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特許7279888光半導体装置及び光半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】光半導体装置及び光半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/02 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
H01L31/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019177420
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021057398
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】前川 享平
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083228(JP,A)
【文献】特開2016-018799(JP,A)
【文献】特開2014-192510(JP,A)
【文献】特開2012-151233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0121736(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 33/48-33/64
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面および前記主面とは反対側の裏面を有し、第1電極および前記第1電極とは反対導電型の第2電極を前記主面に有し、前記裏面から光を受ける半導体受光素子と、
互いに反対の方向を向く一対の電極を有するキャパシタと、
前記半導体受光素子及び前記キャパシタを搭載する搭載面を有し、誘電体を主に含むキャリアと、
前記キャリアの前記搭載面に設けられた導電膜と、
を備え、
前記導電膜は、
前記第1電極と導電接合される第1実装領域、及び、前記第1実装領域に対して前記搭載面の一端縁側に設けられた第1ボンディングパッドを含む第1導電パターンと、
前記第2電極と導電接合される第2実装領域、及び、前記第2実装領域に対して前記搭載面の他端縁側に設けられ前記キャパシタの一方の前記電極と導電接合される第3実装領域を含む第2導電パターンと、
前記搭載面の前記一端縁に前記第1ボンディングパッドと並んで設けられた第2ボンディングパッドを含む第3導電パターンと、
を含み、
前記第1導電パターン、前記第2導電パターン、及び前記第3導電パターンは互いに分離しており、
前記キャパシタの他方の前記電極と前記第3導電パターンとは、ボンディングワイヤを介して互いに電気的に接続されている、光半導体装置。
【請求項2】
前記導電膜は、前記搭載面の前記一端縁に前記第1ボンディングパッド及び前記第2ボンディングパッドと並んで設けられた第3ボンディングパッドを含む第4導電パターンを更に含み、
前記第1ボンディングパッドは前記第2ボンディングパッドと前記第3ボンディングパッドとの間に位置し、
前記第4導電パターンは、前記第1導電パターン、前記第2導電パターン、及び前記第3導電パターンから分離しており、
前記キャパシタの前記他方の電極と前記第4導電パターンとは、ボンディングワイヤを介して互いに電気的に接続されている、請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記第3導電パターン及び前記第4導電パターンは、前記第1導電パターンを挟んで互いに線対称な平面形状を有する、請求項2に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記第3導電パターンは、前記搭載面の前記一端縁に沿って前記第2ボンディングパッドから延在し、前記第1ボンディングパッドと並んで設けられた第3ボンディングパッドを更に含み、
前記第1ボンディングパッドは前記第2ボンディングパッドと前記第3ボンディングパッドとの間に位置する、請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記導電膜は、前記搭載面の前記一端縁に前記第1ボンディングパッド及び前記第2ボンディングパッドと並んで設けられた第3ボンディングパッドを更に含み、
前記第1ボンディングパッドは前記第2ボンディングパッドと前記第3ボンディングパッドとの間に位置し、
前記第2ボンディングパッドと前記第3ボンディングパッドとは、前記キャリアの側面に設けられた別の導電膜を介して電気的に接続されている、請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光半導体装置を製造する方法であって、
前記導電膜を前記搭載面に有する前記キャリアを準備する工程と、
前記第1電極及び前記第2電極を、それぞれ前記第1実装領域及び前記第2実装領域に導電接合する第1接合工程と、
前記第1接合工程の後、前記第1ボンディングパッドにプローブを、前記第2導電パターンに別のプローブをそれぞれ当接させ、前記プローブと前記別のプローブとの間に電圧を印加した状態で前記半導体受光素子の試験を行う工程と、
前記試験を行う工程の後、前記キャパシタの前記一方の電極を前記第3実装領域に導電接合する第2接合工程と、
前記第2接合工程の後、前記キャパシタの前記他方の電極と前記第3導電パターンとの間にワイヤボンディングを行う工程と、
を含む、光半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光半導体装置及び光半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバに取り付けられる同軸タイプの受光モジュールが開示されている。この受光モジュールは、パッケージと、パッケージ上面に設けられたフォトダイオードと、パッケージ上面に設けられたプリアンプICと、を備える。フォトダイオードおよびプリアンプICは、パッケージに固定された電源端子および信号出力端子と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-183369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光の強度を電気信号に変換するために、フォトダイオードといった半導体受光素子が、例えば光通信用の受光モジュールなどにおいて用いられる。半導体受光素子のサイズが極めて小さい場合、導電膜を表面に有するキャリアの上に半導体受光素子を実装し(Chip on Carrier:CoC)、その状態でバーンイン等の試験を行う。導電膜は、半導体受光素子の一方の電極と導電接合される一の導電パターンと、半導体受光素子の他方の電極と導電接合される別の導電パターンとを含む。試験の際、一の導電パターンに一のプローブを接触させ、別の導電パターンに別のプローブを接触させて、これらのプローブ間に試験電圧を印加する。
【0005】
しかしながら、近年、受光モジュールの小型化に伴い、キャリアの小型化が進んでいる。このため、キャリアの表面に設けられる導電パターンのサイズも小さくなっており、また、導電パターン同士の隙間も狭くなっている。故に、導電パターンに対してプローブを位置精度良く接触させることが容易ではなくなってきている。隣り合う2つの導電パターンに対して同時にプローブを接触させてしまうと、電位の異なるプローブ同士が短絡し、試験を適切に行うことができない。特に、半導体受光素子の一方の電極とコンタクトを得るためのボンディングパッドと、半導体受光素子の他方の電極とコンタクトを得るための別のボンディングパッドとが並んで配置され、一方のボンディングパッドに対してプローブを接触させる必要がある場合に、そのような問題が顕著である。
【0006】
