(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理方法、交通流シミュレーション方法および地図作成方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230516BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20230516BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230516BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
G08G1/00 C
G01C21/34
G09B29/00 F
G09B29/00 Z
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2021095309
(22)【出願日】2021-06-07
(62)【分割の表示】P 2016038302の分割
【原出願日】2016-02-29
【審査請求日】2021-06-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.集会名 第35回交通工学研究発表会 2.開催日 平成27年 8月31日 〔刊行物等〕 1.集会名 地方創生RESASフォーラム2015 2.開催日 平成27年 9月15日 〔刊行物等〕 1.掲載アドレス http://consulting.navitime.biz/example/kenoudo.html 2.掲載日 平成27年12月 2日 〔刊行物等〕 1.集会名 第13回ITSシンポジウム2015 2.開催日 平成27年12月 3日 〔刊行物等〕 1.掲載アドレス http://committees.jsce.or.jp/opcet/its/sympo2015 2.掲載日 平成28年 1月 6日 〔刊行物等〕 1.集会名 公益社団法人土木学会 実践的ITS研究委員会 シンポジウム『求められる道路と交通の進化~ITSは切り札となるか?~』 2.開催日 平成28年 1月19日 〔刊行物等〕 1.配布場所 阪神高速道路株式会社 2.配布日 平成28年 2月 1日
(73)【特許権者】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】太田 恒平
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-277268(JP,A)
【文献】特開2015-143714(JP,A)
【文献】特開2011-209168(JP,A)
【文献】特開2006-244188(JP,A)
【文献】特開2012-190416(JP,A)
【文献】特開平11-296782(JP,A)
【文献】経路判別可能なプローブデータを用いた高規格道路及び一般道路の交通流分析,2014年06月08日,11~13頁,http://consulting.navitime.biz/pdf/monograph_20140608.pdf
【文献】交通コンサルティング事業とデータ分析事例のご紹介,2014年09月13日,10~11頁,http://www.slideshare.net/okfjevent/ss-39057531
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G01C 21/34
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索に用いる経路ネットワーク情報を変更する変更手段と、
変更前の前記経路ネットワーク情報を用いて複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の移動経路であって、分析対象箇所を通行する移動経路を含む複数の移動経路と、変更後の前記経路ネットワーク情報を用いて前記複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の再探索経路と、を取得する経路取得手段と、
前記取得された複数の移動経路のうち少なくとも1つの移動経路と、前記取得された複数の再探索経路のうち少なくとも1つの再探索経路との分岐点を抽出する分岐点抽出手段と、
を備え
、
前記変更手段は、前記分析対象箇所への規制の設定、渋滞の設定、および新規道路の設定の少なくとも1つを行うことで、前記経路ネットワーク情報を変更する、情報処理システム。
【請求項2】
前記抽出された分岐点を地図上に表示またはリストとして表示する出力手段をさらに備えた請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記取得された複数の再探索経路に基づいて、当該複数の再探索経路のうち少なくとも1つの再探索経路を構成する道路および/または交差点の通行度合いを算出する算出手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記抽出された分岐点を前記算出された通行度合いとともに表示する請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記出力手段は、前記取得された複数の移動経路のうち少なくとも1つの移動経路と、前記取得された複数の再探索経路のうち少なくとも1つの再探索経路との合流点を表示する請求項2または3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記変更手段は、
