(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 515
(21)【出願番号】P 2019136424
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0109455
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0122625
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジン モ
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ロク
(72)【発明者】
【氏名】シン、ドン フィ
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0073358(KR,A)
【文献】国際公開第2017/159377(WO,A1)
【文献】特開2017-157805(JP,A)
【文献】特開平08-162357(JP,A)
【文献】特開2015-029009(JP,A)
【文献】特開2001-076957(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109411234(CN,A)
【文献】特開平8-124718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層の積層構造を有し、前記複数の誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の表面のうち少なくとも一つの面に配置された応力緩和部と、
前記本体の外部に形成され、前記複数の内部電極と電気的に連結された外部電極と、を含み、
前記応力緩和部は、前記本体に隣接
し、実質的にフィラーを含まない第1樹脂層、及び前記第1樹脂層をカバーし、且つ樹脂層にフィラーが分散された形である第2樹脂層を含
み、
前記第2樹脂層の表面の高さが、前記外部電極における前記複数の誘電体層と略平行な面の高さ以下である、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記応力緩和部は、前記本体における前記複数の誘電体層が積層された方向に対向する二つの面のうち少なくとも一つの面に配置される、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記応力緩和部は前記二つの面にともに配置される、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記応力緩和部は前記二つの面のいずれかのみに配置される、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記応力緩和部は、前記二つの面を連結し、且つ前記複数の内部電極が露出していない側面の少なくとも一部をカバーする、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記外部電極は、多層電極構造を有し、前記本体に隣接する金属層と、前記金属層をカバーする導電性樹脂層と、を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記導電性樹脂層は樹脂層内に金属粒子が分散された形である、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記金属層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、又はこれらの合金成分を含む、請求項6又は7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記金属層は導電性ペーストの焼結体である、請求項8に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第1樹脂層は前記金属層と前記導電性樹脂層との間の領域に延長された形である、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記第2樹脂層は前記金属層と前記導電性樹脂層との間の領域に延長された形である、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記第1
樹脂層及び
前記第2樹脂層は前記金属層と前記導電性樹脂層の間の領域に延長された形である、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記導電性樹脂層は前記第2樹脂層をカバーする形である、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記第1樹脂層は多層構造である、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記多層構造の第1樹脂層において前記本体に近いものであるほど弾性が高い、請求項14に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記第2樹脂層に含まれるフィラーは無機フィラーである、請求項1から15のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記無機フィラーはSiO
2又はAl
2O
3を含む、請求項16に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタは様々な電子製品に用いられている。最近では、高信頼性が要求される技術分野での多くの機能が電子化し、需要が増加するにつれて、これに符合するために、積層型キャパシタに対しても高信頼性が要求される。
【0003】
積層型キャパシタの信頼性を向上させるためには構造的な安定性を確保する必要がある。このため、積層型キャパシタを構成するセラミック本体や内部電極などに生じる欠陥を最小限に抑えなければならない。
【0004】
