(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】自動リフト装置
(51)【国際特許分類】
B66C 1/02 20060101AFI20230516BHJP
B25J 9/02 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B66C1/02 D
B25J9/02 Z
(21)【出願番号】P 2020550908
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2018084115
(87)【国際公開番号】W WO2019110843
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-03
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】520200034
【氏名又は名称】コボット リフト エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トルエルセン、フレミング ビスチョフ
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-262978(JP,A)
【文献】特表平10-503159(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0360961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00-3/20
B25J 1/00-21/02
B65G 47/80;
47/84-47/86;
47/90-47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のユニット(1)と第2のユニット(2)を備えるリフト装置であって、第1のユニット(1)は、対象物を捕捉及び/又は保持し、その対象物を
水平方向に移動するための動力を提供するよう構成され、第2のユニット(2)は、対象物の垂直位置を制御するよう構成され、第1のユニット(1)は、
固定垂直延長部(3)と、水平延長部(4)と、第1と第2の取付位置を有する巻上管などのリフト部(12)とを備え、第1の取付位置では、リフト部(12)が水平延長部(4)に取り付け又は固定され、第2の取付位置では、リフト部(12)が縦部材(11)に取り付け又は固定され、縦部材(11)は、吸引パッドなどの捕捉部(5)を備え、
スライド部材(10)は、縦部材(11)に沿って、第1と第2の端部位置の間で2つの方向にスライドするよう構成され、縦部材(11)に対するスライド部材(10)の実際の位置は、リフト部(12)の揚力を決定するよう構成され、
前記第2のユニット(2)は、第
3の取付位置と第2の取付位置を有し、
前記第
3の取付位置は、前記第1のユニット(1)の垂直延長部(3)に固定され、
前記第2のユニット(2)によって第
4の取付位置で発生したすべての動きをスライド部材(10)に伝達するよう構成された剛性ジョイントによって、第
4の取付位置が第1のユニット(1)のスライド部材(10)に固定されている、
ことを特徴とするリフト装置。
【請求項2】
前記第2のユニット(2)は、前記対象物の水平位置を制御するよう構成され、該第2のユニット(2)は、前記水平延長部(4)に対して相対的に移動するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリフト装置。
【請求項3】
前記第2のユニット(2)は、前記第1の取付位置に対して前記第2の取付位置の水平位置と垂直位置を制御するよう構成されたロボットを含む、又はそれから構成され、ロボットは、一連の動作や運動を自動で行えるコンポーネント又はシステムとして定義されることを特徴とする請求項1に記載のリフト装置。
【請求項4】
前記縦部材(11)は、動作中に空気が通される中央開口部を備え、前記縦部材(11)は、縦部材(11)の壁の長手方向に延在する開口部(13)を備えて構成され、この開口部(13)は、空気が中央開口部とその周囲との間を流れることを可能にし、スライド部材(10)が第1の端部位置にあるときにスライド部材(10)によって覆われ、スライド部材(10)が第2の端部位置にあるときにスライド部材(10)によって覆われない、又は部分的にのみ覆われるよう構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項5】
前記スライド部材(10)は、第1のユニット(1)の縦部材(11)の外面形状に対応する内面形状を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項6】
前記対応する内
面形状は、前記縦部材(11)に対する前記スライド部材(10)の回転を可能に
しない非円形や類似の形状であることを特徴とする請求項5に記載のリフト装置。
【請求項7】
前記スライド部材(10)は、前記第1のユニット(1)の前記縦部材(11)の外面形状に対応する内面形状を有し、その対応する形状は、多角形、例えば、長方形や楕円形であってもよく、前記縦部材(11)に対する前記スライド部材(10)の回転を阻止する突出部、例えば、長手方向延長部などを有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項8】
前記リフト部(12)は、オン・オフが切り替えられるよう構成された真空源に接続された真空巻上管(12)であり、その巻上管(12)は、前記縦部材(11)に接続されて、真空源によって生成された空気流が真空巻上管(12)と縦部材(11)の両方を流れるようにしていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項9】
