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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】信号変換装置、及びモータ駆動システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/14 20060101AFI20230516BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20230516BHJP
【FI】
G01R19/14
H02P29/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019078121
(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公開番号】P2020176876
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】ニデックアドバンスドモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】チャルレス シムソン ハラソン シリトンガ
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032287(JP,A)
【文献】国際公開第2012/102081(WO,A1)
【文献】特開2005-061967(JP,A)
【文献】特開2008-295128(JP,A)
【文献】特開2018-207753(JP,A)
【文献】特開2005-261029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 19/00-19/32、
H02P 4/00、
25/08-25/098、
29/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号源から第1交流信号が供給される第1信号入力端子と、
前記第1交流信号と同相の同相信号と前記第1交流信号と逆相の逆相信号を含み、前記同相信号と前記逆相信号の切り替えにより位相が切り替えられた第2交流信号が前記信号源から供給される第2信号入力端子と、
前記供給された第1交流信号を用いて、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する検出部と、
を備え
前記検出部は、
前記供給された第2交流信号を半波整流した半波信号を生成する第1整流回路と、
前記供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、前記生成された半波信号に負のバイアスを掛けるバイアス回路と、
前記バイアスが掛けられた前記第2交流信号を半波整流した第2半波信号を生成する第2整流回路と、
前記生成された第2半波信号の正の振幅を検出することで、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する振幅検出部と、
を備える、
信号変換装置。
【請求項2】
前記振幅検出部は、
前記生成された半波信号を平滑化する平滑化回路
を備え、
前記平滑化後の半波信号の正の振幅を検出することで、前記供給された第2交流信号が
前記同相信号か前記逆相信号かを検出する
請求項1に記載の信号変換装置。
【請求項3】
信号源から第1交流信号が供給される第1信号入力端子と、
前記第1交流信号と同相の同相信号と前記第1交流信号と逆相の逆相信号を含み、前記同相信号と前記逆相信号の切り替えにより位相が切り替えられた第2交流信号が前記信号源から供給される第2信号入力端子と、
前記供給された第1交流信号を用いて、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する検出部と、
を備え
前記検出部は、
前記供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、前記供給された第2交流信号に負のバイアスを掛けるバイアス回路と、
前記バイアスが掛けられた前記第2交流信号を半波整流した半波信号を生成する整流回路と、
前記生成された半波信号の正の振幅を検出することで、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する振幅検出部と、
を備える、
信号変換装置。
【請求項4】
前記振幅検出部は、
前記生成された半波信号を平滑化する平滑化回路
を備え、
前記平滑化後の半波信号の正の振幅を検出することで、前記供給された第2交流信号が
前記同相信号か前記逆相信号かを検出する
請求項3に記載の信号変換装置。
【請求項5】
モータ本体と、
請求項1から4の何れか1項に記載の信号変換装置と、
前記信号変換装置による検出結果に基づいて前記モータ本体を制御する駆動回路と
を備えるモータ駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号変換装置、及びモータ駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
制御対象のモータ等を制御するシステム(モータ駆動システム)に関する技術についての研究や開発が行われている。
【0003】
これに関し、制御対象の外部に設けたスイッチで、複数の制御対象をON/OFF制御する装置について記載されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-43854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、例えば、複数の制御対象をON/OFF制御する際に、特定の制御対象に流れる電流の一部を装置が検出して、装置がその検出結果に基づいて他の制御対象を制御する場合がある。しかしながら、制御対象に流れる電流は、制御対象の種類、消費電力、個数、稼働状態等によってさまざまな値になることがある。このような場合に、制御対象に流れる電流の大きさを検出するための基準値(閾値)を適した値に定めることが困難であり、制御対象に電流が流れることを精度よく検出して、制御対象を制御することが困難なことがあった。