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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】遊技機の操作装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
A63F7/02 308G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019034452
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2020137673
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】500077959
【氏名又は名称】株式会社MRD
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 伸二
【審査官】阿部 知
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-149781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材に対して、回動中心部を中心に回動操作可能に配置された回動リングと、
前記ベース部材に配置され、前記回動リングの回動操作を受けて回動する従動軸部を有する従動部材と、
前記回動リングの前記回動中心部と前記従動部材の前記従動軸部とに係合する係合部材と、を備え、
前記係合部材における、前記回動中心部との係合部位には、前記係合部材の径方向の外方に延出されて、前記回動リングの回動操作を前記係合部材に伝達するための延出部が形成されており、
前記延出部における、前記係合部材の周方向の両側に位置する側面は、前記係合部材の径方向から見て前記係合部材の周方向に凸状に膨らむ曲面として形成されており、
前記延出部は、前記係合部材における径方向の両側に突出して一対に形成されており、
前記回動リングと前記係合部材との間には、前記回動リングを前記係合部材の前記延出部の形成方向に沿って位置ずれ可能にする隙間と、前記回動リングを前記延出部の形成方向に対して傾倒可能にする隙間とが形成されている、遊技機の操作装置。
【請求項2】
前記従動部材は、回動式の可変抵抗器であり、
前記従動軸部は、前記従動軸部の周方向の一部に面取り平面が形成された軸形状を有しており、
前記係合部材における、前記従動軸部との係合部位には、前記従動軸部が挿入された筒形状部が形成されており、
前記筒形状部の内側面と前記従動軸部との間には、前記係合部材を前記面取り平面に平行な方向であって前記延出部の形成方向に直交する方向に位置ずれ可能にする隙間が形成されている、請求項1に記載の遊技機の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材に対して回動リングが回動操作可能な遊技機の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機においては、遊技者の操作によって遊技領域へ遊技球を発射させるための操作ハンドルの他、遊技者によって操作される種々の操作装置が用いられる。操作ハンドルにおいては、ベース部材に対して回動リングが回動操作可能に配置されており、遊技者によって回動リングが回動されたときに、球発射装置から遊技領域へ遊技球が発射される。
【0003】
ベース部材内には、遊技者による回動リングの操作を受けて回動して、回動リングの回動量を検出するボリューム(可変抵抗器)が配置されている。また、ベース部材と回動リングとの間には、回動リングを回動操作することを可能にするための小さな間隙が形成されている。そして、この隙間が形成されることによって、回動リングは、ベース部材に対して若干傾けることが可能となる。そのため、回動リングを傾けたときにボリュームに無理な負荷が加わらないようにするための工夫がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1の回転軸の接続構造及びジョイント部材においては、回動リングに相当するハンドルレバーの主動側回転軸とボリュームの従動側回転軸との間に、両者に係合するジョイント部材を配置している。そして、ジョイント部材に対してハンドルレバーを若干傾けることができ、ボリュームに対してジョイント部材を若干傾けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-064239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遊技者による回動リングの操作の仕方は、遊技者ごとに異なり、回動リングとベース部材との間隙にコイン等を入れて、回動リングをこじる場合もある。