バルブ装置(13)は、前記巻上管(12)がその内部の空気圧に応じて軸方向に伸縮可能となるよう、巻上管(12)へと空気を流すよう構成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項10】
前記スライド部材(10)の位置によって、前記バルブ装置(13)の開放を制御することを特徴とする請求項
9に記載のリフト装置。
【請求項11】
前記バルブ装置は、前記縦部材(11)の長手方向に延在する開口部(13)によって構成されていることを特徴とする請求項
9又は10に記載のリフト装置。
【請求項12】
前記第2のユニット(2)は、枢動ヒンジによって接合され、互いの延長に配置された少なくとも2つの部品又はアームを含み、前記第2のユニット(2)は、その一端が垂直延長部(3)に枢動可能に固定されている、つまり、その一端は分離できないが、前記垂直延長部(3)に対して枢動可能であってもよく、その他端が前記スライド部材(10)に固定されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項13】
前記第1の取付位置にある前記第2のユニット(2)は、前記垂直延長部(3)に対して静止し固定される締結手段(8)に取り付け又は固定され、前記第2の取付位置では、前記第2のユニット(2)は、前記スライド部材(10)に対して静止し固定された制御部材(9)を備えていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項14】
前記制御部材(9)及び前記スライド部材(10)は、該スライド部材(10)が、前記縦部材(11)に対して、該縦部材(11)に沿った第1の位置と第2の位置の間に定義された経路以外の他の方向に移動するのを防ぐよう構成された対応する係止手段を備えていることを特徴とする請求項
13に記載のリフト装置。
【請求項15】
前記スライド部材(10)と吸引パッドの形態の捕捉部(5)との間に配置されたバルブ(14)を備え、このバルブ(14)は、真空巻上管(12)の内部と吸引パッド(5)の内部との間の空気の流れを分離するよう構成されていることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項16】
前記バルブ(14)は、巻上管(12)から吸引パッド(5)への空気の流れを阻止する閉位置と、巻上管(12)から吸引パッド(5)へと空気が流れるようにする開位置との間で移動可能なプレートなどのユニット(15)を備えていることを特徴とする請求項15に記載のリフト装置。
【請求項17】
前記縦部材(11)は
、開口部として形成されたバルブ装置(13)に対して反対側の面上に配置されたガイド手段(18)を備え、そのガイド手段(18)は、スライド部材(10)のスライド部(19)に対応し、スライド部(19)は、ガイド手段(18)に沿ってスライドするよう構成されていることを特徴とする請求項15に記載のリフト装置。
【請求項18】
前記スライド部材(10)は、開口部として形成されたバルブ装置(13)を介して空気の取り込みを閉鎖又は排除するよう構成された閉鎖部(20)を備え、該閉鎖部(20)は、浮動的に取り付けられていてもよい、つまり、開口部(13)の周りの表面に垂直な方向に移動可能であることを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のリフト装置。
【請求項19】
前記閉鎖部(20)は、スライドのカバー(22)の開口部を介して開口部(13)の周りの表面に垂直に延在する2つ以上の突出部(20a)によって取り付けられ、突出部(20a)は、垂直方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項18に記載のリフト装置。
【請求項20】
前記リフト部(12)は、真空源に接続された真空巻上管(12)であり、該真空巻上管(12)は、前記縦部材(11)に接続され、前記真空源によって生成された空気流が真空巻上管(12)と縦部材(11)の両方を流れることで揚力が得られ、必要に応じて、第2の真空供給源によって、吸引パッドの形態の捕捉部(5)に独立した真空が得られるようすることを特徴とする請求項15に記載のリフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を持ち上げ、それを垂直に、場合によっては水平に置き換えるためのリフト装置に関するものである。このリフト装置は、吸引パッドなどの一つ又は複数の捕捉部で構成された第1のユニットと、対象物の垂直位置や、必要に応じてその水平位置を制御するよう構成された第2のユニットとを備える。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、可変長のベローズ状のリフト管の拡張や収縮をリフト管内の真空レベルを制御することによって制御し、その真空レベルをユーザが操作可能なバルブによって制御することでリフト管の内部を大気と接続したり分離したりする従来の真空リフト/ホイスト装置が開示されている。よって、完全に開いたバルブ位置では、リフト管の内部が大気に開放され、リフト管内が真空ではなくなり、管が懸架点から垂直にぶら下がると、リフト管はその最大拡張長まで下がる。逆に、完全に閉じたバルブ位置では、真空が最大になり、管はその最大収縮位置まで上昇する。ここでは、最大リフト高さを使用している。よって、バルブの中間開放により中間位置が得られることになる。特許文献1による装置では、ユーザ4の片手3で握られるよう構成された固定上部ハンドル2を備えた真空昇降ヘッド12を開示されている。このヘッド12は、片手操作に適した可動下部ハンドル7も備えている。三角形の開口部10がヘッド12の一部に設けられ、それに対応する三角形状を有し、簡素なカバープレートの形をしたバルブ部材11が下部ハンドル7に取り付けられ、下部ハンドル7がユーザに動かされることによって変位可能となっている。