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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ガゼット袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/00 20170101AFI20230516BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20230516BHJP
   B31B 155/00 20170101ALN20230516BHJP
   B31B 160/20 20170101ALN20230516BHJP
【FI】
B31B70/00
B65D30/16 F
B31B155:00
B31B160:20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019062156
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020157696
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390005511
【氏名又は名称】株式会社タキガワ・コーポレーション・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 弘幸
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-116799(JP,A)
【文献】特開2010-036585(JP,A)
【文献】特開2005-212870(JP,A)
【文献】実開昭59-020882(JP,U)
【文献】特開2014-080214(JP,A)
【文献】特開2006-088707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00 - 70/99
B65D 30/16
B65H 19/00 - 19/30
B31B 155/00
B31B 160/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体シート部用原反から繰り出され少なくとも表側シート部や裏側シート部となる本体シート部とガゼット部用原反から繰り出されカットされたガゼット部の周縁部同士を接着して複数のガゼット袋が連なった状態に形成し、その後、隣接するガゼット袋を分離してガゼット袋を製造するガゼット袋の製造方法であって、
前記本体シート部用原反と前記ガゼット部用原反にそれぞれ設けられた識別マークを読取る識別マーク読取工程と、
前記識別マーク読取工程によって読取った前記本体シート部用原反の識別マークと前記ガゼット部用原反の識別マークとを比較し、識別マークを比較した前記本体シート部用原反と前記ガゼット部用原反とが正しい組み合わせであるか否かを判定する原反組合せ判定工程と、
前記原反組合せ判定工程によって前記本体シート部用原反と前記ガゼット部用原反とが正しい組み合わせであると判定した場合は前記本体シート部用原反から繰り出した前記本体シート部と前記ガゼット部用原反から繰り出しカットした前記ガゼット部の周縁部同士を接着して複数のガゼット袋が連なった状態に形成し、その後、隣接するガゼット袋を分離してガゼット袋を製造するガゼット部製造工程と、
前記原反組合せ判定工程によって前記本体シート部用原反と前記ガゼット部用原反とが正しい組み合わせでないと判定した場合は、作業者に対し警告を行う警告工程と、
を有することを特徴とするガゼット袋の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガゼット袋の製造方法において、
前記識別マークは、前記本体シート部および前記ガゼット部を接着後、不要部分としてカットされる前記本体シート部用原反および前記ガゼット部用原反それぞれのカット部に設けられていることを特徴とするガゼット袋の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のガゼット袋の製造方法において、
前記ガゼット部用原反に設ける識別マークは、前記ガゼット部用原反から繰り出されてカットされた後、三角形状に折り畳まれる前記ガゼット部の三角フラップ部の位置に設けることを特徴とするガゼット袋の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のガゼット袋の製造方法において、
前記識別マークは、前記本体シート部および前記ガゼット部のデザインの一部、または前記本体シート部および前記ガゼット部に印刷された文字や記号を利用することを特徴とするガゼット袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体シート部用原反から繰り出した表側シート部や裏側シート部等の本体シート部と、ガゼット部用原反から繰り出しカットしたガゼット部の周縁部同士を接着して複数のガゼット袋が連なった状態に形成した後、隣接するガゼット袋を分離してガゼット袋を製造するガゼット袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、包装袋として、内容物を充填した場合に左右両側の折畳んだマチであるガゼット部が広がって袋全体が立体的となり、自立した状態で陳列することが可能であり、しかもガゼット部のない袋と較べると大容量の内容物を収容できるガゼット袋の利用が増大している。