そこで、本開示は、キャリア上に実装された半導体受光素子を試験する際にプローブ同士の短絡を回避することができる光半導体装置及び光半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る光半導体装置は、主面および主面とは反対側の裏面を有し、第1電極および第1電極とは反対導電型の第2電極を主面に有し、裏面から光を受ける半導体受光素子と、互いに反対の方向を向く一対の電極を有するキャパシタと、半導体受光素子及びキャパシタを搭載する搭載面を有し、誘電体を主に含むキャリアと、キャリアの搭載面に設けられた導電膜とを備える。導電膜は、第1電極と導電接合される第1実装領域、及び、第1実装領域に対して搭載面の一端縁側に設けられた第1ボンディングパッドを含む第1導電パターンと、第2電極と導電接合される第2実装領域、及び、第2実装領域に対して搭載面の他端縁側に設けられキャパシタの一方の電極と導電接合される第3実装領域を含む第2導電パターンと、搭載面の一端縁に第1ボンディングパッドと並んで設けられた第2ボンディングパッドを含む第3導電パターンとを含む。第1導電パターン、第2導電パターン、及び第3導電パターンは互いに分離している。キャパシタの他方の電極と第3導電パターンとは、ボンディングワイヤを介して互いに電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、キャリア上に実装された半導体受光素子を試験する際にプローブ同士の短絡を回避することができる光半導体装置及び光半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る受光モジュール1Aの構成を示す断面図である。
図2図2は、受光部20Aの光半導体装置2A付近の構成を拡大して示す断面図である。
図3図3は、パッケージ22およびレンズ23を取り除いた受光部20Aの平面図である。
図4図4は、光半導体装置2Aを拡大して示す平面図である。
図5図5は、フォトダイオード21の主面21aを示す平面図である。
図6図6は、キャリア25の搭載面25bの平面図である。
図7図7の(a)から(c)は、一実施形態の光半導体装置2Aを製造する方法を示す図である。
図8図8は、一実施形態の光半導体装置2Aを製造する方法を示す図である。
図9図9は、一実施形態において用いられるプローブP1,P2の先端形状を示す図である。図9の(a)はプローブP1,P2の側面図であり、図9の(b)はプローブP1,P2の正面図である。
図10図10は、比較例として従来のプローブP3の先端形状を示す図である。図10の(a)はプローブP3の側面図であり、図10の(b)はプローブP3の正面図である。
図11図11は、プローブP1が第2ボンディングパッド351または第3ボンディングパッド361にも接触した様子を示す図である。
図12図12は、第1変形例に係る受光部20Bを示す平面図である。
図13図13は、図12に示されたキャリア25の搭載面25bを拡大して示す平面図である。
図14図14は、第2変形例に係る受光部20Cを示す平面図である。
図15図15は、図14に示されたキャリア25の短辺25c付近の構成を拡大して示す斜視図である。
図16図16は、キャリア25の搭載面25b上に設けられた、比較例に係る導電膜60の形状を示す平面図である。
図17図17は、第3実装領域622を第2実装領域621及びプローブ当接パッド623から隔離した構成を示す図である。
図18図18の(a)から(c)は、比較例に係る光半導体装置の組立工程を示す図である。
図19図19は、比較例に係る光半導体装置の組立工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列記して説明する。一実施形態に係る光半導体装置は、主面および主面とは反対側の裏面を有し、第1電極および第1電極とは反対導電型の第2電極を主面に有し、裏面から光を受ける半導体受光素子と、互いに反対の方向を向く一対の電極を有するキャパシタと、半導体受光素子及びキャパシタを搭載する搭載面を有し、誘電体を主に含むキャリアと、キャリアの搭載面に設けられた導電膜とを備える。導電膜は、第1電極と導電接合される第1実装領域、及び、第1実装領域に対して搭載面の一端縁側に設けられた第1ボンディングパッドを含む第1導電パターンと、第2電極と導電接合される第2実装領域、及び、第2実装領域に対して搭載面の他端縁側に設けられキャパシタの一方の電極と導電接合される第3実装領域を含む第2導電パターンと、搭載面の一端縁に第1ボンディングパッドと並んで設けられた第2ボンディングパッドを含む第3導電パターンとを含む。第1導電パターン、第2導電パターン、及び第3導電パターンは互いに分離している。キャパシタの他方の電極と第3導電パターンとは、ボンディングワイヤを介して互いに電気的に接続されている。
【0011】
半導体受光素子の試験を行う際には、通常、半導体受光素子をキャリア上に実装した状態で行われる。この光半導体装置では、第1ボンディングパッドが、第1電極と導電接合される第1実装領域とともに第1導電パターンに含まれている。また、第3実装領域が、第2電極と導電接合される第2実装領域とともに第2導電パターンに含まれている。従って、半導体受光素子の試験を行う際には、一方のプローブを第1ボンディングパッドに接触させ、他方のプローブを第2導電パターン(例えば第3実装領域)に接触させるとよい。但し、第1ボンディングパッドは、搭載面の一端縁に第2ボンディングパッドと並んで設けられている。故に、第1ボンディングパッドに対してプローブを接触させる際に、プローブの位置精度が低いと第2ボンディングパッドにも接触してしまう。もし仮に、第2ボンディングパッドが第2導電パターンに含まれていると、この接触によりプローブ同士が短絡してしまう。
【0012】
これに対し、上記の光半導体装置では、第2電極と導電接合される第2実装領域を含む第2導電パターンと、第2ボンディングパッドを含む第3導電パターンとが、互いに分離している。これにより、第1ボンディングパッドに接触するプローブが同時に第2ボンディングパッドに接触した場合であっても、プローブ同士の短絡を回避することができる。なお、第2導電パターンと第3導電パターンとは、試験の後にキャパシタを介して互いに接続され得るので、試験の際に互いに分離していても何ら問題はない。
【0013】
上記の光半導体装置において、導電膜は、搭載面の一端縁に第1ボンディングパッド及び第2ボンディングパッドと並んで設けられた第3ボンディングパッドを含む第4導電パターンを更に含み、第1ボンディングパッドは第2ボンディングパッドと第3ボンディングパッドとの間に位置し、第4導電パターンは、第1導電パターン、第2導電パターン、及び第3導電パターンから分離しており、キャパシタの他方の電極と第4導電パターンとは、ボンディングワイヤを介して互いに電気的に接続されてもよい。この構成によれば、第1導電パターンを含む信号経路を挟んで、第3導電パターンを含む信号経路と、第4導電パターンを含む信号経路とを互いに対称形に近づけることができる。この場合、信号伝達特性を高めることができる。
【0014】
上記の光半導体装置において、第3導電パターン及び第4導電パターンは、第1導電パターンを挟んで互いに線対称な平面形状を有してもよい。この構成によれば、第1導電パターンを含む信号経路を挟んで、第3導電パターンを含む信号経路と、第4導電パターンを含む信号経路とが互いに対称形となる。故に、信号伝達特性を更に高めることができる。
【0015】
上記の光半導体装置において、第3導電パターンは、搭載面の一端縁に沿って第2ボンディングパッドから延在し、第1ボンディングパッドと並んで設けられた第3ボンディングパッドを更に含み、第1ボンディングパッドは第2ボンディングパッドと第3ボンディングパッドとの間に位置してもよい。この場合、上記の第4導電パターンを設ける場合と比べて、キャリアの搭載面の横幅(搭載面の一端縁及び他端縁に沿う方向の幅)を小さくすることができ、光半導体装置の小型化に寄与できる。或いは、第4導電パターンを設けていた領域に別の回路部品を配置することができる。
【0016】
上記の光半導体装置において、導電膜は、搭載面の一端縁に第1ボンディングパッド及び第2ボンディングパッドと並んで設けられた第3ボンディングパッドを更に含み、第1ボンディングパッドは第2ボンディングパッドと第3ボンディングパッドとの間に位置し、第2ボンディングパッドと第3ボンディングパッドとは、キャリアの側面に設けられた別の導電膜を介して電気的に接続されてもよい。この場合、上記の第4導電パターンを設ける場合と比べて、キャリアの搭載面の横幅(搭載面の一端縁及び他端縁に沿う方向の幅)を小さくすることができ、光半導体装置の小型化に寄与できる。或いは、第4導電パターンを設けていた領域に別の回路部品を配置することができる。更には、搭載面上の導電膜のうち第2ボンディングパッドと第3ボンディングパッドとを接続する第3導電パターンの部分が不要となるので、キャリアの搭載面を更に小さくすることができ、光半導体装置の小型化に、より一層寄与できる。
【0017】