開口部10がバルブ部材11によって完全に閉鎖されると、リフト管23内の真空レベルが最大となり、それにより、管が蛇腹のようにその最小長まで収縮して、真空昇降ヘッドがその最大高さに達する。従って、第1の要件は、持ち上げられ、再配置された後に下ろされる対象物18に係合するまで、ユーザがヘッド12を下げることである。従って、ユーザの手のひら3が固定ハンドル2を握った状態で、ユーザの指は下向きになり、下部可動ハンドル7に係合して押し下げる。これにより、開口部10が露出し、固定ハンドル2を適切に操作するユーザの指導の下で、リフト管23に懸架された昇降ヘッド12が対象物18に接触するまで、関連する真空ポンプの排気能力を超える開口部10からの大気の侵入によってリフト管23内が真空ではなくなる。その後、可動ハンドル7を上向きに引くと、開口部10が部分的に閉じて、リフト管23と昇降ヘッド12の両方の内部の真空が再び得られる。バルブ部材11によって、ユーザの制御範囲で開口部10を部分的に開放することで、対象物18がユーザ制御可能な高さで把持され、ホバーモードとなる。ユーザが可動ハンドル7をさらに上方へと動かすと、開口部10がバルブ部材11によって完全に閉じられ、対象物18を最大高さまで持ち上げ、再配置することができる。従って、再配置された位置では、ユーザがバルブ部材11を制御することで開口部10を部分的に露出させることによって、リフトヘッド12と対象物18が降下し、完全に露出させることによって、すでに持ち上げられ、移動され、下ろされた対象物18が解放される。
【0003】
特許文献2には、上端で懸架され、オン・オフが切り替えられる真空源に接続された垂直巻上管を備えた真空巻上装置が開示され、下端の管には、吸引フットと、その吸引フットを操作するために吸引フットに固定された位置決めハンドルと、巻上管内の空気圧に応じて巻上管が軸方向に伸縮可能となるよう、空気を巻上管に通すことを可能にする手動操作バルブ装置とが設けられている。
【0004】
上記装置には、管状の位置決めハンドルを備えており、巻上管の内部と吸引フットの内部との間の斜め下向きの接続部を構成し、上端位置と下端位置の間に配置された外側の軸方向にスライド式に取り付けられた把持スリーブを備えている。この把持スリーブは、接続手段によって手動操作バルブ装置に接続され、把持スリーブがばねの作用に抗してその下端位置に向かってスライドされると、バルブ装置が強制的に開放される。把持スリーブが操作されていない状態では、バルブ装置が閉じられ、吸引源が作動している状態では、吸引フットは動かずに吊り下げられているか、真空巻上装置のトリミングに応じてゆっくりと上部リフト位置まで持ち上げられる。把持スリーブを下方向にスライドさせると、バルブ装置が開き、空気が巻上管へと流れ込み、巻上管内の真空が低下し、吸引フットが降下する。吸引フットが対象物に配置された後、バルブ装置に作用するばね力によって補助されたバルブ装置が閉じ、対象物が吸引フットにしっかりと吸引され、これによって、巻上管内の真空度の増大により巻上管が収縮し始める際に上方へ持ち上げられるように、把持スリーブを上方にスライド可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第0493979号明細書
【文献】国際公開公報第2007/094720号
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、以下の点で改善された利点を有するリフト装置を提供することである。
・より安全な作業。システムにはロボットが含まれているため、何かに遭遇するとシステムが停止するため、従業員はシステムの近くでの作業が可能となる。これにより、装置を覆うことがなくなり、よりコンパクトな設計が実現可能となる。
・一般により簡単なプログラミング。顧客は自身でプログラムを調整可能なため、外部の専門家にかかる費用を回避できる。
・迅速なインストール。従来のシステムと比較して、設備やプログラミングが少なくて済む。
・システムがシンプルとなるため、デリバリーがより迅速に行える。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、第1のユニット(1)と第2のユニット(2)を備えるリフト装置に関し、第1のユニット(1)は、対象物を捕捉及び/又は保持し、その対象物を垂直方向に移動するための動力を提供するよう構成され、第2のユニット(2)は、対象物の垂直位置を制御するよう構成され、第1のユニット(1)は、
固定垂直延長部(3)と、水平延長部(4)と、第1と第2の取付位置を有する巻上管などのリフト部(12)とを備え、第1の取付位置では、リフト部(12)が水平延長部(4)に取り付け又は固定され、第2の取付位置では、リフト部(12)が縦部材(11)に取り付け又は固定され、縦部材(11)は、吸引パッドなどの捕捉部(5)を備え、
スライド部材(10)は、縦部材(11)に沿って、第1と第2の端部位置の間で2つの方向にスライドするよう構成され、縦部材(11)に対するスライド部材(10)の実際の位置は、リフト部(12)の揚力を決定するよう構成され、
第2のユニット(2)は、第1の取付位置と第2の取付位置を有し、
第1の取付位置は、第1のユニット(1)の垂直延長部(3)に固定され、
第2のユニット(2)によって第2の取付位置で発生したすべての動きをスライド部材(10)に伝達するよう構成された剛性ジョイントによって、第2の取付位置が第1のユニット(1)のスライド部材(10)に固定されている。
【0008】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、第2のユニット(2)は、対象物の水平位置を制御するよう構成されていてもよく、第2のユニット(2)は、水平延長部(4)に対して相対的に移動するよう構成されていてもよい。この移動は、垂直延長部(3)の周りの旋回運動及び/又は水平延長部(4)に沿った直線運動を含んでいてもよい。