このとき、回動リングをこじる操作による負荷が、ジョイント部材を介してボリュームに伝達される場合も想定される。そのため、回動リングとジョイント部材との係合の仕方、及びジョイント部材とボリュームとの係合の仕方には、更なる改善の余地が残る。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、回動リングの回動操作性を良好に維持しつつ、回動リングから従動部材の従動軸部に不要な負荷が伝達されないようにすることができる遊技機の操作装置を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ベース部材と、
前記ベース部材に対して、回動中心部を中心に回動操作可能に配置された回動リングと、
前記ベース部材に配置され、前記回動リングの回動操作を受けて回動する従動軸部を有する従動部材と、
前記回動リングの前記回動中心部と前記従動部材の前記従動軸部とに係合する係合部材と、を備え、
前記係合部材における、前記回動中心部との係合部位には、前記係合部材の径方向の外方に延出されて、前記回動リングの回動操作を前記係合部材に伝達するための延出部が形成されており、
前記延出部における、前記係合部材の周方向の両側に位置する側面は、前記係合部材の径方向から見て前記係合部材の周方向に凸状に膨らむ曲面として形成されており、
前記延出部は、前記係合部材における径方向の両側に突出して一対に形成されており、
前記回動リングと前記係合部材との間には、前記回動リングを前記係合部材の前記延出部の形成方向に沿って位置ずれ可能にする隙間と、前記回動リングを前記延出部の形成方向に対して傾倒可能にする隙間とが形成されている、遊技機の操作装置にある。
【発明の効果】
【0009】
前記一態様の遊技機の操作装置においては、回動リングの回動中心部と従動部材の従動軸部とに係合する係合部材の形状に工夫をしている。具体的には、係合部材における、回動中心部との係合部位に、係合部材の径方向の外方に延出された延出部を形成している。そして、延出部における、係合部材の周方向の両側に位置する側面を、係合部材の径方向から見て係合部材の周方向に凸状に膨らむ曲面として形成している。
【0010】
そして、例えば、遊技者によって、ベース部材と回動リングとの間に形成された隙間等を介して、回動リングがこじられるときには、回動リングは、延出部における、係合部材の径方向から見て係合部材の周方向に凸状に膨らむ曲面としての側面を利用して摺動しつつ傾くことができる。これにより、回動リングを不正にこじるときの負荷が、係合部材を介して従動部材の従動軸部に伝達されないようにすることができる。
【0011】
一方、回動リングを回動させる力は、回動リングの回動中心部と延出部の両側面における凸状の曲面との当接係合を介して係合部材に伝達され、係合部材から従動部材の従動軸部に伝達される。これにより、回動リングの回動操作性を良好に維持することができる。
【0012】
それ故、前記一態様の遊技機の操作装置によれば、回動リングの回動操作性を良好に維持しつつ、回動リングから従動部材の従動軸部に不要な負荷が伝達されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態にかかる、遊技機の操作装置を示す斜視図。
図2】実施形態にかかる、遊技機の操作装置における回動リング、係合部材等の周辺を、回動リングの裏側から見た状態で示す裏面図。
図3】実施形態にかかる、遊技機の操作装置を、係合部材の一対の延出部の形成方向に沿った断面によって示す説明図。
図4】実施形態にかかる、遊技機の操作装置の主要部の周辺を、従動部材の従動軸部の面取り平面の形成方向に沿った断面によって拡大して示す説明図。
図5】実施形態にかかる、遊技機の操作装置における回動リングと係合部材との係合部分の周辺を拡大して示す説明図。
図6】実施形態にかかる、遊技機の操作装置における回動リングの掛止突起の周辺を拡大して示す説明図。
図7】実施形態にかかる、操作装置が配置された遊技機の一部を、遊技機の前面から見た状態で示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前述した遊技機の操作装置にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態>
