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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】糊付装置及び糊塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/02 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
B65B51/02 D
B65B51/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019012946
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020121728
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 涼太郎
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120967(JP,A)
【文献】特開平04-175151(JP,A)
【文献】特開平07-112706(JP,A)
【文献】特開平06-001305(JP,A)
【文献】特開2004-299712(JP,A)
【文献】実開平06-020207(JP,U)
【文献】特開2004-067107(JP,A)
【文献】特開平11-105812(JP,A)
【文献】特開2017-119339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00-70/99
B31C 1/00-99/00
B31D 1/00-99/00
B65B 7/00- 7/28
B65B 11/00-11/58
B65B 49/00-49/16
B65B 51/00-51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開放し天面パネルが起立した姿勢の箱体に対し、当該天面パネル及びまたはその天面パネルに隣接するフラップに対して糊付する糊付装置であって、
製品が収納された前記箱体が、前記天面パネルが進行方向前側或いは後側に位置した状態で一時停止するようにし、
前記起立した前記天面パネルを前記箱体の上方開放部位の外側に向けて倒す手段と、
倒された状態の前記天面パネルを下から支持可能な天面パネルガイドと、
その倒された状態の前記天面パネル及びまたは前記フラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段とを備え、
前記天面パネルガイドは、前記箱体の搬送路上に進退可能に構成され、
前記天面パネルが前記搬送路上に位置した状態で前記噴射手段による糊塗布処理を行い、前記天面パネルガイドが前記搬送路外に位置した状態では前記箱体が前記搬送路上を前進移動可能となるように構成することを特徴とする糊付装置。
【請求項2】
前記倒された前記天面パネルを、前記天面パネルガイド側に向けて付勢する抑え部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の糊付装置。
【請求項3】
前記噴射手段は、所定の軌跡で移動しその移動途中で下向きに前記糊を噴射するものであり、
前記噴射手段の移動方向の下流側に位置する前記抑え部材の下面は、前記噴射手段により糊が塗布される部位に接触しない形状にしたことを特徴とする請求項2に記載の糊付装置。
【請求項4】
前記天面パネルガイドとともに、前記搬送路上を進退可能に構成される糊の受け皿を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の糊付装置。
【請求項5】
前記天面パネルが進行方向前側の状態で搬送し一時停止するコンベア装置を備え、
前記搬送路の下流側に配置され、前記箱体の上方空間内を前記箱体に対して相対的に上流側に向けて移動する天面パネル反転部材を備え、
前記天面パネル反転部材は、倒された状態の前記天面パネルの下側の面に接触し、前記相対的な移動に伴い前記天面パネルの姿勢を反転させて前記箱体の上方開放を覆うように構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の糊付装置。
【請求項6】
前記天面パネル反転部材は、前記搬送路の搬送面の下方の位置と前記箱体の上方の位置の間を昇降するように構成したことを特徴とする請求項5に記載の糊付装置。
【請求項7】
前記天面パネルが進行方向後側の状態で搬送し一時停止するコンベア装置を備え、
前記搬送路の上流側に配置され、倒された状態の前記天面パネルの下側の面に接触し上昇移動して前記天面パネルを起立させる機構と、その起立した前記天面パネルの姿勢を反転させて前記箱体の上方開放を覆うようにする機構を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の糊付装置。
【請求項8】
上方開放し天面パネルが起立した姿勢の箱体に対し、当該天面パネル及びまたはその天面パネルに隣接するフラップに対して糊付する糊付装置であって、
製品が収納された前記箱体が、前記天面パネルが進行方向の左右いずれかに位置した状態で搬送する搬送コンベア装置と、
前記起立した前記天面パネルを前記箱体の上方開放部位の外側に向けて倒す手段と、
倒された状態の前記天面パネルを下から支持可能な天面パネルガイドと、
その倒された状態の前記天面パネル及びまたは前記フラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段とを備え、
前記搬送コンベア装置は、前記天面パネルが倒された姿勢のまま前記箱体を搬送する区間を有し、
前記天面パネルガイドは、前記搬送コンベア装置の搬送方向に沿って延設するように配置し、前記天面パネルが倒された姿勢のまま前記箱体が搬送される前記区間で、前記天面パネルを下支えするように構成したことを特徴とする糊付装置。
【請求項9】
上方開放し天面パネルが起立した姿勢の箱体に対し、当該天面パネル及びまたはその天面パネルに隣接するフラップに対して糊を塗布する糊塗布方法であって、
