(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】笠木用換気装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/70 20060101AFI20230516BHJP
E04D 13/15 20060101ALI20230516BHJP
E04B 1/684 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
E04B1/70 D
E04D13/15 301Z
E04B1/684 B
(21)【出願番号】P 2020201531
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595133736
【氏名又は名称】株式会社トーコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森村 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】飯田 祥希
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197961(JP,A)
【文献】特開2017-133274(JP,A)
【文献】特開2017-133265(JP,A)
【文献】特開2017-002551(JP,A)
【文献】特開2016-089577(JP,A)
【文献】特開2014-031709(JP,A)
【文献】特開2012-102486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/70
E04D 13/15
E04B 1/684
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の
外壁下地材の上部に配置される上枠材と、前記外壁下地材の外面に配置される通気胴縁と、前記通気胴縁の外面に配置される外壁材と、
前記上枠材及び前記外壁材の上方を覆う笠木とを有するパラペットに用いられ、前記外壁材
と前記笠木との間に配置され
て前記通気胴縁を上昇した空気を換気孔から排出する笠木用換気装置であって
、
前記外壁材と前記笠木との間に配置される換気部材が、
換気部材底面板の前端から立ち上げた換気部材前面板と、
前記換気部材前面板の上端から後方に延出させた換気部材天面板と
、
前記換気部材底面板の後端側から立ち上げた内部防水壁と
からなり、
前記換気部材前面板には、
前記換気孔が形成され、
前記換気孔を、高さ方向が幅方向より短い長孔とし、
前記換気部材前面板の幅方向に前記換気孔が複数形成され、
前記換気部材底面板と前記換気部材天面板との
間に、前記通気胴縁を上昇した前記空気が通過する換気通路が形成され、
前記内部防水壁を、前記換気通路に配置し、
前記内部防水壁の上端を前記内部防水壁の下端よりも前記換気部材前面板に近接させ、
前記内部防水壁の前記上端を、前記換気孔よりも高い位置とした
ことを特徴とする笠木用換気装置。
【請求項2】
前記換気部材前面板は前記外壁材より前方に
位置する
ことを特徴とする
請求項1に記載の笠木用換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 建造物の外壁材と外壁材の上方を覆う笠木との間に配置される笠木用換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、建造物の外壁材と外壁材の上方を覆う笠木との間に配置される笠木用換気装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、各々が凹凸断面形状を有する合成樹脂シートを複数積層した状態で熱融着によって相互に接続して一体化され、一方側面から他方側面へ貫通する通気孔が多数形成された換気部材によって、通気性能と防水性能を確保している。
【0005】
本発明は、このような換気部材を用いることなく、換気孔から流入する雨水を換気部材後面板に至ることを防止できる笠木用換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の笠木用換気装置は、建造物の外壁下地材81の上部に配置される上枠材82と、前記外壁下地材81の外面に配置される通気胴縁83と、前記通気胴縁83の外面に配置される外壁材84と、前記上枠材82及び前記外壁材84の上方を覆う笠木85とを有するパラペット80に用いられ、前記外壁材84と前記笠木85との間に配置されて前記通気胴縁83を上昇した空気を換気孔27から排出する笠木用換気装置であって、前記外壁材84と前記笠木85との間に配置される換気部材20、20xが、換気部材底面板21の前端から立ち上げた換気部材前面板22と、前記換気部材前面板22の上端から後方に延出させた換気部材天面板23と、前記換気部材底面板21の後端側から立ち上げた内部防水壁25とからなり、前記換気部材前面板22には、前記換気孔27が形成され、前記換気孔27を、高さ方向が幅方向より短い長孔とし、前記換気部材前面板22の幅方向に前記換気孔27が複数形成され、前記換気部材底面板21と前記換気部材天面板23との間に、前記通気胴縁83を上昇した前記空気が通過する換気通路Aが形成され、前記内部防水壁25を、前記換気通路Aに配置し、前記内部防水壁25の上端を前記内部防水壁25の下端よりも前記換気部材前面板22に近接させ、前記内部防水壁25の前記上端を、前記換気孔27よりも高い位置としたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の笠木用換気装置において、前記換気部材前面板22は前記外壁材84より前方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の笠木用換気装置によれば、内部防水壁の上端を内部防水壁の下端よりも換気部材前面板に近接させ、内部防水壁の上端を、換気孔よりも高い位置とすることで、換気孔から流入する雨水を換気部材後面板に至ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による笠木用換気装置の断面図、斜視図、及び同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図