更に、前記経路ネットワーク情報以外の前記分析対象箇所の分析条件の変更を行
い、
前記経路ネットワーク情報以外の前記分析条件は、有料道路の料金を含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記経路取得手段は、変更前の前記経路ネットワーク情報以外の前記分析条件を用いて2以上の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された2以上の移動経路であって、前記分析対象箇所を通行する移動経路を含む2以上の移動経路と、変更後の前記経路ネットワーク情報以外の前記分析条件を用いて前記2以上の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された2以上の再探索経路と、を取得し、
分岐点抽出手段は、前記取得された2以上の移動経路のうち少なくとも1つの移動経路と、前記取得された2以上の再探索経路のうち少なくとも1つの再探索経路との分岐点を抽出する請求項
5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータを、
変更前の経路ネットワーク情報を用いて複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の移動経路であって、分析対象箇所を通行する移動経路を含む複数の移動経路のうち、少なくとも1つの移動経路と、変更後の前記経路ネットワーク情報を用いて前記複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の再探索経路のうち、少なくとも1つの再探索経路との分岐点を抽出する分岐点抽出手段、
として機能させ
、
前記変更後の前記経路ネットワーク情報は、前記変更前の経路ネットワーク情報に対して、前記分析対象箇所への規制の設定、渋滞の設定、および新規道路の設定の少なくとも1つが行われた経路ネットワーク情報である、情報処理プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
経路探索に用いる経路ネットワーク情報を変更する変更手段、
変更前の前記経路ネットワーク情報を用いて複数の経路探索条件のそれぞれに基づいて探索された複数の移動経路であって、分析対象箇所を通行する移動経路を含む複数の移動経路と、変更後の前記経路ネットワーク情報を用いて前記複数の経路探索条件のそれぞれに基づいて探索された複数の再探索経路と、を取得する経路取得手段、
前記取得された複数の移動経路のうち少なくとも1つの移動経路と、前記取得された複数の再探索経路のうち少なくとも1つの再探索経路との分岐点を抽出する分岐点抽出手段、
として機能させ、
前記変更手段は、前記分析対象箇所への規制の設定、渋滞の設定、および新規道路の設定の少なくとも1つを行うことで、前記経路ネットワーク情報を変更する、情報処理プログラム。
【請求項9】
変更手段
として機能するコンピュータが、経路探索に用いる経路ネットワーク情報を変更するステップと、
経路取得手段
として機能するコンピュータが、変更前の前記経路ネットワーク情報を用いて複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の移動経路であって、分析対象箇所を通行する移動経路を含む複数の移動経路と、変更後の前記経路ネットワーク情報を用いて前記複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の再探索経路と、を取得するステップと、
分岐点抽出手段
として機能するコンピュータが、前記取得された複数の移動経路のうち少なくとも1つの移動経路と、前記取得された複数の再探索経路のうち少なくとも1つの再探索経路との分岐点を抽出するステップと、
を有
し、
前記変更手段として機能するコンピュータは、前記分析対象箇所への規制の設定、渋滞の設定、および新規道路の設定の少なくとも1つを行うことで、前記経路ネットワーク情報を変更する、情報処理方法。
【請求項10】
変更手段として機能するコンピュータが、経路探索に用いる経路ネットワーク情報を変更するステップと、
経路取得手段として機能するコンピュータが、変更前の前記経路ネットワーク情報を用いて複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の移動経路であって、分析対象箇所を通行する移動経路を含む複数の移動経路と、変更後の前記経路ネットワーク情報を用いて前記複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の再探索経路と、を取得するステップと、
分岐点抽出手段として機能するコンピュータが、前記取得された複数の移動経路のうち少なくとも1つの移動経路と、前記取得された複数の再探索経路のうち少なくとも1つの再探索経路との分岐点を抽出するステップと、
を有
し、
前記変更手段として機能するコンピュータは、前記分析対象箇所への規制の設定、渋滞の設定、および新規道路の設定の少なくとも1つを行うことで、前記経路ネットワーク情報を変更する、交通流シミュレーション方法。
【請求項11】
変更手段として機能するコンピュータが、経路探索に用いる経路ネットワーク情報を変更し、
経路取得手段として機能するコンピュータが、変更前の前記経路ネットワーク情報を用いて複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の移動経路であって、分析対象箇所を通行する移動経路を含む複数の移動経路と、変更後の前記経路ネットワーク情報を用いて前記複数の経路探索条件