一実施形態に係る光半導体装置の製造方法は、上記いずれかの光半導体装置を製造する方法であって、導電膜を搭載面に有するキャリアを準備する工程と、第1電極及び第2電極を、それぞれ第1実装領域及び第2実装領域に導電接合する工程と、第1ボンディングパッドにプローブを、第2導電パターンに別のプローブをそれぞれ当接させ、プローブと別のプローブとの間に電圧を印加した状態で試験を行う工程と、試験を行う工程の後、キャパシタの一方の電極を第3実装領域に導電接合する工程と、キャパシタの他方の電極と第3導電パターンとの間にワイヤボンディングを行う工程とを含む。
【0018】
この製造方法では、半導体受光素子をキャリア上に実装した状態で半導体受光素子の試験を行う。このとき、第2電極と導電接合される第2実装領域を含む第2導電パターンと、第2ボンディングパッドを含む第3導電パターンとが、互いに分離している。これにより、第1ボンディングパッドに接触するプローブが同時に第2ボンディングパッドに接触した場合であっても、プローブ同士の短絡を回避することができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の光半導体装置及び光半導体装置の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る受光モジュール1Aの構成を示す断面図であって、入射光の光軸に沿った断面を示している。受光モジュール1Aは、長距離光通信に用いられる光受信器の一部を構成する。図1に示されるように、本実施形態の受光モジュール1Aは、光ファイバと接続される光レセプタクル10と、光レセプタクル10に固定された受光部20Aとを備える。また、光レセプタクル10は、ファイバスタブ(スタブフェルール)12と、金属部材14と、スリーブ16と、外郭部材(シェル)18とを有する。ファイバスタブ12は、フェルール11と、光ファイバ13とを有する。
【0021】
フェルール11は、円筒形状(または円柱形状)を有する部材である。フェルール11の中心軸線は方向D1に沿って延びており、フェルール11の該中心軸線に垂直な断面は円形である。フェルール11は、方向D1において並ぶ基端面11a及び先端面11bを有する。先端面11bは、光レセプタクル10に接続される光コネクタのフェルールとフィジカルコンタクトを行う面であって、例えば球面状に研磨されている。基端面11aは、先端面11bとは反対側の面であって、この光レセプタクル10に取り付けられる受光部20Aと対向する。基端面11aは、フェルール11の中心軸線に垂直な面に対して僅かに(例えば8°程度)傾斜している。フェルール11は、円柱面である外周面11cを更に有する。
【0022】
フェルール11は、ファイバ保持孔11dを更に有する。ファイバ保持孔11dは、方向D1に沿って延びており、フェルール11の中心軸上に形成されている。ファイバ保持孔11dの断面は円形状であり、その内径は光ファイバ13の外径よりも僅かに大きい。ファイバ保持孔11dの一方の開口は先端面11bに含まれ、ファイバ保持孔11dの他方の開口は基端面11aに含まれる。すなわち、ファイバ保持孔11dは、フェルール11の基端面11aと先端面11bとの間を方向D1に沿って貫通している。フェルール11は、例えばジルコニア(ZrO2)製である。靱性及びヤング率が高いジルコニアによってフェルール11が構成されることにより、先端面11bにおいてフィジカルコンタクトを好適に行うことができる。
【0023】
光ファイバ13は、例えばシングルモードファイバであって、樹脂被覆が除去された裸ファイバである。光ファイバ13は、例えば石英製である。光ファイバ13は、方向D1を長手方向(光軸方向)として延びており、一端13a及び他端13bを有する。光ファイバ13は、ファイバ保持孔11dに挿入される。そして、先端面11b側のファイバ保持孔11dの開口から一端13aが露出し、基端面11a側のファイバ保持孔11dの開口から他端13bが露出する。一端13aは、光レセプタクル10に接続される光コネクタ側の光ファイバの一端と接触する。他端13bは、受光部20Aのフォトダイオード21(後述)と光学的に結合される。光ファイバ13の外径は、例えば125μmである。
【0024】
金属部材14は、方向D1に延びる貫通孔14aを有し、貫通孔14a内にファイバスタブ12を保持する部材である。金属部材14は、例えばステンレスといった金属材料からなる。金属部材14は方向D1に沿って延びる円筒形状を有する。金属部材14は、基端面14b及び先端面14c、並びに外周面14dを有する。基端面14b及び先端面14cは方向D1において並んでおり、貫通孔14aは基端面14bと先端面14cとの間を貫通している。方向D1に垂直な貫通孔14aの断面は円形である。基端面14bは、受光部20Aのパッケージ22(後述)と対向する。ファイバスタブ12は、方向D1に沿って、金属部材14の貫通孔14aに圧入されている。すなわち、フェルール11の外周面11cは、貫通孔14aの内面と接しており、これによりファイバスタブ12が金属部材14に固定されている。
【0025】
スリーブ16は、方向D1に沿って延びる円筒状の部材であり、例えばセラミック製である。一例では、スリーブ16はフェルール11と同じ材料(例えばジルコニア)からなる。スリーブ16の内径は、ファイバスタブ12の外径とほぼ等しい。スリーブ16は、方向D1において並ぶ基端16a及び先端16bを有する。また、スリーブ16は、外周面16c及び内周面16dを有する。スリーブ16の基端16a側の開口からは、ファイバスタブ12が挿入されている。言い換えれば、スリーブ16の基端16a側の一部は、フェルール11の外周面11cと金属部材14との隙間に挿入されている。従って、スリーブ16の外周面16cは金属部材14と接しており、スリーブ16の内周面16dはフェルール11の外周面11cと接している。スリーブ16の先端16b側の開口からは、光コネクタフェルールが挿入される。フェルール11の先端面11bと光コネクタフェルールの先端面とは、スリーブ16内において互いに接触する。これにより、フェルール11が保持する光ファイバ13と、光コネクタフェルールが保持する光ファイバとが、高い結合効率でもって互いに光結合される。
【0026】
外郭部材18は、金属部材14に固定されるとともに光コネクタと接続される部材である。外郭部材18は、方向D1に沿って延びる円筒状の部材であり、例えばステンレスといった金属製である。外郭部材18は、フランジ部18aと、方向D1に沿って延びる貫通孔18dとを有する。また、外郭部材18は、方向D1において並ぶ基端面18b及び先端部18cを有する。フランジ部18aは、外郭部材18の外側に向けて突出した円盤状の部分である。フランジ部18aは、外郭部材18の基端面18b側に設けられており、本実施形態ではフランジ部18aの一方の面が基端面18bを構成する。貫通孔18dは、基端面18bと先端部18cとの間を貫通している。方向D1に垂直な貫通孔18dの断面は円形であり、その中心軸線は、ファイバスタブ12及び金属部材14の中心軸線と重なる。外郭部材18は、貫通孔18dの一部として、基端面18b側の第1の部分18eと、先端部18c側の第2の部分18fとを含む。第1の部分18eは、基端面18bから方向D1に沿って第2の部分18fまで延びている。第2の部分18fは、先端部18cから方向D1に沿って第1の部分18eまで延びている。そして、第1の部分18e及び第2の部分18fは、スリーブ16の先端16bと先端部18cとの間において相互に連結(連通)している。第1の部分18eの内径は、スリーブ16の外周面16cの外径とほぼ等しいか、僅かに大きい。第2の部分18fの内径は、スリーブ16の内周面16dの内径よりも僅かに大きい。このように、第1の部分18eの内径は第2の部分18fの内径よりも大きいので、第1の部分18eと第2の部分18fとの間には段差面18gが形成されている。段差面18gは、スリーブ16の先端16bと対向している。
【0027】
受光部20Aは、光半導体装置2A、パッケージ22、レンズ23、ステム24、集積回路チップ26、及び複数のリードピン27a~27fを有する。
【0028】
ステム24は、略円形の平板状の絶縁性部材であり、平坦な主面24aを有する。主面24aは、光レセプタクル10に接続される光ファイバの光軸(すなわち光ファイバ13の光軸)と交差する。一例では、主面24aは、光レセプタクル10に接続される光ファイバの光軸(光ファイバ13の光軸)に対して垂直である。ステム24は、例えばセラミックといった材料からなる。
【0029】