本形態の遊技機6の操作装置1は、図1図3に示すように、遊技者による回動操作が可能なものである。操作装置1は、ベース部材2、回動リング3、従動部材5及び係合部材4を備える。ベース部材2は、遊技機6に固定されている。回動リング3は、ベース部材2に対して、回動中心部31を中心に回動操作可能に配置されている。従動部材5は、ベース部材2に配置されており、回動リング3の回動操作を受けて回動する従動軸部51を有する。係合部材4は、回動リング3の回動中心部31と従動部材5の従動軸部51とに係合している。
【0015】
係合部材4における、回動中心部31との係合部位には、係合部材4の径方向Rの外方に延出されて、回動リング3の回動操作を係合部材4に伝達するための延出部42が形成されている。延出部42における、係合部材4の周方向Cの両側に位置する側面421は、係合部材4の径方向Rから見て係合部材4の周方向Cに凸状に膨らむ曲面として形成されている。
【0016】
ここで、図1においては、操作装置1の外観を示すとともに、操作装置1内の主要部品の配置を示す。操作装置1内の構成部品は適宜省略して示す。図2は、回動リング3、係合部材4等の周辺を、軸方向Lの基端側(裏側)L2から見た状態で示す。
【0017】
以下に、本形態の遊技機6の操作装置1について詳説する。
(遊技機6)
図7に示すように、本形態の遊技機6は、遊技球としてのパチンコ球による遊技を行うパチンコ遊技機である。遊技機6は、遊技球による遊技が行われる遊技盤61、遊技盤61の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射装置62、球発射装置62による遊技球の発射強度を調整するための操作ハンドルとしての操作装置1、遊技球を貯留する球皿63等を備える。操作ハンドル及び球皿63は、遊技機6の前面に位置する前面パネル60に配置されており、操作ハンドルは、球皿63の右側方に配置されている。
【0018】
本形態の操作装置1は、回動リング3の回動操作量によって球発射装置62から遊技球を発射させる際の発射強度を調整するよう構成されている。操作装置1は、操作ハンドルとする以外にも、例えば、遊技機6における遊技に関連した演出に対して遊技者が操作入力を行うための演出入力装置とすることができる。また、操作装置1は、遊技機6において回動操作が行われる種々の演出装置とすることもできる。
【0019】
図3及び図7に示すように、本形態の遊技機6において、操作装置1における軸方向Lは、遊技機6の前後方向に向けられる。そして、操作装置1における軸方向Lの先端側L1は、遊技機6における前後方向の前方側に位置し、操作装置1における軸方向Lの基端側L2は、遊技機6における前後方向の後方側に位置する。
【0020】
操作装置1において、回動リング3、係合部材4及び従動部材5の各中心軸線は、同軸状に近い状態で互いに平行に配置されている。そして、回動リング3、係合部材4及び従動部材5の軸方向Lは同じである。また、回動リング3、係合部材4及び従動部材5の径方向R及び周方向Cも同じである。
【0021】
(ベース部材2)
図1及び図3に示すように、ベース部材2は、操作装置1における、回動リング3の軸方向Lの基端側L2に位置して、遊技機6の前面パネル60に取り付けられるベース21と、操作装置1における、回動リング3の軸方向Lの先端側L1に位置して、ベース21に取り付けられたキャップ22とを有する。キャップ22は、ベース21の内部に設けられた複数の支柱211に取り付けられている。キャップ22は、半球状に形成されている。
【0022】
キャップ22は、回動リング3における回動中心部31の軸方向Lの先端側L1に対向する第1キャップ部221と、第1キャップ部221の軸方向Lの先端側L1に位置する半球状の第2キャップ部222と、第2キャップ部222の軸方向Lの先端側L1に位置する半球状の第3キャップ部223とを有する。後述するように、第1~第3キャップ部221,222,223は、光を透過させる部材によって構成されている。
【0023】
ベース部材2のベース21には、回動リング3が回動操作された状態において、遊技球の発射を停止させるための発射停止部材11及び発射停止スイッチ12が配置されている。発射停止部材11の操作部は、回動リング3の外周側に配置されている。発射停止スイッチ12は、発射停止部材11の操作を受けて、回動リング3の回動操作による遊技球の発射電気信号を遮断するよう構成されている。
【0024】
(従動部材5)