製品が収納された前記箱体が、前記天面パネルが進行方向前側或いは後側に位置した状態で一時停止するようにし、
倒された状態の前記天面パネルを下から支持可能な天面パネルガイドと、
その倒された状態の前記天面パネル及びまたは前記フラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段と、
前記噴射手段を装着したロボットアームを備え、
前記天面パネルガイドは、前記箱体の搬送路上に進退可能に構成され、
前記天面パネルが前記搬送路上に位置した状態で前記噴射手段による糊塗布処理を行い、前記天面パネルガイドが前記搬送路外に位置した状態では前記箱体が前記搬送路上を前進移動可能となるように構成する糊付装置を用い、
記ロボットアームによって前記天面パネルを前記箱体の上方開放部位の外側に向けて倒し、
前記ロボットアームに取り付けられた抑え部材と前記倒された前記天面パネルを接触させた状態で、前記天面パネル及びまたは前記フラップに前記糊を塗布することを特徴とする糊塗布方法。
【請求項10】
前記ロボットアームは前記天面パネルを前記箱体の搬送方向に対して直交する方向に倒す処理を行い、
前記箱体と同期して移動しながら前記糊を塗布することを特徴とする請求項9に記載の糊塗布方法。
【請求項11】
上方開放し天面パネルが起立した姿勢の箱体に対し、当該天面パネル及びまたはその天面パネルに隣接するフラップに対して糊を塗布する糊塗布方法であって、
製品が収納された前記箱体が、前記天面パネルが進行方向の左右いずれかに位置した状態で搬送する搬送コンベア装置と、
前記起立した前記天面パネルを前記箱体の上方開放部位の外側に向けて倒す手段と、
倒された状態の前記天面パネルを下から支持可能な天面パネルガイドと、
その倒された状態の前記天面パネル及びまたは前記フラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段とを備え、
前記搬送コンベア装置は、前記天面パネルが倒された姿勢のまま前記箱体を搬送する区間を有し、
前記天面パネルガイドは、前記搬送コンベア装置の搬送方向に沿って延設するように配置し、前記天面パネルが倒された姿勢のまま前記箱体が搬送される前記区間で、前記天面パネルを下支えするように構成する糊付装置を用い、
前記倒す手段により前記天面パネルを前記箱体の外側に向けて倒し、前記糊を噴射する噴射手段を前記箱体と同期して移動しながら前記糊を塗布することを特徴とする糊塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糊付装置及び糊塗布方法に関するもので、より具体的には、例えば包装システムに実装され、箱体の蓋を止めるための糊を塗布する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1等に開示されるように、展開状態のカートンブランクを用いて組み立てて製函するとともに、組み立てられて少なくとも一面が開放した箱内に製品を供給し、適宜のタイミングで糊付装置を用いて底部や蓋部を構成するフラップに対して糊付し、フラップ同士を接着固定して開放面を覆って包装箱を形成する包装装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-120967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば展開状体のカートンブランクを適宜折り曲げて組み立てていった場合、上部が開口した状態では、蓋部を構成する天面パネルが起立した状態になり、最終的にその天面パネルを折り曲げて上部の開口した部位を閉塞することになる。例えば、そのように天面パネルが起立した状態において、糊付装置から水平方向に糊を噴射し、天面パネル或いはその周縁に連続して形成されるフラップに糊を付着させるようにすると、糊が意図しない場所に飛び、例えば周辺を汚したり、箱内に収納された製品に付着したりするおそれがある。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の糊付装置は、(1)上方開放し天面パネルが起立した姿勢の箱体に対し、当該天面パネル及びまたはその天面パネルに隣接するフラップに対して糊付する糊付装置であって、製品が収納された前記箱体が、前記天面パネルが進行方向前側或いは後側に位置した状態で一時停止するようにし、前記起立した前記天面パネルを前記箱体の上方開放部位の外側に向けて倒す手段と、倒された状態の前記天面パネルを下から支持可能な天面パネルガイドと、その倒された状態の前記天面パネル及びまたは前記フラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段とを備え、前記天面パネルガイドは、前記箱体の搬送路上に進退可能に構成され、前記天面パネルが前記搬送路上に位置した状態で前記噴射手段による糊塗布処理を行い、前記天面パネルガイドが前記搬送路外に位置した状態では前記箱体が前記搬送路上を前進移動可能となるように構成した。
【0007】
本発明では、天面パネルを進行方向前側や後側のように箱体の外側に倒した状態で糊付するので、箱体内に収納された製品がない空間で糊付け処理が行われる。よって、噴射手段から噴射された糊が、多少周囲に散らばったとしても製品に付着することを可及的に抑制できる。また、このように天面パネルを折り返して進行方向前側や後側に倒した場合、折り返した際に水平位置よりも下方に垂れ下がると所望する位置に糊を塗布することができない場合があるが、本発明では天面パネルガイドにより天面パネルが下方から支えられ、必要以上に下方に垂れ下がることが抑止されるので、所望の位置に糊付ができる。さらにこの天面パネルガイドは、搬送路上に進退可能に配置するので、例えば糊付後は搬送路外に待避することができる。これにより、天面パネル及びまたはフラップに対して糊付された箱体は、天面パネルを前或いは後にした状態で前進移動することでき、搬送経路を直進など簡易にすることができる。
【0008】
(2)前記倒された前記天面パネルを、前記天面パネルガイド側に向けて付勢する抑え部材を備える。このようにすると、例えば腰がある部材で構成されていたとしても、天面パネルをしっかりと所望の姿勢にすることができ、所望の位置に糊付処理を行うことができる。