パッケージ22は、略円筒状の金属部材であり、その中心軸は光ファイバ13の光軸に沿っている。光ファイバ13の光軸方向におけるパッケージ22の基端側の一端22aは、円環状の部材29を介してステム24の主面24aに固定されている。具体的には、円環状の部材29は該光軸方向における一端面29aおよび他端面29bを有する。パッケージ22の基端側の一端22aは部材29の一端面29aに固着されており、ステム24の主面24aは部材29の他端面29bに固着されている。また、光ファイバ13の光軸方向におけるパッケージ22の先端側の他端22bは、円筒状の部材19を介して金属部材14に固定されている。具体的には、部材19の先端側の一端から金属部材14が挿入され、金属部材14の外周面と部材19の内周面とが互いに固着されている。また、パッケージ22の先端側の他端22bが部材19の基端側の面に固着されている。パッケージ22は、例えば鉄ニッケル合金といった材料からなる。
【0030】
光半導体装置2Aは、キャリア25と、キャリア25上に搭載されたフォトダイオード21(半導体受光素子)とを有する。フォトダイオード21は、光ファイバ13の他端13bと光学的に結合されており、光レセプタクル10に接続される光ファイバからの光を受けて該光の強度に応じた大きさの電流信号を出力する。フォトダイオード21は、誘電体を主に含む(一実施例では誘電体のみからなる)キャリア25上に搭載され、キャリア25は集積回路チップ26上に配置されている。すなわち、フォトダイオード21は、キャリア25を介して集積回路チップ26上に搭載されている。フォトダイオード21としては、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)といった種々のフォトダイオードを適用できる。キャリア25は、例えばセラミック製または石英製の平板状の部材である。集積回路チップ26は、フォトダイオード21からの電流信号を受けて、該電流信号を電圧信号に変換する半導体ICである。
【0031】
複数のリードピン27は、ステム24の主面24aと交差する方向に延びる棒状の金属部材である。複数のリードピン27は、ステム24を貫通して設けられ、ステム24に固定されている。複数のリードピン27は、パッケージ22、ステム24及び部材29によって画成される空間内に配置されるフォトダイオード21及び集積回路チップ26に対し、電気信号および電源電力の授受を行う。
【0032】
レンズ23は、パッケージ22の内側に保持され、パッケージ22の内周面に対し樹脂23aを介して固定されている。レンズ23は、光透過部材からなる集光レンズであり、光ファイバ13の光軸上に配置されている。レンズ23は、光ファイバ13の他端13bから出射された光をフォトダイオード21付近に向けて集光する。フォトダイオード21からの戻り光を防ぐ為、レンズ23の光軸は、光ファイバ13の光軸に対して僅かにオフセットされている。
【0033】
ここで、図2は、受光部20Aの光半導体装置2A付近の構成を拡大して示す断面図である。図2に示されるように、集積回路チップ26は、面26a及び面26aとは反対側の面26bを有する。面26a及び26bは、光ファイバ13の光軸方向に並んでおり、該光軸方向と交差する(例えば直交する)平面に沿って延びている。集積回路チップ26は、面26aにおいてステム24の主面24aと対向する。キャリア25は、面25a及び面25aとは反対側の搭載面25bを有する。キャリア25は、面25aにおいて集積回路チップ26の面26bと対向する。また、フォトダイオード21は、主面21a及び主面21aとは反対側の裏面21bを有し、裏面21bから光を受ける。キャリア25は、搭載面25bとフォトダイオード21の主面21aとが対向するように、搭載面25b上にフォトダイオード21を搭載する。
【0034】
図3は、パッケージ22およびレンズ23を取り除いた受光部20Aの平面図である。図3に示されるように、ステム24の主面24a上には、基準電位(グランド電位)に規定されるGNDパターン24bが設けられている。また、ステム24の周縁部には、複数のリードピン27a~27fが設けられている。
【0035】
集積回路チップ26の面26bは、集積回路チップ26の短手方向に沿って延びる一対の辺(短辺)と、長手方向に沿って延びる一対の辺(長辺)とを有する長方形状を呈している。集積回路チップ26は、複数の電極パッドを面26b上に有する。これらの電極パッドのうち、一方の短辺に沿って並ぶ3つの電極パッド28a~28cは、フォトダイオード21と電気的に接続される。具体的には、2つの電極パッド28a,28cは、キャパシタ31を介して、フォトダイオード21のカソード電極に接続される。電極パッド28bはフォトダイオード21のアノード電極に接続され、フォトダイオード21から出力された電流信号を受ける。
【0036】
面26bにおける一方の長辺寄りに位置する2つの電極パッド28dは、集積回路チップ26への電源電圧を受光モジュール1Aの外部から入力する。図3に示されるように、これらの電極パッド28dは、GNDパターン24b上に実装されたキャパシタ(チップコンデンサ)41の一方の電極と、ボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。キャパシタ41の該一方の電極は、更に、ボンディングワイヤを介してリードピン27dと電気的に接続されている。キャパシタ41の他方の電極は、GNDパターン24bに導電性接着剤(例えばはんだ等)を介して電気的に接続されている。キャパシタ41は、バイパスコンデンサとして機能する。
【0037】
面26bにおける他方の短辺に沿って並ぶ電極パッド28g,28hは、フォトダイオード21からの電流信号に基づいて生成された電圧信号を受光モジュール1Aの外部へ出力する。図3に示されるように、一方の電極パッド28gは、ボンディングワイヤを介してリードピン27eと電気的に接続されている。また、他方の電極パッド28hは、ボンディングワイヤを介して別のリードピン27fと電気的に接続されている。
【0038】
図4は、光半導体装置2Aを拡大して示す平面図である。キャリア25の搭載面25bは、長方形状を呈しており、短手方向に沿って延びる一対の辺(短辺)25c,25dと、長手方向に沿って延びる一対の辺(長辺)25e,25fとを有する。図3に示されるように、キャリア25の長手方向は、集積回路チップ26の長手方向と一致する。キャリア25の搭載面25bの面積は、集積回路チップ26の面26bの面積の半分以上である。一例では、キャリア25の長手方向の長さは760μmであり、短手方向の長さは530μmである。
【0039】
光半導体装置2Aは、キャリア25及びフォトダイオード21に加えて、キャパシタ31を更に有する。キャパシタ31は、フォトダイオード21とともにキャリア25の搭載面25b上に搭載されている。具体的には、フォトダイオード21は搭載面25bの長手方向における短辺25c寄りの位置に配置され、キャパシタ31は搭載面25bの長手方向における短辺25d寄りの位置(すなわち、フォトダイオード21と短辺25dとの間)に配置されている。キャパシタ31は、互いに反対の方向を向く一対の電極と、該一対の電極に挟まれた誘電体(例えばSiN)とを有する。以下、キャパシタ31の一方の電極を裏面電極と称し、他方の電極を表面電極31aと称する。キャパシタ31の裏面電極は、搭載面25bと対向している。キャパシタ31の表面電極31aは、搭載面25bと同じ方向を向いている。キャパシタ31の容量値は、例えば100pFである。キャパシタ31の平面形状は、例えば一辺250μmの正方形である。
【0040】
図5は、フォトダイオード21の主面21aを示す平面図である。主面21aの平面形状は長方形状または正方形状である。フォトダイオード21は、第1電極211及び第1電極211とは反対導電型の第2電極212を主面21aに有する。例えば、第1電極211はアノード電極であり、第2電極212はカソード電極である。一例では、フォトダイオード21の主面21aの中央に第1電極211が配置され、フォトダイオード21の主面21aの四隅それぞれに第2電極212が配置される。主面21aの寸法は、例えば一辺300μm程度である。
【0041】
図6は、キャリア25の搭載面25bの平面図である。図6には、領域A1~A3が破線によって示されている。領域A1は、フォトダイオード21の第1電極211が導電接合される領域である。領域A2は、第2電極212が導電接合される領域である。領域A3は、キャパシタ31の裏面電極が導電接合される領域である。
【0042】