図1及び図3に示すように、本形態の従動部材5は、回動式のボリューム(可変抵抗器)によって構成されている。従動部材5の従動軸部51は、ボリュームの操作部によって構成されている。ボリュームは、操作部の回動操作量に応じて抵抗値を変化させるものである。回動リング3の回動操作を受けてボリュームの操作部の回動操作量が変化したときには、球発射装置62による遊技球の発射強度が調整される。
【0025】
従動部材5は、ボリュームとする以外にも、ボリュームの操作部に配置された種々の動力伝達部材とすることもできる。この場合には、動力伝達部材は、例えば、2つの回転軸を用いる方式として、ボリュームの操作部に同軸状に設けられた部材、ボリュームの操作部の中心軸線に平行に設けられ、歯車等を介して操作部に係合する部材等とすることができる。
【0026】
図2に示すように、従動部材5の従動軸部51は、従動軸部51の周方向Cの一部に面取り平面511が形成された軸形状を有している。面取り平面511を有する軸形状は、D型の断面形状を有することより、Dカット形状と呼ぶことがある。面取り平面511は、従動軸部51の軸方向Lに平行に形成されており、従動軸部51のトルク伝達を行うために形成されている。
【0027】
(回動リング3)
図1図3に示すように、回動リング3の外周には、径方向Rに突出して、遊技者の指が掛止される掛止突起34が複数形成されている。ベース21内には、回動リング3を初期位置301に付勢するバネ13が配置されている。回動リング3は、初期位置301から右回り(時計回り)に回動する量に応じて、球発射装置62による遊技球の発射強度を強くするよう構成されている。
【0028】
回動リング3の軸方向Lの基端側L2に隣接する位置であって、ベース部材2のベース21の外周側には、遊技者の手が触れたことを検出するための静電容量検出リング14が配置されている。ベース21内には、静電容量検出リング14と導通されて、静電容量検出リング14に遊技者の手が触れたときの静電容量を検出する静電容量センサ15が配置されている。静電容量センサ15は、人の接触を検知する人感センサとして機能する。
【0029】
回動リング3は、係合部材4と係合する回動中心部31が形成された中心側部位35と、中心側部位35の外周側に連結されて、複数の掛止突起34が設けられた外周側部位36とを有する。中心側部位35と外周側部位36との間には、ベース部材2の支柱211等が配置される穴部351が形成されている。中心側部位35と外周側部位36とは、繋ぎ部352によって繋がれている。
【0030】
回動リング3における中心側部位35の軸方向Lの基端側L2の表面には、係合部材4の延出部42が、その形成方向R2にスライドすることを案内する案内溝32が形成されている。案内溝32は、係合部材4の一対の延出部42に合わせて一対に形成されている。
【0031】
図2及び図3に示すように、回動リング3と係合部材4との間には、回動リング3を係合部材4の延出部42の形成方向R2に沿って位置ずれ可能にする隙間S1が形成されている。換言すれば、回動リング3における、案内溝32を形成する壁部321と、係合部材4の軸部41の先端部との間には、回動リング3と係合部材4とを形成方向R2に相対的に位置ずれ(スライド)可能にするための隙間S1が形成されている。回動リング3は、係合部材4に対して、隙間S1の大きさに応じて形成方向R2にスライド可能である。
【0032】
図3図5に示すように、回動リング3の中心側部位35の裏面と係合部材4の軸部41の先端面との間には、回動リング3が係合部材4の延出部42の形成方向R2に対して傾倒可能にするための隙間S2が形成されている。また、回動リング3と、ベース部材2のキャップ22及び静電容量検出リング14との間には、回動リング3がベース部材2のキャップ22及び静電容量検出リング14に対して回動可能にするための隙間が形成されている。
【0033】
図3及び図4に示すように、回動リング3における回動中心部31の軸方向Lの先端側L1には、ベース部材2のキャップ22の中心部に形成されたキャップ軸部224,225と同軸状に配置されるリング軸部33が形成されている。本形態のリング軸部33は筒状に形成されており、キャップ軸部224,225は、内周側軸部224と、内周側軸部224の外周側に形成された外周側筒部225とによって形成されている。そして、筒状のリング軸部33内に内周側軸部224が挿入されるとともに、外周側筒部225内にリング軸部33が挿入されている。
【0034】
リング軸部33と、内周側軸部224及び外周側筒部225との間には、キャップ22の第1キャップ部221に対して回動リング3が回動できるようにするための微小な隙間S3が形成されている。そして、回動リング3を回動可能にするために形成された微小な隙間S3が、結果として回動リング3の傾倒操作を許容することとなる。