【0009】
(3)前記噴射手段は、所定の軌跡で移動しその移動途中で下向きに前記糊を噴射するものであり、前記噴射手段の移動方向の下流側に位置する前記抑え部材の下面は、前記噴射手段により糊が塗布される部位に接触しない形状にするとよい。このようにすると、噴射手段の移動に伴い、押さえ部材の糊の付着面との接触面に糊が付着せず、抑え部材が汚れないと共に塗布した糊を所望の状態のままに保持できるので良い。従来の糊付装置は糊を塗布するフラップ毎に噴射ガンを設けているが、ロボットアームによって噴射手段(実施形態では「噴射ガン」に対応)を移動させて糊を塗布することで、従来の糊付装置と比べて、噴射手段の設置個数を減少できる。このため、装置コストを削減できる。また、噴射手段のメンテナンス作業を低減できる。
【0010】
(4)前記天面パネルガイドとともに、前記搬送路上を進退可能に構成される糊の受け皿を備えるように構成すると良い。このようにすると、噴射された糊が予期せぬ方向に飛んだときにもその受け皿で受け取り、装置を汚さないで済む。
【0011】
(5)前記搬送路の下流側に配置され、前記箱体の上方空間内を前記箱体に対して相対的に上流側に向けて移動する天面パネル反転部材を備え、前記天面パネル反転部材は、倒された状態の前記天面パネルの下側の面に接触し、前記相対的な移動に伴い前記天面パネルの姿勢を反転させて前記箱体の上方開放を覆うように構成するとよい。このようにすると、進行方向前側に倒した天面パネルを反転させ、箱体に蓋をすることができる。
【0012】
(6)前記天面パネル反転部材は、前記搬送路の搬送面の下方の位置と前記箱体の上方の位置の間を昇降するように構成するとよい。このようにすると、より確実に天面パネルを起こすと共に反転させて、箱体の上方開放部位を覆うようには天面パネルを位置させ、蓋をすることができる。
【0013】
(7)前記天面パネルが進行方向後側の状態で搬送し一時停止するコンベア装置を備え、前記搬送路の上流側に配置され、倒された状態の前記天面パネルの下側の面に接触し上昇移動して前記天面パネルを起立させる機構と、その起立した前記天面パネルの姿勢を反転させて前記箱体の上方開放を覆うようにする機構を備えるとよい。このようにすると、進行方向後側に倒した天面パネルを反転させ、箱体に蓋をすることができる。天面パネルを起立させる機構と、箱体の上方開放を覆うようにする機構は、一体・一つの装置で構成してもよいし、別体で構成しても良いが、別体で構成すると簡単な構成で実現できるので良い。別体で構成する場合、例えば、実施形態のように噴射手段をロボットアームを用いて移動するように構成した場合には、当該ロボットアームに箱体の上方開放を覆うようにする機構を兼用すると良い。
【0014】
(8)上方開放し天面パネルが起立した姿勢の箱体に対し、当該天面パネル及びまたはその天面パネルに隣接するフラップに対して糊付する糊付装置であって、製品が収納された前記箱体が、前記天面パネルが進行方向の左右いずれかに位置した状態で搬送する搬送コンベア装置と、前記起立した前記天面パネルを前記箱体の上方開放部位の外側に向けて倒す手段と、倒された状態の前記天面パネルを下から支持可能な天面パネルガイドと、その倒された状態の前記天面パネル及びまたは前記フラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段とを備え、前記搬送コンベア装置は、前記天面パネルが倒された姿勢のまま前記箱体を搬送する区間を有し、前記天面パネルガイドは、前記搬送コンベア装置の搬送方向に沿って延設するように配置し、前記天面パネルが倒された姿勢のまま前記箱体が搬送される前記区間で、前記天面パネルを下支えするように構成するとよい。
【0015】
(9)上方開放し天面パネルが起立した姿勢の箱体に対し、当該天面パネル及びまたはその天面パネルに隣接するフラップに対して糊を塗布する糊塗布方法であって、製品が収納された前記箱体が、前記天面パネルが進行方向前側或いは後側に位置した状態で一時停止するようにし、倒された状態の前記天面パネルを下から支持可能な天面パネルガイドと、その倒された状態の前記天面パネル及びまたは前記フラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段と、前記噴射手段を装着したロボットアームを備え、前記天面パネルガイドは、前記箱体の搬送路上に進退可能に構成され、前記天面パネルが前記搬送路上に位置した状態で前記噴射手段による糊塗布処理を行い、前記天面パネルガイドが前記搬送路外に位置した状態では前記箱体が前記搬送路上を前進移動可能となるように構成する糊付装置を用い、記ロボットアームによって前記天面パネルを前記箱体の上方開放部位の外側に向けて倒し、前記ロボットアームに取り付けられた抑え部材と前記倒された前記天面パネルを接触させた状態で、前記天面パネル及びまたは前記フラップに前記糊を塗布するようにするとよい。
【0016】
(10)前記ロボットアームは前記天面パネルを前記箱体の搬送方向に対して直交する方向に倒す処理を行い、前記箱体と同期して移動しながら前記糊を塗布するようにするとよい。
【0017】
(11)上方開放し天面パネルが起立した姿勢の箱体に対し、当該天面パネル及びまたはその天面パネルに隣接するフラップに対して糊を塗布する糊塗布方法であって、製品が収納された前記箱体が、前記天面パネルが進行方向の左右いずれかに位置した状態で搬送する搬送コンベア装置と、前記起立した前記天面パネルを前記箱体の上方開放部位の外側に向けて倒す手段と、倒された状態の前記天面パネルを下から支持可能な天面パネルガイドと、その倒された状態の前記天面パネル及びまたは前記フラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段とを備え、前記搬送コンベア装置は、前記天面パネルが倒された姿勢のまま前記箱体を搬送する区間を有し、前記天面パネルガイドは、前記搬送コンベア装置の搬送方向に沿って延設するように配置し、前記天面パネルが倒された姿勢のまま前記箱体が搬送される前記区間で、前記天面パネルを下支えするように構成する糊付装置を用い、前記倒す手段により前記天面パネルを前記箱体の外側に向けて倒し、前記糊を噴射する噴射手段を前記箱体と同期して移動しながら前記糊を塗布するようにすると良い。天面パネルを倒す手段は、例えば実施形態のようにロボットアームとしてもよいが、その他に、ガイド、または別途装置で折り曲げてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、箱体内に収納した製品に誤って糊を付着することなく、天面パネル及びまたはそれに繋がるフラップの所望の位置に糊付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る糊付装置が実装させる包装システムにおけるカートンブランクの組み立て工程の一例を示す図である。