のそれぞれに基づいて探索された複数の再探索経路と、を取得し、
分岐点抽出手段として機能するコンピュータが、前記取得された複数の移動経路のうち少なくとも1つの移動経路と、前記取得された複数の再探索経路のうち少なくとも1つの再探索経路との分岐点を抽出し、
前記抽出された分岐点を地図上に重畳
し、
前記変更手段として機能するコンピュータは、前記分析対象箇所への規制の設定、渋滞の設定、および新規道路の設定の少なくとも1つを行うことで、前記経路ネットワーク情報を変更することを特徴とする地図作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理方法、交通流シミュレーション方法および地図作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交通流をシミュレーションするための各種のシステムが提案されている。例えば、特許文献1では、道路上の交通情報計測器と計算機とを用いて交通渋滞を予想するシステムが提案されている。このシステムでは、シミュレータによる交通状況に関する短時間の予測結果を、変動要因に基づいて補正している。また、特許文献2では、プローブ情報と信号切換タイミング情報とに基づいて交差点における交通量を算出するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-250594号公報
【文献】特開2008-77505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムは、実際の車両の走行データが必要であり、かつ、シミュレーションに要する設備のコストが高いといった問題があった。また、実際の車両の走行データを使用する場合は、走行の際の条件のばらつきが避けられず、シミュレーションの精度を上げることが困難であるといった問題があった。
【0005】
本発明は、精密な交通流のシミュレーションを低コストで行うことができる情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理方法、交通流シミュレーション方法および地図作成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理システムは、
複数の経路探索条件に基づいて探索された複数の移動経路であって、分析対象箇所を通行する移動経路を含む複数の移動経路を取得する経路取得手段と、
前記取得された複数の移動経路に基づいて、前記複数の移動経路のうち少なくとも1つの移動経路を構成する道路および/または交差点の通行度合いを算出する算出手段と、
前記算出された通行度合いを出力する出力手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、精密な交通流のシミュレーションを低コストで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る情報処理システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図3】第1の実施形態に係る端末装置2の表示画面の一例である。
【
図4】第2の実施形態に係る情報処理システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5(A)は、第2の実施形態に係る端末装置2の表示画面の一例であり、
図5(B)は、
図5(A)と異なる表示画面の一例である。
【
図6】第3の実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【
図7】第3の実施形態に係る情報処理システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】第3の実施形態に係る端末装置2の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム1について説明する。第1の実施形態に係る情報処理システム1は、パソコンやモバイル端末(スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等)などの電子機器の使用者(以下、単に「ユーザ」ともいう)に対して交通流のシミュレーション結果を提供するシステムである。交通流とは、通路(道路および交差点)を通行する車両(四輪車、二輪車、バス、タクシー等)の流れである。
【0011】
情報処理システム1は、
図1に示すように、端末装置2と、サーバ3とを備えている。
端末装置2とサーバ3とは、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。ネットワークとは、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置2およびサーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0012】
端末装置2は、交通流をシミュレーションするためにユーザが使用するものであり、例えば、デスクトップ型のパソコンである。なお、端末装置2は、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末であってもよい。
【0013】
端末装置2は、
図1に示すように、通信部21と、制御部22と、入力部23と、出力部24とを有する。まず、端末装置2の構成要素のうち、制御部22以外の構成要素、即ち、通信部21、入力部23および出力部24について説明する。
【0014】