【0003】
このようなガゼット袋では、本体シート部用原反から繰り出した表側シート部や裏側シート部等の本体シート部とガゼット部用原反から繰り出したガゼット部の周縁部同士をヒートシールや高周波シール、超音波シール等によって接着すると共に、適宜タイミングでカットしてガゼット袋を製造している(例えば、特許文献1~3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-166477号公報
【文献】特開2000-254894号公報
【文献】特開2015-116799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ガゼット袋の場合、通常は本体シート部用原反とガゼット部用原反とが別原反になっているため、本体シート部とガゼット部とで図柄(デザイン)が似ていたり、デザインが一部変更となった場合、さらには他のガゼット袋との間で本体シート部用原反やガゼット部用原反の図柄が似ていたりすると、作業者が本体シート部用原反やガゼット部用原反を間違ってセットしてしまい、間違った図柄のガゼット袋を製造するおそれがあるという問題がある。
【0006】
また、同じ製造ラインで製造すべきガゼット袋を変更する場合、本体シート部用原反およびガゼット部用原反において前ロット(前製品)の原反に次ロット(次製品)の原反を繋いで製袋しているが、本体シート部用原反とガゼット部用原反を誤って繋ぐと、例えば表側シート部や裏側シート部等の本体側が前ロット(前製品)、ガゼット部が次ロット(次製品)のガゼット袋が出来るおそれがあるという問題もある。
【0007】
特に、表側シート部や裏側シート部等の本体側は、通常、図柄に特徴があるため作業者の目視でも簡単に確認できるが、ガゼット部側は、図柄が無く無地であったり、また無地の上に内容物の原材料名等の成分表示や取扱い方、アレルギー表示等の文字や図形等が印刷されている等、表側シート部や裏側シート部等の本体側の図柄とは関係のない文字や図形等が印刷されている場合が多いため、作業者の目視による確認が困難な場合が多かった。
【0008】
そこで、本発明はこのような問題に着目してなされたもので、本体シート部用原反やガゼット部用原反を間違ってセットすることを確実に防止することができるガゼット袋の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るガゼット袋の製造方法は、本体シート部用原反から繰り出され少なくとも表側シート部や裏側シート部となる本体シート部とガゼット部用原反から繰り出されカットされたガゼット部の周縁部同士を接着して複数のガゼット袋が連なった状態に形成し、その後、隣接するガゼット袋を分離してガゼット袋を製造するガゼット袋の製造方法であって、前記本体シート部用原反と前記ガゼット部用原反にそれぞれ設けられた識別マークを読取る識別マーク読取工程と、前記識別マーク読取工程によって読取った前記本体シート部用原反の識別マークと前記ガゼット部用原反の識別マークとを比較し、識別マークを比較した前記本体シート部用原反と前記ガゼット部用原反とが正しい組み合わせであるか否かを判定する原反組合せ判定工程と、前記原反組合せ判定工程によって前記本体シート部用原反と前記ガゼット部用原反とが正しい組み合わせであると判定した場合は前記本体シート部用原反から繰り出した前記本体シート部と前記ガゼット部用原反から繰り出しカットした前記ガゼット部の周縁部同士を接着して複数のガゼット袋が連なった状態に形成し、その後、隣接するガゼット袋を分離してガゼット袋を製造するガゼット部製造工程と、前記原反組合せ判定工程によって前記本体シート部用原反と前記ガゼット部用原反とが正しい組み合わせでないと判定した場合は、作業者に対し警告を行う警告工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係るガゼット袋の製造方法では、前記識別マークは、前記本体シート部および前記ガゼット部を接着後、不要部分としてカットされる前記本体シート部用原反および前記ガゼット部用原反それぞれのカット部に設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るガゼット袋の製造方法では、前記ガゼット部用原反に設ける識別マークは、前記ガゼット部用原反から繰り出されてカットされた後、三角形状に折り畳まれる前記ガゼット部の三角フラップ部の位置に設けることも特徴とする。
また、本発明に係るガゼット袋の製造方法では、前記識別マークは、前記本体シート部および前記ガゼット部のデザインの一部、または前記本体シート部および前記ガゼット部に印刷された文字や記号を利用することも特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガゼット袋の製造方法では、本体シート部用原反とガゼット部用原反にそれぞれ設けられた識別マークを読取り、読み取った複数の識別マークを比較して本体シート部用原反およびガゼット部用原反が正しい組み合わせであるか否かを判定し、正しい組み合わせである場合は本体シート部用原反から繰り出した本体シート部とガゼット部用原反から繰り出しカットしたガゼット部の周縁部同士を接着して複数のガゼット袋が連なった状態に形成し、その後、隣接するガゼット袋を分離してガゼット袋を製造する一方、正しい組み合わせでない場合は、作業者に対し警告を行う。