図2】(a)は本発明に係る糊付装置の好適な一実施形態を示す平面図(その1)であり、(b)はその斜視図である。
図3】(a)は本発明に係る糊付装置の好適な一実施形態を示す平面図(その2)であり、(b)はその斜視図である。
図4】(a)は本発明に係る糊付装置の好適な一実施形態を示す平面図(その3)であり、(b)はその斜視図である。
図5】(a)は本発明に係る糊付装置の好適な一実施形態を示す平面図(その4)であり、(b)はその斜視図である。
図6】(a)は本発明に係る糊付装置の好適な一実施形態を示す平面図(その5)であり、(b)はその斜視図である。
図7】(a)は本発明に係る糊付装置の好適な一実施形態を示す平面図(その6)であり、(b)はその斜視図である。
図8】変形例を示す図である。
図9】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0021】
図1は、本実施形態の糊付装置が実装される包装システムにおける包装箱の組み立て並びに製品を収納する工程図の一例を示している。同図に示すように、本実施形態の糊付け対象となる展開状態のカートンブランク1は、縦一列に連続して天面パネル2、後面パネル3、底面パネル4、前面パネル5が配置し、各パネルの両サイドには側壁用フラップ2a,3a,4a,5aを連続して配置し、さらに、天面パネル2の後面パネル3との接続辺の対辺に蓋止め用フラップ2bを連続して配置するレイアウトとしている。
【0022】
包装システムでは、このようなカートンブランク1を複数枚積層してストックし、一枚ずつ順に取り出し、処理を行う。図1中、工程aは、そのようにして取り出したカートンブランク1を搬送コンベア上においた状態を示している。この状態では、展開されたカートンブランク1は、水平平面内に広がった姿勢をとる。
【0023】
この状態から搬送路上を前進し移動しながら、後面パネル3、または前面パネル5の所定位置に糊を塗布し、製函機にて底面パネル4に隣接する後面パネル3、前面パネル5を起立させると共に、それら各パネルに隣接する側壁用フラップ3a,4a,5aを適宜の方向に折り曲げ、上方開放した箱体7を製函する(工程b)。この状態では、後面パネル3に隣接する天面パネル2は、後面パネル3とともに垂直方向に起立した姿勢となる。
【0024】
次いで、所定の搬送ラインに沿って搬送し(工程c)、下流に向けて搬送途中に搬送姿勢を水平平面内で180度回転し、天面パネル2が進行方向前方に位置する姿勢に変換する(工程d)。天面パネル2が進行方向前方を向いた姿勢のまま搬送し、製品供給位置に至ると上方開放した箱体7内に製品8を供給する(工程e)。
【0025】
製品8が供給された箱体7をさらに搬送し、糊付装置が配置された糊付位置に至ると、天面パネル2を後面パネル3との接続辺の部分を進行方向前側に折り曲げ、その天面パネル2及び側壁用フラップ2a並びに蓋止め用フラップ2bがほぼ水平になる姿勢に変位させ、その状態で天面パネル2に隣接する側壁用フラップ2a及び蓋止め用フラップ2bに糊9を塗布する(工程f)。次いで、天面パネル2を箱体7の上方開放部を塞ぐように変位させるとともに、糊付された側壁用フラップ2a及び蓋止め用フラップ2bを用いて箱体7を封止する。これにより、製品8を収納した箱体7が完成する。工程fの糊付作業を行う糊付装置は、例えば以下のように構成すると良い。
【0026】
図2から図7に示すように、糊付装置10は、上方開放した状態で製品が収納された箱体7を搬送する搬送コンベア装置11の搬送ライン上の所定位置に配置される。搬送コンベア装置11は、ベルトコンベア装置であり、搬送面を構成するエンドレスベルト12の上方の搬送方向の左右両側にサイドガイド板13を備える。搬送ラインの所定位置には、箱体7の搬送を一時停止するストッパー機構を備える。このストッパー機構は、左右一対のストッパー板15と、そのストッパー板15を箱体7の搬送方向に対して直交する方向に前後進移動させるシリンダー16を備える。ストッパー板15は、このシリンダー16の往復動作により搬送路外の待機位置と、搬送面上に突出する動作位置との間を進退可能に変位する。また、本実施形態のストッパー板15は、垂直方向に延びるように配置した帯板からなり、シリンダー16のシリンダロッドの先端に連結した連結プレート17に固定している。2枚のストッパー板15は、連結プレート17を介して取り付けられた状態では、搬送方向に直交する同一垂直平面上に位置する。そして、ストッパー板15が動作位置にあると、搬送されてきる箱体7の後面パネル3に面接触する。これにより、ベルトコンベアからの搬送力を受け移動してきた箱体7は、その位置で一時停止する。
【0027】
後述するように、このシリンダー16等は、糊付装置10の構成要素も兼用しているが、兼用することなくそれぞれを別の機構で構成しても良い。但し、本実施形態のように兼用することで装置構成や制御の簡略化が図れるので良い。
【0028】
糊付装置10は、進行方向前側で起立している箱体7の天面パネル2を、進行方向前側に倒すと共に、その倒した状態で抑える抑え部材20と、その抑え部材20で倒れた天面パネル2が必要以上に倒れないように下から支持可能な天面パネルガイド21と、抑え部材20によって倒れた状態が維持されている天面パネル2及びまたはその天面パネル2に隣接する側壁用フラップ2a・蓋止め用フラップ2bの所定箇所に糊を塗布する噴射ガン22と、その噴射ガン22から噴射された糊のうち天面パネル2、側壁用フラップ2a並びに蓋止め用フラップ2bに塗布されずに周囲に飛散した糊を受ける受け皿24等を備える。
【0029】