通信部21は、ネットワークを介して制御部22とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。
【0015】
入力部23は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、例えばデスクトップ型のパソコンにおけるキーボード、モバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、タッチパッドもしくはダイヤルボタンであってもよい。
【0016】
出力部24は、端末装置2からユーザに対して各種情報を出力するインターフェースであり、例えば液晶ディスプレイ等の映像表示手段である。具体的には、出力部24は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、通行度合いなどのシミュレーション結果を表示する。あるいは、出力部24は、通行度合いなどを音声で出力するスピーカであってもよい。
【0017】
ここで、通行度合いとは、通路上の対象箇所を車両が通行する度合いである。通行とは、対象箇所を通過することに限定されず、対象箇所を移動の始点または終点とする場合も含む。
【0018】
この通行度合いは、例えば道路上の対象箇所を車両が通行する頻度すなわち交通量、台数または割合であってもよい。通行度合いの更なる詳細については、後述の動作例において説明する。
【0019】
出力部24は、ユーザに情報を直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部24は、端末装置2の外部に接続される映像表示手段や音声出力手段に、映像信号や音声信号を出力するものであってもよいし、外部に接続される印刷装置にデータを出力するものであってもよいし、端末装置2内もしくは外部の記憶装置にデータを出力して記憶させるものであってもよい。
【0020】
次に、端末装置2の制御部22について説明する。制御部22は、
図1に示すように、分析条件取得部221と、情報提示部222とを有する。これら各部は、端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0021】
分析条件取得部221は、交通流を分析するための分析条件を取得する。分析条件は、通路上における交通流を分析する箇所である分析対象箇所を含む。分析対象箇所は、例えばジャンクション(JCT)、インターチェンジ、高速道路の一部区間または所定の地域等のエリアなどであってもよい。分析対象箇所は、出発地や目的地(すなわち到着地)であってもよい。また、分析対象箇所は1箇所に限らず複数個所であってもよい。分析条件取得部221は、複数の分析対象箇所を同時にまたは連続して取得してもよい。
【0022】
分析条件取得部221は、入力部23から入力された分析条件を取得する。分析条件は、通信部21からネットワークを介してサーバ3に送信される。
【0023】
情報提示部222は、出力部24とともに出力手段として機能し、通行度合い等の各種情報を、出力部24を介してユーザに提示する。
【0024】
なお、出力部24が映像表示手段である場合、情報提示部222は、提示すべき情報を映像信号に変換して出力部24に出力し、出力部24が音声出力手段である場合には、情報提示部222は、提示すべき情報を音声信号に変換して出力部24に出力する。
【0025】
次に、サーバ3について説明する。
図1に示すように、サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。制御部32について説明する前に、通信部31および記憶部33について説明する。
【0026】
通信部31は、ネットワークを介して端末装置2と、サーバ3の制御部32との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0027】
記憶部33は、例えばハードディスク等の固定型データストレージであり、各種データベースを格納する。なお、記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられなくてもよく、ネットワークを介してサーバ3と通信可能に接続された別の装置内に設けられてもよい。
【0028】
記憶部33は、経路ネットワークデータベース331と、探索条件データベース332とを有する。
【0029】
経路ネットワークデータベース331は、経路探索用のデータベースであり、経路ネットワーク情報として、例えば地図情報、および交通ネットワーク情報を含む。地図情報は、全国または各地方の道路地図などの地図データを含み、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報(施設情報、注記情報、記号情報等)を含んでよい。交通ネットワーク情報は、道路網を規定する情報である。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点(ノード)のデータと、結節点間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。また、道路網の情報は、高速道路等の有料道路の料金に関する情報を含んでもよい。
【0030】
探索条件データベース332は、複数の経路探索条件を格納したデータベースである。
経路探索条件は、出発地および目的地を含む。経路探索条件は、出発地や目的地の他、経由地、出発時刻、到着時刻等を含んでもよい。また、経路探索条件は、推奨、無料優先および距離優先などの探索条件を含んでもよい。
【0031】
