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特許7279903電源システム、電源システムが実行する処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】電源システム、電源システムが実行する処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
G05F1/10 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022019509
(22)【出願日】2022-02-10
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】舩越 悠希
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-045945(JP,A)
【文献】特開2009-194960(JP,A)
【文献】特開2010-051154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有する電源システムであって、
前記接続先の電圧を検出する検出手段と、
記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成する生成手段と、
第1配線が切断されているか否かを特定する特定手段であって、第1部分と前記負荷との間に設けられた第1抵抗と、前記第1抵抗の両端間の電圧を増幅する増幅回路と、前記増幅回路が出力する電圧および基準電圧を比較し、比較結果に応じたHighレベルまたはLowレベルの電圧を出力するコンパレータと、を有する特定手段と、
前記第1部分と第2部分との間に設けられる処理手段であって、前記第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の前記第1配線の中間部分であり、前記第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとする処理手段と、
を備え
前記コンパレータは、
前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記Lowレベルの電圧を出力し、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記Highレベルの電圧を出力する、
電源システム。
【請求項2】
接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有する電源システムであって、
前記接続先の電圧を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成する生成手段と、
第1部分と第2部分との間に設けられる処理手段であって、前記第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、前記第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1配線が切断されていない場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されている場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとする処理手段であって、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた前記第1抵抗値の抵抗と、前記第1配線が切断されていない場合、オフ状態であり、前記第1部分と前記接続先との間で前記第1配線が切断された場合、オン状態であり、前記抵抗と並列に設けられるスイッチと、を備える処理手段と、
を備える電源システム。
【請求項3】
前記スイッチは、
半導体スイッチである、
請求項に記載の電源システム。
【請求項4】
接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出手段と、生成手段と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられる処理手段と、前記第1配線が切断されているか否かを特定する特定手段であって、前記第1部分と前記負荷との間に設けられた第1抵抗と、前記第1抵抗の両端間の電圧を増幅する増幅回路と、前記増幅回路が出力する電圧および基準電圧を比較し、比較結果に応じたHighレベルまたはLowレベルの電圧を出力するコンパレータと、を有する特定手段と、を備える電源システムが実行する処理方法であって、
記検出手段は、
前記接続先の電圧を検出し、
前記生成手段は、
記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成し、
前記処理手段は、
前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとし、
前記コンパレータは、
前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記Lowレベルの電圧を出力し、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記Highレベルの電圧を出力する、
電源システムが実行する処理方法。
【請求項5】
接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出手段と、生成手段と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられる処理手段であって、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた第1抵抗値の抵抗と、前記抵抗と並列に設けられるスイッチと、を備える処理手段と、を備える電源システムが実行する処理方法であって、
前記検出手段は、
前記接続先の電圧を検出し、
前記生成手段は、
前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成し、
前記処理手段は、