抑え部材20と噴射ガン22は、多関節ロボットのロボットアーム25の先端の取付ベース26に取り付けられる。ロボットアーム25は、その先端部位が三次元空間内を任意の軌跡で移動可能に構成されており、ロボット本体からの制御によりロボットアーム25の先端は、所望の軌跡で移動し、それに伴い抑え部材20と噴射ガン22も一体になって移動する。
【0030】
噴射ガン22は、接続されるチューブ27を介して糊の供給を受け、当該糊を噴射する。本形態では、噴射ガン22の噴射口は、取付ベース26に噴射ガン22を固定した状態で、その取付ベース26への接続面と反対側の面を向くように設定されている。そして、ロボットアーム25は、少なくとも取付ベース26が連結される先端側の部分が垂直に起立した姿勢でその先端を下向きの状態を維持しながら当該ロボットアーム25を三次元空間内で移動する。これにより、噴射ガン22は、その噴射口が常時下を向いた状態のまま変位することになり、噴射ガン22から噴射される糊は、下方に向けて噴射される。
【0031】
抑え部材20は、噴射ガン22の周囲に配置される。より具体的には、搬送コンベア装置11における箱体7の搬送方向の前方側に位置する第一抑え部材31と、当該搬送方向の後方側に位置する第二抑え部材32を備える。第一抑え部材31と第二抑え部材32は、共に矩形状に形成されており、取付ベース26に固定された状態でその下面(取付側と反対側)が、天面パネル2や側壁用フラップ2aや蓋止め用フラップ2b等に接触し、押し下げ可能な面となる。第一抑え部材31と第二抑え部材32は、当該搬送方向に対して直交する方向に延びるように配置される。
【0032】
第一抑え部材31と第二抑え部材32は、ロボットアーム25の移動に伴い噴射ガン22と一体になって移動する。よって、例えば第一抑え部材31,第二抑え部材32が噴射ガン22の移動方向の下流側に位置すると、噴射ガン22から噴射され塗布された糊の上を当該下流側に位置する第一抑え部材31或いは第二抑え部材32の下面が接触しながら通過し、糊を不必要に伸ばしたり、当該下面が汚れたりする事態を生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、噴射ガン22の移動方向の下流側に位置する第一抑え部材31及びまたは第二抑え部材32の下面は、天面パネル2、側壁用フラップ2a並びに蓋止め用フラップ2bに塗布された糊に対向する部位が、天面パネル2や側壁用フラップ2aや蓋止め用フラップ2b等に接触しないような構成とする。
【0033】
具体的には本形態では、噴射ガン22等の移動方向を、少なくとも糊を噴射する際は搬送コンベア装置11における搬送方向に対し平行或いは直交する方向にする。これにより、第一抑え部材31と第二抑え部材32は、当該搬送方向に沿って噴射ガン22の前後に配置されることになり、噴射ガン22の当該搬送方向に対して直交する方向には第一抑え部材31と第二抑え部材32はもとより、他の部材も配置していないので、噴射ガン22が当該直交する方向に移動する場合には噴射ガン22から塗布された糊が第一抑え部材31と第二抑え部材32の下面等に付着することはない。
【0034】
そして、第一抑え部材31と第二抑え部材32の下面は、噴射ガン22の噴射口を通り、当該搬送方向と平行な仮想線上に位置する領域部分で、天面パネル2や側壁用フラップ2aや蓋止め用フラップ2b等に接触しないような構成とする。接触しないような構成は、例えば、当該下面に、当該仮想線上に延びるように所定幅の凹溝を形成しても良いが、本形態のように当該領域部分に抑え部材を配置しない構成とすると良い。すなわち、第一抑え部材31は、2分割された2つのブロック31aからなり、その2つのブロック31aを搬送方向に直交する方向に沿って配置し、当該搬送方向と平行な仮想線上に位置する領域部分にはブロック31aを配置しないレイアウトとすると良い。同様に第二抑え部材31は、2分割された2つのブロック32aからなり、その2つのブロック32aを搬送方向に直交する方向に沿って配置し、当該搬送方向と平行な仮想線上に位置する領域部分にはブロック32aを配置しないレイアウトとすると良い。
【0035】
このようにすると、噴射ガン22,第一抑え部材31,第二抑え部材32が、搬送コンベア装置11における搬送方向に対して平行な方向に移動しながら噴射ガン22から糊を噴射した場合、何れの方向に移動して塗布された糊の部分は2つのブロック31aの間或いは2つのブロック32aの間の領域となり、第一抑え部材31と第二抑え部材32の下面に塗布された糊が再付着することはない。
【0036】
本実施形態では、ロボットアーム25を所定の軌跡で移動させ、搬送コンベア装置11における搬送方向前方側に配置される第一抑え部材31が、起立した天面パネル2に接触した状態のまま、搬送コンベア装置11の搬送方向に沿って下流側に移動する。これにより、起立した天面パネル2は第一抑え部材31から下流側への付勢力を受ける。一方、箱体7の本体部分はストッパー板15にて一時停止しているので、天面パネル2は、後面パネル3との接続部分が折れて進行方向前側に折れ曲がるようにして倒れ、上から見た平面視で箱体7の上方開放した本体の外側に変位する。また、ロボットアーム25は、例えば搬送コンベア装置11の下流側に移動しつつ下降することで天面パネル2の折れ曲がる角度を大きくし、天面パネル2を水平或いは水平に近い状態に変位させる。
【0037】
天面パネルガイド21は、設置状態で水平方向に延びる帯板からなる。本実施形態では、ストッパー板15と一体に形成する。より具体的には、一枚の帯板状の金属プレートを略90度に折り曲げて形成する。これにより、天面パネルガイド21は、シリンダー16の往復動作に伴い、搬送路外の待機位置と、搬送面上に突出する動作位置との間を進退可能に変位する。天面パネルガイド21が待機位置にいる状態では、搬送コンベア装置11上を搬送される箱体7の搬送を許容する。
【0038】
さらに折り曲げられたストッパー板15と天面パネルガイド21との境界部位は、箱体7の後面パネル3と天面パネル2の接続部分近傍の高さに位置するように設定する。これにより、ストッパー板15の上端位置は、後面パネル3と天面パネル2との接続部分に至るので、上述したように第一抑え部材31にて天面パネル2が進行方向前方側に付勢された際に、当該接続部分から折り曲げられやすくなる。