【0035】
本形態の操作装置1において、回動リング3と、ベース部材2、係合部材4及び静電容量検出リング14との間に形成された、回動リング3を傾倒可能にする隙間S2,S3のうち、キャップ22と回動リング3との間の微小な隙間S3が最も小さい。そのため、回動リング3は、微小な隙間S3の形成範囲内において、軸方向Lに対して傾倒することが許容される。また、回動リング3は、微小な隙間S3の大きさに応じて傾倒した後には、リング軸部33が内周側軸部224又は外周側筒部225に当接することによって傾倒が制限される。換言すれば、リング軸部33が内周側軸部224又は外周側筒部225に当接する構造は、回動リング3の傾倒範囲を制限するストッパーの機能を果たす。
【0036】
(電飾構造)
図3に示すように、本形態のキャップ22を構成する第1~第3キャップ部221,222,223及び回動リング3は、透明又は半透明の樹脂材料によって構成されている。キャップ22及び回動リング3は、光を導く導光体として機能する。操作装置1の内部、特に回動リング3の外周側部位36の内周側の位置には、発光用電子基板16が配置されている。
【0037】
発光用電子基板16の軸方向Lの先端側L1の表面には、キャップ22を発光させるための発光ダイオード等の複数のキャップ用発光源161が設けられている。キャップ用発光源161は、遊技機6の前方側としての先端側L1に位置するキャップ22に向けて発光するよう構成されている。
【0038】
図6に示すように、発光用電子基板16の軸方向Lの基端側L2の表面には、回動リング3の外周側部位36及び掛止突起34を発光させるための発光ダイオード等の複数のリング用発光源162が設けられている。リング用発光源162は、発光用電子基板16の外方に向けて光Xを出射するよう構成されている。そして、リング用発光源162から発せられた光Xは、操作装置1の外周側に位置する、回動リング3の外周側部位36及び掛止突起34に沿って導光されて、外周側部位36及び掛止突起34を発光させる。
【0039】
図6に示すように、回動リング3の掛止突起34は、リング用発光源162から発せられる光を、より強く発光させるための導光体の形状に形成されている。複数のリング用発光源162のうちのいくつかは、回動リング3が初期位置301にある状態、回動リング3が初期位置301から右回りに回動して、遊技盤61の遊技領域に配置された始動入賞口へ遊技球を発射させるための最適回動位置302にある状態、及び回動リング3が最大回動位置303にある状態において、複数の掛止突起34と対向する位置に配置されている。
【0040】
回動リング3の初期位置301は、回動操作量が0°の位置とし、回動リング3の最適回動位置302は、回動操作量が約60°の位置とし、回動リング3の最大回動位置303は、回動操作量が約90°の位置とすることができる。回動リング3の複数の掛止突起34は、回動リング3が初期位置301、最適回動位置302及び最大回動位置303にあるときに、より強く発光するよう構成されている。
【0041】
(係合部材4)
図2及び図4に示すように、係合部材4は、回動リング3を従動部材5の従動軸部51に対して径方向Rに遊動可能にするとともに、回動リング3を従動部材5の従動軸部51に対して軸方向Lに傾斜(傾倒)可能にする部材として構成されている。本形態の延出部42は、係合部材4の先端側部位における径方向Rの両側に突出して一対に形成されている。換言すれば、本形態の係合部材4は、回動リング3の回動中心部31と係合する先端側部位において、径方向Rの両側に突出する一対の延出部42を有する。
【0042】
より具体的には、係合部材4は、回動リング3及び従動部材5の軸方向Lに平行な軸部41と、軸部41の先端側部位から径方向Rの両側に突出する一対の延出部42とを有する。係合部材4の軸部41における、従動軸部51との係合部位である基端側部位には、従動軸部51が挿入された筒形状部411が形成されている。本形態の軸部41の全体は、筒状軸部として形成されている。なお、筒状軸部としての軸部41の先端側部位は閉塞されていてもよい。
【0043】