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、供給される信号を用いた、より簡易な方法で、制御対象の稼働状態を切り替えることができる信号変換装置、及びモータ駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、信号源から第1交流信号が供給される第1信号入力端子と、前記第1交流信号と同相の同相信号と前記第1交流信号と逆相の逆相信号を含み、前記同相信号と前記逆相信号の切り替えにより位相が切り替えられた第2交流信号が前記信号源から供給される第2信号入力端子と、前記供給された第1交流信号を用いて、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する検出部と、を備える信号変換装置が提供され 前記検出部は、前記供給された第2交流信号を半波整流した半波信号を生成する第1整流回路と、前記供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、前記生成された半波信号に負のバイアスを掛けるバイアス回路と、前記バイアスが掛けられた前記第2交流信号を半波整流した第2半波信号を生成する第2整流回路と、前記生成された第2半波信号の正の振幅を検出することで、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する振幅検出部と、を備える、信号変換装置。
または、本発明の第2の態様によれば、信号源から第1交流信号が供給される第1信号入力端子と、前記第1交流信号と同相の同相信号と前記第1交流信号と逆相の逆相信号を含み、前記同相信号と前記逆相信号の切り替えにより位相が切り替えられた第2交流信号が前記信号源から供給される第2信号入力端子と、前記供給された第1交流信号を用いて、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する検出部と、を備える信号変換装置が提供され前記検出部は、前記供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、前記供給された第2交流信号に負のバイアスを掛けるバイアス回路と、前記バイアスが掛けられた前記第2交流信号を半波整流した半波信号を生成する整流回路と、前記生成された半波信号の正の振幅を検出することで、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する振幅検出部と、を備える、信号変換装置。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、モータ本体と、上記の信号変換装置と、前記信号変換装置による検出結果に基づいて前記モータ本体を制御する駆動回路とを備えるモータ駆動システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、供給される信号を用いた、より簡易な方法で、制御対象の稼働状態を切り替えることができる信号変換装置、及びモータ駆動システムを提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係るモータ駆動システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、状態A3における信号検出回路の動作を説明するための図である。
図3図3は、信号検出回路のシミュレーション結果を説明するための図である。
図4図4は、負荷装置を経由する漏れ電流がある状態を説明するための図である。
図5図5は、信号検出回路の動作を説明するための図である。
図6図6は、第2の実施形態に係るモータ駆動システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、電気信号を伝送する導体のことを、給電線、接地線、配線、制御信号線などと称して説明する。給電線と接地線は、例えば、コードであってもよく、基板上にプリントされた導体であってもよく、バスバーなど任意の形状の導体等であってもよい。実施形態における「接続する」は、電気的に接続することを含む。
【0012】
<モータ駆動システムの構成>
図1は、第1の実施形態に係るモータ駆動システム1の構成の一例を示す図である。
モータ駆動システム1は、AC/DCモータ2(図中の記載は「AC/DC MOTOR」。)と、インタフェース装置3と、スイッチ4と、負荷装置5(図中の記載は「LED」。)を備える。インタフェース装置3は、信号変換装置の一例である。
【0013】
符号PSは、交流電力をモータ駆動システム1に供給する電源である。電源PSは、信号源の一例である。
【0014】
負荷装置5は、モータ駆動システム1とともに電源PSから交流電力の供給を受ける負荷を含む。負荷装置5は、例えば、LEDモジュールを備える照明装置であってもよい。図に示すように、電源PSとスイッチ4と負荷装置5は、直列に接続される。スイッチ4がオン状態になると、閉回路が形成され負荷装置5に電源PSからの電力が供給される。なお、負荷装置5は、モータ駆動システム1に含まずに、モータ駆動システム1に関連するものであってもよい。
【0015】
次に、AC/DCモータ2について説明する。
AC/DCモータ2は、例えば、モータ本体21(図中の記載は「DCM」。)と、駆動回路22と、端子291、292、294から296とを備える。
【0016】
モータ本体21は、後述の駆動回路22に接続され、駆動回路22から供給される電力によって回転する直流モータである。
【0017】
駆動回路22は、例えば、電源部23と、インバータ部24と、制御回路25とを備える。
【0018】
まず、電源部23について説明する。
電源部23は、例えば、コンデンサ231と、整流器232と、コンデンサ233と、直流電源装置234、235(図中の記載は「DC/DC」。)と、ヒューズ236と、サージ電圧制限素子237とを備える。
【0019】
電源部23の電源側端子は、AC/DCモータ2に交流電力が供給される端子291と292を兼ねる。端子291と端子292には、1対の給電線を介して、整流器232の電源側端子と、コンデンサ231と、サージ電圧制限素子237とが夫々並列に接続される。整流器232の直流側端子には、直流電源装置234の電源側端子が並列に接続されている。直流電源装置234の負荷側端子には、直流電源装置235の電源側端子が並列に接続されている。端子291に接続される給電線には、ヒューズ236が設けられている。ヒューズ236が設けられている位置は、例えば、整流器232と、コンデンサ231と、サージ電圧制限素子237とが各々接続される接続点よりも端子291側である。