図6に示されるように、キャリア25の搭載面25bには、導電膜32が設けられている。導電膜32は、搭載面25bに固着した金属膜であって、例えばチタン(Ti)を下地とする金(Au)膜を主に含む。導電膜32は、第1導電パターン33、第2導電パターン34、第3導電パターン35、及び第4導電パターン36を含む。これらの導電パターン33~36は、搭載面25b上において互いに分離している。なお、導電パターンが互いに分離しているとは、空気又は絶縁性材料を介して導電パターン同士が隔てられていることをいい、キャリア25及び導電膜32からなる構造体において導電パターン同士が互いに電気的に孤立(アイソレーション)していることをいう。
【0043】
第1導電パターン33は、搭載面25bの長手方向に沿って延在する配線パターンであって、搭載面25bの短手方向における中央部分であって短辺25c寄りの位置に設けられている。第1導電パターン33は、第1実装領域331及び第1ボンディングパッド332を含む。第1実装領域331は、第1導電パターン33の短辺25d側の一端部を構成する円形のパターンである。第1実装領域331は、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、フォトダイオード21の第1電極211と導電接合される。第1ボンディングパッド332は、第1実装領域331に対して搭載面25bの一端縁(短辺25c)側に設けられた多角形状のパターンである。第1ボンディングパッド332は、第1導電パターン33の短辺25c側の他端部を構成する。第1ボンディングパッド332には、図3に示される集積回路チップ26の電極パッド28bから延びるボンディングワイヤの一端が接続される。
【0044】
第2導電パターン34は、搭載面25bの長手方向に沿って延在する配線パターンであって、搭載面25bの短手方向における中央部分であって短辺25d寄りの位置に設けられている。第2導電パターン34は、第2実装領域341、第3実装領域342、及び流れ止め領域343を含む。第2実装領域341は、第2導電パターン34の短辺25c側の一端部を構成するU字形のパターンである。第2実装領域341は、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、フォトダイオード21の4つの第2電極212と導電接合される。第2実装領域341の中央の空隙には、第1導電パターン33の第1実装領域331が配置されている。
【0045】
第3実装領域342は、第2実装領域341に対して搭載面25bの他端縁(短辺25d)側に設けられた長方形状のパターンである。第3実装領域342は、第2導電パターン34の短辺25d側の他端部を構成する。第3実装領域342は、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、キャパシタ31の裏面電極と導電接合される。流れ止め領域343は、第2実装領域341と第3実装領域342との間に設けられ、これらの領域341,342を物理的に隔離している。流れ止め領域343は、第2実装領域341から第3実装領域342への導電性接着剤の流入、及び第3実装領域342から第2実装領域341への導電性接着剤の流入を抑止する。流れ止め領域343は、導電性接着剤に対する濡れ性が領域341,342よりも低い材料、例えばクロム(Cr)からなる表面を有する膜である。
【0046】
なお、キャパシタ31の裏面電極と導電接合される領域A3は、第3実装領域342における長辺25f寄りの位置に設けられている。第3実装領域342における長辺25e寄りの部分には、図4に示されるようにボンディングワイヤ46の一端が接合している。ここで、再び図3を参照すると、ボンディングワイヤ46の他端は、GNDパターン24b上に実装されたキャパシタ(チップコンデンサ)42の一方の電極に接合している。すなわち、第3実装領域342は、ボンディングワイヤ46を介してキャパシタ42の一方の電極と電気的に接続されている。キャパシタ42の該一方の電極は、更に、ボンディングワイヤを介してリードピン27aと電気的に接続されている。キャパシタ42の他方の電極は、GNDパターン24bに導電性接着剤(例えばはんだ等)を介して電気的に接続されている。キャパシタ42は、バイパスコンデンサとして機能する。
【0047】
再び図6を参照する。第3導電パターン35は、搭載面25bの長手方向に沿って延在する配線パターンであって、搭載面25bの短辺25c寄り且つ長辺25e寄りの部分に設けられている。第3導電パターン35は、第2ボンディングパッド351及び第4ボンディングパッド352を含む。第2ボンディングパッド351は、第3導電パターン35の短辺25c側の一端部を構成する。第2ボンディングパッド351には、図3に示される集積回路チップ26の電極パッド28aから延びるボンディングワイヤの一端が接続される。第4ボンディングパッド352は、第3導電パターン35の短辺25d側の他端部を構成する。第4ボンディングパッド352とキャパシタ31の表面電極31aとは、ボンディングワイヤ44(図4を参照)によって互いに電気的に接続される。すなわち、第4ボンディングパッド352にはボンディングワイヤ44の一端が接合しており、表面電極31aにはボンディングワイヤ44の他端が接合している。
【0048】
第4導電パターン36は、搭載面25bの長手方向に沿って延在する配線パターンであって、搭載面25bの短辺25c寄り且つ長辺25f寄りの部分に設けられている。第4導電パターン36は、第3ボンディングパッド361及び第5ボンディングパッド362を含む。第3ボンディングパッド361は、第4導電パターン36の短辺25c側の一端部を構成する。第3ボンディングパッド361には、図3に示される集積回路チップ26の電極パッド28cから延びるボンディングワイヤの一端が接続される。第5ボンディングパッド362は、第4導電パターン36の短辺25d側の他端部を構成する。第5ボンディングパッド362とキャパシタ31の表面電極31aとは、ボンディングワイヤ45(図4を参照)によって互いに電気的に接続される。すなわち、第5ボンディングパッド362にはボンディングワイヤ45の一端が接合しており、表面電極31aにはボンディングワイヤ45の他端が接合している。
【0049】
第2ボンディングパッド351、第1ボンディングパッド332、及び第3ボンディングパッド361は、搭載面25bの一端縁に、この順で並んで配置されている。すなわち、第1ボンディングパッド332は、短辺25cに沿って並ぶ第2ボンディングパッド351及び第3ボンディングパッド361の間に位置する。
【0050】
第3導電パターン35及び第4導電パターン36は、第1導電パターン33を挟んで互いに線対称な平面形状を有する。具体的には、第1導電パターン33の中心線からの第3導電パターン35の距離と、同中心線からの第4導電パターン36の距離とは互いに等しく、また、第3導電パターン35の平面形状は、第4導電パターン36の平面形状を反転した形状である。第1導電パターン33は、搭載面25bの短手方向において第3導電パターン35と第4導電パターン36との間に位置する。第2導電パターン34の第2実装領域341もまた、搭載面25bの短手方向において第3導電パターン35と第4導電パターン36との間に位置する。
【0051】
以上の構成を備える本実施形態の受光部20Aの動作について説明する。受光部20Aの動作中、集積回路チップ26の電極パッド28dには、集積回路チップ26を駆動するための電源電圧が、リードピン27dからボンディングワイヤを介して印加される。この電源電圧の大きさは、例えば3.3Vである。この電源電圧に含まれるノイズは、キャパシタ41を通じて除去される。また、第2導電パターン34の第3実装領域342には、フォトダイオード21を駆動するためのバイアス電圧が、リードピン27aからボンディングワイヤ46を介して印加される。このバイアス電圧の大きさは、例えば20Vである。このバイアス電圧に含まれるノイズは、キャパシタ42を通じて除去される。
【0052】