図2に示すように、筒形状部411は、従動軸部51の面取り平面511に平行な平板部412と、従動軸部51の外周面に対向する円弧部413とによって環形状に形成されている。筒形状部411の平板部412の内側面における、軸方向Lに直交する方向の幅は、従動軸部51の面取り平面511における、軸方向Lに直交する方向の幅よりも大きい。係合部材4は、従動軸部51の面取り平面511に平行な方向であって軸方向Lに直交する方向にスライド可能である。筒形状部411の内側面と従動軸部51との間には、従動軸部51に対して係合部材4を、面取り平面511に平行な方向であって軸方向Lに直交する方向に位置ずれ(スライド)可能にする隙間S4が形成されている。
【0044】
図4及び図5に示すように、一対の延出部42における、周方向Cの両側に位置する側面421、換言すれば軸方向Lに直交する両側の側面421は、係合部材4の径方向Rから見て半円状に膨らむ曲面として形成されている。この側面421は、回動リング3が延出部42の中心軸線の周りの方向K1に回動(傾倒)できるように、半円状の曲面として形成されている。延出部42の形成方向R2に直交する断面は、短径部が軸方向Lに位置するオーバル形状(長円形状又は長丸形状ともいう。)に形成されている。延出部42の形成方向R2に直交する断面は、オーバル形状以外にも、例えば、円形状、楕円形状等に形成されていてもよい。
【0045】
一対の延出部42の半円状の曲面による側面421の頂部と、案内溝32の壁部321の側面とは、回動リング3の径方向Rに沿って線接触している。そして、遊技者によって回動リング3が延出部42の中心軸線の周りの方向K1に傾倒したときには、一対の延出部42の側面421の頂部と、案内溝32の壁部321の側面とが相対的に滑らかに摺動することができる。これにより、回動リング3が傾倒される力が、係合部材4に対して伝達されないようにすることができる。また、一対の延出部42の側面421の頂部と案内溝32の壁部321の側面とが、回動リング3の径方向Rに沿って線接触していることにより、遊技者によって回動リング3が周方向Cに回動操作されたときには、この回動操作される力が適切に係合部材4に対して伝達される。
【0046】
延出部42の一方は、係合部材4の軸部41の平板部412に対して垂直に形成されている。延出部42の他方は、延出部42の一方と平行な状態で、係合部材4の軸部41の円弧部413から垂直に形成されている。
【0047】
係合部材4における筒形状部411と従動部材5の従動軸部51との間には、従動軸部51に対して係合部材4をスライド可能にするための隙間S4が形成されている。隙間S4は、従動軸部51における、軸方向Lに垂直な方向であって面取り平面511の形成方向の両側に形成されている。回動リング3及び係合部材4は、従動軸部51に対して隙間S4の大きさに応じてスライド(位置ずれ)可能である。
【0048】
本形態の係合部材4の延出部42は、軸部41の径方向Rの両側に形成している(径方向Rから見て係合部材4がT形状に見えるように形成している。)。これ以外にも、延出部42は、係合部材4の軸部41の径方向Rの一方に形成してもよい。また、例えば、延出部42は、軸部41の径方向Rの4方向に、周方向に90°の間隔で形成してもよい(軸方向Lから見て係合部材4が十字形状に見えるように形成してもよい。)。
【0049】
本形態の係合部材4は、熱可塑性樹脂の成形品によって構成されている。これ以外にも、係合部材4は、弾性変形可能なエラストマー材料の成形品によって構成することもできる。この場合には、回動リング3と従動部材5の従動軸部51との間においてエラストマー材料による係合部材4が弾性変形することによって、回動リング3の遊動及び傾倒を許容することができる。
【0050】
(従動軸部51に対して回動リング3を遊動及び傾倒させる構造)
図2に示すように、本形態の回動リング3は、従動軸部51に対して、従動軸部51の軸方向Lに直交する第1方向R1、並びに軸方向L及び第1方向R1の双方に直交する第2方向R2にスライド可能である。第1方向R1は、従動軸部51の軸方向Lに直交するとともに従動軸部51の面取り平面511と平行な方向として設定されている。第2方向R2は、従動軸部51の軸方向Lに直交するとともに従動軸部51の面取り平面511と垂直な方向として設定されている。第2方向R2は、係合部材4の一対の延出部42の形成方向R2と同じ方向を示す。
【0051】
回動リング3は、案内溝32を形成する壁部321と係合部材4の軸部41の先端部との間に形成された隙間S1、及び係合部材4の筒形状部411と従動部材5の従動軸部51との間に形成された隙間S4によって、軸方向Lに垂直な平面内において遊動可能である。隙間S4は、筒形状部411内において、従動軸部51の面取り平面511の第1方向R1の両側に形成されている。なお、回動リング3の遊動とは、スライド、位置ずれ、摺動と同じ意味を示す。