前記第1配線が切断されていない場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を前記第1抵抗値とし、かつ、前記スイッチをオフ状態にし、前記第1部分と前記接続先との間で前記第1配線が切断されている場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとし、かつ、前記スイッチをオン状態にする、
電源システムが実行する処理方法。
【請求項6】
接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出手段と、生成手段と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられる処理手段と、前記第1配線が切断されているか否かを特定する特定手段であって、前記第1部分と前記負荷との間に設けられた第1抵抗と、前記第1抵抗の両端間の電圧を増幅する増幅回路と、前記増幅回路が出力する電圧および基準電圧を比較し、比較結果に応じたHighレベルまたはLowレベルの電圧を出力するコンパレータと、を有する特定手段と、を備える電源システムのコンピュータに、
前記検出手段が、前記接続先の電圧を検出すること、
前記生成手段が、前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成すること、
前記処理手段が、前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとすること、
を実行させるプログラム。
【請求項7】
接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出手段と、生成手段と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられる処理手段であって、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた第1抵抗値の抵抗と、前記抵抗と並列に設けられるスイッチと、を備える処理手段と、を備える電源システムのコンピュータに、
前記検出手段が、前記接続先の電圧を検出すること、
前記生成手段が、前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成すること、
前記処理手段が、前記第1配線が切断されていない場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を前記第1抵抗値とし、かつ、前記スイッチをオフ状態にし、前記第1部分と前記接続先との間で前記第1配線が切断されている場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとし、かつ、前記スイッチをオン状態にすること、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源システム、電源システムが実行する処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電源の中には、リモートセンス方式と呼ばれる機能により、電源から負荷までの配線による電圧降下を補正して、負荷に所望の電圧が印加されるように、電源が出力する電圧を生成するものがある。特許文献1には、関連する技術として、リモートセンシング機能(すなわち、上述のリモートセンス方式と呼ばれる機能)を有する定電圧供給回路に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-161349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リモートセンス方式と呼ばれる機能を有する電源では、接続先の電圧を検出するためのリモートセンス線と呼ばれる配線が用いられる。しかしながら、そのリモートセンス線が切断された場合、接続先の電圧が正しく検出されず、負荷に所望の電圧が印加されなくなる可能性がある。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできる電源システム、電源システムが実行する処理方法およびプログラムを提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、電源システムは、接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有する電源システムであって、前記接続先の電圧を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成する生成手段と、第1配線が切断されているか否かを特定する特定手段であって、第1部分と前記負荷との間に設けられた第1抵抗と、前記第1抵抗の両端間の電圧を増幅する増幅回路と、前記増幅回路が出力する電圧および基準電圧を比較し、比較結果に応じたHighレベルまたはLowレベルの電圧を出力するコンパレータと、を有する特定手段と、前記第1部分と第2部分との間に設けられる処理手段であって、前記第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の前記第1配線の中間部分であり、前記第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとする処理手段と、を備え、前記コンパレータは、前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記Lowレベルの電圧を出力し、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記Highレベルの電圧を出力する