そのため、本体シート部用原反およびガゼット部用原反が間違った組合せでセットされていた場合は作業者に対し警告が行われるので、本体シート部用原反やガゼット部用原反を間違ってセットすることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法によって製造されたガゼット袋の構成の一例を示す分解構成図である。
図2】本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法の製造ラインの一例(原反3種の場合)を簡略化して示す斜視図である。
図3】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法において使用する裏側本体シート部用原反と、裏側本体シート部用原反から繰り出した連続裏側シート部に印刷された識別マークの場所の一例を示す図である。
図4】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法において使用するサイドガゼット用原反と、そのサイドガゼット用原反からカットした2連続サイドガゼット部に印刷された識別マークの場所の一例を示す図である。
図5】本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法によって製造されたガゼット袋の外観の一例を示す斜視図である。
図7】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法において使用する裏側本体シート部用原反と、裏側本体シート部用原反から繰り出した連続裏側シート部に印刷された識別マークの場所の他の例を示す図である。
図8】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法において使用するサイドガゼット用原反と、そのサイドガゼット用原反からカットした2連続サイドガゼット部に印刷された識別マークの場所の他の例を示す図である。
図9】識別マークを表側シート部または連続裏側シート部とサイドガゼット部に残した本発明に係る実施形態のガゼット袋の外観の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法について、図面を参照しながら説明する。尚、以下に説明する実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明に係るガゼット袋の製造方法は、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0013】
<実施形態のガゼット袋の製造方法で製造されるガゼット袋の構成>
実施形態のガゼット袋の製造方法で製造されるガゼット袋1は、例えば、図1に示すように、底ガゼット部11a1が一体の底ガゼット部付き表側シート部11aと、裏側シート部12aと、底ガゼット部11a1を2つ折りした底ガゼット部付き表側シート部11aと裏側シート部12aの左右の両側縁に沿って図上鉛直方向に延び、2つ折りされる左右両側のサイドガゼット部13a,13aの周縁部をヒートシールや超音波シール、高周波シール等によって接着して包装袋を構成している。
【0014】
底ガゼット部付き表側シート部11a、裏側シート部12a、サイドガゼット部13a,13aは、気密性の高いプラスチック製のフィルムから構成されており、実施形態のガゼット袋の製造方法では、後述する図2に示すように、底ガゼット部付き表側シート部11aは表側本体シート部用原反10から製造され、裏側シート部12aは裏側本体シート部用原反20から製造され、サイドガゼット部13a,13aはサイドガゼット用原反30から製造される。
【0015】
そして、本実施形態では、独立した原反である表側本体シート部用原反10と、裏側本体シート部用原反20と、サイドガゼット用原反30とには後述するように所定位置にそれぞれ識別マークα,β,γが印刷されている。
【0016】
ここで、識別マークα,β,γは、表側本体シート部用原反10と、裏側本体シート部用原反20と、サイドガゼット用原反30との正しい組み合わせを判別できれば十分であるので、裏側本体シート部用原反20と、サイドガゼット用原反30の開始部分にそれぞれ一箇所でも良いが、ここでは、どのタイミングでロット交換(原反交換)を実行しても必ず新たに表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30をセットした場合には必ず識別マークα,β,γが各原反10,20,30の開始部分に現れるように各原反10,20,30製造時に印刷される。
【0017】
具体的には、表側本体シート部用原反10および裏側本体シート部用原反20については、例えば、1枚の底ガゼット部付き表側シート部11aおよび裏側シート部12a毎に識別マークα,βがそれぞれ現れるように表側本体シート部用原反10および裏側本体シート部用原反20製造時に所定間隔でそれぞれ識別マークα,βを印刷する。また、サイドガゼット用原反30に印刷する識別マークγについては、2つのサイドガゼット部13aが連続した2連続サイドガゼット部13毎に現れるよう所定間隔でサイドガゼット用原反30製造時に識別マークγを印刷する。