【0009】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、第2のユニット(2)は、第1の取付位置に対して第2の取付位置の水平位置と垂直位置を制御するよう構成されたロボットを含んでいてもよく、又はそれから構成されていてもよく、ロボットは、一連の動作や運動を自動で行えるコンポーネント又はシステムとして定義される。
【0010】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、縦部材(11)は、動作中に空気が通される中央開口部を備えていてもよく、縦部材(11)は、縦部材(11)の壁の長手方向に延在する開口部(13)を備えて構成されていてもよい。この開口部(13)は、空気が中央開口部とその周囲との間を流れることを可能にし、開口部(13)は、スライド部材(10)が第1の端部位置にあるときにスライド部材(10)によって覆われ、スライド部材(10)が第2の端部位置にあるときにスライド部材(10)によって覆われない、又は部分的にのみ覆われるよう構成される。「縦部材の壁の長手方向に延在する」とは、開口部には、その制御や変更を行える範囲があることを示し、通常、開口部は、縦部材(11)の長さの0.2~0.9倍、例えば、縦部材(11)の長さの0.25~0.75倍にわたって延在していてもよい。例えば、開口部は、少なくとも5cmの長さ、すなわち、5cmにわたって延在する、好ましくは、少なくとも10cmの長さ、すなわち、10cm以上にわたって延在する必要がある。
【0011】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、スライド部材(10)は、第1のユニット(1)の縦部材(11)の外面形状に対応する内面形状を有していてもよい。
【0012】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、対応する表面形状は、縦部材(11)に対するスライド部材(10)の回転を可能にする非円形や類似の形状であってもよい。
【0013】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、スライド部材(10)は、第1のユニット(1)の縦部材(11)の外面形状に対応する内面形状を有していてもよく、その対応する形状は、多角形、例えば、長方形や楕円形であってもよく、縦部材(11)に対するスライド部材(10)の回転を阻止する突出部、例えば、長手方向延長部などを有していてもよい。
【0014】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、リフト部(12)は、オン・オフが切り替えられるよう構成された真空源に接続された真空巻上管(12)であってもよく、その巻上管(12)は、縦部材(11)に接続されて、真空源によって生成された空気流が真空巻上管(12)と縦部材(11)の両方を流れるようにしてもよい。
【0015】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、該リフト装置は、巻上管(12)がその内部の空気圧に応じて軸方向に伸縮可能となるよう、巻上管(12)へと空気を流すよう構成されたバルブ装置(13)を備えていてもよい。
【0016】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、スライド部材(10)の位置によって、バルブ装置(13)の開放を制御してもよい。
【0017】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、バルブ装置は、縦部材(11)の長手方向に延在する開口部(13)によって構成されていてもよい。「縦部材の壁の長手方向に延在する」とは、開口部には、その制御や変更を行える範囲があることを示し、通常、開口部は、縦部材(11)の長さの0.2~0.9倍、例えば、縦部材(11)の長さの0.25~0.75倍にわたって延在していてもよい。例えば、開口部は、少なくとも5cmの長さ、すなわち、5cmにわたって延在する、好ましくは、少なくとも10cmの長さ、すなわち、10cm以上にわたって延在する必要がある。
【0018】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、第2のユニット(2)は、枢動ヒンジによって接合され、互いの延長に配置された少なくとも2つの部品又はアームを含んでいてもよく、第2のユニット(2)は、その一端が垂直延長部(3)に枢動可能に固定されていてもよい。すなわち、その一端は分離できないが、垂直延長部(3)に対して枢動可能であってもよい。また、第2のユニット(2)は、その他端がスライド部材(10)に固定されていてもよい。すなわち、その他端はスライド部材(10)に対して相対的に移動するのではなく、スライド部材(10)と共に移動してもよい。
【0019】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、第1の取付位置にある第2のユニット(2)は、垂直延長部(3)に対して静止し固定される締結手段(8)に取り付け又は固定されていてもよく、第2の取付位置では、第2のユニット(2)は、スライド部材(10)に対して静止し固定された制御部材(9)を備えていてもよい。
【0020】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、制御部材(9)及びスライド部材(10)は、スライド部材(10)が、縦部材(11)に対して、縦部材(11)に沿った第1位置と第2位置の間に定義された経路以外の他の方向に移動するのを防ぐよう構成された対応する係止手段を備えていてもよい。