【0020】
整流器232の直流側端子の負極は、駆動回路22内の接地極2Gに接続される。接地極2Gは、直流電源装置23の基準電位になる。以下の説明では、接地極2Gの電位を、駆動回路22の基準電位として説明する。
【0021】
例えば、整流器232は、ブリッジ接続された4つのダイオードを備え、交流を全波整流する。整流器232の直流側端子の正極は、モータ本体21の動力用電力と、後述の直流電源装置234に制御用電力を供給する。整流器232の直流側端子には、コンデンサ233が並列に接続されている。コンデンサ233は、整流器232が出力する脈流を平滑化して、その直流電圧を電圧VMと呼ぶ。直流電源装置234と直流電源装置235は、定電圧制御により互いに異なる直流電圧を生成するレギュレータである。直流電源装置234と直流電源装置235は、例えば、第1の直流電圧(例えばDC15V)と第2の直流電圧(例えばDC3.3V)を生成して、それぞれを駆動回路22に供給する。
【0022】
次に、インバータ部24について説明する。
インバータ部24は、例えば、インバータ本体241(図の中の記載は「IPM」。)と、シャント抵抗242と、バイパスコンデンサ243とを備える。インバータ本体241は、図示しない少なくとも1つ以上のスイッチング素子を備える。インバータ本体241は、モータ本体21が有するコイルと接続されている。インバータ本体241は、電源部23から供給される直流電力(電圧VM、DC15V)を用いて、モータ本体21を駆動させる。インバータ本体241は、コントローラ257から供給された信号に応じてモータ本体21を回転させる。シャント抵抗242は、インバータ本体241と接地極2Gとに接続され、モータ本体21の駆動電流を検出する。バイパスコンデンサ243は、電圧VMの電源端子と接地極2Gとに接続されている。
【0023】
次に、制御回路25について説明する。
制御回路25は、例えば、電流検知回路251と、温度検知回路252と、バイパスコンデンサ253と、VM電源検知回路254と、プルアップ回路255と、コントローラ257とを備える。
【0024】
制御回路25には、駆動回路22の外部回路に接続される端子として、端子294から296が割り付けられている。端子294は、駆動回路22内部で接地極2Gに接続される。端子295と296は、駆動回路22の制御信号の入力端子である。端子295と296には、制御信号用の信号線が接続される。なお、端子296は、省略してもよく、以下の説明では端子295に入力される制御信号を中心に説明する。
【0025】
電流検知回路251は、インバータ部24のシャント抵抗242の非接地側に接続され、シャント抵抗242に生じた電圧を検出する。この電圧は、シャント抵抗242に流れた電流を示す。温度検知回路252は、温度異常などを検出するための温度センサを含む。バイパスコンデンサ253は、電位DC3.3Vの電源端子と接地極2Gとに接続されている。VM電源検知回路254は、電源部23の直流電源装置234の電源側端子の正極に接続され、電圧VMの電源電圧を検出する。電流検知回路251と、温度検知回路252と、VM電源検知回路254の出力は、コントローラ257に接続される。
【0026】
プルアップ回路255は、端子295とコントローラ257とに接続される信号線と、信号線をDC3.3Vにプルアップするプルアップ抵抗と、RCフィルタ回路とを含む。RCフィルタ回路は、例えば信号線と接地極2Gに接続されるコンデンサと、信号線に設けられた抵抗を組み合わせた1次フィルタである。フィルタ回路は、図示する構成に制限されず、削除することも含めて適宜変更できる。
【0027】
コントローラ257は、例えば、CPU(Central Processing Unit)2570と、半導体メモリなどの記憶部2571と、信号入出回路2572を備える。なお、コントローラ257は、プロセッサーを備えたFPGA(Field Programmable Gate Array)等であってもよく、ハードウエアでもよい。
【0028】
コントローラ257は、例えば、信号取得部2573と、インバータ制御部2574とを備える。信号取得部2573は、信号入出回路2572を経て、電流検知回路251と、温度検知回路252と、VM電源検知回路254の各検出結果とを取得する。信号取得部2573は、信号入出回路2572を経て、インタフェース装置3から供給される制御信号の論理状態を取得する。インバータ制御部2574は、電流検知回路251と、温度検知回路252と、VM電源検知回路254とによる検出結果に基づいて、インバータ部24を制御する。例えば、インバータ制御部2574は、インタフェース装置3からの制御信号がH(ハイ)レベルの場合には、モータ本体21を通電させるための制御信号を、信号入出回路2572からインバータ部24に対して出力させて、モータ本体21を駆動させる。インバータ制御部2574は、インタフェース装置3からの制御信号がL(ロー)レベルの場合には、モータ本体21への通電を中断させるための制御信号を、信号入出回路2572からインバータ部24に対して出力させて、モータ本体21の回転を停止させる。上記のように、コントローラ257は、インタフェース装置3からの制御信号の論理に従い、モータ本体21に通電するか遮断するかを決定するとよい。なお、コントローラ257は、インタフェース装置3からの制御信号の論理に従い、モータ本体21の駆動停止用に用いるだけでなく、モータ本体21の駆動時の速度、トルクのパラメータなどを変更するために、コントローラ257の内部設定パラメータの変更することに、同制御信号を用いてもよい。
【0029】
次に、インタフェース装置3について説明する。
インタフェース装置3は、例えば、ヒューズ31と、フィルタ部32と、ヒューズ33と、信号検出回路34(検出部)と、サージ電圧制限素子35と、抵抗36とを備える。
【0030】
インタフェース装置3は、例えば、電源PS側端子として端子381から384を備え、AC/DCモータ2側端子として端子391から395を備える。
【0031】