経路探索条件は、例えば、ナビゲーションシステムの利用者から取得した経路探索の履歴に含まれた態様で探索条件データベース332に格納されている。経路探索の履歴に含まれる経路探索条件は、探索された移動経路(すなわち経路探索条件での探索結果)と対応付けられている。経路探索条件に対応付けられた移動経路は、探索条件データベース332内に格納されていてもよく、または、探索条件データベース332外のデータベースに格納されていてもよい。
【0032】
また、経路探索条件は、出発地と目的地とを組み合わせたテストパターンの態様で探索条件データベース332に格納されていてもよい。なお、テストパターンは、コンピュータで自動作成されたものであってもよく、または、人作業で作成されたものであってもよい。
【0033】
次に、サーバ3の制御部32について説明する。制御部32は、
図1に示すように、経路探索部321と、経路取得部322と、通行度合い算出部323とを有する。これら各部は、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0034】
経路探索部321は、端末装置2から送信された分析対象箇所を通信部31から取得する。分析対象箇所の取得後、経路探索部321は、経路ネットワークデータベース331内の経路ネットワーク情報を用いて、探索条件データベース332内の複数の経路探索条件に基づいた経路探索を行う。経路探索を行うことで、経路探索部321は、複数の経路探索条件のそれぞれに対応した複数の移動経路を取得する。
【0035】
経路探索に用いる経路探索条件は、探索条件データベース332内の全部の経路探索条件および一部の経路探索条件のいずれであってもよい。探索条件データベース332内の一部の経路探索条件を用いる場合、例えば所定期間中に探索条件データベース332内に格納された経路探索条件を用いてもよい。または、分析対象箇所を通る境界線の一方の領域に存在する地点を出発地とし、境界線の他方の領域に存在する地点を目的地とした経路探索条件を用いてもよい。この場合、境界線の一方および他方の各領域のうち、分析対象箇所に直近の所定数のメッシュ内に存在する地点を出発地、目的地とした経路探索条件を用いてもよい。また、分析対象箇所の一例である対象道路の両端に位置する2つの行政界に含まれる地点(代表地点(県庁、市役所等))のそれぞれを出発地および目的地とする経路探索条件を用いてもよい。
【0036】
また、分析対象箇所を通行する確度がより高い移動経路で分析するため、経路探索部321は、分析対象箇所を通行する移動経路が探索された経路探索履歴中の経路探索条件を用いてもよい。また、分析対象箇所が複数の場合は、複数の分析対象箇所全てまたは一部を通行する移動経路が探索された経路探索履歴中の経路探索条件を用いてもよい。
【0037】
経路取得部322は、経路探索部321で探索された複数の移動経路のうち、分析対象箇所を通行する移動経路を含む複数の移動経路を経路探索部321から取得する。経路探索部321で取得される複数の移動経路は、例えば、その全てが分析対象箇所を通行する。経路探索部321で取得される複数の移動経路には、分析対象箇所を通行しない移動経路を含んでいてもよい。
【0038】
通行度合い算出部323は、経路取得部322で取得された複数の移動経路に基づいて、各移動経路を構成する道路および交差点の通行度合いを算出する。なお、交差点は、複数の道路が交わる場所であれば特に限定されず、例えば一般道の平面交差による交差点や、ジャンクションやインターチェンジなどの高速道路などにおける立体交差による交差点であってもよい。既述したように、経路取得部322で取得された複数の移動経路は、その全部または一部が分析対象箇所を通過する。したがって、通行度合い算出部323は、分析対象箇所を通行する移動経路を構成する道路および交差点の通行度合いを算出できる。
【0039】
移動経路および通行度合いの情報は、通信部31からネットワークを介して端末装置2に送信される。送信された移動経路および通行度合いは、端末装置2において地図上に表示される。地図表示の具体例は、以下の動作例において説明する。
【0040】
(動作例)
次に、
図1の情報処理システム1の動作例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0041】
先ず、
図2に示すように、端末装置2は、分析対象箇所を設定する(ステップS21)。分析対象箇所の設定は、例えば、出力部24によって分析対象箇所の設定用画面を表示し、設定用画面に対する入力部23の操作結果を分析条件取得部221が取得することで行ってもよい。
【0042】
多様な分析条件に応じた交通流をシミュレーションするため、分析対象箇所の設定は、時間帯、時期、季節または天候などの各種の分析条件の指定をともなってもよい。この場合、探索条件データベース332内の各経路探索条件を各種の分析条件に対応付けておけば、経路探索部321は、入力部23で指定された分析条件に応じた経路探索条件を探索条件データベース332から取得できる。
【0043】
分析対象箇所の設定後、通信部21は、設定された分析対象箇所のデータをサーバ3に送信する(ステップS22)。
【0044】
サーバ3の経路探索部321は、端末装置2から送信された分析対象箇所を通信部31から取得する(ステップS31)。分析対象箇所を取得した後、経路探索部321は、探索条件データベース332から複数の経路探索条件を取得する(ステップS32)。例えば、経路探索部321は、数週間前から現在までの期間やある週の平日5日間などの経路探索期間が所定の期間内の経路探索条件を探索条件データベース332から取得してもよい。また、経路探索部321は、通行時間帯などの分析対象箇所以外の分析条件が指定されている場合には、指定されている分析条件を満足する経路探索条件を探索条件データベース332から取得すればよい。