また、自動車や医療機器のような高信頼性を必要とする分野での多くの機能が電子化し、需要が増加するにつれて、これに符合するために、積層セラミックキャパシタに対しても高信頼性が要求される。かかる高信頼性で問題となる要素としては、工程時に発生するめっき液の浸透や、外部衝撃によるクラックの発生、基板実装時における反りの発生などが挙げられる。
【0005】
そこで、上記問題点を解決するための手段として、外部電極の電極層とめっき層との間に導電性物質を含有する樹脂組成物を塗布することで、外部衝撃を吸収し、且つめっき液の浸透を防いで信頼性を向上させる方法が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、曲げ強度及び耐湿信頼性を向上させた積層型キャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は、一実施形態を通じて積層型キャパシタの新たな構造を提案する。具体的には、複数の誘電体層の積層構造を有し、上記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の表面のうち少なくとも一つの面に配置された応力緩和部と、上記本体の外部に形成され、上記内部電極と電気的に連結された外部電極と、を含み、上記応力緩和部は、上記本体に隣接する第1樹脂層、及び上記第1樹脂層をカバーし、且つ樹脂層にフィラーが分散された形である第2樹脂層を含む。
【0008】
一実施形態において、上記応力緩和部は、上記本体における上記複数の誘電体層が積層された方向に対向する二つの面のうち少なくとも一つの面に配置されることができる。
【0009】
一実施形態において、上記応力緩和部は、上記二つの面にともに配置されることができる。
【0010】
一実施形態において、上記応力緩和部は、上記二つの面のいずれかのみに配置されることができる。
【0011】
一実施形態において、上記応力緩和部は、上記二つの面を連結し、且つ上記内部電極が露出していない側面の少なくとも一部をカバーすることができる。
【0012】
一実施形態において、上記外部電極は、多層電極構造を有し、上記本体に隣接する金属層と、上記金属層をカバーする導電性樹脂層と、を含むことができる。
【0013】
一実施形態において、上記導電性樹脂層は、樹脂層内に金属粒子が分散された形であることができる。
【0014】
一実施形態において、上記金属層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、又はこれらの合金成分を含むことができる。
【0015】
一実施形態において、上記金属層は、導電性ペーストの焼結体であることができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1樹脂層は、上記金属層と上記導電性樹脂層の間の領域に延長された形であることができる。
【0017】
一実施形態において、上記第2樹脂層は、上記金属層と上記導電性樹脂層の間の領域に延長された形であることができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1及び第2樹脂層は、上記金属層と上記導電性樹脂層の間の領域に延長された形であることができる。
【0019】
一実施形態において、上記導電性樹脂層は、上記第2樹脂層をカバーする形であることができる。
【0020】
一実施形態において、上記第1樹脂層は、多層構造であることができる。
【0021】
一実施形態において、上記多層構造の第1樹脂層において上記本体に近いものであるほど弾性が高くなってもよい。
【0022】
一実施形態において、上記第2樹脂層に含まれるフィラーは、無機フィラーであることができる。
【0023】
一実施形態において、上記無機フィラーは、SiO2又はAl2O3を含むことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、基板実装時の曲げ強度特性及び耐湿信頼性を向上させることで信頼性を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの外観を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の積層型キャパシタの概略的な断面図である。
【
図3】変形例による積層型キャパシタの概略的な斜視図である。
【
図4】変形例による積層型キャパシタの概略的な斜視図である。
【
図5】
図1の積層型キャパシタに採用することができる第2樹脂層の一例を示す断面図である。
【
図6】変形例による積層型キャパシタの概略的な断面図である。
【
図7】変形例による積層型キャパシタの概略的な断面図である。
【
図8】変形例による積層型キャパシタの概略的な断面図である。
【
図9】変形例による積層型キャパシタの概略的な断面図である。
【
図10】変形例による積層型キャパシタの概略的な断面図である。
【
図11】変形例による積層型キャパシタの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0027】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0028】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシタの外観を概略的に示す斜視図であり、
図2は
図1の積層型キャパシタの概略的な断面図であり、
図3及び
図4は変形例による積層型キャパシタの概略的な斜視図であり、
図5は
図1の積層型キャパシタに採用することができる第2樹脂層の一例を示す断面図である。
【0029】
上記
図1から
図5を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100は、本体110、応力緩和部S、及び外部電極131、132を含む。ここで、応力緩和部Sは、第1樹脂層101及び第2樹脂層102を含む。
【0030】