【0021】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、該リフト装置は、スライド部材(10)と吸引パッドの形態の捕捉部(5)との間に配置されたバルブ(14)を備えていてもよく、このバルブ(14)は、真空巻上管(12)の内部と吸引パッド(5)の内部との間の空気の流れを分離するよう構成されていてもよい。
【0022】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、バルブ(14)は、巻上管(12)から吸引パッド(5)への空気の流れを阻止する閉位置と、巻上管(12)から吸引パッド(5)へと空気が流れるようにする開位置との間で移動可能なプレートなどのユニット(15)を備えていてもよい。
【0023】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、縦部材(11)は、異なる表面、例えば、開口部として形成されたバルブ装置(13)に対して反対側の面上に配置されたガイド手段(18)を備えていてもよく、そのガイド手段(18)は、スライド部材(10)のスライド部(19)に対応し、スライド部(19)は、ガイド手段(18)に沿ってスライドするよう構成されている。
【0024】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、スライド部材(10)は、開口部として形成されたバルブ装置(13)を介して空気の取り込みを閉鎖又は排除するよう構成された閉鎖部(20)を含んでいてもよい。すなわち、閉鎖部(20)は、開口部(13)の周りの表面に垂直な方向に移動可能であってもよい。
【0025】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、閉鎖部(20)は、スライドのカバー(22)の開口部を介して開口部(13)の周りの表面に垂直に延在する2つ以上の突出部(20a)によって取り付けられてもよい。突出部(20a)は、垂直方向に移動可能に構成されているが、開口部(13)の周囲の表面に平行な方向には移動しなくてもよい。
【0026】
上記リフト装置の一つ又は複数の実施形態によれば、リフト部(12)は、真空源に接続された真空巻上管(12)であってもよく、真空巻上管(12)は、縦部材(11)に接続され、真空源によって生成された空気流が真空巻上管(12)と縦部材(11)の両方を流れることで揚力が得られ、必要に応じて、第2の真空供給源によって、吸引パッドの形態の捕捉部(5)に独立した真空が得られるようにしてもよい。
[辞書]
【0027】
「概して」:本文書の文脈でこれらの単語によって説明されている機能は、明細書や特許請求の範囲に記載されている本発明の1つ又はすべての実施形態で使用されてもよい。
【0028】
「固定する」、「固定された」、「固定して」:2つの部品が相互に固定されているということは、それら2つの部品が互いに切り離すことはできず、互いに永久的に取り付けられていると見なされてもよいことを意味する。
【0029】
「空気」:「空気」という言葉は、一般に「ガス」という言葉に置き換えられてもよく、つまり、ガス、すなわち、無限に膨張する傾向のある流体としての空気の機能である。これは、本文書に関連するものであり、組成そのものではない。
【0030】
「ロボット」とは、一連の動作や運動を自動で行えるコンポーネント又はシステムであり、通常、ロボットはプログラム可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係るシステムの実施形態を開示し、対象物がどのように持ち上げられて水平に移動するかを示す図である。
【
図2】対象物を捕捉すると判断した場合のリフト装置の一部と共に本発明に係る接続部の第1の実施形態をリフト装置の一部と共に示す図である。
【
図3】本発明に係る接続部の第1の実施形態の分解図である。
【
図4】対象物を捕捉すると判断した場合のリフト装置の一部と共に本発明に係る接続部の第2の実施形態を示す分解図である。
【
図5】
図4と同じ実施形態を別の視点から示す図である。
【
図6】分離バルブとドロップオフバルブの実施形態を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、概して、従来技術に関して説明したのと同様の機能を備えたリフト装置又は巻上装置に関し、真空巻上管は動作中に連続的に真空にさらされ、巻上管の開口部によって、巻上管の内部の圧力や、対象物が持ち上げられているか、下げられているか、もしくは一定の高さに保たれているかが決定される。
【0033】
本発明に係るリフト装置は、あらゆる種類の対象物、特に、吸引パッドなどの捕捉部が真空で係合可能な滑らかな表面を有する対象物の持ち上げに適用可能である。例えば、対象物は、バッグ、袋、バケツ、バレル、小包、箱などであってもよい。本発明に係るリフト装置は、バッグや袋などの、より柔らかい又はより柔軟な外面を有する対象物を持ち上げる場合に有利に適用可能である。持ち上げる対象物の表面が滑らかではない場合は、吸引パッド以外の別の捕捉部、例えば、対象物を配置可能なフック又はリフト面を用いてもよい。
【0034】
図1は、真空リフターによって構成される第1のユニット1と、ユニバーサルロボットから入手できるUR10ロボットなどのロボットを含む又はそれから構成される第2のユニット2とを備えるリフト装置を示す。一般に、真空リフター以外のリフターを使用してもよいし、真空リフターに別の種類のリフター、例えば、油圧リフターを追加してもよい。図示の実施形態では例示の目的で特定のロボットが使用されているが、当業者であれば、ロボットの選択は任意であり、他のロボットを本発明の文脈で適用可能であることを理解するであろう。
【0035】
リフト装置は、例えば、少なくとも2つの径方向、すなわち、前後に水平移動を可能にするレールなどを有する垂直延長部3と水平延長部4からなる固定スタンドを備えている。水平延長部4は、垂直延長部3に対して枢動可能に取り付けられてもよく、円形経路に沿って径方向に垂直な移動を可能にする。図示のリフト装置の実施形態は、捕捉部5に取り付けられた約10~80kg、例えば、20~50kgの重量の対象物を持ち上げることができる。