【0045】
複数の経路探索条件の取得後、経路探索部321は、経路ネットワークデータベース331内の経路ネットワーク情報を用いて、複数の経路探索条件に基づいた経路探索を行う(ステップS33)。これにより、複数の経路探索条件のそれぞれに対応した複数の移動経路が探索される。探索された移動経路の中には、分析対象箇所を通行しない移動経路も含まれる。
【0046】
分析対象箇所と地理的な関連性が高い移動経路の通行度合いを算出するため、経路取得部322は、経路探索後に、複数の移動経路のうち分析対象箇所を通行する複数の移動経路を取得する(ステップS34)。なお、一つの経路探索条件に基づいた経路探索によって複数の移動経路が探索された場合、経路取得部322は、所定の基準に基づいて一つの移動経路を選択する。例えば、候補順位が最も高い移動経路(所要時間が最も短い経路等)や、ユーザがカレンダー登録またはメール送信した移動経路などを選択する。また、分析対象箇所を通行する移動経路の取得は、経路探索部321が探索済みの複数の移動経路の中から分析対象箇所を含む移動経路を抽出し、抽出された移動経路を経路取得部322に出力することで行ってもよい。
【0047】
次いで、通行度合い算出部323は、経路取得部322で取得された分析対象箇所を通行する複数の移動経路に基づいて、各移動経路を構成する道路および交差点の通行度合いを算出する(ステップS35)。
【0048】
通行度合いは、例えば、分析対象箇所を通る移動経路の総数に対する移動経路上の各算出地点(道路網における道路の一部または全部区間、または、交差点)での移動経路の本数の百分率として表現することができる。算出地点は、道路および交差点のいずれであってもよい。例えば、分析対象箇所を通る移動経路の総数が400本であるのに対して、移動経路上の或る算出地点を通行する移動経路の本数が100本である場合、その算出地点での通行度合いは、25%となる。通行度合いがこのように定義される場合は、通行度合いは分析対象箇所において最大値である100%となる。
【0049】
なお、通行度合いの表現は以上に限定されない。例えば、通行度合いの母数は、分析対象箇所の通行の有無を問わない全ての移動経路の総数であってもよい。
【0050】
通行度合いの算出後、通信部31は、算出された通行度合いを端末装置2に送信する(ステップS36)。
【0051】
端末装置2の情報提示部222は、サーバ3から送信された通行度合いを通信部21から取得する。情報提示部222は、出力手段として機能し、出力部24を介して通行度合いに基づいた地図表示を行う(ステップS23)。
【0052】
地図表示の一例を
図3に示す。
図3は、第1の実施形態に係る端末装置2の表示画面の一例である。
【0053】
図3に示すように、情報提示部222は、分析対象箇所Pを通る移動経路を構成する道路上および交差点上の位置(すなわち算出地点)に、通行度合いを数字で表示している。
図3の分析対象箇所Pは、例えばジャンクションである。
【0054】
図3に示すように、通行度合いは、分析対象箇所Pに近いほど大きく、分析対象箇所Pにおいて、最大値である100となる。なお、
図3において、通行度合いの単位である%の表示は視認性の観点から省略されている。
【0055】
図3に示すように、移動経路の道なりに数値で通行度合いが表示されるので、ユーザは、交通流を詳細かつ直感的に把握できる。
【0056】
従来のように道路上の交通情報計測器や計算機あるいはプローブ情報に基づいて通行度合いを算出する場合、実走行データを要するのでコストが高くなる。これに対して、第1の実施形態では、経路探索条件のデータベースに基づいて、実走行データを要することなく詳細な交通流を予測できる。さらに、通行度合いを算出するために用いられる移動経路は、分析対象箇所を通行する確度が高い経路探索条件に基づく経路探索により得られたものであるため、精密に交通流を予測できる。したがって、第1の実施形態によれば、精密な交通流のシミュレーションを低コストで行うことができる。
【0057】
また、
図3に示すように、情報提示部222は、通行度合いを、移動経路を示す線4の太さとしても表現している。具体的には、情報提示部222は、移動経路を示す強調線4のうち、対応する通行度合いが大きい部分を、対応する通行度合いが小さい部分よりも太い線幅で表示している。これにより、ユーザは、通行度合いをより直感的に把握できる。
【0058】
また、
図3に示すように、情報提示部222は、分析対象箇所Pに対する進入側の移動経路に対応する強調線4aと、分析対象箇所Pに対する脱出側の移動経路に対応する強調線4bとを、異なる表示態様で表示している。例えば、情報提示部222は、進入側の強調線4aと脱出側の強調線4bとを、異なる色で表示している。これにより、ユーザは、進入側の交通流と脱出側の交通流とを容易に比較できる。
【0059】
なお、通行度合いは、地図表示の態様で出力されることに限定されない。例えば、通行度合いは、表形式(例えば算出地点の名称と通行度合いの表)で表示されてもよく、または、音声出力されてもよい。
【0060】
また、通行度合いは、移動経路を構成する道路および交差点の双方について算出することに限定されず、移動経路を構成する道路および交差点の一方について算出してもよい。
また、通行度合いは、分析対象箇所を通行する複数の移動経路のうち、全ての移動経路について算出してもよく、または、一部の移動経路について算出してもよい。
【0061】