【
図3】本実施例による笠木用換気装置の施工の一部を示す説明図
【
図4】本発明の他の実施例による笠木用換気装置の断面図、斜視図、及び同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図
【
図5】本発明の更に他の実施例による笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図
【
図6】本発明の笠木用換気装置に用いる換気部材の他の実施例による組図、及び分離図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による笠木用換気装置は、外壁材と笠木との間に配置される換気部材が、換気部材底面板の前端から立ち上げた換気部材前面板と、換気部材前面板の上端から後方に延出させた換気部材天面板と、換気部材底面板の後端側から立ち上げた内部防水壁とからなり、換気部材前面板には、換気孔が形成され、換気孔を、高さ方向が幅方向より短い長孔とし、換気部材前面板の幅方向に換気孔が複数形成され、換気部材底面板と換気部材天面板との間に、通気胴縁を上昇した空気が通過する換気通路が形成され、内部防水壁を、換気通路に配置し、内部防水壁の上端を内部防水壁の下端よりも換気部材前面板に近接させ、内部防水壁の上端を、換気孔よりも高い位置としたものである。本実施の形態によれば、換気孔から流入する雨水を換気部材後面板に至ることを防止できる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による笠木用換気装置において、換気部材前面板は外壁材より前方に位置するものである。本実施の形態によれば、換気通路の奥行寸法を大きくできることで、換気通路に流入した雨水を換気通路に留めることができ、屋内に雨水が浸入することはない。
【実施例】
【0011】
以下本発明の一実施例による笠木用換気装置について説明する。
図1は本発明の一実施例による笠木用換気装置の断面図、斜視図、及び同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図である。
図1(a)は同笠木用換気装置の断面図、
図1(b)は同笠木用換気装置の斜視図、
図1(c)は同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図を示している。
【0012】
図1(c)に示す建造物のパラペット80は、外壁下地材81の上部に配置される上枠材82と、外壁下地材81の外面に配置される通気胴縁83と、通気胴縁83の外面に配置される外壁材84と、上枠材82及び外壁材84の上方を覆う笠木85とを有している。
笠木85は、上枠材82及び外壁材84の上部を覆う天面部85aと、天面部85aから垂下して外壁材84の側方に配置される垂下部材85bとを有している。
本実施例による笠木用換気装置は、建造物の外壁材84の上方で、外壁材84より外方に配置される垂下部材85bより内方に配置される。
【0013】
本実施例による笠木用換気装置は、外壁材84の上端を覆う気密部材10と、気密部材10の上方に配置される換気部材20とを備えている。本実施例における気密部材10は、見切縁10Aで構成されている。
見切縁10Aは、外壁材84の上端を覆う見切縁上面板11と、見切縁上面板11の前端から垂下させた見切縁前面板12と、見切縁上面板11の後端から垂下させた見切縁後面板13とからなる。見切縁後面板13の鉛直方向長さは、見切縁前面板12の鉛直方向長さより長く、見切縁前面板12の鉛直方向長さの1.5倍から3倍の長さが好ましい。見切縁前面板12の下部には後方側に折り曲げられて折返し部12aを形成し、見切縁後面板13の下部には前方側に折り曲げられて折返し部13aを形成している。
【0014】
換気部材20は、気密部材10の上面となる見切縁上面板11の上面に対向して配置される換気部材底面板21と、換気部材底面板21の前端から立ち上げた換気部材前面板22と、換気部材前面板22の上端から後方に延出させた換気部材天面板23と、換気部材天面板23の後端から垂下させた換気部材後面板24と、換気部材底面板21の後端から立ち上げた内部防水壁25とからなる。
換気部材前面板22には、換気孔27が形成されている。換気孔27は、高さ方向が幅方向より短い長孔であり、幅方向に複数形成されている。
換気部材底面板21より上方であって換気部材天面板23より下方で、換気部材前面板22の後方であって換気部材後面板24の前方に換気通路Aが形成される。
内部防水壁25は、換気通路Aに設けている。
内部防水壁25の上端は、内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端は、換気孔27よりも高い位置としている。
【0015】
第1防水パッキン31は、見切縁上面板11の上面に配置され、第2防水パッキン32は、見切縁後面板13の前面に配置される。
第1防水パッキン31及び第2防水パッキン32は、発泡性のゴム又は樹脂素材であり、防水性能と耐久性能が高いEPDMゴムや熱可塑性エラストマーが好ましい。