図1に示す実施形態によれば、対象物は、吸引パッドなどの捕捉部5によって捕捉されてもよく、その一つ又は複数の吸引パッド5には、可撓性又は弾性の、例えば、ゴムなどでできたリップ17が設けられていてもよく、対象物が、例えば、コンベヤベルト6に配置されてパレット7へ自動で移動される間、対象物を気密状態にする。
【0036】
第1のユニット1は、水平延長部4に沿って2つの方向に移動可能な巻上管などのリフト部12を備え、それによって垂直延長部3までの距離を変化させる、すなわち、減少又は増加させる。リフト部12は、可変の長さを有し、対象物の表面や他の部分を捕捉及び/又は取付けが可能で、その対象物を垂直方向に移動させることが可能な一つ又は複数の捕捉部5に接続される。
【0037】
また、第1のユニット1は、スライド可能部材10と縦部材11とを備え、縦部材11は、リフト部12の下端に固定されていてもよい。図示の実施形態によれば、縦部材11は、中央開口部24を有する剛性のパイプを含む又はそれから構成されている。その開口部24を介して、空気が吸引パッド5との間を流れる。スライド部材10は、第1の位置と第2の位置の間で、縦部材11の外面の少なくとも一部に沿ってスライドする少なくとも部分的に同心のパイプとして形成されてもよい。
【0038】
第2のユニット2は、第1の端部又は位置で締結手段8に固定されていてもよく、この締結手段8は、固定スタンドの垂直延長部3に対して静止し固定されており、第2の、例えば、反対側の端部又は位置で、スライド部材10に対して静止し固定される制御部材9を備えている。
【0039】
制御部材9はスライド部材10に対して移動できないので、第2のユニット2は、捕捉部5によって捕捉された対象物の垂直位置及び水平位置を決定することが可能である。対象物の垂直位置は、リフト部12の可変長によって決定され、対象物の水平位置は、垂直延長部3に対する水平延長部4の角度と、水平延長部4に沿ったリフト部12の相対位置との組み合わせによって決定される。
【0040】
巻上管12の形態のリフト部は、上端で懸架され、オン・オフに切り替えられるよう構成された不図示の真空源に接続されていてもよく、その巻上管12の下端は、空気が巻上管12の内部の圧力に応じて縦部材11を通って任意の方向に流れるように縦部材11に接続されていてもよい。
【0041】
バルブ装置13は、空気が巻上管12へと流れるように構成され、巻上管12を、バルブを介して導入された空気、真空源による真空、巻上管12内の対応する圧力に応じて長手方向に伸長又は収縮させる。バルブ装置13の開放は、縦部材11に対するスライド部材10の位置によって決定される。
【0042】
スライド部材10が第1の端部位置、例えば、最上端位置にある場合、バルブ装置13は閉じられており、空気の吸入がない又は最小限となり、巻上管12内部の圧力が最低となる。これにより、巻上管12の長さが最小となり、揚力が最大になる。
【0043】
スライド部材10が第2の、又は、反対側の端部位置、例えば、最下端位置にある場合、バルブ装置13は、空気の最大吸気を可能にし、巻上管12内部の圧力は、可能な最大圧力である周囲圧力に近づき、巻上管12は、揚力が最小となる最大まで拡張される。
【0044】
第2のユニット2は、隣接する端部でヒンジにより接続された2つの剛性部品からなる部分を備えていてもよく、2つの部品が互いに相対的に移動する場合、2つの剛性部品間の旋回運動が可能となる。さらに、第2のユニット2は、第1の端部で枢動ヒンジによって締結手段8に結合されていてもよい。すなわち、第2のユニット2は、締結手段8および垂直延長部3に対して水平方向及び垂直方向の両方に旋回してもよい。第2の端部では、第2のユニット2が制御部材9に固定されている。制御部材9は、レール4の移動により水平方向に、かつ、第2のユニット2を固定スタンド3や第2のユニット2を構成する2つの部品間のヒンジに枢動可能に取り付けることにより垂直方向にも移動することができる。第第2のユニット2は、既知のロボット、例えば、ユニバーサルロボットから入手可能なUR10ロボットを含んでいてもよく、又はそれから構成されていてもよい。
【0045】
縦部材11及びスライド部材10は、スライド部材10が縦部材に対して回転するのを防止するよう構成された対応する係止手段を備えていてもよい。この係止手段は、スライド部材10の内面及び縦部材11の外面の形状によって単に構成されていてもよい。対応する形状が円形ではなく、少なくとも1つの平面を含む、例えば 長方形や多角形、半円形、又は他の円形セグメント
である場合、もしくは、楕円形や回転を許容しない別の丸みのある形状である場合、2つの部品、つまり、スライド部材10と縦部材11は、長手方向に互いに相対的に移動しつつ、回転方向に互いに対して係止される。
【0046】
図2は、中央開口部24を有する縦部材11に取り付けられた吸引パッド5を含む実施形態の一部を示す拡大図である。本発明に係るリフト装置が中央開口部24を有する縦部材11と吸引パッドの形態の捕捉部5を備えている場合、リフト装置は、バルブ14を備えていてもよい。このバルブ14によって、巻上管12の内部空間及び真空と、一つ又は複数の吸引パッド5の内部空間又は真空との間を分離することが可能となる。
【0047】
図2の実施形態では、バルブ14は、スライド部材10と吸引パッド5との間に配置された箱の形状を有し、バルブ14が閉じているとき、対象物が吸引パッド5に捕捉されたり、それに付着することなく、巻上げ管12内を低圧に維持することが可能である。一般に、バルブ14は、プレート15が開口部25(