まず、インタフェース装置3の電源PS側の接続について説明する。
端子381から383は、インタフェース装置3の外部に露出して設けられている電源端子と接地用端子である。端子384は、同じく制御信号用端子である。なお、図示する回路の場合、端子381は、制御信号用端子を兼ねる。
【0032】
例えば、インタフェース装置3外部で、端子381は、配線PSLを介して電源PSの第1極に接続される。端子382は、配線PSNを介して電源PSの第2極に接続される。電源PSの第2極は、接地されていることがある。端子383は、保安用の接地端子として利用される。例えば、図1に示す電源PSの上側の極が上記の第1極であり、下側の極が上記の第2極である。
【0033】
端子384は、制御信号線PSSを介して電源PSの第1極に接続される。制御信号線PSSには、スイッチ4が設けられている。端子384とスイッチ4の一端を接続する制御信号線PSSには、負荷装置5の一端が接続され、負荷装置5の他端が電源PSの第2極に接続されている。上記の接続によれば、スイッチ4の操作により、負荷装置5への給電制御と、AC/DCモータ2の稼働状態の切り替え制御とを、連動させることができる。
【0034】
次に、インタフェース装置3の内部の構成について説明する。
端子381から383には、給電線Lと、給電線Nと、接地線PEの一端がそれぞれ接続される。給電線Lと、給電線Nと、接地線PEの他端には、端子391から端子393がそれぞれ接続される。給電線Lと給電線Nには、フィルタ部32が設けられている。給電線Lのフィルタ部32よりも端子381側にヒューズ31が設けられている。給電線Lにおいて、フィルタ部32とヒューズ31を接続する接続点を接続点LPと呼ぶ。
【0035】
フィルタ部32は、例えば、コモンモードノイズとノーマルモードノイズを低減させるためのコイルと複数のコンデンサと、サージ電圧を制限するための保護素子とを備える。その一部のコンデンサは、接地線PEに接続されている。なお、フィルタ部32の内部構成は一例を示すものであり、これに制限されることなく、他の構成に変更してもよい。或いは、フィルタ部32をインタフェース装置3内に設けなくてもよく、インタフェース装置3の外部に設けてもよい。
【0036】
端子384は、ヒューズ33が設けられた制御信号線を介して信号検出回路34の入力端子に接続される。ヒューズ33と信号検出回路34の入力端子の間の制御信号線には、サージ電圧制限素子35の一端が接続されている。サージ電圧制限素子35の他端は、端子382に接続される。
【0037】
端子394は、インタフェース装置3内部で接地極3Gに接続される。
端子395は、信号検出回路34が出力する制御信号の出力端子である。
【0038】
次に、信号検出回路34について説明する。
信号検出回路34は、例えば、ダイオード341と、抵抗342と、ダイオード343と、LPフィルタ344と、比較回路345と、バイアス回路346とを備える。
【0039】
信号検出回路34の入力端子には、ダイオード341のアノードが接続され、ダイオード341のカソードには抵抗342の一端と、抵抗36の一端とが接続され、抵抗342の他端にはダイオード343のアノードが接続され、ダイオード341のカソードにはLPフィルタ344の入力端が接続され、LPフィルタ344の出力端には比較回路345の入力端が接続され、比較回路345の出力端には端子395が接続される。抵抗36の他端は、給電線Nに接続されている。
【0040】
上記の接続点の中で、抵抗342の他端とダイオード343のアノードが接続される接続点を接続点BPと呼び、比較回路345の入力端をテスト端子TPと呼ぶ。
【0041】
LPフィルタ344は、抵抗とコンデンサを組み合わせたローパスフィルタである。LPフィルタ344は、ダイオード343によって生成された半波信号を平滑化する平滑化回路の一例である。LPフィルタ344は、後段の比較回路345が誤検出しないように、上記の半波信号による脈動を低減させるとよい。例えば、抵抗とコンデンサの組み合わせを2組設けて、カスケード接続した回路を例示する。LPフィルタ344の周波数特性として、交流の基本周波数よりも遮断周波数が低くなるように、低域通過特性のカットオフ周波数を決定する。なお、LPフィルタ344の構成はこれに制限されることなく適宜変更してよい。例えば、平均化回路、ピークホールド回路などに代えてもよい。
【0042】
比較回路345は、少なくとも1つのスイッチング素子を備える。図に示す比較回路345は、例えば、1つのトランジスタと、トランジスタのベース電位を規定するための第1の抵抗と第2の抵抗とを備えた、エミッタ接地型比較回路を含む。
【0043】
例えば、比較回路345のトランジスタのベースには、第1の抵抗と第2の抵抗の接続点が接続されている。第1の抵抗の他端が比較回路345の入力端に接続されている。第2の抵抗の他端が接地極3Gに接続されている。トランジスタのエミッタが接地極3Gに接地され、コレクタが比較回路345の出力端、つまり端子385に接続されている。信号検出回路34内の構成では、トランジスタは、オープンコレクタ出力になる。比較回路345の構成は、図に示したものに制限されることなく、他の種類のスイッチング素子であってもよく、所謂コンパレータであってもよい。
【0044】
バイアス回路346は、直列に接続された、第1ダイオード346aと、抵抗346bと、第2ダイオード346cとを備える。例えば、接続点BPには、第1ダイオード346aのアノードが接続され、第1ダイオード346aのカソードには、抵抗346bの一端が接続され、抵抗346bの他端には、第2ダイオード346cのアノードが接続され、第2ダイオード346cのカソードが接続点LPに接続されている。
【0045】
上記のインタフェース装置3は、AC/DCモータ2に接続された状態で利用される。その際、端子291から295は、端子393を除く端子391から395にそれぞれ接続される。端子393をAC/DCモータ2に接続しないことにより、AC/DCモータ2の接地極2Gとインタフェース装置3の接地極3Gは、電源PS側の接地極に対してフィルタ部32内のコンデンサによって容量結合される。
【0046】
インタフェース装置3がAC/DCモータ2に接続されることにより、比較回路345の出力端子(端子395)は、制御回路25のプルアップ回路255によって、DC3.3Vにプルアップされる。また、端子394の電位は、端子294の電位と同じになる。