【0018】
<実施形態のガゼット袋の製造方法が実行される製造ラインの概略>
図2は、本発明に係る実施形態のガゼット袋1の製造方法が実行される製造ラインの概略を示す図である。
【0019】
実施形態のガゼット袋1の製造ラインは、本体シート部製造ライン1Aと、サイドガゼット製造ライン1Bとを備えており、制御部16によって動作が制御されている。
【0020】
本体シート部製造ライン1Aは、例えば、図2に示すように表側本体シート部用原反10から底ガゼット部付き表側シート部11aが連続する連続表側シート部11を繰り出すと共に、繰り出した連続表側シート部11において底ガゼット部11a1に相当する部分を2つ折りする一方、裏側本体シート部用原反20から裏側シート部12aが連続する連続裏側シート部12を繰り出し、サイドガゼット製造ライン1Bから供給された後述する2連続サイドガゼット部13の周縁部を順次、連続裏側シート部12の所定位置にヒートシールや超音波シール、高周波シール等によって接着し、その後、連続表側シート部11の周縁部を同様に接着して、最後に上部カッタ14aや下部カッタ14b、縦カッタ14cによって切断してガゼット袋1を製造するように構成されている。
【0021】
サイドガゼット製造ライン1Bは、例えば、図2に示すようにサイドガゼット用原反30にカットしたり折り返しながら後述する図4図8に示すように連続する2つのガゼット袋1のサイドガゼット部13a、すなわち2つのサイドガゼット部13aが連続した2連続サイドガゼット部13を製造するラインで、製造した2連続サイドガゼット部13を本体シート部製造ライン1Aに供給して連続裏側シート部12の所定位置に接着させるように構成されている。
【0022】
そして実施形態のガゼット袋1の製造方法が実行される製造ラインでは、独立した原反である表側本体シート部用原反10と、裏側本体シート部用原反20と、サイドガゼット用原反30の後述する所定位置にそれぞれ印刷等された識別マークα,β,γをそれぞれ読み取る表側本体シート部センサ15aと、裏側本体シート部センサ15bと、サイドガゼット部センサ15cとを設けており、制御部16は、表側本体シート部センサ15a、裏側本体シート部センサ15b、およびサイドガゼット部センサ15cが読み取ったセンサ出力を入力して比較し、後述するようにその比較結果に基づいて本体シート部製造ライン1Aとサイドガゼット製造ライン1Bの動作を制御する。
【0023】
<識別マークβの位置>
次に、裏側本体シート部用原反20およびそれから繰り出される連続裏側シート部12に印刷された識別マークβの印刷位置の例について説明する。
【0024】
図3(a),(b)は、それぞれ、本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法において識別マークβが印刷された裏側本体シート部用原反20と、その裏側本体シート部用原反20から繰り出された連続裏側シート部12に印刷された識別マークβの印刷場所の一例を示す拡大図である。
【0025】
図3(a),(b)に示すように、裏側本体シート部用原反20から繰り出される連続裏側シート部12には、最終的にガゼット袋1の製品にならずカットされる連続裏側シート部12の袋左右端カット部12bに識別マークβを印刷している。
【0026】
尚、図示しないが表側本体シート部用原反10から繰り出される連続表側シート部11の場合にも、最終的にガゼット袋1の製品にならずカットされる袋左右端カット部11bに識別マークαを印刷している。尚、図3(b)において、12cは袋左右端カット部12bと同様に最終的にガゼット袋1の製品にならずカットされる袋上端カット部、12dは袋左右端カット部12bや袋上端カット部12cと同様に最終的にガゼット袋1の製品にならずカットされる袋下端カット部である。
【0027】
<識別マークγの印刷位置>
次に、サイドガゼット用原反30に印刷された識別マークγの印刷位置の例について説明する。
【0028】
図4(a),(b)は、それぞれ、本発明に係る実施形態のガゼット袋の製造方法において識別マークγが印刷されたサイドガゼット用原反30と、そのサイドガゼット用原反30から繰り出されカットされる2連続サイドガゼット部13に印刷された識別マークγの位置を示す拡大図である。
【0029】
図4に示すように、識別マークγの場合も識別マークα,βと同様に最終的にガゼット袋1の製品にならずカットされるサイドガゼット用原反30と、そのサイドガゼット用原反30から繰り出されカットされる2連続サイドガゼット部13の中央カット部13bに印刷する。
【0030】
<実施形態のガゼット袋の製造方法が実行される製造ラインの概略>
次に、本発明に係る実施形態のガゼット袋1の製造方法における制御部16の制御方法について説明する。
【0031】
図5は、実施形態のガゼット袋1の製造方法における制御部16の制御手順を示すフローチャートである。
【0032】