【0039】
そして、その接続部分を起点に折り曲げられた天面パネル2は、例えば90度折り曲げられると接続部分側から天面パネルガイド21に接触して支持され、それ以上大きく開き下方傾斜状になることが抑止される。
【0040】
さらに、左右一対の受け皿24は、それぞれシリンダー16のシリンダロッドに取り付けた連結プレート17に取り付けられており、天面パネルガイド21と一体になって移動する。すなわち、受け皿24が搬送路外の待機位置にいる状態では、搬送コンベア装置11上を搬送される箱体7の搬送を許容する。
【0041】
受け皿24は、平面略L字状で、外周縁に沿って上方に向けて起立する周壁24aが形成された形状となる。動作位置にある受け皿24は、側壁用フラップ2a並びに蓋止め用フラップ2b並びにそれに繋がる天面パネル2の外周縁付近の下側に位置し、上から見た平面視の状態でそれら側壁用フラップ2a並びに蓋止め用フラップ2bの外周よりも外側に突出するように構成する(図3等参照)。
【0042】
動作位置にある左右一対の受け皿24の蓋止め用フラップ2bの下方に位置する部位の先端同士が近接し、全体で略コ字状に形成される(図3等参照)。そして、各受け皿24は、それぞれ一方の側壁用フラップ2aと、蓋止め用フラップ2bの一部の下方に位置し、それらフラップの外側にはみ出て噴射された糊を受ける。
【0043】
一方、待機位置にある受け皿24は、搬送コンベア装置11の中央に向かって延びる先端位置(動作位置で互いに近接する先端同士)が搬送路外に位置し、上述したように搬送コンベア装置11上を搬送される箱体7の搬送を許容する(図6等参照)。
【0044】
また一時停止している箱体7より下流側の所定位置に、天面パネル反転部材35を昇降可能に配置する。天面パネル反転部材35は、本実施形態では棒状体であり、搬送コンベア装置11の搬送面を左右に横切るように配置する。天面パネル反転部材35が支持される支持軸35aの両端は、搬送コンベア装置11の左右両外側に昇降可能に配置される一対の支持プレート36に支持される。この支持プレート36は、所定の駆動装置の動力を受けて昇降し、それに伴い天面パネル反転部材35も昇降移動する。より具体的には、天面パネル反転部材35は、搬送コンベア装置11の搬送面よりも下方に位置する下降位置と、箱体7の上面よりも上方に位置する上方位置の間を昇降移動する。
【0045】
また、天面パネル反転部材35は、搬送路を横切る方向に延びる回転軸を中心に自転可能に配置される。この自転する構成は、例えば、天面パネル反転部材35が支持軸35aに対して回転自在に支持されるようにしてもよいし、支持軸35aを支持プレート36に対して軸受け支持させ、支持軸35aと共に天面パネル反転部材35が回転するようにしてもよい。
【0046】
この天面パネル反転部材35は、上昇移動することで進行方向前方側に折り曲げられて倒れた天面パネル2の下側から接触し、その天面パネル2を起立させる機能と、箱体7の上面よりも上方の上昇位置において相対的に箱体7の上方空間を上流側に移動することで起立させた天面パネル2をさらに反転させて箱体7の上方開放部位を覆う機能を備える。上記の上流に向けての相対移動は、天面パネル反転部材35自体が移動するようにしてもよいが、本実施形態のように、搬送コンベア装置11による搬送力を受けて箱体7が下流側に向けて移動することを利用するように構成すると良い。このように構成すると、天面パネル反転部材35は昇降させる機構を備えるだけで良く、構成並びに制御が簡易となるので良い。
【0047】
上述した構成の糊付装置10は、例えば以下のように動作して糊付処理をする。まず、上述したように、搬送コンベア装置11上では、上方開放し天面パネル2が起立した姿勢の箱体7を、当該天面パネル2が前側に位置する状態で搬送する。この上方開放した箱体7が糊付装置10が設置された糊付処理エリアに至る前の所定のタイミングでシリンダー16を動作させ、ストッパー板15、天面パネルガイド21並びに受け皿24を動作位置に位置させた状態で、搬送コンベア装置11上を搬送されてくる箱体7を待つ。また、ロボットアーム25を搬送コンベア装置11の外側に移動させ、噴射ガン22並びに第一抑え部材31と第二抑え部材32は搬送路外で待機する。
【0048】
これにより、箱体7は搬送コンベア装置11上を移動し、箱体7の後面パネル3がストッパー板15に接触すると、搬送コンベア装置11のベルトコンベアの動作の如何に関わらず、箱体7は一時停止する(図2参照)。
【0049】
次いで、ロボットアーム25を所定の軌跡で移動させ、抑え部材20の第一抑え部材31を、天面パネル2に上流側より接触させるとともに、その接触した状態のまま搬送方向下流側の領域を適宜の軌跡で移動させる。これにより、天面パネル2は、後面パネル3との接続部分を境に折り曲げ、進行方向前方側に倒れる(図3図4参照)。また、天面パネル2を倒した後は、第一抑え部材31と第二抑え部材32の少なくとも一方が天面パネル2に接触し、下方に向けて付勢するようにすることで、天面パネル2が倒れた状態を保持する。
【0050】
本形態では、例えば天面パネル2の外周に沿って移動させ、天面パネル2を全体的に綺麗に折り曲げる。適宜の軌跡は、例えば、噴射ガン22の噴射口が天面パネル2の外周縁に沿って平面略コ字状に移動すると抑え部材20の第一抑え部材31及びまたは第二抑え部材32が、天面パネル2の周縁や側壁用フラップ2a並びに蓋止め用フラップ2bに接触しながら移動することで折り曲げる。これにより、天面パネル2は、箱体7の本体の外側で略水平な姿勢となる。
【0051】
次いで、ロボットアーム25を所定の軌跡で移動させ、噴射ガン22の噴射口から糊を噴射しつつ、糊付け対象の上方を移動する。本形態では、例えば図4の状態から近接する一方の側壁用フラップ2aの上を下流側に向かって移動し、次いで、蓋止め用フラップ2bの上を搬送方向に対して直交する方向に移動し、さらに他方の側壁用フラップ2aの上を上流側に向かって移動する。各フラップの上を移動中、所定の区間において糊を噴射する。このようにして、本形態では、左右一対の側壁用フラップ2aと、蓋止め用フラップ2bに、糊9を付着する(図1(工程f)参照)。