【0047】
例えば、端子384に所定の正の電圧(閾値電圧VTHという)を超える電圧が掛かると、比較回路345のトランジスタがこれを検出して、オン(ON)状態になる。この状態を単に、「比較回路345がオン信号を出力する」という。上記とは逆に、端子384に閾値電圧VTH以下の電圧が掛かるか、或いは端子384が開放状態になると、比較回路345のトランジスタがオフ(OFF)状態になる。この状態を単に、「比較回路345がオフ信号を出力する」という。
【0048】
コントローラ257は、電源PSから所望の交流電力が供給される状態で電源部23からの給電により機能する。コントローラ257は、スイッチ4がオン状態とオフ状態の何れにあるかを、インタフェース装置3から端子385に供給される制御信号(オン信号又はオフ信号)の電圧に基づいて検出して、その検出結果に応じてモータ本体21に通電して駆動させるか、通電せずに停止させるかを決定する。
【0049】
<モータ駆動システムの動作>
以下、いくつかの典型的な利用形態を例示して、モータ駆動システム1の信号検出回路34に関わる動作を説明する。便宜的に、その説明を、スイッチ4の状態(オン状態/オフ状態)と、交流の位相(第1位相/第2位相)との組み合わせに対応させて分ける。なお、モータ本体21に通電する場合にスイッチ4をオン状態にして、通電しない場合にスイッチ4をオフ状態にするものと仮定する。
【0050】
交流が第1の方向に流れる位相を「第1位相」と呼び、その逆方向に流れる位相を「第2位相」と呼ぶ。例えば、第1位相の場合、給電線PSL側の極の電位が、給電線PSN側の極の電位よりも高く、第2位相の場合には、その逆である。
【0051】
(利用形態A)
利用形態Aは、負荷装置5が設けられていない構成の一例である。図1の負荷装置5が削除された場合に相当する。
【0052】
(状態A1:スイッチ4がオフ状態かつ交流が第1位相)
負荷装置5が設けられていないため、スイッチ4がオフ状態にあると、端子384に流入する電流がなく、信号検出回路34は、オフ信号を出力する。
【0053】
(状態A2:スイッチ4がオフ状態かつ交流が第2位相)
状態A1と同様に、信号検出回路34は、オフ信号を出力する。
【0054】
(状態A3:スイッチ4がオン状態かつ交流が第1位相)
図2を参照して、状態A3における信号検出回路34の動作を説明する。図2は、実施形態の状態A3における信号検出回路34の動作を説明するための図である。
スイッチ4がオン状態にあり、端子384に閾値電圧VTHを超える電圧が供給されて、端子384にスイッチ4を経由する電流Ionが流れる。信号検出回路34は、これを検出してオン信号を出力する。
【0055】
なお、端子384に閾値電圧VTHを超える電圧が供給されない期間が生じることがある。この期間は、端子384に電流Ionが流れないため、信号検出回路34は、これを検出してオフ信号を出力する。
【0056】
(状態A4:スイッチ4がオン状態かつ交流が第2位相)
スイッチ4がオン状態にあるため、端子384に供給される信号の電位が負になる。この場合、ダイオード341が逆バイアスされるため、端子384に電流が流れない。信号検出回路34に流入する電流がないため、信号検出回路34は、オフ信号を出力する。
【0057】
図3を参照して、上記の(状態A3)と(状態A4)における動作を説明する。
図3は、実施形態の信号検出回路34のシミュレーション結果を説明するための図である。図3に示す波形図は、上記の(状態A3)と(状態A4)に関するものである。波形図中の信号Scontが、テスト端子TPの電圧を示し、信号Soutが、端子395の電圧を示す。初期状態は、スイッチ4がオフ状態にあり、信号SoutがH(ハイ)レベルを示す電位になっている。このとき比較回路345のトランジスタはオフ状態になっている。
【0058】
時刻0にスイッチ4がオフ状態からオン状態に切り替わると、それに伴い信号Scontが示す電圧が上昇する。電流Ionの経路にインピーダンスがあり、かつLPフィルタ344があることにより信号Scontの電圧の変化に過度応答による遅延が生じる。この時刻0から時刻t1までの遅延時間は、LPフィルタ344のコンデンサの容量と、電源PSからLPフィルタ344のコンデンサまでの間に直列に設けられている回路に依存する。
【0059】
端子384に閾値電圧VTHを超える電圧が供給されているため、時刻t1になると比較回路345は、これを検出して出力信号の論理を反転して、信号SoutをL(ロー)レベルを示す電位を端子395に出力する。
【0060】
時刻t2にスイッチ4がオン状態からオフ状態に切り替わると、信号Scontが示す電圧が降下する。電流Ion(が遮断されるが、LPフィルタ344のコンデンサが充電されているため、号Scontが示す電圧(コンデンサの端子電圧)が徐々に低下する。この変化率は、LPフィルタ344のコンデンサの容量とコンデンサに並列に設けられている回路に依存する。信号Scontの電圧が所定の電圧まで低下すると、比較回路345は、これを検出して出力信号の論理を反転して、信号SoutをHレベルにする。
以上が、利用状態Aの説明である。
【0061】
(利用形態B)
(利用状態B)は、負荷装置5が設けられている構成の一例である。上記の(利用形態A)に対してこの点が異なる。(状態B1)から(状態B4)の条件は、負荷装置5が設けられていることを除けば(状態A1)から(状態A4)の条件と同じである。(利用形態A)との相違点を中心に説明する。
【0062】
(状態B1:スイッチ4がオフ状態かつ交流が第1位相)
オフ状態にあるスイッチ4は、電流を遮断する。この(状態B1)のインタフェース装置3は、負荷装置5を経由する電流(「漏れ電流IL」と呼ぶ。)が流れる経路を有していないため、その影響を受けない。よって、信号検出回路34は、オフ信号を出力する。
【0063】
(状態B2:スイッチ4がオフ状態かつ交流が第2位相)
オフ状態にあるスイッチ4は、電流を遮断しているが、負荷装置5を経由して漏れ電流ILが、インタフェース装置3(信号検出回路34)に流れることがある。
【0064】
図4を参照して、漏れ電流が信号検出回路34に流入する場合の動作について説明する。図4は、実施形態の負荷装置5を経由する漏れ電流がある状態を説明するための図である。漏れ電流ILは、その矢印に沿った経路に流れる。
