品4bにより吸収される第2の量の生物学的および/または化学的サンプルとは無関係に、第1の収集部部品4aにより吸収される第1の量の生物学的および/または科学的サンプルの処理を可能にする。例えば、第1の量の生物学的サンプルおよび/または化学的サンプルを第1の時点において使用することができ、第2の量の生物学的サンプルおよび/または化学的サンプルを、長時間後でさえある第2の時点において使用することができる。一例として、第1の量の生物学的サンプルおよび/または化学的サンプルは、その収集の直後に(例えば、試験、分析または他の実験室用途のために)使用することができ、第2の量の生物学的サンプルおよび/または科学的サンプルは、例えば、その収集後に後の時点で(数日、数ヶ月または数年後に)、検証試験および照合のため保存および使用することができる。本発明はさらに、前述のタイプの装置を用いて、生物学的物質および/または化学的物質のサンプルを収集および移送する方法に関する。この方法は、収集部4を生物学的サンプルおよび/または化学的サンプルと接触させて配置するステップを含む。このステップは、第1の収集部部品4aおよび第2の収集部部品4bがそれぞれ、少なくとも第1の量の生物学的および/または化学的サンプルおよび少なくとも第2の量の生物学的および/または化学的サンプルを収集するように行われ、両方の量はその後のサンプルの分析を可能にするのに十分である。この方法は、サンプルをより良く保存することができるように、収集部に収集されたサンプルを脱水して、サンプルに損傷を与え、連続的な分析のために使用できなくする菌類およびカビの増殖を回避するステップを含むことができる。
【0076】
したがって、この方法は、支持体2の第2の支持体部品8を支持体2の第1の支持体部品7から分離するステップを含む。このステップは、少なくとも第1の量の生物学的サンプルおよび/または化学的サンプルを含む第1の収集部部品4aから、第2の量の生物学的および/または化学的サンプルを含む第2の収集部部品4bを分離させる。この時点で、第1の量の生物学的および/または化学的サンプルの少なくとも一部が、第1の時点において生物学的および/または化学的サンプルに対して分析操作が実施されることを容易にするために第1の収集部部品4aから抽出され、第2の収集部部品4b上の第2の量の生物学的サンプルおよび/または化学的サンプルが、第1の時点の後の将来の使用のために保存され、またはその逆である。生物学的物質および/または化学物質のサンプルの正確な保存を可能にするために、第1の収集部部品4aにより吸収される第1の量の生物学的および/もしくは化学的サンプルならびに/または第2の収集部部品4bにより吸収される第2の量の生物学的および/化学的サンプルは、適切な容器または試験管6に保存することができ、好ましくは、例えば、把持部5に含まれる脱水要素によって脱水することができる。第1の収集部部品4aおよび第2の収集部部品4bは、全体を支持体2のそれぞれの部品7,8によって保存してもよく、または、縮小したサイズの容器内に保存することを可能にするためにそれらから分離してもよい。例えば、支持体2の第1の支持体部品7は、
図1に示されるような試験管6内に保存することができ、一方、第2の収集部部品4bは、脆弱化部分9の制御された破断によって第2の支持体部品8の中間部分から取り外し、
図5に示すようにエッペンドルフ型試験管6aに挿入して、サンプルを抽出し、その後の試験をサンプルに対して行うことができるようにすることができる。
【0077】
本発明はさらに、前述の装置1の製造プロセスに関する。このプロセスは、支持体2の第1の支持体部品7および第2の支持体部品8を別々に作ることを想定している。それらは好ましくは成形により、さらに好ましくは射出成形によって作られる。第1の支持体部品7は、その後、例えば係合要素10の形態の取り外し可能な結合手段によって第2の支持体部品8と係合される。この時点で、支持体2は組み立てられた状態にある。支持体2が組み立てられた後、支持体2の第1の端部2aに一定量の接着材料(例えば接着剤)が施与される。代替的に、支持体2を形成する材料を加熱することによって、接着剤を使用せずに繊維を施与することが可能である。次に、このプロセスは、支持体2の上記端部2aにおいて、収集部4を作り、好ましくはフロック加工することを想定する。しかし、前述したように、他のタイプの収集部4を設けることもできる。さらに、既知のタイプであり、したがって詳細には記載されていない、装置の仕上げ、処理、および完成のさらなるステップを想定することができる。
【0078】
本発明は、以下の利点の1つまたは複数を得ることを可能にする。第1に、本発明は、従来技術に見られる問題を克服することができる装置、その装置の製造プロセス、生物学的物質および/または化学材料のサンプルを収集および移送する方法、ならびに装置の使用を提供することができる。特に、本発明はさらに、即時分析および将来の使用のために分析される十分な量のサンプルの取得を単純化するスワブが作られることを可能にする。本発明はさらに、生物学的物質および/または化学的物質のサンプルの収集、移送および保存を単純化することを可能にする。本発明はさらに、それだけではないが、とりわけ法医学的用途のために、長い期間にわたってでさえ、生物学的物質の高いトレーサビリティおよび正確な保存が保証されることを可能にする。特に、本発明は、後で分析されるサンプルが、単一のサンプル収集から得られ、関連する取扱いが最小限に抑えられるため、正確に同じであるという確実性を有することを可能にする。したがって、異なるサンプルに対して試験を実施するか、またはそれらを汚染するリスクは非常に限られている。本発明はさらに、サンプルの取扱いを減らし、収集されたサンプルおよび関連する環境を汚染する危険性を大幅に低減することを可能にする。本発明はさらに、収集される生物材料を処理するプロセスの効率、安全性および信頼性を高めることを可能にする。本発明によるスワブはさらに使用するのに非常に便利であり、信頼性が高く、安全に使用することができる。最後に、本発明は実装が簡単かつ経済的である。