【0052】
従動部材5の従動軸部51における面取り平面511の形成方向R1と、係合部材4の一対の延出部42の形成方向R2とは、互いに直交している。回動リング3は、回動リング3が係合部材4に対して、一対の延出部42の形成方向R2に沿ってスライド(位置ずれ)するとともに、回動リング3及び係合部材4が従動軸部51に対して、面取り平面511の形成方向R1に沿ってスライド(位置ずれ)することによって、軸方向Lに直交する平面内の任意の方向にスライド(位置ずれ)可能である。これにより、遊技者が回動リング3をスライドさせる力が、従動部材5の従動軸部51に伝達されないようにすることができる。
【0053】
図3及び図5に示すように、回動リング3と、回動リング3の周辺に配置された各部材4,22との間に隙間S2,S3が形成されていること、及び係合部材4の一対の延出部42の側面421が半円状の曲面に形成されていることによって、回動リング3が軸方向Lに対して傾倒されるときには、回動リング3から係合部材4に不要な力が伝達されないようにする。
【0054】
より具体的には、係合部材4の一対の延出部42の側面421が半円状の曲面に形成されていることにより、回動リング3は、一対の延出部42の中心軸線の周りの方向K1に向けて回動する。また、回動リング3における中心側部位35の軸方向Lの基端側L2の表面と、係合部材4における軸部41の軸方向Lの先端側L1の先端面との間には、回動リング3を延出部42の形成方向R2に対して傾斜させる方向K2に傾倒可能にする隙間S2が形成されている。隙間S2は、回動リング3が一対の延出部42の中心軸線の周りの方向K1へ傾倒することも許容する。
【0055】
こうして、回動リング3は、係合部材4の延出部42の中心軸線の周りの方向K1に回動可能であるとともに、係合部材4の延出部42の形成方向R2に対して傾斜する方向K2に回動可能であることにより、軸方向Lに対して任意の方向に傾倒可能である。図5においては、回動リング3が係合部材4に対して方向K1に傾倒した状態を二点鎖線Fによって示す。回動リング3が軸方向Lに対して任意の方向に傾倒可能であることにより、遊技者が回動リング3を傾倒させる力が、従動部材5の従動軸部51に伝達されないようにすることができる。
【0056】
なお、回動リング3とベース部材2のキャップ22の第2、第3キャップ部222,223との間、回動リング3と静電容量検出リング14との間、及び回動リング3とベース部材2のベース21との間にも、若干の隙間が形成されている。また、上述したように、回動リング3とキャップ22の第1キャップ部221との間にも微小な隙間S3が形成されている。
【0057】
各隙間S1,S2,S3,S4の大きさの関係は、隙間S1と隙間S2とが同じくらいの大きさであり、隙間S1,S2が隙間S4以上の大きさであり、隙間S4が隙間S3よりも大きいといった関係にある。そして、隙間S3が最も小さく、回動リング3が遊技者によって傾倒されたときには、回動リング3とキャップ22の第1キャップ部221とが当接する。これにより、遊技者が回動リング3を傾倒させる不適切な力がキャップ22の第1キャップ部221によって受け止められ、この不適切な力が従動軸部51に負荷として伝達されることが防止される。
【0058】
このように、本形態の操作装置1は、遊技者が回動リング3をスライド又は傾倒させようとする不適切な力を吸収する構造を有する。そのため、繊細かつ回動量の精度が求められる、回転軸機構を有する従動部材(ボリューム)5に、不要な負荷が伝達されることを防止し、従動部材5を保護することができる。
【0059】
(操作装置1の動作)
遊技機6においてパチンコ遊技を行う際には、遊技者は、操作装置1を把持する。このとき、遊技者の手が静電容量検出リング14に触れると、静電容量センサ15が遊技者の静電容量を検出する。遊技機6の初期状態において、回動リング3は初期位置301にあり、リング用発光源162の光によって回動リング3の掛止突起34が発光している。
【0060】
そして、遊技者が、掛止突起34に指を掛けて回動リング3を右回りに回動させると、静電容量センサ15が静電容量を検出していることを前提に、球発射装置62から遊技盤61の遊技領域に向けて遊技球が発射される。また、回動リング3が最適回動位置302に回動されると、リング用発光源162の光が回動リング3の掛止突起34に効果的に導かれ、掛止突起34が発光する。
【0061】