本体110は、複数の誘電体層111の積層構造を含み、複数のグリーンシートを積層した後、焼結することで得ることができる。かかる焼結工程により、複数の誘電体層111は一体化した形を有することができる。本体110の形状及び寸法ならびに誘電体層111の積層数が本実施形態に示すものに限定されるものではなく、例えば、
図1に示すように、本体110は、直方体状を有することができる。
【0031】
本体110に含まれる誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えば、BT系、すなわち、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量を得ることができる限り、当技術分野に公知の他の物質も用いることができる。誘電体層111には、主成分の上記セラミック材料とともに、必要であれば、添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで、添加剤は、金属成分を含み、これらは製造過程で金属酸化物の形で添加されることができる。かかる金属酸化物添加剤は、一例として、MnO2、Dy2O3、BaO、MgO、Al2O3、SiO2、Cr2O3、及びCaCO3のうち少なくとも一つの物質を含むことができる。
【0032】
本体110の内部には、電気容量を形成することができる複数の内部電極121、122が配置される。ここで、内部電極121、122は、互いに異なる外部電極131、132と連結されて、駆動時に互いに異なる極性を有することができる。内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定の厚さで導電性金属を含むペーストを印刷した後、これを焼結することで得られる。この場合、内部電極121、122は、
図2に示すように、積層方向に沿って両端面に交互に露出するように形成されることができる。また、内部電極121と内部電極122の間に配置された誘電体層111を介して互いに電気的に分離されることができる。内部電極121、122をなす主な構成物質としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)などが挙げられるが、これらの合金も用いることができる。
【0033】
外部電極131、132は、本体110の外部に形成されて、内部電極121、122と電気的に連結される。図面に示すように、外部電極131、132は、多層電極構造を有することができる。具体的に、外部電極131、132はそれぞれ、本体に隣接する金属層131a、132aと、これをカバーする導電性樹脂層131b、132bと、を含むことができる。金属層131a、132aはそれぞれ、内部電極121、122と連結され、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、又はこれらの合金成分を含むことができる。この場合、金属層131a、131bは、導電性ペーストを塗布した後、これを焼結して得られた導電性ペーストの焼結体であることができる。
【0034】
導電性樹脂層131b、132bは、樹脂層及び金属粒子を含むことができる。具体的には、上記樹脂層内に金属粒子が分散された形であることができる。
図2に示すように、導電性樹脂層131b、132bは、金属層131a、132aの全領域をカバーしながら本体110と接する形であることができる。導電性樹脂層131b、132bに含まれる樹脂層自体は導電性を有さなくても、これに分散された金属粒子が点接触するか、又はトンネル効果を奏することにより、導電性樹脂層131b、132bは全体的に導電性を有することができる。導電性樹脂層131b、132bに含まれる金属粒子は、銅及び銀のうち一つ以上を含むことができる。また、導電性樹脂層131b、132bに含まれる樹脂層は、例えば、熱硬化性樹脂を含むことができ、具体的には、エポキシ樹脂を含むことができる。かかる構造を有する導電性樹脂層131b、132bは、外部からの衝撃を吸収して積層型キャパシタ100を保護する機能を行うことができる。また、
図6の変形例のように、外部電極131、132は、導電性樹脂層131b、132bの外側に形成されためっき層131c、132cをさらに含むことができる。これは、導電性樹脂層131b、132bに含まれる金属粒子がめっき層131c、132cを形成するためのシードの役割も果たすことができる。ここで、めっき層131c、132cは、積層型キャパシタ100の実装性のために提供されることができるものであって、Ni、Sn、Auなどの物質を含むことができ、多層構造で形成されることもできる。
【0035】
本実施形態の場合、応力緩和部Sは、本体110の表面のうち少なくとも一つの面に配置される。
図4に示す変形例は、本体110の表面のうち二つの面に配置された例に該当する。ここで、上記二つの面は、本体110において、複数の誘電体層111が積層された方向(Z方向)に対向する二つの面に該当する。このうち、一つの面は、基板などへの実装時に実装面として提供されることができる。但し、応力緩和部Sは、
図3に示すように、二つの対向する面のいずれか(
図3では下面)のみに形成されてもよい。この場合、応力緩和部Sが形成された面が積層型キャパシタ100の実装面になり得る。また、応力緩和部Sは、二つの対向する面以外の他の面にも配置されることができる。例えば、
図4に示すように、応力緩和部Sは、上記二つの対向する面を連結する側面、すなわち、本体110において、内部電極121、122が外部に露出していない側面にも配置されることができる。このように、応力緩和部Sが配置された領域が増加することにより、外部影響から積層型キャパシタ100を効果的に保護するとともに、耐湿信頼性などが向上して曲げ特性も改善させることができる。一方、
図4には、応力緩和部Sが本体110の側面一部をカバーする形が示されているが、応力緩和部Sが本体110の側面全体をカバーすることもできる。
【0036】