第1防水パッキン31及び第2防水パッキン32は、見切縁10Aの幅方向長さと同じ長さで帯状に成形されており、粘着剤によって見切縁10Aに固定される。
第1防水パッキン31は、見切縁上面板11の奥行方向の中央部に配置することが好ましい。
第2防水パッキン32は、見切縁前面板12の下端以下の位置に配置することが好ましい。
第1防水パッキン31は、
図1(c)に示す施工時には、見切縁上面板11と換気部材底面板21との間で圧縮されて施工される。
また、第2防水パッキン32は、
図1(c)に示す施工時には、見切縁後面板13の前面と外壁材84との間で圧縮されて施工される。
【0016】
図2は
図1(c)の要部拡大断面図である。
本実施例による笠木用換気装置は、見切縁上面板11の奥行寸法L1を外壁材84の厚さL2よりも大きくすることで、見切縁前面板12と外壁材84との間に水切空間Bを形成している。
また、本実施例による笠木用換気装置は、見切縁上面板11の前端は、換気部材底面板21の前端より前方に突出させている。そして、見切縁前面板12と垂下部材85bとの間には、気密部材側通気路Cが形成され、換気部材前面板22と垂下部材85bとの間には、換気部材側通気路Dが形成される。
従って、換気部材側通気路Dは、気密部材側通気路Cよりも、通気路奥行き寸法が大きく、換気部材側通気路Dと気密部材側通気路Cとの通気路奥行き寸法を異ならせている。
【0017】
本実施例によれば、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端を、換気孔27よりも高い位置とすることで、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
また、本実施例によれば、第1防水パッキン31により見切縁上面板11と換気部材底面板21との間の防水を行い、第2防水パッキン32により見切縁後面板13の前面と外壁材84との間の防水を行うため、外壁材84の上端と換気部材20との間での防水性能を確保でき、外壁材84に沿って上昇する雨水は、水切空間Bに導かれ、見切縁前面板12に沿って落下するために、換気部材前面板22には導かれず、換気孔27から換気通路Aに流入しないので防水性能に優れる。
【0018】
また、本実施例によれば、雨水は、気密部材側通気路C及び換気部材側通気路Dを上昇しなければ換気孔27に至らないため、換気通路Aに流入しにくく、更に防水性に優れる。
また、本実施例によれば、換気部材側通気路Dと気密部材側通気路Cとの通気路奥行き寸法を異ならせることで、雨水の流速が変化するため乱流が発生し、雨水は換気通路Aに流入しにくい。
【0019】
本実施例による笠木用換気装置は、換気部材前面板22は外壁材84より前方に位置させ、換気部材後面板24は外壁材84より後方に位置させている。
従って、換気通路Aの奥行寸法を大きくでき、換気通路Aに流入した雨水を換気通路Aに留めることができ、屋内に雨水が浸入することはない。
【0020】
また、本実施例による笠木用換気装置は、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させており、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
なお、本実施例による笠木用換気装置では、通気胴縁83を上昇した空気は、換気通路Aを通過して換気孔27から排出される。
【0021】
図3は本実施例による笠木用換気装置の施工の一部を示す説明図である。
図3(a)に示すように、外壁下地材81に透湿防水シート51を貼る。
そして、
図3(b)に示すように、透湿防水シート51を貼った外壁下地材81に換気部材20を、留め具52によって留め付ける。
換気部材20を外壁下地材81に留め付けた後に、
図3(c)に示すように、通気胴縁83を、換気部材20の上から外壁下地材81に留め付ける。
このように、換気部材後面板24を、外壁材84よりも建造物側に配置される外壁下地材81に留め付けることで、換気部材後面板24を強固に取り付けることができるとともに、通気胴縁83を外壁下地材81に取り付ける際に、換気部材20を通気胴縁83で外壁下地材81に挟み込むことができる。
【0022】
図4は本発明の他の実施例による笠木用換気装置を示し、
図4(a)は同笠木用換気装置の断面図、
図4(b)は同笠木用換気装置の斜視図、
図4(c)は同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図を示している。なお、上記実施例と同一の機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例による笠木用換気装置は、気密部材10Bを、バックアップ材10Ba及びシーリング材10Bbによって形成している他は、上記実施例と同一である。
【0023】
本実施例によれば、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端を、換気孔27よりも高い位置とすることで、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
また、本実施例によれば、雨水は、気密部材側通気路C及び換気部材側通気路Dを上昇しなければ換気孔27に至らないため、換気通路Aに流入しにくく、更に防水性に優れる。
また、本実施例によれば、換気部材側通気路Dと気密部材側通気路Cとの通気路奥行き寸法を異ならせることで、雨水の流速が変化するため乱流が発生し、雨水は換気通路Aに流入しにくい。
【0024】
本実施例による笠木用換気装置は、換気部材前面板22は外壁材84より前方に位置させ、換気部材後面板24は外壁材84より後方に位置させている。