作業者がガゼット袋1を製造するための原反である表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30を所定位置にセットし、制御部16が図2に示すような本体シート部製造ライン1Aにおいて表側本体シート部用原反10がセットされたことを検出すると共に(ステップS100“YES”)、裏側本体シート部用原反20がセットされたことを検出し(ステップS200“YES”)、さらにサイドガゼット製造ライン1Bにおいてサイドガゼット用原反30がセットされたことを検出すると(ステップS300“YES”)、次いで制御部16は、表側本体シート部センサ15aから識別マークα、裏側本体シート部センサ15bから識別マークβ、サイドガゼット部センサ15cから識別マークγを読み込む(ステップS400)。
【0033】
尚、ステップS400において表側本体シート部センサ15a、裏側本体シート部センサ15bおよびサイドガゼット部センサ15cがそれぞれ識別マークα,β,γを検出する際、識別マークα,β,γを検出できない場合等、必要あれば、表側本体シート部センサ15a、裏側本体シート部センサ15bおよびサイドガゼット部センサ15cがそれぞれ識別マークα,β,γを検出できる程度に表側本体シート部用原反10や裏側本体シート部用原反20、さらにはサイドガゼット用原反30を繰り出しても良い。
【0034】
次に制御部16は、表側本体シート部センサ15aから識別マークα、裏側本体シート部センサ15bから識別マークβ、サイドガゼット部センサ15cから識別マークγを読み込むと、読み込んだ識別マークα,β,γが一致する等、表側本体シート部用原反10と裏側本体シート部用原反20とサイドガゼット用原反30とが正しい組み合わせであるか否かを判定する(ステップS500)。そのため、制御部16にはメモリ(図示せず。)等に識別マークα,β,γの正しい組み合わせが製造すべきガゼット袋1毎に予め登録されているものとする。ただし、同一ロットや同一製品、同一デザイン等の原反10,20,30には同一の識別マークα,β,γが印刷されていて、識別マークα,β,γが一致している(同一の)とき正しい原反10,20,30の組み合わせとなる場合は、識別マークα,β,γの正しい組み合わせを制御部16に予め登録する必要がなく、制御部16は各センサ15a,15b,15cが検出した識別マークα,β,γを単に一致しているか否か判定して正しい組み合わせであるか否か判定するようにしても良い。
【0035】
そして制御部16は、読み込んだ識別マークα,β,γが一致する等、表側本体シート部用原反10と裏側本体シート部用原反20とサイドガゼット用原反30とが正しい組み合わせであると判定した場合(ステップS500“YES”)、ガゼット袋1を製造する(ステップS600)。
【0036】
つまり、制御部16の制御によって、本体シート部製造ライン1Aでは、図2に示すように表側本体シート部用原反10から底ガゼット部付き表側シート部11aが連続する連続表側シート部11を繰り出して底ガゼット部11a1に相当する部分を折り返すと共に、裏側本体シート部用原反20から裏側シート部12aが連続する連続裏側シート部12を繰り出す一方、サイドガゼット製造ライン1Bでは、図2に示すようにサイドガゼット用原反30に切れ目を入れたり折り返しながら図4に示すように2連続サイドガゼット部13を製造して本体シート部製造ライン1Aに供給する。
【0037】
次に、本体シート部製造ライン1Aでは、制御部16の制御によって、サイドガゼット製造ライン1Bからの2連続サイドガゼット部13の周縁部を順次、連続裏側シート部12の所定位置にヒートシールや超音波シール、高周波シール等によって接着し、その後、2連続サイドガゼット部13を接着した連続裏側シート部12の上からその周縁部と連続表側シート部11の周縁部とを同様に接着する。
【0038】
ここで、連続表側シート部11と連続裏側シート部12との間に2連続サイドガゼット部13を挟んで接着した際、図4に示すように識別マークγが印刷された2連続サイドガゼット部13の中央カット部13bは、連続表側シート部11と連続裏側シート部12において製品にならずそれぞれ識別マークα,βが印刷された袋左右端カット部11b,12bに接着されることになる
【0039】
そして最後に、制御部16の制御により上部カッタ14a、下部カッタ14b、縦カッタ14cによってそれぞれ袋上端カット部11c,12c、袋下端カット部11d,12d、袋左右端カット部11b,12bを切断してガゼット袋1を製造する。
【0040】
そのため、図3に示すように連続表側シート部11と連続裏側シート部12の袋左右端カット部11b,12bに印刷された識別マークα,β、および図4に示すようにサイドガゼット用原反30の中央カット部13bに印刷された識別マークγも、ガゼット袋1の製造工程においてカットされ、図6に示すように最終的には識別マークα,β,γが袋に表されないガゼット袋1が製品として製造されることになる。
【0041】
一方、読み込んだ識別マークα,β,γが一致しない等、表側本体シート部用原反10と裏側本体シート部用原反20とサイドガゼット用原反30とが正しい組み合わせでないと判定した場合(ステップS500“NO”)、制御部16は、ブザー(図示せず。)で警告音を鳴らしたり、モニタ(図示せず。)等に「原反の組み合わせが間違っています。原反を確認して下さい。」等の警告メッセージを表示する等、警告メッセージを出力して(ステップS700)、作業者に表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30の確認や再セットを促すようにする。