第3実装領域342に提供されたバイアス電圧は、第2導電パターン34を通じてフォトダイオード21の第2電極212に印加される。この状態で、フォトダイオード21の裏面21bに光が入射すると、フォトダイオード21の内部において電流が生じる。この電流は、フォトダイオード21の第1電極211から出力され、第1導電パターン33を通じて第1ボンディングパッド332に達する。そして、この電流は、ボンディングワイヤを通って集積回路チップ26の電極パッド28bに入力される。その際、この電流と同じ大きさのリターン電流が、集積回路チップ26の電極パッド28a,28cからボンディングワイヤを通って第3導電パターン35及び第4導電パターン36に戻る。リターン電流は、キャパシタ31及び第2導電パターン34を通って、第2電極212からフォトダイオード21に吸収される。なお、電極パッド28a,28cから第2電極212に至る経路を、リターンパスと称する。キャパシタ31は、フォトダイオード21へのバイアス電圧(例えば20V)が、このリターンパスを介して集積回路チップ26(耐圧3V程度)へ印加されることを防ぐ。集積回路チップ26は、電極パッド28bに入力された電流の大きさに応じた電圧信号を生成する。電圧信号は、集積回路チップ26の電極パッド28g,28hからリードピン27e,27fを通って受光部20Aの外部へ出力される。
【0053】
ここで、本実施形態の光半導体装置2Aを製造する方法について、図7の(a)から(c)及び図8を参照しながら説明する。まず、導電膜32を搭載面25bに有するキャリア25を準備する。次に、フォトダイオード21の第1電極211及び第2電極212を、それぞれ第1実装領域331及び第2実装領域341に導電接合することにより、図7の(a)に示されるようにフォトダイオード21を搭載面25b上に実装する。
【0054】
続いて、図7の(b)に示されるように、第1ボンディングパッド332にプローブP1を、第2導電パターン34に別のプローブP2をそれぞれ当接させる。より詳細には、第2導電パターン34の第3実装領域342に対してプローブP2を当接させる。プローブP1、P2は、それぞれ試験装置に接続されている。そして、プローブP1とプローブP2との間に電圧を印加した状態で、フォトダイオード21のバーンイン(エージング試験とも称する)等の試験を行う。バーンインは、デバイスに電圧、温度等の負荷を与えることにより、初期不良のデバイスを見出す試験である。なお、APDのバーンインにおける通電条件は、例えば250℃、24時間、120μAである。
【0055】
図9は、本実施形態において用いられるプローブP1,P2の先端形状を示す図である。図9の(a)はプローブP1,P2の側面図であり、図9の(b)はプローブP1,P2の正面図である。プローブP1,P2は、円柱状の外観を有しており、その軸方向の一端に円形の平坦な端面Paを有する。複数(図では4つ)の三角錐状の突起Pbが、端面Paの周方向に並んで端面Paから突き出ている。端面Paの直径は、例えば0.2mmである。
【0056】
図10は、比較例として従来のプローブP3の先端形状を示す図である。図10の(a)はプローブP3の側面図であり、図10の(b)はプローブP3の正面図である。従来のプローブP3は、円柱状の外観を有しており、その軸方向の一端部は円錐状に尖っている。そして、円錐状の尖頭部を導電パターンに接触させることにより、試験装置と導電パターンとの導通を行う。しかし、このようなプローブP3の先端形状では、導電パターンに対する十分な接触が難しいという問題がある。これに対し、図9に示したプローブP1,P2の先端形状によれば、先端の接触面積が増すので、導電パターンに対する接触性を改善することができる。
【0057】
再び図7及び図8を参照する。続いて、キャパシタ31の裏面電極を第3実装領域342に導電接合することにより、図7の(c)に示されるように、キャパシタ31を搭載面25b上に実装する。そして、図8に示されるように、キャリア25を集積回路チップ26の面26b上に搭載する。その後、キャパシタ31の表面電極31aと第4ボンディングパッド352とをボンディングワイヤ44によって電気的に接続するとともに、表面電極31aと第5ボンディングパッド362とをボンディングワイヤ45によって電気的に接続する。また、その前または後に、第2ボンディングパッド351、第1ボンディングパッド332、及び第3ボンディングパッド361それぞれと、電極パッド28a、28b、及び28cそれぞれとを、ボンディングワイヤによって電気的に接続する。なお、ボンディングワイヤ44,45による接続を、キャリア25を集積回路チップ26上に搭載する前に行ってもよい。
【0058】
以上に説明した本実施形態に係る光半導体装置2Aによって得られる効果について説明する。通常、フォトダイオード21の試験を行う際には、フォトダイオード21をキャリア25上に実装した状態で行われる。本実施形態の光半導体装置2Aでは、第1ボンディングパッド332が、第1電極211と導電接合される第1実装領域331とともに第1導電パターン33に含まれている。また、第3実装領域342が、第2電極212と導電接合される第2実装領域341とともに第2導電パターン34に含まれている。従って、フォトダイオード21の試験を行う際には、図7の(b)に示したように、一方のプローブP1を第1ボンディングパッド332に接触させ、他方のプローブP2を第2導電パターン34(例えば第3実装領域342)に接触させるとよい。但し、第1ボンディングパッド332は、搭載面25bの短辺25cに第2ボンディングパッド351及び第3ボンディングパッド361と並んで設けられている。故に、第1ボンディングパッド332に対してプローブP1を接触させる際に、プローブP1の位置精度が低いと、図11に示されるように、第2ボンディングパッド351または第3ボンディングパッド361にも接触してしまう。特に、図9に示された本実施形態のプローブ形状の場合、図10に示された従来のプローブ形状と比較して接触領域が広いため、このような現象が生じ易い。もし仮に、第2ボンディングパッド351または第3ボンディングパッド361が第2導電パターン34に含まれていると、この接触によりプローブP1,P2同士が短絡してしまう。
【0059】
これに対し、本実施形態の光半導体装置2Aでは、第2電極212と導電接合される第2実装領域341を含む第2導電パターン34と、第2ボンディングパッド351及び第3ボンディングパッド361をそれぞれ含む第3導電パターン35及び第4導電パターン36とが、互いに分離している。これにより、第1ボンディングパッド332に接触するプローブP1が同時に第2ボンディングパッド351または第3ボンディングパッド361に接触した場合であっても、プローブP1,P2同士の短絡を回避することができる。なお、第2導電パターン34と第3導電パターン35とは、試験の後にキャパシタ31を介して互いに接続され得るので、試験の際に互いに分離していても何ら問題はない。
【0060】
本実施形態のように、導電膜32は、搭載面25bの短辺25cに第1ボンディングパッド332及び第2ボンディングパッド351と並んで設けられた第3ボンディングパッド361を含む第4導電パターン36を更に含み、第1ボンディングパッド332は第2ボンディングパッド351と第3ボンディングパッド361との間に位置し、第4導電パターン36は、第1導電パターン33、第2導電パターン34、及び第3導電パターン35から分離しており、キャパシタ31の表面電極31aと第4導電パターン36とは、ボンディングワイヤ45を介して互いに電気的に接続されてもよい。この構成によれば、第1導電パターン33を含む信号経路を挟んで、第3導電パターン35を含む信号経路と、第4導電パターン36を含む信号経路とを互いに対称形に近づけることができる。この場合、信号伝達特性を高めることができる。また、第1ボンディングパッド332が、搭載面25bの短手方向における略中央に位置することで、キャリア25とプローブP1との同方向における相対位置が大きくずれた場合であっても、第1ボンディングパッド332に対してプローブP1を安定して接触させ得る。
【0061】
本実施形態のように、第3導電パターン35及び第4導電パターン36は、第1導電パターン33を挟んで互いに線対称な平面形状を有してもよい。この構成によれば、第1導電パターン33を含む信号経路を挟んで、第3導電パターン35を含む信号経路と、第4導電パターン36を含む信号経路とが互いに対称形となる。故に、信号伝達特性を更に高めることができる。
【0062】
本実施形態に係る光半導体装置2Aの製造方法では、フォトダイオード21をキャリア25上に実装した状態でフォトダイオード21の試験を行う。このとき、第2電極212と導電接合される第2実装領域341を含む第2導電パターン34と、第2ボンディングパッド351を含む第3導電パターン35、及び第3ボンディングパッド361を含む第4導電パターン36とが、互いに分離している。これにより、第1ボンディングパッド332に接触するプローブP1が同時に第2ボンディングパッド351または第3ボンディングパッド361に接触した場合であっても、プローブP1,P2同士の短絡を回避することができる。