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、電源システムは、接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有する電源システムであって、前記接続先の電圧を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成する生成手段と、第1部分と第2部分との間に設けられる処理手段であって、前記第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、前記第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1配線が切断されていない場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されている場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとする処理手段であって、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた前記第1抵抗値の抵抗と、前記第1配線が切断されていない場合、オフ状態であり、前記第1部分と前記接続先との間で前記第1配線が切断された場合、オン状態であり、前記抵抗と並列に設けられるスイッチと、を備える処理手段と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、電源システムが実行する処理方法は、接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出手段と、生成手段と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられる処理手段と、前記第1配線が切断されているか否かを特定する特定手段であって、前記第1部分と前記負荷との間に設けられた第1抵抗と、前記第1抵抗の両端間の電圧を増幅する増幅回路と、前記増幅回路が出力する電圧および基準電圧を比較し、比較結果に応じたHighレベルまたはLowレベルの電圧を出力するコンパレータと、を有する特定手段と、を備える電源システムが実行する処理方法であって、前記検出手段は、前記接続先の電圧を検出し、前記生成手段は、前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成し、前記処理手段は、前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとし、前記コンパレータは、前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記Lowレベルの電圧を出力し、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記Highレベルの電圧を出力する
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、電源システムが実行する処理方法は、接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出手段と、生成手段と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられる処理手段であって、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた第1抵抗値の抵抗と、前記抵抗と並列に設けられるスイッチと、を備える処理手段と、を備える電源システムが実行する処理方法であって、前記検出手段は、前記接続先の電圧を検出し、前記生成手段は、前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成し、前記処理手段は、前記第1配線が切断されていない場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を前記第1抵抗値とし、かつ、前記スイッチをオフ状態にし、前記第1部分と前記接続先との間で前記第1配線が切断されている場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとし、かつ、前記スイッチをオン状態にする。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出手段と、生成手段と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられる処理手段と、前記第1配線が切断されているか否かを特定する特定手段であって、前記第1部分と前記負荷との間に設けられた第1抵抗と、前記第1抵抗の両端間の電圧を増幅する増幅回路と、前記増幅回路が出力する電圧および基準電圧を比較し、比較結果に応じたHighレベルまたはLowレベルの電圧を出力するコンパレータと、を有する特定手段と、を備える電源システムのコンピュータに、前記検出手段が、前記接続先の電圧を検出すること、前記生成手段が、前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成すること、前記処理手段が、前記第1配線が切断されていないと前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記負荷との間で前記第1配線が切断されていると前記特定手段が特定した場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとすること、を実行させる
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、接続先の負荷の電圧の検出に用いられる第1端子と、前記負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出手段と、生成手段と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記負荷との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられる処理手段であって、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた第1抵抗値の抵抗と、前記抵抗と並列に設けられるスイッチと、を備える処理手段と、を備える電源システムのコンピュータに、前記検出手段が、前記接続先の電圧を検出すること、前記生成手段が、前記検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成すること、前記処理手段が、前記第1配線が切断されていない場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を前記第1抵抗値とし、かつ、前記スイッチをオフ状態にし、前記第1部分と前記接続先との間で前記第1配線が切断されている場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとし、かつ、前記スイッチをオン状態にすること、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の各態様によれば、リモートセンス線が切断された場合であっても、リモートセンス線が切断され前と同等の所望の電圧を負荷に印加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態による電源システムの構成の一例を示す図である。