【0042】
そのため、作業者は、ブザー(図示せず。)からの警告音やモニタ(図示せず。)の警告メッセージによって表側本体シート部用原反10や裏側本体シート部用原反20、サイドガゼット用原反30のセット間違いを認識して、S600によってガゼット袋1の製造を実行する前に正しい表側本体シート部用原反10や裏側本体シート部用原反20、サイドガゼット用原反30で再セットを行うことができる。
【0043】
<実施形態のガゼット袋の製造方法の効果>
従って、本実施形態のガゼット袋の製造方法によれば、本体シート部用原反である表側本体シート部用原反10および裏側本体シート部用原反20に印刷された識別マークα,βと、サイドガゼット用原反30に印刷された識別マークγをそれぞれ表側本体シート部センサ15a、裏側本体シート部センサ15b、サイドガゼット部センサ15cで読取り、読み取った識別マークα,β,γを比較して、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30が正しい組み合わせであるか否かを判定し、正しい組み合わせである場合は表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30によってガゼット袋を製造する一方、正しい組み合わせでない場合は、作業者に対しブザー(図示せず。)からの警告音やモニタ(図示せず。)に警告メッセージを表示して警告を行う。
【0044】
そのため、実施形態のガゼット袋の製造方法によれば、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30が間違った組合せでセットされた場合は、作業者に対し警告が行われるので、本表側本体シート部用原反10や裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30を間違ってセットすることを作業者の目視検査に頼ることなく自動で確実に防止することができる。
【0045】
また、例えば、ある製品から別の製品にロット替えを行う際に、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30をそれぞれある製品から別の製品に原反を繋いでセットした際に、作業者が異なった種類の原反を意図せず繋いでしまった場合でも、識別マークα,β,γを比較して正しい組み合わせであるか否かを判定するので、作業者が異なった種類の原反を意図せず繋いでしまったことも自動で検出することができる。
【0046】
また、本実施形態のガゼット袋の製造方法では、識別マークα,β,γは、不要部分としてカットされる連続表側シート部11および裏側本体シート部用原反20から繰り出される連続表側シート部11および連続裏側シート部12の袋左右端カット部11b,12bと、ガゼット部用原反30から繰り出される2連続サイドガゼット部13の中央カット部13bに印刷等して設けている。
【0047】
そのため、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30それぞれに識別マークα,β,γを設けた場合でも、最終的に製品として製造されるガゼット袋1からは切除されるので、製造されるガゼット袋1のデザイン等に影響を与えることも防止することができる。
【0048】
尚、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30それぞれに設ける識別子α,β,γは、特にこだわるものではないが、例えば、ガゼット部13の製品名や製品番号等にしておくことで、作業者が目視でも識別子α,β,γを確認した場合に表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30が同一製品(正しい組み合わせ)の原反であるか否かを判別できることになり便利である。
【0049】
<識別マークα,βの他の位置>
また、上記実施形態の説明では、本体シート部用原反である表側本体シート部用原反10および裏側本体シート部用原反20に設ける識別マークα,βは、図3で説明したように連続表側シート部11および連続裏側シート部12の袋左右端カット部11b,12bに設けるものとして説明したが、本発明ではこれに限定されず、図7(a),(b)に示すように袋左右端カット部11b,12bと同様に最終的にカットされ、ガゼット袋1にならない表側本体シート部用原反10および裏側本体シート部用原反20の袋上端カット部11c,12cまたは袋下端カット部11d,12dに設けるようにしても勿論良い。
【0050】
<識別マークγの他の位置>
また、上記実施形態の説明では、サイドガゼット用原反30に設ける識別マークγは、図4(a),(b)に示すようにサイドガゼット用原反30から繰り出されカットされる2連続サイドガゼット部13の中央カット部13bに設けて説明したが、本発明ではこれに限らず、図8(a),(b)に示すように最終的にガゼット袋1の製品に残るサイドガゼット部13aの折込フラップ部13a1に識別マークγを設けるようにしても、折込フラップ部13a1はガゼット袋1の表側に現れず、ガゼット袋1の内側に現れるので製品上、問題ない。
【0051】