【0065】
この(状態B1)の信号検出回路34は、後述する要件を満たすことで、漏れ電流ILの影響を受けずにオフ信号を出力する。
【0066】
(状態B3:スイッチ4がオン状態かつ交流が第1位相)
この(状態B3)の信号検出回路34は、負荷装置5の有無に関係されずにオン信号を出力する。前述の(状態A3)の説明を参照する。
【0067】
(状態B4:スイッチ4がオン状態かつ交流が第2位相)
スイッチ4がオン状態にあり、ダイオード341が逆バイアスされるため、上記の(状態A4)の場合と同様に端子384に電流が流れない。信号検出回路34は、オフ信号を出力する。
【0068】
図5に、信号検出回路34の動作を整理する。図5は、実施形態の信号検出回路34の動作を説明するための図である。同図に、信号検出回路34に入力される交流信号(1周期)と、信号検出回路34が出力する信号の関係を示す。スイッチ4がオン状態のときとオフ状態のときとを対比して、端子381に入力される交流(第1交流信号)の波形と、端子384に入力される交流(第2交流信号)の波形を示す。
【0069】
上記の利用形態Bにおける信号検出回路34は、漏れ電流ILによる疑似信号を誤検出せずに、正規の制御信号を検出する。
【0070】
上記の疑似信号と正規の制御信号を比較すると、その信号源が交流電源PSであることは共通であるが、信号源となる交流の極が互いに異なるため、それぞれの信号の位相が逆位相になる。つまり、正規の制御信号と疑似信号とを、共通の半波整流回路(ダイオード341)を用いてそれぞれを半波整流すると、制限されずに残る半波の位相が互いに異なるものになる。
【0071】
そこで、図5の「接続点BPの電圧」に示すように、信号検出回路34は、正規の制御信号から生成される半波を残し、疑似信号から生成される半波を残さないように、信号検出回路34に入力される信号の振幅を、第1交流信号の負の電圧を利用して制限する。制限された後の信号には、疑似信号の正の電圧が制限されている。これにより、信号検出回路34は、疑似信号に影響されることなく、正規の制御信号の正の電圧を検出して、その結果を端子395から出力する。
【0072】
より具体的には、信号検出回路34の端子384に疑似信号の電流(漏れ電流IL)が流入する位相で、信号検出回路34のバイアス回路346は、漏れ電流ILを給電線Lに流して電源PSに還流させる。これにより、漏れ電流ILが流れていても、テスト端子TPの電位が比較電位(閾値電圧VTH)よりも上昇しないように制限される。
【0073】
次に、上記の(状態B2)において、漏れ電流ILの影響を受けて、信号検出回路34が疑似信号を誤検出することなく、オフ信号を出力するための要件について説明する。例えば、下記の要件を満たすように信号検出回路34を形成するとよい。
【0074】
・信号検出回路34は、端子384に流入する漏れ電流ILを、バイアス回路346を通して給電線Lに流す(図4参照。)。バイアス回路346に設けられたダイオード346a、346cは、漏れ電流ILを流す方向に順方向の向きを向けて配置される。漏れ電流ILが流れる経路に設けられた各ダイオードが、漏れ電流ILが流れる期間に継続的に導通状態になるように各部の定数を決定するとよい。漏れ電流ILが流れる期間とは、交流の半周期ほどの期間である。
例えば、抵抗36は、負荷装置5のインピーダンスに、インピーダンス・マッチングするための抵抗であり、負荷装置5のインピーダンスと抵抗342との分圧を調整する。抵抗36は、上記の各ダイオードを漏れ電流ILが流れる期間に継続的に導通状態にするための回路の一例である。抵抗36は、漏れ電流ILが流れる期間に継続的にダイオード346a、346cを導通状態にするための暗電流を流す。抵抗36が上記の暗電流を流すことによって、接続点BPとテスト端子TPの電位が安定する。また、抵抗36を設けたことにより、負荷装置5の動作によって漏れ電流ILが変動しても、その変動に影響されることなく上記の暗電流を流すことができる。以下の説明において、この暗電流の説明を省略することがある。
【0075】
・信号検出回路34の比較回路345は、端子384に供給された信号の位相を検出するために、平滑化後の半波信号の正の振幅を検出する。換言すれば、比較回路345は、平滑化後の半波信号の正の振幅を検出することで、端子384に供給された信号(第2交流信号)が端子381に供給される信号と同相信号か、或いは逆相信号かを検出する。このような比較回路345は、ダイオードのスイッチングに伴うサージ電圧の影響を受けにくい。さらに、信号検出回路34は、単に第2交流信号の有無を検出するものではなく、第2交流信号の位相を、平滑化後の信号の振幅を利用して検出するものである。
【0076】
・そこで、漏れ電流ILが流れても、接続点BPの電位が、比較回路345の比較電位に比べて低い電位を維持するように、ダイオード341と抵抗342とバイアス回路346とを構成してもよい。なお、接続点BPの電位は、交流のピーク電圧の2倍の電圧を、ダイオード341と抵抗342の組と、バイアス回路346とによって分圧した電圧になるが、上記の条件を満たすように各部の定数を決定するとよい。比較回路345の比較電位は、接続点BPの電位を識別するための閾値電圧VTHとは厳密には異なるが、略同一とみなしてもよい。
【0077】
上記の要件を満たすように形成された信号検出回路34は、漏れ電流ILが端子384に流入する状況にあってもオフ信号を出力することができる。
【0078】
なお、本実施形態の信号検出回路34は、漏れ電流ILを上記の動作に利用するが、流入する漏れ電流ILの有無を検出するものではない。図4に示すように漏れ電流ILは、負荷装置5から流入しているが、スイッチ4を経て通電されたものではない。負荷装置5の状態は、スイッチ4を経て電力が供給されて駆動されている状態でない。それゆえ、漏れ電流ILは、負荷装置5を駆動するために流した電流の一部ではない。
【0079】