図2】本開示の第1実施形態によるコンパレータの比較結果の一例を示す図である。
図3】本開示の第1実施形態による電源システムの処理フローの第1の例を示す図である。
図4】本開示の第1実施形態による電源システムの処理フローの第2の例を示す図である。
図5】比較対象の電源システムの構成の一例を示す図である。
図6】本開示の第2実施形態による電源システムの構成の一例を示す図である。
図7】本開示の実施形態による電源システムの最小構成を示す図である。
図8】本開示の実施形態による最小構成の電源システムの処理フローの一例を示す図である。
図9】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<第1実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態による電源システム1の構成の一例を示す図である。電源システム1は、図1に示すように、電源10、負荷20、検出回路30(特定手段の一例)、およびローカルセンス回路40(第2検出手段の一例)を備える。
【0012】
電源10は、負荷20に直流の電力を供給する。電源10は、例えば、DC-DC(Direct Current to Direct Current)コンバータである。電源10は、第1端子、第2端子(負荷に供給する電圧を出力する第2端子の一例)、および第3端子(接続先の電圧の検出に用いられる第1端子の一例)を備える。電源10の第1端子は、基準端子(図1において“-”と記載)である。電源10の第2端子は、出力端子(図1において“+”と記載)である。電源10の第3端子は、センス端子(図1において“S+”と記載)である。
【0013】
また、電源10は、検出部101(第1検出手段の一例)および生成部102(生成手段の一例)を備える。検出部101は、接続先の電圧を検出する。例えば、検出部101は、第3端子で接続先の電圧Vsを検出する。
【0014】
生成部102は、検出部101により検出された電圧が所望の電圧となるように、第2端子から出力される電圧を生成する。例えば、生成部102は、第1端子を基準として、電圧Voutを生成する。生成部102は、生成した電圧Voutを第2端子から出力する。そして、生成部102は、検出部101が第3端子で検出した電圧Vsが所望の電圧となるように、第2端子の電圧Voutを調整する。
【0015】
負荷20は、電源10の負荷である。負荷20は、電源10から電力を受ける。負荷20の例としては、機器、装置、回路などが挙げられる。負荷20が機器、装置、回路などであり、負荷20をインピーダンスで表す場合、そのインピーダンスは、機器、装置、回路などの入力インピーダンスである。ここでは、機器、装置、回路などの入力インピーダンスを抵抗Rで近似するものとする。負荷20は、第1端子および第2端子を備える。
【0016】
検出回路30は、後述するリモートセンス線L3が切断されているか否かを特定する。例えば、検出回路30は、後述するリモートセンス線L3に電流が流れるか否かに応じて
リモートセンス線L3が切断されているか否かを特定する。検出回路30は、図1に示すように、抵抗301、増幅回路302、電圧源303、およびコンパレータ304を備える。
【0017】
抵抗301は、リモートセンス線L3に流れる電流を電圧に変換する。抵抗301は、第1端子および第2端子を備える。
【0018】
増幅回路302は、抵抗301による変換後の電圧を増幅する。増幅回路302は、第1端子、第2端子、および第3端子を備える。
【0019】
電圧源303は、直流電圧Vrefを出力する。直流電圧Vrefは、コンパレータ304における基準電圧である。
【0020】
コンパレータ304は、増幅回路302が出力する電圧と、電圧源303が出力する電圧とを比較する。そして、コンパレータ304は、比較結果に応じた電圧を出力する。コンパレータ304は、第1端子、第2端子、および第3端子を備える。コンパレータ304の第1端子は、マイナス入力端子(図1において“-”と記載)である。コンパレータ304の第2端子は、プラス入力端子(図1において“+”と記載)である。コンパレータ304の第3端子は、出力端子である。例えば、増幅回路302が出力する電圧Vdetがコンパレータ304の第1端子に入力される。また、電圧源303が出力する電圧Vrefがコンパレータ304の第2端子に入力される。そして、コンパレータ304は、第2端子に入力される電圧が第1端子に入力される電圧よりも高い場合、第3端子からHighレベルの電圧Voを出力する。また、コンパレータ304は、第2端子に入力される電圧が第1端子に入力される電圧よりも低い場合、第3端子からLowレベルの電圧Voを出力する。また、コンパレータ304は、第2端子に入力される電圧が第1端子に入力される電圧と同一である場合、第3端子からLowレベルとHighレベルとの間の(例えば、中間の)電圧Voを出力する。なお、実際にはノイズが存在するため、第2端子に入力される電圧が第1端子に入力される電圧と同一になり続けることはない。そのため、コンパレータ304は、第3端子からLowレベルまたはHighレベルの何れかの電圧を出力する。
【0021】
図2は、本開示の第1実施形態によるコンパレータ304の比較結果の一例を示す図である。抵抗301の両端子間の電圧Vr2が増幅された電圧Vdetがコンパレータ304の第1端子に入力され、電圧Vdetよりも低い電圧Vrefがコンパレータ304の第2端子に入力された場合、図2に示すように、コンパレータ304は、第3端子からLowレベルの電圧Voを出力する。また、抵抗301の両端子間の電圧Vr2が増幅された電圧Vdetがコンパレータ304の第1端子に入力され、電圧Vdetよりも高い電圧Vrefがコンパレータ304の第2端子に入力された場合、図2に示すように、コンパレータ304は、第3端子からHighレベルの電圧Voを出力する。