上述のように、応力緩和部Sは、第1樹脂層101及び第2樹脂層102を含む。第1樹脂層101は、弾性を有するため、積層型キャパシタ100に印加される応力、特に、基板などへの実装時に発生する曲げ変形を吸収することができる。これにより、第1樹脂層101は、積層型キャパシタ100に伝達される曲げ変形を最小限に抑えることで、積層型キャパシタ100を保護することができる。また、第1樹脂層101は、弾性を有する樹脂として、例えば、エポキシ系樹脂などを含むことができ、実質的にフィラーを含まなくてもよい。
【0037】
第2樹脂層102は、
図5に示すように、樹脂層103にフィラー104が分散された形で実現されることができ、比較的高い剛性を有する樹脂複合層に該当する。この場合、フィラー104は無機フィラーであってもよく、例えば、SiO
2又はAl
2O
3などを含むことができる。第2樹脂層102は、積層型キャパシタ100の実装時に曲げ変形を1次的に受ける領域に該当し、曲げ変形時の引張応力を効果的に吸収することができる。そして、第2樹脂層102の上部に伝達された曲げ応力は、弾性を有する第1樹脂層101によって吸収されて、積層型キャパシタ100を効果的に保護することができる。
【0038】
このように、本実施形態では、本体110に隣接する領域には高弾性を有する第1樹脂層101を配置し、外部から1次的に曲げ応力を受ける領域には高い剛性を有する第2樹脂層102を配置して、曲げ応力を著しく低減するようにした。かかる応力緩和部Sは、積層型キャパシタ100が基板などに実装されたとき、外部電極131、132が剥離されるという現象を低減するとともに、曲げ変形に効果的に対応できる形である。さらに、圧電現象による振動を減らしてアコースティックノイズも低減させることができる。実際、本発明の発明者らの実験によると、多層構造の応力緩和部Sを採用した場合、約10mmの曲げ変形でも外部電極131、132のうち導電性樹脂層131b、132bの剥離やクラックが発生しなかった。これは、応力緩和部Sがない従来の場合、3mmレベルの曲げ変形でも不良が生じたことと異なる。また、応力緩和部Sは、多層構造で形成され、外部電極131、132及び本体110を外部から保護する機能も提供するとともに、積層型キャパシタ100の耐湿信頼性の向上にも寄与することができる。具体的には、応力緩和部Sは、積層型キャパシタ100の内部に浸透する可能性がある湿気や金属イオンなどを遮断する役割を果たすことができる。
【0039】
以下、
図7から
図11を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
図7から
図10は、上述の実施形態とは異なり、応力緩和部Sが、外部電極131、132の内部に延長されて、曲げ応力を緩和するとともに、耐湿信頼性をさらに向上させることができる構造に該当する。また、
図11は第1樹脂層が多層構造で形成されて、応力をさらに効果的に吸収するようにした形である。
【0040】
まず、
図7の変形例は、第1及び第2樹脂層101、102が導電性樹脂層131b、132bの内側に延長されて、導電性樹脂層131b、132bが第2樹脂層102をカバーする形である。本変形例による応力緩和部Sは、上述の実施形態よりも、本体110及び導電性樹脂層131b、132bと接触する面積が広くなるため、応力緩和機能及び耐湿機能をさらに向上させることができる。
【0041】
次に、
図8の変形例は、第1樹脂層101が金属層131a、132aと導電性樹脂層131b、132bの間の領域に延長された形である。弾性を有する第1樹脂層101が占める領域が広くなり、結果として外部電極131、132の内部に延長されるようになって、上述した2次曲げ緩和機能を向上させることができる。この場合、図面に示すように、曲げ緩和機能をさらに強化させるために、第1樹脂層101は、本体110の上面又は下面の全体をカバーするように延長されることができ、具体的には、本体110の曲面からなる端領域までカバーすることができる。
【0042】
次に、
図9の変形例は、第2樹脂層102が金属層131a、132aと導電性樹脂層131b、132bの間の領域に延長された形である。本変形例では、剛性の高い第2樹脂層102が拡張され、結果として、外部電極131、132の内部に延長されるようになって、上述した2次曲げ緩和機能を向上させることができる。第1樹脂層101と同様に曲げ緩和機能をさらに強化させるために、第2樹脂層101は、本体110の上面又は下面の全体をカバーするように延長されることができ、具体的には、本体110の曲面からなる端領域までカバーすることができる。
【0043】
次に、
図10の変形例は、第1及び第2樹脂層101、102がともに金属層131a、132aと導電性樹脂層131b、132bの間の領域に延長された構造であり、曲げ強度及び耐湿信頼性を著しく向上させることができる。この場合、図面に示すように、曲げ緩和機能をさらに強化させるために、第1及び第2樹脂層101、102は、本体110の上面又は下面の全体をカバーするように延長されることができ、具体的には、本体110の曲面からなる端領域までカバーすることができる。
【0044】
次に、
図11の変形例では、第1樹脂層101が、多層構造で形成され、例えば、二つの層101a、101bを含むことができる。但し、第1樹脂層101は、さらに多くの層が積層された多層構造で実現されることもできる。多層構造の第1樹脂層101において、本体110に近いもの101aでこれより本体から遠く離れたもの101bよりも弾性が高くてもよい。本体110に近いもの101aの弾性を比較的高くすることにより、応力緩和部Sは、外部から伝達された応力を、弾性変形を用いてさらに効果的に吸収することで、積層型キャパシタの曲げ変形を緩和することができる。
図11の変形例は、
図1の基本的な実施形態に加えて、上述した変形例にも適用されることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0046】
100 積層型キャパシタ
S 応力緩和部
101 第1樹脂層
102 第2樹脂層
103 樹脂層
104 フィラー
110 本体
111 誘電体層
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 金属層
131b、132b 導電性樹脂層
131c、132c めっき層