以上述べたように、第1の実施形態によれば、複数の経路探索条件に基づいて、分析対象箇所を通行する信憑性が高い移動経路の通行度合いを算出する。これにより、精密な交通流のシミュレーションを低コストで行うことができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、経路ネットワーク情報を変更する実施形態について説明する。
図4は、第2の実施形態に係る情報処理システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0063】
図4に示すように、第2の実施形態において、端末装置2は、通行度合いに基づいた地図表示(ステップS23)の後に、分析対象箇所への規制の設定を行う(ステップS24)。規制の設定は、経路ネットワーク情報の変更の一態様である。規制の設定は、経路探索に用いる経路ネットワーク情報を変更する変更手段の一例である入力部23を用いて行う。規制の設定は、規制の時期や時間帯の設定をともなってもよい。分析対象箇所の設定(ステップS21)が時期や時間帯の設定を含む場合、規制の時期や時間帯は、分析対象箇所の設定の際の時期や時間帯の設定をそのまま引き継いだかたちで自動的に設定されてもよい。すなわち、規制前後の分析条件は、同時に与えられてもよい。
【0064】
規制の設定後、通信部21は、設定された規制を示す規制情報をサーバ3に送信する(ステップS25)。
【0065】
サーバ3の経路探索部321は、端末装置2から送信された規制情報を通信部31から取得する(ステップS37)。規制情報を取得した後、経路探索部321は、規制情報を加味した経路ネットワーク情報を用いて、分析対象箇所を通行する移動経路が探索された経路探索条件に基づいた経路再探索を行う(ステップS38)。
【0066】
経路再探索後、通行度合い算出部323は、経路再探索で探索された複数の再探索経路に基づいて、再探索経路を構成する道路および交差点の通行度合いを算出する(ステップS39)。
【0067】
通行度合いの算出後、通信部31は、算出された通行度合いを端末装置2に送信する(ステップS310)。
【0068】
端末装置2の情報提示部222は、サーバ3から送信された通行度合いを通信部21から取得する。情報提示部222は、出力手段として機能し、出力部24を介して通行度合いに基づいた地図表示を行う(ステップS26)。このとき、情報提示部222は、規制設定前の移動経路に対応する通行度合いと、規制設定後の再探索経路に対応する通行度合いとを比較可能に表示する。
【0069】
地図表示の一例を
図5(A)および
図5(B)に示す。
図5(A)は、第2の実施形態に係る端末装置2の表示画面の一例であり、
図5(B)は、
図5(A)と異なる表示画面の一例である。具体的には、
図5(A)は、規制設定前の地図表示画面であり、
図5(B)は、規制設定後の地図表示画面である。
【0070】
図5(A)および
図5(B)の例では、分析対象箇所の一例である第1地点p1と第2地点p2との間の道路区間Rに規制を設定した。規制が設定されることで、
図5(B)に示すように、規制設定前に移動経路として表示されていた道路区間Rは、規制設定後は移動経路でなくなることで強調表示されなくなった。
図5(B)には、規制区間Rを迂回する移動経路が、その通行度合いとともに表示されている。
【0071】
図5(A)および
図5(B)に示すように、情報提示部222は、規制設定前の地図と規制設定後の地図とを同一画面上に並列表示している。規制設定前の地図と規制設定後の地図とが並列表示されているので、ユーザは、規制設定前の交通流と規制設定後の交通流とを容易に比較できる。なお、規制設定前の移動経路に対応する通行度合いと、規制設定後の再探索経路に対応する通行度合いとを比較可能に表示する方法はこれに限られず、他の方法として、規制設定前の地図と規制設定後の地図とが交互に表示されるようにしてもよい。
【0072】
なお、道路規制は、時間帯や時期を決めて計画的に行われる場合がある。例えば、道路工事にともなう道路規制は、夜の時間帯に行われることが多い。したがって、規制の設定が例えば夜の時間帯の設定を含むようであれば、経路探索部321は、探索条件データベース332から夜の時間帯を出発時刻および到着時刻とした経路探索条件を取得するようにする。そして、経路探索部321は、夜の時間帯に規制を迂回する移動経路を探索でき、通行度合い算出部323は、探索された移動経路に対応する通行度合いを算出できる。
したがって、規制の時間帯や時期の設定を行うことで、道路が規制されたときに生じる現実に即した信憑性が高い交通流をシミュレーションすることができる。
【0073】
現実にナビゲーションシステムに要求された経路検索ログは、時間帯によって総数や条件(出発地・目的地)にバラツキがある。これに対して、第2の実施形態によれば、規制の時間帯に対応する経路検索条件に絞り込むことができるので、より精緻に信憑性が高い交通流のシミュレーションが可能になる。
【0074】
また、第2の実施形態は、規制の設定以外の経路ネットワーク情報の変更にも適用できる。例えば、第2の実施形態は、分析対象箇所への渋滞の設定や、新規道路の追加(追加前後のネットワークデータを用いてシミュレーションした交通流を比較する)などに適用してもよい。
【0075】
また、第2の実施形態は、有料道路の料金変更などの経路ネットワーク情報以外の分析条件の変更に適用してよい。
【0076】
第2の実施形態によれば、経路ネットワーク情報の変更に応じた交通流の変化を低コストで把握できる。また、道路工事が交通流に与える影響を容易に把握できる。