【0063】
(第1変形例)
図12は、上記実施形態の第1変形例に係る受光部20Bを示す平面図である。この受光部20Bは、光半導体装置2Bを備えている。なお、受光部20B及び光半導体装置2Bにおいて、キャリア25上の導電膜の形状を除く他の構成は、上記実施形態と同様である。図13は、図12に示されたキャリア25の搭載面25bを拡大して示す平面図である。図13には、領域A1~A3が破線によって示されている。領域A1は、フォトダイオード21の第1電極211が導電接合される領域である。領域A2は、第2電極212が導電接合される領域である。領域A3は、キャパシタ31の裏面電極が導電接合される領域である。
【0064】
図13に示されるように、キャリア25の搭載面25bには、上記実施形態の導電膜32に代えて、導電膜52が設けられている。導電膜52は、搭載面25bに固着した金属膜である。導電膜52の構成材料は、上記実施形態の導電膜32と同様である。導電膜52は、第1導電パターン53、第2導電パターン54、及び第3導電パターン55を含む。これらの導電パターン53~55は、搭載面25b上において互いに分離している。
【0065】
第1導電パターン53は、搭載面25bの長手方向に沿って延在する配線パターンであって、搭載面25bの短手方向における中央部分であって短辺25c寄りの位置に設けられている。第1導電パターン53は、第1実装領域531及び第1ボンディングパッド532を含む。第1実装領域531は、第1導電パターン53の短辺25d側の一端部を構成する円形のパターンである。第1実装領域531は、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、フォトダイオード21の第1電極211と導電接合される。第1ボンディングパッド532は、第1実装領域531に対して搭載面25bの一端縁(短辺25c)側に設けられた四角形状のパターンである。第1ボンディングパッド532は、第1導電パターン53の短辺25c側の他端部を構成する。第1ボンディングパッド532には、図12に示される集積回路チップ26の電極パッド28bから延びるボンディングワイヤの一端が接続される。
【0066】
第2導電パターン54は、搭載面25bの長手方向から短手方向に沿ってL字形に延在する配線パターンである。第2導電パターン54は、第2実装領域541、第3実装領域542、ボンディングパッド543、及び流れ止め領域544,545を含む。
【0067】
第2実装領域541は、第2導電パターン54の短辺25c側の一端部を構成するU字形のパターンであって、搭載面25bの短手方向における長辺25f寄りの位置に設けられている。第2実装領域541は、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、フォトダイオード21の4つの第2電極212と導電接合される。第2実装領域541の中央の空隙には、第1導電パターン53の第1実装領域531が設けられている。
【0068】
第3実装領域542は、第2実装領域541に対して搭載面25bの他端縁(短辺25d)側に設けられた正方形状のパターンである。第3実装領域542は、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、キャパシタ31の裏面電極と導電接合される。ボンディングパッド543には、図12に示すボンディングワイヤ46の一端が接合する。つまり、ボンディングパッド543は、ボンディングワイヤ46を介して、キャパシタ42の一方の電極と電気的に接続される。ボンディングパッド543は、第3実装領域542に対して長辺25e側、すなわち搭載面25bの短辺25d寄り且つ長辺25e寄りの位置に設けられている。
【0069】
流れ止め領域544は、第2実装領域541と第3実装領域542との間に設けられ、これらの領域541,542を物理的に隔離している。流れ止め領域544は、第2実装領域541から第3実装領域542への導電性接着剤の流入、及び第3実装領域542から第2実装領域541への導電性接着剤の流入を抑止する。また、流れ止め領域545は、第3実装領域542とボンディングパッド543との間に設けられ、第3実装領域542とボンディングパッド543とを物理的に隔離している。流れ止め領域545は、第3実装領域542からボンディングパッド543への導電性接着剤の流入を抑止する。流れ止め領域544及び545は、導電性接着剤に対する濡れ性が領域541及び542並びにボンディングパッド543よりも低い材料、例えばクロム(Cr)からなる表面を有する膜である。
【0070】
第3導電パターン55は、搭載面25bの長手方向から短手方向に沿ってL字形に延在する配線パターンであって、搭載面25bの短辺25cに沿って延在する部分と、長辺25eに沿って延在する部分とを含む。このうち長辺25eに沿って延在する部分は、第2ボンディングパッド551及び第4ボンディングパッド553を含む。第2ボンディングパッド551は、第3導電パターン55の当該部分における短辺25c側の一端部を構成する。第2ボンディングパッド551には、図12に示される集積回路チップ26の電極パッド28aから延びるボンディングワイヤの一端が接続される。第4ボンディングパッド553は、第3導電パターン55の当該部分における短辺25d側の他端部を構成する。第4ボンディングパッド553とキャパシタ31の表面電極31aとは、ボンディングワイヤによって互いに電気的に接続される。
【0071】
第3導電パターン55は、搭載面25bの短辺25cに沿って第2ボンディングパッド551から延在する第3ボンディングパッド552を更に含む。第3ボンディングパッド552は、第2ボンディングパッド551に対して長辺25f側に設けられた正方形状のパターンである。第3導電パターン55は、短辺25c寄り且つ長辺25f寄りの位置に設けられている。第3導電パターン55のうち短辺25cに沿って延在する部分は、第1導電パターン53の第1ボンディングパッド532と短辺25cとの間に設けられ、第2ボンディングパッド551から第3ボンディングパッド552にわたって搭載面25bの短手方向に延在している。すなわち、第2ボンディングパッド551は第3導電パターン55の当該部分の一端を成し、第3ボンディングパッド552は第3導電パターン55の当該部分の他端を成す。
【0072】
第2ボンディングパッド551、第1ボンディングパッド532、及び第3ボンディングパッド552は、搭載面25bの短辺25cにこの順で並んで設けられている。すなわち、第1ボンディングパッド532は、搭載面25bの短手方向において、第2ボンディングパッド551と第3ボンディングパッド552との間に位置する。第3ボンディングパッド552には、図3に示される集積回路チップ26の電極パッド28cから延びるボンディングワイヤの一端が接続される。
【0073】
本変形例のように、第3導電パターン55は、搭載面25bの短辺25cに第1ボンディングパッド532及び第2ボンディングパッド551と並んで設けられた第3ボンディングパッド552を含み、第1ボンディングパッド532は第2ボンディングパッド551と第3ボンディングパッド552との間に位置してもよい。この場合、上記実施形態のように第4導電パターン36を設ける場合と比べて、キャリア25の搭載面25bの短手方向の幅(搭載面25bの短辺25c,25dに沿う方向の幅)を小さくすることができ、光半導体装置の小型化に寄与できる。或いは、第4導電パターン36を設けていた領域に別の回路部品を配置することができる。
【0074】
(第2変形例)
図14は、上記実施形態の第2変形例に係る受光部20Cを示す平面図である。この受光部20Cは、光半導体装置2Cを備えている。なお、受光部20C及び光半導体装置2Cにおいて、キャリア25上の導電膜の形状を除く他の構成は、上記実施形態と同様である。また、キャリア25上の導電膜の形状は、次に説明する部分を除いて、第1変形例と同様である。
【0075】
図15は、図14に示されたキャリア25の短辺25c付近の構成を拡大して示す斜視図である。本変形例の導電膜52は、第1変形例と同様に、搭載面25bの短辺25cに第1ボンディングパッド532及び第2ボンディングパッド551と並んで設けられた第3ボンディングパッド552を含む。そして、第1ボンディングパッド532は、第2ボンディングパッド551と第3ボンディングパッド552との間に位置する。但し、搭載面25b上の第3導電パターン55は、短辺25cに沿って延在する部分を有しておらず、その代わりに、キャリア25の短辺25cを含む側面上に、導電膜56が設けられている。導電膜56は、キャリア25の側面に固着した金属膜であって、例えば導電膜32と同じ材料からなる。導電膜56は、キャリア25の側面の全面にわたって延在しており、短辺25c上において第2ボンディングパッド551及び第3ボンディングパッド552と接している。これにより、第2ボンディングパッド551と第3ボンディングパッド552とが、導電膜56を介して互いに電気的に接続される。