従って、換気通路Aの奥行寸法を大きくでき、換気通路Aに流入した雨水を換気通路Aに留めることができ、屋内に雨水が浸入することはない。
【0025】
また、本実施例による笠木用換気装置は、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させており、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
なお、本実施例による笠木用換気装置では、通気胴縁83を上昇した空気は、換気通路Aを通過して換気孔27から排出される。
【0026】
図5は本発明の更に他の実施例による笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図を示している。なお、
図1及び
図2に示す実施例と同一の機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例による笠木用換気装置は、
図2に示すような水切空間Bを形成していない他は、上記実施例と同一である。
すなわち、本実施例では、見切縁前面板12は外壁材84に当接させている。
【0027】
本実施例によれば、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端を、換気孔27よりも高い位置とすることで、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
また、本実施例によれば、第1防水パッキン31により見切縁上面板11と換気部材底面板21との間の防水を行い、第2防水パッキン32により見切縁後面板13の前面と外壁材84との間の防水を行うため、外壁材84の上端と換気部材20との間での防水性能を確保できる。
【0028】
また、本実施例によれば、雨水は、気密部材側通気路C及び換気部材側通気路Dを上昇しなければ換気孔27に至らないため、換気通路Aに流入しにくく、更に防水性に優れる。
また、本実施例によれば、換気部材側通気路Dと気密部材側通気路Cとの通気路奥行き寸法を異ならせることで、雨水の流速が変化するため乱流が発生し、雨水は換気通路Aに流入しにくい。
【0029】
本実施例による笠木用換気装置は、換気部材前面板22は外壁材84より前方に位置させ、換気部材後面板24は外壁材84より後方に位置させている。
従って、換気通路Aの奥行寸法を大きくでき、換気通路Aに流入した雨水を換気通路Aに留めることができ、屋内に雨水が浸入することはない。
【0030】
また、本実施例による笠木用換気装置は、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させており、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
なお、本実施例による笠木用換気装置では、通気胴縁83を上昇した空気は、換気通路Aを通過して換気孔27から排出される。
【0031】
図6は本発明の笠木用換気装置に用いる換気部材の他の実施例を示し、
図6(a)は組図、
図6(b)は分離図である。
図6に示す換気部材20Xは、上記実施例で説明した換気部材20に代えて用いることができる。
【0032】
換気部材20Xは、気密部材10の上面となる見切縁上面板11の上面に対向して配置される換気部材底面板21と、換気部材底面板21の前端から立ち上げた換気部材前面板22と、換気部材前面板22の上端から後方に延出させた換気部材天面板23と、換気部材天面板23の後端から垂下させた換気部材後面板24と、換気部材底面板21の後端から立ち上げた内部防水壁25とからなる。
換気部材前面板22には、換気孔27が形成されている。換気孔27は、高さ方向が幅方向より短い長孔であり、幅方向に複数形成されている。
換気部材底面板21より上方であって換気部材天面板23より下方で、換気部材前面板22の後方であって換気部材後面板24の前方に換気通路Aが形成される。
換気部材底面板21の後端には、換気部材底面板21の後端から立ち上げた底面立上板21xを形成している。
内部防水壁25の上端には前方下方に折り曲げた支持片25xを形成し、内部防水壁25の下端には後方上方に折り曲げた支持片25yを形成している。また、内部防水壁25の上部には通路孔25zを形成している。通路孔25zの下端は、換気孔27の上端よりも高い位置に形成している。支持片25xは換気部材前面板22に当接し、支持片25yは底面立上板21xに当接させる。
このように、内部防水壁25の上端を換気部材前面板22の上部に当接させ、内部防水壁25の下端を底面立上板21xの下部に当接させることで、内部防水壁25を別部材とすることができ、換気通路A内に内部防水壁25を位置決めしやすい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、外壁通気層の出口としての陸屋根やバルコニーの笠木下に用いる換気装置に適している。
【符号の説明】
【0034】
10 気密部材
10A 見切縁
10B 気密部材
10Ba バックアップ材
10Bb シーリング材
11 見切縁上面板
12 見切縁前面板
12a 折返し部
13 見切縁後面板
13a 折返し部
20 換気部材
20x 換気部材
21 換気部材底面板
21x 底面立上板
22 換気部材前面板
23 換気部材天面板
24 換気部材後面板
25 内部防水壁
25x 支持片
25y 支持片
25z 通路孔
27 換気孔
31 第1防水パッキン
32 第2防水パッキン
51 透湿防水シート
52 留め具
80 パラペット
81 外壁下地材
82 上枠材
83 通気胴縁
84 外壁材
85 笠木
85a 天面部
85b 垂下部材
A 換気通路
B 水切空間
C 気密部材側通気路
D 換気部材側通気路
L1 奥行寸法
L2 厚さ