【0077】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、変更前の経路ネットワーク情報を用いて探索された移動経路と、変更後の経路ネットワーク情報を用いて探索された再探索経路との分岐点を抽出する実施形態について説明する。
図6は、第3の実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【0078】
第2の実施形態では、経路ネットワーク情報を変更し、変更後の経路ネットワーク情報を用いて再探索された再探索経路の通行度合いを算出していた。第3の実施形態では、第2の実施形態の構成に加えて、更に、後述する移動経路と再探索経路との分岐点をユーザに提供する。
【0079】
具体的には、
図6に示すように、第3の実施形態の情報処理システム1において、サーバ3の制御部31は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、分岐点抽出部324を備える。
【0080】
分岐点抽出部324は、変更前の経路ネットワーク情報を用いて探索された移動経路と、変更後の経路ネットワーク情報を用いて探索された再探索経路との分岐点を抽出する。
分岐点は、例えば、移動経路と再探索経路との双方に含まれるノードのうち、再探索経路のみに含まれるリンクの一端に存在するノードである。
【0081】
情報提示部222は、抽出された分岐点を出力する。具体的には、この情報提示部222は、抽出された分岐点を、移動経路および再探索経路とともに地図上に表示する。より具体的には、情報提示部222は、分岐点を、看板などの案内表示の設定場所として地図上に表示する。なお、案内表示は、例えば、規制を迂回するために再探索経路側に進路変更することを推奨する情報が表示されたものであってもよい。また、抽出した分岐点は地図上に表示するに限らず、リスト形式で表示するようにしてもよい。
【0082】
図7は、第3の実施形態に係る情報処理システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0083】
図7に示すように、分岐点抽出部324は、第2の実施形態で説明した経路再探索(ステップS38)の後、規制設定前に探索された移動経路と規制設定後に探索された再探索経路との分岐点を抽出する(ステップS311)。
【0084】
また、第3の実施形態において、通信部31は、ステップS38の経路再探索で探索された複数の再探索経路に基づいた通行度合の算出(ステップS39)の後、当該通行度合いとともに、ステップS311で抽出された分岐点を端末装置2に送信する。
【0085】
情報提示部222は、サーバ3から送信された、再探索経路に基づく通行度合いおよび分岐点を通信部21から取得する。情報提示部222は、出力手段として機能し、出力部24を介して通行度合いおよび分岐点に基づいた地図表示を行う(ステップS27)。
【0086】
地図表示の一例を
図8に示す。
図8は、第3の実施形態に係る端末装置2の表示画面の一例である。
図8の例では、規制設定前に探索された移動経路と規制設定後に探索された再探索経路との分岐点Paが丸枠で囲まれた表示態様で強調表示されている。
【0087】
道路を工事する場合、道路規制が必要な場合がある。道路を規制する場合、道路上の看板等によって規制を迂回できる道路が道路利用者に案内されることが望ましい。第3の実施形態によれば、移動経路と再探索経路との分岐点Paを表示することで、道路事業者は、分岐点Paに迂回を促す看板を設置すればよいことを簡便に把握できる。
【0088】
なお、
図8に示すように、移動経路と再探索経路との合流地点Pbが強調表示されてもよい。また、規制の設定以外の経路ネットワーク情報の変更(例えば、渋滞の設定や新規道路の設定等)にともなって再探索された再探索経路と移動経路との分岐点および合流点を強調表示してもよい。なお、第2の実施形態同様、分岐点の分析においても、経路ネットワーク情報以外の分析条件を適用することが可能である。例えば、高速道路の料金の変更を分析条件とすれば、料金変更前後の分岐地点のシミュレーションが可能である。
【0089】
また、第3実施形態においては、移動経路および再探索経路の通行度合いの算出を省略してもよい。
【0090】
第3の実施形態によれば、分岐点の案内を低コストで行うことができる。また、看板の設置場所を容易に決めることができる。また、道路工事が行われていることを、影響を受ける道路利用者に事前に周知することができる。
【0091】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0092】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0093】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0094】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実施するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0095】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 情報処理システム
2 端末装置
21 通信部
22 制御部
221 分析条件取得部
222 情報提示部
23 入力部
24 出力部
3 サーバ
31 通信部
32 制御部
321 経路探索部
322 経路取得部
323 通行度合い算出部
33 記憶部
331 経路ネットワークデータベース
332 探索条件データベース