<識別マークα,β,γをガゼット袋1に残す例>
また、上記実施形態の説明では、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30それぞれに設ける識別マークα,β,γは、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30の絵柄(デザイン)とは異なり、最終的にはカットされガゼット袋1に残らないカット部や、識別マークγをガゼット袋1表面に現れない折込フラップ部13a1に設けて説明したが、本発明ではこれに限定されず、例えば、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30の絵柄(デザイン)を利用したり、図9に示すようにガゼット袋1の内容物に関するアレルギー物質や原材料成分等を示す文字や、バーコード、QRコード(登録商標)、データマトリックス等としてガゼット袋1に残る文字や記号等を利用するようにしても勿論良い。
【0052】
例えば、ガゼット袋1に印刷されたアレルギー物質や原材料成分等の文字や情報を示すバーコードやQRコード(登録商標)、データマトリックス等の記号を識別マークα,β,γとして利用すれば、底ガゼット部付き表側シート部11a、裏側シート部12a、サイドガゼット部13a,13aの両方にアレルギー物質や原材料成分等の情報を乗せられ、消費者が容易にその情報を確認することも出来る。そのため、この場合には、制御部16には予めメモリ(図示せず。)等に表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30の絵柄(デザイン)の正しい組み合わせや、識別マークα,β,γとしてのアレルギー物質や原材料成分等を示す文字や、バーコードやQRコード(登録商標)、データマトリックス等の記号等の正しい組み合わせ等が予め登録されている必要がある。ただし、同一ロットや同一製品、同一デザイン等の原反10,20,30には同一の絵柄(デザイン)や上述の文字、記号等を含む識別マークα,β,γが印刷されていて、絵柄(デザイン)や上述の文字、記号等を含む識別マークα,β,γが一致している(同一の)とき正しい原反10,20,30の組み合わせとなる場合は、絵柄(デザイン)や上述の文字、記号等を含む識別マークα,β,γの正しい組み合わせを制御部16に予め登録する必要がなく、制御部16は各センサ15a,15b,15cが検出した絵柄(デザイン)や上述の文字、記号等を含む識別マークα,β,γを単に一致しているか否か判定して正しい組み合わせであるか否か判定するようにしても良い。
【0053】
<原反が3種以外の場合>
また、上記実施形態の説明では、ガゼット袋1を製造するための原反が独立した表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30の3種の場合で説明したが、本発明ではこれに限らず、例えば底ガゼット部付き表側シート部11aおよび裏側シート部12aを同一の本体シート部用原反からカットして製造する本体シート部用原反とサイドガゼット用原反30の2種の原反の場合や、底ガゼット部が表側シート部11aから独立していて表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30以外に底ガゼット部用原反(図示せず。)が存在する4種の原反の場合等にも本発明を適用することができる。
【0054】
ただし、本体シート部用原反とサイドガゼット用原反30の2種の原反の場合には、本体シート部用原反とサイドガゼット用原反30のそれぞれに識別マークを設けることになり、本体シート部用原反とサイドガゼット用原反30のそれぞれの識別マークを検出するセンサが2台必要になり、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20およびサイドガゼット用原反30以外に底ガゼット部用原反(図示せず。)が存在する4種の原反の場合には、表側本体シート部用原反10、裏側本体シート部用原反20、サイドガゼット用原反30および底ガゼット部用原反(図示せず。)それぞれに識別マークを設ける必要があるため、4つの原反それぞれから識別マークを検出するセンサが4台必要になる。
【符号の説明】
【0055】
1 ガゼット袋
10 表側本体シート部用原反
11 連続表側シート部
11a 底ガゼット部付き表側シート部
11a1 底ガゼット部
11b 袋左右端カット部(図示せず。)
11c 袋上端カット部(図示せず。)
11d 袋下端カット部(図示せず。)
12 連続裏側シート部
12a 裏側シート部
12b 袋左右端カット部
12c 袋上端カット部
12d 袋下端カット部
13 2連続サイドガゼット部
13a,13a サイドガゼット部
13a1,13a1 折込フラップ部
14a 上部カッタ
14b 下部カッタ
14c 縦カッタ
15a 表側本体シート部センサ
15b 裏側本体シート部センサ
15c サイドガゼット部センサ
20 裏側本体シート部用原反
30 サイドガゼット用原反
α (表側本体シート部用原反の)識別マーク
β (裏側本体シート部用原反の)識別マーク
γ (サイドガゼット用原反の)識別マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9