【0022】
ローカルセンス回路40は、後述するように抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間のリモートセンス線L3が断線している場合、断線しているリモートセンス線L3の代わりとして役立つ。ローカルセンス回路40は、抵抗401およびスイッチ402を備える。
【0023】
抵抗401は、抵抗301よりも高い抵抗値を有する抵抗である。抵抗401は、第1端子および第2端子を備える。
【0024】
スイッチ402は、後述するように抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間のリモートセンス線L3が断線している場合、抵抗401の第1端子と第2端子とを短絡させる。また、スイッチ402は、後述するように抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間のリモートセンス線L3が断線していない場合、抵抗401の第1端子と第2端子とを開放させる。スイッチ402は、例えば、半導体スイッチである。半導体スイッチの例としては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などが挙げられる。スイッチ402は、第1端子、第2端子、および第3端子を備える。例えば、スイッチ402がnチャンネルMOSFETの半導体スイッチである場合、スイッチ402の第1端子は、nチャンネルMOSFETのゲートである。また、スイッチ402の第2端子は、nチャンネルMOSFETのソースである。また、スイッチ402の第3端子は、nチャンネルMOSFETのドレインである。
【0025】
抵抗301、401、スイッチ402としては、(抵抗401の抵抗値)<<(スイッチ402のオフ状態(開状態)での抵抗値)かつ(抵抗401の抵抗値)>>(抵抗301の抵抗値)の条件が成り立つものが選択される。なお、条件(抵抗401の抵抗値)<<(スイッチ402のオフ状態での抵抗値)は、スイッチ402がオフ状態の場合に、スイッチ402に電流が流れないようにするためのものである。また、条件(抵抗401の抵抗値)>>(抵抗301の抵抗値)は、リモートセンス線L3が切断されていない場合に、抵抗301による電圧降下を低減するためのものである。
【0026】
電源10の第1端子は、図1に示すように、グラウンド線L1を介して、負荷20の第1端子に接続される。電源10の第2端子は、図1に示すように、給電線L2(第2配線の一例)を介して、負荷20の第2端子、抵抗301の第1端子、および増幅回路302の第1端子に接続される。電源10の第3端子は、図1に示すように、リモートセンス線L3(第1配線の一例)を介して、抵抗301の第2端子および増幅回路302の第2端子に接続される。増幅回路302の第3端子は、図1に示すように、コンパレータ304の第1端子に接続される。電圧源303の第1端子は、図1に示すように、コンパレータ304の第2端子に接続される。電圧源303の第2端子は、図1に示すように、グラウンドGNDに接続される。コンパレータ304の第3端子は、図1に示すように、スイッチ402の第1端子に接続される。抵抗401の第1端子は、図1に示すように、スイッチ402の第2端子に接続され、ローカルセンス線L4aを介して、給電線L2の中間部分(第2部分の一例)に接続される。抵抗401の第2端子は、図1に示すように、スイッチ402の第3端子に接続され、ローカルセンス線L4bを介して、リモートセンス線L3の中間部分(第1部分の一例)に接続される。なお、図1では、抵抗401の第1端子と抵抗301の第1端子との間に抵抗ΔRが示されている。この抵抗ΔRは、抵抗を素子として追加したものではなく、給電線L2が抵抗401の第1端子と抵抗301の第1端子との間に有する抵抗を示すものである。
【0027】
次に、本開示の第1実施形態による電源システム1が行う処理について説明する。ここでは、リモートセンス線L3が切断されていない状態で電源システム1が行う処理と、リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断された状態で電源システム1が行う処理について説明する。
【0028】
(リモートセンス線が切断されていない状態で電源システムが行う処理)
図3は、本開示の第1実施形態による電源システム1の処理フローの第1の例を示す図である。図3は、リモートセンス線L3が切断されていない状態で電源システム1が行う処理を示している。まず、リモートセンス線L3が切断されていない状態で電源システム1が行う処理について、図3を参照して説明する。
【0029】
リモートセンス線L3が切断されていない場合、抵抗301に電流が流れる。そして、抵抗301の両端子間に電圧Vr2が発生する(ステップS1)。電圧Vr2は、増幅回路302の差動入力端子間に印加される。増幅回路302は、電圧Vr2を所定の増幅倍することにより電圧Vdetまで増幅し(ステップS2)、増幅後の電圧Vdetをコンパレータ304の第1端子(マイナス端子)に出力する。また、電圧源303は、電圧Vrefをコンパレータ304の第2端子(プラス端子)に出力する。コンパレータ304は、電圧Vdetと電圧Vrefとを比較する。コンパレータ304は、第2端子の電圧が第1端子の電圧よりも高い場合、第3端子からHighレベルの電圧Voを出力する。また、コンパレータ304は、第2端子の電圧が第1端子の電圧よりも低い場合、第3端子からLowレベルの電圧Voを出力する。なお、リモートセンス線L3が切断されていない場合、電圧Vrefは電圧Vdetよりも低くなる(ステップS3)。そのため、リモートセンス線L3が切断されていない場合、コンパレータ304は、第3端子からLowレベルの電圧Voを出力する。よって、スイッチ402の第1端子に印加される電圧は、Lowレベルの電圧となる。つまり、スイッチ402は、オフ状態である。その結果、抵抗401の両端子間は、短絡されない(ステップS4)。この場合に、抵抗401の両端子間に発生する電圧をVr1とする。
【0030】
(リモートセンス線が切断されていない状態で電源システムが行う処理)