【0052】
このようにして糊付が完了したら、ロボットアーム25が噴射ガン22並びに第一抑え部材31と第二抑え部材32を搬送路外の待機位置にくるように移動する(図5参照)。さらに、シリンダー16の動作によりストッパー板15,天面パネルガイド21並びに受け皿24を搬送路外の待機位置に移動するとともに、天面パネル反転部材35を上昇移動させる (図6等参照)。この上昇移動に伴い、天面パネル反転部材35が天面パネル2に接触し上方に持ち上げることにより、天面パネル2はその先端側が上昇して起立する。また、天面パネル反転部材35は、箱体7の上面よりも上方に位置する。
【0053】
この状態では、ストッパー板15が搬送路外に位置するため、箱体7の一時停止が解除され、さらに天面パネルガイド21並びに受け皿24も搬送路外に位置するため、箱体7の進路を遮るものがないので、箱体7は搬送コンベア装置11による搬送力を受けて下流側に移動する。さらに天面パネル反転部材35は、箱体7の上方に位置しているため、箱体7はその天面パネル反転部材35の下を通過して下流側に搬送される。この通過の際に、天面パネル2は上流側に向けて反転し箱体7の上方開放部位を覆う姿勢に変位する(図7参照)。このようにして、側壁用フラップ2a並びに蓋止め用フラップ2bに塗布された糊は、図7に示す状態では各フラップの下を向いた面の所定位置に糊付けされた状態となり、係る姿勢のまま下流側に搬出される。
【0054】
以後、図示省略する装置にて各側壁用フラップ2a並びに蓋止め用フラップ2bが折り畳まれて対向するパネルやフラップに接着固定され、製品が収納された箱体7が封止される。
【0055】
上述したように、本実施形態では、天面パネル2を進行方向前方側に倒した状態で糊付するので、箱体7内に収納された製品が存在しない空間で糊が打たれる。よって、噴射ガン22から噴射された糊が、多少周囲に散らばったとしても製品に付着することを可及的に抑制できる。さらに本形態では、受け皿24を備えているため、糊が予期せぬ方向に飛んだときにもその糊を受け皿24で受け取り、搬送コンベア装置11のエンドレスベルト等を汚さないで済む。
【0056】
上述した実施形態では、受け皿24は、フラップの外周よりも広く外に飛び出ているとともに、フラップの下面から離れて下方に位置しているが、接触していても良い。また、受け皿24は必ずしも無くても良いが、実施形態等のように設けると、周囲に飛散する糊により装置等が汚れることを抑制できるので良い。
【0057】
上述した実施形態では、糊付けは2つの側壁用フラップ2a並びに1つの蓋止め用フラップ2bに対して行ったが、例えば蓋止め用フラップ2bの複数のフラップに対してのみに行うようにしたり、フラップに対して行うのではなく、或いはそれに加えて天面パネル2に対して行う構成としたりしても良い。
【0058】
上述した実施形態では、天面パネル反転部材35は、昇降移動するようにしたが、例えば、天面パネルガイドより下流側の所定高さに配管される固定式のものとしてもよい。但し、実施形態のように昇降可能にすると、例えば、天面パネル2が水平や多少下方傾斜状の姿勢になっていても、それを起立させることができるので良い。一方、例えば箱体7を構成する段ボール等に腰があり、抑え部材20による押さえがなくなると天面パネルの先端側が持ち上がり斜め上方傾斜状に復帰するようなものの場合、天面パネル反転部材を固定設置したものでも対応でき、簡易な構成となるので良い。
【0059】
天面パネルガイド21は、抑え部材20との間で天面パネル2等を上下から接触し挟み込んだ状態で糊塗布を行うようにしてもよいし、例えば、腰(反発)の強い箱の場合には、糊塗布時に天面パネル2を天面パネルガイド21に押し当てずに、天面パネルガイド21側に付勢するようにして糊塗布をするようにしてもよい。
【0060】
上述した実施形態では、天面パネルガイドは倒れた天面パネルに接触し支持するようにし、フラップを支持するようにしていないが、フラップを支持するようにするとより好ましい。
【0061】
上述した実施形態では、噴射ガン22等は多関節ロボットのロボットアームに取り付けるようにしたが、噴射ガン22が所定の軌跡で移動できるものであれば各種の駆動装置を用いて構成できる。
【0062】
上述した実施形態では、天面パネル反転部材35は自転し、天面パネル2との間の接触抵抗を少なくし、スムーズに相対移動するようにしたが、自転しない構成としても良い。但し自転するようにした方が天面パネル2に与えるストレスが少ないので好ましい。
【0063】
上述した実施形態では、搬送コンベア装置11はエンドレスベルトを有するベルトコンベアを用いた例を示したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、バケットコンベアとしてもよい。係る構成にすると、箱体7は、搬送方向の位置がバケットにより、位置決めされた状態で搬送されるため、別途の箱体7の搬送を一時停止するためのストッパー板15等のストッパー機構を設けることなく所望位置に停止することができる。
【0064】
また、上述した実施形態等では、天面パネル2を進行方向前側に位置させた状態で搬送し、前方に倒すようにしたが、本発明はこれに限ることはなく進行方向後側に位置させた状態で搬送し、所定位置で後側に倒すようにしてもよい。そして、このように天面パネル2を進行方向後側に倒す構成にし、搬送コンベア装置11をバケットコンベアとした場合、例えば待機位置における天面パネル反転部材35の下端部は、バケットコンベアのバケット高さよりも高く設定され、天面パネル反転部材35の上端部は、略箱の高さに設定されると良い。
【0065】
また、断面形状が、例えば、半丸、四角形、または三角形状とした天面パネル反転部材35の角部を、後面パネル3と天面パネル2との接続部分に、当接または近接させるとよい。また、天面パネル2の倒す方向は、搬送方向と直交する方向に倒してもよい。
【0066】