図6参照)を完全に覆う閉位置にスライド又は旋回可能なスロットルとして機能するプレート15を備えていてもよい。また、このプレート15は、縦部材11の端部に近い開口部25が完全に開いている開位置にあってもよい。通常、プレート15は、これらの2つの端部位置の間のあらゆる位置にあってもよく、縦部材11と吸引パッド5との間の開口部25を介した吸気を細かく制御することが可能となる。
【0048】
このようなバルブ14は、動作中に巻上管12に連続的な真空が印加される場合に有利となり得る。
【0049】
また、本発明に係るリフト装置は、例えば、空気で満たされたシリンダから構成される、又はそれを含むドロップオフバルブ16を備えていてもよい。縦部材11の真空が維持されている間にバルブ15が閉じている場合、ドロップオフバルブ16を開くことにより吸引パッド5から対象物を解放することが可能であってもよく、これは、
図2に示すようなバルブ14のバルブ室内へと空気を流入させることにより起こり得る。
図6は、分離バルブとドロップオフバルブの実施形態を示す分解図である。
【0050】
図2及び
図3は、縦部材11が縦部材11の長手方向に延在する開口部13の形態のバルブ装置13を備えて構成される実施形態を開示する。通常、縦部材11がそのような空気を取り込むための開口部13を備えて構成される場合、その開口部13は、通常、例えば、スライド部材10とほぼ同じ長さ、又は、スライド部材10よりも10%長い又は短いスロット形状、もしくは、少なくとも面積寸法、例えば 開口部13に対応し、少なくとも部分的にそれを覆うよう構成されたスライド部材10の対応する表面の長さと幅を有するスロット形状を有している。
【0051】
スライド部材10は、第1の端部位置を超えた動きが制限されてもよい。すなわち、縦部材11は、第1の端部位置に到達した際、スライド部材10の一部に接触し、スライド部材10がその方向にさらに移動するのを防ぐエンドストップを備えていてもよい。同様に、スライド部材10は、第2の端部位置を超えた動きが制限されていてもよい。すなわち、縦部材11は、第2の端部位置に到達した際、スライド部材10の一部に接触し、スライド部材10がその方向にさらに移動するのを防ぐエンドストップを備えていてもよい。これらのエンドストップは、縦部材11の突出部から構成されていてもよい。
【0052】
図4は、リフト装置の下端を含む、本発明に係る接続部の第2の実施形態を示す分解図である。本実施形態によれば、縦部材11は、開口13に対して異なる側、すなわち、反対側に配置されたガイドレールの形態のガイド手段18を備えている。スライド部材10は、ガイドレール18の表面に沿ってスライドするよう構成されたスライド部19と、開口部13を介した吸気を閉鎖するよう構成された閉鎖部20とを備えている。図示のスライド部19の実施形態では、ガイドレール18と転がり接触する3つの車輪が含まれるが、スライド部19は、同じ機能を有する他の形状であってもよい。スライド部材10のカバー部22とハンドル部21は、縦部材11の周囲に延びる閉鎖ユニット又は閉鎖空間を形成してもよい。空気や粉塵が通過する開口部13は、粉塵が望ましくないスライド部から分離されるので、スライド部の接触面間の粉塵の量が大幅に減少し、それにより、これらの部品の摩耗も軽減する。
【0053】
閉鎖部20は、カバー部22の一部であるか、もしくは、浮動的に取り付けられていればよい。この「浮動的に取り付けられる」とは、開口部13を有する縦部材11の表面に垂直な方向において、閉鎖部20がカバー部22に対して相対的に移動可能であることを意味する。その後、閉鎖部21は、吸引によって開口部13に向かって移動してもよい。すなわち、閉鎖部20は、縦部材11の内部が真空や低圧である場合、開口部13に対して吸引されるが、真空や低圧でなくなると、縦部材11の開口部13と閉鎖接触しなくなる。2つ以上の突出部20aがカバー部22の開口を介して位置決めされ得るので、浮動的な取付けが行われてもよい。カバー部22はハンドル21に取り付けられてもよく、それにより閉鎖部20をハンドル部分21に固定し、開口部13に対する閉鎖部20の正確な位置を制御することが可能となる。閉鎖部20が浮いていることにより、縦部材11の表面及び閉鎖部20の表面が摩耗しても、閉鎖機能が維持される。
【0054】
図4に開示された実施形態では、動作中に突出部16’がプレート15と接触する突出部16’を備えるドロップオフバルブ16を備えている。動作時、プレート15は、カバー23で覆われていてもよい。動作時、ドロップオフバルブ16と突出部16’は、例えば、加圧空気により前方に押されてもよい。その後、突出部16’によって、プレート15がバルブ箱14から離れる方向に押され、周囲の空気圧へのアクセスが形成される。吸引パッド5内の圧力が周囲の圧力と等しくなると、吸引パッドはその吸引力を失い、吸引パッド5に付着した対象物を解放する。
【0055】
図5は、組立てモードにおける本発明に係る接続部の第2の実施形態を示す図である。閉鎖部20の突出部20aの端部は、カバー22の開口部を通って延在していることが分かる。
【0056】
一般に、巻上管12の内部の圧力によって一つ又は複数の吸引パッドの高さが決まる、巻上管12に対する弱い吸引を行いつつ、その吸引が、好ましくは、オン/オフ、つまり、機能しないか又は完全真空である一つ又は複数の吸引パッド5の強力な吸引を維持できるようにするために、真空システムは、2つの真空システムを含んでいてもよい、又はそれから構成されていてもよい。第1の真空システムが一つ又は複数の吸引パッド5を吸引し、第2の真空システムが巻上管12内部の圧力を決定する。これら2つの別々の真空システムを適用することにより、巻上管12の非常に正確な制御を可能にし、強い吸引力が必要となり得る困難な対象物を持ち上げることが可能となる。
【0057】
一般に、バルブ14は、縦部材11の中央空気開口部と、真空又は低圧が維持される吸引パッド内部の空間との間の空気流に配置されたスロットルを含む。このようなバルブ14により、吸引パッド内の低圧を維持し、巻上管内の高い圧力を保つことで、吸引パッドに取り付けられた対象物を下げつつ、持ち上げられた対象物を吸引パッドに取り付けられたままにする高い吸引力を提供することが可能となる。