図4は、本開示の第1実施形態による電源システム1の処理フローの第2の例を示す図である。図4は、リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断されている状態で電源システム1が行う処理を示している。次に、リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断されている状態で電源システム1が行う処理について、図4を参照して説明する。
【0031】
リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断されると、抵抗301に電流が流れなくなる。そして、抵抗301の両端子間の電圧はゼロボルトとなる(ステップS11)。よって、増幅回路302の差動入力端子間(第1端子と第2端子の間)に印加される電圧は、ゼロボルトとなる。その結果、増幅回路302が出力する増幅後の電圧もゼロボルトとなる(ステップS12)。コンパレータ304の第1端子(マイナス端子)にはゼロボルトが入力される。また、電圧源303は、電圧Vrefをコンパレータ304の第2端子(プラス端子)に出力する。コンパレータ304は、ゼロボルトと電圧Vrefとを比較する。電圧Vrefがゼロボルトよりも高いため、コンパレータ304は、第3端子からHighレベルの電圧Voを出力する。よって、スイッチ402の第1端子に印加される電圧は、Highレベルの電圧となる。つまり、スイッチ402は、オン状態(閉状態)である。その結果、抵抗401の両端子間は、短絡される(ステップS13)。つまり、この場合、抵抗401の両端子間に電圧Vr1は発生せず、抵抗401の両端子間の抵抗をゼロオームとした場合、抵抗401の両端子間の電圧は、ゼロボルトとなる。
【0032】
(効果)
次に、電源システム1による効果について説明する。ここでは、リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断された状態で、電源10の第3端子において電圧Vsを検出する電源システム1による効果について、比較対象の電源システム1aと比較して説明する。なお、図1に示すように、電源10の第1端子を基準とした電源10の第2端子の電圧をVout、電源10の第3端子の電圧をVsとする。
【0033】
まず、本開示の第1実施形態による電源システム1について説明する。リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断された状態では、上述した図4に示す処理が行われ、抵抗401の両端子間の抵抗をゼロオームとした場合、抵抗401の両端子間の電圧は、ゼロボルトとなる。その結果、電源10の第2端子における電圧Voutと電源10の第3端子における電圧Vsとは同一になる。つまり、電源10の第3端子における電圧Vsは、式(1)のように表される。
【0034】
【数1】
【0035】
この式(1)から、リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断された状態で、電源10は、第3端子において、電源10が第2端子から出力する電圧Voutを、リモートセンス線L3が切断されていない場合と同様に検出できることがわかる。よって、電源10が第2端子から出力する電圧Voutは、負荷20に必要な要求電圧よりも高くなることはない。その結果、電源システム1は、電力の供給先である負荷20(すなわち、機器、装置、回路など)において、過剰な電力供給により不具合が発生する可能性を低減させることができる。
【0036】
次に、比較対象の電源システム1aについて説明する。図5は、比較対象の電源システム1aの構成の一例を示す図である。電源システム1aは、図5に示すように、電源10、負荷20、およびローカルセンス回路40aを備える。ローカルセンス回路40aは、抵抗401を備える。
【0037】
電源10の第1端子は、図5に示すように、グラウンド線L1を介して、負荷20の第1端子に接続される。電源10の第2端子は、図5に示すように、給電線L2を介して、負荷20の第2端子に接続される。電源10の第3端子は、図5に示すように、リモートセンス線L3を介して、負荷20の第2端子に接続される。抵抗401の第1端子は、図5に示すように、ローカルセンス線L4aを介して、給電線L2の中間部分に接続される。抵抗401の第2端子は、図5に示すように、ローカルセンス線L4bを介して、リモートセンス線L3の中間部分に接続される。なお、図5では、抵抗401の第1端子と負荷20の第2端子との間に抵抗ΔRが示されている。この抵抗ΔRは、抵抗を素子として追加したものではなく、給電線L2が抵抗401の第1端子と負荷20の第2端子との間に有する抵抗を示すものである。
【0038】
リモートセンス線L3が負荷20の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断された状態では、抵抗401の両端子間の電圧は、Vr1となる。その結果、電源10の第3端子における電圧Vsは、式(2)のように表される。
【0039】
【数2】
【0040】
この式(2)からわかるように、電源10は、第3端子において、電源10が第2端子から出力する電圧Voutよりも電圧Vr1だけ低い電圧を検出する。その結果、電源10は、第3端子で検出する電圧Vsが電圧Voutとなるように、第2端子から出力する電圧を電圧Voutよりも高い電圧に調整する。その結果、電源システム1aにおいて負荷20に供給される電圧は、電源システム1において負荷20に供給される電圧に比べて高くなる。つまり、電源システム1aの負荷20(すなわち、機器、装置、回路など)は、電源システム1の負荷20に比べて、過剰な電力供給により不具合が発生する可能性が高い。
【0041】
なお、上述の本開示の第1実施形態では、抵抗ΔRはゼロオームに近似されている。
【0042】