上記の実施形態によれば、インタフェース装置3の端子381(第1信号入力端子)には、電源PS(信号源)から第1交流信号が供給される。端子384(第2信号入力端子)には、電源PSから第2交流信号が供給される。第2交流信号には、第1交流信号と同相の同相信号と第1交流信号と逆相の逆相信号とが含まれる。端子384に供給される第2交流信号は、スイッチ4によって上記の同相信号と逆相信号とが切り替えられたものであり、スイッチ4の状態によって位相が切り替えられる。信号検出回路34は、端子381に供給された第1交流信号を用いて、端子384に供給された第2交流信号が、第1交流信号の同相信号か逆相信号かを検出する。これにより、インタフェース装置3は、供給される信号を用いたより簡易な方法で、AC/DCモータ2(制御対象)の稼働状態を切り替えることができる。なお、実施形態のLPフィルタ344と、比較回路345は、検出部の一例である。
【0080】
例えば、インタフェース装置3において、ダイオード341(第1整流回路)は、端子384に供給された第2交流信号を半波整流した半波信号を生成する。バイアス回路346は、端子381に供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、ダイオード341によって生成された半波信号に負のバイアスを掛ける。ダイオード343(第2整流回路)は、バイアス回路346によって負のバイアスが掛けられた第2交流信号を半波整流した第2半波信号を生成する。例えば、比較回路345は、ダイオード343によって生成された第2半波信号の正の振幅を検出することで、端子384に供給された第2交流信号が、第1交流信号の同相信号か逆相信号かを検出してもよい。これにより、インタフェース装置3は、端子384に供給された第2交流信号が、漏れ電流ILによる疑似信号であるか、正規の制御信号であるかを、簡易な方法で検出できる。
【0081】
<第2の実施形態>
図6を参照して、第2の実施形態に係るモータ駆動システム1について説明する。
<モータ駆動システムの構成>
図6は、第2の実施形態に係るモータ駆動システム1の構成図である。第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0082】
モータ駆動システム1のインタフェース装置3は、信号検出回路34に代えて、信号検出回路34Aを備える。
【0083】
信号検出回路34Aは、信号検出回路34からダイオード341と、抵抗342とを削除して、バイアス回路346に代わる第1バイアス回路346Aを備え、第2バイアス回路347が追加されている。
【0084】
第1バイアス回路346Aは、直列に接続された、第1ダイオード346aと、抵抗346dと、第1定電圧ダイオード346eとを備える。例えば、接続点BPには、第1ダイオード346aのアノードが接続され、第1ダイオード346aのカソードには、抵抗346dの一端が接続され、抵抗346dの他端には、第1定電圧ダイオード346eのカソードが接続され、第1定電圧ダイオード346eのアノードが接続点LPに接続されている。
【0085】
第2バイアス回路347は、直列に接続された、第3ダイオード347aと、抵抗347dと、第2定電圧ダイオード347eとを備える。例えば、接続点BPには、第3ダイオード347aのカソードが接続され、第3ダイオード347aのアノードには、抵抗347dの一端が接続され、抵抗347dの他端には、第2定電圧ダイオード347eのアノードが接続され、第2定電圧ダイオード347eのカソードが接地極3Gに接続されている。
【0086】
信号検出回路34Aの場合、信号検出回路34から一部の回路素子が省略されたことにより、端子384から接続点Bpまでの間には、ヒューズ33(回路保護素子)のみが残された形態になっている。これにより、接続点Bpの電位は、接続点Bpの電位は、端子384の電位に略一致する。また、抵抗36の一端の信号検出回路34Aにおける接続先が、接続点Bpになる。なお、抵抗36は、漏れ電流ILが流れる期間に継続的にダイオード346aと第1定電流ダイード346eに暗電流を流す。他の抵抗36に関する説明は、第1実施形態を参照する。
【0087】
上記の通り、信号検出回路34Aは、接続点Bpの電位を制限する回路が信号検出回路34の回路と異なっている。
【0088】
<モータ駆動システムの動作>
次に、モータ駆動システム1の信号検出回路34Aに関わる動作を、スイッチ4のオン/オフ状態と交流の位相の組み合わせによる4つの状態に分けて説明する。
なお、第2の実施形態では、前述の(利用形態A)に対応する説明を省略するが、(利用形態A)にも適用可能である。
【0089】
(利用形態B)
(状態B1:スイッチ4がオフ状態かつ交流が第1位相)
第1の実施形態と同様に、信号検出回路34Aは、オフ信号を出力する。
【0090】
(状態B2:スイッチ4がオフ状態かつ交流が第2位相)
スイッチ4がオフ状態にあるため、スイッチ4を経由する電流は遮断されているが、負荷装置5が設けられていることによる影響を受けることがある。
【0091】
例えば、負荷装置5が漏れ電流を流さないものであれば、その影響を受けない。その場合には、利用形態Aと同様になるため、詳細の説明を割愛する。一方で、負荷装置5には、その内部回路の構成によって、漏れ電流ILを流すものがある。
【0092】
次に、負荷装置5を経由する漏れ電流ILが信号検出回路34に流入する場合の動作について説明する。図6に示す矢印は、漏れ電流ILとバイアス電流IBを示す。その矢印に沿った経路に各電流が流れる。
【0093】
バイアス電流IBは、第2バイアス回路347と、第1バイアス回路346Aとを通じて、接地極3Gから給電線Lに向けて流れる。バイアス電流IBが流れている場合、接続点BPの電位は、少なくとも給電線Lの電位から第1定電圧ダイオード346eの電圧分高い電圧を超えて、かつ、少なくとも接地極3Gの電位よりも第2定電圧ダイオード347eの電圧分低い電圧を超えない電圧範囲に制限される。バイアス電流IBが流れる経路には、上記の定電圧ダイオードの他にも、ダイオードと抵抗などが設けられているため、さらに上記の電圧範囲は狭くなる。接続点BPの電圧(動作点)は、接続点BPに接続される回路の各定数と、漏れ電流ILとバイアス電流IBの大きさによって決定される。
【0094】
この(状態B2)においても、信号検出回路34Aは、漏れ電流ILの影響を受けずにオフ信号を出力することが要求される。信号検出回路34Aは、下記の要件を満たすとよい。
【0095】
・信号検出回路34Aは、端子384に流入する漏れ電流ILを、バイアス回路346Aを通して給電線Lに流す。バイアス回路346Aに設けられたダイオード346aは、漏れ電流ILを流す方向に順方向の向きを向けて配置される。漏れ電流ILが流れる経路に設けられた各ダイオードが、漏れ電流ILとバイアス電流IBとによって導通状態になるように各部の定数を決定するとよい。