【0058】
一般に、ドロップオフバルブ16は、空気が本来閉鎖された空間に入るようにする制御空気口を備える又は提供し、持ち上げられる対象物を保持する真空又は減圧を提供する。閉鎖空間は、吸引パッドの壁の内面、持ち上げられる対象物の表面、巻上管内の低い圧力又はその他の異なる圧力を除いて、プレート15やバルブ14における同じ機能の他の特徴から形成されていてもよい。
【0059】
また、本発明は、接続部及びシステムそれぞれの以下の実施形態に関するものである。
【0060】
1.第1のユニットと第2のユニットの間の接続部であって、第1のユニット(1)は、対象物を捕捉し、その対象物を垂直方向に移動させる動力を提供するよう構成され、第2のユニット(2)は、対象物の垂直位置を制御するよう構成されている。この接続部は、第1のユニットの縦部材(11)に沿って、第1の端部位置と第2の端部位置の間で2つの方向に、つまり、前後にスライドするよう構成されたスライド部材(10)を備え、このスライド部材(10)は、第2のユニット(2)によって生じるすべての動きをスライド部材(10)に伝達するよう構成された剛性のジョイントによって、取付け点に固定されている。
【0061】
2.縦部材(11)は、縦部材(11)の長手方向に延びる開口部(13)を備えて構成され、開口部(13)は、スライド部材(10)が第1の端部位置にあるとき、スライド部材によって開口部(13)が覆われ、スライド部材(10)が第2の端部位置にあるとき、スライド部材(10)によって開口部(13)が覆われない又は部分的にのみ覆われるよう構成されている、上記実施形態に記載の接続部。
【0062】
3.スライド部材(10)が、第1のユニット(1)の縦部材(11)の外側形状に対応する内側形状を有し、その対応する形状が、縦部材(11)に対するスライド部材(10)の回転を可能にする非円形又は同様の形状である、上記いずれかの実施形態に記載の接続部。
【0063】
4.スライド部材(10)が、第1のユニット(1)の縦部材(11)の外側形状に対応する内側形状を有し、その対応する形状が多角形、例えば、長方形や楕円形である、もしくは、縦部材(11)に対するスライド部材(10)の回転を阻止する突出部、例えば、長手方向延長部などを有している、上記いずれかの実施形態に記載の接続部。
【0064】
5.対象物を持ち上げて水平に移動させるシステムであって、
その対象物を捕捉して垂直方向に移動させることができる一つ又は複数の吸引パッド(5)で構成された第1のユニット(1)と、
対象物の垂直位置と水平位置を制御するよう構成された第2のユニット(2)と、
第1のユニットと第2のユニットが固定・支持されている固定スタンド(3、4)とを備え、
第1のユニット(1)は縦部材(11)を含み、
第2のユニット(2)は、縦部材(11)に対して第1の位置と第2の位置の間で移動するよう構成されたスライド部材(10)を備え、スライド部材(10)が縦部材(11)に沿って一方向に移動する場合に吸引パッド(5)が下がり、スライド部材が第2の反対方向に動く場合に吸引パッド(5)が上がる、
スライド部材(10)は回転方向において縦部材(11)に固定され、第2のユニット(2)は、スライド部材(10)に固定された点/部分/端部を垂直方向と水平方向の両方に移動させることが可能な制御部材を備える。
【0065】
6.第1のユニット(1)は、上端で懸架され、オン・オフに切り替えられるよう構成された真空源に接続された垂直巻上管(12)を備え、この巻上管(12)はその下端が縦部材(11)に接続し、巻上管(12)と縦部材(11)の両方にガスが流れるようにしている、上記実施形態に記載のシステム。
【0066】
7.バルブ装置(13)は、巻上管(12)内の空気圧に応じて巻上管が軸方向に伸縮可能となるよう、ガスを巻上管に通すように構成されている、上記いずれかの実施形態に記載のシステム。
【0067】
8.スライド部材(10)の位置によって、バルブ装置の開放を制御する、上記いずれかの実施形態に記載のシステム。
【0068】
9.バルブ装置は、縦部材(11)の長手方向に延びる開口部(13)によって構成される、上記いずれかの実施形態に記載のシステム。
【0069】
10.第2のユニット(2)は、枢動ヒンジによって接合され、互いの延長に配置された少なくとも2つの部品又はアームを含み、第2のユニット(2)は、その一端が固定スタンド(3)に枢動可能に固定され、その他端がスライド部材(10)に固定されている、上記いずれかの実施形態に記載のシステム。
【0070】
11.制御部材及びスライド部材は、スライド部材が、縦部材に対して、第1の位置と第2の位置の間に定義された経路以外の他の方向に移動するのを防ぐよう構成された対応する係止手段を備えている、上記いずれかの実施形態に記載のシステム。
【0071】
12.上記システムの一つ又は複数の吸引パッドは二次吸引システムで構成されてもよく、巻上管は一次吸引システムで構成されている、上記いずれかの実施形態に記載のシステム。
【符号の説明】
【0072】
1 第1のユニット(例えば、真空リフター)
2 第2のユニット(例えば、ロボット)
3 垂直延長部(固定スタンド)
4 水平延長部(固定スタンド)
5 捕捉部(例えば、吸引パッド)
6 コンベヤベルト
7 パレット
8 締結手段
9 制御部材又は制御部材用ハンドル
10 スライド可能部材
11 縦部材
12 リフト部(例えば、巻上管)
13 11の開口部などのバルブ装置
14 バルブ
15 バルブ14内のプレート
16 ドロップオフバルブ
17 ゴム又は発泡リップ
18 ガイドレール
19 スライド部
20 閉鎖部
20a 閉鎖部20用締結手段の突出端部
21 スライド部10のハンドル部
22 スライド可能部材用カバー
23 ドロップオフバルブ用カバー
24 11の中央開口部