以上、本開示の第1実施形態による電源システム1について説明した。電源システム1は、接続先の電圧の検出に用いられる電源10の第3端子と、負荷20に供給する電圧を出力する電源10の第2端子とを有する電源システムである。電源システム1において、検出部101は、接続先の電圧を検出する。生成部102は、検出部101により検出された電圧が所望の電圧となるように、電源10の第2端子から出力される電圧を生成する。ローカルセンス回路40は、第1部分と第2部分との間に設けられる。前記第1部分は、電源10の第3端子と接続先との間のリモートセンス線L3の中間部分である。前記第2部分は、電源10の第2端子と負荷20との間の給電線L2の中間部分である。リモートセンス線L3が切断されていない場合、ローカルセンス回路40は、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とする。また、前記第1部分と接続先との間でリモートセンス線L3が切断されている場合、ローカルセンス回路40は、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとする。こうすることにより、組織変更があった場合に文書の管理担当の決定を支援することができる。
【0043】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態による電源システム1について説明する。本開示の第1実施形態では、抵抗ΔRはゼロオームに近似されていた。しかしながら、実際の抵抗ΔRはゼロオームではない。そして、抵抗ΔRがゼロオームでない場合、本開示の第1実施形態による電源システム1では、抵抗ΔRの両端間の電圧Vdropによる負荷20に印加される電圧への影響を補正することができない。本開示の第2実施形態による電源システム1は、抵抗ΔRの両端間の電圧Vdropによる負荷20に印加される電圧への影響を補正することのできる電源システムである。
【0044】
図6は、本開示の第2実施形態による電源システム1の構成の一例を示す図である。図6に示すように、電源システム1は、本開示の第1実施形態による電源システム1と同様に、電源10、負荷20、検出回路30(特定手段の一例)、およびローカルセンス回路40(第2検出手段の一例)を備える。また、電源システム1は、図6に示すように、さらに、検出装置50を備える。
【0045】
図6に示すように、ローカルセンス回路40は、本開示の第1実施形態による電源システム1と同様に、抵抗401およびスイッチ402を備える。また、ローカルセンス回路40は、図6に示すように、さらに、可変抵抗器403を備える。本開示の第2実施形態による電源システム1と、本開示の第1実施形態による電源システム1との違いは、ローカルセンス回路40および検出装置50である。本開示の第2実施形態によるローカルセンス回路40において、可変抵抗器403は、例えば、デジタルポテンショメータである。可変抵抗器403は、抵抗401に並列に接続され、スイッチ402に直列に接続される。可変抵抗器403は、第1端子、第2端子、および第3端子を備える。すなわち、本開示の第2実施形態によるローカルセンス回路40は、図6に示すように、本開示の第1実施形態によるローカルセンス回路40において、抵抗401の第2端子と、スイッチ402の第3端子との接続を外し、可変抵抗器403の第1端子を検出装置50に接続し、可変抵抗器403の第2端子をスイッチ402の第3端子に接続し、可変抵抗器403の第3端子を抵抗401の第2端子に接続したものである。可変抵抗器403は、後述する電流検出アンプ502が出力する電圧に応じた抵抗値となる。
【0046】
検出装置50は、給電線L2に流れる電流を検出する。検出装置50は、図6に示すように、抵抗501および電流検出アンプ502を備える。抵抗501は、抵抗401の第1端子と負荷20の第2端子との間の給電線L2に設けられる。抵抗501は、給電線L2に流れる電流に応じた電圧に変換する。抵抗501は、第1端子および第2端子を備える。
【0047】
電流検出アンプ502は、抵抗501による変換後の電圧を増幅する。電流検出アンプ502は、増幅後の電圧を可変抵抗器403に出力する。第1端子、第2端子、および第3端子を備える。抵抗501の第1端子は、図6に示すように、給電線L2を介して電源10の第2端子、および抵抗401の第1端子に接続される。また、抵抗501の第1端子は、図6に示すように、電流検出アンプ502の第1端子に接続される。
【0048】
抵抗501の第2端子は、図6に示すように、給電線L2を介して、負荷20の第2端子、抵抗301の第1端子、および増幅回路302の第1端子に接続される。また、抵抗501の第2端子は、図6に示すように、電流検出アンプ502の第2端子に接続される。電流検出アンプ502の第3端子は、図6に示すように、可変抵抗器403の第1端子に接続される。
【0049】
(効果)
次に、電源システム1による効果について説明する。ここでは、リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断された状態で、電源10の第3端子において電圧Vsを検出する電源システム1による効果について説明する。なお、図6に示すように、電源10の第1端子を基準とした電源10の第2端子の電圧をVout、電源10の第3端子の電圧をVsとする。また、抵抗401の第1端子と負荷20の第2端子との間の給電線L2および抵抗501に発生する電圧をVdropとする。また、抵抗401の抵抗値>>可変抵抗器403の抵抗値とする。すなわち、スイッチ402がオン状態の場合、抵抗401と可変抵抗器403とが並列接続された抵抗全体の値は、可変抵抗器403の抵抗値で近似することができるものとする。
【0050】
リモートセンス線L3が抵抗301の第2端子と抵抗401の第2端子との間で切断された状態では、ローカルセンス回路40は、可変抵抗器403のみの抵抗値を有するものとみなすことができる。そして、可変抵抗器403の抵抗値をR3とすると、可変抵抗器403の第2端子と可変抵抗器403の第3端子との間の電圧Vr3は、式(3)のように表される。
【0051】
【数3】
【0052】
ただし、式(3)におけるIbiasは、電源10の第3端子に流れ込むバイアス電流である。また、電圧Vdropは、抵抗501の抵抗値をR4とすると、式(4)のように表される。
【0053】
【数4】
【0054】
ただし、式(4)におけるIoutは、負荷20の第2端子に流れ込む電流である。ここで、抵抗401の第1端子と負荷20の第2端子との間の給電線L2および抵抗501に発生する電圧Vdropを補正するためには、電圧Vr3=電圧Vdropとする必要がある。よって、式(3)および式(4)から可変抵抗器403の抵抗値R3は、式(5)を満足するように設定されればよい。
【0055】
【数5】
【0056】