遊技者が回動リング3を回動操作するときには、回動リング3は、回動リング3、係合部材4及び従動軸部51に形成された遊動及び傾倒を許容する構成により、軸方向Lに直交する方向に若干位置ずれすることができ、軸方向Lに対して若干傾倒することができる。具体的には、係合部材4に対して回動リング3が、係合部材4の一対の延出部42の形成方向R2に位置ずれすることにより、回動リング3を位置ずれさせようとする力が係合部材4に対して伝達されない。また、従動軸部51に対して係合部材4及び回動リング3が、従動軸部51の面取り平面511に平行な方向R1に位置ずれすることにより、回動リング3を位置ずれさせようとする力が従動軸部51に対して伝達されない。これにより、遊技者が回動リング3を軸方向Lに直交する方向に位置ずれさせようとする力が、従動部材5の従動軸部51に負荷として加わることを防止することができる。
【0062】
また、遊技者が回動リング3を軸方向Lに対して傾斜させようとする力に対しては、従動軸部51及び係合部材4に対して回動リング3が、回動リング3と、キャップ22及び係合部材4との間に形成された隙間S2,S3、及び係合部材4の一対の延出部42の半円状に膨らむ曲面としての側面421によって、方向K1及び方向K2に若干傾くことができる。そして、回動リング3を軸方向Lに対して傾斜させようとする力が係合部材4に伝達されない。これにより、遊技者が回動リング3を軸方向Lに対して傾斜させようとする力が、従動部材5の従動軸部51に負荷として加わることを防止することができる。
【0063】
(作用効果)
本形態の遊技機6の操作装置1においては、回動リング3の回動中心部31と従動部材5の従動軸部51とに係合する係合部材4の形状に工夫をしている。具体的には、係合部材4の一対の延出部42、一対の延出部42における曲面としての側面421、及び従動軸部51の面取り平面511に沿ってスライドする、係合部材4の筒形状部411の形成等の工夫をしている。
【0064】
そして、例えば、回動リング3とベース部材2、静電容量検出リング14等との間に形成された隙間等を介して、遊技者によって回動リング3がこじられるときには、回動リング3は、延出部42における半球状の曲面としての側面421、及び隙間S2,S3等を利用して、軸方向Lに対して傾くことができる。また、このときには、回動リング3は、一対の案内溝32に対する係合部材4の一対の延出部42のスライド、及び従動軸部51に対する係合部材4の筒形状部411のスライドを利用して、軸方向Lに直交する方向に位置ずれすることができる。これにより、回動リング3を不正にこじるときの負荷が、係合部材4を介して従動部材5の従動軸部51に伝達されないようにすることができる。
【0065】
一方、回動リング3を回動させる力は、回動リング3の一対の案内溝32と係合部材4の一対の延出部42の両側面421における凸状の曲面との当接係合を介して係合部材4に伝達され、係合部材4の筒形状部411の平板部412及び従動軸部51の面取り平面511を介して、係合部材4から従動部材5の従動軸部51に伝達される。これにより、回動リング3の回動操作性を良好に維持することができる。
【0066】
それ故、本形態の遊技機6の操作装置1によれば、回動リング3の回動操作性を良好に維持しつつ、回動リング3から従動部材5の従動軸部51に不要な負荷が伝達されないようにすることができる。
【0067】
本形態の操作装置1においては、係合部材4を用いることにより、操作装置1を構成する部品点数の低減及び操作装置1の組付性の向上を図ることができる。従動部材5としてのボリュームの操作部に加わる負荷を低減する方法としては、ボリュームの操作部に対して一対の歯車を介して、回動リング3の軸部を係合させ、回動リング3の回動操作を一対の歯車を介してボリュームの操作部に伝達する方法がある。この場合には、歯車間のバックラッシ(がたつき)をなくすために、バネ等を用いることが行われている。この場合には、部品点数が多くなるだけでなく、操作装置の組付性も十分ではなかった。
【0068】
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。さらに、本発明から想定される様々な構成要素の組み合わせ、形態等も本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 操作装置
2 ベース部材
3 回動リング
31 回動中心部
32 案内溝
4 係合部材
41 軸部
411 筒形状部
42 延出部
421 側面
5 従動部材(ボリューム)
51 従動軸部(操作部)
511 面取り平面
6 遊技機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7