・漏れ電流ILが流れても、接続点BPの電位は、比較回路345の比較電位(閾値電位)に比べて低い電位を維持するように、第2バイアス回路347と、第1バイアス回路346Aの各素子の定数が決定される。
上記により、信号検出回路34Aは、オフ信号を出力する。
【0096】
(状態B3:スイッチ4がオン状態かつ交流が第1位相)
この(状態B3)の信号検出回路34は、負荷装置5の有無に関係されずにオフ信号を出力する。前述の第1の実施形態の(状態A3)の説明を参照する。
【0097】
(状態B4:スイッチ4がオン状態かつ交流が第2位相)
スイッチ4がオン状態にあり、ダイオード343が逆バイアスされるため、端子384から比較回路345に向かう電流が流れない。信号検出回路34は、オフ信号を出力する。
【0098】
上記の実施形態によれば、バイアス回路346Aとバイアス回路347は、端子381に供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、端子384に供給された第2交流信号に負のバイアスを掛ける。ダイオード343(整流回路)は、バイアス回路346とバイアス回路347によってバイアスが掛けられた第2交流信号を半波整流した半波信号を生成する。例えば、比較回路345は、ダイオード343によって生成された半波信号の正の振幅を検出することで、端子384に供給された第2交流信号が、第1交流信号の同相信号か逆相信号かを検出するとよい。このように、バイアス回路346Aとバイアス回路347には、端子384に供給された第2交流信号に、端子381に供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に選択的に負のバイアスを掛ける。これにより、比較回路345による、端子384に供給された第2交流信号の識別が容易になる。
【0099】
以上のように、実施形態に係る信号変換装置は、信号源から第1交流信号が供給される第1信号入力端子と、前記第1交流信号と同相の同相信号と前記第1交流信号と逆相の逆相信号を含み、前記同相信号と前記逆相信号の切り替えにより位相が切り替えられた第2交流信号が前記信号源から供給される第2信号入力端子と、前記供給された第1交流信号を用いて、前記供給された第2交流信号が前記同相信号か前記逆相信号かを検出する検出部とを備える。これにより、信号変換装置は、供給される信号を用いた、より簡易な方法で、制御対象の稼働状態を切り替えることができる。
【0100】
また、検出部は、供給された第2交流信号を半波整流した半波信号を生成する第1整流回路と、供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、生成された半波信号に負のバイアスを掛けるバイアス回路と、バイアスが掛けられた第2交流信号を半波整流した第2半波信号を生成する第2整流回路と、生成された第2半波信号の正の振幅を検出することで、供給された第2交流信号が同相信号か逆相信号かを検出する振幅検出部と、を備えてもよい。この場合、供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、供給された第2交流信号を第1整流回路が半波整流して、さらにその信号に負のバイアスを掛ける。第1交流信号が負の振幅になる期間に半波整流され負のバイアスが掛けられた信号を、第1交流信号の振幅によらずに第2整流回路が半波整流することで、半波整流された後の第2半波信号の正の振幅を検出することが可能になり、供給された第2交流信号が第1交流信号と同相信号か逆相信号かの検出が容易になる。
【0101】
また、検出部は、供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、供給された第2交流信号に負のバイアスを掛けるバイアス回路と、バイアスが掛けられた第2交流信号を半波整流した半波信号を生成する整流回路と、生成された半波信号の正の振幅を検出することで、供給された第2交流信号が同相信号か逆相信号かを検出する振幅検出部と、を備えてもよい。この場合、供給された第1交流信号が負の振幅になる期間に、供給された第2交流信号を負にバイアスしてから第2整流回路が半波整流することで、半波整流された後の第2半波信号の正の振幅の検出が容易になる。
【0102】
また、振幅検出部は、生成された半波信号を平滑化する平滑化回路を備え、平滑化後の半波信号の正の振幅を検出することで、供給された第2交流信号が同相信号か逆相信号かを検出してもよい。これにより、生成された半波信号の位相によらずに、平滑化後の半波信号の振幅を検出することが可能になり、供給された第1交流信号又は供給された第2交流信号に基づいた同期信号を生成する同期回路を用いることなく、供給された第2交流信号が同相信号か逆相信号かを検出できる。
【0103】
また、モータは、モータ本体と、上記の信号変換装置と、信号変換装置による検出結果に基づいてモータ本体を制御する駆動回路とを備えていてもよい。このようなモータであれば、上記の信号変換装置による検出結果を、その制御に用いることが可能なる。
【0104】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0105】
例えば、駆動回路22を下記のように変更してもよい。駆動回路22は、インタフェース装置3からの制御信号をリレーで受けて、リレーの接点の開閉制御によりモータ本体の駆動状態を制御してもよい。
また、保護回路として機能する各ヒューズ、サージ電圧制限素子35、237などの個数、配置する位置は、これに制限されず適宜変更してよい。
【符号の説明】
【0106】
1…モータ駆動システム、2…AC/DCモータ、3…インタフェース装置、4…スイッチ、5負荷装置、21…モータ本体、34…信号検出回路(検出部)、341…ダイオード(第1整流回路)、343…ダイオード(第2整流回路、整流回路)、344…LPフィルタ、345…比較回路、346…バイアス回路、346A…第1バイアス回路、347…第2バイアス回路、381…端子(第1信号入力端子)、384…端子(第2信号入力端子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6