さらにまた、上述した実施形態等では、抑え部材20は箱体7の搬送方向に対する第一抑え部材31と第二抑え部材32の位置関係は替えることなく各フラップ2a,2bに対して糊付を行うようにしたが、例えば図8に示すように、抑え部材20の向きを天面パネル2のコーナー部で90度回転させるようにしてもよい。この場合、例えば、抑え部材20を噴射ガン22の移動方向の前側に位置させると、その形状は単純な矩形状などシンプルな構造にすると良い。また、係る場合、噴射ガン22の向きも変わるので、噴射ガン22に糊を供給するホースの連結部分が回転自在なものとするとよい。このようにすると、抑え部材20は、少なくとも糊塗布開始から終了するまでの間、常に天面パネル2に当接していればよく、各フラップに対して糊を塗布する際に噴射ガン22を所定の角度で回転させて糊を塗布する。また、抑え部材20がシンプルな構造となることも相まって、ハンド部を軽量化できるとともに、ハンド部の向きを所定の向きを維持して噴射ガン22を移動させて糊を塗布する糊付装置に比べて、ハンド部の移動経路・距離を短くすることができるため、ハンド部の動作を遅くできる。
【0067】
さらに、係る構成では、例えば、図8(a)に示すように、連結部材28を用いて受け皿24を取付ベース26に取り付けて、噴射ガン22とともに移動するようにするとよい。この場合、受け皿24と取付ベース26とを連結する連結部材28は、天面パネル2に連続して配置される各フラップの外側を通過する。
【0068】
さらにまた、糊の噴射は、線(ライン)状、点線状、点状、波状など各種のパターンで糊を塗布してもよく、さらに複数列に糊を塗布するようにしも良い。反発(腰)の強い箱の場合、天面パネルガイドはなくてもよい。また、受け皿を設けない場合、または受け皿の下流側に配置する場合には、天面パネル反転部材35は、箱体7の高さよりも高い、所定位置に固定したものであってもよい。
【0069】
また箱体7に応じて、天面パネル反転部材35の上昇位置を変更するようにするとよい。さらにまた天面パネル反転部材35によって天面パネル2の反転を失敗した場合に備え、フラップに糊塗布した後、ロボットアームを天面パネル2の反転を補助する動作(例えば、天面パネル2を払いのけるような動作)をする機能を備えると良い。この場合、噴射ガン22近傍の垂直面に天面パネル2と当接する部分に押し部材を設けるとよい。
【0070】
天面パネルガイド21は、複数のベルトを並列に配置して構成される搬送コンベア装置のベルト間から突き出して天面パネル2を下支えし、箱体7の底部よりも下方を待機位置とした昇降式のものでもよい。
【0071】
また、搬送コンベア装置11は、搬送面から突出する爪が所定ピッチで複数取り付けられた複数のコンベアを並列に配置される搬送コンベア装置(バケットコンベア)としてもよい。このようにすると、前後に配置された異なるコンベアの爪でバケットを構成し、前記爪の搬送方向の間隔を変更することで、サイズの異なる箱体7を搬送する。
【0072】
受け皿を設けない場合、または受け皿の下流側に天面パネル反転部材35を配置する場合には、天面パネル反転部材35は、箱体7の高さよりも高い、所定位置に固定したものであってもよい。
【0073】
また例えば、天面パネル2を搬送方向前側に倒した場合、ロボットアームのハンド部に吸着手段を設けてもよい。この吸着手段によって略水平状態の天面パネル2を吸着し、ロボットアームを移動することにより天面パネル2を略起立状態または90度よりも大きい角度を反転した後、所定高さに配置された固定の天面パネル反転部材35によって、天面パネル2を略水平状態に反転するようにしてもよい。
【0074】
天面パネル2を搬送方向後側に倒した場合、例えば、昇降式の天面パネルガイド21によって、天面パネル2を水平状態から起こした後、ロボットアームのハンド部の押し部材を天面パネル2に押し当てて、天面パネル2を反転するようにしてもよい。この場合、天面パネル2は略起立状態まで起こす必要はない。
【0075】
上述した各実施形態並びに変形例等では、天面パネルが進行方向の前側或いは後側に位置した姿勢で搬送するタイプについて説明したが、本発明はそれに限ることは無く、例えば天面パネル2が、製品8を収納した箱体7の進行方向の左右いずれかに位置した状態で箱体7を搬送するタイプに適用しても良い。係るタイプの場合、例えば図9に示すように、搬送コンベア装置11上の上方開放し天面パネル2が起立した姿勢の箱体7は、天面パネル2が搬送方向の左右のいずれか(図では左側)に位置した姿勢で搬送される。搬送コンベア装置11は、この例でバケットコンベアである。搬送コンベア装置11の搬送方向左側(天面パネル2が配置される側)の外側には、搬送方向に沿って延びるように天面パネルガイド21を延設する。また、天面パネルガイド21の設置領域の所定位置には、図示省略する天面パネル倒し装置を配置する。この天面パネル倒し装置は、起立した天面パネル2を箱体7の上方開放部位の外側に向けて倒すもので、倒された状態の天面パネル2は、天面パネルガイド21によって下から支持可能となる。そして、天面パネルガイド21は、搬送方向に沿って延びるように延設しているので、例えば天面パネル2が倒れた状態で搬送コンベア装置11により箱体7を搬送した場合、その搬送中、天面パネル2は天面パネルガイド21に下支えされた状態を維持する。そこで本形態では、天面パネル2が倒された姿勢のまま箱体7を搬送し、その搬送中に天面パネル及びまたはフラップに対し糊を噴射して塗布する噴射手段を備える。本形態では、側壁用フラップ2a,蓋止め用フラップ2bに糊9を塗布する。これにより、箱体7を移動しながら糊付処理ができるので、作業効率・生産性が向上する。
【0076】
以上、本発明の様々な側面を実施形態等を用いて説明してきたが、これらの実施形態等や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0077】
1 :カートンブランク
2 :天面パネル
2a :側壁用フラップ
2b :蓋止め用フラップ
3 :後面パネル
3a :側壁用フラップ
4 :底面パネル
4a :側壁用フラップ
5 :前面パネル
5a :側壁用フラップ
7 :箱体
8 :製品
9 :糊
10 :糊付装置
11 :搬送コンベア装置
20 :抑え部材
21 :天面パネルガイド
22 :噴射ガン
24 :受け皿
25 :ロボットアーム
31 :第一抑え部材
32 :第二抑え部材
35 :天面パネル反転部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9