式(5)において、抵抗ΔR、抵抗R4、およびバイアス電流Ibiasのそれぞれは、一定である。そのため、電流Ioutに応じて可変抵抗器403の抵抗値R3を変化させることにより、電圧Vdropによる電圧Voutへの影響を補正する(打ち消す)ことができる。
【0057】
以上、本開示の第2実施形態による電源システム1について説明した。電源システム1は、上述のように、可変抵抗器403、抵抗501、および電流検出アンプ502を備える。負荷20に流れ込む電流Ioutに応じて、電圧Vr3=電圧Vdropとする可変抵抗器403の抵抗値R3を設定することにより、電圧Vdropによる電圧Voutへの影響を補正する(打ち消す)ことができる。
【0058】
図7は、本開示の実施形態による電源システム1の最小構成を示す図である。電源システム1は、図7に示すように、検出部101(第1検出手段の一例)、生成部102(生成手段の一例)、およびローカルセンス回路40(第2検出手段の一例)を備える。電源システム1は、接続先の電圧の検出に用いられる第1端子と、負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有する。
【0059】
検出部101は、前記接続先の電圧を検出する。生成部102は、前記検出部101により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成する。ローカルセンス回路40は、第1部分と第2部分との間に設けられる。前記第1部分は前記第1端子と前記接続先との間の第1配線の中間部分であり、前記第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、ローカルセンス回路40は、前記第1配線が切断されていない場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記接続先との間で前記第1配線が切断されている場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとする。
【0060】
図8は、本開示の実施形態による最小構成の電源システム1の処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成の電源システム1の処理について図8を参照して説明する。
【0061】
接続先の電圧の検出に用いられる第1端子と、負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有し、検出部101と、生成部102と、を備え、さらに、第1部分は前記第1端子と前記接続先との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は前記第2端子と前記負荷との間の第2配線の中間部分であり、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられるローカルセンス回路40を備える電源システム1において、前記検出部101は、前記接続先の電圧を検出する(ステップS21)。前記生成部102は、前記検出部101により検出された電圧が所望の電圧となるように、前記第2端子から出力される電圧を生成する(ステップS22)。前記ローカルセンス回路40は、前記第1配線が切断されていない場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、前記第1部分と前記接続先との間で前記第1配線が切断されている場合、前記第1部分と前記第2部分との間の抵抗値をゼロオームとする(ステップS23)。
【0062】
以上、本開示の実施形態による最小構成の電源システム1について説明した。この電源システム1により、リモートセンス線が切断された場合であっても、リモートセンス線が切断され前と同等の所望の電圧を負荷に印加させることができる。
【0063】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0064】
本開示の実施形態について説明したが、上述の電源システム1、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図9は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、図9に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の電源システム1、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0065】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0066】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0068】
1・・・電源システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・電源
20・・・負荷
30・・・検出回路
40、40a・・・ローカルセンス回路
50・・・検出装置
101・・・検出部
102・・・生成部
301、401、501・・・抵抗
302・・・増幅回路
303・・・電圧源
304・・・コンパレータ
402・・・スイッチ
403・・・可変抵抗器
502・・・電流検出アンプ
【要約】
【課題】リモートセンス線が切断された場合であっても、リモートセンス線が切断され前と同等の所望の電圧を負荷に印加させることができる電源システムを提供する。
【解決手段】接続先の電圧の検出に用いられる第1端子と、負荷に供給する電圧を出力する第2端子とを有する電源システムは、接続先の電圧を検出する第1検出手段と、第1検出手段により検出された電圧が所望の電圧となるように、第2端子から出力される電圧を生成する生成手段と、第1部分と第2部分との間に設けられる第2検出手段であって、第1部分は第1端子と接続先との間の第1配線の中間部分であり、第2部分は第2端子と荷との間の第2配線の中間部分であり、第1配線が切断されていない場合、第1部分と第2部分との間の抵抗値を第1抵抗値とし、第1部分と接続先との間で第1配線が切断されている場合、第1部分と第2部分との間の抵抗値をゼロオームとする第2検出手段と、を備える。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9