【0076】
本変形例によれば、第1変形例と同様、上記実施形態のように第4導電パターン36を設ける場合と比べて、キャリア25の搭載面25bの短手方向の幅を小さくすることができ、光半導体装置の小型化に寄与できる。或いは、第4導電パターン36を設けていた領域に別の回路部品を配置することができる。更には、搭載面25b上の導電膜52のうち第2ボンディングパッド551と第3ボンディングパッド552とを接続する第3導電パターン55の部分が不要となるので、キャリア25の搭載面25bを更に小さくすることができ、光半導体装置の小型化に、より一層寄与できる。また、第3導電パターン55と集積回路チップ26の電極パッド28a及び28cとを、導電膜56を介して電気的に接続することも可能である。その場合、搭載面25b上のワイヤの本数を低減することができる。
【0077】
(比較例)
図16は、キャリア25の搭載面25b上に設けられた、比較例に係る導電膜60の形状を示す平面図である。この導電膜60は、互いに離れて設けられた、第1導電パターン61及び第2導電パターン62を有する。第1導電パターン61は、第1実装領域611及び第1ボンディングパッド612を含む。第1実装領域611は、第1導電パターン61の一端部を構成し、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、フォトダイオード21の第1電極211と導電接合される。第1ボンディングパッド612は、第1導電パターン61の他端部を構成する。第1ボンディングパッド612には、集積回路チップ26の電極パッド28bから延びるボンディングワイヤの一端が接続される。
【0078】
第2導電パターン62は、第2実装領域621、第3実装領域622、及びプローブ当接パッド623を含む。第2実装領域621は、搭載面25bの略中央部に設けられたU字形のパターンであって、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、フォトダイオード21の4つの第2電極212と導電接合される。第2実装領域621の中央の空隙には、第1導電パターン61の第1実装領域611が配置されている。第3実装領域622は、搭載面25bの一端辺に沿って第1ボンディングパッド612と並んで設けられ、AuSnはんだ等の導電性接着剤を介して、キャパシタ31の裏面電極と導電接合される。プローブ当接パッド623は、搭載面25bの他端辺側に設けられている。プローブ当接パッド623は、試験の際にプローブを接触させるための領域である。
【0079】
この比較例では、フォトダイオード21の試験を行う際に、第1ボンディングパッド612に一方のプローブを接触させ、第1ボンディングパッド612に対して対角に位置するプローブ当接パッド623に他方のプローブを接触させる。そのとき、プローブの位置精度が低いと、一方のプローブが第3実装領域622にも接触してしまうおそれがある。その場合、電位の異なるプローブ同士が短絡し、試験を適切に行うことができない。そこで、図17に示されるように、第3実装領域622を第2実装領域621及びプローブ当接パッド623から隔離することが考えられる。これにより、一方のプローブが第3実装領域622に接触した場合であっても、プローブ同士の短絡を防ぐことができる。
【0080】
図18及び図19は、比較例に係る光半導体装置の組立工程を示す図である。まず、図18の(a)に示されるように、搭載面25b上にフォトダイオード21を実装した状態で、プローブP1を第1ボンディングパッド612に接触させ、プローブP2をプローブ当接パッド623に接触させる。プローブP1、P2は、それぞれ試験装置に接続されている。そして、プローブP1とプローブP2との間に電圧を印加した状態で、バーンイン等の試験を行う。次に、図18の(b)に示されるように、例えば導電性樹脂71等を用いて、第2実装領域621と第3実装領域622とを相互に電気的に接続する。なお、導電性樹脂71に代えて、はんだ又はワイヤボンディングを用いてもよい。続いて、図18の(c)に示されるように、キャパシタ31を第3実装領域622上に実装する。最後に、図19に示されるように、集積回路チップ26の電極パッド28bと第1ボンディングパッド612との間にワイヤボンディングを行う。また、集積回路チップ26の電極パッド28a,28cとキャパシタ31の表面電極31aとの間にワイヤボンディングを行う。
【0081】
しかしながら、この比較例に係る光半導体装置には次の問題がある。まず、導電性樹脂71等により第3実装領域622が狭くなるので、図18の(c)に示される工程においてキャパシタ31を搭載する領域が制限され、キャパシタ31の選択の自由度が低下してしまう。また、第2実装領域621と第3実装領域622とワイヤボンディングを用いて接続する場合、ワイヤと隣接する領域にキャパシタ31を実装することとなり、実装時にワイヤを切断するおそれもある。
【0082】
これらの問題に対し、上記実施形態及び各変形例では、キャパシタ31を搭載する領域を、第2ボンディングパッド351および第3ボンディングパッド361とは反対側の短辺25d寄りに配置することにより、キャパシタ31の搭載面積が制限されないので、キャパシタ31の選択の自由度を低下させずに済む。また、キャパシタ31を実装する領域はワイヤと隣接しないので、キャパシタ31の実装時にワイヤを切断するおそれもない。
【0083】
本開示による光半導体装置及び光半導体装置の製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態及び各変形例では、光通信用の受光モジュールに本開示の光半導体装置を適用した場合を例示したが、本開示の光半導体装置はこれ以外にも様々なモジュールに適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1A 受光モジュール
2A,2B,2C 光半導体装置
10 光レセプタクル
11 フェルール
11a 基端面
11b 先端面
11c 外周面
11d ファイバ保持孔
12 ファイバスタブ
13 光ファイバ
13a 一端
13b 他端
14 金属部材
14a 貫通孔
14b 基端面
14c 先端面
14d 外周面
16 スリーブ
16a 基端
16b 先端
16c 外周面
16d 内周面
18 外郭部材
18a フランジ部
18b 基端面
18c 先端部
18d 貫通孔
18e,18f 部分
18g 段差面
19 部材
20A,20B,20C 受光部
21 フォトダイオード
21a 主面
21b 裏面
22 パッケージ
22a 一端
22b 他端
23 レンズ
23a 樹脂
24 ステム
24a 主面
24b パターン
25 キャリア
25a 面
25b 搭載面
25c,25d 短辺
25e,25f 長辺
26 集積回路チップ
26a,26b 面
27a~27f リードピン
28a~28d,28g,28h 電極パッド
29 部材
29a 一端面
29b 他端面
31 キャパシタ
31a 表面電極
32 導電膜
33 第1導電パターン
34 第2導電パターン
35 第3導電パターン
36 第4導電パターン
41,42 キャパシタ
44,45,46 ボンディングワイヤ
52,56,60 導電膜
53,61 第1導電パターン
54,62 第2導電パターン
55 第3導電パターン
71 導電性樹脂
211 第1電極
212 第2電極
331,531,611 第1実装領域
332,532,612 第1ボンディングパッド
341,541,621 第2実装領域
342,542,622 第3実装領域
343 流れ止め領域
351,551 第2ボンディングパッド
352,553 第4ボンディングパッド
361,552 第3ボンディングパッド
362 第5ボンディングパッド
543 ボンディングパッド
544,545 流れ止め領域
623 プローブ当接パッド
A1,A2,A3 領域
D1 方向
P1,P2,P3 プローブ
Pa 端面
Pb 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19